JP2004257179A - 流水用管の凍結防止施工法及び流水用管の凍結防止構造 - Google Patents
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Abstract
【課題】給水・給湯管等の流水用管の通電式ヒーターによる凍結防止を簡易でかつ低コストの施工で行い得、ヒーターの取替えも容易に行いえるようにすることにある。
【解決手段】水用管1の外周長さよりも広い巾の保温材20の縦添えにより流水用管外径よりも大なる内径の保温体2で流水用管が包囲され、該保温体2に所望の間隔で挾持部材3が嵌着されて同保温体がだるま形に成形されると共に流水用管1が固持され、保温体2のだるま形頭部21内の空間に帯状若しくは線状の凍結防止用ヒーター4が挿通されている。
【選択図】図1
【解決手段】水用管1の外周長さよりも広い巾の保温材20の縦添えにより流水用管外径よりも大なる内径の保温体2で流水用管が包囲され、該保温体2に所望の間隔で挾持部材3が嵌着されて同保温体がだるま形に成形されると共に流水用管1が固持され、保温体2のだるま形頭部21内の空間に帯状若しくは線状の凍結防止用ヒーター4が挿通されている。
【選択図】図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は流水用管の凍結防止施工法及び流水用管の凍結防止構造に関し、寒冷地住宅の給水・給湯用配管の凍結防止に有用なものである。
【0002】
【従来の技術】
給水・給湯用配管には架橋ポリエチレン管やポリブテン管等の可撓性の熱可塑性合成樹脂管が多用されているが、冬季に寒冷地方では、水道水が凍結し凍結時の体積膨張のために合成樹脂管が破裂するに至ることがある。
旧来、戸建て住宅の水道管の凍結防止には、水道管に保温材を巻き付ける方法が用いられていた。すなわち、保温材を巻き付けて流水用管内と外気との間の熱抵抗R及び熱容量Cを増加し、外気温度降下に基づく流水用管内水温降下の時定数RCを長くして流水用管内水温の降下を遅らせていた。
しかしながら、夜間外気温度が極めて低い厳寒地方では、流水用管内水温の降下を遅らせるだけでは対処し難く夜間の就寝中に流水用管内水が凍結する事例が多く生じており、この場合、水道水を抜くという便宜的な処置で対処しているが、水抜き操作を忘れて水道管の破壊に至る事例が多く報告されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、流水用管に通電式ヒーターを巻き付けて凍結防止を行うことが提案されている。
この凍結防止法では、ヒーター発生熱の外部への放出を抑えて流水用管側にその発生熱を効率良く伝達することが必要とされ、(1)敷設した流水用管に通電式ヒーター線を巻き付け、その外部に保温材を巻き付ける構成(例えば、特許文献1参照)、(2)敷設したサヤ管に保温材を巻き付け、この保温サヤ管内に流水用管と共に通電式ヒーター線を挿通する構成、(3)流水用管とヒーター挿通用管とを並列接触させそれらの外部に発泡樹脂保温層を押出被覆した複合管を敷設し、而るのちヒーター挿通用管内に通電式ヒーターを挿通する構造(例えば、特許文献2参照)等が公知である。
【0004】
【特許文献1】
特開平8−270023号公報
【特許文献2】
実用新案登録第3084455号公報
【0005】
しかしながら、(1)の構成では、ヒーター線を巻き付けにより取付け、保温層を保温材の巻き付けにより設けているので、施工に手間がかかり施工費が嵩むという不具合があるばかりか、ヒーター線の寿命による交換時には保温層を取り除いたうえでヒーター線を取替え、再度保温材を巻き付ける必要があり、特に床下の狭いスペース等では非常に困難な作業になる。
(2)の構成では、ヒーター線の交換は容易であるが、サヤ管の敷設、サカ管への保温材の巻き付け、サヤ管内への流水用管の挿通等の一連の作業に多大の手間を要し、施工費も極めて高い。
(3)の構成では、複合管を敷設した後ヒーターを挿通するだけであるから、施工は比較的容易であるが、複合管の外径が大きいためにその運搬が厄介であり、取扱いも困難となってその限りにおいて施工性の低下が避けられない。また、配管の一部のみの凍結防止が要求される場合、全長を複合管で施工すると凍結防止を必要としない部分を無駄に加熱することになって電力浪費を招来し、凍結防止を必要とない部分を通常の流水用管で施工すると、この流水用管と複合管との接続が必要となって施工が厄介になる。
【0006】
本発明の目的は、給水・給湯管等の流水用管の通電式ヒーターによる凍結防止を簡易でかつ低コストの施工で行い得、ヒーターの取替えも容易に行いえるようにすることにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
請求項1に係る流水用管の凍結防止施工法は、流水用管に該管の外周長さよりも広い巾の保温材を配管現場で縦添えして流水用管外面との間に空間を有する保温体付き配管を敷設し、而るのち、前記空間に帯状若しくは線状の凍結防止用ヒーターを挿通することを特徴とする。
【0008】
請求項2に係る流水用管の凍結防止施工法は、請求項1において保温材の巾を流水用管の外周長さより20mm〜50mm長くすることを特徴とする。
【0009】
請求項3に係る流水用管の凍結防止施工法は、請求項1または2において片面に樹脂補強層を有する保温材を樹脂補強層を流水用管外面側に向けて縦添えすることを特徴とする。
【0010】
請求項4に係る流水用管の凍結防止構造は、流水用管の外周長さよりも広い巾の保温材の縦添えにより流水用管外径よりも大なる内径の保温体で流水用管が包囲され、該保温体に所望の間隔で挾持部材が嵌着されて同保温体がだるま形に成形されると共に流水用管が固持され、保温体のだるま形頭部内の空間に帯状若しくは線状の凍結防止用ヒーターが挿通されていることを特徴とする。
【0011】
請求項5に係る流水用管の凍結防止構造は、請求項4において挾持部材が円弧状バンドであることを特徴とする。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照しつつ本発明の実施の形態について説明する。
図1の(イ)は本発明に係る流水用管の凍結防止構造の一例を示す図面、図1の(ロ)は図1の(イ)におけるロ−ロ断面図、図1の(ハ)は図1の(イ)におけるハ−ハ断面図である。
図1において、1は可撓性の熱可塑性合成樹脂管例えば架橋ポリエチレン管、ポリブテン管等からなる流水用管である。2は流水用管1を包囲する保温体であり、流水用管1の周囲長さより広い巾の帯状保温材20を流水用管1に縦添えし、更に、図2に示す上部切欠きの円弧状バンド等の挾持部材3の所望間隔ごとの嵌着でだるま形に成形してある。
図1において、4はだるま形保温体2のだるま形頭部21内の空間に挿通した通電式ヒーターである。
図1において、22はだるま形の胴部を示している。
【0013】
上記帯状保温材20には通常発泡樹脂シートが使用され、弾性を有する。前記円弧状バンドの嵌着でだるま形に変形される際、図3に示すようにだるま頭部21には曲げ反力mが作用し、だるま胴部22には曲げ反力Mと圧縮反力fとの重畳反力が作用し、後者の圧縮反力f及び後者の曲げ反力Mに基づき円弧状バンド内面に側圧pが発生し、だるま形保温体2及び内部の流水用管1の保持安定性がこの側圧pにより左右される。
【0014】
また、図4に示すように、互いに隣り合った円弧状バンド3,3の間の保護体部分2’には、バンド3による拘束がなく、だるま形保温体がだるま形から円形に戻ろうとする弾性反力が作用している。而るに、円弧状バンド間の保温体部分がだるま形から円形に戻ろうとする際には、円弧状バンド間の保温体部分が膨らんで曲げ変形しようとするから、この膨らみ曲げ変形を防止し得れば、円弧状バンド間の保温体部分でのだるま形から円形への戻りを防止できる。その防止には、保温材自体の曲げ剛性を大きくすること、図4における円弧状バンド3,3間の間隔Lを短くすることが有効である。
【0015】
本発明においては、保温体のだるま形を全長にわたり安定に保持させ得るように円弧状バンドの間隔L及び保温材の曲げ剛性を設定してあり、全長にわたり安定なだるま形とされた保温体で流水用管を包囲できる。
上記において、だるま形頭部内の容積はヒーターの挿通をスムーズに行い得る大きさとする必要があり、その容積は保温材の巾と流水用管外周長さとの差で定まり、後述するヒーターの断面寸法からして、通常、保温材の巾は流水用管外周長さより20mm〜50mm長くされる。
上記だるま形保温体のだるまは上側に位置させることが施工上やヒーターの挿通上好ましい。
【0016】
上記において、挾持部材は円弧状バンドだけに限定されるものではなく、保温材を縦添えして形成した保温体の円形をだるま形に良好に作業性で変形し得、かつ流水用管を安定に固持できるものであれば適宜のものを使用できる。また、嵌着時に過不足なく反力が作用して安定な嵌着を保証し得れば厚みや材質上の制限はないが、形状保持性が強いものほど好ましい。材質としては合成樹脂、例えば塩化ビニル樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレンや金属例えばステンレスを使用できる。
上記挾持部材には図2に示すように平板部31を溶接等により固着するか一体成形し(合成樹脂製で射出成形する場合)、この平板部31を図1に示すように敷設基礎面にビス等で固定することもできる。挾持部材とは別の通常の固定部材で流水用管及びだるま形保温体を挾持部材間において固定することもできる。
上記保温材の縦添え合わせ目の開口防止のために粘着テープを貼着することもできる。
【0017】
上記流水用管は、例えば給水や給湯に使用され、架橋ポリエチレンやポリブテンを主成分とする可撓性熱可塑性樹脂からなり、各材質における日本工業規格もしくは工業会規格等の規格、自己認証、第三者認証による給水装置性能基準に適合したものが使用される。
【0018】
上記保温材の材質には、通常発泡樹脂例えば発泡ポリエチレン、架橋発泡ポリエチレン、ウレタンフォーム等が使用される。厚みは5mm〜20mmとすることが好ましく、5mm未満ではヒーター発生熱が外気側に放出する割合が多くなって保温効果が低下するぼかりか無駄な熱量によるヒーター通電量の浪費による電気料アップが余儀なくされ、20mmを越えると施工時の曲げ抵抗が大きくなり過ぎて作業性の低下が避けられない。
【0019】
この保温材の厚み制限のもとで、だるま形保温体のだるま形から円形への膨らみ変形を防止してだるま形を安定に保持するには、保温材の曲げ剛性を前記の厚み制限のもとで可及的に大きくすることが有効である。従って、図5に示すように発泡樹脂シート20の片面に厚み0.5mm〜1.5mmの熱可塑性樹脂層201例えばポリエチレン層、ポリプロピレン層、ポリアミド層等を融着した保温材を用いることが好ましく、0.5mm未満ではだるま形保温体の形状保持効果を満足に奏させ得ず、1.5mmを越えると保温材の曲げ剛性が高くなり過ぎて施工性の低下を免れ得ない。
【0020】
保温材の曲げ剛性を前記の厚み制限のもとで可及的に大きくすること以外に、前記図4により説明した通り、挾持部材3,3間の間隔Lを狭くすることも有効であり、その間隔は0.5m〜1.5mとすることが好ましい。1.5mを越えると意図した効果を満足に得ることが難しく、0.5m未満では必要以上に短くすることになって挾持部材の使用箇数がいたずらに増え施工工数の増加が避けられない。
【0021】
図6の(イ)に示すように配管曲がり部に対しては曲がり部センターラインc−cにおいて狭巾の挾持部材3aを嵌着し、その両側を通常巾の挾持部材3Aを嵌着するか、あるいは図6の(ロ)に示すように曲り挾持部材3bを曲がり部に嵌着することができる。
【0022】
上記挾持部材によるだるま形保温体の形状保持や同保温体の固持及び流水用管の固持の安定性に対しては、挾持部材を可及的にきつく嵌着することが有利であるが、この有利性に相反して嵌着作業性が悪くなる。従って、挾持部材の嵌着度を決する各部位の寸法は、これら両面から決定する必要がある。
而して、前記円弧状バンドの場合、図7に示す巾Wは、10mm≦W≦300mmとすることが好ましい。10mm未満では嵌着力が小さくなり過ぎ安定な嵌着を保証し難い、または円弧状バンド間の間隔を狭くしなければならず、嵌着箇数が多くなって作業性の低下が避けられず、300mmを越えると、嵌着に大きな力を必要とし嵌着作業が困難になる。
円弧状バンドの標準巾は100mmである。この場合、図7に示す円弧状バンドの内郭直径Dを、(流水用管の直径+保温材の厚み)≦D≦(流水用管の直径+保温材の厚み×2)とし、切欠き巾dを、(流水用管の直径)≦d≦(流水用管の直径+保温材の厚み)とすることが好ましい。円弧状バンドの内郭直径Dが(流水用管の直径+保温材の厚み×2)を越えると円弧状バンドの挾持側圧が零になって実質的に固持が不可となり、(流水用管の直径+保温材の厚み)未満では嵌着力が大きくなり過ぎてその嵌着作業が困難になる。切欠き巾dが(流水用管の直径+保温材の厚み)を越えると、だるま形保温体付き流水用管の挾持部材からの脱出に対するひっかかり代が小さくなり過ぎて固持強度が不足し、(流水用管の直径)未満では、円弧状バンド嵌着時の開き巾を大きくする必要がありその開き反力が過大となって嵌着作業が困難になる。
【0023】
上記通電式ヒーターには、自己制御型ヒーターや制御装置付きヒーター等を使用することが好ましい。自己制御型ヒーターにおいては、ヒーター線の途中にバイメタルサーモスタットを接続し、ヒーター温度が所定温度以下になるとサーモスタットのオンで通電発熱され、所定温度より高温側ではサーモスタットのアフで通電遮断され、これらのオン・オフでヒーター温度が所定温度を中心とする近傍温度に保持される。制御装置付きヒーターにおいては、ヒーター近傍に温度センサーを配置し、このセンサーを制御器に接続し、所定の温度から外れるとセンサー出力信号が発生し、この信号が制御器に送られセンサー出力を零とするように電源電流が制御されてヒーター温度が所定の温度に保持される。
ヒーターの形状は通常、帯状とされるが、単線の絶縁被覆発熱線を2本撚りした線状も使用できる。
【0024】
本発明に係る流水用管の凍結防止構造は、新設の配管、既設の配管の何れでも実施できる。
新設の場合、(1)流水用管を所定のルートに沿って配置し、(2)流水用管外周よりも長い巾の連続の保温材を既配置の流水用管に所定長さ縦添えするごとに円弧状バンドを嵌着すると共にその円弧状バンドを敷設地に固定し、(3)(2)の作業を配置流水用管の全長に沿い順次に行って流水用管の全長にだるま形保温体を設け、(4)而るのち、だるま形保護体のだるま形頭部内の空間に通電式ヒーターを挿通する手順で施工できる。あるいは、(1)流水用管を所定のルートに沿って配置し、(2)流水用管外周よりも長い巾の連続の保温材を既配置の流水用管の全長に縦添えすると共にその縦添え合わせ目を粘着テープの貼着で固定して配置流水用管の全長をほぼ円形の保温体で覆い、(3)更に所定の間隔で円弧状バンドを嵌着して保温体をだるま形に形成し、各円弧状バンドを敷設地に固定し、(4)而るのち、だるま形保護体のだるま形頭部内の空間に通電式ヒーターを挿通する手順で施工することもできる。
既設配管の場合は、凍結防止を必要とする部分、すなわち、外気に直接に接する部分を、前記した新設手順の(2)以降の手順により施工すればよい。
水道水の凍結は、夜間の水道停止時に発生し易い。而るに、本発明に係る流水用管の凍結防止構造によれば、ヒーターの通電発熱により流水用管内の水温が氷点下に低下するのを防ぐことができ、凍結を防止できる。
【0025】
本発明に係る流水用管の凍結防止構造においては、ヒーターの通電発熱によりだるま形保温体のだるま頭部内の空間の空気が加熱され、またヒーター発生熱の一部が保温材厚みを経て外部に放出され、それら以外の熱が流水用管内の水に伝達されて水温が上昇される。
本発明に係る流水用管の凍結防止構造によれば、だるま形保温体のだるま頭部内の空間をヒーターの円滑挿通に必要な最小限のスペースにでき、その空間容積を充分に小さくでき、従って、その空間内空気の加熱に費やされる熱量を最小限にとどめ得、優れた熱効率を保証できる。
【0026】
外気温度が低下しても流水用管内温度が凍結温度に達することのないようにヒーターを通電発熱させるのに関与する要因は多く実験や経験に負うところが大きいが、厚み10mmの保温材を使用する場合、流水用管の表面温度を外気温度より15℃以上高く保持できるヒーターを用いればよく、市販のヒーターとしては、山清電気社製自己制御型水道凍結防止ヒーターSKFヒーターがある。
【0027】
本発明に係る流水用管の凍結防止構造においては、だるま形保温体のだるま形を全長にわたって安定に保持でき、そのだるま頭部内空間へのヒーターの挿通を容易に行うことができる。ヒーターの引き抜き、再挿通も容易であり、ヒーターの交換も容易に行うことができる。
特に、片面に補強樹脂層を設けた保温材を使用する場合、補強樹脂層を流水用管表面側に向けてあるから、ヒーターとだるま頭部内面との摩擦係数を小さくでき、ヒーターの挿通、交換を一層容易に行うことができる。
【0028】
【実施例】
呼び径13Aの給水・給湯用架橋ポリエチレン管(積水化学工業社製 商品名エスロペックス)10mを敷板に図8に示すように配置し、その一端に連鋳ヘッダー(積水化学工業社製 商品名RHD20−1)をワンタッチ型継手(積水化学工業社製 商品名エスロカチット オスねじアダプター13A)により接続し、他端の立ち上げ先端にカランを接続した。ヘッダーはヘッダー固定金具(積水化学工業社製 商品名BRT)により固定した。保温材に厚み10mm、巾95mm、発泡倍率30倍の発泡架橋ポリエチレンシート(積水化学工業社製 商品名ソフトロン)10mを前記の配置流水用管に縦添えし、内郭直径27mm,切欠き巾22mm,ステンレス製のサドル付き円弧状バンド(積水化学工業社製 商品名ISC−30)を間隔1mごとの位置及び曲げ箇所に嵌着しサドルを敷板にビスで固定した。ヘッダーはヘッダー保温カバー(積水化学工業社製 商品名HDWF1)で保温した。
流水用管及びだるま形保温体とも安定な固持状態であり、だるま頭部内の空間に自己制御型ヒーター(山清電気社製 商品名SKFヒーター、発熱部長さ10m)を挿通した。このヒーターの挿通はスムーズに行い得た。挿入したヒーターを引き抜き、更に再挿入したが良好な作業性であった。
次に、上記配管を冷凍庫内に納め、配管内に水を満たし後に雰囲気温度を−20℃に設定し、ヒーターを通電した状態で12時間後の流水用管内凍結の有無を調べたが管内凍結は皆無であり、凍結防止効果を確認できた。
【0029】
【発明の効果】
本発明に係る流水用管の凍結防止施工法では、流水用管の配管時に保温材を縦添えし挾持部材を所定の間隔で嵌着して流水用管外面との間に空間を有する保護体を成形し、その保護体内の空間にヒーターを挿通しているから、サヤ管に保温材を巻き付け、そのサヤ管内に流水用管及びヒーターを挿通する従来工法に比べ、流水用管の敷設とサヤ管の敷設との手間が同じであるとしても、本発明では流水用管の挿通作業を必要とせず、サヤ管への保温材の巻き付けに比し保温材の縦添えと挾持部材の嵌着による保護体の成形作業の方が簡単であり、更にサヤ管より保温材の現場への搬送の方が容易であるから、全体として施工作業の簡易化を図ることができ、資材費も低廉にできる。更に、配管の一部を簡易に凍結防止できる有利性もある。
【0030】
本発明に係る流水用管の凍結防止構造では、保温体をだるま形にしてだるま頭部内の空間にヒーターを挿通しているから、ヒーター挿通空間を充分に小さくでき、その空間の空気の加熱に費やされる熱量を少なくでき加熱効率に優れている。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る流水用管の凍結防止構造を示す図面である。
【図2】本発明において使用される挾持部材の一例を示す図面である。
【図3】本発明における挾持部材によるだるま形保温体と流水用管との固持安定性を示すための図面である。
【図4】本発明におけるだるま形保温体の形状保持性を示すための図面である。
【図5】本発明において使用する保温材の一例を示す図面である。
【図6】本発明に係る流水用管の凍結防止構造を適用した配管の曲がり部を示す図面である。
【図7】本発明において使用する挾持部材の一例の各所寸法を示すための図面である。
【図8】本発明の実施例を示すための図面である。
【符号の説明】
1 流水用管
2 保温体
21 だるま頭部
22 だるま胴部
20 保温材
201 補強樹脂層
3 挾持部材
4 通電式ヒーター
【発明の属する技術分野】
本発明は流水用管の凍結防止施工法及び流水用管の凍結防止構造に関し、寒冷地住宅の給水・給湯用配管の凍結防止に有用なものである。
【0002】
【従来の技術】
給水・給湯用配管には架橋ポリエチレン管やポリブテン管等の可撓性の熱可塑性合成樹脂管が多用されているが、冬季に寒冷地方では、水道水が凍結し凍結時の体積膨張のために合成樹脂管が破裂するに至ることがある。
旧来、戸建て住宅の水道管の凍結防止には、水道管に保温材を巻き付ける方法が用いられていた。すなわち、保温材を巻き付けて流水用管内と外気との間の熱抵抗R及び熱容量Cを増加し、外気温度降下に基づく流水用管内水温降下の時定数RCを長くして流水用管内水温の降下を遅らせていた。
しかしながら、夜間外気温度が極めて低い厳寒地方では、流水用管内水温の降下を遅らせるだけでは対処し難く夜間の就寝中に流水用管内水が凍結する事例が多く生じており、この場合、水道水を抜くという便宜的な処置で対処しているが、水抜き操作を忘れて水道管の破壊に至る事例が多く報告されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、流水用管に通電式ヒーターを巻き付けて凍結防止を行うことが提案されている。
この凍結防止法では、ヒーター発生熱の外部への放出を抑えて流水用管側にその発生熱を効率良く伝達することが必要とされ、(1)敷設した流水用管に通電式ヒーター線を巻き付け、その外部に保温材を巻き付ける構成(例えば、特許文献1参照)、(2)敷設したサヤ管に保温材を巻き付け、この保温サヤ管内に流水用管と共に通電式ヒーター線を挿通する構成、(3)流水用管とヒーター挿通用管とを並列接触させそれらの外部に発泡樹脂保温層を押出被覆した複合管を敷設し、而るのちヒーター挿通用管内に通電式ヒーターを挿通する構造(例えば、特許文献2参照)等が公知である。
【0004】
【特許文献1】
特開平8−270023号公報
【特許文献2】
実用新案登録第3084455号公報
【0005】
しかしながら、(1)の構成では、ヒーター線を巻き付けにより取付け、保温層を保温材の巻き付けにより設けているので、施工に手間がかかり施工費が嵩むという不具合があるばかりか、ヒーター線の寿命による交換時には保温層を取り除いたうえでヒーター線を取替え、再度保温材を巻き付ける必要があり、特に床下の狭いスペース等では非常に困難な作業になる。
(2)の構成では、ヒーター線の交換は容易であるが、サヤ管の敷設、サカ管への保温材の巻き付け、サヤ管内への流水用管の挿通等の一連の作業に多大の手間を要し、施工費も極めて高い。
(3)の構成では、複合管を敷設した後ヒーターを挿通するだけであるから、施工は比較的容易であるが、複合管の外径が大きいためにその運搬が厄介であり、取扱いも困難となってその限りにおいて施工性の低下が避けられない。また、配管の一部のみの凍結防止が要求される場合、全長を複合管で施工すると凍結防止を必要としない部分を無駄に加熱することになって電力浪費を招来し、凍結防止を必要とない部分を通常の流水用管で施工すると、この流水用管と複合管との接続が必要となって施工が厄介になる。
【0006】
本発明の目的は、給水・給湯管等の流水用管の通電式ヒーターによる凍結防止を簡易でかつ低コストの施工で行い得、ヒーターの取替えも容易に行いえるようにすることにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
請求項1に係る流水用管の凍結防止施工法は、流水用管に該管の外周長さよりも広い巾の保温材を配管現場で縦添えして流水用管外面との間に空間を有する保温体付き配管を敷設し、而るのち、前記空間に帯状若しくは線状の凍結防止用ヒーターを挿通することを特徴とする。
【0008】
請求項2に係る流水用管の凍結防止施工法は、請求項1において保温材の巾を流水用管の外周長さより20mm〜50mm長くすることを特徴とする。
【0009】
請求項3に係る流水用管の凍結防止施工法は、請求項1または2において片面に樹脂補強層を有する保温材を樹脂補強層を流水用管外面側に向けて縦添えすることを特徴とする。
【0010】
請求項4に係る流水用管の凍結防止構造は、流水用管の外周長さよりも広い巾の保温材の縦添えにより流水用管外径よりも大なる内径の保温体で流水用管が包囲され、該保温体に所望の間隔で挾持部材が嵌着されて同保温体がだるま形に成形されると共に流水用管が固持され、保温体のだるま形頭部内の空間に帯状若しくは線状の凍結防止用ヒーターが挿通されていることを特徴とする。
【0011】
請求項5に係る流水用管の凍結防止構造は、請求項4において挾持部材が円弧状バンドであることを特徴とする。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照しつつ本発明の実施の形態について説明する。
図1の(イ)は本発明に係る流水用管の凍結防止構造の一例を示す図面、図1の(ロ)は図1の(イ)におけるロ−ロ断面図、図1の(ハ)は図1の(イ)におけるハ−ハ断面図である。
図1において、1は可撓性の熱可塑性合成樹脂管例えば架橋ポリエチレン管、ポリブテン管等からなる流水用管である。2は流水用管1を包囲する保温体であり、流水用管1の周囲長さより広い巾の帯状保温材20を流水用管1に縦添えし、更に、図2に示す上部切欠きの円弧状バンド等の挾持部材3の所望間隔ごとの嵌着でだるま形に成形してある。
図1において、4はだるま形保温体2のだるま形頭部21内の空間に挿通した通電式ヒーターである。
図1において、22はだるま形の胴部を示している。
【0013】
上記帯状保温材20には通常発泡樹脂シートが使用され、弾性を有する。前記円弧状バンドの嵌着でだるま形に変形される際、図3に示すようにだるま頭部21には曲げ反力mが作用し、だるま胴部22には曲げ反力Mと圧縮反力fとの重畳反力が作用し、後者の圧縮反力f及び後者の曲げ反力Mに基づき円弧状バンド内面に側圧pが発生し、だるま形保温体2及び内部の流水用管1の保持安定性がこの側圧pにより左右される。
【0014】
また、図4に示すように、互いに隣り合った円弧状バンド3,3の間の保護体部分2’には、バンド3による拘束がなく、だるま形保温体がだるま形から円形に戻ろうとする弾性反力が作用している。而るに、円弧状バンド間の保温体部分がだるま形から円形に戻ろうとする際には、円弧状バンド間の保温体部分が膨らんで曲げ変形しようとするから、この膨らみ曲げ変形を防止し得れば、円弧状バンド間の保温体部分でのだるま形から円形への戻りを防止できる。その防止には、保温材自体の曲げ剛性を大きくすること、図4における円弧状バンド3,3間の間隔Lを短くすることが有効である。
【0015】
本発明においては、保温体のだるま形を全長にわたり安定に保持させ得るように円弧状バンドの間隔L及び保温材の曲げ剛性を設定してあり、全長にわたり安定なだるま形とされた保温体で流水用管を包囲できる。
上記において、だるま形頭部内の容積はヒーターの挿通をスムーズに行い得る大きさとする必要があり、その容積は保温材の巾と流水用管外周長さとの差で定まり、後述するヒーターの断面寸法からして、通常、保温材の巾は流水用管外周長さより20mm〜50mm長くされる。
上記だるま形保温体のだるまは上側に位置させることが施工上やヒーターの挿通上好ましい。
【0016】
上記において、挾持部材は円弧状バンドだけに限定されるものではなく、保温材を縦添えして形成した保温体の円形をだるま形に良好に作業性で変形し得、かつ流水用管を安定に固持できるものであれば適宜のものを使用できる。また、嵌着時に過不足なく反力が作用して安定な嵌着を保証し得れば厚みや材質上の制限はないが、形状保持性が強いものほど好ましい。材質としては合成樹脂、例えば塩化ビニル樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレンや金属例えばステンレスを使用できる。
上記挾持部材には図2に示すように平板部31を溶接等により固着するか一体成形し(合成樹脂製で射出成形する場合)、この平板部31を図1に示すように敷設基礎面にビス等で固定することもできる。挾持部材とは別の通常の固定部材で流水用管及びだるま形保温体を挾持部材間において固定することもできる。
上記保温材の縦添え合わせ目の開口防止のために粘着テープを貼着することもできる。
【0017】
上記流水用管は、例えば給水や給湯に使用され、架橋ポリエチレンやポリブテンを主成分とする可撓性熱可塑性樹脂からなり、各材質における日本工業規格もしくは工業会規格等の規格、自己認証、第三者認証による給水装置性能基準に適合したものが使用される。
【0018】
上記保温材の材質には、通常発泡樹脂例えば発泡ポリエチレン、架橋発泡ポリエチレン、ウレタンフォーム等が使用される。厚みは5mm〜20mmとすることが好ましく、5mm未満ではヒーター発生熱が外気側に放出する割合が多くなって保温効果が低下するぼかりか無駄な熱量によるヒーター通電量の浪費による電気料アップが余儀なくされ、20mmを越えると施工時の曲げ抵抗が大きくなり過ぎて作業性の低下が避けられない。
【0019】
この保温材の厚み制限のもとで、だるま形保温体のだるま形から円形への膨らみ変形を防止してだるま形を安定に保持するには、保温材の曲げ剛性を前記の厚み制限のもとで可及的に大きくすることが有効である。従って、図5に示すように発泡樹脂シート20の片面に厚み0.5mm〜1.5mmの熱可塑性樹脂層201例えばポリエチレン層、ポリプロピレン層、ポリアミド層等を融着した保温材を用いることが好ましく、0.5mm未満ではだるま形保温体の形状保持効果を満足に奏させ得ず、1.5mmを越えると保温材の曲げ剛性が高くなり過ぎて施工性の低下を免れ得ない。
【0020】
保温材の曲げ剛性を前記の厚み制限のもとで可及的に大きくすること以外に、前記図4により説明した通り、挾持部材3,3間の間隔Lを狭くすることも有効であり、その間隔は0.5m〜1.5mとすることが好ましい。1.5mを越えると意図した効果を満足に得ることが難しく、0.5m未満では必要以上に短くすることになって挾持部材の使用箇数がいたずらに増え施工工数の増加が避けられない。
【0021】
図6の(イ)に示すように配管曲がり部に対しては曲がり部センターラインc−cにおいて狭巾の挾持部材3aを嵌着し、その両側を通常巾の挾持部材3Aを嵌着するか、あるいは図6の(ロ)に示すように曲り挾持部材3bを曲がり部に嵌着することができる。
【0022】
上記挾持部材によるだるま形保温体の形状保持や同保温体の固持及び流水用管の固持の安定性に対しては、挾持部材を可及的にきつく嵌着することが有利であるが、この有利性に相反して嵌着作業性が悪くなる。従って、挾持部材の嵌着度を決する各部位の寸法は、これら両面から決定する必要がある。
而して、前記円弧状バンドの場合、図7に示す巾Wは、10mm≦W≦300mmとすることが好ましい。10mm未満では嵌着力が小さくなり過ぎ安定な嵌着を保証し難い、または円弧状バンド間の間隔を狭くしなければならず、嵌着箇数が多くなって作業性の低下が避けられず、300mmを越えると、嵌着に大きな力を必要とし嵌着作業が困難になる。
円弧状バンドの標準巾は100mmである。この場合、図7に示す円弧状バンドの内郭直径Dを、(流水用管の直径+保温材の厚み)≦D≦(流水用管の直径+保温材の厚み×2)とし、切欠き巾dを、(流水用管の直径)≦d≦(流水用管の直径+保温材の厚み)とすることが好ましい。円弧状バンドの内郭直径Dが(流水用管の直径+保温材の厚み×2)を越えると円弧状バンドの挾持側圧が零になって実質的に固持が不可となり、(流水用管の直径+保温材の厚み)未満では嵌着力が大きくなり過ぎてその嵌着作業が困難になる。切欠き巾dが(流水用管の直径+保温材の厚み)を越えると、だるま形保温体付き流水用管の挾持部材からの脱出に対するひっかかり代が小さくなり過ぎて固持強度が不足し、(流水用管の直径)未満では、円弧状バンド嵌着時の開き巾を大きくする必要がありその開き反力が過大となって嵌着作業が困難になる。
【0023】
上記通電式ヒーターには、自己制御型ヒーターや制御装置付きヒーター等を使用することが好ましい。自己制御型ヒーターにおいては、ヒーター線の途中にバイメタルサーモスタットを接続し、ヒーター温度が所定温度以下になるとサーモスタットのオンで通電発熱され、所定温度より高温側ではサーモスタットのアフで通電遮断され、これらのオン・オフでヒーター温度が所定温度を中心とする近傍温度に保持される。制御装置付きヒーターにおいては、ヒーター近傍に温度センサーを配置し、このセンサーを制御器に接続し、所定の温度から外れるとセンサー出力信号が発生し、この信号が制御器に送られセンサー出力を零とするように電源電流が制御されてヒーター温度が所定の温度に保持される。
ヒーターの形状は通常、帯状とされるが、単線の絶縁被覆発熱線を2本撚りした線状も使用できる。
【0024】
本発明に係る流水用管の凍結防止構造は、新設の配管、既設の配管の何れでも実施できる。
新設の場合、(1)流水用管を所定のルートに沿って配置し、(2)流水用管外周よりも長い巾の連続の保温材を既配置の流水用管に所定長さ縦添えするごとに円弧状バンドを嵌着すると共にその円弧状バンドを敷設地に固定し、(3)(2)の作業を配置流水用管の全長に沿い順次に行って流水用管の全長にだるま形保温体を設け、(4)而るのち、だるま形保護体のだるま形頭部内の空間に通電式ヒーターを挿通する手順で施工できる。あるいは、(1)流水用管を所定のルートに沿って配置し、(2)流水用管外周よりも長い巾の連続の保温材を既配置の流水用管の全長に縦添えすると共にその縦添え合わせ目を粘着テープの貼着で固定して配置流水用管の全長をほぼ円形の保温体で覆い、(3)更に所定の間隔で円弧状バンドを嵌着して保温体をだるま形に形成し、各円弧状バンドを敷設地に固定し、(4)而るのち、だるま形保護体のだるま形頭部内の空間に通電式ヒーターを挿通する手順で施工することもできる。
既設配管の場合は、凍結防止を必要とする部分、すなわち、外気に直接に接する部分を、前記した新設手順の(2)以降の手順により施工すればよい。
水道水の凍結は、夜間の水道停止時に発生し易い。而るに、本発明に係る流水用管の凍結防止構造によれば、ヒーターの通電発熱により流水用管内の水温が氷点下に低下するのを防ぐことができ、凍結を防止できる。
【0025】
本発明に係る流水用管の凍結防止構造においては、ヒーターの通電発熱によりだるま形保温体のだるま頭部内の空間の空気が加熱され、またヒーター発生熱の一部が保温材厚みを経て外部に放出され、それら以外の熱が流水用管内の水に伝達されて水温が上昇される。
本発明に係る流水用管の凍結防止構造によれば、だるま形保温体のだるま頭部内の空間をヒーターの円滑挿通に必要な最小限のスペースにでき、その空間容積を充分に小さくでき、従って、その空間内空気の加熱に費やされる熱量を最小限にとどめ得、優れた熱効率を保証できる。
【0026】
外気温度が低下しても流水用管内温度が凍結温度に達することのないようにヒーターを通電発熱させるのに関与する要因は多く実験や経験に負うところが大きいが、厚み10mmの保温材を使用する場合、流水用管の表面温度を外気温度より15℃以上高く保持できるヒーターを用いればよく、市販のヒーターとしては、山清電気社製自己制御型水道凍結防止ヒーターSKFヒーターがある。
【0027】
本発明に係る流水用管の凍結防止構造においては、だるま形保温体のだるま形を全長にわたって安定に保持でき、そのだるま頭部内空間へのヒーターの挿通を容易に行うことができる。ヒーターの引き抜き、再挿通も容易であり、ヒーターの交換も容易に行うことができる。
特に、片面に補強樹脂層を設けた保温材を使用する場合、補強樹脂層を流水用管表面側に向けてあるから、ヒーターとだるま頭部内面との摩擦係数を小さくでき、ヒーターの挿通、交換を一層容易に行うことができる。
【0028】
【実施例】
呼び径13Aの給水・給湯用架橋ポリエチレン管(積水化学工業社製 商品名エスロペックス)10mを敷板に図8に示すように配置し、その一端に連鋳ヘッダー(積水化学工業社製 商品名RHD20−1)をワンタッチ型継手(積水化学工業社製 商品名エスロカチット オスねじアダプター13A)により接続し、他端の立ち上げ先端にカランを接続した。ヘッダーはヘッダー固定金具(積水化学工業社製 商品名BRT)により固定した。保温材に厚み10mm、巾95mm、発泡倍率30倍の発泡架橋ポリエチレンシート(積水化学工業社製 商品名ソフトロン)10mを前記の配置流水用管に縦添えし、内郭直径27mm,切欠き巾22mm,ステンレス製のサドル付き円弧状バンド(積水化学工業社製 商品名ISC−30)を間隔1mごとの位置及び曲げ箇所に嵌着しサドルを敷板にビスで固定した。ヘッダーはヘッダー保温カバー(積水化学工業社製 商品名HDWF1)で保温した。
流水用管及びだるま形保温体とも安定な固持状態であり、だるま頭部内の空間に自己制御型ヒーター(山清電気社製 商品名SKFヒーター、発熱部長さ10m)を挿通した。このヒーターの挿通はスムーズに行い得た。挿入したヒーターを引き抜き、更に再挿入したが良好な作業性であった。
次に、上記配管を冷凍庫内に納め、配管内に水を満たし後に雰囲気温度を−20℃に設定し、ヒーターを通電した状態で12時間後の流水用管内凍結の有無を調べたが管内凍結は皆無であり、凍結防止効果を確認できた。
【0029】
【発明の効果】
本発明に係る流水用管の凍結防止施工法では、流水用管の配管時に保温材を縦添えし挾持部材を所定の間隔で嵌着して流水用管外面との間に空間を有する保護体を成形し、その保護体内の空間にヒーターを挿通しているから、サヤ管に保温材を巻き付け、そのサヤ管内に流水用管及びヒーターを挿通する従来工法に比べ、流水用管の敷設とサヤ管の敷設との手間が同じであるとしても、本発明では流水用管の挿通作業を必要とせず、サヤ管への保温材の巻き付けに比し保温材の縦添えと挾持部材の嵌着による保護体の成形作業の方が簡単であり、更にサヤ管より保温材の現場への搬送の方が容易であるから、全体として施工作業の簡易化を図ることができ、資材費も低廉にできる。更に、配管の一部を簡易に凍結防止できる有利性もある。
【0030】
本発明に係る流水用管の凍結防止構造では、保温体をだるま形にしてだるま頭部内の空間にヒーターを挿通しているから、ヒーター挿通空間を充分に小さくでき、その空間の空気の加熱に費やされる熱量を少なくでき加熱効率に優れている。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る流水用管の凍結防止構造を示す図面である。
【図2】本発明において使用される挾持部材の一例を示す図面である。
【図3】本発明における挾持部材によるだるま形保温体と流水用管との固持安定性を示すための図面である。
【図4】本発明におけるだるま形保温体の形状保持性を示すための図面である。
【図5】本発明において使用する保温材の一例を示す図面である。
【図6】本発明に係る流水用管の凍結防止構造を適用した配管の曲がり部を示す図面である。
【図7】本発明において使用する挾持部材の一例の各所寸法を示すための図面である。
【図8】本発明の実施例を示すための図面である。
【符号の説明】
1 流水用管
2 保温体
21 だるま頭部
22 だるま胴部
20 保温材
201 補強樹脂層
3 挾持部材
4 通電式ヒーター
Claims (5)
- 流水用管に該管の外周長さよりも広い巾の保温材を配管現場で縦添えして流水用管外面との間に空間を有する保温体付き配管を敷設し、而るのち、前記空間に帯状若しくは線状の凍結防止用ヒーターを挿通することを特徴とする流水用管の凍結防止施工法。
- 保温材の巾を流水用管の外周長さより20mm〜50mm長くすることを特徴とする請求項1記載の流水用管の凍結防止施工法。
- 片面に樹脂補強層を有する保温材を樹脂補強層を流水用管外面側に向けて縦添えすることを特徴とする請求項1または2記載の流水用管の凍結防止施工法。
- 流水用管の外周長さよりも広い巾の保温材の縦添えにより流水用管外径よりも大なる内径の保温体で流水用管が包囲され、該保温体に所望の間隔で挾持部材が嵌着されて同保温体がだるま形に成形されると共に流水用管が固持され、保温体のだるま形頭部内の空間に帯状若しくは線状の凍結防止用ヒーターが挿通されていることを特徴とする流水用管の凍結防止構造。
- 挾持部材が円弧状バンドであることを特徴とする請求項4記載の流水用管の凍結防止構造。
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-
2003
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CN108842860B (zh) * | 2018-07-16 | 2023-06-02 | 山西省交通规划勘察设计院有限公司 | 太阳能辅助供电管网防冻系统及其三腔异形管 |
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