JP2004256361A - 焼成用冶具及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】フェルール製作に適した、真直度の良い棒状ジルコニア焼結体を焼成するための焼成用冶具を得る。
【解決手段】低純度アルミナ層の上面及び下面に高純度アルミナ層を積層し、高純度アルミナ層に被焼成物を載置するための複数の溝を設け、溝長さに対する溝長手方向の真直度の比を6×10−4以下とする。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明が属する技術分野】
本発明は、真直度の良い棒状セラミック焼結体を得るために必要な焼成用冶具の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、通信における情報量の増大に伴い、光ファイバを用いた光通信が使用されている。この光通信において、光ファイバ同士の接続、あるいは光ファイバと各種光素子との接続には光コネクタが用いられている。
【0003】
例えば、光ファイバ同士を接続するコネクタの場合、フェルールに形成された貫通孔に光ファイバの端部を保持し、一対のフェルールをスリーブの両端から挿入して、内部で凸球面状に加工した端面同士を当接させるようにした構造となっている。
【0004】
上記フェルールやスリーブの材質としてはセラミック、金属、プラスチック、ガラス等、さまざまなものが試作されてきたが、現在は大半がセラミック製となっている。その理由は、セラミックは加工精度が高いため、内径、外径の公差を1μm以下と高精度にすることができ、またセラミックは摩擦係数が低いため光ファイバの挿入性に優れ、剛性が高く熱膨張係数が低いことから外部応力や温度変化に対して安定であり、耐食性にも優れているためである。
【0005】
さらに、セラミックとしては、近年、アルミナからジルコニアに大半が置き代わりつつある。このジルコニア焼結体は、ヤング率がアルミナの約半分と低いため、2個のフェルールの先端面同士を当接する際に、小さな応力で密着性を高めることができ、また強度、靱性が高いことから信頼性を向上することができる(特許文献1参照)。
【0006】
このように光コネクタ用フェルールには、ジルコニア焼結体が用いられるが、これは例えば、押出成型法で棒状のジルコニア成形体を製作し、これを乾燥してジルコニア乾燥体とし、さらにこれを焼成することによって製作される。この焼成工程において、被焼成物となるジルコニア乾燥体は、焼成用冶具としてセラミック平板に複数の溝を設けた焼成用冶具上に載置されて焼成される。
【0007】
焼成用治具の材料としては、従来より耐火レンガと呼ばれる低純度アルミナが用いられてきた。これは、この材料が炉壁材としても用いられる程耐熱性が高く、その結果耐久性に優れているためである。
【0008】
図7に示されるように、この低純度アルミナを用いた焼成用冶具20は、溝1aを形成可能なプレス金型に低純度アルミナの原料粉末を充填し、プレス成形し、これを焼成して製作されていた。
【0009】
被焼成物の成分が焼成用治具20に吸収されて被焼成物の特性を低下させることを防ぐ目的で、アルミナ基材表面に気孔率が12重量%以上の中間層と、さらにその表面に気孔率が7重量%以下の緻密層を溶射で形成したものが提案されている。(特許文献2参照)
[特許文献1]
特公平8−30775号公報
[特許文献2]
特開平11−263671号公報
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
ところが一般にプレス成形品を焼成すると、プレス密度の不均一性や焼成温度の不均一性により変形してしまう。従って、プレス金型を高精度に製作しても、結果的に焼成された焼成用治具は、溝長手方向1bにそりが発生してしまう。 従来、焼成用治具材料として用いられてきた低純度アルミナは、耐久性が高いというメリットがあるものの、製作時の焼成変形については同様で、その溝長手方向1bにはそりが生じていた。また、低純度アルミナでは不純物であるシリカの影響で、全体的な形状であるそりの大きさには影響を与えないものの、局所的な凹凸も見られた。
【0011】
このため、従来の焼成用冶具20にジルコニア乾燥体を載置して焼成すると、出来上がった棒状ジルコニア焼結体は焼成用治具20のそりや局所的な凹凸を倣い、真直度の悪いものとなっていた。その結果、その後の加工工程において真直度を修正しなければならなかった。このため加工代を多く取らなければならないという加工時間の問題や、最終的な加工精度に悪影響を及ぼすという問題があった。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記課題に鑑み、本発明は、低純度アルミナ層と、その少なくとも1方の面に積層した高純度アルミナ層からなり、上記高純度アルミナ層に複数の溝を設けたことを特徴とする。
【0013】
さらに、上記溝の長さに対する長手方向のそりの比が6×10−4以下であることを特徴とする。
【0014】
またさらに、上記低純度アルミナ層のアルミナ純度が80〜92重量%であり、高純度アルミナ層のアルミナ純度が97重量%以上であることを特徴とする。
【0015】
さらに、上記低純度アルミナ層をなす原料粉末層の少なくとも上下の層の一方に上記高純度アルミナ層をなす原料粉末層を金型内で積層してプレス成形し、その後焼成することを特徴とする。
【0016】
またさらに、外周が上記溝の形状に合致したダイヤモンド工具を用い、該ダイヤモンド工具を回転させながら、焼成後の高純度アルミナ層に押し当てて上記溝を形成することを特徴とする。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図を用いて説明する。
【0018】
図1に本発明による焼成用冶具10を示す。
【0019】
本発明の焼成用冶具10は、低純度アルミナ層1の上下に、高純度アルミナ層2が積層され、両方の高純度アルミナ層2の長手方向2bに複数の溝2aが形成されている。
【0020】
一般的に、棒状のセラミックの乾燥体は焼成用冶具10の溝2aに乗せて焼成される。この場合、焼成された棒状セラミック焼結体は焼成用冶具10の形状を倣う。即ち、長手方向2bのそりが大きい、また溝2aに局所的な凹凸のある焼成用冶具10を用いると、棒状セラミック焼結体は真直度が悪くなる。逆に長手方向2bのそりの少ない、また溝2aに局所的な凹凸の無い焼成用冶具10を用いると、棒状ジルコニア焼結体の真直度は良くなる。
【0021】
ここで、焼成用冶具10の長手方向2bのそりの定義と測定方法について述べる。先ず、触針を溝2aに当てて長手方向2bに移動させる。その時の触針の振れを記録し、最大値と最小値の差をそりとする。この時、最大値と最小値の間で局所的な凹凸による触針の振れが有っても、そりの値には影響を与えない。即ち、そりと局所的な凹凸は独立なものである。
【0022】
因みに棒状ジルコニア焼結体の真直度は、被測定物に沿って移動可能な触針を持つ、一般的な真直度測定機で測定できる。
【0023】
光通信用機器において多用されるSCコネクタ用フェルールは、外径2.5mm、長さ10.5mmであり、加工前のジルコニア焼結体の長さは15mmである。
【0024】
この状態でそり量15μm以下であることが望ましいとされている。即ち、ジルコニア焼結体の長さに対するそりの比は1×10−3以下である必要がある。
これは、真直度が悪いと、これを修正するために加工代を多く取らなければならないという加工時間の問題や、最終的な加工精度に悪影響を及ぼすという問題が生じるからである。
【0025】
上述のように、ジルコニア焼結体の真直度は焼成用冶具10の長手方向2bのそり、及び溝2aの局所的な凹凸に依存する。
【0026】
先ず、溝2aの局所的な凹凸は溝表面でのセラミック粒子の状態に大きく依存する。即ち、低純度アルミナの場合は原料粉末に不純物であるシリカが多く含まれ、これが焼成用治具10の焼成工程で大きく粒成長する。このような大きなシリカ粒子は表面の凸を形成し、また、これが脱粒して凹となる。従って、溝2aの局所的な凹凸はシリカの量、即ちアルミナ純度に大きく依存する。
【0027】
低純度アルミナは、上述のようにそのシリカによって、溝2aに局所的な凹凸を発生させてしまうという欠点もあるが、従来より炉壁材としても用いられてきたように、耐熱温度が高く、耐久性に優れている。これに対して高純度アルミナは低純度アルミナ程の耐熱性、耐久性は無いものの、不純物であるシリカが少ないため、溝2aの局所的な凹凸が少ないという点で優れている。
【0028】
本発明の焼成用治具10では、低純度アルミナ層1と高純度アルミナ層2を積層することによって、即ち、低純度アルミナ層1を構造材として用い、高純度アルミナ層2を溝用材として用いることによって、低純度アルミナに劣らない耐久性と高純度アルミナと同等の溝2aの平滑性が得られる。言い換えれば、耐久性を損なわずに、溝2aの局所的な凹凸を取り除くことが出来るのである。
【0029】
また、焼結体における低純度アルミナ層のアルミナ含有量は80重量%から92重量%が望ましい。80重量%より低い場合、または92重量%より高い場合は、耐久性に問題が生じるからである。また、焼結体における高純度アルミナ層2のアルミナ含有量は、97重量%以上が望ましい。97重量%より低いと表面の平滑性に問題が生じるからである。
【0030】
尚、アルミナ以外の成分としては、上述したようなシリカや、鉄などの遷移金属、または炭素、窒素もシリコンとの化合物として含まれるが、大部分は酸素とシリコンの化合物であるシリカが占める。
【0031】
次に、焼成用冶具10の長手方向2bのそりについて述べる。高純度アルミナ層2に溝2aを形成して溝2aの局所的な凹凸を取り除いても、ジルコニア乾燥体の密度の不均一性や、焼成炉内の温度不均一性によって、ジルコニア焼結体の真直度は焼成用治具10のそり以上に悪くなる。
【0032】
従って、ジルコニア焼結体の長さに対するそりの比(真直度)を1×10−3以下にするためには、焼成用冶具10の溝2aの長さLに対する長手方向2bのそりの比は1×10−3よりかなり小さくしなくてはならない。
【0033】
種々の実験の結果、焼成用冶具10の溝2aの長さLに対する長手方向2bのそりの比を6×10−4以下とすれば良いことを見出した。即ち、図6に示すようにその溝2aの長さLに対する長手方向2bのそりの比が6×10−4を超えるとジルコニア焼結体の長さに対するそりの比(真直度)は1×10−3を超えてしまうのである。
尚、焼成用冶具10におけるこの比のさらに好ましい範囲は、4.9×10−4以下である。
【0034】
このように、低純度アルミナ層1に高純度アルミナ層2を積層し、高純度アルミナ層2に溝2aを形成し、溝2aの長さLに対する長手方向2bのそりの比を6×10−4にすると、その上に載置されて焼成された棒状ジルコニア焼結体は、長さに対するそりの比(真直度)が1×10−3以下となり、その後のフェルール製作工程で加工時間や加工精度に悪影響を及ぼすことがなくなる。
【0035】
尚、低純度アルミナ層1の厚さtは、薄ければ薄いほど焼成炉内に多数段積むことが出来るので生産性は向上するが、焼成耐久性が低下するので、焼成用治具10の長手方向2bの長さLに対して20%以上の厚さtとするのが望ましい。
【0036】
また、当然、高純度アルミナ層2の厚さtも溝深さdより厚いことが望ましい。
【0037】
ここで、本発明の焼成用冶具10の両面に溝2aがあれば、両面を交互に使用することで耐久性を向上できるが、片面だけに溝2aがある場合でも本発明の効果を損なうことはない。
【0038】
次に、本発明の焼成用治具10の製造方法について述べる。
【0039】
先ず、上述ような積層構造は、図2に示すように、バインダーを含んだ低純度アルミナの原料粉末層3の上面、または上面及び下面にバインダーを含んだ高純度アルミナの原料粉末層4をプレス金型5の下型5a上に積層して上型5bでプレス成形し、焼成することによって得られる。
【0040】
あるいは、それぞれ独立にプレス成形されたものをセラミック系接着剤で接着して焼成しても得られる。
【0041】
尚、積層の仕方としては、低純度アルミナ層1の上面に高純度アルミナ層2を積層しても良いが、焼成収縮のバランス、あるいは一般的に焼成用治具は、より耐久性を向上させるために、棒状ジルコニア乾燥体を焼成する度に上下面を反転させて使用することを考慮すると、低純度アルミナ層1の上面、及び下面に高純度アルミナ層2を積層し、それぞれに溝2aを形成して棒状ジルコニア乾燥体をどちらの面にも載置できる様にしておくことが望ましい。
【0042】
尚、溝2aを機械加工する場合、低純度アルミナ層1に溝2aを直接形成する場合、粒成長したシリカが脱粒する等の理由で、良好な表面粗さを得ることは出来ないが、高純度アルミナ層2に溝を形成することで良好な表面粗さとできる。
【0043】
図3に示すように、平面研削盤とダイヤ工具6で、上記高純度アルミナ層2上に複数の溝2aを加工する。ダイヤ工具6はコラム8に駆動系を介して取り付けられており、コラム8に沿ってZ方向に移動する。高純度アルミナ層2はベッド7上に固定され、ベッド7と共にX方向、及びY方向に移動する。ダイヤ工具6を高速で回転させながら高純度アルミナ層2に押し当て、そのままベッド7をY方向に往復運動をさせると、高純度アルミナ層2の長手方向2bに溝2aが形成される。
【0044】
ベッド7をY方向に往復運動させている間は、ダイヤ工具6の押し付け量を一定に保たなければならない。押し付け量が変動すると、それに伴って溝2aの深さが変動し、結果として長手方向2bの真直度が悪くなるからである。さらにベッド7をX方向に移動させて以上の動作を繰り返すことにより、高純度アルミナ層2上に複数の溝2aが形成される。この時ダイヤ工具6の先端形状を変えることによって、任意の溝形状が得られる。
【0045】
尚、ダイヤ工具6の粒度については、小さければ小さいほど面が平滑になるが、逆に加工時間は長くなることから、#100〜#400が好ましい。
【0046】
ダイヤ工具6の先端形状、及び溝2aの形状として有効なものを図4に示す。図4(a)はV字状の溝2a、図4(b)は側面がV字状で底部が平坦な溝2a、図4(c)は側面がV字状で底部がR形状となった溝2aである。その他いろいろな形状があり得るが、溝2aの側面が棒状ジルコニア乾燥体を常に挟持できることが必要である。即ち、棒状ジルコニア乾燥体は焼成中、収縮により外径が小さくなるので、焼成用冶具10の上面から溝2aの底部にかけて、溝幅wが小さくなっていく形状が好ましい。
【0047】
また、溝2aの角度αは、大きすぎると溝2aの側面の挟持性が弱まり、小さすぎると必要な溝幅wを得るために溝2aが深くなりすぎて焼成用冶具10の強度、あるいは焼成耐久性に悪影響を与えることから、45°から100°が好ましい。 溝2aの溝幅wは高純度アルミナ層2の表面において、棒状ジルコニア乾燥体の直径の0.8〜1.1倍が好ましい。これは、溝2aの溝幅wは、広ければ広いほど棒状ジルコニア乾燥体を容易に、且つ安定に載置することが出来るが、その分加工に多大な工数を要するという事情による。
【0048】
上記の加工方法でV字状の溝2aを形成することにより、本発明の焼成用冶具10に充分な値が得られる。
【0049】
また、この加工は1枚のダイヤ工具6で1度に1本の溝2aを加工し、これを繰り返すことによって最終的に所望の本数を加工することもできるし、多数のダイヤ工具6を連結し、1度に多数本の溝2aを加工することによって加工回数(工数)を低減することもできる。
【0050】
加工工数低減の観点に立てば、プレス成形で従来の焼成用冶具10のように予め溝2aを設け、焼成後その上に機械加工を施すことも有効である。このようにすれば、加工量が低減できるので、結果として加工工数が低減できる。
【0051】
次に焼成用冶具10の他の実施形態の形状について図5を用いて説明する。図5(a)は焼成用冶具10の長手方向2bに平行に溝2aを形成したもの、図5(b)は焼成用冶具10の上面と下面で溝2aが互いに直行しているもの、図5(c)は長手方向に平行な溝2aとこれに直行する溝2aが同一面に並存するもの、図5(d)は長手方向に異なる角度を持った2種類の溝2aが同一面に並存するものである。本発明はこれらに限らず、これらの組み合わせでも同一の効果を持たせることが出来る。
【0052】
ここで、図1(a)のように、高純度アルミナ層2の両面に溝2aを加工する場合、各面で溝2aを半ピッチずつずらして加工すると、実質的に平板の厚みを多く確保することになり、焼成耐久性の点で有利となる。
【0053】
尚、本発明による焼成用冶具10は、光通信用セラミック部品にて説明してきたが、これに限ることなく、そりの少ない焼結体が要求されるセラミック部品全般に広く使用することが出来る。
【0054】
【実施例】
以下本発明の実施例を説明する。
【0055】
先ず、図2に示すように、プレス金型5の下型5aにバインダーを含んだ低純度アルミナの原料粉末層3の上面、及び下面にバインダーを含んだ高純度アルミナの原料粉末層4を積層して、上型5bでプレス成形後、焼成することによって、アルミナ積層体30を製作した。それぞれのアルミナ含有量は、低純度アルミナ層1がアルミナ86重量%、シリカ13重量%、高純度アルミナ層2がアルミナ99.6重量%である。
【0056】
次に図3に示すように、このアルミナ積層体30を平面研削盤のベッド7上に固定し、先端がV角が60°であるダイヤ工具6を、高速で回転させながらアルミナ積層体30に押し付け、y方向に移動させた。
【0057】
ダイヤ工具6をz方向に20μmずつ押し付け、これをx方向に溝ピッチpで繰り返し、最終的にアルミナ積層体の表面に溝幅w3.2mm、溝深さd2.8mmの溝2aを形成した。溝ピッチpを4mmとし、1枚の高純度アルミナ層2に26本の溝2aを形成して、図1に示す焼成用冶具10を製作した。ダイヤ工具6の粒度は#200であった。
【0058】
また、アルミナ積層体30を長手方向2bに移動している間、ダイヤ工具6の押し付け量を一定にするとそりの無い溝2aが形成される。また、例えば溝2aの両端に対して中央部でダイヤ工具6の押し付け量を多くすると、両端から中央に向かってくぼんだ形状の溝2a、即ち長手方向2bにそった形状の溝2aが形成される。このようにして、溝2aの長さLに対する長手方向2bのそりの比の異なる焼成用冶具をそれぞれ製作した。
【0059】
次に、溝2aの長さLに対する長手方向2bのそりの比の異なるそれぞれの焼成用冶具に棒状ジルコニア乾燥体を載置して焼成した。この焼成を繰り返し、得られた棒状ジルコニア焼結体を15mmにカットしてその真直度を測定し、棒状ジルコニア焼結体の長さに対するそりの比(進捗度)を求めた。
【0060】
各溝2aの長さLに対する長手方向2bのそりの比を有するそれぞれの焼成用冶具から得られた棒状ジルコニア焼結体の内、棒状ジルコニア焼結体の長さに対するそりの比(真直度)が1×10−3を越えるものの割合を、その溝2aの長さLに対する長手方向2bのそりの比における不良率と定義し、溝2aの長さLに対する長手方向2bのそりの比とこの不良率の関係を調べた。
【0061】
この結果を図6に示す。
【0062】
これより、溝2aの長さLに対する長手方向2bのそりの比が6×10−4以下の場合、不良率がほぼ0になることがわかる。
【0063】
尚、比較例として、低純度アルミナのみで焼成用治具を製作した場合、上記比が小さい場合でも局所的な凹凸のために不良が発生した。
【0064】
また、高純度アルミナのみで焼成用治具を作製した場合、上述のように焼成を繰り返すとそりが発生し、やはり不良が発生した。
【0065】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、低純度アルミナ層の上面及び下面に高純度アルミナ層を積層し、高純度アルミナ層に被焼成物を載置するための複数の溝を設け、溝長さに対する溝長手方向の真直度そりの比を6×10−4以下とすることによって、フェルール製作に適した、真直度の良いジルコニア焼結体が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の焼成用冶具を示す斜視図である。
【図2】本発明の積層構造の製作方法を示すプレス金型の断面図である。
【図3】本発明による溝の加工方法を示す溝の切削加工機の斜視図である。
【図4】(a)(b)(c)はダイヤ工具の先端形状と焼成用冶具の溝の形状を示す正面図である。
【図5】(a)〜(d)は本発明の焼成用冶具の溝形状の各実施形態を示す斜視図である。
【図6】焼成用冶具の溝の長さに対する長手方向のそりの比と被焼成物の不良率の関係を示すグラフである。
【図7】従来の焼成用治具を示す斜視図である。
【符号の説明】
1 :低純度アルミナ層
1a:溝
1b:長手方向
2 :高純度アルミナ層
2a:溝
2b:長手方向
3 :原料粉末層
4 :原料粉末層
5 :プレス金型
5a:下型
5b:上型
6 :ダイヤ工具
7 :ベッド
8 :コラム
10:焼成用治具
20:焼成用治具
30:アルミナ積装体
d :溝深さ
w :溝幅
p :溝ピッチ
L :長さ
t :厚さ
α :角度

Claims (5)

  1. 低純度アルミナ層と、その少なくとも1方の面に積層した高純度アルミナ層からなり、上記高純度アルミナ層に複数の溝を設けたことを特徴とする焼成用冶具。
  2. 上記溝の長さに対する長手方向のそりの比が6×10−4以下であることを特徴とする請求項1に記載の焼成用冶具。
  3. 上記低純度アルミナ層のアルミナ純度が80〜92重量%であり、高純度アルミナ層のアルミナ純度が97重量%以上であることを特徴とする請求項1または2に記載の焼成用治具。
  4. 上記低純度アルミナ層をなす原料粉末層の少なくとも上下の層の一方に上記高純度アルミナ層をなす原料粉末層を金型内で積層してプレス成形し、その後焼成することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の焼成用治具の製造方法。
  5. 外周が上記溝の形状に合致したダイヤモンド工具を用い、該ダイヤモンド工具を回転させながら、焼成後の高純度アルミナ層に押し当てて上記溝を形成することを特徴とする請求項4に記載の焼成用冶具の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008034583A (ja) * 2006-07-28 2008-02-14 Kyocera Corp 太陽電池素子の製造方法

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