JP2004255641A - 平版印刷版用支持体および平版印刷版原版 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】アルミニウム板に電気化学的粗面化処理を含む粗面化処理を施して得られる平版印刷版用支持体であって、前記アルミニウム板が、Feを0.20〜0.29質量%、Siを0.03〜0.15質量%、Cuを0.020〜0.040質量%、Tiを0.050質量%以下含有し、残部がAlと不可避不純物からなるアルミニウム板であり、原子間力顕微鏡を用いて、表面の5μm□および/または50μm□を512×512点測定して求められる3次元データより得られる表面積比および急峻度が、それぞれ特定の条件を満足する平版印刷版用支持体。
【選択図】なし
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、平版印刷版用支持体および平版印刷版原版に関し、詳しくは、極めて均一で微細なピットを支持体表面に有する、平版印刷版としたときの印刷性能(例えば、耐刷性、耐汚れ性、感度および耐クリーナ耐刷性等)および取り扱い性(耐キズ性、疲労破断強度等)に優れる平版印刷版原版およびそれに用いられる平版印刷版用支持体に関する。
特に、平版印刷版用支持体の表面にSi原子を付着させることで、上記特性に加え、露光後、実質的にアルカリ金属ケイ酸塩を含有しない現像液で現像することができる平版印刷版原版およびそれに用いられる平版印刷版用支持体、ならびに、レーザ光源を使用した製版においても、ポツ残膜と呼ぶ、点状の露光不良部が発生しにくい平版印刷版原版およびそれに用いられる平版印刷版用支持体に関する。
【0002】
【従来の技術】
アルミニウム板を支持体とする感光性平版印刷版原版はオフセット印刷に幅広く使用されている。
このような感光性平版印刷版原版を用いる平版印刷法は水と油が本質的に混じり合わないことを利用した印刷方式であり、これに使用される平版印刷版(上記平版印刷版原版から製造される)の印刷版面には、水を受容して油性インキを反撥する領域(以下、この領域を「非画像部」という。)と、水を反撥して油性インキを受容する領域(以下、この領域を「画像部」という。)とが形成される。
平版印刷版に用いられる平版印刷版用アルミニウム支持体(以下、単に「平版印刷版用支持体」という。)は、その表面が非画像部を担うように使用されるため、親水性および保水性が優れていること、更にはその上に設けられる画像記録層との密着性が優れていること等の相反する種々の性能が要求される。
【0003】
上記平版印刷版原版の製造方法としては、一般に、シート状またはコイル状のアルミニウム板の表面に粗面化処理および陽極酸化処理を施して、平版印刷版用支持体を得た後、この支持体上に感光液を塗布し乾操させて画像記録層を形成させ、必要に応じて所望のサイズに切りそろえる方法が知られている。この平版印刷版原版は、画像焼付け後、現像処理を施されて、平版印刷版とされる。
この方法において、画像記録層と支持体との密着性を向上させるためには、酸性溶液中で電気化学的粗面化処理(本発明において、「電解粗面化処理」ともいう。)を行うことが有効であり、また、陽極酸化処理後に表面処理や下塗液の塗布を行うことも有効である。
【0004】
電解粗面化処理を含む粗面化処理を行うと、支持体の表面に微小な凹凸(ピット)が生成する。従来、その径を均一でかつ大きくし、また、その深さを深くすることによって、画像部においては記録層と支持体との密着性が強固になり、数多くの枚数を印刷しても記録層がはく離したりせず、また、非画像部においては多くの湿し水を表面に保持することが可能となって保水性に優れ、汚れが発生しにくく、印刷性に優れる平版印刷版原版が得られると考えられていた。例えば、そのような観点から電解粗面化ピットの形状や均一性を改善する方法が、特許文献1〜3において提案されている。
【0005】
【特許文献1】特開2000−108534号公報
【特許文献2】特開2000−37965号公報
【特許文献3】特開2000−37964号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、本発明者らが鋭意検討した結果、支持体表面のピットは略お椀状の形をしており、その径が均一でかつ大きく、また、その深さが深い場合には、ピットの底の部分に記録層が入り込んで記録層と支持体との密着性が十分となる一方、ピットの縁の部分においては、相対的に記録層が薄くなり、しかもピットの縁の部分はとがっているために、印刷中において、ピットの縁の上にある記録層に強い応力がかかりやすく、その部分の記録層が破壊やはく離を起こしやすく、該部分における記録層と支持体との密着性が低く、汚れやすいということが判明した。
これに対し、縁部分のとがりを化学的に溶解する方法が知られているが、本発明者らは、縁部分を溶解した場合、非常に耐刷枚数(平版印刷版の画像部の記録層がはく離し、または摩耗することにより、印刷不能になるまでの印刷枚数)が低下しやすくなることを知見した。つまり、深い凹部(本発明において、「深部」ともいう。)部分の記録層と支持体との密着性およびピットの縁部分の記録層と支持体との密着性の双方を十分なものとすることは困難であり、従来、行われていた支持体の表面に生成する微小な凹凸(ピット)の径を均一でかつ大きくし、また、その深さを深くする技術では、耐刷性と耐汚れ性との両立は困難であることを知見した。また、この記録層がはく離する現象(耐刷性と耐汚れ性との両立困難性)は、コンベンショナルタイプの平版印刷版原版に見られるだけでなく、レーザで直接画像を露光するタイプの平版印刷版原版(レーザ刷版用の平版印刷版原版)において顕著に見られることも知見した。
【0007】
また、上記のようにピットの縁部分を溶解した場合、支持体表面の非画像部においては湿し水をその表面に保持することが困難となり、支持体表面の親水性および保水性が低下する。そうすると、該支持体から得られる平版印刷版を用いて印刷する場合、印刷時に非画像部にインキが付着しやすくなり汚れがより発生しやすくなるという問題も生じる。
【0008】
平版印刷版の耐汚れ性を向上させる目的で、現像液中にアルカリ金属ケイ酸塩を含有させることにより、記録層が除去された非画像部のみにSi原子を付着させ、より一層非画像部の親水性を向上させることが一般に行われている。しかし、アルカリ金属ケイ酸塩を含有する現像液を用いて現像する場合、SiO2 に起因する固形物が析出しやすいこと、現像廃液を処理する際の中和処理においてSiO2 に起因するゲルが生成すること等の問題がある。
これに対し、平版印刷版の非画像部となる平版印刷版用支持体の表面を、あらかじめアルカリ金属ケイ酸塩溶液で処理したうえで記録層を設けることにより、実質的にアルカリ金属ケイ酸塩を含有しない現像液を用いて現像する技術が提案されている(例えば、特開平11−109637号公報等)。しかしながら、この技術においては、記録層と支持体との密着性が弱くなるという不具合があった。
【0009】
また、本願出願人らは、平版印刷版用支持体の表面の凹凸のうち、大波構造とピット径を特定の範囲に限定し、更に、陽極酸化皮膜に存在するマイクロポアのポア径とポア密度とを特定の範囲に限定し、好ましくはAl中のCuの含有量を一定範囲以下に限定することを提案した(特願2001−74171号明細書)。また、Cuの含有量を一定範囲に限定することは、特公平1−47545号公報、特開平8−337835号公報および特開平7−197293号公報等に記載されている。
しかしながら、これらの方法でもまだ、記録層と支持体との密着性は十分とはいえず、非画像部の耐汚れ性も十分とはいえなかった。そして、これらの方法では、支持体の機械的強度(例えば、折り曲げ強度、疲労破断強度等)が不足する場合があった。
【0010】
更に、従来から行われていた支持体の表面に生成する微小な凹凸(ピット)の径を均一でかつ大きくし、また、その深さを深くすると、その上に設けられる画像記録層が厚く形成されてしまうため、該ピットが起点となって、局所的な露光不良あるいは露光後の現像不良が生じやすく、その結果点状の残膜(ポツ残膜と称する)が発生し、感度が低下するという不具合もあった。
これは、上記例示した方法(特願2001−74171号明細書、特公平1−47545号公報、特開平8−337835号公報および特開平7−197293号公報等に記載の方法)において、レーザを用いて露光するタイプの画像記録層を用いた場合、アルミニウム板中に存在する金属間化合物が粗面化処理中に取り除かれまたは脱落して生じる局所的な深い凹部に画像記録層が入り込んだ部分も、やはり該画像記録層が厚く形成されるため、同様の不具合があった。
【0011】
一方、近年、レーザ光照射により画像記録層中で光熱変換を起こすことによって画像記録層のアルカリ可溶化を引き起こしポジ画像を形成する、いわゆるサーマルポジタイプの平版印刷版原版においては、現像液に対する表面難溶化層を画像記録層の最上層として設ける手段が用いられているが、表面難溶化層が何らかの原因で損傷すると、本来画像部となる部分でも、現像液に溶解しやすくなってしまい、実用上非常に傷付きやすい印刷版になってしまっている。このため、印刷版のハンドリング時のぶつかり、合紙での微妙な擦れ、版面への指の接触等の些細な接触によってもキズ状の画像抜けが発生してしまうので、刷版作業時の取り扱いが難しいのが現状である。このような接触等によるキズ状の画像抜けは、画像記録層が表面難溶化層を有しないサーマルポジタイプの平版印刷版原版や、サーマルネガタイプその他の平版印刷版原版においても問題となっている。
【0012】
上記の傷付きやすさを改善する目的で、近年、画像記録層表面を滑らかにすることが試みられている。平坦な画像記録層表面を実現するためには、支持体の表面形状をできるだけ平坦にすることが有効であるが、単純に支持体の表面形状を平坦にすると、画像記録層と支持体との密着性が低下し、一方、画像記録層と支持体との密着性を確保しようとして、単に機械的粗面化処理等の方法により画像記録層と支持体との接触面積を増やすだけでは、画像記録層表面に凹凸が形成されてしまい、画像記録層が傷付きやすくなってしまう。
したがって、画像記録層表面を平坦にしてキズを防止することと、画像記録層と支持体との密着性を優れたものとして十分な印刷性能を確保することとを共に満足させることは、極めて困難であった。
【0013】
ところで、上記したオフセット印刷では、インキを版から印刷用紙等の被印刷材に直接転写させず、インキを版胴に巻かれた平版印刷版から転写胴に巻かれた弾力性のあるゴム布(ブランケット)に一旦転写し、このインキを転写されたブランケットと、圧胴により給紙される被印刷材とを接触加圧して印刷を行っている。
非画像部のピットが不均一であると、上記ピットの縁部分を溶解した場合と同様に、非画像部における湿し水の保持が不十分になりインキの侵入を許すため、版面の非画像部にインキが付着し、汚れとなる。その汚れがブランケットに転写し、ひいては印刷物の汚れとして現れる。
このような印刷物の汚れを防止するために、通常、ブランケットの汚れが確認された時点で、印刷機を停止して非画像部に付着したインキを洗浄するとともに、湿し水の供給量を増して版面の汚れを防止する。洗浄は、版面全体を、即ち、画像部と非画像部とをともに、酸性またはアルカリ性のプレートクリーナ液を適当量、スポンジに湿らせて拭くことにより行う。このようにすることで、版面の非画像部に付着したインキを除去している。
【0014】
プレートクリーナ液で版面全体を洗浄すると、クリーナ液によって記録層が膨潤して記録層の強度が低下したり、クリーナ液が記録層と支持体との間に浸透して両者の密着性が低下したりする。そのため、版面を洗浄した後に大部数の印刷を行うと、ブランケットとの摩擦面積が大きいベタ画像部や、支持体との接着面積が小さいハイライト画像部において、記録層が磨耗したり、はく離したりしやすくなる。したがって、平版印刷版は、プレートクリーナ液で版面を洗浄した後の耐刷性(本発明において、「耐クリーナ耐刷性」という。)にも優れるのが好ましい。
【0015】
したがって、本発明は、これらの問題を解決し、1)記録層と支持体との密着性が強く、またピットの縁の上の記録層が破壊やはく離を起こしやすいという問題もなく、平版印刷版としたときの優れた耐刷性と汚れにくさ(本発明において、「耐汚れ性」という。)を両立し、2)更にレーザを用いて露光するタイプの画像記録層を用いた場合でも局所的な露光不良または現像不良がなく感度に優れ、3)加えて、プレートクリーナ液で版面を洗浄した後の耐刷性にも優れ、4)機械的強度、特に疲労破断強度に優れ、5)感光層が傷つきにくい(耐キズ性に優れる)平版印刷版原版およびそれに用いられる平版印刷版用支持体を提供することを目的とする。つまり、平版印刷版としたときの印刷性能(耐刷性、耐汚れ性、感度および耐クリーナ耐刷性等)および取り扱い性(耐キズ性、疲労破断強度等)に優れる平版印刷版原版およびそれに用いられる平版印刷版用支持体を提供することを目的とする。
【0016】
更にまた、本発明は、レーザを用いて露光するタイプの画像記録層を用いた場合でも、上記特性を有し、そのうえアルカリ金属ケイ酸塩を含有しない現像液で処理することができる平版印刷版原版、それに用いられる平版印刷版用支持体および平版印刷版原版の処理方法を提供することを目的とする。
【0017】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、異種金属元素を特定の組成にしたアルミニウム板を用い、原子間力顕微鏡を用いて求められる表面形状を表す種々のファクターを特定の範囲にすると、得られる平版印刷版用支持体の表面形状が好適なものとなり、平版印刷版としたときの印刷性能(例えば、耐刷性、耐汚れ性、感度および耐クリーナ耐刷性等)および取り扱い性(耐キズ性、疲労破断強度等)に優れることを知見した。
また、上記平版印刷版用支持体の表面に存在する特定の深さを有する深部の数を規定することにより、ポツ状残膜の発生が特に抑えられ、感度により優れることを知見した。
本発明者らは、上記知見に基づき本発明を完成した。
【0018】
即ち、本発明は、以下の(1)〜(8)を提供する。
【0019】
(1)アルミニウム板に電気化学的粗面化処理を含む粗面化処理を施して得られる平版印刷版用支持体であって、
前記アルミニウム板が、Feを0.20〜0.29質量%、Siを0.03〜0.15質量%、Cuを0.020〜0.040質量%、Tiを0.050質量%以下含有し、残部がAlと不可避不純物からなるアルミニウム板であり、
原子間力顕微鏡を用いて、表面の5μm□を512×512点測定して求められる3次元データより得られる表面積比および急峻度が、それぞれ下記条件(i)〜(vi)を満足する平版印刷版用支持体。
(i) 表面積比ΔS5 が30〜70%
(ii) 表面積比ΔS5(0.2−5)が10〜30%
(iii) 表面積比ΔS5(0.02−0.2) が30〜70%
(iv) 急峻度a455 が20〜50%
(v) 急峻度a455(0.2−5)が5〜20%
(vi) 急峻度a455(0.02−0.2) が20〜60%
【0020】
ここで、ΔS5 は、前記3次元データから近似三点法により求められる実面積Sx 5 と、幾何学的測定面積S0 5とから、下記式により求められる、
ΔS5 =[(Sx 5 −S0 5)/S0 5]×100(%)で表す表面積比であり、
ΔS5(0.2−5)は、前記3次元データから波長0.2μm以上5μm以下の成分を抽出して得られる実面積Sx 5(0.2−5)と、幾何学的測定面積S0 5とから下記式により求められる、
ΔS5(0.2−5)=[(Sx 5(0.2−5)−S0 5)/S0 5]×100(%)で表す表面積比であり、
ΔS5(0.02−0.2) は、前記3次元データから波長0.02μm以上0.2μm以下の成分を抽出して得られる実面積Sx 5(0.02−0.2) と、幾何学的測定面積S0 とから下記式により求められる、
ΔS5(0.02−0.2) =[(Sx 5(0.02−0.2) −S0 5)/S0 5]×100(%)で表す表面積比であり、
急峻度a455 は、前記3次元データから近似三点法により求められる実面積Sx 5 に対する、角度45度以上の大きさの傾斜(傾斜度45°以上)を有する部分(面積)の面積率であり、
急峻度a455(0.2−5)は、前記3次元データから波長0.2μm以上5μm以下の成分を抽出して得られる実面積Sx 5(0.2−5)に対する、角度45度以上の大きさの傾斜(傾斜度45°以上)を有する部分(面積)の面積率であり、
急峻度a455(0.02−0.2) は、前記3次元データから波長0.02μm以上0.2μm以下の成分を抽出して得られる実面積Sx 5(0.02−0.2) に対する、角度45度以上の大きさの傾斜(傾斜度45°以上)を有する部分(面積)の面積率である。
【0021】
上記の各表面積比および各急峻度が本発明の範囲にあると、平版印刷版としたときの感度、耐刷性、耐汚れ性および耐クリーナ耐刷性に優れる。
また、用いるアルミニウム板の異種元素を特定し、その組成を特定のものとすると、後述する粗面化処理により好適な表面形状が形成される。
特に、上記表面積比、急峻度およびアルミニウム板に含有される異種元素の含有量を組み合わせることにより、平版印刷版としたときの印刷性能および取り扱い性をいずれも高い水準で満足できる。
【0022】
(2)アルミニウム板に電気化学的粗面化処理を含む粗面化処理を施して得られる平版印刷版用支持体であって、
前記アルミニウム板が、Feを0.20〜0.29質量%、Siを0.03〜0.15質量%、Cuを0.020〜0.040質量%、Tiを0.050質量%以下含有し、残部がAlと不可避不純物からなるアルミニウム板であり、
原子間力顕微鏡を用いて、表面の50μm□を512×512点測定して求められる3次元データより得られる表面積比および急峻度が、下記条件(xi)〜(xvi)を満足する平版印刷版用支持体。
(xi) 表面積比ΔS50が30〜70%
(xii) 表面積比ΔS50(2−50)が5〜10%
(xiii) 表面積比ΔS50(0.2−2) が15〜40%
(xiv) 急峻度a4550が25〜60%
(xv) 急峻度a4550(2−50)が0〜3.0%
(xvi) 急峻度a4550(0.2−2) が10〜40%
【0023】
ここで、ΔS50は、前記3次元データから近似三点法により求められる実面積Sx 50と、幾何学的測定面積S0 50 とから、下記式により求められる、
ΔS50=[(Sx 50−S0 50 )/S0 50 ]×100(%)で表す表面積比であり、
ΔS50(2−50)は、前記3次元データから波長2μm以上50μm以下の成分を抽出して得られる実面積Sx 50(2−50)と、幾何学的測定面積S0 50 とから下記式により求められる、
ΔS50(2−50)=[(Sx 50(2−50)−S0 50 )/S0 50 ]×100(%)で表す表面積比であり、
ΔS50(0.2−2) は、前記3次元データから波長0.2μm以上2μm以下の成分を抽出して得られる実面積Sx 50(0.2−2) と、幾何学的測定面積S0 50 とから下記式により求められる、
ΔS50(0.2−2) =[(Sx 50(0.2−2) −S0 50 )/S0 50 ]×100(%)で表す表面積比であり、
急峻度a4550は、前記3次元データから近似三点法により求められる実面積Sx 50に対する、角度45度以上の大きさの傾斜(傾斜度45°以上)を有する部分(面積)の面積率であり、
急峻度a4550(2−50)は、前記3次元データから波長2μm以上50μm以下の成分を抽出して得られる実面積Sx 50(2−50)に対する、角度45度以上の大きさの傾斜(傾斜度45°以上)を有する部分(面積)の面積率であり、
急峻度a4550(0.2−2) は、前記3次元データから波長0.2μm以上2μm以下の成分を抽出して得られる実面積Sx 50(0.2−2) に対する、角度45度以上の大きさの傾斜(傾斜度45°以上)を有する部分(面積)の面積率である。
【0024】
上記の各表面積比が本発明の範囲にあると、平版印刷版としたときの感度、耐刷性、耐汚れ性および耐クリーナ耐刷性に優れる。上記の各急峻度が本発明の範囲にあると、平版印刷版としたときの耐汚れ性および耐クリーナ耐刷性に優れる。
また、用いるアルミニウム板の異種元素を特定し、その組成を特定のものとすると、後述する粗面化処理により、好適な表面形状が形成される。
特に、上記表面積比、急峻度およびアルミニウム板に含有される異種元素の含有量を組み合わせることにより、平版印刷版としたときの印刷性能および取り扱い性をいずれも高い水準で満足できる。
【0025】
(3)アルミニウム板に電気化学的粗面化処理を含む粗面化処理を施して得られる平版印刷版用支持体であって、
前記アルミニウム板が、Feを0.20〜0.29質量%、Siを0.03〜0.15質量%、Cuを0.020〜0.040質量%、Tiを0.050質量%以下含有し、残部がAlと不可避不純物からなるアルミニウム板であり、
原子間力顕微鏡を用いて、表面の5μm□を512×512点測定して求められる3次元データより得られる表面積比および急峻度が、それぞれ下記条件(i)〜(vi)を満足し、かつ、
原子間力顕微鏡を用いて、表面の50μm□を512×512点測定して求められる3次元データより得られる表面積比および急峻度が、下記条件(xi)〜(xvi)を満足する平版印刷版用支持体。
(i) 表面積比ΔS5 が30〜70%
(ii) 表面積比ΔS5(0.2−5)が10〜30%
(iii) 表面積比ΔS5(0.02−0.2) が30〜70%
(iv) 急峻度a455 が20〜50%
(v) 急峻度a455(0.2−5)が5〜20%
(vi) 急峻度a455(0.02−0.2) が20〜60%
(xi) 表面積比ΔS50が30〜70%
(xii) 表面積比ΔS50(2−50)が5〜10%
(xiii)表面積比ΔS50(0.2−2) が15〜40%
(xiv) 急峻度a4550が25〜60%
(xv) 急峻度a4550(2−50)が0〜3.0%
(xvi) 急峻度a4550(0.2−2) が10〜40%
ここで、上記条件(i)〜(vi)および上記条件(xi)〜(xvi)の意義およびこれらの作用・効果は、上記説明したとおりである。
上記各表面積比および各急峻度が本発明の範囲にあると、平版印刷版としたときの感度、耐刷性、耐汚れ性および耐クリーナ耐刷性により優れる。
【0026】
(4)表面に存在する深さ5μm以上の局所的深部の個数が、400μm×400μmあたり平均して1.0個以下である上記(1)〜(3)のいずれかに記載の平版印刷版用支持体。
上記の各表面積比および急峻度を満足する平版印刷版用支持体の表面に存在する特定の局所的深部の個数を上記範囲にすると、ポツ状残膜の発生を特に抑えられ、感度をより向上できる。
【0027】
(5)表面のSi原子付着量が0.1〜30mg/m2 である上記(1)〜(4)のいずれかに記載の平版印刷版用支持体。
【0028】
(6)上記(1)〜(5)のいずれかに記載の平版印刷版用支持体上に画像記録層を設けてなる平版印刷版原版。
【0029】
(7)レーザ刷版用の平版印刷版原版である上記(6)に記載の平版印刷版原版。
【0030】
(8)上記(6)または(7)に記載の平版印刷版原版に露光した後、実質的にアルカリ金属ケイ酸塩を含有せず、かつ、糖類を含有する現像液を用いて現像することを特徴とする平版印刷版原版の処理方法。
【0031】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳細に説明する。
[平版印刷版用支持体]
<平版印刷版用支持体の表面形状>
本発明の平版印刷版用支持体は、後述するアルミニウム板に、後述する粗面化処理(電気化学的粗面化処理を含む)、好ましくは、陽極酸化処理、親水化処理等を施して得られる。
該本発明の平版印刷版用支持体は、原子間力顕微鏡を用いて求められる表面形状を表すファクター(表面積比および急峻度)が、以下の範囲を満足する表面を有する。
【0032】
即ち、(I)本発明の平版印刷版用支持体は、原子間力顕微鏡を用いて、表面の5μm□(本発明において、「5μm×5μm」を意味する。)を512×512点測定して求められる3次元データより得られる表面積比および急峻度が、それぞれ下記条件(i)〜(vi)を満足する平版印刷版用支持体である。
(i) 表面積比ΔS5 が30〜70%
(ii) 表面積比ΔS5(0.2−5)が10〜30%
(iii) 表面積比ΔS5(0.02−0.2) が30〜70%
(iv) 急峻度a455 が20〜50%
(v) 急峻度a455(0.2−5)が5〜20%
(vi) 急峻度a455(0.02−0.2) が20〜60%
【0033】
ここで、ΔS5 は、前記3次元データから近似三点法により求められる実面積Sx 5 と、幾何学的測定面積S0 5とから、下記式により求められる、
ΔS5 =[(Sx 5 −S0 5)/S0 5]×100(%)で表す表面積比であり、
ΔS5(0.2−5)は、前記3次元データから波長0.2μm以上5μm以下の成分を抽出して得られる実面積Sx 5(0.2−5)と、幾何学的測定面積S0 5とから下記式により求められる、
ΔS5(0.2−5)=[(Sx 5(0.2−5)−S0 5)/S0 5]×100(%)で表す表面積比であり、
ΔS5(0.02−0.2) は、前記3次元データから波長0.02μm以上0.2μm以下の成分を抽出して得られる実面積Sx 5(0.02−0.2) と、幾何学的測定面積S0 とから下記式により求められる、
ΔS5(0.02−0.2) =[(Sx 5(0.02−0.2) −S0 5)/S0 5]×100(%)で表す表面積比であり、
急峻度a455 は、前記3次元データから近似三点法により求められる実面積Sx 5 に対する、角度45度以上の大きさの傾斜(傾斜度45°以上)を有する部分(面積)の面積率であり、
急峻度a455(0.2−5)は、前記3次元データから波長0.2μm以上5μm以下の成分を抽出して得られる実面積Sx 5(0.2−5)に対する、角度45度以上の大きさの傾斜(傾斜度45°以上)を有する部分(面積)の面積率であり、
急峻度a455(0.02−0.2) は、前記3次元データから波長0.02μm以上0.2μm以下の成分を抽出して得られる実面積Sx 5(0.02−0.2) に対する、角度45度以上の大きさの傾斜(傾斜度45°以上)を有する部分(面積)の面積率である。
【0034】
上記(I)に記載の平版印刷版用支持体は、下記の知見に基づいて特徴付けられたものであって、これらの知見による各ファクター同士、および、後述するアルミニウム板の異種元素の含有量等と密接に関連して本発明の効果を奏すると考えられる。
本発明において、表面積比は幾何学的測定面積S0 5に対する粗面化処理による実面積の増加の程度を示すファクターである。表面積比が大きくなると、画像記録層との接触面積が大きくなり、結果として耐刷性を向上させることができる。ここでは、波長の短い成分の寄与する表面積比を大きくすることで、画像記録層と支持体との接触面積を大きくし、耐刷性を向上させるとともに、画像記録層と支持体との間へのクリーナの浸透を大幅に抑制し、耐クリーナ耐刷性を向上させることができる。
また、本発明者らは、原子間力顕微鏡を用いて、表面の5μm□を512×512点測定して求められる3次元データより得られる波長5μm以下の成分の表面積のうち、波長0.02〜0.2μm成分の表面積比の範囲が、0.2〜5μm成分の表面積比の範囲に比べてバランスよく大きい側にシフトしていれば、波長の小さい微細構造を所定量持つ表面形状が得られ、画像部においては、感光層と支持体との密着性に優れることを知見した。一般的に、汚れは表面に微細構造があれば悪化する傾向にあるが、上記の特定部分の表面積比ΔS間のバランスをとることによって、該傾向を抑えられ、汚れが発生しにくくなる(耐汚れ性に優れる)と考えている。
【0035】
さらに、ΔS5(0.2−5)を特定の範囲にすると、現像時に現像液の浸透性がよくなることにより現像性を改善できるため感度を向上でき、ΔS5(0.02−0.2) を特定の範囲にすると、画像記録層と支持体表面の密着力が適度に保たれるため現像時に露光部(の画像記録層)の脱離が速やかに進行し脱離不良を起しにくくなる。その結果、感度を向上できる傾向にあると考える。
【0036】
本発明においては、(i)表面積比ΔS5 は、30〜70%であり、上記の改善効果の中でも画像記録層との密着性を特に向上できる点で、好ましくは40〜70%、より好ましくは50〜70%である。
(ii)表面積比ΔS5(0.2−5)は、10〜30%であり、上記の改善効果の中でも適度に画像記録層との密着性を維持しつつ特に感度を向上できる点で、好ましくは15〜25%である。
(iii)表面積比ΔS5(0.02−0.2) は、30〜70%であり、ΔS5(0.02−0.2) は、70%以上になると現像不良を起こす原因になる場合があるため、一方、上記の改善効果の中でも画像記録層との密着性が向上するため、特に耐クリーナ耐刷性が向上するため、好ましくは35〜70%、より好ましくは45〜70%である。
【0037】
また、本発明において、上記表面の5μm□を512×512点測定して求められる3次元データより得られる各波長範囲の急峻度は、各波長における支持体表面の微細な形状のとがり具合を表すファクターであり、具体的には、支持体表面の凹凸の中で、角度45°以上の大きさの傾斜を有する面積の実面積に対する割合を表す。
【0038】
本発明者らは、急峻度について、以下に説明する点を見出した。
つまり、急峻度a455 の部分は、非画像部にインキ成分や紙粉等の付着部があっても十分な保水量を確保する上で重要であり、a455 大きくすることで砂目内にインキ成分や紙粉等の付着部が付いた場合でも十分な保水量を保ちインキの絡みを防ぐことができ耐汚れ性に優れる。一方、大きすぎると、非画像部において印刷時にインキが引っかかる基点となりやすく耐汚れ性に劣る場合がある。また、a455(0.2−5)の部分は、非画像部において印刷時にインキが引っかかる基点となりやすく地汚れの発生に重要であり、a455(0.2−5)を小さくすると、耐汚れ性に優れる。更に、a455(0.02−0.2) の部分は、ΔS5(0.02−0.2) を大きくするとある程度連動して大きくなる傾向がある。a455(0.02−0.2) が大きすぎると、インキが引っかかりやすくなり、インキの絡みにくさが低下する。
これらの各急峻度は上記の作用を有すると考えられるが、相互に影響しあい全体として平版印刷版用支持体の表面全体の親水性および保水性等を改善できるとも考えられ、各急峻度をそれぞれ上記の特定範囲にバランスよく調整することにより、平版印刷版としたときの耐クリーナ耐刷性、耐汚れ性および耐刷性をより改善できる。
【0039】
本発明においては、(iv)急峻度a455 は、20〜50%であり、上記の改善効果の中でも耐クリーナ耐刷性に悪影響を及ぼさない範囲で、特にインキの絡みにくさを向上でき耐汚れ性に優れる点で、好ましくは30〜45%、より好ましくは30〜40%である。
(v)急峻度a455(0.2−5)は、5〜20%であり、上記の改善効果の中でも特に耐汚れ性を向上できる点で、好ましくは8〜15%である。
(vi)急峻度a455(0.02−0.2) は、20〜60%であり、上記の改善効果の中でもインキの絡みにくさを向上でき耐汚れ性を改善できる点で、好ましくは20〜55%、より好ましくは28〜50%である。
【0040】
上記表面積比(i)〜(iii)および急峻度(iv)〜(vi)は、それぞれ上記したような平版印刷版原版および平版印刷版の特性を改善する傾向にあるが、これらをすべて満足することにより、該改善効果により優れる。
特に、上記ファクターおよび後述するアルミニウム板に含有される異種元素の含有量を組み合わせることにより、これらの改善効果に極めて優れ、平版印刷版としたときの印刷性能および取り扱い性をいずれも高い水準で満足できる。
【0041】
(II)本発明の平版印刷版用支持体は、原子間力顕微鏡を用いて、表面の50μm□(本発明において、「50μm×50μm」を意味する。)を512×512点測定して求められる3次元データより得られる表面積比および急峻度が、下記条件(xi)〜(xvi)を満足する平版印刷版用支持体である。
(xi) 表面積比ΔS50が30〜70%
(xii) 表面積比ΔS50(2−50)が5〜10%
(xiii) 表面積比ΔS50(0.2−2) が15〜40%
(xiv) 急峻度a4550が25〜60%
(xv) 急峻度a4550(2−50)が0〜3.0%
(xvi) 急峻度a4550(0.2−2) が10〜40%
【0042】
ここで、ΔS50は、前記3次元データから近似三点法により求められる実面積Sx 50と、幾何学的測定面積S0 50 とから、下記式により求められる、
ΔS50=[(Sx 50−S0 50 )/S0 50 ]×100(%)で表す表面積比であり、
ΔS50(2−50)は、前記3次元データから波長2μm以上50μm以下の成分を抽出して得られる実面積Sx 50(2−50)と、幾何学的測定面積S0 50 とから下記式により求められる、
ΔS50(2−50)=[(Sx 50(2−50)−S0 50 )/S0 50 ]×100(%)で表す表面積比であり、
ΔS50(0.2−2) は、前記3次元データから波長0.2μm以上2μm以下の成分を抽出して得られる実面積Sx 50(0.2−2) と、幾何学的測定面積S0 50 とから下記式により求められる、
ΔS50(0.2−2) =[(Sx 50(0.2−2) −S0 50 )/S0 50 ]×100(%)で表す表面積比であり、
急峻度a4550は、前記3次元データから近似三点法により求められる実面積Sx 50に対する、角度45度以上の大きさの傾斜(傾斜度45°以上)を有する部分(面積)の面積率であり、
急峻度a4550(2−50)は、前記3次元データから波長2μm以上50μm以下の成分を抽出して得られる実面積Sx 50(2−50)に対する、角度45度以上の大きさの傾斜(傾斜度45°以上)を有する部分(面積)の面積率であり、
急峻度a4550(0.2−2) は、前記3次元データから波長0.2μm以上2μm以下の成分を抽出して得られる実面積Sx 50(0.2−2) に対する、角度45度以上の大きさの傾斜(傾斜度45°以上)を有する部分(面積)の面積率である。
【0043】
上記(II)に記載の平版印刷版用支持体は、下記の知見に基づいて特徴付けられたものであって、これらの知見による各ファクター同士、および、後述するアルミニウム板の異種元素の含有量等と密接に関連して本発明の効果を奏すると考えられる。
本発明において、表面積比は幾何学的測定面積S0 50 に対する粗面化処理による実面積の増加の程度を示すファクターである。表面積比が大きくなると、画像記録層との接触面積が大きくなり、結果として耐刷性を向上させることができる。ここでは、波長の長い成分の寄与する表面積比を大きくすることで、画像記録層と支持体との接触面積を大きくし、耐刷性を向上させるとともに、画像記録層と支持体との間へのクリーナの浸透を大幅に抑制し、耐クリーナ耐刷性を向上させることができる。
【0044】
本発明者らは、表面積比について、以下に説明する点を見出した。
つまり、表面積比ΔS50が本発明の範囲内であると、該凹凸構造に保持される水量が多くなり、親水性および保水性を改善でき、網点部のインキ絡みを抑えることができ耐汚れ性に優れる。また、表面積比ΔS50(2−50)が本発明の範囲内であると、その上に設けられる画像記録層も該凹凸構造に沿って凹凸形状に形成され、その凹凸形状の凹部にインキが蓄えられやすくなる。そうすると、印刷時にブランケット胴により加圧(圧着)されても、該凹凸形状内でインキの移動を吸収できるため、インキの広がりが抑えられ網点部のインキ絡みも抑えることができ、砂目内にインキ成分や紙粉等の付着物が付いた場合でも、十分な保水量を保つことができ、地汚れにも優れる。即ち、耐汚れ性を改善できる。更に、表面積比ΔS50(0.2−2) が本発明の範囲内であると、その上に設けられる画像記録層が現像処理において完全に取り除かれやすく親水性が向上するため、網点部のインキ絡みが発生しにくくなり、耐汚れ性に優れる。
また、ΔS50が大きすぎると、部分的に鋭利な凸部が形成され該部分上に設けられる画像記録層の膜厚が薄くなりすぎて耐キズ性に劣る傾向がある。さらに、ΔS50(0.2−2) を特定範囲にすると、画像記録層の膜厚が均一になりやすく、これにより露光安定性が増大し感度に優れる。
【0045】
該表面積比ΔS50と、ΔS50(2−50)と、ΔS50(0.2−2) は上記のような作用を有すると考えられるが、相互に影響しあい全体として平版印刷版用支持体の保水性および親水性の向上等に寄与していると考えられる。また、上記表面積比が本発明の範囲であると、支持体の表面積大きくなり画像記録層との密着力も強くなり耐クリーナ耐刷性および耐刷性が改善できる。
したがって、これらの表面積比ΔS50(50)と、ΔS50(2−50)と、ΔS50(0.2−2) とをそれぞれ上記の特定範囲にバランスよく調整することにより、平版印刷版としたときの耐クリーナ耐刷性、耐刷性および耐汚れ性等を改善できる。
【0046】
本発明においては、(xi)表面積比ΔS50は、30〜70%であり、上記の改善効果の中でも特に耐刷性とインキの絡みにくさを向上でき耐汚れ性に優れる点で、好ましくは35〜70%、より好ましくは40〜60%である。
(xii)表面積比ΔS50(2−50)は、5〜10%であり、上記の改善効果の中でも特にインキの絡みにくさを向上でき耐汚れ性に優れる点で、好ましくは6〜8%である。
(xiii)表面積比ΔS50(0.2−2) は、15〜40%であり、上記の改善効果の中でも特に感度と耐刷性が共に向上する点で、好ましくは16〜40%、より好ましくは20〜35%である。
【0047】
また、本発明において、上記表面の50μm□を512×512点測定して求められる3次元データより得られる各波長範囲の急峻度は、各波長における支持体表面の微細な形状のとがり具合を表すファクターであり、具体的には、支持体表面の凹凸の中で、角度45°以上の大きさの傾斜を有する面積の実面積に対する割合を表す。
【0048】
本発明者らは、急峻度について、以下に説明する点を見出した。
つまり、a4550の部分は、親水性および保水性の確保と耐汚れ性の向上に重要であり、a4550を本発明の範囲内にすることで耐汚れ性を維持しつつ保水性を改善でき、網点部のインキ絡みと地汚れを共に向上させることができる。該a4550が大きすぎると、部分的に鋭利な凸部が形成され該部分上に設けられる画像記録層の膜厚が薄くなりすぎて耐キズ性に劣る傾向がある。また、a4550(2−50)の部分は、非画像部においていわばお椀の縁として機能し非画像部に存在する浸し水の流出を防げること、特に、非画像部にインキ成分や紙粉等の付着部があっても十分な保水量を確保する上で重要であるが、該値が大きすぎると耐汚れ性が低下する場合があるため適切な値をとることが重要である。更に、a4550(0.2−2) の部分は、非画像部において印刷時にインキが引っかかる基点となりやすく、地汚れ等の発生の原因に重要であり、a4550(0.2−2) を小さくすると、耐汚れ性に優れる。
【0049】
これらの各急峻度は上記した作用を有すると考えられるが、相互に影響しあい全体として平版印刷版用支持体の表面全体の親水性および保水性等を改善できると考えられ、各急峻度をそれぞれ上記の特定範囲にバランスよく調整することにより、平版印刷版としたときの耐クリーナ耐刷性、耐汚れ性等を改善できる。
【0050】
本発明においては、(xiv)急峻度a4550は、25〜60%であり、上記の改善効果の中でも特に耐汚れ性および耐キズ性に優れる点で、好ましくは30〜55%である。
(xv)急峻度a4550(2−50)は、0〜3.0%であり、上記の改善効果の中でも特に耐汚れ性に優れる点で、好ましくは0.1〜2.0%、より好ましくは0.1〜1.0%である。
(xvi)急峻度a4550(0.2−2) は、10〜40%であり、上記の改善効果の中でも特に耐汚れ性に優れる点で、好ましくは13〜35%、より好ましくは15〜35%である。
【0051】
上記表面積比(xi)〜(xiii)および急峻度(xiv)〜(xvi)は、それぞれ上記したような平版印刷版原版および平版印刷版の特性を改善する傾向にあるが、これらをすべて満足することにより、該改善効果により優れる。
特に、上記ファクターおよび後述するアルミニウム板に含有される異種元素の含有量を組み合わせることにより、これらの改善効果に極めて優れ、平版印刷版としたときの印刷性能および取り扱い性をいずれも高い水準で満足できる。
【0052】
(III)本発明の平版印刷版用支持体は、原子間力顕微鏡を用いて、表面の5μm□を512×512点測定して求められる3次元データより得られる表面積比および急峻度が、それぞれ下記条件(i)〜(vi)を満足し、かつ、
原子間力顕微鏡を用いて、表面の50μm□を512×512点測定して求められる3次元データより得られる表面積比および急峻度が、下記条件(xi)〜(xvi)を満足する平版印刷版用支持体である。
(i) 表面積比ΔS5 が30〜70%
(ii) 表面積比ΔS5(0.2−5)が10〜30%
(iii) 表面積比ΔS5(0.02−0.2) が30〜70%
(iv) 急峻度a455 が20〜50%
(v) 急峻度a455(0.2−5)が5〜20%
(vi) 急峻度a455(0.02−0.2) が20〜60%
(xi) 表面積比ΔS50が30〜70%
(xii) 表面積比ΔS50(2−50)が5〜10%
(xiii)表面積比ΔS50(0.2−2) が15〜40%
(xiv) 急峻度a4550が25〜60%
(xv) 急峻度a4550(2−50)が0〜3.0%
(xvi) 急峻度a4550(0.2−2) が10〜40%
ここで、上記条件(i)〜(vi)および上記条件(xi)〜(xvi)の意義およびこれらの作用・効果は、上記説明したとおりである。
【0053】
上記表面積比および急峻度は、それぞれ上記したような平版印刷版原版および平版印刷版の特性を改善する傾向にあるが、上記条件(i)〜(vi)および上記条件(xi)〜(xvi)をすべて満たすことにより、つまり、波長の長い成分および波長の短い成分の寄与する表面積比、ならびに、波長の長い成分および波長の短い成分の急峻度を上記範囲内にバランス良く調整することにより、全体として平版印刷版用支持体の表面積を大きくでき、該支持体の親水性、保水性をより改善できるため、平版印刷版としたときの耐汚れ性、耐刷性および耐クリーナ耐刷性等により優れる。
特に、上記ファクターおよび後述するアルミニウム板に含有される異種元素の含有量を組み合わせることにより、これらの改善効果に極めて優れ、平版印刷版としたときの印刷性能および取り扱い性をいずれも高い水準で満足できる。
これら各条件の好ましい範囲も、上記したのと同様である。
【0054】
本発明の平版印刷版用支持体は、その表面に存在する深さ5μm以上の局所的深部の個数が、400μm×400μmあたり平均して1.0個以下であるのが好ましい。
上記したように平版印刷版の保水性および親水性を改善するために深くて大きい凹部(深部)を形成させると、ポツ状残膜発生の原因等となり感度が低下する場合があるが、上記深部の個数を上記範囲にすると、上記表面形状を表すファクターを満足する平版印刷版用支持体から得られる平版印刷版原版が、露光および現像の条件を厳しくしてもポツ状残膜が発生しなくなり、感度により優れるものとなる。
更に感度を向上できる点で、上記深部の個数は、400μm×400μmあたり平均して、0.8個以下であるのがより好ましく、0.5個以下であるのが特に好ましい。
【0055】
このような表面形状を形成させるには、例えば、硝酸を主体とする電解液を用いた電解粗面化処理においてアノード反応にあずかる電気量の総和を大きくする方法、ブラシロールと特定のメジアン径を持つ研磨剤を用いる機械的粗面化処理を行う方法等が挙げられる。
【0056】
本発明者らは、後述する粗面化処理により深さ5μm以上の深部が生成する原因について鋭意研究した結果、原因を以下のように推定した。
第一に、機械的粗面化処理を含む粗面化処理を施す場合においては、機械的粗面化処理に用いられる研磨剤の粒子の稜部分がアルミニウム板の表面に深く突き刺さって深部が形成されること。
第二に、電解粗面化処理を含む粗面化処理を施す場合においては、電解粗面化処理時に電流が特定の箇所に集中してしまうこと。
【0057】
本発明者らは、このように原因を推定し、更に、鋭意研究した結果、以下のような手段により、粗面化処理により生成する深さ5μm以上の局所的深部を表面の400μm×400μmあたり平均して1.0個以下にすることができることを見出した。
即ち、第一の原因である機械的粗面化処理に用いられる研磨剤の粒子が突き刺さることに対しては、下記(1)〜(5)の手段を見出した。
(1)粒子径の小さい研磨剤を用いる。
例えば、沈降分離を行って、粒子径の大きいものを除去し、小さいもののみを用いたり、再粉砕により研磨剤の粒子同士を接触させて磨耗させたりすることにより、研磨剤の粒子径を小さくすることができる。
(2)尖りが少ない粒子の研磨剤を用いる。
機械的粗面化処理に通常用いられるパミストン(以下「パミス」ともいう。)は、火山灰を粉砕して得られるものであり、粒子は割れたガラスのような板片状で稜部分が尖っている。これに対し、ケイ砂は12面体や24面体に近い形状であり、尖りが少ない。
【0058】
(3)機械的粗面化処理に用いられるブラシ毛を柔らかいものにする。
例えば、毛径の細いブラシを用いたり、柔らかい材質のブラシを用いたりすることにより、ブラシ毛を柔らかくすることができる。
(4)機械的粗面化処理に用いられるブラシの回転数を低くする。
スラリー液中に含有される研磨剤粒子に適度に「逃げ」の時間を与えることにより、突き刺さりが抑制される。
(5)機械的粗面化処理に用いられるブラシの押し圧(負荷)を低くする。
【0059】
また、第二の原因である電解粗面化処理時に電流が特定の箇所に集中してしまうことに対しては、下記(6)の手段を見出した。
(6)電解粗面化処理において硝酸を主体とする電解液を用いる場合には、電解が均一に起こりやすくなるように、アルミニウム板の合金成分中のCu量を低くする。
電解粗面化処理においては、通常、酸性の電解液中で交流電流を通電することで、アルミニウムの溶解反応(ピッティング反応)と、溶解して生じた成分が溶解反応部に再付着するスマット付着反応とが、交流のサイクルに従って交互に起こる。ここで、硝酸電解液を用いる場合には、アルミニウム板に含有される合金成分の種類や量の影響を非常に受けやすく、特にCuの影響が大きい。これはCuの存在により、電解粗面化処理時の表面抵抗が高くなるためと考えられる。そのため、合金成分中のCu量を0.040質量%以下とすることにより、電解粗面化処理時の表面抵抗が小さくなるため、電流集中が抑制され、粗大なピットを形成することなく、均一なピットを全面に形成させることができる。
【0060】
次に、上記各条件(ファクター)の測定方法について、説明する。
本発明の平版印刷版用支持体において、各表面積比、各急峻度および局所的深部の個数を求める方法は、以下の通りである。
【0061】
(1)原子間力顕微鏡による表面積比および急峻度(i)〜(vi)の測定
本発明においては、表面積比を求めるために、原子間力顕微鏡(AtomicForce Microscope:AFM)により表面形状を測定し、3次元データを求める。
測定は、例えば、以下の条件で行うことができる。即ち、平版印刷版用支持体を1cm角の大きさに切り取って、ピエゾスキャナー上の水平な試料台にセットし、カンチレバーを試料表面にアプローチし、原子間力が働く領域に達したところで、XY方向にスキャンし、その際、試料の凹凸をZ方向のピエゾの変位でとらえる。ピエゾスキャナーは、XY方向について150μm、Z方向について10μm、走査可能なものを使用する。カンチレバーは共振周波数120〜400kHz、バネ定数12〜90N/mのもの(SI−DF20、セイコーインスツルメンツ社製、NCH−10、NANOSENSORS社製、または、AC−160TS、オリンパス社製)を用い、DFMモード(Dynamic Force Mode)で測定する。また、求めた3次元データを最小二乗近似することにより試料のわずかな傾きを補正し基準面を求める。
計測の際は、表面の5μm□を512×512点測定する。XY方向の分解能は0.01μm、Z方向の分解能は0.15nm、スキャン速度は5μm/secとする。
【0062】
(i)ΔS5 の算出には、上記(1)で求められた3次元データ(f(x,y))をそのまま用い、隣り合う3点を抽出し、その3点で形成される微小三角形の面積の総和を求め、実面積Sx 5 とする。表面積比ΔS5 は、得られた実面積Sx 5 と幾何学的測定面積S0 5とから、下記式により求められる。ここでS0 は、5×5μm2 である。
ΔS5 =[(Sx 5 −S0 5)/S0 5]×100(%)
(iv)a455 の算出には、上記(1)で求められた3次元データ(f(x,y))をそのまま用い、各基準点と所定の方向(例えば、右と下)の隣接する2点との3点で形成される微小三角形と基準面とのなす角を各基準点について算出する。微小三角形の傾斜度が45度以上の基準点の個数を、全基準点の個数(全データの個数である512×512点から所定の方向の隣接する2点がない点の個数を減じた個数、即ち、511×511点)で除して、傾斜度45度以上の部分の面積率a455 を算出する。
【0063】
(ii)ΔS5(0.2−5)の算出には、上記(1)で求められた3次元データから波長0.2μm以上5μm以下の成分を抽出したものを用いる。波長0.2μm以上5μm以下の成分の抽出には、上記(1)で求められた3次元データを高速フーリエ変換をして周波数分布を求め、ついで、波長0.2μm未満の成分を除去した後、フーリエ逆変換をすることにより行う。
上記で求められた3次元データ(f(x,y))を用い、隣り合う3点を抽出し、その3点で形成される微小三角形の面積の総和を求め、実面積Sx 5(0.2−5)とする。表面積比 ΔS5(0.2−5)は、得られた実面積Sx 5(0.2−5)と幾何学的測定面積S0 5とから、下記式により求められる。
ΔS5(0.2−5)=[(Sx 5(0.2−5)−S0 5)/S0 5]×100(%)
(v)a455(0.2−5)の算出には、上記(ii)でフーリエ逆変換して求められた3次元データ(f(x,y))を用い、上記(iv)a455 の算出と同様にして、a455(0.2−5)を算出する。
【0064】
(iii)ΔS5(0.02−0.2) の算出には、上記(1)で求められた3次元データから波長0.02μm以上0.2μm以下の成分を抽出したものを用いる。波長0.02μm以上0.2μm以下の成分の抽出には、上記(1)で求められた3次元データを高速フーリエ変換をして周波数分布を求め、ついで、波長0.02μm未満の成分および0.2μm超の成分を除去した後、フーリエ逆変換をすることにより行う。
上記で求められた3次元データ(f(x,y))を用い、隣り合う3点を抽出し、その3点で形成される微小三角形の面積の総和を求め、実面積Sx 5(0.02−0.2) とする。表面積比ΔS5(0.02−0.2) は、得られた実面積Sx 5(0.02−0.2) と幾何学的測定面積S0 5とから、下記式により求められる。
ΔS5(0.02−0.2) =[(Sx 5(0.02−0.2) −S0 5)/S0 5]×100(%)
(vi)a455(0.02−0.2) の算出には、上記(iii)でフーリエ逆変換して得られた3次元データ(f(x,y))を用い、上記(iv)a455 の算出と同様にして、傾斜度45度以上の部分の面積率a455(0.02−0.2) を算出する。
【0065】
(2)原子間力顕微鏡による表面積比および急峻度(xi)〜(xvi)の測定
上記(1)と同様にして、AFMにより表面形状を測定し、3次元データを求める。
ただし、計測の際は、表面の50μm□を512×512点測定する。XY方向の分解能は0.1μm、Z方向の分解能は0.15nm、スキャン速度は50μm/secとする。
【0066】
(xi)ΔS50の算出には、上記(2)で求められた3次元データ(f(x,y))をそのまま用い、隣り合う3点を抽出し、その3点で形成される微小三角形の面積の総和を求め、実面積Sx 50とする。表面積比ΔS50は、得られた実面積Sx 50と幾何学的測定面積S0 50 から、下記式により求められる。ここでS0 50 は、50×50μm2 である。
ΔS50=[(Sx 50−S0 50 )/S0 50 ]×100(%)
(xiv)a4550の算出には、上記(2)で求められた3次元データ(f(x,y))をそのまま用い、各基準点と所定の方向(例えば、右と下)の隣接する2点との3点で形成される微小三角形と基準面とのなす角を各基準点について算出する。微小三角形の傾斜度が45度以上の基準点の個数を、全基準点の個数(全データの個数である512×512点から所定の方向の隣接する2点がない点の個数を減じた個数、即ち、511×511点)で除して、傾斜度45度以上の部分の面積率a4550を算出する。
【0067】
(xii)ΔS50(2−50)の算出には、上記(2)で求められた3次元データから波長2μm以上50μm以下の成分を抽出したものを用いる。波長2μm以上50μm以下の成分の抽出には、上記(2)で求められた3次元データを高速フーリエ変換をして周波数分布を求め、ついで、波長2μm未満の成分を除去した後、フーリエ逆変換をすることにより行う。
上記で求められた3次元データ(f(x,y))を用い、隣り合う3点を抽出し、その3点で形成される微小三角形の面積の総和を求め、実面積Sx 50(2−50)とする。表面積比 ΔS50(2−50)は、得られた実面積Sx 50(2−50)と幾何学的測定面積S0 50 とから、下記式により求められる。
ΔS50(2−50)=[(Sx 50(2−50)−S0 50 )/S0 50 ]×100(%)
(xv)a4550(2−50)の算出には、上記(xii)でフーリエ逆変換して得られた3次元データ(f(x,y))を用い、上記(xiv)a4550の算出と同様にして、a4550(2−50)を算出する。
【0068】
(xiii)表面積比ΔS50(0.2−2) の算出には、上記(2)で求められた3次元データから波長0.2μm以上2μm以下の成分を抽出したものを用いる。波長0.2μm以上2μm以下の成分の抽出には、上記(2)で求められた3次元データを高速フーリエ変換をして周波数分布を求め、ついで、波長0.2μm未満の成分および2μm超の成分を除去した後、フーリエ逆変換をすることにより行う。
上記で求められた3次元データ(f(x,y))を用い、隣り合う3点を抽出し、その3点で形成される微小三角形の面積の総和を求め、実面積Sx 50(0.2−2) とする。表面積比ΔS5(0.02−0.2) は、得られた実面積Sx 50(0.2−2) と幾何学的測定面積S0 50 とから、下記式により求められる。
ΔS50(0.2−2) =[(Sx 50(0.2−2) −S0 50 )/S0 50 ]×100(%)
(xvi)a4550(0.2−2) の算出には、上記(xiii)でフーリエ逆変換して得られた3次元データ(f(x,y))を用い、上記(xiv)a4550の算出と同様にして、a4550(0.2−2) を算出する。
【0069】
(3)表面に存在する深さ5μm以上の局所的深部の個数の測定
レーザ顕微鏡を用いて表面の400μm□を非接触で分解能0.01μmで走査して3次元データを求め、この3次元データにおいて深さ5μm以上の凹部の数を数える。これを5〜10個所について行い、それらの平均値を上記深部の個数とする。
【0070】
<アルミニウム板(圧延アルミ)>
上記した表面形状を表すファクターを持つ本発明の平版印刷版用支持体の製造には、アルミニウム合金が用いられる。
該アルミニウム合金における必須の合金成分は、Al、Fe、SiおよびCuであり、好ましくはTiを含有する。
【0071】
Feは、通常、原材料として使用されるアルミニウム合金(Al地金)に0.04〜0.2質量%程度含有されている。Feは、アルミニウム中に固溶する量は少なく、ほとんどが金属間化合物として残存する。Feは、アルミニウム合金の機械的強度を高める作用があり、支持体の強度に大きな影響を与える。Fe含有量が少なすぎると、機械的強度が低すぎて、繰り返し折り曲げられた時の強度(折り曲げ強度)、微小な振幅の繰り返し曲げを行った場合の破断しにくい特性(疲労破断強度)に劣る場合があり、また、平版印刷版を印刷機の版胴に取り付ける際に、版切れを起こしやすくなる。また、高速で大部数の印刷を行う際にも、同様に版切れを起こしやすくなる。一方、Fe含有量が多すぎると、必要以上に高強度となり、平版印刷版を印刷機の版胴に取り付ける際に、フィットネス性に劣り、印刷中に版切れを起こしやすくなる。また、Feの含有量が、例えば、1.0質量%より多くなると圧延途中に割れが生じやすくなる。
【0072】
本発明者らは、後述するFeを含む金属間化合物が、アルミニウム板中に含まれる金属間化合物の大部分を占めること、および、それらが粗面化処理中に取り除かれ(脱落し)やすく該取り除かれた(脱落した)後に形成される局所的な凹部に画像記録層が入り込んでしまうことにより露光不良、現像不良を起こす原因になることを知見した。
つまり、アルミニウム板に含まれるFeは上記したようにアルミニウムとの金属間化合物を形成しやすく、これらの金属間化合物は電解粗面化処理におけるピット形成の起点として重要である。これらの金属間化合物は、電解粗面化処理等を施す際に、アルミニウム板表面から取り除かれやすくまたは脱落しやすく、金属間化合物が取り除かれ(脱落し)た後には、該表面に大きく深い凹部が形成される。このような凹部を有する支持体表面に画像記録層を設けて平版印刷版原版とすると、設けた画像記録層が該凹部に入り込み該部分の画像記録層の厚さが厚くなる。そうすると、露光時に該穴の底部まで十分に露光エネルギーが届かなくなり(露光不良が起こり)現像処理による画像記録層の除去が効率よく行われなくなって(現像不良が起こり)、該凹部に画像記録層が残ってしまうため、ポツ残膜等が発生し感度が低下する場合がある。
本発明者は、アルミニウム板のFe含有量を上記特定範囲にすることで、電解粗面化処理等において金属間化合物の脱落によって生じる深い凹部の形成を抑え、露光不良、現像不良を防止することができることを見出し、特にレーザー光源を使用した製版に適した平版印刷版原版を得ることができることを見出した。
【0073】
本発明においては、上記知見等に基づいて、Fe含有量の上限を0.29質量%とすることにより、Feを含む金属間化合物量が少なくなり該金属間化合物の取り除かれた(脱落した)後に形成される局所的な凹部が少なくなるため露光不良、現像不良が起こりにく感度にも優れる。また、Fe含有量を上記範囲にすることにより、得られる平版印刷版用支持体の機械的強度を向上できる。
Fe含有量の下限は、地金中の含有量を考慮し、0.05%以上とするのが妥当であるが、機械的強度を維持する上で、0.20質量%以上とすることがより好ましい。
Feを含む金属間化合物としては、例えば、Al3 Fe、Al6 Fe、AlFeSi系化合物、AlFeSiMn系化合物等が代表的である。
【0074】
Siは、原材料であるAl地金に不可避不純物として0.03〜0.1質量%前後含有される元素であり、原材料差によるばらつきを防ぐため、意図的に微量添加されることが多い。また、Siは、スクラップアルミニウムにも多く含まれる元素である。Siは、アルミニウム中に固溶した状態で、または、金属間化合物もしくは単独の析出物として存在する。また、平版印刷版用支持体の製造過程で加熱されると、固溶していたSiが単体Siとして析出することがある。本発明者らの知見によれば、単体Siが過剰の場合、耐苛酷インキ汚れ性が低下する場合がある。ここで、「苛酷インキ汚れ」とは、印刷を何度も中断しつつ行った場合に、平版印刷版の非画像部表面部分にインキが付着しやすくなった結果、印刷された紙等に表れる点状または円環状の汚れをいう。また、Siの含有量は、アルミニウム板の電解粗面化処理に影響を及ぼす。
更に、Siの含有量が多すぎると、粗面化処理後に陽極酸化処理を施したときに、陽極酸化皮膜の欠陥となり、欠陥部分の親水性が劣り、印刷時に紙が汚れやすくなる。
本発明においては、Si含有量は、0.03質量%以上であり、かつ、0.15質量%以下である。電解粗面化処理の安定性に優れる点で、好ましくは0.04質量%以上であり、0.10質量%以下である。
【0075】
Cuは、電解粗面化処理を制御するうえで非常に重要な元素であり、本発明においては必須成分である。Cu含有量を0.020質量%以上とすることにより、硝酸液中での電解粗面化処理により生成するピットの径を大きくできるため、露光現像後印刷する際に、非画像部における湿し水の保水量を大幅に確保でき、耐汚れ性が向上する。一方、Cu含有量が多すぎると、硝酸液中での電解粗面化処理により生成するピットの径が大きくなりすぎるとともに径の均一性が低下する場合がある。特に耐汚れ性に劣る場合がある。そのため、本発明においては、Cuの含有量の上限を0.040質量%にする。
また、本発明者らは、Cu含有量を上記範囲にすることで、塩酸液中で電解粗面化処理により生成する直径0.5μm以下のピットを均一にでき、かつ、支持体表面の表面積の増加割合を最大にできることを見出した。表面積の増加割合を大きくすることにより画像記録層との接触面積を大きくできるため、これらの密着力が向上し、印刷性能に優れたものとなり、また平版印刷版としたときの耐汚れ性が優れたものとなる。
本発明においては、上記観点から、Cuの含有量は、0.020〜0.040質量%であり、好ましくは0.020〜0.030質量%である。
【0076】
Tiは、以前より、鋳造時の結晶組織を微細にするために、結晶微細化材として、通常、0.050質量%以下の含有量で含有されている。Ti含有量が多すぎると、電解粗面化処理、特に硝酸水溶液での電解粗面化処理において表面酸化皮膜の抵抗が過小となるため、均一なピットが形成されない場合がある。本発明においては、Tiの含有量は、0.050質量%以下であり、0.030質量%以下であるのが好ましい。
また、Tiはアルミニウム板に含有されていてもいなくてもよく、またその含有量は少なくてもよいが、結晶微細化効果を高めるためには、Tiの含有量は、0.005質量%以上であるのが好ましく、0.01質量%以上であるのがより好ましい。
Tiは、主として、Alとの金属間化合物またはTiB2 として添加されるが、結晶微細化効果を高めるためには、Al−Ti合金またはAl−B−Ti合金として添加されるのが好ましい。なお、Al−B−Ti合金として添加した場合、アルミニウム合金中にBが微量含有されることになるが、本発明の効果は損なわれない。
【0077】
アルミニウム板の残部は、Alと不可避不純物からなる。不可避不純物の大部分は、Al地金中に含有される。不可避不純物は、例えば、Al純度99.7%の地金に含有されるものであれば、本発明の効果を損なわない。不可避不純物については、例えば、L.F.Mondolfo著「Aluminum Alloys:Structure and properties」(1976年)等に記載されている量の不純物が含有されていてもよい。
アルミニウム合金に含有される不可避不純物としては、例えば、Mg、Mn、Zn、Cr等が挙げられ、これらはそれぞれ0.05質量%以下含まれていてもよい。これら以外の元素については、従来公知の含有量で含まれていてもよい。
【0078】
上記したアルミニウム板の異種元素を上記の範囲で含有するアルミニウム板を用いると、後述する電解粗面化処理において均一かつ大きなピットが形成され好適な表面形状が得られるため、上記した改善効果を有することを知見した。
特に、上記の範囲で異種元素を含有するアルミニウム板に電気化学的粗面化処理を含む粗面化処理を施して得られる平版印刷版用支持体が上記したAFMを用いて求められる表面形状を表す各ファクターを満足すると、平版印刷版としたときの印刷性能および取り扱い性をいずれも高い水準で満足できる。
【0079】
次に、本発明に用いるアルミニウム板の製造方法について説明する。
アルミニウム合金を板材とするには、例えば、下記の方法を採用することができる。
まず、所定の合金成分含有量に調整したアルミニウム合金溶湯に、常法に従い、清浄化処理を行い、鋳造する。清浄化処理においては、溶湯中に混入している水素等の不要ガスや、固形の不純物を除去する。不要ガスを除去する清浄化処理としては、例えば、フラックス処理;アルゴンガス、塩素ガス等を用いる脱ガス処理が挙げられる。また、固形の不純物を除去する清浄化処理としては、例えば、セラミックチューブフィルタ、セラミックフォームフィルタ等のいわゆるリジッドメディアフィルタや、アルミナフレーク、アルミナボール等をろ材とするフィルタや、グラスクロスフィルタ等を用いるフィルタリング処理が挙げられる。また、脱ガス処理とフィルタリング処理とを組み合わせた清浄化処理を行うこともできる。
【0080】
これらの清浄化処理は、溶湯中の非金属介在物、酸化物等の異物による欠陥や、溶湯に溶け込んだガスによる欠陥を防ぐため、実施されるのが好ましい。溶湯のフィルタリング処理としては、例えば、特開平6−57342号公報、特開平3−162530号公報、特開平5−140659号公報、特開平4−231425号公報、特開平4−276031号公報、特開平5−311261号公報および特開平6−136466号公報に記載されている方法を用いることができる。また、溶湯の脱ガス処理としては、例えば、特開平5−51659号公報、特開平5−51660号公報、特開平5−49148号公報および特開平7−40017号公報に記載されている方法を用いることができる。
【0081】
ついで、アルミニウム合金溶湯を、DC鋳造法に代表される固定鋳型を用いる鋳造法、および、連続鋳造法に代表される駆動鋳型を用いる鋳造法のいずれかにより鋳造する。
DC鋳造においては、冷却速度が1〜300℃/秒の範囲で凝固する。冷却速度が1℃/秒未満であると粗大な金属間化合物が多数形成されることがある。DC鋳造を行った場合、板厚300〜800mmの鋳塊を製造することができる。
連続鋳造法としては、ハンター法および3C法に代表される冷却ロールを用いる方法と、ハズレー法およびアルスイスキャスターII型に代表される冷却ベルトまたは冷却ブロックを用いる方法とが工業的に行われている。連続鋳造法を用いる場合には、100〜1000℃/秒の範囲の冷却速度で凝固される。一般的に連続鋳造法は、DC鋳造法に比べて冷却速度が速いため、アルミニウムマトリックスに対する合金成分の固溶度を高くできるという特徴がある。連続鋳造法に関しては、例えば、特開平3−79798号公報、特開平5−201166号公報、特開平5−156414号公報、特開平6−262203号公報、特開平6−122949号公報、特開平6−210406号公報および特開平6−262308号公報に記載されている方法を用いることができる。
【0082】
DC鋳造法の場合、板厚300〜800mmの鋳塊が製造されるので、常法に従い、面削により表層の1〜30mm、好ましくは1〜10mmが切削される。その後、必要に応じて、均熱化処理が行われる。均熱化処理を行う場合、金属間化合物が粗大化しないように、450〜620℃で1〜48時間の熱処理を行う。1時間未満の場合は、均熱化処理の効果が不十分となることがある。金属間化合物の安定化の必要がない場合、均熱化処理は省略することができる。
【0083】
その後、熱間圧延、冷間圧延を行ってアルミニウム合金板の圧延板とする。熱間圧延の開始温度は350〜500℃が適当である。熱間圧延の前もしくは後、またはその途中において、中間焼鈍処理を行ってもよい。その条件は、バッチ式焼鈍炉を用いて280〜600℃で2〜20時間、好ましくは350〜500℃で2〜10時間加熱するか、連続焼鈍炉を用いて400〜600℃で6分以下、好ましくは450〜550℃で2分以下加熱するかである。連続焼鈍炉を用いて10℃/秒の昇温速度で加熱して、結晶組織を細かくすることもできる。熱間圧延終了時点で、結晶組織が微細であれば、中間焼鈍は省略してもよい。冷間圧延に関しては、例えば、特開平6−210308号公報に記載されている。
【0084】
以上の工程によって、所定の厚さ、0.1〜0.5mmに仕上げられたアルミニウム合金板は、更にローラレベラ、テンションレベラ等の矯正装置によって平面性を改善してもよい。
【0085】
アルミニウム板は、断面形状が以下のものであるのが好ましい。
通常、アルミニウム板は、コイルとして巻かれた状態で所定期間保管される。板断面において、板の端部、即ち、耳部の厚みが厚すぎると、数千mにわたってコイル状に巻かれて保管されている間に、厚い部分が塑性変形を起こし、耳歪みと称される端部の歪みが発生する。同様に、板の内側の厚みが厚すぎると、塑性変形を起こし、腹歪みと称される内側の歪みが発生する。
【0086】
腹歪みの発生は耳歪みに比べて発生しにくい傾向にあるため、本発明においては、耳歪みの発生防止を優先し、板の内側の板厚を板の端部よりやや厚く仕上げるのが好ましい。具体的には、板の平均板厚に対する耳部の板厚を一定以下にするため、以下のように定義されるa値を1.0以下にすることが好ましい。また、板の内側の板厚を平均板厚に対して厚くしすぎないため、以下のように定義されるpc値を2.0%以下にするのが好ましい。上述した冷間圧延工程において、冷間圧延ロールのたわみ形状を調整することで、a値およびpc値を所望の値に調整することができる。
a=h/c
pc= c/tc×100(%)
h:耳部板厚と最小板厚との差
c:中央部最大板厚と最小板厚との差
tc:中央部最大板厚
なお、これらの値は、特開平11−254847号公報の図2を参照することにより、より容易に理解される。
【0087】
また、本発明においては、アルミニウム板の長さ4mあたりの曲がりが0.3mm以下であるのが好ましい。アルミニウム板の曲がりが大きいと、コイルとして巻いた場合に、巻いていくに従って徐々に巻きズレが大きくなり、巻きズレに起因する板端部の折れや歪みが発生する。冷間圧延ロールの平行度および冷間圧延機でのアルミニウム板の送り出し精度をコントロールすることにより上記曲がりの目標数値は達成できる。
【0088】
また、本発明においては、板の端部のバリの高さが10μm以下であるのが好ましい。断面形状の説明で述べたのと同様の理由により、端部のバリが大きいと、コイルとして巻かれて保管される間に、端部での塑性変形が起こりやすい。また、平版印刷版用支持体を得るための表面処理や、平版印刷版原版とするための記録層塗布工程において、バリは、パスロールや塗布装置といった平版印刷版原版製造設備に傷を付けやすいので、好ましくない。したがって、上述したように、バリの高さを10μm以下とするのが好ましい。コイルの耳部を切り落とすスリッタ工程における刃のクリアランスのコントロールにより、バリの高さを10μm以下とすることができる。
【0089】
また、所定の板幅に加工するため、スリッタラインを通すことも通常行われる。スリッタによって切られた板の端面には、スリッタ刃に切られるときに、せん断面と破断面の一方または両方が生じる。
【0090】
本発明において、アルミニウム板の板厚は0.1〜0.5mmの範囲で選択され、その精度は、コイル全長にわたっての板厚差が、20μm以内であるのが好ましく、12μm以内であるのがより好ましい。また、幅方向の板厚差は、6μm以内であるのが好ましく、3μm以内であるのがより好ましい。また、板幅の精度は、2.0mm以内であるのが好ましく、1.0mm以内であるのがより好ましい。
【0091】
アルミニウム板の表面粗さは、圧延ロールの表面粗さの影響を受けやすいが、最終的に算術平均粗さRa が0.1〜1.0μm程度となるように仕上げるのが好ましい。Ra が大きすぎると、得られる平版印刷版原版において、アルミニウム板のもともとの粗さ、即ち、圧延ロールによって転写された粗い圧延条痕が記録層の上から見えるため、外観上好ましくない。Ra を0.1μm以下とするためには、圧延ロールの表面を過度に低粗度に仕上げる必要があるため、工業的に好ましくない。
【0092】
また、アルミニウム板同士の摩擦による傷の発生を防止するために、アルミニウム板の表面に薄い油膜を設けてもよい。油膜としては、必要に応じて、揮発性のものや、不揮発性のものが適宜用いられる。油量が多すぎると、製造ライン中でスリップ故障が発生する場合があるので、油量は100mg/m2 以下であるのが好ましく、50mg/m2 以下であるのがより好ましく、10mg/m2 以下であるのが更に好ましく、また、油量が皆無だとコイル輸送中に傷が発生する場合があるので、油量は3mg/m2 以上であるのが好ましい。
【0093】
連続鋳造の場合、例えば、ハンター法(双ロール法)等の冷却ロールを用いる方法によれば、板厚1〜10mmの鋳造板を直接連続鋳造圧延することができ、熱間圧延の工程を省略することができるという利点がある。また、ハズレー法(双ベルト法)等の冷却ベルトを用いる方法によれば、板厚10〜50mmの鋳造板を鋳造することができ、一般的に、鋳造直後に熱間圧延ロールを用いて連続的に圧延することにより、板厚1〜10mmの連続鋳造圧延板が得られる。
これらの方法により得られた連続鋳造圧延板は、DC鋳造の場合において述べたように、冷間圧延、中間焼鈍、平面性改善、スリット等の工程を経て、所定の板厚0.1〜0.5mmに仕上げられる。連続鋳造法を用いた場合の中間焼鈍および冷間圧延の条件については、例えば、特開平6−220593号公報、特開平6−210308号公報、特開平7−54111号公報および特開平8−92709号公報に記載されている方法を用いることができる。
【0094】
<粗面化処理>
本発明の平版印刷版用支持体は、上記したアルミニウム板に、電気化学的粗面化処理を含む粗面化処理を施して得られる。
したがって、上記本発明に用いるアルミニウム板は、電気化学的粗面化処理を含む粗面化処理を施される。本発明においては、上述したように、アルミニウム合金板が特定元素を特定量含有しているので、電気化学的粗面化処理により、平版印刷版用支持体表面上に均一かつ極めて微細なピットを形成させることができ、上記表面形状を表す各ファクターを満足できる。その結果、該平版印刷版用支持体に画像記録層を設けてなる平版印刷版原版は、平版印刷版としたときの印刷性能(耐刷性、耐汚れ性、感度および耐クリーナ耐刷性等)および取り扱い性(耐キズ性、疲労破断強度等)に優れる。
また、本発明の平版印刷版用支持体を用いて、レーザ直描型の画像記録層を設け、レーザ刷版用の平版印刷版原版とした場合においても、同様に印刷性能および取り扱い性に優れる。
更に、支持体表面のSi原子付着量を0.1〜30mg/m2 とし、これに画像記録層を設けて平版印刷版原版とした場合においても、画像記録層と支持体との密着性を低下させることなく、平版印刷版としたときの印刷性能および取り扱い性に優れる。
【0095】
電気化学的粗面化処理は、通常、硝酸、塩酸等の酸を電解液として、アルミニウム板とそれに対向する電極との間に直流電流または交流電流を通じることによって行われる。交流電解では、商用交流の正弦波(sin波)電流、特殊交番電流、矩形波電流等を用いることができる。電解液の濃度は、1〜300g/Lであるのが好ましい。硝酸、塩酸等の電解液中に、適宜、電気化学的粗面化処理の安定化に必要な元素をイオンの形で添加することもできる。
【0096】
電気化学的粗面化処理によりクレーター状またはハニカム状のピットをアルミニウム合金板の表面に30〜100%の面積率(分散密度)で生成することができる。
本発明においては、アルミニウム板中のCuの含有量を制御することにより、硝酸電解(硝酸水溶液中での電気化学的粗面化処理)で生じるピットの平均径を1.5μm以上と大きくすることができ、保水性を向上させることができ、その結果耐汚れ性を改善できる。
また、本発明においては、アルミニウム合金中のCuの含有量を制御することにより、塩酸電解(塩酸水溶液中での電気化学的粗面化処理)で生じるピットの径を円相当径にして0.5μm以下、好ましくは、0.3μm以下とすることができるとともに、形成されるピットの10%以上を、略正方形または長方形にでき、アルミニウム板の表面積を大きくできるため、画像記録層との密着性を向上できる。
【0097】
電気化学的粗面化処理に用いられる電気量は、硝酸電解の場合、アノード反応での総電気量で、50〜400C/dm2 であるのが好ましく、100〜300C/dm2 であるのがより好ましい。塩酸電解の場合、アノード反応での総電気量で、10〜100C/dm2 であるのが好ましく、30〜80C/dm2 であるのがより好ましい。
該塩酸電解処理は、硝酸電解処理の後に行うのが好ましい。
【0098】
本発明においては、電気化学的粗面化処理と、他の粗面化処理とを組み合わせることが好ましい。他の粗面化処理としては、例えば、機械的粗面化処理、化学的粗面化処理等が挙げられる。ここで、機械的粗面化処理としては、研磨剤とブラシを用いる方法またはアルミニウム板表面に凹凸を転写する方法が好ましい。
粗面化処理として、機械的粗面化処理、硝酸電解粗面化、塩酸電解粗面化の順で粗面化処理を行うのが好ましい。
なお、各粗面化処理の後には、鋭利な部分を除去するため、アルカリを主体とした液での化学的エッチング処理と、化学的エッチングで生じた生成物を除去するため、酸性液を主体としたデスマット処理を行うことが好ましい。
これらの粗面化処理は、それぞれ一般的に行われる方法により行うことができる。
【0099】
特に、耐キズ性を向上できる点で、上記硝酸電解粗面化処理の後に行う、上記アルカリを主体とした液での化学的エッチング処理を、アルミニウム板の溶解量が1g/m2 以上となるように行うのが好ましく、該溶解量が2g/m2 以上となるように行うのがより好ましく、該溶解量が3g/m2 以上4g/m2 未満となるように行うのが更に好ましい。
上記製造方法により得られる特定の組成からなるアルミニウム板に、上記粗面化処理を施すことにより、原子間力顕微鏡で求められる表面形状を表すファクター(各表面積比および各急峻度)を持つ平版印刷版用支持体を得ることができ、該平版印刷版用支持体は、その上に画像記録層を設けてなる平版印刷版原版を平版印刷版としたときの、印刷性能(耐刷性、耐汚れ性、感度および耐クリーナ耐刷性等)および取り扱い性(耐キズ性、疲労破断強度)を両立できる。
【0100】
上記した、硝酸電解および塩酸電解等により形成されるピット形状の測定方法は、以下の通りである。
高分解能走査型電子顕微鏡(FESEM)を用いて支持体の表面を真上から倍率50000倍で撮影し、得られたSEM写真において平均円相当径0.5μm以下のピットの総数を数える。
ついで、SEM写真において、真円でないピットであって、角部の曲率半径(R)がそのピットの円相当径の1/4以下であるものを略正方形または長方形であるとして、その個数を数える。略正方形または長方形のピットの個数を平均円相当径0.5μm以下のピットの総数で除して、略正方形または長方形のピットの割合を算出する。
【0101】
<陽極酸化処理>
粗面化処理に引き続いて、アルミニウム板の表面の耐磨耗性を高めるために、陽極酸化処理が行われるのが好ましい。
陽極酸化処理に使用される電解質は、多孔質酸化皮膜を形成することができるものであれば、いかなるものでもよい。一般には、硫酸、リン酸、シュウ酸、クロム酸、またはこれらの混合物が用いられる。電解質の濃度は、電解質の種類等によって適宜決められる。陽極酸化処理の条件は、電解質によってかなり変動するので、特定しにくいが、一般的には電解質の濃度が1〜80質量%、液温5〜70℃、電流密度1〜60A/dm2 、電圧1〜100V、電解時間10〜300秒であればよい。
【0102】
<親水化処理>
上述粗面化処理を施され、好ましくは、更に陽極酸化処理を施されたアルミニウム板は、アルカリ金属ケイ酸塩の水溶液を用いて親水化処理を施されるのがより好ましい。
アルカリ金属ケイ酸塩による親水化処理としては、従来公知の種々の方法を用いることができるが、アルカリ金属ケイ酸塩の支持体表面への付着量を所定の範囲になるように行うのが好ましい。
本発明においては、平版印刷版用支持体の表面へのアルカリ金属ケイ酸塩のSi原子換算の付着量(Si原子付着量)が、0.1mg/m2 以上であるのが好ましく、2.0mg/m2 以上であるのがより好ましい。Si原子付着量が0.1mg/m2 未満であると、感度、耐クリーナ耐刷性および耐汚れ性のいずれか1つ以上が劣る場合がある。また、平版印刷版の非画像部の親水性を増すために、アルカリ金属ケイ酸塩を含有する現像液を用いて現像すると、SiO2 に起因する固形物が析出し、現像時の非画像部の白色化や、現像時のカスやヘドロの発生が起こる場合がある。
一方、本発明においては、Si原子付着量が、30mg/m2 以下であるのが好ましく、20mg/m2 以下であるのがより好ましく、10mg/m2 以下であるのが更に好ましい。Si原子付着量が30mg/m2 を超えると、耐刷性が劣る場合がある。
【0103】
本発明において、平版印刷版用支持体の表面へのアルカリ金属ケイ酸塩の付着量は、蛍光X線分析装置(XRF:X−ray Fluorescence Spectrometer)を用いて、検量線法によりSi原子付着量(Si mg/m2 )として測定された値を用いる。検量線を作成するための標準試料としては、既知量のSi原子を含有するケイ酸ナトリウム水溶液を、アルミニウム板の上の30mmφの面積内に均一に滴下した後、乾燥させたものが用いられる。蛍光X線分析装置の機種その他の条件は、特に限定されない。Siの蛍光X線分析の条件の一例を以下に示す。
【0104】
蛍光X線分析装置:理学電機工業社製RIX3000、X線管球:Rh、測定スペクトル:Si−Kα、管電圧:50kV、管電流:50mA、スリット:COARSE、分光結晶:RX4、検出器:F−PC、分析面積:30mmφ、ピーク位置(2θ):144.75deg.、バックグランド(2θ):140.70deg.および146.85deg.、積算時間:80秒/sample
【0105】
親水化処理は、例えば、アルカリ金属ケイ酸塩の濃度が0.001〜30質量%、好ましくは0.01〜10質量%、より好ましくは0.1〜5質量%で、25℃でのpHが10〜13であるアルカリ金属ケイ酸塩水溶液に、好ましくは陽極酸化処理を施された平版印刷版用支持体を4〜40℃で0.5〜120秒間、好ましくは2〜30秒間浸せきさせることにより行うことができる。上記のアルカリ金属ケイ酸塩濃度、pH、温度、処理時間等の処理条件は、Si原子付着量が上記特定量となるように、適宜選択することができる。アルカリ金属ケイ酸塩水溶液のpHが10より低いと、液はゲル化しやすく、また、pHが13.0より高いと、陽極酸化皮膜が溶解されるおそれがあるので、この点に注意を要する。
【0106】
親水化処理に用いられるアルカリ金属ケイ酸塩としては、例えば、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム、ケイ酸リチウムが挙げられる。
親水化処理においては、必要に応じ、アルカリ金属ケイ酸塩水溶液のpHを高く調整するために、水酸化物を配合することができる。水酸化物としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウムが挙げられる。
【0107】
また、必要に応じ、アルカリ金属ケイ酸塩水溶液にアルカリ土類金属塩および/または4族(第IVA族)金属塩を配合してもよい。アルカリ土類金属塩としては、例えば、アルカリ土類金属の硝酸塩(例えば、硝酸カルシウム、硝酸ストロンチウム、硝酸マグネシウム、硝酸バリウム)、硫酸塩、塩酸塩、リン酸塩、酢酸塩、シュウ酸塩、ホウ酸塩等の水溶性の塩が挙げられる。4族(第IVA族)金属塩としては、例えば、四塩化チタン、三塩化チタン、フッ化チタンカリウム、シュウ酸チタンカリウム、硫酸チタン、四ヨウ化チタン、塩化酸化ジルコニウム、二酸化ジルコニウム、オキシ塩化ジルコニウム、四塩化ジルコニウムが挙げられる。アルカリ土類金属塩および4族(第IVA族)金属塩は、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらの金属塩の使用量は、好ましくは0.01〜10質量%であり、より好ましくは0.05〜5.0質量%である。
【0108】
[平版印刷版原版]
<下塗層>
本発明の平版印刷版原版においては、上記のようにして得られた本発明の平版印刷版用支持体上に、画像記録層を設ける前に、必要に応じて、例えば、ホウ酸亜鉛等の水溶性金属塩のような無機下塗層や、有機下塗層を設けてもよい。
【0109】
有機下塗層に用いられる有機化合物としては、例えば、カルボキシメチルセルロース;デキストリン;アラビアガム;スルホン酸基を側鎖に有する重合体および共重合体;ポリアクリル酸;2−アミノエチルホスホン酸等のアミノ基を有するホスホン酸類;置換基を有していてもよいフェニルホスホン酸、ナフチルホスホン酸、アルキルホスホン酸、グリセロホスホン酸、メチレンジホスホン酸、エチレンジホスホン酸等の有機ホスホン酸;置換基を有していてもよいフェニルリン酸、ナフチルリン酸、アルキルリン酸、グリセロリン酸等の有機リン酸;置換基を有していてもよいフェニルホスフィン酸、ナフチルホスフィン酸、アルキルホスフィン酸、グリセロホスフィン酸等の有機ホスフィン酸;グリシン、β−アラニン等のアミノ酸類;トリエタノールアミンの塩酸塩等のヒドロキシ基を有するアミンの塩酸塩;黄色染料が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
【0110】
有機下塗層は、水もしくはメタノール、エタノール、メチルエチルケトン等の有機溶媒、またはそれらの混合溶剤に、上記有機化合物を溶解させた溶液をアルミニウム板上に塗布し乾燥することにより設けられる。上記有機化合物を溶解させた溶液の濃度は、0.005〜10質量%であるのが好ましい。塗布の方法は、特に限定されず、バーコーター塗布、回転塗布、スプレー塗布、カーテン塗布等のいずれの方法も用いることができる。
有機下塗層の乾燥後の被覆量は、2〜200mg/m2 であるのが好ましく、5〜100mg/m2 であるのがより好ましい。上記範囲であると、耐刷性がより良好になる。
【0111】
[画像記録層]
本発明の平版印刷版用支持体には、画像記録層を設けて本発明の平版印刷版原版とすることができる。画像記録層には、感光性組成物が用いられる。
本発明に好適に用いられる感光性組成物としては、例えば、アルカリ可溶性高分子化合物と光熱変換物質とを含有するサーマルポジ型感光性組成物(以下、この組成物およびこれを用いた画像記録層について、「サーマルポジタイプ」という。)、硬化性化合物と光熱変換物質とを含有するサーマルネガ型感光性組成物(以下、同様に「サーマルネガタイプ」という。)、光重合型感光性組成物(以下、同様に「フォトポリマータイプ」という。)、ジアゾ樹脂または光架橋樹脂を含有するネガ型感光性組成物(以下、同様に「コンベンショナルネガタイプ」という。)、キノンジアジド化合物を含有するポジ型感光性組成物(以下、同様に「コンベンショナルポジタイプ」という。)、特別な現像工程を必要としない感光性組成物(以下、同様に「無処理タイプ」という。)が挙げられる。以下、これらの好適な感光性組成物について説明する。
【0112】
<サーマルポジタイプ>
<感光層>
サーマルポジタイプの感光性組成物は、水不溶性かつアルカリ可溶性の高分子化合物(本発明において、「アルカリ可溶性高分子化合物」という。)と光熱変換物質とを含有する。サーマルポジタイプの画像記録層においては、光熱変換物質が赤外線レーザ等の光のエネルギーを熱に変換し、その熱がアルカリ可溶性高分子化合物のアルカリ溶解性を低下させている相互作用を効率よく解除する。
【0113】
アルカリ可溶性高分子化合物としては、例えば、分子中に酸性基を含有する樹脂およびその2種以上の混合物が挙げられる。特に、フェノール性ヒドロキシ基、スルホンアミド基(−SO2 NH−R(式中、Rは炭化水素基を表す。))、活性イミノ基(−SO2 NHCOR、−SO2 NHSO2 R、−CONHSO2 R(各式中、Rは上記と同様の意味である。))等の酸性基を有する樹脂がアルカリ現像液に対する溶解性の点で好ましい。
とりわけ、赤外線レーザ等の光による露光での画像形成性に優れる点で、フェノール性ヒドロキシ基を有する樹脂が好ましく、例えば、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、m−クレゾール−ホルムアルデヒド樹脂、p−クレゾール−ホルムアルデヒド樹脂、m−/p−混合クレゾール−ホルムアルデヒド樹脂、フェノール/クレゾール(m−、p−およびm−/p−混合のいずれでもよい)混合−ホルムアルデヒド樹脂(フェノール−クレゾール−ホルムアルデヒド共縮合樹脂)等のノボラック樹脂が好適に挙げられる。
更に、特開2001−305722号公報(特に[0023]〜[0042])に記載されている高分子化合物、特開2001−215693号公報に記載されている一般式(1)で表される繰り返し単位を含む高分子化合物、特開2002−311570号公報(特に[0107])に記載されている高分子化合物も好適に挙げられる。
【0114】
光熱変換物質としては、記録感度の点で、波長700〜1200nmの赤外域に光吸収域がある顔料または染料が好適に挙げられる。染料としては、例えば、アゾ染料、金属錯塩アゾ染料、ピラゾロンアゾ染料、ナフトキノン染料、アントラキノン染料、フタロシアニン染料、カルボニウム染料、キノンイミン染料、メチン染料、シアニン染料、スクワリリウム色素、ピリリウム塩、金属チオレート錯体(例えば、ニッケルチオレート錯体)が挙げられる。中でも、シアニン染料が好ましく、とりわけ特開2001−305722号公報に記載されている一般式(I)で表されるシアニン染料が好ましい。
【0115】
サーマルポジタイプの感光性組成物中には、溶解阻止剤を含有させることができる。溶解阻止剤としては、例えば、特開2001−305722号公報の[0053]〜[0055]に記載されているような溶解阻止剤が好適に挙げられる。
また、サーマルポジタイプの感光性組成物中には、添加剤として、感度調節剤、露光による加熱後直ちに可視像を得るための焼出し剤、画像着色剤としての染料等の化合物、塗布性および処理安定性を向上させるための界面活性剤を含有させるのが好ましい。これらについては、特開2001−305722号公報の[0056]〜[0060]に記載されているような化合物が好ましい。
上記以外の点でも、特開2001−305722号公報に詳細に記載されている感光性組成物が好ましく用いられる。
【0116】
また、サーマルポジタイプの画像記録層は、単層に限らず、2層構造であってもよい。
2層構造の画像記録層(重層系の画像記録層)としては、支持体に近い側に耐刷性および耐溶剤性に優れる下層(以下「A層」という。)を設け、その上にポジ画像形成性に優れる層(以下「B層」という。)を設けたタイプが好適に挙げられる。このタイプは感度が高く、広い現像ラチチュードを実現することができる。B層は、一般に、光熱変換物質を含有する。光熱変換物質としては、上述した染料が好適に挙げられる。
A層に用いられる樹脂としては、スルホンアミド基、活性イミノ基、フェノール性ヒドロキシ基等を有するモノマーを共重合成分として有するポリマーが耐刷性および耐溶剤性に優れている点で好適に挙げられる。B層に用いられる樹脂としては、フェノール性ヒドロキシ基を有するアルカリ水溶液可溶性樹脂が好適に挙げられる。
A層およびB層に用いられる組成物には、上記樹脂のほかに、必要に応じて、種々の添加剤を含有させることができる。具体的には、特開2002−3233769号公報の[0062]〜[0085]に記載されているような種々の添加剤が好適に用いられる。また、上述した特開2001−305722号公報の[0053]〜[0060]に記載されている添加剤も好適に用いられる。
A層およびB層を構成する各成分およびその含有量については、特開平11−218914号公報に記載されているようにするのが好ましい。
【0117】
<中間層>
サーマルポジタイプの画像記録層と支持体との間には、中間層を設けるのが好ましい。中間層に含有される成分としては、特開2001−305722号公報の[0068]に記載されている種々の有機化合物が好適に挙げられる。
【0118】
<その他>
サーマルポジタイプの画像記録層の製造方法および製版方法については、特開2001−305722号公報に詳細に記載されている方法を用いることができる。
【0119】
<サーマルネガタイプ>
サーマルネガタイプの感光性組成物は、硬化性化合物と光熱変換物質とを含有する。サーマルネガタイプの画像記録層は、赤外線レーザ等の光で照射された部分が硬化して画像部を形成するネガ型の感光層である。
<重合層>
サーマルネガタイプの画像記録層の一つとして、重合型の画像記録層(重合層)が好適に挙げられる。重合層は、光熱変換物質と、ラジカル発生剤と、硬化性化合物であるラジカル重合性化合物と、バインダーポリマーとを含有する。重合層においては、光熱変換物質が吸収した赤外線を熱に変換し、この熱によりラジカル発生剤が分解してラジカルが発生し、発生したラジカルによりラジカル重合性化合物が連鎖的に重合し、硬化する。
【0120】
光熱変換物質としては、例えば、上述したサーマルポジタイプに用いられる光熱変換物質が挙げられる。特に好ましいシアニン色素の具体例としては、特開2001−133969号公報の[0017]〜[0019]に記載されているものが挙げられる。
ラジカル発生剤としては、オニウム塩が好適に挙げられる。特に、特開2001−133969号公報の[0030]〜[0033]に記載されているオニウム塩が好ましい。
ラジカル重合性化合物としては、末端エチレン性不飽和結合を少なくとも1個、好ましくは2個以上有する化合物が挙げられる。
バインダーポリマーとしては、線状有機ポリマーが好適に挙げられる。水または弱アルカリ水に対して可溶性または膨潤性である線状有機ポリマーが好適に挙げられる。中でも、アリル基、アクリロイル基等の不飽和基またはベンジル基と、カルボキシ基とを側鎖に有する(メタ)アクリル樹脂が、膜強度、感度および現像性のバランスに優れている点で好適である。
ラジカル重合性化合物およびバインダーポリマーについては、特開2001−133969号公報の[0036]〜[0060]に詳細に記載されているものを用いることができる。
【0121】
サーマルネガタイプの感光性組成物中には、特開2001−133969号公報の[0061]〜[0068]に記載されている添加剤(例えば、塗布性を向上させるための界面活性剤)を含有させるのが好ましい。
【0122】
重合層の製造方法および製版方法については、特開2001−133969号公報に詳細に記載されている方法を用いることができる。
【0123】
<酸架橋層>
また、サーマルネガタイプの画像記録層の一つとして、酸架橋型の画像記録層(酸架橋層)も好適に挙げられる。酸架橋層は、光熱変換物質と、熱酸発生剤と、硬化性化合物である酸により架橋する化合物(架橋剤)と、酸の存在下で架橋剤と反応しうるアルカリ可溶性高分子化合物とを含有する。酸架橋層においては、光熱変換物質が吸収した赤外線を熱に変換し、この熱により熱酸発生剤が分解して酸が発生し、発生した酸により架橋剤とアルカリ可溶性高分子化合物とが反応し、硬化する。
【0124】
光熱変換物質としては、重合層に用いられるのと同様のものが挙げられる。
熱酸発生剤としては、例えば、光重合の光開始剤、色素類の光変色剤、マイクロレジスト等に使用されている酸発生剤等の熱分解化合物が挙げられる。
架橋剤としては、例えば、ヒドロキシメチル基またはアルコキシメチル基で置換された芳香族化合物;N−ヒドロキシメチル基、N−アルコキシメチル基またはN−アシルオキシメチル基を有する化合物;エポキシ化合物が挙げられる。
アルカリ可溶性高分子化合物としては、例えば、ノボラック樹脂、側鎖にヒドロキシアリール基を有するポリマーが挙げられる。
【0125】
<フォトポリマータイプ>
光重合型感光性組成物は、付加重合性化合物と、光重合開始剤と、高分子結合剤とを含有する。
付加重合性化合物としては、付加重合可能なエチレン性不飽和結合含有化合物が好適に挙げられる。エチレン性不飽和結合含有化合物は、末端エチレン性不飽和結合を有する化合物である。具体的には、例えば、モノマー、プレポリマー、これらの混合物等の化学的形態を有する。モノマーの例としては、不飽和カルボン酸(例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸)と脂肪族多価アルコール化合物とのエステル、不飽和カルボン酸と脂肪族多価アミン化合物とのアミドが挙げられる。
また、付加重合性化合物としては、ウレタン系付加重合性化合物も好適に挙げられる。
【0126】
光重合開始剤としては、種々の光重合開始剤または2種以上の光重合開始剤の併用系(光開始系)を、使用する光源の波長により適宜選択して用いることができる。例えば、特開2001−22079号公報の[0021]〜[0023]に記載されている開始系が好適に挙げられる。
高分子結合剤は、光重合型感光性組成物の皮膜形成剤として機能するだけでなく、画像記録層をアルカリ現像液に溶解させる必要があるため、アルカリ水に対して可溶性または膨潤性である有機高分子重合体が用いられる。そのような有機高分子重合体としては、特開2001−22079号公報の[0036]〜[0063]に記載されているものが好適に挙げられる。
【0127】
フォトポリマータイプの光重合型感光性組成物中には、特開2001−22079号公報の[0079]〜[0088]に記載されている添加剤(例えば、塗布性を向上させるための界面活性剤、着色剤、可塑剤、熱重合禁止剤)を含有させるのが好ましい。
【0128】
また、フォトポリマータイプの画像記録層の上に、酸素の重合禁止作用を防止するために酸素遮断性保護層を設けることが好ましい。酸素遮断性保護層に含有される重合体としては、例えば、ポリビニルアルコール、その共重合体が挙げられる。
更に、特開2001−228608号公報の[0124]〜[0165]に記載されているような中間層または接着層を設けるのも好ましい。
【0129】
<コンベンショナルネガタイプ>
コンベンショナルネガタイプの感光性組成物は、ジアゾ樹脂または光架橋樹脂を含有する。中でも、ジアゾ樹脂とアルカリ可溶性または膨潤性の高分子化合物(結合剤)とを含有する感光性組成物が好適に挙げられる。
ジアゾ樹脂としては、例えば、芳香族ジアゾニウム塩とホルムアルデヒド等の活性カルボニル基含有化合物との縮合物;p−ジアゾフェニルアミン類とホルムアルデヒドとの縮合物とヘキサフルオロリン酸塩またはテトラフルオロホウ酸塩との反応生成物である有機溶媒可溶性ジアゾ樹脂無機塩が挙げられる。特に、特開昭59−78340号公報に記載されている6量体以上を20モル%以上含んでいる高分子量ジアゾ化合物が好ましい。
結合剤としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸またはマレイン酸を必須成分として含む共重合体が挙げられる。具体的には、特開昭50−118802号公報に記載されているような2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリル酸等のモノマーの多元共重合体、特開昭56−4144号公報に記載されているようなアルキルアクリレート、(メタ)アクリロニトリルおよび不飽和カルボン酸からなる多元共重合体が挙げられる。
【0130】
コンベンショナルネガタイプの感光性組成物には、添加剤として、特開平7−281425号公報の[0014]〜[0015]に記載されている焼出し剤、染料、塗膜の柔軟性および耐摩耗性を付与するための可塑剤、現像促進剤等の化合物、塗布性を向上させるための界面活性剤を含有させるのが好ましい。
【0131】
コンベンショナルネガタイプの感光層の下には、特開2000−105462号公報に記載されている、酸基を有する構成成分とオニウム基を有する構成成分とを有する高分子化合物を含有する中間層を設けるのが好ましい。
【0132】
<コンベンショナルポジタイプ>
コンベンショナルポジタイプの感光性組成物は、キノンジアジド化合物を含有する。中でも、o−キノンジアジド化合物とアルカリ可溶性高分子化合物とを含有する感光性組成物が好適に挙げられる。
o−キノンジアジド化合物としては、例えば、1,2−ナフトキノン−2−ジアジド−5−スルホニルクロライドとフェノール−ホルムアルデヒド樹脂またはクレゾール−ホルムアルデヒド樹脂とのエステル、米国特許第3,635,709号明細書に記載されている1,2−ナフトキノン−2−ジアジド−5−スルホニルクロライドとピロガロール−アセトン樹脂とのエステルが挙げられる。
アルカリ可溶性高分子化合物としては、例えば、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、クレゾール−ホルムアルデヒド樹脂、フェノール−クレゾール−ホルムアルデヒド共縮合樹脂、ポリヒドロキシスチレン、N−(4−ヒドロキシフェニル)メタクリルアミドの共重合体、特開平7−36184号公報に記載されているカルボキシ基含有ポリマー、特開昭51−34711号公報に記載されているようなフェノール性ヒドロキシ基を含有するアクリル系樹脂、特開平2−866号公報に記載されているスルホンアミド基を有するアクリル系樹脂、ウレタン系の樹脂が挙げられる。
【0133】
コンベンショナルポジタイプの感光性組成物には、添加剤として、特開平7−92660号公報の[0024]〜[0027]に記載されている感度調節剤、焼出剤、染料等の化合物や、特開平7−92660号公報の[0031]に記載されているような塗布性を向上させるための界面活性剤を含有させるのが好ましい。
【0134】
コンベンショナルポジタイプの感光層の下には、上述したコンベンショナルネガタイプに好適に用いられる中間層と同様の中間層を設けるのが好ましい。
【0135】
<無処理タイプ>
無処理タイプの感光性組成物には、熱可塑性微粒子ポリマー型、マイクロカプセル型、スルホン酸発生ポリマー含有型等が挙げられる。これらはいずれも光熱変換物質を含有する感熱型である。光熱変換物質は、上述したサーマルポジタイプに用いられるのと同様の染料が好ましい。
【0136】
熱可塑性微粒子ポリマー型の感光性組成物は、疎水性かつ熱溶融性の微粒子ポリマーが親水性高分子マトリックス中に分散されたものである。熱可塑性微粒子ポリマー型の画像記録層においては、露光により発生する熱により疎水性の微粒子ポリマーが溶融し、互いに融着して疎水性領域、即ち、画像部を形成する。
微粒子ポリマーとしては、微粒子同士が熱により溶融合体するものが好ましく、表面が親水性で、湿し水等の親水性成分に分散しうるものがより好ましい。具体的には、Reseach Disclosure No.33303(1992年1月)、特開平9−123387号、同9−131850号、同9−171249号および同9−171250号の各公報、欧州特許出願公開第931,647号明細書等に記載されている熱可塑性微粒子ポリマーが好適に挙げられる。中でも、ポリスチレンおよびポリメタクリル酸メチルが好ましい。親水性表面を有する微粒子ポリマーとしては、例えば、ポリマー自体が親水性であるもの;ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール等の親水性化合物を微粒子ポリマー表面に吸着させて表面を親水性化したものが挙げられる。
微粒子ポリマーは、反応性官能基を有するのが好ましい。
【0137】
マイクロカプセル型の感光性組成物としては、特開2000−118160号公報に記載されているもの、特開2001−277740号公報に記載されているような熱反応性官能基を有する化合物を内包するマイクロカプセル型が好適に挙げられる。
【0138】
スルホン酸発生ポリマー含有型の感光性組成物に用いられるスルホン酸発生ポリマーとしては、例えば、特開平10−282672号公報に記載されているスルホン酸エステル基、ジスルホン基またはsec−もしくはtert−スルホンアミド基を側鎖に有するポリマーが挙げられる。
【0139】
無処理タイプの感光性組成物に、親水性樹脂を含有させることにより、機上現像性が良好となるばかりか、感光層自体の皮膜強度も向上する。親水性樹脂としては、例えば、ヒドロキシ基、カルボキシ基、ヒドロキシエチル基、ヒドロキシプロピル基、アミノ基、アミノエチル基、アミノプロピル基、カルボキシメチル基等の親水基を有するもの、親水性のゾルゲル変換系結着樹脂が好ましい。
【0140】
無処理タイプの画像記録層は、特別な現像工程を必要とせず、印刷機上で現像することができる。無処理タイプの画像記録層の製造方法および製版印刷方法については、特開2002−178655号公報に詳細に記載されている方法を用いることができる。
【0141】
<バックコート>
このようにして、本発明の平版印刷版用支持体上に各種の画像記録層を設けて得られる本発明の平版印刷版原版の裏面には、必要に応じて、重ねた場合における画像記録層の傷付きを防止するために、有機高分子化合物からなる被覆層を設けることができる。
【0142】
<平版印刷版原版の製造方法>
画像記録層等の各層は、通常、上記各成分を溶媒に溶かして得られる塗布液を、平版印刷版用支持体上に塗布することにより製造することができる。
ここで使用する溶媒としては、エチレンジクロライド、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、メタノール、エタノール、プロパノール、エチレングリコールモノメチルエーテル、1−メトキシ−2−プロパノール、2−メトキシエチルアセテート、1−メトキシ−2−プロピルアセテート、ジメトキシエタン、乳酸メチル、乳酸エチル、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、テトラメチルウレア、N−メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド、スルホラン、γ−ブチルラクトン、トルエン、水等を挙げることができるが、本発明はこれらに限定されるものではない。これらの溶剤は単独でまたは混合して使用される。
溶媒中の上記成分(全固形分)の濃度は、1〜50質量%であるのが好ましい。
【0143】
塗布する方法としては、種々の方法を用いることができるが、例えば、バーコーター塗布、回転塗布、スプレー塗布、カーテン塗布、ディップ塗布、エアーナイフ塗布、ブレード塗布、ロール塗布等を挙げることができる。
【0144】
[製版方法(平版印刷版の製造方法)]
本発明の平版印刷版用支持体を用いた平版印刷版原版は、画像記録層に応じた種々の処理方法により、平版印刷版とされる。
像露光に用いられる活性光線の光源としては、例えば、水銀灯、メタルハライドランプ、キセノンランプ、ケミカルランプが挙げられる。レーザビームとしては、例えば、ヘリウム−ネオンレーザ(He−Neレーザ)、アルゴンレーザ、クリプトンレーザ、ヘリウム−カドミウムレーザ、KrFエキシマーレーザ、半導体レーザ、YAGレーザ、YAG−SHGレーザが挙げられる。
【0145】
上記露光の後、画像記録層がサーマルポジタイプ、サーマルネガタイプ、コンベンショナルネガタイプ、コンベンショナルポジタイプおよびフォトポリマータイプのいずれかである場合は、露光した後、現像液を用いて現像して平版印刷版を得るのが好ましい。
現像液は、アルカリ現像液であるのが好ましく、有機溶剤を実質的に含有しないアルカリ性の水溶液であるのがより好ましい。
また、アルカリ金属ケイ酸塩を実質的に含有せずかつ糖類を含有する現像液(アルカリ金属ケイ酸塩を実質的に含有しない現像液)も好ましい。アルカリ金属ケイ酸塩を実質的に含有しない現像液を用いて現像する方法としては、特開平11−109637号公報に詳細に記載されている方法を用いることができる。
また、アルカリ金属ケイ酸塩を含有する現像液を用いることもできる。
【0146】
実質的にアルカリ金属ケイ酸塩を含有しない現像液を用いて現像する平版印刷版原版の処理方法を用いると、アルカリ金属ケイ酸塩を含有する現像液を用いて現像する場合における問題、即ち、SiO2 に起因する固形物が析出しやすいこと、現像液の廃液を処理する際の中和処理においてSiO2 に起因するゲルが生成すること等の問題の発生を防止することができる。
【0147】
上記本発明のアルミニウム板に、電気化学的粗面化処理を含む粗面化処理を施して得られる、上記表面形状を表すファクターを満足する本発明の平版印刷版用支持体上に画像記録層を設けてなる本発明の平版印刷版原版は、平版印刷版としたときの、印刷性能および取り扱い性に優れる。
特に、局所的深部の個数が本発明の範囲にある平版印刷版用支持体上に画像記録層を設けてなる本発明の平版印刷版原版は、感度により優れる。
【0148】
また、本発明のアルミニウム板を用いる平版印刷版用支持体上にレーザを用いて露光するタイプの画像記録層を設けてなる本発明の平版印刷版原版は、平版印刷版としたときの印刷性能および取り扱い性に優れ、そのうえアルカリ金属ケイ酸塩を含有しない現像液で処理することができる。
【0149】
【実施例】
以下に実施例を示して本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限られるものではない。
[実施例1〜26および比較例1〜11]
1.平版印刷版用支持体の作製
<アルミニウム板>
第1表に示す金属元素を含有し、残部はAlと不可避不純物からなるアルミニウム合金を用いて溶湯を調製し、溶湯処理およびろ過を行った上で、厚さ500mm、幅1200mmの鋳塊をDC鋳造法で作製した。表面を平均10mmの厚さで面削機により削り取った後、550℃で、約5時間均熱保持し、温度400℃に下がったところで、熱間圧延機を用いて厚さ2.7mmの圧延板とした。更に、連続焼鈍機を用いて熱処理を500℃で行った後、冷間圧延で、厚さ2.4mmに仕上げ、アルミニウム板の幅を1030mmに調整して、アルミニウム板Al−1〜Al−32を得た。
【0150】
【表1】
【0151】
<表面処理>
得られたアルミニウム板Al−1〜Al−32に、以下の(a)〜(k)の各種表面処理を連続的に行い、実施例1〜26および比較例1〜11の各平版印刷版用支持体を得た。
各実施例および比較例に用いたアルミニウム板ならびに複数の条件がある表面処理の場合の各条件の組み合わせを第2表に示した。
なお、各処理の後には水洗を行いその後にニップローラで液切りを行った。
【0152】
(a)機械的粗面化処理(ブラシグレイン法)
条件(a−1):図1に示したような装置を使って、パミス(メジアン径33μm)の懸濁液(比重1.1g/cm3 )を研磨スラリー液としてアルミニウム板の表面に供給しながら、回転するブラシ(束植ブラシ3本とチャンネルブラシ1本)により機械的粗面化処理を行った。図1は本発明の平版印刷版用支持体の作製における機械粗面化処理に用いられるブラシグレイニングの工程の概念を示す側面図であり、図中、1はアルミニウム板、2および4はローラ状ブラシ、3は研磨スラリー液、5、6、7および8は支持ローラである。
該機械的粗面化処理において、ブラシは、アルミニウム板の搬送方向(図1中の矢印)に対して上流側(図1において、右側)から順に、束植ブラシ、チャンネルブラシ、束植ブラシおよび束植ブラシを用いた。これらの回転方向および回転数は、アルミニウム板の搬送方向に対して上流側から順に、順転(該搬送方向と同じ方向)250rpm、逆転(該搬送方向と逆の方向)200rpm、逆転200rpmおよび順転200rpmとした。
ブラシの材質は6・10ナイロンで、ブラシ毛の直径0.3mm、毛長50mmであった。ブラシは、φ300mmのステンレス製の筒に穴をあけて密になるように植毛した。ブラシ下部の2本の支持ローラ(φ200mm)の距離は300mmであった。ブラシはブラシを回転させる駆動モータの負荷が、ブラシをアルミニウム板に押さえつける前の負荷に対して7kWプラスになるまで押さえつけた。
【0153】
条件(a−2):ブラシとして、束植ブラシ2本とチャンネルブラシ1本を準備し、アルミニウム板の搬送方向に対して上流側から順に、束植ブラシ、チャンネルブラシおよび束植ブラシを用いた。これらの回転方向および回転数は、アルミニウム板の搬送方向に対して上流側から順に、順転250rpm、逆転200rpmおよび逆転250rpmとした。
これらの条件以外は、上記条件(a−1)と同様にして、機械的粗面化処理を行った。
【0154】
条件(a−3):研磨スラリー液としてパミス(メジアン径45μm)の懸濁液(比重1.1g/cm3 )を用い、ブラシとして、チャンネルブラシ3本を用いた。これらの回転方向および回転数を、アルミニウム板の搬送方向に対して上流側から順に、順転250rpm、逆転200rpmおよび順転250rpmとした。
これらの条件以外は、上記条件(a−1)と同様にして、機械的粗面化処理を行った。
【0155】
(b)アルカリエッチング処理
機械的粗面化処理後のアルミニウム板に、スプレー管から、NaOH26質量%およびアルミニウムイオン5質量%を含有するアルカリ溶液(70℃)を噴き付けて、粗面化面におけるアルミニウム溶解量が9g/m2 になるようにアルカリエッチング処理を行った。
【0156】
(c)デスマット処理
温度30℃、硝酸濃度1質量%の酸性水溶液を用いて行った。デスマット液はスプレーにて噴き付けて2秒間デスマット処理を行った。
【0157】
(d)電解粗面化処理
液温40℃、硝酸濃度1質量%の硝酸水溶液に硝酸アルミニウムを添加してアルミニウムイオン濃度を0.5質量%に調整した硝酸電解液中で、台形波電流を印加して電解粗面化処理を行った。上記台形波電流の周波数は60Hzであり、上記アルミニウム板のアノード反応時の電気量197C/dm2 、および電流密度は交流のピーク時でアルミニウム板のアノード反応時25A/dm2 であった。交流のduty(ta/T)は0.5であり、立上り時間tp’およびtpは0.3msecであった。カーボンの主極に対向する部分でのアルミニウム板がアノード反応時の電気量の総和Qaとカソード反応時の電気量総和Qcとの比Qc/Qaは0.95であった。アルミニウム板に加わる電気量は、アルミニウム板が電解槽を通過する間にアルミニウム板に加わった電気量であって上記アルミニウム板がアノード反応した電気量の総和である。
上記硝酸電解液の硝酸濃度は、一定の時間間隔で上記硝酸電解液の音速と電導度とを測定し、上記音速と電導度との変動幅が±10%以内になるように濃硝酸または水を補充して制御した。
【0158】
(e)アルカリエッチング処理
電解粗面化処理(d)後のアルミニウム板に、スプレー管から、NaOH26質量%およびアルミニウムイオン5質量%を含有するアルカリ溶液(35℃)を噴き付けて、粗面化面におけるアルミニウム溶解量が3.8g/m2 になるようにアルカリエッチング処理を行った。
【0159】
(f)デスマット処理
液温30℃、硫酸濃度25質量%の酸性溶液を用いてスプレーにて噴き付けて2秒間デスマット処理を行った。
【0160】
(g)電解粗面化処理
条件(g−1):液温35℃、塩酸濃度5.0g/L、アルミニウムイオン濃度4.5g/Lの塩酸水溶液中で、台形波電流を印加して電解粗面化処理を行った。上記台形波電流の周波数は60Hzであり、上記アルミニウム板のアノード反応時の電気量60C/dm2 、および電流密度は交流のピーク時でアルミニウム板のアノード反応時30A/dm2 であった。交流のduty(ta/T)は0.5であり、立上り時間tp’およびtpは0.5msecであった。カーボンの主極に対向する部分でのアルミニウム板がアノード反応時の電気量の総和Qaとカソード反応時の電気量総和Qcとの比Qc/Qaは0.95であった。アルミニウム板に加わる電気量は、アルミニウム板が電解槽を通過する間にアルミニウム板に加わった電気量であって上記アルミニウム板がアノード反応した電気量の総和である。
上記塩酸電解液の塩酸濃度は、一定の時間間隔で上記塩酸電解液の音速と電導度とを測定し、上記音速と電導度との変動幅が±10%以内になるように濃塩酸または水を補充して制御した。
【0161】
条件(g−2):塩酸濃度5.5g/L、アルミニウムイオン濃度4.5g/Lの塩酸水溶液を用い、上記アルミニウム板のアノード反応時の電気量を65C/dm2 とし、それ以外の条件は上記(g−1)と同様の条件で電解粗面化処理を行った。
【0162】
(h)アルカリエッチング処理
条件(h−1):電解粗面化処理(g)後のアルミニウム板に、スプレー管からNaOH濃度5質量%およびアルミニウムイオン0.5質量%を含有するアルカリ溶液(45℃)を噴き付けて、粗面化面におけるアルミニウム溶解量が0.2g/m2 になるようにアルカリエッチング処理を行った。
条件(h−2):アルミニウム溶解量を0.1g/m2 に調整した以外は、上記条件(h−1)と同様にしてアルカリエッチング処理を行った。
【0163】
(i)デスマット処理
液温60℃、硫酸濃度25質量%の酸性溶液を用いて、スプレーにて噴き付けて4秒間デスマット処理を行った。
【0164】
(j)陽極酸化処理
電解液として、硫酸濃度15質量%(アルミニウムイオンを0.5質量%含む。)、温度38℃の硫酸水溶液を用いた。最終的な酸化皮膜量は2.5g/m2 となるように、連続直流電解を行った。
【0165】
(k)シリケート処理
35℃の3号ケイ酸ソーダ水溶液(Na2 O:SiO2 =1:3、SiO2 含有量30質量%、日本化学工業社製、濃度1質量%)に10秒間ディップ処理した。最終的なSi原子付着量は3.5mg/m2 であった。
【0166】
【表2】
【0167】
2.平版印刷版用支持体の表面形状を表すファクターの測定
下記に示す方法により、各ファクターを測定し、その結果を第3表に示した。第3表中、表面積比および急峻度の単位は「%」である。
(1)原子間力顕微鏡による表面積比および急峻度(i)〜(vi)の測定
原子間力顕微鏡(Atomic Force Microscope(AFM):SP13700、セイコー電子工業社製)により表面形状を測定し、3次元データを求めた。測定は、以下の条件で行った。
即ち、平版印刷版用支持体を1cm角の大きさに切り取って、ピエゾスキャナー上の水平な試料台にセットし、カンチレバーを試料表面にアプローチし、原子間力が働く領域に達したところで、XY方向にスキャンし、その際、試料の凹凸をZ方向のピエゾの変位でとらえた。ピエゾスキャナーは、XY方向について150μm、Z方向について10μm、走査可能なものを使用した。カンチレバーは共振周波数120〜400kHz、バネ定数12〜90N/mのもの(SI−DF20、セイコーインスツルメンツ社製)を用い、DFMモード(Dynamic Force Mode)で測定した。
また、求めた3次元データを最小二乗近似することにより試料のわずかな傾きを補正し基準面を求めた。
上記計測の際には、表面の5μm□を512×512点測定した。XY方向の分解能は0.01μm、Z方向の分解能は0.15nm、スキャン速度は5μm/secとした。
【0168】
(i)ΔS5 :上記(1)で求められた3次元データ(f(x,y))をそのまま用い、隣り合う3点を抽出し、その3点で形成される微小三角形の面積の総和を求め、実面積Sx 5 とした。表面積比ΔS5 は、得られた実面積Sx 5 と幾何学的測定面積S0 5とから、下記式により求めた。
ΔS5 =[(Sx 5 −S0 5)/S0 5]×100(%)
(iv)a455 :上記(1)で求められた3次元データ(f(x,y))をそのまま用い、各基準点と所定の方向(例えば、右と下)の隣接する2点との3点で形成される微小三角形と基準面とのなす角を各基準点について算出した。微小三角形の傾斜度が45度以上の基準点の個数を、全基準点の個数(全データの個数である512×512点から所定の方向の隣接する2点がない点の個数を減じた個数、即ち、511×511点)で除して、傾斜度45度以上の部分の面積率a455 を算出した。
【0169】
(ii)ΔS5(0.2−5):上記(1)で求められた3次元データから波長0.2μm以上5μm以下の成分を抽出したものを用いた。波長0.2μm以上5μm以下の成分の抽出には、上記(1)で求められた3次元データを高速フーリエ変換をして周波数分布を求め、ついで、波長0.2μm未満の成分を除去した後、フーリエ逆変換をすることにより行った。
上記で求められた3次元データ(f(x,y))を用い、隣り合う3点を抽出し、その3点で形成される微小三角形の面積の総和を求め、実面積Sx 5(0.2−5)とした。表面積比 ΔS5(0.2−5)は、得られた実面積Sx 5(0.2−5)と幾何学的測定面積S0 5とから、下記式により求めた。
ΔS5(0.2−5)=[(Sx 5(0.2−5)−S0 5)/S0 5]×100(%)
(v)a455(0.2−5):上記(ii)でフーリエ逆変換して求められた3次元データ(f(x,y))を用い、上記(iv)a455 の算出と同様にして、a455(0.2−5)を算出した。
【0170】
(iii)ΔS5(0.02−0.2) :上記(1)で求められた3次元データから波長0.02μm以上0.2μm以下の成分を抽出したものを用いた。波長0.02μm以上0.2μm以下の成分の抽出には、上記(1)で求められた3次元データを高速フーリエ変換をして周波数分布を求め、ついで、波長0.02μm未満の成分および0.2μm超の成分を除去した後、フーリエ逆変換をすることにより行った。
上記で求められた3次元データ(f(x,y))を用い、隣り合う3点を抽出し、その3点で形成される微小三角形の面積の総和を求め、実面積Sx 5(0.02−0.2) とした。表面積比ΔS5(0.02−0.2) は、得られた実面積Sx 5(0.02−0.2) と幾何学的測定面積S0 5とから、下記式により求めた。
ΔS5(0.02−0.2) =[(Sx 5(0.02−0.2) −S0 5)/S0 5]×100(%)
(vi)a455(0.02−0.2) :上記(iii)でフーリエ逆変換して得られた3次元データ(f(x,y))を用い、上記(iv)a455 の算出と同様にして、傾斜度45度以上の部分の面積率a455(0.02−0.2) を算出した。
【0171】
(2)原子間力顕微鏡による表面積比(xi)〜(xvi)の測定
上記(1)と同様にして、AFMにより表面形状を測定し、3次元データを求めた。ただし、計測の際は、表面の50μm□を512×512点測定する。XY方向の分解能は0.1μm、Z方向の分解能は0.15nm、スキャン速度は50μm/secとした。
【0172】
(xi)ΔS50:上記(2)で求められた3次元データ(f(x,y))をそのまま用い、隣り合う3点を抽出し、その3点で形成される微小三角形の面積の総和を求め、実面積Sx 50とした。表面積比ΔS50は、得られた実面積Sx 50と幾何学的測定面積S0 50 から、下記式により求めた。
ΔS50=[(Sx 50−S0 50 )/S0 50 ]×100(%)
(xiv)a4550:上記(2)で求められた3次元データ(f(x,y))をそのまま用い、各基準点と所定の方向(例えば、右と下)の隣接する2点との3点で形成される微小三角形と基準面とのなす角を各基準点について算出した。微小三角形の傾斜度が45度以上の基準点の個数を、全基準点の個数(全データの個数である512×512点から所定の方向の隣接する2点がない点の個数を減じた個数、即ち、511×511点)で除して、傾斜度45度以上の部分の面積率a4550を算出した。
【0173】
(xii)ΔS50(2−50):上記(2)で求められた3次元データから波長2μm以上50μm以下の成分を抽出したものを用いた。波長2μm以上50μm以下の成分の抽出には、上記(2)で求められた3次元データを高速フーリエ変換をして周波数分布を求め、ついで、波長2μm未満の成分を除去した後、フーリエ逆変換をすることにより行った。
上記で求められた3次元データ(f(x,y))を用い、隣り合う3点を抽出し、その3点で形成される微小三角形の面積の総和を求め、実面積Sx 50(2−50)とした。表面積比 ΔS50(2−50)は、得られた実面積Sx 50(2−50)と幾何学的測定面積S0 50 とから、下記式により求めた。
ΔS50(2−50)=[(Sx 50(2−50)−S0 50 )/S0 50 ]×100(%)
(xv)a4550(2−50):上記(xii)でフーリエ逆変換して得られた3次元データ(f(x,y))を用い、上記(xiv)a4550の算出と同様にして、a4550(2−50)を算出した。
【0174】
(xiii)ΔS50(0.2−2) :上記(2)で求められた3次元データから波長0.2μm以上2μm以下の成分を抽出したものを用いた。波長0.2μm以上2μm以下の成分の抽出には、上記(2)で求められた3次元データを高速フーリエ変換をして周波数分布を求め、ついで、波長0.2μm未満の成分および2μm超の成分を除去した後、フーリエ逆変換をすることにより行った。
上記で求められた3次元データ(f(x,y))を用い、隣り合う3点を抽出し、その3点で形成される微小三角形の面積の総和を求め、実面積Sx 50(0.2−2) とした。表面積比ΔS5(0.02−0.2) は、得られた実面積Sx 50(0.2−2) と幾何学的測定面積S0 50 とから、下記式により求めた。
ΔS50(0.2−2) =[(Sx 50(0.2−2) −S0 50 )/S0 50 ]×100(%)
(xvi)a4550(0.2−2) :上記(xiii)でフーリエ逆変換して得られた3次元データ(f(x,y))を用い、上記(xiv)a4550の算出と同様にして、a4550(0.2−2) を算出した。
【0175】
(3)支持体表面に存在する深さ5μm以上の局所的深部の個数の測定
表面に存在する深さ5μm以上の局所的深部の個数は、レーザ顕微鏡(Micromap520、(株)菱化システム製)を用いて表面の400μm×400μmを非接触で分解能0.01μmで走査して3次元データを求め、この3次元データにおいて深さ5μm以上の凹部の数を数えて求めた。これを5個所について行い、それらの平均値を上記深部の個数とした。
その結果を第3表に示す。第3表において、400μm×400μmあたりの表面に存在する深さ5μm以上の局所的深部の個数を「深部の個数」と表示し、該深部の個数の単位は「個」である。
なお、レーザ顕微鏡としては、上記で用いたもののほか、例えば、(株)KEYENCE製の超深度形状測定顕微鏡VK5800も同様に用いることができる。
【0176】
【表3】
【0177】
【表4】
【0178】
3.平版印刷版原版の作製
上記で得られた各平版印刷版用支持体に、以下のサーマルポジタイプの2層構造の画像記録層を設けて平版印刷版原版を得た。
【0179】
<画像記録層>
平版印刷版用支持体に下記組成の下塗液Iを塗布し、80℃で30秒間乾燥させ、下塗層を形成させた。乾燥後の被覆量は30mg/m2 であった。
【0180】
<下塗液I組成>
・下記式で表される高分子化合物 0.3g
・メタノール 100g
・水 1g
【0181】
【化1】
【0182】
下塗層の上に下記組成の感熱層用塗布液Aを塗布し、TABAI社製のPERFECT OVEN PH200を用いてWind Controlを7に設定して140℃で50秒間乾燥させてA層を形成させた。乾燥後の被覆量は0.85g/m2 であった。
【0183】
<感熱層用塗布液A組成>
・N−(4−アミノスルホニルフェニル)メタクリルアミド/アクリロニトリル/メタクリル酸メチルの共重合体(モル比36/34/30、重量平均分子量50,000) 1.896g
・クレゾール−ノボラック樹脂(m/p=6/4、重量平均分子量4,500、残存モノマー0.8質量%) 0.237g
・下記式で表されるシアニン染料A 0.109g
・4,4′−ビスヒドロキシフェニルスルホン 0.063g
・無水テトラヒドロフタル酸 0.190g
・p−トルエンスルホン酸 0.008g
・エチルバイオレットの対イオンを6−ヒドロキシナフタレンスルホンに変えたもの 0.05g
・フッ素系界面活性剤(メガファックF−176、大日本インキ化学工業社製) 0.035g
・メチルエチルケトン 26.6g
・1−メトキシ−2−プロパノール 13.6g
・γ−ブチロラクトン 13.8g
【0184】
【化2】
【0185】
A層の上に下記組成の感熱層用塗布液Bを塗布し、120℃で1分間乾燥させてB層を形成させ、2層構造のサーマルポジタイプの画像記録層を形成させて、平版印刷版原版を得た。乾燥後の被覆量は0.15g/m2 であった。
【0186】
<感熱層用塗布液B組成>
・m,p−クレゾールノボラック樹脂(m/p比=6/4、重量平均分子量4500、未反応クレゾール0.8質量%含有) 0.237g
・上記式で表されるシアニン染料A 0.047g
・ステアリン酸ドデシル 0.060g
・3−メトキシ−4−ジアゾジフェニルアミンヘキサフルオロホスフェート 0.030g
・フッ素系界面活性剤(メガファックF−176、大日本インキ化学工業社製) 0.110g
・フッ素系界面活性剤(メガファックMCF−312(30質量%)、大日本インキ化学工業社製) 0.120g
・メチルエチルケトン 15.1g
・1−メトキシ−2−プロパノール 7.7 g
【0187】
4.露光、現像処理
上記で得られた各平版印刷版原版を以下の方法で露光、現像処理して平版印刷版を得た。
得られた各平版印刷版原版を出力500mW、波長830nmビーム径17μm(1/e2 )の半導体レーザーを装備したCREO社製TrenndSetter3244を用いて主走査速度5m/秒、版面エネルギー量140mJ/cm2 で像様露光した。
その後、非還元糖と塩基とを組み合わせたD−ソルビット/酸化カリウム(K2 O)からなるカリウム塩5.0質量%および消泡剤(オルフィンAK−02、日信化学社製)0.015質量%を含有する水溶液1Lに、C12H25N(CH2 CH2 COONa)2 1.0gを添加したアルカリ現像液を用いて現像処理を行った。現像処理は、現像液を満たした自動現像機PS900NP(富士写真フイルム(株)製)を用いて、現像温度25℃、12秒の条件で行った。現像処理が終了した後、水洗工程を経て、ガム(GU−7(1:1))等で処理して、製版が完了した平版印刷版を得た。
【0188】
5.平版印刷版原版または平版印刷版の評価
上記で得られた各平版印刷版の露光不良の有無(感度)、耐クリーナ耐刷性、耐汚れ性(ブランケット汚れ)、疲労破断強度および耐刷性、ならびに、各平版印刷版原版の耐キズ性を下記の方法で評価した。
感度、耐汚れ性、耐クリーナ耐刷性、耐キズ性および疲労破断強度の評価結果を第4表に示す。
【0189】
(1)感度:露光不良の有無
各平版印刷版の露光不良の有無は、上記で露光現像処理した平版印刷版において、点状の露光不足部の発生頻度(ポツ残膜の有無とその度合)を目視で観察して評価した。露光不良(上記発生頻度)の程度により、◎、○、×の3段階評価を行った。○以上が許容である。
【0190】
(2)耐汚れ性
耐汚れ性は、ブランケット汚れで評価した。
上記で露光現像処理した平版印刷版を用いて、三菱ダイヤ型F2印刷機(三菱重工業社製)で、DIC−GEOS(s)紅のインキを用いて印刷し、1万枚印刷した後におけるブランケットの汚れを一旦セロハンテープ(商標)に転写させ、これを白い紙に貼り付けて、セロハンテープ(商標)に転写されたインキの量を目視で評価した。
ブランケットの汚れが少ない方から順に、◎、○、○△、△、△×、×の6段階で評価した。△以上が許容である。
【0191】
(3)耐クリーナ耐刷性
上記で露光現像処理した平版印刷版を用いて、小森コーポレーション社製のSPRINT印刷機で、大日本インキ化学工業社製のF−Gloss85墨のインキを用いて印刷し、ベタ画像部をスポンジを用い、プレートクリーナ液(マルチクリーナ、富士写真フイルム(株)製)により、5000枚印刷するごとに洗浄し、ベタ画像部が薄くかすれ始めたことが目視で認められるまでの印刷枚数により、評価した。
なお、耐クリーナ耐刷性は、比較例1の耐クリーナ耐刷性を100とした相対値で示した。
【0192】
(4)耐刷性
印刷機として、小森製SPRINT印刷機を用い、インキとして、F−Gloss85墨(N)を用い、湿し水として、富士写真フイルム(株)製のEU−3(1%)に、イソプロパノールを全体の10質量%となるように添加した液を用いて、上記で露光現像処理した平版印刷版について印刷を行った。
ベタ画像部が薄くかすれ始めたことが目視で認められるまでの印刷枚数により評価した。
なお、実施例においては、比較例1の印刷枚数に比しいずれも多く、優れた耐刷性を実現できた。
【0193】
(5)耐キズ性
上記で得られた各平版印刷版原版を、それぞれ10枚ずつ準備しそれらを重ねて7日間放置した。その後、重ねられた平版印刷版原版の裏面に接触することにより、平版印刷版原版の感熱層に付けられた局所的な微小の点状キズを目視で、観察した。
該点状キズの発生の程度を、少ない方から順に、○、○△、△、△×、×の5段階で評価した。○△以上が許容である。
なお、上記平版印刷版原版の裏面は、何ら処理しておらず、アルミニウム板製造時のアルミニウム表面のままであった。
【0194】
(6)疲労破断強度
上記得られた各平版印刷版原版について、レーザ書き込み装置(トレンドセッター、クレオ社製)を用いて、画像部の面積が全面積の50%になるように網点状の画像部を全面に焼き付け、現像処理を行った。得られた平版印刷版から、幅20mm、長さ100mmのサンプルを各10枚切り出した。
その後、断面積あたりの張力が1. 0kg/mm2 程度となるように、軽度の張力を与え、一端を固定したうえで、他端の振幅が5mm程度となるように振動を与え、破断するまでの振動回数を測定し疲労破断強度を求めた。
疲労破断強度が強いものから順に、◎、○、△、△×、×の5段階で評価した。△以上が許容である。
【0195】
【表5】
【0196】
第4表に示したように、特定の組成を有するアルミニウム板を用い、表面形状を表すファクターが特定の条件を満たす本発明の平版印刷版用支持体(実施例1〜26)およびそれを用いた平版印刷版原版は、平版印刷版としたときの印刷性能(耐刷性、耐汚れ性、感度および耐クリーナ耐刷性等)および取り扱い性(耐キズ性、疲労破断強度等)に優れる。
また、表面に有する特定の深部の個数が本発明の範囲内であると、平版印刷版としたときの感度により優れる。
対して、アルミニウム板に含まれる特定元素の含有量、および、表面形状を表すファクターの少なくとも1つが本発明の範囲または条件を満たさないと、平版印刷版としたときの印刷性能(耐刷性、耐汚れ性、感度および耐クリーナ耐刷性等)および取り扱い性(耐キズ性、疲労破断強度等)のいずれか1つ以上に劣る。
【0197】
【発明の効果】
本発明によれば、平版印刷版としたときの印刷性能(耐刷性、耐汚れ性、感度および耐クリーナ耐刷性等)および取り扱い性(耐キズ性、疲労破断強度等)に優れる平版印刷版原版およびそれに用いられる平版印刷版用支持体を提供できる。
また、本発明によれば、レーザを用いて露光するタイプの画像記録層を用いた場合でも、上記特性を有し、そのうえアルカリ金属ケイ酸塩を含有しない現像液で処理することができる平版印刷版原版、それに用いられる平版印刷版用支持体および平版印刷版原版の処理方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の平版印刷版用支持体の作製における機械粗面化処理に用いられるブラシグレイニングの工程の概念を示す側面図である。
【符号の説明】
1 アルミニウム板
2、4 ローラ状ブラシ
3 研磨スラリー液
5、6、7、8 支持ローラ
Claims (6)
- アルミニウム板に電気化学的粗面化処理を含む粗面化処理を施して得られる平版印刷版用支持体であって、
前記アルミニウム板が、Feを0.20〜0.29質量%、Siを0.03〜0.15質量%、Cuを0.020〜0.040質量%、Tiを0.050質量%以下含有し、残部がAlと不可避不純物からなるアルミニウム板であり、
原子間力顕微鏡を用いて、表面の5μm□を512×512点測定して求められる3次元データより得られる表面積比および急峻度が、それぞれ下記条件(i)〜(vi)を満足する平版印刷版用支持体。
(i) 表面積比ΔS5 が30〜70%
(ii) 表面積比ΔS5(0.2−5)が10〜30%
(iii) 表面積比ΔS5(0.02−0.2) が30〜70%
(iv) 急峻度a455 が20〜50%
(v) 急峻度a455(0.2−5)が5〜20%
(vi) 急峻度a455(0.02−0.2) が20〜60%
ここで、ΔS5 は、前記3次元データから近似三点法により求められる実面積Sx 5 と、幾何学的測定面積S0 5とから、下記式により求められる、
ΔS5 =[(Sx 5 −S0 5)/S0 5]×100(%)で表す表面積比であり、
ΔS5(0.2−5)は、前記3次元データから波長0.2μm以上5μm以下の成分を抽出して得られる実面積Sx 5(0.2−5)と、幾何学的測定面積S0 5とから下記式により求められる、
ΔS5(0.2−5)=[(Sx 5(0.2−5)−S0 5)/S0 5]×100(%)で表す表面積比であり、
ΔS5(0.02−0.2) は、前記3次元データから波長0.02μm以上0.2μm以下の成分を抽出して得られる実面積Sx 5(0.02−0.2) と、幾何学的測定面積S0 とから下記式により求められる、
ΔS5(0.02−0.2) =[(Sx 5(0.02−0.2) −S0 5)/S0 5]×100(%)で表す表面積比であり、
急峻度a455 は、前記3次元データから近似三点法により求められる実面積Sx 5 に対する、角度45度以上の大きさの傾斜(傾斜度45°以上)を有する部分(面積)の面積率であり、
急峻度a455(0.2−5)は、前記3次元データから波長0.2μm以上5μm以下の成分を抽出して得られる実面積Sx 5(0.2−5)に対する、角度45度以上の大きさの傾斜(傾斜度45°以上)を有する部分(面積)の面積率であり、
急峻度a455(0.02−0.2) は、前記3次元データから波長0.02μm以上0.2μm以下の成分を抽出して得られる実面積Sx 5(0.02−0.2) に対する、角度45度以上の大きさの傾斜(傾斜度45°以上)を有する部分(面積)の面積率である。 - アルミニウム板に電気化学的粗面化処理を含む粗面化処理を施して得られる平版印刷版用支持体であって、
前記アルミニウム板が、Feを0.20〜0.29質量%、Siを0.03〜0.15質量%、Cuを0.020〜0.040質量%、Tiを0.050質量%以下含有し、残部がAlと不可避不純物からなるアルミニウム板であり、
原子間力顕微鏡を用いて、表面の50μm□を512×512点測定して求められる3次元データより得られる表面積比および急峻度が、下記条件(xi)〜(xvi)を満足する平版印刷版用支持体。
(xi) 表面積比ΔS50が30〜70%
(xii) 表面積比ΔS50(2−50)が5〜10%
(xiii) 表面積比ΔS50(0.2−2) が15〜40%
(xiv) 急峻度a4550が25〜60%
(xv) 急峻度a4550(2−50)が0〜3.0%
(xvi) 急峻度a4550(0.2−2) が10〜40%
ここで、ΔS50は、前記3次元データから近似三点法により求められる実面積Sx 50と、幾何学的測定面積S0 50 とから、下記式により求められる、
ΔS50=[(Sx 50−S0 50 )/S0 50 ]×100(%)で表す表面積比であり、
ΔS50(2−50)は、前記3次元データから波長2μm以上50μm以下の成分を抽出して得られる実面積Sx 50(2−50)と、幾何学的測定面積S0 50 とから下記式により求められる、
ΔS50(2−50)=[(Sx 50(2−50)−S0 50 )/S0 50 ]×100(%)で表す表面積比であり、
ΔS50(0.2−2) は、前記3次元データから波長0.2μm以上2μm以下の成分を抽出して得られる実面積Sx 50(0.2−2) と、幾何学的測定面積S0 50 とから下記式により求められる、
ΔS50(0.2−2) =[(Sx 50(0.2−2) −S0 50 )/S0 50 ]×100(%)で表す表面積比であり、
急峻度a4550は、前記3次元データから近似三点法により求められる実面積Sx 50に対する、角度45度以上の大きさの傾斜(傾斜度45°以上)を有する部分(面積)の面積率であり、
急峻度a4550(2−50)は、前記3次元データから波長2μm以上50μm以下の成分を抽出して得られる実面積Sx 50(2−50)に対する、角度45度以上の大きさの傾斜(傾斜度45°以上)を有する部分(面積)の面積率であり、
急峻度a4550(0.2−2) は、前記3次元データから波長0.2μm以上2μm以下の成分を抽出して得られる実面積Sx 50(0.2−2) に対する、角度45度以上の大きさの傾斜(傾斜度45°以上)を有する部分(面積)の面積率である。 - 表面に存在する深さ5μm以上の局所的深部の個数が、400μm×400μmあたり1.0個以下である請求項1または2に記載の平版印刷版用支持体。
- 表面のSi原子付着量が0.1〜30mg/m2 である請求項1〜3のいずれかに記載の平版印刷版用支持体。
- 請求項1〜4のいずれかに記載の平版印刷版用支持体上に画像記録層を設けてなる平版印刷版原版。
- レーザ刷版用の平版印刷版原版である請求項5に記載の平版印刷版原版。
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