JP2004254069A - 受信機 - Google Patents
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Abstract
【課題】送信側から送信される連続した所定の数の同期バーストフレーム及びそれに続く連続した所定の数の通信チャネルフレームを受信する受信機で、短い時間でタイミング同期を確保する。
【解決手段】同期バーストフレームにはプリアンブル信号が含まれ、通信チャネルフレームには同期ワード信号が含まれる。プリアンブル信号タイミング情報取得手段6〜13が受信フレームに含まれるプリアンブル信号に基づいてタイミング同期を確保するためのタイミング情報を取得する処理を実行するとともに、同期ワード信号タイミング情報取得手段14〜16が受信フレームに含まれる同期ワード信号に基づいてタイミング同期を確保するためのタイミング情報を取得する処理を実行する。
【選択図】 図1
【解決手段】同期バーストフレームにはプリアンブル信号が含まれ、通信チャネルフレームには同期ワード信号が含まれる。プリアンブル信号タイミング情報取得手段6〜13が受信フレームに含まれるプリアンブル信号に基づいてタイミング同期を確保するためのタイミング情報を取得する処理を実行するとともに、同期ワード信号タイミング情報取得手段14〜16が受信フレームに含まれる同期ワード信号に基づいてタイミング同期を確保するためのタイミング情報を取得する処理を実行する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、連続した所定の数の同期バーストフレーム及びそれに続く連続した所定の数の通信チャネルフレームを受信する受信機に関し、特に、短い時間でタイミング同期を確保する受信機に関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば、デジタルの無線通信システムとして、SCPC(Single Channel Per Carrier)方式により移動局装置と移動局装置との間で直接的に通信すること(移動局装置間直接通信)が行われている。
【0003】
デジタルの無線通信システムにおける送信信号は、2値の信号系列がフレームなどのように所定の区間で区切られて、π/4シフトQPSK(Quadri Phase Shift Keying)方式などのデジタル変調方式により変調された後に送信される。本明細書では、送信機により初めて送信されるフレームを第1フレームと言い、2番目に送信されるフレームを第2フレームと言い、以降のフレームについても同様にそれぞれ第3フレーム、第4フレーム、・・・と言う。
【0004】
また、送信機から送信される信号を受信する受信機では、送信機から受信されるデジタル変調信号と同期したタイミングで当該デジタル変調信号を復調或いは復号することが行われる。
一例として、SCPC方式の移動局装置間直接通信では、送信機は複数の同期バーストフレームを送信した後にそれに続けて複数の通信チャネルフレームを送信し、受信機は受信されるフレームについてプリアンブル信号に基づくタイミング同期の確保処理を試みた後に同期ワード信号に基づくタイミング同期の確保処理を試みる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記したSCPC方式の移動局装置間直接通信などでは、受信側の移動局装置と送信側の移動局装置とが非同期な状態から受信側の移動局装置がタイミング同期を確保する初期引き込みにおいて、例えば、受信側の移動局装置がプリアンブル信号による初期引き込みに失敗して同期ワード信号による初期引き込みを行うような場合には、同期ワード信号による初期引き込みが完了するまでに時間がかかってしまうことから、長い時間にわたって音切れなどが発生してしまうといった不具合があった。
【0006】
また、上記したSCPC方式の移動局装置間直接通信などでは、受信側の移動局装置と送信側の移動局装置とが非同期な状態から受信側の移動局装置がタイミング同期を確保する初期引き込みにおいて、例えば、送信側の移動局装置による信号送信が開始された後に受信側の移動局装置の電源がオンとされるような場合においても、受信側の移動局装置はプリアンブル信号による初期引き込みを試みた後に同期ワード信号による初期引き込みを試みるため、これに時間がかかってしまい、長い時間にわたって音切れなどが発生してしまうといった不具合があった。
【0007】
本発明は、このような従来の課題を解決するために為されたもので、連続した所定の数の同期バーストフレーム及びそれに続く連続した所定の数の通信チャネルフレームを受信するに際して、例えば従来と比べて、短い時間でタイミング同期を確保することができる受信機を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明に係る受信機では、送信側から送信される連続した所定の数の同期バーストフレーム及びそれに続く連続した所定の数の通信チャネルフレームを受信するに際して、次のようにして、タイミング同期を確保する。なお、同期バーストフレームには、プリアンブル信号が含まれる。また、通信チャネルフレームには、同期ワード信号が含まれる。
すなわち、プリアンブル情報タイミング情報取得手段が、受信フレームに含まれるプリアンブル信号に基づいて、タイミング同期を確保するためのタイミング情報を取得する処理を実行する。また、同期ワード信号タイミング情報取得手段が、受信フレームに含まれる同期ワード信号に基づいて、タイミング同期を確保するためのタイミング情報を取得する処理を実行する。そして、受信フレームに対して、プリアンブル信号タイミング情報取得手段による処理と同期ワード信号タイミング情報取得手段による処理を共に実行する。
【0009】
従って、受信フレームに対してプリアンブル信号に基づくタイミング同期の確保処理と同期ワード信号に基づくタイミング同期の確保処理が共に実行されるため、例えば、受信側の移動局装置がプリアンブル信号による初期引き込みに失敗したような場合や、送信側の移動局装置による信号送信が開始された後に受信側の移動局装置の電源がオンとされるような場合においても、短い時間でタイミング同期を確保することができ、これにより、長い時間にわたる音切れなどを防止することができる。
【0010】
ここで、受信機としては、種々なものが用いられてもよく、必ずしも受信機能のみを有するものが用いられなくともよく、例えば、送信機能と受信機能の両方を有する送受信機が用いられてもよい。
また、送信側としては、種々なものが用いられてもよく、例えば、通信相手となる送信機を用いることができる。
【0011】
また、同期バーストフレームとしては、種々なものが用いられてもよく、例えば、主にタイミング同期を確保するために使用されるようなフレームが用いられる。
また、連続して通信される同期バーストフレームの数(所定の数)としては、種々な数が用いられてもよく、例えば、2以上の数が用いられるが、1が用いられてもよい。
【0012】
また、通信チャネルフレームとしては、種々なものが用いられてもよく、例えば、主にデータを通信するために使用されるようなフレームが用いられる。
また、連続して通信される通信チャネルフレームの数(所定の数)としては、種々な数が用いられてもよく、例えば、2以上の数が用いられるが、1が用いられてもよい。
【0013】
また、連続して通信される同期バーストフレームの数と、連続して通信される通信チャネルフレームの数としては、例えば、異なる数が用いられるが、同一の数が用いられてもよい。一例として、連続して通信される同期バーストフレームの数と比較して、連続して通信される通信チャネルフレームの数が多い態様が用いられる。
【0014】
また、プリアンブル信号としては、種々な信号が用いられてもよく、例えば、クロック同期を確保するための信号が用いられる。
また、同期ワード信号としては、種々な信号が用いられてもよく、例えば、ワード同期を確保するための信号が用いられる。
【0015】
また、プリアンブル信号は、例えば、通信チャネルフレームに含まれてもよく、この場合、同期バーストフレームに含まれるプリアンブル信号に基づいてタイミング情報を取得するが通信チャネルフレームに含まれるプリアンブル信号に基づいてはタイミング情報を取得しないような態様や、或いは、同期バーストフレームに含まれるプリアンブル信号に基づいてタイミング情報を取得するとともに通信チャネルフレームに含まれるプリアンブル信号に基づいてもタイミング情報を取得するような態様などを用いることができる。
【0016】
また、同期ワード信号は、例えば、同期バーストフレームに含まれてもよく、この場合、通信チャネルフレームに含まれる同期ワード信号に基づいてタイミング情報を取得するが同期バーストフレームに含まれる同期ワード信号に基づいてはタイミング情報を取得しないような態様や、或いは、通信チャネルフレームに含まれる同期ワード信号に基づいてタイミング情報を取得するとともに同期バーストフレームに含まれる同期ワード信号に基づいてもタイミング情報を取得するような態様などを用いることができる。
【0017】
また、受信フレームとしては、受信される同期バーストフレームや、受信される通信チャネルフレームがある。また、他のフレームが用いられてもよい。
また、本明細書で言うフレームとしては、種々なものが用いられてもよく、例えば、種々な、任意のひとまとまりの信号を包含する。
【0018】
また、タイミング同期としては、種々なタイミングの同期が用いられてもよく、例えば、受信フレームを復調するために使用されるタイミングの同期や、受信フレームが復調された結果を復号するために使用されるタイミングの同期が用いられる。
また、タイミング情報としては、種々な情報が用いられてもよく、例えば、タイミング同期により確保される信号処理のタイミングを特定するような情報が用いられる。
【0019】
また、プリアンブル信号に基づいてタイミング同期を確保する態様としては、例えば、受信フレームに含まれるプリアンブル信号を検出して、検出されるプリアンブル信号のタイミングに合わせて受信フレームの処理を行うような態様が用いられる。
同様に、同期ワード信号に基づいてタイミング同期を確保する態様としては、例えば、受信フレームに含まれる同期ワード信号を検出して、検出される同期ワード信号のタイミングに合わせて受信フレームの処理を行うような態様が用いられる。
【0020】
また、プリアンブル信号タイミング情報取得手段による処理と同期ワード信号タイミング情報取得手段による処理を共に実行する態様としては、例えば、同一の受信フレームに対していずれか一方の処理のみではなく両方の処理を実行するような態様が用いられ、例えば、これら両方の処理を同一の受信フレームに対して同時に或いは並列して実行するような態様が用いられる。
【0021】
なお、一例として、同期バーストフレームに含まれるプリアンブル信号に基づいてタイミング情報を取得する処理及び通信チャネルフレームに含まれる同期ワード信号に基づいてタイミング情報を取得する処理をそれぞれの受信フレームに対して実行する場合には、受信フレームが同期バーストフレームであるときにはプリアンブル信号に基づくタイミング情報が取得されることが可能であり、受信フレームが通信チャネルフレームであるときには同期ワード信号に基づくタイミング情報が取得されることが可能である。
【0022】
また、本発明に係る受信機では、一構成例として、プリアンブル信号タイミング情報取得手段を次のような構成とした。
すなわち、プリアンブル信号タイミング情報取得手段では、タイミング情報候補取得手段が受信フレームの復調結果からプリアンブル信号を検出することでタイミング情報の候補を取得し、受信フレーム復調結果復号手段がタイミング情報候補取得手段により取得されるタイミング情報の候補に基づいて受信フレームの復調結果を復号し、復号結果正確度判定手段が受信フレーム復調結果復号手段による復号結果の正確度を判定する。
そして、プリアンブル信号タイミング情報取得手段では、復号結果正確度判定手段により所定の閾値を超える正確度が判定された場合に、タイミング情報候補取得手段により取得されたタイミング情報の候補をタイミング情報として採用する。
【0023】
従って、受信フレームに対してプリアンブル信号に基づくタイミング同期の確保処理と同期ワード信号に基づくタイミング同期の確保処理が共に実行されるときにおいても、所定の閾値を超える正確度が判定された場合にプリアンブル信号に基づくタイミング情報の候補がタイミング情報として採用され、例えば所定の閾値未満の正確度が判定された場合にはプリアンブル信号に基づくタイミング情報の候補がタイミング情報として採用されないため、正確度が低いタイミング情報が採用されてしまうことを防止することができる。
【0024】
なお、復号結果の正確度が所定の閾値と等しい場合には、例えば、タイミング情報の候補をタイミング情報として採用する態様が用いられてもよく、或いは、タイミング情報の候補をタイミング情報として採用しない態様が用いられてもよい。
【0025】
ここで、一例として、送信側が送信対象となるビットデータに対して直交変調を施して、これにより得られるI成分及びQ成分から構成される送信フレームを送信し、受信側が受信フレームを復調して、これにより得られるI成分及びQ成分から元のビットデータを復号するような態様を用いることができる。
【0026】
また、復号結果の正確度としては、種々なものが用いられてもよい。一例として、送信側と受信側とで予め設定されたビットデータを送信側から受信側へ送信し、受信側が受信フレームから復号したビットデータ(復号結果)と当該受信側に設定された正しいビットデータとを比較して、当該復号結果の誤り率や誤り数が低い方が正確度が高いとみなし、当該復号結果の誤り率や誤り数が高い方が正確度が低いとみなすような態様を用いることができる。
また、正確度に関する所定の閾値としては、例えば使用されるシステムなどに応じて、種々な値が用いられてもよい。
【0027】
また、本発明に係る受信機では、一構成例として、次のような構成とした。
すなわち、タイミング情報選択手段が、プリアンブル信号タイミング情報取得手段によりタイミング情報が取得される前に、同期ワード信号タイミング情報取得手段によりタイミング情報が取得された場合には、同期ワード信号タイミング情報取得手段により取得されたタイミング情報を、受信フレームを復調するために使用するタイミング情報として選択する。
【0028】
従って、プリアンブル信号に基づくタイミング情報より前に同期ワード信号に基づくタイミング情報が取得された場合には、当該同期ワード信号に基づくタイミング情報を選択して採用することができる。
【0029】
また、本発明に係る受信機では、一構成例として、次のような構成とした。
すなわち、タイミング情報選択手段が、プリアンブル信号タイミング情報取得手段によりタイミング情報が取得されると共に、同期ワード信号タイミング情報取得手段によりタイミング情報が取得された場合には、プリアンブル信号タイミング情報取得手段により取得されたタイミング情報を、受信フレームを復調するために使用するタイミング情報として選択する。
【0030】
従って、プリアンブル信号に基づくタイミング情報と共に同期ワード信号に基づくタイミング情報が取得された場合には、当該プリアンブル信号に基づくタイミング情報を選択して採用することができる。
【0031】
ここで、プリアンブル信号に基づくタイミング情報と共に同期ワード信号に基づくタイミング情報が取得される場合としては、種々な場合が用いられてもよく、例えば、同時或いは所定の近い時期に両方のタイミング情報が取得されるような場合や、一方のタイミング情報が取得されてから所定の時間内に他方のタイミング情報が取得されるような場合や、同一の受信フレームにおいて両方のタイミング情報が取得されるような場合などを用いることができる。
【0032】
また、本発明に係る受信機では、一構成例として、タイミング情報選択手段が、プリアンブル信号タイミング情報取得手段によりタイミング情報が取得される一方、同期ワード信号タイミング情報取得手段によりタイミング情報が非取得である(つまり、取得されない)場合には、プリアンブル信号タイミング情報取得手段により取得されたタイミング情報を、受信フレームを復調するために使用するタイミング情報として選択する。
従って、プリアンブル信号に基づくタイミング情報のみが取得された場合には、当該プリアンブル信号に基づくタイミング情報を選択して採用することができる。
【0033】
また、本発明に係る受信機は、種々なものに適用されてもよく、例えば、移動通信システムなどの無線通信システムで使用される無線通信装置に適用することができ、特に、SCPC方式により他の移動局装置との間で直接的に通信を行う移動局装置に適用するのに好適なものである。
また、本発明に係る受信機は、例えば、防災や業務などに関するデジタル無線の端末装置或いは基地局装置などに適用することも可能である。
【0034】
【発明の実施の形態】
本発明に係る一実施例を図面を参照して説明する。
まず、本発明に係る実施例を説明するために、背景となる技術例を示す。なお、本技術例は、必ずしも全てが従来技術であるとは限らない。
SCPC方式の移動局装置間直接通信について説明する。
なお、本例では、公共業務用デジタル移動通信システムの標準規格であるARIB STD−T61に基づいたSCPC方式の無線システムを例として説明する。
【0035】
図3(a)には通信用チャネル(SC)のフレームである通信チャネルフレームの一例を示してあり、図3(b)には同期バースト(SB)のフレームである同期バーストフレームの一例を示してある。
各々において、“LP”はリニアライザプリアンブルを表しており、“R”はバースト過渡応答用ガードを表しており、“P”はプリアンブルを表しており、“TCH”はトラヒックチャネルを表しており、“RI”は無線情報チャネルを表しており、“SW”は同期ワードを表しており、“PI”はパラメータ情報チャネルを表しており、“G”はガードタイムを表している。
【0036】
通信チャネルフレームは、先頭から、“LP”と“R”とが合わさった15ビット(“LP+R”)と、1ビットの“P”と、48ビットの“TCH”と、28ビットの“RI”と、10ビットの“SW”と、10ビットの“未定義”部分と、80ビットの“TCH”が並べられて構成されている。
同期バーストフレームは、先頭から、“LP”と“R”とが合わさった20ビットと、44ビットの“P”と、28ビットの“RI”と、16ビットの“SW”と、28ビットの“P”と、52ビットの“PI”と、4ビットの“G”が並べられて構成されている。
【0037】
図4には、SCPC方式のデジタル無線通信における移動局装置間直接通信で使用される送信フレームのパターンの一例を示してある。
送信側では、送信開始後のNフレームについては同期バーストフレームを送信し、続いて終話するまでについてはMフレームの通信チャネルフレームを送信する。
【0038】
なお、本例では、N=3である場合を例として示す。この場合、同図に示されるように、3個の同期バーストフレームSB(0)、SB(1)、SB(2)が送信された後に、続けてM個の通信チャネルフレームSC(0)、SC(1)、SC(2)、・・・、SC(M−1)が送信される。
【0039】
図5には、SCPC方式における移動局装置間直接通信のシーケンスの一例を示してある。
2つの移動局装置A、Bの間の直接通信は、プレストークで行われる。
同図の例では、移動局装置Bにおいて或る時点a1にプレストークがオン(ON)となり後の時点a2に当該プレストークがオフ(OFF)となり、また、更に後の時点a3に移動局装置Aにおいてプレストークがオン(ON)となる。
【0040】
移動局装置Bでは、送信を行うために時点a1にプレスをオンとすると、移動局装置Aに対して、3個の同期バースト(SB)フレームP1〜P3を送信し、続いてM個のフレームにわたって通信チャネル(SC)フレームP4、・・・を送信し、その後、時点a2にプレスをオフとすると、移動局装置Aに対して、終話を通知するために2個の空線情報フレームP5、P6を送信する。
このとき、移動局装置Aでは、受信される同期バーストフレームP1〜P3を用いて移動局装置Bとのタイミング同期を取り、そして、通信チャネルフレームP4、・・・を受信する。
【0041】
同様に、移動局装置Aでは、時点a3にプレスがオンとなると、移動局装置Bに対して、3個の同期バーストフレームP11〜P13を送信し、終話するまでにM個の通信チャネルフレームP14、・・・を送信する。この場合、移動局装置Bでは、同期バーストフレームP11〜P13を受信してタイミング同期を取り、その後、通信チャネルフレームP14、・・・を受信する。
【0042】
図6には、移動局装置に設けられる受信機の構成例を示してある。
アンテナ21により受信された信号は、高周波部回路22に入力される。高周波部回路22は、受信された無線周波数帯域の高周波信号を所定の周波数の信号へ変換してA/D(Analog to Digital)変換器23へ供給する。当該所定の周波数としては、A/D変換器23によりサンプリングが可能な周波数が用いられる。
【0043】
次に、受信された信号は、A/D変換器23により所定のレートで、すなわちシンボル周期当たりN(SMP)回のレートでサンプリングされ、量子化されてデジタル信号となる。当該デジタル信号は、2つの乗算器26、27へ出力される。
また、一方の乗算器28には、正弦波信号発生回路24により発生させられる周波数ωの正弦波信号がそのまま余弦波信号cos(ω・t)として入力され、他方の乗算器27には、当該余弦波信号がπ/2移相器25により移相させられて得られる正弦波信号−sin(ω・t)が入力される。なお、tは時刻を表す。
【0044】
それぞれの乗算器26、27では、入力される2つの信号を乗算して乗算結果を出力する。それぞれの乗算器26、27からの出力信号は、それぞれのローパスフィルタ28、29により所定の受信特性で帯域制限され、当該帯域制限された信号がそれぞれのベースバンド信号の出力端子30、31を介して出力される。
ここで、一方のベースバンド信号出力端子30から出力される信号がベースバンド信号の同相成分(I成分)であり、他方のベースバンド信号出力端子31から出力される信号がベースバンド信号の直交成分(Q成分)である。
【0045】
このように本例のベースバンド信号は、実数部を同相成分として虚数部を直交成分とする複素数の信号から構成され、当該信号が復号部42に入力される。
復号部42では、受信信号に施されていた変調方式に対応した復調方式により受信信号を復号することが行われ、当該復号結果が受信復調部出力端子44から出力される。
【0046】
また、ベースバンド出力端子30、31から出力されるベースバンド信号は、タイミング同期回路43に入力される。タイミング同期回路43では、受信信号に基づいてタイミング情報を検出することが行われ、当該タイミング情報がタイミング情報出力端子45から出力される。
なお、本例では、説明の便宜上から、高周波部回路22からベースバンド信号出力端子30、31までの処理部を、復調ベースバンド部41と言う。
【0047】
タイミング同期の態様としては、初期引込みと通常引込みがある。
タイミング同期部43は、ベースバンド信号を入力して同期処理を行う。
本例では、初期引き込みとは、送信機と受信機が非同期の状態から、タイミング情報を検出して同期を取ることを言う。
また、本例では、通常引込みとは、予めタイミング同期が取れた状態から、同期が外れないように常にタイミング情報を検出して同期を維持することを言う。
【0048】
移動局装置間直接通信では、移動局装置Aと移動局装置Bが初めは非同期状態であるため、初期引込みを行うことが必要である。
初期引込みを行う具体的な方法としては、例えば、プリアンブル検出による初期引き込みの方法や、同期ワード相関による初期引き込みの方法などがある。
【0049】
プリアンブル検出による初期引き込みの方法では、受信信号の復調ベースバンド出力から同期バーストに含まれるプリアンブル(“P”)の信号を検出し、検出したプリアンブル信号を基準として同期を取る。
同期ワード相関による初期引き込みの方法では、受信信号の復調ベースバンド出力から同期ワード(“SW”)を検出して同期を取り、本例では、通信チャネルに含まれる同期ワードの相関をN(COR)個のフレームにわたって種々なタイミングで積算し、得られる同期ワード相関出力の最大値からタイミング情報を求めて、タイミング同期を取る。なお、N(COR)は1以上の整数である。
【0050】
ここで、プリアンブル検出による初期引き込みでは、一連の処理が数シンボルで完了するため、タイミング情報の検出が完了した後には、次のシンボルの処理からタイミング情報を変更することが可能である。
一方、同期ワード相関による初期引き込みでは、受信された同期ワードと正しい同期ワードとの相関演算を1フレームにわたって行い、更に、総じてN(COR)個のフレームについて同期ワード相関出力を積算するため、検出されるタイミング情報は受信開始後における{N(COR)+1}フレームから反映されることが可能である。
【0051】
このようなことから、直接通信におけるタイミング同期の方法としては、タイミング検出に要する時間が短いプリアンブル検出による初期引き込みの方が適していると考えられる。
しかしながら、プリアンブル検出による初期引き込みでは、受信される同期バーストフレームP1〜P3の電力が小さい場合には、プリアンブルの検出レベルが著しく低下してしまい、タイミング情報T1を検出することができず、移動局装置Aが移動局装置Bとのタイミング同期を取ることができないといった問題がある。
【0052】
また、移動局装置Bが同期バーストフレームP1〜P3を送信した後に、移動局装置Aの電源が投入された場合には、移動局装置Aの受信信号には同期バーストが含まれないため、プリアンブル検出による初期引き込みのみでは、タイミング情報T1を検出することができず、移動局装置Aが移動局装置Bとのタイミング同期を取ることができないといった問題がある。
【0053】
次に、このような問題を解決することが可能なタイミング同期方法を示す。
図7には、移動局装置間直接通信におけるタイミング同期部の構成例を示してある。
本例のタイミング同期部には、アンテナ51と、復調べ一スバンド部52と、復号器53と、同期ワードビット照合部54と、バッファ55と、2つの入力端子61、62を有するスイッチ56と、プリアンブル検出部57と、同期ワード相関部58と、スイッチ59と、タイミング情報検出部60が備えられている。
【0054】
図8には、移動局装置間直接通信におけるタイミング同期のフローチャートの一例を示してある。
本例では、1フレームを構成するシンボルの数が192であり、同期バーストフレームの連続した送信回数が3(N=3)であるとする。
受信開始時には、初期値として、復調ベースバンド処理のタイミングT=T0、シンボルカウンタCNT(SYMB)=0、フレームカウンタCNT(FRM)=0、タイミング情報検出フラグflag=0が設定される(ステップS31)。
【0055】
受信信号は復調べ一スバンド処理され(ステップS32)、次に、CNT(SYMB)がインクリメントにより1だけ増加させられ(ステップS33)、「CNT(SYMB)<192」であるか否かという条件判断により(ステップS34)、「CNT(SYMB)<192」ではない場合つまりCNT(SYMB)=192となった場合にはCNT(FRM)がインクリメントにより1だけ増加させられる(ステップS35)。
【0056】
次に、「flag=1」であるか否かという条件判断により(ステップS36)、「flag=1」ではない場合つまりflag=0である場合には、復調ベースバンド出力がバッファ55に蓄積され(ステップS41)、「CNT(FRM)<3」であるか否かという条件判断が行われる(ステップS42)。
【0057】
条件判断(ステップS42)において、「CNT(FRM)<3」である場合にはプリアンブル検出による初期引き込みの処理へ移行し、「CNT(FRM)<3」ではない場合つまりCNT(FRM)≧3である場合には同期ワード相関による初期引き込みの処理へ移行する。
【0058】
受信開始後には、まず、プリアンブル検出による初期引き込みの処理が行われる。
すなわち、バッファ55に蓄積された復調ベースバンド出力からプリアンブル検出用データがN(PB)シンボル取り出され(ステップS43)、プリアンブルの検出が行われ(ステップS44)、「プリアンブルが検出された」か否かが判定される(ステップS45)。なお、N(PB)≧2であるとする。
【0059】
当該判定(ステップS45)により、取り出されたプリアンブル検出用データにプリアンブル成分が含まれないことが判断された場合には、上記した条件判断(ステップS42)へ戻る。
一方、取り出されたプリアンブル検出用データにプリアンブル成分が含まれることが判断された場合には、検出されたプリアンブル成分からタイミング情報T1が算出されてflag=1と設定され(ステップS50)、復調べ一スバンド部52の動作タイミングTがT1に(T=T1に)更新され、上記した復調ベースバンド処理(ステップS32)へ戻る。
【0060】
すると、新たなタイミングT1で動作する復調ベースバンド部52からの出力については、上記した条件判断(ステップS36)においてflag=1であるため、復号処理され(ステップS37)、当該復号結果と正しい同期ワードビットとが照合されることで(ステップS38)、エラービット数N(ERR)が算出される。そして、「N(ERR)≦K」であるか否かの条件判断により(ステップS39)、「N(ERR)≦K」である場合には初期引き込みが終了し、一方、「N(ERR)≦K」ではない場合つまり「N(ERR)>K」である場合には、flag=0と設定されて(ステップS40)、上記した条件判断(ステップS36)へ戻り、再度初期引き込みの処理が行われる。
【0061】
なお、0≦N(ERR)≦(同期ワードのビット数)となる。
また、Kとしては、例えば、0≦K<{(同期ワードのビット数/2)の整数部分}となる値が用いられる。
【0062】
また、上記した条件判断(ステップS42)において、「CONT(FRM)<3」である間はプリアンブル検出による初期引き込みの処理が行われるが、「CONT(FRM)≧3」となった場合には同期ワード相関による初期引き込みの処理が行われる。
【0063】
すなわち、同期ワード相関取得の開始時に実行フレームカウンタCNT(COR)=0と設定され(ステップS46)、次に、同期ワードの相関取得が行われ(ステップS47)、CNT(COR)がインクリメントにより1だけ増加させられ(ステップS48)、「CNT(COR)≧N(COR)」であるか否かが判定される(ステップS49)。
【0064】
当該判定により(ステップS49)、「CNT(COR)≧N(COR)」となるまでは同期ワード相関出力が積算されていき(ステップS47、ステップS48)、「CNT(COR)≧N(COR)」となった場合には、タイミング情報T2が検出されてflag=1と設定される(ステップS50)。
なお、N(COR)は、同期ワード相関実行フレーム数であり、1以上の整数であるとする。
【0065】
その後、復調べ一スバンド部52の動作タイミングTがT2に(T=T2に)更新され、上記した復調ベースバンド処理(ステップS32)へ戻って復調ベースバンド処理が行われる。
【0066】
また、新たなタイミングT2で動作する復調ベースバンド部52からの出力については、上記した条件判断(ステップS36)においてflag=1であるため、復号処理され(ステップS37)、当該復号結果と正しい同期ワードビットとが照合されることで(ステップS38)、エラービット数N(ERR)が算出される。そして、「N(ERR)≦K」であるか否かの条件判断により(ステップS39)、「N(ERR)≦K」である場合には初期引き込みが終了し、一方、「N(ERR)≦K」ではない場合つまり「N(ERR)>K」である場合には、flag=0と設定されて(ステップS40)、上記した条件判断(ステップS36)へ戻り、再度、初期引き込みの処理が行われる。
【0067】
このように、移動局装置間直接通信におけるタイミング同期では、受信開始後のNフレームについてはプリアンブル検出により初期引き込みを行い、この間にタイミング同期が取れない場合には、同期ワード相関による初期引き込みを行う。これにより、例えば、移動局装置Aが移動局装置Bから送信された同期バーストフレームP1〜P3を受信することができなかったような場合においても、それ以降に受信する通信チャネルフレームP4、・・・に含まれる同期ワードを用いてタイミング同期を取ることを可能としている。
【0068】
次に、上記した技術例を例として、本発明に係る課題を具体的に説明する。
プレストーク方式の移動局装置間直接通信において、上記したようなタイミング同期方法では、例えば、移動局装置Bがプレスがオンとなった後にすぐに通話を開始し、移動局装置Aがプリアンブル検出による初期引き込みを失敗したような場合には、移動局装置Aは通信チャネルフレームP4、・・・に含まれる同期ワードの相関取得による初期引き込みを行うため、同期が取れるまでは音切れしてしまうといった問題(以下で、第1の問題と言う)があった。
【0069】
また、上記したようなタイミング同期方法では、例えば、移動局装置Bが送信を開始した後に移動局装置Aの電源が投入されたような場合には、移動局装置Aは通信チャネルフレームP4、・・・から受信を開始することとなるが、この場合においてもNフレームについてはプリアンブル検出による初期引き込みを行い、その後に同期ワードの相関取得による初期引き込みへ移行するため、同期が取れるまでは音切れしてしまうといった問題(以下で、第2の問題と言う)があった。
【0070】
上記した第1の問題及び上記した第2の問題を解決するために、本発明では、プリアンブル検出による初期引き込みと同期ワード相関による初期引き込みを同時に動作させることを提案する。ところが、単純に両方の初期引き込みを同時に動作させるだけでは、新たに次のような問題(以下で、第3の問題)が生じる。
【0071】
すなわち、プリアンブル検出による初期引き込みでは、1フレーム以内でタイミング情報T1を検出し、検出したタイミング情報T1を復調ベースバンド部52の新たなタイミング情報として設定して復調ベースバンド出力を復号し、同期ワードビット照合により、検出したタイミング情報T1が正しいタイミング情報であるか否かを判断する。
【0072】
一方、同期ワード相関による初期引き込みでは、例えば種々な乗算タイミングで、復調ベースバンド出力と同期ワードとの相関を取り、当該同期ワード相関出力を数フレーム分バッファに積算して蓄積した後に、蓄積したデータの中で最大値となるデータからタイミング情報T2を検出する。この場合、同期ワード相関による初期引き込みの動作中は、復調べ一スバンド部52の動作タイミングが変更されてはならない。
【0073】
従って、上述のようにプリアンブル検出による初期引き込みの完了判定を行うにあたり、復調ベースバンド部52の動作タイミングを更新することが必要であるが、このような更新をしてしまうと、上述のように同期ワード相関による初期引き込み中の復調ベースバンド処理のタイミングが変更されてしまうために正常な初期引き込みの動作が行われず、これが問題(第3の問題)となると考えられる。
【0074】
そこで、本発明では、上記した第1の問題及び上記した第2の問題を解消するとともに、上記した第3の問題を解消することができる技術を提案する。
次に、本発明に係る実施例を示す。
本例では、受信機を設けた移動局装置により移動局装置間直接通信を行う場合を例として示す。
【0075】
図1には、本例の移動局装置間直接通信におけるタイミング同期部の構成例を示してある。当該タイミング同期部は、本例の移動局装置の受信機に設けられている。
本例のタイミング同期部には、アンテナ1と、復調ベースバンド部2と、スイッチ3と、復号部4と、バッファ5と、プリアンブル検出部6と、タイミング情報検出部7と、補間器8と、バッファ9と、スイッチ10と、復号器11と、同期ワードビット照合部12と、スイッチ13と、同期ワード相関部14と、スイッチ15と、タイミング情報検出部16と、タイミング情報選択部17が備えられている。
【0076】
本例のタイミング同期部の概略的な動作例を示す。
アンテナ1により受信される信号が復調ベースバンド部2により復調され、当該復調結果がスイッチ3を介して復号器4へ出力されて当該復号器4により復号される。
また、復調ベースバンド部2による復調結果が、バッファ5を介して、プリアンブル検出部6と補間器8と同期ワード相関部14へ出力される。
【0077】
プリアンブル検出部6では入力される復調結果からプリアンブルを検出することが行われ、当該検出結果に基づいてタイミング情報検出部7によりタイミング情報が検出される。
補間部8では入力される復調結果が補間され、当該補間結果がバッファ9に格納された後にスイッチ10を介して復号器11へ出力される。ここで、スイッチ10は、タイミング情報検出部7からのタイミング情報により制御される。
【0078】
復号器11ではスイッチ10を介して入力される補間結果を復号することが行われ、当該復号結果について同期ワードビット照合部12により同期ワードのビット照合が行われる。そして、当該照合結果によりスイッチ13が制御され、これにより、当該照合結果が予め設定された条件以上に誤りが少ない場合にはスイッチ13によりタイミング情報検出部7からのタイミング情報T1がタイミング情報選択部17へ出力される。
【0079】
同期ワード相関部14では入力される復調結果について種々なタイミングで同期ワードとの相関がとられ、当該相関結果がスイッチ15により所定のフレーム数N(COR)だけ積算され、当該積算結果に基づいてタイミング情報検出部16によりタイミング情報T2が検出される。
【0080】
タイミング情報選択部17では、スイッチ13から入力されるタイミング情報T1とタイミング情報検出部16から入力されるタイミング情報T2から、採用するタイミング情報Tが選択され、選択されたタイミング情報Tに基づく信号が復調ベースバンド部2へ出力される。また、タイミング情報選択部17では、スイッチ3を制御するための信号が当該スイッチ3へ出力される。
【0081】
上記した復調ベースバンド部2では、タイミング情報選択部17から入力される信号により指定されるタイミング情報Tに従って復調処理が行われる。
復号器4では、タイミング情報選択部17から出力される信号により制御されるスイッチ3を介して、復調ベースバンド部2による復調結果に対する復号処理が行われる。
【0082】
図2には、本例の移動局装置間直接通信におけるタイミング同期のフローチャートの一例を示してある。
本例では、1フレームを構成するシンボルの数が192であり、同期バーストフレームの連続した送信回数が3(N=3)であるとする。
受信信号がアンテナ1から復調ベースバンド部2に入力される受信開始時には、初期値として、復調ベースバンド処理のタイミングT=T0、シンボルカウンタCNT(SYMB)=0、フレームカウンタCNT(FRM)=0、タイミング情報検出フラグflag=0が設定される(ステップS1)。
【0083】
受信信号は復調ベースバンド部2により復調べ一スバンド処理され(ステップS2)、次に、CNT(SYMB)がインクリメントにより1だけ増加させられ(ステップS3)、「CNT(SYMB)<192」であるか否かという条件判断により(ステップS4)、「CNT(SYMB)<192」である場合には条件判断(ステップS6)へ移行し、「CNT(SYMB)<192」ではない場合つまりCNT(SYMB)=192となった場合にはCNT(FRM)がインクリメントにより1だけ増加させられるとともにCNT(SYMB)=0にリセットされて(ステップS5)、条件判断(ステップS6)へ移行する。
【0084】
次に、「flag=1」であるか否かという条件判断により(ステップS6)、「flag=1」である場合には復号処理(ステップS7)へ移行し、「flag=1」ではない場合つまりflag=0である場合には、復調ベースバンド部2からの出力がバッファ5に蓄積される(ステップS11)。
復調ベースバンド出力がバッファ5に蓄積された場合には(ステップS11)、プリアンブル検出による初期引き込みの処理(ステップS12〜ステップS21)、及び同期ワード相関による初期引き込みの処理(ステップS22〜ステップS26)を同時に行う状態へ移行する。
【0085】
まず、プリアンブル検出による初期引き込みの処理について説明する。
すなわち、プリアンブル検出部6では、バッファ5に蓄積された復調ベースバンド出力からプリアンブル検出用データがN(PB)シンボル取り出され(ステップS12)、当該取り出されたデータについてプリアンブルの検出が行われ(ステップS13)、これにより「プリアンブルが検出された」か否かが判定される(ステップS14)。なお、N(PB)は2以上の整数であるとする。
【0086】
当該判定(ステップS14)により、取り出されたプリアンブル検出用データにプリアンブル成分が含まれないことが判断された場合には、プリアンブル検出部6では、再び、プリアンブルの検出を試みる処理(ステップS12)へ戻る。
一方、取り出されたプリアンブル検出用データにプリアンブル成分が含まれることが判断された場合には、タイミング情報検出部7により、検出されたプリアンブル成分に基づいてタイミング情報T1が検出される(ステップS15)。
【0087】
また、このようにしてタイミング情報T1が検出される間に、バッファ5に蓄積された復調ベースバンド出力に対して補間器8によりデータの補間が行われ(ステップS16)、当該補間結果がバッファ9に蓄積される(ステップS17)。ここで、当該補間としては、タイミング情報の精度に対応してN(OV)倍の補間が行われる。なお、N(OV)は1以上の整数(正の整数)であるとする。
【0088】
そして、スイッチ10により、タイミング情報検出部7により検出されたタイミング情報T1に従ったタイミングで、バッファ9に蓄積されたデータの中から復号用のデータが取り出され(ステップS18)、当該取り出された復号用データについて復号器11により変調方式に対応した復号処理が行われる(ステップS19)。
【0089】
次いで、同期ワードビット照合部12において、復号器11による復号結果に含まれる同期ワードビットと正しい同期ワードビットとが照合されることで(ステップS20)、同期ワードのエラービット数N(ERR)が算出される。そして、「N(ERR)≦K」であるか否かの条件判断により(ステップS21)、「N(ERR)≦K」である場合にはスイッチ13によりタイミング情報T1がタイミング情報選択部17へ出力されてタイミング情報の選択処理(ステップS27)へ移行し、一方、「N(ERR)≦K」ではない場合つまり「N(ERR)>K」である場合には、再び、プリアンブルの検出を試みる処理(ステップS12)へ戻る。
【0090】
なお、0≦N(ERR)≦(同期ワードのビット数)となる。
また、Kとしては、例えば、0≦K<{(同期ワードのビット数/2)の整数部分}となる値が用いられる。
【0091】
次に、同期ワード相関による初期引き込みの処理について説明する。
すなわち、同期ワード相関部14及びスイッチ15では、初期引き込みの開始時(同期ワード相関取得の開始時)に、実行フレームカウンタCNT(COR)=0と設定される(ステップS22)。そして、同期ワードの相関取得が行われて当該取得結果がタイミング情報検出部16に蓄積され(ステップS23)、CNT(COR)がインクリメントにより1だけ増加させられ(ステップS24)、「CNT(COR)≧N(COR)」であるか否かが判定される(ステップS25)。
【0092】
当該判定により(ステップS25)、「CNT(COR)≧N(COR)」となるまでは同期ワード相関出力が累積的に加算されていき(ステップS23、ステップS24)、「CNT(COR)≧N(COR)」となった場合には、タイミング情報検出部16により、同期ワード相関出力の最大値が求められて、当該最大値が得られた相関のタイミングに基づいてタイミング情報T2が検出され(ステップS26)、当該タイミング情報T2がタイミング情報選択部17へ出力される。
なお、N(COR)は、同期ワード相関実行フレーム数であり、本例では、2以上の整数であるとする。
【0093】
本例では、上記のようなプリアンブル検出による初期引き込みの処理と、上記のような同期ワード相関による初期引き込みの処理が同時に行われる。
そして、タイミング情報選択部17では、プリアンブル検出により検出されたタイミング情報T1と同期ワード相関により検出されたタイミング情報T2のいずれかが選択されて、選択されたタイミング情報Tにより復調バースバンド部2における動作タイミング情報を更新することが行われ(ステップS27)、また、タイミング情報の検出が完了したか否かを示すフラグflag=1と設定される(ステップS28)。
【0094】
ここで、タイミング情報選択部17によりタイミング情報T1、T2を選択する方法として、本例では、次のような方法(1)、(2)、(3)が用いられる。
(1)プリアンブル検出によるタイミング情報T1が検出されたが、同期ワード相関によるタイミング情報T2が検出されていない場合には、プリアンブル検出によるタイミング情報T1を選択して、復調ベースバンド部2の動作タイミングを当該タイミング情報T1に基づくタイミングへ変更する。
【0095】
(2)プリアンブル検出によるタイミング情報T1が検出される前に同期ワード相関によるタイミング情報T2が検出された場合には、同期ワード相関によるタイミング情報T2を選択して、復調ベースバンド部2の動作タイミングを当該タイミング情報T2に基づくタイミングへ変更する。
【0096】
(3)プリアンブル検出によるタイミング情報T1と同期ワード相関によるタイミング情報T2が同時に検出された場合には、上記したプリアンブル検出による初期引き込み処理における同期ワードビットの照合処理(ステップS16〜ステップS21)により予め正しいタイミングであると判断されたタイミング情報T1を選択して、復調ベースバンド部2の動作タイミングを当該タイミング情報T1に基づくタイミングへ変更する。
【0097】
以降における復調ベースバンド部2による復調ベースバンド処理は、更新された新たなタイミング情報Tに従って行われる(ステップS2)。
また、新たなタイミングTで動作する復調ベースバンド部2からの出力については、上記した条件判断(ステップS6)においてflag=1であるため、受信信号の変調方式に従った復号方式により復号処理され(ステップS7)、当該復号結果に含まれる同期ワードビットと正しい同期ワードビットとが照合されることで(ステップS8)、同期ワードに関してエラービット数N(ERR)が算出される。
【0098】
そして、「N(ERR)≦K」であるか否かの条件判断により(ステップS9)、「N(ERR)≦K」である場合には移動局装置間直接通信の初期引き込みが終了し、一方、「N(ERR)≦K」ではない場合つまり「N(ERR)>K」である場合には、flag=0と設定されて(ステップS10)、上記した条件判断(ステップS6)へ戻り、再度、初期引き込みの処理が行われる。
【0099】
以上のように、本例の移動局装置に設けられた受信機では、例えば、当該受信機の電源投入後に、送信機とのタイミング同期が全く取れていない状態において、送信機からNフレームの同期バーストとそれに続いてMフレームの通信チャネルが送信されるに際して、同期バーストに含まれるプリアンブル信号の検出を用いてタイミング同期を取る処理と、同期ワード相関を用いてタイミング同期を取る処理を同時に動作させることが行われる。なお、通信チャネルのフレーム数Mは、例えば、通信の長さにより変化し得る。
【0100】
具体的には、本例の移動局装置に設けられた受信機では、復調ベースバンド出力をバッファ5に蓄積し、バッファ5に蓄積したデータをタイミング情報の精度に対応するようにN(OV)倍に補間し、当該補間出力をバッファ9に蓄積し、プリアンブル検出により得られたタイミング情報T1に従ってバッファ9からデータを取り出して、取り出したデータを変調方式に対応した復号方式によって復号し、当該復号結果と同期ワードとのビット照合により、エラービット数N(ERR)を算出し、N(ERR)が所定の値K{0≦K<(同期ワードのビット数/2)の整数部分}以下である場合に、復調ベースバンド部2の動作タイミングをタイミング情報T1のタイミングへ変更することが行われる。
【0101】
このように、本例の移動局装置に設けられた受信機では、プリアンブル検出により検出されたタイミング情報T1が正しいタイミング情報であるか否かを判断して、当該タイミング情報T1が正しいものであることが判断された後に、復調ベースバンド処理のタイミングを変更することが行われる。
【0102】
従って、本例の移動局装置に設けられた受信機では、プリアンブル検出により検出されるタイミング情報T1が同期ワード相関によるタイミング情報T2の検出に悪影響を与えることを回避することができ、プリアンブル検出による初期引き込みと同期ワード相関による初期引き込みを互いの動作に影響を与えることなく同時に行うことができる。これにより、受信側の移動局装置では、受信開始時に素早くタイミング同期を取ることができ、受信開始直後からタイミング同期を取るまでの間における音切れを軽減することができる。
【0103】
一例として、上記図5において、送信側の移動局装置Bにより同期バーストフレームP1〜P3が送信された後に、受信側の移動局装置Aの電源が投入されたような場合においても、移動局装置Aでは、プリアンブル検出による初期引き込みと同期ワード相関による初期引き込みを同時に行うことにより、受信開始時の音切れを軽減することができ、高品質な移動局装置間直接通信を実現することができる。
【0104】
なお、本例の受信機では、プリアンブル検出部6やタイミング情報検出部7や補間器8やバッファ9やスイッチ10や復号器11や同期ワードビット照合部12やスイッチ13の機能によりプリアンブル信号タイミング情報取得手段が構成されており、同期ワード相関部14やスイッチ15やタイミング情報検出部16の機能により同期ワード信号タイミング情報取得手段が構成されており、タイミング情報選択部17の機能によりタイミング情報選択手段が構成されている。
【0105】
また、本例の受信機では、プリアンブル信号タイミング情報取得手段において、プリアンブル検出部6やタイミング情報検出部7がタイミング情報の候補(タイミング情報T1)を取得する機能によりタイミング情報候補取得手段が構成されており、補間器8やバッファ9やスイッチ10や復号器11がタイミング情報の候補に基づいて復調結果(復調ベースバンド出力)を復号する機能により受信フレーム復調結果復号手段が構成されており、同期ワードビット照合部12やスイッチ13が復号結果の正確度を判定する機能により復号結果正確度判定手段が構成されている。また、本例の受信機では、当該正確度として同期ワードのエラービット数N(ERR)が用いられており、その閾値として所定の値Kが用いられている。
【0106】
ここで、本発明に係る受信機や通信装置などの構成としては、必ずしも以上に示したものに限られず、種々な構成が用いられてもよい。なお、本発明は、例えば本発明に係る処理を実行する方法或いは方式や、このような方法や方式を実現するためのプログラムなどとして提供することも可能である。
また、本発明の適用分野としては、必ずしも以上に示したものに限られず、本発明は、種々な分野に適用することが可能なものである。
【0107】
また、本発明に係る受信機や通信装置などにおいて行われる各種の処理としては、例えばプロセッサやメモリ等を備えたハードウエア資源においてプロセッサがROM(Read Only Memory)に格納された制御プログラムを実行することにより制御される構成が用いられてもよく、また、例えば当該処理を実行するための各機能手段が独立したハードウエア回路として構成されてもよい。
また、本発明は上記の制御プログラムを格納したフロッピー(登録商標)ディスクやCD(Compact Disc)−ROM等のコンピュータにより読み取り可能な記録媒体や当該プログラム(自体)として把握することもでき、当該制御プログラムを記録媒体からコンピュータに入力してプロセッサに実行させることにより、本発明に係る処理を遂行させることができる。
【0108】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明に係る受信機によると、送信側から送信される連続した所定の数の同期バーストフレーム及びそれに続く連続した所定の数の通信チャネルフレームを受信するに際して、受信フレームに含まれるプリアンブル信号に基づいてタイミング同期を確保するためのタイミング情報を取得する処理を実行するとともに、受信フレームに含まれる同期ワード信号に基づいてタイミング同期を確保するためのタイミング情報を取得する処理を実行するようにしたため、例えば、受信側の移動局装置がプリアンブル信号による初期引き込みに失敗したような場合や、送信側の移動局装置による信号送信が開始された後に受信側の移動局装置の電源がオンとされるような場合においても、短い時間でタイミング同期を確保することができ、これにより、長い時間にわたる音切れなどを防止することができる。
【0109】
また、本発明に係る受信機では、一構成例として、プリアンブル信号に基づいてタイミング情報を取得するに際して、受信フレームの復調結果からプリアンブル信号を検出することでタイミング情報の候補を取得し、取得されるタイミング情報の候補に基づいて受信フレームの復調結果を復号し、復号結果の正確度を判定し、所定の閾値を超える正確度が判定された場合に、取得されたタイミング情報の候補をタイミング情報として採用するようにしたため、正確度が低いタイミング情報が採用されてしまうことを防止することができ、これにより、受信フレームに対してプリアンブル信号に基づくタイミング同期の確保処理と同期ワード信号に基づくタイミング同期の確保処理を互いに悪影響無く共に実行することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例に係る移動局装置間直接通信におけるタイミング同期部の構成例を示す図である。
【図2】本発明の一実施例に係る移動局装置間直接通信におけるタイミング同期動作の処理の手順の一例を示す図である。
【図3】SCPC方式におけるフレームフォーマットの一例を示す図である。
【図4】SCPC方式における送信フレームパターンの一例を示す図である。
【図5】SCPC方式における移動局装置間直接通信のシーケンスの一例を示す図である。
【図6】移動局装置の受信機の構成例を示す図である。
【図7】移動局装置間直接通信におけるタイミング同期部の構成例を示す図である。
【図8】移動局装置間直接通信におけるタイミング同期動作の処理の手順の一例を示す図である。
【符号の説明】
1、21・・アンテナ、 2、41・・復調ベースバンド部、
3、10、13、15・・スイッチ、 4、11・・復号器、
5、9・・バッファ、 6・・プリアンブル検出部、
7、16・・タイミング情報検出部、 8・・補間器、
12・・同期ワードビット照合部、 14・・同期ワード相関部、
17・・タイミング情報選択部、 22・・高周波部回路、
23・・A/D変換器、 24・・正弦波信号発生回路、
25・・π/2移相器、 26、27・・乗算器、
28、29・・ローパスフィルタ、 30、31・・出力端子、
42・・復号部、 43・・タイミング同期回路、
44・・受信復調部出力端子、 45・・タイミング情報出力端子、
【発明の属する技術分野】
本発明は、連続した所定の数の同期バーストフレーム及びそれに続く連続した所定の数の通信チャネルフレームを受信する受信機に関し、特に、短い時間でタイミング同期を確保する受信機に関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば、デジタルの無線通信システムとして、SCPC(Single Channel Per Carrier)方式により移動局装置と移動局装置との間で直接的に通信すること(移動局装置間直接通信)が行われている。
【0003】
デジタルの無線通信システムにおける送信信号は、2値の信号系列がフレームなどのように所定の区間で区切られて、π/4シフトQPSK(Quadri Phase Shift Keying)方式などのデジタル変調方式により変調された後に送信される。本明細書では、送信機により初めて送信されるフレームを第1フレームと言い、2番目に送信されるフレームを第2フレームと言い、以降のフレームについても同様にそれぞれ第3フレーム、第4フレーム、・・・と言う。
【0004】
また、送信機から送信される信号を受信する受信機では、送信機から受信されるデジタル変調信号と同期したタイミングで当該デジタル変調信号を復調或いは復号することが行われる。
一例として、SCPC方式の移動局装置間直接通信では、送信機は複数の同期バーストフレームを送信した後にそれに続けて複数の通信チャネルフレームを送信し、受信機は受信されるフレームについてプリアンブル信号に基づくタイミング同期の確保処理を試みた後に同期ワード信号に基づくタイミング同期の確保処理を試みる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記したSCPC方式の移動局装置間直接通信などでは、受信側の移動局装置と送信側の移動局装置とが非同期な状態から受信側の移動局装置がタイミング同期を確保する初期引き込みにおいて、例えば、受信側の移動局装置がプリアンブル信号による初期引き込みに失敗して同期ワード信号による初期引き込みを行うような場合には、同期ワード信号による初期引き込みが完了するまでに時間がかかってしまうことから、長い時間にわたって音切れなどが発生してしまうといった不具合があった。
【0006】
また、上記したSCPC方式の移動局装置間直接通信などでは、受信側の移動局装置と送信側の移動局装置とが非同期な状態から受信側の移動局装置がタイミング同期を確保する初期引き込みにおいて、例えば、送信側の移動局装置による信号送信が開始された後に受信側の移動局装置の電源がオンとされるような場合においても、受信側の移動局装置はプリアンブル信号による初期引き込みを試みた後に同期ワード信号による初期引き込みを試みるため、これに時間がかかってしまい、長い時間にわたって音切れなどが発生してしまうといった不具合があった。
【0007】
本発明は、このような従来の課題を解決するために為されたもので、連続した所定の数の同期バーストフレーム及びそれに続く連続した所定の数の通信チャネルフレームを受信するに際して、例えば従来と比べて、短い時間でタイミング同期を確保することができる受信機を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明に係る受信機では、送信側から送信される連続した所定の数の同期バーストフレーム及びそれに続く連続した所定の数の通信チャネルフレームを受信するに際して、次のようにして、タイミング同期を確保する。なお、同期バーストフレームには、プリアンブル信号が含まれる。また、通信チャネルフレームには、同期ワード信号が含まれる。
すなわち、プリアンブル情報タイミング情報取得手段が、受信フレームに含まれるプリアンブル信号に基づいて、タイミング同期を確保するためのタイミング情報を取得する処理を実行する。また、同期ワード信号タイミング情報取得手段が、受信フレームに含まれる同期ワード信号に基づいて、タイミング同期を確保するためのタイミング情報を取得する処理を実行する。そして、受信フレームに対して、プリアンブル信号タイミング情報取得手段による処理と同期ワード信号タイミング情報取得手段による処理を共に実行する。
【0009】
従って、受信フレームに対してプリアンブル信号に基づくタイミング同期の確保処理と同期ワード信号に基づくタイミング同期の確保処理が共に実行されるため、例えば、受信側の移動局装置がプリアンブル信号による初期引き込みに失敗したような場合や、送信側の移動局装置による信号送信が開始された後に受信側の移動局装置の電源がオンとされるような場合においても、短い時間でタイミング同期を確保することができ、これにより、長い時間にわたる音切れなどを防止することができる。
【0010】
ここで、受信機としては、種々なものが用いられてもよく、必ずしも受信機能のみを有するものが用いられなくともよく、例えば、送信機能と受信機能の両方を有する送受信機が用いられてもよい。
また、送信側としては、種々なものが用いられてもよく、例えば、通信相手となる送信機を用いることができる。
【0011】
また、同期バーストフレームとしては、種々なものが用いられてもよく、例えば、主にタイミング同期を確保するために使用されるようなフレームが用いられる。
また、連続して通信される同期バーストフレームの数(所定の数)としては、種々な数が用いられてもよく、例えば、2以上の数が用いられるが、1が用いられてもよい。
【0012】
また、通信チャネルフレームとしては、種々なものが用いられてもよく、例えば、主にデータを通信するために使用されるようなフレームが用いられる。
また、連続して通信される通信チャネルフレームの数(所定の数)としては、種々な数が用いられてもよく、例えば、2以上の数が用いられるが、1が用いられてもよい。
【0013】
また、連続して通信される同期バーストフレームの数と、連続して通信される通信チャネルフレームの数としては、例えば、異なる数が用いられるが、同一の数が用いられてもよい。一例として、連続して通信される同期バーストフレームの数と比較して、連続して通信される通信チャネルフレームの数が多い態様が用いられる。
【0014】
また、プリアンブル信号としては、種々な信号が用いられてもよく、例えば、クロック同期を確保するための信号が用いられる。
また、同期ワード信号としては、種々な信号が用いられてもよく、例えば、ワード同期を確保するための信号が用いられる。
【0015】
また、プリアンブル信号は、例えば、通信チャネルフレームに含まれてもよく、この場合、同期バーストフレームに含まれるプリアンブル信号に基づいてタイミング情報を取得するが通信チャネルフレームに含まれるプリアンブル信号に基づいてはタイミング情報を取得しないような態様や、或いは、同期バーストフレームに含まれるプリアンブル信号に基づいてタイミング情報を取得するとともに通信チャネルフレームに含まれるプリアンブル信号に基づいてもタイミング情報を取得するような態様などを用いることができる。
【0016】
また、同期ワード信号は、例えば、同期バーストフレームに含まれてもよく、この場合、通信チャネルフレームに含まれる同期ワード信号に基づいてタイミング情報を取得するが同期バーストフレームに含まれる同期ワード信号に基づいてはタイミング情報を取得しないような態様や、或いは、通信チャネルフレームに含まれる同期ワード信号に基づいてタイミング情報を取得するとともに同期バーストフレームに含まれる同期ワード信号に基づいてもタイミング情報を取得するような態様などを用いることができる。
【0017】
また、受信フレームとしては、受信される同期バーストフレームや、受信される通信チャネルフレームがある。また、他のフレームが用いられてもよい。
また、本明細書で言うフレームとしては、種々なものが用いられてもよく、例えば、種々な、任意のひとまとまりの信号を包含する。
【0018】
また、タイミング同期としては、種々なタイミングの同期が用いられてもよく、例えば、受信フレームを復調するために使用されるタイミングの同期や、受信フレームが復調された結果を復号するために使用されるタイミングの同期が用いられる。
また、タイミング情報としては、種々な情報が用いられてもよく、例えば、タイミング同期により確保される信号処理のタイミングを特定するような情報が用いられる。
【0019】
また、プリアンブル信号に基づいてタイミング同期を確保する態様としては、例えば、受信フレームに含まれるプリアンブル信号を検出して、検出されるプリアンブル信号のタイミングに合わせて受信フレームの処理を行うような態様が用いられる。
同様に、同期ワード信号に基づいてタイミング同期を確保する態様としては、例えば、受信フレームに含まれる同期ワード信号を検出して、検出される同期ワード信号のタイミングに合わせて受信フレームの処理を行うような態様が用いられる。
【0020】
また、プリアンブル信号タイミング情報取得手段による処理と同期ワード信号タイミング情報取得手段による処理を共に実行する態様としては、例えば、同一の受信フレームに対していずれか一方の処理のみではなく両方の処理を実行するような態様が用いられ、例えば、これら両方の処理を同一の受信フレームに対して同時に或いは並列して実行するような態様が用いられる。
【0021】
なお、一例として、同期バーストフレームに含まれるプリアンブル信号に基づいてタイミング情報を取得する処理及び通信チャネルフレームに含まれる同期ワード信号に基づいてタイミング情報を取得する処理をそれぞれの受信フレームに対して実行する場合には、受信フレームが同期バーストフレームであるときにはプリアンブル信号に基づくタイミング情報が取得されることが可能であり、受信フレームが通信チャネルフレームであるときには同期ワード信号に基づくタイミング情報が取得されることが可能である。
【0022】
また、本発明に係る受信機では、一構成例として、プリアンブル信号タイミング情報取得手段を次のような構成とした。
すなわち、プリアンブル信号タイミング情報取得手段では、タイミング情報候補取得手段が受信フレームの復調結果からプリアンブル信号を検出することでタイミング情報の候補を取得し、受信フレーム復調結果復号手段がタイミング情報候補取得手段により取得されるタイミング情報の候補に基づいて受信フレームの復調結果を復号し、復号結果正確度判定手段が受信フレーム復調結果復号手段による復号結果の正確度を判定する。
そして、プリアンブル信号タイミング情報取得手段では、復号結果正確度判定手段により所定の閾値を超える正確度が判定された場合に、タイミング情報候補取得手段により取得されたタイミング情報の候補をタイミング情報として採用する。
【0023】
従って、受信フレームに対してプリアンブル信号に基づくタイミング同期の確保処理と同期ワード信号に基づくタイミング同期の確保処理が共に実行されるときにおいても、所定の閾値を超える正確度が判定された場合にプリアンブル信号に基づくタイミング情報の候補がタイミング情報として採用され、例えば所定の閾値未満の正確度が判定された場合にはプリアンブル信号に基づくタイミング情報の候補がタイミング情報として採用されないため、正確度が低いタイミング情報が採用されてしまうことを防止することができる。
【0024】
なお、復号結果の正確度が所定の閾値と等しい場合には、例えば、タイミング情報の候補をタイミング情報として採用する態様が用いられてもよく、或いは、タイミング情報の候補をタイミング情報として採用しない態様が用いられてもよい。
【0025】
ここで、一例として、送信側が送信対象となるビットデータに対して直交変調を施して、これにより得られるI成分及びQ成分から構成される送信フレームを送信し、受信側が受信フレームを復調して、これにより得られるI成分及びQ成分から元のビットデータを復号するような態様を用いることができる。
【0026】
また、復号結果の正確度としては、種々なものが用いられてもよい。一例として、送信側と受信側とで予め設定されたビットデータを送信側から受信側へ送信し、受信側が受信フレームから復号したビットデータ(復号結果)と当該受信側に設定された正しいビットデータとを比較して、当該復号結果の誤り率や誤り数が低い方が正確度が高いとみなし、当該復号結果の誤り率や誤り数が高い方が正確度が低いとみなすような態様を用いることができる。
また、正確度に関する所定の閾値としては、例えば使用されるシステムなどに応じて、種々な値が用いられてもよい。
【0027】
また、本発明に係る受信機では、一構成例として、次のような構成とした。
すなわち、タイミング情報選択手段が、プリアンブル信号タイミング情報取得手段によりタイミング情報が取得される前に、同期ワード信号タイミング情報取得手段によりタイミング情報が取得された場合には、同期ワード信号タイミング情報取得手段により取得されたタイミング情報を、受信フレームを復調するために使用するタイミング情報として選択する。
【0028】
従って、プリアンブル信号に基づくタイミング情報より前に同期ワード信号に基づくタイミング情報が取得された場合には、当該同期ワード信号に基づくタイミング情報を選択して採用することができる。
【0029】
また、本発明に係る受信機では、一構成例として、次のような構成とした。
すなわち、タイミング情報選択手段が、プリアンブル信号タイミング情報取得手段によりタイミング情報が取得されると共に、同期ワード信号タイミング情報取得手段によりタイミング情報が取得された場合には、プリアンブル信号タイミング情報取得手段により取得されたタイミング情報を、受信フレームを復調するために使用するタイミング情報として選択する。
【0030】
従って、プリアンブル信号に基づくタイミング情報と共に同期ワード信号に基づくタイミング情報が取得された場合には、当該プリアンブル信号に基づくタイミング情報を選択して採用することができる。
【0031】
ここで、プリアンブル信号に基づくタイミング情報と共に同期ワード信号に基づくタイミング情報が取得される場合としては、種々な場合が用いられてもよく、例えば、同時或いは所定の近い時期に両方のタイミング情報が取得されるような場合や、一方のタイミング情報が取得されてから所定の時間内に他方のタイミング情報が取得されるような場合や、同一の受信フレームにおいて両方のタイミング情報が取得されるような場合などを用いることができる。
【0032】
また、本発明に係る受信機では、一構成例として、タイミング情報選択手段が、プリアンブル信号タイミング情報取得手段によりタイミング情報が取得される一方、同期ワード信号タイミング情報取得手段によりタイミング情報が非取得である(つまり、取得されない)場合には、プリアンブル信号タイミング情報取得手段により取得されたタイミング情報を、受信フレームを復調するために使用するタイミング情報として選択する。
従って、プリアンブル信号に基づくタイミング情報のみが取得された場合には、当該プリアンブル信号に基づくタイミング情報を選択して採用することができる。
【0033】
また、本発明に係る受信機は、種々なものに適用されてもよく、例えば、移動通信システムなどの無線通信システムで使用される無線通信装置に適用することができ、特に、SCPC方式により他の移動局装置との間で直接的に通信を行う移動局装置に適用するのに好適なものである。
また、本発明に係る受信機は、例えば、防災や業務などに関するデジタル無線の端末装置或いは基地局装置などに適用することも可能である。
【0034】
【発明の実施の形態】
本発明に係る一実施例を図面を参照して説明する。
まず、本発明に係る実施例を説明するために、背景となる技術例を示す。なお、本技術例は、必ずしも全てが従来技術であるとは限らない。
SCPC方式の移動局装置間直接通信について説明する。
なお、本例では、公共業務用デジタル移動通信システムの標準規格であるARIB STD−T61に基づいたSCPC方式の無線システムを例として説明する。
【0035】
図3(a)には通信用チャネル(SC)のフレームである通信チャネルフレームの一例を示してあり、図3(b)には同期バースト(SB)のフレームである同期バーストフレームの一例を示してある。
各々において、“LP”はリニアライザプリアンブルを表しており、“R”はバースト過渡応答用ガードを表しており、“P”はプリアンブルを表しており、“TCH”はトラヒックチャネルを表しており、“RI”は無線情報チャネルを表しており、“SW”は同期ワードを表しており、“PI”はパラメータ情報チャネルを表しており、“G”はガードタイムを表している。
【0036】
通信チャネルフレームは、先頭から、“LP”と“R”とが合わさった15ビット(“LP+R”)と、1ビットの“P”と、48ビットの“TCH”と、28ビットの“RI”と、10ビットの“SW”と、10ビットの“未定義”部分と、80ビットの“TCH”が並べられて構成されている。
同期バーストフレームは、先頭から、“LP”と“R”とが合わさった20ビットと、44ビットの“P”と、28ビットの“RI”と、16ビットの“SW”と、28ビットの“P”と、52ビットの“PI”と、4ビットの“G”が並べられて構成されている。
【0037】
図4には、SCPC方式のデジタル無線通信における移動局装置間直接通信で使用される送信フレームのパターンの一例を示してある。
送信側では、送信開始後のNフレームについては同期バーストフレームを送信し、続いて終話するまでについてはMフレームの通信チャネルフレームを送信する。
【0038】
なお、本例では、N=3である場合を例として示す。この場合、同図に示されるように、3個の同期バーストフレームSB(0)、SB(1)、SB(2)が送信された後に、続けてM個の通信チャネルフレームSC(0)、SC(1)、SC(2)、・・・、SC(M−1)が送信される。
【0039】
図5には、SCPC方式における移動局装置間直接通信のシーケンスの一例を示してある。
2つの移動局装置A、Bの間の直接通信は、プレストークで行われる。
同図の例では、移動局装置Bにおいて或る時点a1にプレストークがオン(ON)となり後の時点a2に当該プレストークがオフ(OFF)となり、また、更に後の時点a3に移動局装置Aにおいてプレストークがオン(ON)となる。
【0040】
移動局装置Bでは、送信を行うために時点a1にプレスをオンとすると、移動局装置Aに対して、3個の同期バースト(SB)フレームP1〜P3を送信し、続いてM個のフレームにわたって通信チャネル(SC)フレームP4、・・・を送信し、その後、時点a2にプレスをオフとすると、移動局装置Aに対して、終話を通知するために2個の空線情報フレームP5、P6を送信する。
このとき、移動局装置Aでは、受信される同期バーストフレームP1〜P3を用いて移動局装置Bとのタイミング同期を取り、そして、通信チャネルフレームP4、・・・を受信する。
【0041】
同様に、移動局装置Aでは、時点a3にプレスがオンとなると、移動局装置Bに対して、3個の同期バーストフレームP11〜P13を送信し、終話するまでにM個の通信チャネルフレームP14、・・・を送信する。この場合、移動局装置Bでは、同期バーストフレームP11〜P13を受信してタイミング同期を取り、その後、通信チャネルフレームP14、・・・を受信する。
【0042】
図6には、移動局装置に設けられる受信機の構成例を示してある。
アンテナ21により受信された信号は、高周波部回路22に入力される。高周波部回路22は、受信された無線周波数帯域の高周波信号を所定の周波数の信号へ変換してA/D(Analog to Digital)変換器23へ供給する。当該所定の周波数としては、A/D変換器23によりサンプリングが可能な周波数が用いられる。
【0043】
次に、受信された信号は、A/D変換器23により所定のレートで、すなわちシンボル周期当たりN(SMP)回のレートでサンプリングされ、量子化されてデジタル信号となる。当該デジタル信号は、2つの乗算器26、27へ出力される。
また、一方の乗算器28には、正弦波信号発生回路24により発生させられる周波数ωの正弦波信号がそのまま余弦波信号cos(ω・t)として入力され、他方の乗算器27には、当該余弦波信号がπ/2移相器25により移相させられて得られる正弦波信号−sin(ω・t)が入力される。なお、tは時刻を表す。
【0044】
それぞれの乗算器26、27では、入力される2つの信号を乗算して乗算結果を出力する。それぞれの乗算器26、27からの出力信号は、それぞれのローパスフィルタ28、29により所定の受信特性で帯域制限され、当該帯域制限された信号がそれぞれのベースバンド信号の出力端子30、31を介して出力される。
ここで、一方のベースバンド信号出力端子30から出力される信号がベースバンド信号の同相成分(I成分)であり、他方のベースバンド信号出力端子31から出力される信号がベースバンド信号の直交成分(Q成分)である。
【0045】
このように本例のベースバンド信号は、実数部を同相成分として虚数部を直交成分とする複素数の信号から構成され、当該信号が復号部42に入力される。
復号部42では、受信信号に施されていた変調方式に対応した復調方式により受信信号を復号することが行われ、当該復号結果が受信復調部出力端子44から出力される。
【0046】
また、ベースバンド出力端子30、31から出力されるベースバンド信号は、タイミング同期回路43に入力される。タイミング同期回路43では、受信信号に基づいてタイミング情報を検出することが行われ、当該タイミング情報がタイミング情報出力端子45から出力される。
なお、本例では、説明の便宜上から、高周波部回路22からベースバンド信号出力端子30、31までの処理部を、復調ベースバンド部41と言う。
【0047】
タイミング同期の態様としては、初期引込みと通常引込みがある。
タイミング同期部43は、ベースバンド信号を入力して同期処理を行う。
本例では、初期引き込みとは、送信機と受信機が非同期の状態から、タイミング情報を検出して同期を取ることを言う。
また、本例では、通常引込みとは、予めタイミング同期が取れた状態から、同期が外れないように常にタイミング情報を検出して同期を維持することを言う。
【0048】
移動局装置間直接通信では、移動局装置Aと移動局装置Bが初めは非同期状態であるため、初期引込みを行うことが必要である。
初期引込みを行う具体的な方法としては、例えば、プリアンブル検出による初期引き込みの方法や、同期ワード相関による初期引き込みの方法などがある。
【0049】
プリアンブル検出による初期引き込みの方法では、受信信号の復調ベースバンド出力から同期バーストに含まれるプリアンブル(“P”)の信号を検出し、検出したプリアンブル信号を基準として同期を取る。
同期ワード相関による初期引き込みの方法では、受信信号の復調ベースバンド出力から同期ワード(“SW”)を検出して同期を取り、本例では、通信チャネルに含まれる同期ワードの相関をN(COR)個のフレームにわたって種々なタイミングで積算し、得られる同期ワード相関出力の最大値からタイミング情報を求めて、タイミング同期を取る。なお、N(COR)は1以上の整数である。
【0050】
ここで、プリアンブル検出による初期引き込みでは、一連の処理が数シンボルで完了するため、タイミング情報の検出が完了した後には、次のシンボルの処理からタイミング情報を変更することが可能である。
一方、同期ワード相関による初期引き込みでは、受信された同期ワードと正しい同期ワードとの相関演算を1フレームにわたって行い、更に、総じてN(COR)個のフレームについて同期ワード相関出力を積算するため、検出されるタイミング情報は受信開始後における{N(COR)+1}フレームから反映されることが可能である。
【0051】
このようなことから、直接通信におけるタイミング同期の方法としては、タイミング検出に要する時間が短いプリアンブル検出による初期引き込みの方が適していると考えられる。
しかしながら、プリアンブル検出による初期引き込みでは、受信される同期バーストフレームP1〜P3の電力が小さい場合には、プリアンブルの検出レベルが著しく低下してしまい、タイミング情報T1を検出することができず、移動局装置Aが移動局装置Bとのタイミング同期を取ることができないといった問題がある。
【0052】
また、移動局装置Bが同期バーストフレームP1〜P3を送信した後に、移動局装置Aの電源が投入された場合には、移動局装置Aの受信信号には同期バーストが含まれないため、プリアンブル検出による初期引き込みのみでは、タイミング情報T1を検出することができず、移動局装置Aが移動局装置Bとのタイミング同期を取ることができないといった問題がある。
【0053】
次に、このような問題を解決することが可能なタイミング同期方法を示す。
図7には、移動局装置間直接通信におけるタイミング同期部の構成例を示してある。
本例のタイミング同期部には、アンテナ51と、復調べ一スバンド部52と、復号器53と、同期ワードビット照合部54と、バッファ55と、2つの入力端子61、62を有するスイッチ56と、プリアンブル検出部57と、同期ワード相関部58と、スイッチ59と、タイミング情報検出部60が備えられている。
【0054】
図8には、移動局装置間直接通信におけるタイミング同期のフローチャートの一例を示してある。
本例では、1フレームを構成するシンボルの数が192であり、同期バーストフレームの連続した送信回数が3(N=3)であるとする。
受信開始時には、初期値として、復調ベースバンド処理のタイミングT=T0、シンボルカウンタCNT(SYMB)=0、フレームカウンタCNT(FRM)=0、タイミング情報検出フラグflag=0が設定される(ステップS31)。
【0055】
受信信号は復調べ一スバンド処理され(ステップS32)、次に、CNT(SYMB)がインクリメントにより1だけ増加させられ(ステップS33)、「CNT(SYMB)<192」であるか否かという条件判断により(ステップS34)、「CNT(SYMB)<192」ではない場合つまりCNT(SYMB)=192となった場合にはCNT(FRM)がインクリメントにより1だけ増加させられる(ステップS35)。
【0056】
次に、「flag=1」であるか否かという条件判断により(ステップS36)、「flag=1」ではない場合つまりflag=0である場合には、復調ベースバンド出力がバッファ55に蓄積され(ステップS41)、「CNT(FRM)<3」であるか否かという条件判断が行われる(ステップS42)。
【0057】
条件判断(ステップS42)において、「CNT(FRM)<3」である場合にはプリアンブル検出による初期引き込みの処理へ移行し、「CNT(FRM)<3」ではない場合つまりCNT(FRM)≧3である場合には同期ワード相関による初期引き込みの処理へ移行する。
【0058】
受信開始後には、まず、プリアンブル検出による初期引き込みの処理が行われる。
すなわち、バッファ55に蓄積された復調ベースバンド出力からプリアンブル検出用データがN(PB)シンボル取り出され(ステップS43)、プリアンブルの検出が行われ(ステップS44)、「プリアンブルが検出された」か否かが判定される(ステップS45)。なお、N(PB)≧2であるとする。
【0059】
当該判定(ステップS45)により、取り出されたプリアンブル検出用データにプリアンブル成分が含まれないことが判断された場合には、上記した条件判断(ステップS42)へ戻る。
一方、取り出されたプリアンブル検出用データにプリアンブル成分が含まれることが判断された場合には、検出されたプリアンブル成分からタイミング情報T1が算出されてflag=1と設定され(ステップS50)、復調べ一スバンド部52の動作タイミングTがT1に(T=T1に)更新され、上記した復調ベースバンド処理(ステップS32)へ戻る。
【0060】
すると、新たなタイミングT1で動作する復調ベースバンド部52からの出力については、上記した条件判断(ステップS36)においてflag=1であるため、復号処理され(ステップS37)、当該復号結果と正しい同期ワードビットとが照合されることで(ステップS38)、エラービット数N(ERR)が算出される。そして、「N(ERR)≦K」であるか否かの条件判断により(ステップS39)、「N(ERR)≦K」である場合には初期引き込みが終了し、一方、「N(ERR)≦K」ではない場合つまり「N(ERR)>K」である場合には、flag=0と設定されて(ステップS40)、上記した条件判断(ステップS36)へ戻り、再度初期引き込みの処理が行われる。
【0061】
なお、0≦N(ERR)≦(同期ワードのビット数)となる。
また、Kとしては、例えば、0≦K<{(同期ワードのビット数/2)の整数部分}となる値が用いられる。
【0062】
また、上記した条件判断(ステップS42)において、「CONT(FRM)<3」である間はプリアンブル検出による初期引き込みの処理が行われるが、「CONT(FRM)≧3」となった場合には同期ワード相関による初期引き込みの処理が行われる。
【0063】
すなわち、同期ワード相関取得の開始時に実行フレームカウンタCNT(COR)=0と設定され(ステップS46)、次に、同期ワードの相関取得が行われ(ステップS47)、CNT(COR)がインクリメントにより1だけ増加させられ(ステップS48)、「CNT(COR)≧N(COR)」であるか否かが判定される(ステップS49)。
【0064】
当該判定により(ステップS49)、「CNT(COR)≧N(COR)」となるまでは同期ワード相関出力が積算されていき(ステップS47、ステップS48)、「CNT(COR)≧N(COR)」となった場合には、タイミング情報T2が検出されてflag=1と設定される(ステップS50)。
なお、N(COR)は、同期ワード相関実行フレーム数であり、1以上の整数であるとする。
【0065】
その後、復調べ一スバンド部52の動作タイミングTがT2に(T=T2に)更新され、上記した復調ベースバンド処理(ステップS32)へ戻って復調ベースバンド処理が行われる。
【0066】
また、新たなタイミングT2で動作する復調ベースバンド部52からの出力については、上記した条件判断(ステップS36)においてflag=1であるため、復号処理され(ステップS37)、当該復号結果と正しい同期ワードビットとが照合されることで(ステップS38)、エラービット数N(ERR)が算出される。そして、「N(ERR)≦K」であるか否かの条件判断により(ステップS39)、「N(ERR)≦K」である場合には初期引き込みが終了し、一方、「N(ERR)≦K」ではない場合つまり「N(ERR)>K」である場合には、flag=0と設定されて(ステップS40)、上記した条件判断(ステップS36)へ戻り、再度、初期引き込みの処理が行われる。
【0067】
このように、移動局装置間直接通信におけるタイミング同期では、受信開始後のNフレームについてはプリアンブル検出により初期引き込みを行い、この間にタイミング同期が取れない場合には、同期ワード相関による初期引き込みを行う。これにより、例えば、移動局装置Aが移動局装置Bから送信された同期バーストフレームP1〜P3を受信することができなかったような場合においても、それ以降に受信する通信チャネルフレームP4、・・・に含まれる同期ワードを用いてタイミング同期を取ることを可能としている。
【0068】
次に、上記した技術例を例として、本発明に係る課題を具体的に説明する。
プレストーク方式の移動局装置間直接通信において、上記したようなタイミング同期方法では、例えば、移動局装置Bがプレスがオンとなった後にすぐに通話を開始し、移動局装置Aがプリアンブル検出による初期引き込みを失敗したような場合には、移動局装置Aは通信チャネルフレームP4、・・・に含まれる同期ワードの相関取得による初期引き込みを行うため、同期が取れるまでは音切れしてしまうといった問題(以下で、第1の問題と言う)があった。
【0069】
また、上記したようなタイミング同期方法では、例えば、移動局装置Bが送信を開始した後に移動局装置Aの電源が投入されたような場合には、移動局装置Aは通信チャネルフレームP4、・・・から受信を開始することとなるが、この場合においてもNフレームについてはプリアンブル検出による初期引き込みを行い、その後に同期ワードの相関取得による初期引き込みへ移行するため、同期が取れるまでは音切れしてしまうといった問題(以下で、第2の問題と言う)があった。
【0070】
上記した第1の問題及び上記した第2の問題を解決するために、本発明では、プリアンブル検出による初期引き込みと同期ワード相関による初期引き込みを同時に動作させることを提案する。ところが、単純に両方の初期引き込みを同時に動作させるだけでは、新たに次のような問題(以下で、第3の問題)が生じる。
【0071】
すなわち、プリアンブル検出による初期引き込みでは、1フレーム以内でタイミング情報T1を検出し、検出したタイミング情報T1を復調ベースバンド部52の新たなタイミング情報として設定して復調ベースバンド出力を復号し、同期ワードビット照合により、検出したタイミング情報T1が正しいタイミング情報であるか否かを判断する。
【0072】
一方、同期ワード相関による初期引き込みでは、例えば種々な乗算タイミングで、復調ベースバンド出力と同期ワードとの相関を取り、当該同期ワード相関出力を数フレーム分バッファに積算して蓄積した後に、蓄積したデータの中で最大値となるデータからタイミング情報T2を検出する。この場合、同期ワード相関による初期引き込みの動作中は、復調べ一スバンド部52の動作タイミングが変更されてはならない。
【0073】
従って、上述のようにプリアンブル検出による初期引き込みの完了判定を行うにあたり、復調ベースバンド部52の動作タイミングを更新することが必要であるが、このような更新をしてしまうと、上述のように同期ワード相関による初期引き込み中の復調ベースバンド処理のタイミングが変更されてしまうために正常な初期引き込みの動作が行われず、これが問題(第3の問題)となると考えられる。
【0074】
そこで、本発明では、上記した第1の問題及び上記した第2の問題を解消するとともに、上記した第3の問題を解消することができる技術を提案する。
次に、本発明に係る実施例を示す。
本例では、受信機を設けた移動局装置により移動局装置間直接通信を行う場合を例として示す。
【0075】
図1には、本例の移動局装置間直接通信におけるタイミング同期部の構成例を示してある。当該タイミング同期部は、本例の移動局装置の受信機に設けられている。
本例のタイミング同期部には、アンテナ1と、復調ベースバンド部2と、スイッチ3と、復号部4と、バッファ5と、プリアンブル検出部6と、タイミング情報検出部7と、補間器8と、バッファ9と、スイッチ10と、復号器11と、同期ワードビット照合部12と、スイッチ13と、同期ワード相関部14と、スイッチ15と、タイミング情報検出部16と、タイミング情報選択部17が備えられている。
【0076】
本例のタイミング同期部の概略的な動作例を示す。
アンテナ1により受信される信号が復調ベースバンド部2により復調され、当該復調結果がスイッチ3を介して復号器4へ出力されて当該復号器4により復号される。
また、復調ベースバンド部2による復調結果が、バッファ5を介して、プリアンブル検出部6と補間器8と同期ワード相関部14へ出力される。
【0077】
プリアンブル検出部6では入力される復調結果からプリアンブルを検出することが行われ、当該検出結果に基づいてタイミング情報検出部7によりタイミング情報が検出される。
補間部8では入力される復調結果が補間され、当該補間結果がバッファ9に格納された後にスイッチ10を介して復号器11へ出力される。ここで、スイッチ10は、タイミング情報検出部7からのタイミング情報により制御される。
【0078】
復号器11ではスイッチ10を介して入力される補間結果を復号することが行われ、当該復号結果について同期ワードビット照合部12により同期ワードのビット照合が行われる。そして、当該照合結果によりスイッチ13が制御され、これにより、当該照合結果が予め設定された条件以上に誤りが少ない場合にはスイッチ13によりタイミング情報検出部7からのタイミング情報T1がタイミング情報選択部17へ出力される。
【0079】
同期ワード相関部14では入力される復調結果について種々なタイミングで同期ワードとの相関がとられ、当該相関結果がスイッチ15により所定のフレーム数N(COR)だけ積算され、当該積算結果に基づいてタイミング情報検出部16によりタイミング情報T2が検出される。
【0080】
タイミング情報選択部17では、スイッチ13から入力されるタイミング情報T1とタイミング情報検出部16から入力されるタイミング情報T2から、採用するタイミング情報Tが選択され、選択されたタイミング情報Tに基づく信号が復調ベースバンド部2へ出力される。また、タイミング情報選択部17では、スイッチ3を制御するための信号が当該スイッチ3へ出力される。
【0081】
上記した復調ベースバンド部2では、タイミング情報選択部17から入力される信号により指定されるタイミング情報Tに従って復調処理が行われる。
復号器4では、タイミング情報選択部17から出力される信号により制御されるスイッチ3を介して、復調ベースバンド部2による復調結果に対する復号処理が行われる。
【0082】
図2には、本例の移動局装置間直接通信におけるタイミング同期のフローチャートの一例を示してある。
本例では、1フレームを構成するシンボルの数が192であり、同期バーストフレームの連続した送信回数が3(N=3)であるとする。
受信信号がアンテナ1から復調ベースバンド部2に入力される受信開始時には、初期値として、復調ベースバンド処理のタイミングT=T0、シンボルカウンタCNT(SYMB)=0、フレームカウンタCNT(FRM)=0、タイミング情報検出フラグflag=0が設定される(ステップS1)。
【0083】
受信信号は復調ベースバンド部2により復調べ一スバンド処理され(ステップS2)、次に、CNT(SYMB)がインクリメントにより1だけ増加させられ(ステップS3)、「CNT(SYMB)<192」であるか否かという条件判断により(ステップS4)、「CNT(SYMB)<192」である場合には条件判断(ステップS6)へ移行し、「CNT(SYMB)<192」ではない場合つまりCNT(SYMB)=192となった場合にはCNT(FRM)がインクリメントにより1だけ増加させられるとともにCNT(SYMB)=0にリセットされて(ステップS5)、条件判断(ステップS6)へ移行する。
【0084】
次に、「flag=1」であるか否かという条件判断により(ステップS6)、「flag=1」である場合には復号処理(ステップS7)へ移行し、「flag=1」ではない場合つまりflag=0である場合には、復調ベースバンド部2からの出力がバッファ5に蓄積される(ステップS11)。
復調ベースバンド出力がバッファ5に蓄積された場合には(ステップS11)、プリアンブル検出による初期引き込みの処理(ステップS12〜ステップS21)、及び同期ワード相関による初期引き込みの処理(ステップS22〜ステップS26)を同時に行う状態へ移行する。
【0085】
まず、プリアンブル検出による初期引き込みの処理について説明する。
すなわち、プリアンブル検出部6では、バッファ5に蓄積された復調ベースバンド出力からプリアンブル検出用データがN(PB)シンボル取り出され(ステップS12)、当該取り出されたデータについてプリアンブルの検出が行われ(ステップS13)、これにより「プリアンブルが検出された」か否かが判定される(ステップS14)。なお、N(PB)は2以上の整数であるとする。
【0086】
当該判定(ステップS14)により、取り出されたプリアンブル検出用データにプリアンブル成分が含まれないことが判断された場合には、プリアンブル検出部6では、再び、プリアンブルの検出を試みる処理(ステップS12)へ戻る。
一方、取り出されたプリアンブル検出用データにプリアンブル成分が含まれることが判断された場合には、タイミング情報検出部7により、検出されたプリアンブル成分に基づいてタイミング情報T1が検出される(ステップS15)。
【0087】
また、このようにしてタイミング情報T1が検出される間に、バッファ5に蓄積された復調ベースバンド出力に対して補間器8によりデータの補間が行われ(ステップS16)、当該補間結果がバッファ9に蓄積される(ステップS17)。ここで、当該補間としては、タイミング情報の精度に対応してN(OV)倍の補間が行われる。なお、N(OV)は1以上の整数(正の整数)であるとする。
【0088】
そして、スイッチ10により、タイミング情報検出部7により検出されたタイミング情報T1に従ったタイミングで、バッファ9に蓄積されたデータの中から復号用のデータが取り出され(ステップS18)、当該取り出された復号用データについて復号器11により変調方式に対応した復号処理が行われる(ステップS19)。
【0089】
次いで、同期ワードビット照合部12において、復号器11による復号結果に含まれる同期ワードビットと正しい同期ワードビットとが照合されることで(ステップS20)、同期ワードのエラービット数N(ERR)が算出される。そして、「N(ERR)≦K」であるか否かの条件判断により(ステップS21)、「N(ERR)≦K」である場合にはスイッチ13によりタイミング情報T1がタイミング情報選択部17へ出力されてタイミング情報の選択処理(ステップS27)へ移行し、一方、「N(ERR)≦K」ではない場合つまり「N(ERR)>K」である場合には、再び、プリアンブルの検出を試みる処理(ステップS12)へ戻る。
【0090】
なお、0≦N(ERR)≦(同期ワードのビット数)となる。
また、Kとしては、例えば、0≦K<{(同期ワードのビット数/2)の整数部分}となる値が用いられる。
【0091】
次に、同期ワード相関による初期引き込みの処理について説明する。
すなわち、同期ワード相関部14及びスイッチ15では、初期引き込みの開始時(同期ワード相関取得の開始時)に、実行フレームカウンタCNT(COR)=0と設定される(ステップS22)。そして、同期ワードの相関取得が行われて当該取得結果がタイミング情報検出部16に蓄積され(ステップS23)、CNT(COR)がインクリメントにより1だけ増加させられ(ステップS24)、「CNT(COR)≧N(COR)」であるか否かが判定される(ステップS25)。
【0092】
当該判定により(ステップS25)、「CNT(COR)≧N(COR)」となるまでは同期ワード相関出力が累積的に加算されていき(ステップS23、ステップS24)、「CNT(COR)≧N(COR)」となった場合には、タイミング情報検出部16により、同期ワード相関出力の最大値が求められて、当該最大値が得られた相関のタイミングに基づいてタイミング情報T2が検出され(ステップS26)、当該タイミング情報T2がタイミング情報選択部17へ出力される。
なお、N(COR)は、同期ワード相関実行フレーム数であり、本例では、2以上の整数であるとする。
【0093】
本例では、上記のようなプリアンブル検出による初期引き込みの処理と、上記のような同期ワード相関による初期引き込みの処理が同時に行われる。
そして、タイミング情報選択部17では、プリアンブル検出により検出されたタイミング情報T1と同期ワード相関により検出されたタイミング情報T2のいずれかが選択されて、選択されたタイミング情報Tにより復調バースバンド部2における動作タイミング情報を更新することが行われ(ステップS27)、また、タイミング情報の検出が完了したか否かを示すフラグflag=1と設定される(ステップS28)。
【0094】
ここで、タイミング情報選択部17によりタイミング情報T1、T2を選択する方法として、本例では、次のような方法(1)、(2)、(3)が用いられる。
(1)プリアンブル検出によるタイミング情報T1が検出されたが、同期ワード相関によるタイミング情報T2が検出されていない場合には、プリアンブル検出によるタイミング情報T1を選択して、復調ベースバンド部2の動作タイミングを当該タイミング情報T1に基づくタイミングへ変更する。
【0095】
(2)プリアンブル検出によるタイミング情報T1が検出される前に同期ワード相関によるタイミング情報T2が検出された場合には、同期ワード相関によるタイミング情報T2を選択して、復調ベースバンド部2の動作タイミングを当該タイミング情報T2に基づくタイミングへ変更する。
【0096】
(3)プリアンブル検出によるタイミング情報T1と同期ワード相関によるタイミング情報T2が同時に検出された場合には、上記したプリアンブル検出による初期引き込み処理における同期ワードビットの照合処理(ステップS16〜ステップS21)により予め正しいタイミングであると判断されたタイミング情報T1を選択して、復調ベースバンド部2の動作タイミングを当該タイミング情報T1に基づくタイミングへ変更する。
【0097】
以降における復調ベースバンド部2による復調ベースバンド処理は、更新された新たなタイミング情報Tに従って行われる(ステップS2)。
また、新たなタイミングTで動作する復調ベースバンド部2からの出力については、上記した条件判断(ステップS6)においてflag=1であるため、受信信号の変調方式に従った復号方式により復号処理され(ステップS7)、当該復号結果に含まれる同期ワードビットと正しい同期ワードビットとが照合されることで(ステップS8)、同期ワードに関してエラービット数N(ERR)が算出される。
【0098】
そして、「N(ERR)≦K」であるか否かの条件判断により(ステップS9)、「N(ERR)≦K」である場合には移動局装置間直接通信の初期引き込みが終了し、一方、「N(ERR)≦K」ではない場合つまり「N(ERR)>K」である場合には、flag=0と設定されて(ステップS10)、上記した条件判断(ステップS6)へ戻り、再度、初期引き込みの処理が行われる。
【0099】
以上のように、本例の移動局装置に設けられた受信機では、例えば、当該受信機の電源投入後に、送信機とのタイミング同期が全く取れていない状態において、送信機からNフレームの同期バーストとそれに続いてMフレームの通信チャネルが送信されるに際して、同期バーストに含まれるプリアンブル信号の検出を用いてタイミング同期を取る処理と、同期ワード相関を用いてタイミング同期を取る処理を同時に動作させることが行われる。なお、通信チャネルのフレーム数Mは、例えば、通信の長さにより変化し得る。
【0100】
具体的には、本例の移動局装置に設けられた受信機では、復調ベースバンド出力をバッファ5に蓄積し、バッファ5に蓄積したデータをタイミング情報の精度に対応するようにN(OV)倍に補間し、当該補間出力をバッファ9に蓄積し、プリアンブル検出により得られたタイミング情報T1に従ってバッファ9からデータを取り出して、取り出したデータを変調方式に対応した復号方式によって復号し、当該復号結果と同期ワードとのビット照合により、エラービット数N(ERR)を算出し、N(ERR)が所定の値K{0≦K<(同期ワードのビット数/2)の整数部分}以下である場合に、復調ベースバンド部2の動作タイミングをタイミング情報T1のタイミングへ変更することが行われる。
【0101】
このように、本例の移動局装置に設けられた受信機では、プリアンブル検出により検出されたタイミング情報T1が正しいタイミング情報であるか否かを判断して、当該タイミング情報T1が正しいものであることが判断された後に、復調ベースバンド処理のタイミングを変更することが行われる。
【0102】
従って、本例の移動局装置に設けられた受信機では、プリアンブル検出により検出されるタイミング情報T1が同期ワード相関によるタイミング情報T2の検出に悪影響を与えることを回避することができ、プリアンブル検出による初期引き込みと同期ワード相関による初期引き込みを互いの動作に影響を与えることなく同時に行うことができる。これにより、受信側の移動局装置では、受信開始時に素早くタイミング同期を取ることができ、受信開始直後からタイミング同期を取るまでの間における音切れを軽減することができる。
【0103】
一例として、上記図5において、送信側の移動局装置Bにより同期バーストフレームP1〜P3が送信された後に、受信側の移動局装置Aの電源が投入されたような場合においても、移動局装置Aでは、プリアンブル検出による初期引き込みと同期ワード相関による初期引き込みを同時に行うことにより、受信開始時の音切れを軽減することができ、高品質な移動局装置間直接通信を実現することができる。
【0104】
なお、本例の受信機では、プリアンブル検出部6やタイミング情報検出部7や補間器8やバッファ9やスイッチ10や復号器11や同期ワードビット照合部12やスイッチ13の機能によりプリアンブル信号タイミング情報取得手段が構成されており、同期ワード相関部14やスイッチ15やタイミング情報検出部16の機能により同期ワード信号タイミング情報取得手段が構成されており、タイミング情報選択部17の機能によりタイミング情報選択手段が構成されている。
【0105】
また、本例の受信機では、プリアンブル信号タイミング情報取得手段において、プリアンブル検出部6やタイミング情報検出部7がタイミング情報の候補(タイミング情報T1)を取得する機能によりタイミング情報候補取得手段が構成されており、補間器8やバッファ9やスイッチ10や復号器11がタイミング情報の候補に基づいて復調結果(復調ベースバンド出力)を復号する機能により受信フレーム復調結果復号手段が構成されており、同期ワードビット照合部12やスイッチ13が復号結果の正確度を判定する機能により復号結果正確度判定手段が構成されている。また、本例の受信機では、当該正確度として同期ワードのエラービット数N(ERR)が用いられており、その閾値として所定の値Kが用いられている。
【0106】
ここで、本発明に係る受信機や通信装置などの構成としては、必ずしも以上に示したものに限られず、種々な構成が用いられてもよい。なお、本発明は、例えば本発明に係る処理を実行する方法或いは方式や、このような方法や方式を実現するためのプログラムなどとして提供することも可能である。
また、本発明の適用分野としては、必ずしも以上に示したものに限られず、本発明は、種々な分野に適用することが可能なものである。
【0107】
また、本発明に係る受信機や通信装置などにおいて行われる各種の処理としては、例えばプロセッサやメモリ等を備えたハードウエア資源においてプロセッサがROM(Read Only Memory)に格納された制御プログラムを実行することにより制御される構成が用いられてもよく、また、例えば当該処理を実行するための各機能手段が独立したハードウエア回路として構成されてもよい。
また、本発明は上記の制御プログラムを格納したフロッピー(登録商標)ディスクやCD(Compact Disc)−ROM等のコンピュータにより読み取り可能な記録媒体や当該プログラム(自体)として把握することもでき、当該制御プログラムを記録媒体からコンピュータに入力してプロセッサに実行させることにより、本発明に係る処理を遂行させることができる。
【0108】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明に係る受信機によると、送信側から送信される連続した所定の数の同期バーストフレーム及びそれに続く連続した所定の数の通信チャネルフレームを受信するに際して、受信フレームに含まれるプリアンブル信号に基づいてタイミング同期を確保するためのタイミング情報を取得する処理を実行するとともに、受信フレームに含まれる同期ワード信号に基づいてタイミング同期を確保するためのタイミング情報を取得する処理を実行するようにしたため、例えば、受信側の移動局装置がプリアンブル信号による初期引き込みに失敗したような場合や、送信側の移動局装置による信号送信が開始された後に受信側の移動局装置の電源がオンとされるような場合においても、短い時間でタイミング同期を確保することができ、これにより、長い時間にわたる音切れなどを防止することができる。
【0109】
また、本発明に係る受信機では、一構成例として、プリアンブル信号に基づいてタイミング情報を取得するに際して、受信フレームの復調結果からプリアンブル信号を検出することでタイミング情報の候補を取得し、取得されるタイミング情報の候補に基づいて受信フレームの復調結果を復号し、復号結果の正確度を判定し、所定の閾値を超える正確度が判定された場合に、取得されたタイミング情報の候補をタイミング情報として採用するようにしたため、正確度が低いタイミング情報が採用されてしまうことを防止することができ、これにより、受信フレームに対してプリアンブル信号に基づくタイミング同期の確保処理と同期ワード信号に基づくタイミング同期の確保処理を互いに悪影響無く共に実行することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例に係る移動局装置間直接通信におけるタイミング同期部の構成例を示す図である。
【図2】本発明の一実施例に係る移動局装置間直接通信におけるタイミング同期動作の処理の手順の一例を示す図である。
【図3】SCPC方式におけるフレームフォーマットの一例を示す図である。
【図4】SCPC方式における送信フレームパターンの一例を示す図である。
【図5】SCPC方式における移動局装置間直接通信のシーケンスの一例を示す図である。
【図6】移動局装置の受信機の構成例を示す図である。
【図7】移動局装置間直接通信におけるタイミング同期部の構成例を示す図である。
【図8】移動局装置間直接通信におけるタイミング同期動作の処理の手順の一例を示す図である。
【符号の説明】
1、21・・アンテナ、 2、41・・復調ベースバンド部、
3、10、13、15・・スイッチ、 4、11・・復号器、
5、9・・バッファ、 6・・プリアンブル検出部、
7、16・・タイミング情報検出部、 8・・補間器、
12・・同期ワードビット照合部、 14・・同期ワード相関部、
17・・タイミング情報選択部、 22・・高周波部回路、
23・・A/D変換器、 24・・正弦波信号発生回路、
25・・π/2移相器、 26、27・・乗算器、
28、29・・ローパスフィルタ、 30、31・・出力端子、
42・・復号部、 43・・タイミング同期回路、
44・・受信復調部出力端子、 45・・タイミング情報出力端子、
Claims (4)
- 送信側から送信される連続した所定の数の同期バーストフレーム及びそれに続く連続した所定の数の通信チャネルフレームを受信する受信機において、
同期バーストフレームには、プリアンブル信号が含まれ、
通信チャネルフレームには、同期ワード信号が含まれ、
受信フレームに含まれるプリアンブル信号に基づいてタイミング同期を確保するためのタイミング情報を取得する処理を実行するプリアンブル信号タイミング情報取得手段と、
受信フレームに含まれる同期ワード信号に基づいてタイミング同期を確保するためのタイミング情報を取得する処理を実行する同期ワード信号タイミング情報取得手段と、を備え、
受信フレームに対してプリアンブル信号タイミング情報取得手段による処理と同期ワード信号タイミング情報取得手段による処理を共に実行する、
ことを特徴とする受信機。 - 請求項1に記載の受信機において、
プリアンブル信号タイミング情報取得手段は、受信フレームの復調結果からプリアンブル信号を検出することでタイミング情報の候補を取得するタイミング情報候補取得手段と、タイミング情報候補取得手段により取得されるタイミング情報の候補に基づいて受信フレームの復調結果を復号する受信フレーム復調結果復号手段と、受信フレーム復調結果復号手段による復号結果の正確度を判定する復号結果正確度判定手段を用いて構成され、
プリアンブル信号タイミング情報取得手段は、復号結果正確度判定手段により所定の閾値を超える正確度が判定された場合に、タイミング情報候補取得手段により取得されたタイミング情報の候補をタイミング情報として採用する、
ことを特徴とする受信機。 - 請求項1又は請求項2に記載の受信機において、
プリアンブル信号タイミング情報取得手段によりタイミング情報が取得される前に、同期ワード信号タイミング情報取得手段によりタイミング情報が取得された場合には、同期ワード信号タイミング情報取得手段により取得されたタイミング情報を、受信フレームを復調するために使用するタイミング情報として選択するタイミング情報選択手段を備えた、
ことを特徴とする受信機。 - 請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の受信機において、
プリアンブル信号タイミング情報取得手段によりタイミング情報が取得されると共に同期ワード信号タイミング情報取得手段によりタイミング情報が取得された場合には、プリアンブル信号タイミング情報取得手段により取得されたタイミング情報を、受信フレームを復調するために使用するタイミング情報として選択するタイミング情報選択手段を備えた、
ことを特徴とする受信機。
Priority Applications (1)
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US8023579B2 (en) | 2006-03-15 | 2011-09-20 | Toshiba Tec Kabushiki Kaisha | Quadrature demodulation device, quadrature demodulation method, and quadrature demodulation program |
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2003
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