JP2004254009A - 無線通信装置とその無線ユニット - Google Patents
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Abstract
【課題】非可逆回路である能動回路の送受共用を可能にし、これによりさらなる回路部品数の低減と回路規模の小型化、及び低消費電力化を可能にする。
【解決手段】可逆回路により構成される周波数変換回路31と高周波フィルタ32との間に、第1及び第2の切替スイッチ34,35を介して1個の増幅器33を配置する。そして、制御ユニット40から発生される切替制御信号SW1により上記第1及び第2の切替スイッチ34,35を切替制御することにより、送信スロット期間には周波数変換回路31を増幅器33の入力端に接続すると共に増幅器33の出力端を高周波フィルタ32に接続し、一方受信スロット期間においては、高周波フィルタ32を増幅器33の入力端に接続すると共に増幅器33の出力端を周波数変換回路31に接続するようにしたものである。
【選択図】 図2
【解決手段】可逆回路により構成される周波数変換回路31と高周波フィルタ32との間に、第1及び第2の切替スイッチ34,35を介して1個の増幅器33を配置する。そして、制御ユニット40から発生される切替制御信号SW1により上記第1及び第2の切替スイッチ34,35を切替制御することにより、送信スロット期間には周波数変換回路31を増幅器33の入力端に接続すると共に増幅器33の出力端を高周波フィルタ32に接続し、一方受信スロット期間においては、高周波フィルタ32を増幅器33の入力端に接続すると共に増幅器33の出力端を周波数変換回路31に接続するようにしたものである。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、例えば時分割双方向多重(TDD;Time Division Duplex)方式を採用した無線通信装置とその無線ユニットに関する。
【0002】
【従来の技術】
例えばPHS(Personal Handyphone System)や無線LAN(Local Area Network)、Bluetooth(登録商標)では、双方向通信方式としてTDD方式を採用している。TDD方式は、同一周波数チャネル上の異なる時間位置に送信スロットと受信スロットとを設定して送受信を行うもので、送信と受信とで別の周波数を使用するFDD(Frequency Division Duplex)方式に比べ、周波数を有効に利用できる利点がある。
【0003】
図8は、従来の基本的なTDD無線ユニットの構成を示すブロック図である。この無線ユニットは、送信系の中間周波及び高周波回路61と受信系の中間周波及び高周波回路62とを独立に構成し、これらの回路61,62を切替スイッチ63,64により中間周波フィルタ65と高周波フィルタ66との間に択一的に接続するようにしたものとなっている。67は周波数変換用の局部発振信号を発生する局部発振器である。
【0004】
ところで、一般に移動通信用のTDD無線通信装置においては、回路規模の小型化と低消費電力化が重要な課題となっている。そこで、最近では無線ユニットの中間周波及び高周波回路に使用されるフィルタやミキサ等の受動回路を可逆回路により構成し、この受動回路を送信系と受信系とで共用した回路構成が種々提案されている。
【0005】
例えば、ヘテロダインタイプの無線ユニットでは、図9に示すように周波数変換回路71を構成するミキサ71a、中間周波フィルタ71b、高周波フィルタ71cをそれぞれ可逆回路により構成する。なお、71dは局部発振器である。そして、この周波数補変換回路71を、切替スイッチ72,73により、送信系の中間周波増幅器74a及び高周波電力増幅器74bと、受信系の低雑音高周波増幅器75a及び中間周波増幅器75bに対し択一的に接続するように構成している。
【0006】
また、ダイレクトコンバージョンタイプの無線ユニットにおいても、図10に示すように周波数変換回路81を構成するミキサ81a、ベースバンドフィルタ81b、高周波フィルタ71cをそれぞれ可逆回路により構成する。なお、81dは局部発振器である。そして、この周波数補変換回路81を、切替スイッチ82により送信系の高周波電力増幅器84a,84bと、受信系の低雑音高周波増幅器85a,85bに対し択一的に接続するように構成している。なお、上記送信系の高周波電力増幅器84a,84bと、受信系の低雑音高周波増幅器85a,85bは、高周波フィルタ86に対し切替スイッチ83により択一的に接続される。
【0007】
このような構成であれば、周波数変換回路を送信系と受信系とで共用して1系統にすることができるので、回路部品数の削減と回路規模の小型化を図ることが可能となる。
【0008】
しかしながら、これらの無線ユニットはいずれも増幅器等の能動回路が送信系と受信系とで独立して設けられている。その理由は、増幅器等の能動回路は一般に回路可逆性を持たないからである。したがって、従来の無線ユニットは依然として回路規模及び消費電力が大きく、装置のさらなる小型化及び低消費電力化を進める上で大きな障害になっている。
【0009】
特に、今後無線通信システムにおいては、例えばOFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplex)等のマルチキャリア変調方式を採用した、高速で大容量の無線通信システムが計画されている。この種のシステムにおいて使用される無線ユニットは、要求される歪み特性を確保するためにバックオフ量を十分な値に設定する。ところが、バックオフ量を大きく設定すると、増幅器の消費電力が増加する。また、発熱量も増加するため大掛かりな放熱対策が必要となり、装置の大型化を招く。
【0010】
また、回路部品数の削減や回路構成の小型化を図るために、送信系と受信系とを切替る切替スイッチを無くしたTDD無線機も提案されている(例えば、特許文献1参照。)。しかしながら、この無線機においても増幅器等の能動回路は送信系と受信系とで独立して設けられている。このため、依然として低消費電力化や放熱対策等の課題がある。
【0011】
【特許文献1】
特開平09−055681号公報。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
以上述べたように従来のTDD無線通信装置の無線ユニットでは、増幅器等の能動回路が送信系と受信系とで独立に設けられているため、回路構成及び消費電力が依然として大きく、これが無線ユニット及び装置のさらなる小型化と低消費電力化を図る上で大きな妨げになっている。
【0013】
この発明は上記事情に着目してなされたもので、その目的とするところは、非可逆回路である能動回路の送受共用を可能にし、これによりさらなる回路部品数の低減と回路規模の小型化、及び低消費電力化を可能にした無線通信装置とその無線ユニットを提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するためにこの発明は、送信信号の送信と受信信号の受信とを同一の周波数を使用して時分割に行う無線通信装置において、上記送信信号及び受信信号を互いに逆方向に伝達する可逆信号路中に、信号の入出力方向が一方向に固定された非可逆回路を切替手段を介して配置する。そして、上記送信信号の送信期間及び上記受信信号の受信期間に同期して上記切替手段を切替制御することにより、上記可逆信号路の信号伝達方向に対し上記非可逆回路の入出力方向を常に一致させるようにしたものである。
【0015】
したがってこの発明によれば、上記切替手段の切替えにより、送信期間においてもまた受信期間においても、非可逆回路の信号入出力方向は可逆信号路の送信信号及び受信信号の伝達方向と常に一致することになる。このため、1個の非可逆回路を送信と受信とで共用することが可能となり、これにより送信用と受信用に2個の非可逆回路を必要とした従来の構成に比べ、回路部品数を削減すると共に回路規模を小型化し、さらに消費電力を低減することが可能となる。
【0016】
例えば、非可逆回路が送信信号及び受信信号を増幅する増幅器である場合には、2個の固定接点と1個の可動接点を有する第1及び第2の切替スイッチを使用して、上記増幅器の入出力端を可逆信号路に切替接続する。このように構成すると、1個の増幅器を送信系と受信系で共用することが可能となる。
【0017】
また、非可逆回路が、送信信号及び受信信号の増幅に使用する第1の増幅器と、送信信号の増幅に使用する第2の増幅器とを直列接続した回路により構成される場合には、2個の固定接点と1個の可動接点を有する第3の切替スイッチを使用して上記第1の増幅器の入力端と第2の増幅器の出力端を可逆信号路に切替接続すると共に、2個の固定接点と1個の可動接点を有する第4の切替スイッチを使用して上記第1の増幅器の入力端と出力端を可逆信号路に切替接続する。このように構成すると、送信期間には第1の増幅器と第2の増幅器との直列回路が信号伝達方向を合わせて可逆信号路に接続され、一方受信期間には第1の増幅器のみが信号伝達方向を合わせて可逆信号路に接続される。
【0018】
この結果、送信期間には第1及び第2の増幅器が可逆信号路に接続され、これにより送信信号は送信に必要な十分大きな送信電力レベルに増幅されて送信される。一方受信期間には第1の増幅器のみが可逆信号路に接続され、これにより受信信号は受信復調処理に必要なレベルに増幅されて受信復調回路に供給される。すなわち、増幅回路を送受信で共用しつつ、信号を送信及び受信のそれぞれにおいて適切なレベルに増幅することができる。
【0019】
さらにこの発明は、増幅器の入力端及び出力端と第1及び第2の切替スイッチとの間の信号線路、及び第1及び第2の増幅器の入力端及び出力端と第3及び第4の切替スイッチとの間の信号線路を、送信信号及び受信信号の高調波成分を減衰させるフィルタ特性を持つオープンスタブとなるようにそれぞれ構成することも特徴とする。
このように構成すると、切替スイッチの切替えによりオープンスタブとなる信号線路によって、送信信号及び受信信号の主要波成分が減衰等の悪影響を受けないようにした上で、さらに送信信号及び受信信号の高調波成分を減衰させて送受信特性の改善を図ることが可能となる。
【0020】
【発明の実施の形態】
(第1の実施形態)
図1は、この発明の実施形態に係わる無線通信装置の概略構成図である。この無線通信装置は、双方向通信方式として時分割双方向多重(TDD;Time Division Duplex)方式を採用したもので、入出力ユニット10と、ベースバンドユニット20と、無線ユニット30と、アンテナ40と、制御ユニット50とから構成される。
【0021】
入出力ユニット10は、例えば音声通信に使用するマイクロホン及びスピーカと、ダイヤルキー及び各種機能キーを含むキー入力部と、液晶表示器(LCD;Liquid Crystal Display)と、カメラ等を備える。LCDは、上記キー入力部において入力された操作情報や、装置の動作状態を表す情報、カメラにより撮像された画像データ、電話帳データ及び送受信履歴、電子メールやダウンロード情報等の受信データ等を表示するために用いられる。
【0022】
ベースバンドユニット20は、上記入出力ユニット10から出力された送話信号を音声符号化したのち所定のディジタル変調方式により変調して送信信号を生成し、この送信信号を制御ユニット50により指定された送信スロット期間に無線ユニット30へ出力する。またそれと共に、制御ユニット50により割り当てられた受信スロット期間において、無線ユニット30から出力される受信ベースバンド信号をディジタル復調したのち音声復号することにより受話信号を再生し、この受話信号を上記入出力ユニット10に供給して拡声出力させる。
【0023】
無線ユニット30は、上記ベースバンドユニット20から出力された送信信号を、制御ユニット50により指定される無線周波数に周波数変換したのち所定の送信電力レベルに増幅し、この増幅された無線送信信号をアンテナ40から送信する。またそれと共に、アンテナ40により受信された無線受信信号を低雑音増幅したのちベースバンド周波数に周波数変換し、この周波数変換された受信ベースバンド信号を上記ベースバンドユニット20に供給する。
【0024】
制御ユニット50は、例えばマイクロコンピュータを備え、TDD通信のために、上記入出力ユニット10、ベースバンドユニット20及び無線ユニット30を統括的に制御する。
【0025】
ところで、無線ユニット30は次のように構成される。図2はその構成を示す回路ブロック図である。すなわち無線ユニット30は、可逆回路からなる周波数変換回路31と、同じく可逆回路からなる高周波フィルタ32との間に、第1及び第2の切替スイッチ34,35を介して非可逆回路からなる1個の増幅器33を配設したものである。
【0026】
周波数変換回路31は、ミキサ31aと、そのベースバンドユニット20側に配置されるベースバンドフィルタ31bと、増幅器33側に配置される高周波フィルタ31cと、局部発振器31dとから構成される。
【0027】
第1の切替スイッチ34は、2個の固定接点a1,b1と1個の可動接点c1とを備えた半導体スイッチからなり、固定接点a1,b1がそれぞれ増幅器33の入力端及び出力端に接続され、可動接点c1が周波数変換回路31の高周波フィルタ31cに接続される。第2の切替スイッチ35も、上記第1の切替スイッチ34と同様に2個の固定接点a2,b2と1個の可動接点c2とを備えた半導体スイッチからなり、2個の固定接点a2,b2はそれぞれ増幅器33の入力端及び出力端に接続され、可動接点c2は上記高周波フィルタ32に接続される。
【0028】
そして、第1及び第2の切替スイッチ34,35は、制御ユニット50から出力される切替制御信号SW1に従い、送信スロット期間には可動接点c1,c2がそれぞれ固定接点a1,b2に切り替わり、一方受信スロット期間には可動接点c1,c2がそれぞれ固定接点b1,a2に切り替わるように動作する。
【0029】
次に、以上のように構成された無線通信装置とその無線ユニットの動作を説明する。
先ず送信スロット期間になると、制御ユニット50から切替制御信号SW1が出力される。なお、この切替制御信号SW1の出力タイミングは、第1及び第2の切替スイッチ34,35の動作遅延を考慮して、送信スロットの開始タイミングより所定時間だけ早いタイミングに設定される。
【0030】
上記切替制御信号SW1が出力されると、第1及び第2の切替スイッチ34,35の可動接点c1,c2がそれぞれ固定接点a1,b2に切り替わる。この結果、周波数変換回路31が上記第1の切替スイッチ34を介して増幅器33の入力端に接続され、かつ増幅器33の出力端が第2の切替スイッチ35を介して高周波フィルタ32に接続される。
【0031】
したがって、送信スロット期間においては、周波数変換回路31において無線周波数に周波数変換された送信信号が、図3(a)のITX1 に示すように第1の切替スイッチ34を介して増幅器33に供給され、この増幅器33により増幅される。そして、この増幅された無線送信信号ITX1 は第2の切替スイッチ35を介して高周波フィルタ32に入力され、この高周波フィルタ32により不要波成分が抑圧されたのちアンテナ40に供給されてこのアンテナ40から送信される。
【0032】
一方、受信スロット期間になると、制御ユニット50から切替制御信号SW1が出力される。なお、この切替制御信号SW1の出力タイミングも、上記送信スロットの場合と同様に、各切替スイッチ34,35の動作遅延を考慮して受信スロットの開始タイミングより所定時間だけ早いタイミングに設定される。
【0033】
上記切替制御信号SW1が出力されると、第1及び第2の切替スイッチ34,35の可動接点c1,c2がそれぞれ固定接点b1,a2に切り替わる。この結果、高周波フィルタ32が上記第2の切替スイッチ35を介して増幅器33の入力端に接続され、かつ増幅器33の出力端が第1の切替スイッチ34を介して周波数変換回路31に接続される。
【0034】
したがって、受信スロット期間においては、図3(b)のIRX1 に示すようにアンテナ40により受信された無線信号が高周波フィルタ32により不要帯域成分が抑圧されたのち第2の切替スイッチ35を介して増幅器33に入力され、この増幅器33により増幅される。そして、この増幅された無線受信信号IRX1 は、第1の切替スイッチ34を介して周波数変換回路31に入力される。
【0035】
周波数変換回路31では、先ず高周波フィルタ31cにより上記入力された無線受信信号に含まれる不要波成分が抑圧される。続いて、この高周波フィルタ31cを通過した無線受信信号が、局部発振器31dから発生される局部発振信号とミキサ31aにおいてミキシングされ、これにより受信ベースバンド信号に周波数変換される。そして、この受信ベースバンド信号はベースバンドフィルタ31bにより不要波成分が抑圧されたのち、ベースバンドユニット20に供給される。
【0036】
以上述べたように第1の実施形態では、可逆回路により構成される周波数変換回路31と高周波フィルタ32との間に、第1及び第2の切替スイッチ34,35を介して1個の増幅器33を配置する。そして、制御ユニット40から発生される切替制御信号SW1により上記第1及び第2の切替スイッチ34,35を切替制御することにより、送信スロット期間には周波数変換回路31を増幅器33の入力端に接続すると共に増幅器33の出力端を高周波フィルタ32に接続し、一方受信スロット期間においては、高周波フィルタ32を増幅器33の入力端に接続すると共に増幅器33の出力端を周波数変換回路31に接続するようにしている。
【0037】
したがって、送信スロット期間においても、また受信スロット期間においても、増幅器33の信号入出力方向は周波数変換回路31及び高周波フィルタ32の送信信号及び受信信号の伝達方向と常に一致することになる。このため、1個の増幅器33を送信と受信とで共用することが可能となり、これにより送信用と受信用に2個の増幅器を必要とした従来の構成に比べ、回路部品数を削減すると共に回路規模を小型化し、さらに消費電力を低減することが可能となる。
【0038】
ところで、図2に示した回路構成では、第1及び第2の切替スイッチ34,35の切り替えにより非選択となる側の信号線路がオープンスタブとして機能し、これが送信信号及び受信信号に悪影響を及ぼす心配がある。しかし、本実施形態では、上記オープンスタブとなる信号線路(回路基板上の信号線パターン)の線路パターン長を、無線送信信号及び無線受信信号の周波数をもとに適宜設定することで、上記オープンスタブが上記無線送信信号及び無線受信信号の高調波成分を抑圧するフィルタとして機能するように構成している。
【0039】
例えば、送信スロット期間においては図4(a)に示すように、選択されている信号線路に接続された状態で存在する開放された非選択信号線路ST11,ST12がオープンスタブとして機能する。また受信スロット期間においては図4(b)に示すようにST13,ST14がオープンスタブとして機能する。そこで、このオープンスタブST11〜ST14となる信号線パターンのそれぞれのパターン長L11〜L14を、抑圧対象となる高調波の1/4波長(λ/4)にそれぞれ設定する。例えば、無線送信信号及び無線受信信号の周波数がf0 のとき、抑圧する必要性が最も高い高調波が2f0 であれば、上記信号線パターンのパターン長L11〜L14を上記高調波2f0 のλ/4に設定する。なお、抑圧対象の高調波はシステムによって異なる場合があるので、上記信号線パターンのパターン長L11〜L14は使用するシステムに応じて設定する。
【0040】
このように構成することで、上記オープンスタブとなる信号線パターンST11〜ST14が、無線送信信号及び無線受信信号の高調波成分を抑圧するフィルタとして機能することになる。このため、上記オープンスタブが無線送信信号及び無線受信信号の主要波成分に及ぼす悪影響を回避した上で、さらに無線送信信号及び無線受信信号の高調波成分を減衰させて送受信特性の改善を図ることが可能となる。
【0041】
(第2の実施形態)
図5は、この発明の第2の実施形態に係わる無線ユニットの構成を示す回路ブロック図である。なお、同図において前記図2と同一部分には同一符号を付して詳しい説明は省略する。
【0042】
可逆回路からなる周波数変換回路31と、同じく可逆回路からなる高周波フィルタ32との間には、第1及び第2の増幅器41,42を直列接続した回路が、第3及び第4の切替スイッチ43,44を介して配設される。第1の増幅器41は、受信信号に対しては低雑音増幅器として動作し、また送信信号に対しては前置増幅器として動作するように構成される。一方、第2の増幅器42は、送信信号に対して送信電力増幅器として動作するように構成される。
【0043】
第3の切替スイッチ43は、2個の固定接点a3,b3と1個の可動接点c3とを備えた半導体スイッチからなり、固定接点a3,b3がそれぞれ第1の増幅器41の入力端及び出力端に接続され、可動接点c3が周波数変換回路31の高周波フィルタ31cに接続される。第4の切替スイッチ44も、上記第3の切替スイッチ43と同様に2個の固定接点a4,b4と1個の可動接点c4とを備えた半導体スイッチからなり、2個の固定接点a4,b4はそれぞれ第1の増幅器43の入力端及び第2の増幅器44の出力端に接続され、可動接点c4は高周波フィルタ32に接続される。
【0044】
そして、第3及び第4の切替スイッチ43,44は、制御ユニット50から出力される切替制御信号SW2に従い、送信スロット期間には可動接点c3,c4がそれぞれ固定接点a3,b4に切り替わり、一方受信スロット期間には可動接点c3,c4がそれぞれ固定接点b3,a4に切り替わるように動作する。
【0045】
次に、以上のように構成された無線ユニットの動作を説明する。
先ず送信スロット期間になると、制御ユニット50から切替制御信号SW2が出力される。なお、この切替制御信号SW2の出力タイミングは、第3及び第4の切替スイッチ43,44の動作遅延を考慮して、送信スロットの開始タイミングより所定時間だけ早いタイミングに設定される。一般的に、消費電力の大きい送信系の後段の電力増幅器42について、受信時に電源供給を遮断する場合には、送信時に電源の供給を開始する際にその遅延時間を考慮する必要がある。
【0046】
上記切替制御信号SW2が出力されると、第3及び第4の切替スイッチ43,44の可動接点c3,c4がそれぞれ固定接点a3,b4に切り替わる。この結果、周波数変換回路31は上記第3の切替スイッチ43を介して第1の増幅器41の入力端に接続され、かつ第2の増幅器44の出力端が第4の切替スイッチ44を介して高周波フィルタ32に接続される。すなわち、周波数変換回路31と高周波フィルタ32との間に、第1及び第2の増幅器41,42の直列回路が接続される。
【0047】
したがって、送信スロット期間においては、周波数変換回路31から出力された送信信号が、図6(a)のITX2 に示すように第3の切替スイッチ43を介して先ず第1の増幅器41に入力されて前置増幅され、次に第2の増幅器42に入力されて電力増幅される。そして、この電力増幅された無線送信信号ITX2 は、第4の切替スイッチ44を介して高周波フィルタ32に入力され、この高周波フィルタ32により不要波成分が抑圧されたのちアンテナ40に供給されてこのアンテナ40から送信される。
【0048】
一方、受信スロット期間になると、制御ユニット50から切替制御信号SW2が出力される。なお、この切替制御信号SW2の出力タイミングも、上記送信スロットの場合と同様に、各切替スイッチ43,44の動作遅延を考慮して受信スロットの開始タイミングより所定時間だけ早いタイミングに設定される。
【0049】
上記切替制御信号SW2が出力されると、第3及び第4の切替スイッチ43,44の可動接点c3,c4がそれぞれ固定接点b3,a4に切り替わる。この結果、高周波フィルタ32が上記第4の切替スイッチ44を介して第1の増幅器41の入力端に接続され、かつこの第1の増幅器41の出力端が第3の切替スイッチ43を介して周波数変換回路31に接続される。すなわち、高周波フィルタ32と周波数変換回路31との間に、第1の増幅器41のみが接続される。
【0050】
したがって、受信スロット期間においては、図6(b)のIRX2 に示すようにアンテナ40により受信された無線信号が高周波フィルタ32により不要帯域成分が抑圧されたのち第4の切替スイッチ44を介して第1の増幅器41に入力され、この第1の増幅器41により低雑音増幅される。そして、この増幅された無線受信信号IRX2 は、第3の切替スイッチ43を介して周波数変換回路31に入力され、この周波数変換回路31においてベースバンド信号に周波数変換されたのちベースバンドユニット20に入力される。
【0051】
したがって第2の実施形態によれば、送信スロット期間においても、また受信スロット期間においても、第1の増幅器41の信号入出力方向は周波数変換回路31及び高周波フィルタ32の送信信号及び受信信号の伝達方向と常に一致することになる。このため、1個の第1の増幅器41を送信と受信とで共用することが可能となり、これにより送信用と受信用に2個の増幅器を必要とした従来の構成に比べ、回路部品数を削減すると共に回路規模を小型化し、さらに消費電力を低減することが可能となる。
【0052】
しかも第2の実施形態では、受信スロット期間には第1の増幅器41のみが周波数変換回路31と高周波フィルタ32との間に接続され、一方送信スロット期間には第1の増幅器41と第2の増幅器42の両方が周波数変換回路31と高周波フィルタ32との間に接続される。このため、受信スロット期間においては無線受信信号を周波数変換回路31のミキサ31aが飽和を起こさない適切な信号レベルに増幅することができ、一方送信スロット期間においては無線送信信号をシステムで要求される十分大きな送信電力レベルに増幅して送信することが可能となる。
【0053】
さらに第2の実施形態においても、第3及び第4の切替スイッチ43,44の切り替えにより非選択となる側の信号線路がオープンスタブとして機能し、これが送信信号及び受信信号に悪影響を及ぼす心配がある。しかし、この不具合は、上記オープンスタブとなる信号線路(信号線パターン)の線路長を、無線送信信号及び無線受信信号の周波数をもとに適宜設定し、これにより上記オープンスタブが上記無線送信信号及び無線受信信号の高調波成分を抑圧するフィルタとして機能するように構成することで解消している。
【0054】
例えば、送信スロット期間においては図7(a)に示すようにST21,ST22がオープンスタブとして機能し、また受信スロット期間においては図7(b)に示すようにST23がオープンスタブとして機能する。そこで、このオープンスタブST21〜ST23となる信号線パターンのパターン長L21〜L23を、前述した第1の実施形態と同様に、抑圧対象となる高調波の1/4波長(λ/4)にそれぞれ設定する。なお、ST24については、電源供給を遮断した電力増幅器42を含んだ状態で、主要波成分に影響を与えないように設定する。
【0055】
このように構成することで、上記オープンスタブとなる信号線パターンST21〜ST24が、無線送信信号及び無線受信信号の高調波成分を抑圧するフィルタとして機能することになる。したがって、前記第1の実施形態と同様に、上記オープンスタブが無線送信信号及び無線受信信号の主要波成分に及ぼす悪影響を回避した上で、さらに無線送信信号及び無線受信信号の高調波成分を減衰させて送受信特性の改善を図ることが可能となる。
【0056】
(その他の実施形態)
第1及び第2の実施形態はいずれもダイレクトコンバージョンタイプの無線ユニットを例にとって説明したが、ヘテロダインタイプの無線ユニットにもこの発明を適用することが可能である。例えば、図9に示した無線ユニットであれば、増幅器74b,75a及び切替スイッチ73,64からなる回路と、増幅器74a,75b及び切替スイッチ72,63からなる回路を、図2に示した増幅器33及び切替スイッチ34,35からなる回路にそれぞれ置き換えることで実現できる。また、その際増幅器74b,75a及び切替スイッチ73,64からなる回路のみを、図5に示した増幅器41,42及び切替スイッチ43,44からなる回路に置き換えるようにしてもよい。
【0057】
また、前記実施形態では増幅器33,41,42を常時動作状態とする場合を例にとって説明した。しかし、送信スロット期間及び受信スロット期間以外のアイドルスロット期間が存在する場合には、このアイドルスロット期間において上記増幅器33,41,42に対する電源供給を遮断し、これにより増幅器33,41,42を非動作状態に設定するようにしてもよい。また、電力増幅用の増幅器42については、受信スロット期間においても電源供給を遮断して非動作状態に設定するとよい。このように構成すると、増幅器33,41,42の消費電力をさらに低減することができる。
【0058】
さらに、前記各実施形態では非可逆回路として増幅器を使用した場合を例にとって説明したが、回路可逆性を持たないそれ以外の回路に対しこの発明を適用してもよい。その他、無線通信装置の種類や構成、無線ユニットの回路構成、切替スイッチの構成、切替スイッチの切替タイミング、オープンスタブとなる信号線パターン長等についても、この発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施できる。
【0059】
【発明の効果】
以上詳述したようにこの発明では、送信信号の送信と受信信号の受信とを同一の周波数を使用して時分割に行う無線通信装置及びその無線ユニットにおいて、上記送信信号及び受信信号を互いに逆方向に伝達する可逆信号路中に、信号の入出力方向が一方向に固定された非可逆回路を切替手段を介して配置する。そして、上記送信信号の送信期間及び上記受信信号の受信期間に同期して上記切替手段を切替制御することにより、上記可逆信号路の信号伝達方向に対し上記非可逆回路の入出力方向を常に一致させるようにしている。
したがってこの発明によれば、非可逆回路である能動回路の送受共用を可能にし、これによりさらなる回路部品数の低減と回路規模の小型化、及び低消費電力化を可能にした無線通信装置とその無線ユニットを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の第1及び第2の実施形態に係わる無線通信装置の概略構成図。
【図2】この発明の第1の実施形態に係わる無線ユニットの構成を示す回路ブロック図。
【図3】図2に示した無線ユニットの動作説明に使用する要部構成図。
【図4】図2に示した無線ユニットの動作説明に使用する要部構成図。
【図5】この発明の第2の実施形態に係わる無線ユニットの構成を示す回路ブロック図。
【図6】図5に示した無線ユニットの動作説明に使用する要部構成図。
【図7】図5に示した無線ユニットの動作説明に使用する要部構成図。
【図8】従来における基本的なTDD無線ユニットの構成を示す回路ブロック図。
【図9】従来におけるヘテロダインタイプの無線ユニットの構成例を示す回路ブロック図。
【図10】従来におけるダイレクトコンバージョンタイプの無線ユニットの構成例を示す回路ブロック図。
【符号の説明】
10…入出力ユニット、20…ベースバンドユニット、30…無線ユニット、40…アンテナ、50…制御ユニット、31…周波数変換回路、32…高周波フィルタ、33…増幅器、34…第1の切替スイッチ、35…第2の切替スイッチ、41…第1の増幅器、42…第2の増幅器、43…第3の切替スイッチ、44…第4の切替スイッチ。
【発明の属する技術分野】
この発明は、例えば時分割双方向多重(TDD;Time Division Duplex)方式を採用した無線通信装置とその無線ユニットに関する。
【0002】
【従来の技術】
例えばPHS(Personal Handyphone System)や無線LAN(Local Area Network)、Bluetooth(登録商標)では、双方向通信方式としてTDD方式を採用している。TDD方式は、同一周波数チャネル上の異なる時間位置に送信スロットと受信スロットとを設定して送受信を行うもので、送信と受信とで別の周波数を使用するFDD(Frequency Division Duplex)方式に比べ、周波数を有効に利用できる利点がある。
【0003】
図8は、従来の基本的なTDD無線ユニットの構成を示すブロック図である。この無線ユニットは、送信系の中間周波及び高周波回路61と受信系の中間周波及び高周波回路62とを独立に構成し、これらの回路61,62を切替スイッチ63,64により中間周波フィルタ65と高周波フィルタ66との間に択一的に接続するようにしたものとなっている。67は周波数変換用の局部発振信号を発生する局部発振器である。
【0004】
ところで、一般に移動通信用のTDD無線通信装置においては、回路規模の小型化と低消費電力化が重要な課題となっている。そこで、最近では無線ユニットの中間周波及び高周波回路に使用されるフィルタやミキサ等の受動回路を可逆回路により構成し、この受動回路を送信系と受信系とで共用した回路構成が種々提案されている。
【0005】
例えば、ヘテロダインタイプの無線ユニットでは、図9に示すように周波数変換回路71を構成するミキサ71a、中間周波フィルタ71b、高周波フィルタ71cをそれぞれ可逆回路により構成する。なお、71dは局部発振器である。そして、この周波数補変換回路71を、切替スイッチ72,73により、送信系の中間周波増幅器74a及び高周波電力増幅器74bと、受信系の低雑音高周波増幅器75a及び中間周波増幅器75bに対し択一的に接続するように構成している。
【0006】
また、ダイレクトコンバージョンタイプの無線ユニットにおいても、図10に示すように周波数変換回路81を構成するミキサ81a、ベースバンドフィルタ81b、高周波フィルタ71cをそれぞれ可逆回路により構成する。なお、81dは局部発振器である。そして、この周波数補変換回路81を、切替スイッチ82により送信系の高周波電力増幅器84a,84bと、受信系の低雑音高周波増幅器85a,85bに対し択一的に接続するように構成している。なお、上記送信系の高周波電力増幅器84a,84bと、受信系の低雑音高周波増幅器85a,85bは、高周波フィルタ86に対し切替スイッチ83により択一的に接続される。
【0007】
このような構成であれば、周波数変換回路を送信系と受信系とで共用して1系統にすることができるので、回路部品数の削減と回路規模の小型化を図ることが可能となる。
【0008】
しかしながら、これらの無線ユニットはいずれも増幅器等の能動回路が送信系と受信系とで独立して設けられている。その理由は、増幅器等の能動回路は一般に回路可逆性を持たないからである。したがって、従来の無線ユニットは依然として回路規模及び消費電力が大きく、装置のさらなる小型化及び低消費電力化を進める上で大きな障害になっている。
【0009】
特に、今後無線通信システムにおいては、例えばOFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplex)等のマルチキャリア変調方式を採用した、高速で大容量の無線通信システムが計画されている。この種のシステムにおいて使用される無線ユニットは、要求される歪み特性を確保するためにバックオフ量を十分な値に設定する。ところが、バックオフ量を大きく設定すると、増幅器の消費電力が増加する。また、発熱量も増加するため大掛かりな放熱対策が必要となり、装置の大型化を招く。
【0010】
また、回路部品数の削減や回路構成の小型化を図るために、送信系と受信系とを切替る切替スイッチを無くしたTDD無線機も提案されている(例えば、特許文献1参照。)。しかしながら、この無線機においても増幅器等の能動回路は送信系と受信系とで独立して設けられている。このため、依然として低消費電力化や放熱対策等の課題がある。
【0011】
【特許文献1】
特開平09−055681号公報。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
以上述べたように従来のTDD無線通信装置の無線ユニットでは、増幅器等の能動回路が送信系と受信系とで独立に設けられているため、回路構成及び消費電力が依然として大きく、これが無線ユニット及び装置のさらなる小型化と低消費電力化を図る上で大きな妨げになっている。
【0013】
この発明は上記事情に着目してなされたもので、その目的とするところは、非可逆回路である能動回路の送受共用を可能にし、これによりさらなる回路部品数の低減と回路規模の小型化、及び低消費電力化を可能にした無線通信装置とその無線ユニットを提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するためにこの発明は、送信信号の送信と受信信号の受信とを同一の周波数を使用して時分割に行う無線通信装置において、上記送信信号及び受信信号を互いに逆方向に伝達する可逆信号路中に、信号の入出力方向が一方向に固定された非可逆回路を切替手段を介して配置する。そして、上記送信信号の送信期間及び上記受信信号の受信期間に同期して上記切替手段を切替制御することにより、上記可逆信号路の信号伝達方向に対し上記非可逆回路の入出力方向を常に一致させるようにしたものである。
【0015】
したがってこの発明によれば、上記切替手段の切替えにより、送信期間においてもまた受信期間においても、非可逆回路の信号入出力方向は可逆信号路の送信信号及び受信信号の伝達方向と常に一致することになる。このため、1個の非可逆回路を送信と受信とで共用することが可能となり、これにより送信用と受信用に2個の非可逆回路を必要とした従来の構成に比べ、回路部品数を削減すると共に回路規模を小型化し、さらに消費電力を低減することが可能となる。
【0016】
例えば、非可逆回路が送信信号及び受信信号を増幅する増幅器である場合には、2個の固定接点と1個の可動接点を有する第1及び第2の切替スイッチを使用して、上記増幅器の入出力端を可逆信号路に切替接続する。このように構成すると、1個の増幅器を送信系と受信系で共用することが可能となる。
【0017】
また、非可逆回路が、送信信号及び受信信号の増幅に使用する第1の増幅器と、送信信号の増幅に使用する第2の増幅器とを直列接続した回路により構成される場合には、2個の固定接点と1個の可動接点を有する第3の切替スイッチを使用して上記第1の増幅器の入力端と第2の増幅器の出力端を可逆信号路に切替接続すると共に、2個の固定接点と1個の可動接点を有する第4の切替スイッチを使用して上記第1の増幅器の入力端と出力端を可逆信号路に切替接続する。このように構成すると、送信期間には第1の増幅器と第2の増幅器との直列回路が信号伝達方向を合わせて可逆信号路に接続され、一方受信期間には第1の増幅器のみが信号伝達方向を合わせて可逆信号路に接続される。
【0018】
この結果、送信期間には第1及び第2の増幅器が可逆信号路に接続され、これにより送信信号は送信に必要な十分大きな送信電力レベルに増幅されて送信される。一方受信期間には第1の増幅器のみが可逆信号路に接続され、これにより受信信号は受信復調処理に必要なレベルに増幅されて受信復調回路に供給される。すなわち、増幅回路を送受信で共用しつつ、信号を送信及び受信のそれぞれにおいて適切なレベルに増幅することができる。
【0019】
さらにこの発明は、増幅器の入力端及び出力端と第1及び第2の切替スイッチとの間の信号線路、及び第1及び第2の増幅器の入力端及び出力端と第3及び第4の切替スイッチとの間の信号線路を、送信信号及び受信信号の高調波成分を減衰させるフィルタ特性を持つオープンスタブとなるようにそれぞれ構成することも特徴とする。
このように構成すると、切替スイッチの切替えによりオープンスタブとなる信号線路によって、送信信号及び受信信号の主要波成分が減衰等の悪影響を受けないようにした上で、さらに送信信号及び受信信号の高調波成分を減衰させて送受信特性の改善を図ることが可能となる。
【0020】
【発明の実施の形態】
(第1の実施形態)
図1は、この発明の実施形態に係わる無線通信装置の概略構成図である。この無線通信装置は、双方向通信方式として時分割双方向多重(TDD;Time Division Duplex)方式を採用したもので、入出力ユニット10と、ベースバンドユニット20と、無線ユニット30と、アンテナ40と、制御ユニット50とから構成される。
【0021】
入出力ユニット10は、例えば音声通信に使用するマイクロホン及びスピーカと、ダイヤルキー及び各種機能キーを含むキー入力部と、液晶表示器(LCD;Liquid Crystal Display)と、カメラ等を備える。LCDは、上記キー入力部において入力された操作情報や、装置の動作状態を表す情報、カメラにより撮像された画像データ、電話帳データ及び送受信履歴、電子メールやダウンロード情報等の受信データ等を表示するために用いられる。
【0022】
ベースバンドユニット20は、上記入出力ユニット10から出力された送話信号を音声符号化したのち所定のディジタル変調方式により変調して送信信号を生成し、この送信信号を制御ユニット50により指定された送信スロット期間に無線ユニット30へ出力する。またそれと共に、制御ユニット50により割り当てられた受信スロット期間において、無線ユニット30から出力される受信ベースバンド信号をディジタル復調したのち音声復号することにより受話信号を再生し、この受話信号を上記入出力ユニット10に供給して拡声出力させる。
【0023】
無線ユニット30は、上記ベースバンドユニット20から出力された送信信号を、制御ユニット50により指定される無線周波数に周波数変換したのち所定の送信電力レベルに増幅し、この増幅された無線送信信号をアンテナ40から送信する。またそれと共に、アンテナ40により受信された無線受信信号を低雑音増幅したのちベースバンド周波数に周波数変換し、この周波数変換された受信ベースバンド信号を上記ベースバンドユニット20に供給する。
【0024】
制御ユニット50は、例えばマイクロコンピュータを備え、TDD通信のために、上記入出力ユニット10、ベースバンドユニット20及び無線ユニット30を統括的に制御する。
【0025】
ところで、無線ユニット30は次のように構成される。図2はその構成を示す回路ブロック図である。すなわち無線ユニット30は、可逆回路からなる周波数変換回路31と、同じく可逆回路からなる高周波フィルタ32との間に、第1及び第2の切替スイッチ34,35を介して非可逆回路からなる1個の増幅器33を配設したものである。
【0026】
周波数変換回路31は、ミキサ31aと、そのベースバンドユニット20側に配置されるベースバンドフィルタ31bと、増幅器33側に配置される高周波フィルタ31cと、局部発振器31dとから構成される。
【0027】
第1の切替スイッチ34は、2個の固定接点a1,b1と1個の可動接点c1とを備えた半導体スイッチからなり、固定接点a1,b1がそれぞれ増幅器33の入力端及び出力端に接続され、可動接点c1が周波数変換回路31の高周波フィルタ31cに接続される。第2の切替スイッチ35も、上記第1の切替スイッチ34と同様に2個の固定接点a2,b2と1個の可動接点c2とを備えた半導体スイッチからなり、2個の固定接点a2,b2はそれぞれ増幅器33の入力端及び出力端に接続され、可動接点c2は上記高周波フィルタ32に接続される。
【0028】
そして、第1及び第2の切替スイッチ34,35は、制御ユニット50から出力される切替制御信号SW1に従い、送信スロット期間には可動接点c1,c2がそれぞれ固定接点a1,b2に切り替わり、一方受信スロット期間には可動接点c1,c2がそれぞれ固定接点b1,a2に切り替わるように動作する。
【0029】
次に、以上のように構成された無線通信装置とその無線ユニットの動作を説明する。
先ず送信スロット期間になると、制御ユニット50から切替制御信号SW1が出力される。なお、この切替制御信号SW1の出力タイミングは、第1及び第2の切替スイッチ34,35の動作遅延を考慮して、送信スロットの開始タイミングより所定時間だけ早いタイミングに設定される。
【0030】
上記切替制御信号SW1が出力されると、第1及び第2の切替スイッチ34,35の可動接点c1,c2がそれぞれ固定接点a1,b2に切り替わる。この結果、周波数変換回路31が上記第1の切替スイッチ34を介して増幅器33の入力端に接続され、かつ増幅器33の出力端が第2の切替スイッチ35を介して高周波フィルタ32に接続される。
【0031】
したがって、送信スロット期間においては、周波数変換回路31において無線周波数に周波数変換された送信信号が、図3(a)のITX1 に示すように第1の切替スイッチ34を介して増幅器33に供給され、この増幅器33により増幅される。そして、この増幅された無線送信信号ITX1 は第2の切替スイッチ35を介して高周波フィルタ32に入力され、この高周波フィルタ32により不要波成分が抑圧されたのちアンテナ40に供給されてこのアンテナ40から送信される。
【0032】
一方、受信スロット期間になると、制御ユニット50から切替制御信号SW1が出力される。なお、この切替制御信号SW1の出力タイミングも、上記送信スロットの場合と同様に、各切替スイッチ34,35の動作遅延を考慮して受信スロットの開始タイミングより所定時間だけ早いタイミングに設定される。
【0033】
上記切替制御信号SW1が出力されると、第1及び第2の切替スイッチ34,35の可動接点c1,c2がそれぞれ固定接点b1,a2に切り替わる。この結果、高周波フィルタ32が上記第2の切替スイッチ35を介して増幅器33の入力端に接続され、かつ増幅器33の出力端が第1の切替スイッチ34を介して周波数変換回路31に接続される。
【0034】
したがって、受信スロット期間においては、図3(b)のIRX1 に示すようにアンテナ40により受信された無線信号が高周波フィルタ32により不要帯域成分が抑圧されたのち第2の切替スイッチ35を介して増幅器33に入力され、この増幅器33により増幅される。そして、この増幅された無線受信信号IRX1 は、第1の切替スイッチ34を介して周波数変換回路31に入力される。
【0035】
周波数変換回路31では、先ず高周波フィルタ31cにより上記入力された無線受信信号に含まれる不要波成分が抑圧される。続いて、この高周波フィルタ31cを通過した無線受信信号が、局部発振器31dから発生される局部発振信号とミキサ31aにおいてミキシングされ、これにより受信ベースバンド信号に周波数変換される。そして、この受信ベースバンド信号はベースバンドフィルタ31bにより不要波成分が抑圧されたのち、ベースバンドユニット20に供給される。
【0036】
以上述べたように第1の実施形態では、可逆回路により構成される周波数変換回路31と高周波フィルタ32との間に、第1及び第2の切替スイッチ34,35を介して1個の増幅器33を配置する。そして、制御ユニット40から発生される切替制御信号SW1により上記第1及び第2の切替スイッチ34,35を切替制御することにより、送信スロット期間には周波数変換回路31を増幅器33の入力端に接続すると共に増幅器33の出力端を高周波フィルタ32に接続し、一方受信スロット期間においては、高周波フィルタ32を増幅器33の入力端に接続すると共に増幅器33の出力端を周波数変換回路31に接続するようにしている。
【0037】
したがって、送信スロット期間においても、また受信スロット期間においても、増幅器33の信号入出力方向は周波数変換回路31及び高周波フィルタ32の送信信号及び受信信号の伝達方向と常に一致することになる。このため、1個の増幅器33を送信と受信とで共用することが可能となり、これにより送信用と受信用に2個の増幅器を必要とした従来の構成に比べ、回路部品数を削減すると共に回路規模を小型化し、さらに消費電力を低減することが可能となる。
【0038】
ところで、図2に示した回路構成では、第1及び第2の切替スイッチ34,35の切り替えにより非選択となる側の信号線路がオープンスタブとして機能し、これが送信信号及び受信信号に悪影響を及ぼす心配がある。しかし、本実施形態では、上記オープンスタブとなる信号線路(回路基板上の信号線パターン)の線路パターン長を、無線送信信号及び無線受信信号の周波数をもとに適宜設定することで、上記オープンスタブが上記無線送信信号及び無線受信信号の高調波成分を抑圧するフィルタとして機能するように構成している。
【0039】
例えば、送信スロット期間においては図4(a)に示すように、選択されている信号線路に接続された状態で存在する開放された非選択信号線路ST11,ST12がオープンスタブとして機能する。また受信スロット期間においては図4(b)に示すようにST13,ST14がオープンスタブとして機能する。そこで、このオープンスタブST11〜ST14となる信号線パターンのそれぞれのパターン長L11〜L14を、抑圧対象となる高調波の1/4波長(λ/4)にそれぞれ設定する。例えば、無線送信信号及び無線受信信号の周波数がf0 のとき、抑圧する必要性が最も高い高調波が2f0 であれば、上記信号線パターンのパターン長L11〜L14を上記高調波2f0 のλ/4に設定する。なお、抑圧対象の高調波はシステムによって異なる場合があるので、上記信号線パターンのパターン長L11〜L14は使用するシステムに応じて設定する。
【0040】
このように構成することで、上記オープンスタブとなる信号線パターンST11〜ST14が、無線送信信号及び無線受信信号の高調波成分を抑圧するフィルタとして機能することになる。このため、上記オープンスタブが無線送信信号及び無線受信信号の主要波成分に及ぼす悪影響を回避した上で、さらに無線送信信号及び無線受信信号の高調波成分を減衰させて送受信特性の改善を図ることが可能となる。
【0041】
(第2の実施形態)
図5は、この発明の第2の実施形態に係わる無線ユニットの構成を示す回路ブロック図である。なお、同図において前記図2と同一部分には同一符号を付して詳しい説明は省略する。
【0042】
可逆回路からなる周波数変換回路31と、同じく可逆回路からなる高周波フィルタ32との間には、第1及び第2の増幅器41,42を直列接続した回路が、第3及び第4の切替スイッチ43,44を介して配設される。第1の増幅器41は、受信信号に対しては低雑音増幅器として動作し、また送信信号に対しては前置増幅器として動作するように構成される。一方、第2の増幅器42は、送信信号に対して送信電力増幅器として動作するように構成される。
【0043】
第3の切替スイッチ43は、2個の固定接点a3,b3と1個の可動接点c3とを備えた半導体スイッチからなり、固定接点a3,b3がそれぞれ第1の増幅器41の入力端及び出力端に接続され、可動接点c3が周波数変換回路31の高周波フィルタ31cに接続される。第4の切替スイッチ44も、上記第3の切替スイッチ43と同様に2個の固定接点a4,b4と1個の可動接点c4とを備えた半導体スイッチからなり、2個の固定接点a4,b4はそれぞれ第1の増幅器43の入力端及び第2の増幅器44の出力端に接続され、可動接点c4は高周波フィルタ32に接続される。
【0044】
そして、第3及び第4の切替スイッチ43,44は、制御ユニット50から出力される切替制御信号SW2に従い、送信スロット期間には可動接点c3,c4がそれぞれ固定接点a3,b4に切り替わり、一方受信スロット期間には可動接点c3,c4がそれぞれ固定接点b3,a4に切り替わるように動作する。
【0045】
次に、以上のように構成された無線ユニットの動作を説明する。
先ず送信スロット期間になると、制御ユニット50から切替制御信号SW2が出力される。なお、この切替制御信号SW2の出力タイミングは、第3及び第4の切替スイッチ43,44の動作遅延を考慮して、送信スロットの開始タイミングより所定時間だけ早いタイミングに設定される。一般的に、消費電力の大きい送信系の後段の電力増幅器42について、受信時に電源供給を遮断する場合には、送信時に電源の供給を開始する際にその遅延時間を考慮する必要がある。
【0046】
上記切替制御信号SW2が出力されると、第3及び第4の切替スイッチ43,44の可動接点c3,c4がそれぞれ固定接点a3,b4に切り替わる。この結果、周波数変換回路31は上記第3の切替スイッチ43を介して第1の増幅器41の入力端に接続され、かつ第2の増幅器44の出力端が第4の切替スイッチ44を介して高周波フィルタ32に接続される。すなわち、周波数変換回路31と高周波フィルタ32との間に、第1及び第2の増幅器41,42の直列回路が接続される。
【0047】
したがって、送信スロット期間においては、周波数変換回路31から出力された送信信号が、図6(a)のITX2 に示すように第3の切替スイッチ43を介して先ず第1の増幅器41に入力されて前置増幅され、次に第2の増幅器42に入力されて電力増幅される。そして、この電力増幅された無線送信信号ITX2 は、第4の切替スイッチ44を介して高周波フィルタ32に入力され、この高周波フィルタ32により不要波成分が抑圧されたのちアンテナ40に供給されてこのアンテナ40から送信される。
【0048】
一方、受信スロット期間になると、制御ユニット50から切替制御信号SW2が出力される。なお、この切替制御信号SW2の出力タイミングも、上記送信スロットの場合と同様に、各切替スイッチ43,44の動作遅延を考慮して受信スロットの開始タイミングより所定時間だけ早いタイミングに設定される。
【0049】
上記切替制御信号SW2が出力されると、第3及び第4の切替スイッチ43,44の可動接点c3,c4がそれぞれ固定接点b3,a4に切り替わる。この結果、高周波フィルタ32が上記第4の切替スイッチ44を介して第1の増幅器41の入力端に接続され、かつこの第1の増幅器41の出力端が第3の切替スイッチ43を介して周波数変換回路31に接続される。すなわち、高周波フィルタ32と周波数変換回路31との間に、第1の増幅器41のみが接続される。
【0050】
したがって、受信スロット期間においては、図6(b)のIRX2 に示すようにアンテナ40により受信された無線信号が高周波フィルタ32により不要帯域成分が抑圧されたのち第4の切替スイッチ44を介して第1の増幅器41に入力され、この第1の増幅器41により低雑音増幅される。そして、この増幅された無線受信信号IRX2 は、第3の切替スイッチ43を介して周波数変換回路31に入力され、この周波数変換回路31においてベースバンド信号に周波数変換されたのちベースバンドユニット20に入力される。
【0051】
したがって第2の実施形態によれば、送信スロット期間においても、また受信スロット期間においても、第1の増幅器41の信号入出力方向は周波数変換回路31及び高周波フィルタ32の送信信号及び受信信号の伝達方向と常に一致することになる。このため、1個の第1の増幅器41を送信と受信とで共用することが可能となり、これにより送信用と受信用に2個の増幅器を必要とした従来の構成に比べ、回路部品数を削減すると共に回路規模を小型化し、さらに消費電力を低減することが可能となる。
【0052】
しかも第2の実施形態では、受信スロット期間には第1の増幅器41のみが周波数変換回路31と高周波フィルタ32との間に接続され、一方送信スロット期間には第1の増幅器41と第2の増幅器42の両方が周波数変換回路31と高周波フィルタ32との間に接続される。このため、受信スロット期間においては無線受信信号を周波数変換回路31のミキサ31aが飽和を起こさない適切な信号レベルに増幅することができ、一方送信スロット期間においては無線送信信号をシステムで要求される十分大きな送信電力レベルに増幅して送信することが可能となる。
【0053】
さらに第2の実施形態においても、第3及び第4の切替スイッチ43,44の切り替えにより非選択となる側の信号線路がオープンスタブとして機能し、これが送信信号及び受信信号に悪影響を及ぼす心配がある。しかし、この不具合は、上記オープンスタブとなる信号線路(信号線パターン)の線路長を、無線送信信号及び無線受信信号の周波数をもとに適宜設定し、これにより上記オープンスタブが上記無線送信信号及び無線受信信号の高調波成分を抑圧するフィルタとして機能するように構成することで解消している。
【0054】
例えば、送信スロット期間においては図7(a)に示すようにST21,ST22がオープンスタブとして機能し、また受信スロット期間においては図7(b)に示すようにST23がオープンスタブとして機能する。そこで、このオープンスタブST21〜ST23となる信号線パターンのパターン長L21〜L23を、前述した第1の実施形態と同様に、抑圧対象となる高調波の1/4波長(λ/4)にそれぞれ設定する。なお、ST24については、電源供給を遮断した電力増幅器42を含んだ状態で、主要波成分に影響を与えないように設定する。
【0055】
このように構成することで、上記オープンスタブとなる信号線パターンST21〜ST24が、無線送信信号及び無線受信信号の高調波成分を抑圧するフィルタとして機能することになる。したがって、前記第1の実施形態と同様に、上記オープンスタブが無線送信信号及び無線受信信号の主要波成分に及ぼす悪影響を回避した上で、さらに無線送信信号及び無線受信信号の高調波成分を減衰させて送受信特性の改善を図ることが可能となる。
【0056】
(その他の実施形態)
第1及び第2の実施形態はいずれもダイレクトコンバージョンタイプの無線ユニットを例にとって説明したが、ヘテロダインタイプの無線ユニットにもこの発明を適用することが可能である。例えば、図9に示した無線ユニットであれば、増幅器74b,75a及び切替スイッチ73,64からなる回路と、増幅器74a,75b及び切替スイッチ72,63からなる回路を、図2に示した増幅器33及び切替スイッチ34,35からなる回路にそれぞれ置き換えることで実現できる。また、その際増幅器74b,75a及び切替スイッチ73,64からなる回路のみを、図5に示した増幅器41,42及び切替スイッチ43,44からなる回路に置き換えるようにしてもよい。
【0057】
また、前記実施形態では増幅器33,41,42を常時動作状態とする場合を例にとって説明した。しかし、送信スロット期間及び受信スロット期間以外のアイドルスロット期間が存在する場合には、このアイドルスロット期間において上記増幅器33,41,42に対する電源供給を遮断し、これにより増幅器33,41,42を非動作状態に設定するようにしてもよい。また、電力増幅用の増幅器42については、受信スロット期間においても電源供給を遮断して非動作状態に設定するとよい。このように構成すると、増幅器33,41,42の消費電力をさらに低減することができる。
【0058】
さらに、前記各実施形態では非可逆回路として増幅器を使用した場合を例にとって説明したが、回路可逆性を持たないそれ以外の回路に対しこの発明を適用してもよい。その他、無線通信装置の種類や構成、無線ユニットの回路構成、切替スイッチの構成、切替スイッチの切替タイミング、オープンスタブとなる信号線パターン長等についても、この発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施できる。
【0059】
【発明の効果】
以上詳述したようにこの発明では、送信信号の送信と受信信号の受信とを同一の周波数を使用して時分割に行う無線通信装置及びその無線ユニットにおいて、上記送信信号及び受信信号を互いに逆方向に伝達する可逆信号路中に、信号の入出力方向が一方向に固定された非可逆回路を切替手段を介して配置する。そして、上記送信信号の送信期間及び上記受信信号の受信期間に同期して上記切替手段を切替制御することにより、上記可逆信号路の信号伝達方向に対し上記非可逆回路の入出力方向を常に一致させるようにしている。
したがってこの発明によれば、非可逆回路である能動回路の送受共用を可能にし、これによりさらなる回路部品数の低減と回路規模の小型化、及び低消費電力化を可能にした無線通信装置とその無線ユニットを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の第1及び第2の実施形態に係わる無線通信装置の概略構成図。
【図2】この発明の第1の実施形態に係わる無線ユニットの構成を示す回路ブロック図。
【図3】図2に示した無線ユニットの動作説明に使用する要部構成図。
【図4】図2に示した無線ユニットの動作説明に使用する要部構成図。
【図5】この発明の第2の実施形態に係わる無線ユニットの構成を示す回路ブロック図。
【図6】図5に示した無線ユニットの動作説明に使用する要部構成図。
【図7】図5に示した無線ユニットの動作説明に使用する要部構成図。
【図8】従来における基本的なTDD無線ユニットの構成を示す回路ブロック図。
【図9】従来におけるヘテロダインタイプの無線ユニットの構成例を示す回路ブロック図。
【図10】従来におけるダイレクトコンバージョンタイプの無線ユニットの構成例を示す回路ブロック図。
【符号の説明】
10…入出力ユニット、20…ベースバンドユニット、30…無線ユニット、40…アンテナ、50…制御ユニット、31…周波数変換回路、32…高周波フィルタ、33…増幅器、34…第1の切替スイッチ、35…第2の切替スイッチ、41…第1の増幅器、42…第2の増幅器、43…第3の切替スイッチ、44…第4の切替スイッチ。
Claims (6)
- 送信信号の送信と受信信号の受信とを同一の周波数を使用して時分割に行う無線通信装置において、
前記送信信号及び受信信号を互いに逆方向に伝達する可逆信号路と、
前記可逆信号路中に配置され、信号の入出力方向が一方向に固定された非可逆回路と、
前記非可逆回路の入力端及び出力端と前記可逆信号路との間にそれぞれ配置される切替手段と、
前記可逆信号路の信号伝達方向に対し前記非可逆回路の信号入出力方向を一致させるべく、前記送信信号の送信期間及び前記受信信号の受信期間に同期して前記切替手段を切替える切替制御手段と
を具備したことを特徴とする無線通信装置。 - 前記非可逆回路が、送信信号及び受信信号を増幅する増幅器である場合に、
前記切替手段は、2個の固定接点がそれぞれ前記増幅器の入力端及び出力端に接続されると共に可動接点が前記可逆信号路の第1の端子に接続される第1の切替スイッチと、2個の固定接点がそれぞれ前記増幅器の入力端及び出力端に接続されると共に可動接点が前記可逆信号路の第2の端子に接続される第2の切替スイッチとにより構成され、
前記切替制御手段は、送信期間には、前記可逆信号路の第1の端子と前記増幅器の入力端とを接続するように前記第1の切替スイッチを切替制御すると共に、前記増幅器の出力端と前記可逆信号路の第2の端子とを接続するように前記第2の切替スイッチを切替制御し、一方受信期間には、前記可逆信号路の第2の端子と前記増幅器の入力端とを接続するように第2の切替スイッチを切替制御すると共に、前記増幅器の出力端と前記可逆信号路の第1の端子とを接続するように前記第1の切替スイッチを切替制御することを特徴とする請求項1記載の無線通信装置。 - 前記増幅器の入力端及び出力端と前記第1及び第2の切替スイッチとの間の信号線路を、送信信号及び受信信号の高調波成分を減衰させるフィルタ特性を持つオープンスタブとなるように構成することを特徴とする請求項2記載の無線通信装置。
- 前記非可逆回路が、送信信号及び受信信号の増幅に使用する第1の増幅器と、送信信号の増幅に使用する第2の増幅器とを直列接続した回路により構成される場合に、
前記切替手段は、2個の固定接点がそれぞれ前記第1の増幅器の入力端及び出力端に接続されると共に可動接点が前記可逆信号路の第1の端子に接続される第3の切替スイッチと、2個の固定接点がそれぞれ前記第1の増幅器の入力端及び第2の増幅器の出力端に接続されると共に可動接点が前記可逆信号路の第2の端子に接続される第4の切替スイッチとから構成され、
前記切替制御手段は、送信期間には、前記可逆信号路の第1の端子と前記第1の増幅器の入力端とを接続するように前記第3の切替スイッチを切替制御すると共に、前記第2の増幅器の出力端と前記可逆信号路の第2の端子とを接続するように前記第4の切替スイッチを切替制御し、一方受信期間には、前記可逆信号路の第2の端子と前記第1の増幅器の入力端とを接続するように第4の切替スイッチを切替制御すると共に、前記第1の増幅器の出力端と前記可逆信号路の第1の端子とを接続するように前記第3の切替スイッチを切替制御することを特徴とする請求項1記載の無線通信装置。 - 前記第1及び第2の増幅器の入力端及び出力端と前記第3及び第4の切替スイッチとの間の信号線路を、送信信号及び受信信号の高調波成分を減衰させるフィルタ特性を持つオープンスタブとなるように構成することを特徴とする請求項4記載の無線通信装置。
- 制御ユニットの制御に従い送信信号の送信と受信信号の受信とを同一周波数を使用して時分割に行う無線通信装置に設けられる無線ユニットにおいて、
前記送信信号及び受信信号を互いに逆方向に伝達する可逆信号路と、
前記可逆信号路中に配置され、信号の入出力方向が一方向に固定された非可逆回路と、
前記非可逆回路の入力端及び出力端と前記可逆信号路との間にそれぞれ配置され、前記制御ユニットによる前記送信信号の送信期間及び前記受信信号の受信期間の切替制御に同期して、前記可逆信号路の信号伝達方向に対し前記非可逆回路の入出力方向を一致させるように切替動作する切替スイッチと
を具備したことを特徴とする無線ユニット。
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JP2003041308A JP2004254009A (ja) | 2003-02-19 | 2003-02-19 | 無線通信装置とその無線ユニット |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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US7778208B2 (en) | 2008-02-21 | 2010-08-17 | Samsung Electro-Mechanics Co., Ltd. | Wireless communication system for time division duplex |
JP2010233056A (ja) * | 2009-03-27 | 2010-10-14 | Toshiba Denpa Products Kk | 可逆型周波数変換器 |
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-
2003
- 2003-02-19 JP JP2003041308A patent/JP2004254009A/ja active Pending
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