JP2004253495A - 液冷型電力用半導体モジュール及びそれを包含するインバータ - Google Patents
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Abstract
【課題】冷却液の洩れを有効に防ぐシール部構造を備える液冷型電力用半導体モジュールを提供すること。
【解決手段】液冷型電力用半導体モジュールにおいて、半導体モジュールのベースと液冷部材である第1部材との接触部分に液漏れ防止剤を充填し、且つ、該ベースを前記第1の部材と押え部材である前記第2の部材で挟み込むように構成する。好ましくは、前記液漏れ防止剤は、液状または粘土状の液漏れ防止剤であって、充填後硬化させるようにする。
【選択図】 図1
【解決手段】液冷型電力用半導体モジュールにおいて、半導体モジュールのベースと液冷部材である第1部材との接触部分に液漏れ防止剤を充填し、且つ、該ベースを前記第1の部材と押え部材である前記第2の部材で挟み込むように構成する。好ましくは、前記液漏れ防止剤は、液状または粘土状の液漏れ防止剤であって、充填後硬化させるようにする。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、液冷型電力用半導体モジュール及びそれを包含するインバータに関する。
【0002】
【従来の技術】
モーター駆動用インバータ、とりわけ電気自動車やハイブリッド自動車のモーターを駆動するインバータでは、数百ボルト、かつ数百アンペアという大電力を扱うため、スイッチングを行う電力用半導体素子の消費電力が大きい。しかも、自動車内であるため取り付け部が狭いという制約もある。そのため、インバータに使用する電力用半導体素子を組み込んだ電力用半導体モジュールでは、水或いは水に防錆剤等を混入した冷却液を使用する液冷構造を採用することが多い。
【0003】
液冷構造を採用した電力用半導体モジュールの実装構造としては、冷却液容器に熱伝導グリース等を介して電力用半導体モジュールを取り付ける、いわゆる間接液冷が一般的である。
【0004】
間接液冷構造に相対する構造として、モジュールの金属ベースを直接冷却液で冷却する、いわゆる直接液冷構造があり、例えば特開平9−246443号公報に構造が開示されている。しかしながら、この構造では、ガスケットの加圧力の不均一,金属ベースや液冷部材の加工精度不良,ガスケットの経年劣化などにより、液洩れを生ずる恐れがある。
【0005】
液洩れ防止を目的とするものとして、例えば、特開2001−339020号公報に開示されているように、二重のガスケットを使用し、ガスケットとガスケットの間に液抜き構造を設けるという対策がある。しかしながら、構造が複雑で大きくなること、また、2個所のシール部の締め付け圧を独立して制御することが困難であり、締め付け構造及び締め付け工程が複雑になるという問題点がある。
【0006】
また、例えば、特開平5−102362号公報に開示されているように、金属同士の一体結合構造が挙げられる。ところが、金属同士の結合は剛性が高いため、何らかの外力や自分自身の熱膨張に伴う応力を吸収する能力に乏しい。そのため、金属疲労が生じやすく、破壊する場合がある。さらに、金属結合を実現するにはある程度の高温が必要で、接合時に温度上昇を伴う。温度そのものにより半導体モジュール内の耐熱性の劣る部品に悪影響を与える場合がある。また、温度上昇により接合部材の残留応力が開放されるために歪を生じ、そのために半導体モジュール内の部品を破壊することも懸念される。
【0007】
【特許文献1】
特開平9−246443号公報
【特許文献2】
特開2001−339020号公報
【特許文献3】
特開平5−102362号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
以上述べたように、冷却液の洩れを確実に防止する構造に関するものはない。
【0009】
本発明の目的は、冷却液の洩れを有効に阻止することができる液冷型電力用半導体モジュール及びそれを包含するインバータを提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため本発明では、半導体モジュールのベースと第1の部材との間に液路を形成すると共に、該半導体モジュールを第2の部材で覆うよう構成される液冷型電力用半導体モジュールにおいて、該ベースと前記第1部材との接触部分に液漏れ防止剤を充填し、且つ、該ベースを前記第1の部材と前記第2の部材で挟み込むように構成するものである。
【0011】
ここで、前記第1の部材は、具体的には液冷部材であり、前記第2の部材は、具体的には押え部材である。
【0012】
そして、本発明では、液状または粘土状の液洩れ防止剤を充填し、その後硬化させるようにしているので、硬化前の接合部の形状に合わせて液洩れ防止剤が接合部に染み込むため接合部の圧力バランスに優れ、しかも液洩れ防止剤が空気を押し出すために少々の負圧にも耐える。したがって、メンテ,部品交換時に加圧力を無くしても、不用意に外れることも少ない。さらに、液洩れ防止剤の硬化後はゴム状になり、弾力を持つので、熱膨張や外部からの振動等による変形応力を吸収する。
【0013】
ただし、ゴム状に硬化した後は流動性がないため、接合部の相対的距離を接合時から維持する方が信頼性に優れており、そのためには接合部材の剛性が高いことが望ましい。
【0014】
剛性を高くするということは、剛性が高く、扱いやすい金属を例に取って考えると、不純物を増して硬度を上げるか、肉厚を増すかである。いずれの対策も部材の熱的性能面から見ると、熱を通しにくくする。一方、本発明は、液路を構成する液冷部材に設けた開口部をモジュールのベースで塞いで冷却液の流路を完成させるように構成しているため、モジュールのベースには、モジュール内の熱を効果的に外に放出することが求められるので、モジュールのベースは熱伝導の良い純金属に近い柔らかい材料で構成されており、しかも薄いことが望ましい。
【0015】
【発明の実施の形態】
図1に本発明の実施の形態の基本構成を示す。液冷部材401と押さえ部材402でモジュールベース403を挟む。熱伝導を良好にするため比較的薄くて柔らかい材料で構成されているモジュールベース403を上下から剛性の高い液冷部材401と押さえ部材402で挟むため、シール部404及びシール部405の安定性が良い。シール部404及びシール部405には、液状ガスケット或いは耐水性のある接着剤を使用し、シール部404及びシール部405のギャップに馴染むと共に比較的広い面積でギャップを充填するようにする。
【0016】
図1は、異なる2種類の締め付け構造を示している。図1の左半分は、締め付けボルト409がモジュールベース403と液冷部材401を貫通しない。この構造は、補助的な部材として締め付け用部材411が必要であり、構造が複雑になるが、万が一の液洩れ時にモジュールの半導体素子搭載面に冷却液が侵入しにくい点で信頼性が高い。
【0017】
図1の右半分は、締め付けボルト412がモジュールベース403と液冷部材401を貫通する。構造は簡単であるが、ボルト穴414を通じて冷却液415が半導体チップ408搭載面側に回り込みやすい欠点を有する。
【0018】
本発明による構造の利点は、モジュールのベースとしての制約がないことである。経済性の観点からもっとも実現性の高いのは、アルミニウムの薄板の片面に絶縁樹脂を塗布し、銅或いはアルミニウムの配線を形成した、いわゆるAl絶縁基板である。また、高電圧,大電流を扱う用途では、セラミック基板が使える。通常、セラミック基板を金属のベースにはんだ付けしてモジュールを構成するが、本発明の構造では、ベースに外力がほとんどかからないので、セラミック基板をそのままベースとして流用でき、熱抵抗の小さいモジュール構造が得られる。
【0019】
図2(a),(b)は、図1から締め付け部分(締め付けボルト409,締め付けナット410,締め付け用部材411,締め付けボルト412,締め付けナット413)を省略した全体像である。(a)は、図1と同じもので、押さえ部材402が内部の半導体モジュールを覆う容器の蓋のようになっている。そのため、モジュールケース406が見えない。
【0020】
これに対して、(b)では、押さえ部材501が押さえに必要な周囲のみのリング状になってるため、内部のモジュールケース406が見える。本発明の目的を達するには、どちらの構造でも差し支えない。ただし、剛性を確保することが重要であり、そのためには、押さえ部材402でも、押さえ部材501でも、図のように一体構造であることが望ましい。
【0021】
次に、本発明の実施の形態をより具体的に説明する。
【0022】
図3は、本発明の第1の実施の形態である液冷型電力用半導体モジュール、すなわちモジュールベース101とモジュールケース102の結合体を構成要素とするインバータ100の断面図である。
【0023】
液冷型電力用半導体モジュールには、電力用半導体であるIGBTチップ106を6個搭載している。損失は、1個あたり300W、モジュール全体では1.8kWである。6個のIGBTチップ106はモジュール内で2列に並んでいる。モジュールは、長手方向150mm,短手方向70mmの矩形である。液冷型電力用半導体モジュールの外形は、大きく分けて、中の回路を外部から遮蔽するための蓋にあたるモジュールケース102と、土台にあたるモジュールベース101から成っている。
【0024】
モジュールベース101は、アルミニウムの厚さ1.5mm の板である。熱伝導を良くするため、材質として純粋なアルミニウムに近い工業用純アルミニウムを使用している。モジュールベース101は、単なる板ではなく、モジュール内部では配線板の一構成要素としても機能している。すなわち、モジュールベース101に絶縁樹脂107を塗布或いは張り付けることで絶縁層を形成し、その上に銅箔を張り付けてエッチングすることにより銅配線パターン108を形成している。IGBTチップ106を始めとする部品は、銅配線パターン108に、はんだ或いは導電性接着剤で固定され、必要に応じてボンディングワイヤ109で配線してある。
【0025】
冷却液110の流路は、冷却液入口111から冷却液出口112に至る、ほぼ直線状である。流路の壁面を構成する部材は、主にインバータ底蓋103である。インバータ底蓋103は蓋のない容器の形状であり、モジュールベース101がインバータ底蓋103に開けられた開口部を塞ぐことで流路を完成させる構造になっている。モジュールベース101がインバータ底蓋103の開口部を塞ぐ構造であることは、同時に、液冷型電力用半導体モジュール内で発生する熱をモジュールベース101から直接冷却液110に伝える構造になっていることを意味している。冷却液110が洩れないように、シール樹脂105が使われている。これは、液状ガスケットと呼ばれているもので、当初液状であるが、硬化してゴム状になる。シール部の形状に馴染むため、シール性に優れている。本実施例では、万が一シール樹脂105を通過して冷却液110が洩れても、液冷型電力用半導体モジュール内部のIGBTチップ106に代表される半導体部品、その他の部品に冷却液110が触れないよう、Oリング113を設けている。
【0026】
ここで、本発明の主要構造である剛性確保について述べる。さきほども述べたように、モジュールベース101は純粋に近いアルミニウムで、しかも板厚が
1.5mm と薄いため、剛性が小さい。シール樹脂105は、シール部の形状に馴染むが、硬化後はゴム状になるので、シール部の形状が硬化前と同じであることが望ましい。したがって、剛性に乏しいモジュールベース101を直接インバータ底蓋103に締め付ける構造はモジュールベース101の変形を喚起するため好ましくない。そこで、本実施例では、モジュールベース101をインバータ底蓋103とインバータ上蓋104で挟み込む形態を採っている。インバータ底蓋103は、複雑な形状をしていること、インバータ100の外壁を構成することから、アルミニウム鋳物の剛性の高いものである。また、インバータ上蓋104もインバータ底蓋103と同じくアルミニウムの鋳物で構成され、剛性の高いものである。これらがモジュールベース101を挟むことで、モジュールベース101とインバータ底蓋103との隙間であるシール部の形状を安定に保つことができる。
【0027】
本実施の形態では、さらにインバータ上蓋104が液冷型電力用半導体モジュールを含むインバータ100の上部半分の外壁を構成している。単なるシール部の形状維持のための補助的部材ではなく、筐体の一部にもなっている点が特徴である。なお、インバータ底蓋103とインバータ上蓋104の締め付け構造は図1では見えないが、図1の右側の構造、すなわち、インバータ底蓋103及びインバータ上蓋104に穴を開けてボルトとナットで締め付ける形態である。なお、具体的には、図4で記述するものと同一である。
【0028】
モジュールの熱抵抗をさらに下げたい場合、モジュールベース101の材質を銅にすることが有効である。さらに、モジュールベース101にフィンを付けることも有効な手段である。この第2の実施の形態は、図4及び図5を用いて説明する。
【0029】
本実施の形態では、パワー半導体であるIGBTチップ209が冷却水(冷却液212)の流れる方向(図4では紙面に垂直、図5では紙面に平行で横方向)に対して2列、流れ方向に3個並び、トータル6個使用しているという点では、第1の実施の形態と同じである。また、モジュールの損失(内部の半導体素子の損失が主)も、第1の実施の形態とほぼ同じである。違う点は、使用環境である。第1の実施例より冷却液212の温度が高い。そのため、主な発熱源である
IGBTチップ209から冷却液212に至る熱抵抗を第1の実施の形態より小さく抑える必要がある。
【0030】
まず、IGBTチップ209を搭載する配線基板がセラミック配線基板210である。第1の実施例では、絶縁樹脂107で電気的な絶縁を確保したが、樹脂は熱伝導率が小さい。セラミックスは樹脂に比べて一桁程度熱伝導率が高いため、IGBTチップ209で発生した熱を小さい温度差でモジュールベース201に導くことができる。つぎに、モジュールベース201の材質である。第1の実施の形態ではアルミニウムであったが、本実施の形態では銅を使用している。しかも、熱伝導率の高い純銅に近い材質を選んでいる。また、構造面では、モジュールベース201と一体のモジュールフィン202が形成されている。IGBTチップ209から冷却液212に至る経路でもっとも温度差の大きいところは、モジュールフィン202と冷却液212の界面である。この界面の面積を大きくすることでIGBTチップ209から冷却液212に至る経路の熱抵抗を下げることができる。モジュールフィン202はそのための構造である。ここで、本実施例てはモジュールベース201とモジュールフィン202を一体成型しているため、熱抵抗を小さくする効果が大であるが、はんだ付け,ろう付け等で接着した場合、効果がかなり阻害される。
【0031】
本実施の形態でも、第1の実施の形態と同じく、インバータ上蓋205がインバータ200の筐体の一部を構成している。ここで、締め付け構造に触れる。第1の実施の形態と共通である。図4に示しているが、締め付けボルト207と締め付けナット208で締め付けている。その際、締め付けるのはインバータ底蓋204とインバータ上蓋205である。モジュールベース201は、締め付け部には存在しない。モジュールベース201に穴を開けると冷却液212が洩れやすくなるためである。冷却液212の洩れを防ぐ構造として、シール部、すなわちシール樹脂206の形状を複雑にしている。図4及び図5に示すように数カ所の折れ曲がりを備えることで洩れの経路を長くし、さらに液状ガスケットの馴染みを良くしている。そのため、本実施の形態では、図3を用いてOリング113のような補助的なシール構造を採用していない。
【0032】
本発明の第3の実施の形態について、図6を参照して説明する。図6の上はインバータ上蓋606を輪切りにした上方からの断面図、図6の下は液冷型電力用半導体モジュール603を輪切りにした前方からの断面図である。ただし、モジュールケース602内部の描画は省略した。本実施の形態では、インバータ600に比べて液冷型電力用半導体モジュール603のサイズが小さい。そのため、第1や第2の実施例のようにインバータ上蓋606でシール部の押さえを兼ねることができない。そこで、独立したリング状の押さえ部材604を使用した。押さえ部材604とインバータ底蓋605の締め付けにはモジュール固定用ボルト607及びモジュール固定用ナット608を使用した。また、締め付け箇所は冷却液613の流路の妨げにならないように、若干外にはみ出す形態とした。締め付け部をシール樹脂614から外し、シール樹脂614に穴を開けないようにしてある。その結果、冷却液613の洩れが少なくなる。
【0033】
この構造は、液冷型電力用半導体モジュール603のインバータ600内での位置に自由度が高いため、設計の制約が少ない。その半面、組み立ての工数が増える欠点を有している。
【0034】
本発明の第4の実施の形態について、図7を参照して説明する。図7の上はインバータ上蓋707を輪切りにした上方からの断面図、図7の下は液冷型電力用半導体モジュール703を輪切りにした前方からの断面図である。ただし、モジュールケース702内部の描画は省略した。本実施の形態でも、第3の実施例と同じく、インバータ700に比べて液冷型電力用半導体モジュール703のサイズが小さい。
【0035】
本実施例では、独立した押さえ部材を使用するのではなく、インバータ上蓋707と一体の押さえ部材704を採用した。押さえ部材704とインバータ上蓋707とを連結する部材として、押さえ部材とインバータ上蓋との繋ぎ部材705を使用した。
【0036】
本実施の形態の構造では、押さえ部材704のみならず、押さえ部材とインバータ上蓋との繋ぎ部材705も充分な剛性を有することが必須である。
【0037】
この構造は、押さえ部材とインバータ上蓋との繋ぎ部材705が、インバータ700内の回路の引き回しに影響するため、液冷型電力用半導体モジュール703のインバータ700内での位置に制約が生ずる欠点がある。その半面、組み立ての工数は第3の実施例より少ない。
【0038】
本発明の第5の実施の形態について、図8を参照して説明する。図8の上は平面図、図8の下は液冷型電力用半導体モジュール803を輪切りにした前方からの断面図である。ただし、モジュールケース802内部の描画は省略した。本実施の形態でも、第3,第4の実施の形態と同じく、インバータ800に比べて液冷型電力用半導体モジュール803のサイズが小さい。
【0039】
本実施の形態では、いままでのどの実施の形態とも異なり、モジュールベース801のモジュールケース802側の面を利用して冷却液809のシールを行っている。その結果、インバータ底蓋804に広いスペースを確保でき、液冷型電力用半導体モジュール803以外のインバータ800の構成部材を高い自由度で配置することが可能である。また、インバータ底蓋804,モジュールベース801、そして液冷部材811で囲まれた複雑な形状のシール部にシール樹脂810が充填されるため、冷却液809が洩れにくい構造になっている。
【0040】
液冷部材取り付け用ボルト805及び液冷部材取り付け用ナット806の位置の自由度は高い。もちろんインバータ底蓋804の内部のほとんどの場所に設置可能であり、さらに、インバータ底蓋804内部でなく外部に設けても良い。
【0041】
ただし、本実施の形態の構造では、インバータ上蓋(図示せず)を取り付けるための構造がさらに必要であり、組立工数も多くなる欠点を有している。
【0042】
【発明の効果】
本発明によれば、冷却液の洩れを有効に防ぐシール部構造を備えた液冷型電力用半導体モジュール及びそれを包含するインバータを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態の基本構成を示す断面図。
【図2】(a),(b)は、図1から締め付け部分を省略した全体像を示す断面図。
【図3】本発明の第1の実施の形態を示す断面図。
【図4】本発明の第2の実施の形態を示す断面図。
【図5】本発明の第2の実施の形態を示す断面図。
【図6】本発明の第3の実施の形態を示す断面図。
【図7】本発明の第4の実施の形態を示す断面図。
【図8】本発明の第5の実施の形態を示す断面図。
【符号の説明】
100,200,600,700,800…インバータ、101,201,403,601,701,801…モジュールベース、102,203,406,602,702,802…モジュールケース、103,204,605,706,804…インバータ底蓋、104,205,606,707…インバータ上蓋、105,713…シール樹脂、106,209…IGBTチップ、107…絶縁樹脂、108…銅配線パターン、109,211…ボンディングワイヤ、110,613,712…冷却液、111,213,611,710,807…冷却液入口、112,214,612,711,808…冷却液出口、113…Oリング、202…モジュールフィン、206,614,810…シール樹脂、207,409,412…締め付けボルト、208,410,413…締め付けナット、210…セラミック配線基板、212,415,809…冷却液、401,811…液冷部材、402,501,604,704…押さえ部材、404,405…シール部、407…配線基板、408…半導体チップ、411…締め付け用部材、414…ボルト穴、603,703,803…液冷型電力用半導体モジュール、607…モジュール固定用ボルト、608…モジュール固定用ナット、609,708…インバータ蓋取り付け用ボルト、610,709…インバータ蓋取り付け用ナット、705…押さえ部材とインバータ上蓋との繋ぎ部材、805…液冷部材取り付け用ボルト、806…液冷部材取り付け用ナット。
【発明の属する技術分野】
本発明は、液冷型電力用半導体モジュール及びそれを包含するインバータに関する。
【0002】
【従来の技術】
モーター駆動用インバータ、とりわけ電気自動車やハイブリッド自動車のモーターを駆動するインバータでは、数百ボルト、かつ数百アンペアという大電力を扱うため、スイッチングを行う電力用半導体素子の消費電力が大きい。しかも、自動車内であるため取り付け部が狭いという制約もある。そのため、インバータに使用する電力用半導体素子を組み込んだ電力用半導体モジュールでは、水或いは水に防錆剤等を混入した冷却液を使用する液冷構造を採用することが多い。
【0003】
液冷構造を採用した電力用半導体モジュールの実装構造としては、冷却液容器に熱伝導グリース等を介して電力用半導体モジュールを取り付ける、いわゆる間接液冷が一般的である。
【0004】
間接液冷構造に相対する構造として、モジュールの金属ベースを直接冷却液で冷却する、いわゆる直接液冷構造があり、例えば特開平9−246443号公報に構造が開示されている。しかしながら、この構造では、ガスケットの加圧力の不均一,金属ベースや液冷部材の加工精度不良,ガスケットの経年劣化などにより、液洩れを生ずる恐れがある。
【0005】
液洩れ防止を目的とするものとして、例えば、特開2001−339020号公報に開示されているように、二重のガスケットを使用し、ガスケットとガスケットの間に液抜き構造を設けるという対策がある。しかしながら、構造が複雑で大きくなること、また、2個所のシール部の締め付け圧を独立して制御することが困難であり、締め付け構造及び締め付け工程が複雑になるという問題点がある。
【0006】
また、例えば、特開平5−102362号公報に開示されているように、金属同士の一体結合構造が挙げられる。ところが、金属同士の結合は剛性が高いため、何らかの外力や自分自身の熱膨張に伴う応力を吸収する能力に乏しい。そのため、金属疲労が生じやすく、破壊する場合がある。さらに、金属結合を実現するにはある程度の高温が必要で、接合時に温度上昇を伴う。温度そのものにより半導体モジュール内の耐熱性の劣る部品に悪影響を与える場合がある。また、温度上昇により接合部材の残留応力が開放されるために歪を生じ、そのために半導体モジュール内の部品を破壊することも懸念される。
【0007】
【特許文献1】
特開平9−246443号公報
【特許文献2】
特開2001−339020号公報
【特許文献3】
特開平5−102362号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
以上述べたように、冷却液の洩れを確実に防止する構造に関するものはない。
【0009】
本発明の目的は、冷却液の洩れを有効に阻止することができる液冷型電力用半導体モジュール及びそれを包含するインバータを提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため本発明では、半導体モジュールのベースと第1の部材との間に液路を形成すると共に、該半導体モジュールを第2の部材で覆うよう構成される液冷型電力用半導体モジュールにおいて、該ベースと前記第1部材との接触部分に液漏れ防止剤を充填し、且つ、該ベースを前記第1の部材と前記第2の部材で挟み込むように構成するものである。
【0011】
ここで、前記第1の部材は、具体的には液冷部材であり、前記第2の部材は、具体的には押え部材である。
【0012】
そして、本発明では、液状または粘土状の液洩れ防止剤を充填し、その後硬化させるようにしているので、硬化前の接合部の形状に合わせて液洩れ防止剤が接合部に染み込むため接合部の圧力バランスに優れ、しかも液洩れ防止剤が空気を押し出すために少々の負圧にも耐える。したがって、メンテ,部品交換時に加圧力を無くしても、不用意に外れることも少ない。さらに、液洩れ防止剤の硬化後はゴム状になり、弾力を持つので、熱膨張や外部からの振動等による変形応力を吸収する。
【0013】
ただし、ゴム状に硬化した後は流動性がないため、接合部の相対的距離を接合時から維持する方が信頼性に優れており、そのためには接合部材の剛性が高いことが望ましい。
【0014】
剛性を高くするということは、剛性が高く、扱いやすい金属を例に取って考えると、不純物を増して硬度を上げるか、肉厚を増すかである。いずれの対策も部材の熱的性能面から見ると、熱を通しにくくする。一方、本発明は、液路を構成する液冷部材に設けた開口部をモジュールのベースで塞いで冷却液の流路を完成させるように構成しているため、モジュールのベースには、モジュール内の熱を効果的に外に放出することが求められるので、モジュールのベースは熱伝導の良い純金属に近い柔らかい材料で構成されており、しかも薄いことが望ましい。
【0015】
【発明の実施の形態】
図1に本発明の実施の形態の基本構成を示す。液冷部材401と押さえ部材402でモジュールベース403を挟む。熱伝導を良好にするため比較的薄くて柔らかい材料で構成されているモジュールベース403を上下から剛性の高い液冷部材401と押さえ部材402で挟むため、シール部404及びシール部405の安定性が良い。シール部404及びシール部405には、液状ガスケット或いは耐水性のある接着剤を使用し、シール部404及びシール部405のギャップに馴染むと共に比較的広い面積でギャップを充填するようにする。
【0016】
図1は、異なる2種類の締め付け構造を示している。図1の左半分は、締め付けボルト409がモジュールベース403と液冷部材401を貫通しない。この構造は、補助的な部材として締め付け用部材411が必要であり、構造が複雑になるが、万が一の液洩れ時にモジュールの半導体素子搭載面に冷却液が侵入しにくい点で信頼性が高い。
【0017】
図1の右半分は、締め付けボルト412がモジュールベース403と液冷部材401を貫通する。構造は簡単であるが、ボルト穴414を通じて冷却液415が半導体チップ408搭載面側に回り込みやすい欠点を有する。
【0018】
本発明による構造の利点は、モジュールのベースとしての制約がないことである。経済性の観点からもっとも実現性の高いのは、アルミニウムの薄板の片面に絶縁樹脂を塗布し、銅或いはアルミニウムの配線を形成した、いわゆるAl絶縁基板である。また、高電圧,大電流を扱う用途では、セラミック基板が使える。通常、セラミック基板を金属のベースにはんだ付けしてモジュールを構成するが、本発明の構造では、ベースに外力がほとんどかからないので、セラミック基板をそのままベースとして流用でき、熱抵抗の小さいモジュール構造が得られる。
【0019】
図2(a),(b)は、図1から締め付け部分(締め付けボルト409,締め付けナット410,締め付け用部材411,締め付けボルト412,締め付けナット413)を省略した全体像である。(a)は、図1と同じもので、押さえ部材402が内部の半導体モジュールを覆う容器の蓋のようになっている。そのため、モジュールケース406が見えない。
【0020】
これに対して、(b)では、押さえ部材501が押さえに必要な周囲のみのリング状になってるため、内部のモジュールケース406が見える。本発明の目的を達するには、どちらの構造でも差し支えない。ただし、剛性を確保することが重要であり、そのためには、押さえ部材402でも、押さえ部材501でも、図のように一体構造であることが望ましい。
【0021】
次に、本発明の実施の形態をより具体的に説明する。
【0022】
図3は、本発明の第1の実施の形態である液冷型電力用半導体モジュール、すなわちモジュールベース101とモジュールケース102の結合体を構成要素とするインバータ100の断面図である。
【0023】
液冷型電力用半導体モジュールには、電力用半導体であるIGBTチップ106を6個搭載している。損失は、1個あたり300W、モジュール全体では1.8kWである。6個のIGBTチップ106はモジュール内で2列に並んでいる。モジュールは、長手方向150mm,短手方向70mmの矩形である。液冷型電力用半導体モジュールの外形は、大きく分けて、中の回路を外部から遮蔽するための蓋にあたるモジュールケース102と、土台にあたるモジュールベース101から成っている。
【0024】
モジュールベース101は、アルミニウムの厚さ1.5mm の板である。熱伝導を良くするため、材質として純粋なアルミニウムに近い工業用純アルミニウムを使用している。モジュールベース101は、単なる板ではなく、モジュール内部では配線板の一構成要素としても機能している。すなわち、モジュールベース101に絶縁樹脂107を塗布或いは張り付けることで絶縁層を形成し、その上に銅箔を張り付けてエッチングすることにより銅配線パターン108を形成している。IGBTチップ106を始めとする部品は、銅配線パターン108に、はんだ或いは導電性接着剤で固定され、必要に応じてボンディングワイヤ109で配線してある。
【0025】
冷却液110の流路は、冷却液入口111から冷却液出口112に至る、ほぼ直線状である。流路の壁面を構成する部材は、主にインバータ底蓋103である。インバータ底蓋103は蓋のない容器の形状であり、モジュールベース101がインバータ底蓋103に開けられた開口部を塞ぐことで流路を完成させる構造になっている。モジュールベース101がインバータ底蓋103の開口部を塞ぐ構造であることは、同時に、液冷型電力用半導体モジュール内で発生する熱をモジュールベース101から直接冷却液110に伝える構造になっていることを意味している。冷却液110が洩れないように、シール樹脂105が使われている。これは、液状ガスケットと呼ばれているもので、当初液状であるが、硬化してゴム状になる。シール部の形状に馴染むため、シール性に優れている。本実施例では、万が一シール樹脂105を通過して冷却液110が洩れても、液冷型電力用半導体モジュール内部のIGBTチップ106に代表される半導体部品、その他の部品に冷却液110が触れないよう、Oリング113を設けている。
【0026】
ここで、本発明の主要構造である剛性確保について述べる。さきほども述べたように、モジュールベース101は純粋に近いアルミニウムで、しかも板厚が
1.5mm と薄いため、剛性が小さい。シール樹脂105は、シール部の形状に馴染むが、硬化後はゴム状になるので、シール部の形状が硬化前と同じであることが望ましい。したがって、剛性に乏しいモジュールベース101を直接インバータ底蓋103に締め付ける構造はモジュールベース101の変形を喚起するため好ましくない。そこで、本実施例では、モジュールベース101をインバータ底蓋103とインバータ上蓋104で挟み込む形態を採っている。インバータ底蓋103は、複雑な形状をしていること、インバータ100の外壁を構成することから、アルミニウム鋳物の剛性の高いものである。また、インバータ上蓋104もインバータ底蓋103と同じくアルミニウムの鋳物で構成され、剛性の高いものである。これらがモジュールベース101を挟むことで、モジュールベース101とインバータ底蓋103との隙間であるシール部の形状を安定に保つことができる。
【0027】
本実施の形態では、さらにインバータ上蓋104が液冷型電力用半導体モジュールを含むインバータ100の上部半分の外壁を構成している。単なるシール部の形状維持のための補助的部材ではなく、筐体の一部にもなっている点が特徴である。なお、インバータ底蓋103とインバータ上蓋104の締め付け構造は図1では見えないが、図1の右側の構造、すなわち、インバータ底蓋103及びインバータ上蓋104に穴を開けてボルトとナットで締め付ける形態である。なお、具体的には、図4で記述するものと同一である。
【0028】
モジュールの熱抵抗をさらに下げたい場合、モジュールベース101の材質を銅にすることが有効である。さらに、モジュールベース101にフィンを付けることも有効な手段である。この第2の実施の形態は、図4及び図5を用いて説明する。
【0029】
本実施の形態では、パワー半導体であるIGBTチップ209が冷却水(冷却液212)の流れる方向(図4では紙面に垂直、図5では紙面に平行で横方向)に対して2列、流れ方向に3個並び、トータル6個使用しているという点では、第1の実施の形態と同じである。また、モジュールの損失(内部の半導体素子の損失が主)も、第1の実施の形態とほぼ同じである。違う点は、使用環境である。第1の実施例より冷却液212の温度が高い。そのため、主な発熱源である
IGBTチップ209から冷却液212に至る熱抵抗を第1の実施の形態より小さく抑える必要がある。
【0030】
まず、IGBTチップ209を搭載する配線基板がセラミック配線基板210である。第1の実施例では、絶縁樹脂107で電気的な絶縁を確保したが、樹脂は熱伝導率が小さい。セラミックスは樹脂に比べて一桁程度熱伝導率が高いため、IGBTチップ209で発生した熱を小さい温度差でモジュールベース201に導くことができる。つぎに、モジュールベース201の材質である。第1の実施の形態ではアルミニウムであったが、本実施の形態では銅を使用している。しかも、熱伝導率の高い純銅に近い材質を選んでいる。また、構造面では、モジュールベース201と一体のモジュールフィン202が形成されている。IGBTチップ209から冷却液212に至る経路でもっとも温度差の大きいところは、モジュールフィン202と冷却液212の界面である。この界面の面積を大きくすることでIGBTチップ209から冷却液212に至る経路の熱抵抗を下げることができる。モジュールフィン202はそのための構造である。ここで、本実施例てはモジュールベース201とモジュールフィン202を一体成型しているため、熱抵抗を小さくする効果が大であるが、はんだ付け,ろう付け等で接着した場合、効果がかなり阻害される。
【0031】
本実施の形態でも、第1の実施の形態と同じく、インバータ上蓋205がインバータ200の筐体の一部を構成している。ここで、締め付け構造に触れる。第1の実施の形態と共通である。図4に示しているが、締め付けボルト207と締め付けナット208で締め付けている。その際、締め付けるのはインバータ底蓋204とインバータ上蓋205である。モジュールベース201は、締め付け部には存在しない。モジュールベース201に穴を開けると冷却液212が洩れやすくなるためである。冷却液212の洩れを防ぐ構造として、シール部、すなわちシール樹脂206の形状を複雑にしている。図4及び図5に示すように数カ所の折れ曲がりを備えることで洩れの経路を長くし、さらに液状ガスケットの馴染みを良くしている。そのため、本実施の形態では、図3を用いてOリング113のような補助的なシール構造を採用していない。
【0032】
本発明の第3の実施の形態について、図6を参照して説明する。図6の上はインバータ上蓋606を輪切りにした上方からの断面図、図6の下は液冷型電力用半導体モジュール603を輪切りにした前方からの断面図である。ただし、モジュールケース602内部の描画は省略した。本実施の形態では、インバータ600に比べて液冷型電力用半導体モジュール603のサイズが小さい。そのため、第1や第2の実施例のようにインバータ上蓋606でシール部の押さえを兼ねることができない。そこで、独立したリング状の押さえ部材604を使用した。押さえ部材604とインバータ底蓋605の締め付けにはモジュール固定用ボルト607及びモジュール固定用ナット608を使用した。また、締め付け箇所は冷却液613の流路の妨げにならないように、若干外にはみ出す形態とした。締め付け部をシール樹脂614から外し、シール樹脂614に穴を開けないようにしてある。その結果、冷却液613の洩れが少なくなる。
【0033】
この構造は、液冷型電力用半導体モジュール603のインバータ600内での位置に自由度が高いため、設計の制約が少ない。その半面、組み立ての工数が増える欠点を有している。
【0034】
本発明の第4の実施の形態について、図7を参照して説明する。図7の上はインバータ上蓋707を輪切りにした上方からの断面図、図7の下は液冷型電力用半導体モジュール703を輪切りにした前方からの断面図である。ただし、モジュールケース702内部の描画は省略した。本実施の形態でも、第3の実施例と同じく、インバータ700に比べて液冷型電力用半導体モジュール703のサイズが小さい。
【0035】
本実施例では、独立した押さえ部材を使用するのではなく、インバータ上蓋707と一体の押さえ部材704を採用した。押さえ部材704とインバータ上蓋707とを連結する部材として、押さえ部材とインバータ上蓋との繋ぎ部材705を使用した。
【0036】
本実施の形態の構造では、押さえ部材704のみならず、押さえ部材とインバータ上蓋との繋ぎ部材705も充分な剛性を有することが必須である。
【0037】
この構造は、押さえ部材とインバータ上蓋との繋ぎ部材705が、インバータ700内の回路の引き回しに影響するため、液冷型電力用半導体モジュール703のインバータ700内での位置に制約が生ずる欠点がある。その半面、組み立ての工数は第3の実施例より少ない。
【0038】
本発明の第5の実施の形態について、図8を参照して説明する。図8の上は平面図、図8の下は液冷型電力用半導体モジュール803を輪切りにした前方からの断面図である。ただし、モジュールケース802内部の描画は省略した。本実施の形態でも、第3,第4の実施の形態と同じく、インバータ800に比べて液冷型電力用半導体モジュール803のサイズが小さい。
【0039】
本実施の形態では、いままでのどの実施の形態とも異なり、モジュールベース801のモジュールケース802側の面を利用して冷却液809のシールを行っている。その結果、インバータ底蓋804に広いスペースを確保でき、液冷型電力用半導体モジュール803以外のインバータ800の構成部材を高い自由度で配置することが可能である。また、インバータ底蓋804,モジュールベース801、そして液冷部材811で囲まれた複雑な形状のシール部にシール樹脂810が充填されるため、冷却液809が洩れにくい構造になっている。
【0040】
液冷部材取り付け用ボルト805及び液冷部材取り付け用ナット806の位置の自由度は高い。もちろんインバータ底蓋804の内部のほとんどの場所に設置可能であり、さらに、インバータ底蓋804内部でなく外部に設けても良い。
【0041】
ただし、本実施の形態の構造では、インバータ上蓋(図示せず)を取り付けるための構造がさらに必要であり、組立工数も多くなる欠点を有している。
【0042】
【発明の効果】
本発明によれば、冷却液の洩れを有効に防ぐシール部構造を備えた液冷型電力用半導体モジュール及びそれを包含するインバータを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態の基本構成を示す断面図。
【図2】(a),(b)は、図1から締め付け部分を省略した全体像を示す断面図。
【図3】本発明の第1の実施の形態を示す断面図。
【図4】本発明の第2の実施の形態を示す断面図。
【図5】本発明の第2の実施の形態を示す断面図。
【図6】本発明の第3の実施の形態を示す断面図。
【図7】本発明の第4の実施の形態を示す断面図。
【図8】本発明の第5の実施の形態を示す断面図。
【符号の説明】
100,200,600,700,800…インバータ、101,201,403,601,701,801…モジュールベース、102,203,406,602,702,802…モジュールケース、103,204,605,706,804…インバータ底蓋、104,205,606,707…インバータ上蓋、105,713…シール樹脂、106,209…IGBTチップ、107…絶縁樹脂、108…銅配線パターン、109,211…ボンディングワイヤ、110,613,712…冷却液、111,213,611,710,807…冷却液入口、112,214,612,711,808…冷却液出口、113…Oリング、202…モジュールフィン、206,614,810…シール樹脂、207,409,412…締め付けボルト、208,410,413…締め付けナット、210…セラミック配線基板、212,415,809…冷却液、401,811…液冷部材、402,501,604,704…押さえ部材、404,405…シール部、407…配線基板、408…半導体チップ、411…締め付け用部材、414…ボルト穴、603,703,803…液冷型電力用半導体モジュール、607…モジュール固定用ボルト、608…モジュール固定用ナット、609,708…インバータ蓋取り付け用ボルト、610,709…インバータ蓋取り付け用ナット、705…押さえ部材とインバータ上蓋との繋ぎ部材、805…液冷部材取り付け用ボルト、806…液冷部材取り付け用ナット。
Claims (8)
- 半導体モジュールのベースと第1の部材との間に液路を形成すると共に、該半導体モジュールを第2の部材で覆うよう構成される液冷型電力用半導体モジュールであって、
該ベースと前記第1部材との接触部分に液漏れ防止剤を充填し、且つ、該ベースを前記第1の部材と第2の部材で挟み込むように構成したことを特徴とする液冷型電力用半導体モジュール。 - 請求項1に記載の液冷型電力用半導体モジュールにおいて、前記液漏れ防止剤は、液状または粘土状の液漏れ防止剤であって、充填後硬化させるようにしたことを特徴とする液冷型電力用半導体モジュール。
- 請求項1に記載の液冷型電力用半導体モジュールにおいて、前記第1の部材は前記ベースより剛性が大きい部材であり、前記第2の部材は前記ベースより剛性の大きい部材であることを特徴とする液冷型電力用半導体モジュール。
- 請求項3に記載の液冷型電力用半導体モジュールにおいて、前記ベースより剛性が大きい部材は、少なくとも、該ベースより板厚が大きい部材か、該ベースより材質が固い部材であることを特徴とする液冷型電力用半導体モジュール。
- 請求項1に記載の液冷型電力用半導体モジュールにおいて、前記第2の部材が金属であることを特徴とする液冷型電力用半導体モジュール。
- 請求項1に記載の液冷型電力用半導体モジュールにおいて、前記ベースは、前記液路に面する面の対向面に、銅或いはアルミニウムの配線層を形成したセラミック基板が配置されていることを特徴とする液冷型電力用半導体モジュール。
- 請求項1に記載の液冷型電力用半導体モジュールにおいて、前記ベースと前記第2の部材との間に、ゴム製のガスケットを挟むようにしたことを特徴とする液冷型電力用半導体モジュール。
- 液冷型電力用半導体モジュールを包含したインバータであって、前記液冷型電力用半導体モジュールは、半導体モジュールのベースと第1の部材との間に液路を形成すると共に、該半導体モジュールを第2の部材で覆うよう構成される液冷型電力用半導体モジュールであって、
該ベースと前記第1部材との接触部分に液漏れ防止剤を充填し、且つ、該ベースを前記第1の部材と前記第2の部材で挟み込むように構成したことを特徴とする液冷型電力用半導体モジュールを包含したインバータ。
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