JPWO2013145508A1 - 電力変換装置 - Google Patents
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Abstract
絶縁距離不足を解消しながら全体をコンパクト化することができる電力変換装置を提供する。電力変換装置(1)は、一面を冷却体(3)に接合する半導体パワーモジュール(11)と、前記半導体パワーモジュールを駆動する発熱回路部品を含む回路部品を実装した複数の実装基板(22),(23)と、複数の実装基板の熱を、前記冷却体に伝熱させる伝熱支持部材(32),(33)と、前記複数の実装基板間で、絶縁距離が不足する絶縁距離不足領域に形成した絶縁確保領域(43)とを備えている。
Description
本発明は、電力変換用の半導体スイッチング素子を内蔵した半導体パワーモジュール上に、間隔を保って上記半導体スイッチング素子を駆動する発熱回路部品を含む回路部品を実装した複数の実装基板を支持するようにした電力変換装置に関する。
この種の電力変換装置としては、特許文献1に示されるような、発熱回路部品を実装した実装基板を、筐体を介して冷却体と接続し、実装基板の発熱を冷却体へと放熱する構成を有する電力変換装置が知られている。
この特許文献1に記載の電力変換装置では、図7に示すように、冷却体100上に電力変換用の半導体スイッチング素子を内蔵した半導体パワーモジュール101が配置されている。この半導体パワーモジュール101の上面側には、実装基板102がその底面に設けられた伝熱材104を介して、筐体105と接続された伝熱支持部材106によって支持されている。このようにすることで、実装基板102の発熱は伝熱材104→伝熱支持部材106→筐体105→冷却体100の経路にて放熱することができるため実装基板を冷却することができる。なお、107は筐体105内の底部に配置されたコンデンサである。また、108は冷却体底部に設置された補機用インバータである。
この特許文献1に記載の電力変換装置では、図7に示すように、冷却体100上に電力変換用の半導体スイッチング素子を内蔵した半導体パワーモジュール101が配置されている。この半導体パワーモジュール101の上面側には、実装基板102がその底面に設けられた伝熱材104を介して、筐体105と接続された伝熱支持部材106によって支持されている。このようにすることで、実装基板102の発熱は伝熱材104→伝熱支持部材106→筐体105→冷却体100の経路にて放熱することができるため実装基板を冷却することができる。なお、107は筐体105内の底部に配置されたコンデンサである。また、108は冷却体底部に設置された補機用インバータである。
ところで、上記特許文献1に記載された従来例にあっては、制御回路基板で発生する熱を、制御回路基板→放熱部材→金属ベース板→筐体→水冷ジャケットという経路で放熱するようにしている。このため、筐体が伝熱経路の一部として利用されることにより、筐体にも良好な伝熱性が要求されることになり、材料が熱伝導率の高い金属に限定され、小型軽量化の要求される電力変換装置おいて、樹脂等の軽量な材料の選択が不可能となり軽量化が困難となるという未解決の課題がある。
また、筐体には、防水・防塵が要求されることが多いため、金属ベース板と筐体との間、筐体と水冷ジャケットとの間には液状シール剤の塗布やゴム製パッキンの挟み込みなどが一般的に行われている。液状シール剤やゴム製パッキンは熱伝導率が一般的に低く、これらが熱冷却経路に介在することで熱抵抗が増え冷却効率が低下するという未解決の課題もある。
一方で、電力変換装置のコンパクト化が求められている。このコンパクト化を行うと、筐体内の発熱密度が高まり温度上昇に伴って実装基板上に実装された駆動や制御を行う電子部品の耐久性が低下する可能性が高くなる。これを防止するには、筐体内の温度が高まらないように冷却性能を確保した構造とすることで、装置のコンパクト化を図ることができる。しかしながら、筐体内の冷却能力を向上させるには限度があり、その上でコンパクト化を図るには、電力変換装置の高さを制限するする必要が生じる。このためには、筐体内に配置された各実装基板間の距離が問題となる。
各実装基板間には異なる高さの回路部品が実装されることから、回路部品を装着していない状態で実装基板間の距離を決定することは意味がなく、回路部品を実装した実装基板を想定する必要がある。このとき、実装基板間の距離を最大高さの回路部品とこれに対向する他の実装基板との距離を必要な絶縁距離に設定する場合には、絶縁の点からは問題ないが、実装基板間の距離が一つでも絶縁距離が不足する回路部品が存在する場合には、この回路部品に合わせて距離が決定されることになり、各実装基板間の距離が長くなることにより、筐体も大型化する。
一方、絶縁距離を確保するために一方の実装基板に実装された回路部品と対向する他方の実装基板の対向面に絶縁シートを装着することが考えられるが、この場合も絶縁の点では問題がないが、絶縁シートは伝熱性が低く、発熱回路部品からの発熱を伝熱することは困難であり、発熱回路部品の発熱が実装基板間に籠もってしまい冷却能力が下がるという未解決の課題がある。
そこで、本発明は上記従来例の未解決の課題に着目してなされたものであり、絶縁距離不足を解消しながら全体をコンパクト化することができる電力変換装置を提供することを目的としている。
そこで、本発明は上記従来例の未解決の課題に着目してなされたものであり、絶縁距離不足を解消しながら全体をコンパクト化することができる電力変換装置を提供することを目的としている。
上記目的を達成するために、本発明に係る電力変換装置の第1の態様は、一面を冷却体に接合する半導体パワーモジュールと、前記半導体パワーモジュールを駆動する発熱回路部品を含む回路部品を実装した複数の実装基板と、複数の実装基板の熱を、前記冷却体に伝熱させ伝熱支持部材と、前記複数の実装基板間で、絶縁距離が不足する絶縁距離不足領域に形成した絶縁確保領域と、を備えている。
この第1の態様によると、複数の実装基板間に部分的に絶縁距離が不足する絶縁距離不足領域が生じる場合に、この絶縁距離不足領域に対向する回路部品を実装していない実装基板に絶縁確保領域を形成する。この絶縁確保領域としては、絶縁不足領域に対向する実装基板に絶縁シートを部分的に装着して絶縁距離を確保したり、発熱回路部品の発熱を冷却体に放熱する伝熱支持部材の一部を除去して絶縁距離を確保したり、絶縁不足領域となる回路部品と対向する実装基板との間に絶縁性の伝熱部材を介挿して絶縁距離を確保したりする。
これにより、実装回路基板間の一部で絶縁距離が不足する場合でも、絶縁不足確保領域で絶縁距離を確保することができ、実装基板間の距離を必要な絶縁距離より短くして全体の構成をコンパクト化することができる。
これにより、実装回路基板間の一部で絶縁距離が不足する場合でも、絶縁不足確保領域で絶縁距離を確保することができ、実装基板間の距離を必要な絶縁距離より短くして全体の構成をコンパクト化することができる。
また、本発明に係る電力変換装置の第2の態様は、前記絶縁確保領域が、前記絶縁距離不足領域に対向する位置に絶縁性伝熱部材を介挿して絶縁を確保する領域とされている。
この第2の態様によると、実装基板と伝熱支持部材との間に絶縁性の伝熱部材を介挿することより、実装基板と伝熱支持部材との間の絶縁を確実に行いながら放熱効果を向上させることができる。
この第2の態様によると、実装基板と伝熱支持部材との間に絶縁性の伝熱部材を介挿することより、実装基板と伝熱支持部材との間の絶縁を確実に行いながら放熱効果を向上させることができる。
また、本発明に係る電力変換装置の第3の態様は、前記絶縁確保領域が、前記絶縁距離不足領域に対向する位置に絶縁シートを配置して絶縁を確保する領域とされている。
この第3の態様によると、絶縁シートを伝熱支持部材の全面ではなく、絶縁不足領域に対向する位置にのみ配置するので、絶縁シートを配置した以外の伝熱支持部材は対向して配置される発熱回路部品に露出されている。このため、伝熱支持部材に対向する発熱回路部品の発熱を吸熱することが可能となり、実装基板間に発熱が籠もることを確実に防止する。
この第3の態様によると、絶縁シートを伝熱支持部材の全面ではなく、絶縁不足領域に対向する位置にのみ配置するので、絶縁シートを配置した以外の伝熱支持部材は対向して配置される発熱回路部品に露出されている。このため、伝熱支持部材に対向する発熱回路部品の発熱を吸熱することが可能となり、実装基板間に発熱が籠もることを確実に防止する。
また、本発明に係る電力変換装置の第4の態様は、前記絶縁確保領域は、前記絶縁距離不足領域に対向する位置の前記伝熱支持部材を除去して絶縁を確保する領域とされている。
この第4の態様によると、絶縁距離不足領域に対向する伝熱支持部材を除去して絶縁距離を確保することができる。この場合、伝熱支持部材を除去しても実装基板との間に絶縁性の伝熱部材が存在するので、長い絶縁距離を確保することができる。
この第4の態様によると、絶縁距離不足領域に対向する伝熱支持部材を除去して絶縁距離を確保することができる。この場合、伝熱支持部材を除去しても実装基板との間に絶縁性の伝熱部材が存在するので、長い絶縁距離を確保することができる。
また、本発明に係る電力変換装置の第5の態様は、前記伝熱支持部材が、伝熱部材を介して前記実装基板を支持する伝熱支持板部と、該伝熱支持板部の側面を連結されて前記冷却体に接続される伝熱支持側板部とで構成されている。
この第5の態様によると、伝熱支持部材が、伝熱支持板部と伝熱支持側板部とで構成されているので、実装基板の組付作業時に伝熱支持板部は実装基板と一体に配置し、伝熱支持側板部は、冷却体に接続させて配置し、最後に伝熱支持板部及び伝熱支持側板部を連結することより、伝熱支持部材を構成することができる。
この第5の態様によると、伝熱支持部材が、伝熱支持板部と伝熱支持側板部とで構成されているので、実装基板の組付作業時に伝熱支持板部は実装基板と一体に配置し、伝熱支持側板部は、冷却体に接続させて配置し、最後に伝熱支持板部及び伝熱支持側板部を連結することより、伝熱支持部材を構成することができる。
また、本発明に係る電力変換装置の第6の態様は、前記伝熱支持板部と前記伝熱支持側板部とが一体に形成されている。
この第6の態様によると、伝熱支持板部と伝熱支持側板部とが一体に形成されているので、両者間に継ぎ目がなく熱抵抗を低く抑えることができ、放熱効果を向上させることができる。
また、本発明に係る電力変換装置の第7の態様は、前記伝熱部材が、絶縁性を有する絶縁体で構成されている。
この第7の態様によると、伝熱部材が絶縁性を有するので、実装基板と伝熱支持部材との間の絶縁を確実に行うことができる。
この第6の態様によると、伝熱支持板部と伝熱支持側板部とが一体に形成されているので、両者間に継ぎ目がなく熱抵抗を低く抑えることができ、放熱効果を向上させることができる。
また、本発明に係る電力変換装置の第7の態様は、前記伝熱部材が、絶縁性を有する絶縁体で構成されている。
この第7の態様によると、伝熱部材が絶縁性を有するので、実装基板と伝熱支持部材との間の絶縁を確実に行うことができる。
また、本発明に係る電力変換装置の第8の態様は、前記実装基板と前記伝熱支持部材の伝熱支持板部とを前記伝熱部材を介して締付固定部材で固定している。
この第8の態様によると、実装基板と伝熱支持部材の伝熱支持板部の間に伝熱部材を挟んだ状態で締付固定部材によって固定するので、組付けを容易に行うことができる。
また、本発明に係る電力変換装置の第9の態様は、前記締付固定部材の周囲に前記実装基板と前記伝熱支持部材の伝熱支持板部との間隔を所定値に維持する間隔調整部材が介挿されている。
この第9の態様によると、伝熱部材が弾性体である場合に、伝熱部材の圧縮率を正確に規定することができる。
この第8の態様によると、実装基板と伝熱支持部材の伝熱支持板部の間に伝熱部材を挟んだ状態で締付固定部材によって固定するので、組付けを容易に行うことができる。
また、本発明に係る電力変換装置の第9の態様は、前記締付固定部材の周囲に前記実装基板と前記伝熱支持部材の伝熱支持板部との間隔を所定値に維持する間隔調整部材が介挿されている。
この第9の態様によると、伝熱部材が弾性体である場合に、伝熱部材の圧縮率を正確に規定することができる。
本発明によれば、実装基板間に部分的に絶縁距離が不足する絶縁距離不足領域が形成される場合でも、絶縁確保領域で、絶縁を確保することができ、この絶縁確保領域を絶縁距離不足領域に配置するだけで良いので、発熱回路部品に対向する位置で伝熱支持部材を露出させて対向面側の発熱回路部品の発熱が籠もることなく、冷却体に放熱することができる。したがって、放熱効果を向上させると共に、実装基板間の距離を必要とする絶縁距離より短くすることができ、筐体をコンパクト化することができる。
しかも、筐体に良好な伝熱性を要求することがないので、筐体に樹脂等の軽量な材料を用いることができ、筐体を軽量化して安価な電力変換装置の提供が可能となる。
しかも、筐体に良好な伝熱性を要求することがないので、筐体に樹脂等の軽量な材料を用いることができ、筐体を軽量化して安価な電力変換装置の提供が可能となる。
以下、本発明の実施の形態を図面について説明する。
図1は本発明に係る電力変換装置の全体構成を示す断面図である。
図中、1は電力変換装置であって、この電力変換装置1は筐体2内に収納されている。筐体2は、合成樹脂材を成形したものであり、水冷ジャケットの構成を有する冷却体3を挟んで上下に分割された下部筐体2A及び上部筐体2Bで構成されている。
図1は本発明に係る電力変換装置の全体構成を示す断面図である。
図中、1は電力変換装置であって、この電力変換装置1は筐体2内に収納されている。筐体2は、合成樹脂材を成形したものであり、水冷ジャケットの構成を有する冷却体3を挟んで上下に分割された下部筐体2A及び上部筐体2Bで構成されている。
下部筐体2Aは有底角筒体で構成されている。この下部筐体2Aは開放上部が冷却体3で覆われ、内部に平滑用のフィルムコンデンサ4が収納されている。
上部筐体2Bは、上端及び下端を開放した角筒体2aと、この角筒体2aの上端を閉塞する蓋体2bとを備えている。そして、角筒体2aの下端が冷却体3で閉塞されている。この角筒体2aの下端と冷却体3との間には、図示しないが、液状シール剤の塗布やゴム製パッキンの挟み込みなどのシール材が介在されている。
上部筐体2Bは、上端及び下端を開放した角筒体2aと、この角筒体2aの上端を閉塞する蓋体2bとを備えている。そして、角筒体2aの下端が冷却体3で閉塞されている。この角筒体2aの下端と冷却体3との間には、図示しないが、液状シール剤の塗布やゴム製パッキンの挟み込みなどのシール材が介在されている。
冷却体3は、冷却水の給水口3a及び排水口3bが筐体2の外方に開口されている。これら給水口3a及び排水口3bは例えばフレキシブルホースを介して図示しない冷却水供給源に接続されている。この冷却体3は例えば熱伝導率の高いアルミニウム、アルミニウム合金をダイキャスト等の鋳造によって一体成形されている。そして、冷却体3は、下面が平坦面とされ、上面が中央部3cを残して角枠状の周溝3dが形成されている。
電力変換装置1は、電力変換用の例えばインバータ回路を構成する半導体スイッチング素子として例えば絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT)を内蔵した半導体パワーモジュール11を備えている。この半導体パワーモジュール11は、扁平な直方体状の絶縁性のケース体12内にIGBTを内蔵しており、ケース体12の下面に金属製の放熱部材13が形成されている。ケース体12及び放熱部材13には平面からみて四隅に固定部材としての固定ねじ14を挿通する挿通孔15が形成されている。また、ケース体12の上面には、挿通孔15の内側における4箇所に所定高さの基板固定部16が突出形成されている。
この基板固定部16の上端には、半導体パワーモジュール11に内蔵されたIGBTを駆動する駆動回路等が実装された駆動回路基板21が固定されている。また、駆動回路基板21の上方に所定間隔を保って半導体パワーモジュール11に内蔵されたIGBTを制御する相対的に発熱量の大きい、又は発熱密度の大きい発熱回路部品を含む制御回路等を実装した実装基板としての制御回路基板22が固定されている。さらに、制御回路基板22の上方に所定間隔を保って半導体パワーモジュール11に内蔵されたIGBTに電源を供給する発熱回路部品を含む電源回路等を実装した実装基板としての電源回路基板23が固定されている。
そして、駆動回路基板21は、基板固定部16に対向する位置に形成した挿通孔21a内に継ぎねじ24の雄ねじ部24aを挿通し、この雄ねじ部24aを基板固定部16の上面に形成した雌ねじ部16aに螺合することにより固定されている。
また、制御回路基板22は継ぎねじ24の上端に形成した雌ねじ部24bに対向する位置に形成した挿通孔22a内に継ぎねじ25の雄ねじ部25aを挿通し、この雄ねじ部25aを継ぎねじ24の雌ねじ部24bに螺合することにより固定されている。
また、制御回路基板22は継ぎねじ24の上端に形成した雌ねじ部24bに対向する位置に形成した挿通孔22a内に継ぎねじ25の雄ねじ部25aを挿通し、この雄ねじ部25aを継ぎねじ24の雌ねじ部24bに螺合することにより固定されている。
さらに、電源回路基板23は継ぎねじ25の上端に形成した雌ねじ部25aに対向する位置に形成した挿通孔23a内に固定ねじ26を挿通し、この固定ねじ26を継ぎねじ25の雌ねじ部25aに螺合することにより固定されている。
また、制御回路基板22及び電源回路基板23は、伝熱支持部材32及び33によって筐体2を介することなく冷却体3への放熱経路が独自に形成されている。これら伝熱支持部材32及び33は、熱伝導率が高い金属例えばアルミニウム又はアルミニウム合金で形成されている。
また、制御回路基板22及び電源回路基板23は、伝熱支持部材32及び33によって筐体2を介することなく冷却体3への放熱経路が独自に形成されている。これら伝熱支持部材32及び33は、熱伝導率が高い金属例えばアルミニウム又はアルミニウム合金で形成されている。
また、伝熱支持部材32及び33は、制御回路基板22を支持する冷却体3の周溝3d内に配置されて冷却体接触板部となる角枠状の共通の底板部34を有する。したがって、伝熱支持部材32及び33は底板部34によって一体に連結されている。そして、伝熱支持部材32及び33と底板部34とは黒色の表面を有する。これら伝熱支持部材32及び33と底板部34との表面を黒色化にするには、表面に黒色樹脂をコーティングしたり、黒色塗料で塗装したりすればよい。
このように、伝熱支持部材32及び33と底板部34との表面を黒色とすることにより、金属の素材色と比較し熱放射率が大きくなり、放射伝熱量を増やすことができる。このため、伝熱支持部材32及び33と底板部34との周囲への放熱が活発化され、制御回路基板22及び電源回路基板23の熱冷却を効率良く行うことができる。なお、底板部34を除いて伝熱支持部材32及び33のみの表面を黒色にするようにしてもよい。
伝熱支持部材32は、平板上の伝熱支持板部32aと、この伝熱支持板部32aの半導体パワーモジュール11の長辺に沿う右端側に固定ねじ32bで固定された伝熱支持側板部32cとで構成されている。そして、伝熱支持側板部32cが共通の底板部34に連結されている。
伝熱支持板部32aには、伝熱部材35を介して制御回路基板22が固定ねじ36によって固定される。伝熱部材35は、伸縮性を有する弾性体で電源回路基板23と同じ外形寸法に構成されている。この伝熱部材35としては、シリコンゴムの内部に金属フィラーを介在させることにより絶縁性能を発揮しながら伝熱性を高めたものが適用されている。
伝熱支持板部32aには、伝熱部材35を介して制御回路基板22が固定ねじ36によって固定される。伝熱部材35は、伸縮性を有する弾性体で電源回路基板23と同じ外形寸法に構成されている。この伝熱部材35としては、シリコンゴムの内部に金属フィラーを介在させることにより絶縁性能を発揮しながら伝熱性を高めたものが適用されている。
また、伝熱支持側板部32cは、冷却体3の周溝3d内に配置される共通の底板部34の長辺側の外周縁に一体に連結されて上方に延長する連結板部32dと、この連結板部32dの上端から左方に延長する上板部32eとで断面逆L字状に形成されている。連結板部32dは、半導体パワーモジュール11の長辺側の右側面を通って上方に延長している。
伝熱支持部材33は、平板上の伝熱支持板部33aと、この伝熱支持板部33aの半導体パワーモジュール11の長辺に沿う左端側に固定ねじ33bで固定された伝熱支持側板部33cとで構成されている。そして、伝熱支持側板部33cが共通の底板部34に連結されている。
伝熱支持部材33は、平板上の伝熱支持板部33aと、この伝熱支持板部33aの半導体パワーモジュール11の長辺に沿う左端側に固定ねじ33bで固定された伝熱支持側板部33cとで構成されている。そして、伝熱支持側板部33cが共通の底板部34に連結されている。
伝熱支持板部33aには、前述した伝熱部材35と同様の伝熱部材37を介して電源回路基板23が固定ねじ38によって固定される。
また、伝熱支持側板部33cは、冷却体3の周溝3d内に配置される共通の底板部34の長辺側の外周縁に一体に連結されて上方に延長する連結板部33dと、この連結板部33dの上端から左方に延長する上板部33eとで断面逆L字状に形成されている。連結板部33dは、半導体パワーモジュール11の長辺側の左側面を通って上方に延長している。
また、伝熱支持側板部33cは、冷却体3の周溝3d内に配置される共通の底板部34の長辺側の外周縁に一体に連結されて上方に延長する連結板部33dと、この連結板部33dの上端から左方に延長する上板部33eとで断面逆L字状に形成されている。連結板部33dは、半導体パワーモジュール11の長辺側の左側面を通って上方に延長している。
そして、連結板部33dの底板部34及び上板部33eとの連結部を例えば円筒面の一部でなる湾曲面33f及び33gに形成している。このように連結板部33dと底板部34及び上板部33eとの連結部を円筒状の湾曲面33f及び33gとすることにより、上下振動や横揺れ等に対する耐振動性を向上することができる。すなわち、電力変換装置1に上下振動や横揺れが伝達されたときに連結板部33dと底板部34及び上板部33eとの連結部に生じる応力集中を緩和することが可能となる。
さらに、連結板部33dと底板部34及び上板部33eとの連結部を円筒状の湾曲面33f及び33gとすることにより、連結板部33dと底板部34及び上板部33eとの連結部を直角のL字形状とする場合に比較して熱伝導経路を短くすることができる。このため、伝熱支持板部33aから冷却体3までの熱伝導経路を短くして、効率的な熱冷却が可能となる。
さらに、制御回路基板22及び電源回路基板23には、発熱回路部品39が、図2及び図3に示すように、上面側に実装されている。
そして、制御回路基板22及び電源回路基板23と、伝熱部材35,37及び伝熱支持板部32a,33aとの連結が図2に示すように行われる。これら制御回路基板22及び電源回路基板23と、伝熱支持板部32a及び33aとの連結は左右が逆となることを除いては実質的に同じであるので、電源回路基板23及び伝熱支持板部33aを代表として説明する。
そして、制御回路基板22及び電源回路基板23と、伝熱部材35,37及び伝熱支持板部32a,33aとの連結が図2に示すように行われる。これら制御回路基板22及び電源回路基板23と、伝熱支持板部32a及び33aとの連結は左右が逆となることを除いては実質的に同じであるので、電源回路基板23及び伝熱支持板部33aを代表として説明する。
この電源回路基板23と伝熱支持板部33aとの連結には、図2及び図3に示すように、伝熱部材37の厚みTより低い伝熱板部管理高さHを有する間隔調整部材としての間座40が用いられる。この間座40は、伝熱支持板部33aに形成された固定ねじ38が螺合する雌ねじ部41の外周側に接着等によって仮止めされている。ここで、間座40の伝熱板部管理高さHは、伝熱部材37の圧縮率が5〜30%程度となるように設定されている。このように、伝熱部材37を5〜30%程度に圧縮することにより、熱抵抗が減り効率良い伝熱効果を発揮することができる。
一方、伝熱部材37には、継ぎねじ25を挿通可能な挿通孔37aと、間座40を挿通可能な挿通孔37bとが形成されている。
そして、伝熱支持板部33aに仮止めされた間座40を挿通孔37bに挿通されるように伝熱部材37を伝熱支持板部33aに載置し、この伝熱支持板部33aの上に電源回路基板23を発熱回路部品39が伝熱部材37に接するように載置する。
そして、伝熱支持板部33aに仮止めされた間座40を挿通孔37bに挿通されるように伝熱部材37を伝熱支持板部33aに載置し、この伝熱支持板部33aの上に電源回路基板23を発熱回路部品39が伝熱部材37に接するように載置する。
この状態で、固定ねじ38を電源回路基板23の挿通孔23bを通じ、間座40の中心開口を通じて伝熱支持板部33aの雌ねじ部41に螺合させる。そして、固定ねじ38を伝熱部材37の上面が間座40の上面と略一致するまで締め付ける。
このため、伝熱部材37が5〜30%程度の圧縮率で圧縮されることになり、熱抵抗が減って効率の良い伝熱効果を発揮することができる。このとき、伝熱部材37の圧縮率は間座40の高さHによって管理されるので、締め付け不足や締め付け過剰が生じることなく、適切な締め付けが行われる。
このため、伝熱部材37が5〜30%程度の圧縮率で圧縮されることになり、熱抵抗が減って効率の良い伝熱効果を発揮することができる。このとき、伝熱部材37の圧縮率は間座40の高さHによって管理されるので、締め付け不足や締め付け過剰が生じることなく、適切な締め付けが行われる。
制御回路基板22と伝熱支持板部32aとの伝熱部材35を介在させた連結も上記と同様にして行われる。
なお、制御回路基板22及び電源回路基板23との間の距離は、制御回路基板22に実装された比較的高さが低い基準となる回路部品42の上端と電源回路基板23の伝熱支持部材33の伝熱支持板部33aの下面との距離が必要な絶縁距離L1に設定されている。
このため、基準となる回路部品42より高さが高い発熱回路部品39では、必要な絶縁距離L1より短い距離L2となり、この発熱回路部品39と電源回路基板23の伝熱支持板部33aとの間が絶縁距離不足領域となる。
なお、制御回路基板22及び電源回路基板23との間の距離は、制御回路基板22に実装された比較的高さが低い基準となる回路部品42の上端と電源回路基板23の伝熱支持部材33の伝熱支持板部33aの下面との距離が必要な絶縁距離L1に設定されている。
このため、基準となる回路部品42より高さが高い発熱回路部品39では、必要な絶縁距離L1より短い距離L2となり、この発熱回路部品39と電源回路基板23の伝熱支持板部33aとの間が絶縁距離不足領域となる。
この絶縁距離不足領域をそのままにすると絶縁不良となることから、絶縁距離不足領域に絶縁確保領域が形成されている。この絶縁確保領域としては、図1の構成では、発熱回路部品39の平面形状より大きめの絶縁シート43が発熱回路部品39の上面に対向する電源回路基板23の伝熱支持板部33aに貼着等によって配置されている。このように、絶縁距離不足領域に対向する伝熱支持板部33aに絶縁シート43を配置することにより、絶縁距離不足を解消することができ、最も突出する発熱回路部品39とこれに対向する伝熱支持板部33aとの間を確実に絶縁することができる。
また、伝熱支持部材32及び33の共通の底板部34には、図2及び図3に示すように、半導体パワーモジュール11の固定ねじ14を挿通する挿通孔15に対向する位置に固定部材挿通孔34aが形成されている。さらに、底板部34の上面と半導体パワーモジュール11に形成された放熱部材13の下面との間に板状弾性部材45が介在されている。
そして、半導体パワーモジュール11及び放熱部材13の挿通孔15及び底板部34の固定部材挿通孔34aに固定ねじ14を挿通し、この固定ねじ14を冷却体3に形成された雌ねじ部3fに螺合させることにより、半導体パワーモジュール11と底板部34とが冷却体3に固定されている。
そして、半導体パワーモジュール11及び放熱部材13の挿通孔15及び底板部34の固定部材挿通孔34aに固定ねじ14を挿通し、この固定ねじ14を冷却体3に形成された雌ねじ部3fに螺合させることにより、半導体パワーモジュール11と底板部34とが冷却体3に固定されている。
次に、上記第1の実施形態の電力変換装置1の組立方法を説明する。
先ず、図2で前述したように、電源回路基板23を伝熱支持部材33の伝熱支持板部33aに伝熱部材37を介して重ね合わせ、固定ねじ38によって伝熱部材37を5〜30%程度の圧縮率で圧縮した状態で電源回路基板23、伝熱部材37及び伝熱支持板部33aを固定して、図3に示すように電源回路ユニットU3を形成しておく。
同様に、制御回路基板22を伝熱支持部材32の伝熱支持板部32aに伝熱部材35を介して重ね合わせ、固定ねじ36によって伝熱部材35を5〜30%程度の圧縮率で圧縮した状態で制御回路基板22、伝熱部材35及び伝熱支持板部32aを固定して制御回路ユニットU2を形成しておく。
先ず、図2で前述したように、電源回路基板23を伝熱支持部材33の伝熱支持板部33aに伝熱部材37を介して重ね合わせ、固定ねじ38によって伝熱部材37を5〜30%程度の圧縮率で圧縮した状態で電源回路基板23、伝熱部材37及び伝熱支持板部33aを固定して、図3に示すように電源回路ユニットU3を形成しておく。
同様に、制御回路基板22を伝熱支持部材32の伝熱支持板部32aに伝熱部材35を介して重ね合わせ、固定ねじ36によって伝熱部材35を5〜30%程度の圧縮率で圧縮した状態で制御回路基板22、伝熱部材35及び伝熱支持板部32aを固定して制御回路ユニットU2を形成しておく。
一方、冷却体3の周溝3d内に、伝熱支持部材32及び33に共通の底板部34を、その上面と半導体パワーモジュール11に形成した放熱部材13の下面との間に板状弾性部材45を介在させた状態で、半導体パワーモジュール11とともに固定ねじ14で固定する。このように、半導体パワーモジュール11と伝熱支持部材32及び33の共通の底板部34とを同時に冷却体3に固定することができるので、組立工数を減少させることができる。
また、底板部34を冷却体3に固定する際に板状弾性部材45を底板部34と半導体パワーモジュール11の放熱部材13との間に介在させるので、この板状弾性部材45によって底板部34が冷却体3の周溝3dの底部に押し付けられて、底板部34が冷却体3に確実に接触されて、広い接触面積を確保することができる。
また、半導体パワーモジュール11には、冷却体3に固定する前又は固定した後に、その上面に形成された基板固定部16に駆動回路基板21を載置する。そして、この駆動回路基板21をその上方から4本の継ぎねじ24によって基板固定部16に固定する。そして、伝熱支持板部32aを伝熱支持側板部32cに固定ねじ32bで連結する。
そして、継ぎねじ24の上面に制御回路ユニットU2の制御回路基板22を載置し、4本の継ぎねじ25によって固定する。さらに、継ぎねじ25の上面に電源回路ユニットU3の電源回路基板23を載置し、4本の固定ねじ26によって固定する。そして、伝熱支持板部33aを伝熱支持側板部33cに固定ねじ33bによって連結する。
そして、継ぎねじ24の上面に制御回路ユニットU2の制御回路基板22を載置し、4本の継ぎねじ25によって固定する。さらに、継ぎねじ25の上面に電源回路ユニットU3の電源回路基板23を載置し、4本の固定ねじ26によって固定する。そして、伝熱支持板部33aを伝熱支持側板部33cに固定ねじ33bによって連結する。
その後、図示しないが、半導体パワーモジュール11の正負の直流入力端子に、外部のコンバータ等の直流電源を接続すると共に、フィルムコンデンサ4の正負の端子を接続する。
さらに、半導体パワーモジュール11の3相交流出力端子(図示せず)外部の3相電動モータ等の負荷を接続する。
その後、冷却体3の下面及び上面に、下部筐体2A及び上部筐体2Bを、シール材を介して固定して電力変換装置1の組立を完了する。
さらに、半導体パワーモジュール11の3相交流出力端子(図示せず)外部の3相電動モータ等の負荷を接続する。
その後、冷却体3の下面及び上面に、下部筐体2A及び上部筐体2Bを、シール材を介して固定して電力変換装置1の組立を完了する。
この状態で、外部のコンバータ(図示せず)から直流電力を供給するとともに、電源回路基板23に実装された電源回路、制御回路基板22に実装された制御回路を動作状態とし、制御回路から例えばパルス幅変調信号でなるゲート信号を駆動回路基板21に実装された駆動回路を介して半導体パワーモジュール11に供給する。これによって、半導体パワーモジュール11に内蔵されたIGBTが制御されて、直流電力を交流電力に変換する。変換した交流電力は3相交流出力端子から、3相電動モータ等の負荷(図示せず)を駆動制御する。
このとき、半導体パワーモジュール11に内蔵されたIGBTで発熱する。この発熱は半導体パワーモジュール11に形成された放熱部材13が冷却体3の中央部3cに直接接触されているので、冷却体3に供給されている冷却水によって冷却される。
一方、制御回路基板22及び電源回路基板23に実装されている制御回路及び電源回路には発熱回路部品39が含まれており、これら発熱回路部品39で発熱を生じる。このとき、発熱回路部品39は制御回路基板22及び電源回路基板23の上面側に実装されている。
一方、制御回路基板22及び電源回路基板23に実装されている制御回路及び電源回路には発熱回路部品39が含まれており、これら発熱回路部品39で発熱を生じる。このとき、発熱回路部品39は制御回路基板22及び電源回路基板23の上面側に実装されている。
そして、これら制御回路基板22及び電源回路基板23の下面側には熱伝導率が高く弾性を有する伝熱部材35及び37を介して伝熱支持部材32及び33の伝熱支持板部32a及び33aが設けられている。
このため、発熱回路部品39の発熱が伝熱部材35及び37に効率よく伝熱される。そして、伝熱部材35及び37自体は5〜30%程度の圧縮率で圧縮されて熱伝導率が高められているので、伝熱部材35及び37に伝熱された熱が効率良く伝熱支持部材32及び33の伝熱支持板部32a及び33aに伝達される。
このため、発熱回路部品39の発熱が伝熱部材35及び37に効率よく伝熱される。そして、伝熱部材35及び37自体は5〜30%程度の圧縮率で圧縮されて熱伝導率が高められているので、伝熱部材35及び37に伝熱された熱が効率良く伝熱支持部材32及び33の伝熱支持板部32a及び33aに伝達される。
そして、伝熱支持板部32a及び33aには、伝熱支持側板部32c及び33cが連結されているので、伝熱支持板部32a及び33aに伝達された熱は、伝熱支持側板部32c及び33cを通って共通の底板部34に伝達される。この底板部34は、冷却体3の周溝3d内に直接接触されているので、伝達された熱は冷却体3に放熱される。
さらに、底板部34に伝達された熱は、その上面側から板状弾性部材45を介して半導体パワーモジュール11の放熱部材13に伝達され、この放熱部材13を介して冷却体3の中央部3cに伝達されて放熱される。
さらに、底板部34に伝達された熱は、その上面側から板状弾性部材45を介して半導体パワーモジュール11の放熱部材13に伝達され、この放熱部材13を介して冷却体3の中央部3cに伝達されて放熱される。
このように、上記第1の実施形態によると、制御回路基板22及び電源回路基板23に実装された発熱回路部品39の発熱が制御回路基板22及び電源回路基板23を介して伝熱部材35及び37に伝熱されるので、効率の良い放熱を行うことができる。
そして、伝熱部材35及び37に伝達された熱は伝熱支持板部32a及び33aに伝熱され、さらに伝熱支持側板部32c及び33cに伝達される。このとき、伝熱支持側板部32c及び33cが半導体パワーモジュール11の長辺に沿って設けられている。
そして、伝熱部材35及び37に伝達された熱は伝熱支持板部32a及び33aに伝熱され、さらに伝熱支持側板部32c及び33cに伝達される。このとき、伝熱支持側板部32c及び33cが半導体パワーモジュール11の長辺に沿って設けられている。
このため、伝熱面積を広くとることができ、広い放熱経路を確保することができる。しかも、伝熱支持側板部32c及び33cは折れ曲がり部が円筒状の湾曲部とされているので、折れ曲がり部をL字状にする場合に比較して冷却体3までの伝熱距離を短くすることができる。ここで、熱輸送量Qは、下記(1)式で表すことができる。
Q=λ×(A/L)×T …………(1)
ただし、λは熱伝導率[W/m℃]、Tは温度差[℃]基板温度T1−冷却体温度T2、Aは伝熱最小断面積[m2]、Lは伝熱長さ[m]である。
Q=λ×(A/L)×T …………(1)
ただし、λは熱伝導率[W/m℃]、Tは温度差[℃]基板温度T1−冷却体温度T2、Aは伝熱最小断面積[m2]、Lは伝熱長さ[m]である。
この(1)式から明らかなように、伝熱長さLが短くなると、熱輸送量Qは増加することになり、良好な冷却効果を発揮することができる。
また、伝熱支持部材32及び33の伝熱支持側板部32c及び33cが共通の底板部34で一体化されているので、伝熱支持側板部32c及び33cと底板部34との間に部品同士の継ぎ目がなく、熱抵抗を抑制することができる。
また、伝熱支持部材32及び33の伝熱支持側板部32c及び33cが共通の底板部34で一体化されているので、伝熱支持側板部32c及び33cと底板部34との間に部品同士の継ぎ目がなく、熱抵抗を抑制することができる。
さらに、発熱回路部品39が実装された制御回路基板22及び電源回路基板23から冷却体3までの放熱経路に筐体2が含まれていないので、筐体2に伝熱性が要求されることがない。したがって、筐体2の構成材料としてアルミニウム等の高熱伝導率の金属を使用する必要がなく、合成樹脂材で筐体2を構成することが可能となり、軽量化を図ることができる。
また、放熱経路が筐体2に依存することなく、電力変換装置1単独で放熱経路を形成することができるので、半導体パワーモジュール11と、駆動回路基板21、制御回路基板22及び電源回路基板23とで構成される電力変換装置1を種々の異なる形態の筐体2や冷却体3に適用することができる。
また、放熱経路が筐体2に依存することなく、電力変換装置1単独で放熱経路を形成することができるので、半導体パワーモジュール11と、駆動回路基板21、制御回路基板22及び電源回路基板23とで構成される電力変換装置1を種々の異なる形態の筐体2や冷却体3に適用することができる。
また、制御回路基板22及び電源回路基板23に金属製の伝熱支持板部32a及び33aが固定されているので、制御回路基板22及び電源回路基板23の剛性を高めることができる。このため、電力変換装置1を車両の走行用モータを駆動するモータ駆動回路として適用する場合のように、電力変換装置1に上下振動や横揺れが作用する場合でも、伝熱支持部材32及び33で剛性を高めることができる。したがって、上下振動や横揺れ等の影響が少ない電力変換装置1を提供することができる。
そして、制御回路基板22の上面に実装された発熱回路部品39の発熱は、制御回路基板22及び電源回路基板23間の空間にも放熱され、この放熱分が対向する電源回路基板23の伝熱支持板部33aで吸熱されて伝熱支持側板部33cを通じて冷却体3に放熱される。このため、制御回路基板22及び電源回路基板23間に発熱回路部品39の発熱が籠もることなく、冷却体3に放熱される。
ここで、制御回路基板22及び電源回路基板23間の距離は、基準となる回路部品42の上面と電源回路基板23の伝熱支持板部33aとの間が必要な絶縁距離L1に設定されている。このため、回路部品42と電源回路基板23の伝熱支持板部33aとの間では絶縁が確保されているが、この基準となる回路部品42より高さが高い回路部品39については絶縁距離が確保できないことになる。
しかしながら、本実施形態では、絶縁距離不足領域が生じたときに、絶縁距離不足領域に対向する電源回路基板23の伝熱支持板部の対向面に絶縁シート43が配置されているので、この絶縁シート43によって必要な伝熱距離が確保される。
このため、制御回路基板22と電源回路基板23との間の距離は、基準となる回路部品42の高さに必要な絶縁距離L1を加えた距離となり、最も絶縁距離が短い発熱回路部品39の高さに必要な絶縁距離L1を加えた距離よりは十分に短くすることができる。
このため、制御回路基板22と電源回路基板23との間の距離は、基準となる回路部品42の高さに必要な絶縁距離L1を加えた距離となり、最も絶縁距離が短い発熱回路部品39の高さに必要な絶縁距離L1を加えた距離よりは十分に短くすることができる。
このため、半導体パワーモジュール11から最上段の電源回路基板23までの距離を短くすることができ、これらを囲む上部筐体2Bの高さも低くすることができるので、コンパクト化を達成することができる。
なお、上記第1の実施形態においては、発熱回路部品39を実装した基板が2種類存在する場合について説明した。しかしながら、本発明は上記構成に限定されるものではなく、発熱回路部品39を実装した基板が例えば制御回路基板22の一枚だけである場合や3枚以上である場合でも本発明を適用することができるものである。
なお、上記第1の実施形態においては、発熱回路部品39を実装した基板が2種類存在する場合について説明した。しかしながら、本発明は上記構成に限定されるものではなく、発熱回路部品39を実装した基板が例えば制御回路基板22の一枚だけである場合や3枚以上である場合でも本発明を適用することができるものである。
次に、本発明の第2の実施形態を図4について説明する。
この第2の実施形態は、実装された回路部品の高さが高く絶縁不足領域が生じた場合に、絶縁不足領域に対向する領域に絶縁性伝熱部材を介挿して絶縁を確保するようにしたものである。
すなわち、第2の実施形態では、図4に示すように、前述した第1の実施形態における絶縁シート43を省略し、これに代えて制御回路基板22に実装された最も高さが高い回路部品39とこれに対向する電源回路基板23の伝熱支持板部33aとの間の絶縁距離不足領域に、前述した第1の実施形態における伝熱部材35,37と同様の絶縁性を有する絶縁性伝熱部材51を介挿して絶縁確保領域としている。これ以外の構成は前述した第1の実施形態と同様であるので、図4において図1との対応部分には同一符号を付し、その詳細説明はこれを省略する。
この第2の実施形態は、実装された回路部品の高さが高く絶縁不足領域が生じた場合に、絶縁不足領域に対向する領域に絶縁性伝熱部材を介挿して絶縁を確保するようにしたものである。
すなわち、第2の実施形態では、図4に示すように、前述した第1の実施形態における絶縁シート43を省略し、これに代えて制御回路基板22に実装された最も高さが高い回路部品39とこれに対向する電源回路基板23の伝熱支持板部33aとの間の絶縁距離不足領域に、前述した第1の実施形態における伝熱部材35,37と同様の絶縁性を有する絶縁性伝熱部材51を介挿して絶縁確保領域としている。これ以外の構成は前述した第1の実施形態と同様であるので、図4において図1との対応部分には同一符号を付し、その詳細説明はこれを省略する。
この第2の実施形態においても、制御回路基板22及び電源回路基板23間における最も高さが高い回路部品39と電源回路基板23の伝熱支持板部33aとの間の絶縁距離不足領域に絶縁性伝熱部材51を介挿しているので、この絶縁性伝熱部材51によって絶縁距離不足領域での絶縁を確保することができる。
しかも、この場合には、回路部品39と電源回路基板23の伝熱支持板部33aとの間に絶縁性伝熱部材51を介挿しているので、単に絶縁を確保するだけではなく、絶縁性伝熱部材51を放熱経路として利用することができ、最も高さが高い回路部品39が発熱回路部品である場合に、その発熱を、絶縁性伝熱部材51を介して直接伝熱支持板部33aに伝熱することがき、発熱回路部品の放熱をより効果的に行うことができる。
なお、上記第2の実施形態においては、絶縁確保領域として、絶縁性伝熱部材51を適用した場合について説明したが、これに限定されるものではなく、熱伝導率の低い絶縁部材を適用するようにしてもよい。
なお、上記第2の実施形態においては、絶縁確保領域として、絶縁性伝熱部材51を適用した場合について説明したが、これに限定されるものではなく、熱伝導率の低い絶縁部材を適用するようにしてもよい。
次に、本発明の第3の実施形態を図5及び図6について説明する。
この第3の実施形態では、絶縁確保領域として絶縁距離不足領域に対向する電源回路基板23の伝熱支持板部33aを除去するようにしたものである。
すなわち、第3の実施形態においては、図5に示すように、制御回路基板22に実装されている最も高さが高い回路部品39の上端と電源回路基板23の伝熱支持板部33aとの間の絶縁距離不足領域において、回路部品39に対向する位置の伝熱支持板部33aを、図6(a)又は(b)に示すように、回路部品39の平面形状より大きい矩形の切除部61aを形成するか回路部品39の平面形状より大きい円形の切除部61bを形成して伝熱部材37を露出させることにより、絶縁距離を確保するようにしている。
この第3の実施形態では、絶縁確保領域として絶縁距離不足領域に対向する電源回路基板23の伝熱支持板部33aを除去するようにしたものである。
すなわち、第3の実施形態においては、図5に示すように、制御回路基板22に実装されている最も高さが高い回路部品39の上端と電源回路基板23の伝熱支持板部33aとの間の絶縁距離不足領域において、回路部品39に対向する位置の伝熱支持板部33aを、図6(a)又は(b)に示すように、回路部品39の平面形状より大きい矩形の切除部61aを形成するか回路部品39の平面形状より大きい円形の切除部61bを形成して伝熱部材37を露出させることにより、絶縁距離を確保するようにしている。
その他の構成については前述した第1の実施形態及び第2の実施形態と同様の構成を有するので、図1及び図4との対応部分には同一符号を付し、その詳細説明はこれを省略する。
この第3の実施形態によると、制御回路基板22に実装された高さが最も高い回路部品39の上面と電源回路基板23の伝熱支持板部33aとの間の絶縁距離不足領域で、伝熱支持板部33aを切除して伝熱部材37を露出させるようにしているので、この伝熱部材37の絶縁性によって絶縁距離を確保することができる。このため、前述した第1及び第2の実施形態と同様の作用効果を得ることができる。これに加えて、絶縁シート43や絶縁性伝熱部材51を必要とせず、単に伝熱支持板部33aを切除するだけで良いので、部品コストがかかることがなく、低コスト化することができる。
この第3の実施形態によると、制御回路基板22に実装された高さが最も高い回路部品39の上面と電源回路基板23の伝熱支持板部33aとの間の絶縁距離不足領域で、伝熱支持板部33aを切除して伝熱部材37を露出させるようにしているので、この伝熱部材37の絶縁性によって絶縁距離を確保することができる。このため、前述した第1及び第2の実施形態と同様の作用効果を得ることができる。これに加えて、絶縁シート43や絶縁性伝熱部材51を必要とせず、単に伝熱支持板部33aを切除するだけで良いので、部品コストがかかることがなく、低コスト化することができる。
なお、上記第3の実施形態においては、伝熱支持板部33aの切除する形状が矩形や円形である場合について説明したが、これに限定されるものではなく、所定の絶縁距離を確保できれば、任意の形状とすることができる。
また、上記第1〜第3の実施形態においては、発熱回路部品39を実装した基板が2種類存在する場合について説明した。しかしながら、本発明は上記構成に限定されるものではなく、発熱回路部品39を実装した基板が例えば制御回路基板22の一枚だけである場合や3枚以上である場合でも本発明を適用することができるものである。
また、上記第1〜第3の実施形態においては、発熱回路部品39を実装した基板が2種類存在する場合について説明した。しかしながら、本発明は上記構成に限定されるものではなく、発熱回路部品39を実装した基板が例えば制御回路基板22の一枚だけである場合や3枚以上である場合でも本発明を適用することができるものである。
また、上記第1〜第3の実施形態においては、伝熱支持部材32,33が別部材の伝熱支持板部32a,33aと伝熱支持側板部32c,33cとで構成されている場合について説明したが、これに限定されるものではなく、伝熱支持板部32a,33aと伝熱支持側板部32c,33cとを一体に形成するようにしてもよい。この場合には、伝熱支持板部32a,33aと伝熱支持側板部32c,33cとの間に継ぎ目ができなくなるので、熱抵抗を小さくすることができ、放熱効果をより向上させることができる。
また、上記第1〜第3の実施形態においては、本発明による電力変換装置を電気自動車に適用する場合について説明したが、これに限定されるものではなく、軌条を走行する鉄道車両にも本発明を適用することができ、任意の電気駆動車両に適用することができる。さらに電力変換装置としては電気駆動車両に限らず、他の産業機器における電動モータ等のアクチュエータを駆動する場合に本発明の電力変換装置を適用することができる。
本発明によれば、実装基板間に部分的に絶縁距離が不足する絶縁距離不足領域が形成される場合でも、絶縁確保領域で、絶縁を確保するので、発熱回路部品に対向する位置で伝熱支持部材を露出させて対向面側の発熱回路部品の発熱が籠もることなく、冷却体に放熱することができ、放熱効果を向上させると共に、実装基板間の距離を必要とする絶縁距離より短くすることができ、筐体をコンパクト化できる電力変換装置を提供できる。
1…電力変換装置、2…筐体、3…冷却体、4…フィルムコンデンサ、11…半導体パワーモジュール、12…ケース体、13…放熱部材、21…駆動回路基板、22…制御回路基板、23…電源回路基板、24,25…継ぎねじ、32…伝熱支持部材、32a…伝熱支持板部、32b…固定ねじ、32c…伝熱支持側板部、33…伝熱支持部材、33a…伝熱支持板部、33b…固定ねじ、33c…伝熱支持側板部、34…底板部、35,37…伝熱部材、39…発熱回路部品、40…間座(間隔調整部材)、42…基準となる回路部品、43…絶縁シート、45…板状弾性部材、51…絶縁性伝熱部材、61a,61b…切除部
Claims (9)
- 一面を冷却体に接合する半導体パワーモジュールと、
前記半導体パワーモジュールを駆動する発熱回路部品を含む回路部品を実装した複数の実装基板と、
複数の実装基板の熱を、前記冷却体に伝熱させ伝熱支持部材と、
前記複数の実装基板間で、絶縁距離が不足する絶縁距離不足領域に形成した絶縁確保領域と、
を備えたことを特徴とする電力変換装置。 - 前記絶縁確保領域は、前記絶縁距離不足領域に対向する位置に絶縁性伝熱部材を介挿して絶縁を確保する領域とされていることを特徴とする請求項1に記載の電力変換装置。
- 前記絶縁確保領域は、前記絶縁距離不足領域に対向する位置に絶縁シートを配置して絶縁を確保する領域とされていることを特徴とする請求項1に記載の電力変換装置。
- 前記絶縁確保領域は、前記絶縁距離不足領域に対向する位置の前記伝熱支持部材を除去して絶縁を確保する領域とされていることを特徴とする請求項1に記載の電力変換装置。
- 前記伝熱支持部材は、伝熱部材を介して前記実装基板を支持する伝熱支持板部と、該伝熱支持板部の側面を連結されて前記冷却体に接続される伝熱支持側板部とで構成されていることを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項に記載の電力変換装置。
- 前記伝熱支持板部と前記伝熱支持側板部とが一体に形成されていることを特徴とする請求項5に記載の電力変換装置。
- 前記伝熱部材は、絶縁性を有する絶縁体で構成されていることを特徴とする請求項5に記載の電力変換装置。
- 前記実装基板と前記伝熱支持部材の伝熱支持板部とを前記伝熱部材を介して締付固定部材で固定したことを特徴とする請求項5に記載の電力変換装置。
- 前記締付固定部材の周囲に前記実装基板と前記伝熱支持部材の伝熱支持板部との間隔を所定値に維持する間隔調整部材が介挿されていることを特徴とする請求項8に記載の電力変換装置。
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