JP2004250808A - 皮革様シート - Google Patents
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Abstract
【解決手段】3次元絡合不織布の絡合空間にポリウレタンを主体とする弾性樹脂が充填された繊維質基体層、該繊維質基体層の表面に密着した表面多孔層、および表面仕上げ層からなる皮革様シートにおいて、該表面多孔層が100%モジュラスaのポリウレタン樹脂Aからなり、表面多孔層と密着した繊維質基体層中の上層部分には100%モジュラスbのポリウレタン樹脂B、該繊維質基体層中の下層部分には100%モジュラスcのポリウレタン樹脂Cが充填され、かつ下記(1)および(2)を満足していることを特徴とする皮革様シート。
20≦b−a (1)
20≦c−b (2)
【選択図】図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、天然皮革調の優美な外観とソフトな表面触感、バランスの良い充実感のある風合いを有する皮革様シートに関するもので、靴、ボール、鞄等の用途に広く使用することができる皮革様シートに関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、合成皮革や人工皮革は、天然皮革の代替品として靴、衣料、手袋、鞄、ボール、インテリアなどのあらゆる分野に多く利用されている。これらは、より高い品質と感性が要求されており、とりわけ優美な天然皮革調の外観、ソフトな表面触感とバランスの良い充実感のある風合いが両立したものが強く望まれている。
【0003】
従来、天然皮革調の外観を作り出すために離型紙を用いて天然皮革のシボを再現した樹脂フィルムを作り基体に貼り付ける造面法が提案されている(例えば、特許参考文献1参照。)。あるいは、同一の弾性体が均一に充填された基体層の片面に多孔樹脂層を形成し、エンボスロールで型押しすることで天然皮革のシボを再現する方法が提案されている(例えば、特許参考文献2参照。)。
さらには、表面多孔層と同一の弾性樹脂を表面多孔層と連続して基体表層に充填する方法が提案されている(例えば、特許参考文献2参照。)。
【0004】
【特許文献1】
特開平6−184950号
【特許文献2】
特開平11−140779号
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、これらの方法では、目的とする天然皮革調の優美な外観とソフトな表面触感とバランスの良い充実感のある風合いの両立のすべて満たすことはできない。
まず、離型紙を用いる造面法では、あまりに均一で人工的であり天然皮革調とは言えず、また深いシボ模様を形成することはできない。
また、同一の弾性体が均一に充填された基体層の片面に密着した多孔樹脂層を形成し、エンボスロールで型押しすることで天然皮革のシボを再現する方法では、自然な天然皮革調の外観を得られるが、天然皮革様のソフトな表面触感と充実感のある風合いを得るために表面層にはソフト樹脂を使用し、基体層にはやや硬めの樹脂を充填する方法が考えられる。しかし、この方法ではソフトな表面層と硬めの基体層との間に急激な差異があり、バランスの悪い風合いとなり、天然皮革調の風合いとは言いにくい。
【0006】
さらには、表面多孔層と同一の弾性樹脂を表面多孔層と連続して基体表層に充填する方法では、エンボス型押しにより自然な天然皮革調の外観を得られ、またソフトな樹脂を表皮層に、やや硬い樹脂を基体層に用いれば、表皮層と同一の樹脂が基体層表層にあるために、ある程度連続性があり、風合いのバランスは改善されるが、やはり表皮層と基体層との樹脂の差異が現れ、天然皮革調のバランスの良い風合いは得られにくい。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記目的を達成するため鋭意検討の結果、目的とする天然皮革調の優美な外観とソフトな表面触感とバランスの良い充実感のある風合いの両立した靴、ボール、鞄等の用途に広く使用することができる皮革様シートが得られることを見出した。
すなわち、本発明は、単繊維繊度0.2dtex以下の極細繊維からなる3次元絡合不織布の絡合空間にポリウレタンを主体とする弾性樹脂が充填された繊維質基体層、該繊維質基体層の表面に密着した表面多孔層、および表面仕上げ層からなる皮革様シートにおいて、該表面多孔層が100%モジュラスaのポリウレタン樹脂Aからなり、表面多孔層と密着した繊維質基体層中の上層部分には100%モジュラスbのポリウレタン樹脂B、該繊維質基体層中の下層部分には100%モジュラスcのポリウレタン樹脂Cが充填され、かつ下記(1)および(2)を満足していることを特徴とする皮革様シートである。
20≦b−a (1)
20≦c−b (2)
そして、ポリウレタン樹脂Bがポリウレタン樹脂Aより熱変形しにくい樹脂である皮革様シートであることが好ましい。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下本発明を詳細に説明する。
まず本発明で使用する繊維質基体は、単繊維繊度0.2dtex以下であることが重要であり、好ましくは単繊維繊度0.0001〜0.05dtexの極細繊維の束からなる三次元絡合不織布とその絡合空間に存在する弾性重合体の多孔構造体とからなる表面平滑な基体である。単繊維繊度0.2dtex以下の極細繊維の束は、従来公知の方法で製造される。例えば、少なくとも2種類のポリマーからなる極細繊維発生型繊維から少なくとも1成分を溶解又は分解除去することにより、又は機械的又は化学的な処理により2成分の界面で剥離することにより得ることができる。得られる極細繊維の束を構成する極細繊維の単繊維繊度を0.2dtex以下とするためには、貼合わせ型の極細繊維発生型繊維を用いるよりは繊維断面が海島構造となっている極細繊維発生型繊維を用いることが工程上有利である。
【0009】
極細繊維発生型繊維中で極細繊維を構成するポリマーとしては、6−ナイロン、66−ナイロンをはじめとする溶融紡糸可能なポリアミド類、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、カチオン可染型変性ポリエチレンテレフタレートをはじめとする溶融紡糸可能なポリエステル類などから選ばれた少なくとも1種類のポリマーが挙げられる。
また溶解または分解除去される成分としては、極細繊維成分と溶剤または分解剤に対する溶解性または分解性を異にし、極細繊維成分との相溶性の低いポリマーであり、かつ紡糸条件下で極細繊維成分より溶融粘度が小さいかあるいは表面張力が小さいポリマーであり、例えば、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリエチレンプロピレン共重合体、変性ポリエステルなどのポリマーから選ばれた少なくとも1種類のポリマーである。
【0010】
極細繊維発生型繊維は、カードで解繊し、ウェバーを通してウェブを形成し、得られた繊維ウェブは、所望の重さ、厚さに積層し、次いで、ニードルパンチ、高速水流などの公知の方法で絡合処理を行って三次元絡合不織布とする。ウェブには必要に応じて織編物等を積層することもできる。三次元絡合不織布は、表面が極細繊維発生型繊維でなっていればよいが、得られるシートの風合いの点から繊維シート全体が極細繊維発生型繊維又は極細繊維からなっている場合が好ましい。三次元絡合不織布は、表面平滑な基体層とするため、弾性重合体の含浸前にプレス処理などにより表面平滑化することが好ましい。
三次元絡合不織布、あるいはプレスして得られる不織布の厚みは、得られる皮革様シートの用途等によって任意に選択でき、特に制限されるものではないが、1枚ものの場合にその厚みは0.2〜10mm程度であることが好ましく、0.4〜5mm程度であることがより好ましい。密度は0.15g/cm3〜0.50g/cm3が好ましく、0.20g/cm3〜0.40g/cm3がより好ましい。0.15g/cm3未満であると含浸する樹脂が多くなりゴムライクな風合いとなり、さらに剥離強力も低下する。0.50g/cm3を越えると得られる皮革様シートの風合いが硬くなる傾向がある。
【0011】
次に該三次元絡合不織布中にポリウレタン樹脂溶液または分散液を充填し、ポリウレタン樹脂溶液または分散液をコートしたのち、凝固し表面多孔層を有する繊維質基体層を形成する。
含浸、コートするポリウレタンの好ましい代表例としては、ポリエステル系ジオール、ポリエーテル系ジオール、ポリエステル・エーテル系ジオール、ポリカーボネート系ジオールなどの高分子ジオールの1種または2種以上と、有機ポリイソシアネート、好ましくは脂肪族系、芳香族系あるいは脂環族系の有機ジイソシアネートの1種または2種以上と、低分子ジオール、低分子ジアミン、ヒドラジンなどの活性水素原子を2個有する鎖伸長剤とから得られるポリウレタンがあげられる。
【0012】
好ましい代表例としては、両末端にヒドロキシル基を有する分子量500〜5000のポリマーグリコールと4,4′−ジフェニルメタン−ジイソシアネートと炭素数2〜6の低級アルキレングリコールを主体とするハードセグメントから得られたポリウレタン、あるいは、両末端にヒドロキシル基を有する分子量500〜5000のポリマーグリコールと脂肪族または脂環族ジイソシアネートと有機ジアミンあるいは有機酸ジヒドラジドを主体とするハードセグメントから得られたポリウレタンなどがあげられる。ただし、ソフト性、耐久性、加工性、多孔質膜形成性等を考慮し、これらの共重合物、混合物も用いられる。
【0013】
両末端にヒドロキシル基を有する分子量500〜5000のポリマーグリコールとしては、ポリエチレンアジペートグリコール、ポリブチレンアジペートグリコール、ポリヘキサメチレンアジペートグリコール、ポリカプロラクトングリコールなどのポリエステル系グリコール、ポリヘキサメチレンカーボネートグリコールで代表されるポリカーボネート系グリコール、ポリエチレンエーテルグリコール、ポリプロピレンエーテルグリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール、ポリヘキサメチレンエーテルグリコールなどのポリエーテル系グリコールおよびこれらの混合物が使用されるが、特に、ポリエステル系グリコール、ポリカーボネート系グリコールあるいはポリエステル系グリコールとポリカーボネート系グリコールとの混合グリコール、ポリエステル系グリコール、ポリカーボネート系グリコールとポリエーテル系グリコールとの混合グリコールが好ましい。
【0014】
脂肪族ジイソシアネートとしては、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネートなどが、また脂環族ジイソシアネートとしては、シクロヘキサンジイソシアネート、4,4′−ジシクロヘキシルメタン−ジイソシアネートなどが、また芳香族ジイソシアネートとしては、4,4′−ジフェニルメタン−ジイソシアネートなどが挙げられる。有機ジアミンとしては、p−フェニレンジアミン、メタフェニレンジアミン、4,4′−ジアミンジフェニルメタン、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ジエタノールアミン、4,4′−ジアミノジシクロヘキシルメタン、イソホロンジアミンなどが挙げられ、有機酸ジヒドラジドとしてはアジピン酸ジヒドラジド、セバチン酸ジヒドラジド、テレフタル酸ジヒドラジド、イソフタル酸ジヒドラジドなどが挙げられる。
【0015】
炭素数2〜6の低級アルキレングリコールの代表例としては、エチレングリコール、ブタンジオール、ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコールなどがあり、中でもエチレングリコールが良好な型押し性が得られる点で好ましい。ここで、用いられるポリウレタンエラストマーは、ポリウレタンエラストマー全質量に対する、該ポリウレタンエラストマーを合成するのに用いた有機ポリイソシアネート中のイソシアネート基を構成する窒素原子の質量百分率(以下N%と称す)が2.5〜5%であるようなポリウレタンエラストマーまたはこのポリウレタンエラストマーを主体とするポリマー混合物が好ましい。N%が2.5%未満の場合には、得られる表面多孔層や繊維質基体層は耐摩耗性や耐引っ掻き強さにおいて劣る傾向があり、またN%が5%を越える場合には、折り曲げシワが粗くなり、風合いも硬く、得られる皮革様シートが安っぽくなると同時に、耐屈曲疲労性においても低下する傾向がある。
【0016】
表面多孔層に用いるポリウレタン樹脂Aは、エンボス型押しにより天然皮革調のシボが形成可能であり、ソフトな表面触感が得られるポリウレタン樹脂を用いる。
好ましいポリウレタン樹脂としては、100%モジュラスが20〜80kg/cm2であり、より好ましくは30〜60kg/cm2である。20kg/cm2未満の場合は、表面物性が劣る傾向があり、80kg/cm2を越えると、目標とするソフトな風合いが得られなくなる傾向がある。また、表面多孔層の好ましい厚みとしては、0.02〜1.50mmであり、より好ましくは0.05〜1.00mmである。0.02mm未満の場合には、平滑な面が得られず、本発明の効果の一つであるソフトな表面触感が得られにくく、さらにエンボス型押し性も不良となる傾向があり、1.50mmを越えるとゴムライクな風合いになる傾向がある。
【0017】
繊維質基体層(以下、基体層と略すこともある)にもポリウレタン樹脂を充填するが、特に表面多孔層に接する基体層中の上層部分(以下基体層上層と略すこともある)には表面多孔層を形成するポリウレタン樹脂Aよりやや硬めの100%モジュラスが30〜140kg/cm2、より好ましくは、50〜90kg/cm2のポリウレタン樹脂B、基体層中の下層部分(以下基体層下層と略すこともある)には充実感を重視し、上層との風合いなどのバランスを考慮した100%モジュラスが40〜150kg/cm2のポリウレタン樹脂Cであり、より好ましくは50〜110kg/cm2のポリウレタン樹脂Cを含浸する。
【0018】
表面多孔層を形成するポリウレタン樹脂Aが柔らかく、基体層上層のポリウレタン樹脂B、基体層下層のポリウレタン樹脂Cが表面多孔層を形成するポリウレタン樹脂Aより順次硬めとなることで、目的とするソフトな表面触感、バランスの良い充実感のある天然皮革様の風合いが得られる。すなわち、表面多孔層のポリウレタン樹脂Aの100%モジュラスa、基体層上層のポリウレタン樹脂Bの100%モジュラスb、基体層下層のポリウレタン樹脂Cの100%モジュラスcとすると、各ポリウレタン樹脂の間に以下の関係があることが重要である。
20≦b−a (1)
20≦c−b (2)
b−aの値のみが20未満の場合には、表面多孔層を形成するポリウレタン樹脂Aと基体層上層のポリウレタン樹脂Bとのソフトさに有意差がなくなり、ソフトな基体層上層を形成するポリウレタン樹脂Bと硬めの基体層下層を形成するポリウレタン樹脂Cとの間で急激な差異が生まれ、目的とする表面多孔層を形成するポリウレタン樹脂Aがやわらかく、基体層上層のポリウレタン樹脂B、基体層下層のポリウレタン樹脂Cが表面多孔層を形成するポリウレタン樹脂Aより順次硬めとならず、ソフトな表面触感、バランスの良い充実感のある天然皮革様の風合いが得られない。またc−bの値のみが20未満の場合には、基体層上層を形成するポリウレタン樹脂Bと基体層下層を形成するポリウレタン樹脂Cとの間に有意差がなくなり、ソフトな表面多孔層を形成するポリウレタン樹脂Aと硬めの基体層上層を形成するポリウレタン樹脂Bとの間で急激な差異が生まれ、目的とする表面多孔層を形成するポリウレタン樹脂Aがやわらかく、基体層上層のポリウレタン樹脂B、基体層下層のポリウレタン樹脂Cが表面多孔層を形成するポリウレタン樹脂Aより順次硬めとならず、ソフトな表面触感、バランスの良い充実感のある天然皮革様の風合いが得られない。また、b−aおよびc−bの値が両方とも20未満の場合には、得られる皮革様シートの風合いに一体感はあるものの、天然皮革様の充実感のある風合いが得られにくい。従って、目的とする表面多孔層を形成するポリウレタン樹脂Aがやわらかく、基体層上層のポリウレタン樹脂B、基体層下層のポリウレタン樹脂Cが表面多孔層を形成するポリウレタン樹脂Aより順次硬めとなる皮革様シートの構成を得るためにはa、b、cの樹脂に明確な差があり、しかも連続性があることが好ましく、b−aの値が20以上かつc−bの値が20以上であることが必須であり、より特長ある表面ソフト性とバランスの良い充実感を得るためには、a、b、cの樹脂にさらに明確な差があり、連続性があることが好ましくb−a及びc−bの値が30以上であることがより好ましい。また、得られる皮革様シートの一体感ある風合いの点からb−a及びc−bの値が70以下であることが好ましく60以下であることがより好ましく、50以下であることが特に好ましい。
【0019】
表面多孔層に接する基体層中の上層部分を構成する三次元絡合不織布の絡合空間には表面多孔層を形成するポリウレタン樹脂Aより熱変形しにくい、すなわち対熱変形固定性が大きいポリウレタン樹脂Bを用いることが好ましい。
これは、エンボス型押し処理により表面多孔層が熱変形固定し天然皮革調の絞がシャープに形成される際に、基体層は熱変形しにくく、柔軟性を保持するためである。そのために、基体層中の上層部分は表面多孔層を構成するポリウレタン樹脂Aより対熱変形固定性が大きい(スポンジ構造が潰れにくい)ポリウレタン樹脂Bを選択することが好ましい。具体的には、表面多孔層に使用するポリウレタン樹脂Aと基体層中の上層部分に使用するポリウレタン樹脂Bの後述する評価方法による対熱変形固定性比が1.05〜2.0、好ましくは1.10〜1.50のものを使用する。対熱変形固定性比が1.05に満たない場合は、エンボス型押し時に表面多孔層と同様に変形し、基体層の風合いが硬化する傾向がある。また、対熱変形固定性比が2.0を越える場合は、エンボス型押し時に生じる表面多孔層と基体層の一体感が損なわれ、風合いが劣る傾向がある。
また、表面多孔層、基体層中の上層部分、基体層中の下層部分を構成するポリウレタン樹脂A、B、Cの100%モジュラスおよび対熱変形固定性比を本発明の範囲内にするための手段としては、公知のポリウレタン製造方法を用いて適宜調整することが可能である。
【0020】
基体層に充填するポリウレタン樹脂は、基体層に全体のバランスを損なわない範囲の量を充填する。
また、その充填量は、不織布の繊維質量に対して、固型分で0.3〜3.0倍、好ましくは、0.8〜2.0倍で設定する。不織布の繊維質量に対して、0.3倍未満では、本発明のモジュラスの差による風合い改善効果が得られにくく、繊維とのバインダー効果が弱く、必要な強力が得られず、3.0倍を越える場合には繊維を固定しすぎ、また密度が高くなりすぎて、基体層が硬くなり商品価値を損なう。
【0021】
また、表面多孔層に接する基体層中の上層部分に充填されたポリウレタン層は、基体層の厚みにもよるが、例えば0.1mm〜1.0mm、好ましくは0.2mm〜0.6mm厚みで存在させることが好ましい。層厚みが、0.1mmを下回ると表皮層と基体層下部との緩衝地帯の役割を果たさず、また、1.0mmを上回ると、基体層上層部の比率が大きくなりすぎ、表皮層と基体層下部とのバランスが崩れ、表皮層から徐々にソフトからハードに変化する期待している風合いが得られにくい。
さらに基体層中の上層部分と下層部分を構成するポリウレタン樹脂の好ましい質量比率は固型分で10:90〜60:40より好ましくは20:80〜40:60である。上層部分が10%に満たなくても、60%を越えた場合でも上述と同様に、表皮層と基体層下部とのバランスが崩れ、表皮層から徐々にソフトからハードに変化する期待している風合いが得られにくい。
【0022】
基体層へのポリウレタン溶液の含浸は、以下のいくつかの方法が好ましい。
まず、三次元絡合不織布に上面より基体上層用のポリウレタン樹脂Bからなる溶液を所定量塗布し、自然浸透させるか、ロールあるいはナイフでこすり付けるように浸透させ、下面より基体下層用のポリウレタン樹脂Cからなる溶液をロールあるいはナイフ等でこすりつけるように浸透させ、過剰分はナイフ等でかきとる方法がある。
あるいは、不織布全体にいったん基体下層用のポリウレタン樹脂Cからなる溶液を充填した後、ロールあるいはナイフで圧縮し、その直後に基体上層用のポリウレタン樹脂Bからなる溶液をコートし、不織布の回復力を利用して浸透させ、その後該三次元絡合不織布よりはみ出した過剰分はナイフでかきとる方法も使用できる。
【0023】
ポリウレタン溶液を充填させた基体に表面多孔層を形成するには、上記基体層上層部の表面にポリウレタン樹脂Aからなる溶液を基体層の樹脂を凝固させる前に続いてコートする方法、あるいは基体層にポリウレタン樹脂BおよびCを含浸後に凝固液中で基体層のポリウレタンを凝固させ、乾燥後に基体層表面にポリウレタン樹脂Aからなる溶液をコーティングする方法があるが、基体層と表面多孔層の密着性を考えると、含浸後に引き続いてコートし、その後に基体層と表面多孔層を構成するポリウレタン溶液を同時に凝固する方法が好ましい。密着とは基体表面層と表面多孔層が実質的に該2層以外の物質を介さず連続的に結合している状態を言う、そして部分的に接している状態と異なる場合を言う。部分的に接している状態とは、基体層表面にグラビアロール等でポリウレタン樹脂溶液等を塗布し、表面多孔層を貼り合せることによって基体層表面と表面多孔層とが点接着されている場合や、基体層表面と表面多孔層とが架橋型ポリウレタン接着剤によりドライ接着されているような状態を言う。
ポリウレタンの凝固方法としては、ポリウレタン樹脂の非溶剤を含む液に浸漬して湿式凝固するか、ゲル化させた後加熱乾燥する方法などが挙げられるが、基体層および表面多孔層がソフトな多孔構造を作ることが可能な湿式凝固する方法が好ましく用いられる。
また、ポリウレタン樹脂溶液には、必要に応じて着色剤、凝固調節剤、酸化防止剤、分散剤等の添加剤を配合する。そして、発明の効果が変わらない範囲内であれば、少量別のポリウレタン樹脂等の樹脂を添加させても良い。
【0024】
ついで、極細繊維発生型繊維を少なくとも1成分の溶解剤若しくは分解剤で処理して、又は機械的若しくは化学的処理により2成分の界面で剥離して極細繊維束に変性する。極細繊維発生型繊維の変性処理はポリウレタン樹脂の付与前であってもよいが、極細繊維束に変性後にポリウレタン樹脂を含浸、凝固すると、ポリウレタン樹脂が極細繊維に接着し風合いが硬くなりやすいため、ポリウレタン樹脂付与後に変性することが好ましい。ポリウレタン樹脂付与前に変性処理を行った場合は、極細繊維とポリウレタン樹脂が接着しないようにポリビニルアルコールなどの溶解除去可能な仮充填剤を付与した後にポリウレタン樹脂を付与し、その後に該仮充填剤を除去することが好ましい。
【0025】
上記で得られた三次元絡合不織布とポリウレタンを主体とした弾性重合体からなり、表面多孔層を有する繊維質基体層は、以下の方法で仕上げることで、天然皮革調の外観を得ることができる。すなわち、顔料、染料等の着色剤と樹脂とからなるインクをグラビアロール、リバースロール、スクリーン等の手法で基体表面に転写して着色し、表面仕上げ層を形成する。該表面仕上げ層の好ましい厚みは、表面層のソフトさを損なわないような出来るだけ薄く、しかし必要な表面磨耗強度を確保するために2〜20μmの範囲が好ましい。次に、エンボスロールで型押しして天然皮革調のシボを再現する。これにより得られたシート状物は、天然皮革調の高級な外観を有するものであった。また、エンボス加工により天然皮革調の外観を付与するためのエンボス加工条件は、エンボスロールの加熱温度100〜230℃の範囲が好ましい。加熱温度が100℃未満の場合、多孔層を形成するポリウレタン樹脂の軟化温度にもよるが、エンボス絞の掛かり斑が発生する場合があり、230℃を越えた場合には、絞のくずれが生じたり基体層中のポリウレタン樹脂の軟化にも影響を与え風合いが硬くなる場合がある。エンボスロールのプレス圧力は0.5〜15kg/cm2の範囲が好ましい。0.5kg/cm2未満の場合、エンボス絞の掛かり斑が発生する場合があり、15kg/cm2を越えた場合には、基体層下層にくたりを生じ風合いが硬くなる場合がある。得られる皮革様シートの柔軟性と天然皮革調の外観を兼ね備える為、さらに好ましくは、加熱温度120〜190℃、プレス圧力1〜6kg/cm2の範囲である。
さらに、エンボス型押し後に機械的な揉み処理あるいは液流型染色機等でリラックス処理を行うことで、自然な揉みシワが入り、ソフト性も増し自然な高級感を増すことができる。また、グラビア着色時に染料で染色可能な樹脂を塗布しておき、エンボス後に染色機で染料による着色を行うと透明感のある着色がされ、自然なシュリンク等も表現され、さらにソフト性も増すので、より高い高級感が得られる。
【0026】
本発明皮革様シートの一例の模式図を図1に示す。図1は断面を示すものであるが、皮革様シートの表面から、表面仕上げ層(1)、表面多孔層(2)、繊維質基材(3)の順に積層され、繊維質基材は上層(4)と下層(5)が存在する。
【0027】
本文中で述べている対熱変形固定性については、以下の方法により評価している。
<測定サンプル作成>
海成分としてメルトインデックス70のポリエチレン50質量部および島成分として6−ナイロン50質量部を同一溶融系で溶融紡糸して、単繊維繊度10dtex、島数約300の複合繊維を製造した。この複合繊維を3.0倍に延伸し、捲縮を付与した後、繊維長51mmに切断し、カードで解繊した後クロスラッパーウェバーでウェブとした。次に、9バーブのニードル針でパンチ数500パンチ/cm2の条件でニードルパンチを行い、120℃に加熱したロールでプレスし、厚み2.17mm、目付650g/m2、密度0.30g/cm3の繊維絡合不織布を作成する。
この不織布に評価するポリウレタンの13%ジメチルホルムアミド(以下DMFと略すこともある)溶液を含浸し、DMF/水=30/70、温度40℃の凝固浴中で凝固して、多孔構造体とする。続いて、水洗後、複合繊維中のポリエチレンを90℃に加熱したトルエンにて抽出除去して、0.01dtexの6−ナイロン極細繊維束状繊維とポリウレタンとからなるサンプルを作成する。
【0028】
<対熱変形固定性の評価>
上記サンプルを150℃に加熱された平板金型にクリアランスなしで2.0kg/cm2の圧力で挟み、10秒間圧着する。
その後、平板金型で圧縮された後の厚みを3点測定し、これらの平均をTとする。Tを対熱変形固定性と定義し、大きい程つぶれにくく、小さい程つぶれやすい。
比較するサンプル同士の圧縮された後の厚み(T1:表面多孔層構成するウレタン樹脂使用時の圧縮された後の厚み、T2:基体層中の上層部分を構成するウレタン樹脂使用時の圧縮された後の厚み)の比を算出し、これを対熱変形固定性比と呼ぶ。
対熱変形固定性比=T2/T1
【0029】
【実施例】
次に本発明を具体的に実施例で説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、実施例中の部及び%は断わりのない限り質量に関するものである。また本発明でいう単繊維繊度は、繊維束の断面の顕微鏡写真から、繊維束を構成する極細繊維の本数を数え、繊維束のトータル繊度を該本数で割った値である。
【0030】
実施例1
海成分としてポリエチレン50質量部および島成分として6−ナイロン50質量部を同一溶融系で溶融紡糸して、繊度10dtexの複合繊維を製造した。この複合繊維を3.0倍に延伸し、捲縮を付与した後、繊維長51mmに切断し、カードで解繊した後クロスラッパーウェバーでウェブとした。次に、ニードルパンチにより、目付650g/m2の繊維絡合不織布とした。この不織布にポリエチレンプロピレンアジペートと4,4′−ジフェニルメタン−ジイソシアネート(以下MDIと略す)、エチレングリコール(以下EGと略す)で共重合された100%モジュラス100kg/cm2のポリエステル系ポリウレタン20%ジメチルホルムアミド溶液を含浸後にナイフを押し当てて、不織布厚みの70%まで圧縮し、その直後にソフトセグメントがポリテトラメチレングリコール、ポリカプロラクトン、ポリエチレングリコールが67.5:22.5:10の質量比で構成され、MDI、4,4′−ジアミンジフェニルメタン(以下DAMと略す)、EGで共重合された100%モジュラス70kg/cm2のポリウレタンの18%ジメチルホルムアミド溶液(T2=1.05mm)をコートし浸透させた後、浸透しきれなかった溶液をナイフでかきとった後の上面に、ポリヘキサカーボネートグリコール、ポリメチレンプロピレンアジペート、メチレンジアミンで構成され、n−ヘキサンジイソシアネート、MDI、EGで共重合された100%モジュラス40kg/cm2のポリカーボネート系ポリウレタン18%ジメチルホルムアミド溶液(T1=0.80mm)をコートし、DMF/水=30/70の比率の凝固浴中で凝固して、多孔構造体とする。続いて、水洗後、複合繊維中のポリエチレンを抽出除去して、0.01dtexの極細繊維からなる6−ナイロン極細繊維束状繊維とポリウレタンとからなる厚さ1.3mmの繊維質基体を得た。そして厚さ0.2mmの表面多孔層が該繊維質基体と密着した状態であり、表面多孔層と基体層中の上層部分のポリウレタンの対熱変形固定性比は、1.3であった。
この基体中の表面多孔層に接する基体上層部のポリウレタンの層は、厚みが0.3mm、繊維とポリウレタンの比率は、質量比50/50であり、その下層部は、繊維とポリウレタンの比は、質量比60/40であった。
【0031】
この基体表面に茶色顔料を含むポリウレタン液をグラビアロールで塗布し、厚み5μmの表面仕上げ層を形成した。その後、150℃に加熱したエンボスロールを30秒間プレス圧2kg/cm2で型押し、天然皮革調模様を付与した。さらに揉み機で揉むことで、天然皮革調の優美な外感とソフトな表面触感、バランスの良い充実感のある風合いを有する皮革様シートが得られた.
【0032】
実施例2
実施例1と同一の不織布の上層より、ポリテトラメチレングリコール、ポリカプロラクトンが70:30の質量比であり、MDI、DAM、EGで共重合された100%モジュラス70kg/cm2のポリウレタンの18%ジメチルホルムアミド溶液(T2=1.05mm)をコートし、ロールでこすり付けるように浸透させ、浸透しきれなかった溶液をナイフでかきとった後、下層より100%モジュラス100kg/cm2のポリエステル系ポリウレタン樹脂を主体とするポリウレタン16%ジメチルホルムアミド溶液をロールでパンより持ち上げ、こすり付けるように含浸後し、浸透しきれなかった溶液をナイフでかきとった後、さらに不織布の上層面に、100%モジュラス40kg/cm2のポリカーボネート系ポリウレタン18%ジメチルホルムアミド溶液(T1=0.80mm)をコートし、DMF/水=30/70の比率の凝固浴中で凝固して、多孔構造体とした。続いて、水洗後、複合繊維中のポリエチレンを抽出除去して、0.01dtexの極細繊維からなる6−ナイロン極細繊維束状繊維とポリウレタンとからなる厚さ1.3mmの繊維質基体を得た。そして厚さ0.2mmの表面多孔層が該繊維質基体と密着した状態であり、表面多孔層と基体層中の上層部分のポリウレタンの対熱変形固定性比は、1.3であった。
この基体中の表面多孔層に接する基体上層部のポリウレタンの層は、厚みが0.3mm、繊維とポリウレタンの比率は、質量比50/50であり、その下層部は、繊維とポリウレタンの比は、質量比60/40であった。
【0033】
この基体表面に茶色顔料を含むポリウレタン液をグラビアロールで塗布し、厚み5μmの表面仕上げ層を形成した。その後、150℃に加熱したエンボスロールを30秒間プレス圧2kg/cm2で型押しし、天然皮革調模様を付与した。さらに揉み機で揉むことで、天然皮革調の優美な外感とソフトな表面触感、バランスの良い充実感のある風合いを有する皮革様シートが得られた。
【0034】
比較例1
実施例1と同一の不織布に、100%モジュラス40kg/cm2ポリカーボネート系ポリウレタン樹脂を主体とするポリウレタン樹脂13%ジメチルホルムアミド溶液を含浸後にナイフを押し当てて、不織布厚みの70%まで圧縮し、その直後に100%モジュラス60kg/cm2ポリカーボネート系ポリウレタン樹脂を主体とするポリウレタン樹脂13%ジメチルホルムアミド溶液(T2=0.80mm)をコートし、不織布の回復力を利用して浸透させた後、浸透しきれなかった溶液をナイフでかきとった後、さらに同一の100%モジュラス60kg/cm2のポリカーボネート系ポリウレタン樹脂18%ジメチルホルムアミド溶液(T1=0.80mm)をコートし、DMF/水=30/70の比率の凝固浴中で凝固して、多孔構造体とする。続いて、水洗後、複合繊維中のポリエチレンを抽出除去して、0.01dtexの極細繊維からなる6−ナイロン極細繊維束状繊維とポリウレタン樹脂とからなる厚さ1.3mmの繊維質基体を得た。そして厚さ0.2mmの表面多孔層が該繊維質基体と密着した状態であり、表面多孔層と基体層中の上層部分のポリウレタンの対熱変形固定性比は、1.0であった。
この基体中の表面多孔層に接する基体上層部のポリウレタン樹脂の層は、厚みが0.3mm、繊維とポリウレタン樹脂の比率は、質量比50/50であり、その下層部は、繊維とポリウレタン樹脂の比は、質量比60/40であった。
【0035】
この基体表面に茶色顔料を含むポリウレタン液をグラビアロールで塗布し、厚み5μmの表面仕上げ層を形成した。その後、150℃に加熱したエンボスロールを30秒間プレス圧2kg/cm2で型押しし、天然皮革調模様を付与した。さらに揉み機で揉み製品とした。
このものは、全体にソフトであり、期待した充実感とソフトな表面触感が両立した風合いは得られなかった。
【0036】
比較例2
実施例1と同一の不織布に、100%モジュラス40kg/cm2ポリカーボネート系ポリウレタンを主体とするポリウレタン13%ジメチルホルムアミド溶液を含浸後にナイフを押し当てて、不織布厚みの70%まで圧縮し、その直後にポリテトラメチレングリコール、ポリカプロラクトンが70:30の質量比であり、MDI、DAM、EGで共重合された100%モジュラス50kg/cm2のポリウレタンの18%ジメチルホルムアミド溶液(T2=1.05mm)をコートし、不織布の回復力を利用して浸透させた後、浸透しきれなかった溶液をナイフでかきとった後、さらに100%モジュラス80kg/cm2ポリエステル系ポリウレタンを主体とするポリウレタン20%ジメチルホルムアミド溶液(T1=1.05mm)をコートし、DMF/水=30/70の比率の凝固浴中で凝固して、多孔構造体とする。続いて、水洗後、複合繊維中のポリエチレンを抽出除去して、0.01dtexの極細繊維からなる6−ナイロン極細繊維束状繊維とポリウレタンとからなる厚さ1.3mmの繊維質基体を得た。そして厚さ0.2mmの表面多孔層が該繊維質基体と密着した状態であり、表面多孔層と基体層中の上層部分のポリウレタンの対熱変形固定性比は、1.0であった。
この基体中の表面多孔層に接する基体上層部のポリウレタンの層は、厚みが0.3mm、繊維とポリウレタンの比率は、質量比50/50であり、その下層部は、繊維とポリウレタンの比は、質量比60/40であった。
【0037】
この基体表面に茶色顔料を含むポリウレタン液をグラビアロールで塗布し、厚み5μmの表面仕上げ層を形成した。その後、150℃に加熱したエンボスロールを30秒間プレス圧2kg/cm2で型押しし、天然皮革調の模様を付与した。さらに揉み機で揉み製品とした。
このものは、期待した充実感とソフトな表面触感が得られなかった。
【0038】
比較例3
実施例1と同一の不織布に100%モジュラス70kg/cm2ポリカーボネート系ポリウレタン樹脂を主体とするポリウレタン樹脂13%ジメチルホルムアミド溶液を含浸後にナイフを押し当てて、不織布厚みの70%まで圧縮し、その直後に実施例1でコート層に使用した100%モジュラス40kg/cm2のポリカーボネート系ポリウレタン18%ジメチルホルムアミド溶液(T2=0.80mm)をコートし、不織布の回復力を利用して浸透させた後、浸透しきれなかった溶液をナイフでかきとった後、DMF/水=30/70の比率の凝固浴中で凝固して、多孔構造体とする。続いて、水洗後、複合繊維中のポリエチレンを抽出除去して、0.01dtexの極細繊維からなる6−ナイロン極細繊維束状繊維とポリウレタンとからなる厚さ1.1mmの繊維質基体を得た。
この基体表面に100%モジュラス40kg/cm2ポリエステル系ポリウレタン樹脂を主体とするポリウレタン20%ジメチルホルムアミド溶液(T1=1.05mm)をコートし、DMF/水=30/70の比率の凝固浴中で凝固して、多孔皮膜を形成した。なお、表面多孔層と基体層中の上層部分のポリウレタンの対熱変形固定性比は、0.8であった。
この基体中の表面多孔層に接する基体上層部のポリウレタンの層は、厚みが0.3mm、繊維とポリウレタン樹脂の比率は、質量比50/50であり、その下層部は、繊維とポリウレタンの比は、質量比60/40であった。
【0039】
この基体表面に茶色顔料を含むポリウレタン液をグラビアロールで塗布し、厚み5μmの表面仕上げ層を形成した。その後、150℃に加熱したエンボスロールを30秒間プレス圧2kg/cm2で型押しし、天然皮革調模様を付与した。さらに揉み機で揉み処理を行ったが、得られた皮革様シートはソフトな表面触感を有していたが、表面多孔層と基体層との一体感に乏しく、バランスの悪い風合いとなった。
【0040】
【発明の効果】
本発明は、天然皮革調の優美な外感とソフトな表面触感、バランスの良い充実感のある風合いを有する皮革様シートを提供する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の皮革様シートを模式的に表す断面図である。
【符号の説明】
1 表面仕上げ層
2 表面多孔層
3 繊維質基体
4 繊維質基体上層
5 繊維質基体下層
Claims (2)
- 単繊維繊度0.2dtex以下の極細繊維からなる3次元絡合不織布の絡合空間にポリウレタンを主体とする弾性樹脂が充填された繊維質基体層、該繊維質基体層の表面に密着した表面多孔層、および表面仕上げ層からなる皮革様シートにおいて、該表面多孔層が100%モジュラスaのポリウレタン樹脂Aからなり、表面多孔層と密着した繊維質基体層中の上層部分には100%モジュラスbのポリウレタン樹脂B、該繊維質基体層中の下層部分には100%モジュラスcのポリウレタン樹脂Cが充填され、かつ下記(1)および(2)を満足していることを特徴とする皮革様シート。
20≦b−a (1)
20≦c−b (2) - ポリウレタン樹脂Bがポリウレタン樹脂Aより熱変形しにくい樹脂である請求項1に記載の皮革様シート。
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