JP2004249559A - ワイピング装置及び液体噴射装置 - Google Patents

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Hiroyuki Ito
寛之 井藤
Masaru Takahashi
優 高橋
Seiji Tojo
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Abstract

【課題】ワイパ部材の汚れを除去するワイパクリーナ部材を設けてもワイピング装置を小さくして、きれいなワイパ部材により液体噴射ヘッドの清掃をより確実に行うことのできるワイピング装置及び液体噴射装置を提供する。
【解決手段】ワイピング装置35は、円筒カム34が回転することにより昇降するワイパ部材51と、これを清掃する清掃部56を有したワイパクリーナ部材55とを備えている。円筒カム34には、第1作動ギヤ47及び第2作動ギヤ48が形成されている。駆動モータ31の回転力が伝達されて第1作動ギヤ47が回転され、第2作動ギヤ48の歯がラック58の歯に噛み合うと、ラック58が設けられたワイパクリーナ部材55が移動する。これによりワイパクリーナ部材55の清掃部56が、ワイパ部材51に当接してワイパ部材51を清掃する。
【選択図】 図4

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば液体噴射ヘッドを払拭清掃するワイピング装置及び液体噴射装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
液体噴射装置としては、インクを紙などに噴射して印刷を行うインクジェット式プリンタが広く知られている。この種のプリンタは、複数のノズルが形成された記録ヘッドと、この記録ヘッドを有したキャリッジとを備えており、通常、これらノズルからインクを噴射する。ノズルから噴射されるインクは、飛散して記録ヘッドに付着することがある。記録ヘッドにインクが付着されたまま、その後にインクの噴射が行われると、このインクの噴射中に記録ヘッドに付着したインクが不用意に落下して、不具合を生じることがある。このため、プリンタにはワイパ部材が設けられており、このワイパ部材の先端が記録ヘッドに圧接することにより記録ヘッドに付着したインク滴を適宜、払拭清掃する。また、通常、ワイパ部材の耐久性及び払拭性を向上させるために、ワイパ部材は、先端が湾曲形状をしているとともに、キャリッジが一方向に移動した場合に記録ヘッドを払拭清掃する構成となっている。
【0003】
しかしながら、記録ヘッドから払拭除去されたインクは、ワイパ部材を伝わってワイパ部材の下方に流れ落ちる。従って、払拭清掃した直後のワイパ部材は、インク滴によって汚れている。この状態で、再びワイパ部材により記録ヘッドを払拭すると、逆に記録ヘッドを汚す可能性があった。そこで、従来、ワイパ部材の汚れを除去するワイパクリーナ部材を備えたワイピング装置が開発されている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
【特許文献1】
特開2001−30502号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、特許文献1では、ワイパ部材自体が移動し、かつワイパクリーナ部材がプリンタに固定されている構成であった。従って、固定されたワイパクリーナ部材に対してワイパ部材を移動させることによりワイパ部材の汚れを拭き取っていた。
【0006】
しかしながら、プリンタの小型化の要求に伴って、ワイパ部材を設置する水平方向の空間を小さくする要求がある。この要求を満たすために、ワイパを水平に移動させる代わりに、ワイパ部材を上下動させる機構が設けられている。詳述すると、キャリッジが一方向に移動した場合に、ワイパ部材を上昇させて記録ヘッドを払拭清掃し、キャリッジが反対方向に移動した場合にワイパ部材を降下させて記録ヘッドに当接しない構成となっている。
【0007】
従って、このような構成のワイパ部材では、その汚れを除去するために、従来と同様に固定されたワイパクリーナ部材を設置しても、ワイパ部材は水平方向には移動しないため、ワイパ部材を清掃することができなかった。
【0008】
本発明は、上述する課題に鑑みてなされたものである。そして、その目的は、ワイパ部材の汚れを除去するワイパクリーナ部材を設けてもワイピング装置を小さくして、きれいなワイパ部材により液体噴射ヘッドの清掃をより確実に行うことのできるワイピング装置及び液体噴射装置を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明のワイピング装置は、液体を噴射する液体噴射ヘッドに当接して清掃するワイパ部材と、このワイパ部材に当接して清掃する清掃部を有したワイパクリーナ部材とを備えたワイピング装置であって、前記ワイパクリーナ部材を水平方向に移動させて前記ワイパ部材に当接させる移動手段を備えている。
【0010】
これによれば、ワイパ部材に当接して清掃するワイパクリーナ部材が移動されて、ワイパ部材に付着した液体を除去して、ワイパ部材の汚れを落とすことができる。このため、液体噴射ヘッドをよりきれいな状態にすることができる。また、ワイパクリーナ部材を移動させるため、すなわちワイパ部材を水平方向に移動させる必要がない。すなわち、ワイパはキャップに覆われて密閉状態とされて吸引される記録ヘッドを払拭するため設置場所の制約を受けることになるが、ワイパクリーナ部材は、ワイパに対して移動させればよいので、ワイパよりも設置の自由度が高い。従って、例えば、ワイパクリーナ部材を移動させる移動手段を他の部材と重ねるように配置すれば、ワイピング装置の水平方向の設置空間を大きくしなくてもよい。このため、ワイパが移動する空間を設けずにワイピング装置を小さくしても、ワイパ部材の汚れを除去して液体噴射ヘッドをよりきれいな状態にすることができる。
【0011】
このワイピング装置は、前記清掃部は、当接する前記ワイパ部材の面の長さよりも長い。
これによれば、清掃部が当接して清掃するワイパ部材の面の長さよりもワイパクリーナ部材の清掃部が長い。このため、ワイパクリーナ部材を移動させて、清掃部がワイパ部材と重なる状態にすることができる。すなわち、当接する面積を大きくすることができるので、より確実にワイパ部材の汚れを効率よく除去することができる。また、清掃部がワイパ部材と重なる状態で停止されるようにすれば、清掃部がより広い面積でワイパ部材と当接した状態を長く取ることになるので、ワイパ部材に付着した液体を清掃部が効率よく吸着することができる。従って、ワイパの汚れを効率よく除去することができる。
【0012】
このワイピング装置は、前記ワイパ部材は、先端が湾曲形状をしており、前記ワイパクリーナ部材の清掃部が前記ワイパ部材の湾曲した基端部及びその下方の面に当接するように、前記ワイパクリーナ部材が配設されている。
【0013】
これによれば、ワイパ部材の曲がった部分及びその下方の面に、ワイパクリーナ部材の清掃部が当接する。先端近傍が湾曲形状をしているワイパ部材においては、液体噴射ヘッドの清掃によりワイパ部材に付着する液体は、ワイパ部材の湾曲した基端部及びその下方の面に滞留しやすく、この部分が最も汚れやすい。このため、この部分にワイパクリーナ部材の清掃部が当接することにより、最も汚れやすい部分の汚れを効率よく除去することができる。
【0014】
このワイピング装置は、前記ワイパクリーナ部材には、ラックが設けられており、前記移動手段は、前記ラックに噛合するピニオンと、このピニオンを回動させる回動手段とを備えている。
【0015】
これによれば、ワイパクリーナ部材に設けられたラックが、回動手段により回動させられるピニオンに噛み合うことにより、ワイパクリーナ部材が移動させられる。従って、ワイパクリーナ部材の移動手段を簡単でコンパクトな構成にすることができる。
【0016】
このワイピング装置は、回動することにより前記ワイパ部材を昇降させる円筒カムを備えており、前記ピニオンは、前記円筒カムの回動軸を中心として回動するように取り付けられている。
【0017】
これによれば、ワイパクリーナ部材に設けられたラックに噛み合うピニオンは、ワイパ部材を昇降させる円筒カムの回動軸を中心として回動するように取り付けられている。すなわち、円筒カムと重ねてピニオンを配置することができるので、ワイピング装置の水平方向の大きさを小さくすることができる。
【0018】
本発明の液体噴射装置は、上記ワイピング装置と、前記ワイピング装置の前記ワイパ部材によって清掃される前記液体噴射ヘッドを有したキャリッジとを備えた。
【0019】
これによれば、ワイピング装置の水平方向の大きさを大きくしなくてもワイパクリーナ部材を設けてワイパ部材の汚れを除去することができ、汚れが除去されたワイパ部材により液体噴射ヘッドの清掃が行われる。従って、液体噴射ヘッドをよりきれいな状態で保つことができるとともに、ワイピング装置の設置に必要な水平方向の空間を小さくできるので液体噴射装置を小さくすることができる。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を具体化したワイピング装置の一実施形態を図1〜図8に基づいて説明する。
【0021】
図1に示すように、本実施形態の液体噴射装置としてのインクジェット式プリンタ(以下、単にプリンタという。)11は、紙送りモータ12を備えた紙送り機構を有している。この紙送りモータ12は、図示しない駆動ローラを駆動して、y方向に(プリンタ11の背面から前面に)紙Pを搬送する。
【0022】
また、プリンタ11は、フレーム13を有している。このフレーム13には、x方向に延びるプラテン14が架設されている。プラテン14は、紙Pを支持する支持台であって、上記紙送りモータ12の駆動により搬送された紙Pが、その上面に導かれる。プラテン14の下方には、使用したインクを貯留する廃液タンク15が設けられている。
【0023】
また、フレーム13には、駆動プーリ16及び従動プーリ17が固定されている。同駆動プーリ16には、可逆モータのキャリッジモータ18が連結されている。また、これら一対のプーリ16,17には、タイミングベルト19が掛け装されており、タイミングベルト19にはキャリッジ20が固着されている。更に、フレーム13には、プラテン14と平行に延びるようにガイド部材21が設けられている。このガイド部材21は、上記キャリッジ20を摺動可能に支持している。従って、キャリッジ20は、駆動プーリ16の駆動により、ガイド部材21に支持されながら、x方向及び反x方向に往復移動可能となっている。
【0024】
一方、キャリッジ20は、2つのインクカートリッジ23,24を着脱可能に搭載している。インクカートリッジ23は、ブラックのインクを収容している。インクカートリッジ24は、3つに区画された収容室にマゼンタ、シアン、イエロの各色のインク(カラーインク)をそれぞれ収容している。また、同キャリッジ20は、液体噴射ヘッドとしての記録ヘッド25を下面に有しており、記録ヘッド25はプラテン14と対向している。この記録ヘッド25は、下面に開口した図示しない複数のノズルを備えている。また、各ノズルのそれぞれには、対応する図示しない圧電素子が配設されている。この圧電素子が駆動されると、インクカートリッジ23,24から記録ヘッド25にインクが供給されて、ノズルの吐出口から液体であるインクがプラテン14上の紙Pに向かって噴射される。
【0025】
上記フレーム13の一側部の非印刷可能領域(ホームポジション)には、クリーニング機構30が設けられている。このクリーニング機構30は、図3〜図5に示すように駆動モータ31、キャッピング装置32、吸引ポンプ33、円筒カム34、ワイピング装置35及びこれらを収容するケース36(これは図3及び図5のみ図示)を備えている。
【0026】
駆動モータ31は、正逆回転可能なモータであって、その回転軸の先端には駆動ギヤ31aが固着されている。駆動ギヤ31aは、ケース36に回転可能に支持された第1ギヤ37及び第2ギヤ38を介して、収容部36cに収容された前記吸引ポンプ33の回転軸33aの先端部に固着した第3ギヤ39に駆動連結されている。従って、駆動モータ31が回転されることによって、第3ギヤ39が回転し前記吸引ポンプ33は回転駆動される。また、駆動モータ31の回転によってキャッピング装置32を、図示しない昇降機構を介して昇降動作させるようになっている。
【0027】
キャッピング装置32は、キャップ41と、キャップ41を支持するキャップ支持部材42とを備えている。キャップ41は、上側が開口する箱体であって、その開口は上記記録ヘッド25のノズルを覆うことが可能な大きさに形成されている。キャップ41は、図3に示すように、その周囲を囲むように四角枠状のキャップ支持部材42にて支持されている。キャップ支持部材42は、前記駆動モータ31によって駆動される昇降機構によって昇降し、キャップ41を作用位置と非作用位置の上下2位置に案内させる。そして、キャップ41は、上側の作用位置に案内されたとき、上記記録ヘッド25のノズルを覆い、覆われた状態でノズルから吐出されたインクをキャップ41内に収容する。
【0028】
キャップ41の底面には、図示しないインク排出口が形成され、このインク排出口には吸引ポンプ33に接続されている。そして、このインク排出口を介して、キャップ41内に溜まったインクが吸引ポンプ33によって排出される。
【0029】
吸引ポンプ33はチューブポンプであって、一端が前記キャップ41のインク排出口に連結されたチューブの容積を変形させて前記キャップ41内を負圧にし、同キャップ41内のインクを排出する。すなわち、吸引ポンプ33は、前記駆動モータ31の駆動によって回転し、チューブの容積を変形させて前記キャップ41内を負圧にし、同キャップ41内のインクを前記廃液タンク15に排出するようになっている。
【0030】
前記吸引ポンプ33の回転軸33aに固着した第3ギヤ39は、ケース36に回転可能に支持された第4ギヤ40を介して、円筒カム34に形成した第1作動ギヤ47に駆動連結されている。従って、円筒カム34は、前記駆動モータ31の正逆回転によって正逆回転される。
【0031】
図2(b)に示すように、円筒カム34の上側には、第1作動ギヤ47及びピニオンとしての第2作動ギヤ48が形成されている。第2作動ギヤ48は、第1作動ギヤ47の上側に形成されている。第2作動ギヤ48は、円筒カム34の外周面の一部に形成されている。詳述すると、図2(a)に示すように、第2作動ギヤ48の歯48aは、第1基点Aから時計回り方向に第2基点Bまでの角度θ2の範囲に形成されている。
【0032】
第2作動ギヤ48の下側に形成された第1作動ギヤ47は、第2作動ギヤ48と同様に、円筒カム34の外周面の一部に形成されている。詳述すると、第1作動ギヤ47の歯は、図2(a)に示すように、第1作動ギヤ47の第2基点Bから時計回り方向に前記第1基点Aを超えて第3基点Cまでの角度θ1の範囲に形成されている。第1作動ギヤ47と噛み合う第4ギヤ40は、同第1作動ギヤ47の第2基点Bから第3基点Cの間で噛み合い、円筒カム34を回転させる。従って、駆動モータ31により前記第4ギヤ40が回転しても、第1作動ギヤ47の第2基点Bから反時計回り方向、第3基点Cから時計回り方向では噛み合いが外れて、第1作動ギヤ47及び第2作動ギヤ48は同じ方向に角度θ1しか回転しないようになっている。なお、第2作動ギヤ48を駆動させる回動手段は、駆動モータ31、ギヤ31a,37〜40及び第1作動ギヤ47から構成されている。
【0033】
円筒カム34の外周面には、カム溝49が形成されている。カム溝49は、下部に周方向に形成された下側案内部49a、その下側案内部から斜め上方に形成された傾斜案内部49b、その傾斜案内部49bから周方向に形成された上側案内部49cとから構成されている。周方向に形成されたカム溝49は、円筒カム34の中心軸を中心として、上側案内部49cが形成されている角度が上記角度θ2と、下側案内部49aのエンド壁面から上側案内部49cまでのエンド壁面までの角度が前記角度θ1と同じになっている。
【0034】
キャッピング装置32及び円筒カム34の反x方向側には、ワイピング装置35が設けられている。ワイピング装置35は、y方向に配設されたワイパ支持部材52を備えている。ワイパ支持部材52は、上下方向に移動可能かつy方向移動不能にケース36に支持されている。ワイパ支持部材52のy方向の側面の下部には、図4及び図6に示すように、保持部材53が延出形成されている。保持部材53の先端部には、図6に示すように、位置決め部材53aがx方向に延出形成されている。位置決め部材53aは、円筒カム34のカム溝49に摺動可能に嵌合されている。
【0035】
従って、前記円筒カム34が前記駆動モータ31にて前記角度θ1を正逆回動されると、同カム溝49の各案内部49a,49b,49cを摺動する位置決め部材53aによって、保持部材53が上下動する。つまり、位置決め部材53aが下側案内部49aを摺動しているときには、位置決め部材53aは下側位置(非作用位置)に案内される。また、位置決め部材53aが上側案内部49cを摺動しているときには、保持部材53は上側位置(作用位置)に案内される。更に、位置決め部材53aが傾斜案内部49bを摺動しているときには、保持部材53は非作用位置と作用位置の間の位置に案内される。
【0036】
詳述すると、図6(a)及び図7(a)に示すように、前記第4ギヤ40の歯が第2作動ギヤ48の第3基点Cの歯48aと噛み合っている。このとき、カム溝49の下側案内部49aのエンド壁面に当接する位置に位置決め部材53aが位置している。従って、この状態では、保持部材53は非作用位置に位置している。そして、この状態から、図6(a)及び図7(a)に示すように第4ギヤ40がr1方向に回転すると、円筒カム34はr2方向に回転する。従って、位置決め部材53aは、カム溝49の下側案内部49a→傾斜案内部49b→上側案内部49cの順に摺接していく。その結果、ワイパ支持部材52は、位置決め部材53aが傾斜案内部49bを上側案内部49cに向かって摺接すると上昇し、図6(b)及び図7(b)に示すように上側案内部49cに摺接すると作用位置に到達する。そして、図6(c)及び図7(c)に示すように、前記第4ギヤ40が第1作動ギヤ47の第2基点Bの歯47aと噛み合う位置まで回転すると、位置決め部材53aがカム溝49の上側案内部49cのエンド壁面に当接する。
【0037】
そして、図6(c)及び図7(c)に示す状態から図6(a)に及び図7(a)に示す状態まで駆動モータ31を逆回転させると、位置決め部材53aは、前記とは逆に上側案内部49c→傾斜案内部49b→下側案内部49aの順に摺接していく。その結果、ワイパ支持部材52は、作用位置から非作用位置に降下される。
【0038】
前記ワイパ支持部材52の上面には、y方向に延びたワイパ部材51が固着されている。ワイパ部材51は、ゴム等の弾性材料で構成されていて、その先端部51aは、x方向に湾曲形成されていて、記録ヘッド25に付着したインクを掻き取るように清掃する。つまり、ワイパ支持部材52が作用位置に上昇したとき、ワイパ部材51は上方を通過する記録ヘッド25を下方から圧接し付着したインクを掻き取ることが可能となる。
【0039】
円筒カム34の反x方向側には、ワイパクリーナ部材55が設けられている。ワイパクリーナ部材55のx方向側には、第2作動ギヤ48と噛み合うラック58が形成されている。詳述すると、図6(b)及び図7(b)に示す、前記ワイパ支持部材52が作用位置に到着したとき、第2作動ギヤ48の第2基点Bの歯48aが非作用位置にあるワイパクリーナ部材55のラック58の先端部の歯58aと噛み合いが開始される。そして、図6(c)及び図7(c)に示す状態まで第4ギヤ40が回動すると、ワイパクリーナ部材55は、ワイパ部材51のx方向側の先端部51aと重なる位置(作用位置)まで移動する。
【0040】
ワイパクリーナ部材55が図6(c)及び図7(c)に示す作用位置にある状態から、第4ギヤ40が逆回転すると、ワイパクリーナ部材55は、図6(b)及び図7(b)に示す前記ワイパ部材51から離間した非作用位置まで移動する。第4ギヤ40が図6(b)及び図7(b)に示す位置から図6(a)及び図7(a)にさらに回転されると、第2作動ギヤ48はラック58の歯58aとの噛み合いが外れるため、ワイパクリーナ部材55は、移動を停止し非作用位置に保持される。
【0041】
前記ワイパクリーナ部材55の反x方向側には、清掃部56が形成されている。清掃部56は、例えばウレタンフォームから構成されており、ワイパ部材51のy方向の長さよりも長く形成されている。また、清掃部56は、ワイパクリーナ部材55が非作用位置から作用位置に移動するとき、前記ワイパ部材51の先端部51aの基端部51c及びその下方の面51bを摺動しながら、これら面51bに当接する。
【0042】
次に、上述したプリンタ11の作用について、図1、図6〜図8に基づいて説明する。
印刷を行う場合には、プリンタ11は、紙送りモータ12を駆動して、プラテン14及び記録ヘッド25との間に紙Pを導く。そして、同プリンタ11は、キャリッジモータ18を駆動してキャリッジ20をx方向及び反x方向に往復移動させながら、圧電素子を駆動してインクカートリッジ23,24から供給されるインクを記録ヘッド25のノズルから紙Pに向けて噴射する。そして、キャリッジ20が往復移動できる範囲で記録ヘッド25の噴射が終了すると、プリンタ11は、紙送りモータ12を駆動して、紙Pを前方に所定量だけ搬送する。そして、再びプリンタ11は、キャリッジモータ18及び圧電素子を駆動して、キャリッジ20を移動させながら記録ヘッド25からインクを噴射する。これを繰り返すことにより紙Pの印刷が行われる。
【0043】
印刷が終了し記録ヘッド25のクリーニング動作が行われる場合には、プリンタ11は、キャリッジモータ18を駆動してキャリッジ20をx方向に移動させ、キャリッジ20をキャップ41と対向する位置まで移動させる。このとき、図6(a)、図7(a)及び図8(a)に示すように、ワイパ支持部材52の位置決め部材53aは、カム溝49の下側案内部49aに位置している。このため、キャリッジ20がワイパ部材51の上方をx方向に通過しても、ワイパ部材51の先端部51aが、キャリッジ20の記録ヘッド25に当接しない。また、第1作動ギヤ47は、第3基点Cの歯47aがギヤ40と噛み合っている。そのため、ワイパクリーナ部材55の第2作動ギヤ48は、第2作動ギヤ48の歯48aがない部分に対向する状態となっており、ワイパクリーナ部材55は、ワイパ部材51の手前に位置している。
【0044】
その後、プリンタ11は、キャリッジ20がキャップ41と対向する位置に至ると、キャリッジモータ18の駆動を停止させ、かつ駆動モータ31を正回転させる。駆動モータ31が正回転されると、駆動ギヤ31aが回転し、この回転力がギヤ37〜40を介して第1作動ギヤ47に伝達される。従って、第1作動ギヤ47の回転によって、円筒カム34がr2方向に回転される。これにより、ワイパ支持部材52の位置決め部材53aが、図6(a)に示すように嵌合されているカム溝49の下側案内部49aから、図6(b)に示すように傾斜案内部49bを経て上側案内部49cに至り、ワイパ部材51が上昇される。このときまで、第2作動ギヤ48は回転されても、その歯48aがワイパクリーナ部材55のラック58の歯58aに噛み合っていないため、ワイパクリーナ部材55はワイパ部材51の手前の位置を取り続ける。
【0045】
ワイパ部材51の位置決め部材53aが上側案内部49cに至るまで第1作動ギヤ47が回転すると、図6(b)、図7(b)及び図8(b)に示すように第2作動ギヤ48の歯48aがワイパクリーナ部材55の歯58aに噛み合う状態となる。そして、更に第1作動ギヤ47が回転されると、歯48a,58aを介して、ワイパクリーナ部材55が反y方向に移動される。すなわち、ワイパクリーナ部材55が反y方向に移動されると、ワイパクリーナ部材55の清掃部56がワイパ部材51の面51bに徐々に当接する。
【0046】
そして、図6(c)、図7(c)及び図8(c)に示すようにギヤ40の回転により、第1基点Aが第4ギヤ40に接するまで第1作動ギヤ47が回転されると、第1作動ギヤ47の歯47aが第4ギヤ40から外れて、円筒カム34の回転が停止される。このときワイパクリーナ部材55は、その清掃部56がワイパ部材51と重なる状態まで移動されている。すなわち、ワイパクリーナ部材55の清掃部56が、ワイパ部材51の基端部51c及びその下方の面51bに当接して、ワイパ部材51に付着しているインクを吸着する。
【0047】
このとき、キャップ支持部材42は駆動モータ31の回転力を駆動源とする昇降機構により上昇されており、キャップ41が記録ヘッド25を密閉している。そして、第3ギヤ39を介して吸引ポンプ33が駆動され、記録ヘッド25の密閉された空間に負圧が発生する。これにより記録ヘッド25のノズルを目詰まりさせるおそれのある高粘度のインクが廃液タンク15に排出される。
【0048】
その後、駆動モータ31が逆回転に切り替わると、第4ギヤ40が反r1方向に回転する。これにより、第1作動ギヤ47の歯47aが再びギヤ40に噛み合って、第1作動ギヤ47が反r2方向に回転する。これに伴って第2作動ギヤ48が反r2方向に回転するので、ワイパクリーナ部材55はy方向に後退移動する。そして、図6(b)、図7(b)及び図8(b)に示すように第1作動ギヤ47が角度θ2回転すると、ワイパクリーナ部材55がワイパ部材51の手前の位置に至る。そこで、ワイパクリーナ部材55のラック58の歯58aは、第2作動ギヤ48の第2基点Bに対向し噛み合わなくなるため、ワイパクリーナ部材55の移動が停止される。
【0049】
そして、この状態で駆動モータ31が停止される。このとき、キャップ支持部材42は昇降機構により降下されており、キャリッジ20が移動可能な状態となっている。そこで、プリンタ11は、キャリッジモータ18を駆動して、キャップ41の上方から反x方向にキャリッジ20を移動させる。
【0050】
このとき、ワイパ部材51は、位置決め部材53aが上側案内部49cに位置している状態となっているため上昇されている。従って、この上方をキャリッジ20が通過すると、移動するキャリッジ20に撓ませられた後、その先端部51aが記録ヘッド25に当接する。そして、キャリッジ20が更に移動すると、ワイパ部材51は記録ヘッド25に対して相対移動し、記録ヘッド25の全面を掻き取るように払拭清掃する。
【0051】
このようにワイパ部材51の上方を記録ヘッド25が通過して、ワイパ部材51による記録ヘッド25の清掃が終了すると、プリンタ11は、再び駆動モータ31を逆回転させる。従って、再び第4ギヤ40が反r1方向、第1作動ギヤ47が反r2方向に回転する。これに伴って円筒カム34が回転するため、カム溝49の上側案内部49cに嵌合していた位置決め部材53aが、カム溝49の傾斜案内部49bに沿って移動し、下側案内部49aに導かれる。従って、ワイピング装置35のワイパ部材51が降下する。そして、図6(a)、図7(a)及び図8(a)に示すように、位置決め部材53aがカム溝49の下側案内部49aに至ると、第1作動ギヤ47は、第4ギヤ40に対して第1基点Aの歯47aを過ぎるまで回転されるため、再び第4ギヤ40に噛み合わなくなり、その回転が停止される。その後、駆動モータ31の回転が停止される。
【0052】
本実施形態のプリンタ11によれば、次のような効果を得ることができる。
(1)本実施形態では、ワイパ部材51に当接して清掃するワイパクリーナ部材55を移動させて、ワイパ部材51に付着したインクを除去して、ワイパ部材51の汚れを落とす。このため、記録ヘッド25をよりきれいな状態にすることができる。また、ワイパクリーナ部材55を移動させるため、すなわちワイパ部材51を水平方向に移動させる必要がなく、ワイパ部材51を水平移動させるための空間を設ける必要がない。ワイパ部材51は、キャップ41に覆われる記録ヘッド25を払拭清掃するため設置場所の制約を受けるが、ワイパクリーナ部材55はワイパ部材51に比べて設置の自由度が高い。従って、ワイパクリーナ部材55をワイピング装置35の保持部材53の上方及び駆動モータ31の上方に設けることにより、ワイパ部材51の移動空間を不要としてワイピング装置35を小さくすることができる。このため、ワイピング装置35を小さくしても、ワイパ部材51の汚れを除去して、記録ヘッド25をよりきれいな状態にすることができる。従って、ひいては、記録ヘッド25をよりきれいな状態にすることができ、かつ小型化できるプリンタ11とすることができる。
【0053】
(2)本実施形態では、清掃部56が当接するワイパ部材51の面51bのy方向の長さよりも、清掃部56の長さが長い。すなわち、清掃部56がワイパ部材51に当接する面積が大きいので、清掃部56は、ワイパ部材51のインク汚れを効率よく吸着除去することができる。従って、汚れが除去されたワイパ部材51により記録ヘッド25の清掃が行われるので、記録ヘッド25をよりきれいな状態にすることができる。
【0054】
(3)本実施形態では、清掃部56は、ワイパ部材51の湾曲した基端部51c及びその下方の面51bに当接する。先端部51aが湾曲した形状のワイパ部材51においては、記録ヘッド25の清掃によりワイパ部材51に付着するインクは、ワイパ部材51の湾曲した基端部51c及びその下方の面51bに滞留しやすく、これらが最も汚れやすい。このため、基端部51c及び面51bにワイパクリーナ部材55の清掃部56が当接することにより、最も汚れやすい部分の汚れを効率よく除去することができる。
【0055】
(4)本実施形態では、ワイパクリーナ部材55にはラック58が形成されており、このラック58が第2作動ギヤ48に噛み合っている。このため、駆動モータ31の回転力が伝達されて第2作動ギヤ48が回転することにより、ワイパクリーナ部材55がy方向及び反y方向に移動される。従って、ワイパクリーナ部材55の移動手段を簡単でコンパクトな構成にすることができる。
【0056】
(5)本実施形態では、ワイパクリーナ部材55のラック58に噛み合う第2作動ギヤ48は、ワイパ部材51を上昇させる位置決め部材53aが嵌合されている円筒カム34と一体に固定されている。すなわち、円筒カム34の中心軸を中心として回動するように取り付けられている。このため、ワイパクリーナ部材55を移動させるために、円筒カム34の上方に第2作動ギヤ48を重ねて配置することができるので、ワイピング装置35の水平方向の大きさを小さくすることができる。
【0057】
(6)本実施形態では、反x方向に移動するキャリッジ20を払拭する直前のワイパ部材51に、ワイパクリーナ部材55を当接させてワイパ部材51を清掃した。ワイパ部材51が記録ヘッド25を払拭した直後は、付着したインクがワイパ部材51から流れ落ちる。そして、その後に、ワイパ部材51に付着したインクを除去するとともに、ワイパ部材51が記録ヘッド25を清掃する直前にワイパ部材51を清掃する。従って、効率的にワイパ部材51の汚れを除去することができ、汚れを除去したきれいな状態のワイパ部材51で記録ヘッド25を払拭清掃することができる。このため、記録ヘッド25をよりきれいにすることができる。
【0058】
(変更例)
なお、上記実施形態は以下のように変更してもよい。
○ワイパクリーナ部材55のラック58の歯58aと噛み合う第2作動ギヤ48を、円筒カム34を回転させる軸と異なる軸で回転させること。例えば、ギヤ37〜40のいずれかに噛み合うギヤを設け、このギヤに第2作動ギヤ48を噛み合わせてもよい。
【0059】
○クリーニング機構30の配置構造によっては、ワイパクリーナ部材55において、清掃部56の反対側の面にラック58を設ける代わりに、清掃部56と同じ面にラック58を形成すること。
【0060】
○ワイパクリーナ部材55を他の形状にすること。この場合、ワイパクリーナ部材55をL字形状にして、x方向及び反x方向に移動させるようにしてもよい。すなわち、ワイパクリーナ部材55は、y方向及び反y方向に水平移動させる代わりに、x方向及び反x方向に水平移動させるようにしてもよい。
【0061】
○ワイパクリーナ部材55の清掃部56の形状を他の形状にすること。この場合、ワイパ部材51の基端部51cにぴったりと合う形状とすれば、ワイパ部材51の汚れをより効果的に除去することができる。
【0062】
○清掃部56のy方向の長さを短くすること。この場合であっても、清掃部56のワイパ部材51側の端部が、ワイパ部材51のワイパクリーナ部材55とは反対側の端部まで到達することができれば、ワイパ部材51を清掃することができる。
【0063】
○ワイパクリーナ部材55により清掃されるワイパ部材51の形状を他の形状とすること。例えば、単に直方体形状をしたワイパ部材51であってもよい。
○ワイパクリーナ部材55を移動する移動手段は、他の構成であってもよい。例えば、駆動モータ31の回転力をy方向周りの回転力にし、この回転力を直進力に変換するような機構により、ワイパクリーナ部材55を移動させる機構であってもよい。
【0064】
○インクカートリッジ24は、5つに区画された収容室に、マゼンタ、ライトマゼンタ、シアン、ライトシアン及びイエロの各色のインクを収容するものであってもよい。なお、インクは、顔料インク及び染料インクのいずれであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施形態におけるプリンタの斜視図。
【図2】図1のプリンタに使用される円筒カムの平面図及び正面図。
【図3】図1のプリンタのクリーニング装置の斜視図。
【図4】別の方向から見た同クリーニング装置の斜視図。
【図5】同クリーニング装置の平面図。
【図6】ワイパクリーナ部材の作用を説明するプリンタの要部の斜視図。
【図7】別の方向から見た同要部の斜視図。
【図8】同要部の平面図。
【符号の説明】
31…回動手段を構成する駆動モータ、31a…回動手段を構成するギヤ、34…円筒カム、35…ワイピング装置、37…回動手段を構成するギヤ、38…回動手段を構成するギヤ、39…回動手段を構成するギヤ、40…回動手段を構成するギヤ、48…ピニオンとしてのクリーナ駆動ギヤ、51…ワイパ部材、51b…面、51c…湾曲した基端部、55…ワイパクリーナ部材、56…清掃部、58…ラック。

Claims (6)

  1. 液体を噴射する液体噴射ヘッドに当接して清掃するワイパ部材と、
    このワイパ部材に当接して清掃する清掃部を有したワイパクリーナ部材と
    を備えたワイピング装置であって、
    前記ワイパクリーナ部材を水平方向に移動させて前記ワイパ部材に当接させる移動手段を備えていることを特徴とするワイピング装置。
  2. 請求項1に記載のワイピング装置において、
    前記清掃部は、当接する前記ワイパ部材の面の長さよりも長いことを特徴とするワイピング装置。
  3. 請求項1又は2に記載のワイピング装置において、
    前記ワイパ部材は、先端が湾曲形状をしており、
    前記ワイパクリーナ部材の清掃部が前記ワイパ部材の湾曲した基端部及びその下方の面に当接するように、前記ワイパクリーナ部材が配設されていることを特徴とするワイピング装置。
  4. 請求項1〜3に記載のワイピング装置において、
    前記ワイパクリーナ部材には、ラックが設けられており、
    前記移動手段は、前記ラックに噛合するピニオンと、
    このピニオンを回動させる回動手段と
    を備えていることを特徴とするワイピング装置。
  5. 請求項4に記載のワイピング装置において、
    回動することにより前記ワイパ部材を昇降させる円筒カムを備えており、
    前記ピニオンは、前記円筒カムの回動軸を中心として回動するように取り付けられていることを特徴とするワイピング装置。
  6. 請求項1〜5のいずれか1つに記載のワイピング装置と、
    前記ワイピング装置の前記ワイパ部材によって清掃される前記液体噴射ヘッドを有したキャリッジと
    を備えたことを特徴とする液体噴射装置。
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