JP2004249528A - 感熱記録体 - Google Patents

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Shigetoshi Seki
重利 関
Nobuyuki Iwasaki
信幸 岩崎
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Abstract

【課題】耐水性および白紙部の耐黄変性に優れた感熱記録体に関するものである。
【解決手段】支持体上に、ロイコ染料、呈色剤および接着剤を含有する感熱記録層、並びに接着剤を含有する保護層を順次有する感熱記録体において、感熱記録層および/または保護層中の接着剤が少なくともアセトアセチル変性ポリビニルアルコールであり、感熱記録層および/または保護層中に、ヒドラジド化合物が含有され、かつ前記感熱記録体の冷水抽出法による水抽出液pH(JIS P 8133:1998に準拠する)が5〜7であることを特徴とする感熱記録体。
【選択図】なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ロイコ染料と呈色剤との発色反応を利用した感熱記録体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ロイコ染料と呈色剤との発色反応を利用した感熱記録体は比較的安価であり、記録機器がコンパクトで、その保守も容易なため、ファクシミリ、各種計算機、測定機器などの記録媒体に広く使用されている。
【0003】
感熱記録体の用途の拡大に伴ない、耐水性に優れた品質を有する感熱記録体の需要が高まっている。感熱記録体の耐水性を高めるために、保護層の接着剤としてアセトアセチル変性ポリビニルアルコールを用い、かつ感熱記録層にアセトアセチル変性ポリビニルアルコールの耐水化剤としてヒドラジン系化合物を用いた感熱記録体(特許文献1参照)があり、また保護層にアセトアセチル変性ポリビニルアルコールとヒドラジン系化合物とを含有させた感熱記録体(特許文献2参照)があるが、感熱記録体の白紙部が経時的に黄変する問題がある。
【0004】
ところで、記録部が色味のない黒色を有し、しかも感熱記録体の地肌カブリの抑制と記録部の保存性を改良するために、ある特定の顕色剤を使用し、かつ感熱記録体の冷水抽出液pH(JIS P 8133に準拠する)が6〜9である感熱記録体(特許文献3参照)があるが、感熱記録層および/または保護層の接着剤として少なくともアセトアセチル変性ポリビニルアルコールを用い、下塗り層、感熱記録層、保護層の少なくとも1層中に、ヒドラジド化合物を用いて耐水性を改良したり、感熱記録体の白紙部の経時的な黄変を抑制する格別の効果が得られることを示唆する記載はない。
【0005】
【特許文献1】
特開平11−314458号公報
【特許文献2】
特開2001−121815号公報
【特許文献3】
特開2002−160458号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、耐水性および白紙部の耐黄変性に優れた感熱記録体を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
支持体上に、ロイコ染料、呈色剤および接着剤を含有する感熱記録層、並びに接着剤を含有する保護層を順次有する感熱記録体において、感熱記録層および/または保護層中の接着剤が少なくともアセトアセチル変性ポリビニルアルコールであり、感熱記録層および/または保護層中に、ヒドラジド化合物が含有され、かつ前記感熱記録体の冷水抽出法による水抽出液pH(JIS P 8133:1998に準拠する)を5〜7とさせたものである。
支持体上に、下塗り層、ロイコ染料、呈色剤および接着剤を含有する感熱記録層、並びに接着剤を含有する保護層を順次有する感熱記録体において、感熱記録層および/または保護層中の接着剤が少なくともアセトアセチル変性ポリビニルアルコールであり、下塗り層、感熱記録層、保護層の少なくとも1層中に、ヒドラジド化合物が含有され、かつ前記感熱記録体の冷水抽出法による水抽出液pH(JIS P 8133:1998に準拠する)を5〜7とさせたものである。
前記支持体が、酸性紙であることが好ましい。
前記ヒドラジド化合物が、ジカルボン酸ジヒドラジド化合物であることが好ましい。
【0008】
【発明の実施の形態】
感熱記録層中の接着剤として使用されるアセトアセチル変性ポリビニルアルコールの使用量は、感熱層の全固形分に対して2〜20質量%が好ましい。また、保護層層中の接着剤として使用されるアセトアセチル変性ポリビニルアルコールの使用量は、保護層の全固形分に対して20〜100質量%が好ましい。
【0009】
アセトアセチル変性ポリビニルアルコールのケン化度85〜100モル%程度、平均重合度400〜2000程度、アセトアセチル化度0.5〜10モル%程度が好ましい。
【0010】
アセトアセチル基の含有量が0.5モル%未満になると満足な耐水性が選られず、また10モル%を超えると水への溶解性が低下するだけでなく、保護層としての耐水性も低下する恐れがある。
【0011】
感熱記録体の耐水性を高めるために、感熱記録層および/または保護層中のアセトアセチル変性ポリビニルアルコールの耐水化剤として、ヒドラジド化合物が下塗り層、感熱記録層、保護層の少なくとも一層、好ましくは感熱記録層のみに含有される。もちろん、本発明の所望の効果を損なわない限りにおいて、他の耐水化剤を併用することもできる。
【0012】
ヒドラジド化合物の使用量については特に限定されないが、保護層に含有させる場合は保護層の全固形分に対して0.1〜10質量%、好ましくは0.2〜5質量%程度である。また、感熱記録層に含有させる場合は感熱記録層の全固形分に対して0.1〜15質量%、好ましくは0.5〜10質量%程度である。また、下塗り層に含有させる場合は下塗り層の全固形分に対して0.1〜15質量%、好ましくは0.5〜10質量%程度である。
【0013】
かかるヒドラジド化合物の具体例としては、例えば安息香酸ヒドラジド、蟻酸ヒドラジド、酢酸ヒドラジド、プロピオン酸ヒドラジド、n−酪酸ヒドラジド、イソ酪酸ヒドラジド、n−吉草酸ヒドラジド、イソ吉草酸ヒドラジド、ピバリン酸ヒドラジド、カルボヒドラジド、アジピン酸ジヒドラジト、フタル酸ジヒドラジド、イソフタル酸ジヒドラジド、テレフタル酸ジヒドラジド、シュウ酸ジヒドラジド、マロン酸ジヒドラジド、コハク酸ジヒドラジド、グルタル酸ジヒドラジド、セバチン酸ジヒドラジド、マレイン酸ジヒドラジド、フマル酸ジヒドラジド、イタコン酸ジヒドラジド、ポリアクリル酸ヒドラジド等が挙げられる。
【0014】
これらは、単独または併用して使用することが可能である。なかでも、アジピン酸ジヒドラジド、フタル酸ジヒドラジド、イソフタル酸ジヒドラジド、テレフタル酸ジヒドラジド、シュウ酸ジヒドラジド、マロン酸ジヒドラジド、コハク酸ジヒドラジド、グルタル酸ジヒドラジド、セバチン酸ジヒドラジド、マレイン酸ジヒドラジド、フマル酸ジヒドラジド、イタコン酸ジヒドラジド等のジカルボン酸ジヒドラジドが好ましく、耐水化付与効果や水への溶解性、安全性を考慮するとアジピン酸ジヒドラジドが最も好ましい。炭素数が4未満のカルボン酸ジヒドラジドは反応性は向上するが、感熱記録体の未記録部を赤着色させる場合がある。
【0015】
感熱記録層および/または保護層中のアセトアセチル変性ポリビニルアルコールが、下塗り層、感熱記録層、保護層中の少なくとも1層に含有されるヒドラジド化合物により架橋反応して感熱記録体の耐水性が高められるが、その際、感熱記録体の冷水抽出法による水抽出液pH(JIS P 8133:1998に準拠する)が5〜7に調整される必要がある。
【0016】
感熱記録体の冷水抽出法による水抽出液pHが5未満になると、経時的に地肌カブリが発生する恐れがあり、また7を越えると、感熱記録体の白紙部が経時的に黄変する恐れがある。
【0017】
感熱記録体の冷水抽出法による水抽出液pHを5〜7に調整するための手段としては、例えば支持体として抄紙pHが4.5付近である酸性抄紙法で抄紙された酸性紙を使用し、感熱記録層および保護層を形成するための塗液のpHを8以下、好ましくは5〜8程度にすることにより得られる。特に、支持体としては、抄紙pHが4〜5.5程度で酸性抄紙された酸性紙が好ましい。
【0018】
感熱記録層および/または保護層用塗液中に、アセトアセチル変性ポリビニルアルコールとヒドラジド化合物が共存している場合、塗液のpHが4未満になると、その塗液中の両成分が架橋反応して塗液がゲル化する恐れがあり、また塗液のpHが8を越えると塗液が黄変する恐れがある。
【0019】
また、感熱記録体の支持体、下塗り層、感熱記録層および保護層の少なくとも1層に炭酸カルシウム、炭酸マグネシウムなどの塩基性顔料が含有されていると、感熱記録体の冷水抽出法による水抽出液pHが7を越える恐れがあり、その結果、感熱記録体の白紙部が経時的に黄変するので、塩基性の無機顔料は含有されていないことが望ましい。
【0020】
感熱記録層は、水を媒体とし、例えば平均粒径が0.2〜2μm程度に粉砕されたロイコ染料分散液および呈色剤分散液、接着剤、ヒドラジド化合物、および必要により下記の顔料や各種助剤とを混合攪拌して調製された感熱記録層用塗液を坪量40〜200g/m程度の酸性紙などの支持体上に塗布乾燥して形成される。
【0021】
感熱記録層用塗液中の接着剤としては、本願発明で使用されるアセトアセチル変性ポリビニルアルコール以外に、例えば完全ケン化ポリビニルアルコール、部分ケン化ポリビニルアルコール、カルボキシ変性ポリビニルアルコール、ケイ素変性ポリビニルアルコール、デンプン、酸化デンプン、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ゼラチン、カゼイン、アラビアガム、ジイソブチレン・無水マレイン酸共重合体塩、スチレン・無水マレイン酸共重合体塩、エチレン・アクリル酸共重合体塩、スチレン・アクリル酸共重合体塩、尿素樹脂、メラミン樹脂、アミド樹脂、スチレン・ブタジエン樹脂系ラテックス、アクリル樹脂系ラテックス、ウレタン樹脂系ラテックス等が挙げられる。
【0022】
顔料としては、例えば酸化アルミニウム、二酸化チタン、無定形シリカ、水酸化アルミニウム、硫酸バリウム、カオリン、焼成カオリン等の無機顔料、スチレン樹脂フィラー、アクリル系樹脂フィラー、ナイロン樹脂フィラー、尿素・ホルマリン樹脂フィラー等の有機顔料が挙げられる。なかでも、カオリン、無定形シリカまたは焼成カオリンなどの酸性顔料が好ましい。
【0023】
感熱記録層用塗液中に添加し得る助剤としては、例えばステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ポリエチレンワックス、カルナバロウ、パラフィンワックス、エステルワックス等の滑剤、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム、ポリアクリル酸ナトリウム等の界面活性剤、および紫外線吸収剤、蛍光染料、着色染料、離型剤、酸化防止剤等の助剤を添加することもできる。
【0024】
ロイコ染料および呈色剤としては、各種公知のものが使用できる。ロイコ染料の具体例としては、例えば3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)−6−ジメチルアミノフタリド、3−(4−ジエチルアミノ−2−メチルフェニル)−3−(4−ジメチルアミノフェニル)−6−ジメチルアミノフタリド、3−ジエチルアミノ−7−クロロフルオラン、3−(N−エチル−N−イソアミル)アミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−メチル−N−シクロヘキシル)アミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジ(n−ブチル)アミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジ(n−ペンチル)アミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−エチル−p−トルイジノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ピロリジノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ピペリジノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3,3−ビス〔1−(4−メトキシフェニル)−1−(4−ジメチルアミノフェニル)エチレン−2−イル〕−4,5,6,7−テトラクロロフタリド、3−p−(p−ジメチルアミノアニリノ)アニリノ−6−メチル−7−クロロフルオラン、3−p−(p−クロロアニリノ)アニリノ−6−メチル−7−クロロフルオラン、3,6−ビス(ジメチルアミノ)フルオレン−9−スピロ−3’−(6’−ジメチルアミノ)フタリド等が挙げられる。
【0025】
勿論、上記のロイコ染料に限定されるものではなく、また二種以上を併用することもできる。また、ロイコ染料の使用量は、使用する呈色剤により異なるため限定できないが、感熱記録層全固形分に対して5〜35質量%程度である。
【0026】
呈色剤の具体例としては、例えば4,4’−イソプロピリデンジフェノール、4,4’−シクロヘキシリデンジフェノール、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−4−メチルペンタン、2,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、4−ヒドロキシ−4’−イソプロポキシジフェニルスルホン、ビス(3−アリル−4−ヒドロキシフェニル)スルホン、4−ヒドロキシ−4’−メチルジフェニルスルホン、ビス(p−ヒドロキシフェニル)酢酸ブチル、ビス(p−ヒドロキシフェニル)酢酸メチル、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、1,4−ビス〔α−メチル−α−(4’−ヒドロキシフェニル)エチル〕ベンゼンなどのフェノール性化合物、N−p−トリルスルホニル−N’−フェニルウレア、4,4’−ビス〔(4−メチル−3−フェノキシカルボニルアミノフェニル)ウレイド〕ジフェニルメタン、N−p−トリルスルホニル−N’−p−ブトキシフエニルウレア等の分子内にスルホニル基とウレイド基を有する化合物、4−〔2−(p−メトキシフェノキシ)エチルオキシ〕サリチル酸亜鉛、4−〔3−(p−トリルスルホニル)プロピルオキシ〕サリチル酸亜鉛、5−〔p−(2−p−メトキシフェノキシエトキシ)クミル〕サリチル酸等の芳香族カルボン酸の亜鉛塩化合物等が挙げられる。
【0027】
ロイコ染料と呈色剤との使用比率は、用いるロイコ染料や呈色剤の種類に応じて適宜選択されるものであり、特に限定するものではないが、一般にロイコ染料に対して100〜1000質量%、好ましくは100〜500質量%程度の呈色剤が使用される。
【0028】
感熱記録層には、記録部の保存安定性を高めるために保存性改良剤、および記録感度を高めるために増感剤を含有させることもできる。かかる保存性改良剤の具体例としては、例えば2,2’−エチリデンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェノール)、4,4’−チオビス(2−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)ブタン、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−シクロヘキシルフェニル)ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)プロパン等のヒンダードフェノール化合物、1,4−ジグリシジルオキシベンゼン、4,4’−ジグリシジルオキシジフェニルスルホン、4−ベンジルオキシ−4’−(2−メチルグリシジルオキシ)ジフェニルスルホン、テレフタル酸ジグリシジル、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂等のエポキシ化合物、N,N’−ジ−2−ナフチル−p−フェニレンジアミン、2,2’−メチレンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスフェイトのナトリウムまたは多価金属塩、ビス(4−エチレンイミノカルボニルアミノフェニル)メタン等が挙げられる。
【0029】
増感剤の具体例としては、例えばステアリン酸アミド、メチレンビスステアリン酸アミド、テレフタル酸ジベンジル、p−ベンジルオキシ安息香酸ベンジル、2−ナフチルベンジルエーテル、m−ターフェニル、p−ベンジルビフェニル、p−トリルビフェニルエーテル、ジ(p−メトキシフェノキシエチル)エーテル、1,2−ジ(3−メチルフェノキシ)エタン、1,2−ジ(4−メチルフェノキシ)エタン、1,2−ジ(4−メトキシフェノキシ)エタン、1,2−ジ(4−クロロフェノキシ)エタン、1,2−ジフェノキシエタン、1−(4−メトキシフェノキシ)−2−(3−メチルフェノキシ)エタン、p−メチルチオフェニルベンジルエーテル、1,4−ジ(フェニルチオ)ブタン、p−アセトトルイジド、p−アセトフェネチジド、N−アセトアセチル−p−トルイジン、ジ(β−ビフェニルエトキシ)ベンゼン、シュウ酸ジ−p−クロロベンジルエステル、シュウ酸ジ−p−メチルベンジルエステル、シュウ酸ジベンジルエステル等が例示される。これらの保存性改良剤および増感剤の使用量は特に限定されないが、一般に呈色剤1質量部に対して4質量部以下で調節するのが望ましい。
【0030】
感熱記録層上には、接着剤としてアセトアセチル変性ポリビニルアルコールを含有する保護層を設けることにより、記録走行性、耐摩擦カブリ性、耐薬品性が高められる。
【0031】
保護層中の接着剤としては、アセトアセチル変性ポリビニルアルコールが選択的に使用されるが、本発明の所望の効果を損なわない限りにおいて、他の接着剤を使用することもできる。かかる他の接着剤としては、例えば感熱記録層用塗液で例示したものが挙げられる。
【0032】
保護層は、一般には水を媒体とし、接着剤液、必要により感熱記録層用塗液で例示した顔料類、ヒドラジド化合物、ワックス類、滑剤類等と共に混合攪拌して調製された保護層用塗液を乾燥後の塗工量が0.5〜10g/m程度となるように感熱記録層上に塗布乾燥して形成される。
【0033】
感熱記録層、保護層の形成方法については特に限定されず、例えばエアーナイフコーティング、バリバーブレードコーティング、ピュアーブレードコーティング、ロッドブレードコーティング、ショートドウェルコーティング、カーテンコーティング、ダイコーティング等の適当な塗布方法により感熱記録層用塗液を酸性紙、プラスチックフィルム、合成紙、不織布等の支持体上に塗布・乾燥した後、更に保護層用塗液を感熱記録層上に塗布・乾燥する等の方法で形成される。
【0034】
感熱記録層用塗液の塗布量は乾燥重量で2〜12g/m、好ましくは3〜10g/m程度、保護層用塗液の塗布量は乾燥重量で0.1〜10g/m、好ましくは0.5〜6g/m程度である。
【0035】
なお、必要に応じて感熱記録体の支持体の裏面側にも保護層を設けたり、支持体と感熱記録層の間に有機または無機の吸油性顔料を主成分とした下塗り層を設けたり、各層塗抹後にスーパーカレンダー掛け等の平滑化処理を施すことなども可能である。また、感熱記録体の支持体の裏面側に粘着剤層を設けるなどの感熱記録体製造分野における各種の公知技術が必要に応じて付加し得るものである。
【0036】
【実施例】
以下に実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、勿論これらに限定されるものではない。なお、例中の「部」及び「%」は、特に断らない限りそれぞれ「質量部」、「質量%」を示す。
【0037】
実施例1
▲1▼下塗り層用塗液の調製
焼成クレー(吸油量:110ml/100g)100部、ポリビニルアルコール(ケン化度88%、重合度1000)の10%水溶液200部、スチレン−ブタジエン系ラテックス50%水溶液15部および水100部からなる組成物を混合攪拌して、pH6.8(25℃)の下塗り層用塗液を得た。
【0038】
▲2▼A液調製
3−ジ−(n−ブチル)アミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン40部、ヒドロキシプロピルメチルセルロースの5%水溶液10部および水50部からなる組成物をサンドミルで平均粒子径が1.0μmになるまで粉砕してA液を得た。
【0039】
▲3▼B液調製
4−ヒドロキシ−4’−イソプロポキシジフェニルスルホン40部、ヒドロキシプロピルメチルセルロースの5%水溶液10部および水50部からなる組成物をサンドミルで平均粒子径が1.0μmになるまで粉砕してB液を得た。
【0040】
▲4▼C液調製
1,2−ジ(3−メチルフェノキシ)エタン40部、メチルセルロースの5%水溶液10部および水50部からなる組成物をサンドミルで平均粒子径が1.0μmになるまで粉砕してC液を得た。
【0041】
▲5▼感熱記録層用塗液の調製
A液30部、B液60部、C液60部、ケイ素変性ポリビニルアルコール(商品名:クラレポバール(登録商標)R−1130、クラレ社製)の10%水溶液100部、アジピン酸ジヒドラジドの5%水溶液20部、無定形シリカ(商品名:ミズカシルP527、水沢化学工業社製)15部、固形分濃度50%のスチレン・ブタジエン系ラテックス20部および水40部を混合攪拌してpH7.4(25℃)の感熱記録層用塗液を得た。
【0042】
▲6▼保護層用塗液の調製
アセトアセチル変性ポリビニルアルコール(商品名:ゴーセファイマー(登録商標)Z−200、日本合成化学工業社製)の10%水溶液250部、カオリン(商品名:UW−90、EC社製)63部、ステアリン酸亜鉛の30%水分散液5部および水150部からなる組成物を攪拌してpH6.8(25℃)の保護層用塗液を得た。
【0043】
▲7▼感熱記録体の作製
pH4.5で酸性抄紙(抄紙条件:針葉樹晒クラフトパルプ20部、広葉樹晒クラフトパルプ80部、カナダ標準濾水度450ml、パルプ濃度2%、タルク(紙中5%)、ロジン系サイズ剤、硫酸バンド)された坪量60g/mの上質紙の片面に、下塗り層用塗液、感熱記録層用塗液および保護層用塗液を乾燥後の塗布量がそれぞれ9g/m、6g/m、4g/mとなるように順次塗布・乾燥して下塗り層、感熱記録層および保護層を形成して感熱記録体を得た。なお、各層を形成した後、スーパーカレンダーにより表面を平滑化処理した。
【0044】
実施例2
実施例1の感熱記録層用塗液において、ケイ素変性ポリビニルアルコールの代わりにアセトアセチル変性ポリビニルアルコールを用いた以外は実施例1と同様にして感熱記録体を得た。
【0045】
実施例3
実施例1の感熱記録層用塗液において、アジピン酸ジヒドラジドの代わりにコハク酸ジヒドラジドを用いた以外は実施例1と同様にして感熱記録体を得た。
【0046】
実施例4
実施例1の感熱記録層用塗液において、アジピン酸ジヒドラジドの代わりにポリアクリル酸ヒドラジドを用いた以外は実施例1と同様にして感熱記録体を得た。
【0047】
実施例5
実施例3の保護層用塗液において、アセトアセチル変性ポリビニルアルコールの代わりにジアセトンアクリルアミド変性ポリビニルアルコール(商品名:D−700 日本酢ビポバール社製)を用いた以外は実施例2と同様にして感熱記録体を得た。
【0048】
実施例6
実施例1の感熱記録層用塗液において、無定形シリカの代わりに水酸化アルミニウム(商品名:ハイジライトH−42、平均粒子径:1μm 昭和電工社製)を用いた以外は実施例1と同様にして感熱記録体を得た。
【0049】
実施例7
実施例1の下塗り層用塗液において、アジピン酸ジヒドラジドの40%水溶液10部を添加し、感熱記録層用塗液において、アジピン酸ジヒドラジドを添加しない以外は実施例1と同様にして感熱記録体を得た。
【0050】
比較例1
実施例1において、酸性抄紙された上質紙の代わりに中性抄紙された紙面pH6.8の上質紙を用いた以外は、実施例1と同様にして感熱記録体を得た。
【0051】
比較例2
実施例1の下塗り層用塗液において、焼成クレー100部の代わりに焼成クレー50部と軽質炭酸カルシウム50部を用いた以外は、実施例1と同様にして感熱記録体を得た。
【0052】
比較例3
実施例1の保護層用塗液において、更にカリミョウバンの3%水溶液を75部添加し、水150部を100部にした以外は、実施例1と同様にして感熱記録体を得た。この保護層用塗液のpH値は3.3であった。
【0053】
比較例4
実施例1の感熱記録層用塗液において、無定形シリカの代わりに炭酸マグネシウムを用いた以外は、実施例1と同様にして感熱記録体を得た。
【0054】
比較例5
実施例1の感熱記録層用塗液において、アジピン酸ジヒドラジドを添加しない以外は、実施例1と同様にして感熱記録体を得た。
【0055】
かくして得られた12種類の感熱記録体について、以下の評価試験を行い、その結果を表1に示した。
【0056】
〔発色性〕
感熱記録評価機(商品名:TH−PMD、大倉電機社製)を用い、印加エネルギー:0.35mJ/dotにて各感熱記録体を記録し、記録部の光学濃度(記録濃度)をマクベス濃度計(RD−914型、マクベス社製)を用いて、ビジュアルモードにて測定した。
【0057】
〔耐黄変性〕
未記録の感熱記録体を30℃、90%RH条件下に30日間放置した後、色相測定器(商品名:CR−221、ミノルタ社製)を用いて、保護層面のa、bを測定した。bが小さいほど耐黄変性に優れている。
【0058】
〔耐水性〕
5cm×5cmの感熱記録体の保護層面上に水を一滴(約30μl)垂らし、その上に保護層面どうしが接するように別の感熱記録体を重ね、自然乾燥させた後、手で感熱記録体と感熱記録体を剥がす際、保護層どうしの貼り付き程度で耐水性を下記のごとく評価した。
(評価基準)
◎:保護層面どうしが自然に離れる。
○:保護層面どうしは付着しているが、容易に感熱記録体どうしが剥がれ、保護層面の剥離もない。
×:保護層面どうしが付着し、感熱記録体どうしが剥がれず、感熱記録体が破れる。
【0059】
〔水抽出液pH〕
感熱記録体の冷水抽出法による水抽出液pH(JIS P 8133:1998に準拠する)を測定した。
【0060】
〔白色度〕
未記録の感熱記録体の白色度は、ハンター白色度計を用いて測定した。フィルターはブルーを用いた。測定値が大きいほど耐地肌カブリ性に優れている。
【0061】
【表1】
Figure 2004249528
【0062】
【発明の効果】
表1から明らかなように、本発明の感熱記録体は、耐水性および白紙部の耐黄変性に優れた効果を有するものである。

Claims (4)

  1. 支持体上に、ロイコ染料、呈色剤および接着剤を含有する感熱記録層、並びに接着剤を含有する保護層を順次有する感熱記録体において、感熱記録層および/または保護層中の接着剤が少なくともアセトアセチル変性ポリビニルアルコールであり、感熱記録層および/または保護層中に、ヒドラジド化合物が含有され、かつ前記感熱記録体の冷水抽出法による水抽出液pH(JIS P 8133:1998に準拠する)が5〜7であることを特徴とする感熱記録体。
  2. 支持体上に、下塗り層、ロイコ染料、呈色剤および接着剤を含有する感熱記録層、並びに接着剤を含有する保護層を順次有する感熱記録体において、感熱記録層および/または保護層中の接着剤が少なくともアセトアセチル変性ポリビニルアルコールであり、下塗り層、感熱記録層、保護層の少なくとも1層中に、ヒドラジド化合物が含有され、かつ前記感熱記録体の冷水抽出法による水抽出液pH(JIS P 8133:1998に準拠する)が5〜7であることを特徴とする感熱記録体。
  3. 前記支持体が、酸性紙である請求項1または2記載の感熱記録体。
  4. 前記ヒドラジド化合物が、ジカルボン酸ジヒドラジド化合物である請求項1〜3のいずれかに記載の感熱記録体。
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