JP2004248644A - 緑茶粉末の油性分散体とその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】天然の食用油の過剰な摂取は、肥満や高血圧症だけでなく、心疾患や大腸がんなどにもつながる要因とされている。一方、緑茶には数多くの薬効成分が含まれている。現在、この天然の食用油と抹茶の混合物が抹茶風味のあるソフトクリームなどの食品加工に際して使用されている。この抹茶混合物に含まれる天然の食用油の問題点を解決し、生活習慣病の予防等、健康づくりに大きく寄与する緑茶粉末の油性分散体とその製造方法を提供することにある。
【解決手段】ジアシルグリセロールを主成分とする食用油、またはこの食用油に植物性ステロールを添加した食用油に緑茶粉末を分散させてなる緑茶粉末の油性分散体とその製造方法である。
【解決手段】ジアシルグリセロールを主成分とする食用油、またはこの食用油に植物性ステロールを添加した食用油に緑茶粉末を分散させてなる緑茶粉末の油性分散体とその製造方法である。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は緑茶粉末の油性分散体とその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
緑茶は周知のように、古来から薬用や嗜好品として用いられてきた。近代科学の発展によって、緑茶にはカテキン類、カフェイン、ビタミンC、ビタミンE、ビタミンK、β−カロテン、葉酸;テアニンやグルタミン酸などのアミノ酸類、カリウムやカルシウムなどのミネラル類、食物繊維、クロロフィル、香気成分など数多くの水に可溶性、不溶性の成分が含まれていることが明らかにされてきた。また、それらの成分の生理機能が解明されてきた。
その結果、最近の健康ブーム、特に生活習慣病の予防と相俟って、緑茶の健康への大いなる寄与が再認識され、注目されている。すなわち、緑茶にはカテキン類を中心として、抗がん作用、抗酸化作用、動脈硬化抑制作用、血圧上昇抑制作用、血糖上昇抑制作用、脳卒中予防作用、心臓病予防作用、抗糖尿病作用、肝機能保護作用、抗肥満作用、抗菌作用、抗う蝕(虫歯)作用、抗歯周病作用、抗アレルギー作用、抗ウイルス作用、ダイオキシン排泄作用、美肌効果、消臭効果など、多様な作用効果のあることが実証されている。(例えば、村松敬一郎編:「茶の科学」、朝倉書店(2000);村松敬一郎ほか編;「茶の機能、―生体機能の新たな可能性―」、学会出版センター(2002)など)
このように、緑茶は極めて優れた薬効を有しており、またほとんどノンカロリーであることから、健康飲料や健康食品として普及している。特に緑茶粉末は茶の葉を茶臼などで挽いて微粉末にしたものである。したがって、緑茶粉末からは上記のような水に可溶性、不溶性の成分をすべて摂取できるため、健康や栄養面からは理想的な機能性食品、ダイエット食品といえる。
ところで、その緑茶粉末の利用法として、特開昭59−216824号公報に、抹茶と小麦胚芽油を混合し、抹茶に含まれる葉緑素のクロロフィルaおよびカフェインを小麦胚芽油に溶解したものが、小麦胚芽油に含まれるビタミンEの効果と相俟って、健康増進剤として有効であることが記載されている。
また、特開平7−79702号公報に、抹茶と綿実油、オリーブ油、胡麻油、椿油、パーム油、大豆油、菜種油などの前脂類に乳化剤を加えて混合撹拌して得られる抹茶ペーストが提案されている。この抹茶ペーストは粉末抹茶の単品に比べて変色や変質しにくいことが特長として挙げられている。また、この抹茶ペーストは、例えばソフトクリーム、ヌードル、クッキーなどの食品を作る際、これらの原料に加えると、単に抹茶の粉末を加えた場合と比較して混合が容易で、粒子の塊であるダマができないことが特長として挙げられている
しかしながら、上記のような天然の食用油の過剰な摂取は、肥満や高血圧症だけではなく、心疾患や大腸がんなどにもつながる要因とされている。このような生活習慣病を予防する観点からは、注意を払うべき大きな問題である。
一方、最近ジアシルグリセロールを主成分とする食用油(花王株式会社製、エコナ)が市販されている。この食用油は、大豆油や菜種油を独自の酵素処理法によって、高純度に生産されたものである。さらに、この食用油に4%の植物性ステロールが配合されたものがある。これらの食用油は、従来のトリアシルグリセロールを主成分とする天然の食用油(ジアシルグリセロールの含有量は、一般に1〜10%)に比べて体脂肪がつきにくい効果に加え、さらに植物性ステロールを添加することによって、血中のLDLコレステロールを下げる効果のあることが報告されている。(例えば、日本油化学会誌、46,309−314、(1997);日本臨床栄養学会誌、22(2)、81(2000)など)
現在このジアシルグリセロールを主成分とした食用油および、これに植物性ステロールを配合した食用油が画期的なものとして注目をあびている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の一つの目的は、上記のような食品加工に際して加えられる、従来の抹茶混合物に含まれる天然の食用油の問題点を解決し、生活習慣病の予防等、健康づくりに大きく寄与する緑茶粉末の油性分散体とその製造方法に関するものである。すなわち、緑茶粉末と特定の食用油からなる緑茶粉末の油性分散体とその製造方法を提供することにある。
また、もう一つの目的は、美肌クリームや歯磨きなど化粧品や衛生用剤等に利用しうる緑茶粉末の油性分散体とその製造方法を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明は特定の食用油、すなわちジアシルグリセロールを主成分とした食用油、またはこれに植物性ステロールを添加した食用油に、緑茶粉末を分散させてなる緑茶粉末の油性分散体とその製造方法に関するものである。
本発明において使用される緑茶粉末は、茶葉を茶臼やボールミルで微粉末に粉砕したものであるが、特に抹茶が好ましく使用される。一方、食用油は本発明の目的からしてジアシルグリセロールを主成分としたものである。また、この食用油に植物性ステロールを添加したものが使用される。
緑茶粉末の油性分散体は、混合容器内で上記の食用油に緑茶粉末を加えて撹拌混合することによって製造される。ここで、特に緑茶粉末の添加量が多い場合は、緑茶粉末の分散性を向上させるため、緑茶粉末を少量ずつ分割添加または連続添加することが望ましい。また、製造した緑茶粉末の油性分散体を長期間保存する場合には、緑茶の変色や変質を防止するために、窒素ガス等の不活性ガスで置換し、酸素を除去した雰囲気下で製造することが望ましい。
このようにして得られる油性分散体に含まれる緑茶粉末の量は0.5〜70重量%の範囲が好ましい。緑茶粉末の量が0.5重量%未満では緑茶本来の効果が少なくなる。一方、緑茶粉末の量が70重量%を超えてくると油性分散体の粘性が増し、流動性が低下する。
ここで、緑茶粉末の油性分散体の製造工程において、または製造後に、必要に応じて、下記の酸化防止剤、界面活性剤、分散安定剤等の添加剤を添加することができる。
緑茶粉末の油性分散体を長期間保存する場合、あるいは食品加工等において、使用時の加工条件等による品質の劣化を防止するために、酸化防止剤を添加することが望ましい。その酸化防止剤として、例えばビタミンC、ビタミンE、エリソルビン酸、エリソルビン酸ナトリウム、没食子酸、エラグ酸;ブドウ糖、麦芽糖、乳糖などの還元糖類がある。これらは1種または2種以上を用いることができる。これらの酸化防止剤のうち、相補的効果の観点から、特にビタミンCおよびビタミンEを併用して添加することが望ましい。これらの酸化防止剤の添加量は、食品等への添加基準によるが、抹茶の油性分散体に対して、一般に0.1〜5重量%である。
緑茶粉末の油性分散体の分散安定性を長期間保持し、また緑茶粉末の油性分散体を各種の食品加工分野や化粧品、衛生用剤等に利用した場合、原料素材との混合性を向上させるために、界面活性剤や分散安定剤を添加することができる。例えばメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、デキストリン、シクロデキストリン、カゼインナトリウム、ショ糖脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ゼラチン、ヒドロキシアパタイト、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、燐酸三カルシウムなどから選ばれる1種または2種以上のものが使用される。これらの界面活性剤等はその性質に応じ、水、エタノール、グリセリン、プロピレングリコール、食用油などの溶液として、またはこれらに分散させて添加することが望ましい。その界面活性剤等の添加量は分散性能、保護コロイド性、粘性、食品や化粧品への添加基準などによるが、一般に緑茶粉末の油性分散体に対して0.05〜10重量%である。
さらに、必要に応じて他のビタミン類、ミネラル類、甘味料、調味料、酸味料、pH調整剤、香料など各種の添加剤を添加することができる。
緑茶粉末の油性分散体は、一般には濾過したのち、使用目的に応じ、各種の包装容器に窒素ガス充填包装または真空包装方法によって充填後、加熱殺菌処理される。加熱殺菌の温度や時間は、一般生菌や大腸菌が死滅する条件に設定すればよい。
【0005】
【発明の実施の形態】
本発明の緑茶粉末の油性分散体は、特に乳製品、でんぷん、植物性たんぱく質を主原料とした、抹茶風味のある数多くの食品加工分野に利用できる。例えば、ソフトクリーム、チョコレート、バター代替品、チーズ、マヨネーズ、パン類、ケーキ類、クッキー、カステラ、和菓子類、麺類などに幅広く利用できる。この場合、粉末抹茶を使用したときのような微粉末の飛散はなく、また原料素材との混合性が向上し、抹茶粉末の凝集物であるダマもできない。また、食品の加工工程において加熱処理しても緑茶は変色し難く、加工製品を長期間保存しても鮮やかな緑色を保持している。
また、本発明の緑茶粉末の油性分散体は、健康食品としてそのまま、あるいはバターやマヨネーズのようにパンなどに塗布して食することができる。また、カプセルに封入して服用することもできる。
さらに、美肌クリームやパックに加工して顔面マスクに塗布して使用したり、歯磨き、舌磨きなど、化粧品や衛生用剤の分野にも利用できる。
本緑茶粉末の油性分散体は安定性がよく、長期間経過しても緑茶が有する本来の新鮮さを保持している。
【0006】
【実施例】
以下に、本発明を実施例で説明するが、各種原料添加物の添加部数およびパーセントは、すべて重量基準で表したものである。
実施例1
ステンレス製の混合容器に、ジアシルグリセロールを主成分とする食用油(花王(株)製、エコナ、植物性ステロール4%含有)75部を仕込み、撹拌下に抹茶(香岳園製茶(株)製、平安の昔)25部を3回に分けて加えて混合した。この結果、流動性の良好な抹茶の油性分散体が得られた。これを80メッシュのフィルターで濾過したのち、50gをレトルト用真空袋に充填し、空気を抜いてシールした。これを95℃で10分間加熱して殺菌処理したのち、直ちに冷水で冷却した。これを10℃±1℃で30日間保管した。この結果、抹茶の色および風味ともに製造直後のものと差異は認められず、抹茶本来の新鮮さを保持していた。
実施例2
ガラス製の混合容器に、ジアシルグリセロールを主成分とする食用油(花王(株)製、エコナ)70部、1部の水に溶かしたビタミンC0.5部、ビタミンE1部、2部のエタノールに溶かしたショ糖グリセリン脂肪酸エステル(第一工業製薬(株)製、DKエステルF−160/F−70=7/3混合物)0.5部を仕込み、撹拌下に抹茶(香岳園製茶(株)製、祥瑞の昔)30部を4回に分けて加え、分散させながら混合した。この結果、流動性のやや低い抹茶の油性分散体が得られた。この油性分散体50gをレトルト用真空袋に充填し、空気を抜いてシールした。これを95℃で10分間加熱して殺菌処理したのち、直ちに冷水で冷却した。これを、20℃±1℃で30日間保管した。この結果、抹茶の色および風味ともに製造直後のものと差異は認められず、抹茶本来の新鮮さを保持していた。
実施例3
ガラス製の混合容器にジアシルグリセロールを主成分とした食用油(花王(株)製、エコナ)50部およびビタミンE1部を仕込み、撹拌下に抹茶(香岳園製茶(株)製、京昔)50部を8回に分けて分散させながら加えて混合した。この結果、粘り気の強い抹茶の油性分散体を得た。この油性分散体50gをレトルト用真空袋に充填し、空気を抜いてシールした。これを95℃で10分間加熱して殺菌処理したのち、直ちに冷水で冷却した。
実施例4
ステンレス製の混合容器にジアシルグリセロールを主成分とした食用油(花王(株)製、エコナ、植物性ステロール4%を配合)65部を仕込み、撹拌下に抹茶(香岳園製茶(株)製、至宝の昔)35部を4回に分けて分散させながら加えて混合した。この油性分散体50gをレトルト用真空袋に充填し、空気を抜いてシールした。これを95℃で10分間加熱して殺菌処理したのち、直ちに冷水で冷却した。
実施例5
ステンレス製の混合容器にジアシルグリセロールを主成分とした食用油(花王(株)製、エコナ、植物性ステロール4%を配合)65部、1部の水に溶かしたビタミンC0.5部、ビタミンE1部、エタノール5部およびデキストリン(日本食品化学工業(株)製、クラスターデキストリン/シクロデキストリンB−100=1/1混合物)5部を仕込み、撹拌しながら容器内を真空ポンプで脱気したのち、窒素ガスで置換した。引き続いて撹拌下に抹茶(香岳園製茶(株)製、至宝の昔)35部を4回に分けて分散させながら加えて混合した。この油性分散体各50gを窒素ガスチャンバー内でそれぞれ、レトルト用真空袋およびPE/EVOH製のプラスチックチューブに充填し、シールした。これを95℃で10分間加熱して殺菌処理したのち、直ちに冷水で冷却した。
実施例6
テンレス製の混合容器にジアシルグリセロールを主成分とした食用油(花王(株)製、エコナ)60部、グリセリン脂肪酸エステル(花王(株)製、エキセルT−95)0.2部、シクロデキストリン(日本食品加工(株)製、セルデックスTB−50)5部、ブドウ糖2部、炭酸カルシウム2部、ビタミンC1部、ビタミンE0.5部を仕込み、撹拌下に煎茶の微粉末40部を5回に分けて加えて混合した。この結果、粘性の大きい煎茶粉末の油性分散体を得た。この油性分散体各50gをそれぞれ、レトルト用真空袋およびPE/PET製のプラスチックチューブに充填し、空気を抜いてシールした。これを95℃で10分間加熱して殺菌処理したのち、直ちに冷水で冷却した。
実施例7 (緑茶粉末の油性分散体の食品等への利用例)
その1 ケーキの製造
プラスチック製のボールに小麦粉(薄力粉)150g、50%のオリゴ糖水溶液80g、食塩0.5g、溶き卵1個分および小さじ1/2量のベーキングパウダー加えて混合した。つぎに、プレーンヨーグルト80gおよび実施例5で得た抹茶の油性分散体30gを加えて練り合わせた。
この混練物を半分に分けて楕円球状に成型したのち、180℃に保ったオーブンで30分間焼いた。この結果、鮮やかな緑色をした抹茶風味のある美味なケーキが得られた。
比較のために、実施例4で得た抹茶の油性分散体を用い、上記と同一処方でケーキを作った。このケーキと実施例5で得た抹茶の油性分散体を用いたケーキを、それぞれ蛍光灯の当たる場所と冷蔵庫内に2日間保存した。この結果、冷蔵庫内で保存したものは、いづれも変色は認められず、鮮やかな緑色を保持していた。一方、蛍光灯の当たる場所で保存した場合、実施例5で得た抹茶の油性分散体を用いたケーキは、ほとんど変色は認められなかったが、実施例4で得た抹茶の油性分散体を用いたケーキは、表面がわずかに淡褐色に変色していた。
その2 うどんの製造
プラスチック製のボールに小麦粉500gおよび界面活性剤(第一工業製薬(株)製、DKフォーマーFD−40)1部、食塩10gを水180mlに溶かした溶液を少量ずつ入れながらこね合わせたのち、実施例1で得た抹茶の油性分散体30gを加えて錬り込んだ。これをポリエチレン製の袋に入れ、十分に弾力が出るまで足で踏みつけながらこねた。この混練物をぬれ布巾で包み、5時間ねかせた。これをのし板の上に広げ、打ち粉をしながら、麺棒で前後左右に約3mmの厚さに伸ばしたものを約3mmの幅に切った。この麺を沸騰した湯の中にほぐしながら入れ、10分間ゆでたのち、冷水にさらした。この結果、鮮やかな緑色をした抹茶風味のあるうどんが得られた。
その3 そばの製造
プラスチック製のボールにそば粉500gを入れ、これにあらかじめ調合した溶き卵1/2個分、すり潰した山芋100g、界面活性剤(第一工業製薬(株)製、DKフォーマーFD−40)1部および小麦粉110gの混合物を少しずつ加えて混ぜた。これに水100gを少量ずつ加えて混ぜ合わせたのち、実施例4で得た抹茶の油性分散体30gを加えて錬り込んだ。さらに粘り気がでるまで十分にこねた。この混練物をぬれ布巾で包み、3時間ねかせた。これをのし板の上に広げ、打ち粉をしながら麺棒で前後左右に2〜3mmの厚さに伸ばしたものを2〜3mmの幅に切った。この麺をほぐしながら沸騰した湯の中に入れ、箸で静かにかき回しながらゆでた。麺が浮きあがれば、ざるですくい上げ、冷水にさらしたのち、水切りした。この結果、鮮やかな緑色をした抹茶風味のあるそばが得られた。
その4 ぎゅうひ(求肥)の製造
ホウロウ鍋に白玉粉100gを入れ、400mlの水を少しずつ加えながら弱火で加熱し、しゃもじで絶えずかきまぜた。透きとおるようになれば、オリゴ糖100gを3回に分けて練り込みながら加えた。これに実施例4で得た抹茶の油性分散体10gを加えて錬り込んだ。この混練物が手でさわってもべとつかなくなれば、カタクリ粉を十分にふった流し箱に移し、自然冷却した。この結果、鮮やかな緑色をした抹茶風味のあるぎゅうひが得られた。
その5 グリーンチョコレートの製造
ステンレス製容器にホワイトチョコレート(明治製菓(株)製、明治ホワイトチョコレート)80gを入れて加熱して溶かし、これに実施例3で得た抹茶の油性分散体20gを加えてかき混ぜて混合した。これを冷蔵庫に入れて固化させた結果、鮮やかな緑色をした光沢のあるグリーンチョコレートが得られた。
その6 抹茶クリームの製造
ステンレス製容器に実施例3で得た抹茶の油性分散体100gに蜂蜜100gおよび生クリーム50gを加えてかき混ぜて混合した。これを食パンやクッキーに塗ったものを数名の女性に試食願ったところ、ほろ苦い抹茶の風味と淡い蜂蜜の甘味がほどよくマッチして美味であったとの好評を得た。
その7 ソフトクリームの製造
バニラソフトミックス(日世(株)製)500mlに、実施例2で得た抹茶の油性分散体30gを加えて混合した。これをソフトクリーム用フリーザーに入れて抹茶入りのソフトクリームを作った。この結果、単に抹茶の粉末を混合したものと比較して、均一な混合が容易であり、色むらのない鮮やかな緑色をしたものが得られた。
その8 もちの製造
もち米1Kgを水で洗って一晩水に浸しておいたものを水切りし、布巾を敷いたせいろに入れ、30分間蒸した。これに実施例5で得た抹茶の油性分散体70gを加えて自動餅つき機でついた。出来上がったもちを片栗粉をふったのし板の上にのせ、手早くちぎって適当な大きさの丸もちを作った。この結果、色むらのない鮮やかな緑色をしたもちが得られた。また、このもちの中に小豆で作ったあんを入れた大福もちを作った。
その9 美肌パックへの利用
小麦粉100gに水を加えて耳たぶよりやや柔らかくしたものに、実施例5で得たチューブ入り抹茶の油性分散体20gを加えて練り合わせてクリームを作った。このクリーム10gを目、鼻および口の部分を切り取った顔面マスクに塗布したものを、肌荒れやシミで悩んでいる3名の女性に試用願った。この結果、毎日10分間の使用を3ヶ月間続けたところ、肌が潤い、しかもシミが薄れてきたとの朗報があった。
その10 歯磨きへの利用
薬用練り歯磨き(花王(株)製、つぶ塩)と実施例6で得たチューブ入り煎茶粉末の油性分散体を少量ずつほぼ1:1の割合で歯ブラシに付け、本発明者らおよびタバコなどで口臭を気にする男性3名と女性2名が朝と晩、毎日歯や舌を磨いたところ1週間もしないうちに口臭は薄れた。また口をすすいだ後の口内での抹茶の残り香と風味が爽やかであった。
【0007】
【発明の効果】
本発明の緑茶粉末の油性分散体は、ジアシルグリセロールを主成分とした食用油またはこれに植物性ステロールを配合した食用油を使用している。この食用油は、従来のトリアシルグリセロールを主成分とする天然の食用油(ジアシルグリセロールの含有量は一般に1〜10%)と比べて体脂肪がつきにくい効果がある。この効果に加え、さらに植物性ステロールの添加によって血中の悪玉コレステロールと呼ばれているLDLコレステロールを下げるなど、非常に優れた効果があることが実証されている。
このように、本発明で使用する食用油は、従来の天然の食用油とは成分が大きく異なることは勿論のこと、その健康に対する作用効果が著しく異なるものである。
したがって、この新規な特定の食用油に緑茶粉末を分散させてなる油性分散体は、緑茶のもつ数多くの薬効と相俟って、生活習慣病の予防等、健康づくりに大きく寄与するものである。特に、食品加工分野においては健康食品として、また、美肌クリームや歯磨きなど、化粧品や衛生用剤として、その利用価値は極めて大である。
【産業上の利用分野】
本発明は緑茶粉末の油性分散体とその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
緑茶は周知のように、古来から薬用や嗜好品として用いられてきた。近代科学の発展によって、緑茶にはカテキン類、カフェイン、ビタミンC、ビタミンE、ビタミンK、β−カロテン、葉酸;テアニンやグルタミン酸などのアミノ酸類、カリウムやカルシウムなどのミネラル類、食物繊維、クロロフィル、香気成分など数多くの水に可溶性、不溶性の成分が含まれていることが明らかにされてきた。また、それらの成分の生理機能が解明されてきた。
その結果、最近の健康ブーム、特に生活習慣病の予防と相俟って、緑茶の健康への大いなる寄与が再認識され、注目されている。すなわち、緑茶にはカテキン類を中心として、抗がん作用、抗酸化作用、動脈硬化抑制作用、血圧上昇抑制作用、血糖上昇抑制作用、脳卒中予防作用、心臓病予防作用、抗糖尿病作用、肝機能保護作用、抗肥満作用、抗菌作用、抗う蝕(虫歯)作用、抗歯周病作用、抗アレルギー作用、抗ウイルス作用、ダイオキシン排泄作用、美肌効果、消臭効果など、多様な作用効果のあることが実証されている。(例えば、村松敬一郎編:「茶の科学」、朝倉書店(2000);村松敬一郎ほか編;「茶の機能、―生体機能の新たな可能性―」、学会出版センター(2002)など)
このように、緑茶は極めて優れた薬効を有しており、またほとんどノンカロリーであることから、健康飲料や健康食品として普及している。特に緑茶粉末は茶の葉を茶臼などで挽いて微粉末にしたものである。したがって、緑茶粉末からは上記のような水に可溶性、不溶性の成分をすべて摂取できるため、健康や栄養面からは理想的な機能性食品、ダイエット食品といえる。
ところで、その緑茶粉末の利用法として、特開昭59−216824号公報に、抹茶と小麦胚芽油を混合し、抹茶に含まれる葉緑素のクロロフィルaおよびカフェインを小麦胚芽油に溶解したものが、小麦胚芽油に含まれるビタミンEの効果と相俟って、健康増進剤として有効であることが記載されている。
また、特開平7−79702号公報に、抹茶と綿実油、オリーブ油、胡麻油、椿油、パーム油、大豆油、菜種油などの前脂類に乳化剤を加えて混合撹拌して得られる抹茶ペーストが提案されている。この抹茶ペーストは粉末抹茶の単品に比べて変色や変質しにくいことが特長として挙げられている。また、この抹茶ペーストは、例えばソフトクリーム、ヌードル、クッキーなどの食品を作る際、これらの原料に加えると、単に抹茶の粉末を加えた場合と比較して混合が容易で、粒子の塊であるダマができないことが特長として挙げられている
しかしながら、上記のような天然の食用油の過剰な摂取は、肥満や高血圧症だけではなく、心疾患や大腸がんなどにもつながる要因とされている。このような生活習慣病を予防する観点からは、注意を払うべき大きな問題である。
一方、最近ジアシルグリセロールを主成分とする食用油(花王株式会社製、エコナ)が市販されている。この食用油は、大豆油や菜種油を独自の酵素処理法によって、高純度に生産されたものである。さらに、この食用油に4%の植物性ステロールが配合されたものがある。これらの食用油は、従来のトリアシルグリセロールを主成分とする天然の食用油(ジアシルグリセロールの含有量は、一般に1〜10%)に比べて体脂肪がつきにくい効果に加え、さらに植物性ステロールを添加することによって、血中のLDLコレステロールを下げる効果のあることが報告されている。(例えば、日本油化学会誌、46,309−314、(1997);日本臨床栄養学会誌、22(2)、81(2000)など)
現在このジアシルグリセロールを主成分とした食用油および、これに植物性ステロールを配合した食用油が画期的なものとして注目をあびている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の一つの目的は、上記のような食品加工に際して加えられる、従来の抹茶混合物に含まれる天然の食用油の問題点を解決し、生活習慣病の予防等、健康づくりに大きく寄与する緑茶粉末の油性分散体とその製造方法に関するものである。すなわち、緑茶粉末と特定の食用油からなる緑茶粉末の油性分散体とその製造方法を提供することにある。
また、もう一つの目的は、美肌クリームや歯磨きなど化粧品や衛生用剤等に利用しうる緑茶粉末の油性分散体とその製造方法を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明は特定の食用油、すなわちジアシルグリセロールを主成分とした食用油、またはこれに植物性ステロールを添加した食用油に、緑茶粉末を分散させてなる緑茶粉末の油性分散体とその製造方法に関するものである。
本発明において使用される緑茶粉末は、茶葉を茶臼やボールミルで微粉末に粉砕したものであるが、特に抹茶が好ましく使用される。一方、食用油は本発明の目的からしてジアシルグリセロールを主成分としたものである。また、この食用油に植物性ステロールを添加したものが使用される。
緑茶粉末の油性分散体は、混合容器内で上記の食用油に緑茶粉末を加えて撹拌混合することによって製造される。ここで、特に緑茶粉末の添加量が多い場合は、緑茶粉末の分散性を向上させるため、緑茶粉末を少量ずつ分割添加または連続添加することが望ましい。また、製造した緑茶粉末の油性分散体を長期間保存する場合には、緑茶の変色や変質を防止するために、窒素ガス等の不活性ガスで置換し、酸素を除去した雰囲気下で製造することが望ましい。
このようにして得られる油性分散体に含まれる緑茶粉末の量は0.5〜70重量%の範囲が好ましい。緑茶粉末の量が0.5重量%未満では緑茶本来の効果が少なくなる。一方、緑茶粉末の量が70重量%を超えてくると油性分散体の粘性が増し、流動性が低下する。
ここで、緑茶粉末の油性分散体の製造工程において、または製造後に、必要に応じて、下記の酸化防止剤、界面活性剤、分散安定剤等の添加剤を添加することができる。
緑茶粉末の油性分散体を長期間保存する場合、あるいは食品加工等において、使用時の加工条件等による品質の劣化を防止するために、酸化防止剤を添加することが望ましい。その酸化防止剤として、例えばビタミンC、ビタミンE、エリソルビン酸、エリソルビン酸ナトリウム、没食子酸、エラグ酸;ブドウ糖、麦芽糖、乳糖などの還元糖類がある。これらは1種または2種以上を用いることができる。これらの酸化防止剤のうち、相補的効果の観点から、特にビタミンCおよびビタミンEを併用して添加することが望ましい。これらの酸化防止剤の添加量は、食品等への添加基準によるが、抹茶の油性分散体に対して、一般に0.1〜5重量%である。
緑茶粉末の油性分散体の分散安定性を長期間保持し、また緑茶粉末の油性分散体を各種の食品加工分野や化粧品、衛生用剤等に利用した場合、原料素材との混合性を向上させるために、界面活性剤や分散安定剤を添加することができる。例えばメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、デキストリン、シクロデキストリン、カゼインナトリウム、ショ糖脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ゼラチン、ヒドロキシアパタイト、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、燐酸三カルシウムなどから選ばれる1種または2種以上のものが使用される。これらの界面活性剤等はその性質に応じ、水、エタノール、グリセリン、プロピレングリコール、食用油などの溶液として、またはこれらに分散させて添加することが望ましい。その界面活性剤等の添加量は分散性能、保護コロイド性、粘性、食品や化粧品への添加基準などによるが、一般に緑茶粉末の油性分散体に対して0.05〜10重量%である。
さらに、必要に応じて他のビタミン類、ミネラル類、甘味料、調味料、酸味料、pH調整剤、香料など各種の添加剤を添加することができる。
緑茶粉末の油性分散体は、一般には濾過したのち、使用目的に応じ、各種の包装容器に窒素ガス充填包装または真空包装方法によって充填後、加熱殺菌処理される。加熱殺菌の温度や時間は、一般生菌や大腸菌が死滅する条件に設定すればよい。
【0005】
【発明の実施の形態】
本発明の緑茶粉末の油性分散体は、特に乳製品、でんぷん、植物性たんぱく質を主原料とした、抹茶風味のある数多くの食品加工分野に利用できる。例えば、ソフトクリーム、チョコレート、バター代替品、チーズ、マヨネーズ、パン類、ケーキ類、クッキー、カステラ、和菓子類、麺類などに幅広く利用できる。この場合、粉末抹茶を使用したときのような微粉末の飛散はなく、また原料素材との混合性が向上し、抹茶粉末の凝集物であるダマもできない。また、食品の加工工程において加熱処理しても緑茶は変色し難く、加工製品を長期間保存しても鮮やかな緑色を保持している。
また、本発明の緑茶粉末の油性分散体は、健康食品としてそのまま、あるいはバターやマヨネーズのようにパンなどに塗布して食することができる。また、カプセルに封入して服用することもできる。
さらに、美肌クリームやパックに加工して顔面マスクに塗布して使用したり、歯磨き、舌磨きなど、化粧品や衛生用剤の分野にも利用できる。
本緑茶粉末の油性分散体は安定性がよく、長期間経過しても緑茶が有する本来の新鮮さを保持している。
【0006】
【実施例】
以下に、本発明を実施例で説明するが、各種原料添加物の添加部数およびパーセントは、すべて重量基準で表したものである。
実施例1
ステンレス製の混合容器に、ジアシルグリセロールを主成分とする食用油(花王(株)製、エコナ、植物性ステロール4%含有)75部を仕込み、撹拌下に抹茶(香岳園製茶(株)製、平安の昔)25部を3回に分けて加えて混合した。この結果、流動性の良好な抹茶の油性分散体が得られた。これを80メッシュのフィルターで濾過したのち、50gをレトルト用真空袋に充填し、空気を抜いてシールした。これを95℃で10分間加熱して殺菌処理したのち、直ちに冷水で冷却した。これを10℃±1℃で30日間保管した。この結果、抹茶の色および風味ともに製造直後のものと差異は認められず、抹茶本来の新鮮さを保持していた。
実施例2
ガラス製の混合容器に、ジアシルグリセロールを主成分とする食用油(花王(株)製、エコナ)70部、1部の水に溶かしたビタミンC0.5部、ビタミンE1部、2部のエタノールに溶かしたショ糖グリセリン脂肪酸エステル(第一工業製薬(株)製、DKエステルF−160/F−70=7/3混合物)0.5部を仕込み、撹拌下に抹茶(香岳園製茶(株)製、祥瑞の昔)30部を4回に分けて加え、分散させながら混合した。この結果、流動性のやや低い抹茶の油性分散体が得られた。この油性分散体50gをレトルト用真空袋に充填し、空気を抜いてシールした。これを95℃で10分間加熱して殺菌処理したのち、直ちに冷水で冷却した。これを、20℃±1℃で30日間保管した。この結果、抹茶の色および風味ともに製造直後のものと差異は認められず、抹茶本来の新鮮さを保持していた。
実施例3
ガラス製の混合容器にジアシルグリセロールを主成分とした食用油(花王(株)製、エコナ)50部およびビタミンE1部を仕込み、撹拌下に抹茶(香岳園製茶(株)製、京昔)50部を8回に分けて分散させながら加えて混合した。この結果、粘り気の強い抹茶の油性分散体を得た。この油性分散体50gをレトルト用真空袋に充填し、空気を抜いてシールした。これを95℃で10分間加熱して殺菌処理したのち、直ちに冷水で冷却した。
実施例4
ステンレス製の混合容器にジアシルグリセロールを主成分とした食用油(花王(株)製、エコナ、植物性ステロール4%を配合)65部を仕込み、撹拌下に抹茶(香岳園製茶(株)製、至宝の昔)35部を4回に分けて分散させながら加えて混合した。この油性分散体50gをレトルト用真空袋に充填し、空気を抜いてシールした。これを95℃で10分間加熱して殺菌処理したのち、直ちに冷水で冷却した。
実施例5
ステンレス製の混合容器にジアシルグリセロールを主成分とした食用油(花王(株)製、エコナ、植物性ステロール4%を配合)65部、1部の水に溶かしたビタミンC0.5部、ビタミンE1部、エタノール5部およびデキストリン(日本食品化学工業(株)製、クラスターデキストリン/シクロデキストリンB−100=1/1混合物)5部を仕込み、撹拌しながら容器内を真空ポンプで脱気したのち、窒素ガスで置換した。引き続いて撹拌下に抹茶(香岳園製茶(株)製、至宝の昔)35部を4回に分けて分散させながら加えて混合した。この油性分散体各50gを窒素ガスチャンバー内でそれぞれ、レトルト用真空袋およびPE/EVOH製のプラスチックチューブに充填し、シールした。これを95℃で10分間加熱して殺菌処理したのち、直ちに冷水で冷却した。
実施例6
テンレス製の混合容器にジアシルグリセロールを主成分とした食用油(花王(株)製、エコナ)60部、グリセリン脂肪酸エステル(花王(株)製、エキセルT−95)0.2部、シクロデキストリン(日本食品加工(株)製、セルデックスTB−50)5部、ブドウ糖2部、炭酸カルシウム2部、ビタミンC1部、ビタミンE0.5部を仕込み、撹拌下に煎茶の微粉末40部を5回に分けて加えて混合した。この結果、粘性の大きい煎茶粉末の油性分散体を得た。この油性分散体各50gをそれぞれ、レトルト用真空袋およびPE/PET製のプラスチックチューブに充填し、空気を抜いてシールした。これを95℃で10分間加熱して殺菌処理したのち、直ちに冷水で冷却した。
実施例7 (緑茶粉末の油性分散体の食品等への利用例)
その1 ケーキの製造
プラスチック製のボールに小麦粉(薄力粉)150g、50%のオリゴ糖水溶液80g、食塩0.5g、溶き卵1個分および小さじ1/2量のベーキングパウダー加えて混合した。つぎに、プレーンヨーグルト80gおよび実施例5で得た抹茶の油性分散体30gを加えて練り合わせた。
この混練物を半分に分けて楕円球状に成型したのち、180℃に保ったオーブンで30分間焼いた。この結果、鮮やかな緑色をした抹茶風味のある美味なケーキが得られた。
比較のために、実施例4で得た抹茶の油性分散体を用い、上記と同一処方でケーキを作った。このケーキと実施例5で得た抹茶の油性分散体を用いたケーキを、それぞれ蛍光灯の当たる場所と冷蔵庫内に2日間保存した。この結果、冷蔵庫内で保存したものは、いづれも変色は認められず、鮮やかな緑色を保持していた。一方、蛍光灯の当たる場所で保存した場合、実施例5で得た抹茶の油性分散体を用いたケーキは、ほとんど変色は認められなかったが、実施例4で得た抹茶の油性分散体を用いたケーキは、表面がわずかに淡褐色に変色していた。
その2 うどんの製造
プラスチック製のボールに小麦粉500gおよび界面活性剤(第一工業製薬(株)製、DKフォーマーFD−40)1部、食塩10gを水180mlに溶かした溶液を少量ずつ入れながらこね合わせたのち、実施例1で得た抹茶の油性分散体30gを加えて錬り込んだ。これをポリエチレン製の袋に入れ、十分に弾力が出るまで足で踏みつけながらこねた。この混練物をぬれ布巾で包み、5時間ねかせた。これをのし板の上に広げ、打ち粉をしながら、麺棒で前後左右に約3mmの厚さに伸ばしたものを約3mmの幅に切った。この麺を沸騰した湯の中にほぐしながら入れ、10分間ゆでたのち、冷水にさらした。この結果、鮮やかな緑色をした抹茶風味のあるうどんが得られた。
その3 そばの製造
プラスチック製のボールにそば粉500gを入れ、これにあらかじめ調合した溶き卵1/2個分、すり潰した山芋100g、界面活性剤(第一工業製薬(株)製、DKフォーマーFD−40)1部および小麦粉110gの混合物を少しずつ加えて混ぜた。これに水100gを少量ずつ加えて混ぜ合わせたのち、実施例4で得た抹茶の油性分散体30gを加えて錬り込んだ。さらに粘り気がでるまで十分にこねた。この混練物をぬれ布巾で包み、3時間ねかせた。これをのし板の上に広げ、打ち粉をしながら麺棒で前後左右に2〜3mmの厚さに伸ばしたものを2〜3mmの幅に切った。この麺をほぐしながら沸騰した湯の中に入れ、箸で静かにかき回しながらゆでた。麺が浮きあがれば、ざるですくい上げ、冷水にさらしたのち、水切りした。この結果、鮮やかな緑色をした抹茶風味のあるそばが得られた。
その4 ぎゅうひ(求肥)の製造
ホウロウ鍋に白玉粉100gを入れ、400mlの水を少しずつ加えながら弱火で加熱し、しゃもじで絶えずかきまぜた。透きとおるようになれば、オリゴ糖100gを3回に分けて練り込みながら加えた。これに実施例4で得た抹茶の油性分散体10gを加えて錬り込んだ。この混練物が手でさわってもべとつかなくなれば、カタクリ粉を十分にふった流し箱に移し、自然冷却した。この結果、鮮やかな緑色をした抹茶風味のあるぎゅうひが得られた。
その5 グリーンチョコレートの製造
ステンレス製容器にホワイトチョコレート(明治製菓(株)製、明治ホワイトチョコレート)80gを入れて加熱して溶かし、これに実施例3で得た抹茶の油性分散体20gを加えてかき混ぜて混合した。これを冷蔵庫に入れて固化させた結果、鮮やかな緑色をした光沢のあるグリーンチョコレートが得られた。
その6 抹茶クリームの製造
ステンレス製容器に実施例3で得た抹茶の油性分散体100gに蜂蜜100gおよび生クリーム50gを加えてかき混ぜて混合した。これを食パンやクッキーに塗ったものを数名の女性に試食願ったところ、ほろ苦い抹茶の風味と淡い蜂蜜の甘味がほどよくマッチして美味であったとの好評を得た。
その7 ソフトクリームの製造
バニラソフトミックス(日世(株)製)500mlに、実施例2で得た抹茶の油性分散体30gを加えて混合した。これをソフトクリーム用フリーザーに入れて抹茶入りのソフトクリームを作った。この結果、単に抹茶の粉末を混合したものと比較して、均一な混合が容易であり、色むらのない鮮やかな緑色をしたものが得られた。
その8 もちの製造
もち米1Kgを水で洗って一晩水に浸しておいたものを水切りし、布巾を敷いたせいろに入れ、30分間蒸した。これに実施例5で得た抹茶の油性分散体70gを加えて自動餅つき機でついた。出来上がったもちを片栗粉をふったのし板の上にのせ、手早くちぎって適当な大きさの丸もちを作った。この結果、色むらのない鮮やかな緑色をしたもちが得られた。また、このもちの中に小豆で作ったあんを入れた大福もちを作った。
その9 美肌パックへの利用
小麦粉100gに水を加えて耳たぶよりやや柔らかくしたものに、実施例5で得たチューブ入り抹茶の油性分散体20gを加えて練り合わせてクリームを作った。このクリーム10gを目、鼻および口の部分を切り取った顔面マスクに塗布したものを、肌荒れやシミで悩んでいる3名の女性に試用願った。この結果、毎日10分間の使用を3ヶ月間続けたところ、肌が潤い、しかもシミが薄れてきたとの朗報があった。
その10 歯磨きへの利用
薬用練り歯磨き(花王(株)製、つぶ塩)と実施例6で得たチューブ入り煎茶粉末の油性分散体を少量ずつほぼ1:1の割合で歯ブラシに付け、本発明者らおよびタバコなどで口臭を気にする男性3名と女性2名が朝と晩、毎日歯や舌を磨いたところ1週間もしないうちに口臭は薄れた。また口をすすいだ後の口内での抹茶の残り香と風味が爽やかであった。
【0007】
【発明の効果】
本発明の緑茶粉末の油性分散体は、ジアシルグリセロールを主成分とした食用油またはこれに植物性ステロールを配合した食用油を使用している。この食用油は、従来のトリアシルグリセロールを主成分とする天然の食用油(ジアシルグリセロールの含有量は一般に1〜10%)と比べて体脂肪がつきにくい効果がある。この効果に加え、さらに植物性ステロールの添加によって血中の悪玉コレステロールと呼ばれているLDLコレステロールを下げるなど、非常に優れた効果があることが実証されている。
このように、本発明で使用する食用油は、従来の天然の食用油とは成分が大きく異なることは勿論のこと、その健康に対する作用効果が著しく異なるものである。
したがって、この新規な特定の食用油に緑茶粉末を分散させてなる油性分散体は、緑茶のもつ数多くの薬効と相俟って、生活習慣病の予防等、健康づくりに大きく寄与するものである。特に、食品加工分野においては健康食品として、また、美肌クリームや歯磨きなど、化粧品や衛生用剤として、その利用価値は極めて大である。
Claims (7)
- ジアシルグリセロールを主成分とする食用油に緑茶粉末を分散させてなることを特徴とする緑茶粉末の油性分散体。
- ジアシルグリセロールを主成分とする食用油に植物性ステロールを添加してなることを特徴とする請求項1に記載の緑茶粉末の油性分散体。
- 緑茶粉末の油性分散体が酸化防止剤を含有するものである請求項1および請求項2に記載の緑茶粉末の油性分散体。
- ジアシルグリセロールを主成分とする食用油と緑茶粉末を撹拌混合し、該食用油に緑茶粉末を分散させることを特徴とする緑茶粉末の油性分散体の製造方法。
- ジアシルグリセロールを主成分とし、植物性ステロールを添加してなる食用油と緑茶粉末を撹拌混合し、該食用油に緑茶粉末を分散させることを特徴とする請求項4に記載の緑茶粉末の油性分散体の製造方法
- ジアシルグリセロールを主成分とし、酸化防止剤を添加してなる食用油と緑茶粉末を撹拌混合し、該食用油に緑茶粉末を分散させることを特徴とする請求項4に記載の緑茶粉末の油性分散体の製造方法。
- ジアシルグリセロールを主成分とし、植物性ステロールおよび酸化防止剤を添加してなる食用油と緑茶粉末を撹拌混合し、該食用油に緑茶粉末を分散させることを特徴とする請求項4に記載の緑茶粉末の油性分散体の製造方法。
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