JP2004248414A - 直流電源装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】この発明は、出力電圧の安定度が高く小型安価なリバース方式の多出力直流電源装置に関する。
【解決手段】スイッチ素子のON時間中にトランス一次側巻線を通じてトランス磁心に磁束としてエネルギーを蓄え、次にスイッチ素子のOFF時間中にトランス磁心に磁束として蓄えたエネルギーをトランス二次側巻線を通じて二次側回路へ放出し、トランスから放出されたエネルギーを整流素子によってパルス状電流に整流し、整流したパルス状電流を平滑コンデンサによって平滑することによって所望の直流電圧を得る、電圧が異なる2つ以上の出力を持つリバース方式の多出力直流電源装置において、最も出力電圧の低い回路以外の高圧出力回路は1つの出力回路に対して複数の電流ループを持つ。
【選択図】 図1
【解決手段】スイッチ素子のON時間中にトランス一次側巻線を通じてトランス磁心に磁束としてエネルギーを蓄え、次にスイッチ素子のOFF時間中にトランス磁心に磁束として蓄えたエネルギーをトランス二次側巻線を通じて二次側回路へ放出し、トランスから放出されたエネルギーを整流素子によってパルス状電流に整流し、整流したパルス状電流を平滑コンデンサによって平滑することによって所望の直流電圧を得る、電圧が異なる2つ以上の出力を持つリバース方式の多出力直流電源装置において、最も出力電圧の低い回路以外の高圧出力回路は1つの出力回路に対して複数の電流ループを持つ。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明が属する技術分野】
この発明は、出力電圧の安定度が高く小型安価なリバース方式の多出力直流電源装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年の電子機器においては、その構成回路と部品の複雑化によって電子機器内部に複数の電源電圧を必要としており、この電源電圧を供給するための多出力直流電源装置を内蔵している。この多出力直流電源装置には、入力電圧および出力電流の変動などのいわゆる外乱に対する出力電圧の安定性が高く、なおかつ小型で安価なことが要求される。
【0003】
この要求を満たすために総出力電力が200W以下までの多出力直流電源装置には、回路部品点数が少ないことにより小型で安価なリバース方式多出力直流電源装置が多く用いられている。
【0004】
リバース方式多出力直流電源の基本回路図を図3に示す。図3に示す電源装置は、周期的にON/OFFを繰り返すスイッチング用FET1のON時間とOFF時間の比率であるいわゆる導通角を外乱の影響に合わせて最適に制御することによって、出力電圧を安定的に制御している。
【0005】
トランス磁心5は、スイッチング用FET1のON時間にトランス一次側巻線6を通じて入力電力を磁束として蓄え、スイッチング用FET1のOFF時間にトランス二次側低圧回路巻線7及びトランス二次側高圧回路巻線8を通じて磁束として蓄えたエネルギーを電力として二次側回路に放出することで、一次側から二次側へと電力を伝達している。
【0006】
トランス二次側低圧回路巻線7及びトランス二次側高圧回路巻線8を通じて放出された電力は、低圧出力回路整流用ダイオード2及び高圧出力回路整流用ダイオード3によってパルス状の直流電流に整流され、低圧出力回路平滑コンデンサ10及び高圧出力回路平滑コンデンサ11によってリップルの無い直流電圧に平滑され、図3に示す電源装置から電子機器内部へ電源電圧として出力される。
【0007】
図3に示す電源装置の低圧出力電圧と高圧出力電圧の安定度の高さは、「同一のコアに設けられた各巻線の両端に発生する電圧の大きさは、各巻線の巻数に比例する」というトランスの基本的な特性を利用することで得られている。トランス二次側低圧回路巻線7とトランス二次側高圧回路巻線8の巻数の比率が低圧出力電圧と高圧出力電圧の比率に一致していれば、低圧出力回路または高圧出力回路のどちらか一方の出力電圧の変動を監視し、この変動を補正するようにスイッチング用FET1の導通角を制御することで、外乱に対して低圧出力回路及び高圧出力回路の出力電圧を安定的に制御することができる。
【0008】
しかし、現実のトランス二次側低圧回路巻線7とトランス二次側高圧回路巻線8との結合は100%ではなく、またこれら巻線とトランス一次側巻線6との結合が100%ではない事によって生じるリーケージインダクタンスの影響によって、スイッチング用FET1のOFF時間にトランス二次側低圧回路巻線7及びトランス二次側高圧回路巻線8の両端に発生する電圧は誤差を含んでしまう。
【0009】
図4に示すリバース方式多出力電源装置は、図3に示す回路中のトランス二次側高圧回路巻線8の一部をトランス二次側低圧回路巻線7に兼ねさせることにより、トランス二次側低圧回路巻線7とトランス二次側高圧回路巻線8との結合不足及びリーケージインダクタンスの影響による出力電圧の安定度への影響を軽減した回路であり、コスト及びサイズを最優先する用途には最も多く採用されている従来の回路である。
【0010】
図5に示す従来のリバース方式多出力電源装置は、図4に示す回路の出力電圧の安定度をさらに改善した回路である。図3に示す回路及び図4に示す回路は出力電圧の安定度をトランス二次側高圧回路巻線8とトランス二次側低圧回路巻線7の両端に発生する電圧の安定度のみに依存しているが、図5に示す回路を用いることで高圧出力回路と低圧出力回路の間で、自動的に巻線の両端に発生する電圧の誤差をお互いに補正することができる。
【0011】
前述のように、トランスには「同一のコアに設けられた各巻線の両端に発生する電圧の大きさは、各巻線の巻数に比例する」という基本特性がある。これにより、仮に高圧出力回路の出力電圧だけが著しく低下した場合には、スイッチング用FET1のON時間中にトランス磁心5に蓄えられたエネルギーは、OFF時間に出力電圧が高い低圧出力回路よりも出力電圧が低い高圧出力回路の方へより多く放出され、これによって高圧出力回路の出力電圧が上昇し、トランス二次側低圧回路巻線7とトランス二次側高圧回路巻線8との巻線の両端に発生する電圧の誤差は補正されている。この動作は、図3、図4、図5に示す全てのリバース方式多出力直流電源装置に共通する。また、低圧出力回路の出力電圧が著しく上昇した場合、あるいは低圧出力回路または高圧出力回路のいずれかの出力電圧が著しく低下した場合も同様である。
【0012】
図5に示す電源装置は、前述の図3、図4、図5に示す全ての回路に共通する補正機能のみでなく、高圧出力回路の出力電圧が低下した場合には、トランス二次側高圧回路巻線8から降圧出力回路へエネルギーが供給されると同時に、低圧出力回路平滑コンデンサ10の電荷をトランス二次側高圧回路巻線8を通じて高圧出力回路平滑コンデンサ11に移すことによって、低圧出力回路の出力電圧を低下させ高圧出力回路の出力電圧を上昇させ、より効果的に出力電圧の安定度の補正を行うことができる。この図5に示す電源装置は、図4に示す電源装置では必要な出力電圧の安定度が得られない場合に使用されている従来の回路である。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、図5に示す従来のリバース方式多出力直流電源装置は、高圧出力回路から出力される電流が低圧出力回路整流用ダイオード2及び高圧出力回路整流用ダイオード3の両方を通過するため、高圧出力回路から出力される電流が高圧出力回路整流ダイオード3だけを通過する図4に示す回路に比べて損失が多く、この損失による発熱を抑えるために必要な放熱部品の追加によってコストが上昇し、また製品サイズが大きくなるという欠点を持っている。
【0014】
そこで、この発明は、図4に示す従来のリバース方式多出力電源装置と同等に損失が少なく、図5に示す従来のリバース方式多出力電源装置と同等に出力電圧の安定度が高い、小型安価なリーバス方式多出力直流電源装置を提供することを課題とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】
以上の課題を解決するために、スイッチ素子のON時間中にトランス一次側巻線を通じてトランス磁心に磁束としてエネルギーを蓄え、次にスイッチ素子のOFF時間中にトランス磁心に磁束として蓄えたエネルギーをトランス二次側巻線を通じて二次側回路へ放出し、トランスから放出されたエネルギーを整流素子によってパルス状電流に整流し、整流したパルス状電流を平滑コンデンサによって平滑することによって所望の直流電圧を得る、電圧が異なる2つ以上の出力を持つリバース方式の多出力直流電源装置において、最も出力電圧の低い回路以外の高圧出力回路は1つの出力回路に対して複数の電流ループを持つことを特徴とするリバース方式の多出力直流電源装置。
【0016】
前記複数の高圧出力回路電流ループには、損失を最低限に抑えることを目的とするループと出力電圧安定度の改善を目的とするループとの2つを含んでいることを特徴とする。
【0017】
前記損失を最低限に抑えることを目的とする高圧出力回路電流ループは、トランス二次側低圧回路巻線と低圧出力回路整流素子の接続点に高圧出力回路整流素子が接続されこの高圧出力回路整流素子と直列にトランス二次側高圧回路巻線が接続されていることを特徴とする。
【0018】
前記出力電圧安定度の改善を目的とする高圧出力回路電流ループは、低圧出力回路整流素子と低圧出力回路平滑コンデンサの接続点に高圧出力回路整流素子が接続されこの高圧出力回路整流素子と直列にトランス二次側高圧回路巻線が接続されていることを特徴とする。
【0019】
【発明の実施の形態】
本発明の好適な実施の形態を図1に示す。本実施例は、電子機器の電源供給に用いられるリバース方式多出力直流電源装置である。図1に示す出力電圧の安定度と損失を改善した電源装置は、図4に示す従来のリバース方式多出力直流電源と図5に示す従来のリバース方式多出力直流電源の長所を併せ持った回路である。
【0020】
電源装置が動作している状態において、高圧出力回路と低圧出力回路の出力電圧の比率がトランス二次側高圧回路巻線8とトランス二次側低圧回路巻線7の比率が一致しているか、またはトランス二次側高圧回路巻線8とトランス二次側低圧回路巻線7の比率に比べて、高圧出力回路の出力電圧が低圧出力回路の出力電圧に対して高すぎる場合、スイッチング用FET1のOFF時間に流れる高圧出力回路電流はトランス二次側低圧巻線7から高圧出力回路整流用ダイオード2、トランス二次側高圧回路巻線8を経由して高圧出力回路平滑コンデンサ11へのループで流れる。
【0021】
このループは、損失を最低限に抑えられるループである。この時、電圧バランスダイオード4は無い物と見なすことができるため、この条件下での図1に示す電源装置は、図4に示す電源装置と同様に低損失で動作していることになる。
【0022】
その他の条件として、電源装置が動作している状態において、トランス二次側高圧回路巻線8とトランス二次側低圧回路巻線7の比率に比べて、高圧出力回路の出力電圧が低圧出力回路の出力電圧に対して低すぎる場合、スイッチング用FET1のOFF時間に流れる高圧出力回路電流はトランス二次側低圧回路巻線7から低圧出力回路整流用ダイオード2、電圧バランスダイオード4、トランス二次側高圧回路巻線8を経由して高圧出力回路平滑コンデンサ11へのループで流れる。
【0023】
このループは、高い出力電圧の安定度が得られるループである。この時、高圧出力回路整流用ダイオード3は無い物と見なすことができるため、この条件下での図1に示す電源装置は、図5に示す電源装置と同様に高い出力電圧の安定度で動作していることになる。
【0024】
この高い出力電圧の安定度が得られるループを高圧出力回路電流が流れている時は、高圧出力回路電流が低圧出力回路整流用ダイオード2と電圧バランスダイオード4の2つのダイオードを流れることによって損失が増加し効率が低下するが、このループを高圧出力回路電流が流れるのは高圧出力回路の出力電圧が低圧出力回路の出力電圧に対して低すぎる時だけであり、またこのループを高圧出力回路電流が流れることにより出力電圧は瞬時に補正され、出力電圧が補正されると、高圧出力回路電流の流れるループは前述の損失を最低限に抑えられるループに切替る。
【0025】
前述の高圧出力回路電流が出力電圧の安定度の高いループを流れる期間は、スイッチング用FETのOFF時間の中でもごく短い時間のみであるため、効率の低下への影響は少ない。
【0026】
図1に示す回路は、図4に示す回路に比べて電圧バランスダイオード4が追加されたことにより部品が増加しているが、電圧バランスダイオード4は流れる電流は非常に少ないため小型安価な部品を採用することができ、電源装置全体のコスト及びサイズに与える影響は少ない。
【0027】
本発明の他例の実施形態を図2に示す。図2に示す実施例は、図1に示す回路に、トランス二次側電圧補正巻線9を追加したものである。図1に示す回路では、低圧出力回路整流用ダイオード2の順方向電圧低下の影響により、図5に示す従来の回路に比べて出力電圧の安定度が低くなることがある。
【0028】
低圧出力回路及び高圧出力回路の出力電圧が低圧出力回路整流用ダイオード2の順方向電圧低下に比べて十分に大きな場合には図1に示す回路であっても図4に示す従来の回路と同等の出力電圧の安定度が得られるが、低圧出力回路及び高圧出力回路の出力電圧が低い場合には、トランス二次側電圧補正巻線9を追加することにより補正を行う必要がある。
【0029】
以上、本発明の好適な実施例を挙げて説明したが、本発明は上記各実施例に限定されるものではなく、例えばトランス二次側高圧回路巻線8を2つ設けて高圧出力回路整流用ダイオード3及び電圧バランスダイオード4に別々に接続してもその効果は変わらず、またスイッチング用FET1をバイポーラトランジスタなどの他のスイッチ素子に置き換える事ができる、ダイオードを他の整流素子に置き換える事ができる等、発明の精神を逸脱しない範囲内で多くの改変を施し得ることはもちろんである。
【0030】
【発明の効果】
以上説明したように、従来技術である図4に示すリバース方式多出力直流電源装置では出力電圧の安定度が低く、図5に示すリバース方式多出力直流電源装置では損失が多過ぎる用途においても、この発明によれば、図4に示す従来のリバース方式多出力直流電源装置と同等に損失が少なく、図5に示す従来のリバース方式多出力直流電源装置と同等に出力電圧の安定度が高い、小型安価なリバース方式直流電源装置を実現する事ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】出力電圧の安定度と損失を改善したリバース方式多出力直流電源装置の回路図である。(実施例)
【図2】他例のリバース方式多出力直流電源装置の回路図である。(実施例)
【図3】リバース方式多出力直流電源装置の基本回路図である。
【図4】従来のリバース方式多出力直流電源装置の回路図である。
【図5】従来のリバース方式多出力直流電源装置の回路図である。
【符号の説明】
1 スイッチング用FET
2 低圧出力回路整流用ダイオード
3 高圧出力回路整流用ダイオード
4 電圧バランスダイオード
5 トランス磁心
6 トランス一次側巻線
7 トランス二次側低圧回路巻線
8 トランス二次側高圧回路巻線
9 トランス二次側電圧補正巻線
10 低圧出力回路平滑コンデンサ
11 高圧出力回路平滑コンデンサ
【発明が属する技術分野】
この発明は、出力電圧の安定度が高く小型安価なリバース方式の多出力直流電源装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年の電子機器においては、その構成回路と部品の複雑化によって電子機器内部に複数の電源電圧を必要としており、この電源電圧を供給するための多出力直流電源装置を内蔵している。この多出力直流電源装置には、入力電圧および出力電流の変動などのいわゆる外乱に対する出力電圧の安定性が高く、なおかつ小型で安価なことが要求される。
【0003】
この要求を満たすために総出力電力が200W以下までの多出力直流電源装置には、回路部品点数が少ないことにより小型で安価なリバース方式多出力直流電源装置が多く用いられている。
【0004】
リバース方式多出力直流電源の基本回路図を図3に示す。図3に示す電源装置は、周期的にON/OFFを繰り返すスイッチング用FET1のON時間とOFF時間の比率であるいわゆる導通角を外乱の影響に合わせて最適に制御することによって、出力電圧を安定的に制御している。
【0005】
トランス磁心5は、スイッチング用FET1のON時間にトランス一次側巻線6を通じて入力電力を磁束として蓄え、スイッチング用FET1のOFF時間にトランス二次側低圧回路巻線7及びトランス二次側高圧回路巻線8を通じて磁束として蓄えたエネルギーを電力として二次側回路に放出することで、一次側から二次側へと電力を伝達している。
【0006】
トランス二次側低圧回路巻線7及びトランス二次側高圧回路巻線8を通じて放出された電力は、低圧出力回路整流用ダイオード2及び高圧出力回路整流用ダイオード3によってパルス状の直流電流に整流され、低圧出力回路平滑コンデンサ10及び高圧出力回路平滑コンデンサ11によってリップルの無い直流電圧に平滑され、図3に示す電源装置から電子機器内部へ電源電圧として出力される。
【0007】
図3に示す電源装置の低圧出力電圧と高圧出力電圧の安定度の高さは、「同一のコアに設けられた各巻線の両端に発生する電圧の大きさは、各巻線の巻数に比例する」というトランスの基本的な特性を利用することで得られている。トランス二次側低圧回路巻線7とトランス二次側高圧回路巻線8の巻数の比率が低圧出力電圧と高圧出力電圧の比率に一致していれば、低圧出力回路または高圧出力回路のどちらか一方の出力電圧の変動を監視し、この変動を補正するようにスイッチング用FET1の導通角を制御することで、外乱に対して低圧出力回路及び高圧出力回路の出力電圧を安定的に制御することができる。
【0008】
しかし、現実のトランス二次側低圧回路巻線7とトランス二次側高圧回路巻線8との結合は100%ではなく、またこれら巻線とトランス一次側巻線6との結合が100%ではない事によって生じるリーケージインダクタンスの影響によって、スイッチング用FET1のOFF時間にトランス二次側低圧回路巻線7及びトランス二次側高圧回路巻線8の両端に発生する電圧は誤差を含んでしまう。
【0009】
図4に示すリバース方式多出力電源装置は、図3に示す回路中のトランス二次側高圧回路巻線8の一部をトランス二次側低圧回路巻線7に兼ねさせることにより、トランス二次側低圧回路巻線7とトランス二次側高圧回路巻線8との結合不足及びリーケージインダクタンスの影響による出力電圧の安定度への影響を軽減した回路であり、コスト及びサイズを最優先する用途には最も多く採用されている従来の回路である。
【0010】
図5に示す従来のリバース方式多出力電源装置は、図4に示す回路の出力電圧の安定度をさらに改善した回路である。図3に示す回路及び図4に示す回路は出力電圧の安定度をトランス二次側高圧回路巻線8とトランス二次側低圧回路巻線7の両端に発生する電圧の安定度のみに依存しているが、図5に示す回路を用いることで高圧出力回路と低圧出力回路の間で、自動的に巻線の両端に発生する電圧の誤差をお互いに補正することができる。
【0011】
前述のように、トランスには「同一のコアに設けられた各巻線の両端に発生する電圧の大きさは、各巻線の巻数に比例する」という基本特性がある。これにより、仮に高圧出力回路の出力電圧だけが著しく低下した場合には、スイッチング用FET1のON時間中にトランス磁心5に蓄えられたエネルギーは、OFF時間に出力電圧が高い低圧出力回路よりも出力電圧が低い高圧出力回路の方へより多く放出され、これによって高圧出力回路の出力電圧が上昇し、トランス二次側低圧回路巻線7とトランス二次側高圧回路巻線8との巻線の両端に発生する電圧の誤差は補正されている。この動作は、図3、図4、図5に示す全てのリバース方式多出力直流電源装置に共通する。また、低圧出力回路の出力電圧が著しく上昇した場合、あるいは低圧出力回路または高圧出力回路のいずれかの出力電圧が著しく低下した場合も同様である。
【0012】
図5に示す電源装置は、前述の図3、図4、図5に示す全ての回路に共通する補正機能のみでなく、高圧出力回路の出力電圧が低下した場合には、トランス二次側高圧回路巻線8から降圧出力回路へエネルギーが供給されると同時に、低圧出力回路平滑コンデンサ10の電荷をトランス二次側高圧回路巻線8を通じて高圧出力回路平滑コンデンサ11に移すことによって、低圧出力回路の出力電圧を低下させ高圧出力回路の出力電圧を上昇させ、より効果的に出力電圧の安定度の補正を行うことができる。この図5に示す電源装置は、図4に示す電源装置では必要な出力電圧の安定度が得られない場合に使用されている従来の回路である。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、図5に示す従来のリバース方式多出力直流電源装置は、高圧出力回路から出力される電流が低圧出力回路整流用ダイオード2及び高圧出力回路整流用ダイオード3の両方を通過するため、高圧出力回路から出力される電流が高圧出力回路整流ダイオード3だけを通過する図4に示す回路に比べて損失が多く、この損失による発熱を抑えるために必要な放熱部品の追加によってコストが上昇し、また製品サイズが大きくなるという欠点を持っている。
【0014】
そこで、この発明は、図4に示す従来のリバース方式多出力電源装置と同等に損失が少なく、図5に示す従来のリバース方式多出力電源装置と同等に出力電圧の安定度が高い、小型安価なリーバス方式多出力直流電源装置を提供することを課題とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】
以上の課題を解決するために、スイッチ素子のON時間中にトランス一次側巻線を通じてトランス磁心に磁束としてエネルギーを蓄え、次にスイッチ素子のOFF時間中にトランス磁心に磁束として蓄えたエネルギーをトランス二次側巻線を通じて二次側回路へ放出し、トランスから放出されたエネルギーを整流素子によってパルス状電流に整流し、整流したパルス状電流を平滑コンデンサによって平滑することによって所望の直流電圧を得る、電圧が異なる2つ以上の出力を持つリバース方式の多出力直流電源装置において、最も出力電圧の低い回路以外の高圧出力回路は1つの出力回路に対して複数の電流ループを持つことを特徴とするリバース方式の多出力直流電源装置。
【0016】
前記複数の高圧出力回路電流ループには、損失を最低限に抑えることを目的とするループと出力電圧安定度の改善を目的とするループとの2つを含んでいることを特徴とする。
【0017】
前記損失を最低限に抑えることを目的とする高圧出力回路電流ループは、トランス二次側低圧回路巻線と低圧出力回路整流素子の接続点に高圧出力回路整流素子が接続されこの高圧出力回路整流素子と直列にトランス二次側高圧回路巻線が接続されていることを特徴とする。
【0018】
前記出力電圧安定度の改善を目的とする高圧出力回路電流ループは、低圧出力回路整流素子と低圧出力回路平滑コンデンサの接続点に高圧出力回路整流素子が接続されこの高圧出力回路整流素子と直列にトランス二次側高圧回路巻線が接続されていることを特徴とする。
【0019】
【発明の実施の形態】
本発明の好適な実施の形態を図1に示す。本実施例は、電子機器の電源供給に用いられるリバース方式多出力直流電源装置である。図1に示す出力電圧の安定度と損失を改善した電源装置は、図4に示す従来のリバース方式多出力直流電源と図5に示す従来のリバース方式多出力直流電源の長所を併せ持った回路である。
【0020】
電源装置が動作している状態において、高圧出力回路と低圧出力回路の出力電圧の比率がトランス二次側高圧回路巻線8とトランス二次側低圧回路巻線7の比率が一致しているか、またはトランス二次側高圧回路巻線8とトランス二次側低圧回路巻線7の比率に比べて、高圧出力回路の出力電圧が低圧出力回路の出力電圧に対して高すぎる場合、スイッチング用FET1のOFF時間に流れる高圧出力回路電流はトランス二次側低圧巻線7から高圧出力回路整流用ダイオード2、トランス二次側高圧回路巻線8を経由して高圧出力回路平滑コンデンサ11へのループで流れる。
【0021】
このループは、損失を最低限に抑えられるループである。この時、電圧バランスダイオード4は無い物と見なすことができるため、この条件下での図1に示す電源装置は、図4に示す電源装置と同様に低損失で動作していることになる。
【0022】
その他の条件として、電源装置が動作している状態において、トランス二次側高圧回路巻線8とトランス二次側低圧回路巻線7の比率に比べて、高圧出力回路の出力電圧が低圧出力回路の出力電圧に対して低すぎる場合、スイッチング用FET1のOFF時間に流れる高圧出力回路電流はトランス二次側低圧回路巻線7から低圧出力回路整流用ダイオード2、電圧バランスダイオード4、トランス二次側高圧回路巻線8を経由して高圧出力回路平滑コンデンサ11へのループで流れる。
【0023】
このループは、高い出力電圧の安定度が得られるループである。この時、高圧出力回路整流用ダイオード3は無い物と見なすことができるため、この条件下での図1に示す電源装置は、図5に示す電源装置と同様に高い出力電圧の安定度で動作していることになる。
【0024】
この高い出力電圧の安定度が得られるループを高圧出力回路電流が流れている時は、高圧出力回路電流が低圧出力回路整流用ダイオード2と電圧バランスダイオード4の2つのダイオードを流れることによって損失が増加し効率が低下するが、このループを高圧出力回路電流が流れるのは高圧出力回路の出力電圧が低圧出力回路の出力電圧に対して低すぎる時だけであり、またこのループを高圧出力回路電流が流れることにより出力電圧は瞬時に補正され、出力電圧が補正されると、高圧出力回路電流の流れるループは前述の損失を最低限に抑えられるループに切替る。
【0025】
前述の高圧出力回路電流が出力電圧の安定度の高いループを流れる期間は、スイッチング用FETのOFF時間の中でもごく短い時間のみであるため、効率の低下への影響は少ない。
【0026】
図1に示す回路は、図4に示す回路に比べて電圧バランスダイオード4が追加されたことにより部品が増加しているが、電圧バランスダイオード4は流れる電流は非常に少ないため小型安価な部品を採用することができ、電源装置全体のコスト及びサイズに与える影響は少ない。
【0027】
本発明の他例の実施形態を図2に示す。図2に示す実施例は、図1に示す回路に、トランス二次側電圧補正巻線9を追加したものである。図1に示す回路では、低圧出力回路整流用ダイオード2の順方向電圧低下の影響により、図5に示す従来の回路に比べて出力電圧の安定度が低くなることがある。
【0028】
低圧出力回路及び高圧出力回路の出力電圧が低圧出力回路整流用ダイオード2の順方向電圧低下に比べて十分に大きな場合には図1に示す回路であっても図4に示す従来の回路と同等の出力電圧の安定度が得られるが、低圧出力回路及び高圧出力回路の出力電圧が低い場合には、トランス二次側電圧補正巻線9を追加することにより補正を行う必要がある。
【0029】
以上、本発明の好適な実施例を挙げて説明したが、本発明は上記各実施例に限定されるものではなく、例えばトランス二次側高圧回路巻線8を2つ設けて高圧出力回路整流用ダイオード3及び電圧バランスダイオード4に別々に接続してもその効果は変わらず、またスイッチング用FET1をバイポーラトランジスタなどの他のスイッチ素子に置き換える事ができる、ダイオードを他の整流素子に置き換える事ができる等、発明の精神を逸脱しない範囲内で多くの改変を施し得ることはもちろんである。
【0030】
【発明の効果】
以上説明したように、従来技術である図4に示すリバース方式多出力直流電源装置では出力電圧の安定度が低く、図5に示すリバース方式多出力直流電源装置では損失が多過ぎる用途においても、この発明によれば、図4に示す従来のリバース方式多出力直流電源装置と同等に損失が少なく、図5に示す従来のリバース方式多出力直流電源装置と同等に出力電圧の安定度が高い、小型安価なリバース方式直流電源装置を実現する事ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】出力電圧の安定度と損失を改善したリバース方式多出力直流電源装置の回路図である。(実施例)
【図2】他例のリバース方式多出力直流電源装置の回路図である。(実施例)
【図3】リバース方式多出力直流電源装置の基本回路図である。
【図4】従来のリバース方式多出力直流電源装置の回路図である。
【図5】従来のリバース方式多出力直流電源装置の回路図である。
【符号の説明】
1 スイッチング用FET
2 低圧出力回路整流用ダイオード
3 高圧出力回路整流用ダイオード
4 電圧バランスダイオード
5 トランス磁心
6 トランス一次側巻線
7 トランス二次側低圧回路巻線
8 トランス二次側高圧回路巻線
9 トランス二次側電圧補正巻線
10 低圧出力回路平滑コンデンサ
11 高圧出力回路平滑コンデンサ
Claims (4)
- スイッチ素子のON時間中にトランス一次側巻線を通じてトランス磁心に磁束としてエネルギーを蓄え、次にスイッチ素子のOFF時間中にトランス磁心に磁束として蓄えたエネルギーをトランス二次側巻線を通じて二次側回路へ放出し、トランスから放出されたエネルギーを整流素子によってパルス状電流に整流し、整流したパルス状電流を平滑コンデンサによって平滑することによって所望の直流電圧を得る、電圧が異なる2つ以上の出力を持つリバース方式の多出力直流電源装置において、最も出力電圧の低い回路以外の高圧出力回路は1つの出力回路に対して複数の電流ループを持つことを特徴とするリバース方式の多出力直流電源装置。
- 前記複数の高圧出力回路電流ループには、損失を最低限に抑えることを目的とするループと出力電圧安定度の改善を目的とするループとの2つを含んでいることを特徴とする請求項1記載のリバース方式の多出力直流電源装置。
- 前記損失を最低限に抑えることを目的とする高圧出力回路電流ループは、トランス二次側低圧回路巻線と低圧出力回路整流素子の接続点に高圧出力回路整流素子が接続されこの高圧出力回路整流素子と直列にトランス二次側高圧回路巻線が接続されていることを特徴とする請求項1記載のリバース方式の多出力直流電源装置。
- 前記出力電圧安定度の改善を目的とする高圧出力回路電流ループは、低圧出力回路整流素子と低圧出力回路平滑コンデンサの接続点に高圧出力回路整流素子が接続されこの高圧出力回路整流素子と直列にトランス二次側高圧回路巻線が接続されていることを特徴とする請求項1記載のリバース方式の多出力直流電源装置。
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JP2003035933A JP2004248414A (ja) | 2003-02-14 | 2003-02-14 | 直流電源装置 |
Applications Claiming Priority (1)
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JP2003035933A JP2004248414A (ja) | 2003-02-14 | 2003-02-14 | 直流電源装置 |
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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CN102638181A (zh) * | 2012-03-19 | 2012-08-15 | 深圳麦格米特电气股份有限公司 | 一种整流电路 |
-
2003
- 2003-02-14 JP JP2003035933A patent/JP2004248414A/ja active Pending
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