JP2004173434A - 多出力dc−dcコンバータ - Google Patents
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Abstract
【課題】高効率で出力電圧の安定性が高く小型で安価な多出力DC−DCコンバータを提供する。
【解決手段】チョッピングによって直流入力電力をパルス状に変換し、このパルス状電力を多出力平滑インダクタ1によって平滑し、直流出力電力を得るDC−DCコンバータにおいて、少なくとも1つの従出力回路が多出力平滑インダクタに設けられた出力平滑インダクタ従巻線3から所望の出力電圧を得る。
【選択図】 図1
【解決手段】チョッピングによって直流入力電力をパルス状に変換し、このパルス状電力を多出力平滑インダクタ1によって平滑し、直流出力電力を得るDC−DCコンバータにおいて、少なくとも1つの従出力回路が多出力平滑インダクタに設けられた出力平滑インダクタ従巻線3から所望の出力電圧を得る。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明が属する技術分野】
この発明は、多出力で小型安価なDC−DCコンバータに関する。
【0002】
【従来の技術】
近年の電子機器においては、その構成回路と部品の複雑化によって電子機器内部に複数の電源電圧を必要としており、この電源電圧を供給するための電源ユニットを内蔵している。この電源ユニットには、入力電圧および出力電流の変動に対する出力電圧の安定性が高く、なおかつ小型で安価なことが要求される。
【0003】
この要求を満たすために電源ユニットには、例えば図2に示す並列構成が使用される。それぞれに制御回路を内蔵する単出力DC−DCコンバータ9を電子機器が必要とする電源電圧の種類に合わせて複数並列に配置することにより、安定性の高い必要な種類の出力電圧を得たものである。
【0004】
また例えば図3に示す直列構成が使用される。それぞれに制御回路を内蔵する単出力DC−DCコンバータ9を電子機器が必要とする電源電圧の種類に合わせて複数直列に配置することにより、安定性の高い必要な種類の出力電圧を得たものである。
【0005】
しかしながら図2および図3に示す構成では、非常に安定度の高い複数の電源電圧が得られるという利点はあるものの、必要な電源電圧の種類に応じた単出力DC−DCコンバータ9が必要となるため、電源電圧の種類に比例して部品の数が増え、また電源ユニットが大型し価格も高くなるという問題がある。そのため、特に安価な事を優先する電子機器では、例えば図4に示すリバース方式の多出力DC−DCコンバータが使用される。
【0006】
図4に示すリバース方式の多出力DC−DCコンバータは、直流入力電力をパルス状にチョッピングした電力を多出力変圧トランス10の入力側巻線に印加し、その電力を多出力変圧トランス10によって変圧し多出力変圧トランス主巻線13および従巻線14から取り出して整流し、取り出されたパルス状の電力を主出力平滑コンデンサ11および従出力平滑コンデンサ6で直流電圧に平滑することによって必要な各電圧を得る。
【0007】
図4に示すリバース方式の多出力コンバータは、パルス電力発生回路4や出力電圧監視制御回路8を1つに省略できることなどにより、図2に示す並列構成や図3に示す直列構成に比べて非常に少ない部品で構成することができる。
【0008】
しかしながら図4に示すリバース方式の多出力DC−DCコンバータには、主出力である出力2と従出力である出力1があり、出力2(主出力)からは出力電圧監視制御回路8によって制御されていることにより単出力DC−DCコンバータと同程度の安定性を持った電圧が出力されるが、出力1(従出力)から出力される電圧は外乱による影響が大きいために安定性が低い。
【0009】
このリバース方式の多出力DC−DCコンバータの、従出力回路の出力電圧の安定性を改善するために、多出力変圧トランスの出力巻線の接続方法や出力整流平滑回路の構成にはいくつかの方式が考案され使用されている。図5に示す表は、一般的に広く採用されている絶縁型リバース方式の多出力コンバータの出力整流平滑回路の例とその特徴である。
【0010】
図5に示す表の方式1は、図4の多出力DC−DCコンバータ回路例に採用されている方式である。トランスの出力巻線及び出力整流平滑回路は、出力2(主出力)と出力1(従出力)で完全に分離されているので損失が少なく効率が良い。しかし、出力1(従出力)の電圧安定性は、多出力変圧トランス主巻線13の両端に発生している電圧に比例して従巻線14の両端に発生する電圧の安定性のみに依存するため、相対的に方式2、方式3と比べて安定性が低いという欠点がある。
【0011】
図5に示す表の方式2は、方式1の出力1(従出力)の電圧安定性を改善した回路である。多出力変圧トランス従巻線14の一部を主巻線13に兼ねさせることで、従巻線14の両端に発生する電圧に対する外乱の影響が少なくなり、出力1(従出力)の電圧安定性を改善する。
【0012】
図5に示す表の方式3は、方式1の出力1(従出力)の電圧安定性を大幅に改善した回路である。多出力変圧トランス従巻線14を、出力2(主出力)を基準に接続している。出力1(従出力)の出力電圧の一部を制御回路によって安定的に制御されている出力2(主出力)に置き換え、外乱の影響を受けやすい従出力トランス巻線からの発生電圧の比率を少なくすることで、出力1(従出力)の電圧安定性を改善する。
【0013】
また図4に示すリバース方式の多出力DC−DCコンバータは、出力電圧監視制御回路が出力電圧を監視しているのは出力2(主出力)のみ、言い換えると従回路の出力電圧が変動しても主回路の出力電圧が変動していなければ制御回路は補正動作を行わない回路構成になっている。図5の表の方式2も同様である。しかし、図5の表の方式3は、仮に出力1(従出力)の出力電圧が外乱の影響によって低下すると、多出力変圧トランス従巻線14は主出力平滑コンデンサ11に蓄えられた電荷を従出力平滑コンデンサ6に吸い上げることで出力2(主出力)の出力電圧も低下させるように機能する。この出力2(主出力)の出力電圧低下を出力電圧監視制御回路が検出すると、電圧を上昇させるための補正動作が行われるため、結果的に出力2(主出力)の出力電圧は低下せず、出力1(従出力)の出力電圧低下も補正される。このようにして図5に示す表の方式3は、出力1(従出力)の電圧安定性を大幅に改善する。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来技術である図4に示すリバース方式の多出力DC−DCコンバータは、数十Wの電源ユニット用途においては図2に示す単出力DC−DCコンバータの並列構成及び図3に示す単出力DC−DCコンバータの並列構成に比較して利益が得られるが、数Wの電源ユニット用途においてはサイズ及び価格に対するトランスの影響が大きく、利益が得られない。
【0015】
そこで、この発明は、出力の電圧安定性が高く、また数Wの出力電力であっても小型安価な多出力DC−DCコンバータを提供することを課題とする。
【0016】
【課題を解決するための手段】
以上の課題を解決するために、チョッピングによって直流入力電力をパルス状に変換し、このパルス状電力を多出力平滑インダクタによって平滑し、直流出力電力を得るDC−DCコンバータにおいて、少なくとも1つの従出力回路が多出力平滑インダクタに設けられた出力平滑インダクタ従巻線から所望の出力電圧を得ることを特徴とする多出力DC−DCコンバータ。
【0017】
また、前記従出力回路は、出力平滑インダクタ従巻線からのパルス状電力を従出力整流ダイオードによって整流し、従出力平滑コンデンサによって平滑し、直流出力電圧を得ることを特徴とする。
【0018】
前記出力平滑インダクタ従巻線は、出力平滑インダクタ主巻線と直列に接続されていることを特徴とする。
【0019】
前記従出力回路は、従出力回路の出力電圧が低下した場合に主出力回路の出力電圧を低下させるように主出力回路に接続されていることを特徴とする。
【0020】
前記出力平滑インダクタ従巻線と出力平滑インダクタ主巻線の巻数比率は、従出力電圧と主出力電圧の電圧差と主出力電圧との比率と、等しいことを特徴とする。
【0021】
前記従出力回路は、主出力回路の出力電圧より高い電圧を出力することを特徴とする。
【0022】
【発明の実施の形態】
本発明の好適な実施の形態を図1に示す。本実施例は、電子機器の電源ユニットに用いられる降圧チョッパ方式の多出力DC−DCコンバータである。図1に示す降圧チョッパ方式の多出力DC−DCコンバータによる電源ユニット回路は、図6に示す降圧チョッパ方式の単出力DC−DCコンバータ回路の単出力平滑インダクタ15に従巻線3を追加し、従出力整流ダイオード5及び従出力平滑コンデンサ6を接続し、出力1(従出力)を得られるようにしている。
【0023】
図7に図1に示した降圧チョッパ方式の多出力DC−DCコンバータの各部動作波形を示す。以下にこの各部動作波形について説明する。V1はパルス電力発生用スイッチFET 16によって入力電圧をチョッピングしたパルス状の電圧波形である。ON期間とOFF期間の比率は入力電圧や出力電圧の状況に合わせて出力電圧監視制御回路8によって適切に制御される。
【0024】
V2は出力平滑インダクタ従巻線3から得られる出力1のための出力電圧波形である。出力平滑インダクタ従巻線3からはOFF期間のみに電圧が出力され、この電圧の大きさは出力2(主出力)の出力電圧にほぼ比例する。OFF期間は出力平滑インダクタ主巻線2に出力電圧にほぼ等しい電圧が加わっており、従巻線3には、巻線1ターン当たりの電圧が主巻線2と等しくなる電圧が発生するためである。
【0025】
I1はパルス電力発生用スイッチFET16を流れる電流波形である。このI1は同時に、多出力平滑インダクタ1を流れる電流であり、ON期間のみに流れ、流れている間は時間と共に直線的に増加する。
【0026】
I2はOFF期間に多出力平滑インダクタ1の電流を流しつづけるための還流ダイオード12を流れる電流波形である。このI2は同時に、多出力平滑インダクタ1を流れる電流である。
【0027】
I3は多出力平滑インダクタ1の主巻線2を流れる電流波形である。出力平滑インダクタ主巻線に流れる電流は、出力2(主出力)の出力電流だけでなく出力1(従出力)の出力電流も含んでいる。
【0028】
I4は多出力平滑インダクタ1と主出力リップル除去コンデンサ7の間を流れる電流波形である。この電流波形を平均化した電流値が出力2(主出力)の直流出力電流となる。主出力電流=0の条件でも、ON期間中に正極性の電流が流れているが、OFF期間中には負極性の電流が流れており、全周期で平均化すると0Aとなる。
【0029】
I5は出力平滑インダクタ従巻線3を流れる電流波形である。この電流波形を平均化した電流値が出力1(従出力)の直流出力電流となる。この電流はOFF期間のみに流れている。例えば条件1、条件2のように出力2(主出力)に出力電流が流れている場合には、このI5は還流ダイオード12、出力平滑インダクタ主巻線2、出力平滑インダクタ従巻線3の経路を通って流れる。また例えば条件3のように出力2(主出力)に出力電流が流れておらず出力1(従出力)に大きな出力電流が流れている場合には、このI5は還流ダイオード12、出力平滑インダクタ主巻線2、出力平滑インダクタ従巻線3の経路を通って流れる電流と、主出力リップル除去コンデンサ7、出力平滑インダクタ従巻線3の経路を通って流れる電流を足し合わせた電流によって構成される。
【0030】
この実施形態によれば、トランスを使用しない降圧チョッパ方式を用いて、図5に示すリバース方式の多出力DC−DCコンバータの出力整流平滑回路の例とその特徴を示す表の方式3と同様に、図1に示す降圧チョッパ方式の多出力DC−DCコンバータは、出力1(従出力)の出力電圧が外乱の影響によって低下すると、出力平滑インダクタ従巻線3は主出力リップル除去コンデンサ7に蓄えられた電荷を従出力平滑コンデンサ6に吸い上げることで出力2(主出力)の出力電圧も低下させるように機能し、この出力2(主出力)の出力電圧低下を出力電圧監視制御回路8が検出すると、出力電圧を上昇させるための補正動作が行われるため、結果的に出力2(主出力)の出力電圧は低下せず、出力1(従出力)の出力電圧低下も補正される。このようにして高い出力電圧安定性を得ることができる。
【0031】
以上、本発明の好適な実施例を挙げて説明したが、本発明は上記各実施例に限定されるものではなく、例えば従出力は2つ以上の従出力を持つ多出力DC−DCコンバータであってもその効果は変わらず、またパルス電力発生用スイッチFET 16をバイポーラトランジスタなどの他のスイッチ素子に置き換える、還流ダイオード12を同期整流用スイッチ素子に置き換えることができる等、発明の精神を逸脱しない範囲内で多くの改変を施し得ることはもちろんである。
【0032】
【発明の効果】
以上説明したように、従来技術であるリバース方式の多出力DC−DCコンバータではトランスによるサイズやコストへの影響から図2に示す単出力DC−DCコンバータの並列構成及び図3に示す単出力DC−DCコンバータの並列構成に比較して利益が得られない数Wの電源ユニットにおいても、この発明によれば、リバース方式の多出力DC−DCコンバータと同等の出力安定度が得られながら、なおかつトランスを使用していないことにより小型安価な多出力DC−DCコンバータを実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】降圧チョッパ方式の多出力DC−DCコンバータによる電源ユニット回路の一例である。
【図2】単出力DC−DCコンバータの並列構成による電源ユニット回路の一例である。
【図3】単出力DC−DCコンバータの直列構成による電源ユニット回路の一例である。
【図4】リバース方式の多出力DC−DCコンバータによる電源ユニット回路の一例である。
【図5】リバース方式の多出力DC−DCコンバータの出力整流平滑回路の例とその特徴を示す表である。
【図6】降圧チョッパ方式の単出力DC−DCコンバータの回路である。
【図7】図1に示した降圧チョッパ方式の多出力DC−DCコンバータの各部動作波形である。
【符号の説明】
1 多出力平滑インダクタ
2 出力平滑インダクタ主巻線
3 出力平滑インダクタ従巻線
4 パルス電圧発生回路
5 従出力整流ダイオード
6 従出力平滑コンデンサ
7 主出力リップル除去コンデンサ
8 出力電圧監視制御回路
9 単出力DC−DCコンバータ
10 多出力変圧トランス
11 主出力平滑コンデンサ
12 還流ダイオード
13 出力トランス主巻線
14 出力トランス従巻線
15 単出力平滑インダクタ
16 パルス電圧発生用スイッチFET
【発明が属する技術分野】
この発明は、多出力で小型安価なDC−DCコンバータに関する。
【0002】
【従来の技術】
近年の電子機器においては、その構成回路と部品の複雑化によって電子機器内部に複数の電源電圧を必要としており、この電源電圧を供給するための電源ユニットを内蔵している。この電源ユニットには、入力電圧および出力電流の変動に対する出力電圧の安定性が高く、なおかつ小型で安価なことが要求される。
【0003】
この要求を満たすために電源ユニットには、例えば図2に示す並列構成が使用される。それぞれに制御回路を内蔵する単出力DC−DCコンバータ9を電子機器が必要とする電源電圧の種類に合わせて複数並列に配置することにより、安定性の高い必要な種類の出力電圧を得たものである。
【0004】
また例えば図3に示す直列構成が使用される。それぞれに制御回路を内蔵する単出力DC−DCコンバータ9を電子機器が必要とする電源電圧の種類に合わせて複数直列に配置することにより、安定性の高い必要な種類の出力電圧を得たものである。
【0005】
しかしながら図2および図3に示す構成では、非常に安定度の高い複数の電源電圧が得られるという利点はあるものの、必要な電源電圧の種類に応じた単出力DC−DCコンバータ9が必要となるため、電源電圧の種類に比例して部品の数が増え、また電源ユニットが大型し価格も高くなるという問題がある。そのため、特に安価な事を優先する電子機器では、例えば図4に示すリバース方式の多出力DC−DCコンバータが使用される。
【0006】
図4に示すリバース方式の多出力DC−DCコンバータは、直流入力電力をパルス状にチョッピングした電力を多出力変圧トランス10の入力側巻線に印加し、その電力を多出力変圧トランス10によって変圧し多出力変圧トランス主巻線13および従巻線14から取り出して整流し、取り出されたパルス状の電力を主出力平滑コンデンサ11および従出力平滑コンデンサ6で直流電圧に平滑することによって必要な各電圧を得る。
【0007】
図4に示すリバース方式の多出力コンバータは、パルス電力発生回路4や出力電圧監視制御回路8を1つに省略できることなどにより、図2に示す並列構成や図3に示す直列構成に比べて非常に少ない部品で構成することができる。
【0008】
しかしながら図4に示すリバース方式の多出力DC−DCコンバータには、主出力である出力2と従出力である出力1があり、出力2(主出力)からは出力電圧監視制御回路8によって制御されていることにより単出力DC−DCコンバータと同程度の安定性を持った電圧が出力されるが、出力1(従出力)から出力される電圧は外乱による影響が大きいために安定性が低い。
【0009】
このリバース方式の多出力DC−DCコンバータの、従出力回路の出力電圧の安定性を改善するために、多出力変圧トランスの出力巻線の接続方法や出力整流平滑回路の構成にはいくつかの方式が考案され使用されている。図5に示す表は、一般的に広く採用されている絶縁型リバース方式の多出力コンバータの出力整流平滑回路の例とその特徴である。
【0010】
図5に示す表の方式1は、図4の多出力DC−DCコンバータ回路例に採用されている方式である。トランスの出力巻線及び出力整流平滑回路は、出力2(主出力)と出力1(従出力)で完全に分離されているので損失が少なく効率が良い。しかし、出力1(従出力)の電圧安定性は、多出力変圧トランス主巻線13の両端に発生している電圧に比例して従巻線14の両端に発生する電圧の安定性のみに依存するため、相対的に方式2、方式3と比べて安定性が低いという欠点がある。
【0011】
図5に示す表の方式2は、方式1の出力1(従出力)の電圧安定性を改善した回路である。多出力変圧トランス従巻線14の一部を主巻線13に兼ねさせることで、従巻線14の両端に発生する電圧に対する外乱の影響が少なくなり、出力1(従出力)の電圧安定性を改善する。
【0012】
図5に示す表の方式3は、方式1の出力1(従出力)の電圧安定性を大幅に改善した回路である。多出力変圧トランス従巻線14を、出力2(主出力)を基準に接続している。出力1(従出力)の出力電圧の一部を制御回路によって安定的に制御されている出力2(主出力)に置き換え、外乱の影響を受けやすい従出力トランス巻線からの発生電圧の比率を少なくすることで、出力1(従出力)の電圧安定性を改善する。
【0013】
また図4に示すリバース方式の多出力DC−DCコンバータは、出力電圧監視制御回路が出力電圧を監視しているのは出力2(主出力)のみ、言い換えると従回路の出力電圧が変動しても主回路の出力電圧が変動していなければ制御回路は補正動作を行わない回路構成になっている。図5の表の方式2も同様である。しかし、図5の表の方式3は、仮に出力1(従出力)の出力電圧が外乱の影響によって低下すると、多出力変圧トランス従巻線14は主出力平滑コンデンサ11に蓄えられた電荷を従出力平滑コンデンサ6に吸い上げることで出力2(主出力)の出力電圧も低下させるように機能する。この出力2(主出力)の出力電圧低下を出力電圧監視制御回路が検出すると、電圧を上昇させるための補正動作が行われるため、結果的に出力2(主出力)の出力電圧は低下せず、出力1(従出力)の出力電圧低下も補正される。このようにして図5に示す表の方式3は、出力1(従出力)の電圧安定性を大幅に改善する。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来技術である図4に示すリバース方式の多出力DC−DCコンバータは、数十Wの電源ユニット用途においては図2に示す単出力DC−DCコンバータの並列構成及び図3に示す単出力DC−DCコンバータの並列構成に比較して利益が得られるが、数Wの電源ユニット用途においてはサイズ及び価格に対するトランスの影響が大きく、利益が得られない。
【0015】
そこで、この発明は、出力の電圧安定性が高く、また数Wの出力電力であっても小型安価な多出力DC−DCコンバータを提供することを課題とする。
【0016】
【課題を解決するための手段】
以上の課題を解決するために、チョッピングによって直流入力電力をパルス状に変換し、このパルス状電力を多出力平滑インダクタによって平滑し、直流出力電力を得るDC−DCコンバータにおいて、少なくとも1つの従出力回路が多出力平滑インダクタに設けられた出力平滑インダクタ従巻線から所望の出力電圧を得ることを特徴とする多出力DC−DCコンバータ。
【0017】
また、前記従出力回路は、出力平滑インダクタ従巻線からのパルス状電力を従出力整流ダイオードによって整流し、従出力平滑コンデンサによって平滑し、直流出力電圧を得ることを特徴とする。
【0018】
前記出力平滑インダクタ従巻線は、出力平滑インダクタ主巻線と直列に接続されていることを特徴とする。
【0019】
前記従出力回路は、従出力回路の出力電圧が低下した場合に主出力回路の出力電圧を低下させるように主出力回路に接続されていることを特徴とする。
【0020】
前記出力平滑インダクタ従巻線と出力平滑インダクタ主巻線の巻数比率は、従出力電圧と主出力電圧の電圧差と主出力電圧との比率と、等しいことを特徴とする。
【0021】
前記従出力回路は、主出力回路の出力電圧より高い電圧を出力することを特徴とする。
【0022】
【発明の実施の形態】
本発明の好適な実施の形態を図1に示す。本実施例は、電子機器の電源ユニットに用いられる降圧チョッパ方式の多出力DC−DCコンバータである。図1に示す降圧チョッパ方式の多出力DC−DCコンバータによる電源ユニット回路は、図6に示す降圧チョッパ方式の単出力DC−DCコンバータ回路の単出力平滑インダクタ15に従巻線3を追加し、従出力整流ダイオード5及び従出力平滑コンデンサ6を接続し、出力1(従出力)を得られるようにしている。
【0023】
図7に図1に示した降圧チョッパ方式の多出力DC−DCコンバータの各部動作波形を示す。以下にこの各部動作波形について説明する。V1はパルス電力発生用スイッチFET 16によって入力電圧をチョッピングしたパルス状の電圧波形である。ON期間とOFF期間の比率は入力電圧や出力電圧の状況に合わせて出力電圧監視制御回路8によって適切に制御される。
【0024】
V2は出力平滑インダクタ従巻線3から得られる出力1のための出力電圧波形である。出力平滑インダクタ従巻線3からはOFF期間のみに電圧が出力され、この電圧の大きさは出力2(主出力)の出力電圧にほぼ比例する。OFF期間は出力平滑インダクタ主巻線2に出力電圧にほぼ等しい電圧が加わっており、従巻線3には、巻線1ターン当たりの電圧が主巻線2と等しくなる電圧が発生するためである。
【0025】
I1はパルス電力発生用スイッチFET16を流れる電流波形である。このI1は同時に、多出力平滑インダクタ1を流れる電流であり、ON期間のみに流れ、流れている間は時間と共に直線的に増加する。
【0026】
I2はOFF期間に多出力平滑インダクタ1の電流を流しつづけるための還流ダイオード12を流れる電流波形である。このI2は同時に、多出力平滑インダクタ1を流れる電流である。
【0027】
I3は多出力平滑インダクタ1の主巻線2を流れる電流波形である。出力平滑インダクタ主巻線に流れる電流は、出力2(主出力)の出力電流だけでなく出力1(従出力)の出力電流も含んでいる。
【0028】
I4は多出力平滑インダクタ1と主出力リップル除去コンデンサ7の間を流れる電流波形である。この電流波形を平均化した電流値が出力2(主出力)の直流出力電流となる。主出力電流=0の条件でも、ON期間中に正極性の電流が流れているが、OFF期間中には負極性の電流が流れており、全周期で平均化すると0Aとなる。
【0029】
I5は出力平滑インダクタ従巻線3を流れる電流波形である。この電流波形を平均化した電流値が出力1(従出力)の直流出力電流となる。この電流はOFF期間のみに流れている。例えば条件1、条件2のように出力2(主出力)に出力電流が流れている場合には、このI5は還流ダイオード12、出力平滑インダクタ主巻線2、出力平滑インダクタ従巻線3の経路を通って流れる。また例えば条件3のように出力2(主出力)に出力電流が流れておらず出力1(従出力)に大きな出力電流が流れている場合には、このI5は還流ダイオード12、出力平滑インダクタ主巻線2、出力平滑インダクタ従巻線3の経路を通って流れる電流と、主出力リップル除去コンデンサ7、出力平滑インダクタ従巻線3の経路を通って流れる電流を足し合わせた電流によって構成される。
【0030】
この実施形態によれば、トランスを使用しない降圧チョッパ方式を用いて、図5に示すリバース方式の多出力DC−DCコンバータの出力整流平滑回路の例とその特徴を示す表の方式3と同様に、図1に示す降圧チョッパ方式の多出力DC−DCコンバータは、出力1(従出力)の出力電圧が外乱の影響によって低下すると、出力平滑インダクタ従巻線3は主出力リップル除去コンデンサ7に蓄えられた電荷を従出力平滑コンデンサ6に吸い上げることで出力2(主出力)の出力電圧も低下させるように機能し、この出力2(主出力)の出力電圧低下を出力電圧監視制御回路8が検出すると、出力電圧を上昇させるための補正動作が行われるため、結果的に出力2(主出力)の出力電圧は低下せず、出力1(従出力)の出力電圧低下も補正される。このようにして高い出力電圧安定性を得ることができる。
【0031】
以上、本発明の好適な実施例を挙げて説明したが、本発明は上記各実施例に限定されるものではなく、例えば従出力は2つ以上の従出力を持つ多出力DC−DCコンバータであってもその効果は変わらず、またパルス電力発生用スイッチFET 16をバイポーラトランジスタなどの他のスイッチ素子に置き換える、還流ダイオード12を同期整流用スイッチ素子に置き換えることができる等、発明の精神を逸脱しない範囲内で多くの改変を施し得ることはもちろんである。
【0032】
【発明の効果】
以上説明したように、従来技術であるリバース方式の多出力DC−DCコンバータではトランスによるサイズやコストへの影響から図2に示す単出力DC−DCコンバータの並列構成及び図3に示す単出力DC−DCコンバータの並列構成に比較して利益が得られない数Wの電源ユニットにおいても、この発明によれば、リバース方式の多出力DC−DCコンバータと同等の出力安定度が得られながら、なおかつトランスを使用していないことにより小型安価な多出力DC−DCコンバータを実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】降圧チョッパ方式の多出力DC−DCコンバータによる電源ユニット回路の一例である。
【図2】単出力DC−DCコンバータの並列構成による電源ユニット回路の一例である。
【図3】単出力DC−DCコンバータの直列構成による電源ユニット回路の一例である。
【図4】リバース方式の多出力DC−DCコンバータによる電源ユニット回路の一例である。
【図5】リバース方式の多出力DC−DCコンバータの出力整流平滑回路の例とその特徴を示す表である。
【図6】降圧チョッパ方式の単出力DC−DCコンバータの回路である。
【図7】図1に示した降圧チョッパ方式の多出力DC−DCコンバータの各部動作波形である。
【符号の説明】
1 多出力平滑インダクタ
2 出力平滑インダクタ主巻線
3 出力平滑インダクタ従巻線
4 パルス電圧発生回路
5 従出力整流ダイオード
6 従出力平滑コンデンサ
7 主出力リップル除去コンデンサ
8 出力電圧監視制御回路
9 単出力DC−DCコンバータ
10 多出力変圧トランス
11 主出力平滑コンデンサ
12 還流ダイオード
13 出力トランス主巻線
14 出力トランス従巻線
15 単出力平滑インダクタ
16 パルス電圧発生用スイッチFET
Claims (6)
- チョッピングによって直流入力電力をパルス状に変換し、このパルス状電力を多出力平滑インダクタによって平滑し、直流出力電力を得るDC−DCコンバータにおいて、少なくとも1つの従出力回路が多出力平滑インダクタに設けられた出力平滑インダクタ従巻線から所望の出力電圧を得ることを特徴とする多出力DC−DCコンバータ。
- 前記従出力回路は、出力平滑インダクタ従巻線からのパルス状電力を従出力整流ダイオードによって整流し、従出力平滑コンデンサによって平滑し、直流出力電圧を得ることを特徴とする請求項1記載の多出力DC−DCコンバータ。
- 前記出力平滑インダクタ従巻線は、出力平滑インダクタ主巻線と直列に接続されていることを特徴とする請求項1記載の多出力DC−DCコンバータ。
- 前記従出力回路は、従出力回路の出力電圧が低下した場合に主出力回路の出力電圧を低下させるように主出力回路に接続されていることを特徴とする請求項1記載の多出力DC−DCコンバータ。
- 前記出力平滑インダクタ従巻線と出力平滑インダクタ主巻線の巻数比率は、従出力電圧と主出力電圧の電圧差と主出力電圧との比率と、等しいことを特徴とする請求項1記載の多出力DC−DCコンバータ。
- 前記従出力回路は、主出力回路の出力電圧より高い電圧を出力することを特徴とする請求項1記載の多出力DC−DCコンバータ。
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---|---|---|---|
JP2002337460A JP2004173434A (ja) | 2002-11-21 | 2002-11-21 | 多出力dc−dcコンバータ |
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2002
- 2002-11-21 JP JP2002337460A patent/JP2004173434A/ja active Pending
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