JP2004247452A - レーザ駆動制御回路 - Google Patents
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Abstract
【課題】レーザ駆動制御回路における消費電力の削減
【解決手段】半導体レーザの駆動電流のレベルを制御してレーザ出力を一定とするように構成されたレーザ駆動制御手段を備えるレーザ駆動制御回路として、レーザ駆動電流のレベルを示す駆動電流値に応じて半導体レーザの温度制御を行う温度制御手段を備えるようにする。その上で、上記駆動電流値のレベルに応じて、上記温度制御手段の動作をオンとオフとで切り換える動作切換手段を備えるようにする。
これにより、半導体レーザの温度制御のために上記温度制御手段に対して常に電力を供給する必要がなくなり、回路の消費電力を削減できる。
【選択図】 図1
【解決手段】半導体レーザの駆動電流のレベルを制御してレーザ出力を一定とするように構成されたレーザ駆動制御手段を備えるレーザ駆動制御回路として、レーザ駆動電流のレベルを示す駆動電流値に応じて半導体レーザの温度制御を行う温度制御手段を備えるようにする。その上で、上記駆動電流値のレベルに応じて、上記温度制御手段の動作をオンとオフとで切り換える動作切換手段を備えるようにする。
これにより、半導体レーザの温度制御のために上記温度制御手段に対して常に電力を供給する必要がなくなり、回路の消費電力を削減できる。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体レーザの駆動電流のレベルを制御してレーザ出力を一定とするように構成されたレーザ駆動制御手段を備えるレーザ駆動制御回路に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、光を利用した動作を行う各種電子機器における光源として、半導体レーザが多用されている。
このような半導体レーザは、駆動回路により駆動電流が供給されることによりレーザ発振を行うようにされ、これによりレーザ光を射出するようにされている。
【0003】
この際、上記のように駆動電流が供給され、半導体レーザが発振を行うことによっては、これに伴って半導体レーザ自体が発熱するものとなる。そして、このときの半導体レーザの発熱量は、供給される駆動電流のレベルに応じたものとなる。
【0004】
この際、半導体レーザの温度上昇に伴っては、レーザ光の出力が逆に低下していくものとなる。
図5に、このような半導体レーザの発熱に伴う、レーザ光の温度特性の例を示す。この図においては縦軸をレーザ出力Lのレベルとし、横軸を駆動電流Iのレベルとしている。
この図において、例えば図中に破線で示すように、駆動電流Iとして、レベル「I0」が供給され、これによりレーザ出力Lとしてレベル「L0」を得ていたとする。
先の説明によると、このように駆動電流Iを供給して半導体レーザが発振することによっては、半導体レーザが発熱し温度が上昇する。そして、この間、駆動電流Iのレベルが上記した「I0」で一定であったとすると、レーザ出力は、電流供給初期時における上記した「L0」のレベルから、図示するように「L1」のレベルに低下するものとなる。
このようにして、半導体レーザの温度が上昇することによっては、レーザ光の出力が低下することとなる。
【0005】
ところで、半導体レーザとして、例えば光ディスクの記録/再生に用いられる半導体レーザ50では、一定のレーザ光を安定して出力することが要請される。つまり、このようにレーザ光が安定して出力されない場合は、記録信号品質を低下させてしまうおそれがあるからである。
このために、このような光ディスク記録・再生装置に用いられる半導体レーザ50に対しては、上記のようにレーザ光の出力を一定に維持するための、所謂レーザAPC回路が備えられている。
【0006】
図6は、例えば光ディスク記録・再生装置において備えられる、レーザAPC回路70の構成を簡略的に示した回路図である。
この図において、半導体レーザ50は、図示するレーザドライバ(駆動回路)76により駆動電流が供給されることによりレーザ発振を行う。そして、これにより半導体レーザ50から射出されたレーザ光は、フォトディテクタ71により受光される。
フォトディテクタ71により受光されたレーザ光は、半導体レーザ50のレーザ出力の値を示す電気信号に変換され、ヘッドアンプ72に供給される。そして、ヘッドアンプ72はこの電気信号を増幅し、これを減算回路73に供給する。
【0007】
減算回路73に供給された信号は、ここにおいて図示するレーザ出力目標値との誤差が検出され、その誤差に応じた誤差信号として出力される。そして、このように出力された誤差信号は、ローパスフィルタ(LPF)74を介して誤差増幅回路75に供給されて増幅され、上記したレーザドライバ76に供給される。
レーザドライバ76は、このように供給される誤差信号に基づいて生成した駆動電流により、半導体レーザ50を駆動する。
【0008】
このような構成により、半導体レーザ50からのレーザ出力の値が、レーザ出力目標値より低い場合は、その誤差に応じた正の誤差信号によりレーザドライバ76で生成される駆動電流が制御されるようになって、レーザ出力が上昇傾向となるように制御される。また、レーザ出力の値がレーザ出力目標値より高い場合は、その誤差に応じた負の誤差信号によって駆動電流が制御されて、レーザ出力が下降傾向となるように制御される。
つまりこれにより、レーザ出力が設定された目標値と一致するように制御されるようになって、上記したような温度上昇に関わらず、半導体レーザ50からのレーザ出力を一定とすることが可能となる。
【0009】
ここで、このようなAPC回路70が備えられている下で、半導体レーザ50が駆動された場合について考察してみる。
この場合において、先ず、駆動電流が供給されてレーザ光の出力が開始されたとすると、先にも述べたように半導体レーザ50の温度が上昇し始める。そして、半導体レーザ50の温度上昇に伴っては、先の図5にも示したようにレーザ出力が減少傾向となる。
レーザ光の出力が減少傾向となると、上記したAPC回路70の動作によって、駆動電流が増加する傾向となる。そして、これによって、上記のように温度上昇により減少方向にあったレーザ出力が増加傾向となり、この結果、レーザ出力は設定された一定のレベルに維持されるものとなる。
【0010】
しかしながら、この場合、駆動電流が増加傾向となることによっては、先にも説明したように半導体レーザの温度が上昇傾向となる。
つまり、このことから、上記のようにAPC回路70が動作することによっては、「半導体レーザの温度上昇→レーザ出力の低下→駆動電流の増加→半導体レーザの温度上昇」というループが形成されてしまうこととなる。
この結果、駆動電流のレベルが大幅に上昇して、半導体レーザの寿命を著しく低下させてしまうおそれがある。
【0011】
このような問題を解決するために、従来では、上記したレーザAPC回路70の構成に対して冷却素子を備えるようにしたものがある(下記特許文献1参照)。
図7は、このような冷却素子を備えた場合の回路構成を示す回路図である。なお、この図では、先の図6において既に説明した部位について同一の符号を付している。
この場合、図示する冷却素子87は、その吸熱面が例えば半導体レーザ50と接合されて、半導体レーザ50に生じた熱を放熱面から効率よく放出できるように構成される。そして、この冷却素子87は、図示する冷却素子ドライバ86から供給される駆動電流に応じて放熱・吸熱動作を行うようにされる。
【0012】
温度センサ81は、半導体レーザ50の発熱量を感知して、これに応じた電気信号をヘッドアンプ82に供給する。そして、このヘッドアンプ82に供給されて増幅された電気信号は、図示する減算回路83に供給され、ここで温度目標値との誤差が検出されて温度誤差信号として出力される。
さらに、この温度誤差信号は、ローパスフィルタ84を介して誤差増幅回路85に供給されて増幅され、冷却素子ドライバ86に供給される。
冷却素子ドライバ86は、このように供給された温度誤差信号に応じて冷却素子87を駆動・制御する。
【0013】
このような構成により、温度センサ81により感知された半導体レーザ50の温度が、温度目標値と一致するように冷却素子87が駆動されるようになって、半導体レーザ50の温度を、上記温度目標値に応じた一定の温度に維持することができる。
そして、半導体レーザ50の温度が一定に保たれることにより、レーザ出力が安定し、駆動電流も安定して半導体レーザの寿命低下を抑制できるようになる。
【0014】
しかしながら、この際、温度センサ81自体が比較的高価であり、回路のコストアップの要因となってしまうという問題点があった。
また、このような温度センサ81は、半導体レーザ50に密着するように設けられるものではあるが、この場合センサ周囲の温度も影響してしまうことから、その温度感知の信頼性に問題があった。
【0015】
ここで、上記もしたように、レーザAPC回路70が動作している下では、半導体レーザ50の温度が上昇したことでレーザ出力レベルが低下すると、駆動電流のレベルを上昇させるように制御が行われる。
また、逆に半導体レーザ50の温度が低下して、レーザ出力レベルが上昇したとすると、駆動電流のレベルを低下させるように制御が行われる。
すなわち、この場合、レーザAPC回路70が動作している下では、半導体レーザ50の温度が上昇すると、これに応じて駆動電流のレベルも上昇し、逆に半導体レーザ50の温度が低下すると、これに応じて駆動電流のレベルも低下する
ものとなる。
【0016】
これを換言すれば、逆に駆動電流のレベルが上昇しているときには、半導体レーザ50の温度が上昇していることがわかる。また、駆動電流のレベルが低下しているときは、半導体レーザ50の温度が低下していることがわかるようになるものである。
このことから、レーザAPC回路70が動作している下では、半導体レーザ50に供給される駆動電流のレベルをみることにより、半導体レーザ50の発熱レベルを感知することができるものである。
【0017】
この点に着目して半導体レーザの温度を一定に制御するようにしたものが、下記特許文献2に示される発明である。
図8は、このように駆動電流により半導体レーザの温度を感知して温度制御を行うようにした構成を示した回路図である。
なお、この図においても既に図6、図7において説明した部分については同一の符号を付している。
この場合、誤差増幅回路75により出力されるレーザ駆動電流についての誤差信号を、図示するように温度制御系における減算回路83に入力するようにしている。
そして、この減算回路83では、このように入力された誤差信号と、予め温度目標値として設定された対応する値とを減算する。
その上で、このように算出された誤差に基づいた温度誤差信号を、冷却素子ドライバ86に供給し、これにより冷却素子87の動作を制御するようにしている。
【0018】
このような構成において、例えばレーザ駆動電流のレベルが目標値よりも大きい(←半導体レーザ50の温度が目標値よりも高い)とされ、例えば上記誤差信号として正の信号が供給された場合は、上記減算回路83からは、温度目標値との誤差に応じた負の温度誤差信号が出力される。そして、これに応じては、冷却素子ドライバ86が負の駆動電流を冷却素子87に供給し、冷却素子87はこの負の駆動電流に応じて半導体レーザ50の吸熱を行うように動作する。この結果、このようにレーザ出力が低下した場合、つまり半導体レーザ50の温度が上昇した場合には、半導体レーザ50が冷却素子87により冷却されるようになる。
【0019】
逆に、例えばレーザ駆動電流のレベルが目標値よりも小さい(←半導体レーザ50の温度が目標値よりも低い)とされ、例えば上記負の誤差信号が供給された場合には、上記減算回路83からは温度目標値との誤差に応じた正の温度誤差信号が出力される。そして、これに応じ冷却素子ドライバ86が正の駆動電流を冷却素子87に供給し、冷却素子87が発熱動作を行うように制御される。すなわち、このようにレーザ出力が上昇、つまり半導体レーザ50の温度が低下した場合には、冷却素子87が発熱を行って半導体レーザ50の温度が上昇するように制御される。
【0020】
このようにして、図8に示した構成によっても、半導体レーザ50の温度を温度目標値に応じた一定の温度に制御することができる。
そして、これによりこの図8の回路では、半導体レーザ50の温度制御を行うにあたって、図7に示したような温度センサが不要となり、回路コストの削減が図られる。
さらにこの場合、レーザ駆動電流についての誤差レベルは、半導体レーザ50の発熱量を直接反映するものであるから、温度センサを用いた場合よりも正確に半導体レーザ50の温度制御を行うことができるというメリットもある。
【特許文献1】
特開平6−252857
【特許文献2】
特開昭61−90219
【0021】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、この図8に示した構成によると、駆動電流が供給されて半導体レーザ50が駆動されている状態では、この半導体レーザ50の温度を一定に保つために、冷却素子87を常に駆動しておかなければならないこととなる。
すなわち、この場合、冷却素子87を駆動するための冷却素子ドライバ86に対して、常に電力が供給されている必要があり、これによって回路の消費電力が増大してしまうという問題が生じる。
【0022】
【課題を解決するための手段】
そこで、本発明では以上のような問題点に鑑み、半導体レーザの駆動電流のレベルを制御してレーザ出力を一定とするように構成されたレーザ駆動制御手段を備えるレーザ駆動制御回路として、以下のように構成することとした。
すなわち、上記駆動電流のレベルに応じて変化するものとされる、上記半導体レーザにおける温度を制御可能に設けられた加熱/冷却素子と、上記レーザ駆動制御手段により制御される上記駆動電流のレベルを示す駆動電流値と、予め設定された温度設定値との誤差を検出する誤差検出手段と、上記誤差検出手段の検出結果に基づいて上記加熱/冷却素子を駆動制御することにより、上記半導体レーザにおける温度を一定とするように動作可能な温度制御手段とを備えるようにする。
そして、その上で、上記駆動電流値のレベルに応じて、上記温度制御手段の動作をオンとオフとで切り換える動作切換手段を備えるようにした。
【0023】
上記のような本発明によれば、先ず基本動作として、上記誤差検出手段により上記駆動電流値と温度設定値との誤差が検出され、その誤差検出結果に基づいて上記温度制御手段により上記半導体レーザの温度が一定となるように加熱/冷却素子が駆動制御される。つまり、レーザ駆動電流のレベルに応じて半導体レーザの温度制御を行うように構成されるものである。
その上で、上記動作切換手段が備えられることにより、上記温度制御手段は、上記駆動電流値のレベルに応じてオン/オフするように制御されるものとなる。
これにより、半導体レーザの温度制御のために常に電力を供給する必要がなくなって、回路の消費電力が削減されるようになる。
【0024】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明における第1の実施の形態としてのレーザ駆動制御回路1の構成例を示した回路図である。
この図において、先ず図示する半導体レーザ2、フォトディテクタ3、ヘッドアンプ4、減算回路5、ローパスフィルタ(LFP)6、誤差増幅回路7、レーザドライバ8は、半導体レーザ2のレーザ出力を一定に維持するための、所謂レーザAPC部を形成するものである。
このレーザAPC部において、半導体レーザ2は、図示するレーザドライバ8により駆動電流が供給されることによりレーザ発振を行う。そして、これにより半導体レーザ2から射出されたレーザ光は、フォトディテクタ3により受光される。
フォトディテクタ3により受光されたレーザ光は、半導体レーザ2のレーザ出力の値を示す電気信号に変換され、この電気信号はヘッドアンプ4に供給される。そして、ヘッドアンプ4はこの電気信号を増幅し、これを減算回路5に供給する。
【0025】
減算回路5に供給された信号は、ここにおいて図示するレーザ出力目標値との誤差が検出され、その誤差に応じた誤差信号Iopとして出力される。
この場合、減算回路5では、図示するようにレーザ出力目標値からレーザ出力の値を減算することにより誤差検出を行うようにされる。すなわち、例えばレーザ出力の値が上記レーザ出力目標値よりも小さい場合に対応しては、正の誤差信号Iopが出力される。逆に、例えばレーザ出力の値が上記レーザ出力目標値よりも大きい場合に対応しては、負の誤差信号Iopが出力されるものとなる。
【0026】
上記減算回路5から出力された出力された誤差信号Iopは、ローパスフィルタ(LPF)6を介して誤差増幅回路7に供給される。そして、この誤差増幅回路7に供給されて増幅された誤差信号Iopは、上記したレーザドライバ8と、後述する減算回路9、及びコンパレータ15a、コンパレータ15bに対して供給される。
【0027】
レーザドライバ8は、上記誤差増幅回路7より供給される誤差信号Iopに基づいて生成した駆動電流により、半導体レーザ2を駆動する。
この場合、例えば上記減算回路5により、レーザ出力が目標値よりも小さいとされて正の誤差信号Iopが出力された場合に対応しては、この誤差信号Iopのレベルに応じてレーザドライバ8の出力する駆動電流のレベルが上昇するものとなる。また、例えば上記減算回路5により、レーザ出力が目標値よりも大きいとされて負の誤差信号Iopが出力された場合には、この誤差信号のレベルに応じて駆動電流のレベルが低下するものとなる。
【0028】
このような動作が行われる結果、半導体レーザ2からのレーザ出力のレベルがレーザ出力目標値より小さい場合は、レーザ出力が上昇傾向となるように制御される。また、レーザ出力のレベルがレーザ出力目標値より大きい場合は、レーザ出力が下降傾向となるように制御される。
つまり、レーザ出力が設定された目標値と一致するように駆動電流が制御されて、半導体レーザ2からのレーザ出力が一定に維持されるようになっているものである。
【0029】
ここで、上記のようなレーザAPC部が動作している下では、半導体レーザ2の温度が上昇したことでレーザ出力レベルが低下すると、駆動電流のレベルを上昇させるように制御が行われるものとなる。また、逆に半導体レーザ2の温度が低下してレーザ出力レベルが上昇したとすると、駆動電流のレベルを低下させるように制御が行われる。
すなわち、このようにレーザAPC部が動作している下では、半導体レーザ2の温度が上昇すると、これに応じて駆動電流のレベルも上昇し、逆に半導体レーザ2の温度が低下すると、これに応じて駆動電流のレベルも低下するものとなる。
【0030】
従ってこの場合、駆動電流のレベルが上昇しているときには、半導体レーザ2の温度が上昇していることがわかる。また、駆動電流のレベルが低下しているときは、半導体レーザ2の温度が低下していることがわかるようになるものである。
このことから、レーザAPC部が動作している下では、半導体レーザ2に供給される駆動電流のレベルと、半導体レーザ2の発熱レベルとが比例関係にあることがわかる。
【0031】
このような原理を利用し、本実施の形態では、先の図8に示した回路と同様、図示するように誤差増幅回路7から出力されたレーザ出力の誤差信号Iopを、温度制御系の減算回路9に対して入力するように構成している。
すなわち、この減算回路9により、上記のように入力されたレーザ出力の誤差信号Iopと、予め温度目標値T−Lev0として設定された対応する値との誤差を算出することにより、この温度目標値と半導体レーザ2における温度との誤差を算出するようにしているものである。
そして、この誤差に基づいて図示する冷却素子ドライバ13が冷却素子14を駆動制御することで、半導体レーザ2の温度が上記目標値として設定された温度で一定となるように制御可能な、半導体レーザ2についての温度制御部を構成するようにしたものである。
【0032】
この際、上記減算回路9から出力された温度誤差信号Tpは、図示するように、後述する動作切換スイッチ10の端子t1−t3、及びローパスフィルタ11を介して誤差増幅回路12に供給される。そして、この誤差増幅回路12に供給されて増幅された温度誤差信号Tpは、冷却素子ドライバ13に供給され、冷却素子ドライバ13は、この温度誤差信号Tpに基づいて冷却素子14を駆動制御する。
【0033】
冷却素子14は、例えば吸熱面が半導体レーザ2の底面と接合するようにされ、半導体レーザ2に生じた熱が上記吸熱面とは逆側の放熱面から放出されるようにして設けられる。
この際、上記冷却素子14としては、例えば各種コンピュータに備えられるCPUの冷却装置として多用されるペルチェ素子などが用いられる。このペルチェ素子は、周知のように電力供給に応じた熱移動効果により、加熱・冷却動作を行うものである。
例えば、この場合の冷却素子14としては、上記した冷却素子ドライバ13から供給される正の駆動電流に応じて発熱(加熱)動作を行い、負の駆動電流に応じて吸熱(冷却)動作を行うように構成されている。
【0034】
これまでで説明したレーザAPC部と温度制御部との構成において、例えば半導体レーザ2の温度が上昇して、レーザ出力のレベルが低下したと仮定する。
先ず、このようにレーザ出力が低下するのに応じては、レーザAPC部側にて、減算回路5がレーザ出力の誤差に応じた正の誤差信号Iopを出力するようになる。そして、これに伴い温度制御部側の減算回路9に対しても、この誤差信号のレベルに応じた正の誤差信号Iopが入力されるようになる。
この場合、上記もしたように半導体レーザ2の温度は上昇傾向にあることから、上記減算回路9からは、温度目標値T−Lev0との誤差に応じた例えば負の温度誤差信号Tpが出力されるようになる。そして、これに応じては、冷却素子ドライバ13が、上記温度誤差信号Tpのレベルに応じた駆動電流を冷却素子14に供給し、これにより冷却素子14は、この負の駆動電流に応じて半導体レーザ2の吸熱を行うように動作する。
この結果、このようにレーザ出力が低下した場合、つまり半導体レーザ2の温度が上昇した場合には、半導体レーザ2が冷却素子14により冷却されるようになる。
【0035】
一方、例えば半導体レーザ2の温度が低下してレーザ出力のレベルが上昇した場合には、先ず減算回路5からレーザ出力の誤差信号Iopとして例えば負の値が出力されるようになる。そして、この場合の上記誤差信号Iopに応じては、減算回路9から、温度目標値T−Lev0との誤差に応じた例えば正の値が出力されるようになる。
これに応じ冷却素子ドライバ13は、この場合は上記温度誤差信号Tpに応じた正の駆動電流を冷却素子14に供給し、冷却素子14が放熱動作を行うように制御される。すなわち、このようにレーザ出力が上昇、つまり半導体レーザ2の温度が低下した場合には、冷却素子14が発熱を行って半導体レーザ2の温度が上昇するように制御される。
【0036】
このようにして、これまでの構成によるレーザ駆動制御回路1においては、レーザ出力についての誤差信号Iopに基づいて、半導体レーザ2の温度を温度目標値T−Lev0に応じた一定の温度に制御することが可能とされている。
【0037】
ここで、本実施の形態のレーザ駆動制御回路1に対しては、上記したレーザAPC部及び温度制御部の構成に加えて、図示するコンパレータ15a、15b、ORゲート回路16、動作切換スイッチ10による動作切換部が備えられる。
この動作切換部において、上記コンパレータ15a、15bのそれぞれに対しては、図示するようにレーザAPC部の誤差増幅回路7から出力される誤差信号Iopが入力される。また、これと共に上記コンパレータ15aに対しては、温度下限値T−Lev1が入力され、コンパレータ15bに対しては温度上限値T−Lev2が入力される。
なお、この際、上記温度下限値T−Lev1、温度上限値T−Lev2は、上記した温度目標値T−Lev0とは異なる値とされ、且つ、T−Lev1<T−Lev0<T−Lev2となるように設定されているものとする。
【0038】
そしてこの場合、上記コンパレータ15aは、上記誤差信号Iopと上記温度下限値T−Lev1のレベルを比較した結果、上記誤差信号Iopのレベルよりも上記温度下限値T−Lev1の方が大きい場合に例えば論理「1」を出力するようにされる。また、上記誤差信号Iopのレベルよりも上記温度下限値T−Lev1の方が小さい場合には、例えば論理「0」を出力するようにされる。
また、逆に上記コンパレータ15bは、誤差信号Iopと上記温度上限値T−Lev2のレベルを比較した結果、上記誤差信号Iopのレベルよりも上記温度上限値T−Lev2の方が大きい場合には例えば論理「0」を出力し、上記誤差信号Iopのレベルよりも上記温度上限値T−Lev2の方が小さい場合には例えば論理「1」を出力するようにされる。
【0039】
ORゲート回路16は、上記コンパレータ15a、15bのそれぞれから出力された論理値のうちどちらか一方が「1」であった場合に、論理「1」を出力する。また、コンパレータ15a、15bのそれぞれから出力された論理値が共に「0」であった場合にのみ論理「0」を出力する。
つまり、この場合のORゲート回路16においては、コンパレータ15a、15bのそれぞれから出力された論理値が共に「0」となる、「温度下限値T−Lev1<誤差信号Iop<温度上限値T−Lev2」の条件に対応してのみ、論理「0」が出力されるもとなる。そして、それ以外の場合(Iop<T−Lev1、またはT−Lev2<Iopの場合)は、論理「1」が出力されるようになっている。
【0040】
動作切換スイッチ10は、端子t1に対して端子t2、端子t3が択一的に選択される2接点スイッチとされる。この場合、上記端子t1は温度制御部における減算回路9に接続され、端子t2がアースに接地されている。また図示するように端子t3がローパスフィルタ11に対して接続される。
この動作切換スイッチ10は、上記ORゲート回路16から論理「1」が供給されるのに応じて端子t1を選択し、論理「0」が供給されるのに応じて端子t2を選択するようにされている。
つまりこの場合、ORゲート回路16から論理「0」が供給される、「温度下限値T−Lev1<誤差信号Iop<温度上限値T−Lev2」の場合に対応して、端子t2を選択して温度制御部の動作をオフするようにされている。また、論理「1」が供給される「Iop<T−Lev1、またはT−Lev2<Iop」の場合に対応して端子t1を選択し、温度制御部の動作をオンとするようにされているものである。
【0041】
すなわち、このことを次の図2を用いて説明すると、図示するように、誤差信号Iopのレベルが、温度下限値T−Lev1よりも小さいとき(Iop<T−Lev1)、及び温度上限値T−Lev2よりも大きいとき(T−Lev2<Iop)には、動作切換スイッチ10の端子t1が選択されて温度制御部の動作がオンとされる。
そして、誤差信号Iopが、これら温度下限値T−Lev1と温度上限値T−Lev2の範囲内に至ったとき(T−Lev1<Iop<T−Lev2)には、図示するように端子t2が選択されて温度制御部の動作がオフとされるようになるものである。
【0042】
このようにして温度制御部の動作が停止されることによっては、冷却素子ドライバ13への電力供給も停止されることになる。
つまり、このようなレーザ駆動制御回路1では、半導体レーザ2の温度を一定とするために、冷却素子ドライバ13に常に電力を供給する必要がなくなり、これにより回路の消費電力を削減することができるようになる。
【0043】
なお、上記説明からも理解されるように、本実施の形態のレーザ駆動制御回路1においては、半導体レーザ2における温度が常に一定に保たれるものではない。
そして、このように半導体レーザ2の温度が一定に保たれない場合は、先にも説明したようにレーザ光の波長が変化するおそれがあり、例えば半導体レーザ2を光ディスクへの信号記録に用いる場合には、対物レンズの色収差により記録信号品質を低下させてしまうおそれがある。
このような事態を回避するために、本実施の形態のレーザ駆動制御回路1においては、上記した温度下限値T−Lev1、温度上限値T−Lev2が、このような波長変化による影響を及ぼさない範囲の温度が維持されるように設定されている必要がある。そして、このようにして温度下限値T−Lev1、温度上限値T−Lev2が設定されれば、冷却素子ドライバ13における消費電力を低減しつつ、波長変化による影響も抑制することが可能となる。
【0044】
続いては、図3の回路図を用いて、本発明における第2の実施の形態としてのレーザ駆動制御回路20の構成について説明する。
なお、この図3において、既に図1で説明した部分については同一の符号付して説明を省略するものとする。
第2の実施の形態のレーザ駆動制御回路20は、図示するように、温度下限値T−Lev1と温度上限値T−Lev2に加え、さらに動作開始温度下限値T−Lev3と、動作開始温度上限値T−Lev4とによる新たな閾値を設定するようにしたものである。
そして、図示するロジック回路17が、これらの閾値に基づいた所要動作を行うことにより、温度制御部のオン/オフ条件が異なったヒステリシス制御が行われるようにしたものである。
【0045】
この図において、先ず上記した動作開始温度下限値T−Lev3、及び動作開始温度上限値T−Lev4としても、温度目標値T−Lev0とは異なる値とされ、この場合は「動作開始温度下限値T−Lev3<温度下限値T−Lev1<温度目標値T−Lev0<温度上限値T−Lev2動作開始温度上限値T−Lev4」となるようにして設定されているものとする。
そして、この場合、上記動作開始温度下限値T−Lev3と誤差信号Iopを入力するようにされたコンパレータ15cと、上記動作開始温度上限値T−Lev4と誤差信号Iopを入力するようにされたコンパレータ15dとが図示するようにして設けられる。
【0046】
上記コンパレータ15cは、「誤差信号Iopのレベル<動作開始温度下限値T−Lev3」の条件で、例えば論理「1」を出力するようにされる。また、「誤差信号Iopのレベル>動作開始温度下限値T−Lev3」の条件で論理「0」出力するようにされている。
これに対し、上記コンパレータ15dは、「誤差信号Iopのレベル<動作開始温度上限値T−Lev4」の条件で例えば論理「0」を、また、「誤差信号Iopのレベル>動作開始温度上限値T−Lev4」の条件で論理「1」出力するようにされている。
【0047】
ロジック回路17は、コンパレータ15a〜15dのそれぞれから入力される論理値に基づいて以下のように動作する。
先ず、「Iop<T−Lev1」または「T−Lev2<Iop」のときは、「T−Lev1<Iop<T−Lev2」となるまで、例えば論理「1」を出力するようにして動作切換スイッチ10に端子t1を選択させる。すなわち、温度制御部の動作をオンとする。
そして、「T−Lev1<Iop<T−Lev2」の条件になると、論理「0」を供給して動作切換スイッチ10に端子t2を選択させて、温度制御部の動作をオフとするように制御する。
このように「T−Lev1<Iop<T−Lev2」となって、一度温度制御部がオフとされた以降は、「動作開始温度下限値T−Lev3<Iop<動作開始温度上限値T−Lev4」の条件で、動作切換スイッチ10に対して論理「0」を出力するようにし、温度制御部のオフ状態を維持させる。すなわち、「Iop<T−Lev3」、「T−Lev4<Iop」の条件となった場合に、論理「1」を出力し、温度制御部の動作をオンとする。
【0048】
このように構成される第2の実施の形態としてのレーザ駆動制御回路20における動作について説明する。
先ず、例えば半導体レーザ2の温度が、温度目標値T−Lev0により設定された温度よりも低くなっている場合には、レーザ駆動電流は低下している状態にあり、レーザ出力の誤差信号Iopが温度目標値T−Lev0よりも小さいもとなっている。そして、このように半導体レーザ2の温度が低下している状態として、例えば「誤差信号Iop<動作開始温度下限値T−Lev3」となっている場合を想定してみる。
するとこの場合、先に説明したようにロジック回路17は、このような「Iop<T−Lev3」の条件、つまり「Iop<T−Lev1」の条件下では、「T−Lev1<Iop<T−Lev2」となるまで動作切換スイッチ10の端子t1を選択させるように動作することから、この間は温度制御部がオンとなるようにされている。
そして、この場合の温度制御部では、「Iop<温度目標値T−Lev0」であることより、減算回路9からは例えば正の温度誤差信号Tpが出力され、これに基づいて冷却素子14は発熱動作を行うものとなる。
このような冷却素子14の発熱動作によって、半導体レーザ2の温度が上昇することに伴っては、レーザ出力が低下傾向となる。そして、レーザ出力の低下に伴っては、レーザAPC部における減算回路5から出力される誤差信号Iopのレベルが上昇することとなる。
【0049】
このように冷却素子14が発熱して誤差信号Iopが上昇することに伴って、「T−Lev1<Iop<T−Lev2」の条件となると、これに応じロジック回路17は、上記で説明したように温度制御部の動作をオフとするように動作する。そして、このように「T−Lev1<Iop<T−Lev2」の条件となって温度制御部の動作が一度オフとなると、ロジック回路17は、先にも説明したように「T−Lev3<Iop<T−Lev4」の条件である限り温度制御部の動作をオフし続けるものとなる。
【0050】
なおこの際、例えば上記誤差信号Iopのレベルが低下して、誤差信号Iopのレベルが再び「Iop<T−Lev3」となった場合には、これに応じロジック回路17は、上記もしたように温度制御部をオンするように動作する。そして、この場合もロジック回路17は、「T−Lev1<Iop<T−Lev2」となるまでは温度制御部のオン状態を維持させるように動作する。
また、上記誤差信号Iopのレベルが「T−Lev4<Iop」となるまで上昇した場合も、ロジック回路17は、オフ状態とされていた温度制御部をオンとする。そして、この場合は先に説明した「T−Lev2<Iop」の条件であることから、これに応じロジック回路17は、「T−Lev1<Iop<T−Lev2」となるまでは温度制御部のオン状態を維持させるように動作するものとなる。
【0051】
続いては、誤差信号Iopが「動作開始温度上限値T−Lev4<Iop」に上昇した場合について説明する。
この場合、上記もしたようにロジック回路17は、「T−Lev1<Iop<T−Lev2」となるまで動作切換スイッチ10の端子t1を選択させて、温度制御部をオンするように動作する。そして、この場合の温度制御部では、「温度目標値<誤差信号Iop」であることにより、例えば負の温度誤差信号Tpに基づいた駆動電流により冷却素子14が駆動されることになる。つまり、冷却素子14は吸熱動作により半導体レーザ2を冷却するようになる。
このように半導体レーザ2が冷却されることによっては、これに伴いレーザ出力が上昇傾向となる。そして、レーザ出力の上昇に伴い、この場合は減算回路5から出力される誤差信号Iopのレベルが低下することになる。
【0052】
上記のように誤差信号Iopのレベルが低下することに伴い、「T−Lev1<Iop<T−Lev2」の条件となると、ロジック回路17により温度制御部の動作がオフするように制御されるようになる。また、このように「T−Lev1<Iop<T−Lev2」の条件となったことに応じては、先にも説明したようにロジック回路17は、「T−Lev3<Iop<T−Lev4」の条件である限り温度制御部の動作をオフし続けるものとなる。
【0053】
なお、この場合も上記のように一度温度制御部がオフとされた後に、「Iop<T−Lev3」または「T−Lev4<Iop」となった場合には、ロジック回路17により、再び「T−Lev1<Iop<T−Lev2」となるまで温度制御部をオンとするように制御されるものとなる。
【0054】
以上の動作を図で表すと、次の図4に示すようになる。
先ず、図中に▲1▼で示した「Iop<T−Lev1」のとき、及び▲2▼と示した「T−Lev2<Iop」のとき、ロジック回路17は、誤差信号Iopが「T−Lev1<Iop<T−Lev2」となるまで、図のように動作切換スイッチ10の端子t1を選択させて温度制御部をオンとする。
そして、誤差信号Iopのレベルが、これら▲1▼、▲2▼に示す条件から上記「T−Lev1<Iop<T−Lev2」となると、ロジック回路17は、動作切換スイッチ10の端子t2を選択させて温度制御部をオフとする。
【0055】
このように一度「T−Lev1<Iop<T−Lev2」の条件になると、ロジック回路17は、図中Aと示した動作開始温度下限値T−Lev3から同上限値T−Lev4の範囲で、温度制御部の動作をオフとする。つまり、ここで温度制御部のオン/オフ条件が異なるものとなる。
【0056】
その後、例えば▲3▼、▲4▼と示したようにして、誤差信号Iopのレベルが「Iop<T−Lev3」又は「Iop<T−Lev4」となると、ロジック回路17は、再び端子t1を選択させて温度制御部の動作をオンとするように制御する。
そして、このとき、▲3▼の場合では、図示するように再び先の▲1▼の条件が認識されるため、これに応じては上記説明したように、「T−Lev1<Iop<T−Lev2」となるまで温度制御部の動作をオンとするように制御する。
また、▲3▼の場合では、図示するように▲2▼の条件が認識されるため、この場合も「T−Lev1<Iop<T−Lev2」となるまで温度制御部の動作をオンとするように動作するものとなる。
つまり、ここにおいて再び温度制御部のオン/オフ条件が変更されるものとなる。
【0057】
そして、温度制御部が動作することにより、誤差信号Iopのレベルが「T−Lev1<Iop<T−Lev2」となった場合には、再び、上記のようにしてT−Lev3〜T−Lev4の範囲で温度制御部の動作をオフとするように、オン/オフ条件を切り換えるようにされる。
【0058】
このようにして、第2の実施の形態のレーザ駆動制御回路20によっても、誤差信号Iopの値が所定の閾値の範囲内にあるときには、温度制御部の動作が停止され、回路の消費電力の削減が図られるものとなる。
そして、このような第2の実施の形態の回路では、図1に示した回路と比較して、温度制御部のオン/オフ制御をより細かく行うものであることから、温度制御部をオフとする時間長を図1の場合と比較してより長くできることが期待できる。
【0059】
なお、第2の実施の形態のレーザ駆動制御回路20としても、半導体レーザ2の温度が常に一定に保たれるものではないが、これに伴うレーザ光の波長変化による影響を防止するために、この場合は、動作開始温度下限値T−Lev3と同上限値T−Lev4とをこのような影響が出ない程度の値に設定しておく必要がある。
【0060】
また、上記各実施の形態では、温度制御を行う際に温度目標値T−Lev0と比較するための、レーザ駆動電流のレベルを示す駆動電流値として、誤差信号Iopを温度制御部に対して入力するようにしたが、この他にも、例えばレーザドライバ8から出力されるレーザ駆動電流を入力して温度目標値との誤差を検出するように構成されてもよい。なお、この場合の温度目標値T−Lev0やその他の閾値としては、誤差信号Iopの値に応じたものでなく、駆動電流のレベルに対応して設定される必要があることは言うまでもない。
或いは、例えばヘッドアンプ4から出力されるレーザ出力の値と温度目標値との誤差を検出するように構成されてもよい。
【0061】
【発明の効果】
以上で説明したように本発明では、半導体レーザの駆動電流のレベルを制御してレーザ出力を一定とするように構成されたレーザ駆動制御手段を備えるレーザ駆動制御回路として、レーザ駆動電流のレベルを示す駆動電流値に応じて半導体レーザの温度制御を行う温度制御手段を備えるようにしている。
その上で、上記駆動電流値のレベルに応じて、上記温度制御手段の動作をオンとオフとで切り換える動作切換手段を備えるようにしている。
これにより、上記温度制御手段は、上記駆動電流値のレベルに応じてオン/オフされるものとなる。
すなわち、このような本発明によっては、半導体レーザの温度制御のために、上記のような温度制御手段に対して常に電力を供給する必要がなくなるものであり、これにより回路の消費電力を削減できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明における第1の実施の形態としてのレーザ駆動制御回路の構成例を示した回路図である。
【図2】第1の実施の形態としてのレーザ駆動制御回路の動作を説明するための図である。
【図3】本発明における第2の実施の形態としてのレーザ駆動制御回路の構成例を示した回路図である。
【図4】第2の実施の形態としてのレーザ駆動制御回路の動作を説明するための図である。
【図5】レーザ温度特性について説明するための図である。
【図6】レーザAPC回路の構成を簡略的に示した回路図である。
【図7】冷却素子を備えたレーザAPC回路の構成を簡略的に示した回路図である。
【図8】駆動電流により半導体レーザの温度を感知して温度制御を行うようにした構成を示した回路図である。
【符号の説明】
1 レーザ駆動制御回路、2 半導体レーザ、3 フォトディテクタ、4 ヘッドアンプ、5 減算回路、6 ローパスフィルタ(LPF)、7 誤差増幅回路、8 レーザドライバ、9 減算回路、10 動作切換スイッチ、11 ローパスフィルタ、12 誤差増幅回路、13 冷却素子ドライバ、14 冷却素子、15a〜15d コンパレータ、16 ORゲート回路、17 ロジック回路
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体レーザの駆動電流のレベルを制御してレーザ出力を一定とするように構成されたレーザ駆動制御手段を備えるレーザ駆動制御回路に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、光を利用した動作を行う各種電子機器における光源として、半導体レーザが多用されている。
このような半導体レーザは、駆動回路により駆動電流が供給されることによりレーザ発振を行うようにされ、これによりレーザ光を射出するようにされている。
【0003】
この際、上記のように駆動電流が供給され、半導体レーザが発振を行うことによっては、これに伴って半導体レーザ自体が発熱するものとなる。そして、このときの半導体レーザの発熱量は、供給される駆動電流のレベルに応じたものとなる。
【0004】
この際、半導体レーザの温度上昇に伴っては、レーザ光の出力が逆に低下していくものとなる。
図5に、このような半導体レーザの発熱に伴う、レーザ光の温度特性の例を示す。この図においては縦軸をレーザ出力Lのレベルとし、横軸を駆動電流Iのレベルとしている。
この図において、例えば図中に破線で示すように、駆動電流Iとして、レベル「I0」が供給され、これによりレーザ出力Lとしてレベル「L0」を得ていたとする。
先の説明によると、このように駆動電流Iを供給して半導体レーザが発振することによっては、半導体レーザが発熱し温度が上昇する。そして、この間、駆動電流Iのレベルが上記した「I0」で一定であったとすると、レーザ出力は、電流供給初期時における上記した「L0」のレベルから、図示するように「L1」のレベルに低下するものとなる。
このようにして、半導体レーザの温度が上昇することによっては、レーザ光の出力が低下することとなる。
【0005】
ところで、半導体レーザとして、例えば光ディスクの記録/再生に用いられる半導体レーザ50では、一定のレーザ光を安定して出力することが要請される。つまり、このようにレーザ光が安定して出力されない場合は、記録信号品質を低下させてしまうおそれがあるからである。
このために、このような光ディスク記録・再生装置に用いられる半導体レーザ50に対しては、上記のようにレーザ光の出力を一定に維持するための、所謂レーザAPC回路が備えられている。
【0006】
図6は、例えば光ディスク記録・再生装置において備えられる、レーザAPC回路70の構成を簡略的に示した回路図である。
この図において、半導体レーザ50は、図示するレーザドライバ(駆動回路)76により駆動電流が供給されることによりレーザ発振を行う。そして、これにより半導体レーザ50から射出されたレーザ光は、フォトディテクタ71により受光される。
フォトディテクタ71により受光されたレーザ光は、半導体レーザ50のレーザ出力の値を示す電気信号に変換され、ヘッドアンプ72に供給される。そして、ヘッドアンプ72はこの電気信号を増幅し、これを減算回路73に供給する。
【0007】
減算回路73に供給された信号は、ここにおいて図示するレーザ出力目標値との誤差が検出され、その誤差に応じた誤差信号として出力される。そして、このように出力された誤差信号は、ローパスフィルタ(LPF)74を介して誤差増幅回路75に供給されて増幅され、上記したレーザドライバ76に供給される。
レーザドライバ76は、このように供給される誤差信号に基づいて生成した駆動電流により、半導体レーザ50を駆動する。
【0008】
このような構成により、半導体レーザ50からのレーザ出力の値が、レーザ出力目標値より低い場合は、その誤差に応じた正の誤差信号によりレーザドライバ76で生成される駆動電流が制御されるようになって、レーザ出力が上昇傾向となるように制御される。また、レーザ出力の値がレーザ出力目標値より高い場合は、その誤差に応じた負の誤差信号によって駆動電流が制御されて、レーザ出力が下降傾向となるように制御される。
つまりこれにより、レーザ出力が設定された目標値と一致するように制御されるようになって、上記したような温度上昇に関わらず、半導体レーザ50からのレーザ出力を一定とすることが可能となる。
【0009】
ここで、このようなAPC回路70が備えられている下で、半導体レーザ50が駆動された場合について考察してみる。
この場合において、先ず、駆動電流が供給されてレーザ光の出力が開始されたとすると、先にも述べたように半導体レーザ50の温度が上昇し始める。そして、半導体レーザ50の温度上昇に伴っては、先の図5にも示したようにレーザ出力が減少傾向となる。
レーザ光の出力が減少傾向となると、上記したAPC回路70の動作によって、駆動電流が増加する傾向となる。そして、これによって、上記のように温度上昇により減少方向にあったレーザ出力が増加傾向となり、この結果、レーザ出力は設定された一定のレベルに維持されるものとなる。
【0010】
しかしながら、この場合、駆動電流が増加傾向となることによっては、先にも説明したように半導体レーザの温度が上昇傾向となる。
つまり、このことから、上記のようにAPC回路70が動作することによっては、「半導体レーザの温度上昇→レーザ出力の低下→駆動電流の増加→半導体レーザの温度上昇」というループが形成されてしまうこととなる。
この結果、駆動電流のレベルが大幅に上昇して、半導体レーザの寿命を著しく低下させてしまうおそれがある。
【0011】
このような問題を解決するために、従来では、上記したレーザAPC回路70の構成に対して冷却素子を備えるようにしたものがある(下記特許文献1参照)。
図7は、このような冷却素子を備えた場合の回路構成を示す回路図である。なお、この図では、先の図6において既に説明した部位について同一の符号を付している。
この場合、図示する冷却素子87は、その吸熱面が例えば半導体レーザ50と接合されて、半導体レーザ50に生じた熱を放熱面から効率よく放出できるように構成される。そして、この冷却素子87は、図示する冷却素子ドライバ86から供給される駆動電流に応じて放熱・吸熱動作を行うようにされる。
【0012】
温度センサ81は、半導体レーザ50の発熱量を感知して、これに応じた電気信号をヘッドアンプ82に供給する。そして、このヘッドアンプ82に供給されて増幅された電気信号は、図示する減算回路83に供給され、ここで温度目標値との誤差が検出されて温度誤差信号として出力される。
さらに、この温度誤差信号は、ローパスフィルタ84を介して誤差増幅回路85に供給されて増幅され、冷却素子ドライバ86に供給される。
冷却素子ドライバ86は、このように供給された温度誤差信号に応じて冷却素子87を駆動・制御する。
【0013】
このような構成により、温度センサ81により感知された半導体レーザ50の温度が、温度目標値と一致するように冷却素子87が駆動されるようになって、半導体レーザ50の温度を、上記温度目標値に応じた一定の温度に維持することができる。
そして、半導体レーザ50の温度が一定に保たれることにより、レーザ出力が安定し、駆動電流も安定して半導体レーザの寿命低下を抑制できるようになる。
【0014】
しかしながら、この際、温度センサ81自体が比較的高価であり、回路のコストアップの要因となってしまうという問題点があった。
また、このような温度センサ81は、半導体レーザ50に密着するように設けられるものではあるが、この場合センサ周囲の温度も影響してしまうことから、その温度感知の信頼性に問題があった。
【0015】
ここで、上記もしたように、レーザAPC回路70が動作している下では、半導体レーザ50の温度が上昇したことでレーザ出力レベルが低下すると、駆動電流のレベルを上昇させるように制御が行われる。
また、逆に半導体レーザ50の温度が低下して、レーザ出力レベルが上昇したとすると、駆動電流のレベルを低下させるように制御が行われる。
すなわち、この場合、レーザAPC回路70が動作している下では、半導体レーザ50の温度が上昇すると、これに応じて駆動電流のレベルも上昇し、逆に半導体レーザ50の温度が低下すると、これに応じて駆動電流のレベルも低下する
ものとなる。
【0016】
これを換言すれば、逆に駆動電流のレベルが上昇しているときには、半導体レーザ50の温度が上昇していることがわかる。また、駆動電流のレベルが低下しているときは、半導体レーザ50の温度が低下していることがわかるようになるものである。
このことから、レーザAPC回路70が動作している下では、半導体レーザ50に供給される駆動電流のレベルをみることにより、半導体レーザ50の発熱レベルを感知することができるものである。
【0017】
この点に着目して半導体レーザの温度を一定に制御するようにしたものが、下記特許文献2に示される発明である。
図8は、このように駆動電流により半導体レーザの温度を感知して温度制御を行うようにした構成を示した回路図である。
なお、この図においても既に図6、図7において説明した部分については同一の符号を付している。
この場合、誤差増幅回路75により出力されるレーザ駆動電流についての誤差信号を、図示するように温度制御系における減算回路83に入力するようにしている。
そして、この減算回路83では、このように入力された誤差信号と、予め温度目標値として設定された対応する値とを減算する。
その上で、このように算出された誤差に基づいた温度誤差信号を、冷却素子ドライバ86に供給し、これにより冷却素子87の動作を制御するようにしている。
【0018】
このような構成において、例えばレーザ駆動電流のレベルが目標値よりも大きい(←半導体レーザ50の温度が目標値よりも高い)とされ、例えば上記誤差信号として正の信号が供給された場合は、上記減算回路83からは、温度目標値との誤差に応じた負の温度誤差信号が出力される。そして、これに応じては、冷却素子ドライバ86が負の駆動電流を冷却素子87に供給し、冷却素子87はこの負の駆動電流に応じて半導体レーザ50の吸熱を行うように動作する。この結果、このようにレーザ出力が低下した場合、つまり半導体レーザ50の温度が上昇した場合には、半導体レーザ50が冷却素子87により冷却されるようになる。
【0019】
逆に、例えばレーザ駆動電流のレベルが目標値よりも小さい(←半導体レーザ50の温度が目標値よりも低い)とされ、例えば上記負の誤差信号が供給された場合には、上記減算回路83からは温度目標値との誤差に応じた正の温度誤差信号が出力される。そして、これに応じ冷却素子ドライバ86が正の駆動電流を冷却素子87に供給し、冷却素子87が発熱動作を行うように制御される。すなわち、このようにレーザ出力が上昇、つまり半導体レーザ50の温度が低下した場合には、冷却素子87が発熱を行って半導体レーザ50の温度が上昇するように制御される。
【0020】
このようにして、図8に示した構成によっても、半導体レーザ50の温度を温度目標値に応じた一定の温度に制御することができる。
そして、これによりこの図8の回路では、半導体レーザ50の温度制御を行うにあたって、図7に示したような温度センサが不要となり、回路コストの削減が図られる。
さらにこの場合、レーザ駆動電流についての誤差レベルは、半導体レーザ50の発熱量を直接反映するものであるから、温度センサを用いた場合よりも正確に半導体レーザ50の温度制御を行うことができるというメリットもある。
【特許文献1】
特開平6−252857
【特許文献2】
特開昭61−90219
【0021】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、この図8に示した構成によると、駆動電流が供給されて半導体レーザ50が駆動されている状態では、この半導体レーザ50の温度を一定に保つために、冷却素子87を常に駆動しておかなければならないこととなる。
すなわち、この場合、冷却素子87を駆動するための冷却素子ドライバ86に対して、常に電力が供給されている必要があり、これによって回路の消費電力が増大してしまうという問題が生じる。
【0022】
【課題を解決するための手段】
そこで、本発明では以上のような問題点に鑑み、半導体レーザの駆動電流のレベルを制御してレーザ出力を一定とするように構成されたレーザ駆動制御手段を備えるレーザ駆動制御回路として、以下のように構成することとした。
すなわち、上記駆動電流のレベルに応じて変化するものとされる、上記半導体レーザにおける温度を制御可能に設けられた加熱/冷却素子と、上記レーザ駆動制御手段により制御される上記駆動電流のレベルを示す駆動電流値と、予め設定された温度設定値との誤差を検出する誤差検出手段と、上記誤差検出手段の検出結果に基づいて上記加熱/冷却素子を駆動制御することにより、上記半導体レーザにおける温度を一定とするように動作可能な温度制御手段とを備えるようにする。
そして、その上で、上記駆動電流値のレベルに応じて、上記温度制御手段の動作をオンとオフとで切り換える動作切換手段を備えるようにした。
【0023】
上記のような本発明によれば、先ず基本動作として、上記誤差検出手段により上記駆動電流値と温度設定値との誤差が検出され、その誤差検出結果に基づいて上記温度制御手段により上記半導体レーザの温度が一定となるように加熱/冷却素子が駆動制御される。つまり、レーザ駆動電流のレベルに応じて半導体レーザの温度制御を行うように構成されるものである。
その上で、上記動作切換手段が備えられることにより、上記温度制御手段は、上記駆動電流値のレベルに応じてオン/オフするように制御されるものとなる。
これにより、半導体レーザの温度制御のために常に電力を供給する必要がなくなって、回路の消費電力が削減されるようになる。
【0024】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明における第1の実施の形態としてのレーザ駆動制御回路1の構成例を示した回路図である。
この図において、先ず図示する半導体レーザ2、フォトディテクタ3、ヘッドアンプ4、減算回路5、ローパスフィルタ(LFP)6、誤差増幅回路7、レーザドライバ8は、半導体レーザ2のレーザ出力を一定に維持するための、所謂レーザAPC部を形成するものである。
このレーザAPC部において、半導体レーザ2は、図示するレーザドライバ8により駆動電流が供給されることによりレーザ発振を行う。そして、これにより半導体レーザ2から射出されたレーザ光は、フォトディテクタ3により受光される。
フォトディテクタ3により受光されたレーザ光は、半導体レーザ2のレーザ出力の値を示す電気信号に変換され、この電気信号はヘッドアンプ4に供給される。そして、ヘッドアンプ4はこの電気信号を増幅し、これを減算回路5に供給する。
【0025】
減算回路5に供給された信号は、ここにおいて図示するレーザ出力目標値との誤差が検出され、その誤差に応じた誤差信号Iopとして出力される。
この場合、減算回路5では、図示するようにレーザ出力目標値からレーザ出力の値を減算することにより誤差検出を行うようにされる。すなわち、例えばレーザ出力の値が上記レーザ出力目標値よりも小さい場合に対応しては、正の誤差信号Iopが出力される。逆に、例えばレーザ出力の値が上記レーザ出力目標値よりも大きい場合に対応しては、負の誤差信号Iopが出力されるものとなる。
【0026】
上記減算回路5から出力された出力された誤差信号Iopは、ローパスフィルタ(LPF)6を介して誤差増幅回路7に供給される。そして、この誤差増幅回路7に供給されて増幅された誤差信号Iopは、上記したレーザドライバ8と、後述する減算回路9、及びコンパレータ15a、コンパレータ15bに対して供給される。
【0027】
レーザドライバ8は、上記誤差増幅回路7より供給される誤差信号Iopに基づいて生成した駆動電流により、半導体レーザ2を駆動する。
この場合、例えば上記減算回路5により、レーザ出力が目標値よりも小さいとされて正の誤差信号Iopが出力された場合に対応しては、この誤差信号Iopのレベルに応じてレーザドライバ8の出力する駆動電流のレベルが上昇するものとなる。また、例えば上記減算回路5により、レーザ出力が目標値よりも大きいとされて負の誤差信号Iopが出力された場合には、この誤差信号のレベルに応じて駆動電流のレベルが低下するものとなる。
【0028】
このような動作が行われる結果、半導体レーザ2からのレーザ出力のレベルがレーザ出力目標値より小さい場合は、レーザ出力が上昇傾向となるように制御される。また、レーザ出力のレベルがレーザ出力目標値より大きい場合は、レーザ出力が下降傾向となるように制御される。
つまり、レーザ出力が設定された目標値と一致するように駆動電流が制御されて、半導体レーザ2からのレーザ出力が一定に維持されるようになっているものである。
【0029】
ここで、上記のようなレーザAPC部が動作している下では、半導体レーザ2の温度が上昇したことでレーザ出力レベルが低下すると、駆動電流のレベルを上昇させるように制御が行われるものとなる。また、逆に半導体レーザ2の温度が低下してレーザ出力レベルが上昇したとすると、駆動電流のレベルを低下させるように制御が行われる。
すなわち、このようにレーザAPC部が動作している下では、半導体レーザ2の温度が上昇すると、これに応じて駆動電流のレベルも上昇し、逆に半導体レーザ2の温度が低下すると、これに応じて駆動電流のレベルも低下するものとなる。
【0030】
従ってこの場合、駆動電流のレベルが上昇しているときには、半導体レーザ2の温度が上昇していることがわかる。また、駆動電流のレベルが低下しているときは、半導体レーザ2の温度が低下していることがわかるようになるものである。
このことから、レーザAPC部が動作している下では、半導体レーザ2に供給される駆動電流のレベルと、半導体レーザ2の発熱レベルとが比例関係にあることがわかる。
【0031】
このような原理を利用し、本実施の形態では、先の図8に示した回路と同様、図示するように誤差増幅回路7から出力されたレーザ出力の誤差信号Iopを、温度制御系の減算回路9に対して入力するように構成している。
すなわち、この減算回路9により、上記のように入力されたレーザ出力の誤差信号Iopと、予め温度目標値T−Lev0として設定された対応する値との誤差を算出することにより、この温度目標値と半導体レーザ2における温度との誤差を算出するようにしているものである。
そして、この誤差に基づいて図示する冷却素子ドライバ13が冷却素子14を駆動制御することで、半導体レーザ2の温度が上記目標値として設定された温度で一定となるように制御可能な、半導体レーザ2についての温度制御部を構成するようにしたものである。
【0032】
この際、上記減算回路9から出力された温度誤差信号Tpは、図示するように、後述する動作切換スイッチ10の端子t1−t3、及びローパスフィルタ11を介して誤差増幅回路12に供給される。そして、この誤差増幅回路12に供給されて増幅された温度誤差信号Tpは、冷却素子ドライバ13に供給され、冷却素子ドライバ13は、この温度誤差信号Tpに基づいて冷却素子14を駆動制御する。
【0033】
冷却素子14は、例えば吸熱面が半導体レーザ2の底面と接合するようにされ、半導体レーザ2に生じた熱が上記吸熱面とは逆側の放熱面から放出されるようにして設けられる。
この際、上記冷却素子14としては、例えば各種コンピュータに備えられるCPUの冷却装置として多用されるペルチェ素子などが用いられる。このペルチェ素子は、周知のように電力供給に応じた熱移動効果により、加熱・冷却動作を行うものである。
例えば、この場合の冷却素子14としては、上記した冷却素子ドライバ13から供給される正の駆動電流に応じて発熱(加熱)動作を行い、負の駆動電流に応じて吸熱(冷却)動作を行うように構成されている。
【0034】
これまでで説明したレーザAPC部と温度制御部との構成において、例えば半導体レーザ2の温度が上昇して、レーザ出力のレベルが低下したと仮定する。
先ず、このようにレーザ出力が低下するのに応じては、レーザAPC部側にて、減算回路5がレーザ出力の誤差に応じた正の誤差信号Iopを出力するようになる。そして、これに伴い温度制御部側の減算回路9に対しても、この誤差信号のレベルに応じた正の誤差信号Iopが入力されるようになる。
この場合、上記もしたように半導体レーザ2の温度は上昇傾向にあることから、上記減算回路9からは、温度目標値T−Lev0との誤差に応じた例えば負の温度誤差信号Tpが出力されるようになる。そして、これに応じては、冷却素子ドライバ13が、上記温度誤差信号Tpのレベルに応じた駆動電流を冷却素子14に供給し、これにより冷却素子14は、この負の駆動電流に応じて半導体レーザ2の吸熱を行うように動作する。
この結果、このようにレーザ出力が低下した場合、つまり半導体レーザ2の温度が上昇した場合には、半導体レーザ2が冷却素子14により冷却されるようになる。
【0035】
一方、例えば半導体レーザ2の温度が低下してレーザ出力のレベルが上昇した場合には、先ず減算回路5からレーザ出力の誤差信号Iopとして例えば負の値が出力されるようになる。そして、この場合の上記誤差信号Iopに応じては、減算回路9から、温度目標値T−Lev0との誤差に応じた例えば正の値が出力されるようになる。
これに応じ冷却素子ドライバ13は、この場合は上記温度誤差信号Tpに応じた正の駆動電流を冷却素子14に供給し、冷却素子14が放熱動作を行うように制御される。すなわち、このようにレーザ出力が上昇、つまり半導体レーザ2の温度が低下した場合には、冷却素子14が発熱を行って半導体レーザ2の温度が上昇するように制御される。
【0036】
このようにして、これまでの構成によるレーザ駆動制御回路1においては、レーザ出力についての誤差信号Iopに基づいて、半導体レーザ2の温度を温度目標値T−Lev0に応じた一定の温度に制御することが可能とされている。
【0037】
ここで、本実施の形態のレーザ駆動制御回路1に対しては、上記したレーザAPC部及び温度制御部の構成に加えて、図示するコンパレータ15a、15b、ORゲート回路16、動作切換スイッチ10による動作切換部が備えられる。
この動作切換部において、上記コンパレータ15a、15bのそれぞれに対しては、図示するようにレーザAPC部の誤差増幅回路7から出力される誤差信号Iopが入力される。また、これと共に上記コンパレータ15aに対しては、温度下限値T−Lev1が入力され、コンパレータ15bに対しては温度上限値T−Lev2が入力される。
なお、この際、上記温度下限値T−Lev1、温度上限値T−Lev2は、上記した温度目標値T−Lev0とは異なる値とされ、且つ、T−Lev1<T−Lev0<T−Lev2となるように設定されているものとする。
【0038】
そしてこの場合、上記コンパレータ15aは、上記誤差信号Iopと上記温度下限値T−Lev1のレベルを比較した結果、上記誤差信号Iopのレベルよりも上記温度下限値T−Lev1の方が大きい場合に例えば論理「1」を出力するようにされる。また、上記誤差信号Iopのレベルよりも上記温度下限値T−Lev1の方が小さい場合には、例えば論理「0」を出力するようにされる。
また、逆に上記コンパレータ15bは、誤差信号Iopと上記温度上限値T−Lev2のレベルを比較した結果、上記誤差信号Iopのレベルよりも上記温度上限値T−Lev2の方が大きい場合には例えば論理「0」を出力し、上記誤差信号Iopのレベルよりも上記温度上限値T−Lev2の方が小さい場合には例えば論理「1」を出力するようにされる。
【0039】
ORゲート回路16は、上記コンパレータ15a、15bのそれぞれから出力された論理値のうちどちらか一方が「1」であった場合に、論理「1」を出力する。また、コンパレータ15a、15bのそれぞれから出力された論理値が共に「0」であった場合にのみ論理「0」を出力する。
つまり、この場合のORゲート回路16においては、コンパレータ15a、15bのそれぞれから出力された論理値が共に「0」となる、「温度下限値T−Lev1<誤差信号Iop<温度上限値T−Lev2」の条件に対応してのみ、論理「0」が出力されるもとなる。そして、それ以外の場合(Iop<T−Lev1、またはT−Lev2<Iopの場合)は、論理「1」が出力されるようになっている。
【0040】
動作切換スイッチ10は、端子t1に対して端子t2、端子t3が択一的に選択される2接点スイッチとされる。この場合、上記端子t1は温度制御部における減算回路9に接続され、端子t2がアースに接地されている。また図示するように端子t3がローパスフィルタ11に対して接続される。
この動作切換スイッチ10は、上記ORゲート回路16から論理「1」が供給されるのに応じて端子t1を選択し、論理「0」が供給されるのに応じて端子t2を選択するようにされている。
つまりこの場合、ORゲート回路16から論理「0」が供給される、「温度下限値T−Lev1<誤差信号Iop<温度上限値T−Lev2」の場合に対応して、端子t2を選択して温度制御部の動作をオフするようにされている。また、論理「1」が供給される「Iop<T−Lev1、またはT−Lev2<Iop」の場合に対応して端子t1を選択し、温度制御部の動作をオンとするようにされているものである。
【0041】
すなわち、このことを次の図2を用いて説明すると、図示するように、誤差信号Iopのレベルが、温度下限値T−Lev1よりも小さいとき(Iop<T−Lev1)、及び温度上限値T−Lev2よりも大きいとき(T−Lev2<Iop)には、動作切換スイッチ10の端子t1が選択されて温度制御部の動作がオンとされる。
そして、誤差信号Iopが、これら温度下限値T−Lev1と温度上限値T−Lev2の範囲内に至ったとき(T−Lev1<Iop<T−Lev2)には、図示するように端子t2が選択されて温度制御部の動作がオフとされるようになるものである。
【0042】
このようにして温度制御部の動作が停止されることによっては、冷却素子ドライバ13への電力供給も停止されることになる。
つまり、このようなレーザ駆動制御回路1では、半導体レーザ2の温度を一定とするために、冷却素子ドライバ13に常に電力を供給する必要がなくなり、これにより回路の消費電力を削減することができるようになる。
【0043】
なお、上記説明からも理解されるように、本実施の形態のレーザ駆動制御回路1においては、半導体レーザ2における温度が常に一定に保たれるものではない。
そして、このように半導体レーザ2の温度が一定に保たれない場合は、先にも説明したようにレーザ光の波長が変化するおそれがあり、例えば半導体レーザ2を光ディスクへの信号記録に用いる場合には、対物レンズの色収差により記録信号品質を低下させてしまうおそれがある。
このような事態を回避するために、本実施の形態のレーザ駆動制御回路1においては、上記した温度下限値T−Lev1、温度上限値T−Lev2が、このような波長変化による影響を及ぼさない範囲の温度が維持されるように設定されている必要がある。そして、このようにして温度下限値T−Lev1、温度上限値T−Lev2が設定されれば、冷却素子ドライバ13における消費電力を低減しつつ、波長変化による影響も抑制することが可能となる。
【0044】
続いては、図3の回路図を用いて、本発明における第2の実施の形態としてのレーザ駆動制御回路20の構成について説明する。
なお、この図3において、既に図1で説明した部分については同一の符号付して説明を省略するものとする。
第2の実施の形態のレーザ駆動制御回路20は、図示するように、温度下限値T−Lev1と温度上限値T−Lev2に加え、さらに動作開始温度下限値T−Lev3と、動作開始温度上限値T−Lev4とによる新たな閾値を設定するようにしたものである。
そして、図示するロジック回路17が、これらの閾値に基づいた所要動作を行うことにより、温度制御部のオン/オフ条件が異なったヒステリシス制御が行われるようにしたものである。
【0045】
この図において、先ず上記した動作開始温度下限値T−Lev3、及び動作開始温度上限値T−Lev4としても、温度目標値T−Lev0とは異なる値とされ、この場合は「動作開始温度下限値T−Lev3<温度下限値T−Lev1<温度目標値T−Lev0<温度上限値T−Lev2動作開始温度上限値T−Lev4」となるようにして設定されているものとする。
そして、この場合、上記動作開始温度下限値T−Lev3と誤差信号Iopを入力するようにされたコンパレータ15cと、上記動作開始温度上限値T−Lev4と誤差信号Iopを入力するようにされたコンパレータ15dとが図示するようにして設けられる。
【0046】
上記コンパレータ15cは、「誤差信号Iopのレベル<動作開始温度下限値T−Lev3」の条件で、例えば論理「1」を出力するようにされる。また、「誤差信号Iopのレベル>動作開始温度下限値T−Lev3」の条件で論理「0」出力するようにされている。
これに対し、上記コンパレータ15dは、「誤差信号Iopのレベル<動作開始温度上限値T−Lev4」の条件で例えば論理「0」を、また、「誤差信号Iopのレベル>動作開始温度上限値T−Lev4」の条件で論理「1」出力するようにされている。
【0047】
ロジック回路17は、コンパレータ15a〜15dのそれぞれから入力される論理値に基づいて以下のように動作する。
先ず、「Iop<T−Lev1」または「T−Lev2<Iop」のときは、「T−Lev1<Iop<T−Lev2」となるまで、例えば論理「1」を出力するようにして動作切換スイッチ10に端子t1を選択させる。すなわち、温度制御部の動作をオンとする。
そして、「T−Lev1<Iop<T−Lev2」の条件になると、論理「0」を供給して動作切換スイッチ10に端子t2を選択させて、温度制御部の動作をオフとするように制御する。
このように「T−Lev1<Iop<T−Lev2」となって、一度温度制御部がオフとされた以降は、「動作開始温度下限値T−Lev3<Iop<動作開始温度上限値T−Lev4」の条件で、動作切換スイッチ10に対して論理「0」を出力するようにし、温度制御部のオフ状態を維持させる。すなわち、「Iop<T−Lev3」、「T−Lev4<Iop」の条件となった場合に、論理「1」を出力し、温度制御部の動作をオンとする。
【0048】
このように構成される第2の実施の形態としてのレーザ駆動制御回路20における動作について説明する。
先ず、例えば半導体レーザ2の温度が、温度目標値T−Lev0により設定された温度よりも低くなっている場合には、レーザ駆動電流は低下している状態にあり、レーザ出力の誤差信号Iopが温度目標値T−Lev0よりも小さいもとなっている。そして、このように半導体レーザ2の温度が低下している状態として、例えば「誤差信号Iop<動作開始温度下限値T−Lev3」となっている場合を想定してみる。
するとこの場合、先に説明したようにロジック回路17は、このような「Iop<T−Lev3」の条件、つまり「Iop<T−Lev1」の条件下では、「T−Lev1<Iop<T−Lev2」となるまで動作切換スイッチ10の端子t1を選択させるように動作することから、この間は温度制御部がオンとなるようにされている。
そして、この場合の温度制御部では、「Iop<温度目標値T−Lev0」であることより、減算回路9からは例えば正の温度誤差信号Tpが出力され、これに基づいて冷却素子14は発熱動作を行うものとなる。
このような冷却素子14の発熱動作によって、半導体レーザ2の温度が上昇することに伴っては、レーザ出力が低下傾向となる。そして、レーザ出力の低下に伴っては、レーザAPC部における減算回路5から出力される誤差信号Iopのレベルが上昇することとなる。
【0049】
このように冷却素子14が発熱して誤差信号Iopが上昇することに伴って、「T−Lev1<Iop<T−Lev2」の条件となると、これに応じロジック回路17は、上記で説明したように温度制御部の動作をオフとするように動作する。そして、このように「T−Lev1<Iop<T−Lev2」の条件となって温度制御部の動作が一度オフとなると、ロジック回路17は、先にも説明したように「T−Lev3<Iop<T−Lev4」の条件である限り温度制御部の動作をオフし続けるものとなる。
【0050】
なおこの際、例えば上記誤差信号Iopのレベルが低下して、誤差信号Iopのレベルが再び「Iop<T−Lev3」となった場合には、これに応じロジック回路17は、上記もしたように温度制御部をオンするように動作する。そして、この場合もロジック回路17は、「T−Lev1<Iop<T−Lev2」となるまでは温度制御部のオン状態を維持させるように動作する。
また、上記誤差信号Iopのレベルが「T−Lev4<Iop」となるまで上昇した場合も、ロジック回路17は、オフ状態とされていた温度制御部をオンとする。そして、この場合は先に説明した「T−Lev2<Iop」の条件であることから、これに応じロジック回路17は、「T−Lev1<Iop<T−Lev2」となるまでは温度制御部のオン状態を維持させるように動作するものとなる。
【0051】
続いては、誤差信号Iopが「動作開始温度上限値T−Lev4<Iop」に上昇した場合について説明する。
この場合、上記もしたようにロジック回路17は、「T−Lev1<Iop<T−Lev2」となるまで動作切換スイッチ10の端子t1を選択させて、温度制御部をオンするように動作する。そして、この場合の温度制御部では、「温度目標値<誤差信号Iop」であることにより、例えば負の温度誤差信号Tpに基づいた駆動電流により冷却素子14が駆動されることになる。つまり、冷却素子14は吸熱動作により半導体レーザ2を冷却するようになる。
このように半導体レーザ2が冷却されることによっては、これに伴いレーザ出力が上昇傾向となる。そして、レーザ出力の上昇に伴い、この場合は減算回路5から出力される誤差信号Iopのレベルが低下することになる。
【0052】
上記のように誤差信号Iopのレベルが低下することに伴い、「T−Lev1<Iop<T−Lev2」の条件となると、ロジック回路17により温度制御部の動作がオフするように制御されるようになる。また、このように「T−Lev1<Iop<T−Lev2」の条件となったことに応じては、先にも説明したようにロジック回路17は、「T−Lev3<Iop<T−Lev4」の条件である限り温度制御部の動作をオフし続けるものとなる。
【0053】
なお、この場合も上記のように一度温度制御部がオフとされた後に、「Iop<T−Lev3」または「T−Lev4<Iop」となった場合には、ロジック回路17により、再び「T−Lev1<Iop<T−Lev2」となるまで温度制御部をオンとするように制御されるものとなる。
【0054】
以上の動作を図で表すと、次の図4に示すようになる。
先ず、図中に▲1▼で示した「Iop<T−Lev1」のとき、及び▲2▼と示した「T−Lev2<Iop」のとき、ロジック回路17は、誤差信号Iopが「T−Lev1<Iop<T−Lev2」となるまで、図のように動作切換スイッチ10の端子t1を選択させて温度制御部をオンとする。
そして、誤差信号Iopのレベルが、これら▲1▼、▲2▼に示す条件から上記「T−Lev1<Iop<T−Lev2」となると、ロジック回路17は、動作切換スイッチ10の端子t2を選択させて温度制御部をオフとする。
【0055】
このように一度「T−Lev1<Iop<T−Lev2」の条件になると、ロジック回路17は、図中Aと示した動作開始温度下限値T−Lev3から同上限値T−Lev4の範囲で、温度制御部の動作をオフとする。つまり、ここで温度制御部のオン/オフ条件が異なるものとなる。
【0056】
その後、例えば▲3▼、▲4▼と示したようにして、誤差信号Iopのレベルが「Iop<T−Lev3」又は「Iop<T−Lev4」となると、ロジック回路17は、再び端子t1を選択させて温度制御部の動作をオンとするように制御する。
そして、このとき、▲3▼の場合では、図示するように再び先の▲1▼の条件が認識されるため、これに応じては上記説明したように、「T−Lev1<Iop<T−Lev2」となるまで温度制御部の動作をオンとするように制御する。
また、▲3▼の場合では、図示するように▲2▼の条件が認識されるため、この場合も「T−Lev1<Iop<T−Lev2」となるまで温度制御部の動作をオンとするように動作するものとなる。
つまり、ここにおいて再び温度制御部のオン/オフ条件が変更されるものとなる。
【0057】
そして、温度制御部が動作することにより、誤差信号Iopのレベルが「T−Lev1<Iop<T−Lev2」となった場合には、再び、上記のようにしてT−Lev3〜T−Lev4の範囲で温度制御部の動作をオフとするように、オン/オフ条件を切り換えるようにされる。
【0058】
このようにして、第2の実施の形態のレーザ駆動制御回路20によっても、誤差信号Iopの値が所定の閾値の範囲内にあるときには、温度制御部の動作が停止され、回路の消費電力の削減が図られるものとなる。
そして、このような第2の実施の形態の回路では、図1に示した回路と比較して、温度制御部のオン/オフ制御をより細かく行うものであることから、温度制御部をオフとする時間長を図1の場合と比較してより長くできることが期待できる。
【0059】
なお、第2の実施の形態のレーザ駆動制御回路20としても、半導体レーザ2の温度が常に一定に保たれるものではないが、これに伴うレーザ光の波長変化による影響を防止するために、この場合は、動作開始温度下限値T−Lev3と同上限値T−Lev4とをこのような影響が出ない程度の値に設定しておく必要がある。
【0060】
また、上記各実施の形態では、温度制御を行う際に温度目標値T−Lev0と比較するための、レーザ駆動電流のレベルを示す駆動電流値として、誤差信号Iopを温度制御部に対して入力するようにしたが、この他にも、例えばレーザドライバ8から出力されるレーザ駆動電流を入力して温度目標値との誤差を検出するように構成されてもよい。なお、この場合の温度目標値T−Lev0やその他の閾値としては、誤差信号Iopの値に応じたものでなく、駆動電流のレベルに対応して設定される必要があることは言うまでもない。
或いは、例えばヘッドアンプ4から出力されるレーザ出力の値と温度目標値との誤差を検出するように構成されてもよい。
【0061】
【発明の効果】
以上で説明したように本発明では、半導体レーザの駆動電流のレベルを制御してレーザ出力を一定とするように構成されたレーザ駆動制御手段を備えるレーザ駆動制御回路として、レーザ駆動電流のレベルを示す駆動電流値に応じて半導体レーザの温度制御を行う温度制御手段を備えるようにしている。
その上で、上記駆動電流値のレベルに応じて、上記温度制御手段の動作をオンとオフとで切り換える動作切換手段を備えるようにしている。
これにより、上記温度制御手段は、上記駆動電流値のレベルに応じてオン/オフされるものとなる。
すなわち、このような本発明によっては、半導体レーザの温度制御のために、上記のような温度制御手段に対して常に電力を供給する必要がなくなるものであり、これにより回路の消費電力を削減できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明における第1の実施の形態としてのレーザ駆動制御回路の構成例を示した回路図である。
【図2】第1の実施の形態としてのレーザ駆動制御回路の動作を説明するための図である。
【図3】本発明における第2の実施の形態としてのレーザ駆動制御回路の構成例を示した回路図である。
【図4】第2の実施の形態としてのレーザ駆動制御回路の動作を説明するための図である。
【図5】レーザ温度特性について説明するための図である。
【図6】レーザAPC回路の構成を簡略的に示した回路図である。
【図7】冷却素子を備えたレーザAPC回路の構成を簡略的に示した回路図である。
【図8】駆動電流により半導体レーザの温度を感知して温度制御を行うようにした構成を示した回路図である。
【符号の説明】
1 レーザ駆動制御回路、2 半導体レーザ、3 フォトディテクタ、4 ヘッドアンプ、5 減算回路、6 ローパスフィルタ(LPF)、7 誤差増幅回路、8 レーザドライバ、9 減算回路、10 動作切換スイッチ、11 ローパスフィルタ、12 誤差増幅回路、13 冷却素子ドライバ、14 冷却素子、15a〜15d コンパレータ、16 ORゲート回路、17 ロジック回路
Claims (3)
- 半導体レーザの駆動電流のレベルを制御してレーザ出力を一定とするように構成されたレーザ駆動制御手段を備えるレーザ駆動制御回路であって、
上記駆動電流のレベルに応じて変化するものとされる、上記半導体レーザにおける温度を制御可能に設けられた加熱/冷却素子と、
上記レーザ駆動制御手段により制御される上記駆動電流のレベルを示す駆動電流値と、予め設定された温度設定値との誤差を検出する誤差検出手段と、
上記誤差検出手段の検出結果に基づいて上記加熱/冷却素子を駆動制御することにより、上記半導体レーザにおける温度を一定とするように動作可能な温度制御手段とを備えると共に、
上記駆動電流値のレベルに応じて、上記温度制御手段の動作をオンとオフとで切り換える動作切換手段を備える、
ことを特徴とするレーザ駆動制御回路。 - 上記動作切換手段は、
上記駆動電流値と、予め設定された、上記温度設定値とは異なる2値の閾値とを比較した結果に基づき、上記温度制御手段の動作をオンとオフとで切り換えるように構成されている、
ことを特徴とする請求項1に記載のレーザ駆動制御回路。 - 上記動作切換手段は、
複数の異なる閾値が設定されていると共に、上記駆動電流値と、これらの閾値とを比較した結果に基づき、上記温度制御手段のオンとオフとを異なる条件で切り換えるように構成されている、
ことを特徴とする請求項1に記載のレーザ駆動制御回路。
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Cited By (1)
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CN101950186A (zh) * | 2010-09-02 | 2011-01-19 | 吉林大学 | 基于热电制冷器的宽电源功耗限制型恒温控制器 |
-
2003
- 2003-02-13 JP JP2003034735A patent/JP2004247452A/ja not_active Withdrawn
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