JP2004247416A - 洗浄用処理液および電子デバイスの製造方法 - Google Patents
洗浄用処理液および電子デバイスの製造方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2004247416A JP2004247416A JP2003034015A JP2003034015A JP2004247416A JP 2004247416 A JP2004247416 A JP 2004247416A JP 2003034015 A JP2003034015 A JP 2003034015A JP 2003034015 A JP2003034015 A JP 2003034015A JP 2004247416 A JP2004247416 A JP 2004247416A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- wiring
- layer
- insulating film
- film
- treatment liquid
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Images
Landscapes
- Detergent Compositions (AREA)
- Drying Of Semiconductors (AREA)
- Cleaning Or Drying Semiconductors (AREA)
Abstract
【課題】リアクティブイオンエッチング(RIE)を用いてアルミニウムのような金属からなる配線の形成後、またはCMPによる埋込み配線の形成後において、それら配線の細り等を招くことなく、前記配線の表面等に付着された金属残渣物、酸化物、レジストに由来するポリマーおよび変質層を容易に除去することが可能な洗浄用処理液を提供する。
【解決手段】有機溶剤、フッ化物含有化合物および酸化剤を含むことを特徴とする。
【選択図】 なし
【解決手段】有機溶剤、フッ化物含有化合物および酸化剤を含むことを特徴とする。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、洗浄用処理液および電子デバイスの製造方法に関し、詳しくは半導体装置、液晶表示装置の製造におけるリアクティブイオンエッチング(RIE)後等の処理工程に用いられる洗浄用処理液およびその処理工程を改良した電子デバイスの製造方法に係る。
【0002】
【従来の技術】
例えば、半導体装置では、金属配線としてアルミニウムまたは銅が用いられる。アルミニウム配線は、デバイスに印加される電流がアルミニウム原子の移動を引き起こす、いわゆるエレクトロマイグレーションを生じる。このエレクトロマイグレーションを防止するために配線として少量の銅を添加したアルミニウム合金が用いられている。
【0003】
また、前記配線はコンタクトホールでの電気的スパイクの発生を最小にするためにアルミニウムに少量のシリコンまたはチタン添加したアルミニウム合金が用いられている。
【0004】
ところで、前記半導体装置における金属配線は次のような種々の工程により形成されている。
【0005】
1)まず、半導体基板上の絶縁膜にアルミニウムを含む金属層を形成する。つづいて、前記金属層にレジスト膜を被覆し、このレジスト膜を露光、現像処理する、いわゆる写真蝕刻してレジストパターンを形成する。このレジストパターンをマスクとして前記金属層の露出部分をリアクティブイオンエッチング(RIE)により選択的に除去してアルミニウムを含む配線を形成する。この後、残存するレジストパターンを剥離、除去する。
【0006】
前記1)の方法によるアルミニウムを含む金属層をレジストパターンおよびRIEを用いて選択的にエッチングして金属配線を形成した後において、前記金属配線の表面および側壁に金属、レジストに由来するポリマーおよび変質層などの残渣物が付着される。このような残渣物は、半導体装置の信頼性を低下させる。このため、従来では金属配線の形成後にヒドロキシルアミンのようなアルカリ水溶液でその表面等を処理して、前記残渣物を除去することが行われている。
【0007】
しかしながら、前記配線は両性のアルミニウムを含むため、ヒドロキシルアミンのようなアルカリ水溶液下でエッチングされて、例えば配線が細って抵抗値が増大する等の問題を生じる。
【0008】
2)まず、半導体基板上の第1層絶縁膜にアルミニウムを含む金属層を形成し、この金属層にレジスト膜を被覆し、このレジスト膜を写真蝕刻してレジストパターンを形成する。このレジストパターンをマスクとして前記金属層の露出部分をRIEにより選択的に除去して第1層配線を形成する。つづいて、前記レジストパターンを剥離、除去した後、前記第1層配線を含む前記第1層絶縁膜に第2層絶縁膜を形成する。ひきつづき、前記第2層絶縁膜上にレジスト膜を被覆し、このレジスト膜を写真蝕刻してビアホール形成予定部が開口されたレジストパターンを形成し、このレジストパターンをマスクとして前記第2層絶縁膜の露出部分をRIEにより選択的に除去してボアホールを開口する。このビアホールを含む第2層絶縁膜上に導電性バリア膜、タングステンのような金属膜を堆積して少なくとも前記ビアホール内面に導電性バリア膜を形成するとともに、この導電性バリア膜が形成されたビアホール内を前記金属膜で埋め込む。この後、前記金属膜、導電性バリア膜を化学機械研磨(chemical mechanical polishing;CMP)処理を施して前記第2層絶縁膜に前記第1層配線と接続されるビアフィルを形成する。
【0009】
次いで、前記ビアフィルを含む前記第2層絶縁膜上に金属層を形成し、この金属層にレジスト膜を被覆する。このレジスト膜を写真蝕刻してレジストパターンし、このレジストパターンをマスクとして前記金属層の露出部分をリアクティブイオンエッチング(RIE)により選択的に除去することにより第2層配線を形成する。
【0010】
前記2)の方法による第2層絶縁膜をレジストパターンおよびRIEを用いて選択的にエッチングしてビアホールを形成した後において、ビアホールの内面にレジストに由来するポリマーおよびレジストと絶縁膜の材料に由来する変質層などの残渣物が付着される。これらの残渣物が残った状態で、ビアホール内面に導電性バリア膜を形成すると、この後のビアホール内への金属膜の埋め込み過程で前記導電性バリア膜が剥離して、そのバリア機能が阻害される。このため、従来ではヒドロキシルアミンのようなアルカリ水溶液でビアホール内面を処理して、前記残渣物を除去することが行われている。
【0011】
しかしながら、ビアホール底部から露出された前記第1層配線は両性のアルミニウムを含むため、ヒドロキシルアミンのようなアルカリ水溶液下でエッチングされる。その結果、例えば第1層配線の厚さが減少して抵抗値が増大したり、極端な場合には第1層配線が消失、断線したりする等の問題を生じる。
【0012】
また、前記2)の方法による第2層の金属層をレジストパターンおよびRIEを用いて選択的にエッチングして第2層配線を形成した後において、前記第2層配線の表面および側壁に金属、レジストに由来するポリマーおよび変質層などの残渣物が付着される。この残渣物は、半導体装置の信頼性を低下させる。このため、従来では第2層配線の形成後にヒドロキシルアミンのようなアルカリ水溶液でその第2層配線表面を処理して、前記残渣物を除去することが行われている。
【0013】
しかしながら、半導体装置の高集積化に伴って前記第2層配線の幅が微細化されると、前記ビアフィルは第2層配線とのコンタクト部において前記第2層配線で覆われずに露出する。このため、前記ビアフィルがタングステンを主体とする材料を有する場合、ヒドロキシルアミンのようなアルカリ水溶液での第2層配線の処理時にそのアルカリ水溶液が前記タングステン(W)を主体とする材料からなるビアフィルにも接触して溶解するという問題を生じる。このタングステンの溶解は、主に前記コンタクト部における前記アルカリ水溶液の存在下での第2層配線(例えばAl)とタングステンとの間の大きなイオン化傾向差(電位差)に起因するものである。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、リアクティブイオンエッチング(RIE)を用いてアルミニウムのような金属からなる配線の形成後、またはCMPによる埋込み配線の形成後において、それら配線の細り等を招くことなく、前記配線の表面等に付着された金属残渣物、酸化物、レジストに由来するポリマーおよび変質層を容易に除去することが可能な洗浄用処理液を提供しようとするものである。
【0015】
本発明は、リアクティブイオンエッチング(RIE)を用いてアルミニウムまたはアルミニウム合金からなる配線を形成した後の洗浄工程において、その配線の細り等を招くことなく、前記配線の表面および側壁に付着された金属残渣物、レジストに由来するポリマーおよび変質層を除去することが可能な電子デバイスの製造方法を提供しようとするものである。
【0016】
本発明は、アルミニウムまたはアルミニウム合金からなる下地の配線と接続するためのビアフィルのビアホールをRIEを用いて絶縁膜に形成した後の洗浄工程において、その下地配線の厚さ減少等を招くことなく、前記ビアホール内面に付着されたレジストに由来するポリマーおよび変質層を除去することが可能な電子デバイスの製造方法を提供しようとするものである。
【0017】
本発明は、タングステンを主体とするビアフィルが形成された絶縁膜にRIEを用いて前記ビアフィルとのコンタクト部でそれが露出される微細な配線を形成した後の洗浄工程において、前記露出したビアフィルのタングステンの溶解等を招くことなく、前記配線の表面および側壁に付着された金属残渣物、レジストに由来するポリマーおよび変質層を除去することが可能な電子デバイスの製造方法を提供しようとするものである。
【0018】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る洗浄用処理液は、有機溶剤、フッ化物含有化合物および酸化剤を含むことを特徴とするものである。
【0019】
本発明に係る洗浄用処理液において、前記有機溶剤はアミド類、ラクトン類、アルコール類、ケトン類、エーテル類、エステル類または飽和炭化水素であることが好ましい。
【0020】
本発明に係る洗浄用処理液において、前記フッ素含有化合物はフッ化水素酸またはフッ化アンモニウムであることが好ましい。前記フッ化水素酸またはフッ化アンモニウムの濃度は、5×10−5mol/L〜5×10−1mol/Lであることが好ましい。
【0021】
本発明に係る洗浄用処理液において、前記酸化剤はペルオキソ一硫酸、ペルオキソ一硫酸アンモニウム、ペルオキソ一硫酸ナトリウム、ペルオキソ一硫酸カリウム、ペルオキソ二硫酸、ペルオキソ二硫酸アンモニウム、ペルオキソ二硫酸ナトリウム、ペルオキソ二硫酸カリウムペルオキソクロム酸およびその塩、ペルオキソ錯体、ペルオキソ硝酸およびその塩、ペルオキソ炭酸およびその塩、ペルオキソチタン酸およびその塩、ペルオキソリン酸およびその塩、ペルオキソホウ酸およびその塩、過マンガン酸およびその塩、硝酸および硝酸塩、亜硝酸および亜硝酸塩、モリブデン酸およびモリブデン酸塩、クロム酸またニクロム酸およびそれらの塩、チタン酸およびその塩、オゾンから選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
【0022】
本発明に係る洗浄用処理液において、さらにpH調整剤を含むことを許容する。このpH調整剤は、硫酸、塩酸、酢酸、燐酸、シュウ酸、クエン酸またはこれらの塩であることが好ましい。
【0023】
本発明に係る洗浄用処理液において、さらに防蝕剤を含むことを許容する。この防蝕剤は、有機窒素、アミン基、S、OH、CO等の極性基を一つあるいは二つ以上有する化合物、もしくはキレートを生成する物質であることが好ましい。また、前記防蝕剤はキノリンエチオダイド、オルトおよびパラ−トリルチオ尿素、プロピルサルファイド、ジアミルアミン、ホルムアルデヒド、パラ−チオクレゾール、ベンゾトリアゾール、ポリビニルピロリドン、安息香酸およびその塩、桂皮酸およびその塩、ポリりん酸およびその塩であることが好ましい。
【0024】
本発明に係る電子デバイスの製造方法は、基板上の絶縁膜表面にアルミニウムまたはアルミニウム合金からなる配線材料層を形成する工程と、
前記配線材料層をレジストパターンをマスクとしてリアクティブイオンエッチングによりパターニングして配線を形成する工程と、
前記洗浄用処理液により前記配線を含む絶縁膜表面を処理する工程と
を含むことを特徴とするものである。
【0025】
本発明に係る別の電子デバイスの製造方法は、基板上の第1層絶縁膜表面にアルミニウムまたはアルミニウム合金からなる第1層配線を形成する工程と、
前記第1層配線を含む前記第1層絶縁膜に第2層絶縁膜を形成した後、この第2層絶縁膜をレジストパターンをマスクとしてリアクティブイオンエッチングにより前記第1層配線表面に達するビアホールを開口する工程と、
前記洗浄用処理液により前記ビアホールを含む第2層絶縁膜表面を処理する工程と、
少なくとも前記ビアホール内面に導電性バリア層を形成する工程と、
前記バリア層が内面に形成された前記ビアホール内を含む第2層絶縁膜表面に導電材料膜を形成する工程と、
前記導電材料膜および導電性バリア層を化学機械研磨により除去してビアフィルを形成する工程と
を含むことを特徴とするものである。
【0026】
本発明に係るさらに別の電子デバイスの製造方法は、基板上の絶縁膜にタングステンを主体とするビアフィルを形成する工程と、
前記ビアフィルを含む前記絶縁膜に配線材料層を形成する工程と、
前記配線材料層をレジストパターンをマスクとしてリアクティブイオンエッチングによりパターニングして前記ビアフィルとのコンタクト部においてそれより幅の狭い配線を形成する工程と、
前記洗浄用処理液により前記配線を含む絶縁膜表面を処理する工程と
を含むことを特徴とするものである。
【0027】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0028】
<第1実施形態>
本発明の洗浄用処理液は、有機溶剤、フッ化物含有化合物および酸化剤を含有する。
【0029】
本発明の洗浄用処理液における各成分の作用等を以下に説明する。
【0030】
1)有機溶剤
この有機溶剤は、配合される前記フッ化物含有化合物(例えばフッ化水素酸)の解離を防止する。すなわち、フッ化水素酸は水の存在下で下記数1の式(1)、(2)のように解離する。ただし、この解離反応は、平衡反応である。
【0031】
【数1】
【0032】
前記式(1)の解離前のHFは、金属、酸化物に対するエッチング作用が弱いものの、前記(2)式のHF2 −は金属、酸化物に対するエッチング作用が強い。このため、前記HF2 −が洗浄用処理液中に多量に存在すると、洗浄される金属配線、SiO2のような絶縁膜をエッチングする。
【0033】
このようなことから、洗浄用処理液の溶剤として有機溶剤を用いて洗浄用処理液中に前記フッ化水素酸の解離を招く水を排除して洗浄用処理液中に前記金属、酸化物に対するエッチング作用が強いHF2 −が存在するのを回避する。
【0034】
前記有機溶剤は、例えばアミド類、ラクトン類、アルコール類、ケトン類、エーテル類、エステル類などの極性有機溶媒、または飽和炭化水素などの無極性有機溶媒を挙げることができる。特に、水のリンス時に容易に洗い流せる水溶性で、かつ金属酸化物に対して除去作用を示す極性有機溶剤が好ましい。具体的にはイソプロピルアルコール、酢酸エチル等を挙げることができる。
【0035】
2)フッ素含有化合物
このフッ素含有化合物は、エッチング残渣である金属、酸化物を除去する作用を有する。
【0036】
ただし、フッ素含有化合物[例えばフッ化水素酸(HF)]は前記1)項で説明したように有機溶剤に配合されることによって、前記(1)、(2)式のように解離を防いで、金属、酸化物に対してエッチング作用の強いHF2 −の生成が防止される。このため、金属、酸化物に対するエッチング作用が弱い(緩慢な)HFの状態に止まる。
【0037】
前記フッ素含有化合物としては、例えばフッ化水素酸、フッ化水素酸アンモニウム等を挙げることができる。
【0038】
前記フッ素含有化合物は、前記洗浄用処理液中に5×10−6モル/L〜5×10−1モル/L含有されることことが好ましい。前記フッ素含有化合物の量を5×10−6モル/L未満にすると、エッチング残渣である金属、酸化物を除去することが困難になる虞がある。一方、前記フッ素含有化合物の量が5×10−1モル/Lを超えると、そのフッ素含有化合物によるエッチング作用が大きくなって、絶縁膜のエッチング除去、配線のエッチング、細りを生じる虞がある。より好ましい前記洗浄用処理液中のフッ素含有化合物の含有量は1×10−4モル/L〜1×10−2モル/Lである。
【0039】
3)酸化剤
この酸化剤は、エッチング残渣であるレジストに由来するポリマーおよび変質物などの有機物を分解除去するとともに、アルミニウムのような金属からなる配線をフッ素含有化合物によるエッチングから保護する作用を有する。
【0040】
前記酸化剤としては、例えばペルオキソ一硫酸、ペルオキソ一硫酸アンモニウム、ペルオキソ一硫酸ナトリウム、ペルオキソ一硫酸カリウム、ペルオキソ二硫酸、ペルオキソ二硫酸アンモニウム、ペルオキソ二硫酸ナトリウム、ペルオキソ二硫酸カリウムペルオキソクロム酸およびその塩、ペルオキソ錯体、ペルオキソ硝酸およびその塩、ペルオキソ炭酸およびその塩、ペルオキソチタン酸およびその塩、ペルオキソリン酸およびその塩、ペルオキソホウ酸およびその塩、過マンガン酸およびその塩、硝酸および硝酸塩、亜硝酸および亜硝酸塩、モリブデン酸およびモリブデン酸塩、クロム酸またニクロム酸およびそれらの塩、チタン酸およびその塩、オゾンから選ばれる少なくとも1種を用いることができる。中でもペルオキソ一硫酸、ペルオキソ一硫酸アンモニウム、ペルオキソ二硫酸、ペルオキソ二硫酸アンモニウムが好ましい。
【0041】
前記酸化剤は、前記洗浄用処理液中に0.01モル/L〜20モル/L含有されることが好ましい。
【0042】
前記酸化剤の量を0.01モル/L未満にすると、有機物の分解除去およびエッチングの保護作用を図ることが困難になる虞がある。一方、前記酸化剤の量が20モル/Lを超えると配線表面の酸化が過度に進行して表面の導電性を損なう虞がある。より好ましい前記洗浄用処理液中の酸化剤の含有量は0.1モル/L〜0.5モル/Lである。
【0043】
本発明の洗浄用処理液は、さらに以下に説明するpH調整用の酸および防蝕剤を含有することを許容する。
【0044】
4)pH調整用の酸
このpH調整用の酸は、本発明の洗浄用処理液で例えば半導体装置のような電子デバイスを処理した後に水(例えば純水)でリンス処理する際、前記フッ素含有化合物[例えばフッ化水素酸(HF)]の解離に伴って金属、酸化物に対するエッチング作用の強いHF2 −が生成されるのを抑制する作用を有する。
【0045】
すなわち、前記リンス処理により洗浄用処理液に水が混入されると、前述した式(1)、(2)のようにHFが水の存在したで解離して金属、酸化物に対してエッチング作用の強いHF2 −が生成され、リンス処理の初期、つまり洗浄用処理液が水で洗い流されるまでの期間、に金属、酸化物がエッチングされる。
【0046】
このようなことから、前記pH調整用の酸を配合して洗浄用処理液を強酸性にすることによって、リンス処理に水が混入された洗浄用処理液中の水素イオン(H+)濃度を高くして前記式(1)のHFの平衡反応を左側にシフト、つまりHFが多くなるようにシフトさせ、結果的に前記式(2)の平衡反応を右側にシフトするのを抑えて、水溶液中に生成されるHF2 −量を抑えて適正化することが可能になる。
【0047】
前記pH調整用の酸としては、硫酸、塩酸、酢酸、燐酸、シュウ酸、クエン酸またはこれらの塩を用いることができる。特に、硫酸が好ましい。
【0048】
前記pH調整用の酸は、前記洗浄用処理液にそのpH値が−1〜3、より好ましくはpH値が0〜1になるように配合することが望ましい。
【0049】
5)防蝕剤
この防蝕剤は、本発明の洗浄用処理液で例えば半導体装置のような電子デバイスを処理した後に水(例えば純水)でリンス処理する際、前述したようにフッ素含有化合物[例えばフッ化水素酸(HF)]の解離に伴って生成される金属、酸化物に対するエッチング作用の強いHF2 −から金属、酸化物を保護する作用を有する。
【0050】
前記防蝕剤は、有機窒素、アミン基、S、OH、CO等の極性基を一つあるいは二つ以上有する化合物、もしくはキレートを生成する物質が挙げられる。具体的には、前記防蝕剤としてはキノリンエチオダイド、オルトおよびパラ−トリルチオ尿素、プロピルサルファイド、ジアミルアミン、ホルムアルデヒド、パラ−チオクレゾール、ベンゾトリアゾール、ポリビニルピロリドン、安息香酸およびその塩、桂皮酸およびその塩、ポリりん酸およびその塩等を挙げることができる。
【0051】
本発明に係る洗浄用処理液は、20〜35℃の液温で使用することが好ましい。
【0052】
本発明に係る洗浄用処理液は、Alを基準にしてWまたはTi,TiNに対するイオン化傾向差(電位差)を小さくする作用を有する。
【0053】
以上、第1実施形態によれば半導体装置のような電子デバイスの製造での洗浄工程等への適用において、アルミニウムのような金属からなる配線のエッチングによる細り等を招くことなく、前記配線の表面等に付着された金属、金属酸化物、レジストに由来するポリマーおよび変質物などの残渣物を除去し得る洗浄用処理液を提供できる。
【0054】
すなわち、本発明に係る洗浄用処理液は有機溶剤、フッ化物含有化合物および酸化剤を含むため、半導体装置のような電子デバイスの製造での洗浄工程に適用すると、前記有機溶剤の洗浄作用により金属酸化物を除去することができ、かつ前記酸化剤の酸化作用によりレジストに由来するポリマーおよび変質物を除去することができる。
【0055】
また、前記洗浄用処理液中のフッ素含有化合物(例えばフッ化水素酸)によって、前記配線の表面等に付着された残渣物である金属、金属酸化物を除去することができる。このとき、前記洗浄用処理液の溶剤として有機溶剤を用いて水フリーにすることによって、前記式(1)、(2)に示す水の存在下で生じるフッ化物含有化合物(例えばフッ化水素酸)の解離を防止することができる。その結果、前記洗浄用処理液中のフッ素含有化合物(例えばフッ化水素酸)からのエッチング力の強いHF2 −の生成を防ぐことができるため、エッチング力が緩慢なHFのみにより例えば金属からなる配線、酸化物からなる絶縁膜のエッチングを抑えつつ、金属残渣物を効率よく除去することができる。
【0056】
前記洗浄用処理液による処理時において、アルミニウムのような金属からなる配線もその処理液に曝され、同処理液中のフッ素含有化合物(例えばフッ化水素酸)によるエッチング作用を受ける。このとき、酸化剤の酸化作用により前記配線表面等が前記フッ化水素酸から保護されるとともに、前述したようにフッ化水素酸からの解離によるエッチング力の強いHF2 −の生成を防いでエッチング力の緩慢なHFに止めるため、前記配線がエッチングされて細る等の不都合さを解消することができる。
【0057】
特に、5×10−6モル/L〜5×10−1モル/Lのフッ素含有化合物および0.01モル/L〜20モル/Lの酸化剤を含む洗浄用処理液は、前記配線をエッチングすることなく、前記配線の表面等に付着された金属、金属酸化物等の残渣物をより確実に除去することができる。
【0058】
さらに、pH調整用の酸を配合した洗浄用処理液によれば例えば半導体装置のような電子デバイスを処理した後に水(例えば純水)でリンス処理する際、前記フッ素含有化合物[例えばフッ化水素酸(HF)]の解離に伴って金属、酸化物に対するエッチング作用の強いHF2 −が生成されるのを抑制できる。その結果、金属からなる配線がエッチングされることなく、前記洗浄用処理液を洗い流すことが可能になる。
【0059】
さらに、防蝕剤を配合した洗浄用処理液によれば例えば半導体装置のような電子デバイスを処理した後に水(例えば純水)でリンス処理する際、前述したようにフッ素含有化合物[例えばフッ化水素酸(HF)]の解離に伴って生成される金属、酸化物に対するエッチング作用の強いHF2 −から金属、酸化物を保護することができる。その結果、金属からなる配線がエッチングされることなく、前記洗浄用処理液を洗い流すことが可能になる。
【0060】
さらに、pH調整用の酸および防蝕剤を配合した洗浄用処理液によれば金属からなる配線のエッチングをより確実に防止しつつ、前記洗浄用処理液を洗い流すことが可能になる。
【0061】
<第2実施形態>
(第1工程)
基板上の絶縁膜にアルミニウムまたはアルミニウム合金からなる配線材料層を形成する。
【0062】
前記基板としては、例えば製造する電子デバイスが半導体装置である場合、シリコンのような半導体基板、製造する電子デバイスが液晶表示装置である場合、ガラス基板を用いることができる。
【0063】
前記絶縁膜としては、例えばシリコン酸化膜、ボロン添加ガラス膜(BPSG膜)、リン添加ガラス膜(PSG膜)等を用いることができる。また、前記絶縁膜としては、例えばSiOF、有機スピンオングラス、ポリイミド、フッ素添加ポリイミド、ポリテトラフルオロエチレン、フッ化ポリアリルエーテル、フッ素添加パレリン等の比誘電率が3.5以下の絶縁材料からなる膜を用いることができる。
【0064】
前記アルミニウム合金としては、例えばAl−Si合金,Al−Cu合金,Al−Cu−Si合金等を用いることができる。
【0065】
(第2工程)
前記配線材料層上にレジスト膜を被覆し、このレジスト膜を露光、現像処理する、いわゆる写真蝕刻してレジストパターンを形成する。つづいて、このレジストパターンをマスクとして前記配線材料層の露出部分を例えば塩素系、フッ素系の反応ガスを用いるリアクティブイオンエッチング(RIE)により選択的に除去してアルミニウムまたはアルミニウム合金からなる配線を形成する。この後、残存するレジストパターンを例えばアッシング処理等により剥離、除去する。
【0066】
(第3工程)
第1実施形態で説明した洗浄用処理液により前記配線を含む絶縁膜表面を処理する。
【0067】
なお、前述した第2実施形態の電子デバイスの製造において、前記洗浄用処理液での処理後、さらに水、例えば純水でリンス処理することを許容する。
【0068】
以上、第2実施形態によれば基板上の絶縁膜表面にアルミニウムまたはアルミニウム合金からなる配線材料層を形成し、この配線材料層をレジストパターンおよびリアクティブイオンエッチング(RIE)を用いてパターニングして配線を形成した後、第1実施形態で説明した洗浄用処理液で処理することによって、前記アルミニウムまたはアルミニウム合金からなる配線のエッチングによる細り等を招くことなく、RIEにおいて前記配線の表面および側壁に付着された金属、レジストに由来するポリマーおよび変質層などの残渣物を除去することができる。
【0069】
すなわち、洗浄用処理液による処理時において有機溶剤の洗浄作用により金属酸化物を除去することができ、かつ酸化剤の酸化作用によりレジストに由来するポリマーおよび変質層を除去することができる。
【0070】
また、前記洗浄用処理液中のフッ素含有化合物(例えばフッ化水素酸)によって、前記アルミニウムまたはアルミニウム合金からなる配線の表面、側壁に付着された残渣物である金属、金属酸化物を除去することができる。このとき、前記洗浄用処理液の溶剤として有機溶剤を用いて水フリーにすることによって、前記式(1)、(2)に示す水の存在下で生じるフッ化物含有化合物(例えばフッ化水素酸)の解離を防止することができる。その結果、前記洗浄用処理液中のフッ素含有化合物(例えばフッ化水素酸)からのエッチング力の強いHF2 −の生成を防ぐことができるため、エッチング力が緩慢なHFのみによりアルミニウムまたはアルミニウム合金からなる配線、酸化物からなる絶縁膜のエッチングを抑えつつ、金属残渣物を効率よく除去することができる。
【0071】
前記洗浄用処理液による処理時において、アルミニウムまたはアルミニウム合金からなる配線もその処理液に曝され、同洗浄用処理液中のフッ素含有化合物(例えばフッ化水素酸)によるエッチング作用を受ける。このとき、酸化剤の酸化作用により前記アルミニウムまたはアルミニウム合金からなる配線表面および側壁が前記フッ化水素酸から保護されるとともに、前述したようにフッ化水素酸からの解離によるエッチング力の強いHF2 −の生成を防いでエッチング力の緩慢なHFに止めるため、前記配線がエッチングされて細る等の不都合さを解消することができる。
【0072】
なお、前記酸化剤による酸化作用を受けた前記アルミニウムまたはアルミニウム合金からなる配線は、その表面等において十分に高い電気導電性を示す。
【0073】
したがって、第2実施形態によれば第1実施形態で説明した洗浄用処理液で配線形成後に処理すことによって、アルミニウムまたはアルミニウム合金からなる配線のエッチングによる細り等を招くことなく、RIEにおいて前記配線の表面および側壁に付着された金属、金属酸化物、レジストに由来するポリマーおよび変質層などの残渣物を除去することができる。
【0074】
特に、5×10−6モル/L〜5×10−1モル/Lのフッ素含有化合物および0.01モル/L〜20モル/Lの酸化剤を含む洗浄用処理液で処理することによって、前記配線をエッチングすることなく、前記配線の表面および側壁に付着された残渣物をより確実に除去することができる。
【0075】
その結果、前記配線が設計した抵抗値に維持され、かつ信頼性が向上された電子デバイスを製造することができる。
【0076】
また、pH調整用の酸、防蝕剤から選ばれる少なくとも1つの成分をさらに配合した洗浄用処理液で処理した後、例えば純水のような水でリンス処理を施すことによって、前記配線がエッチングされることなく前記洗浄用処理液を前記絶縁膜表面から洗い流すことができる。
【0077】
すなわち、従来のヒドロキシアミン水溶液のようなアルカリ水溶液でアルミニウムまたはアルミニウム合金からなる配線を処理した後、純水によりリンス処理すると、アルカリ水溶液が純水で希釈される過程で前記配線のエッチングが急激に進行する。これに対し、本発明で使用する洗浄用処理液は前記リンス処理時における水の混入過程で前記配線がエッチングされるのを防止できる。
【0078】
<第3実施形態>
(第1工程)
基板上の第1層絶縁膜表面にアルミニウムまたはアルミニウム合金からなる配線材料層を形成する。つづいて、この配線材料層にレジスト膜を被覆し、このレジスト膜を写真蝕刻してレジストパターンを形成する。このレジストパターンをマスクとして前記配線材料層の露出部分をエッチングにより選択的に除去することにより第1層配線を形成する。
【0079】
前記基板、前記絶縁膜および前記アルミニウム合金としては、第2実施形態で説明したのと同様なものを用いることができる。
【0080】
(第2工程)
前記レジストパターンを例えばアッシング処理等により剥離、除去した後、前記第1層配線を含む前記第1層絶縁膜上に第2層絶縁膜を形成する。ひきつづき、第2層絶縁膜上にレジスト膜を被覆し、このレジスト膜を写真蝕刻してビアホール形成予定部が開口されたレジストパターンを形成し、このレジストパターンをマスクとして前記第2層絶縁膜の露出部分をリアクティブイオンエッチング(RIE)により選択的に除去してビアホールを開口する。
【0081】
前記絶縁膜としては、第2実施形態で説明したのと同様なものを用いることができる。
【0082】
(第3工程)
第1実施形態で説明した洗浄用処理液により前記ビアホールを含む前記第2層絶縁膜表面を処理する。
【0083】
(第4工程)
前記ビアホールを含む第2層絶縁膜上に導電性バリア膜、金属膜を堆積して少なくとも前記ビアホール内面に導電性バリア膜を形成するとともに、この導電性バリア膜が形成されたビアホール内を前記金属膜を埋め込む。この後、前記金属膜、導電性バリア膜を化学機械研磨(CMP)処理を施して前記第2層絶縁膜に前記第1層配線と接続されるビアフィルを形成する。
【0084】
前記導電性バリア膜は、例えばTa,TaN、Ti,TiNから選ばれる1層または2層以上から作られる。
【0085】
前記金属膜としては、例えばタングステン膜、Cu膜、Cu−Si合金、Cu−Al合金、Cu−Si−Al合金、Cu−Ag合金などのCu合金膜等を用いることができる。
【0086】
なお、前述した第3実施形態の電子デバイスの製造において、前記洗浄用処理液での処理後、さらに水、例えば純水でリンス処理することを許容する。
【0087】
以上、第3実施形態によれば基板上の第1層絶縁膜表面にアルミニウムまたはアルミニウム合金からなる第1層配線を形成し、この第1層配線を含む前記第1層絶縁膜に第2層絶縁膜を形成し、さらにこの第2層絶縁膜をレジストパターンをマスクとしてリアクティブイオンエッチングにより前記第1層配線表面に達するビアホールを開口した後、ペルオキソ硫酸塩、フッ素含有化合物およびpH調整用の酸を含み、pH値が−1〜3である洗浄用処理液で処理することによって、前記ビアホール底部から露出したアルミニウムまたはアルミニウム合金からなる第1層配線の厚さ減少等を招くことなく、RIEにおいて前記ビアホール内面に付着されたレジストに由来するポリマーおよびレジストと絶縁膜の材料に由来する変質層などの残渣物を除去することができる。
【0088】
すなわち、洗浄用処理液による処理時において酸化剤の酸化作用とフッ素含有化合物(例えばフッ化水素酸)とによって、前記ビアホール内面に付着されたレジストに由来するポリマーおよびレジストと絶縁膜の材料に由来する変質層などの残渣物を除去することができる。このとき、前記洗浄用処理液の溶剤として有機溶剤を用いて水フリーにすることによって、前記式(1)、(2)に示す水の存在下で生じるフッ化物含有化合物(例えばフッ化水素酸)の解離を防止することができる。その結果、前記洗浄用処理液中のフッ素含有化合物(例えばフッ化水素酸)からのエッチング力の強いHF2 −の生成を防ぐことができるため、エッチング力が緩慢なHFのみにより例えば酸化物からなる第2層絶縁膜のエッチングを抑えつつ、微細な前記ビアホール内面に付着した残渣物を効率よく除去することができる。
【0089】
前記洗浄用処理液による処理時において、前記ビアホールから露出するアルミニウムまたはアルミニウム合金からなる第1層配線もその処理液に曝され、同洗浄用処理液中のフッ素含有化合物(例えばフッ化水素酸)によるエッチング作用を受ける。このとき、酸化剤の酸化作用により前記アルミニウムまたはアルミニウム合金からなる配線表面および側壁が前記フッ化水素酸から保護されるとともに、前述したようにフッ化水素酸からの解離によるエッチング力の強いHF2 −の生成を防いでエッチング力の緩慢なHFに止めるため、前記配線がエッチングされて細る等の不都合さを解消することができる。
【0090】
したがって、第3実施形態によれば前記組成を有する洗浄用処理液で前記ビアホールを開口した後に処理することによって、前記ビアホール底部から露出したアルミニウムまたはアルミニウム合金からなる第1層配線のエッチングによる厚さ減少等を招くことなく、RIEにおいて前記ビアホール内面に付着された残渣物を除去することができる。
【0091】
特に、5×10−6モル/L〜5×10−1モル/Lのフッ素含有化合物および0.01モル/L〜20モル/Lの酸化剤を含む洗浄用処理液で処理することによって、前記ビアホールから露出した第1層配線をエッチングすることなく、前記ビアホール内面に付着された残渣物をより確実に除去することができる。
【0092】
このような内面が清浄化されたビアホールを含む第2層絶縁膜上に導電性バリア膜を堆積し、金属膜を埋め込む際、前記導電性バリア膜が剥離されるのを防止することができる。その結果、前記金属膜、導電性バリア膜を化学機械研磨(CMP)処理を施すことによって、前記第2層絶縁膜に前記第1層配線と接続される信頼性の高いビアフィルを有する電子デバイスを製造することができる。
【0093】
また、前記酸化剤による酸化作用を受けた前記アルミニウムまたはアルミニウム合金からなる第1層配線は、ビアホールから露出した表面において十分に高い電気導電性を示すため、前記ビアフィルの形成後においてこのビアフィルと良好にオーミックコンタクトを取ることができる。
【0094】
また、pH調整用の酸、防蝕剤から選ばれる少なくとも1つの成分をさらに配合した洗浄用処理液で処理した後、例えば純水のような水でリンス処理を施すことによって、前記ビアホールから露出する第1層配線がその水溶液の希釈過程でエッチングされることなく前記洗浄用処理液を前記第2層絶縁膜表面から洗い流すことができる。
【0095】
<第4実施形態>
(第1工程)
基板上の絶縁膜にレジスト膜を被覆し、このレジスト膜を写真蝕刻してビアホール形成予定部が開口されたレジストパターンを形成し、このレジストパターンをマスクとして前記絶縁膜の露出部分をエッチングにより選択的に除去してボアホールを開口する。つづいて、前記ビアホールを含む絶縁膜上に導電性バリア膜、タングステン膜を堆積して少なくとも前記ビアホール内面に導電性バリア膜を形成するとともに、この導電性バリア膜が形成されたビアホール内を前記タングステン膜を埋め込む。この後、前記タングステン膜、導電性バリア膜を化学機械研磨(CMP)処理を施して前記絶縁膜にビアフィルを形成する。
【0096】
前記基板および前記絶縁膜としては、第2実施形態で説明したのと同様なものを用いることができる。
【0097】
前記導電性バリア膜としては、第3実施形態で説明したのと同様なものを用いることができる。
【0098】
前記ビアフィルは、基板(半導体基板)のソース領域、ドレイン領域のような拡散層に対応する絶縁膜に形成しても、第1層、第2層の配線間、または第2層、第3層の配線間に位置する絶縁膜に形成してもよい。
【0099】
(第2工程)
前記ビアフィルを含む前記絶縁膜に配線材料層を形成した後、この配線材料層をレジストパターンをマスクとしてリアクティブイオンエッチングによりパターニングして前記ビアフィルとのコンタクト部においてそれより幅の狭い配線を形成する。この後、前記レジストパターンを例えばアッシング処理等により剥離、除去する。
【0100】
前記配線材料層としては、例えばアルミニウムまたはアルミニウム合金、Ti,TiN,Mo,Mo合金、W,W合金等から作られる。
【0101】
(第3工程)
第1実施形態で説明した洗浄用処理液により前記配線を含む絶縁膜表面を処理する。
【0102】
なお、前述した第4実施形態の電子デバイスの製造において、前記洗浄用処理液での処理後、さらに水、例えば純水でリンス処理することを許容する。
【0103】
以上、第4実施形態によれば基板上の絶縁膜にタングステンを主体とするビアフィルを形成し、このビアフィルを含む前記絶縁膜に配線材料層を形成し、さらにこの配線材料層をレジストパターンをマスクとしてリアクティブイオンエッチングによりパターニングして前記ビアフィルとのコンタクト部においてそれより幅の狭い配線を形成した後、第1実施形態で説明した洗浄用処理液により前記配線を含む絶縁膜表面を処理することによって、前記配線から露出するビアフィルのタングステンが溶解されることなく、RIEにおいて前記配線の表面および側壁に付着された金属、レジストに由来するポリマーおよび変質層などの残渣物を除去することができる。
【0104】
すなわち、洗浄用処理液による処理時において有機溶剤の洗浄作用により金属酸化物を除去することができ、かつ酸化剤の酸化作用によりレジストに由来するポリマーおよび変質層を除去することができる。
【0105】
また、前記洗浄用処理液中のフッ素含有化合物(例えばフッ化水素酸)によって、前記配線の表面および側壁に付着された金属残渣物を除去することができる。このとき、前記洗浄用処理液の溶剤として有機溶剤を用いて水フリーにすることによって、前記式(1)、(2)に示す水の存在下で生じるフッ化物含有化合物(例えばフッ化水素酸)の解離を防止することができる。その結果、前記洗浄用処理液中のフッ素含有化合物(例えばフッ化水素酸)からのエッチング力の強いHF2 −の生成を防ぐことができるため、エッチング力が緩慢なHFのみにより例えば酸化物からなる絶縁膜のエッチングを抑えつつ、残渣物である金属を効率よく除去することができる。
【0106】
前記洗浄用処理液による処理時において、露出するビアフィルのタングステン(W)もその処理液に曝される。前記洗浄用処理液は、既述したようにAlを基準にしてWまたはTi,TiNに対するイオン化傾向差(電位差)を小さくする作用を有するため、露出した前記ビアフィルのWが配線(例えばAl系配線)とのコンタクト部において溶解する等の不都合さを解消することができる。
【0107】
したがって、第4実施形態によれば第1実施形態で説明した洗浄用処理液で配線形成後に処理することによって、前記配線から露出するビアフィルのタングステンが溶解されることなく、RIEにおいて前記配線の表面および側壁に付着された金属、レジストに由来するポリマーおよび変質層などの残渣物を除去することができる。
【0108】
特に、5×10−6モル/L〜5×10−1モル/Lのフッ素含有化合物および0.01モル/L〜20モル/Lの酸化剤を含む洗浄用処理液で処理することによって、前記配線から露出するビアフィルのタングステンの溶解をより確実に防止できるとともに、前記配線の表面および側壁に付着された残渣物を除去することができる。
【0109】
その結果、前記ビアフィルに対して前記配線が良好に接続され、かつ信頼性が向上された電子デバイスを製造することができる。
【0110】
また、pH調整用の酸、防蝕剤から選ばれる少なくとも1つの成分をさらに配合した洗浄用処理液で処理した後、例えば純水のような水でリンス処理を施すことによって、その処理液に水が混入する過程でイオン傾向差が大きくならないため、前記配線が露出するビアフィルのタングステンが溶解されることなく、前記洗浄用処理液を前記絶縁膜表面から洗い流すことができる。
【0111】
【実施例】
以下、本発明の実施例を図面を参照して詳細に説明する。
【0112】
(実施例1)
まず、図1の(a)に示すようにソース領域、ドレイン領域のような拡散層(図示せず)が形成されたシリコン基板1上に例えばSiO2からなる絶縁膜2をCVD法により形成した後、Al−Cu合金からなる配線材料層3を形成した。つづいて、図1の(b)に示すように前記配線材料層3上にレジスト膜を被覆し、このレジスト膜を露光、現像処理する、いわゆる写真蝕刻してレジストパターン4を形成した。ひきつづき、図1の(c)に示すようにこのレジストパターン4をマスクとして前記配線材料層3の露出部分を例えばフッ素系の反応ガスを用いるリアクティブイオンエッチング(RIE)により選択的に除去してAl−Siからなる配線5を形成した。
【0113】
次いで、前記レジストパターン4を除去した。この時、図2に示すように前記配線5の表面および側壁に金属、レジストに由来するポリマーおよび変質層などの残渣物6が付着された。つづいて、イソプロピルアルコール(有機溶剤)、0.2モル/Lの過硫酸アンモニウム(酸化剤)、0.02モル/Lのフッ化水素酸および硫酸(pH調整用の酸)を含み、pH値が0.20の洗浄用処理液で前記配線5を含む前記絶縁膜2を処理した。
【0114】
このような洗浄用処理液での処理により図3に示すように前記配線5の表面および側壁の残査物6が除去された。また、前記配線5はエッチングによる孔明き、細りが全く認められなかった。
【0115】
また、前記洗浄用処理液で処理した後、さらに純水でリンス処理を施したが、Al−Cu合金からなる配線5がエッチングされることなく前記洗浄用処理液を前記絶縁膜2表面から洗い流すことができた。
【0116】
この後、常法に従って半導体装置を製造した。
【0117】
(比較例1)
洗浄用処理液の代わりに10wt%のヒドロキシアミン水溶液を用いて実施例1と同様に配線を含む絶縁膜を処理した。その結果、前記配線の表面および側壁の残査物を除去できたものの、Al−Cu合金の配線がヒドロキシアミン水溶液でエッチングされて細ってしまった。
【0118】
また、ヒドロキシアミン水溶液での処理後、さらに純水でリンス処理を施してヒドロキシアミン水溶液を洗い流したところ、前記Al−Cu合金からなる配線のエッチングがさらに急激に進行した。
【0119】
(実施例2)
まず、図4の(a)に示すようにソース領域、ドレイン領域のような拡散層(図示せず)が形成されたシリコン基板11上に例えばSiO2からなる第1層絶縁膜12をCVD法により形成した後、Al−Cu合金からなる配線材料層を形成した。つづいて、この配線材料層にレジスト膜を被覆し、このレジスト膜を写真蝕刻してレジストパターンを形成した後、このレジストパターンをマスクとして前記配線材料層の露出部分をエッチングにより選択的に除去することにより第1層配線13を形成した。前記レジストパターンを剥離、除去した後、前記第1層配線13を含む前記第1層絶縁膜12上にSiO2からなる第2層絶縁膜14をCVD法により形成した。
【0120】
次いで、図4の(b)に示すように前記第2層絶縁膜14上にレジスト膜を被覆し、このレジスト膜を写真蝕刻してビアホール形成予定部が開口されたレジストパターン15を形成し、このレジストパターンをマスクとして前記第2層絶縁膜14の露出部分を例えばフッ素系の反応ガスを用いるRIEにより選択的に除去してビアホール16を開口した。つづいて、前記レジストパターン15を除去した。このとき、図4の(C)に示すように前記ビアホール16内面にレジストに由来するポリマーおよびレジストと絶縁膜の材料に由来する変質層などの残渣物17が付着された。
【0121】
次いで、イソプロピルアルコール(有機溶剤)、0.2モル/Lの過硫酸アンモニウム(酸化剤)、0.02モル/Lのフッ化水素酸および硫酸(pH調整用の酸)を含み、pH値が0.20の洗浄用処理液で前記ビアホール16を含む前記第2層絶縁膜14を処理した。このような洗浄用処理液での処理により図5の(d)に示すように前記ビアホール16内面に付着された残査物17が除去された。また、前記ビアホール16から露出するAl−Cu合金からなる第1層配線13のエッチングによる膜厚減少は全く認められなかった。つづいて、純水でリンス処理を施した。このとき、Al−Cu合金からなる第1層配線13がエッチングされることなく前記洗浄用処理液を前記第2層絶縁膜14表面から洗い流すことができた。
【0122】
次いで、図5の(e)に示すように前記ビアホール16を含む第2層絶縁膜14上に導電性バリア膜であるTi膜およびタングスタン膜を堆積して前記ビアホール16内面にTi膜18を形成するとともに、このTi膜18が形成されたビアホール16内を前記タングステン膜19で埋め込んだ。この後、前記タングステン膜19、Ti膜18を化学機械研磨(CMP)処理を施すことにより図5の(f)に示すように前記第2層絶縁膜14に前記第1層配線13と接続されるビアフィル20を形成した。
【0123】
形成されたビアフィル20は、Ti膜18の部分的な剥離がなく、第1層配線13と低抵抗接続されていた。
【0124】
この後、常法に従って半導体装置を製造した。
【0125】
(比較例2)
洗浄用処理液の代わりに10wt%のヒドロキシアミン水溶液を用いて実施例2と同様にビアホールを含む第2層絶縁膜を処理した。その結果、前記ビアホール内面に付着した残査物を除去できたものの、前記ビアホールから露出したAl−Cu合金の第1層配線がヒドロキシアミン水溶液でエッチングされて膜厚減少が生じた。また、ヒドロキシアミン水溶液での処理後、さらに純水でリンス処理を施してヒドロキシアミン水溶液を洗い流したところ、前記Al−Cu合金からなる第1層配線のエッチングがさらに急激に進行した。
【0126】
(実施例3)
まず、図6の(a)に示すようにソース領域、ドレイン領域のような拡散層(図示せず)が形成されたシリコン基板21上に例えばSiO2からなる第1層絶縁膜22をCVD法により形成した後、例えばAl−Cu合金からなる配線材料層を形成した。つづいて、この配線材料層にレジスト膜を被覆し、このレジスト膜を写真蝕刻してレジストパターンを形成した後、このレジストパターンをマスクとして前記配線材料層の露出部分をエッチングにより選択的に除去することにより第1層配線23を形成した。前記レジストパターンを剥離、除去した後、前記第1層配線23を含む前記第1層絶縁膜22上にSiO2からなる第2層絶縁膜24をCVD法により形成した。ひきつづき、前記第2層絶縁膜24上にレジスト膜を被覆し、このレジスト膜を写真蝕刻してビアホール形成予定部が開口されたレジストパターンを形成し、このレジストパターンをマスクとして前記第2層絶縁膜24の露出部分を例えばフッ素系の反応ガスを用いるRIEにより選択的に除去してビアホール25を開口した。
【0127】
次いで、図6の(b)に示すように前記ビアホール25を含む第2層絶縁膜24上に導電性バリア膜であるTi膜およびタングスタン膜を堆積して前記ビアホール25内面にTi膜26を形成するとともに、このTi膜26が形成されたビアホール25内を前記タングステン膜27で埋め込んだ。この後、前記タングステン膜27、Ti膜26を化学機械研磨(CMP)処理を施すことにより、図6の(c)に示すように前記第2層絶縁膜24に前記第1層配線23と接続されるビアフィル28を形成した。
【0128】
次いで、図7の(d)に示すように前記ビアフィル28を含む前記第2層絶縁膜24上に例えばAl−Cu合金からなる配線材料層29を形成した。つづいて、図7の(e)に示すようにこの配線材料層29上にレジスト膜を被覆し、このレジスト膜を写真蝕刻してレジストパターン30を形成した後、このレジストパターン30をマスクとして前記配線材料層29の露出部分を例えばフッ素系の反応ガスを用いるRIEにより選択的に除去し、さらに図7の(f)および図8に示すようにレジストパターン30を剥離、除去することにより前記ビアフィル28とのコンタクト部においてそのビアフィル28より幅の狭い第2層配線31を形成した。つまり、前記ビアフィル28は前記第2層配線31とのコンタクト部においてその配線31の両側から露出した。この時、前記第2層配線31の表面および側壁に金属、レジストに由来するポリマーおよび変質層の残渣物(図示せず)が付着された。
【0129】
次いで、イソプロピルアルコール(有機溶剤)、0.2モル/Lの過硫酸アンモニウム(酸化剤)、0.02モル/Lのフッ化水素酸および硫酸(pH調整用の酸)を含み、pH値が0.20の洗浄用処理液で前記第2層配線31を含む前記第2層絶縁膜24を処理した。なお、この洗浄用処理液はイオン化傾向に相関するAl−W間の電位差が0.2V、Al−Ti間の電位差が0.35Vを示した。
【0130】
このような洗浄用処理液での処理により前記第2層配線31の表面および側壁の残査物が除去された。また、前記第2層配線31両側から露出した前記ビアフィル28のタングステンは前記洗浄用処理液との接触による溶解は全く認められなかった。さらに、Al−Cu合金からなる第2層配線31も洗浄用処理液との接触による孔明き、細りは全く認められなかった。
【0131】
また、前記洗浄用処理液で処理した後、さらに純水でリンス処理を施したが、露出した前記ビアフィル28のタングステンが溶解されることなく前記洗浄用処理液を前記第2層絶縁膜24表面から洗い流すことができた。
【0132】
この後、常法に従って半導体装置を製造した。
【0133】
(比較例3)
洗浄用処理液の代わりに10wt%のヒドロキシアミン水溶液を用いて実施例3と同様に第2層配線および露出したビアフィルを含む第2層絶縁膜を処理した。その結果、前記第2層配線の表面および側壁の残査物を除去できたものの、前記第2層配線両側から露出したビアフィルのタングステンがヒドロキシアミン水溶液との接触で溶解され、Al−Cu合金の第2層配線もエッチングされて細ってしまった。
【0134】
また、ヒドロキシアミン水溶液での処理後、さらに純水でリンス処理を施してヒドロキシアミン水溶液を洗い流したところ、前記露出したビアフィルのタングステンの溶解、Al−Cu合金からなる第2層配線のエッチングがさらに急激に進行した。
【0135】
(実施例4)
まず、ガラス基板41上に基板温度420℃の条件下で減圧CVD法により厚さ50nmの非晶質シリコン(a−Si)薄膜を堆積した。つづいて、TFTの閾値制御を目的として前記a−Si膜に不純物(例えばボロン)をドーピングした。ひきつづき、ボロンドープa−Si膜にエキシマレーザアニールを施して結晶化させることによりボロンドープ多結晶シリコン(p−Si)薄膜とした。なお、このエキシマレーザアニールに代えてランプアニールを施してもよい。前記p−Si薄膜表面にレジスト膜を被覆し、このレジスト膜を写真蝕刻することによりレジストパターン(図示せず)を形成した。このレジストパターンをマスクとしてCF4およびO2ガスを用いたCDE(Chemical Dry Etching)により前記p−Si薄膜を選択的に除去することにより島状のp−Si薄膜42を形成した。前記レジストパターンを灰化して除去した後、島状のp−Si薄膜22を含むガラス基板21上にTEOSを原料ガスとして用いた減圧プラズマCVD法により厚さ200nmのゲート絶縁膜としてのSiO2薄膜43を堆積した。ひきつづき、このSiO2薄膜43上にMoW膜44を成膜した。このMoW膜44上にレジスト膜を被覆し、このレジスト膜を写真蝕刻することにより図9の(a)に示すようにレジストパターン45を形成した。
【0136】
次いで、図9の(b)に示すように前記レジストパターン45をマスクとして前記MoW膜44を例えば酸素およびフッ素系の反応ガスを用いるRIEにより選択的に除去してゲート電極46を形成した。
【0137】
次いで、前記レジストパターン45を剥離、除去した。この時、前記ゲート電極46の表面および側壁に金属、レジストに由来するポリマーおよび変質層の残渣物(図示せず)が付着された。つづいて、イソプロピルアルコール(有機溶剤)、0.2モル/Lの過硫酸アンモニウム(酸化剤)、0.02モル/Lのフッ化水素酸および硫酸(pH調整用の酸)を含み、pH値が0.20の洗浄用処理液で前記ゲート電極46を含む前記SiO2薄膜43を処理した。このような洗浄用処理液での処理により図9の(C)に示すように前記ゲート電極46の表面および側壁の残査物が除去された。また、前記エッチング残渣除去用水溶液で処理した後、さらに純水でリンス処理を施したが、MoWからなるゲート電極46が溶解されることなく前記洗浄用処理液を前記第2層絶縁膜24表面から洗い流すことができた。この後、ゲート電極46をマスクとして不純物、例えばリンを前記島状のp−Si薄膜42に選択的にドーピングして島状のp−Si薄膜22にn+型のソース、ドレイン領域47,48およびp型チャンネル領域49を形成した。
【0138】
次いで、図9の(d)に示すように全面に減圧CVD法により層間絶縁膜としてのSiO2膜50を堆積した。つづいて、前記SiO2膜50上にレジスト膜を被覆し、このレジスト膜を写真蝕刻することによりコンタクトホール予定部が開口されたレジストパターン51を形成した。ひきつづき、このレジストパターン51をマスクとして前記SiO2膜50およびSiO2薄膜43を例えばフッ素系の反応ガスを用いるRIEにより選択的に除去することにより、図10の(e)に示すように底部が前記ソース、ドレイン領域47,48にそれぞれ達するコンタクトホール52を開口した。
【0139】
次いで、前記レジストパターン51を剥離、除去した。この時、コンタクトホール52の内側壁にレジストに由来するポリマーおよび変質層の残渣物(図示せず)が付着された。つづいて、イソプロピルアルコール(有機溶剤)、0.2モル/Lの過硫酸アンモニウム(酸化剤)、0.02モル/Lのフッ化水素酸および硫酸(pH調整用の酸)を含み、pH値が0.20の洗浄用処理液で前記コンタクトホール52を含む前記SiO2膜50を処理した。このような洗浄用処理液での処理により前記コンタクトホール52の内側壁の残査物が除去された。また、前記洗浄用処理液で処理した後、さらに純水でリンス処理を施すことにより、前記洗浄用処理液を前記SiO2膜50表面から洗い流すことができた。この後、図10の(f)に示すように前記コンタクトホール52を含む前記SiO2膜50表面にAl膜53を蒸着した。
【0140】
次いで、前記Al膜53上にレジスト膜を被覆し、このレジスト膜を写真蝕刻することによりレジストパターン54を形成した。つづいて、このレジストパターン54をマスクとして前記Al膜53を例えば塩素系の反応ガスを用いるRIEにより選択的に除去することにより、図10の(g)に示すように前記ソース、ドレイン領域47,48に前記コンタクトホール52を通して接続されるソース、ドレインの電極55、56を形成した。
【0141】
次いで、前記レジストパターン54を剥離、除去した。この時、前記ソース、ドレインの電極55、56の表面および側壁に金属、レジストに由来するポリマーおよび変質層の残渣物(図示せず)が付着された。つづいて、イソプロピルアルコール(有機溶剤)、0.2モル/Lの過硫酸アンモニウム(酸化剤)、0.02モル/Lのフッ化水素酸および硫酸(pH調整用の酸)を含み、pH値が0.20の洗浄用処理液で前記ソース、ドレインの電極55、56を含む前記SiO2膜50を処理した。このような洗浄用処理液での処理により前記前記ソース、ドレインの電極55、56の表面および側壁の残査物が除去された。また、前記洗浄用処理液で処理した後、さらに純水でリンス処理を施したが、Alからなるソース、ドレインの電極55、56が溶解されることなく前記エッチング残渣除去用水溶液を前記SiO2膜50表面から洗い流すことができた。この後、図10の(h)に示すように前記ソース、ドレインの電極55、56を含む前記SiO2膜50上に窒化シリコンのようなパッシベーション膜57を成膜した。
【0142】
この後、常法に従って薄膜トランジスタを有する液晶表示装置を製造した。
【0143】
このような本実施例4によれば、リアクティブイオンエッチング(RIE)を用いてMoWからなるゲート電極46、およびアルミニウムからなるソース、ドレインの電極55、56を形成した後処理において、そのゲート電極46、およびソース、ドレインの電極55、56のエッチングによる細り等を招くことなく、前記ゲート電極46およびソース、ドレインの電極55、56の表面および側壁に付着された金属残渣物、レジストに由来するポリマーおよび変質層を除去した信頼性の高い液晶表示装置を製造することができる。
【0144】
【発明の効果】
以上詳述したように本発明によれば、リアクティブイオンエッチング(RIE)を用いてアルミニウムのような金属からなる配線の形成後、またはCMPによる埋込み配線の形成後において、それら配線の細り等を招くことなく、前記配線の表面等に付着された金属残渣物、酸化物、レジストに由来するポリマーおよび変質層を容易に除去することが可能な洗浄用処理液を提供することができる。
【0145】
本発明によれば、リアクティブイオンエッチング(RIE)を用いてアルミニウムまたはアルミニウム合金からなる配線を形成した後の洗浄工程において、その配線の細り等を招くことなく、前記配線の表面および側壁に付着された金属残渣物、レジストに由来するポリマーおよび変質層を除去することが可能な高信頼性の電子デバイスの製造方法を提供することができる。
【0146】
本発明によれば、アルミニウムまたはアルミニウム合金からなる下地の配線と接続するためのビアフィルのビアホールをRIEを用いて絶縁膜に形成した後の洗浄工程において、その下地配線の厚さ減少等を招くことなく、前記ビアホール内面に付着されたレジストに由来するポリマーおよび変質層を除去することが可能な高信頼性の電子デバイスの製造方法を提供することができる。
【0147】
本発明によれば、タングステンを主体とするビアフィルが形成された絶縁膜にRIEを用いて前記ビアフィルとのコンタクト部でそれが露出される微細な配線を形成した後の洗浄工程において、前記露出したビアフィルのタングステンの溶解等を招くことなく、前記配線の表面および側壁に付着された金属残渣物、レジストに由来するポリマーおよび変質層を除去することが可能な高信頼性の電子デバイスの製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例1における半導体装置の製造工程を示す断面図。
【図2】本発明の実施例1における半導体装置の製造工程でのレジストパターンを剥離、除去した後のAl−Cu合金の配線を示す斜視図。
【図3】本発明の実施例1における半導体装置の製造工程でのレジストパターンを剥離、除去し、洗浄用処理液で処理した後のAl−Cu合金の配線を示す斜視図。
【図4】本発明の実施例2における半導体装置の製造工程を示す断面図。
【図5】本発明の実施例2における半導体装置の製造工程を示す断面図。
【図6】本発明の実施例3における半導体装置の製造工程を示す断面図。
【図7】本発明の実施例3における半導体装置の製造工程を示す断面図。
【図8】図7の(f)の第2層絶縁膜表面のビアフィルおよび第2層配線を示す拡大平面図。
【図9】本発明の実施例4における液晶表示装置の製造工程を示す断面図。
【図10】本発明の実施例4における液晶装置の製造工程を示す断面図。
【符号の説明】
1、11,21…シリコン基板、2…絶縁膜、3、29…配線材料層、4,15,30,45,51,54…レジストパターン、5…配線、6、17…残渣物、12、22…第1層絶縁膜、13、23…第1層配線、14,24…第2層絶縁膜、16,25…ビアホール、18、26…Ti膜、19,27…タングステン膜、20,28…ビアフィル、31…第2層配線、41…ガラス基板、42…島状のp−Si薄膜、43…SiO2薄膜(ゲート絶縁膜)、46…ゲート電極、47…ソース領域、48…ドレイン領域、55…ソース電極、56…ドレイン電極。
【発明の属する技術分野】
本発明は、洗浄用処理液および電子デバイスの製造方法に関し、詳しくは半導体装置、液晶表示装置の製造におけるリアクティブイオンエッチング(RIE)後等の処理工程に用いられる洗浄用処理液およびその処理工程を改良した電子デバイスの製造方法に係る。
【0002】
【従来の技術】
例えば、半導体装置では、金属配線としてアルミニウムまたは銅が用いられる。アルミニウム配線は、デバイスに印加される電流がアルミニウム原子の移動を引き起こす、いわゆるエレクトロマイグレーションを生じる。このエレクトロマイグレーションを防止するために配線として少量の銅を添加したアルミニウム合金が用いられている。
【0003】
また、前記配線はコンタクトホールでの電気的スパイクの発生を最小にするためにアルミニウムに少量のシリコンまたはチタン添加したアルミニウム合金が用いられている。
【0004】
ところで、前記半導体装置における金属配線は次のような種々の工程により形成されている。
【0005】
1)まず、半導体基板上の絶縁膜にアルミニウムを含む金属層を形成する。つづいて、前記金属層にレジスト膜を被覆し、このレジスト膜を露光、現像処理する、いわゆる写真蝕刻してレジストパターンを形成する。このレジストパターンをマスクとして前記金属層の露出部分をリアクティブイオンエッチング(RIE)により選択的に除去してアルミニウムを含む配線を形成する。この後、残存するレジストパターンを剥離、除去する。
【0006】
前記1)の方法によるアルミニウムを含む金属層をレジストパターンおよびRIEを用いて選択的にエッチングして金属配線を形成した後において、前記金属配線の表面および側壁に金属、レジストに由来するポリマーおよび変質層などの残渣物が付着される。このような残渣物は、半導体装置の信頼性を低下させる。このため、従来では金属配線の形成後にヒドロキシルアミンのようなアルカリ水溶液でその表面等を処理して、前記残渣物を除去することが行われている。
【0007】
しかしながら、前記配線は両性のアルミニウムを含むため、ヒドロキシルアミンのようなアルカリ水溶液下でエッチングされて、例えば配線が細って抵抗値が増大する等の問題を生じる。
【0008】
2)まず、半導体基板上の第1層絶縁膜にアルミニウムを含む金属層を形成し、この金属層にレジスト膜を被覆し、このレジスト膜を写真蝕刻してレジストパターンを形成する。このレジストパターンをマスクとして前記金属層の露出部分をRIEにより選択的に除去して第1層配線を形成する。つづいて、前記レジストパターンを剥離、除去した後、前記第1層配線を含む前記第1層絶縁膜に第2層絶縁膜を形成する。ひきつづき、前記第2層絶縁膜上にレジスト膜を被覆し、このレジスト膜を写真蝕刻してビアホール形成予定部が開口されたレジストパターンを形成し、このレジストパターンをマスクとして前記第2層絶縁膜の露出部分をRIEにより選択的に除去してボアホールを開口する。このビアホールを含む第2層絶縁膜上に導電性バリア膜、タングステンのような金属膜を堆積して少なくとも前記ビアホール内面に導電性バリア膜を形成するとともに、この導電性バリア膜が形成されたビアホール内を前記金属膜で埋め込む。この後、前記金属膜、導電性バリア膜を化学機械研磨(chemical mechanical polishing;CMP)処理を施して前記第2層絶縁膜に前記第1層配線と接続されるビアフィルを形成する。
【0009】
次いで、前記ビアフィルを含む前記第2層絶縁膜上に金属層を形成し、この金属層にレジスト膜を被覆する。このレジスト膜を写真蝕刻してレジストパターンし、このレジストパターンをマスクとして前記金属層の露出部分をリアクティブイオンエッチング(RIE)により選択的に除去することにより第2層配線を形成する。
【0010】
前記2)の方法による第2層絶縁膜をレジストパターンおよびRIEを用いて選択的にエッチングしてビアホールを形成した後において、ビアホールの内面にレジストに由来するポリマーおよびレジストと絶縁膜の材料に由来する変質層などの残渣物が付着される。これらの残渣物が残った状態で、ビアホール内面に導電性バリア膜を形成すると、この後のビアホール内への金属膜の埋め込み過程で前記導電性バリア膜が剥離して、そのバリア機能が阻害される。このため、従来ではヒドロキシルアミンのようなアルカリ水溶液でビアホール内面を処理して、前記残渣物を除去することが行われている。
【0011】
しかしながら、ビアホール底部から露出された前記第1層配線は両性のアルミニウムを含むため、ヒドロキシルアミンのようなアルカリ水溶液下でエッチングされる。その結果、例えば第1層配線の厚さが減少して抵抗値が増大したり、極端な場合には第1層配線が消失、断線したりする等の問題を生じる。
【0012】
また、前記2)の方法による第2層の金属層をレジストパターンおよびRIEを用いて選択的にエッチングして第2層配線を形成した後において、前記第2層配線の表面および側壁に金属、レジストに由来するポリマーおよび変質層などの残渣物が付着される。この残渣物は、半導体装置の信頼性を低下させる。このため、従来では第2層配線の形成後にヒドロキシルアミンのようなアルカリ水溶液でその第2層配線表面を処理して、前記残渣物を除去することが行われている。
【0013】
しかしながら、半導体装置の高集積化に伴って前記第2層配線の幅が微細化されると、前記ビアフィルは第2層配線とのコンタクト部において前記第2層配線で覆われずに露出する。このため、前記ビアフィルがタングステンを主体とする材料を有する場合、ヒドロキシルアミンのようなアルカリ水溶液での第2層配線の処理時にそのアルカリ水溶液が前記タングステン(W)を主体とする材料からなるビアフィルにも接触して溶解するという問題を生じる。このタングステンの溶解は、主に前記コンタクト部における前記アルカリ水溶液の存在下での第2層配線(例えばAl)とタングステンとの間の大きなイオン化傾向差(電位差)に起因するものである。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、リアクティブイオンエッチング(RIE)を用いてアルミニウムのような金属からなる配線の形成後、またはCMPによる埋込み配線の形成後において、それら配線の細り等を招くことなく、前記配線の表面等に付着された金属残渣物、酸化物、レジストに由来するポリマーおよび変質層を容易に除去することが可能な洗浄用処理液を提供しようとするものである。
【0015】
本発明は、リアクティブイオンエッチング(RIE)を用いてアルミニウムまたはアルミニウム合金からなる配線を形成した後の洗浄工程において、その配線の細り等を招くことなく、前記配線の表面および側壁に付着された金属残渣物、レジストに由来するポリマーおよび変質層を除去することが可能な電子デバイスの製造方法を提供しようとするものである。
【0016】
本発明は、アルミニウムまたはアルミニウム合金からなる下地の配線と接続するためのビアフィルのビアホールをRIEを用いて絶縁膜に形成した後の洗浄工程において、その下地配線の厚さ減少等を招くことなく、前記ビアホール内面に付着されたレジストに由来するポリマーおよび変質層を除去することが可能な電子デバイスの製造方法を提供しようとするものである。
【0017】
本発明は、タングステンを主体とするビアフィルが形成された絶縁膜にRIEを用いて前記ビアフィルとのコンタクト部でそれが露出される微細な配線を形成した後の洗浄工程において、前記露出したビアフィルのタングステンの溶解等を招くことなく、前記配線の表面および側壁に付着された金属残渣物、レジストに由来するポリマーおよび変質層を除去することが可能な電子デバイスの製造方法を提供しようとするものである。
【0018】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る洗浄用処理液は、有機溶剤、フッ化物含有化合物および酸化剤を含むことを特徴とするものである。
【0019】
本発明に係る洗浄用処理液において、前記有機溶剤はアミド類、ラクトン類、アルコール類、ケトン類、エーテル類、エステル類または飽和炭化水素であることが好ましい。
【0020】
本発明に係る洗浄用処理液において、前記フッ素含有化合物はフッ化水素酸またはフッ化アンモニウムであることが好ましい。前記フッ化水素酸またはフッ化アンモニウムの濃度は、5×10−5mol/L〜5×10−1mol/Lであることが好ましい。
【0021】
本発明に係る洗浄用処理液において、前記酸化剤はペルオキソ一硫酸、ペルオキソ一硫酸アンモニウム、ペルオキソ一硫酸ナトリウム、ペルオキソ一硫酸カリウム、ペルオキソ二硫酸、ペルオキソ二硫酸アンモニウム、ペルオキソ二硫酸ナトリウム、ペルオキソ二硫酸カリウムペルオキソクロム酸およびその塩、ペルオキソ錯体、ペルオキソ硝酸およびその塩、ペルオキソ炭酸およびその塩、ペルオキソチタン酸およびその塩、ペルオキソリン酸およびその塩、ペルオキソホウ酸およびその塩、過マンガン酸およびその塩、硝酸および硝酸塩、亜硝酸および亜硝酸塩、モリブデン酸およびモリブデン酸塩、クロム酸またニクロム酸およびそれらの塩、チタン酸およびその塩、オゾンから選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
【0022】
本発明に係る洗浄用処理液において、さらにpH調整剤を含むことを許容する。このpH調整剤は、硫酸、塩酸、酢酸、燐酸、シュウ酸、クエン酸またはこれらの塩であることが好ましい。
【0023】
本発明に係る洗浄用処理液において、さらに防蝕剤を含むことを許容する。この防蝕剤は、有機窒素、アミン基、S、OH、CO等の極性基を一つあるいは二つ以上有する化合物、もしくはキレートを生成する物質であることが好ましい。また、前記防蝕剤はキノリンエチオダイド、オルトおよびパラ−トリルチオ尿素、プロピルサルファイド、ジアミルアミン、ホルムアルデヒド、パラ−チオクレゾール、ベンゾトリアゾール、ポリビニルピロリドン、安息香酸およびその塩、桂皮酸およびその塩、ポリりん酸およびその塩であることが好ましい。
【0024】
本発明に係る電子デバイスの製造方法は、基板上の絶縁膜表面にアルミニウムまたはアルミニウム合金からなる配線材料層を形成する工程と、
前記配線材料層をレジストパターンをマスクとしてリアクティブイオンエッチングによりパターニングして配線を形成する工程と、
前記洗浄用処理液により前記配線を含む絶縁膜表面を処理する工程と
を含むことを特徴とするものである。
【0025】
本発明に係る別の電子デバイスの製造方法は、基板上の第1層絶縁膜表面にアルミニウムまたはアルミニウム合金からなる第1層配線を形成する工程と、
前記第1層配線を含む前記第1層絶縁膜に第2層絶縁膜を形成した後、この第2層絶縁膜をレジストパターンをマスクとしてリアクティブイオンエッチングにより前記第1層配線表面に達するビアホールを開口する工程と、
前記洗浄用処理液により前記ビアホールを含む第2層絶縁膜表面を処理する工程と、
少なくとも前記ビアホール内面に導電性バリア層を形成する工程と、
前記バリア層が内面に形成された前記ビアホール内を含む第2層絶縁膜表面に導電材料膜を形成する工程と、
前記導電材料膜および導電性バリア層を化学機械研磨により除去してビアフィルを形成する工程と
を含むことを特徴とするものである。
【0026】
本発明に係るさらに別の電子デバイスの製造方法は、基板上の絶縁膜にタングステンを主体とするビアフィルを形成する工程と、
前記ビアフィルを含む前記絶縁膜に配線材料層を形成する工程と、
前記配線材料層をレジストパターンをマスクとしてリアクティブイオンエッチングによりパターニングして前記ビアフィルとのコンタクト部においてそれより幅の狭い配線を形成する工程と、
前記洗浄用処理液により前記配線を含む絶縁膜表面を処理する工程と
を含むことを特徴とするものである。
【0027】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0028】
<第1実施形態>
本発明の洗浄用処理液は、有機溶剤、フッ化物含有化合物および酸化剤を含有する。
【0029】
本発明の洗浄用処理液における各成分の作用等を以下に説明する。
【0030】
1)有機溶剤
この有機溶剤は、配合される前記フッ化物含有化合物(例えばフッ化水素酸)の解離を防止する。すなわち、フッ化水素酸は水の存在下で下記数1の式(1)、(2)のように解離する。ただし、この解離反応は、平衡反応である。
【0031】
【数1】
【0032】
前記式(1)の解離前のHFは、金属、酸化物に対するエッチング作用が弱いものの、前記(2)式のHF2 −は金属、酸化物に対するエッチング作用が強い。このため、前記HF2 −が洗浄用処理液中に多量に存在すると、洗浄される金属配線、SiO2のような絶縁膜をエッチングする。
【0033】
このようなことから、洗浄用処理液の溶剤として有機溶剤を用いて洗浄用処理液中に前記フッ化水素酸の解離を招く水を排除して洗浄用処理液中に前記金属、酸化物に対するエッチング作用が強いHF2 −が存在するのを回避する。
【0034】
前記有機溶剤は、例えばアミド類、ラクトン類、アルコール類、ケトン類、エーテル類、エステル類などの極性有機溶媒、または飽和炭化水素などの無極性有機溶媒を挙げることができる。特に、水のリンス時に容易に洗い流せる水溶性で、かつ金属酸化物に対して除去作用を示す極性有機溶剤が好ましい。具体的にはイソプロピルアルコール、酢酸エチル等を挙げることができる。
【0035】
2)フッ素含有化合物
このフッ素含有化合物は、エッチング残渣である金属、酸化物を除去する作用を有する。
【0036】
ただし、フッ素含有化合物[例えばフッ化水素酸(HF)]は前記1)項で説明したように有機溶剤に配合されることによって、前記(1)、(2)式のように解離を防いで、金属、酸化物に対してエッチング作用の強いHF2 −の生成が防止される。このため、金属、酸化物に対するエッチング作用が弱い(緩慢な)HFの状態に止まる。
【0037】
前記フッ素含有化合物としては、例えばフッ化水素酸、フッ化水素酸アンモニウム等を挙げることができる。
【0038】
前記フッ素含有化合物は、前記洗浄用処理液中に5×10−6モル/L〜5×10−1モル/L含有されることことが好ましい。前記フッ素含有化合物の量を5×10−6モル/L未満にすると、エッチング残渣である金属、酸化物を除去することが困難になる虞がある。一方、前記フッ素含有化合物の量が5×10−1モル/Lを超えると、そのフッ素含有化合物によるエッチング作用が大きくなって、絶縁膜のエッチング除去、配線のエッチング、細りを生じる虞がある。より好ましい前記洗浄用処理液中のフッ素含有化合物の含有量は1×10−4モル/L〜1×10−2モル/Lである。
【0039】
3)酸化剤
この酸化剤は、エッチング残渣であるレジストに由来するポリマーおよび変質物などの有機物を分解除去するとともに、アルミニウムのような金属からなる配線をフッ素含有化合物によるエッチングから保護する作用を有する。
【0040】
前記酸化剤としては、例えばペルオキソ一硫酸、ペルオキソ一硫酸アンモニウム、ペルオキソ一硫酸ナトリウム、ペルオキソ一硫酸カリウム、ペルオキソ二硫酸、ペルオキソ二硫酸アンモニウム、ペルオキソ二硫酸ナトリウム、ペルオキソ二硫酸カリウムペルオキソクロム酸およびその塩、ペルオキソ錯体、ペルオキソ硝酸およびその塩、ペルオキソ炭酸およびその塩、ペルオキソチタン酸およびその塩、ペルオキソリン酸およびその塩、ペルオキソホウ酸およびその塩、過マンガン酸およびその塩、硝酸および硝酸塩、亜硝酸および亜硝酸塩、モリブデン酸およびモリブデン酸塩、クロム酸またニクロム酸およびそれらの塩、チタン酸およびその塩、オゾンから選ばれる少なくとも1種を用いることができる。中でもペルオキソ一硫酸、ペルオキソ一硫酸アンモニウム、ペルオキソ二硫酸、ペルオキソ二硫酸アンモニウムが好ましい。
【0041】
前記酸化剤は、前記洗浄用処理液中に0.01モル/L〜20モル/L含有されることが好ましい。
【0042】
前記酸化剤の量を0.01モル/L未満にすると、有機物の分解除去およびエッチングの保護作用を図ることが困難になる虞がある。一方、前記酸化剤の量が20モル/Lを超えると配線表面の酸化が過度に進行して表面の導電性を損なう虞がある。より好ましい前記洗浄用処理液中の酸化剤の含有量は0.1モル/L〜0.5モル/Lである。
【0043】
本発明の洗浄用処理液は、さらに以下に説明するpH調整用の酸および防蝕剤を含有することを許容する。
【0044】
4)pH調整用の酸
このpH調整用の酸は、本発明の洗浄用処理液で例えば半導体装置のような電子デバイスを処理した後に水(例えば純水)でリンス処理する際、前記フッ素含有化合物[例えばフッ化水素酸(HF)]の解離に伴って金属、酸化物に対するエッチング作用の強いHF2 −が生成されるのを抑制する作用を有する。
【0045】
すなわち、前記リンス処理により洗浄用処理液に水が混入されると、前述した式(1)、(2)のようにHFが水の存在したで解離して金属、酸化物に対してエッチング作用の強いHF2 −が生成され、リンス処理の初期、つまり洗浄用処理液が水で洗い流されるまでの期間、に金属、酸化物がエッチングされる。
【0046】
このようなことから、前記pH調整用の酸を配合して洗浄用処理液を強酸性にすることによって、リンス処理に水が混入された洗浄用処理液中の水素イオン(H+)濃度を高くして前記式(1)のHFの平衡反応を左側にシフト、つまりHFが多くなるようにシフトさせ、結果的に前記式(2)の平衡反応を右側にシフトするのを抑えて、水溶液中に生成されるHF2 −量を抑えて適正化することが可能になる。
【0047】
前記pH調整用の酸としては、硫酸、塩酸、酢酸、燐酸、シュウ酸、クエン酸またはこれらの塩を用いることができる。特に、硫酸が好ましい。
【0048】
前記pH調整用の酸は、前記洗浄用処理液にそのpH値が−1〜3、より好ましくはpH値が0〜1になるように配合することが望ましい。
【0049】
5)防蝕剤
この防蝕剤は、本発明の洗浄用処理液で例えば半導体装置のような電子デバイスを処理した後に水(例えば純水)でリンス処理する際、前述したようにフッ素含有化合物[例えばフッ化水素酸(HF)]の解離に伴って生成される金属、酸化物に対するエッチング作用の強いHF2 −から金属、酸化物を保護する作用を有する。
【0050】
前記防蝕剤は、有機窒素、アミン基、S、OH、CO等の極性基を一つあるいは二つ以上有する化合物、もしくはキレートを生成する物質が挙げられる。具体的には、前記防蝕剤としてはキノリンエチオダイド、オルトおよびパラ−トリルチオ尿素、プロピルサルファイド、ジアミルアミン、ホルムアルデヒド、パラ−チオクレゾール、ベンゾトリアゾール、ポリビニルピロリドン、安息香酸およびその塩、桂皮酸およびその塩、ポリりん酸およびその塩等を挙げることができる。
【0051】
本発明に係る洗浄用処理液は、20〜35℃の液温で使用することが好ましい。
【0052】
本発明に係る洗浄用処理液は、Alを基準にしてWまたはTi,TiNに対するイオン化傾向差(電位差)を小さくする作用を有する。
【0053】
以上、第1実施形態によれば半導体装置のような電子デバイスの製造での洗浄工程等への適用において、アルミニウムのような金属からなる配線のエッチングによる細り等を招くことなく、前記配線の表面等に付着された金属、金属酸化物、レジストに由来するポリマーおよび変質物などの残渣物を除去し得る洗浄用処理液を提供できる。
【0054】
すなわち、本発明に係る洗浄用処理液は有機溶剤、フッ化物含有化合物および酸化剤を含むため、半導体装置のような電子デバイスの製造での洗浄工程に適用すると、前記有機溶剤の洗浄作用により金属酸化物を除去することができ、かつ前記酸化剤の酸化作用によりレジストに由来するポリマーおよび変質物を除去することができる。
【0055】
また、前記洗浄用処理液中のフッ素含有化合物(例えばフッ化水素酸)によって、前記配線の表面等に付着された残渣物である金属、金属酸化物を除去することができる。このとき、前記洗浄用処理液の溶剤として有機溶剤を用いて水フリーにすることによって、前記式(1)、(2)に示す水の存在下で生じるフッ化物含有化合物(例えばフッ化水素酸)の解離を防止することができる。その結果、前記洗浄用処理液中のフッ素含有化合物(例えばフッ化水素酸)からのエッチング力の強いHF2 −の生成を防ぐことができるため、エッチング力が緩慢なHFのみにより例えば金属からなる配線、酸化物からなる絶縁膜のエッチングを抑えつつ、金属残渣物を効率よく除去することができる。
【0056】
前記洗浄用処理液による処理時において、アルミニウムのような金属からなる配線もその処理液に曝され、同処理液中のフッ素含有化合物(例えばフッ化水素酸)によるエッチング作用を受ける。このとき、酸化剤の酸化作用により前記配線表面等が前記フッ化水素酸から保護されるとともに、前述したようにフッ化水素酸からの解離によるエッチング力の強いHF2 −の生成を防いでエッチング力の緩慢なHFに止めるため、前記配線がエッチングされて細る等の不都合さを解消することができる。
【0057】
特に、5×10−6モル/L〜5×10−1モル/Lのフッ素含有化合物および0.01モル/L〜20モル/Lの酸化剤を含む洗浄用処理液は、前記配線をエッチングすることなく、前記配線の表面等に付着された金属、金属酸化物等の残渣物をより確実に除去することができる。
【0058】
さらに、pH調整用の酸を配合した洗浄用処理液によれば例えば半導体装置のような電子デバイスを処理した後に水(例えば純水)でリンス処理する際、前記フッ素含有化合物[例えばフッ化水素酸(HF)]の解離に伴って金属、酸化物に対するエッチング作用の強いHF2 −が生成されるのを抑制できる。その結果、金属からなる配線がエッチングされることなく、前記洗浄用処理液を洗い流すことが可能になる。
【0059】
さらに、防蝕剤を配合した洗浄用処理液によれば例えば半導体装置のような電子デバイスを処理した後に水(例えば純水)でリンス処理する際、前述したようにフッ素含有化合物[例えばフッ化水素酸(HF)]の解離に伴って生成される金属、酸化物に対するエッチング作用の強いHF2 −から金属、酸化物を保護することができる。その結果、金属からなる配線がエッチングされることなく、前記洗浄用処理液を洗い流すことが可能になる。
【0060】
さらに、pH調整用の酸および防蝕剤を配合した洗浄用処理液によれば金属からなる配線のエッチングをより確実に防止しつつ、前記洗浄用処理液を洗い流すことが可能になる。
【0061】
<第2実施形態>
(第1工程)
基板上の絶縁膜にアルミニウムまたはアルミニウム合金からなる配線材料層を形成する。
【0062】
前記基板としては、例えば製造する電子デバイスが半導体装置である場合、シリコンのような半導体基板、製造する電子デバイスが液晶表示装置である場合、ガラス基板を用いることができる。
【0063】
前記絶縁膜としては、例えばシリコン酸化膜、ボロン添加ガラス膜(BPSG膜)、リン添加ガラス膜(PSG膜)等を用いることができる。また、前記絶縁膜としては、例えばSiOF、有機スピンオングラス、ポリイミド、フッ素添加ポリイミド、ポリテトラフルオロエチレン、フッ化ポリアリルエーテル、フッ素添加パレリン等の比誘電率が3.5以下の絶縁材料からなる膜を用いることができる。
【0064】
前記アルミニウム合金としては、例えばAl−Si合金,Al−Cu合金,Al−Cu−Si合金等を用いることができる。
【0065】
(第2工程)
前記配線材料層上にレジスト膜を被覆し、このレジスト膜を露光、現像処理する、いわゆる写真蝕刻してレジストパターンを形成する。つづいて、このレジストパターンをマスクとして前記配線材料層の露出部分を例えば塩素系、フッ素系の反応ガスを用いるリアクティブイオンエッチング(RIE)により選択的に除去してアルミニウムまたはアルミニウム合金からなる配線を形成する。この後、残存するレジストパターンを例えばアッシング処理等により剥離、除去する。
【0066】
(第3工程)
第1実施形態で説明した洗浄用処理液により前記配線を含む絶縁膜表面を処理する。
【0067】
なお、前述した第2実施形態の電子デバイスの製造において、前記洗浄用処理液での処理後、さらに水、例えば純水でリンス処理することを許容する。
【0068】
以上、第2実施形態によれば基板上の絶縁膜表面にアルミニウムまたはアルミニウム合金からなる配線材料層を形成し、この配線材料層をレジストパターンおよびリアクティブイオンエッチング(RIE)を用いてパターニングして配線を形成した後、第1実施形態で説明した洗浄用処理液で処理することによって、前記アルミニウムまたはアルミニウム合金からなる配線のエッチングによる細り等を招くことなく、RIEにおいて前記配線の表面および側壁に付着された金属、レジストに由来するポリマーおよび変質層などの残渣物を除去することができる。
【0069】
すなわち、洗浄用処理液による処理時において有機溶剤の洗浄作用により金属酸化物を除去することができ、かつ酸化剤の酸化作用によりレジストに由来するポリマーおよび変質層を除去することができる。
【0070】
また、前記洗浄用処理液中のフッ素含有化合物(例えばフッ化水素酸)によって、前記アルミニウムまたはアルミニウム合金からなる配線の表面、側壁に付着された残渣物である金属、金属酸化物を除去することができる。このとき、前記洗浄用処理液の溶剤として有機溶剤を用いて水フリーにすることによって、前記式(1)、(2)に示す水の存在下で生じるフッ化物含有化合物(例えばフッ化水素酸)の解離を防止することができる。その結果、前記洗浄用処理液中のフッ素含有化合物(例えばフッ化水素酸)からのエッチング力の強いHF2 −の生成を防ぐことができるため、エッチング力が緩慢なHFのみによりアルミニウムまたはアルミニウム合金からなる配線、酸化物からなる絶縁膜のエッチングを抑えつつ、金属残渣物を効率よく除去することができる。
【0071】
前記洗浄用処理液による処理時において、アルミニウムまたはアルミニウム合金からなる配線もその処理液に曝され、同洗浄用処理液中のフッ素含有化合物(例えばフッ化水素酸)によるエッチング作用を受ける。このとき、酸化剤の酸化作用により前記アルミニウムまたはアルミニウム合金からなる配線表面および側壁が前記フッ化水素酸から保護されるとともに、前述したようにフッ化水素酸からの解離によるエッチング力の強いHF2 −の生成を防いでエッチング力の緩慢なHFに止めるため、前記配線がエッチングされて細る等の不都合さを解消することができる。
【0072】
なお、前記酸化剤による酸化作用を受けた前記アルミニウムまたはアルミニウム合金からなる配線は、その表面等において十分に高い電気導電性を示す。
【0073】
したがって、第2実施形態によれば第1実施形態で説明した洗浄用処理液で配線形成後に処理すことによって、アルミニウムまたはアルミニウム合金からなる配線のエッチングによる細り等を招くことなく、RIEにおいて前記配線の表面および側壁に付着された金属、金属酸化物、レジストに由来するポリマーおよび変質層などの残渣物を除去することができる。
【0074】
特に、5×10−6モル/L〜5×10−1モル/Lのフッ素含有化合物および0.01モル/L〜20モル/Lの酸化剤を含む洗浄用処理液で処理することによって、前記配線をエッチングすることなく、前記配線の表面および側壁に付着された残渣物をより確実に除去することができる。
【0075】
その結果、前記配線が設計した抵抗値に維持され、かつ信頼性が向上された電子デバイスを製造することができる。
【0076】
また、pH調整用の酸、防蝕剤から選ばれる少なくとも1つの成分をさらに配合した洗浄用処理液で処理した後、例えば純水のような水でリンス処理を施すことによって、前記配線がエッチングされることなく前記洗浄用処理液を前記絶縁膜表面から洗い流すことができる。
【0077】
すなわち、従来のヒドロキシアミン水溶液のようなアルカリ水溶液でアルミニウムまたはアルミニウム合金からなる配線を処理した後、純水によりリンス処理すると、アルカリ水溶液が純水で希釈される過程で前記配線のエッチングが急激に進行する。これに対し、本発明で使用する洗浄用処理液は前記リンス処理時における水の混入過程で前記配線がエッチングされるのを防止できる。
【0078】
<第3実施形態>
(第1工程)
基板上の第1層絶縁膜表面にアルミニウムまたはアルミニウム合金からなる配線材料層を形成する。つづいて、この配線材料層にレジスト膜を被覆し、このレジスト膜を写真蝕刻してレジストパターンを形成する。このレジストパターンをマスクとして前記配線材料層の露出部分をエッチングにより選択的に除去することにより第1層配線を形成する。
【0079】
前記基板、前記絶縁膜および前記アルミニウム合金としては、第2実施形態で説明したのと同様なものを用いることができる。
【0080】
(第2工程)
前記レジストパターンを例えばアッシング処理等により剥離、除去した後、前記第1層配線を含む前記第1層絶縁膜上に第2層絶縁膜を形成する。ひきつづき、第2層絶縁膜上にレジスト膜を被覆し、このレジスト膜を写真蝕刻してビアホール形成予定部が開口されたレジストパターンを形成し、このレジストパターンをマスクとして前記第2層絶縁膜の露出部分をリアクティブイオンエッチング(RIE)により選択的に除去してビアホールを開口する。
【0081】
前記絶縁膜としては、第2実施形態で説明したのと同様なものを用いることができる。
【0082】
(第3工程)
第1実施形態で説明した洗浄用処理液により前記ビアホールを含む前記第2層絶縁膜表面を処理する。
【0083】
(第4工程)
前記ビアホールを含む第2層絶縁膜上に導電性バリア膜、金属膜を堆積して少なくとも前記ビアホール内面に導電性バリア膜を形成するとともに、この導電性バリア膜が形成されたビアホール内を前記金属膜を埋め込む。この後、前記金属膜、導電性バリア膜を化学機械研磨(CMP)処理を施して前記第2層絶縁膜に前記第1層配線と接続されるビアフィルを形成する。
【0084】
前記導電性バリア膜は、例えばTa,TaN、Ti,TiNから選ばれる1層または2層以上から作られる。
【0085】
前記金属膜としては、例えばタングステン膜、Cu膜、Cu−Si合金、Cu−Al合金、Cu−Si−Al合金、Cu−Ag合金などのCu合金膜等を用いることができる。
【0086】
なお、前述した第3実施形態の電子デバイスの製造において、前記洗浄用処理液での処理後、さらに水、例えば純水でリンス処理することを許容する。
【0087】
以上、第3実施形態によれば基板上の第1層絶縁膜表面にアルミニウムまたはアルミニウム合金からなる第1層配線を形成し、この第1層配線を含む前記第1層絶縁膜に第2層絶縁膜を形成し、さらにこの第2層絶縁膜をレジストパターンをマスクとしてリアクティブイオンエッチングにより前記第1層配線表面に達するビアホールを開口した後、ペルオキソ硫酸塩、フッ素含有化合物およびpH調整用の酸を含み、pH値が−1〜3である洗浄用処理液で処理することによって、前記ビアホール底部から露出したアルミニウムまたはアルミニウム合金からなる第1層配線の厚さ減少等を招くことなく、RIEにおいて前記ビアホール内面に付着されたレジストに由来するポリマーおよびレジストと絶縁膜の材料に由来する変質層などの残渣物を除去することができる。
【0088】
すなわち、洗浄用処理液による処理時において酸化剤の酸化作用とフッ素含有化合物(例えばフッ化水素酸)とによって、前記ビアホール内面に付着されたレジストに由来するポリマーおよびレジストと絶縁膜の材料に由来する変質層などの残渣物を除去することができる。このとき、前記洗浄用処理液の溶剤として有機溶剤を用いて水フリーにすることによって、前記式(1)、(2)に示す水の存在下で生じるフッ化物含有化合物(例えばフッ化水素酸)の解離を防止することができる。その結果、前記洗浄用処理液中のフッ素含有化合物(例えばフッ化水素酸)からのエッチング力の強いHF2 −の生成を防ぐことができるため、エッチング力が緩慢なHFのみにより例えば酸化物からなる第2層絶縁膜のエッチングを抑えつつ、微細な前記ビアホール内面に付着した残渣物を効率よく除去することができる。
【0089】
前記洗浄用処理液による処理時において、前記ビアホールから露出するアルミニウムまたはアルミニウム合金からなる第1層配線もその処理液に曝され、同洗浄用処理液中のフッ素含有化合物(例えばフッ化水素酸)によるエッチング作用を受ける。このとき、酸化剤の酸化作用により前記アルミニウムまたはアルミニウム合金からなる配線表面および側壁が前記フッ化水素酸から保護されるとともに、前述したようにフッ化水素酸からの解離によるエッチング力の強いHF2 −の生成を防いでエッチング力の緩慢なHFに止めるため、前記配線がエッチングされて細る等の不都合さを解消することができる。
【0090】
したがって、第3実施形態によれば前記組成を有する洗浄用処理液で前記ビアホールを開口した後に処理することによって、前記ビアホール底部から露出したアルミニウムまたはアルミニウム合金からなる第1層配線のエッチングによる厚さ減少等を招くことなく、RIEにおいて前記ビアホール内面に付着された残渣物を除去することができる。
【0091】
特に、5×10−6モル/L〜5×10−1モル/Lのフッ素含有化合物および0.01モル/L〜20モル/Lの酸化剤を含む洗浄用処理液で処理することによって、前記ビアホールから露出した第1層配線をエッチングすることなく、前記ビアホール内面に付着された残渣物をより確実に除去することができる。
【0092】
このような内面が清浄化されたビアホールを含む第2層絶縁膜上に導電性バリア膜を堆積し、金属膜を埋め込む際、前記導電性バリア膜が剥離されるのを防止することができる。その結果、前記金属膜、導電性バリア膜を化学機械研磨(CMP)処理を施すことによって、前記第2層絶縁膜に前記第1層配線と接続される信頼性の高いビアフィルを有する電子デバイスを製造することができる。
【0093】
また、前記酸化剤による酸化作用を受けた前記アルミニウムまたはアルミニウム合金からなる第1層配線は、ビアホールから露出した表面において十分に高い電気導電性を示すため、前記ビアフィルの形成後においてこのビアフィルと良好にオーミックコンタクトを取ることができる。
【0094】
また、pH調整用の酸、防蝕剤から選ばれる少なくとも1つの成分をさらに配合した洗浄用処理液で処理した後、例えば純水のような水でリンス処理を施すことによって、前記ビアホールから露出する第1層配線がその水溶液の希釈過程でエッチングされることなく前記洗浄用処理液を前記第2層絶縁膜表面から洗い流すことができる。
【0095】
<第4実施形態>
(第1工程)
基板上の絶縁膜にレジスト膜を被覆し、このレジスト膜を写真蝕刻してビアホール形成予定部が開口されたレジストパターンを形成し、このレジストパターンをマスクとして前記絶縁膜の露出部分をエッチングにより選択的に除去してボアホールを開口する。つづいて、前記ビアホールを含む絶縁膜上に導電性バリア膜、タングステン膜を堆積して少なくとも前記ビアホール内面に導電性バリア膜を形成するとともに、この導電性バリア膜が形成されたビアホール内を前記タングステン膜を埋め込む。この後、前記タングステン膜、導電性バリア膜を化学機械研磨(CMP)処理を施して前記絶縁膜にビアフィルを形成する。
【0096】
前記基板および前記絶縁膜としては、第2実施形態で説明したのと同様なものを用いることができる。
【0097】
前記導電性バリア膜としては、第3実施形態で説明したのと同様なものを用いることができる。
【0098】
前記ビアフィルは、基板(半導体基板)のソース領域、ドレイン領域のような拡散層に対応する絶縁膜に形成しても、第1層、第2層の配線間、または第2層、第3層の配線間に位置する絶縁膜に形成してもよい。
【0099】
(第2工程)
前記ビアフィルを含む前記絶縁膜に配線材料層を形成した後、この配線材料層をレジストパターンをマスクとしてリアクティブイオンエッチングによりパターニングして前記ビアフィルとのコンタクト部においてそれより幅の狭い配線を形成する。この後、前記レジストパターンを例えばアッシング処理等により剥離、除去する。
【0100】
前記配線材料層としては、例えばアルミニウムまたはアルミニウム合金、Ti,TiN,Mo,Mo合金、W,W合金等から作られる。
【0101】
(第3工程)
第1実施形態で説明した洗浄用処理液により前記配線を含む絶縁膜表面を処理する。
【0102】
なお、前述した第4実施形態の電子デバイスの製造において、前記洗浄用処理液での処理後、さらに水、例えば純水でリンス処理することを許容する。
【0103】
以上、第4実施形態によれば基板上の絶縁膜にタングステンを主体とするビアフィルを形成し、このビアフィルを含む前記絶縁膜に配線材料層を形成し、さらにこの配線材料層をレジストパターンをマスクとしてリアクティブイオンエッチングによりパターニングして前記ビアフィルとのコンタクト部においてそれより幅の狭い配線を形成した後、第1実施形態で説明した洗浄用処理液により前記配線を含む絶縁膜表面を処理することによって、前記配線から露出するビアフィルのタングステンが溶解されることなく、RIEにおいて前記配線の表面および側壁に付着された金属、レジストに由来するポリマーおよび変質層などの残渣物を除去することができる。
【0104】
すなわち、洗浄用処理液による処理時において有機溶剤の洗浄作用により金属酸化物を除去することができ、かつ酸化剤の酸化作用によりレジストに由来するポリマーおよび変質層を除去することができる。
【0105】
また、前記洗浄用処理液中のフッ素含有化合物(例えばフッ化水素酸)によって、前記配線の表面および側壁に付着された金属残渣物を除去することができる。このとき、前記洗浄用処理液の溶剤として有機溶剤を用いて水フリーにすることによって、前記式(1)、(2)に示す水の存在下で生じるフッ化物含有化合物(例えばフッ化水素酸)の解離を防止することができる。その結果、前記洗浄用処理液中のフッ素含有化合物(例えばフッ化水素酸)からのエッチング力の強いHF2 −の生成を防ぐことができるため、エッチング力が緩慢なHFのみにより例えば酸化物からなる絶縁膜のエッチングを抑えつつ、残渣物である金属を効率よく除去することができる。
【0106】
前記洗浄用処理液による処理時において、露出するビアフィルのタングステン(W)もその処理液に曝される。前記洗浄用処理液は、既述したようにAlを基準にしてWまたはTi,TiNに対するイオン化傾向差(電位差)を小さくする作用を有するため、露出した前記ビアフィルのWが配線(例えばAl系配線)とのコンタクト部において溶解する等の不都合さを解消することができる。
【0107】
したがって、第4実施形態によれば第1実施形態で説明した洗浄用処理液で配線形成後に処理することによって、前記配線から露出するビアフィルのタングステンが溶解されることなく、RIEにおいて前記配線の表面および側壁に付着された金属、レジストに由来するポリマーおよび変質層などの残渣物を除去することができる。
【0108】
特に、5×10−6モル/L〜5×10−1モル/Lのフッ素含有化合物および0.01モル/L〜20モル/Lの酸化剤を含む洗浄用処理液で処理することによって、前記配線から露出するビアフィルのタングステンの溶解をより確実に防止できるとともに、前記配線の表面および側壁に付着された残渣物を除去することができる。
【0109】
その結果、前記ビアフィルに対して前記配線が良好に接続され、かつ信頼性が向上された電子デバイスを製造することができる。
【0110】
また、pH調整用の酸、防蝕剤から選ばれる少なくとも1つの成分をさらに配合した洗浄用処理液で処理した後、例えば純水のような水でリンス処理を施すことによって、その処理液に水が混入する過程でイオン傾向差が大きくならないため、前記配線が露出するビアフィルのタングステンが溶解されることなく、前記洗浄用処理液を前記絶縁膜表面から洗い流すことができる。
【0111】
【実施例】
以下、本発明の実施例を図面を参照して詳細に説明する。
【0112】
(実施例1)
まず、図1の(a)に示すようにソース領域、ドレイン領域のような拡散層(図示せず)が形成されたシリコン基板1上に例えばSiO2からなる絶縁膜2をCVD法により形成した後、Al−Cu合金からなる配線材料層3を形成した。つづいて、図1の(b)に示すように前記配線材料層3上にレジスト膜を被覆し、このレジスト膜を露光、現像処理する、いわゆる写真蝕刻してレジストパターン4を形成した。ひきつづき、図1の(c)に示すようにこのレジストパターン4をマスクとして前記配線材料層3の露出部分を例えばフッ素系の反応ガスを用いるリアクティブイオンエッチング(RIE)により選択的に除去してAl−Siからなる配線5を形成した。
【0113】
次いで、前記レジストパターン4を除去した。この時、図2に示すように前記配線5の表面および側壁に金属、レジストに由来するポリマーおよび変質層などの残渣物6が付着された。つづいて、イソプロピルアルコール(有機溶剤)、0.2モル/Lの過硫酸アンモニウム(酸化剤)、0.02モル/Lのフッ化水素酸および硫酸(pH調整用の酸)を含み、pH値が0.20の洗浄用処理液で前記配線5を含む前記絶縁膜2を処理した。
【0114】
このような洗浄用処理液での処理により図3に示すように前記配線5の表面および側壁の残査物6が除去された。また、前記配線5はエッチングによる孔明き、細りが全く認められなかった。
【0115】
また、前記洗浄用処理液で処理した後、さらに純水でリンス処理を施したが、Al−Cu合金からなる配線5がエッチングされることなく前記洗浄用処理液を前記絶縁膜2表面から洗い流すことができた。
【0116】
この後、常法に従って半導体装置を製造した。
【0117】
(比較例1)
洗浄用処理液の代わりに10wt%のヒドロキシアミン水溶液を用いて実施例1と同様に配線を含む絶縁膜を処理した。その結果、前記配線の表面および側壁の残査物を除去できたものの、Al−Cu合金の配線がヒドロキシアミン水溶液でエッチングされて細ってしまった。
【0118】
また、ヒドロキシアミン水溶液での処理後、さらに純水でリンス処理を施してヒドロキシアミン水溶液を洗い流したところ、前記Al−Cu合金からなる配線のエッチングがさらに急激に進行した。
【0119】
(実施例2)
まず、図4の(a)に示すようにソース領域、ドレイン領域のような拡散層(図示せず)が形成されたシリコン基板11上に例えばSiO2からなる第1層絶縁膜12をCVD法により形成した後、Al−Cu合金からなる配線材料層を形成した。つづいて、この配線材料層にレジスト膜を被覆し、このレジスト膜を写真蝕刻してレジストパターンを形成した後、このレジストパターンをマスクとして前記配線材料層の露出部分をエッチングにより選択的に除去することにより第1層配線13を形成した。前記レジストパターンを剥離、除去した後、前記第1層配線13を含む前記第1層絶縁膜12上にSiO2からなる第2層絶縁膜14をCVD法により形成した。
【0120】
次いで、図4の(b)に示すように前記第2層絶縁膜14上にレジスト膜を被覆し、このレジスト膜を写真蝕刻してビアホール形成予定部が開口されたレジストパターン15を形成し、このレジストパターンをマスクとして前記第2層絶縁膜14の露出部分を例えばフッ素系の反応ガスを用いるRIEにより選択的に除去してビアホール16を開口した。つづいて、前記レジストパターン15を除去した。このとき、図4の(C)に示すように前記ビアホール16内面にレジストに由来するポリマーおよびレジストと絶縁膜の材料に由来する変質層などの残渣物17が付着された。
【0121】
次いで、イソプロピルアルコール(有機溶剤)、0.2モル/Lの過硫酸アンモニウム(酸化剤)、0.02モル/Lのフッ化水素酸および硫酸(pH調整用の酸)を含み、pH値が0.20の洗浄用処理液で前記ビアホール16を含む前記第2層絶縁膜14を処理した。このような洗浄用処理液での処理により図5の(d)に示すように前記ビアホール16内面に付着された残査物17が除去された。また、前記ビアホール16から露出するAl−Cu合金からなる第1層配線13のエッチングによる膜厚減少は全く認められなかった。つづいて、純水でリンス処理を施した。このとき、Al−Cu合金からなる第1層配線13がエッチングされることなく前記洗浄用処理液を前記第2層絶縁膜14表面から洗い流すことができた。
【0122】
次いで、図5の(e)に示すように前記ビアホール16を含む第2層絶縁膜14上に導電性バリア膜であるTi膜およびタングスタン膜を堆積して前記ビアホール16内面にTi膜18を形成するとともに、このTi膜18が形成されたビアホール16内を前記タングステン膜19で埋め込んだ。この後、前記タングステン膜19、Ti膜18を化学機械研磨(CMP)処理を施すことにより図5の(f)に示すように前記第2層絶縁膜14に前記第1層配線13と接続されるビアフィル20を形成した。
【0123】
形成されたビアフィル20は、Ti膜18の部分的な剥離がなく、第1層配線13と低抵抗接続されていた。
【0124】
この後、常法に従って半導体装置を製造した。
【0125】
(比較例2)
洗浄用処理液の代わりに10wt%のヒドロキシアミン水溶液を用いて実施例2と同様にビアホールを含む第2層絶縁膜を処理した。その結果、前記ビアホール内面に付着した残査物を除去できたものの、前記ビアホールから露出したAl−Cu合金の第1層配線がヒドロキシアミン水溶液でエッチングされて膜厚減少が生じた。また、ヒドロキシアミン水溶液での処理後、さらに純水でリンス処理を施してヒドロキシアミン水溶液を洗い流したところ、前記Al−Cu合金からなる第1層配線のエッチングがさらに急激に進行した。
【0126】
(実施例3)
まず、図6の(a)に示すようにソース領域、ドレイン領域のような拡散層(図示せず)が形成されたシリコン基板21上に例えばSiO2からなる第1層絶縁膜22をCVD法により形成した後、例えばAl−Cu合金からなる配線材料層を形成した。つづいて、この配線材料層にレジスト膜を被覆し、このレジスト膜を写真蝕刻してレジストパターンを形成した後、このレジストパターンをマスクとして前記配線材料層の露出部分をエッチングにより選択的に除去することにより第1層配線23を形成した。前記レジストパターンを剥離、除去した後、前記第1層配線23を含む前記第1層絶縁膜22上にSiO2からなる第2層絶縁膜24をCVD法により形成した。ひきつづき、前記第2層絶縁膜24上にレジスト膜を被覆し、このレジスト膜を写真蝕刻してビアホール形成予定部が開口されたレジストパターンを形成し、このレジストパターンをマスクとして前記第2層絶縁膜24の露出部分を例えばフッ素系の反応ガスを用いるRIEにより選択的に除去してビアホール25を開口した。
【0127】
次いで、図6の(b)に示すように前記ビアホール25を含む第2層絶縁膜24上に導電性バリア膜であるTi膜およびタングスタン膜を堆積して前記ビアホール25内面にTi膜26を形成するとともに、このTi膜26が形成されたビアホール25内を前記タングステン膜27で埋め込んだ。この後、前記タングステン膜27、Ti膜26を化学機械研磨(CMP)処理を施すことにより、図6の(c)に示すように前記第2層絶縁膜24に前記第1層配線23と接続されるビアフィル28を形成した。
【0128】
次いで、図7の(d)に示すように前記ビアフィル28を含む前記第2層絶縁膜24上に例えばAl−Cu合金からなる配線材料層29を形成した。つづいて、図7の(e)に示すようにこの配線材料層29上にレジスト膜を被覆し、このレジスト膜を写真蝕刻してレジストパターン30を形成した後、このレジストパターン30をマスクとして前記配線材料層29の露出部分を例えばフッ素系の反応ガスを用いるRIEにより選択的に除去し、さらに図7の(f)および図8に示すようにレジストパターン30を剥離、除去することにより前記ビアフィル28とのコンタクト部においてそのビアフィル28より幅の狭い第2層配線31を形成した。つまり、前記ビアフィル28は前記第2層配線31とのコンタクト部においてその配線31の両側から露出した。この時、前記第2層配線31の表面および側壁に金属、レジストに由来するポリマーおよび変質層の残渣物(図示せず)が付着された。
【0129】
次いで、イソプロピルアルコール(有機溶剤)、0.2モル/Lの過硫酸アンモニウム(酸化剤)、0.02モル/Lのフッ化水素酸および硫酸(pH調整用の酸)を含み、pH値が0.20の洗浄用処理液で前記第2層配線31を含む前記第2層絶縁膜24を処理した。なお、この洗浄用処理液はイオン化傾向に相関するAl−W間の電位差が0.2V、Al−Ti間の電位差が0.35Vを示した。
【0130】
このような洗浄用処理液での処理により前記第2層配線31の表面および側壁の残査物が除去された。また、前記第2層配線31両側から露出した前記ビアフィル28のタングステンは前記洗浄用処理液との接触による溶解は全く認められなかった。さらに、Al−Cu合金からなる第2層配線31も洗浄用処理液との接触による孔明き、細りは全く認められなかった。
【0131】
また、前記洗浄用処理液で処理した後、さらに純水でリンス処理を施したが、露出した前記ビアフィル28のタングステンが溶解されることなく前記洗浄用処理液を前記第2層絶縁膜24表面から洗い流すことができた。
【0132】
この後、常法に従って半導体装置を製造した。
【0133】
(比較例3)
洗浄用処理液の代わりに10wt%のヒドロキシアミン水溶液を用いて実施例3と同様に第2層配線および露出したビアフィルを含む第2層絶縁膜を処理した。その結果、前記第2層配線の表面および側壁の残査物を除去できたものの、前記第2層配線両側から露出したビアフィルのタングステンがヒドロキシアミン水溶液との接触で溶解され、Al−Cu合金の第2層配線もエッチングされて細ってしまった。
【0134】
また、ヒドロキシアミン水溶液での処理後、さらに純水でリンス処理を施してヒドロキシアミン水溶液を洗い流したところ、前記露出したビアフィルのタングステンの溶解、Al−Cu合金からなる第2層配線のエッチングがさらに急激に進行した。
【0135】
(実施例4)
まず、ガラス基板41上に基板温度420℃の条件下で減圧CVD法により厚さ50nmの非晶質シリコン(a−Si)薄膜を堆積した。つづいて、TFTの閾値制御を目的として前記a−Si膜に不純物(例えばボロン)をドーピングした。ひきつづき、ボロンドープa−Si膜にエキシマレーザアニールを施して結晶化させることによりボロンドープ多結晶シリコン(p−Si)薄膜とした。なお、このエキシマレーザアニールに代えてランプアニールを施してもよい。前記p−Si薄膜表面にレジスト膜を被覆し、このレジスト膜を写真蝕刻することによりレジストパターン(図示せず)を形成した。このレジストパターンをマスクとしてCF4およびO2ガスを用いたCDE(Chemical Dry Etching)により前記p−Si薄膜を選択的に除去することにより島状のp−Si薄膜42を形成した。前記レジストパターンを灰化して除去した後、島状のp−Si薄膜22を含むガラス基板21上にTEOSを原料ガスとして用いた減圧プラズマCVD法により厚さ200nmのゲート絶縁膜としてのSiO2薄膜43を堆積した。ひきつづき、このSiO2薄膜43上にMoW膜44を成膜した。このMoW膜44上にレジスト膜を被覆し、このレジスト膜を写真蝕刻することにより図9の(a)に示すようにレジストパターン45を形成した。
【0136】
次いで、図9の(b)に示すように前記レジストパターン45をマスクとして前記MoW膜44を例えば酸素およびフッ素系の反応ガスを用いるRIEにより選択的に除去してゲート電極46を形成した。
【0137】
次いで、前記レジストパターン45を剥離、除去した。この時、前記ゲート電極46の表面および側壁に金属、レジストに由来するポリマーおよび変質層の残渣物(図示せず)が付着された。つづいて、イソプロピルアルコール(有機溶剤)、0.2モル/Lの過硫酸アンモニウム(酸化剤)、0.02モル/Lのフッ化水素酸および硫酸(pH調整用の酸)を含み、pH値が0.20の洗浄用処理液で前記ゲート電極46を含む前記SiO2薄膜43を処理した。このような洗浄用処理液での処理により図9の(C)に示すように前記ゲート電極46の表面および側壁の残査物が除去された。また、前記エッチング残渣除去用水溶液で処理した後、さらに純水でリンス処理を施したが、MoWからなるゲート電極46が溶解されることなく前記洗浄用処理液を前記第2層絶縁膜24表面から洗い流すことができた。この後、ゲート電極46をマスクとして不純物、例えばリンを前記島状のp−Si薄膜42に選択的にドーピングして島状のp−Si薄膜22にn+型のソース、ドレイン領域47,48およびp型チャンネル領域49を形成した。
【0138】
次いで、図9の(d)に示すように全面に減圧CVD法により層間絶縁膜としてのSiO2膜50を堆積した。つづいて、前記SiO2膜50上にレジスト膜を被覆し、このレジスト膜を写真蝕刻することによりコンタクトホール予定部が開口されたレジストパターン51を形成した。ひきつづき、このレジストパターン51をマスクとして前記SiO2膜50およびSiO2薄膜43を例えばフッ素系の反応ガスを用いるRIEにより選択的に除去することにより、図10の(e)に示すように底部が前記ソース、ドレイン領域47,48にそれぞれ達するコンタクトホール52を開口した。
【0139】
次いで、前記レジストパターン51を剥離、除去した。この時、コンタクトホール52の内側壁にレジストに由来するポリマーおよび変質層の残渣物(図示せず)が付着された。つづいて、イソプロピルアルコール(有機溶剤)、0.2モル/Lの過硫酸アンモニウム(酸化剤)、0.02モル/Lのフッ化水素酸および硫酸(pH調整用の酸)を含み、pH値が0.20の洗浄用処理液で前記コンタクトホール52を含む前記SiO2膜50を処理した。このような洗浄用処理液での処理により前記コンタクトホール52の内側壁の残査物が除去された。また、前記洗浄用処理液で処理した後、さらに純水でリンス処理を施すことにより、前記洗浄用処理液を前記SiO2膜50表面から洗い流すことができた。この後、図10の(f)に示すように前記コンタクトホール52を含む前記SiO2膜50表面にAl膜53を蒸着した。
【0140】
次いで、前記Al膜53上にレジスト膜を被覆し、このレジスト膜を写真蝕刻することによりレジストパターン54を形成した。つづいて、このレジストパターン54をマスクとして前記Al膜53を例えば塩素系の反応ガスを用いるRIEにより選択的に除去することにより、図10の(g)に示すように前記ソース、ドレイン領域47,48に前記コンタクトホール52を通して接続されるソース、ドレインの電極55、56を形成した。
【0141】
次いで、前記レジストパターン54を剥離、除去した。この時、前記ソース、ドレインの電極55、56の表面および側壁に金属、レジストに由来するポリマーおよび変質層の残渣物(図示せず)が付着された。つづいて、イソプロピルアルコール(有機溶剤)、0.2モル/Lの過硫酸アンモニウム(酸化剤)、0.02モル/Lのフッ化水素酸および硫酸(pH調整用の酸)を含み、pH値が0.20の洗浄用処理液で前記ソース、ドレインの電極55、56を含む前記SiO2膜50を処理した。このような洗浄用処理液での処理により前記前記ソース、ドレインの電極55、56の表面および側壁の残査物が除去された。また、前記洗浄用処理液で処理した後、さらに純水でリンス処理を施したが、Alからなるソース、ドレインの電極55、56が溶解されることなく前記エッチング残渣除去用水溶液を前記SiO2膜50表面から洗い流すことができた。この後、図10の(h)に示すように前記ソース、ドレインの電極55、56を含む前記SiO2膜50上に窒化シリコンのようなパッシベーション膜57を成膜した。
【0142】
この後、常法に従って薄膜トランジスタを有する液晶表示装置を製造した。
【0143】
このような本実施例4によれば、リアクティブイオンエッチング(RIE)を用いてMoWからなるゲート電極46、およびアルミニウムからなるソース、ドレインの電極55、56を形成した後処理において、そのゲート電極46、およびソース、ドレインの電極55、56のエッチングによる細り等を招くことなく、前記ゲート電極46およびソース、ドレインの電極55、56の表面および側壁に付着された金属残渣物、レジストに由来するポリマーおよび変質層を除去した信頼性の高い液晶表示装置を製造することができる。
【0144】
【発明の効果】
以上詳述したように本発明によれば、リアクティブイオンエッチング(RIE)を用いてアルミニウムのような金属からなる配線の形成後、またはCMPによる埋込み配線の形成後において、それら配線の細り等を招くことなく、前記配線の表面等に付着された金属残渣物、酸化物、レジストに由来するポリマーおよび変質層を容易に除去することが可能な洗浄用処理液を提供することができる。
【0145】
本発明によれば、リアクティブイオンエッチング(RIE)を用いてアルミニウムまたはアルミニウム合金からなる配線を形成した後の洗浄工程において、その配線の細り等を招くことなく、前記配線の表面および側壁に付着された金属残渣物、レジストに由来するポリマーおよび変質層を除去することが可能な高信頼性の電子デバイスの製造方法を提供することができる。
【0146】
本発明によれば、アルミニウムまたはアルミニウム合金からなる下地の配線と接続するためのビアフィルのビアホールをRIEを用いて絶縁膜に形成した後の洗浄工程において、その下地配線の厚さ減少等を招くことなく、前記ビアホール内面に付着されたレジストに由来するポリマーおよび変質層を除去することが可能な高信頼性の電子デバイスの製造方法を提供することができる。
【0147】
本発明によれば、タングステンを主体とするビアフィルが形成された絶縁膜にRIEを用いて前記ビアフィルとのコンタクト部でそれが露出される微細な配線を形成した後の洗浄工程において、前記露出したビアフィルのタングステンの溶解等を招くことなく、前記配線の表面および側壁に付着された金属残渣物、レジストに由来するポリマーおよび変質層を除去することが可能な高信頼性の電子デバイスの製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例1における半導体装置の製造工程を示す断面図。
【図2】本発明の実施例1における半導体装置の製造工程でのレジストパターンを剥離、除去した後のAl−Cu合金の配線を示す斜視図。
【図3】本発明の実施例1における半導体装置の製造工程でのレジストパターンを剥離、除去し、洗浄用処理液で処理した後のAl−Cu合金の配線を示す斜視図。
【図4】本発明の実施例2における半導体装置の製造工程を示す断面図。
【図5】本発明の実施例2における半導体装置の製造工程を示す断面図。
【図6】本発明の実施例3における半導体装置の製造工程を示す断面図。
【図7】本発明の実施例3における半導体装置の製造工程を示す断面図。
【図8】図7の(f)の第2層絶縁膜表面のビアフィルおよび第2層配線を示す拡大平面図。
【図9】本発明の実施例4における液晶表示装置の製造工程を示す断面図。
【図10】本発明の実施例4における液晶装置の製造工程を示す断面図。
【符号の説明】
1、11,21…シリコン基板、2…絶縁膜、3、29…配線材料層、4,15,30,45,51,54…レジストパターン、5…配線、6、17…残渣物、12、22…第1層絶縁膜、13、23…第1層配線、14,24…第2層絶縁膜、16,25…ビアホール、18、26…Ti膜、19,27…タングステン膜、20,28…ビアフィル、31…第2層配線、41…ガラス基板、42…島状のp−Si薄膜、43…SiO2薄膜(ゲート絶縁膜)、46…ゲート電極、47…ソース領域、48…ドレイン領域、55…ソース電極、56…ドレイン電極。
Claims (8)
- 有機溶剤、フッ化物含有化合物および酸化剤を含むことを特徴とする洗浄用処理液。
- 前記有機溶剤は、水溶性であることを特徴とする請求項1記載の洗浄用処理液。
- さらにpH調整剤を含むことを特徴とする請求項1記載の洗浄用処理液。
- さらに防蝕剤を含むことを特徴とする請求項1記載の洗浄用処理液。
- 基板上の絶縁膜表面にアルミニウムまたはアルミニウム合金からなる配線材料層を形成する工程と、
前記配線材料層をレジストパターンをマスクとしてリアクティブイオンエッチングによりパターニングして配線を形成する工程と、
請求項1〜4記載の洗浄用処理液により前記配線を含む絶縁膜表面を処理する工程と
を含むことを特徴とする電子デバイスの製造方法。 - 基板上の第1層絶縁膜表面にアルミニウムまたはアルミニウム合金からなる第1層配線を形成する工程と、
前記第1層配線を含む前記第1層絶縁膜に第2層絶縁膜を形成した後、この第2層絶縁膜をレジストパターンをマスクとしてリアクティブイオンエッチングにより前記第1層配線表面に達するビアホールを開口する工程と、
請求項1〜4記載の洗浄用処理液により前記ビアホールを含む第2層絶縁膜表面を処理する工程と、
少なくとも前記ビアホール内面に導電性バリア層を形成する工程と、
前記バリア層が内面に形成された前記ビアホール内を含む第2層絶縁膜表面に導電材料膜を形成する工程と、
前記導電材料膜および導電性バリア層を化学機械研磨により除去してビアフィルを形成する工程と
を含むことを特徴とする電子デバイスの製造方法。 - 基板上の絶縁膜にタングステンを主体とするビアフィルを形成する工程と、
前記ビアフィルを含む前記絶縁膜に配線材料層を形成する工程と、
前記配線材料層をレジストパターンをマスクとしてリアクティブイオンエッチングによりパターニングして前記ビアフィルとのコンタクト部においてそれより幅の狭い配線を形成する工程と、
請求項1〜4記載の洗浄用処理液により前記配線を含む絶縁膜表面を処理する工程と
を含むことを特徴とする電子デバイスの製造方法。 - 請求項1〜4記載の洗浄用処理液での処理後、さらに純水でリンス処理することを特徴とする請求項5ないし7いずれか記載の電子デバイスの製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003034015A JP2004247416A (ja) | 2003-02-12 | 2003-02-12 | 洗浄用処理液および電子デバイスの製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003034015A JP2004247416A (ja) | 2003-02-12 | 2003-02-12 | 洗浄用処理液および電子デバイスの製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2004247416A true JP2004247416A (ja) | 2004-09-02 |
Family
ID=33019819
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2003034015A Pending JP2004247416A (ja) | 2003-02-12 | 2003-02-12 | 洗浄用処理液および電子デバイスの製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2004247416A (ja) |
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2011068937A (ja) * | 2009-09-25 | 2011-04-07 | Toshiba Corp | 洗浄液、洗浄方法、洗浄システム及び微細構造体の製造方法 |
CN101000467B (zh) * | 2006-01-10 | 2012-07-04 | 株式会社东进世美肯 | 抗蚀剂剥离剂组合物及抗蚀剂去除方法 |
JP2013136822A (ja) * | 2011-12-28 | 2013-07-11 | Tokyo Ohka Kogyo Co Ltd | 洗浄液、及び防食剤 |
JP2018014350A (ja) * | 2016-07-19 | 2018-01-25 | 株式会社東芝 | Ledデバイスの製造方法 |
-
2003
- 2003-02-12 JP JP2003034015A patent/JP2004247416A/ja active Pending
Cited By (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN101000467B (zh) * | 2006-01-10 | 2012-07-04 | 株式会社东进世美肯 | 抗蚀剂剥离剂组合物及抗蚀剂去除方法 |
JP2011068937A (ja) * | 2009-09-25 | 2011-04-07 | Toshiba Corp | 洗浄液、洗浄方法、洗浄システム及び微細構造体の製造方法 |
KR101252347B1 (ko) * | 2009-09-25 | 2013-04-08 | 가부시끼가이샤 도시바 | 세정액, 세정 방법, 세정 시스템 및 미세 구조체의 제조 방법 |
JP2013136822A (ja) * | 2011-12-28 | 2013-07-11 | Tokyo Ohka Kogyo Co Ltd | 洗浄液、及び防食剤 |
JP2018014350A (ja) * | 2016-07-19 | 2018-01-25 | 株式会社東芝 | Ledデバイスの製造方法 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP3180779B2 (ja) | 半導体装置の製造方法 | |
US8426319B2 (en) | Composition for etching a metal hard mask material in semiconductor processing | |
TWI516586B (zh) | Cleaning liquid composition, cleaning method for semiconductor element, and manufacturing method of semiconductor element | |
TWI311242B (ja) | ||
JP3667273B2 (ja) | 洗浄方法および洗浄液 | |
KR101082993B1 (ko) | 레지스트용 박리제조성물 및 반도체장치의 제조방법 | |
JP3810607B2 (ja) | 集積回路の基板表面の不純物を除去するための洗浄水溶液及びこれを用いた洗浄方法 | |
JP6589883B2 (ja) | 半導体素子を洗浄するためのアルカリ土類金属を含む洗浄液、およびそれを用いた半導体素子の洗浄方法 | |
JP2005236280A (ja) | 半導体基板用洗浄液組成物、半導体基板の洗浄方法、及び導電性構造物の製造方法 | |
KR102533069B1 (ko) | 반도체소자의 세정용 액체 조성물, 반도체소자의 세정방법 및 반도체소자의 제조방법 | |
KR20060048205A (ko) | 드라이 에칭 후의 세정액조성물 및 반도체 장치의 제조방법 | |
WO2008050785A1 (fr) | Composition liquide pour éliminer un résidu de photorésine et un résidu de polymère | |
TW201622030A (zh) | 可抑制含鉭材料之損壞的半導體元件之清洗液及利用該清洗液的半導體元件之清洗方法 | |
US7347951B2 (en) | Method of manufacturing electronic device | |
JP2003313594A (ja) | 洗浄液および半導体装置の製造方法 | |
JP2010205782A (ja) | 半導体装置の製造方法 | |
JP2004247416A (ja) | 洗浄用処理液および電子デバイスの製造方法 | |
TW200304586A (en) | Composite for stripping photoresist and the manufacturing method of semiconductor device using the same | |
JP2006203161A (ja) | 半導体基板の処理方法、半導体部品および電子機器 | |
JP4408830B2 (ja) | 半導体装置の製造方法 | |
JP3298628B2 (ja) | 半導体装置の製造方法 | |
JP4758187B2 (ja) | フォトレジスト残渣及びポリマー残渣除去液 | |
JP2007305677A (ja) | 洗浄方法及び半導体装置の製造方法 | |
JP2006286802A (ja) | 埋込配線の形成方法 | |
JP2003171692A (ja) | 半導体装置製造用洗浄剤及びそれを用いた半導体装置の製造方法 |