JP2004247180A - 電極合剤ならびにそれを用いた電極構造体および非水系電気化学素子 - Google Patents
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Abstract
【課題解決手段】粉末電極主材および粉末導電材を含む粉末電極材料、フッ化ビニリデン系重合体および溶剤からなり、せん断発熱により電極合剤の温度上昇が認められる固形分濃度で混練したの後、残りの液状体を投入し再混練することにより形成する。
【選択図】 なし
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、非水系電池、特にリチウムイオン電池等の非水系電気化学素子において、有機電解液中での使用に適した電極形成用の電極合剤、ならびに形成される電極構造体(ないしは電極シート)、更には非水系電気化学素子に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年電子技術の発展はめざましく、各種の機器が小型軽量化されてきている。この電子機器の小型軽量化と相まって、その電源となる電池の小型軽量化の要望も非常に大きくなってきている。少ない容積及び重量でより大きなエネルギーを得ることが出来る電池として、リチウムを用いた非水系二次電池が、主として携帯電話やパーソナルコンピュータ、ビデオカムコーダなどの家庭で用いられる小型電子機器の電源として用いられてきた。
【0003】
リチウムイオン電池用電極構造体は、粉末電極主材としての電極活物質および粉末導電材を含む粉末電極材料がバインダーにより集電体に保持された状態で使用され、正極活物質としてはリチウム複合酸化物、負極活物質としては炭素系材料が、またそれら活物質を結着するためのバインダーとしてはフッ化ビニリデン系重合体が、主として用いられる。電気伝導性の低い活物質を含む電極(特に正極)には、導電材を添加することが必要となる。これらの電極構造体を作製するには、電極物質、粉末導電材、バインダー、および溶剤を混合して電極合剤を調製し、それを集電体上に塗布し、溶剤を乾燥させる方法が一般的となっている。
【0004】
また、このような集電基体上に、粉末電極材料(粉末電極主材としての活性炭粉末と粉末導電材とを含む)と樹脂質バインダーとからなる薄層電極を形成した構造は、同じく有機電解液を含浸した状態で用いられる電気二重層キャパシタの電極構造体においても同様に採用される(例えば特開平7−82450号公報)。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本出願人は、上述したような非水系電気化学素子の電極形成においてバインダーとして優れた特性を発揮するフッ化ビニリデン系重合体の主たる供給メーカーとして、該フッ化ビニリデン系重合体をそのまま、あるいは溶剤に溶かしたバインダー溶液の形態で電池メーカー等に供給し、また自身も更に粉末電極材料を加えた電極合剤、更には電極の製造も行っている。しかしながら近年生産量が増大するに伴ってより品質の均一性と製品の歩留まりの向上が強く求められるようになった。歩留まり低下の要因としては、集電体上に塗布形成した電極合剤層が平滑でなく突起が見出されること、集電体への電極合剤層の密着性が不足し、電極の使用前または使用中に電極合剤層の剥離が起ること、等である。これに対し、電極合剤層の密着性を高める目的で、バインダーを高分子量化することは有効であるが、反面、電極合剤製造工程において合剤のゲル化が起こりやすく、このゲル化が原因となり合剤の塗工性が悪化し塗工不可となったり、塗工出来たとしても電極密着性不良や電極合剤層の平滑性の低下が見られた。
【0006】
従って、本発明の主たる目的は、集電体への塗布、乾燥により、安定的に、均質且つ強靭で、突起がなく、更に集電体との密着性の良好な電極合剤層を与え得るフッ化ビニリデン系重合体系電極合剤を提供することにある。
【0007】
【発明を解決するための手段】
本発明の電極合剤は、上述の目的を達成するために開発されたものであり、より詳しくは、粉末電極主材および粉末導電材を含む粉末電極材料、フッ化ビニリデン系重合体および溶剤からなり、せん断発熱により電極合剤の温度上昇が認められる固形分濃度で混練したの後、残りの液状体を投入し再混練することにより形成されたことを特徴とするものである。さらには、必要に応じせん断発熱により電極合剤の温度上昇が認められる固形分濃度で混練する際、混練物の温度を30〜80℃に保ち混練を行うことを特徴とする物である。
【0008】
また、本発明は、上記電極合剤を用いることにより、性能の安定した電極構造体、更にはこれを含む非水系電気化学素子を与えるものである。
【0009】
本発明者らが上述の目的で研究し、本発明に到達した経緯について、若干付言する。本発明者らの研究によれば、従来、非水系電池電極用バインダーとして優れた特性を有するものとして広く用いられていたフッ化ビニリデン系重合体において、近年、製造される電極に不良品の発生率が増大した理由は、以下のような要因が複合したものであることが判明してきた。
電極を形成するための、電極合剤は、主として、粉末電極主材、粉末導電材、フッ化ビニリデン系重合体および溶剤からなるものであるが、これらを混合して、電極合剤を構成する工程順序は、電極メーカー(電池メーカー)によって、まちまちである。
もともと、非水系電気化学素子における電極用バインダーとしてのフッ化ビニリデン系重合体の適性は、塗布用電極合剤に用いられるN−メチル−2−ピロリドン、ジメチルホルムアミドなどの極性溶剤に対する溶解性と、有機電解液を構成するプロピレンカーボネート等の有機溶剤に対する耐久性との微妙なバランスの上に得られるものである。
しかしながら、電極合剤層中において、バインダーは、電極の電気化学的性能(例えば電池の充放電容量)にほとんど寄与しないため、その使用量は極力少なくすることが望ましく、少量でも粉末電極材料をよく保持し、集電体への接着性に優れたものが要求される。またバインダーは通常電気絶縁性であるため、その使用量の増大は電極の内部抵抗を大きくする。この点からもバインダーは、できるだけ少ない使用量でその機能を果たすことが要求される。このため、バインダーとしてのフッ化ビニリデン系重合体は、高分子量のものが好まれるようになっており、例えば分子量の目安としてのインヘレント粘度(樹脂4gを1リットルのN,N−ジメチルホルムアミドに溶解させた溶液の対数粘度をいう。以下、本明細書において同じ)が2.0〜20.0dl/gのフッ化ビニリデン系重合体が提案されている(特開平9−289023号公報)。このような高分子量フッ化ビニリデン系重合体は、極性溶剤に対する溶解度がかなり低下しており、得られる塗布用電極合剤中の濃度がある程度高くなるとゲル化しやすい。
他方、電極中の粉末電極主材、粉末導電剤、バインダーを均一に分散させるには、高いせん断応力をかけながら混練する過程を経ることが望ましいが、高いせん断応力を得るには、固形分濃度が高い状態での混練が不可欠である。さらに、使用されている粉末導電剤は通常、極めて微細なストラクチャーを有し、このような粉末は高い吸液性を持つ。また、粉末電極主材においても比表面積が大きい場合は、高い吸液性を持つ。従って、固形分濃度が高い状態では、粉末導電剤及び粉末電極主材に極性溶剤が選択的に吸収され、フッ化ビニリデン系重合体溶液の濃度が上がり、フッ化ビニリデン重合体がゲル化する。そして、一旦ゲル化したフッ化ビニリデン系重合体粒子は、電極合剤形成のための、その後の攪拌・混合条件では、容易に再溶解しないため、ゲル化の程度が高い場合は該電極合剤を集電体に塗布することが不可能となり、ゲル化の程度が低い場合でも、塗布後乾燥して溶剤を揮発させると電極内に不均質構造を発現させ、電極接着性の低下や電極合剤層の平坦性低下を引き起こす。
【0010】
本発明者らは、上述の知見に基づき、更に研究した結果、電極合剤製造過程の高固形分濃度での混練においは、高いせん断応力が加わることからくる発熱が起ることを見出し、この発熱を利用して高固形分濃度混練時の合剤温度を高い温度に保つことにより、極性溶媒に対するフッ化ビニリデン系重合体の溶解性を高めることが可能であり、これによって高重合度のフッ化ビニリデン系重合体をバインダーに用いた際にも、ゲル化を抑制出来、バインダーのゲル化による生産性の低下を防止し得ることを見出して、本発明に到達した物である。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明の電極合剤は、少なくとも、粉末電極主材および粉末導電材を含む粉末電極材料、フッ化ビニリデン系重合体および溶剤からなるものである。
【0012】
上述の説明から明らかなように、粉末電極主材には、リチウムイオン電池等の非水系電池の正極活物質、負極活物質、ならびに電気二重層キャパシタの分極性電極を構成する活性炭粉末が含まれる。また活物質として、正極用には、リチウムと1種または2種以上の遷移金属(Co、Ni、MnおよびFeなど)との複合酸化物が、負極用には、黒鉛、コークス、等の炭素材料およびLi4Ti5O12等のリチウムとチタンとの複合酸化物が例示される。
【0013】
電極の電気伝導性を改善するために加えられる粉末導電材としては、カーボンブラック、天然黒鉛、人造黒鉛、酸化チタンや酸化ルテニウム等の金属酸化物や金属ファイバーが使用できる。なかでもストラクチャー構造を呈するカーボンブラックが好ましく、特にその一種であるファーネスブラック、ケッチェンブラックやアセチレンブラックは好ましく用いられる。尚、導電材として、カーボンブラックとその他の導電材、例えば黒鉛、との混合系も好ましく用いられる。これら粉末導電材の粉末電極材料中の含有量は、使用する電極の種類により異なるが、本発明の目的のためには、例えば非水系電池負極用には、0.1〜16重量%、正極用には0.5〜25重量%、特に1〜15重量%、分極性電極用には1〜30重量%の範囲が好ましく用いられる。
【0014】
バインダーとして用いられるフッ化ビニリデン系重合体には、フッ化ビニリデンの単独重合体、共重合体およびこれらの変性物が含まれる。但し、全体として有機電解液に対する耐膨潤性を良好に維持するために、非処理のフッ化ビニリデン単位を、フッ化ビニリデン系重合体中に90モル%以上、特に95モル%以上の範囲で維持することが好ましい。フッ化ビニリデン系重合体としては、インヘレント粘度が1.0dl/gを超え、20dl/g以下であるものが好適に用いられる。
【0015】
フッ化ビニリデン系重合体の溶剤としては、好ましくは極性を有する有機溶媒であり、例えばN−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルスルホキシド、ヘキサメチルホスホアミド、トリエチルホスフェイト、などが挙げられる。これらの有機溶媒は単独での使用のみならず二種以上を混合して用いることもできる。
【0016】
本発明に従い、上記各成分から本発明の電極合剤を形成するに当り、まず粉末主材と粉末導電材を予め粉体混練し、さらに液状体(極性溶剤もしくはフッ化ビニリデン系重合体を極性溶剤に溶解したもの)を、粉末電極材料の粉体撹拌混合下に徐々に添加する形態で行うことが好ましい。この際、混練によるせん断発熱が発生する領域の固形分(粉末電極主材と粉末導電剤、バインダー樹脂をあわせたもの)濃度で一度液状体の添加を止め、十分に混練を行い電極合剤の温度を上昇させる。ここでいうせん断発熱とは、混練物が高いせん断応力を受けることにより起こる発熱であり、混練前の粉末電極材料の温度が外部からの加熱、冷却が無い状態で混練したときに、少なくとも5℃以上上がっている状態をせん断発熱が発生している領域と定義する。すなわち、せん断発熱が発生している領域では、高いせん断応力による混練が行われ、粉末電極主材、粉末導電材、バインダーが電極合剤中により均一に分散される。せん断発熱の発生する領域は、粉末電極主材および粉末導電剤の種類や添加量にもよるが固形分濃度30〜90重量%、特に70〜85重量%であることが好ましい。また、電極合剤の温度は30〜80℃、より好ましくは35〜60℃に上昇させるのが好ましい。ただし、混練装置の大きさや種類により冷却効果が高く、せん断発熱のみでは十分な温度上昇が得られない場合、混練槽の外部から加熱を行っても構わない。また、せん断発熱量が大きく、温度上昇が激しい場合は同様に外部からの冷却を行っても構わない。また、このせん断発熱が発生している領域では、少なくとも5分以上、より好ましくは15分以上混練を行う。
【0017】
次いで、上記せん断発熱が発生する領域で混練した混練物を攪拌・混合しながら、後の塗布工程で支障の無い程度の任意の粘度になるまで残りの液状体を一括して、または逐次加えて、分散・混合する。
【0018】
溶剤は、本発明の塗布用電極合剤中の固形分濃度が20〜80重量%、特に50〜70重量%となる量で使用することが好ましい。
【0019】
またフッ化ビニリデン系重合体は、一般に粉末電極材料100重量部に対して、0.5〜15重量部、特に1〜10重量部の範囲で電極合剤中に含まれることが好ましい。
【0020】
上記、せん断発熱が発生する領域での固形分濃度での混練、ならびにその後の残りの液状体を添加後の混合工程を含む合剤製造のための混合装置としては、多軸遊星方式の分散・混合・混練機や乳化機が使用出来るが、これらに限定されるものではない。
【0021】
上記の方法にて調製された合剤スラリーは、粉末電極主材、粉末導電材、バインダーが溶剤中で均一に分散・混合され、集電体への良好な塗布性を有する。塗布の方法は公知の方法でよく、なかでもドクターブレード法やダイコート法が好ましく用いられる。合剤が塗布された集電体は50〜170℃での溶媒乾燥と、必要に応じてプレス工程を経て、非水系二次電池用の電極構造体として提供される。
【0022】
形成された電極合剤を、鉄、ステンレス鋼、鋼、銅、アルミニウム、ニッケル、チタン等の金属箔あるいは金属網等からなり、厚さが5〜100μm、小規模の場合には例えば5〜20μmとなるような集電基体11の両面(図1)あるいは片面(図2)に塗布し、例えば50〜170℃で乾燥して、例えば小規模の場合厚さが10〜1000μmの電極合剤層(12a、12bまたは12)を形成することにより、電極構造体(10または20)が形成される。
【0023】
もっとも、例えば図2に示すような電極合剤層12を、集電基体11あるいはより良好な離型性を有する任意の基体上に塗布、乾燥により形成した後、電極合剤層12のみを剥離して電極シートを形成し、電池等の電気化学素子メーカにおいて、集電基体11上に導電性接着剤を介して該電極シートを貼付することにより、図1または図2に示すものとほぼ同等な電極構造体を形成することもできる。
【0024】
かくして形成された電極構造体10または20は、有機電解液中に浸漬して用いられる電池あるいは電気二重層キャパシタの電極として好ましく用いられる。例えば、図2に示す電極構造体20の二枚を、それらの電極合剤層12を内側にし、間に透液性のセパレータ13を挾持した積層体の電極合剤層12およびセパレータ13に有機電解液を含浸した図3の積層構造体により、電池あるいは電気二重層キャパシタが形成される。
【0025】
また、本発明の電極構造体は、より好ましくは、両面に電極合剤層12a、12bを形成した電極構造体10(図1)の構造において、非水系電池、特にリチウムイオン電池の正極または負極に用いられる。
【0026】
図4は、本発明の非水溶媒系電池の一例としての、リチウム二次電池の部分分解斜視図である。
【0027】
すなわち、この二次電池は、基本的には正極1および負極2間に、電解液を含浸したポリプロピレン、ポリエチレン等の高分子物質の微多孔性膜からなるセパレータ3を配置積層したものを渦巻き状に巻き回した発電素子が負極端子5aを形成する有底の金属ケーシング5中に収容された構造を有する。この二次電池は更に、負極は負極端子と電気的に接続され、頂部においてガスケット6および安全弁7を配置したのち、凸部において前記正極1と電気的に接続された正極端子8aを構成する頂部プレート8を配置し、ケーシング5の頂部リム5bをかしめて、全体を封止した構造をなしている。ここで正極1あるいは負極2が、図1または図2の積層構造の電極構造体により形成される。
【0028】
セパレータ3に含浸される電解液としては、例えばリチウムイオン二次電池の場合には、リチウム塩などの電解質を非水系溶媒(有機溶媒)に溶解したものを用いることができる。ここで電解質としては、LiPF6、LiAsF6、LiClO3、LiBF4、CH3SO3Li、CF3SO3Li、LiCl、LiBr等がある。また、電解質の有機溶媒としてはプロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジエトキシエタン、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、γ−ブチロラクトン、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、およびこれらの混合溶媒などが用いられるが、必ずしもこれらに限定されるものではない。
【0029】
【実施例】
以下、実施例、比較例により本発明を更に具体的に説明する。
【0030】
バインダー用フッ化ビニリデン系重合体溶液として、以下のAおよびBを、以下の実施例、比較例で用いた。
バインダー溶液A:フッ化ビニリデン単独重合体(インヘレント粘度=1.3dl/g)の12%NMP溶液(呉羽化学工業株式会社製 KFポリマーL #1320)
バインダー溶液B:フッ化ビニリデン単独重合体(インヘレント粘度=2.2dl/g)の8%NMP溶液(呉羽化学工業株式会社製 KFポリマーL #7208)
【0031】
(実施例1)
多軸遊星型分散混合機(「プラネタリーミキサー」)と高速撹拌機(「ホモディスパー」)を備えた混合機(特殊機化(株)製「ハイビスディスパーミックス3D−5型」)にコバルト酸リチウム(日本化学工業製 C−5)2000gと導電性カーボンブラック(電気化学(株)製「デンカブラック」)107.5gを投入し、プラネタリーミキサーで55rpm60分間粉体混合した。なお、混錬の際、外部からの加熱、冷却は一切行わなかった。このとき混合した粉体の温度は27℃であった。次にバインダー溶液A 537.6gにNMP43gを混合した溶液を混合機に添加しプラネタリーミキサーで55rpm・40分間混合した。使用したバインダー溶液、NMPの温度は20.0℃であった。また、室温も20.0℃であった。この際、固形分濃度は80.8%であり、混練中にせん断発熱が観測され、混錬後の混錬物の温度は46.2℃であった。次にNMP651.5gを加え、プラネタリーミキサー55rpmとホモディスパー2000rpmとを同時に動かし20分間混合した。混錬後の混錬物は固形分濃度65%、温度は27.8℃であった。最後に系内を100Torrで減圧脱気し撹拌中に生じた泡を除去し、常圧に戻した。得られたスラリーにゲルは認められなかった。得られたスラリーを厚さ10μmのアルミ箔上にドクターブレードで塗布し、130℃で20分間乾燥させ、合剤層厚さ94μmの正極用電極を得た。得られた電極に1t/cmの圧力を加え、室温でロールプレスした。プレス後の電極を10cm×10cmに切り出し、電極表面を観察し、100μm以上の突起数を測定した。また、電極合剤層の集電体からの剥離強度をJIS K−6854に準拠した90度剥離試験により測定した。得られた結果を表1に示す。
【0032】
(実施例2)
多軸遊星型分散混合機(「プラネタリーミキサー」)と高速撹拌機(「ホモディスパー」)を備えた混合機(特殊機化(株)製「ハイビスディスパーミックス3D−5型」)にコバルト酸リチウム(日本化学工業製 C−5)2000gと導電性カーボンブラック(電気化学(株)製「デンカブラック」)107.5gを投入し、プラネタリーミキサーで55rpm60分間粉体混合した。なお、混錬の際、外部からの加熱、冷却は一切行わなかった。このとき混合した粉体の温度は27℃であった。次にバインダー溶液B 518.0gを混合機に添加しプラネタリーミキサーで55rpm・40分間混合した。使用したバインダー溶液の温度は19.0℃であった。また、室温も19.0℃であった。この際、固形分濃度は81.8%であり、混練中にせん断発熱が観測され、混錬後の混錬物の温度は38.2℃であった。次にバインダー溶液B288.5gとNMP427.6gを加え、プラネタリーミキサー55rpmとホモディスパー2000rpmとを同時に動かし20分間混合した。使用したバインダー溶液、NMPの温度は19.0℃であった。混錬後の混錬物は固形分濃度65%、温度は25.5℃であった。最後に系内を100Torrで減圧脱気し撹拌中に生じた泡を除去し、常圧に戻した。得られたスラリーにゲルは認められなかった。得られたスラリーを厚さ10μmのアルミ箔上にドクターブレードで塗布し、130℃で20分間乾燥させ、合剤層厚さ102μmの正極用電極を得た。その後、実施例1同様にロールプレスされた電極を用い電極表面観察、剥離強度測定を行った。得られた結果を表1に示す。
【0033】
(比較例1)
ハイビスディスパーミックス3D−5型」)にコバルト酸リチウム(日本化学工業製 C−5)2000gと導電性カーボンブラック(電気化学(株)製「デンカブラック」)107.5gを投入し、プラネタリーミキサーで55rpm60分間粉体混合した。なお、混錬の際、外部からの加熱、冷却は一切行わなかった。このとき混合した粉体の温度は27℃であった。次にバインダー溶液A 537.6gとNMP694.5gを混合した溶液を混合機に一括して添加しプラネタリーミキサーで55rpm・40分間混合した。使用したバインダー溶液、NMPの温度は19.0℃であった。また、室温も19.0℃であった。この際、固形分濃度は65.0%であり、混練中にせん断発熱は観測されなかった。混錬後の混錬物の温度は20.0℃であった。次にプラネタリーミキサー55rpmとホモディスパー2000rpmとを同時に動かし20分間混合した。混錬後の温度は20.5℃であった。最後に系内を100Torrで減圧脱気し撹拌中に生じた泡を除去し、常圧に戻した。得られたスラリーにゲルは認められなかった。得られたスラリーを厚さ10μmのアルミ箔上にドクターブレードで塗布し、130℃で20分間乾燥させ、合剤層厚さ110μmの正極用電極を得た。その後、実施例1同様にロールプレスされた電極を用い電極表面観察、剥離強度測定を行った。得られた結果を表1に示す。
【0034】
(比較例2)
ハイビスディスパーミックス3D−5型にコバルト酸リチウム(日本化学工業製 C−5)2000gと導電性カーボンブラック(電気化学(株)製「デンカブラック」)107.5gを投入し、プラネタリーミキサーで55rpm60分間粉体混合した。なお、混錬の際、混錬槽のジャケットに冷却水(18.5℃)を流し混錬物を冷却した。このとき混合した粉体の温度は19.0℃であった。次にバインダー溶液B 518.0gを混合機に添加しプラネタリーミキサーで55rpm・40分間混合した。使用したバインダー溶液の温度は19.0℃であった。また、室温も19.0℃であった。この際、固形分濃度は81.8%であり、混錬後の混錬物の温度は19.3℃であった。次にバインダー溶液B288.5gとNMP427.6gを加え、プラネタリーミキサー55rpmとホモディスパー2000rpmとを同時に動かし20分間混合した。使用したバインダー溶液、NMPの温度は19.0℃であった。混錬後の混錬物は固形分濃度65%、温度は20.5℃であった。最後に系内を100Torrで減圧脱気し撹拌中に生じた泡を除去し、常圧に戻した。得られたスラリーにはゲルが認められた。得られたスラリーを厚さ10μmのアルミ箔上にドクターブレードで塗布したが、ゲルの影響で均一な塗布が困難であった。
【0035】
【表1】
【0036】
【発明の効果】
上述したように、本発明によれば、粉末電極主材および粉末導電剤を含む粉末電極材料、フッ化ビニリデン系重合体および溶剤からなる非水系電気化学素子の電極形成用合剤(電極合剤)を調整するにあたり、せん断発熱により電極合剤の温度上昇が認められる固形分濃度で混練したの後、残りの液状体を投入し再混練することにより、合剤中の粉末電極材料およびフッ化ビニリデン系重合体の分散が均一になる。さらには、せん断発熱により電極合剤の温度上昇が認められる固形分濃度で混練する際、混練物の温度を30〜80℃に保ち混練を行うことによりある程度高分子化したフッ化ビニリデン系重合体を高濃度で含むスラリーを用いて電極を形成するに際しても、合剤中のフッ化ビニリデン系樹脂のゲル化を効果的に防止し、高性能の非水系電気化学素子用電極を高い生産効率で製造することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明により得られる電極構造体の一例の断面図。
【図2】本発明により得られる電極構造体の別の一例の断面図。
【図3】本発明により得られる電気二重層キャパシタの一例の概略積層構造を示す断面図。
【図4】本発明に従い構成可能な非水溶媒系二次電池の一部分解斜視図。
【符号の説明】
1 正極
2 負極
3.13 セパレータ
5 ケーシング(5a:底部、5b:リム)
6 ガスケット
7 安全弁
8 頂部プレート
10.20 電極構造体
11 集電基体
12.12a.12b 電極合剤層
Claims (6)
- 粉末電極主材および粉末導電材を含む粉末電極材料、フッ化ビニリデン系重合体および溶剤からなる電極合剤において、せん断発熱により電極合剤の温度上昇が認められる固形分濃度で混練したの後、残りの液状体を投入し再混練することにより形成された電極合剤。
- 使用するフッ化ビニリデン系重合体のインヘレント粘度が1.0〜20.0dl/gであることを特徴とする、請求項1に記載の電極合剤。
- 使用するフッ化ビニリデン系重合体としてインヘレント粘度が2.0〜20.0dl/gであり、せん断発熱が認められる固形分濃度で混練する際の温度を30℃〜80℃に保ち混練を行うことを特徴とする、請求項1に記載の電極合剤。
- 請求項1〜3の電極合剤を塗布し、溶剤を揮散させて得られた電極合剤層を有する電極構造体。
- 一対の電極間に有機電解液を保持してなり、該一対の電極の少なくとも一方が請求項4の電極構造体からなる非水系電気化学素子。
- 粉末電極主材として、電極活物質を用いて得られた電極構造体を有し、非水系電池として機能する請求項5の非水系電気化学素子。
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