JP2004247113A - 有機電界発光素子の製造装置及び有機電界発光素子の製造方法 - Google Patents
有機電界発光素子の製造装置及び有機電界発光素子の製造方法 Download PDFInfo
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Abstract
【課題】有機電界発光素子の素子基板に蒸着される有機材料の膜厚を、優れた応答性をもって安定的に制御できるようにする。
【解決手段】有機電界発光素子の素子基板17に有機材料を蒸着させる際に用いられる有機電界発光素子の製造装置の構成として、有機材料を蒸発させる複数のライン状の蒸発源1,2,3と、蒸発源のライン方向と直交する方向に素子基板17を移動させる基板搬送装置4と、蒸発源を用いて素子基板17に蒸着させた有機材料の膜厚を計測する膜厚計測装置13と、膜厚計測装置13で計測した有機材料の膜厚計測結果に基づいて、基板搬送装置4による素子基板17の移動速度を制御する移動速度制御装置14とを備える。
【選択図】 図1
【解決手段】有機電界発光素子の素子基板17に有機材料を蒸着させる際に用いられる有機電界発光素子の製造装置の構成として、有機材料を蒸発させる複数のライン状の蒸発源1,2,3と、蒸発源のライン方向と直交する方向に素子基板17を移動させる基板搬送装置4と、蒸発源を用いて素子基板17に蒸着させた有機材料の膜厚を計測する膜厚計測装置13と、膜厚計測装置13で計測した有機材料の膜厚計測結果に基づいて、基板搬送装置4による素子基板17の移動速度を制御する移動速度制御装置14とを備える。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、有機電界発光素子(有機EL素子:ELはエレクトロルミネッセンスの略)の製造装置及び有機電界発光素子の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、平面型の表示装置として、有機電界発光素子を用いたものが注目されている。有機電界発光素子を用いた表示装置(以下、「有機ELディスプレイ」とも記す)は、バックライトが不要な自発光型のディスプレイであるため、視野角が広い、消費電力が少ないなどの利点を有している。
【0003】
このような有機ELディスプレイに用いられる有機電界発光素子は、一般に、有機材料からなる有機層(有機EL層)を上下から電極(陽極及び陰極)で挟み込んだ構造となっている。そして、陽極に正の電圧、陰極に負の電圧をそれぞれ印加することにより、有機層に対して、陽極から正孔を注入する一方、陰極から電子を注入することにより、有機層で正孔と電子が再結合して発光する仕組みになっている。
【0004】
有機電界発光素子の有機層は、通常、正孔(ホール)注入層、正孔輸送層、発光層、電荷注入層等といった3〜5層の積層構造となっている。各々の層を形成する有機材料は、耐水性が低くてウェットプロセスを利用できない。そのため、有機層を形成する場合は、真空薄膜形成技術を利用した真空蒸着法により、有機電界発光素子の素子基板(通常はガラス基板)に各層を順に形成して所望の積層構造を得ている。また、カラー化への対応として、R(赤),G(緑),B(青)の各色成分に対応する3種類の有機材料を、それぞれ異なる画素位置に蒸着して有機層を形成している。
【0005】
このような有機層を備える有機電界発光素子を製造する場合、有機層の各層ごとに蒸発源から蒸発させる有機材料を変更するとなると、有機層の成膜処理に時間がかかるため、有機電界発光素子を製造する際のタクトタイムが長くなってしまう。そこで従来においては、有機電界発光素子の素子基板に対して、異なる有機材料の層を順次、連続的に形成(成膜)することができる薄膜形成装置(蒸着装置)が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0006】
このような薄膜形成装置を用いて有機電界発光素子の素子基板に有機材料を蒸着する場合は、蒸発源から蒸発させた有機材料の蒸着速度を検出し、この検出結果に基づいて蒸発源からの有機材料の蒸発量を制御する、レート制御と呼ばれる方法が採用されている。このレート制御においては、蒸発源の熱源となるヒータの出力を調整することにより、有機材料の蒸発量を制御している。
【0007】
【特許文献1】
特開2002−348659号公報(段落0016−0018,第1図)
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、一般に、有機電界発光素子の製造に用いられる有機材料は熱効率が悪く、蒸着温度も比較的低温であるため、蒸発源のヒーターにかかる熱量を変化させたときに、実際にヒータの熱が有機材料に伝わって蒸着速度に変化が現れるまでに長い時間がかかる。したがって、蒸着速度を制御するときの応答性が悪く、有機材料の膜厚を安定的に制御することが困難であった。また、蒸着速度を変化させてから、所望のレベルで蒸着速度が安定するまでの間は、素子基板を投入することができないため、その間に高価な有機材料を無駄に消費することになり、商品のコストアップの要因となる。
【0009】
また、有機電界発光素子を製造する場合は、種類の異なる複数の有機材料を積層するのが一般的である。各々の有機材料の膜厚については、蒸発源から飛んでくる有機材料の蒸着速度を蒸着速度モニタにより計測し、蒸着速度を一定にすることで各層の膜厚を管理している。その際、各層の有機材料の膜厚を加算したものが有機層全体の膜厚(トータル膜厚)となる。しかし実際には、各層の膜厚には、蒸着速度モニタの計測誤差等によるバラツキが生じることが予想される。各層の膜厚のバラツキは、有機層の積層数が多くなるほど、トータル膜厚に大きな影響を及ぼすこととなり、結果的にトータル膜厚を精度良く管理することが難しい状況となる。また、有機電界発光素子の品質を考えると、各層の膜厚の比率を一定にすることも重要であるが、相対的にみると、トータル膜厚の変動が有機電界発光素子の品質に与える影響が大きいものと予想される。したがって、有機電界発光素子の素子基板に有機材料を蒸着する場合は、トータル膜厚を精度良く制御することが重要になる。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る有機電界発光素子の製造装置は、有機電界発光素子の素子基板に有機材料を蒸着させる際に用いられる有機電界発光素子の製造装置であって、有機材料を蒸発させるライン状の蒸発源と、この蒸発源のライン方向と直交する方向で、蒸発源と素子基板とを相対的に移動させる移動手段と、蒸発源を用いて素子基板に蒸着させた有機材料の膜厚を計測する膜厚計測手段と、この膜厚計測手段の計測結果に基づいて、移動手段による相対的な移動速度を制御する移動速度制御手段とを備えるものである。
【0011】
この有機電界発光素子の製造装置においては、移動速度制御手段によって蒸発源と素子基板との相対的な移動速度を速くすると、素子基板に蒸着される有機材料の膜厚が薄くなり、上記相対的な移動速度を遅くすると、素子基板に蒸着される有機材料の膜厚が厚くなる。したがって、蒸発源を用いて素子基板に蒸着させた有機材料の膜厚を膜厚計測手段で計測し、この計測結果に基づいて上記相対的な移動速度を移動速度制御手段で制御することにより、素子基板に蒸着される有機材料の膜厚を所望の値に一致するように制御することが可能となる。
【0012】
本発明に係る有機電界発光素子の製造方法は、機電界発光素子の素子基板に有機材料を蒸着させる際に用いられる有機電界発光素子の製造方法であって、ライン状の蒸発源から有機材料を蒸発させるとともに、蒸発源のライン方向と直交する方向で蒸発源と素子基板とを相対的に移動させることにより、素子基板に有機材料を蒸着させる工程と、素子基板に蒸着させた有機材料の膜厚を計測し、この計測結果に基づいて、蒸発源と素子基板との相対的な移動速度を制御する工程とを含むものである。
【0013】
この有機電界発光素子の製造方法においては、蒸発源と素子基板との相対的な移動速度を速くすると、素子基板に蒸着される有機材料の膜厚が薄くなり、上記相対的な移動速度を遅くすると、素子基板に蒸着される有機材料の膜厚が厚くなる。したがって、素子基板に蒸着させた有機材料の膜厚を計測し、この計測結果に基づいて、蒸発源と素子基板との相対的な移動速度を制御することにより、素子基板に蒸着される有機材料の膜厚を所望の値に一致するように制御することが可能となる。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0015】
図1は本発明の実施形態に係る有機電界発光素子の製造装置の構成例を示す概略図である。通常、有機電界発光素子は複数の有機層から構成されるが、ここでは3層として記述する。図示した有機電界発光素子の製造装置は、真空蒸着法によって有機層(有機EL層)を成膜するものであって、3つの蒸発源1,2,3と、基板搬送装置4と、複数の蒸着速度モニタ5,6,7と、複数の膜厚センサ8,9,10,11,12と、膜厚計測装置13と、移動速度制御装置14と、モータ駆動装置15と、蒸着速度制御装置16とを備えて構成されている。
【0016】
このうち、蒸発源1,2,3及び蒸着速度モニタ5,6,7は、蒸着速度制御装置16にそれぞれ電気的に接続されている。また、膜厚センサ8,9,10,11,12は膜厚計測装置13に電気的に接続されている。さらに、膜厚計測装置13及びモータ駆動装置15は、移動速度制御装置14にそれぞれ電気的に接続されている。また、蒸発源1,2,3、基板搬送装置4、蒸着速度モニタ5,6,7及び膜厚センサ8,9,10,11,12は、図示しない真空チャンバー内に配置されている。なお、蒸発源、蒸着速度モニタ及び膜厚センサの設置個数は、蒸着に使用する有機材料の種類や、所望する有機層の積層数などに応じて適宜変更可能である。
【0017】
蒸発源1は、蒸着材料となる第1の有機材料を蒸発させるための加熱源となるものである。また、蒸発源2は、蒸着材料となる第2の有機材料を蒸発させるための加熱源となるもので、蒸発源3は、蒸着材料となる第3の有機材料を蒸発させるための加熱源となるものである。第1の有機材料、第2の有機材料及び第3の有機材料は、それぞれ異なる種類の有機材料(蛍光物質等)からなる。各々の蒸発源1,2,3は、図の奥行き方向にライン状に延びるように形成された、いわゆるライン型の蒸発源であって、例えば、高融点金属からなるヒータに通電して蒸着材料(有機材料)を加熱蒸発させる抵抗加熱蒸発源によって構成される。
【0018】
ライン型の蒸発源にはそのライン方向(長手方向)に複数(多数)の吹き出しノズルが設けられている。そして、加熱によって蒸発した有機材料は、各々の吹き出しノズルから放出されて素子基板に蒸着されるようになっている。また、ライン型の蒸発源は、基板移動方向とほぼ直交する方向(以下、「プロセス方向」とも記す)の辺の長さを十分にカバーするだけの蒸着幅を有する。そのため、ライン型の蒸発源を用いることにより、素子基板の全幅にわたって均一な膜厚分布が得られる。
【0019】
基板搬送装置4は、有機電界発光素子のベース基板となる素子基板(ガラス基板)17を水平に搬送するもので、モータ駆動装置15に電気的に接続された搬送モータ(駆動源)18と、この搬送モータ18の回転によって駆動されるコンベア19と、搬送モータ18の駆動力をコンベア19に伝達する減速・駆動伝達ギア(不図示)を用いて構成されている。この基板搬送装置4は、素子基板17の相対応する二辺部を複数のローラで載置状態に支持しつつ、各々のローラの回転によって素子基板17を矢印方向(図の左方向)に搬送することにより、蒸発源のライン方向(図の奥行き方向)と直交する方向(図の左右方向)で、各々の蒸発源1,2,3と素子基板17とを相対的に移動させるものである。つまり、本実施形態においては、蒸発源と素子基板との相対的な移動が、基板搬送装置4による素子基板17の移動(搬送)によって行われる構成となっている。したがって、蒸発源と素子基板との相対的な移動速度は、基板搬送手段4による素子基板17の移動速度(搬送速度)に相当するものとなる。また、基板搬送装置4で搬送される素子基板17は、プロセス方向において3つの蒸発源1,2,3と対向する位置を順に通過するように矢印方向(図の左方向)に移動するものとなっている。搬送モータ18としては、速度制御が容易なサーボモータやパルスモータを用いることが望ましい。
【0020】
蒸着速度モニタ5は、蒸発源1によって素子基板17に蒸着される第1の有機材料の蒸着速度を検出するものである。この蒸着速度モニタ5は、蒸発源1のほぼ直上位置にコンベア19を介して配置されている。同様に、蒸着速度モニタ6は、蒸発源2によって素子基板17に蒸着される第2の有機材料の蒸着速度を検出するもので、蒸発源2のほぼ直上位置にコンベア19を介して配置されている。また、蒸着速度モニタ7は、蒸発源3によって素子基板17に蒸着される第3の有機材料の蒸着速度を検出するもので、蒸発源3のほぼ直上位置にコンベア19を介して配置されている。各々の蒸着速度モニタ5,6,7は、例えば、水晶振動子を用いて構成されるもので、その発振周波数が、水晶振動子上に形成される膜厚と相関があることを利用して、素子基板17上に蒸着される有機材料の蒸着速度を発振周波数の変化量からモニタ(検出)する。
【0021】
膜厚センサ8は、蒸発源1を用いて素子基板17に蒸着された第1の有機材料(有機層)の単層の膜厚を計測するためのものである。この膜厚センサ8は、基板搬送方向で上記蒸着速度モニタ5,6の間(ほぼ中間位置)に配置されている。膜厚センサ9は、蒸発源2を用いて素子基板17に蒸着された第2の有機材料(有機層)の単層の膜厚と、第1,第2の有機材料を順に積層した2層の膜厚を計測するためのものである。この膜厚センサ9は、基板搬送方向で上記蒸着速度モニタ6,7の間(ほぼ中間位置)に配置されている。
【0022】
膜厚センサ10,11,12は、蒸発源3を用いて素子基板17に蒸着された第3の有機材料の単層の膜厚と、第1〜第3の有機材料を順に積層した3層の膜厚(トータル膜厚)を計測するためのものである。これらの膜厚センサ10,11,12は、基板搬送方向で上記蒸着速度モニタ7よりも下流側に所定の間隔をあけて配置されている。
【0023】
各々の膜厚センサ8,9,10,11,12は、例えば、有機材料の膜厚を光学式に計測するための光ファイバ式のセンサであって、基板搬送装置4によって搬送される素子基板17の蒸着面側(上向きの状態)に配置されている。また、基板搬送装置4による素子基板17の搬送終端位置(蒸着終了位置)では、膜厚センサ10が素子基板17の一方端側(図の右端側)、膜厚センサ12が素子基板17の他方端(図の左端側)、膜厚センサ11が膜厚センサ10,12の中間位置で、それぞれ素子基板17の蒸着面に対向するように配置されている。つまり、素子基板17の搬送終端位置では、素子基板17上に第1〜第3の有機材料を順に積層して得られる3層構造の有機層の膜厚が、複数の膜厚センサ(本例では膜厚センサ10,11,12)によって計測される構成となっている。なお、各々の膜厚センサ8,9,10,11,12は、必要に応じて蒸発源のライン方向(図の奥行き方向)に複数設けられるものである。
【0024】
膜厚計測装置13は、例えば光学干渉式の膜厚計測装置であって、上記膜厚センサ8,9,10,11,12とともに膜厚計測手段を構成するものである。この膜厚計測装置13は、膜の表面と裏面で反射した光の干渉パターンと材料の屈折率から膜厚を計測できる機能を利用して、素子基板17上に蒸着された有機材料の膜厚を計測する。膜厚計測装置13での膜厚計測には、各々の膜厚センサ8,9,10,11,12から得られる膜厚計測用のデータが用いられる。また、膜厚計測装置13による膜厚の計測結果は、膜厚計測データとして移動速度制御装置14に送られる。
【0025】
移動速度制御装置14は、膜厚計測装置13から入力される膜厚計測結果(膜厚計測データ)に基づいて、基板搬送装置4による素子基板17の移動速度を制御することにより、素子基板17に蒸着される有機材料の膜厚が所望の値となるように制御するものである。さらに詳述すると、移動速度制御装置14は、例えばプログラムすることができるシーケンサにデータ通信ユニットとモータコントロールユニットとを付加して構成されるものであって、膜厚計測装置17から送られた膜厚計測結果をデータ通信により取得して所定の演算処理を行い、この演算結果にしたがって生成した速度制御信号をモータ駆動装置15に出力することにより、基板搬送装置4による素子基板17の移動速度を制御する。この移動速度制御装置14による具体的な制御方法については後段で詳しく説明する。
【0026】
モータ駆動装置15は、移動速度制御装置14から入力される速度制御信号にしたがって搬送モータ18を駆動するものである。このモータ駆動装置15は、例えば搬送モータ18がサーボモータである場合は電圧指令入力によって速度制御を行うサーボモータドライバで構成されるもので、移動速度制御装置14からの速度制御信号にしたがって搬送モータ18の回転速度を可変制御する。なお、モータ駆動装置15によるモータの駆動方式は、駆動対象となる搬送モータ18の種類によって異なるものとなる。例えば、搬送モータ18がパルスモータである場合は、モータ駆動装置15から駆動パルスを与えて搬送モータ18を駆動するとともに、当該駆動パルスの周波数を変えて搬送モータ18の回転速度を制御することになる。
【0027】
蒸着速度制御装置16は、各々の蒸着速度モニタ5,6,7で検出した有機材料の蒸着速度に基づいて、それぞれに対応する蒸発源1,2,3からの単位時間当たりの有機材料の蒸発量を制御することにより、素子基板17に蒸着される有機材料の膜厚が所望の値となるように制御するものである。この蒸着速度制御装置16では、3つの蒸発源1,2,3ごとに有機材料の蒸発量を個別に制御し得る構成となっている。また、蒸着速度制御装置16による蒸発量の制御は、例えば、各々の蒸発源1,2,3が抵抗加熱蒸発源であるとすると、この蒸発源のヒータに対する通電量(すなわち蒸発源での有機材料の加熱温度)を調整(増減)することにより実行可能となっている。
【0028】
続いて、上記構成からなる有機電界発光素子の製造装置の処理動作について説明する。
【0029】
先ず、基板に蒸着される有機材料の膜厚が許容範囲内で安定するようにダミー基板を用いて条件出し(例えば、基板移動速度の設定、蒸着速度の設定など)を行い、これが完了した段階で、図示しないハンドリングロボット等により真空チャンバー内に素子基板17を搬送する。このとき、素子基板17には予め電磁力を利用して蒸着マスク(メタルマスク)を装着しておく。また、真空チャンバー内では、基板搬送装置4のコンベア19上に素子基板17を順に供給する。
【0030】
これにより、搬送モータ18の駆動によってコンベア19上を移動する素子基板17は、上述した蒸着マスクと一体になって、3つの蒸発源1,2,3と対向する位置を順に通過することになる。そのため、蒸発源1で第1の有機材料を、蒸発源2で第2の有機材料を、蒸発源3で第3の蒸発源をそれぞれ蒸発させることにより、コンベア19上を移動する素子基板17の一面(図の下面)に、第1の有機材料、第2の有機材料及び第3の有機材料が順に蒸着される。また、蒸着を終えた素子基板17は搬送終端位置に送られる。
【0031】
その際、蒸発源1から素子基板17に蒸着された第1の有機材料の膜厚は、膜厚センサ8を用いて膜厚計測装置13により計測される。また、蒸発源2から素子基板17に蒸着された第2の有機材料と上記第1の有機材料とを合わせた2層の膜厚は、膜厚センサ9を用いて膜厚計測装置13により計測される。さらに、蒸発源3から素子基板17に蒸着された第3の有機材料と上記第1,第2の有機材料とを合わせた3層の膜厚(トータル膜厚)は、膜厚センサ10,11,12を用いて膜厚計測装置13により計測される。
【0032】
このような有機材料の蒸着に際して、移動速度制御装置14は、膜厚センサ8,9,10,11,12及び膜厚計測装置13による有機材料の膜厚測定結果に基づいて、基板搬送装置14による素子基板17の移動速度(搬送速度)を制御する。また、蒸着速度制御装置16は、蒸着速度モニタ5,6,7による蒸着速度の検出結果に基づいて、それぞれに対応する蒸発源1,2,3からの有機材料の蒸発量を制御する。
【0033】
図2は移動速度制御装置によって実行される制御処理の一例を示すフローチャートである。先ず、膜厚計測装置13から入力される膜厚計測データを順に取得しつつ、予め設定された所定枚数分の膜厚計測データを収集する(ステップS1)。次に、収集した膜厚計測データを平均化することにより、膜厚制御に用いる膜厚計測値を求める(ステップS1,S2)。
【0034】
ここで、ステップS1では、常に最新のものから順に所定枚数分の膜厚計測データを収集する。また、ステップS1で適用される所定枚数は、実際に素子基板17に蒸着される有機材料の膜厚変動が処理枚数の増加や処理時間の経過にしたがって緩やかに変動することを考えると、複数枚に設定しておくことが望ましい。一方、ステップS2では、例えば、所定枚数が5枚に設定されていた場合は、5枚分の素子基板17の膜厚計測データを加算し、この加算値を基板枚数(5)で割り算することにより、膜厚計測値を求める。
【0035】
また、膜厚計測装置13から移動速度制御装置14に対しては、1枚の素子基板17(基板1枚あたり)の膜厚計測データとして、膜厚センサ8を用いて得られた膜厚計測データと、膜厚センサ9を用いて得られた膜厚計測データと、膜厚センサ10を用いて得られた膜厚計測データと、膜厚センサ11を用いて得られた膜厚計測データと、膜厚センサ12を用いて得られた膜計測データとが個別に入力される。
【0036】
このうち、膜厚センサ8を用いて得られた膜厚計測データ(以下、第1の膜厚計測データ)は、第1の有機材料からなる単層の膜厚計測データとなり、膜厚センサ9を用いて得られた膜厚計測データ(以下、第2の膜厚計測データ)は、第1の有機材料と第2の有機材料からなる2層の膜厚計測データとなる。よって、移動速度制御装置14において、第2の膜厚計測データから第1の膜厚計測データを減算(差し引き)することにより、第2の有機材料の膜厚を求めることができる。
【0037】
一方、膜厚センサ10,11,12を用いて得られた膜厚計測データ(以下、第3の膜厚計測データ)は、それぞれ素子基板17上での膜厚計測箇所が異なるものの、第1の有機材料、第2の有機材料及び第3の有機材料からなる3層の膜厚計測データとなる。このとき、移動速度制御装置14において、各々の膜厚センサ10,11,12を用いて得られた膜厚計測データを平均化することにより、膜厚計測の誤差を極力解消したかたちでトータル膜厚を求めることができる。こうして求めたトータル膜厚は、上記ステップS2で膜厚計測値を求めるときに、1枚の素子基板17を代表する膜厚計測データ(基板1枚あたりの膜厚計測データ)として採用される。また、移動速度制御装置14において、膜厚センサ10,11,12を用いて得られた膜厚計測データを相対的に比較することにより、素子基板17内での膜厚分布を把握することができる。さらに、移動速度制御装置14において、上述のように平均化した第3の膜厚計測データから第2の膜厚計測データを減算することにより、第3の有機材料の膜厚を求めることができる。
【0038】
続いて、移動速度制御装置14は、上記ステップS2での平均化処理によって得られた膜厚計測値と予め設定された目標値とを比較することにより、それらの差分を求める(ステップS3)。次いで、移動速度制御装置14は、先のステップS3で求めた差分、すなわち実際に計測された膜厚計測値と目標値とのずれが、予め設定された許容範囲内であるかどうかを判断する(ステップS4)。そして、許容範囲内であると判断した場合は上記ステップS1に戻り、許容範囲外であると判断した場合は次のステップS5に進む。
【0039】
その後、ステップS5において、移動速度制御装置14は、上記ステップS3で求めた差分値に適合する移動速度の補正データを、例えばメモリに格納された制御用データテーブルから読み出し、この読み出した補正データにしたがって、現在設定されている移動速度の制御データを変更(補正)する。このように移動速度制御装置14が移動速度の制御データを変更すると、変更後の制御データに基づく速度制御信号が移動速度制御装置14からモータ駆動装置15に送られる。そのため、モータ駆動装置15によって駆動される搬送モータ18の回転速度が変化し、これにしたがって素子基板14の移動速度も変化する。ちなみに、移動速度制御装置14による基板移動速度の変更は、コンベア19上への素子基板17を供給を一旦停止し、これによって蒸着が未完了の素子基板17がコンベア19上に存在しなくなった段階で行われる。
【0040】
また、速度変更によってコンベア19上での素子基板17の移動速度が速くなると、移動中に素子基板17に蒸着される有機材料の膜厚は薄くなり、逆に移動速度が遅くなると、移動中に素子基板17に蒸着される有機材料の膜厚は厚くなる。つまり、基板搬送装置4による素子基板17の移動速度と、この素子基板17に蒸着される有機材料の膜厚とは、反比例の関係にある。したがって、移動速度制御装置14では、膜厚計測値と目標値とのずれが許容範囲を超えていた場合(ステップS4で「No」と判断した場合)に、膜厚計測値が目標値よりも小さければ(トータル膜厚が所望値よりも薄ければ)、基板移動速度が現状よりも遅くなるように移動速度の制御データを変更し、膜厚計測値が目標値よりも大きければ(トータル膜厚が所望値よりも厚ければ)、基板移動速度が現状よりも速くなるように移動速度の制御データを変更する。
【0041】
これにより、素子基板17に蒸着される有機材料のトータル膜厚が所望値と一致するように、基板搬送装置4による素子基板17の移動速度が移動速度制御装置14によって制御される。一般に、有機材料の蒸着によって有機EL素子を構成する場合は、各有機層の個々の膜厚よりも、それらを合わせたトータルの膜厚の方が、有機EL素子としての特性や機能に大きな影響を及ぼす。したがって、トータル膜厚が所望の値となるように膜厚制御を行うことが、有機EL素子を構成するうえで非常に好ましいものとなる。
【0042】
その後、規定枚数分(例えば、1ロット分)の素子基板17の蒸着が全て終了したかどうかを確認し(ステップS6)、終了していない場合は上記ステップS1に戻り、終了した場合はその時点で一連の処理を抜ける。
【0043】
このように素子基板17に蒸着された有機材料の膜厚(本形態例ではトータル膜厚)を膜厚センサ8〜12及び膜厚計測装置13を用いて計測し、この計測結果に基づいて基板搬送装置4による素子基板17の移動速度を移動速度制御装置14で制御することにより、素子基板17に蒸着される有機材料の膜厚(トータル膜厚)を所望の値に一致するように制御することができる。また、素子基板17の移動速度を制御する場合は、実際に移動速度制御装置14が移動速度の制御データを変更してから素子基板17の移動速度が変化するまでの応答性に優れるため、処理条件の変更に伴う待ち時間の短縮によって有機材料の無駄な消費を抑えることができるとともに、有機材料の膜厚を安定的に制御することができる。さらに、素子基板17の移動速度は移動速度制御装置14で細かく調整可能であるため、素子基板17に蒸着される有機材料の膜厚を細かく制御(微調整)することができる。
【0044】
また、上述のように素子基板17に有機材料を蒸着させる場合、蒸着速度制御装置16は、蒸着速度モニタ5による蒸着速度の検出結果に基づいて、当該蒸着速度が一定となるように蒸発源1からの有機材料の蒸発量を制御することにより、第1の有機材料からなる薄膜層の膜厚を制御する。また、蒸着速度制御装置16は、蒸着速度モニタ6による蒸着速度の検出結果に基づいて、当該蒸着速度が一定となるように蒸発源2からの有機材料の蒸発量を制御することにより、第2の有機材料からなる薄膜層の膜厚を制御する一方、蒸着速度モニタ7による蒸着速度の検出結果に基づいて、当該蒸着速度が一定となるように蒸発源3からの有機材料の蒸発量を制御することにより、第3の有機材料からなる薄膜層の膜厚を制御する。
【0045】
このような蒸着速度制御装置16による蒸着速度の制御(レート制御)と、移動速度制御装置14による基板移動速度の制御とを並行して行うようにすれば、膜厚制御のパラメータが増えるため、素子基板17に蒸着される有機材料の膜厚をより高精度に制御することが可能となる。また、移動速度制御装置14による基板移動速度の制御を行うことにより、素子基板17に蒸着される有機材料の膜厚を制御するのと合わせて、レート制御を行うときのオフセット等で生じる膜厚の誤差を補正することが可能となる。
【0046】
また、素子基板17の移動経路上(途中)に膜厚センサ8,9を設けることにより、蒸発源1によって素子基板17に蒸着される第1の有機材料の膜厚と、蒸発源2によって素子基板17に蒸着される第2の有機材料の膜厚と、蒸発源3によって素子基板17に蒸着される第3の有機材料の膜厚を、それぞれ個別に求めることができるとともに、トータル膜厚に占める、各々(第1〜第3)の有機材料の膜厚比率を求めることができる。したがって、膜厚計測装置13から送られる膜厚計測データ(膜厚計測結果)を蒸着速度制御装置16に取り込み、その膜厚計測データに基づいて、各々の蒸発源1,2,3からの有機材料の蒸発量を個別に制御することにより、有機層のトータル膜厚を変えることなく、各々の有機材料の膜厚比率を変えることが可能となる。
【0047】
なお、上記実施形態においては、複数の蒸発源1,2,3を備えた装置構成を例に挙げて説明したが、これ以外にも、一つの蒸発源だけを備えた装置構成であっても同様に適用可能である。また、蒸発源の構成としては、それぞれ異なる材料を蒸発させる2つの蒸発源を近接配置して共蒸着を行うものであってもよい。
【0048】
また、上記実施形態においては、移動速度制御装置14と蒸着速度制御装置16を個別に備えた装置構成を例に挙げて説明したが、本発明はこれに限らず、例えば、移動速度制御装置14と蒸着速度制御装置16を一つにまとめた共通の制御装置として構成することも可能であり、また蒸着装置全体の処理動作を制御する制御装置に含むように構成することも可能である。
【0049】
【発明の効果】
以上説明したように本発明の有機電界発光素子の製造装置によれば、蒸発源を用いて素子基板に蒸着させた有機材料の膜厚を膜厚計測手段で計測し、この計測結果に基づいて、蒸発源と素子基板との相対的な移動速度を移動速度制御手段で制御することにより、素子基板に蒸着される有機材料の膜厚を、優れた応答性をもって安定的に制御することができる。
【0050】
また、本発明の有機電界発光素子の製造方法によれば、素子基板に蒸着させた有機材料の膜厚を計測し、この計測結果に基づいて、蒸発源と素子基板との相対的な移動速度を制御することにより、素子基板に蒸着される有機材料の膜厚を、優れた応答性をもって安定的に制御することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係る有機電界発光素子の製造装置の構成例を示す概略図である。
【図2】移動速度制御装置によって実行される制御処理の一例を示すフローチャートである。
【符号の説明】
1,2,3…蒸発源、4…基板搬送装置、5,6,7…蒸着速度モニタ、8,9,10,11,12…膜厚センサ、13…膜厚計測装置、14…移動速度制御装置、16…蒸着速度制御装置、17…素子基板、18…搬送モータ、19…コンベア
【発明の属する技術分野】
本発明は、有機電界発光素子(有機EL素子:ELはエレクトロルミネッセンスの略)の製造装置及び有機電界発光素子の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、平面型の表示装置として、有機電界発光素子を用いたものが注目されている。有機電界発光素子を用いた表示装置(以下、「有機ELディスプレイ」とも記す)は、バックライトが不要な自発光型のディスプレイであるため、視野角が広い、消費電力が少ないなどの利点を有している。
【0003】
このような有機ELディスプレイに用いられる有機電界発光素子は、一般に、有機材料からなる有機層(有機EL層)を上下から電極(陽極及び陰極)で挟み込んだ構造となっている。そして、陽極に正の電圧、陰極に負の電圧をそれぞれ印加することにより、有機層に対して、陽極から正孔を注入する一方、陰極から電子を注入することにより、有機層で正孔と電子が再結合して発光する仕組みになっている。
【0004】
有機電界発光素子の有機層は、通常、正孔(ホール)注入層、正孔輸送層、発光層、電荷注入層等といった3〜5層の積層構造となっている。各々の層を形成する有機材料は、耐水性が低くてウェットプロセスを利用できない。そのため、有機層を形成する場合は、真空薄膜形成技術を利用した真空蒸着法により、有機電界発光素子の素子基板(通常はガラス基板)に各層を順に形成して所望の積層構造を得ている。また、カラー化への対応として、R(赤),G(緑),B(青)の各色成分に対応する3種類の有機材料を、それぞれ異なる画素位置に蒸着して有機層を形成している。
【0005】
このような有機層を備える有機電界発光素子を製造する場合、有機層の各層ごとに蒸発源から蒸発させる有機材料を変更するとなると、有機層の成膜処理に時間がかかるため、有機電界発光素子を製造する際のタクトタイムが長くなってしまう。そこで従来においては、有機電界発光素子の素子基板に対して、異なる有機材料の層を順次、連続的に形成(成膜)することができる薄膜形成装置(蒸着装置)が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0006】
このような薄膜形成装置を用いて有機電界発光素子の素子基板に有機材料を蒸着する場合は、蒸発源から蒸発させた有機材料の蒸着速度を検出し、この検出結果に基づいて蒸発源からの有機材料の蒸発量を制御する、レート制御と呼ばれる方法が採用されている。このレート制御においては、蒸発源の熱源となるヒータの出力を調整することにより、有機材料の蒸発量を制御している。
【0007】
【特許文献1】
特開2002−348659号公報(段落0016−0018,第1図)
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、一般に、有機電界発光素子の製造に用いられる有機材料は熱効率が悪く、蒸着温度も比較的低温であるため、蒸発源のヒーターにかかる熱量を変化させたときに、実際にヒータの熱が有機材料に伝わって蒸着速度に変化が現れるまでに長い時間がかかる。したがって、蒸着速度を制御するときの応答性が悪く、有機材料の膜厚を安定的に制御することが困難であった。また、蒸着速度を変化させてから、所望のレベルで蒸着速度が安定するまでの間は、素子基板を投入することができないため、その間に高価な有機材料を無駄に消費することになり、商品のコストアップの要因となる。
【0009】
また、有機電界発光素子を製造する場合は、種類の異なる複数の有機材料を積層するのが一般的である。各々の有機材料の膜厚については、蒸発源から飛んでくる有機材料の蒸着速度を蒸着速度モニタにより計測し、蒸着速度を一定にすることで各層の膜厚を管理している。その際、各層の有機材料の膜厚を加算したものが有機層全体の膜厚(トータル膜厚)となる。しかし実際には、各層の膜厚には、蒸着速度モニタの計測誤差等によるバラツキが生じることが予想される。各層の膜厚のバラツキは、有機層の積層数が多くなるほど、トータル膜厚に大きな影響を及ぼすこととなり、結果的にトータル膜厚を精度良く管理することが難しい状況となる。また、有機電界発光素子の品質を考えると、各層の膜厚の比率を一定にすることも重要であるが、相対的にみると、トータル膜厚の変動が有機電界発光素子の品質に与える影響が大きいものと予想される。したがって、有機電界発光素子の素子基板に有機材料を蒸着する場合は、トータル膜厚を精度良く制御することが重要になる。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る有機電界発光素子の製造装置は、有機電界発光素子の素子基板に有機材料を蒸着させる際に用いられる有機電界発光素子の製造装置であって、有機材料を蒸発させるライン状の蒸発源と、この蒸発源のライン方向と直交する方向で、蒸発源と素子基板とを相対的に移動させる移動手段と、蒸発源を用いて素子基板に蒸着させた有機材料の膜厚を計測する膜厚計測手段と、この膜厚計測手段の計測結果に基づいて、移動手段による相対的な移動速度を制御する移動速度制御手段とを備えるものである。
【0011】
この有機電界発光素子の製造装置においては、移動速度制御手段によって蒸発源と素子基板との相対的な移動速度を速くすると、素子基板に蒸着される有機材料の膜厚が薄くなり、上記相対的な移動速度を遅くすると、素子基板に蒸着される有機材料の膜厚が厚くなる。したがって、蒸発源を用いて素子基板に蒸着させた有機材料の膜厚を膜厚計測手段で計測し、この計測結果に基づいて上記相対的な移動速度を移動速度制御手段で制御することにより、素子基板に蒸着される有機材料の膜厚を所望の値に一致するように制御することが可能となる。
【0012】
本発明に係る有機電界発光素子の製造方法は、機電界発光素子の素子基板に有機材料を蒸着させる際に用いられる有機電界発光素子の製造方法であって、ライン状の蒸発源から有機材料を蒸発させるとともに、蒸発源のライン方向と直交する方向で蒸発源と素子基板とを相対的に移動させることにより、素子基板に有機材料を蒸着させる工程と、素子基板に蒸着させた有機材料の膜厚を計測し、この計測結果に基づいて、蒸発源と素子基板との相対的な移動速度を制御する工程とを含むものである。
【0013】
この有機電界発光素子の製造方法においては、蒸発源と素子基板との相対的な移動速度を速くすると、素子基板に蒸着される有機材料の膜厚が薄くなり、上記相対的な移動速度を遅くすると、素子基板に蒸着される有機材料の膜厚が厚くなる。したがって、素子基板に蒸着させた有機材料の膜厚を計測し、この計測結果に基づいて、蒸発源と素子基板との相対的な移動速度を制御することにより、素子基板に蒸着される有機材料の膜厚を所望の値に一致するように制御することが可能となる。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0015】
図1は本発明の実施形態に係る有機電界発光素子の製造装置の構成例を示す概略図である。通常、有機電界発光素子は複数の有機層から構成されるが、ここでは3層として記述する。図示した有機電界発光素子の製造装置は、真空蒸着法によって有機層(有機EL層)を成膜するものであって、3つの蒸発源1,2,3と、基板搬送装置4と、複数の蒸着速度モニタ5,6,7と、複数の膜厚センサ8,9,10,11,12と、膜厚計測装置13と、移動速度制御装置14と、モータ駆動装置15と、蒸着速度制御装置16とを備えて構成されている。
【0016】
このうち、蒸発源1,2,3及び蒸着速度モニタ5,6,7は、蒸着速度制御装置16にそれぞれ電気的に接続されている。また、膜厚センサ8,9,10,11,12は膜厚計測装置13に電気的に接続されている。さらに、膜厚計測装置13及びモータ駆動装置15は、移動速度制御装置14にそれぞれ電気的に接続されている。また、蒸発源1,2,3、基板搬送装置4、蒸着速度モニタ5,6,7及び膜厚センサ8,9,10,11,12は、図示しない真空チャンバー内に配置されている。なお、蒸発源、蒸着速度モニタ及び膜厚センサの設置個数は、蒸着に使用する有機材料の種類や、所望する有機層の積層数などに応じて適宜変更可能である。
【0017】
蒸発源1は、蒸着材料となる第1の有機材料を蒸発させるための加熱源となるものである。また、蒸発源2は、蒸着材料となる第2の有機材料を蒸発させるための加熱源となるもので、蒸発源3は、蒸着材料となる第3の有機材料を蒸発させるための加熱源となるものである。第1の有機材料、第2の有機材料及び第3の有機材料は、それぞれ異なる種類の有機材料(蛍光物質等)からなる。各々の蒸発源1,2,3は、図の奥行き方向にライン状に延びるように形成された、いわゆるライン型の蒸発源であって、例えば、高融点金属からなるヒータに通電して蒸着材料(有機材料)を加熱蒸発させる抵抗加熱蒸発源によって構成される。
【0018】
ライン型の蒸発源にはそのライン方向(長手方向)に複数(多数)の吹き出しノズルが設けられている。そして、加熱によって蒸発した有機材料は、各々の吹き出しノズルから放出されて素子基板に蒸着されるようになっている。また、ライン型の蒸発源は、基板移動方向とほぼ直交する方向(以下、「プロセス方向」とも記す)の辺の長さを十分にカバーするだけの蒸着幅を有する。そのため、ライン型の蒸発源を用いることにより、素子基板の全幅にわたって均一な膜厚分布が得られる。
【0019】
基板搬送装置4は、有機電界発光素子のベース基板となる素子基板(ガラス基板)17を水平に搬送するもので、モータ駆動装置15に電気的に接続された搬送モータ(駆動源)18と、この搬送モータ18の回転によって駆動されるコンベア19と、搬送モータ18の駆動力をコンベア19に伝達する減速・駆動伝達ギア(不図示)を用いて構成されている。この基板搬送装置4は、素子基板17の相対応する二辺部を複数のローラで載置状態に支持しつつ、各々のローラの回転によって素子基板17を矢印方向(図の左方向)に搬送することにより、蒸発源のライン方向(図の奥行き方向)と直交する方向(図の左右方向)で、各々の蒸発源1,2,3と素子基板17とを相対的に移動させるものである。つまり、本実施形態においては、蒸発源と素子基板との相対的な移動が、基板搬送装置4による素子基板17の移動(搬送)によって行われる構成となっている。したがって、蒸発源と素子基板との相対的な移動速度は、基板搬送手段4による素子基板17の移動速度(搬送速度)に相当するものとなる。また、基板搬送装置4で搬送される素子基板17は、プロセス方向において3つの蒸発源1,2,3と対向する位置を順に通過するように矢印方向(図の左方向)に移動するものとなっている。搬送モータ18としては、速度制御が容易なサーボモータやパルスモータを用いることが望ましい。
【0020】
蒸着速度モニタ5は、蒸発源1によって素子基板17に蒸着される第1の有機材料の蒸着速度を検出するものである。この蒸着速度モニタ5は、蒸発源1のほぼ直上位置にコンベア19を介して配置されている。同様に、蒸着速度モニタ6は、蒸発源2によって素子基板17に蒸着される第2の有機材料の蒸着速度を検出するもので、蒸発源2のほぼ直上位置にコンベア19を介して配置されている。また、蒸着速度モニタ7は、蒸発源3によって素子基板17に蒸着される第3の有機材料の蒸着速度を検出するもので、蒸発源3のほぼ直上位置にコンベア19を介して配置されている。各々の蒸着速度モニタ5,6,7は、例えば、水晶振動子を用いて構成されるもので、その発振周波数が、水晶振動子上に形成される膜厚と相関があることを利用して、素子基板17上に蒸着される有機材料の蒸着速度を発振周波数の変化量からモニタ(検出)する。
【0021】
膜厚センサ8は、蒸発源1を用いて素子基板17に蒸着された第1の有機材料(有機層)の単層の膜厚を計測するためのものである。この膜厚センサ8は、基板搬送方向で上記蒸着速度モニタ5,6の間(ほぼ中間位置)に配置されている。膜厚センサ9は、蒸発源2を用いて素子基板17に蒸着された第2の有機材料(有機層)の単層の膜厚と、第1,第2の有機材料を順に積層した2層の膜厚を計測するためのものである。この膜厚センサ9は、基板搬送方向で上記蒸着速度モニタ6,7の間(ほぼ中間位置)に配置されている。
【0022】
膜厚センサ10,11,12は、蒸発源3を用いて素子基板17に蒸着された第3の有機材料の単層の膜厚と、第1〜第3の有機材料を順に積層した3層の膜厚(トータル膜厚)を計測するためのものである。これらの膜厚センサ10,11,12は、基板搬送方向で上記蒸着速度モニタ7よりも下流側に所定の間隔をあけて配置されている。
【0023】
各々の膜厚センサ8,9,10,11,12は、例えば、有機材料の膜厚を光学式に計測するための光ファイバ式のセンサであって、基板搬送装置4によって搬送される素子基板17の蒸着面側(上向きの状態)に配置されている。また、基板搬送装置4による素子基板17の搬送終端位置(蒸着終了位置)では、膜厚センサ10が素子基板17の一方端側(図の右端側)、膜厚センサ12が素子基板17の他方端(図の左端側)、膜厚センサ11が膜厚センサ10,12の中間位置で、それぞれ素子基板17の蒸着面に対向するように配置されている。つまり、素子基板17の搬送終端位置では、素子基板17上に第1〜第3の有機材料を順に積層して得られる3層構造の有機層の膜厚が、複数の膜厚センサ(本例では膜厚センサ10,11,12)によって計測される構成となっている。なお、各々の膜厚センサ8,9,10,11,12は、必要に応じて蒸発源のライン方向(図の奥行き方向)に複数設けられるものである。
【0024】
膜厚計測装置13は、例えば光学干渉式の膜厚計測装置であって、上記膜厚センサ8,9,10,11,12とともに膜厚計測手段を構成するものである。この膜厚計測装置13は、膜の表面と裏面で反射した光の干渉パターンと材料の屈折率から膜厚を計測できる機能を利用して、素子基板17上に蒸着された有機材料の膜厚を計測する。膜厚計測装置13での膜厚計測には、各々の膜厚センサ8,9,10,11,12から得られる膜厚計測用のデータが用いられる。また、膜厚計測装置13による膜厚の計測結果は、膜厚計測データとして移動速度制御装置14に送られる。
【0025】
移動速度制御装置14は、膜厚計測装置13から入力される膜厚計測結果(膜厚計測データ)に基づいて、基板搬送装置4による素子基板17の移動速度を制御することにより、素子基板17に蒸着される有機材料の膜厚が所望の値となるように制御するものである。さらに詳述すると、移動速度制御装置14は、例えばプログラムすることができるシーケンサにデータ通信ユニットとモータコントロールユニットとを付加して構成されるものであって、膜厚計測装置17から送られた膜厚計測結果をデータ通信により取得して所定の演算処理を行い、この演算結果にしたがって生成した速度制御信号をモータ駆動装置15に出力することにより、基板搬送装置4による素子基板17の移動速度を制御する。この移動速度制御装置14による具体的な制御方法については後段で詳しく説明する。
【0026】
モータ駆動装置15は、移動速度制御装置14から入力される速度制御信号にしたがって搬送モータ18を駆動するものである。このモータ駆動装置15は、例えば搬送モータ18がサーボモータである場合は電圧指令入力によって速度制御を行うサーボモータドライバで構成されるもので、移動速度制御装置14からの速度制御信号にしたがって搬送モータ18の回転速度を可変制御する。なお、モータ駆動装置15によるモータの駆動方式は、駆動対象となる搬送モータ18の種類によって異なるものとなる。例えば、搬送モータ18がパルスモータである場合は、モータ駆動装置15から駆動パルスを与えて搬送モータ18を駆動するとともに、当該駆動パルスの周波数を変えて搬送モータ18の回転速度を制御することになる。
【0027】
蒸着速度制御装置16は、各々の蒸着速度モニタ5,6,7で検出した有機材料の蒸着速度に基づいて、それぞれに対応する蒸発源1,2,3からの単位時間当たりの有機材料の蒸発量を制御することにより、素子基板17に蒸着される有機材料の膜厚が所望の値となるように制御するものである。この蒸着速度制御装置16では、3つの蒸発源1,2,3ごとに有機材料の蒸発量を個別に制御し得る構成となっている。また、蒸着速度制御装置16による蒸発量の制御は、例えば、各々の蒸発源1,2,3が抵抗加熱蒸発源であるとすると、この蒸発源のヒータに対する通電量(すなわち蒸発源での有機材料の加熱温度)を調整(増減)することにより実行可能となっている。
【0028】
続いて、上記構成からなる有機電界発光素子の製造装置の処理動作について説明する。
【0029】
先ず、基板に蒸着される有機材料の膜厚が許容範囲内で安定するようにダミー基板を用いて条件出し(例えば、基板移動速度の設定、蒸着速度の設定など)を行い、これが完了した段階で、図示しないハンドリングロボット等により真空チャンバー内に素子基板17を搬送する。このとき、素子基板17には予め電磁力を利用して蒸着マスク(メタルマスク)を装着しておく。また、真空チャンバー内では、基板搬送装置4のコンベア19上に素子基板17を順に供給する。
【0030】
これにより、搬送モータ18の駆動によってコンベア19上を移動する素子基板17は、上述した蒸着マスクと一体になって、3つの蒸発源1,2,3と対向する位置を順に通過することになる。そのため、蒸発源1で第1の有機材料を、蒸発源2で第2の有機材料を、蒸発源3で第3の蒸発源をそれぞれ蒸発させることにより、コンベア19上を移動する素子基板17の一面(図の下面)に、第1の有機材料、第2の有機材料及び第3の有機材料が順に蒸着される。また、蒸着を終えた素子基板17は搬送終端位置に送られる。
【0031】
その際、蒸発源1から素子基板17に蒸着された第1の有機材料の膜厚は、膜厚センサ8を用いて膜厚計測装置13により計測される。また、蒸発源2から素子基板17に蒸着された第2の有機材料と上記第1の有機材料とを合わせた2層の膜厚は、膜厚センサ9を用いて膜厚計測装置13により計測される。さらに、蒸発源3から素子基板17に蒸着された第3の有機材料と上記第1,第2の有機材料とを合わせた3層の膜厚(トータル膜厚)は、膜厚センサ10,11,12を用いて膜厚計測装置13により計測される。
【0032】
このような有機材料の蒸着に際して、移動速度制御装置14は、膜厚センサ8,9,10,11,12及び膜厚計測装置13による有機材料の膜厚測定結果に基づいて、基板搬送装置14による素子基板17の移動速度(搬送速度)を制御する。また、蒸着速度制御装置16は、蒸着速度モニタ5,6,7による蒸着速度の検出結果に基づいて、それぞれに対応する蒸発源1,2,3からの有機材料の蒸発量を制御する。
【0033】
図2は移動速度制御装置によって実行される制御処理の一例を示すフローチャートである。先ず、膜厚計測装置13から入力される膜厚計測データを順に取得しつつ、予め設定された所定枚数分の膜厚計測データを収集する(ステップS1)。次に、収集した膜厚計測データを平均化することにより、膜厚制御に用いる膜厚計測値を求める(ステップS1,S2)。
【0034】
ここで、ステップS1では、常に最新のものから順に所定枚数分の膜厚計測データを収集する。また、ステップS1で適用される所定枚数は、実際に素子基板17に蒸着される有機材料の膜厚変動が処理枚数の増加や処理時間の経過にしたがって緩やかに変動することを考えると、複数枚に設定しておくことが望ましい。一方、ステップS2では、例えば、所定枚数が5枚に設定されていた場合は、5枚分の素子基板17の膜厚計測データを加算し、この加算値を基板枚数(5)で割り算することにより、膜厚計測値を求める。
【0035】
また、膜厚計測装置13から移動速度制御装置14に対しては、1枚の素子基板17(基板1枚あたり)の膜厚計測データとして、膜厚センサ8を用いて得られた膜厚計測データと、膜厚センサ9を用いて得られた膜厚計測データと、膜厚センサ10を用いて得られた膜厚計測データと、膜厚センサ11を用いて得られた膜厚計測データと、膜厚センサ12を用いて得られた膜計測データとが個別に入力される。
【0036】
このうち、膜厚センサ8を用いて得られた膜厚計測データ(以下、第1の膜厚計測データ)は、第1の有機材料からなる単層の膜厚計測データとなり、膜厚センサ9を用いて得られた膜厚計測データ(以下、第2の膜厚計測データ)は、第1の有機材料と第2の有機材料からなる2層の膜厚計測データとなる。よって、移動速度制御装置14において、第2の膜厚計測データから第1の膜厚計測データを減算(差し引き)することにより、第2の有機材料の膜厚を求めることができる。
【0037】
一方、膜厚センサ10,11,12を用いて得られた膜厚計測データ(以下、第3の膜厚計測データ)は、それぞれ素子基板17上での膜厚計測箇所が異なるものの、第1の有機材料、第2の有機材料及び第3の有機材料からなる3層の膜厚計測データとなる。このとき、移動速度制御装置14において、各々の膜厚センサ10,11,12を用いて得られた膜厚計測データを平均化することにより、膜厚計測の誤差を極力解消したかたちでトータル膜厚を求めることができる。こうして求めたトータル膜厚は、上記ステップS2で膜厚計測値を求めるときに、1枚の素子基板17を代表する膜厚計測データ(基板1枚あたりの膜厚計測データ)として採用される。また、移動速度制御装置14において、膜厚センサ10,11,12を用いて得られた膜厚計測データを相対的に比較することにより、素子基板17内での膜厚分布を把握することができる。さらに、移動速度制御装置14において、上述のように平均化した第3の膜厚計測データから第2の膜厚計測データを減算することにより、第3の有機材料の膜厚を求めることができる。
【0038】
続いて、移動速度制御装置14は、上記ステップS2での平均化処理によって得られた膜厚計測値と予め設定された目標値とを比較することにより、それらの差分を求める(ステップS3)。次いで、移動速度制御装置14は、先のステップS3で求めた差分、すなわち実際に計測された膜厚計測値と目標値とのずれが、予め設定された許容範囲内であるかどうかを判断する(ステップS4)。そして、許容範囲内であると判断した場合は上記ステップS1に戻り、許容範囲外であると判断した場合は次のステップS5に進む。
【0039】
その後、ステップS5において、移動速度制御装置14は、上記ステップS3で求めた差分値に適合する移動速度の補正データを、例えばメモリに格納された制御用データテーブルから読み出し、この読み出した補正データにしたがって、現在設定されている移動速度の制御データを変更(補正)する。このように移動速度制御装置14が移動速度の制御データを変更すると、変更後の制御データに基づく速度制御信号が移動速度制御装置14からモータ駆動装置15に送られる。そのため、モータ駆動装置15によって駆動される搬送モータ18の回転速度が変化し、これにしたがって素子基板14の移動速度も変化する。ちなみに、移動速度制御装置14による基板移動速度の変更は、コンベア19上への素子基板17を供給を一旦停止し、これによって蒸着が未完了の素子基板17がコンベア19上に存在しなくなった段階で行われる。
【0040】
また、速度変更によってコンベア19上での素子基板17の移動速度が速くなると、移動中に素子基板17に蒸着される有機材料の膜厚は薄くなり、逆に移動速度が遅くなると、移動中に素子基板17に蒸着される有機材料の膜厚は厚くなる。つまり、基板搬送装置4による素子基板17の移動速度と、この素子基板17に蒸着される有機材料の膜厚とは、反比例の関係にある。したがって、移動速度制御装置14では、膜厚計測値と目標値とのずれが許容範囲を超えていた場合(ステップS4で「No」と判断した場合)に、膜厚計測値が目標値よりも小さければ(トータル膜厚が所望値よりも薄ければ)、基板移動速度が現状よりも遅くなるように移動速度の制御データを変更し、膜厚計測値が目標値よりも大きければ(トータル膜厚が所望値よりも厚ければ)、基板移動速度が現状よりも速くなるように移動速度の制御データを変更する。
【0041】
これにより、素子基板17に蒸着される有機材料のトータル膜厚が所望値と一致するように、基板搬送装置4による素子基板17の移動速度が移動速度制御装置14によって制御される。一般に、有機材料の蒸着によって有機EL素子を構成する場合は、各有機層の個々の膜厚よりも、それらを合わせたトータルの膜厚の方が、有機EL素子としての特性や機能に大きな影響を及ぼす。したがって、トータル膜厚が所望の値となるように膜厚制御を行うことが、有機EL素子を構成するうえで非常に好ましいものとなる。
【0042】
その後、規定枚数分(例えば、1ロット分)の素子基板17の蒸着が全て終了したかどうかを確認し(ステップS6)、終了していない場合は上記ステップS1に戻り、終了した場合はその時点で一連の処理を抜ける。
【0043】
このように素子基板17に蒸着された有機材料の膜厚(本形態例ではトータル膜厚)を膜厚センサ8〜12及び膜厚計測装置13を用いて計測し、この計測結果に基づいて基板搬送装置4による素子基板17の移動速度を移動速度制御装置14で制御することにより、素子基板17に蒸着される有機材料の膜厚(トータル膜厚)を所望の値に一致するように制御することができる。また、素子基板17の移動速度を制御する場合は、実際に移動速度制御装置14が移動速度の制御データを変更してから素子基板17の移動速度が変化するまでの応答性に優れるため、処理条件の変更に伴う待ち時間の短縮によって有機材料の無駄な消費を抑えることができるとともに、有機材料の膜厚を安定的に制御することができる。さらに、素子基板17の移動速度は移動速度制御装置14で細かく調整可能であるため、素子基板17に蒸着される有機材料の膜厚を細かく制御(微調整)することができる。
【0044】
また、上述のように素子基板17に有機材料を蒸着させる場合、蒸着速度制御装置16は、蒸着速度モニタ5による蒸着速度の検出結果に基づいて、当該蒸着速度が一定となるように蒸発源1からの有機材料の蒸発量を制御することにより、第1の有機材料からなる薄膜層の膜厚を制御する。また、蒸着速度制御装置16は、蒸着速度モニタ6による蒸着速度の検出結果に基づいて、当該蒸着速度が一定となるように蒸発源2からの有機材料の蒸発量を制御することにより、第2の有機材料からなる薄膜層の膜厚を制御する一方、蒸着速度モニタ7による蒸着速度の検出結果に基づいて、当該蒸着速度が一定となるように蒸発源3からの有機材料の蒸発量を制御することにより、第3の有機材料からなる薄膜層の膜厚を制御する。
【0045】
このような蒸着速度制御装置16による蒸着速度の制御(レート制御)と、移動速度制御装置14による基板移動速度の制御とを並行して行うようにすれば、膜厚制御のパラメータが増えるため、素子基板17に蒸着される有機材料の膜厚をより高精度に制御することが可能となる。また、移動速度制御装置14による基板移動速度の制御を行うことにより、素子基板17に蒸着される有機材料の膜厚を制御するのと合わせて、レート制御を行うときのオフセット等で生じる膜厚の誤差を補正することが可能となる。
【0046】
また、素子基板17の移動経路上(途中)に膜厚センサ8,9を設けることにより、蒸発源1によって素子基板17に蒸着される第1の有機材料の膜厚と、蒸発源2によって素子基板17に蒸着される第2の有機材料の膜厚と、蒸発源3によって素子基板17に蒸着される第3の有機材料の膜厚を、それぞれ個別に求めることができるとともに、トータル膜厚に占める、各々(第1〜第3)の有機材料の膜厚比率を求めることができる。したがって、膜厚計測装置13から送られる膜厚計測データ(膜厚計測結果)を蒸着速度制御装置16に取り込み、その膜厚計測データに基づいて、各々の蒸発源1,2,3からの有機材料の蒸発量を個別に制御することにより、有機層のトータル膜厚を変えることなく、各々の有機材料の膜厚比率を変えることが可能となる。
【0047】
なお、上記実施形態においては、複数の蒸発源1,2,3を備えた装置構成を例に挙げて説明したが、これ以外にも、一つの蒸発源だけを備えた装置構成であっても同様に適用可能である。また、蒸発源の構成としては、それぞれ異なる材料を蒸発させる2つの蒸発源を近接配置して共蒸着を行うものであってもよい。
【0048】
また、上記実施形態においては、移動速度制御装置14と蒸着速度制御装置16を個別に備えた装置構成を例に挙げて説明したが、本発明はこれに限らず、例えば、移動速度制御装置14と蒸着速度制御装置16を一つにまとめた共通の制御装置として構成することも可能であり、また蒸着装置全体の処理動作を制御する制御装置に含むように構成することも可能である。
【0049】
【発明の効果】
以上説明したように本発明の有機電界発光素子の製造装置によれば、蒸発源を用いて素子基板に蒸着させた有機材料の膜厚を膜厚計測手段で計測し、この計測結果に基づいて、蒸発源と素子基板との相対的な移動速度を移動速度制御手段で制御することにより、素子基板に蒸着される有機材料の膜厚を、優れた応答性をもって安定的に制御することができる。
【0050】
また、本発明の有機電界発光素子の製造方法によれば、素子基板に蒸着させた有機材料の膜厚を計測し、この計測結果に基づいて、蒸発源と素子基板との相対的な移動速度を制御することにより、素子基板に蒸着される有機材料の膜厚を、優れた応答性をもって安定的に制御することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係る有機電界発光素子の製造装置の構成例を示す概略図である。
【図2】移動速度制御装置によって実行される制御処理の一例を示すフローチャートである。
【符号の説明】
1,2,3…蒸発源、4…基板搬送装置、5,6,7…蒸着速度モニタ、8,9,10,11,12…膜厚センサ、13…膜厚計測装置、14…移動速度制御装置、16…蒸着速度制御装置、17…素子基板、18…搬送モータ、19…コンベア
Claims (5)
- 有機電界発光素子の素子基板に有機材料を蒸着させる際に用いられる有機電界発光素子の製造装置であって、
有機材料を蒸発させるライン状の蒸発源と、
前記蒸発源のライン方向と直交する方向で、前記蒸発源と前記素子基板とを相対的に移動させる移動手段と、
前記蒸発源を用いて前記素子基板に蒸着させた有機材料の膜厚を計測する膜厚計測手段と、
前記膜厚計測手段の計測結果に基づいて、前記移動手段による相対的な移動速度を制御する移動速度制御手段と
を備えることを特徴とする有機電界発光素子の製造装置。 - 前記ライン状の蒸発源は、当該蒸発源のライン方向と直交する方向に複数並べて設けられ、
前記移動手段は、前記複数の蒸発源と対向する位置を前記素子基板が順に通過するように、前記蒸発源と前記素子基板とを相対的に移動させる
ことを特徴とする請求項1記載の有機電界発光素子の製造装置。 - 前記移動速度制御手段は、前記膜厚計測手段による計測結果に基づいて、前記複数の蒸発源と対向する位置を順に通過する前記素子基板に蒸着される有機材料のトータル膜厚が所望値と一致するように、前記移動手段による相対的な移動速度を制御する
ことを特徴とする請求項1記載の有機電界発光素子の製造装置。 - 前記蒸発源によって前記素子基板に蒸着される有機材料の蒸着速度を検出する検出手段と、
前記検出手段の検出結果に基づいて、前記蒸発源からの有機材料の蒸発量を制御する蒸発量制御手段と
を具備することを特徴とする請求項1記載の有機電界発光素子の製造装置。 - 有機電界発光素子の素子基板に有機材料を蒸着させる際に用いられる有機電界発光素子の製造方法であって、
ライン状の蒸発源から有機材料を蒸発させるとともに、前記蒸発源のライン方向と直交する方向で前記蒸発源と前記素子基板とを相対的に移動させることにより、前記素子基板に有機材料を蒸着させる工程と、
前記素子基板に蒸着させた有機材料の膜厚を計測し、この計測結果に基づいて、前記蒸発源と前記素子基板との相対的な移動速度を制御する工程と
を含むことを特徴とする有機電界発光素子の製造方法。
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