JP2004246583A - 画像処理装置、画像処理方法、およびプログラム - Google Patents
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Abstract
【解決手段】PCは、複数のプリンタにPDFファイルなどの文書ファイルを並行して送信する場合(S103でYES)、印刷すべき文書ファイル中の使用フォントのグリフ記述を、当該文書ファイル内において検出し(S104)、当該検出結果に基づき使用フォントのグリフ記述が文書ファイル内に存在しないと判断されるとき(S105でNO)、そのフォントのグリフ記述を文書ファイル内に埋め込むための埋込処理を行う(S107)。
【選択図】 図6
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、画像処理装置、画像処理方法、およびプログラムに関し、特に、印刷の効率を上げるために複数の画像形成装置にデータを並行して送信して印刷させることが可能な画像処理装置、画像処理方法、およびプログラムに関する。
【0002】
【従来の技術】
プリンタなどの画像形成装置を用いて大量の用紙を印刷出力する場合、プリンタを複数台用いて並行して印刷することで作業時間の短縮を図ることができる。このように複数のプリンタで並行して印刷を行うことを分散プリント(Cluster Printing)と呼ぶ。
【0003】
同じ文書ファイルに基づいて分散プリントが行われる場合、複数のプリンタの各々で得られる印刷物の品質は、当然ながら同一であることが求められる。
【0004】
しかし、多数の機器がLANなどのネットワークに接続されて構成されるネットワークシステムには、印刷物の品質が多少なりとも異なる各種のプリンタが含まれる場合がある。この場合、分散プリントを実行すると、プリンタによって違った品質の印刷物が混在して得られる結果となり、ユーザに違和感を与えてしまうという問題があった。
【0005】
このような問題を解決するための1つの方法として、カラーの分散プリントを行った場合に、各プリンタで得られる印刷物の色味の差を無くすように調整する技術が知られている(たとえば、特許文献1参照)。
【0006】
【特許文献1】
特開2002−152545号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記特許文献1に記載の装置にあっては、分散プリントにおいて、印刷物の色味の差を無くすことができるだけで、印刷物における文字に適用されるフォントの差を解消することはできない。すなわち、各プリンタに搭載されている異なる複数のフォントが分散プリントで使用されるおそれがある。
【0008】
この場合、プリンタによって違ったフォントを使用した印刷物が混在して得られる結果、ユーザに違和感を与えてしまうばかりでなく、文字幅が異なるために改行位置がずれてレイアウトが大きく変化してしまうおそれもある。
【0009】
本発明は、上述の課題を解決するためになされたものであり、本発明の目的は、複数の画像形成装置に文書ファイルを並行して送信して、各々の画像形成装置でフォントおよびレイアウトの同一性を保持して印刷させることが可能な画像処理装置、画像処理方法、およびプログラムを提供することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明の上記目的は、下記の手段によって達成される。
【0011】
(1)フォントのグラフィック形状を規定するグリフ記述を埋め込み可能な形式の文書ファイルを、プリントデータに変換せずに画像形成装置に送信するための画像処理装置であって、複数の画像形成装置に文書ファイルを並行して送信する場合、印刷すべき文書ファイル中で使用されている所定のフォントのグリフ記述を、当該文書ファイル内において検出するための検出手段と、前記検出手段による検出結果に基づき前記所定のフォントのグリフ記述が前記文書ファイル内に存在しないと判断される場合、前記所定のフォントのグリフ記述を前記文書ファイル内に埋め込むための埋込処理を、前記文書ファイルに対して施す埋込手段とを有する画像処理装置。
【0012】
(2)前記検出手段による検出結果に基づき前記所定のフォントのグリフ記述が前記文書ファイル内に存在しないと判断される場合、前記所定のフォントのグリフ記述と文書ファイルの送信先の画像形成装置に保存されているフォントのグリフ記述とを、前記複数の画像形成装置の各々について比較する比較手段をさらに有し、前記埋込手段は、前記比較手段による比較結果に基づき前記所定のフォントのグリフ記述が保存されていないと判断される画像形成装置に送信するための文書ファイルに対して、前記埋込処理を施す上記(1)に記載の画像処理装置。
【0013】
(3)前記文書ファイルは、PDF(Portable Document Format)ファイルである上記(1)または(2)に記載の画像処理装置。
【0014】
(4)フォントのグラフィック形状を規定するグリフ記述を埋め込み可能な形式の文書ファイルを、プリントデータに変換せずに画像形成装置に送信するための画像処理装置で用いられるプログラムであって、複数の画像形成装置に文書ファイルを並行して送信する場合、印刷すべき文書ファイル中で使用されている所定のフォントのグリフ記述を、当該文書ファイル内において検出するための検出手順と、前記検出手順における検出結果に基づき前記所定のフォントのグリフ記述が前記文書ファイル内に存在しないと判断される場合、前記所定のフォントのグリフ記述を前記文書ファイル内に埋め込むための埋込処理を、前記文書ファイルに対して施す埋込手順とを前記画像処理装置に実行させるためのプログラム。
【0015】
(5)フォントのグラフィック形状を規定するグリフ記述を埋め込み可能な形式の文書ファイルを、プリントデータに変換せずに画像形成装置に送信するための画像処理方法であって、複数の画像形成装置に文書ファイルを並行して送信する場合、印刷すべき文書ファイル中で使用されている所定のフォントのグリフ記述を、当該文書ファイル内において検出するための検出ステップと、前記検出ステップにおける検出結果に基づき前記所定のフォントのグリフ記述が前記文書ファイル内に存在しないと判断される場合、前記所定のフォントのグリフ記述を前記文書ファイル内に埋め込むための埋込処理を、前記文書ファイルに対して施す埋込ステップとを有する画像処理方法。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態を説明する。
【0017】
図1は、本発明の第1実施形態に係るPCが適用されたプリントシステムの構成を示すブロック図である。
【0018】
図1に示すように、プリントシステムは、画像処理装置としての機能を有するPC100A、100Bと、画像形成装置としてのプリンタ200A、200B、200Cとを備え、これらはネットワーク300を介して相互に通信可能に接続されている。ネットワーク300は、イーサネット(R)、トークンリング、FDDI等の規格によるLANや、LAN同士を専用線で接続したWAN等からなる。
【0019】
なお、ネットワークに接続される機器の種類および台数は、図1に示す例に限定されない。また、プリンタは、ネットワーク300を介することなく、PCと直接機器間で接続(ローカル接続)されていてもよい。
【0020】
図2は、図1に示されるPC100A、100Bの構成を示すブロック図である。図2に示すように、PCは、装置全体の制御および各種演算処理を行うCPU101、プログラムやデータを格納するためのROM102、作業領域として一時的にプログラムやデータを記憶するためのRAM103、各種のプログラムやデータを保存するための外部記憶装置としてのハードディスク104、各種情報の表示のための液晶ディスプレイなどの表示部105、各種指示の入力のためのキーボードやマウスなどからなる入力部106、およびネットワーク300に接続するためのLANカードなどのネットワークインタフェース107を含み、これらは信号を遣り取りするためのバス108を介して相互に接続されている。
【0021】
図3は、図1に示されるプリンタ200A、200B、200Cの構成を示すブロック図である。図3に示すように、プリンタは、CPU201、ROM202、RAM203、操作パネル部204、印刷部205、およびネットワークインタフェース206を含み、これらは信号を遣り取りするためのバス207を介して相互に接続されている。なお、プリンタ200A、200B、200Cの構成要素のうち、PC100A、100Bの構成要素と同様の機能を有する部分についての重複する説明を省略する。
【0022】
RAM203は、PCから受信したデータを一時的に記憶できる。ROM202には、文字の書体を示すフォントに関する情報が格納される。なお、プリンタ200は、各種のプログラムやデータを保存するための外部記憶装置としてのハードディスクを有していてもよい。操作パネル部204は、各種情報の表示および各種指示の入力に使用される。印刷部205は、電子写真式プロセス等の周知の作像プロセスを用いて、各種データを用紙などの記録材上に印刷する。
【0023】
PCおよびプリンタは、上述した構成要素以外の構成要素を含んでいてもよく、あるいは、上述した構成要素のうちの一部が含まれていなくてもよい。以下においては、PC100Aまたは100Bから、プリンタ200A、200B、および200Cにデータが並行して送信されて、印刷が行われる場合について、主として説明する。なお、PC100Aまたは100Bは、プリンタ200A、200B、または200Cのいずれか1つにデータを送信して印刷を行うことも可能である。
【0024】
図1に示されるプリントシステムでは、通常プリントと、PDFダイレクトプリントとの2種類の印刷が実行可能である。通常プリントを実行する場合、所定のファイルは、PCのハードディスク104にインストールされたプリンタドライバによってPS等のPDLで記述されたプリントデータに変換された後、プリンタに送信される。一方、PDFダイレクトプリントを実行する場合、PDFファイルは、ハードディスク104にインストールされた後述するプログラムにしたがって、プリントデータに変換されることなく、PCからプリンタに送信される。
【0025】
ここで、図4および図5を参照して、標準的なPDFファイルの構造および解析方法について簡単に説明する。図4は、標準的なPDFファイルの構成を説明するための図、図5は、PDFファイルのサンプルを示す図である。なお、図4および図5は、「PDF Reference third edition Adobe Portable Document Format Version 1.4」(アドビシステムズ社)を参考にして作成されている。
【0026】
図4および図5に示すように、標準的なPDFファイル500は、ヘッダ510、ボディ520、相互参照表530、およびトレーラ540から構成される。
【0027】
ヘッダ510には、「%」で始まるコメントが記述される。
【0028】
ボディ520は、複数のオブジェクトから構成される(図5ではオブジェクト1〜6)。オブジェクトとは、文書を構成する個々の要素をいう。
【0029】
オブジェクトには、たとえば、文書の構造情報、ページの構成を示す情報、文字の書体を示すフォントに関する情報、文字コードで表された文字データを含む文字情報、線などの図形の集まりで表された図形データを含む図形情報、および画素の集まりで表された画像データを含む画像情報などの各種情報が記述される。フォントに関する情報にはフォントのグリフ記述が含まれる。グリフ記述は、フォントに関するグラフィック形状を規定する。すなわち、PDFファイルは、当該ファイル内にフォントのグリフ記述を埋め込むことが可能な形式で記述されている(フォントエンベディッド機能)。PDFファイル内にフォントのグリフ記述が埋め込まれていることを、以下、PDFファイルにフォントがエンベディッドされているという。フォントがエンベディッドされたPDFファイルは、ファイル作成時に意図したフォント、およびレイアウトを保障する。なお、PDFファイルにエンベディッド可能なフォントのタイプとしては、True Type、Open Type、およびCID(Character Identifier)形式のPSフォントが挙げられる。
【0030】
図5のボディ520において、たとえば「1 0 obj」における最初の数字およびその次の数字は、それぞれオブジェクトのID番号および生成番号(generation)を表す。
【0031】
相互参照表530は、ファイル内におけるオブジェクトの位置を示す参照情報である。相互参照表530において、各オブジェクトの位置がオフセットで表される。ここで、オフセットとは、ファイル先頭から注目するデータの先頭までのバイト数をいう。これにより、ボディ520に並んでいるオブジェクトに対して、ランダムにアクセスすることが可能となる。
【0032】
トレーラ540は、ファイルの解析開始時にアクセスすべき情報である。具体的には、トレーラ540には、ファイル内における相互参照表530の位置を示す情報(オフセット)、および最初に参照すべきオブジェクト(階層構造のルートとなるルートオブジェクト)の番号が記述される。このトレーラ540は、ファイルの末尾部分に存在する。
【0033】
PDFファイルを解析する装置は、標準的なPDFファイルを解析する場合、まずファイルの末尾部分にあるトレーラ540を解析し、次いで相互参照表530を解析する。そして、これらの解析で得られた情報に基づいて、ボディ520に記述されたページの内容を解析することができる。オブジェクトには、次に必要となるデータが記述された別のオブジェクトの番号が含まれている。このため、次に必要なオブジェクトの番号をたどることにより、PDFファイルの全体的な解析が可能となる。したがって、オブジェクトは、PDFファイルのボディ内においてオブジェクト単位で任意の順序で記述されることができ、結果として、ページ順と異なる順序でファイル内に配置可能となる。
【0034】
次に、図6〜図10を参照して、PCで行われる処理について説明する。なお、図6のフローチャートにより示されるアルゴリズムは、PCのハードディスク104などの記憶部にプログラムとして記憶されており、CPU101により実行される。
【0035】
ここでは、PDFファイルに対して、プリンタドライバを使用した通常プリントではなく、PDFダイレクトプリントが実行され、プリンタでPDFファイルの印刷が行われる場合について説明する。
【0036】
まず、ユーザによるPDFダイレクトプリントの実行の指示の前に、初期設定が行われる(S101)。初期設定には、印刷条件の設定が含まれる。印刷条件は、入力部106を通したユーザの操作に基づいて設定される。印刷条件には、印刷部数、複数のプリンタで並行して印刷を行う分散プリントの指定、および送信先のプリンタの指定が含まれる。ただし、印刷条件には、他の属性が含まれていてもよく、上記した属性の一部が省略されていてもよい。なお、印刷条件は、プリンタにおいて操作パネル部204を通して設定されてもよい。
【0037】
ステップS101における初期設定が終了した後、PCは、ユーザによるPDFファイルに対するPDFダイレクトプリントの実行の指示を受け付ける(S102)。ここで、PCのデスクトップ上には、PDFダイレクトプリントについてのアプリケーションプログラムファイルのアイコンがあらかじめ表示される。ユーザは、PDFファイルを当該アイコンにドラッグ&ドロップしてアプリケーションプログラムを起動することにより、PDFダイレクトプリントの実行の指示を行うことができる。なお、PDFダイレクトプリントの実行の指示は、他の方法により行われてもよい。
【0038】
続いて、分散プリントの指定がされているか否かが判断される(S103)。分散プリントの指定がされていない場合(S103でNO)、すなわち、1台のプリンタを用いた印刷処理の場合、ステップS108に進んで、そのまま送信処理が行われる。
【0039】
分散プリントの指定がされている場合(S103でYES)、印刷すべきPDFファイルの構造が解析される(S104)。具体的には、フォントのグリフ記述を含むオブジェクトの検出が行われる。
【0040】
そして、ステップS103における解析結果に基づきPDFファイル中で使用されているフォント(以下、「使用フォント」という)がすべてエンベディッドされているか否かが判断される(S105)。
【0041】
図7は、使用フォントがエンベディッドされていないPDFファイルの一例を示す図である。図7に示すPDFファイル501は、フォントに関する情報が記述されたオブジェクト521および522を含む。図7に示すPDFファイル501の場合、フォントそのものの情報はオブジェクト521(「4 0 obj」)に、フォントの属性情報はフォントデスクリプタ(「FontDescriptor」)と呼ばれるオブジェクト522(「9 0 obj」)に、それぞれ記述されている。
【0042】
オブジェクト521の中で、フォントデスクリプタの内容はオブジェクト522(「9 0 obj」)に記述されていることが示されている。
【0043】
PDFファイルにフォントがエンベディッドされている場合、フォントデスクリプタのオブジェクト522には、フォントがエンベディッドされているという情報、すなわち、フォントのグリフ記述が埋め込まれたオブジェクトを指定するキーである「FontFile」「FontFile2」、あるいは「FontFile3」が存在するはずである。つまり、PDFファイルに所定のフォントがエンベディッドされているか否かは、フォントデスクリプタのオブジェクト522に、キーである「FontFile」「FontFile2」、あるいは「FontFile3」が存在するか否かによって判断され得る(図7ではいずれのキーも存在しない)。
【0044】
PDFファイル中の使用フォントがすべてエンベディッドされている場合(S105でYES)、ステップS108に進む。
【0045】
PDFファイル中の使用フォントのうち、エンベディッドされていないものが1つでもある場合(S105でNO)、エンベディッドされていない使用フォントのグリフ記述が自己のPCに搭載されているか否かが判断される(S106)。このとき、自己のPCに搭載されているフォントに関する情報が取得される。ただし、フォントに関する情報は、ステップS106の処理以前であればいつ取得されてもよい。
【0046】
エンベディッドされていない使用フォントのグリフ記述が自己のPCに搭載されている場合(S106でYES)、使用フォントのグリフ記述を取得し、取得されたグリフ記述をPDFファイル内に埋め込むための埋込処理が行われる(S107)。一方、エンベディッドされていない使用フォントのグリフ記述が自己のPCに搭載されていない場合(S106でNO)、グリフ記述の埋込処理は行われずに、ステップS108に進む。ただし、エンベディッドされていない使用フォントのグリフ記述が自己のPC以外のサーバなどの他の機器から取得され、取得されたフォントのグリフ記述を用いて埋込処理が行われてもよい。
【0047】
図8および図9は、グリフ記述の埋込処理が施された後のPDFファイルの一例のそれぞれ前半部分および後半部分を示す図である。図8および図9に示すPDFファイル501aは、図7のPDFファイル501に対してグリフ記述の埋込処理が施されて得られたものである。
【0048】
グリフ記述の埋込処理において、具体的には、図7〜図9に示すように、フォントのグリフ記述を含むオブジェクト523が追加される(図8の▲3▼参照)。図8および図9の場合、グリフ記述はフォントファイルと呼ばれるオブジェクト523(「1 0 obj」)に記述されている。また、フォントデスクリプタのオブジェクト522aにおいて属性のキーである「FontFile」「FontFile2」、あるいは「FontFile3」と、その値であるオブジェクト参照とが追加される(図8の▲2▼参照、図8では「FontFile2」を追加)。また、フォント属性の「BaseFont」および「FontName」などの値は、必要に応じて変更される(図8および図9の▲1▼▲4▼参照)。さらに、相互参照表530の中に記述されている各オブジェクトのオフセット、およびトレーラ540の中に記述されている相互参照表530のオフセットが修正される(図9の▲5▼▲6▼参照)。これは、PDFファイルの内容を追加あるいは変更すると、各オブジェクトのオフセットが変化するからである。
【0049】
グリフ記述の埋込処理が終了すると、埋込処理が施されたPDFファイルの送信処理が行われる(S108)。ここで、埋込処理が施されたPDFファイルは、PCから送信先の複数のプリンタに、当該プリンタがサポートする所定のプロトコルにしたがって並行して送信される。
【0050】
図10は、グリフ記述の埋込処理を説明するための概念図である。図10において、プリンタ200A〜200Cは、たとえばPSファイルを解析可能なプリンタ(PSプリンタ)である。また、プリンタフォントとして、プリンタ200Aは平成明朝および平成角ゴシックを、プリンタ200BはリュウミンL−KLおよび中ゴシックBBBを、プリンタ200CはリュウミンL−KLおよび中ゴシックBBBを、それぞれ搭載している。
【0051】
ここで、1台のPC100Aまたは100Bから複数のプリンタ200A〜200CにPDFファイルを並行して送信し、当該複数のプリンタで並行して印刷を行う分散プリントが行われる場合について説明する。たとえば、図10に示すPC100Aが100ページの画像データを3部印刷(合計300ページを印刷)するジョブを送信するとき、3台のプリンタ200A〜200Cの各々で並行して100ページずつプリントされる。また、たとえば、PC100Aが900ページの印刷を行うジョブを送信するとき、1〜300ページ、301〜600ページ、および601〜900ページにデータが分割され、3台のプリンタ200A〜200Cの各々で並行して300ページずつ印刷される。これにより、プリント完了までの時間は、1台のプリンタで処理を行うときの約1/3になる。
【0052】
具体的に、PC100Aで作成されたPDFファイル502が、プリンタ200A〜200Cに並行して送信される場合を想定する。ここで、PDFファイル502の使用フォントは、True Type、Open Type、およびCID形式のPSフォントの平成明朝であり、かかるフォントはPDFファイル502にエンベディッドされている。したがって、PDFファイル502に対してグリフ記述の埋込処理は施されず、PDFファイル502がそのままPC100Aからプリンタ200A〜200Cに並行して送信される。
【0053】
また、PC100Bで作成されたPDFファイル503が、プリンタ200A〜200Cに並行して送信される場合を想定する。ここで、PDFファイル503の使用フォントは、True Type、Open Type、およびCID形式のPSフォントの平成明朝であり、かかるフォントはPDFファイル503にエンベディッドされていない。したがって、PDFファイル503に対してグリフ記述の埋込処理が施され、埋込処理が施されたPDFファイルが、PC100Bからプリンタ200A〜200Cに並行して送信される。
【0054】
次に、図11および図12を参照して、各プリンタ200A〜200Cで行われる処理について説明する。なお、図11および図12のフローチャートにより示されるアルゴリズムは、プリンタのROM202などの記憶部にプログラムとして記憶されており、CPU201により実行される。
【0055】
ここでは、各プリンタが、PCから並行して送信される印刷すべきPDFファイルを受信して、受信したPDFファイルに対して、PDFダイレクトプリントを実行する場合について、以下に説明する。
【0056】
まず、プリンタは、PCから送信されたPDFファイルを受信する(S201)。受信したPDFファイルの全体は、一括してメモリに保存される。なお、ハードディスクを装備したプリンタの場合、PDFファイルの全体は、メモリに十分な空き容量がある場合にはメモリに、メモリに十分な空き容量がない場合にはハードディスクに保存される。ファイルのメモリへの保存中にメモリの空き容量が足りなくなった場合には、メモリに保存済みのデータがハードディスクにスワップされ、ファイルの保存場所がハードディスクに変更される。
【0057】
続いて、受信したPDFファイルのRIP(Raster Image Processing)処理が行われる(S202)。ここで、印刷条件を考慮しつつPDFファイルを解析することにより印刷すべきデータがページ単位で取得され、取得されたデータから、ビットマップ形式にラスタライズされたラスタデータが作成される。PDFファイルのRIP処理についての詳細は後述する。
【0058】
作成されたラスタデータは、印刷部205へ出力され(S203)、用紙上に印刷される(S204)。なお、PDFファイルの全ページ分の印刷が完了するまで、ラスタデータの印刷部205への出力、および印刷処理が続けられる。
【0059】
次に、図12を参照して、図11のステップS202におけるRIP処理について説明する。
【0060】
RIP処理においては、まず、受信したPDFファイルの解析処理が行われる(S301)。ここで、プリンタは、トレーラ540および相互参照表530(図4および図5参照)の解析結果と、印刷条件とに基づいてPDFファイルを解析して、印刷すべきデータをページ単位で取得する。
【0061】
ステップS302では、印刷に必要なフォントのグリフ記述が、PDFファイル内に埋め込まれているか否かが判断される。
【0062】
必要なグリフ記述がPDFファイル内に埋め込まれている場合(S302でYES)、埋め込まれたグリフ記述を使用して、中間言語の作成が行われる(S304)。
【0063】
一方、必要なグリフ記述がPDFファイル内に埋め込まれていない場合(S302でNO)、ステップS303に進んで、所定の置換表に基づいて、PDFファイル中の使用フォントに対応したプリンタフォントがROM202などの記憶部から抽出される。
【0064】
続いて、抽出されたプリンタフォントのグリフ記述を使用して、ステップS301で取得された印刷すべきデータについて、プリンタで内部処理可能な形式の中間言語が作成される(S304)。
【0065】
そして、作成された中間言語から、ビットマップ形式のラスタデータが作成される(S305)。なお、図12に示す処理は、PDFファイルの全ページについて行われる。
【0066】
このように第1実施形態によれば、PCは、複数のプリンタにPDFファイルなどの文書ファイルを並行して送信する場合、印刷すべき文書ファイル中の使用フォントのグリフ記述を、当該文書ファイル内において検出し、当該検出結果に基づき使用フォントのグリフ記述が文書ファイル内に存在しないと判断されるとき、そのフォントのグリフ記述を文書ファイル内に埋め込むための埋込処理を行う。
【0067】
したがって、複数のプリンタの各々でフォントの同一性を保持して印刷させることが可能となる。これにより、各プリンタで得られる印刷物において、ファイル作成時に意図したフォント、およびレイアウトを保障することができる。また、日本語のPDFファイルを他言語であるたとえば英語対応のプリンタに送信した場合であっても、文字化けなどの不具合が防止される。
【0068】
次に、本発明の第2実施形態について説明する。以下、第1実施形態と相違する点を中心に説明する。
【0069】
図13は、本発明の第2実施形態に係るPCで行われる処理について説明するためのフローチャートである。なお、図13のフローチャートにより示されるアルゴリズムは、PCのハードディスク104などの記憶部にプログラムとして記憶されており、CPU101により実行される。
【0070】
第2実施形態に係るPCは、複数のプリンタにPDFファイルを並行して送信する場合、使用フォントのグリフ記述がPDFファイル内に存在しないと判断されるとき、その使用フォントのグリフ記述が搭載されていないプリンタに送信するためのPDFファイルに対して埋込処理を施す点で、プリンタフォントにかかわらずに各プリンタに送信するためのPDFファイルに対して埋込処理を施す第1実施形態に係るPCと相違する。
【0071】
まず、ステップS401では、初期設定が行われるが、この初期設定には、印刷条件の設定とともに、プリンタの固有情報の設定が含まれる。
【0072】
プリンタの固有情報には、プリンタフォントに関する情報が含まれる。PCは、送信先のプリンタに要求することにより、プリンタフォントに関する情報を取得する。ただし、プリンタフォントに関する情報は、後述するステップS406の処理以前であればいつ取得されてもよく、たとえば、PCにおいてプリンタフォントに関する情報があらかじめ登録されてもよい。
【0073】
図13のステップS402〜S405、S407、S408、およびS410は、図6のステップS102〜S108と、それぞれ同様である。図13のフローチャートでは、図6のフローチャートに対してステップS406およびS409が加入されている。
【0074】
PDFファイル中の使用フォントのうち、エンベディッドされていないものが1つでもある場合(S405でNO)、エンベディッドされていない使用フォントのグリフ記述とPDFファイルの送信先のプリンタに搭載されているフォントのグリフ記述とが、複数のプリンタの各々について比較され、当該比較結果に基づきPDFファイル内にエンベディッドされていない使用フォントのグリフ記述が送信先のプリンタに搭載されているか否かが判断される(S406)。
【0075】
PDFファイル内にエンベディッドされていない使用フォントのグリフ記述が送信先のプリンタに搭載されている場合(S406でYES)、かかるフォントのグリフ記述をPDFファイル内に埋め込む必要がないため、ステップS409に進む。
【0076】
一方、PDFファイル内にエンベディッドされていない使用フォントのグリフ記述が送信先のプリンタに搭載されていない場合(S406でNO)、ステップS407に進み、自己のPCに搭載されている場合には(S407でYES)、使用フォントのグリフ記述をPDFファイル内に埋め込むための埋込処理が行われる(S408)。
【0077】
ステップS409では、送信先のすべてのプリンタについて、必要な埋込処理が終了したか否かが判断される(S409)。すなわち、複数のプリンタの各々についてS406〜S409の処理が繰り返される。
【0078】
すべてのプリンタについて必要な埋込処理が終了した場合(S409でYES)、必要な埋込処理が施されたPDFファイルの送信処理が行われる(S410)。ただし、プリンタごとに、送信すべきPDFファイルへの必要な埋込処理が終了した時点で、送信処理が行われてもよい。
【0079】
次に、図10を参照して、第2実施形態に係るPCで行われるグリフ記述の埋込処理について説明する。
【0080】
具体的に、PC100Aで作成されたPDFファイル502が、プリンタ200A〜200Cに並行して送信される場合を想定する。この場合、第1実施形態と同様であるため説明を省略する。
【0081】
また、PC100Bで作成されたPDFファイル503が、プリンタ200A〜200Cに並行して送信される場合を想定する。ここで、PDFファイル503の使用フォントは、PDFファイル503にエンベディッドされていない。この場合、第2実施形態では、送信先のプリンタごとにPDFファイル503に対する埋込処理の要否が判断される。まず、プリンタ200AにPDFファイル503を送信する場合、True Type、およびOpen Typeのグリフ記述はプリンタ200Aに保存されていないため当該フォントのグリフ記述がファイル内に埋め込まれ、一方、平成明朝のグリフ記述はプリンタ200Aに保存されているため当該フォントのグリフ記述はファイル内に埋め込まれない。次に、プリンタ200Bまたは200CにPDFファイル503を送信する場合、True Type、Open Type、およびCID形式のPSフォントの平成明朝のいずれのグリフ記述もプリンタ200Bまたは200Cに保存されていないため当該フォントのグリフ記述がファイル内に埋め込まれる。
【0082】
このように第2実施形態によれば、不必要な埋込処理を排除することにより、送信されるPDFファイルのデータサイズの増大を抑えることができる。したがって、送信時間の短縮、およびプリンタのメモリにおける使用領域の軽減を図りつつ、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0083】
本発明は、上述した実施形態のみに限定されるものではなく、特許請求の範囲内において、種々改変することができる。
【0084】
たとえば、画像処理装置としての機能を有する装置として、PCの代わりに、たとえばワークステーション、サーバなどのコンピュータが用いられてもよい。また、プリンタの代わりに、ファクシミリ装置、コピー機、およびそれらを複合した機能を有する多機能周辺機器(MFP:Multi−Function Peripheral)などの画像形成装置が用いられてもよい。
【0085】
本発明において、画像処理装置における各種処理を行う手段および方法は、専用のハードウェア回路、またはプログラムされたコンピュータのいずれによっても実現することが可能である。上記プログラムは、例えばフレキシブルディスクやCD−ROMなどのコンピュータ読み取り可能な記録媒体によって提供されてもよいし、インターネット等のネットワークを介してオンラインで提供されてもよい。この場合、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録されたプログラムは、通常、ハードディスク等の記憶装置に転送されて記憶される。また、上記プログラムは、単独のアプリケーションソフトとして提供されてもよいし、装置の一機能としてその装置のソフトウェアに組み込まれてもよい。
【0086】
なお、上述した本発明の実施形態には、特許請求の範囲の請求項1〜5に記載した発明以外にも、以下の付記1〜3に示すような発明が含まれる。
【0087】
[付記1] 前記文書ファイルは、PDF(Portable Document Format)ファイルである請求項4に記載のプログラム。
【0088】
[付記2] 請求項4または付記1に記載のプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
【0089】
[付記3] 前記文書ファイルは、PDF(Portable Document Format)ファイルである請求項5に記載の画像処理方法。
【0090】
【発明の効果】
上述したように、本発明によれば、複数の画像形成装置の各々でフォントの同一性を保持して印刷させることが可能となる。これにより、各画像形成装置で得られる印刷物において、ファイル作成時に意図したフォント、およびレイアウトを保障することができる。また、日本語の文書ファイルを他言語であるたとえば英語対応のプリンタに送信した場合であっても、文字化けなどの不具合が防止される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態に係るPCが適用されたプリントシステムの構成を示すブロック図である。
【図2】図1に示されるPCの構成を示すブロック図である。
【図3】図1に示されるプリンタの構成を示すブロック図である。
【図4】標準的なPDFファイルの構成を説明するための図である。
【図5】PDFファイルのサンプルを示す図である。
【図6】PCで行われる処理について説明するためのフローチャートである。
【図7】使用フォントがエンベディッドされていないPDFファイルの一例を示す図である。
【図8】グリフ記述の埋込処理が施された後のPDFファイルの一例の前半部分を示す図である。
【図9】グリフ記述の埋込処理が施された後のPDFファイルの一例の後半部分を示す図である。
【図10】グリフ記述の埋込処理を説明するための概念図である。
【図11】プリンタで行われる処理について説明するためのフローチャートである。
【図12】図11に示されるRIP処理について説明するためのフローチャートである。
【図13】本発明の第2実施形態に係るPCで行われる処理について説明するためのフローチャートである。
【符号の説明】
1〜6…オブジェクト、
100A、100B…PC、
101、201…CPU、
102、202…ROM、
103、203…RAM、
104…ハードディスク、
105…表示部、
106…入力部、
107、206…ネットワークインタフェース、
108、207…バス、
200A、200B、200C…プリンタ、
204…操作パネル部、
205…印刷部、
300…ネットワーク、
500、501、501a、502、503…PDFファイル、
510…ヘッダ、
520…ボディ、
521、521a、522、522a、523…オブジェクト、
530…相互参照表、
540…トレーラ。
Claims (5)
- フォントのグラフィック形状を規定するグリフ記述を埋め込み可能な形式の文書ファイルを、プリントデータに変換せずに画像形成装置に送信するための画像処理装置であって、
複数の画像形成装置に文書ファイルを並行して送信する場合、印刷すべき文書ファイル中で使用されている所定のフォントのグリフ記述を、当該文書ファイル内において検出するための検出手段と、
前記検出手段による検出結果に基づき前記所定のフォントのグリフ記述が前記文書ファイル内に存在しないと判断される場合、前記所定のフォントのグリフ記述を前記文書ファイル内に埋め込むための埋込処理を、前記文書ファイルに対して施す埋込手段と
を有する画像処理装置。 - 前記検出手段による検出結果に基づき前記所定のフォントのグリフ記述が前記文書ファイル内に存在しないと判断される場合、前記所定のフォントのグリフ記述と文書ファイルの送信先の画像形成装置に保存されているフォントのグリフ記述とを、前記複数の画像形成装置の各々について比較する比較手段をさらに有し、
前記埋込手段は、前記比較手段による比較結果に基づき前記所定のフォントのグリフ記述が保存されていないと判断される画像形成装置に送信するための文書ファイルに対して、前記埋込処理を施す請求項1に記載の画像処理装置。 - 前記文書ファイルは、PDF(Portable Document Format)ファイルである請求項1または2に記載の画像処理装置。
- フォントのグラフィック形状を規定するグリフ記述を埋め込み可能な形式の文書ファイルを、プリントデータに変換せずに画像形成装置に送信するための画像処理装置で用いられるプログラムであって、
複数の画像形成装置に文書ファイルを並行して送信する場合、印刷すべき文書ファイル中で使用されている所定のフォントのグリフ記述を、当該文書ファイル内において検出するための検出手順と、
前記検出手順における検出結果に基づき前記所定のフォントのグリフ記述が前記文書ファイル内に存在しないと判断される場合、前記所定のフォントのグリフ記述を前記文書ファイル内に埋め込むための埋込処理を、前記文書ファイルに対して施す埋込手順と
を前記画像処理装置に実行させるためのプログラム。 - フォントのグラフィック形状を規定するグリフ記述を埋め込み可能な形式の文書ファイルを、プリントデータに変換せずに画像形成装置に送信するための画像処理方法であって、
複数の画像形成装置に文書ファイルを並行して送信する場合、印刷すべき文書ファイル中で使用されている所定のフォントのグリフ記述を、当該文書ファイル内において検出するための検出ステップと、
前記検出ステップにおける検出結果に基づき前記所定のフォントのグリフ記述が前記文書ファイル内に存在しないと判断される場合、前記所定のフォントのグリフ記述を前記文書ファイル内に埋め込むための埋込処理を、前記文書ファイルに対して施す埋込ステップと
を有する画像処理方法。
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