JP2004188865A - 画像形成装置およびプログラム - Google Patents
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Abstract
【解決手段】プリンタは、PCから送信されたPDFファイルに含まれるオブジェクトのうち、所定の画像データを含む画像オブジェクトに対して(S302〜S304)、当該画像データを削除するための削除処理を施し(S305)、削除処理が施されたPDFファイルに対して印刷処理を施す。
【選択図】 図8
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、画像形成装置およびプログラムに関し、特に、ページ順と異なる順序でファイル内に配置可能なオブジェクトと当該オブジェクトのファイル内での位置を示す参照情報とを備え、所定のオブジェクトから構成されるページを規定する文書ファイルを、プリントデータに変換されることなく画像処理装置から受信して印刷するための画像形成装置およびプログラムに関する。
【0002】
【従来の技術】
パーソナルコンピュータ(以下、「PC」という)は、たとえばハードディスクに保存されている文書ファイルを、LANなどのネットワークを介してプリンタに送信して印刷することができる。
【0003】
この場合、文書ファイルは、通常、PCにインストールされているプリンタドライバによって、プリンタで解析可能なPS(PostScript(R))等のPDL(Page Description Language:ページ記述言語)で記述されたプリントデータに変換されてから、送信される。
【0004】
一方、インターネット上で配布される文書ファイルとして、ハードウェアやアプリケーションの種類にかかわらずにオリジナル文書と同じ体裁を再現できるPDF(Portable Document Format)ファイルが広く普及してきている。このPDFファイルは、ページ順と異なる順序でファイル内に配置可能なオブジェクトと当該オブジェクトのファイル内での位置を示す参照情報とを備え、所定のオブジェクトから構成されるページを規定している。
【0005】
ところで、PDFファイルは、たとえば数百ページものデータを有している場合がある。このような特にデータサイズの大きいPDFファイルをPCでプリントデータに変換すると、変換に時間がかかること、処理が複雑になること、および変換によりデータサイズが却って大きくなってデータ転送時間が増えることなどの理由により、PCの負荷が増大することになる。かかるPCの負荷を軽減するために、プリントデータに変換せずにPCからプリンタに送信されたPDFファイルを直接印刷すること(以下、「PDFダイレクトプリント」という)が可能なプリンタが提案されている。
【0006】
しかし、PDFファイルは印刷すべきデータに関するオブジェクトがファイル内でページ順とは関係なく配置可能であり、しかもオブジェクトのファイル内での位置を示す参照情報がファイルの末尾部分に配置されているため、プリンタはPDFファイル全体を受信した後でないと印刷することができない。このため、プリンタは、搭載されるメモリの容量(使用可能容量ないし空き容量)が足りないためにPDFファイル全体を受信できず、印刷を実行できない場合があった。
【0007】
この問題を解決するために、印刷部の処理能力を認識し、印刷すべきデータの中に印刷部の処理能力から見て不要な情報が含まれている場合、当該不要な情報を削除して、メモリの容量が不足する事態を防止する技術が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。この場合、たとえば、印刷部がモノクロ画像データのみ処理可能であるのに対して、印刷すべきデータがカラー画像データであるとき、色情報が不要な情報と判断される。
【0008】
【特許文献1】
特開2000−242447号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記特許文献1に記載の技術は、印刷すべきデータの内容に基づいて要求される印刷品質に対して、プリント部の処理能力が不足している場合にのみ適用される。したがって、たとえば印刷すべきデータがそもそもモノクロ画像データである場合、メモリの空き容量を確保するための処理は行われない。結果として、メモリの空き容量が不足して印刷を実行できない事態が生じ得る。
【0010】
また、印刷すべきデータには、画像データのほか、たとえば文字データや図形データなどの他のデータが含まれることが多い。しかし、たとえば文字データが色分けされた重要な記述を含んでいる場合など、ユーザは、すべてのデータに対して一律に、色情報などの特定の情報の削除処理が行われることを望まない場合がある。
【0011】
本発明は、上述の課題を解決するためになされたものであり、本発明の目的は、記憶部の使用可能容量が少ない画像形成装置であっても、PDFファイルなどの文書ファイルをプリントデータに変換されることなく画像処理装置から受信して、必要な情報を印刷することが可能となる画像形成装置およびプログラムを提供することである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明の上記目的は、下記の手段によって達成される。
【0013】
(1) ページ順と異なる順序でファイル内に配置可能なオブジェクトと当該オブジェクトのファイル内での位置を示す参照情報とを備え、所定のオブジェクトから構成されるページを規定する文書ファイルを、プリントデータに変換されることなく画像処理装置から受信して印刷する画像形成装置であって、前記画像処理装置から送信された文書ファイルに含まれるオブジェクトのうち、所定の画像データを含む画像オブジェクトに対して、当該画像データを削除するための削除処理を施す削除手段と、前記削除処理が施された文書ファイルに対して印刷処理を施す印刷手段とを有する画像形成装置。
【0014】
(2) 前記削除処理手段により削除された画像データの量に基づいて、前記参照情報を補正する参照情報補正手段をさらに有する上記(1)に記載の画像形成装置。
【0015】
(3) 前記印刷処理を行うために作成されるデータに、前記削除手段により画像データが削除されたことを示す情報を追加する削除情報追加手段をさらに有する上記(1)または(2)に記載の画像形成装置。
【0016】
(4) 前記所定の画像データは、あらかじめ設定された閾値よりも大きいデータサイズを有する上記(1)〜(3)のいずれか1つに記載の画像形成装置。
【0017】
(5) ページ順と異なる順序でファイル内に配置可能なオブジェクトと当該オブジェクトのファイル内での位置を示す参照情報とを備え、所定のオブジェクトから構成されるページを規定する文書ファイルを、プリントデータに変換されることなく画像処理装置から受信して印刷する画像形成装置で用いられるプログラムであって、前記画像処理装置から送信された文書ファイルに含まれるオブジェクトのうち、所定の画像データを含む画像オブジェクトに対して、当該画像データを削除するための削除処理を施す削除手順と、前記削除処理が施された文書ファイルに対して印刷処理を施すための印刷手段に、当該削除処理が施された文書ファイルを出力する出力手順とを前記画像形成装置に実行させるためのプログラム。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態を説明する。
【0019】
図1は、本発明の一実施形態に係るPCおよびプリンタが適用されたプリントシステムの構成を示すブロック図である。
【0020】
図1に示すように、プリントシステムは、画像処理装置としての機能を有するPC100A、100Bと、画像形成装置としてのプリンタ200とを備え、これらはネットワーク300を介して相互に通信可能に接続されている。ネットワーク300は、イーサネット(R)、トークンリング、FDDI等の規格によるLANや、LAN同士を専用線で接続したWAN等からなる。
【0021】
なお、ネットワークに接続される機器の種類および台数は、図1に示す例に限定されない。また、プリンタ200は、ネットワーク300を介することなく、PC100Aまたは100Bと直接機器間で接続(ローカル接続)されていてもよい。
【0022】
図2は、図1に示されるPC100A、100Bの構成を示すブロック図である。図2に示すように、PC100A、100Bは、装置全体の制御および各種演算処理を行うCPU101、プログラムやデータを格納するためのROM102、作業領域として一時的にプログラムやデータを記憶するためのRAM103、各種のプログラムやデータを保存するための外部記憶装置としてのハードディスク104、各種情報の表示のための液晶ディスプレイなどの表示部105、各種指示の入力のためのキーボードやマウスなどからなる入力部106、およびネットワーク300に接続するためのLANカードなどのネットワークインタフェース107を含み、これらは信号を遣り取りするためのバス108を介して相互に接続されている。
【0023】
図3は、図1に示されるプリンタ200の構成を示すブロック図である。図3に示すように、プリンタ200は、CPU201、ROM202、RAM203、操作パネル部204、印刷部205、およびネットワークインタフェース206を含み、これらは信号を遣り取りするためのバス207を介して相互に接続されている。なお、プリンタ200の構成要素のうち、PC100A、100Bの構成要素と同様の機能を有する部分についての重複する説明を省略する。
【0024】
RAM203は、PCから受信したデータを一時的に記憶できる。ROM202には、文字の書体を示すフォントに関するフォント情報が格納され得る。なお、プリンタ200は、各種のプログラムやデータを保存するための外部記憶装置としてのハードディスクを有していてもよい。操作パネル部204は、各種情報の表示および各種指示の入力に使用される。印刷部205は、電子写真式プロセス等の周知の作像プロセスを用いて、各種データを用紙などの記録材上に印刷する。
【0025】
PC100A、100B、およびプリンタ200は、上述した構成要素以外の構成要素を含んでいてもよく、あるいは、上述した構成要素のうちの一部が含まれていなくてもよい。以下においては、たとえばPC100Aからプリンタ200にデータが送信されて印刷が行われる場合について説明する。
【0026】
図1に示されるプリントシステムでは、通常プリントと、PDFダイレクトプリントとの2種類の印刷が実行可能である。通常プリントを実行する場合、所定のファイルは、PC100Aのハードディスク104にインストールされたプリンタドライバによってPS等のPDLで記述されたプリントデータに変換された後、プリンタ200に送信される。一方、PDFダイレクトプリントを実行する場合、PDFファイルは、ハードディスク104にインストールされた後述するプログラムにしたがって、プリントデータに変換されることなく、PC100Aからプリンタ200に送信される。
【0027】
ここで、図4および図5を参照して、標準的なPDFファイルの構造および解析方法について簡単に説明する。図4は、標準的なPDFファイルの構成を説明するための図、図5は、PDFファイルのサンプルを示す図である。なお、図4および図5は、「PDF Reference third edition Adobe Portable Document Format Version 1.4」(アドビシステムズ社)を参考にして作成されている。
【0028】
図4および図5に示すように、標準的なPDFファイル500は、ヘッダ510、ボディ520、相互参照表530、およびトレーラ540から構成される。
【0029】
ヘッダ510には、「%」で始まるコメントが記述される。図5のヘッダ510から、ファイルのフォーマットがPDFであること、および準拠するPDF仕様のバージョン(ここでは1.4)がわかる。
【0030】
ボディ520は、オブジェクトという最小単位の複数の組み合わせにより構成される(図5ではオブジェクト1〜6)。オブジェクトとは、文書を構成する個々の要素をいう。
【0031】
最初のオブジェクト1は、「1 0 obj」から「endobj」までの記述により定義され、他のオブジェクトも同様に定義される。ここで、たとえば「1 0 obj」における数字はオブジェクトの番号であり、最初の数字およびその次の数字は、それぞれオブジェクトのID番号および生成番号(generation)を表す。
【0032】
オブジェクトとしては、たとえば、特定のページを構成するのに必要なオブジェクトへの参照(オブジェクトの番号で指定)が列挙されたページ情報が記述されているページオブジェクト、ページオブジェクトへの参照がページ順に列挙されたページ一覧情報が記述されているページ一覧オブジェクト、ページ一覧オブジェクトへの参照を含み文書の構造情報が記述されているカタログオブジェクト、ページオブジェクトにより参照される特定のページの中身が記述されており当該ページを描画するために使用されるデータオブジェクト、および文字の書体を示すフォントに関するフォント情報が記述されているフォントオブジェクトなどが挙げられる。ここで、データオブジェクトには、画素の集まりで表された画像データを含む画像オブジェクト、文字コードで表された文字データを含む文字オブジェクト、および線などの図形の集まりで表された図形データを含む図形オブジェクトが含まれる。図5において、オブジェクト1はカタログオブジェクト、オブジェクト3はページ一覧オブジェクト(図5の場合、文書は1ページのみで構成される)、オブジェクト4はページオブジェクト、オブジェクト5はデータオブジェクトである。
【0033】
相互参照表530は、ファイル内におけるオブジェクトの位置を示す参照情報である。相互参照表530において、特定のID番号(図5では、1〜6)を持つ各々のオブジェクトの位置は、オフセットで表される。ここで、オフセットとは、ファイル先頭から注目するデータの先頭までのバイト数をいう。これにより、ボディ520に並んでいるオブジェクトに対して、ランダムにアクセスすることが可能となる。この相互参照表530は、実際のファイル中では、「xref」というキーワードを含む行で始まる。
【0034】
トレーラ540は、ファイルの解析開始時にアクセスすべき情報である。具体的には、トレーラ540には、ファイル内における相互参照表530の位置を示す情報、および最初に参照すべきオブジェクト(階層構造のルートとなるルートオブジェクト)の番号が記述される。「startxref」の次に示される数字は、相互参照表530のオフセットである。「Root」を含む行は、ルートオブジェクトの番号を示している。また、「Size」を含む行は、相互参照表530の最初のエントリ(オブジェクトのID番号が「0」)を含めて、ファイル内に存在するオブジェクトの個数を示している。このトレーラ540は、ファイルの末尾部分に存在し、「trailer」というキーワードを含む行で始まる。
【0035】
PDFファイルを解析する装置は、標準的なPDFファイルを解析する場合、まずファイルの末尾部分にあるトレーラ540を解析し、次いで相互参照表530を解析する。そして、これらの解析で得られた情報に基づいて、ボディ520に記述されたページの内容を解析することができる。オブジェクトには、次に必要となるデータが記述されている別のオブジェクトの番号が含まれている。このため、次に必要なオブジェクトの番号をたどることにより、PDFファイルの全体的な解析が可能となる。次に参照すべきオブジェクトの番号が示されるため、オブジェクトは、PDFファイルのボディ内において解析順に並んで配置される必要はない。したがって、オブジェクトは、PDFファイルのボディ内においてオブジェクト単位で任意の順序で記述されることができ、結果として、ページ順と異なる順序でファイル内に配置可能となる。
【0036】
次に、図6を参照して、PC100Aで行われる処理について説明する。なお、図6のフローチャートにより示されるアルゴリズムは、PC100Aのハードディスク104などの記憶装置にプログラムとして記憶されており、CPU101により実行される。
【0037】
ここでは、PDFファイルに対して、プリンタドライバを使用した通常プリントではなく、PDFダイレクトプリントが実行され、プリンタ200でPDFファイルの印刷が行われる場合について説明する。
【0038】
まず、ユーザによるPDFダイレクトプリントの実行の指示の前に、初期設定が行われる(S101)。初期設定には、出力先プリンタの設定、および印刷条件の設定が含まれる。
【0039】
出力先プリンタ、および印刷条件は、入力部106を通したユーザの操作に基づいて設定される。ここで、印刷条件とは、ページについての印刷順序に関連する属性をいう。印刷条件には、たとえば、ブックレット綴じの適用の有無、最終ページから先頭ページに向かって順番に印刷する処理を示すフェイスアップの適用の有無、1枚の用紙に複数ページ(Nページ)を縮小して印刷するためのNin1の適用の有無、印刷部数、および部単位で出力するためのコレートの適用の有無が含まれる。ただし、印刷条件には、両面印刷の適用の有無などの印刷に関する他の属性が含まれていてもよい。なお、印刷条件は、プリンタ200において操作パネル部204を通して設定されてもよい。
【0040】
ステップS101における初期設定が終了した後、PC100Aは、ユーザによるPDFファイルに対するPDFダイレクトプリントの実行の指示を受け付ける(S102)。ここで、PC100Aのデスクトップ上には、PDFダイレクトプリントについてのアプリケーションプログラムファイルのアイコンがあらかじめ表示される。ユーザは、印刷すべきPDFファイルを当該アイコンにドラッグ&ドロップしてアプリケーションプログラムを起動することにより、PDFダイレクトプリントの実行の指示を行うことができる。なお、PDFダイレクトプリントの実行の指示は、他の方法により行われてもよい。
【0041】
そして、PDFダイレクトプリントの対象とされた印刷すべきPDFファイルは、PC100Aから出力先であるプリンタ200に、プリンタ200がサポートする所定のプロトコルにしたがって信される(S103)。
【0042】
次に、図7〜図10を参照して、プリンタ200で行われる処理について説明する。なお、図7〜図10のフローチャートにより示されるアルゴリズムは、プリンタ200のROM202などの記憶装置にプログラムとして記憶されており、CPU201により実行される。
【0043】
ここでは、プリンタ200が、PC100Aから送信される印刷すべきPDFファイルを受信して、受信したPDFファイルに対して、PDFダイレクトプリントを実行する場合について、以下に説明する。
【0044】
まず、プリンタ200は、PC100Aから送信されたPDFファイルの受信を開始する(S201)。なお、受信開始後、PC100Aから送信されたデータを受信し終わるまで、当該データの受信が継続される。受信されたデータは、メモリ(RAM203)の所定の受信バッファ領域に入れられる。
【0045】
PDFファイルの受信が開始されると、データの受信が行われつつ、PDFファイルの変換処理が行われる(S202)。すなわち、PC100Aから送信されたPDFファイルに含まれるオブジェクトのうち、所定の画像データを含む画像オブジェクトに対して、当該画像データを削除するための削除処理を施すことを内容とするPDFファイルの変換処理が行われる。このPDFファイルの変換処理についての詳細は後述する。
【0046】
次いで、変換処理が施されたPDFファイルの解析処理が行われる(S203)。ここで、印刷条件を考慮しつつ、PDFファイルを解析することにより印刷すべきデータがページ単位で取得され、取得されたデータから、ビットマップ形式にラスタライズされたページデータが作成される。このPDFファイルの解析処理についての詳細は後述する。
【0047】
作成されたページデータは、印刷部205へ出力され(S204)、用紙上に印刷される(S205)。なお、PDFファイルの全ページ分の印刷が完了するまで、ページデータの印刷部205への出力、および印刷処理が続けられる。
【0048】
次に、図8を参照して、図7のステップS202におけるPDFファイルの変換処理について説明する。
【0049】
まず、あらかじめ操作パネル部204を通したユーザの操作に基づいて設定された設定事項が、メモリに読み込まれる(S301)。ここで、設定事項には、後述する削除処理(S305)を免れる画像データの最大データサイズである閾値が含まれる。
【0050】
ステップS302では、受信されたデータが、画像オブジェクト(たとえば図11の左側に示す)であるか否かが判断される。受信されたデータが画像オブジェクトでない場合(S302でNO)、ステップS306に進む。
【0051】
一方、受信されたデータが画像オブジェクトである場合(S302でYES)、画像オブジェクトにおける「stream」と「endstream」の間に記述される画像データ(生データ)のサイズが検出される(S303)。
【0052】
ステップS304では、受信された画像オブジェクトの画像データが、あらかじめ設定された閾値よりも大きいデータサイズを有するか否かが判断される。画像データのサイズが閾値よりも大きくない場合(S304でNO)、ステップS306に進む。
【0053】
一方、画像データのサイズが閾値よりも大きい場合(S304でYES)、当該画像データを削除するための削除処理が行われる(S305)。ここでは、画像データの受信中に画像データのサイズが閾値よりも大きいと判明した時点で、その時点までに受信された当該画像データの部分が遡って削除され、その時点以降に順次受信される画像データの残部も逐次削除される。なお、画像データに対する削除処理は、当該画像データの受信直後に一括して行われてもよい。一方、ステップS304の判断処理を省略して、すべての画像オブジェクトの画像データに対して削除処理(S305)が施されてもよい。
【0054】
また、図11に示すように、画像オブジェクトにおける削除された画像データの位置に、削除された画像データのサイズ(バイト数、たとえば図11では「2000」)が書き込まれる。さらに、画像データが削除されたオブジェクトであることが判別できるように、画像オブジェクトに所定の記述が書き込まれる。ここで、所定の記述とは、たとえば図11に示すように「stream」と置き換えられる独自のオペレータ「deletestream」である。したがって、後述するように、このオペレータに対する専用の解析処理を用意する必要がある。このオペレータは、PDF仕様の標準のオペレータと重複しないように任意に設定され得る。なお、画像オブジェクトにおいて、「Width」および「Height」の値を、0(ゼロ)に変更することも可能である。
【0055】
ステップS306では、受信されたデータの保存処理が行われる。ここで、データサイズが閾値よりも大きい画像データを含む画像オブジェクトは、ステップS305における削除処理が施された後、メモリ(RAM203)の所定の保存領域に保存される。その他の受信されたデータは、そのままメモリの所定の保存領域に保存される。
【0056】
続いて、プリンタ200のメモリに、空き容量(使用可能容量)が存在するか否かが判断される(S307)。メモリに空き容量がないと判断された場合(S307でNO)、PDFファイルの印刷処理が中止される(S310)。
【0057】
一方、メモリに空き容量が有ると判断された場合(S307でYES)、ステップS308に進み、印刷すべきPDFファイルのすべてのデータの受信が完了したか否かが判断される。データの受信が完了した場合(S308でYES)、ステップS309に進む。一方、データの受信が完了していない場合(S308でNO)、次のオブジェクトなどのデータの受信が継続され、ステップS302〜S308の処理が繰り返される。
【0058】
ステップS309では、ステップS305の削除処理が行われた場合に、参照情報の補正処理が行われる。これは、画像データの削除処理にともなって、各オブジェクトのオフセットが変化するからである。したがって、ステップS305において削除された画像データのサイズ(量)に基づいて、参照情報が補正される。具体的には、相互参照表530に記述されている各オブジェクトのオフセット、およびトレーラ540に記述されている相互参照表530のオフセットが補正される。たとえば、図11に示す変換処理(削除処理)が行われた場合、2000バイトの画像データが削除されるとともに、「2000」および「delete」の10バイトの文字データが追加される。このため、図11の変換処理によって影響を受ける部分のオフセットは、1990バイト分だけ少なくなるように補正される。
【0059】
次に、図9を参照して、図7のステップS203におけるPDFファイルの解析処理について説明する。
【0060】
まず、プリンタ200は、トレーラ540および相互参照表530(図4および図5参照)と印刷条件とに基づいてPDFファイルを解析して、印刷すべきデータをページ単位で取得する。ファイルの先頭ページから最終ページに向かって順番に印刷する正順印刷が行われる場合、ファイルのページ順と同じ順序で、データが取得される。一方、PDFファイルの印刷に対して、たとえばフェイスアップが適用される場合、ファイルのページ順と逆の順序で、データが取得されることになる。つまり、同じPDFファイルを印刷する場合でも、ページについての印刷順序は、印刷条件によって異なる。そして、取得されたデータが画像オブジェクトであるか否かが判断される(S401)。
【0061】
取得されたデータが画像オブジェクトである場合(S401でYES)、ステップS402に進み、取得されたデータが画像オブジェクトでない場合(S401でNO)、ステップS404に進む。
【0062】
ステップS402では、画像オブジェクト内の画像データ(生データ)が削除されているか否かが判断される(S402)。具体的には、画像オブジェクト内に独自のオペレータ「deletestream」が存在するか否かが判断される。画像オブジェクト内の画像データが削除されている場合(S402でYES)、ステップS403に進み、画像オブジェクト内の画像データが削除されていない場合(S402でNO)、ステップS404に進む。
【0063】
ステップS404では、通常のページデータ作成処理が行われる。すなわち、取得された所定のデータに基づいて、ページ単位でビットマップ形式にラスタライズされたページデータが作成される。
【0064】
一方、ステップS403では、専用のページデータ作成処理が行われる。この専用のページデータ作成処理では、図10のフローチャートに示すように、印刷処理を行うために作成されるページデータに、ステップS305の削除処理において画像データが削除されたことを示す情報が追加される(S501)。
【0065】
図12は、専用のページデータ作成処理において作成されるページデータの印刷内容を説明するための図である。図12に示すように、たとえば「この画像はサイズが2MBなので削除されました(設定サイズ1.5MB)。」などのコメント情報がページデータに追加される。ここで、削除前の画像データのPC上での表示領域の位置および大きさに対応して上記コメント情報が用紙上に印刷されるように、当該コメント情報がページデータに追加されるため、印刷内容のレイアウトが保たれる。上記コメント情報における「2(MB)」は、ステップS305で画像オブジェクトに書き込まれた削除された画像データのサイズが代入された数値である。また、上記コメント情報における「1.5(MB)」は、ステップS301で読み込まれた削除処理を免れる画像データの最大データサイズである閾値(設定事項)が代入された数値である。なお、これらの数値の出力は必ずしも必要ではない。その他の処理は、ステップS404の通常のページデータ作成処理と同様である。
【0066】
このように本実施形態によれば、プリンタは、PCから送信されたPDFファイルに含まれるオブジェクトのうち、所定の画像データを含む画像オブジェクトに対して、当該画像データを削除するための削除処理を施し、削除処理が施されたPDFファイルに対して印刷処理を施すことができる。
【0067】
したがって、メモリの使用可能容量が少ないプリンタであっても、PDFファイルをプリントデータに変換されることなくPCから受信して、必要な情報を印刷することが可能となる。しかも、PDFファイルの送信側であるPCは、PDFファイルに対して何ら処理を施すことなくプリンタに送信できるので、送信側の負荷の増大を防止することができる。
【0068】
本発明は、上述した実施形態のみに限定されるものではなく、特許請求の範囲内において、種々改変することができる。
【0069】
たとえば、画像処理装置としての機能を有する装置として、PCの代わりに、たとえばワークステーション、サーバなどのコンピュータが用いられてもよい。また、プリンタの代わりに、ファクシミリ装置、コピー機、およびそれらを複合した機能を有する多機能周辺機器(MFP:Multi-Function Peripheral)などの画像形成装置が用いられてもよい。
【0070】
また、上述した実施形態では、PCでの操作に基づいてPCからプリンタにPDFファイルを送信する場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。本発明は、プリンタで印刷したいPDFファイルのアドレスを指定することにより、印刷すべきPDFファイルが保存されている保存装置から当該PDFファイルを取得してプリンタで印刷する場合にも適用することができる。
【0071】
本発明において、PDFファイルをプリントデータに変換せずに画像処理装置から画像形成装置に送信して印刷するための各種処理を行う手段および方法は、専用のハードウェア回路、またはプログラムされたコンピュータのいずれによっても実現することが可能である。上記プログラムは、例えばフレキシブルディスクやCD−ROMなどのコンピュータ読み取り可能な記録媒体によって提供されてもよいし、インターネット等のネットワークを介してオンラインで提供されてもよい。この場合、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録されたプログラムは、通常、ハードディスク等の記憶装置に転送されて記憶される。また、上記プログラムは、単独のアプリケーションソフトとして提供されてもよいし、装置の一機能としてその装置のソフトウェアに組み込まれてもよい。
【0072】
なお、上述した本発明の実施形態には、特許請求の範囲の請求項1〜5に記載した発明以外にも、以下の付記1〜5に示すような発明が含まれる。
【0073】
[付記1] 前記文書ファイルは、PDF(Portable Document Format)ファイルである請求項1〜4のいずれか1つに記載の画像形成装置。
【0074】
[付記2] 前記文書ファイルは、PDF(Portable Document Format)ファイルである請求項5に記載のプログラム。
【0075】
[付記3] 請求項5に記載のプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
【0076】
[付記4] ページ順と異なる順序でファイル内に配置可能なオブジェクトと当該オブジェクトのファイル内での位置を示す参照情報とを備え、所定のオブジェクトから構成されるページを規定する文書ファイルを、プリントデータに変換されることなく画像処理装置から受信して印刷する画像形成方法であって、
前記画像処理装置から送信された文書ファイルに含まれるオブジェクトのうち、所定の画像データを含む画像情報が記述されているオブジェクトに対して、当該画像データを削除するための削除処理を施す削除処理ステップと、
前記削除処理が施された文書ファイルに対して印刷処理を施す印刷ステップとを有する画像形成方法。
【0077】
[付記5] 前記文書ファイルは、PDF(Portable Document Format)ファイルである付記4に記載の画像形成方法。
【0078】
【発明の効果】
上述したように、本発明によれば、記憶部の使用可能容量が少ない画像形成装置であっても、PDFファイルなどの文書ファイルをプリントデータに変換されることなく画像処理装置から受信して、必要な情報を印刷することが可能となる。しかも、文書ファイルの送信側は、文書ファイルに対して何ら処理を施すことなく画像形成装置に送信できるので、送信側の負荷の増大を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係るPCおよびプリンタが適用されたプリントシステムの構成を示すブロック図である。
【図2】図1に示されるPCの構成を示すブロック図である。
【図3】図1に示されるプリンタの構成を示すブロック図である。
【図4】標準的なPDFファイルの構成を説明するための図である。
【図5】PDFファイルのサンプルを示す図である。
【図6】PCで行われる処理について説明するためのフローチャートである。
【図7】プリンタで行われる処理について説明するためのフローチャートである。
【図8】図7に示されるPDFファイルの変換処理について説明するためのフローチャートである。
【図9】図7に示されるPDFファイルの解析処理について説明するためのフローチャートである。
【図10】図9に示される専用のページデータ作成処理について説明するためのフローチャートである。
【図11】図8に示される削除処理を説明するためのソースコードのレベルで示した図である。
【図12】専用のページデータ作成処理において作成されるページデータの印刷内容を説明するための図である。
【符号の説明】
1〜6…オブジェクト、
100A、100B…PC、
101、201…CPU、
102、202…ROM、
103、203…RAM、
104…ハードディスク、
105…表示部、
106…入力部、
107、206…ネットワークインタフェース、
108、207…バス、
200…プリンタ、
204…操作パネル部、
205…印刷部、
300…ネットワーク、
500…標準的なPDFファイル、
510…ヘッダ、
520…ボディ、
530…相互参照表、
540…トレーラ。
Claims (5)
- ページ順と異なる順序でファイル内に配置可能なオブジェクトと当該オブジェクトのファイル内での位置を示す参照情報とを備え、所定のオブジェクトから構成されるページを規定する文書ファイルを、プリントデータに変換されることなく画像処理装置から受信して印刷する画像形成装置であって、前記画像処理装置から送信された文書ファイルに含まれるオブジェクトのうち、所定の画像データを含む画像オブジェクトに対して、当該画像データを削除するための削除処理を施す削除手段と、
前記削除処理が施された文書ファイルに対して印刷処理を施す印刷手段と
を有する画像形成装置。 - 前記削除処理手段により削除された画像データの量に基づいて、前記参照情報を補正する参照情報補正手段をさらに有する請求項1に記載の画像形成装置。
- 前記印刷処理を行うために作成されるデータに、前記削除手段により画像データが削除されたことを示す情報を追加する削除情報追加手段をさらに有する請求項1または2に記載の画像形成装置。
- 前記所定の画像データは、あらかじめ設定された閾値よりも大きいデータサイズを有する請求項1〜3のいずれか1つに記載の画像形成装置。
- ページ順と異なる順序でファイル内に配置可能なオブジェクトと当該オブジェクトのファイル内での位置を示す参照情報とを備え、所定のオブジェクトから構成されるページを規定する文書ファイルを、プリントデータに変換されることなく画像処理装置から受信して印刷する画像形成装置で用いられるプログラムであって、
前記画像処理装置から送信された文書ファイルに含まれるオブジェクトのうち、所定の画像データを含む画像オブジェクトに対して、当該画像データを削除するための削除処理を施す削除手順と、
前記削除処理が施された文書ファイルに対して印刷処理を施すための印刷手段に、当該削除処理が施された文書ファイルを出力する出力手順と
を前記画像形成装置に実行させるためのプログラム。
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