JP2004246495A - 振動抑制指令生成装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】駆動機構が機台に設置され、モータ位置或いは負荷位置を目標位置指令に追従させる位置決め制御装置の振動抑制指令生成装置において、目標位置指令の微分信号を出力する台形信号発生器10と、目標位置指令の微分信号に基づいて除振位置指令の微分信号を出力する安定型2次フィルタ11と、目標位置指令の微分信号と除振位置指令の微分信号と定着位置指令とに基づいて定着位置指令の微分信号を出力する指令定着部12と、定着位置指令の微分信号に基づいて定着位置指令を出力する積分器13と、定着位置指令を入力し、位置指令を出力するCICフィルタ14とを備えた振動抑制指令生成装置。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、モータで負荷を駆動して位置決めする位置決め制御装置に関し、とくに、駆動機構および駆動機構が置かれる機台に存在する振動を抑制する技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
図15は工作機械やロボット等の一般的な産業用機械の構成図である。同図において、産業用機械は、モータ51と、負荷53と、モータと負荷を連結する力伝達機構52と、モータ、負荷および力伝達機構で構成される駆動機構を設置する機台54と、機台を支える支持足55とを備えている。
このような産業用機械に対して、高速高精度制御を行うため通常の位置制御系は図16のように構成される。図16において、1は位置指令生成部、2は位置制御部、3は速度制御部、4はゲインM、5はモータを含む機械系、6、7は微分器である。また、MMは駆動方向に換算したモータ51の回転子の等価質量、MLは負荷53(機械可動部)の質量、KMLは力伝達機構52のばね定数、MBは機台54の質量、KBは支持足55のばね定数である。なお、ゲインM4のMは、質量MMとMLの和に設定されている。
【0003】
この制御系では、モータ51の速度信号
【数3】
をフィードバックして速度マイナーループを構成し、負荷53の位置信号xをフィードバックして位置メインループを構成し、そして、位置制御部2の出力に位置指令の微分信号を加え、速度制御部3の出力に位置指令x* rの2回微分信号
【数4】
を加えるフィードフォワード制御を構成している。こうすると、機械系の剛性が高い場合は、負荷位置を位置指令にほぼ完全追従させることができる。
【0004】
しかし、近年の産業用機械は、軽量化や小型化の要求から、モータと負荷を接続する軸や駆動機構が置かれる機台の剛性が低下しつつあり、駆動機構および機台の固有周波数が低下する傾向にある。またこれと並行してサーボ制御系の性能が高められ、駆動系の応答も高められる傾向にある。このような状況にあるサーボ制御系については、負荷および機台が振動しやすくなるという問題が顕在化しつつある。図17はその状況を示すタイムチャートであり、(a)は目標位置指令x* 0(または位置指令x* r)の微分信号である台形信号、(b)は目標位置指令x* 0(または位置指令x* r)近傍における負荷53の位置信号x、(c)は機台54の位置信号xBをそれぞれ示している。この図から分かるように、目標位置指令付近で、負荷および機台の振動が見られ、整定時間が長くなっている。
【0005】
このような振動を抑制するため、第1の従来技術として、図18に示すような「電気学会研究会資料」IIC−96−17, pp.75−84(非特許文献1)に記載された位置指令生成装置が提案されている。図において、10は台形信号発生器、15は準安定型2次フィルタ、13は積分器である。台形信号発生器10は図19(a)のような目標位置指令x* 0の微分信号である(b)のような台形信号
【数5】
を生成する。図19において、taは加速時間、tdは加速開始から減速開始までの時間、teは指令時間であり、そして、減速時間(te−td)と加速時間taが等しい。
【0006】
機台の振動角周波数をωBとし、伝達関数が次式
【数6】
で表される準安定型2次フィルタ15のパラメータを
ω0=ωB (2)
および
ω2=k・2π/taまたはω2=k・2π/td (k:自然数) (3)
を満たすように設定すると、指令時間が長く伸びず、指令終了後の機台の振動がほぼ0となる。
ところが、実際に上述のことを実現するには、計算誤差又は離散化による誤差で準安定型2次フィルタ15が不安定になり、式(3)が満たされなくなるため、図20および図21のように指令自身も発振してしまう。また、フィルタを通した位置指令は急変になるので、駆動系の振動を起こしやすくなる。なお、図20はω2=2π/taとした場合の目標位置指令(a)と、その微分信号(b)を表し、図21はω2=2π/tdとした場合の目標位置指令(a)と、その微分信号(b)を表している。
【0007】
指令を安定させるため、第2の従来技術(特開2002−229602号公報(特許文献1))は、図22のように台形信号発生器10の出力である目標位置指令の微分信号
【数7】
を、次式
【数8】
で示される伝達関数を持つ安定型2次フィルタ11に通してから、指令定着部12に入力し、指令定着部12の出力を積分器13で積分してフィードバック制御系の位置指令x* rとする。なお、図22において、指令定着部12は、目標位置指令の微分値を積分する積分器12dと、積分器12dの出力と位置指令を差し引いて位置指令偏差を出力する減算器12eと、目標位置指令の微分値と位置指令偏差erを入力し、目標位置指令の微分値が零から非零になれば指令開始と判断し、目標位置指令の微分値が非零から零になれば指令終了と判断する切替判定部12aと、この切替判定部12aの判定出力により、指令終了の後、位置指令偏差が0になってから次の指令開始までは0設定器12cより0を出力し、それ以外は安定型2次フィルタ11の出力をそのまま出力する切替スイッチ12bとを備える。
【0008】
この第2の従来技術において生成された位置指令x* rは振動を抑制でき、しかも必ず安定であるが、図23のように指令時間が長くなるという問題がある。すなわち、図23(a)は目標位置指令x* 0に対する位置指令x* rの遅れを示し、(b)は目標位置指令x* 0の微分値に対する位置指令x* rの微分値の遅れを示すものであり、いずれも目標値に対する指令値の遅れが長くなっていることがわかる。
また、第3の従来技術は、目標位置指令を図24のようなCIC(Cascaded Integrator and Comb)フィルタに通させることにより振動抑制できることが周知である。図24において、14aはnサンプル周期遅れ要素、14bは1/nのゲイン要素、14cは1サンプル周期遅れ要素である。一般に、機台の振動周期は駆動系の振動周期より遥かに大きく、また振動を抑制するためnサンプル周期遅れ要素14aの遅れ時間を振動周期と同じにしなければならないので、CICフィルタを用いることは、駆動系の振動の抑制には有効であるが、機台の振動の抑制には指令時間が大変長くなるという問題がある。
図25はその状況を示すタイムチャートであり、(a)は目標位置指令x* 0と位置指令x* rの微分信号である台形信号、(b)は目標位置指令x* 0と位置指令x* r近傍における負荷の位置信号x、(c)は機台の位置信号xBをそれぞれ示している。この図から分かるように、目標位置指令付近で、負荷の振動は抑制されているが、機台の振動は図17(c)と比較して抑制されていない。
【0009】
【特許文献1】
特開2002−229602号公報
【非特許文献1】
「電気学会研究会資料」IIC−96−17, pp.75−84
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
以上のように、第1の従来技術では、機台の振動を抑制しようとすると、駆動系の振動を起こし、指令自身も発振するという問題があった。
また、第2の従来技術では、機台の振動を抑制しようとすると、指令時間、すなわち位置決め時間が長くなるという問題があった。
また、第3の従来技術では、駆動系の振動の抑制には有効であるが、機台の振動の抑制には指令時間が非常に長くなるという問題があった。
本発明は上記のような問題を解決するためになされたものであり、指令時間をあまり長くさせることなく、機台の振動と駆動系の振動を共に抑制し、高速高精度位置決め制御を実現することのできる振動抑制指令生成装置を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明は、駆動機構が機台に設置され、モータ位置或いは負荷位置を目標位置指令に追従させる位置決め制御装置の振動抑制指令生成装置において、前記目標位置指令の微分信号を出力する台形信号発生器と、前記目標位置指令の微分信号に基づいて除振位置指令の微分信号を出力する安定型2次フィルタと、前記目標位置指令の微分信号と前記除振位置指令の微分信号と定着位置指令とに基づいて前記定着位置指令の微分信号を出力する指令定着部と、前記定着位置指令の微分信号に基づいて前記定着位置指令を出力する積分器と、前記定着位置指令を入力し、位置指令を出力するCICフィルタとを備えたことを特徴としている。
【0012】
この請求項1に記載の発明においては、まず台形状の目標位置指令の微分信号を生成する。次に、目標位置指令の微分信号を安定型2次フィルタ、指令定着部および積分器に通し、そして安定型2次フィルタのパラメータを機台の振動周波数および目標位置指令の加減速時間と一定の関係を保つように設定する。これにより、機台振動周波数の成分が除去され、指令時間が短く、安定な定着位置指令が得られる。最後に、定着位置指令をCICフィルタに通すことにより、指令中の駆動系の振動周波数を除去する。このような指令生成装置で生成した位置指令をフィードバック制御系に入力すると、機台振動および駆動系の振動を励起させることなく、高速かつ高精度な位置決め制御ができる。
【0013】
請求項2の発明の振動抑制指令生成装置は、前記安定型2次フィルタを
【数9】
で表わされる伝達関数を持つものとし、
かつ、前記伝達関数におけるω0を機台の振動角周波数ωBとし、ω2を次式
ω2=k・2π/ta (ta:加減速時間、k:自然数)
を満たすように設定し、ζを1より小さい微小な正の値としたことを特徴としている。
この請求項2に係る発明においては、伝達関数のパラメータを前記のように設定することにより、振動が効果的に抑制される。
請求項3の発明の振動抑制指令生成装置は、前記安定型2次フィルタを
【数10】
で表わされる伝達関数を持つものとし、
かつ、前記伝達関数におけるω0を機台の振動角周波数ωBとし、ω2を次式
ω2=k・2π/td (td:加速開始から減速開始までの時間、k:自然数)
を満たすように設定し、ζを1より小さい微小な正の値としたことを特徴としている。
この請求項3に係る発明においては、伝達関数のパラメータを前記のように設定することにより、振動が効果的に抑制される。
【0014】
請求項4の発明は、前記指令定着部は、前記目標位置指令の微分値を積分する積分器と、前記積分器の出力と前記定着位置指令を差し引いて位置指令偏差を出力する減算器と、前記目標位置指令の微分値と前記位置指令偏差を入力し、前記目標位置指令の微分値が零から非零になれば指令開始と判断し、前記目標位置指令の微分値が非零から零になれば指令終了と判断する切替判定部と、前記切替判定部の判定出力により、指令終了の後、位置指令偏差が零になってから次の指令開始までは零を出力し、それ以外は前記安定型2次フィルタの出力をそのまま出力する切替スイッチとを備えていることを特徴としている。
この請求項4に係る発明においては、指令定着部に切替判定部とその判定出力により切り替えられる切替スイッチを設けたことにより、目標位置指令払い終了後、位置指令は一旦目標位置に達すると、オーバーシュートと振動がなく、目標位置に定着することができる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について、図を用いて説明する。図1は本発明の実施の形態に係る振動抑制指令生成装置の構成を示すブロック図である。この振動抑制指令生成装置の構成は、従来の構成を示す図16の位置指令生成部1に相当するものであり、図22に示した第2の従来技術における指令生成装置に、図24に示した第3の従来技術のCICフィルタ14を組み合わせて効果的な振動抑制を図ったものである。
具体的に説明すると、図1において、10は目標位置指令の微分信号を生成する台形信号発生器、11は安定型2次フィルタ、12は指令定着部、13は積分器、14はCICフィルタである。指令定着部12は、目標位置指令の微分値を積分する積分器12dと、積分器12dの出力と位置指令を差し引いて位置指令偏差を出力する減算器12eと、目標位置指令の微分値と位置指令偏差erを入力し、目標位置指令の微分値が零から非零になれば指令開始と判断し、目標位置指令の微分値が非零から零になれば指令終了と判断する切替判定部12aと、この切替判定部12aの判定出力により、指令終了の後、位置指令偏差が0になってから次の指令開始までは0設定器12cより0を出力し、それ以外は安定型2次フィルタ11の出力をそのまま出力する切替スイッチ12bとを備えている。また、CICフィルタ14は、nサンプル周期遅れ要素14aと、1/nのゲイン要素14bと、1サンプル周期遅れ要素14cを有している。
【0016】
次にこの実施の形態の動作について説明する。
まず、台形信号発生器10は図19のような目標位置指令x* 0の微分信号である台形信号
【数11】
を生成する。図19において、taは加速時間、tdは指令開始から減速開始までの時間、teは指令時間である。それに、減速時間(te−td)と加速時間taが等しく、台形の面積が送り距離xmとなるように台形を定める。
【0017】
次に、安定型2次フィルタ11の伝達関数を
【数12】
で表すものとする。そして、ω0を次式を満たすように設定する。
ただし、ωBは機台の振動角周波数である。このとき、目標位置指令に存在する機台振動を刺激する周波数の成分は安定型2次フィルタ11に通させることによって除去される。また、ω2を次式を満たすように設定する。
【0018】
【数13】
ただし、kは任意な自然数としても良いが、1とする場合は位置指令の2回微分信号が一番小さいので、一般的にk=1とする。
なお、ζ=0とすると、安定型2次フィルタ11の出力である除振位置指令の微分信号
【数14】
は第1の従来技術の位置指令と同じく図20又は図21のように持続的に振動する。そこで、時刻te後の指令振動を取るため、除振位置指令の微分信号
【数15】
を指令定着部12に通す。
【0019】
指令定着部12において、切替判定部12aは、目標位置指令x* 0と指令定着部12の出力
【数16】
の積分である定着位置指令x* sとの偏差erおよび目標位置指令の微分信号
【数17】
を入力し、
【数18】
が零から非零になれば指令開始と判断し、
【数19】
が非零から零になれば指令終了と判断する。切替スィッチ12bは、切替判定部12aの指示を受けて指令終了の後で、erが0になってから次の指令開始までの間に切替スィッチ12bを0信号に接するB点に、それ以外の時間に前記除振位置指令の微分信号
【数20】
に接するA点に切替える。すなわち、x* sが目標位置xmに達する前は、x* sをx* fとし、指令終了後でx* sが目標位置xmに達した後は、x* sを目標位置xmに定着させる、という動作がとられるのである。
【0020】
上述のように、指令終了後定着位置指令x* sを必ず目標位置xmに定着させることができるが、計算誤差や量子化誤差などの原因で図2(a)又は図3(a)のように指令終了前にx* sが既にxmを超えることがある。ここで図2は、ω2=2π/taおよびζ=0とする場合の定着位置指令x* sの時間関数を示す図、図3は、ω2=2π/tdおよびζ=0とする場合の定着位置指令x* sの時間関数を示す図である。
この場合は、ζを0から少し(例:0.001)ずつ上げて行くと、図4(a)又は図5(a)のように指令終了の直後にx* sをxmに到達させることができる。ここで、図4は、ω2=2π/taおよびζ=0.02とする場合の定着位置指令x* sの時間関数を示す図、図5は、ω2=2π/tdおよびζ=0.02とする場合の定着位置指令x* sの時間関数を示す図である。
【0021】
この時点では、機台振動の周波数の成分が除去され、指令時間が延びない安定な指令は得られている。ところが、定着位置指令x* sを直接フィードバック制御系に入力すると、駆動系の振動が考慮されていないため、図6又は図7のように指令終了後の機台振動は抑制されるが、駆動系の振動が逆に大きくなる。ここで、図6は、ω2=2π/taおよびζ=0.02とし、CICフィルタがない指令生成装置を用いる場合のシミュレーション結果を示す図、図7は、ω2=2π/tdおよびζ=0.02とし、CICフィルタがない指令生成装置を用いる場合のシミュレーション結果を示す図である。
【0022】
そこで、駆動系の振動を抑制するため、定着位置指令x* sをCICフィルタ14に通す。CICフィルタ14のサンプル周期をTとし、駆動系の振動周期をTCとする。公知のように、nサンプル遅れ14aの遅れ時間nTを駆動系の振動周期TCとすれば、位置指令には駆動系の振動周波数およびその整数倍の成分が除去されるため、駆動系の振動を抑制できる。一方、nは自然数でなければならないので、nを次式のように与える。
【数21】
ただし、Fix{・}は整数値を取る関数である
もちろん、CICフィルタ14は遅れ時間nTをもたらすため、位置指令x* rも目標位置指令x* 0よりnTの時間遅れがある。しかし、駆動系の振動周期TCは一般に短いので、その遅れ時間も短い。
【0023】
以上のように最終的にフィードバック系に入力する位置指令x* rは、指令時間が短く、機台の振動成分および駆動系の振動成分が共に除去されるので、機台振動および駆動系の振動を励起させることなく、高速かつ高精度位置決め制御できる。図8および図9はその状況を示すものであり、図8はω2=2π/taおよびζ=0.02とする指令生成装置を用いる場合のシミュレーション結果を示す図、図9はω2=2π/tdおよびζ=0.02とする本発明の指令生成装置を用いる場合のシミュレーション結果を示す図である。
【0024】
次に上述のように得られた位置指令を用いる場合に、指令終了後の機台振動を抑制できることを理論上で説明する。
まず、加速度指令Arから機台変位xBまでの伝達関数を求める。
一般に、機台の質量MBは負荷の質量MLより遥かに大きいので、駆動力FMLが大きい指令時間の間に機台の加速度
【数22】
は負荷の加速度
【数23】
より遥かに小さい。それで、機械系のモデルを近似的に図10のように書き直すことができる。さらに図10を図11のように書き直す。ただし、ωrとωaはそれぞれ駆動系の共振と反共振角周波数である。ωrがωBより遥かに大きいことを考慮し、図11によると、力指令Frから機台変位xBまでの伝達関数は
【数24】
となる。また、図16により、Fr=MArなので、加速度指令Arから機台変位xBまでの伝達関数は
【数25】
となる。
【0025】
次に、位置指令のラプラス関数を求める。
図19に示すような台形の目標位置指令の微分信号
【数26】
をラプラス変換すると、
【数27】
となる。また、ζは小さい値であるので、安定型2次フィルタ11は近似的に
【数28】
となる。また、指令定着部12は単に指令終了後指令に対する微小な修正を行うので、無視できる。それに、図24のような離散系のCICフィルタを図12のような連続系で近似できる。よって、本振動抑制指令生成装置のモデルを近似的に図13のように表すことができる。図13より、位置指令の2回微分信号のラプラス変換は
【数29】
となる。
【0026】
次に、機台変位xBのラプラス関数を求める。
図16のような制御系では、フィードフォワードを組み込んであるので、負荷位置がほぼ位置指令に追従し、すなわち、加速度指令Arがほぼ位置指令の2回微分信号
【数30】
に追従することはできる。式(10)および式(13)より、機台変位を考察するための近似等価ブロック図は図14のようになる。また、とすると、機台変位xBのラプラス関数は
【数31】
となる。
【0027】
最後に、機台変位xBの時間関数を求める。
機台変位xBの初期値を0とし、式(14)をラプラス反変換を行うと、指令終了後(t>te)の機台変位は
【数32】
となる。
式(15)より、式(7)が満たされると、指令終了後の機台変位が0となることが分かる。
【0028】
【発明の効果】
以上述べたように本発明の振動抑制指令生成装置によれば、台形状の目標位置指令の微分信号を生成し、目標位置指令の微分信号を安定型2次フィルタ、指令定着部および積分器に通し、そして安定型2次フィルタのパラメータを機台の振動周波数および目標位置指令の加減速時間と一定の関係を保つように設定し、さらに定着位置指令をCICフィルタに通すことにより、指令中の駆動系の振動周波数を除去するようにしている。これにより、機台振動周波数の成分が除去され、指令時間が短く、安定な定着位置指令が得られ、しかも、機台振動および駆動系の振動を励起させることなく、高速かつ高精度な位置決め制御を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係る振動抑制指令生成装置を示すブロック図である。
【図2】ω2=2π/taおよびζ=0とする場合の定着位置指令x* sの時間関数を示す図である。
【図3】ω2=2π/tdおよびζ=0とする場合の定着位置指令x* sの時間関数を示す図である。
【図4】ω2=2π/taおよびζ=0.02とする場合の定着位置指令x* sの時間関数を示す図である。
【図5】ω2=2π/tdおよびζ=0.02とする場合の定着位置指令x* sの時間関数を示す図である。
【図6】ω2=2π/taおよびζ=0.02とし、CICフィルタがない本発明の指令生成装置を用いる場合のシミュレーション結果を示す図である。
【図7】ω2=2π/tdおよびζ=0.02とし、CICフィルタがない本発明の指令生成装置を用いる場合のシミュレーション結果を示す図である。
【図8】ω2=2π/taおよびζ=0.02とする本発明の指令生成装置を用いる場合のシミュレーション結果を示す図である。
【図9】ω2=2π/tdおよびζ=0.02とする本発明の指令生成装置を用いる場合のシミュレーション結果を示す図である。
【図10】機械系の近似等価ブロック図である。
【図11】図10の等価ブロック図である。
【図12】連続系におけるCICフィルタの近似等価ブロック図である。
【図13】本発明の位置指令の近似等価ブロック図である。
【図14】図16における機台変位を考察するための近似等価ブロック図である。
【図15】一般的な産業機械の機械構成図である。
【図16】位置制御系の全体構成を示すブロック図である。
【図17】台形指令を直接にフィードバック制御系に入力させる場合のシミュレーション結果を示す図である。
【図18】第1の従来技術の位置指令生成装置を示すブロック図である。
【図19】目標位置指令および目標位置指令の微分信号の時間関数を示す図である。
【図20】ω2=2π/taとする場合の第1の従来技術の位置指令の時間関数を示す図である。
【図21】ω2=2π/tdとする場合の第1の従来技術の位置指令の時間関数を示す図である。
【図22】第2の従来技術の位置指令生成装置を示すブロック図である。
【図23】第2の従来技術の位置指令の時間関数を示す図である。
【図24】CICフィルタの構成図である。
【図25】台形指令をCICフィルタに通させてからフィードバック制御系に入力させる場合のシミュレーション結果を示す図である。
【符号の説明】
1 位置指令生成部
2 位置制御部
3 速度制御部
4 ゲインM
5 モータを含む機械系
6,7 微分器
10 台形信号発生器
11 安定型2次フィルタ
12 指令定着部
12a 切替判定部
12b 切替スイッチ
12c 定数0
12d,13 積分器
12e 加算器
14 CICフィルタ
14a nサンプル周期遅れ要素
14b ゲイン1/n
14c 1サンプル周期遅れ要素
15 準安定型2次フィルタ
51 モータ
52 力伝達機構
53 負荷
54 機台
55 支持足
x* 0 目標位置指令
x* f 除振位置指令
x* s 定着位置指令
x* r 位置指令
Claims (4)
- 駆動機構が機台に設置され、モータ位置或いは負荷位置を目標位置指令に追従させる位置決め制御装置の振動抑制指令生成装置において、
前記目標位置指令の微分信号を出力する台形信号発生器と、
前記目標位置指令の微分信号に基づいて除振位置指令の微分信号を出力する安定型2次フィルタと、
前記目標位置指令の微分信号と前記除振位置指令の微分信号と定着位置指令とに基づいて前記定着位置指令の微分信号を出力する指令定着部と、
前記定着位置指令の微分信号に基づいて前記定着位置指令を出力する積分器と、
前記定着位置指令を入力し、位置指令を出力するCICフィルタと
を備えたことを特徴とする振動抑制指令生成装置。 - 前記指令定着部は、前記目標位置指令の微分値を積分する積分器と、前記積分器の出力と前記定着位置指令を差し引いて位置指令偏差を出力する減算器と、前記目標位置指令の微分値と前記位置指令偏差を入力し、前記目標位置指令の微分値が零から非零になれば指令開始と判断し、前記目標位置指令の微分値が非零から零になれば指令終了と判断する切替判定部と、前記切替判定部の判定出力により、指令終了の後、位置指令偏差が零になってから次の指令開始までは零を出力し、それ以外は前記安定型2次フィルタの出力をそのまま出力する切替スイッチとを備えていることを特徴とする請求項1記載の振動抑制指令生成装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003034132A JP4288955B2 (ja) | 2003-02-12 | 2003-02-12 | 振動抑制指令生成装置 |
Applications Claiming Priority (1)
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