JP2004023910A - モータ制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】モータ駆動システムにおいて安定性を損なわずに制御ゲインをハイゲイン化でき,ガタを有していても安定したモータ制御を行うこと。
【解決手段】ノミナルなコントローラモデルG(s)とモータ単体の動特性モデルとを含む連続時間系の安定な閉ループモデルを離散時間近似した離散時間モデル411を有し,モータ出力の推定値Tmo,計測値Xm,指令値Xmからモータトルク指令値Tmを出力する手段41aと,モータ単体のモデル422と遅れ要素補償モデル421aとを有し,負荷を含む低周波数特性に対応したモータトルクの第1の指令値Tm1を出力する手段61と,Tm1と負荷慣性jlとモータ慣性jmとに基づいてTm1から負荷慣性に対応する負荷慣性トルク成分Tjlを抽出する手段62と,モータトルク計測値TmからTjlを除去したトルクからモータ出力の推定値Tmoを出力する手段41aとを具備する。
【選択図】図6

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は,モータにより減速機等の動力伝達機構を介して負荷を駆動するモータ駆動システムにおけるモータ制御装置であって,モータの速度や位置等の所定のモータ出力を制御するためにモータトルクの指令値をデジタル出力するモータ制御装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般にモータにより負荷を駆動する場合,モータが減速機等の動力伝達機構を介して負荷と連結されたモータ駆動システムを構成する。図1は,モータ駆動システムを模式的に図示したものである。このようなモータ駆動システムでは,モータ慣性よりも大きな慣性を有する(即ち,モータよりも周波数特性が低い)負荷が連結されるとともに,動力伝達機構にいわゆるガタ(あそび)を有する場合が多い。ここで,モータ慣性とは,モータ本体及び減速機のインプットギアやエンコーダ等,モータに直結される(ガタを有しない)部分を含めた慣性を表すものとし,また,モータ駆動システム全体のうち,該モータ慣性を除いた慣性を負荷慣性というものとし,以下同様とする。
このようなモータ駆動システムに対しては,従来,図2のブロック図で示すような制御系が構成される(従来技術)。図2に示す制御系では,モータの速度や位置等であるモータ出力の計測値Xm及びその指令値Xmの偏差に基づいてモータトルクの指令値Tmを出力するノミナルなコントローラモデルG(s)(以下,コントローラG(s)という)によりモータが制御される。この場合,コントローラG(s)をハイゲイン化することによって,制御系全体の応答性や外乱抑制性能の向上を図ることになる。しかし,モータ駆動システムでは,コントローラG(s)の処理遅れ等に起因する処理の遅れ要素21(Hはその遅延時間)やモータへの電流応答の遅れ要素22(電流ループの動特性)等が存在するため,制御の安定性を損なうことなくコントローラG(s)をハイゲイン化するには限界がある。例えば,コントローラG(s)における速度ゲインGvを考えた場合,一般に,速度ゲインGvは,前記処理の遅れ要素21や前記電流応答の遅れ要素22等に起因する無駄時間Lと,モータ慣性Jmとから,次の(1)式によって表される範囲内に制限される。
Gv<Jm/2L                    …(1)
一般に,前記無駄時間Lは0.001(s)前後であるため,速度ゲインGvは500Jm未満にしなければ,制御の安定性が損なわれる。
また,負荷を含めたモータ駆動システム全体の応答性は次の(2)式で与えられる。
Gv/(Jm+Jl)                  …(2)
一般に,図2に示すような従来の制御系において適正な制御が行えるためには,負荷側の慣性(負荷慣性Jl)とモータ慣性Jmとの慣性比(Jl/Jm)が5以内であることが必要といわれている。この場合,例えば,前記慣性比が5(Jl=5Jm)であれば,モータ駆動システム全体の応答性はGv/6Jmで与えられる。前述したように,Gvが500Jm前後であることから,モータ駆動システム全体の適正な応答性は,83[rad/s]前後(一般には,50〜100[rad/s]程度)であるといえる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら,モータの小型化と高トルク化が進み,小型のモータ(即ち,モータ慣性Jmが小さい)で大きな負荷(即ち,負荷慣性Jlが大きい)を駆動できるようになった昨今,前記慣性比(Jl/Jm)が大きくなる傾向があり,前記慣性比が20程度にまでなるものも珍しくない。このようなモータ駆動システムにおいて適正な応答性を確保するためには,コントローラG(s)を更にハイゲイン化しなければならないが,そうすると前述した限界の範囲を越えるため安定性を確保できないという問題点があった。このため,従来はやむを得ず,モータの回転軸にフライホイール等の余分な慣性を付加する等によってモータ慣性Jmをわざわざ高くする対処が行われ,これではせっかく小型化したモータの利点が損なわれていた。
一方,スミス補償や予見制御等の無駄時間対策を行うことにより,コントローラG(s)を更にハイゲイン化することが知られている。図3は,図2の制御系に一般的なスミス補償を適用した制御系を表すブロック図である。図3に示すように,モータ駆動システムの無駄時間モデル31(以下,システムの無駄時間モデルという)やモータ単体の動特性モデル32(jmは,モータ慣性Jmの公称値)により,無駄時間対策が施される。図3において,前記システムの無駄時間モデル31は,前記処理の遅れ要素21及び前記電流応答の遅れ要素22に加え,モータ出力計測用のセンサの遅れ要素23(センサの動特性D(s))も加味した無駄時間モデルである(Lはその遅延時間)。ここでいうモータ単体とは,モータ及び減速機のインプットギアやエンコーダ等,モータに直結される(ガタを有しない)部分を含めた範囲を表す。即ち,動力伝達機構を介して負荷が連結されていない状態のモータ及びこれに付随する部分をいうものとし,以下同様とする。
しかしながら,前述したように動力伝達機構がガタを有する場合には,モータは,ガタの範囲内の微小動作では,モータ単体の動特性(モータ慣性Jmによる動特性)を示し,ガタの範囲を越える大きな動作では負荷を含めたモータ駆動システム全体の動特性((モータ慣性Jm+負荷慣性Jl)による動特性)を示すこととなる。これに対し,スミス補償等の前記無駄時間対策は,このような大きな動特性の変動を吸収できないため,ガタを有する制御系への適用は困難であるという問題点があった。
さらに,スミス補償等の前記無駄時間対策は,連続時間系を制御対象としているため,デジタル制御系(離散時間系)で生じるサンプリング周期等に起因する無駄時間を扱うことができない。このようなデジタル制御系に対してスミス補償等の前記無駄時間対策を適用し,コントローラG(s)をハイゲイン化すると,制御装置のサンプリング周波数よりも制御の応答周波数の方が上回る結果,システムが不安定化して発振してしまうという問題点もあった。図3の例では,破線で囲まれた部分が発振することになる。
従って,本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり,その目的とするところは,安定性を損なわずに制御ゲインをハイゲイン化でき,さらに,ガタを有するモータ駆動システムに対しても安定した制御を行えるモータ制御装置を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために本発明は,モータにより負荷を駆動するモータ駆動システムにおける所定のモータ出力を制御する際に,モータトルクの指令値をデジタル出力するモータ制御装置において,モータ出力の推定値とモータ出力の計測値及び指令値とに基づいて前記モータトルクの指令値を出力するトルク指令値出力手段と,モータ単体の動特性モデルと前記モータトルクの指令値若しくはモータトルクの計測値から前記モータ出力の計測値までに存在する前記モータ単体の動特性以外の遅れ要素を補償する補償要素モデルとを有し,前記モータトルクの指令値若しくはモータトルクの計測値に基づいて前記モータ出力の推定値を出力するモータ出力推定手段と,を具備し,前記トルク指令値出力手段が,ノミナルな所定のコントローラモデルとモータ単体の動特性モデルとを含む連続時間系の安定な閉ループモデルを離散時間近似した離散時間モデルを有してなることを特徴とするモータ制御装置である。
このように,連続時間系のモデルを組み合わせてデジタル制御を行うのではなく,連続時間系の安定な閉ループモデルを離散時間近似して得た離散時間モデルによってデジタル制御を行うとともに,モータトルクの指令値からモータ出力の計測値までに存在する遅れ要素を補償することにより,制御ゲインをハイゲイン化しても安定性を損なわない制御系を構築することが可能となる。
【0005】
また,前記負荷が前記モータよりも低い周波数特性を有する場合に,前記負荷を含む周波数特性に対応したモータトルクの第1の指令値を出力する低周波コントローラと,前記モータトルクの第1の指令値と負荷の慣性とモータの慣性とに基づいて前記モータトルクの第1の指令値から前記負荷の慣性に対応する負荷慣性トルク成分を抽出する負荷慣性トルク抽出手段と,を具備し,前記モータ出力推定手段が,前記モータトルクの指令値若しくは前記モータトルクの計測値から前記負荷慣性トルク成分を除去したトルクに基づいて前記モータ出力の推定値を出力し,前記トルク指令値出力手段が,前記モータトルクの第1の指令値と前記離散時間モデルにより出力されるモータトルクの第2の指令値とを加算した値を前記モータトルクの指令値として出力するものも考えられる。
これにより,ハイゲイン化が可能な前記離散時間モデルによってモータ単体(モータに直結される部分を含む)の高い周波数特性(主として,ガタの範囲の微小動作の範囲)に対応したモータトルクの指令値が出力され,前記低周波コントローラによって負荷を含めた全体の低い周波数特性(ガタの範囲を越える大きな動作の範囲)に対応したモータトルクの指令値が出力されるので,それぞれの制御ゲインを最適化することによって,ガタを有するモータ駆動システムに対しても安定かつ応答性のよい制御を行うことが可能となる。
【0006】
また,前記低周波コントローラとしては,例えば,前記負荷の慣性及び前記モータの慣性に基づくフィードフォワードコントローラ,前記モータ出力の計測値に基づく外乱推定オブザーバ,及び前記モータ出力の計測値及び指令値とに基づく積分要素コントローラのいずれか1つ又は複数を有してなるものが考えられる。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下添付図面を参照しながら,本発明の実施の形態及び実施例について説明し,本発明の理解に供する。尚,以下の実施の形態及び実施例は,本発明を具体化した一例であって,本発明の技術的範囲を限定する性格のものではない。
ここに,図1はモータ駆動システムを模式的に表した図,図2は従来のモータ制御装置によりモータ駆動システムを制御する場合の制御系を表すブロック図,図3は従来のモータ制御装置に無駄時間対策を施してモータ駆動システムを制御する場合の制御系を表すブロック図,図4は本発明の実施の形態に係るモータ制御装置Xによりモータ駆動システムを制御する場合の制御系を表すブロック図,図5は本発明の実施例に係るモータ制御装置Y1によりモータ駆動システムを制御する場合の制御系を表すブロック図,図6は本発明の実施例に係るモータ制御装置Y2によりモータ駆動システムを制御する場合の制御系を表すブロック図,図7は従来のモータ制御装置によるステップ応答時の制御結果の一例を表すグラフ,図8は本発明の実施の形態に係るモータ制御装置Xによるステップ応答時の制御結果の一例を表すグラフ,図9は本発明の実施例に係るモータ制御装置Y2によるステップ応答時の制御結果の一例を表すグラフである。
【0008】
まず,図4を用いて,本発明の実施の形態に係るモータ制御装置Xについて説明する。
モータ制御装置Xは,モータトルクの指令値Tmに基づいてモータの速度や位置等のモータ出力の推定値Xmoを出力するモータ出力推定部42と,モータ出力の指令値Xm,モータ出力の計測値Xm,及び前記モータ出力の推定値Xmoに基づいて前記モータトルクの指令値Tmをデジタル出力するトルク指令値出力部41とから構成されている。前記トルク指令出力部41による前記モータトルクの指令値Tmによりモータが制御される。本モータ制御装置Xが制御するモータ駆動システムは,図2において説明したのと同様に,本モータ制御装置の処理遅れ等に起因する処理の遅れ要素21(Hはその遅延時間),モータへの電流応答の遅れ要素22,及びモータ出力計測用のセンサの遅れ要素23(センサの動特性D(s))を有している。
さらに,前記トルク指令出力部41は,モータ出力の指令値Xmとモータ出力の計測値Xmとの偏差に前記モータ出力の推定値Xmoを加算したものを入力し,これに基づいて前記モータトルクの指令値Tmを出力する所定の離散時間モデル411を有している。
前記離散時間モデル411は,ノミナルな所定のコントローラモデルG(s)とモータ単体の動特性モデルとを含む連続時間系の閉ループモデル(即ち,図3の破線で囲まれた部分からサンプルホルダー33を除いた閉ループモデル)を離散時間近似した離散時間モデルである。該連続時間系の閉ループモデルは,連続時間系の状態では安定であり,例えば,次の(3)式で表される。
jm・G(s)s/(jm・s+G(s))        …(3)
ここで,jmは,モータ慣性Jmの公称値である。このような連続時間系のモデルを離散時間近似する方法としては,双一次変換や差分近似等,各種の方法が知られている。例えば,前記離散時間モデル411をP(Z),サンプリング周期をΔTとし,(3)式で表されるモデルのコントローラG(s)にゲインGvを与えて差分近似を行えば,P(z)は,次の(4)式で与えられる。
P(Z)=(Z−1)/(Z−(1+ΔT・Gv/jm)) …(4)
このように,連続時間系の安定なモデルを離散時間近似することにより得られる離散時間モデルは安定であると考えられる。その検証結果については後述する。
しかしながら,前記離散時間モデル411が安定であっても,前記モータトルクの指令値Tmから前記モータ出力の計測値Xmまでに遅れ要素が存在するため,やはりG(s)をハイゲイン化すると発振が生じる。このため,この遅れ要素を補償する必要がある。
そこで,前記モータ出力推定部42は,モータ単体の動特性モデル422と,前記モータトルクの指令値Tmから前記モータ出力の計測値Xmまでに存在する前記モータ単体の動特性以外の遅れ要素を補償するモデル(前記補償要素モデルの一例),例えば,モータ出力のセンサモデル421(図中,d(s)で示す)及びその他遅れ要素モデル423とを有し,これらにより当該モータ駆動システムが有する遅れ要素を補償している。図4に示す前記その他遅れ要素モデル423は,本モータ制御装置X等の処理遅れ等に起因する前記処理の遅れ要素21及び前記電流応答の遅れ要素22を補償するものである(図中,hは前記処理の遅れ要素21の遅延時間Hの公称値を表す)。
これにより,前記モータトルクの指令値Tmから前記モータ出力の計測値Xmまでに存在する遅れ要素が補償され,G(s)のハイゲイン化による発信を防止できる。
【0009】
次に,図7及び図8を用いて,図2に示した従来のモータ制御装置及び本モータ制御装置Xそれぞれによる制御結果の検証を行う。図7及び図8において,縦軸は前記モータトルクの指令値Tm及び計測値Tm,並びに前記モータ出力の計測値Xmを,横軸は時間軸を表し,それぞれ前記モータ出力の計測値Xmのステップ変化に対する前記モータトルクの指令値Tm及び計測値Tmの応答を表す。
図7は,図2に示した従来のモータ制御装置による制御結果を表す。図7(a)は,Gv/Jm=500[rad/s](GvはコントローラG(s)の速度ゲイン,Jmは前記モータ慣性)の場合の制御結果であり,このとき既に,振動的な挙動を示している。また,図7(b)は,Gv/Jm=667の場合の制御結果であり,発振していることがわかる。
図8は,図4に示した本モータ制御装置Xによる制御結果を表す。図8(a)は,Gv/Jm=500[rad/s]の場合であるが,全く振動的な挙動を示さず安定である。また,図8(b)に示すように,Gv/Jm=1000[rad/s]までゲインを上げても,振動的な挙動を若干示すのみで安定性が損なわれていない。
このように,本モータ制御装置Xでは,連続時間系の安定な閉ループモデルを離散時間近似することによって得た安定な前記離散時間モデル411が用いられるとともに,前記モータトルクの指令値Tmから前記モータ出力の計測値Xmまでに存在する遅れ要素が補償されるため,前記離散時間モデル411の近似誤差や,前記センサモデル421や前記その他の遅れ要素モデル423のモデル化誤差がなければ,前記離散時間モデル411に含まれるコントローラG(s)をハイゲイン化しても発振しない。
これにより,安定性を損なうことなくコントローラG(s)をハイゲイン化できるので,例えば,前記慣性比(Jl/Jm)が大きい(即ち,モータの周波数特性が負荷の周波数特性よりも非常に低い)モータ駆動システム等に対しても,適正な応答性を確保することができる。図7に示した従来のモータ制御装置による制御結果から,Gv/Jm=500[rad/s]が従来の限界であるとすると,本モータ制御装置Xによれば,少なくともその2倍までゲインを上げることが可能であることがわかる。
【0010】
【実施例】
次に,図5を用いて,前記モータ制御装置Xの応用例である,モータ制御装置Y1について説明する。
本モータ制御装置Y1は,前記モータ制御装置Xにおける前記モータ出力推定部42を,新たなモータ出力推定部42aに置き換わったものであり,その他の構成については前記モータ制御装置Xと同様である。
本モータ制御装置Y1における前記モータ出力推定部42aは,前記モータトルクの指令値Tmの代わりに,モータトルクの計測値Tmに基づいて前記モータ出力の推定値Xmoを出力するものである。
前記モータ出力推定部42aは,前記モータ単体の動特性モデル422と前記モータトルクの計測値Tmから前記モータ出力の計測値Xmまでに存在する前記モータ単体の動特性以外の遅れ要素を補償するモデルである補償モデル421a(前記補償要素モデルの一例)とを有し,これらにより当該モータ駆動システムの遅れ要素を補償している。前記モータトルクの計測値Tmには,これを計測する電流センサの動特性要素51(N(s))が含まれるので,前記補償モデル421aは,モータ出力の計測に係る前記センサの動特性23(D(s))を補償する前記センサモデル42(d(s))に加え,前記電流センサの動特性要素51を補償するモデル(n(s))も加味したモデル(d(s)/n(s))としている。なお,D(s)/N(s)が遅れ要素ではなく,進み要素である場合には,前記補償モデル421aを設ける代わりに,前記モータ出力の計測値Xmにn(s)/d(s)を乗算することにより,前記モータトルクの計測値Tmから前記モータ出力の計測値Xmまでに存在する前記モータ単体の動特性以外の遅れ要素が0(ゼロ)であるとして構成すればよい。このような構成も,本発明の実施の範囲である。
【0011】
次に,図6を用いて,前記モータ制御装置Xの応用例である,モータ制御装置Y2について説明する。
本モータ制御装置Y2は,モータにより駆動される負荷が,モータよりも低い周波数特性を有する(前記モータ慣性よりも前記負荷慣性の方が大きい)場合(通常は,このような場合が多い)に適用されるものである。
図6に示すように,本モータ制御装置Y2は,前記モータ制御装置Y1に,負荷を含む周波数特性(モータに負荷が接続された(ガタの範囲でない)状態での周波数特性)に対応した前記モータトルクの第1の指令値Tm1を出力する低周波コントローラ部61と,前記モータトルクの第1の指令値Tm1と前記負荷慣性Jlと前記モータ慣性Jmとに基づいて前記モータトルクの第1の指令値Tm1から前記負荷慣性Jlに対応する負荷慣性トルク成分Tjlを抽出する負荷慣性トルク抽出部62とを付加したものである。
また,前記モータ出力推定部42aが,前記モータトルクの計測値Tmから前記負荷慣性トルク成分Tjlを除去したトルクに基づいて前記モータ出力の推定値Xmoを出力し,前記トルク指令値出力部41に置き換わった新たなトルク指令値出力部41aが,前記モータトルクの第1の指令値Tm1と前記離散時間モデル411(安定な離散時間モデルP(Z))により出力されるモータトルクの第2の指令値Tm2とを加算した値を前記モータトルクの指令値Tmとして出力するよう構成されている。
さらに,前記低周波コントローラ部61が,前記負荷慣性Jl及び前記モータ慣性Jmに基づくフィードフォワードコントローラ611,前記モータ出力の計測値Xmに基づく外乱推定オブザーバ612,及び前記モータ出力の計測値Xm及び指令値Xmの偏差に基づく積分要素コントローラ613を備え,これら611,612,613の出力が合成された値が前記モータトルクの第1の指令値Tm1として出力されるよう構成されている。これらフィードフォワードコントローラ611,外乱推定オブザーバ612,及び積分要素コントローラ613については周知であるのでここでは説明を省略する。但し,図6では,前記モータ慣性Jm及び前記負荷慣性Jlとして,それぞれその公称値jm,jlを用いている。
図6のような構成とすることにより,ガタを有するモータ駆動システムに対し,モータ単体(モータに直結される部分を含む)の高い周波数特性(主として,ガタの範囲の微小動作の範囲)に対しては,前記離散時間モデル411の制御ゲインを最適化し,負荷を含めた全体の低い周波数特性(ガタの範囲を越える大きな動作の範囲)に対しては,前記低周波コントローラ部61の制御ゲインを最適化することによって,安定かつ応答性のよい制御装置とすることができる。このとき,前記離散時間モデル411の制御ゲインは,高い周波数特性に対応するためハイゲイン化する必要があるが,前述したように,連続時間系の安定な閉ループモデルを離散時間近似したものであるため,ハイゲイン化しても発振することがなく安定である。
【0012】
図9は,図6に示した前記モータ制御装置Y2(前記モータトルクの計測値Tmに基づいて前記モータ出力の推定値Xmoを出力するタイプ)による制御結果を表す。図9(a)は,Gv/Jm=1000[rad/s]の場合であるが,ここまでゲインを上げても全く振動的な挙動を示さず,図9(b)に示すように,Gv/Jm=3333[rad/s]までゲインを上げても振動的な挙動を若干示すのみで安定していることがわかる。図7に示した従来のモータ制御装置による制御結果から,Gv/Jm=500[rad/s]が従来の限界であるとすると,前記モータ制御装置Y2によれば,少なくともその6.7倍までゲインを上げることが可能であることがわかる。
【0013】
【発明の効果】
以上説明したように,本発明によれば,連続時間系の安定な閉ループモデルを離散時間近似したモデルを用いるとともに,モータトルクの指令値からモータ出力の計測値までに存在する遅れ要素を補償してモータを制御することにより,安定性を損なうことなく制御ゲインをハイゲイン化でき,例えば,モータに対する負荷の慣性比が非常に大きいモータ駆動システム等に対しても,適正な応答性を確保することができる。
さらに,このようにハイゲイン化が可能な離散時間モデルがモータ単体(モータに直結される部分を含む)の高い周波数特性(主として,ガタの範囲の微小動作の範囲)に対応し,低周波コントローラが負荷を含めた全体の低い周波数特性(ガタの範囲を越える大きな動作の範囲)に対応するよう構成することにより,それぞれの制御ゲインを最適化することによって,ガタを有するモータ駆動システムに対しても安定かつ応答性のよい制御を行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】モータ駆動システムを模式的に表した図。
【図2】従来のモータ制御装置によりモータ駆動システムを制御する場合の制御系を表すブロック図。
【図3】従来のモータ制御装置に無駄時間対策を施してモータ駆動システムを制御する場合の制御系を表すブロック図。
【図4】本発明の実施の形態に係るモータ制御装置Xによりモータ駆動システムを制御する場合の制御系を表すブロック図。
【図5】本発明の実施例に係るモータ制御装置Y1によりモータ駆動システムを制御する場合の制御系を表すブロック図。
【図6】本発明の実施例に係るモータ制御装置Y2によりモータ駆動システムを制御する場合の制御系を表すブロック図。
【図7】従来のモータ制御装置によるステップ応答時の制御結果の一例を表すグラフ。
【図8】本発明の実施の形態に係るモータ制御装置Xによるステップ応答時の制御結果の一例を表すグラフ。
【図9】本発明の実施例に係るモータ制御装置Y2によるステップ応答時の制御結果の一例を表すグラフ。
【符号の説明】
21…処理の遅れ要素
22…電流応答の遅れ要素
23…モータ出力計測用のセンサの遅れ要素(センサの動特性)
31…モータ駆動システムの無駄時間モデル
32,422…モータ単体の動特性モデル(モータに直結される部分を含む)
33…サンプルホルダー
41,41a…トルク指令値出力部
42,42a…モータ出力推定部
51…モータトルクを計測する電流センサの動特性要素
61…低周波コントローラ部
62…負荷慣性トルク抽出部
411…連続時間系の安定な閉ループモデルを離散時間近似した離散時間モデル421…モータ出力のセンサモデル(遅れ要素を補償するモデル)
421a…遅れ要素を補償するモデル
423…その他遅れ要素モデル(遅れ要素を補償するモデル)
611…フィードフォワードコントローラ
612…モータ出力の計測値に基づく外乱推定オブザーバ
613…モータ出力の計測値及び指令値に基づく積分要素コントローラ

Claims (3)

  1. モータにより負荷を駆動するモータ駆動システムにおける所定のモータ出力を制御する際に,モータトルクの指令値をデジタル出力するモータ制御装置において,
    モータ出力の推定値とモータ出力の計測値及び指令値とに基づいて前記モータトルクの指令値を出力するトルク指令値出力手段と,
    モータ単体の動特性モデルと前記モータトルクの指令値若しくはモータトルクの計測値から前記モータ出力の計測値までに存在する前記モータ単体の動特性以外の遅れ要素を補償する補償要素モデルとを有し,前記モータトルクの指令値若しくはモータトルクの計測値に基づいて前記モータ出力の推定値を出力するモータ出力推定手段と,を具備し,
    前記トルク指令値出力手段が,ノミナルな所定のコントローラモデルとモータ単体の動特性モデルとを含む連続時間系の安定な閉ループモデルを離散時間近似した離散時間モデルを有してなることを特徴とするモータ制御装置。
  2. 前記負荷が前記モータよりも低い周波数特性を有する場合に,
    前記負荷を含む周波数特性に対応したモータトルクの第1の指令値を出力する低周波コントローラと,
    前記モータトルクの第1の指令値と負荷の慣性とモータの慣性とに基づいて前記モータトルクの第1の指令値から前記負荷の慣性に対応する負荷慣性トルク成分を抽出する負荷慣性トルク抽出手段と,を具備し,
    前記モータ出力推定手段が,前記モータトルクの指令値若しくは前記モータトルクの計測値から前記負荷慣性トルク成分を除去したトルクに基づいて前記モータ出力の推定値を出力し,
    前記トルク指令値出力手段が,前記モータトルクの第1の指令値と前記離散時間モデルにより出力されるモータトルクの第2の指令値とを加算した値を前記モータトルクの指令値として出力してなる請求項1に記載のモータ制御装置。
  3. 前記低周波コントローラが,前記負荷の慣性及び前記モータの慣性に基づくフィードフォワードコントローラ,前記モータ出力の計測値に基づく外乱推定オブザーバ,及び前記モータ出力の計測値及び指令値とに基づく積分要素コントローラのいずれか1つ又は複数を有してなる請求項2に記載のモータ制御装置。
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