JP2004246170A - マイクロカプセルトナーを用いる多色画像形成装置 - Google Patents
マイクロカプセルトナーを用いる多色画像形成装置 Download PDFInfo
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Abstract
【課題】印刷に必要な部分にのみマイクロカプセルトナーを配置して発色効率よく且つ位置ずれの無い印刷処理を行う多色画像形成装置を提供する。
【解決手段】超音波ラインヘッド24の各超音波素子は超音波の照射機能と反射波の受信機能とを備え、光書込ヘッド22と超音波ラインヘッド24の主走査方向のn(n=1,2、・・・)+α(0<α<1)ドットの位置ずれ量を反射波の受信波形によって検出し、この検出により制御部33は、nドットの位置ずれを配置タイミング又は照射タイミングの制御により補正し、αドットの位置ずれを配置ドットの拡大配置又は照射角の偏向によって補正する。補正後は光書込ヘッド22とカプセルトナー現像ローラ35によりオア現像された配置ドットへ、カプセルトナー内包の小径カプセルの固有共振周波数と同じ大きさのサブハーモニクス周波数の超音波を照射して所望の色を発色させる。
【選択図】 図1
【解決手段】超音波ラインヘッド24の各超音波素子は超音波の照射機能と反射波の受信機能とを備え、光書込ヘッド22と超音波ラインヘッド24の主走査方向のn(n=1,2、・・・)+α(0<α<1)ドットの位置ずれ量を反射波の受信波形によって検出し、この検出により制御部33は、nドットの位置ずれを配置タイミング又は照射タイミングの制御により補正し、αドットの位置ずれを配置ドットの拡大配置又は照射角の偏向によって補正する。補正後は光書込ヘッド22とカプセルトナー現像ローラ35によりオア現像された配置ドットへ、カプセルトナー内包の小径カプセルの固有共振周波数と同じ大きさのサブハーモニクス周波数の超音波を照射して所望の色を発色させる。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、マイクロカプセルトナーを用いる多色画像形成装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、パーソナルコンピュータを中心とした情報機器としてのコンピュータの普及に伴って、その周辺機器のひとつとしてプリンタ装置が普及している。このプリンタ装置には各種の方式のカラープリンタが提案されている。特に、電子写真方式、熱転写方式、インクジェット方式の各方式のプリンタ装置は著しい進歩を遂げており、それらで形成されるカラー画像は美麗さや解像度の点でも古くから用いられてきたアナログカメラの銀塩写真に匹敵し、これにとって代わる勢いである。
【0003】
図42は、電子写真方式の所謂タンデム方式の多色画像形成装置の例を示す図である。同図に示すように、タンデム方式の多色画像形成装置は、マゼンタ(M)、シアン(C)、イエロー(Y)、ブラック(K)の4つの画像形成部1M、1C、1Y、1Kを有し、各画像形成部1M、1C、1Y、1Kには、それぞれに対応する現像器2M、2C、2Y、2Kが配設されている。
【0004】
記録紙Pは、搬送ベルト5の矢印Aで示す反時計回り方向への循環移動に伴って破線矢印Bで示すように搬送される。この間各画像形成部1M、1C、1Y、1Kの光書込ヘッド3M、3C、3Y、3Kから対応する感光体ドラム4M、4C、4Y、4Kに光書込みが行われ、その光書込みによる静電潜像に対して現像器2M、2C、2Y、2Kによるそれぞれの色のトナー像が現像される。
【0005】
トナー像が現像された感光体ドラム4Mから記録紙Pに対してマゼンタ(M)のトナー像の転写が行われ、以後シアン(C)、イエロー(Y)、ブラック(K)の順に、各色のトナー像が重ねられて記録紙Pへ転写される。その後、熱定着器6によって定着処理が行われ、上記トナー像は記録紙Pに熱定着され、機外に排出される。
【0006】
一方、上記従来の方式に対し、新規な方式として、光や熱等の外部刺激に応答するマイクロカプセルを含有するインク層を予めコーティングした専用の記録紙を用い、これに画像情報に対応した光や熱を付与して画像形成を行う装置も提案されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来の電子写真方式の多色画像形成装置は、記録紙Pとして普通紙を使用できる点で優れているが、色別に複数のインクやトナーが必要である点で、消耗品の管理が煩雑となる。
【0008】
また、例えば現像器や画像形成部を複数(例えば、4個)内蔵する必要があり、部品点数が増し、装置も大型化する。そして、これら各色の位置合わせには高い精度が要求されるため、工場での組み立て作業に時間がかかって作業能率の低下要因となる。また、さらに、構造も複雑化し、装置の軽量化の面からも不利である。
【0009】
一方、マイクロカプセルを含有するインク層を予めコーティングした専用の記録紙を用いる方式の多色画像形成装置の場合は、基本的に記録紙全面にインクを塗布することから、コストアップの原因になる。また普通紙が使用できないという問題もある。さらに、複数色の印字工程を繰り返すことから、色ずれ管理が難しく、装置の複雑化も避けられない。
【0010】
本発明の課題は、上記従来の実情に鑑み、印刷に必要な部分にのみマイクロカプセルトナーを配置して発色効率よく且つ位置ずれの無い印刷処理を行う多色画像形成装置を提供することである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
先ず、請求項1記載の発明の多色画像形成装置は、所定の刺激によって破壊可能なカプセル壁で囲繞された複数種の小径マイクロカプセルを支持材に分散内包する大径マイクロカプセルから成り、互いに混合されて発色反応を起こす反応性物質の一方を上記各々の小径マイクロカプセル壁内側に分散し、上記反応性物質の他方を上記各々の小径マイクロカプセル壁外側の上記支持材に分散して成るマイクロカプセルトナーを用いるカラー画像形装置であって、上記マイクロカプセルトナーを複数種の色の画像データの論理和より合成されたデータに基づいて画素に対応するサイズに現像する現像手段と、該現像手段により現像された上記マイクロカプセルトナーの群層に、画素サイズに収束された複数種の特定周波数の超音波を選択的に照射することにより、各特定周波数ごとに選択的に反応する上記小径カプセルの外殻を破壊し、この外殻により分離されていた発色剤と顕色剤とを反応させて所定の色を発色させる発色手段と、を備えて構成される。
【0012】
上記複数種の特定周波数の超音波の周波数は、例えば請求項2記載のように、それぞれ上記小径カプセルの固有共振周波数と同じ大きさのサブハーモニクス周波数を発生することができる大きさで且つ上記小径カプセルの上記固有共振周波数の略2倍の大きさの周波数で構成される。
【0013】
上記複数種の色は、例えば請求項3記載のように、マゼンタ、シアン、及びイエロー、又は、マゼンタ、シアン、イエロー、及びブラックで構成される。
次に、請求項4記載の発明の多色画像形成装置は、所定の刺激によって破壊可能なカプセル壁で囲繞された複数種の小径マイクロカプセルを支持材に分散内包する大径マイクロカプセルから成り、互いに混合されて発色反応を起こす反応性物質の一方を上記各々の小径マイクロカプセル壁内側に分散し、上記反応性物質の他方を上記各々の小径マイクロカプセル壁外側の上記支持材に分散して成るマイクロカプセルトナーを複数種の色の画像データの論理和より合成されたデータに基づいて画素に対応するサイズに現像する現像手段と、該現像手段により現像された上記マイクロカプセルトナーの群層に、画素サイズに収束された複数種の特定周波数の超音波を選択的に照射することにより、各特定周波数ごとに選択的に反応する上記小径カプセルの外殻を破壊し、この外殻により分離されていた発色剤と顕色剤とを反応させて所定の色を発色させる発色手段と、を備え、上記現像手段により副走査方向の所定の位置における主走査方法に1画素ラインの現像を行わせ、上記発色手段により上記所定の位置に対応する所定の検知有効範囲において副走査方向に1画素ラインの超音波照射を行わせて、その発色位置により、該発色手段の副走査方向の位置を基準とした上記現像手段の副走査方向の位置ずれの有無を検出する制御手段を有して構成される。
【0014】
上記制御手段は、例えば請求項5記載のように、上記現像手段により主走査方向の所定の位置における副走査方向に1画素ラインの現像を行わせ、上記発色手段により上記所定の位置に対応する所定の発色検知範囲において主走査方向に1画素ラインの超音波照射を行わせて、その発色位置により、該発色手段の主走査方向の位置を基準とした上記現像手段の主走査方向の位置ずれの有無を検出するように構成され、また、例えば請求項6記載のように、発色検知範囲内において上記現像手段により主走査方向に1画素ラインの現像を行わせ、上記発色手段により所定の上記発色検知範囲において主走査方向の所定の2箇所のそれぞれの位置における副走査方向の1画素ラインの超音波照射を行わせて、その発色位置により、上記発色手段の主走査方向の位置を基準とした上記現像手段の主走査方向の傾き検出するように構成され、また、例えば請求項7記載のように、発色検知範囲内において上記現像手段により副走査方向の所定の2箇所のそれぞれの位置における主走査方向の1画素ラインの現像を行わせ、上記発色手段により所定の上記発色検知範囲において主走査方向に1画素ラインの超音波照射を行わせて、その発色位置により、上記現像手段の主走査方向の位置を基準とした上記発色手段の主走査方向の傾き検出するように構成される。
【0015】
また、請求項8記載の発明の多色画像形成装置は、所定の刺激によって破壊可能なカプセル壁で囲繞された複数種の小径マイクロカプセルを支持材に分散内包する大径マイクロカプセルから成り、互いに混合されて発色反応を起こす反応性物質の一方を上記各々の小径マイクロカプセル壁内側に分散し、上記反応性物質の他方を上記各々の小径マイクロカプセル壁外側の上記支持材に分散して成るマイクロカプセルトナーを複数種の色の画像データの論理和より合成されたデータに基づいて画素に対応するサイズに現像する現像手段と、該現像手段により現像された上記マイクロカプセルトナーの群層に、画素サイズに収束された複数種の特定周波数の超音波を選択的に照射することにより、各特定周波数ごとに選択的に反応する上記小径カプセルの外殻を破壊し、この外殻により分離されていた発色剤と顕色剤とを反応させて所定の色を発色させる発色手段と、を備えた多色画像形成装置であって、
上記マイクロカプセルトナーの群層の配置が無いところからの上記超音波の反射波形を波形0の波形として記憶する記憶手段と、上記波形0の波形と上記マイクロカプセルトナーの群層の存在の影響を受けた反射波形とを比較する波形比較手段と、該比較手段による比較結果に基づいて上記マイクロカプセルトナーの1画素分の群層の存在位置を判断する判断手段と、を備え、上記現像手段は所定の位置に1画素分の上記マイクロカプセルトナーの群層を配置し、上記発色手段は、自己又は他の発色手段により照射された超音波の反射波を受波する機能を備え、上記現像手段により配置された1画素分の上記マイクロカプセルトナーの群層を含む所定の範囲を順次超音波照射して反射波を受波し、上記波形比較手段は、上記受波された反射波を上記波形0の波形と順次比較して、上記反射波の波形が上記波形0の波形と最も異なる波形を検出し、上記判断手段は、上記反射波の波形が上記波形0の波形と最も異なる波形を検出したときの位置を上記マイクロカプセルトナーの1画素分の群層が配置されている位置であると判断するように構成される。
【0016】
また、請求項9記載の発明の多色画像形成装置は、所定の刺激によって破壊可能なカプセル壁で囲繞された複数種の小径マイクロカプセルを支持材に分散内包する大径マイクロカプセルから成り、互いに混合されて発色反応を起こす反応性物質の一方を上記各々の小径マイクロカプセル壁内側に分散し、上記反応性物質の他方を上記各々の小径マイクロカプセル壁外側の上記支持材に分散して成るマイクロカプセルトナーを複数種の色の画像データの論理和より合成されたデータに基づいて画素に対応するサイズに現像する現像手段と、該現像手段により現像された上記マイクロカプセルトナーの群層に、画素サイズに収束された複数種の特定周波数の超音波を選択的に照射することにより、各特定周波数ごとに選択的に反応する上記小径カプセルの外殻を破壊し、この外殻により分離されていた発色剤と顕色剤とを反応させて所定の色を発色させる発色手段と、を備えた多色画像形成装置であって、上記現像手段は、上記マイクロカプセルトナーの現像面積の径を所望の現像画素の径よりよりも所定の範囲の大きさで大きく現像し、上記発色手段は、上記現像手段により所望の現像画素の径よりより大きく現像された上記マイクロカプセルトナーに対し所望の現像画素の径と同等の大きさに発色させるように構成される。
【0017】
上記所定の範囲の大きさは、例えば請求項10記載のように、上記現像手段の現像位置に対して上記発色手段の発色位置が0.5ドット位置ずれしているとき、所望の現像画素の径の2倍の径の大きさであるように構成される。
また、請求項11記載の発明の多色画像形成装置は、所定の刺激によって破壊可能なカプセル壁で囲繞された複数種の小径マイクロカプセルを支持材に分散内包する大径マイクロカプセルから成り、互いに混合されて発色反応を起こす反応性物質の一方を上記各々の小径マイクロカプセル壁内側に分散し、上記反応性物質の他方を上記各々の小径マイクロカプセル壁外側の上記支持材に分散して成るマイクロカプセルトナーを複数種の色の画像データの論理和より合成されたデータに基づいて画素に対応するサイズに現像する現像手段と、該現像手段により現像された上記マイクロカプセルトナーの群層に、画素サイズに収束された複数種の特定周波数の超音波を選択的に照射することにより、各特定周波数ごとに選択的に反応する上記小径カプセルの外殻を破壊し、この外殻により分離されていた発色剤と顕色剤とを反応させて所定の色を発色させる発色手段と、を備えた多色画像形成装置であって、上記現像手段は、主走査方向の両端部における有効現像長をそれぞれ上記発色手段の主走査方向の必要記録長よりも所定のドット数分長く形成されて構成される。
【0018】
また、請求項12記載の発明の多色画像形成装置は、所定の刺激によって破壊可能なカプセル壁で囲繞された複数種の小径マイクロカプセルを支持材に分散内包する大径マイクロカプセルから成り、互いに混合されて発色反応を起こす反応性物質の一方を上記各々の小径マイクロカプセル壁内側に分散し、上記反応性物質の他方を上記各々の小径マイクロカプセル壁外側の上記支持材に分散して成るマイクロカプセルトナーを複数種の色の画像データの論理和より合成されたデータに基づいて画素に対応するサイズに現像する現像手段と、該現像手段により現像された上記マイクロカプセルトナーの群層に、画素サイズに収束された複数種の特定周波数の超音波を選択的に照射することにより、各特定周波数ごとに選択的に反応する上記小径カプセルの外殻を破壊し、この外殻により分離されていた発色剤と顕色剤とを反応させて所定の色を発色させる発色手段と、を備えた多色画像形成装置であって、上記マイクロカプセルトナーの群層の配置が無いところからの上記超音波の反射波形を波形0の波形として記憶する記憶手段と、上記波形0の波形と上記マイクロカプセルトナーの群層の存在の影響を受けた反射波形とを比較する波形比較手段と、該比較手段による比較結果に基づいて上記マイクロカプセルトナーの1画素分の群層の存在位置を判断する判断手段と、を備え、上記現像手段は所定の位置に1画素分の上記マイクロカプセルトナーの群層を配置し、上記発色手段は、それぞれ自己又は他の発色手段により照射された超音波の反射波を受波する機能を備え、上記現像手段により配置された1画素分の上記マイクロカプセルトナーの群層を含む所定の範囲に対し複数の上記発色手段による超音波収束照射を順次行ってその反射波を受波し、上記波形比較手段は、上記受波された反射波を上記波形0の波形と順次比較して、上記反射波の波形が上記波形0の波形と最も異なる波形を検出し、上記判断手段は、上記反射波の波形が上記波形0の波形と最も異なる波形を検出したときの位置を上記マイクロカプセルトナーの1画素分の群層が配置されている位置であると判断するように構成される。
【0019】
また、請求項13記載の発明の多色画像形成装置は、所定の刺激によって破壊可能なカプセル壁で囲繞された複数種の小径マイクロカプセルを支持材に分散内包する大径マイクロカプセルから成り、互いに混合されて発色反応を起こす反応性物質の一方を上記各々の小径マイクロカプセル壁内側に分散し、上記反応性物質の他方を上記各々の小径マイクロカプセル壁外側の上記支持材に分散して成るマイクロカプセルトナーを複数種の色の画像データの論理和より合成されたデータに基づいて画素に対応するサイズに現像する現像手段と、該現像手段により現像された上記マイクロカプセルトナーの群層に、画素サイズに収束された複数種の特定周波数の超音波を選択的に照射することにより、各特定周波数ごとに選択的に反応する上記小径カプセルの外殻を破壊し、この外殻により分離されていた発色剤と顕色剤とを反応させて所定の色を発色させる発色手段と、を備えた多色画像形成装置であって、上記現像手段の所望の現像位置に対し上記発色手段の所望の発色位置がn+αドット且つα≦0.5で位置ずれしているとき、上記現像手段は、上記所望の現像位置を上記位置ずれ方向へnドット移動させると共に該移動させた所望の現像位置の現像画素において所望の現像画素の径のα×2の径の大きに現像し、上記発色手段は、上記現像手段により所望の現像画素の径よりよりα×2大きく現像された上記マイクロカプセルトナーに対し所望の現像画素の径と同等の大きさに発色させるように構成される。
【0020】
そして、この多色画像形成装置は、例えば請求項14記載のように、上記現像手段の所望の現像位置に対し上記発色手段の所望の発色位置がn+αドット且つ0.5<αで位置ずれしているとき、上記現像手段は、上記所望の現像位置を上記位置ずれ方向へn+1ドット移動させると共に該移動させた所望の現像位置の現像画素において所望の現像画素の径の「(1−α)×2」の径の大きに現像し、上記発色手段は、上記現像手段により所望の現像画素の径よりより「(1−α)×2」大きく現像された上記マイクロカプセルトナーに対し所望の現像画素の径と同等の大きさに発色させるように構成される。
【0021】
最後に、請求項15記載の発明の多色画像形成装置は、所定の刺激によって破壊可能なカプセル壁で囲繞された複数種の小径マイクロカプセルを支持材に分散内包する大径マイクロカプセルから成り、互いに混合されて発色反応を起こす反応性物質の一方を上記各々の小径マイクロカプセル壁内側に分散し、上記反応性物質の他方を上記各々の小径マイクロカプセル壁外側の上記支持材に分散して成るマイクロカプセルトナーを複数種の色の画像データの論理和より合成されたデータに基づいて画素に対応するサイズに現像する現像手段と、該現像手段により現像された上記マイクロカプセルトナーの群層に、画素サイズに収束された複数種の特定周波数の超音波を選択的に照射することにより、各特定周波数ごとに選択的に反応する上記小径カプセルの外殻を破壊し、この外殻により分離されていた発色剤と顕色剤とを反応させて所定の色を発色させる発色手段と、を備えた多色画像形成装置であって、上記現像手段の現像位置に対し上記発色手段の発色位置がαドット且つα≦0.5で位置ずれしているとき、上記発色手段の超音波照射素子の配置間隔をd、該超音波照射素子配置面と上記現像位置間の距離をD、上記現像手段の現像位置と上記発色手段の発色位置との位置ずれ角度をθ0 、上記現像手段の現像位置を発色させるための上記発色手段の直線状に配置されたM個の上記超音波素子のm番目を、「cosθ0 =α/D」を満たすように「τsm=(m−1)dsinθ0 /c」の遅延時間τsmをもった電気パルスで駆動するように構成される。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照しながら説明する。
<第1の実施の形態>
図1は、第1の実施の形態としての多色画像形成装置の全体構成図である。なお、同図に示す多色画像形成装置15は、例えばピアツーピア(peer to peer)で接続されたパーソナルコンピュータのホスト機器側に接続されたプリンタ装置またはLAN(ローカルエリアネットワーク)に接続されたプリンタ装置であってもよい。
【0023】
図1に示す多色画像形成装置15は、画像形成部16、給紙部17、用紙搬送部18、電源及び制御部19で構成されている。画像形成部16は感光体ドラム21、光書込ヘッド22、カプセルトナーホッパ23、超音波ラインヘッド24等で構成されている。
【0024】
給紙部17は、給紙カセット25及び給紙コロ26で構成され、給紙カセット25に収納された記録紙Pは、給紙コロ26の1回転ごとに、給紙カセット25から搬出され、用紙搬送部18に送られる。用紙搬送部18は給紙カセット25から搬出された記録紙Pをガイド板に沿って搬送し、この記録紙Pには転写部27において後述するトナー画像が転写される。トナー画像を転写された記録紙Pは、定着器28でトナー画像を紙面に熱定着され、排紙ローラ29によって用紙スタッカ31上に排出される。
【0025】
また、電源及び制御部19は上記画像形成部16等に電源を供給する電源部32、及び上記光書込ヘッド22に供給する光書込データを生成し、超音波ラインヘッド24に供給する画像データを生成する制御部(制御回路)33で構成されている。尚、制御部33の具体的な制御回路の構成については後述する。
【0026】
図2は、上記画像形成部16の拡大図である。画像形成部16は上記のように、感光体ドラム21、光書込ヘッド22、カプセルトナーホッパ23、超音波ラインヘッド24を要部として構成されている。感光体ドラム21の近傍には、帯電ローラ34、前述の光書込ヘッド22、カプセルトナー現像ローラ35、転写ローラ36、クリーナ37が配設されている。
【0027】
上記のカプセルトナーホッパ23内にはマイクロカプセルトナーT(以下、単にカプセルトナーTという)が収容され、このカプセルトナーTに埋没するように攪拌部材38が回動可能に設置され、さらに最下部には、カプセルトナー現像ローラ35に当接してカプセルトナー供給ローラ39が設置されている。
【0028】
攪拌部材38は、カプセルトナーTを攪拌し、摩擦帯電によってマイナス(−)の電荷をカプセルトナーTに付与する。カプセルトナー供給ローラ39は、そのマイナス電荷を付与されたカプセルトナーTをカプセルトナー現像ローラ35に供給する。
【0029】
光書込ヘッド22には前述の制御部(制御回路)33から光書込みデータが供給され、感光体ドラム21の感光面に光書込みを行う。感光体ドラム21の感光面には予め帯電ローラ34によって一様な電荷が付与され、光書込ヘッド22からの光書込みによって静電潜像が形成される。この静電潜像はカプセルトナー現像ローラ35によって現像され、静電潜像に後述するカプセルトナーTを静電付着させ、転写ローラ36直上の位置に運ぶ。
【0030】
感光体ドラム21と転写ローラ36間には、中間転写ベルト41が位置している。中間転写ベルト41は感光体ドラム21と転写ローラ36間を挟持搬送される。感光体ドラム21に静電付着したカプセルトナーTは、転写ローラ36との間で作用する電界によって中間転写ベルト41側に吸着される。尚、中間転写ベルト41は矢印C方向に循環移動している。この中間転写ベルト41に吸着したカプセルトナーTは、中間転写ベルト41の循環移動に伴って超音波ラインヘッド24の直下に到達する。
【0031】
超音波ラインヘッド24には制御部(制御回路)33から画像データが供給され、超音波ラインヘッド24を収容する収容ローラ42と対向ローラ43間を移動するカプセルトナーTに超音波照射を行う。この時、中間転写ベルト41に吸着したカプセルトナーTに内包される微細カプセルの壁が破壊され、内部の反応性物質によって発色反応が起こり、カプセルトナーTが発色してカラートナー像が中間転写ベルト41上に現像される。
【0032】
上記のようにして発色してカラートナー像を形成している発色済みのカプセルトナーは、転写部27において転写ローラ44により記録紙Pに転写される。また、記録紙Pに転写された発色済みカプセルトナーは前述のように定着器28において熱定着処理が施され、排紙ローラ29によって排紙スタッカ31上に排出される。上記の転写後に中間転写ベルト41に残留するカプセルトナーはベルトクリーナ45によって除去される。
【0033】
図3は上記カプセルトナーTの構造を示す図である。同図に示すように、カプセルトナーTは大径マイクロカプセル46内にマゼンタ(M)、シアン(C)、イエロー(Y)、ブラック(K)の4種類の小径マイクロカプセル47M、47C、47Y、47Kを内包した構成であり、各小径マイクロカプセル47M、47C、47Y、47Kには小径カプセル壁48が形成されている。
【0034】
また、上記小径マイクロカプセル47M、47C、47Y、47Kは、大径マイクロカプセル46内に封入されたジェル状の保持層49中にランダムに分散している。尚、同図に示す小径マイクロカプセル47´は発色した小径マイクロカプセルを示している。
【0035】
上記の大径マイクロカプセル46の直径は5μm〜10μmで構成され、例えば1個の大径マイクロカプセル46内に小径マイクロカプセル47M、47C、47Y、および47Kがそれぞれ10個程度収容されている。小径マイクロカプセル47M、47C、47Y、47Kの直径は、例えば0.5μm〜2μm程度である。
【0036】
図4は、上記小径マイクロカプセル47M、47C、47Y、47Kの構造を説明する図である。小径マイクロカプセル47M、47C、47Y、47Kは、小径カプセル壁48で覆われ、発色剤50を内包し、小径カプセル壁48の外側を顕色剤51が覆っている。そして、これら小径マイクロカプセル47M、47C、47Y、47Kの小径カプセル壁48の直径及び厚さはそれぞれ異っている。すなわち、小径マイクロカプセル47M、47C、47Y、47Kは、それぞれその直径と、小径カプセル壁48の厚さが異なり、このように構成することによって小径カプセル壁48を破壊する共振周波数を異ならせ、各小径マイクロカプセル毎に異なる共振周波数で破壊できる構造とするものである。
【0037】
また、上記各小径マイクロカプセルの直径と厚さに加え、材質を変えることによって破壊の共振周波数も可変でき、材質を超音波の照射する共振周波数の設定要素に加えることによってより詳細な共振周波数の設定が可能となる。
例えば、小径マイクロカプセルの直径が大きくなれば超音波の共振周波数は低い方向に移行し、小径カプセル壁48の厚さが厚くなれば共振周波数は高い方向に移行する。また、小径カプセル壁48の壁の材質が硬くなれば、共振周波数は高い方向に移行する。したがって、上記各要素に対応して各小径マイクロカプセル47M、47C、47Y、47Kはそれぞれ共振周波数が異なるように設計されている。
【0038】
また、各小径マイクロカプセル47M、47C、47Y、47Kの発色割合は、照射される超音波のエネルギー量によって可変可能である。したがって、マゼンダ(M)、シアン(C)、イエロー(Y)の発色割合を制御し、自由な中間調を実現することができる。
【0039】
図5は、前述の電源及び制御部19の制御部33の制御回路の構成を説明する図である。制御部(制御回路)33はインターフェース(I/F)52、印字制御部53、CPU54、RAM55、ROM56で構成される。インターフェース(I/F)52には、RGB(R(赤)、G(緑)、B(青))入力57からビデオデータが供給され、CPU54には、操作パネル58から操作信号が入力する。
【0040】
インターフェース(I/F)52は、例えばホスト機器であるパーソナルコンピュータから供給されるビデオデータ(RGB信号)をCMYK値に変換する多値化処理を行う。この場合、インターフェース(I/F)52には予めデバイスに対応する色変換テーブルが登録されており、インターフェース(I/F)52は、その色変換テーブルを参照しながらRGB信号をCMYK値に変換する。
【0041】
CPU54は、ROM56に記憶するプログラムに基づいて処理を行い、操作パネル58から入力する操作信号に従って印刷処理を実行する。
尚、RAM55はCPU54による制御処理の際、ワークエリアとして使用され、複数のレジスタで構成されている。
【0042】
CPU54は、上記インターフェース(I/F)52、及び印字制御部53内のプリンタコントローラに制御信号を送り、印刷データの作成処理を行う。また、印字制御部53は、プリンタコントローラ59及び印字部60で構成されている。
【0043】
図6は、上記印字制御部53の具体的な回路ブロックを示す図である。同図において、プリンタコントローラ59は主走査/副走査制御回路60、論理和回路62、発振回路63、マゼンタ発色制御回路64M、シアン発色制御回路64C、イエロー発色制御回路64Y、ブラック発色制御回路64Kで構成されている。一方、印字部60は前述の光書込ヘッド22及び超音波ラインヘッド24で構成されている。
【0044】
前述のように、インターフェース(I/F)52によってCMYK値に変換された画像データは、更にインターフェース(I/F)52からマゼンタ(M)、シアン(C)、イエロー(Y)、ブラック(K)の画素データとして論理和回路62に出力される。ここで、論理和回路62はCMYKの論理和を計算し、光書込ヘッド22に出力する。
【0045】
すなわち、CMYKの全ての画素データを含む論理和のデータを光書込ヘッド22に出力し、前述の感光体ドラム21に光書込みを行う。したがって、前述の感光体ドラム21の周面にはCMYKの全ての画素データを含む論理和データに基づく静電潜像が形成される。尚、主走査/副走査制御回路60から論理和回路62に主走査制御信号、及び副走査制御信号が供給され、光書込ヘッド22に論理和データを供給する際、主走査方向制御及び副走査方向制御に使用される。
【0046】
また、CMYKの画素データは対応するマゼンタ発色制御回路64M〜ブラック発色制御回路64Kにも供給され、発振回路63から出力される発振信号fm、fc、fy、fkに同期して超音波ラインヘッド24に出力される。すなわち、マゼンタ(M)、シアン(C)、イエロー(Y)、ブラック(K)のそれぞれに対応する発色データが超音波ラインヘッド24に供給され、前述の中間転写ベルト47上に吸着するカプセルトナーTに対応する周波数(後述する共振周波数)の超音波が照射される。したがって、照射される超音波に共振する波動を受けたカプセルトナーT内の小径マイクロカプセルは破壊され、発色する。この場合、マゼンタ発色制御回路64Mから出力される発色信号の周波数fが異なる為、超音波を受けたカプセルトナーTは、対応する色の小径マイクロカプセル47M、47C、47Y、47Kの小径カプセル壁48のみが破壊される。このメカニズムは、小径マイクロカプセル47M、47C、47Y、47Kの外殻径がそれぞれ異なり、破壊する共振周波数が小径マイクロカプセル47M、47C、47Y、47Kによって異なる為である。
【0047】
例えば、マゼンタ発色制御回路64Mから出力された発色信号fmはカプセルトナーT内の小径マイクロカプセル47Mの小径カプセル壁48のみを破壊し、マゼンタ(M)色の発色を行う。また、シアン発色制御回路64Cから出力された発色信号fcは小径マイクロカプセル47Cの小径カプセル壁48のみを破壊し、シアン(C)色の発色を行う。さらに、イエロー(Y)及びブラック(K)についても同様であり、イエロー発色制御回路64Y、ブラック発色制御回路64Kから出力される発色信号fy、fkは、小径カプセル47Y又は47Kの小径カプセル壁48のみを破壊し、イエロー(Y)、又はブラック(K)の発色を行う。
【0048】
以上の構成において、以下に本例の処理動作を説明する。
先ず、カプセルトナーホッパ23内にカプセルトナーTが収納された状態において、感光体ドラム21が回転し、前述の制御部(制御回路)33から光書込み信号が光書込ヘッド22に供給されると、感光体ドラム21に対して前述の論理和データに基づく光書込みが行われる。感光体ドラム21の感光面には帯電ローラ34によって予め一様な電荷が付与され、光書込みが行われた感光面には静電潜像が形成されている。この静電潜像は前述のように論理和データに基づく、M、C、Y、K全ての画像データをオア加算したものであり、この静電潜像はカプセルトナー現像ローラ35によって現像される。
【0049】
図7は、上記の現像処理、及び以後の処理を模式的に示す図である。カプセルトナーホッパ23に収容されたカプセルトナーTは、前述の攪拌部材38によって攪拌され、前述のように摩擦帯電によりマイナス(−)の電荷が付与されている。また、カプセルトナー現像ローラ35には所定のバイアス電圧が印加され、カプセルトナーTはカプセルトナー現像ローラ35の周面に薄く静電付着している。この状態において、感光体ドラム21とカプセルトナー現像ローラ35は互いに摺擦し、カプセルトナー現像ローラ35に付着していたカプセルトナーTは静電潜像が形成されていた感光面に静電付着する。
【0050】
このようにして感光面に静電付着したカプセルトナーTは、感光体ドラム21の回転に従って転写部に運ばれ、転写ローラ36によって中間転写ベルト41に転写される。この場合、転写ローラ36に+(プラス)のバイアス電圧を印加することによって、マイナス(−)のカプセルトナーTは中間転写ベルト41に電界付着する。その後、中間転写ベルト41に付着したカプセルトナーTは、発色部に配置されている超音波ラインヘッド24によって超音波照射を受け、選択的に発色する。
【0051】
図8(a),(b),(c) は、上記のカプセルトナーTが超音波ラインヘッド24によって超音波照射を受けて選択的に発色する原理を説明する図である。
図8(a) は、上記の発色部においてカプセルトナーTが超音波照射を受けている状態を示す図である。ここで、矢印DはカプセルトナーTの層厚を示し、破線Sは超音波(収束超音波)を示し、矢印dは超音波の収束解像度(例えば、1画素)を示している。
【0052】
前述のように、カプセルトナーTは大径カプセル46内にマゼンタ(M)、シアン(C)、イエロー(Y)、ブラック(K)の4種類の小径マイクロカプセル47M、47C、47Y、47Kが内包されており、共振周波数の超音波を受けた小径マイクロカプセルの小径カプセル壁48が破壊され、内部の発色剤50が顕色剤51と混合して反応し、発色する。
【0053】
例えば、同図(b) は、超音波ラインヘッド24から単一の共振周波数の超音波SがカプセルトナーTに照射されている状態を示している。この場合は、この共振周波数で振動する小径マイクロカプセルのみが破壊されて発色する。また、同図(c) は超音波ラインヘッド24から2つの共振周波数の超音波S1、S2がカプセルトナーTに照射される状態を示している。この場合は、これらの共振周波数S1、又はS2で振動する小径カプセルが破壊されてそれぞれ発色する。
【0054】
例えば、小径マイクロカプセル47Mの小径カプセル壁48のみが破壊されると、マゼンタ(M)色が発色する。また、小径マイクロカプセル47Cの小径マイクロカプセル壁48のみが破壊されるとシアン(C)色が発色する。また、小径マイクロカプセル47Mの小径カプセル壁48と小径マイクロカプセル47Cの小径カプセル壁48が破壊されると、赤色が発色し、小径マイクロカプセル47Cの小径カプセル壁48と小径マイクロカプセル47Yの小径カプセル壁48が破壊されると、青色が発色する。
【0055】
図9は、超音波ラインヘッド24によって超音波発振が行われる際のタイムチャートを示す図である。先ず、前述の主走査/副走査制御回路61から主走査同期信号が出力されると(図9に示す▲1▼のタイミング)、最初のストローブ信号(図9に示す(1))が供給され、この時超音波ラインヘッド24に供給されている画像データ(1)に従った超音波出力が行われる。最初は階調1のマゼンタ(M)の画像データに従った超音波出力が行われる(同図に示す▲2▼のタイミング)。次に、同様にして、シアン(C)、イエロー(Y)、ブラック(K)についても階調1の画像データに従った超音波出力が行われる(同図に示す▲3▼〜▲5▼のタイミング)。
【0056】
次に、階調2の画像データに従った超音波出力が行われ、マゼンタ(M)、シアン(C)、イエロー(Y)、ブラック(K)の画像データに従った超音波照射が前述のカプセルトナーTに対して行われる(同図に示す▲6▼〜▲9▼のタイミング)。以下、同様にして階調3、階調4についても、マゼンタ(M)、シアン(C)、イエロー(Y)、ブラック(K)の画像データに従った超音波出力がカプセルトナーTに対して行われる。
【0057】
このようにして超音波ラインヘッド24からの超音波照射を受け、印刷データに従って発色したカプセルトナーTは中間転写ベルト41に吸着されながら前述の転写部27(転写ローラ44)の位置まで移動し、記録紙Pに転写される。
その後、発色済みマイクロカプセルトナーは前述のように定着器28に送られ、熱定着処理が行われる。尚、定着器28は少なくとも熱ローラと圧接ローラとを備えている。定着器28は、熱ローラと圧接ローラとで記録紙Pを挟持搬送しながら熱と圧力で発色済みマイクロトナーを溶融し、記録紙Pに熱定着させる。
【0058】
以上のように、大径マイクロカプセル46内にマゼンタ(M)、シアン(C)、イエロー(Y)、ブラック(K)の4種類の小径マイクロカプセル47M、47C、47Y、47Kが内包されたカプセルトナーTを現像剤として使用し、印刷データに基づいて超音波ラインヘッド24から超音波を照射し、選択的に小径マイクロカプセル47M、47C、47Y、47Kの小径カプセル壁48を破壊し、内部の発色剤50と顕色剤51を反応させて発色し、記録紙Pにカラー画像を印刷することができる。
【0059】
したがって、上記のように構成することにより、従来のプリンタ装置に比べて装置を小型化することができ、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(B)の各色毎の印字位置の調整も不要になる。
また、カプセルトナーTの補給も、単一のカプセルトナーホッパ23に対して行えばよく、例えば使い捨てタイプの現像器ユニット(トナーユニット)を使用する場合には、1つのユニットのみの交換で済む。
【0060】
尚、上記の説明では、超音波ラインヘッド24を中間転写ベルト41を挟んでカプセルトナーTの付着面に対して反対面側に設置したが、超音波ラインヘッド24を配設する位置はこれに限るものではない。
図10(a),(b),(c) は、超音波ラインヘッド24の配設位置の種々の例を示す図である。同図(a) は超音波ラインヘッド24をカプセルトナーTの付着面側に配置する構成を示している。同図(b) は超音波ラインヘッド24を感光体ドラム21の感光面近傍に設け、カプセルトナーTが感光面に静電付着した状態で超音波照射を行うようにした構成を示している。そして、同図(c) は感光体ドラム21の内周に接する位置に超音波ラインヘッド24を設けた構成を示している。
【0061】
図11は、上記の超音波ラインヘッド24の外観斜視図である。同図に示す超音波ラインヘッド24は、その長手方向が主走査方向であり、短手方向が副走査方向である。そして主走査方向に後述する超音波素子が形成されている。以下、これについて具体的に説明する。
【0062】
図12(a) は、超音波ラインヘッド24の上面図であり、同図(b) は後述する個別印加電極の上面図、同図(c) は同図(b) のD−D´矢視断面図、同図(d) は同図(c) のE−E´矢視断面図である。本例で説明した超音波ラインヘッド24は、同図(c),(d) に示すように、担持体65内に5層の部材を積層して構成され、最下層(第5層)には共通電極層(アース層)66−5が配設され、第4層には圧電素子である超音波素子66−4が配設され、第3層には主走査方向に短冊状に並んだ個別印加電極層66−3が配設され、第2層には超音波素子66−4と超音波伝搬媒体との音響インピーダンスの差を軽減する為の音響インピーダンス整合層66−2が配設され、更に第1層には音響レンズ66−1が配設されている。
【0063】
超音波素子66−4には個別印加電極66−3と共通電極(アース)66−5が接続され、前述の超音波出力信号が供給される。超音波素子66−4は上記信号が印加されると歪みを生じ、所定の周波数で超音波振動が励起される。
超音波素子66−4で励起された超音波振動は音響インピーダンス整合層66−2を通して音響レンズ66−1で屈折され、指定位置(指定距離)に集束する。尚、音響インピーダンス整合層66−2は上記のように、超音波素子66−4と超音波伝搬媒体との音響インピーダンスの差を軽減する機能を有している。
【0064】
ここで、上記指定位置に画素サイズの超音波ビームを集束させる為には超音波素子66−4を微細なサイズに加工することが困難であることと前述の小径カプセル壁48を破壊する為に必要な音圧を1個の超音波素子66−4で得ることが困難であることから、主走査方向及び副走査方向に複数からなる超音波素子66−4の超音波ビームを集束させることによって指定位置に画素サイズの超音波ビームを集束させるようにする。
【0065】
図13は主走査方向(X方向)に配設された超音波素子66−4と、超音波素子66−4から出力される超音波の集束位置の関係を示す図である。尚、同図において説明上、超音波素子66−4には紙面の左側から素子番号1、2、3、・・・が付与されている。また、同図に示す集束位置には、画素番号(例えば、1〜7168)が付与されている。尚、上記集束位置は、例えば図7の中間転写ベルト41上にカプセルトナーTが静電付着してベルト裏面から超音波ラインヘッド24が対峙している位置である。また、この位置は、図10(a),(b),(c) において静電付着したカプセルトナーTが超音波ラインヘッド24と対峙する位置であり、さらには、カプセルトナーTが静電付着した記録紙P上の位置の場合もある。
【0066】
図14は、上記超音波素子66−4の配設構成の一部を拡大して示す図であり、例えば超音波素子「1」〜「6」までを拡大して示している。互いに隣り合う超音波素子66−4は間隔dを有して配設されており、同時にm個(例えば6個)の超音波素子66−4を時間遅延させながら駆動する。例えば、同図に示すA点について考えると、同時にm個(例えば6個)の超音波素子66−4を時間遅延させて6個の超音波素子66−4の中心(A点)に強力な超音波をあてる。例えば、「1」の超音波素子66−4とA点の距離、「2」の超音波素子66−4とA点の距離、「3」の超音波素子66−4とA点の距離は少しづつ異なり、この距離差と超音波の伝搬速度から各超音波素子66−4の出力タイミングをずらし、所定のタイミングで超音波出力を行う。このように制御することにより、同時にA点に強力な超音波を照射することができる。
【0067】
また、上記A点に限らず超音波素子66−4からの超音波出力のタイミングを調整することによって、超音波素子66−4の配設ピッチより狭い位置(例えば、1/2dの位置、B点)に複数の超音波素子66−4から出力された超音波ビームを集束させることもできる。したがって、例えば1画素間隔で(ピッチdで)超音波ビームの集束位置を主走査方向にずらして制御することによって、1画素間隔で前述のカプセルトナーTに対して強力な超音波ビームを集束することができ、小径カプセル壁48を破壊して所望の色の発色を1画素間隔で行うことができる。
【0068】
尚、本例ではマゼンタ(M)、シアン(C)、イエロー(Y)、ブラック(K)の4色の小径マイクロカプセル47M、47C、47Y、47Kを使用するので、上記構成の超音波ラインヘッド24は各色毎に必要になる。
また、副走査方向については、上記音響レンズ66−1の屈折を利用して超音波ビームの集束サイズを小さくすることができる。したがって、副走査方向に集束画素サイズを小さく構成することによって、より解像度の高い画像を形成することが可能となる。例えば、画素サイズを1/4とすることによって超音波ビームを1画素に対して4回供給することができ、4階調の色制御が可能となる。
【0069】
このような4階調の色制御は、図9のタイムチャートで説明したものであり、この4階調制御は、上記構成の超音波ラインヘッド24を使用することによって可能となる。尚、階調制御は、4階調制御に限る必要はなく、特には図示しないが、例えば2階調制御や8階調制御等の他の階調制御を行う構成とすることもできる。
【0070】
尚、上述の説明では乾燥現像として説明しているが、液体現像としても良いことは勿論である。
いずれにしても、所定の刺激により画像情報に応じた所望の色を発色する大径マイクロカプセルから成るトナー粒子を用いる構成とその処理方法により、1ショットで画像の現像・転写を行う小型で軽量な構成の多色画像形成装置を提供することが可能となる。
【0071】
図15は、カプセルトナーTの上記とはやや異なる構成を示す図である。本例のカプセルトナーTの構成においては、今まで説明したカプセルトナーTの構成と基本的に同じであるが、本例では、顕色剤51がいままでのように各小径マイクロカプセル47M、47C、47Y、47Kの周面に位置するのではなく、図15に示すように、保持層49内に混入されている。このように構成することにより、カプセルトナーTの製造を簡単にすることができる。
【0072】
尚、この場合大径マイクロカプセル46の直径、及び小径マイクロカプセル47M、47C、47Y、47Kの直径は前述の第1の実施例と同じであり、小径マイクロカプセル47M、47C、47Y、47Kはそれぞれその直径と、小径カプセル壁48の厚さ、材質又は径の大きさによって共振周波数の設定は各小径マイクロカプセル47M、47C、47Y、47K毎に可能であり、選択的に小径マイクロカプセル47M、47C、47Y、47Kを破壊して、画像データに従った発色を行うことができる。
【0073】
図16は、カプセルトナーTの上記とは更に異なる構成を示す図である。本例は小径マイクロカプセル47M、47C、47Y、47Kの構成は、図16に示すように、小径マイクロカプセル(例えば、小径マイクロカプセル47M)は、小径カプセル壁48の内側に発色剤50が内包され、外側に顕色剤51が位置する。さらに、小径カプセル壁48の内部には、殻68に内包された気泡69が封入されている。
【0074】
この気泡69を上記のように内包すると、気泡69周囲の音響インピーダンスを変化させることができる。具体的には、気泡69の直径と気泡69を包む殻68の材質と厚さによって音響インピーダンスは変化し、上記要素を組み合わすことによって、共振周波数を可変することができる。
【0075】
例えば、気泡69を内包する場合、前述の小径カプセル壁48の直径、厚さ、材質によって設定された共振周波数は、気泡69の半径や殻68の材質と厚さによって大きく左右される。したがって、例えば小径マイクロカプセル47M、47C、47Y、47K毎に気泡69のサイズ半径等を変えることによって、共振周波数を大きく変えることができる。
【0076】
このように構成することにより、小径マイクロカプセル47M、47C、47Y、47Kの発色の自由度が増し、共振周波数の選択の幅も拡大することになる。
尚、上記気泡69を内包する小径カプセルはマゼンダ(M)、シアン(C)、イエロー(Y)、ブラック(K)全てにおいて可能であり、3種類の小径カプセル47M、47C、47Yを使用する場合、又は2種類の小径カプセル47Mと47C、47Yと47Kを使用する場合においても適用可能である。
【0077】
また、図16に示す小径マイクロカプセル47M、47C、47Y、47Kの例では気泡69に殻68が形成されているが、殻68を形成しない構成としてもよい。
上述した多色画像形成装置において、超音波を受けたカプセルトナーTは、受けた超音波に対応する色の小径マイクロカプセル47(47M、47C、47Y、47K)の小径カプセル壁48のみが破壊される。このメカニズムは、小径マイクロカプセル47の外殻径がそれぞれ異なり、破壊する共振周波数が小径マイクロカプセル47によって異なる為であることは前述した。すなわち小径マイクロカプセルの厚みや材質が同一である場合に直径が大きくなれば超音波の共振周波数は低い方向に移行し、小径カプセル壁48の厚さが厚くなれば共振周波数は高い方向に移行することは前述した。
【0078】
したがって、大径マイクロカプセル内の各色毎の小径マイクロカプセルの個数を同数にした場合、径が同一であれば体積も同一であるから各色同様の濃度が得られるが、各色毎の小径マイクロカプセルの厚みや材質が同一である場合に径も同一であると、1種類の破壊共振周波数で全ての色が発色してしまうから、それぞれ径を異ならせて、その異なる径に対応する破壊共振周波数で所望の色を個別に発色させるようにしなければならない。
【0079】
その場合、径が異なる小径マイクロカプセルの各色の個数が同数であると色毎に濃度に差が生じる。そうすると、発色させる色ごとに濃度差を補正するためのソフト上の制御が必要になってくる。これでは面倒であるので、大径マイクロカプセル内の各色毎の小径マイクロカプセルの径を異ならせた上で且つ濃度が同一になるようにする必要がある。
【0080】
そして、その場合、大径マイクロカプセル内全体としては、各色の濃度を確保するために発色剤の量を増やそうとすれば顕色剤の量が減り、顕色剤の充分な量を確保しようとすると発色剤の量が減少してしまうという問題がある。したがって、本例では、大径マイクロカプセル内の小径マイクロカプセル毎の適正な個数を設定して発色剤の量が各色一定になるようにする。
<第2の実施の形態>
ここで、本発明における小径マイクロカプセル47の小径カプセル壁48を破壊するために使用する超音波について説明する。前述のようにカプセルトナーTを発色させる際、小径マイクロカプセル47M、47C、47Y、47K内の小径カプセル壁48を超音波で破壊する。この場合、特定の共振周波数の超音波を照射し、小径カプセル壁48を伸張、膨張を複数回繰り返すことによって亀裂を生じさせ、最終的に破壊に導くものである。
【0081】
先ず、図16に示した気泡69を内包する小径マイクロカプセル47のような液体中の含気カプセルには以下の特徴がある。すなわち、含気カプセルを特定条件におくことによって、非常に大きな振動を起こす。今、含気カプセルの初期半径をRo、液体の密度をρ、平衡時の液体圧力をPo 、超音波による圧力をPa、カプセルのシェルパラメータをSp、カプセル内気圧をPwとした時、そのカプセルの半径(Rt)の運動状態は、以下の式(1)、(2)で表現される。
【0082】
【数1】
【0083】
上記式(1)、(2)、及び各種実験により、選択的に共振する周波数を3種、又は4種選択することによって本実施形態を実現する。
また、共振周波数は以下の式によって計算される。
*気泡カプセルのシェルの無いときの共振周波数 fR
fR=1/(2π)・(4kP/ρ)1/2 k:気体の比熱定数
*シェル付の気泡カプセルの共振周波数 fshell
f2 shell=f2 R+(2/π)・(Sp/m)
m=4πR3ρ
図17は、気泡半径別振幅と周波数依存性を示す図であり、上記式(1)において、小径マイクロカプセル47M、47C、47Yのカプセル半径の変化率をカプセル毎に異ならせた時の共振周波数を表したものである。例えば、マゼンダ(M)の小径マイクロカプセル47Mの初期半径をRyとし、シアン(C)の初期半径をRcとし、イエロー(Y)の小径マイクロカプセル47Yの初期半径をRyとした時、それぞれのカプセルの周波数依存性を示す。尚、同図の縦軸はカプセルの振幅(ΔR/Ro)を示す。
【0084】
上記設定による実験を多数回繰り返すことによって、最大振幅が50%以上膨張すると小径カプセル壁48に亀裂が生じることが確認された。したがって、同図に示すように、膨張率が60%を超える周波数(共振周波数)を持つ超音波を照射することによって小径カプセル壁48を破壊し、発色剤50と顕色剤51を混合反応させて、発色させることができる。
【0085】
尚、図17では小径マイクロカプセル47Mに照射する共振周波数を47f−mで示し、小径マイクロカプセル47Cに照射する共振周波数を47f−cで示し、小径マイクロカプセル47Yに照射する共振周波数を47f−yで示している。例えば、図8(b) に示した単一の共振周波数の超音波Sを47f−cとすれば、マイクロカプセルTは小径マイクロカプセル47Cを破壊されてシアン色を発色する。また、図8(c) に示した2つの共振周波数の超音波S1、S2をそれぞれ47f−m、47f−yとすれば、マイクロカプセルTは小径マイクロカプセル47Mと47Yを破壊されてオレンジ色を発色する。
【0086】
図18は、大径マイクロカプセル内に小径マイクロカプセル47M、47C、47Yと更にブラック(K)の小径マイクロカプセル47Kを含む場合の特性を示す図である。この場合、図17から分かるように、上記3種の共振周波数と異なる共振周波数47f−kの設定を行い、ブラック(K)を加えた4種の小径マイクロカプセル47M、47C、47Y、47Kを選択的に破壊することができる。
【0087】
図19は、上記の超音波照射によって小径マイクロカプセル47M、47C、47Y、47Kが振動する状態を示す図であり、横軸は時間軸を示している。入力した超音波は前述の式(1)に示すように、振動する粗密波として小径カプセル壁43に出力され、その周期に対応して小径カプセル壁48の外径が変動し、伸縮と膨張を繰り返す。
【0088】
同図に示すように、入力する超音波の影響は順次大きくなり、第1波より直ちに最大振幅になるのではなく、数波の入力によって最大振幅に達する。したがって、最適かつ効果的な振動を得る為、各小径カプセル壁48には少なくとも数波が必要であり、多くの実験から4〜6波の照射によって最大振幅に達することが分かった。そこで、本実施形態では各小径マイクロカプセル47M、47C、47Y、47Kに対する超音波照射は少なくとも上記波数分供給される。
【0089】
さらに、図19からも判るように、共振周波数Rt−1 又はRt−0.5 の場合と、非共振周波数Rt−2 では振動レベルが極端に異なる。したがって、各小径マイクロカプセル47(47M、47C、47Y、又は47K)に対応する共振周波数を照射することによる、他の小径マイクロカプセル47(47M、47C、47Y、又は47K)に与える影響は極めて小さく、ターゲットとなる小径マイクロカプセル47M、47C、47Y、又は47Kに短時間共振周波数を与えることによって、選択的に効率よくターゲットとなる小径カプセルを破壊することができる。
【0090】
図20は、超音波照射の為の出力パルスを示す図である。上記説明の如く単発の出力ではなく、効果的に小径カプセル壁48を破壊する為、例えば画素単位当たり数波(同図の例では4波)の超音波照射を行う。
ここで、上記の共振周波数について更に説明する。一般に、超音波に対する小径マイクロカプセルの散乱係数は、入射音圧に依存する強い非線形を持つため、その反射波に高調波が含まれることが知られている。高調波は一般に送信周波数fo の整数倍のものを指すが、反射波に現れる成分は、上記の非線形性のため、通常の整数倍の高調波(2fo 、3fo ・・・)のほかに、非整数倍で送信周波数fo よりも大きいもの(3fo /2、5fo /2)や、小さいもの(fo /2、fo /3、・・・)も存在する。送信周波数fo よりも大きいものはウルトラハーモニクス(ultraharmonics)、小さいものはサブハーモニクス(subharmonics)と呼ばれている。
【0091】
図21は、上記のような反射波信号からフィルタ等で高調波成分のみを抽出して映像化したハーモニックイメージングを示す図である。同図に示すように、送信周波数(Fundamental)fo の超音波が矢印71で示すように入射し、マイクロカプセル72に照射されると、その反射波73の各種成分として、高調波(Higher harmonics)2fo 、3fo 、・・・、サブハーモニクス(subharmonics)fo /2、fo /3、・・・、及びウルトラハーモニクス(ultraharmonics)3fo /2、5fo /2、・・・が発生して散乱する。
【0092】
これらに関する各種の報告では、外部より周波数fo の超音波が上記のように小径マイクロカプセルに照射されると、サブハーモニクスfo /2が特に小径マイクロカプセルの振動に寄与して発生するものとされている。したがって、以下、サブハーモニクスについて考察する。
【0093】
図22は、基本波(fo )の各成分に対する強度比を示す図であり、各駆動周波数fo 、2fo で駆動照射したときの、セカンドハーモニクス(低周波でレベルが大きい第2高調波の呼称)及びサブハーモニクスのそれぞれの強度比を示している。尚、同図は横軸に照射音圧を示し、縦軸に強度比を示している。また、同図に示すfr は小径マイクロカプセルの固有共振周波数を示している。
【0094】
同図に示されるように、送信パルスの周波数fo と小径マイクロカプセルの共振周波数fr との関係でいうと、通常はfo をfr に近くすることで、共振により基本周波数(照射周波数)と共に第2高調波での散乱が増大する。他方、サブハーモニクスの場合、サブハーモニクスの周波数fo が小径マイクロカプセルの共振周波数fr の2倍に一致するfo =2frに選んだとき、最も小さな照射音圧で、サブハーモニクスが生じる。この場合、第2高調波はむしろ小さくなる。また、照射音圧でみると、第2高調波については、照射音圧を変えてもほとんど変わらないが、サブハーモニクスの方は、照射音圧がある程度以上になると急激に増大し、第2高調波を凌ぐことが示されている。
【0095】
このように、最大の反射強度(=最大の振動発生)の発生は、駆動周波数2fo で照射したときのサブハーモニクスfo が、丁度小径マイクロカプセルの固有共振周波数fr に一致したときであることが判明する。
したがって、外部照射超音波による上記小径マイクロカプセルの振動から惹起されるサブハーモニクス周波数を、小径マイクロカプセルのもつ固有共振周波数と一致させるべく外部照射超音波の周波数をカプセル固有共振周波数の略2倍の周波数で照射することにより、▲1▼照射超音波発生装置(例えば超音波ラインヘッド24)より照射される超音波エネルギーを最小レベルで行なうことができる。▲2▼より高い周波数にて照射することにより超音波の収束が従来より半分の最小径まで実現でき、高解像度な画像再現が可能となる、という結論が得られる。
【0096】
ところで、上述した本発明の多色画像形成装置は、図1、図2、図7、及び図10(a),(b),(c) に示すように、光書込ヘッド22と超音波ラインヘッド24の二つの長尺ヘッドを用いて発色処理を行っている。このように二つの長尺ヘッドを用いた場合、二つのヘッド間に往々にして位置ずれが発生する。いずれも多色画像形成装置本体に固定配置されているヘッドであるから、上記のように位置ずれが発生している場合は、その位置ずれをソフト的に制御によって補正するために、その位置ずれを正確に検出する必要がある。以下その位置ずれの検出方法を第3の実施の形態として説明する。
<第3の実施の形態>
図23(a),(b) は、第3の実施の形態としての多色画像形成装置における画像形成部の構成を2例示す図である。尚、同図(a),(b) には、図1と同一構成部分には図1と同一の番号を付与して示している。
【0097】
また、図23(a) は、図10(a) において中間転写ベルト41に代えて中間転写ローラ74を配置し、この中間転写ローラ74の周表面に近接し超音波ラインヘッド24の下流側に発色位置検知センサ75を配設した構成を示し、図23(b) は中間転写部を除いて感光体ドラム21から直接用紙Pに発色トナー像を転写する構成で、感光体ドラム21の周表面に近接し超音波ラインヘッド24の下流側に発色位置検知センサ75を配設した構成を示している。
【0098】
図24(a) 〜(e) は、上記の構成において、超音波ラインヘッド24の副走査方向の位置を基準位置として、この基準位置から光書込ヘッド22の副走査方向への位置ずれを検出する方法を説明する図である。この位置ずれの検出は、中間転写ローラ74(図23(a) の場合)又は感光体ドラム21(図23(b) の場合)の周面上におけるカプセルトナーTの発色を発色位置検知センサ75によって検出することによって行われる。尚、図24(a) 〜(e) に示す太い白の矢印は中間転写ローラ74又は感光体ドラム21の回転方向を示している。
【0099】
図24(a) に示すように、転写体(中間転写ローラ74又は感光体ドラム21、以下同様)の上に、光書込ヘッド22により、予め基準位置として定められている副走査方向の画素位置で主走査方向に、つまり主走査方向基準線76の上に、少なくとも発色位置検知センサ75で検知可能な所定の範囲78(同図(b) 参照)を含む範囲で、1画素ライン22−1の光書き込みを行う。
【0100】
そして、この上にカプセルトナー現像ローラ35により発色前トナー(カプセルトナーT)を現像する。尚、以下、この光書込ヘッド22による静電潜像上にカプセルトナー現像ローラ35によって発色前のカプセルトナーを配置する現像処理を、カプセルトナー現像ローラ35の処理動作については説明を省略し、単に光書込ヘッド22による「配置現像」又は「発色前の配置現像」ということにする。
【0101】
上記の配置現像において、光書込ヘッド22の位置に狂いがなければ、上記の少なくとも所定の範囲78を含む範囲において、発色前トナーは基準線76と同じ1画素ライン22−1の上に沿って横一文字に配置される。
次に、図24(b) に示すように、超音波ラインヘッド24により、予め基準位置として定められている主走査方向の画素位置で副走査方向に、つまり副走査方向基準線77の上に、上記少なくとも所定の範囲78を含む範囲において縦一本の1画素ライン24−1の発色現像を行う。これにより、発色位置検知センサ75の視野内において、発色前トナーの1画素ライン22−1と発色現像の1画素ライン24−1の交点が発色する。
【0102】
すなわち、超音波ラインヘッド24に対する光書込ヘッド22の位置に狂いがなければ、主走査方向基準線76と副走査方向基準線77との交点が発色する。制御部33のCPU54は、この交点の位置を基準点79として予め記憶している。したがって、制御部33のCPU54は、発色位置検知センサ75が図24(b) の基準点79の発色を検出したことにより、光書込ヘッド22と超音波ラインヘッド24の位置に、ずれが無いことを認識することができる。
【0103】
もし、光書込ヘッド22に位置ずれがあると、例えば転写体の回転方向に距離y1の位置ずれがあると、予め基準位置として定められている副走査方向の画素位置のタイミングで主走査方向に1画素ラインの光書き込みを行っても、図24(c) に示すように、主走査方向基準線76に対して、転写体の回転方向下流側に距離y1だけずれた主走査位置76´に発色前トナーの1画素ライン22−2が横一文字に配置される。
【0104】
この後、超音波ラインヘッド24により、図24(d) に示すように、副走査方向基準線77に対し縦一本の1画素ライン24−1の発色現像が行われる。この場合は上記のように光書込ヘッド22に距離y1の位置ずれがあるために、主走査方向基準線76と副走査方向基準線77との交点である基準点79ではなく、この基準点79から距離y1だけ副走査方向にずれた主走査位置76´の1画素ライン22−2と副走査方向基準線77上の1画素ライン24−1との交点が発色する。
【0105】
この発色点を発色位置検知センサ75が検出することにより、制御部33のCPU54は、基準点79から距離y1だけ光書込ヘッド22が位置ずれしていることを認識することができる。この認識に基づいて、実際の印字処理において光書込ヘッド22の光書込タイミング又は超音波ラインヘッド24の超音波照射タイミングを距離y1に対応する分だけずらして行う補正をすることにより、画像データに応じた正しい印字を行うことができる。
【0106】
また、この場合、図24(e) に示すように、超音波ラインヘッド24において副走査方向基準線77に対して主走査方向へ距離x1の位置ずれがあった場合でも、超音波ラインヘッド24による発色現像24−2は、距離x1の位置ずれした副走査位置77´に沿って縦一線に行われるから、この副走査位置77´と距離y1だけずれた主走査位置76´との交点が発色する。制御部33のCPU54は、基準点79からの発色点のずれ量のうちy方向成分の距離y1により、この場合も光書込ヘッド22の距離y1の位置ずれを認識することができる。
【0107】
図25(a) 〜(e) は、同じく図23(a) 又は同図(b) に示す構成において、超音波ラインヘッド24の主走査方向の位置を基準位置として、この基準位置から光書込ヘッド22の主走査方向への位置ずれを検出する方法を説明する図である。この位置ずれの検出も、中間転写ローラ74(図23(a) の場合)又は感光体ドラム21(図23(b) の場合)の周面上におけるカプセルトナーTの発色を発色位置検知センサ75によって検出することによって行われる。尚、図25(a) 〜(e) に示す太い白の矢印は中間転写ローラ74又は感光体ドラム21の回転方向を示している。
【0108】
図25(a) に示すように、転写体の上に、光書込ヘッド22により、予め基準位置として定められている主走査方向の画素位置で副走査方向に、つまり副走査方向基準線81の上に、少なくとも発色位置検知センサ75で検知可能な所定の範囲78(同図(b) 参照)を含む範囲で、1画素ライン22−3の配置現像を行う。
【0109】
光書込ヘッド22の位置に狂いがなければ、上記少なくとも所定の範囲78を含む範囲において、発色前トナーは基準線81と同じ1画素ライン22−3の上に沿って縦一線に配置される。
次に、図25(b) に示すように、超音波ラインヘッド24により、予め基準位置として定められている副走査方向の画素位置で主走査方向に、つまり主走査方向基準線82の上に、上記少なくとも所定の範囲78を含む範囲において横一本の1画素ライン24−3の発色現像を行う。これにより、発色位置検知センサ75の視野内において、発色前トナーの1画素ライン22−3と発色現像の1画素ライン24−3の交点が発色する。
【0110】
すなわち副走査方向基準線81と主走査方向基準線82との交点が発色する。制御部33のCPU54は、この場合もこの交点の位置を基準点79として予め記憶している。したがって、制御部33のCPU54は、発色位置検知センサ75が図25(b) の基準点79の発色を検出したことにより、光書込ヘッド22が超音波ラインヘッド24に対して位置ずれが無いことを認識することができる。
【0111】
もし、光書込ヘッド22に位置ずれがあると、例えば転写体の副走査方向に距離x2の位置ずれがあると、予め基準位置として定められている主走査方向の画素位置のタイミングで副走査方向に1画素ラインの光書き込みを行っても、図25(c) に示すように、副走査方向基準線81に対して、転写体の副走査方向に距離x2だけずれた副走査位置78´に発色前トナーの1画素ライン22−4が縦一線に配置される。
【0112】
この後、超音波ラインヘッド24により、図25(d) に示すように、主走査方向基準線82に対し横一本の1画素ライン24−3の発色現像が行われる。この場合は上記のように光書込ヘッド22に距離x2の位置ずれがあるために、副走査方向基準線79と主走査方向基準線81との交点である基準点79ではなく、この基準点79から距離x2だけ主走査方向にずれた副走査位置78´の1画素ライン22−4と主走査方向基準線82上の1画素ライン24−3との交点が発色する。
【0113】
この発色点を発色位置検知センサ75が検出することにより、制御部33のCPU54は、基準点79から距離x2だけ光書込ヘッド22が位置ずれしていることを認識することができる。この認識に基づいて、実際の印字処理において光書込ヘッド22の光書込タイミング又は超音波ラインヘッド24の超音波照射タイミングを距離x2に対応する分だけずらして行う補正をすることにより、画像データに応じた正しい印字を行うことができる。
【0114】
また、この場合、図25(e) に示すように、超音波ラインヘッド24において主走査方向基準線82に対して副走査方向へ距離y2の位置ずれがあった場合でも、超音波ラインヘッド24による発色現像24−4は、距離y2の位置ずれした主走査位置79´に沿って横一線に行われるから、この主走査位置79´と距離x2だけずれた副走査位置78´との交点が発色する。制御部33のCPU54は、基準点79からの発色点のずれ量のうちx方向成分の距離x2により、この場合も光書込ヘッド22の距離x2の位置ずれを認識することができる。
【0115】
図26(a) 〜(d) は、同じく図23(a) 又は同図(b) に示す構成において、超音波ラインヘッド24の位置を基準位置として、この基準位置から光書込ヘッド22の主走査方向における傾きの位置ずれを検出する方法を説明する図である。この位置ずれの検出も、中間転写ローラ74(図23(a) の場合)又は感光体ドラム21(図23(b) の場合)の周面上におけるカプセルトナーTの発色を発色位置検知センサ75によって検出することによって行われる。尚、図26(a) 〜(d) に示す太い白の矢印は中間転写ローラ74又は感光体ドラム21の回転方向を示している。
【0116】
図26(a) に示すように、転写体の上に、光書込ヘッド22により、少なくとも発色位置検知センサ75で検知可能な所定の範囲83(同図(b) 参照)を含む範囲で、主走査方向に1画素ライン84の発色前の配置現像を行う。そして、この発色前の配置現像の1画素ライン84に対して、図26(b) に示すように、少なくとも検知センサ75で検知可能な所定の範囲83を含む範囲で、超音波ラインヘッド24により主走査方向の所定の2箇所のそれぞれの位置における副走査方向の1画素ライン85−1及び85−2の超音波照射(発色現像)を行う。
【0117】
これにより、発色位置検知センサ75の視野内において、発色前トナーの配置現像の1画素ライン84と発色現像の1画素ライン85−1及び85−2の交点が発色する。光書込ヘッド22が超音波ラインヘッド24に対して傾きの位置ずれが無いときは、上記の発色は制御部33のCPU54において予め記憶している2つの基準点86−1及び86−2において発色する。
【0118】
したがって、制御部33のCPU54は、発色位置検知センサ75が図26(b) の基準点86−1及び86−2の発色を検出したことにより、光書込ヘッド22が超音波ラインヘッド24に対して傾きの位置ずれが無いことを認識することができる。
【0119】
もし、光書込ヘッド22に傾きの位置ずれがあると、例えば図26(c) に示すように、転写体の主走査方向に角度θの傾きがあると、予め基準位置として定められている主走査方向の画素位置のタイミングで副走査方向に1画素ラインの光書き込みを行っても、図26(d) に示すように、発色現像の1画素ライン85−1及び85−2による発光位置が、光書込ヘッド22の位置が正しいとしたときの主走査方向の配置現像の1画素ライン84に対して、発色現像1画素ライン85−1の発色位置86−1´に対する他の発色現像1画素ライン85−2の発色位置86−2´が上記の位置ずれした角度θ分だけ上にずれて発色する。
【0120】
制御部33のCPU54は、上記のずれた発色位置により、光書込ヘッド22の角度θの位置ずれを認識することができ、これにより、主走査方向の画素ごとのずれ量を演算し、この演算に基づいて、主走査方向の画素ごとの現像タイミング又は発色タイミングを補正して、画像データに対応する正しい画像を形成することができる。
【0121】
図27(a) 〜(d) は、同じく図23(a) 又は同図(b) に示す構成において、光書込ヘッド22の位置を基準位置として、この基準位置から超音波ラインヘッド24の主走査方向における傾きの位置ずれを検出する方法を説明する図である。この位置ずれの検出も、中間転写ローラ74(図23(a) の場合)又は感光体ドラム21(図23(b) の場合)の周面上におけるカプセルトナーTの発色を発色位置検知センサ75によって検出することによって行われる。尚、図27(a) 〜(d) に示す太い白の矢印は中間転写ローラ74又は感光体ドラム21の回転方向を示している。
【0122】
図27(a) に示すように、転写体の上に、光書込ヘッド22により、少なくとも発色位置検知センサ75で検知可能な所定の範囲83(同図(b) 参照)を含む範囲で、主走査方向の所定の2箇所のそれぞれの位置における副走査方向の1画素ライン87−1及び87−2の発色前の配置現像を行う。そして、この発色前配置現像の2本の1画素ライン87−1及び87−2に対して、図27(b) に示すように、同じく少なくとも検知センサ75で検知可能な所定の範囲83を含む範囲で、超音波ラインヘッド24により主走査方向に1画素ライン88の超音波照射(発色現像)を行う。
【0123】
これにより、発色位置検知センサ75の視野内において、上記副走査方向への発色前トナーの二本の配置現像1画素ライン87−1及び87−2と、上記主走査方向への発色現像1画素ライン88との交点が発色する。
超音波ラインヘッド24が光書込ヘッド22に対して傾きの位置ずれが無いときは、上記の発色は制御部33のCPU54において、この場合も予め記憶している2つの基準点86−1及び86−2において発色する。
【0124】
したがって、制御部33のCPU54は、発色位置検知センサ75が図26(b) の基準点86−1及び86−2の発色を検出したことにより、超音波ラインヘッド24が光書込ヘッド22に対して傾きの位置ずれが無いことを認識することができる。
【0125】
もし、超音波ラインヘッド24に傾きの位置ずれがあると、例えば図27(c) に示すように、転写体の主走査方向に角度δの傾きがあると、予め基準位置として定められている主走査方向の画素位置のタイミングで副走査方向に1画素ラインの発色現像を行っても、図27(d) に示すように、配置現像の1画素ライン87−1及び87−2に対する発光位置が、超音波ラインヘッド24の位置が正しいとしたときの主走査方向の1画素ライン88に対して、配置現像の1画素ライン87−1への発色位置86−1´に対する他の配置現像の1画素ライン87−2´への発色位置86−2´が上記の位置ずれした角度δ分だけ上にずれて発色する。
【0126】
制御部33のCPU54は、上記のずれた発色位置により、超音波ラインヘッド24の角度δの位置ずれを認識することができ、これにより、主走査方向の画素ごとのずれ量を演算し、この演算に基づいて、主走査方向の画素ごとの現像タイミング又は発色タイムングを補正して、画像データに対応する正しい画像を形成して印字品質の劣化を防止することができる。
【0127】
ところで、上述した実施の形態では、光書込ヘッド22と超音波ラインヘッド24相互間の位置ずれを、光書込ヘッド22とカプセルトナー現像ローラ35とによる配置現像と、その後の超音波ラインヘッド24による発色現像による発色位置を、発色位置検知センサ75で検出することによって制御部33で認識し、この認識に基づいて、位置ずれの補正が可能なように構成しているが、発色位置検知センサ75を用いることなく位置ずれを補正することもできる。
【0128】
これについて説明する前に、配置現像と発色現像の位置ずれによる印字品質の劣化について、いま少し考察してみることにする。
図28は、感光体ドラム21の感光面に形成された静電潜像“F”90を前述のカプセルトナー現像ローラ35によって配置現像し、更に超音波ラインヘッド24により超音波照射を行って発色現像して、記録紙Pに転写された画像“F”91を示している。
【0129】
図29(a),(b),(c) は、上記の記録紙Pに転写された画像“F”91と静電潜像“F”90とを比較する図である。同図(a) は静電潜像“F”90と発色現像“F”92を示しており、同図(b) は静電潜像“F”90と発色現像“F”92とが一致している場合の画像“F”91を示しており印字品質に劣化は生じていない。
【0130】
他方、同図(c) は静電潜像“F”90と発色現像“F”92にずれ(同図(c) に示す例では静電潜像“F”90に対して発色現像“F”92が図の下方にずれている)が生じている場合であり、このような印刷処理が行われると印字品質が劣化する。
【0131】
図30(a),(b),(c) は、上記のように静電潜像“F”90と発色現像“F”92に位置ずれがある場合の、その解消方法の一例を示す図である。この方法は、同図(a) に示すように、画像データに応じて超音波ラインヘッド24による超音波ビームの放射によって形成される発色現像“F”92に対して、これに対応して感光体ドラム21上に形成される静電潜像“F”90が、例えばX軸方向及びY軸方向の画素数(ドット数)を所定数多くなるように設定される。
【0132】
元来、工場における組み立て時において光書込ヘッド22と超音波ラインヘッド24との間には、極端に大きな位置ずれは無く例えば数ドット分程度のずれであるから、そのような組み立て技術上想定し得る範囲の位置ずれに対応できる程度にX軸方向及びY軸方向の画素数(ドット数)を多く設定しておけば、光書込ヘッド22との相互間の多少の位置ずれがあっても、同図に示すように、超音波ラインヘッド24による発色現像に対して光書込ヘッド22による配置現像が上下左右に余裕を持って広く形成されているので結果として照射された超音波ビームの通りに発色する。したがって、印字ずれは発生せず、印字品質を損なうことが無くなる。
【0133】
図30(b) は、光書込ヘッド22と超音波ラインヘッド24に印字位置ずれがない場合であり、余裕をもって形成された静電潜像“F”90の中ほどに発色現像“F”92(画像“F”91)が収まっている。これに対して同図(c) は、光書込ヘッド22に対して超音波ラインヘッド24がやや下方に位置ずれしている場合でも、その位置ずれが予め想定されていた所定の範囲内であるために印字ずれが調整された例を示している。
【0134】
上記は、予め想定される位置ずれ量に基づいて予め静電潜像を太らせて配置現像して発色現像を行うものであるが、位置ずれ量を正確に検出して、その検出した位置ずれ量に基づいて配置現像と発色現像を制御することもできる。以下、これについて、第4の実施の形態として説明する。
<第4の実施の形態>
図31は、第4の実施の形態における位置ずれ検出を行う制御部のブロック図である。同図に示す制御部94は、図5に示した印字制御部53内に組み込まれる。本例における制御部94は、図31に示すように、カプセル配置用制御部95、超音波照射/受波信号制御部96、受波信号比較部97、配置フィードバック補正値生成部98、及びカプセル発色用超音波制御部99により構成される。
【0135】
尚、本例においては、超音波ラインヘッド24の一部または全部に、受波用の機能を設ける。超音波ラインヘッド24の超音波素子(発振子)66−4自体は、送受の両機能をもっているので、これに受信用の回路機能を追加することで照射だけでなく受波用機能も持たせることは容易に実現可能である。尚、送受自体のしくみは医療用リニアトランスデューサと同様であるので説明は省略する。
【0136】
また、本例における多色画像形成装置の構成は、上記の制御部94が追加されている点及び超音波ラインヘッド24の超音波素子に送受の両機能を持たせる点を除いて図1及び図2に示した構成と同一である。上記制御部94による処理を以下に説明する。
(実施例1)
図32(a),(b) は、上記構成の制御部94の制御によって実行される処理を模式的に示す図であり、同図(c),(d),(e) は、超音波の発射波と受波について説明する図である。
【0137】
図33は、制御部94による処理動作を説明するフローチャートである。尚、以下の説明では、光書込ヘッド22を、カプセルトナー現像ローラ35が発色前のカプセルトナーTを感光体ドラム21上に現像する位置を実質的に決める(配置する)ヘッドという意味で「配置ヘッド22」といい、超音波ラインヘッド24を、上記感光体ドラム21上に配置されたカプセルトナーTを発色させるヘッドという意味で「発色ヘッド24」ということにする。
【0138】
図33において、先ず、決められたヘッド位置Aにマイクロカプセルを現像(配置)する(処理S01)。この処理は、カプセル配置用制御部95により、図32(a) に示すように、配置ヘッド22の所定の1ドットを基準点Aとして、この基準点AにマイクロカプセルTの群層を1ドット分形成(配置)する処理である。
【0139】
次に、この配置された1ドット分のマイクロカプセルTが、図32(b) に示すように発色ヘッド24の超音波照射位置に来たか否かを判別する(処理S02)。この処理は、図2で説明したように配置現像されたマイクロカプセルTが中間転写ベルト41の循環移動に伴って超音波ラインヘッド24の直下に到達したか否かのタイミングを知る処理と同一である。
【0140】
そして、上記1ドット分のマイクロカプセルTが、図32(b) に示すように発色ヘッド24の超音波照射位置に来たときには(処理S02がY)、超音波照射/受波信号制御部96は、発色ヘッド24を制御して、基準点Aの付近のN個の超音波素子66−4(図32(b) に示す例ではN=5として番号1、2,3,4,5で示す超音波素子66−4)により、順にそれぞれ単発で超音波Sを照射させ、その反射波を受波する(処理S03)。
【0141】
図32(c) の発射波形は、上記超音波の単発照射時の照射波形を示しており、図32(d) の波形0で示す波形は、上記の超音波の照射に対するマイクロカプセルTが無いときの受波信号による反射波形の例を示している。なお、波形0で示す波形は、常にこのように現れるわけではなく、実際は超音波素子、感光体ドラム、マイクロカプセルなどの構造により変化するが、同一の構造では波形は同一のものとなる。
【0142】
図32(b) の番号1と番号5の超音波素子66−4が単発照射しときは、真下にマイクロカプセルTが無いので、そのときの受波信号による反射波形は、同図(e) に示すように、同図(d) の波形と同一になる。
他方、マイクロカプセルTに近接又は直上の超音波素子66−4(図32(b) では番号2、3、4の超音波素子66−4)が単発照射しときは、つまりマイクロカプセルTが配置されていた場合は、マイクロカプセルTの影響により、超音波は反射屈折し、受信波形は、同図(e) に示すように、マイクロカプセルの無い場合の波形0とは異なったものになる。
【0143】
受波信号比較部97は、それらの受信波形をそれぞれ比較して、マイクロカプセルの無い場合の波形0との差を求める(処理04)。
そして、同図(e) に示すように、波形0との違いが最も大きい受信波形が現れる照射位置の超音波素子66−4が同図(b) の番号3の超音波素子66−4であることから、基準点Aが番号3(N=5の場合)の超音波素子66−4の位置にあると認識する(処理S05)。
【0144】
そして、基準点Aと番号3の超音波素子66−4の位置との差を求める(処理S06)。この処理は、発色ヘッド24の基準点位置の超音波素子66−4と番号3の超音波素子66−4との位置の違いを調べる処理である。
そして、発色ヘッド24の基準点位置の超音波素子66−4と番号3の超音波素子66−4との位置に差があるか否かを判別する(処理S07)。
【0145】
もし、番号3の超音波素子66−4の位置が、発色ヘッド24の基準点であれば(処理S07がN)、配置ヘッド22と発色ヘッド24とのずれ量は0であると判断する(処理S08)。
他方、番号3の超音波素子66−4の位置が発色ヘッド24の基準点でなければ(処理S07がY)、基準点の超音波素子66−4と番号3の超音波素子66−4との違いの量だけ、配置ヘッド22と発色ヘッド24の位置がずれていると判断する(処理S09)。
【0146】
このように、本例によれば、特別な位置検知用センサを用いることなく、発色用の超音波ラインヘッド24の超音波素子66−4自体を使用する安価な構成で位置ずれ量を自動で検出することができる。
(実施例2)
続いて、上記のように検出された位置ずれに対する補正方法を説明する。
【0147】
図34(a),(b) は、検出された位置ずれが1ドット単位で発生している場合の補正方法を示す図である。上述した位置ずれの検出で、例えば2ドットの位置ずれが検出されていたものとすると、図34(a) に示すように、配置ヘッド22により画像データに基づく配置位置G1に1ドット分の発色前のカプセルトナーTの群層(以下、カプセルトナーTd又は配置ドットTdという)を配置したとする。これに対して発色ヘッド24も同じく自己からみた画像データに基づく照射位置GA2に1ドット分の超音波を照射したのであるが、配置ヘッド22の配置位置G1と発色ヘッド24の照射位置G2の間に2ドット分の位置ずれがあるために、超音波照射後においてもカプセルトナーTdが発色しない状態を示している。
【0148】
この場合、上記の位置ずれを受波信号比較部97から受けて、配置フィードバック補正値生成部98は、図34(b) に示すように、配置ヘッド22の画像データに基づく配置位置G1を発色ヘッド24との位置ずれ方向へ2ドット移動させて新たな配置位置G1´として補正する。この補正を配置ヘッド22の画像データに対する全ての配置ドットに対して行う。
【0149】
この補正によって、図34(b) に示すように、補正された配置位置G1´に配置された1ドット分のカプセルトナーTdは、発色ヘッド24による照射位置G2への1ドット分の超音波の照射に反応し、発色したカプセルトナーTd´となって画像データに応じた正しい位置に発色する。
【0150】
尚、同図に示す例では位置ずれを2ドットとしたが、もちろん1ドット又は3ドット以上の場合も、補正のための移動位置を1ドット又は3ドット以上とすればよい。また、配置ヘッド22のドット配置位置を補正するのではなく、発色ヘッド24の超音波照射のドット位置を補正するようにしても、上記と同様の結果が得られる。
【0151】
このように、本例によれば、配置ヘッドと発色ヘッド間の1ドット単位の位置すれに対しては、配置ヘッドのカプセルトナー配置位置又は発色ヘッドの超音波照射位置のいずれかを、基準位置から位置ずれに対応したドット数だけずらすように補正して配置又は照射するように制御するので、配置ヘッドと発色ヘッド間に位置ずれがあっても、画像データに対応した正しい画像を形成することができる。
(実施例3)
図35(a),(b),(c) は、検出された位置ずれが最終的に0.5ドットで発生している場合の補正方法を説明する図である。尚、本例は、nドット+0.5ドットの位置ずれがある場合、上述した実施例2の方法によってnドットの補正が可能であり、最終的に0.5ドットの位置ずれが残されている場合の例である。
【0152】
上記のように配置ヘッド22に対して発色ヘッド24の位置が1ドット未満、例えば同図(a) のように右方へ0.5ドット位置ずれしているものとすると、このままでは、配置ヘッド22の配置位置G1に配置されたカプセルトナーTdは、発色ヘッド24による超音波照射後でも発色カプセルトナーTd´としては右0.5しか発色しない。
【0153】
そうかといって、図35(b) に示すように、配置ヘッド22の配置位置G1を1ドット右にずらして配置位置A1´にカプセルトナーTdを配置するようにしても、発色ヘッド24による超音波照射後の発色カプセルトナーTd´は今度は左0.5しか発色しない。
【0154】
このように、0.5ドットの位置ずれは、配置フィードバック補正値生成部98による配置位置(又は発色位置)の1ドット単位の補正処理では補正することが出来ない。このような場合、本例では、配置フィードバック補正値生成部98は、カプセル配置用制御部95に対し配置ヘッド22によるカプセルトナーTdの配置面積を、通常ドットの径の2倍の径になるように太らせて配置するように指示する。
【0155】
これにより、図35(c) に示すように、配置位置G1には通常の大きさのカプセルトナーTdに代わって、2倍の径のカプセルトナーT2dが配置される。これにより、発色ヘッド24による1ドット分の超音波の照射に対応して、1ドット分の大きさで発色したカプセルトナーTd´が形成される。
【0156】
もちろん、例えば2ドット+0.5ドット(一般的にはnドット+0.5ドット)のような位置ずれの場合でも、先ず実施例2の補正でnドットの補正を行って、これに実施例3の補正をプラスすることにより、容易に全体の補正を行うことができる。
【0157】
このように、本例によれば、実施例2による配置位置の補正や照射位置の補正では対応できない0.5ドットの位置ずれに対しても、配置ドットのカプセルトナーTdの配置量を、配置面積が通常の径の2倍の径になるように補正することによって、画像データに忠実な発色を行うことができるようになる。
(実施例4)
図36(a),(b) 及び図37(a),(b) は、上記の配置ヘッドと発色ヘッド間の位置ずれと、その位置ずれに対する上記の補正によって画像データの復元に欠損部分が発生しないようにする配置ヘッドと発色ヘッドの配置構成を説明する図である。
【0158】
図36(a) は、配置ヘッド22と発色ヘッド24の正しい相互の配置構成を示す図である。このように相互の配置構成が正しい場合は、同図(a) に示すように、必要な記録範囲として予め定められている範囲内において、配置ヘッド22の両端と発色ヘッド24の両端が揃っている。
【0159】
ところが、図36(b) に示すように、配置ヘッド22は必要な記録範囲内に両端が設定されているが、発色ヘッド24の方がnドット分だけ右方に位置ずれていると、実際の画像の記録範囲は、「必要な記録範囲」から「nドット」を引いた狭い範囲となって、用紙面に復元された画像データの右方に、主走査方向nドット分の欠損部分が発生する。本例では、このような欠損部分が発生せず、常に必要な記録範囲の記録が実現できる配置ヘッド22と発色ヘッド24の配置構成を採用する。
【0160】
図37(a),(b) は、常に必要な記録範囲の記録が実現できる配置ヘッド22と発色ヘッド24の配置構成を示す図である。同図(a) に示すように、発色ヘッド24は、必要な記録範囲にちょうど収まる長さで配設される。これに対して配置ヘッド22は、その両端が必要な記録範囲よりもnドット分だけ長く形成されて配設される。
【0161】
元来、工場における組み立て技術において光書込ヘッド22と超音波ラインヘッド24との間には極端に大きな位置ずれは生じることなく、あっても数ドット〜十数ドット分程度の位置ずれであることは前述した。そのような組み立て技術上想定し得る範囲の位置ずれに対応できる程度のnドット分だけ配置ヘッド22を長く構成して配置する。
【0162】
これにより、図37(b) に示すように、配置ヘッド22と発色ヘッド24の相対的位置関係が左右いずれの方向にずれた場合でも、その位置ずれ量が上記のnドット以内であれば、発色ヘッド24の端部の超音波照射位置には常にカプセルトナーTdが配置されることになるから、その位置ずれに対しては、容易にソフト制御により位置合わせが可能となる。また、発色ヘッド24は必要な記録範囲分の長さを有して形成されているから、常に所望の記録長を確保でき、これにより、用紙上に再生される画像に欠落が生じることはない。
【0163】
以上、配置ヘッド22と発色ヘッド24の位置ずれが1ドット単位の場合および最終的に0.5ドットの位置ずれがある場合の補正方法についてそれぞれ説明したが、これを敷衍して、次に、1ドット未満、つまりαドット(0<α<1)の位置ずれについての補正方法を説明する。まず、αドット(0<α<1)の位置ずれを検出する方法から説明する。
(実施例5)
図38(a) は、制御部94の制御によって実行されるαドット(0<α<1)の位置ずれを検出する処理を模式的に示す図であり、同図(b) は、その処理動作を説明するフローチャートである。
【0164】
同図(a) に示すように、先ず、配置ヘッド22により適宜の位置にカプセルトナーTdを配置する。そして、上記適宜の位置に対応する位置よりも数ドット手前(主走査方向上流側つまり図の左側)を1番目としてその1番目から例えば10番目までの10個の超音波素子66−4により、上記適宜の位置から手前側の位置aと適宜の位置から下った位置bまでの間を、収束照射により順次走査して、その収束照射の反射波を上記1番目から10番目までの超音波素子66−4で、又は一つ例えば5番目の超音波素子66−4で受波(受信)する。
【0165】
これを具体的には、同図(b) において、先ず、位置aに10個の超音波素子66−4により、超音波を収束照射する(処理S101)。この収束照射は図13及び図14で説明したと同様の方法で行われる。
そして、その収束照射の反射波を上記1番目から10番目までの超音波素子66−4で、又は一つ例えば5番目の超音波素子66−4で受波(受信)する(処理S102)。
【0166】
そして、その受信した波形をチェック(波形0と比較)して、その結果を照射位置と共に記憶する(処理S103)。
続いて、前回照射の位置+δの位置に超音波を上記同様に収束照射する(処理S104)。この処理では、走査の移動ステップ量の自由度は高く、最小補正単位(例えば1/5ドット)より細かく設定することが可能である。この走査に関しては間隔dで直線状に配置されたM本の振動子(受波機能を有する超音波素子66−4)のm番目を、
τsm=(m−1)dsinθ0 /c
の遅延時間をもった電気パルスで駆動すると、θ0 の角度方向に偏向される。距離F0 に収束させるには遅延時間τfmを(cは音速)
τfm={(m−0.5−M/2)d}2/(2F0 c)
とすることで可能であることは公知であり、また、発射超音波受信の際に発射時と同様に偏向が可能であることも公知である(超音波便覧P438,P439参照)。これにより、超音波素子に受信指向特性を持たせることが容易でありノイズに強い位置ずれの検出が可能となる。
【0167】
尚、超音波素子の駆動方法としては、上記の遅延時間制御のほかに位相制御の方法もあるが、これについては後述する。
いずれにしても、上記のように最初に位置aに収束超音波を発射し、受信は10個全部の超音波素子で又は中央付近の代表的な1個の超音波素子で行った後、これに続いて予め決めている走査移動単位δだけ移動した個所a+δに収束超音波を照射する。
【0168】
そして、上記位置a+δの位置への超音波の収束照射の後、1回目と同様の方法で、その反射波を上記1番目から10番目までの超音波素子66−4で、又は一つ例えば5番目の超音波素子66−4で受波(受信)する(処理S105)。
そして、その受信した波形をチェック(波形0と比較)して、その結果を照射位置と共に記憶する(処理S106)、ということを、a+nδ=bとなるまで繰り返す(nは位置a〜位置b間の走査移動単位δの数)。
【0169】
そして、a+nδ=bとなったならば、上記記憶したチェック波形とその位置により、波形0と最も違いの大きかった反射波を発信した位置を、カプセルトナーTdの在る位置と判断する(処理S107)。これにより、上記カプセルトナーTdが配置された適宜の位置と、この適宜の位置に対応すべき発色ヘッド24の超音波素子66−4との位置ずれ量が最小補正単位以下の範囲で正確に検知することができる。
(実施例6)
続いて、上記のような方法で又は何らかの方法で、配置ヘッド22と発色ヘッド24の間に、n+αドット(n=1,2,3,・・・で0<α<1)の範囲の位置ずれが判明したときに、更にα≦0.5であるか否かによって発色現像に対応する補正処理を変更して行う第1の方法について説明する。
【0170】
図39(a) は、0<α<1の範囲の位置ずれにおいてα≦0.5であるか否かによって補正方法を変える処理のフローチャートであり、図(b),(c) は予め検出されている0<α<1の範囲の位置ずれの状態を示す図、同図(d),(e) はそれらの補正方法を示す図である。
【0171】
同図(a) において、先ずα≦0.5(α≦1/2)であるか否かを判別する(処理S201)。この処理は、所望の配置位置0からの1ドット単位の位置ずれがnドット(同図(a) の例ではn=2)分あることが既に判明しており、そのnドット(2ドット)に加えて更にαドット(0<α<1)の位置ずれがある場合に、更にその位置ずれの範囲がα≦0.5であるか否かを判別する処理である。
【0172】
この判別で、α≦0.5であるときは(S201がY)、先ず、1ドット単位の位置ずれである「2ドット」分の位置ずれについて、図34で説明したように配置ヘッド又は超音波ヘッド(発色ヘッド)に対する2ドット分の位置の補正を行なう(処理S202)。
【0173】
これにより、図39(b) に示すように、本来配置されるべき所望の配置位置0とこの配置位置0のカプセルトナーを発色させるべき所望の超音波素子66−4dとの2+αドット分の位置ずれが、補正された所望の配置位置2と所望の超音波素子66−4dとのαドット分の位置ずれに補正される。
【0174】
その後、更に配置位置2の1ドット分の径をα×2だけ太らせる(処理S203)。これにより、図39(d) に示すように、配置位置2の配置ドットが、その周囲がαだけ広がった構成の配置ドット2´となり、超音波素子66−4dとのα≦0.5の位置ずれ分を補完する大きさの配置ドットとなって、1ドット分の発色が完全に行われるようになる。
【0175】
また、上記処理S201の判別で、0.5<αであるときは(S201がN)、先ず、配置ヘッド又は超音波ヘッド(発色ヘッド)に対するn+1(つまり2+1=3)ドット分の位置の補正を行なう(処理S204)。
これにより、図39(c) に示すように、本来配置されるべき所望の配置位置0とこの配置位置0のカプセルトナーを発色させるべき所望の超音波素子66−4dとの2+αドット分の位置ずれが、同じく同図(c) 及び同図(e) に示すように、補正された所望の配置位置3と所望の超音波素子66−4dとの1−αドット分の位置ずれに補正される。
【0176】
その後、更に配置位置3の配置ドットの径を、「(1−α)×2」だけ太らせる(処理S205)。これにより図39(e) に示すように配置位置3の配置ドットが、その周囲が1−αだけ広がった構成の配置ドット3´となり、所望の超音波素子66−4dとの1−αの位置ずれ分を補完する配置となって、1ドット分の発色が完全に行われるようになる。
【0177】
このように、本例によれば、0<α<1の位置ずれに対して、配置ヘッドによる配置ドットを本来の配置ドットの大きさよりも「α」又は「1−α」の広がりで多め(広め)に配置するので、αが<|0.5|であるような微細なずれ量に対してはその微細なずれ量に対応する微量な拡張配置量で良く、これにより、必要最小限のカプセルトナーの使用量で、位置ずれした発色を補正することができる。
(実施例7)
最後に、上記同様に、配置ヘッド22と発色ヘッド24の間にn+αドット(n=1,2,・・・で0<α<1)の範囲の位置ずれが判明しているときに、更にα≦0.5であるか否かによって発色現像に対応する補正処理を変更して行う第2の方法について説明する。
【0178】
図40は、0<α<1の範囲の位置ずれにおいてα≦0.5であるか否かによって補正方法を変える処理のフローチャートである。
図41(a),(b) は予め検出されている0<α<1の範囲の位置ずれの状態及びそれらの補正方法を示す図である。
【0179】
図40において、先ず、α≦0.5であるか否かを判別する(処理S301)。この処理も、1ドット単位の位置ずれがnドットあることが既に判明しており、そのnドットに加えて更にαドット(0<α<1)の位置ずれがある場合において、その位置ずれの範囲がα≦0.5であるか否かを判別する処理である。
【0180】
この判別で、α≦0.5であるときは(S301がY)、先ず、1ドット単位の位置ずれであるnドット分の位置ずれについて、図34で説明したように配置ヘッド又は超音波ヘッド(発色ヘッド)に対するnドット分の位置の補正を行なう(処理S302)。
【0181】
これにより、本来配置されるべき所望の配置位置からこの配置位置のカプセルトナーを発色させるべき発色ヘッド24からの所望の照射位置とのn+αドット分の位置ずれが、図41(a) に示すように、補正された配置位置に配置された配置ドットTdと発色ヘッド24からの所望の照射位置nからのαドット分の位置ずれに補正される。
【0182】
ここで、一般に、上述した発色ヘッド24において、間隔dで直線状に配置されたM個の超音波素子のm番目を
τsm=(m−1)dsinθ0 /c ・・・・(3)
の遅延時間をもった電気パルスで駆動すると、超音波の照射角はθ0 の角度方向に偏向される。
【0183】
したがって、上記nドット分の補正の後、更に上記αドット分位置ずれしている配置ドットTdに対し、上記の式(3)において、配置ドットTdの配置面93と発色ヘッド24間の距離をDとして、
cosθ0 =α/D ・・・・・(4)
を満たすようにτsmの遅延量を制御することにより、所望の照射位置をαドット分偏向させることができ、これにより、上記αドット分位置ずれしている配置ドットTdに対し超音波を正確に収束照射することができる。
【0184】
また、上記処理S301の判別で、0.5<αであるときは(S301がN)、この場合は、先ず、配置ヘッド又は超音波ヘッド(発色ヘッド)に対するn+1ドット分の位置の補正を行なう(処理S304)。
これにより、本来配置されるべき所望の配置位置からこの配置位置のカプセルトナーを発色させるべき発色ヘッド24からの所望の照射位置とのn+αドット分の位置ずれが、図41(b) に示すように、補正された配置位置に配置された配置ドットTdと発色ヘッド24からの所望の照射位置nから1ドット分ずれた照射位置n+1から1−αドット分の位置ずれに補正される。
【0185】
この後、このように、α>0.5の場合は、n=n+1として、α=1−αとすることにより、α≦0.5のときと同じように式(3)及び式(4)により、上記αドット分位置ずれしている配置ドットTdに対し超音波を正確に収束照射することができる。
【0186】
このように、本例においては、1ドット以下の微細な位置ずれに対し、配置ドットを拡大配置するというような余分なカプセルトナーを使うことなく、配置ヘッドの配置位置と発色ヘッドの照射位置が一致するように、配置ヘッドと発色ヘッドの位置合わせを行うことができる。
【0187】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、予め想定される補正による発色ヘッドに対する配置ヘッドの主走査方向の相対的な位置の移動に対応できるだけの長さで配置ヘッドを配置し、配置ヘッドと発色ヘッドの主走査方向、副走査方向、又は傾斜の位置ずれを自動的に正しく検出して補正し、配置位置と発色位置の相対的補正後のカプセルトナーに対しその内包する小径カプセルの固有共振周波数と同じ大きさのサブハーモニクス周波数を照射して所望の色を発色させるので、可及的に小さな駆動エネルギーで効率よく常に画像データに忠実な発色の多色画像を欠落部を生じることなく再現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施の形態としての多色画像形成装置の全体構成図である。
【図2】基本形態の多色画像形成装置の画像形成部の拡大図である。
【図3】画像形成部のカプセルトナーホッパ内に収容されるマイクロカプセルトナーの構造を示す図である。
【図4】マイクロカプセルトナーに内包されている小径マイクロカプセルの構造を説明する図である。
【図5】電源及び制御部における制御部の制御回路の構成を説明する図である。
【図6】制御回路の印字制御部の具体的な回路ブロックを示す図である。
【図7】多色画像形成装置による現像処理及び以後の処理を模式的に示す図である。
【図8】(a),(b),(c) はマイクロカプセルトナーが超音波ラインヘッドによって超音波照射を受けて選択的に発色する原理を説明する図である。
【図9】超音波ラインヘッドによって超音波発振が行われる際のタイムチャートを示す図である。
【図10】(a),(b),(c) は超音波ラインヘッドの配設位置の種々の例を示す図である。
【図11】超音波ラインヘッドの外観斜視図である。
【図12】(a) は超音波ラインヘッドの上面図、(b) は個別印加電極の上面図、(c) は(b) のD−D´矢視断面図、(d) は(c) のE−E´矢視断面図である。
【図13】主走査方向(X方向)に配設された超音波素子とこの超音波素子から出力される超音波の集束位置の関係を示す図である。
【図14】超音波素子の配設構成の一部を拡大して示す図である。
【図15】顕色剤が各小径カプセルの周面に位置するのではなく、保持層内に混入されている状態を示す図である。
【図16】小径カプセル壁の内部に気泡が封入されている構成を説明する図である。
【図17】第2の実施の形態における多色画像形成装置で用いられる超音波について説明するための大径マイクロカプセル内に3色の小径カプセルを含む場合の気泡半径別振幅と周波数依存性を示す図である。
【図18】大径マイクロカプセル内に更にブラック(K)の小径カプセルを加えた4色の小径カプセルを含む場合の特性を示す図である。
【図19】超音波照射によって複数種の小径マイクロカプセルが振動する状態を示す図である。
【図20】超音波照射の為の出力パルスを示す図である。
【図21】照射超音波の反射波信号からフィルタ等で高調波成分のみを抽出して映像化したハーモニックイメージングを示す図である。
【図22】照射超音波の基本波の反射波各成分に対する強度比を示す図である。
【図23】(a),(b) は第3の実施の形態としての多色画像形成装置における画像形成部の構成を2例示す図である。
【図24】(a) 〜(e) は第3の実施の形態において超音波ラインヘッドに対する光書込ヘッドの副走査方向への位置ずれを検出する方法を説明する図である。
【図25】(a) 〜(e) は第3の実施の形態において超音波ラインヘッドに対する光書込ヘッドの主走査方向への位置ずれを検出する方法を説明する図である。
【図26】(a) 〜(d) は第3の実施の形態において超音波ラインヘッドに対する光書込ヘッドの主走査方向における傾きの位置ずれを検出する方法を説明する図である。
【図27】(a) 〜(d) は第3の実施の形態において光書込ヘッドに対する超音波ラインヘッドの主走査方向における傾きの位置ずれを検出する方法を説明する図である。
【図28】配置現像と発色現像の位置ずれによる印字品質の劣化について説明する図(その1)である。
【図29】(a),(b),(c) は配置現像と発色現像の位置ずれによる印字品質の劣化について説明する図(その2)である。
【図30】(a),(b),(c) は光書込ヘッドによる静電潜像と超音波ラインヘッドによる発色現像に位置ずれがある場合の不具合解消方法の一例を示す図である。
【図31】第4の実施の形態における位置ずれ検出を行う制御部のブロック図である。
【図32】(a),(b) は位置ずれ検出の制御部によって実行される処理を模式的に示す図、(c),(d),(e) は超音波の発射波と受波について説明する図である。
【図33】位置ずれ検出の制御部による処理動作を説明するフローチャートである。
【図34】(a),(b) は検出された位置ずれが1ドット単位で発生している場合の補正方法を示す図である。
【図35】(a),(b),(c) は検出された位置ずれが最終的に1/2ドットで発生している場合の補正方法を説明する図である。
【図36】(a),(b) は配置ヘッドと発色ヘッド間の位置ずれに対する補正によって画像データの復元に欠損部分が発生しないようにする配置ヘッドと発色ヘッドの配置構成を説明する前段の図である。
【図37】(a),(b) は配置ヘッドと発色ヘッド間の位置ずれに対する補正によって画像データの復元に欠損部分が発生しないようにする配置ヘッドと発色ヘッドの配置構成を説明する後段の図である。
【図38】(a) は制御部の制御によって実行されるαドット(0<α<1)の位置ずれを検出する処理を模式的に示す図、(b) はその処理動作を説明するフローチャートである。
【図39】(a) は0<α<1の範囲の位置ずれにおいてα≦0.5であるか否かによって補正方法を変更して行う第1の方法の処理のフローチャート、(b),(c) は予め検出されている0<α<1の範囲の位置ずれの状態を示す図、(d),(e) はそれらの補正方法を示す図である。
【図40】0<α<1の範囲の位置ずれにおいてα≦0.5であるか否かによって補正方法を変更して行う第2の方法の処理のフローチャートである。
【図41】(a),(b) は第2の方法の処理において予め検出されている0<α<1の範囲の位置ずれの状態及びそれらの補正方法を示す図である。
【図42】従来のタンデム方式の多色画像形成装置の構成例を説明する図である。
【符号の説明】
1M、1C、1Y、1K 画像形成部
2M、2C、2Y、2K 現像器
3M、3C、3Y、3K 光書込ヘッド
4M、4C、4Y、4K 感光体ドラム
5 搬送ベルト
P 記録紙
6 熱定着器
15 多色画像形成装置
16 画像形成部
17 給紙部
18 用紙搬送部
19 電源及び制御部
21 感光体ドラム
22 光書込ヘッド(配置ヘッド)
22−1、22−2、22−3、22−4 発色前トナー1画素ライン
23 カプセルトナーホッパ
24 超音波ラインヘッド(発色ヘッド)
24−1、24−2、24−3、24−4 発色現像1画素ライン
25 カセット
26 給紙コロ
27 転写部
28 定着器
29 排紙ローラ
31 用紙スタッカ
32 電源部
33 制御部(制御回路)
34 帯電ローラ
35 カプセルトナー現像ローラ
36 転写ローラ
37 クリーナ
T カプセルトナー
38 攪拌部材
39 カプセルトナー供給ローラ
41 中間転写ベルト
42 収容ローラ
43 対向ローラ
44 転写ローラ
45 ベルトクリーナ
46 大径マイクロカプセル
47(47M、47C、47Y、47K) 小径マイクロカプセル
48 小径カプセル壁
49 保持層
50 発色剤
51 顕色剤
52 インターフェース(I/F)
53 印字制御部
54 CPU
55 RAM
56 ROM
57 RGB入力
58 操作パネル
59 プリンタコントローラ
60 印字部
61 主走査/副走査制御回路
62 論理和回路
63 発振回路
64M マゼンダ発色制御回路
64C シアン発色制御回路
64Y イエロー発色制御回路
64K ブラック発色制御回路
65 担持体
66−1 音響レンズ
66−2 音響インピーダンス整合層
66−3 個別印加電極層
66−4 超音波素子
66−5 共通電極層(アース層)
68 殻
69 気泡
71 超音波入射方向
72 マイクロカプセル
73 反射波
74 中間転写ローラ
75 発色位置検知センサ
76、82 主走査方向基準線
77、81 副走査方向基準線
78 検知可能範囲
79 基準点
83 検知可能範囲
84 配置現像主走査方向1画素ライン
85−1、85−2 発色現像副走査方向1画素ライン
86−1、86−2 基準点
87−1、87−2 配置現像副走査方向1画素ライン
88 発色現像主走査方向1画素ライン
90 静電潜像“F”
91 転写画像“F”
92 発色現像“F”
93 配置ドット配置面
【発明の属する技術分野】
本発明は、マイクロカプセルトナーを用いる多色画像形成装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、パーソナルコンピュータを中心とした情報機器としてのコンピュータの普及に伴って、その周辺機器のひとつとしてプリンタ装置が普及している。このプリンタ装置には各種の方式のカラープリンタが提案されている。特に、電子写真方式、熱転写方式、インクジェット方式の各方式のプリンタ装置は著しい進歩を遂げており、それらで形成されるカラー画像は美麗さや解像度の点でも古くから用いられてきたアナログカメラの銀塩写真に匹敵し、これにとって代わる勢いである。
【0003】
図42は、電子写真方式の所謂タンデム方式の多色画像形成装置の例を示す図である。同図に示すように、タンデム方式の多色画像形成装置は、マゼンタ(M)、シアン(C)、イエロー(Y)、ブラック(K)の4つの画像形成部1M、1C、1Y、1Kを有し、各画像形成部1M、1C、1Y、1Kには、それぞれに対応する現像器2M、2C、2Y、2Kが配設されている。
【0004】
記録紙Pは、搬送ベルト5の矢印Aで示す反時計回り方向への循環移動に伴って破線矢印Bで示すように搬送される。この間各画像形成部1M、1C、1Y、1Kの光書込ヘッド3M、3C、3Y、3Kから対応する感光体ドラム4M、4C、4Y、4Kに光書込みが行われ、その光書込みによる静電潜像に対して現像器2M、2C、2Y、2Kによるそれぞれの色のトナー像が現像される。
【0005】
トナー像が現像された感光体ドラム4Mから記録紙Pに対してマゼンタ(M)のトナー像の転写が行われ、以後シアン(C)、イエロー(Y)、ブラック(K)の順に、各色のトナー像が重ねられて記録紙Pへ転写される。その後、熱定着器6によって定着処理が行われ、上記トナー像は記録紙Pに熱定着され、機外に排出される。
【0006】
一方、上記従来の方式に対し、新規な方式として、光や熱等の外部刺激に応答するマイクロカプセルを含有するインク層を予めコーティングした専用の記録紙を用い、これに画像情報に対応した光や熱を付与して画像形成を行う装置も提案されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来の電子写真方式の多色画像形成装置は、記録紙Pとして普通紙を使用できる点で優れているが、色別に複数のインクやトナーが必要である点で、消耗品の管理が煩雑となる。
【0008】
また、例えば現像器や画像形成部を複数(例えば、4個)内蔵する必要があり、部品点数が増し、装置も大型化する。そして、これら各色の位置合わせには高い精度が要求されるため、工場での組み立て作業に時間がかかって作業能率の低下要因となる。また、さらに、構造も複雑化し、装置の軽量化の面からも不利である。
【0009】
一方、マイクロカプセルを含有するインク層を予めコーティングした専用の記録紙を用いる方式の多色画像形成装置の場合は、基本的に記録紙全面にインクを塗布することから、コストアップの原因になる。また普通紙が使用できないという問題もある。さらに、複数色の印字工程を繰り返すことから、色ずれ管理が難しく、装置の複雑化も避けられない。
【0010】
本発明の課題は、上記従来の実情に鑑み、印刷に必要な部分にのみマイクロカプセルトナーを配置して発色効率よく且つ位置ずれの無い印刷処理を行う多色画像形成装置を提供することである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
先ず、請求項1記載の発明の多色画像形成装置は、所定の刺激によって破壊可能なカプセル壁で囲繞された複数種の小径マイクロカプセルを支持材に分散内包する大径マイクロカプセルから成り、互いに混合されて発色反応を起こす反応性物質の一方を上記各々の小径マイクロカプセル壁内側に分散し、上記反応性物質の他方を上記各々の小径マイクロカプセル壁外側の上記支持材に分散して成るマイクロカプセルトナーを用いるカラー画像形装置であって、上記マイクロカプセルトナーを複数種の色の画像データの論理和より合成されたデータに基づいて画素に対応するサイズに現像する現像手段と、該現像手段により現像された上記マイクロカプセルトナーの群層に、画素サイズに収束された複数種の特定周波数の超音波を選択的に照射することにより、各特定周波数ごとに選択的に反応する上記小径カプセルの外殻を破壊し、この外殻により分離されていた発色剤と顕色剤とを反応させて所定の色を発色させる発色手段と、を備えて構成される。
【0012】
上記複数種の特定周波数の超音波の周波数は、例えば請求項2記載のように、それぞれ上記小径カプセルの固有共振周波数と同じ大きさのサブハーモニクス周波数を発生することができる大きさで且つ上記小径カプセルの上記固有共振周波数の略2倍の大きさの周波数で構成される。
【0013】
上記複数種の色は、例えば請求項3記載のように、マゼンタ、シアン、及びイエロー、又は、マゼンタ、シアン、イエロー、及びブラックで構成される。
次に、請求項4記載の発明の多色画像形成装置は、所定の刺激によって破壊可能なカプセル壁で囲繞された複数種の小径マイクロカプセルを支持材に分散内包する大径マイクロカプセルから成り、互いに混合されて発色反応を起こす反応性物質の一方を上記各々の小径マイクロカプセル壁内側に分散し、上記反応性物質の他方を上記各々の小径マイクロカプセル壁外側の上記支持材に分散して成るマイクロカプセルトナーを複数種の色の画像データの論理和より合成されたデータに基づいて画素に対応するサイズに現像する現像手段と、該現像手段により現像された上記マイクロカプセルトナーの群層に、画素サイズに収束された複数種の特定周波数の超音波を選択的に照射することにより、各特定周波数ごとに選択的に反応する上記小径カプセルの外殻を破壊し、この外殻により分離されていた発色剤と顕色剤とを反応させて所定の色を発色させる発色手段と、を備え、上記現像手段により副走査方向の所定の位置における主走査方法に1画素ラインの現像を行わせ、上記発色手段により上記所定の位置に対応する所定の検知有効範囲において副走査方向に1画素ラインの超音波照射を行わせて、その発色位置により、該発色手段の副走査方向の位置を基準とした上記現像手段の副走査方向の位置ずれの有無を検出する制御手段を有して構成される。
【0014】
上記制御手段は、例えば請求項5記載のように、上記現像手段により主走査方向の所定の位置における副走査方向に1画素ラインの現像を行わせ、上記発色手段により上記所定の位置に対応する所定の発色検知範囲において主走査方向に1画素ラインの超音波照射を行わせて、その発色位置により、該発色手段の主走査方向の位置を基準とした上記現像手段の主走査方向の位置ずれの有無を検出するように構成され、また、例えば請求項6記載のように、発色検知範囲内において上記現像手段により主走査方向に1画素ラインの現像を行わせ、上記発色手段により所定の上記発色検知範囲において主走査方向の所定の2箇所のそれぞれの位置における副走査方向の1画素ラインの超音波照射を行わせて、その発色位置により、上記発色手段の主走査方向の位置を基準とした上記現像手段の主走査方向の傾き検出するように構成され、また、例えば請求項7記載のように、発色検知範囲内において上記現像手段により副走査方向の所定の2箇所のそれぞれの位置における主走査方向の1画素ラインの現像を行わせ、上記発色手段により所定の上記発色検知範囲において主走査方向に1画素ラインの超音波照射を行わせて、その発色位置により、上記現像手段の主走査方向の位置を基準とした上記発色手段の主走査方向の傾き検出するように構成される。
【0015】
また、請求項8記載の発明の多色画像形成装置は、所定の刺激によって破壊可能なカプセル壁で囲繞された複数種の小径マイクロカプセルを支持材に分散内包する大径マイクロカプセルから成り、互いに混合されて発色反応を起こす反応性物質の一方を上記各々の小径マイクロカプセル壁内側に分散し、上記反応性物質の他方を上記各々の小径マイクロカプセル壁外側の上記支持材に分散して成るマイクロカプセルトナーを複数種の色の画像データの論理和より合成されたデータに基づいて画素に対応するサイズに現像する現像手段と、該現像手段により現像された上記マイクロカプセルトナーの群層に、画素サイズに収束された複数種の特定周波数の超音波を選択的に照射することにより、各特定周波数ごとに選択的に反応する上記小径カプセルの外殻を破壊し、この外殻により分離されていた発色剤と顕色剤とを反応させて所定の色を発色させる発色手段と、を備えた多色画像形成装置であって、
上記マイクロカプセルトナーの群層の配置が無いところからの上記超音波の反射波形を波形0の波形として記憶する記憶手段と、上記波形0の波形と上記マイクロカプセルトナーの群層の存在の影響を受けた反射波形とを比較する波形比較手段と、該比較手段による比較結果に基づいて上記マイクロカプセルトナーの1画素分の群層の存在位置を判断する判断手段と、を備え、上記現像手段は所定の位置に1画素分の上記マイクロカプセルトナーの群層を配置し、上記発色手段は、自己又は他の発色手段により照射された超音波の反射波を受波する機能を備え、上記現像手段により配置された1画素分の上記マイクロカプセルトナーの群層を含む所定の範囲を順次超音波照射して反射波を受波し、上記波形比較手段は、上記受波された反射波を上記波形0の波形と順次比較して、上記反射波の波形が上記波形0の波形と最も異なる波形を検出し、上記判断手段は、上記反射波の波形が上記波形0の波形と最も異なる波形を検出したときの位置を上記マイクロカプセルトナーの1画素分の群層が配置されている位置であると判断するように構成される。
【0016】
また、請求項9記載の発明の多色画像形成装置は、所定の刺激によって破壊可能なカプセル壁で囲繞された複数種の小径マイクロカプセルを支持材に分散内包する大径マイクロカプセルから成り、互いに混合されて発色反応を起こす反応性物質の一方を上記各々の小径マイクロカプセル壁内側に分散し、上記反応性物質の他方を上記各々の小径マイクロカプセル壁外側の上記支持材に分散して成るマイクロカプセルトナーを複数種の色の画像データの論理和より合成されたデータに基づいて画素に対応するサイズに現像する現像手段と、該現像手段により現像された上記マイクロカプセルトナーの群層に、画素サイズに収束された複数種の特定周波数の超音波を選択的に照射することにより、各特定周波数ごとに選択的に反応する上記小径カプセルの外殻を破壊し、この外殻により分離されていた発色剤と顕色剤とを反応させて所定の色を発色させる発色手段と、を備えた多色画像形成装置であって、上記現像手段は、上記マイクロカプセルトナーの現像面積の径を所望の現像画素の径よりよりも所定の範囲の大きさで大きく現像し、上記発色手段は、上記現像手段により所望の現像画素の径よりより大きく現像された上記マイクロカプセルトナーに対し所望の現像画素の径と同等の大きさに発色させるように構成される。
【0017】
上記所定の範囲の大きさは、例えば請求項10記載のように、上記現像手段の現像位置に対して上記発色手段の発色位置が0.5ドット位置ずれしているとき、所望の現像画素の径の2倍の径の大きさであるように構成される。
また、請求項11記載の発明の多色画像形成装置は、所定の刺激によって破壊可能なカプセル壁で囲繞された複数種の小径マイクロカプセルを支持材に分散内包する大径マイクロカプセルから成り、互いに混合されて発色反応を起こす反応性物質の一方を上記各々の小径マイクロカプセル壁内側に分散し、上記反応性物質の他方を上記各々の小径マイクロカプセル壁外側の上記支持材に分散して成るマイクロカプセルトナーを複数種の色の画像データの論理和より合成されたデータに基づいて画素に対応するサイズに現像する現像手段と、該現像手段により現像された上記マイクロカプセルトナーの群層に、画素サイズに収束された複数種の特定周波数の超音波を選択的に照射することにより、各特定周波数ごとに選択的に反応する上記小径カプセルの外殻を破壊し、この外殻により分離されていた発色剤と顕色剤とを反応させて所定の色を発色させる発色手段と、を備えた多色画像形成装置であって、上記現像手段は、主走査方向の両端部における有効現像長をそれぞれ上記発色手段の主走査方向の必要記録長よりも所定のドット数分長く形成されて構成される。
【0018】
また、請求項12記載の発明の多色画像形成装置は、所定の刺激によって破壊可能なカプセル壁で囲繞された複数種の小径マイクロカプセルを支持材に分散内包する大径マイクロカプセルから成り、互いに混合されて発色反応を起こす反応性物質の一方を上記各々の小径マイクロカプセル壁内側に分散し、上記反応性物質の他方を上記各々の小径マイクロカプセル壁外側の上記支持材に分散して成るマイクロカプセルトナーを複数種の色の画像データの論理和より合成されたデータに基づいて画素に対応するサイズに現像する現像手段と、該現像手段により現像された上記マイクロカプセルトナーの群層に、画素サイズに収束された複数種の特定周波数の超音波を選択的に照射することにより、各特定周波数ごとに選択的に反応する上記小径カプセルの外殻を破壊し、この外殻により分離されていた発色剤と顕色剤とを反応させて所定の色を発色させる発色手段と、を備えた多色画像形成装置であって、上記マイクロカプセルトナーの群層の配置が無いところからの上記超音波の反射波形を波形0の波形として記憶する記憶手段と、上記波形0の波形と上記マイクロカプセルトナーの群層の存在の影響を受けた反射波形とを比較する波形比較手段と、該比較手段による比較結果に基づいて上記マイクロカプセルトナーの1画素分の群層の存在位置を判断する判断手段と、を備え、上記現像手段は所定の位置に1画素分の上記マイクロカプセルトナーの群層を配置し、上記発色手段は、それぞれ自己又は他の発色手段により照射された超音波の反射波を受波する機能を備え、上記現像手段により配置された1画素分の上記マイクロカプセルトナーの群層を含む所定の範囲に対し複数の上記発色手段による超音波収束照射を順次行ってその反射波を受波し、上記波形比較手段は、上記受波された反射波を上記波形0の波形と順次比較して、上記反射波の波形が上記波形0の波形と最も異なる波形を検出し、上記判断手段は、上記反射波の波形が上記波形0の波形と最も異なる波形を検出したときの位置を上記マイクロカプセルトナーの1画素分の群層が配置されている位置であると判断するように構成される。
【0019】
また、請求項13記載の発明の多色画像形成装置は、所定の刺激によって破壊可能なカプセル壁で囲繞された複数種の小径マイクロカプセルを支持材に分散内包する大径マイクロカプセルから成り、互いに混合されて発色反応を起こす反応性物質の一方を上記各々の小径マイクロカプセル壁内側に分散し、上記反応性物質の他方を上記各々の小径マイクロカプセル壁外側の上記支持材に分散して成るマイクロカプセルトナーを複数種の色の画像データの論理和より合成されたデータに基づいて画素に対応するサイズに現像する現像手段と、該現像手段により現像された上記マイクロカプセルトナーの群層に、画素サイズに収束された複数種の特定周波数の超音波を選択的に照射することにより、各特定周波数ごとに選択的に反応する上記小径カプセルの外殻を破壊し、この外殻により分離されていた発色剤と顕色剤とを反応させて所定の色を発色させる発色手段と、を備えた多色画像形成装置であって、上記現像手段の所望の現像位置に対し上記発色手段の所望の発色位置がn+αドット且つα≦0.5で位置ずれしているとき、上記現像手段は、上記所望の現像位置を上記位置ずれ方向へnドット移動させると共に該移動させた所望の現像位置の現像画素において所望の現像画素の径のα×2の径の大きに現像し、上記発色手段は、上記現像手段により所望の現像画素の径よりよりα×2大きく現像された上記マイクロカプセルトナーに対し所望の現像画素の径と同等の大きさに発色させるように構成される。
【0020】
そして、この多色画像形成装置は、例えば請求項14記載のように、上記現像手段の所望の現像位置に対し上記発色手段の所望の発色位置がn+αドット且つ0.5<αで位置ずれしているとき、上記現像手段は、上記所望の現像位置を上記位置ずれ方向へn+1ドット移動させると共に該移動させた所望の現像位置の現像画素において所望の現像画素の径の「(1−α)×2」の径の大きに現像し、上記発色手段は、上記現像手段により所望の現像画素の径よりより「(1−α)×2」大きく現像された上記マイクロカプセルトナーに対し所望の現像画素の径と同等の大きさに発色させるように構成される。
【0021】
最後に、請求項15記載の発明の多色画像形成装置は、所定の刺激によって破壊可能なカプセル壁で囲繞された複数種の小径マイクロカプセルを支持材に分散内包する大径マイクロカプセルから成り、互いに混合されて発色反応を起こす反応性物質の一方を上記各々の小径マイクロカプセル壁内側に分散し、上記反応性物質の他方を上記各々の小径マイクロカプセル壁外側の上記支持材に分散して成るマイクロカプセルトナーを複数種の色の画像データの論理和より合成されたデータに基づいて画素に対応するサイズに現像する現像手段と、該現像手段により現像された上記マイクロカプセルトナーの群層に、画素サイズに収束された複数種の特定周波数の超音波を選択的に照射することにより、各特定周波数ごとに選択的に反応する上記小径カプセルの外殻を破壊し、この外殻により分離されていた発色剤と顕色剤とを反応させて所定の色を発色させる発色手段と、を備えた多色画像形成装置であって、上記現像手段の現像位置に対し上記発色手段の発色位置がαドット且つα≦0.5で位置ずれしているとき、上記発色手段の超音波照射素子の配置間隔をd、該超音波照射素子配置面と上記現像位置間の距離をD、上記現像手段の現像位置と上記発色手段の発色位置との位置ずれ角度をθ0 、上記現像手段の現像位置を発色させるための上記発色手段の直線状に配置されたM個の上記超音波素子のm番目を、「cosθ0 =α/D」を満たすように「τsm=(m−1)dsinθ0 /c」の遅延時間τsmをもった電気パルスで駆動するように構成される。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照しながら説明する。
<第1の実施の形態>
図1は、第1の実施の形態としての多色画像形成装置の全体構成図である。なお、同図に示す多色画像形成装置15は、例えばピアツーピア(peer to peer)で接続されたパーソナルコンピュータのホスト機器側に接続されたプリンタ装置またはLAN(ローカルエリアネットワーク)に接続されたプリンタ装置であってもよい。
【0023】
図1に示す多色画像形成装置15は、画像形成部16、給紙部17、用紙搬送部18、電源及び制御部19で構成されている。画像形成部16は感光体ドラム21、光書込ヘッド22、カプセルトナーホッパ23、超音波ラインヘッド24等で構成されている。
【0024】
給紙部17は、給紙カセット25及び給紙コロ26で構成され、給紙カセット25に収納された記録紙Pは、給紙コロ26の1回転ごとに、給紙カセット25から搬出され、用紙搬送部18に送られる。用紙搬送部18は給紙カセット25から搬出された記録紙Pをガイド板に沿って搬送し、この記録紙Pには転写部27において後述するトナー画像が転写される。トナー画像を転写された記録紙Pは、定着器28でトナー画像を紙面に熱定着され、排紙ローラ29によって用紙スタッカ31上に排出される。
【0025】
また、電源及び制御部19は上記画像形成部16等に電源を供給する電源部32、及び上記光書込ヘッド22に供給する光書込データを生成し、超音波ラインヘッド24に供給する画像データを生成する制御部(制御回路)33で構成されている。尚、制御部33の具体的な制御回路の構成については後述する。
【0026】
図2は、上記画像形成部16の拡大図である。画像形成部16は上記のように、感光体ドラム21、光書込ヘッド22、カプセルトナーホッパ23、超音波ラインヘッド24を要部として構成されている。感光体ドラム21の近傍には、帯電ローラ34、前述の光書込ヘッド22、カプセルトナー現像ローラ35、転写ローラ36、クリーナ37が配設されている。
【0027】
上記のカプセルトナーホッパ23内にはマイクロカプセルトナーT(以下、単にカプセルトナーTという)が収容され、このカプセルトナーTに埋没するように攪拌部材38が回動可能に設置され、さらに最下部には、カプセルトナー現像ローラ35に当接してカプセルトナー供給ローラ39が設置されている。
【0028】
攪拌部材38は、カプセルトナーTを攪拌し、摩擦帯電によってマイナス(−)の電荷をカプセルトナーTに付与する。カプセルトナー供給ローラ39は、そのマイナス電荷を付与されたカプセルトナーTをカプセルトナー現像ローラ35に供給する。
【0029】
光書込ヘッド22には前述の制御部(制御回路)33から光書込みデータが供給され、感光体ドラム21の感光面に光書込みを行う。感光体ドラム21の感光面には予め帯電ローラ34によって一様な電荷が付与され、光書込ヘッド22からの光書込みによって静電潜像が形成される。この静電潜像はカプセルトナー現像ローラ35によって現像され、静電潜像に後述するカプセルトナーTを静電付着させ、転写ローラ36直上の位置に運ぶ。
【0030】
感光体ドラム21と転写ローラ36間には、中間転写ベルト41が位置している。中間転写ベルト41は感光体ドラム21と転写ローラ36間を挟持搬送される。感光体ドラム21に静電付着したカプセルトナーTは、転写ローラ36との間で作用する電界によって中間転写ベルト41側に吸着される。尚、中間転写ベルト41は矢印C方向に循環移動している。この中間転写ベルト41に吸着したカプセルトナーTは、中間転写ベルト41の循環移動に伴って超音波ラインヘッド24の直下に到達する。
【0031】
超音波ラインヘッド24には制御部(制御回路)33から画像データが供給され、超音波ラインヘッド24を収容する収容ローラ42と対向ローラ43間を移動するカプセルトナーTに超音波照射を行う。この時、中間転写ベルト41に吸着したカプセルトナーTに内包される微細カプセルの壁が破壊され、内部の反応性物質によって発色反応が起こり、カプセルトナーTが発色してカラートナー像が中間転写ベルト41上に現像される。
【0032】
上記のようにして発色してカラートナー像を形成している発色済みのカプセルトナーは、転写部27において転写ローラ44により記録紙Pに転写される。また、記録紙Pに転写された発色済みカプセルトナーは前述のように定着器28において熱定着処理が施され、排紙ローラ29によって排紙スタッカ31上に排出される。上記の転写後に中間転写ベルト41に残留するカプセルトナーはベルトクリーナ45によって除去される。
【0033】
図3は上記カプセルトナーTの構造を示す図である。同図に示すように、カプセルトナーTは大径マイクロカプセル46内にマゼンタ(M)、シアン(C)、イエロー(Y)、ブラック(K)の4種類の小径マイクロカプセル47M、47C、47Y、47Kを内包した構成であり、各小径マイクロカプセル47M、47C、47Y、47Kには小径カプセル壁48が形成されている。
【0034】
また、上記小径マイクロカプセル47M、47C、47Y、47Kは、大径マイクロカプセル46内に封入されたジェル状の保持層49中にランダムに分散している。尚、同図に示す小径マイクロカプセル47´は発色した小径マイクロカプセルを示している。
【0035】
上記の大径マイクロカプセル46の直径は5μm〜10μmで構成され、例えば1個の大径マイクロカプセル46内に小径マイクロカプセル47M、47C、47Y、および47Kがそれぞれ10個程度収容されている。小径マイクロカプセル47M、47C、47Y、47Kの直径は、例えば0.5μm〜2μm程度である。
【0036】
図4は、上記小径マイクロカプセル47M、47C、47Y、47Kの構造を説明する図である。小径マイクロカプセル47M、47C、47Y、47Kは、小径カプセル壁48で覆われ、発色剤50を内包し、小径カプセル壁48の外側を顕色剤51が覆っている。そして、これら小径マイクロカプセル47M、47C、47Y、47Kの小径カプセル壁48の直径及び厚さはそれぞれ異っている。すなわち、小径マイクロカプセル47M、47C、47Y、47Kは、それぞれその直径と、小径カプセル壁48の厚さが異なり、このように構成することによって小径カプセル壁48を破壊する共振周波数を異ならせ、各小径マイクロカプセル毎に異なる共振周波数で破壊できる構造とするものである。
【0037】
また、上記各小径マイクロカプセルの直径と厚さに加え、材質を変えることによって破壊の共振周波数も可変でき、材質を超音波の照射する共振周波数の設定要素に加えることによってより詳細な共振周波数の設定が可能となる。
例えば、小径マイクロカプセルの直径が大きくなれば超音波の共振周波数は低い方向に移行し、小径カプセル壁48の厚さが厚くなれば共振周波数は高い方向に移行する。また、小径カプセル壁48の壁の材質が硬くなれば、共振周波数は高い方向に移行する。したがって、上記各要素に対応して各小径マイクロカプセル47M、47C、47Y、47Kはそれぞれ共振周波数が異なるように設計されている。
【0038】
また、各小径マイクロカプセル47M、47C、47Y、47Kの発色割合は、照射される超音波のエネルギー量によって可変可能である。したがって、マゼンダ(M)、シアン(C)、イエロー(Y)の発色割合を制御し、自由な中間調を実現することができる。
【0039】
図5は、前述の電源及び制御部19の制御部33の制御回路の構成を説明する図である。制御部(制御回路)33はインターフェース(I/F)52、印字制御部53、CPU54、RAM55、ROM56で構成される。インターフェース(I/F)52には、RGB(R(赤)、G(緑)、B(青))入力57からビデオデータが供給され、CPU54には、操作パネル58から操作信号が入力する。
【0040】
インターフェース(I/F)52は、例えばホスト機器であるパーソナルコンピュータから供給されるビデオデータ(RGB信号)をCMYK値に変換する多値化処理を行う。この場合、インターフェース(I/F)52には予めデバイスに対応する色変換テーブルが登録されており、インターフェース(I/F)52は、その色変換テーブルを参照しながらRGB信号をCMYK値に変換する。
【0041】
CPU54は、ROM56に記憶するプログラムに基づいて処理を行い、操作パネル58から入力する操作信号に従って印刷処理を実行する。
尚、RAM55はCPU54による制御処理の際、ワークエリアとして使用され、複数のレジスタで構成されている。
【0042】
CPU54は、上記インターフェース(I/F)52、及び印字制御部53内のプリンタコントローラに制御信号を送り、印刷データの作成処理を行う。また、印字制御部53は、プリンタコントローラ59及び印字部60で構成されている。
【0043】
図6は、上記印字制御部53の具体的な回路ブロックを示す図である。同図において、プリンタコントローラ59は主走査/副走査制御回路60、論理和回路62、発振回路63、マゼンタ発色制御回路64M、シアン発色制御回路64C、イエロー発色制御回路64Y、ブラック発色制御回路64Kで構成されている。一方、印字部60は前述の光書込ヘッド22及び超音波ラインヘッド24で構成されている。
【0044】
前述のように、インターフェース(I/F)52によってCMYK値に変換された画像データは、更にインターフェース(I/F)52からマゼンタ(M)、シアン(C)、イエロー(Y)、ブラック(K)の画素データとして論理和回路62に出力される。ここで、論理和回路62はCMYKの論理和を計算し、光書込ヘッド22に出力する。
【0045】
すなわち、CMYKの全ての画素データを含む論理和のデータを光書込ヘッド22に出力し、前述の感光体ドラム21に光書込みを行う。したがって、前述の感光体ドラム21の周面にはCMYKの全ての画素データを含む論理和データに基づく静電潜像が形成される。尚、主走査/副走査制御回路60から論理和回路62に主走査制御信号、及び副走査制御信号が供給され、光書込ヘッド22に論理和データを供給する際、主走査方向制御及び副走査方向制御に使用される。
【0046】
また、CMYKの画素データは対応するマゼンタ発色制御回路64M〜ブラック発色制御回路64Kにも供給され、発振回路63から出力される発振信号fm、fc、fy、fkに同期して超音波ラインヘッド24に出力される。すなわち、マゼンタ(M)、シアン(C)、イエロー(Y)、ブラック(K)のそれぞれに対応する発色データが超音波ラインヘッド24に供給され、前述の中間転写ベルト47上に吸着するカプセルトナーTに対応する周波数(後述する共振周波数)の超音波が照射される。したがって、照射される超音波に共振する波動を受けたカプセルトナーT内の小径マイクロカプセルは破壊され、発色する。この場合、マゼンタ発色制御回路64Mから出力される発色信号の周波数fが異なる為、超音波を受けたカプセルトナーTは、対応する色の小径マイクロカプセル47M、47C、47Y、47Kの小径カプセル壁48のみが破壊される。このメカニズムは、小径マイクロカプセル47M、47C、47Y、47Kの外殻径がそれぞれ異なり、破壊する共振周波数が小径マイクロカプセル47M、47C、47Y、47Kによって異なる為である。
【0047】
例えば、マゼンタ発色制御回路64Mから出力された発色信号fmはカプセルトナーT内の小径マイクロカプセル47Mの小径カプセル壁48のみを破壊し、マゼンタ(M)色の発色を行う。また、シアン発色制御回路64Cから出力された発色信号fcは小径マイクロカプセル47Cの小径カプセル壁48のみを破壊し、シアン(C)色の発色を行う。さらに、イエロー(Y)及びブラック(K)についても同様であり、イエロー発色制御回路64Y、ブラック発色制御回路64Kから出力される発色信号fy、fkは、小径カプセル47Y又は47Kの小径カプセル壁48のみを破壊し、イエロー(Y)、又はブラック(K)の発色を行う。
【0048】
以上の構成において、以下に本例の処理動作を説明する。
先ず、カプセルトナーホッパ23内にカプセルトナーTが収納された状態において、感光体ドラム21が回転し、前述の制御部(制御回路)33から光書込み信号が光書込ヘッド22に供給されると、感光体ドラム21に対して前述の論理和データに基づく光書込みが行われる。感光体ドラム21の感光面には帯電ローラ34によって予め一様な電荷が付与され、光書込みが行われた感光面には静電潜像が形成されている。この静電潜像は前述のように論理和データに基づく、M、C、Y、K全ての画像データをオア加算したものであり、この静電潜像はカプセルトナー現像ローラ35によって現像される。
【0049】
図7は、上記の現像処理、及び以後の処理を模式的に示す図である。カプセルトナーホッパ23に収容されたカプセルトナーTは、前述の攪拌部材38によって攪拌され、前述のように摩擦帯電によりマイナス(−)の電荷が付与されている。また、カプセルトナー現像ローラ35には所定のバイアス電圧が印加され、カプセルトナーTはカプセルトナー現像ローラ35の周面に薄く静電付着している。この状態において、感光体ドラム21とカプセルトナー現像ローラ35は互いに摺擦し、カプセルトナー現像ローラ35に付着していたカプセルトナーTは静電潜像が形成されていた感光面に静電付着する。
【0050】
このようにして感光面に静電付着したカプセルトナーTは、感光体ドラム21の回転に従って転写部に運ばれ、転写ローラ36によって中間転写ベルト41に転写される。この場合、転写ローラ36に+(プラス)のバイアス電圧を印加することによって、マイナス(−)のカプセルトナーTは中間転写ベルト41に電界付着する。その後、中間転写ベルト41に付着したカプセルトナーTは、発色部に配置されている超音波ラインヘッド24によって超音波照射を受け、選択的に発色する。
【0051】
図8(a),(b),(c) は、上記のカプセルトナーTが超音波ラインヘッド24によって超音波照射を受けて選択的に発色する原理を説明する図である。
図8(a) は、上記の発色部においてカプセルトナーTが超音波照射を受けている状態を示す図である。ここで、矢印DはカプセルトナーTの層厚を示し、破線Sは超音波(収束超音波)を示し、矢印dは超音波の収束解像度(例えば、1画素)を示している。
【0052】
前述のように、カプセルトナーTは大径カプセル46内にマゼンタ(M)、シアン(C)、イエロー(Y)、ブラック(K)の4種類の小径マイクロカプセル47M、47C、47Y、47Kが内包されており、共振周波数の超音波を受けた小径マイクロカプセルの小径カプセル壁48が破壊され、内部の発色剤50が顕色剤51と混合して反応し、発色する。
【0053】
例えば、同図(b) は、超音波ラインヘッド24から単一の共振周波数の超音波SがカプセルトナーTに照射されている状態を示している。この場合は、この共振周波数で振動する小径マイクロカプセルのみが破壊されて発色する。また、同図(c) は超音波ラインヘッド24から2つの共振周波数の超音波S1、S2がカプセルトナーTに照射される状態を示している。この場合は、これらの共振周波数S1、又はS2で振動する小径カプセルが破壊されてそれぞれ発色する。
【0054】
例えば、小径マイクロカプセル47Mの小径カプセル壁48のみが破壊されると、マゼンタ(M)色が発色する。また、小径マイクロカプセル47Cの小径マイクロカプセル壁48のみが破壊されるとシアン(C)色が発色する。また、小径マイクロカプセル47Mの小径カプセル壁48と小径マイクロカプセル47Cの小径カプセル壁48が破壊されると、赤色が発色し、小径マイクロカプセル47Cの小径カプセル壁48と小径マイクロカプセル47Yの小径カプセル壁48が破壊されると、青色が発色する。
【0055】
図9は、超音波ラインヘッド24によって超音波発振が行われる際のタイムチャートを示す図である。先ず、前述の主走査/副走査制御回路61から主走査同期信号が出力されると(図9に示す▲1▼のタイミング)、最初のストローブ信号(図9に示す(1))が供給され、この時超音波ラインヘッド24に供給されている画像データ(1)に従った超音波出力が行われる。最初は階調1のマゼンタ(M)の画像データに従った超音波出力が行われる(同図に示す▲2▼のタイミング)。次に、同様にして、シアン(C)、イエロー(Y)、ブラック(K)についても階調1の画像データに従った超音波出力が行われる(同図に示す▲3▼〜▲5▼のタイミング)。
【0056】
次に、階調2の画像データに従った超音波出力が行われ、マゼンタ(M)、シアン(C)、イエロー(Y)、ブラック(K)の画像データに従った超音波照射が前述のカプセルトナーTに対して行われる(同図に示す▲6▼〜▲9▼のタイミング)。以下、同様にして階調3、階調4についても、マゼンタ(M)、シアン(C)、イエロー(Y)、ブラック(K)の画像データに従った超音波出力がカプセルトナーTに対して行われる。
【0057】
このようにして超音波ラインヘッド24からの超音波照射を受け、印刷データに従って発色したカプセルトナーTは中間転写ベルト41に吸着されながら前述の転写部27(転写ローラ44)の位置まで移動し、記録紙Pに転写される。
その後、発色済みマイクロカプセルトナーは前述のように定着器28に送られ、熱定着処理が行われる。尚、定着器28は少なくとも熱ローラと圧接ローラとを備えている。定着器28は、熱ローラと圧接ローラとで記録紙Pを挟持搬送しながら熱と圧力で発色済みマイクロトナーを溶融し、記録紙Pに熱定着させる。
【0058】
以上のように、大径マイクロカプセル46内にマゼンタ(M)、シアン(C)、イエロー(Y)、ブラック(K)の4種類の小径マイクロカプセル47M、47C、47Y、47Kが内包されたカプセルトナーTを現像剤として使用し、印刷データに基づいて超音波ラインヘッド24から超音波を照射し、選択的に小径マイクロカプセル47M、47C、47Y、47Kの小径カプセル壁48を破壊し、内部の発色剤50と顕色剤51を反応させて発色し、記録紙Pにカラー画像を印刷することができる。
【0059】
したがって、上記のように構成することにより、従来のプリンタ装置に比べて装置を小型化することができ、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(B)の各色毎の印字位置の調整も不要になる。
また、カプセルトナーTの補給も、単一のカプセルトナーホッパ23に対して行えばよく、例えば使い捨てタイプの現像器ユニット(トナーユニット)を使用する場合には、1つのユニットのみの交換で済む。
【0060】
尚、上記の説明では、超音波ラインヘッド24を中間転写ベルト41を挟んでカプセルトナーTの付着面に対して反対面側に設置したが、超音波ラインヘッド24を配設する位置はこれに限るものではない。
図10(a),(b),(c) は、超音波ラインヘッド24の配設位置の種々の例を示す図である。同図(a) は超音波ラインヘッド24をカプセルトナーTの付着面側に配置する構成を示している。同図(b) は超音波ラインヘッド24を感光体ドラム21の感光面近傍に設け、カプセルトナーTが感光面に静電付着した状態で超音波照射を行うようにした構成を示している。そして、同図(c) は感光体ドラム21の内周に接する位置に超音波ラインヘッド24を設けた構成を示している。
【0061】
図11は、上記の超音波ラインヘッド24の外観斜視図である。同図に示す超音波ラインヘッド24は、その長手方向が主走査方向であり、短手方向が副走査方向である。そして主走査方向に後述する超音波素子が形成されている。以下、これについて具体的に説明する。
【0062】
図12(a) は、超音波ラインヘッド24の上面図であり、同図(b) は後述する個別印加電極の上面図、同図(c) は同図(b) のD−D´矢視断面図、同図(d) は同図(c) のE−E´矢視断面図である。本例で説明した超音波ラインヘッド24は、同図(c),(d) に示すように、担持体65内に5層の部材を積層して構成され、最下層(第5層)には共通電極層(アース層)66−5が配設され、第4層には圧電素子である超音波素子66−4が配設され、第3層には主走査方向に短冊状に並んだ個別印加電極層66−3が配設され、第2層には超音波素子66−4と超音波伝搬媒体との音響インピーダンスの差を軽減する為の音響インピーダンス整合層66−2が配設され、更に第1層には音響レンズ66−1が配設されている。
【0063】
超音波素子66−4には個別印加電極66−3と共通電極(アース)66−5が接続され、前述の超音波出力信号が供給される。超音波素子66−4は上記信号が印加されると歪みを生じ、所定の周波数で超音波振動が励起される。
超音波素子66−4で励起された超音波振動は音響インピーダンス整合層66−2を通して音響レンズ66−1で屈折され、指定位置(指定距離)に集束する。尚、音響インピーダンス整合層66−2は上記のように、超音波素子66−4と超音波伝搬媒体との音響インピーダンスの差を軽減する機能を有している。
【0064】
ここで、上記指定位置に画素サイズの超音波ビームを集束させる為には超音波素子66−4を微細なサイズに加工することが困難であることと前述の小径カプセル壁48を破壊する為に必要な音圧を1個の超音波素子66−4で得ることが困難であることから、主走査方向及び副走査方向に複数からなる超音波素子66−4の超音波ビームを集束させることによって指定位置に画素サイズの超音波ビームを集束させるようにする。
【0065】
図13は主走査方向(X方向)に配設された超音波素子66−4と、超音波素子66−4から出力される超音波の集束位置の関係を示す図である。尚、同図において説明上、超音波素子66−4には紙面の左側から素子番号1、2、3、・・・が付与されている。また、同図に示す集束位置には、画素番号(例えば、1〜7168)が付与されている。尚、上記集束位置は、例えば図7の中間転写ベルト41上にカプセルトナーTが静電付着してベルト裏面から超音波ラインヘッド24が対峙している位置である。また、この位置は、図10(a),(b),(c) において静電付着したカプセルトナーTが超音波ラインヘッド24と対峙する位置であり、さらには、カプセルトナーTが静電付着した記録紙P上の位置の場合もある。
【0066】
図14は、上記超音波素子66−4の配設構成の一部を拡大して示す図であり、例えば超音波素子「1」〜「6」までを拡大して示している。互いに隣り合う超音波素子66−4は間隔dを有して配設されており、同時にm個(例えば6個)の超音波素子66−4を時間遅延させながら駆動する。例えば、同図に示すA点について考えると、同時にm個(例えば6個)の超音波素子66−4を時間遅延させて6個の超音波素子66−4の中心(A点)に強力な超音波をあてる。例えば、「1」の超音波素子66−4とA点の距離、「2」の超音波素子66−4とA点の距離、「3」の超音波素子66−4とA点の距離は少しづつ異なり、この距離差と超音波の伝搬速度から各超音波素子66−4の出力タイミングをずらし、所定のタイミングで超音波出力を行う。このように制御することにより、同時にA点に強力な超音波を照射することができる。
【0067】
また、上記A点に限らず超音波素子66−4からの超音波出力のタイミングを調整することによって、超音波素子66−4の配設ピッチより狭い位置(例えば、1/2dの位置、B点)に複数の超音波素子66−4から出力された超音波ビームを集束させることもできる。したがって、例えば1画素間隔で(ピッチdで)超音波ビームの集束位置を主走査方向にずらして制御することによって、1画素間隔で前述のカプセルトナーTに対して強力な超音波ビームを集束することができ、小径カプセル壁48を破壊して所望の色の発色を1画素間隔で行うことができる。
【0068】
尚、本例ではマゼンタ(M)、シアン(C)、イエロー(Y)、ブラック(K)の4色の小径マイクロカプセル47M、47C、47Y、47Kを使用するので、上記構成の超音波ラインヘッド24は各色毎に必要になる。
また、副走査方向については、上記音響レンズ66−1の屈折を利用して超音波ビームの集束サイズを小さくすることができる。したがって、副走査方向に集束画素サイズを小さく構成することによって、より解像度の高い画像を形成することが可能となる。例えば、画素サイズを1/4とすることによって超音波ビームを1画素に対して4回供給することができ、4階調の色制御が可能となる。
【0069】
このような4階調の色制御は、図9のタイムチャートで説明したものであり、この4階調制御は、上記構成の超音波ラインヘッド24を使用することによって可能となる。尚、階調制御は、4階調制御に限る必要はなく、特には図示しないが、例えば2階調制御や8階調制御等の他の階調制御を行う構成とすることもできる。
【0070】
尚、上述の説明では乾燥現像として説明しているが、液体現像としても良いことは勿論である。
いずれにしても、所定の刺激により画像情報に応じた所望の色を発色する大径マイクロカプセルから成るトナー粒子を用いる構成とその処理方法により、1ショットで画像の現像・転写を行う小型で軽量な構成の多色画像形成装置を提供することが可能となる。
【0071】
図15は、カプセルトナーTの上記とはやや異なる構成を示す図である。本例のカプセルトナーTの構成においては、今まで説明したカプセルトナーTの構成と基本的に同じであるが、本例では、顕色剤51がいままでのように各小径マイクロカプセル47M、47C、47Y、47Kの周面に位置するのではなく、図15に示すように、保持層49内に混入されている。このように構成することにより、カプセルトナーTの製造を簡単にすることができる。
【0072】
尚、この場合大径マイクロカプセル46の直径、及び小径マイクロカプセル47M、47C、47Y、47Kの直径は前述の第1の実施例と同じであり、小径マイクロカプセル47M、47C、47Y、47Kはそれぞれその直径と、小径カプセル壁48の厚さ、材質又は径の大きさによって共振周波数の設定は各小径マイクロカプセル47M、47C、47Y、47K毎に可能であり、選択的に小径マイクロカプセル47M、47C、47Y、47Kを破壊して、画像データに従った発色を行うことができる。
【0073】
図16は、カプセルトナーTの上記とは更に異なる構成を示す図である。本例は小径マイクロカプセル47M、47C、47Y、47Kの構成は、図16に示すように、小径マイクロカプセル(例えば、小径マイクロカプセル47M)は、小径カプセル壁48の内側に発色剤50が内包され、外側に顕色剤51が位置する。さらに、小径カプセル壁48の内部には、殻68に内包された気泡69が封入されている。
【0074】
この気泡69を上記のように内包すると、気泡69周囲の音響インピーダンスを変化させることができる。具体的には、気泡69の直径と気泡69を包む殻68の材質と厚さによって音響インピーダンスは変化し、上記要素を組み合わすことによって、共振周波数を可変することができる。
【0075】
例えば、気泡69を内包する場合、前述の小径カプセル壁48の直径、厚さ、材質によって設定された共振周波数は、気泡69の半径や殻68の材質と厚さによって大きく左右される。したがって、例えば小径マイクロカプセル47M、47C、47Y、47K毎に気泡69のサイズ半径等を変えることによって、共振周波数を大きく変えることができる。
【0076】
このように構成することにより、小径マイクロカプセル47M、47C、47Y、47Kの発色の自由度が増し、共振周波数の選択の幅も拡大することになる。
尚、上記気泡69を内包する小径カプセルはマゼンダ(M)、シアン(C)、イエロー(Y)、ブラック(K)全てにおいて可能であり、3種類の小径カプセル47M、47C、47Yを使用する場合、又は2種類の小径カプセル47Mと47C、47Yと47Kを使用する場合においても適用可能である。
【0077】
また、図16に示す小径マイクロカプセル47M、47C、47Y、47Kの例では気泡69に殻68が形成されているが、殻68を形成しない構成としてもよい。
上述した多色画像形成装置において、超音波を受けたカプセルトナーTは、受けた超音波に対応する色の小径マイクロカプセル47(47M、47C、47Y、47K)の小径カプセル壁48のみが破壊される。このメカニズムは、小径マイクロカプセル47の外殻径がそれぞれ異なり、破壊する共振周波数が小径マイクロカプセル47によって異なる為であることは前述した。すなわち小径マイクロカプセルの厚みや材質が同一である場合に直径が大きくなれば超音波の共振周波数は低い方向に移行し、小径カプセル壁48の厚さが厚くなれば共振周波数は高い方向に移行することは前述した。
【0078】
したがって、大径マイクロカプセル内の各色毎の小径マイクロカプセルの個数を同数にした場合、径が同一であれば体積も同一であるから各色同様の濃度が得られるが、各色毎の小径マイクロカプセルの厚みや材質が同一である場合に径も同一であると、1種類の破壊共振周波数で全ての色が発色してしまうから、それぞれ径を異ならせて、その異なる径に対応する破壊共振周波数で所望の色を個別に発色させるようにしなければならない。
【0079】
その場合、径が異なる小径マイクロカプセルの各色の個数が同数であると色毎に濃度に差が生じる。そうすると、発色させる色ごとに濃度差を補正するためのソフト上の制御が必要になってくる。これでは面倒であるので、大径マイクロカプセル内の各色毎の小径マイクロカプセルの径を異ならせた上で且つ濃度が同一になるようにする必要がある。
【0080】
そして、その場合、大径マイクロカプセル内全体としては、各色の濃度を確保するために発色剤の量を増やそうとすれば顕色剤の量が減り、顕色剤の充分な量を確保しようとすると発色剤の量が減少してしまうという問題がある。したがって、本例では、大径マイクロカプセル内の小径マイクロカプセル毎の適正な個数を設定して発色剤の量が各色一定になるようにする。
<第2の実施の形態>
ここで、本発明における小径マイクロカプセル47の小径カプセル壁48を破壊するために使用する超音波について説明する。前述のようにカプセルトナーTを発色させる際、小径マイクロカプセル47M、47C、47Y、47K内の小径カプセル壁48を超音波で破壊する。この場合、特定の共振周波数の超音波を照射し、小径カプセル壁48を伸張、膨張を複数回繰り返すことによって亀裂を生じさせ、最終的に破壊に導くものである。
【0081】
先ず、図16に示した気泡69を内包する小径マイクロカプセル47のような液体中の含気カプセルには以下の特徴がある。すなわち、含気カプセルを特定条件におくことによって、非常に大きな振動を起こす。今、含気カプセルの初期半径をRo、液体の密度をρ、平衡時の液体圧力をPo 、超音波による圧力をPa、カプセルのシェルパラメータをSp、カプセル内気圧をPwとした時、そのカプセルの半径(Rt)の運動状態は、以下の式(1)、(2)で表現される。
【0082】
【数1】
【0083】
上記式(1)、(2)、及び各種実験により、選択的に共振する周波数を3種、又は4種選択することによって本実施形態を実現する。
また、共振周波数は以下の式によって計算される。
*気泡カプセルのシェルの無いときの共振周波数 fR
fR=1/(2π)・(4kP/ρ)1/2 k:気体の比熱定数
*シェル付の気泡カプセルの共振周波数 fshell
f2 shell=f2 R+(2/π)・(Sp/m)
m=4πR3ρ
図17は、気泡半径別振幅と周波数依存性を示す図であり、上記式(1)において、小径マイクロカプセル47M、47C、47Yのカプセル半径の変化率をカプセル毎に異ならせた時の共振周波数を表したものである。例えば、マゼンダ(M)の小径マイクロカプセル47Mの初期半径をRyとし、シアン(C)の初期半径をRcとし、イエロー(Y)の小径マイクロカプセル47Yの初期半径をRyとした時、それぞれのカプセルの周波数依存性を示す。尚、同図の縦軸はカプセルの振幅(ΔR/Ro)を示す。
【0084】
上記設定による実験を多数回繰り返すことによって、最大振幅が50%以上膨張すると小径カプセル壁48に亀裂が生じることが確認された。したがって、同図に示すように、膨張率が60%を超える周波数(共振周波数)を持つ超音波を照射することによって小径カプセル壁48を破壊し、発色剤50と顕色剤51を混合反応させて、発色させることができる。
【0085】
尚、図17では小径マイクロカプセル47Mに照射する共振周波数を47f−mで示し、小径マイクロカプセル47Cに照射する共振周波数を47f−cで示し、小径マイクロカプセル47Yに照射する共振周波数を47f−yで示している。例えば、図8(b) に示した単一の共振周波数の超音波Sを47f−cとすれば、マイクロカプセルTは小径マイクロカプセル47Cを破壊されてシアン色を発色する。また、図8(c) に示した2つの共振周波数の超音波S1、S2をそれぞれ47f−m、47f−yとすれば、マイクロカプセルTは小径マイクロカプセル47Mと47Yを破壊されてオレンジ色を発色する。
【0086】
図18は、大径マイクロカプセル内に小径マイクロカプセル47M、47C、47Yと更にブラック(K)の小径マイクロカプセル47Kを含む場合の特性を示す図である。この場合、図17から分かるように、上記3種の共振周波数と異なる共振周波数47f−kの設定を行い、ブラック(K)を加えた4種の小径マイクロカプセル47M、47C、47Y、47Kを選択的に破壊することができる。
【0087】
図19は、上記の超音波照射によって小径マイクロカプセル47M、47C、47Y、47Kが振動する状態を示す図であり、横軸は時間軸を示している。入力した超音波は前述の式(1)に示すように、振動する粗密波として小径カプセル壁43に出力され、その周期に対応して小径カプセル壁48の外径が変動し、伸縮と膨張を繰り返す。
【0088】
同図に示すように、入力する超音波の影響は順次大きくなり、第1波より直ちに最大振幅になるのではなく、数波の入力によって最大振幅に達する。したがって、最適かつ効果的な振動を得る為、各小径カプセル壁48には少なくとも数波が必要であり、多くの実験から4〜6波の照射によって最大振幅に達することが分かった。そこで、本実施形態では各小径マイクロカプセル47M、47C、47Y、47Kに対する超音波照射は少なくとも上記波数分供給される。
【0089】
さらに、図19からも判るように、共振周波数Rt−1 又はRt−0.5 の場合と、非共振周波数Rt−2 では振動レベルが極端に異なる。したがって、各小径マイクロカプセル47(47M、47C、47Y、又は47K)に対応する共振周波数を照射することによる、他の小径マイクロカプセル47(47M、47C、47Y、又は47K)に与える影響は極めて小さく、ターゲットとなる小径マイクロカプセル47M、47C、47Y、又は47Kに短時間共振周波数を与えることによって、選択的に効率よくターゲットとなる小径カプセルを破壊することができる。
【0090】
図20は、超音波照射の為の出力パルスを示す図である。上記説明の如く単発の出力ではなく、効果的に小径カプセル壁48を破壊する為、例えば画素単位当たり数波(同図の例では4波)の超音波照射を行う。
ここで、上記の共振周波数について更に説明する。一般に、超音波に対する小径マイクロカプセルの散乱係数は、入射音圧に依存する強い非線形を持つため、その反射波に高調波が含まれることが知られている。高調波は一般に送信周波数fo の整数倍のものを指すが、反射波に現れる成分は、上記の非線形性のため、通常の整数倍の高調波(2fo 、3fo ・・・)のほかに、非整数倍で送信周波数fo よりも大きいもの(3fo /2、5fo /2)や、小さいもの(fo /2、fo /3、・・・)も存在する。送信周波数fo よりも大きいものはウルトラハーモニクス(ultraharmonics)、小さいものはサブハーモニクス(subharmonics)と呼ばれている。
【0091】
図21は、上記のような反射波信号からフィルタ等で高調波成分のみを抽出して映像化したハーモニックイメージングを示す図である。同図に示すように、送信周波数(Fundamental)fo の超音波が矢印71で示すように入射し、マイクロカプセル72に照射されると、その反射波73の各種成分として、高調波(Higher harmonics)2fo 、3fo 、・・・、サブハーモニクス(subharmonics)fo /2、fo /3、・・・、及びウルトラハーモニクス(ultraharmonics)3fo /2、5fo /2、・・・が発生して散乱する。
【0092】
これらに関する各種の報告では、外部より周波数fo の超音波が上記のように小径マイクロカプセルに照射されると、サブハーモニクスfo /2が特に小径マイクロカプセルの振動に寄与して発生するものとされている。したがって、以下、サブハーモニクスについて考察する。
【0093】
図22は、基本波(fo )の各成分に対する強度比を示す図であり、各駆動周波数fo 、2fo で駆動照射したときの、セカンドハーモニクス(低周波でレベルが大きい第2高調波の呼称)及びサブハーモニクスのそれぞれの強度比を示している。尚、同図は横軸に照射音圧を示し、縦軸に強度比を示している。また、同図に示すfr は小径マイクロカプセルの固有共振周波数を示している。
【0094】
同図に示されるように、送信パルスの周波数fo と小径マイクロカプセルの共振周波数fr との関係でいうと、通常はfo をfr に近くすることで、共振により基本周波数(照射周波数)と共に第2高調波での散乱が増大する。他方、サブハーモニクスの場合、サブハーモニクスの周波数fo が小径マイクロカプセルの共振周波数fr の2倍に一致するfo =2frに選んだとき、最も小さな照射音圧で、サブハーモニクスが生じる。この場合、第2高調波はむしろ小さくなる。また、照射音圧でみると、第2高調波については、照射音圧を変えてもほとんど変わらないが、サブハーモニクスの方は、照射音圧がある程度以上になると急激に増大し、第2高調波を凌ぐことが示されている。
【0095】
このように、最大の反射強度(=最大の振動発生)の発生は、駆動周波数2fo で照射したときのサブハーモニクスfo が、丁度小径マイクロカプセルの固有共振周波数fr に一致したときであることが判明する。
したがって、外部照射超音波による上記小径マイクロカプセルの振動から惹起されるサブハーモニクス周波数を、小径マイクロカプセルのもつ固有共振周波数と一致させるべく外部照射超音波の周波数をカプセル固有共振周波数の略2倍の周波数で照射することにより、▲1▼照射超音波発生装置(例えば超音波ラインヘッド24)より照射される超音波エネルギーを最小レベルで行なうことができる。▲2▼より高い周波数にて照射することにより超音波の収束が従来より半分の最小径まで実現でき、高解像度な画像再現が可能となる、という結論が得られる。
【0096】
ところで、上述した本発明の多色画像形成装置は、図1、図2、図7、及び図10(a),(b),(c) に示すように、光書込ヘッド22と超音波ラインヘッド24の二つの長尺ヘッドを用いて発色処理を行っている。このように二つの長尺ヘッドを用いた場合、二つのヘッド間に往々にして位置ずれが発生する。いずれも多色画像形成装置本体に固定配置されているヘッドであるから、上記のように位置ずれが発生している場合は、その位置ずれをソフト的に制御によって補正するために、その位置ずれを正確に検出する必要がある。以下その位置ずれの検出方法を第3の実施の形態として説明する。
<第3の実施の形態>
図23(a),(b) は、第3の実施の形態としての多色画像形成装置における画像形成部の構成を2例示す図である。尚、同図(a),(b) には、図1と同一構成部分には図1と同一の番号を付与して示している。
【0097】
また、図23(a) は、図10(a) において中間転写ベルト41に代えて中間転写ローラ74を配置し、この中間転写ローラ74の周表面に近接し超音波ラインヘッド24の下流側に発色位置検知センサ75を配設した構成を示し、図23(b) は中間転写部を除いて感光体ドラム21から直接用紙Pに発色トナー像を転写する構成で、感光体ドラム21の周表面に近接し超音波ラインヘッド24の下流側に発色位置検知センサ75を配設した構成を示している。
【0098】
図24(a) 〜(e) は、上記の構成において、超音波ラインヘッド24の副走査方向の位置を基準位置として、この基準位置から光書込ヘッド22の副走査方向への位置ずれを検出する方法を説明する図である。この位置ずれの検出は、中間転写ローラ74(図23(a) の場合)又は感光体ドラム21(図23(b) の場合)の周面上におけるカプセルトナーTの発色を発色位置検知センサ75によって検出することによって行われる。尚、図24(a) 〜(e) に示す太い白の矢印は中間転写ローラ74又は感光体ドラム21の回転方向を示している。
【0099】
図24(a) に示すように、転写体(中間転写ローラ74又は感光体ドラム21、以下同様)の上に、光書込ヘッド22により、予め基準位置として定められている副走査方向の画素位置で主走査方向に、つまり主走査方向基準線76の上に、少なくとも発色位置検知センサ75で検知可能な所定の範囲78(同図(b) 参照)を含む範囲で、1画素ライン22−1の光書き込みを行う。
【0100】
そして、この上にカプセルトナー現像ローラ35により発色前トナー(カプセルトナーT)を現像する。尚、以下、この光書込ヘッド22による静電潜像上にカプセルトナー現像ローラ35によって発色前のカプセルトナーを配置する現像処理を、カプセルトナー現像ローラ35の処理動作については説明を省略し、単に光書込ヘッド22による「配置現像」又は「発色前の配置現像」ということにする。
【0101】
上記の配置現像において、光書込ヘッド22の位置に狂いがなければ、上記の少なくとも所定の範囲78を含む範囲において、発色前トナーは基準線76と同じ1画素ライン22−1の上に沿って横一文字に配置される。
次に、図24(b) に示すように、超音波ラインヘッド24により、予め基準位置として定められている主走査方向の画素位置で副走査方向に、つまり副走査方向基準線77の上に、上記少なくとも所定の範囲78を含む範囲において縦一本の1画素ライン24−1の発色現像を行う。これにより、発色位置検知センサ75の視野内において、発色前トナーの1画素ライン22−1と発色現像の1画素ライン24−1の交点が発色する。
【0102】
すなわち、超音波ラインヘッド24に対する光書込ヘッド22の位置に狂いがなければ、主走査方向基準線76と副走査方向基準線77との交点が発色する。制御部33のCPU54は、この交点の位置を基準点79として予め記憶している。したがって、制御部33のCPU54は、発色位置検知センサ75が図24(b) の基準点79の発色を検出したことにより、光書込ヘッド22と超音波ラインヘッド24の位置に、ずれが無いことを認識することができる。
【0103】
もし、光書込ヘッド22に位置ずれがあると、例えば転写体の回転方向に距離y1の位置ずれがあると、予め基準位置として定められている副走査方向の画素位置のタイミングで主走査方向に1画素ラインの光書き込みを行っても、図24(c) に示すように、主走査方向基準線76に対して、転写体の回転方向下流側に距離y1だけずれた主走査位置76´に発色前トナーの1画素ライン22−2が横一文字に配置される。
【0104】
この後、超音波ラインヘッド24により、図24(d) に示すように、副走査方向基準線77に対し縦一本の1画素ライン24−1の発色現像が行われる。この場合は上記のように光書込ヘッド22に距離y1の位置ずれがあるために、主走査方向基準線76と副走査方向基準線77との交点である基準点79ではなく、この基準点79から距離y1だけ副走査方向にずれた主走査位置76´の1画素ライン22−2と副走査方向基準線77上の1画素ライン24−1との交点が発色する。
【0105】
この発色点を発色位置検知センサ75が検出することにより、制御部33のCPU54は、基準点79から距離y1だけ光書込ヘッド22が位置ずれしていることを認識することができる。この認識に基づいて、実際の印字処理において光書込ヘッド22の光書込タイミング又は超音波ラインヘッド24の超音波照射タイミングを距離y1に対応する分だけずらして行う補正をすることにより、画像データに応じた正しい印字を行うことができる。
【0106】
また、この場合、図24(e) に示すように、超音波ラインヘッド24において副走査方向基準線77に対して主走査方向へ距離x1の位置ずれがあった場合でも、超音波ラインヘッド24による発色現像24−2は、距離x1の位置ずれした副走査位置77´に沿って縦一線に行われるから、この副走査位置77´と距離y1だけずれた主走査位置76´との交点が発色する。制御部33のCPU54は、基準点79からの発色点のずれ量のうちy方向成分の距離y1により、この場合も光書込ヘッド22の距離y1の位置ずれを認識することができる。
【0107】
図25(a) 〜(e) は、同じく図23(a) 又は同図(b) に示す構成において、超音波ラインヘッド24の主走査方向の位置を基準位置として、この基準位置から光書込ヘッド22の主走査方向への位置ずれを検出する方法を説明する図である。この位置ずれの検出も、中間転写ローラ74(図23(a) の場合)又は感光体ドラム21(図23(b) の場合)の周面上におけるカプセルトナーTの発色を発色位置検知センサ75によって検出することによって行われる。尚、図25(a) 〜(e) に示す太い白の矢印は中間転写ローラ74又は感光体ドラム21の回転方向を示している。
【0108】
図25(a) に示すように、転写体の上に、光書込ヘッド22により、予め基準位置として定められている主走査方向の画素位置で副走査方向に、つまり副走査方向基準線81の上に、少なくとも発色位置検知センサ75で検知可能な所定の範囲78(同図(b) 参照)を含む範囲で、1画素ライン22−3の配置現像を行う。
【0109】
光書込ヘッド22の位置に狂いがなければ、上記少なくとも所定の範囲78を含む範囲において、発色前トナーは基準線81と同じ1画素ライン22−3の上に沿って縦一線に配置される。
次に、図25(b) に示すように、超音波ラインヘッド24により、予め基準位置として定められている副走査方向の画素位置で主走査方向に、つまり主走査方向基準線82の上に、上記少なくとも所定の範囲78を含む範囲において横一本の1画素ライン24−3の発色現像を行う。これにより、発色位置検知センサ75の視野内において、発色前トナーの1画素ライン22−3と発色現像の1画素ライン24−3の交点が発色する。
【0110】
すなわち副走査方向基準線81と主走査方向基準線82との交点が発色する。制御部33のCPU54は、この場合もこの交点の位置を基準点79として予め記憶している。したがって、制御部33のCPU54は、発色位置検知センサ75が図25(b) の基準点79の発色を検出したことにより、光書込ヘッド22が超音波ラインヘッド24に対して位置ずれが無いことを認識することができる。
【0111】
もし、光書込ヘッド22に位置ずれがあると、例えば転写体の副走査方向に距離x2の位置ずれがあると、予め基準位置として定められている主走査方向の画素位置のタイミングで副走査方向に1画素ラインの光書き込みを行っても、図25(c) に示すように、副走査方向基準線81に対して、転写体の副走査方向に距離x2だけずれた副走査位置78´に発色前トナーの1画素ライン22−4が縦一線に配置される。
【0112】
この後、超音波ラインヘッド24により、図25(d) に示すように、主走査方向基準線82に対し横一本の1画素ライン24−3の発色現像が行われる。この場合は上記のように光書込ヘッド22に距離x2の位置ずれがあるために、副走査方向基準線79と主走査方向基準線81との交点である基準点79ではなく、この基準点79から距離x2だけ主走査方向にずれた副走査位置78´の1画素ライン22−4と主走査方向基準線82上の1画素ライン24−3との交点が発色する。
【0113】
この発色点を発色位置検知センサ75が検出することにより、制御部33のCPU54は、基準点79から距離x2だけ光書込ヘッド22が位置ずれしていることを認識することができる。この認識に基づいて、実際の印字処理において光書込ヘッド22の光書込タイミング又は超音波ラインヘッド24の超音波照射タイミングを距離x2に対応する分だけずらして行う補正をすることにより、画像データに応じた正しい印字を行うことができる。
【0114】
また、この場合、図25(e) に示すように、超音波ラインヘッド24において主走査方向基準線82に対して副走査方向へ距離y2の位置ずれがあった場合でも、超音波ラインヘッド24による発色現像24−4は、距離y2の位置ずれした主走査位置79´に沿って横一線に行われるから、この主走査位置79´と距離x2だけずれた副走査位置78´との交点が発色する。制御部33のCPU54は、基準点79からの発色点のずれ量のうちx方向成分の距離x2により、この場合も光書込ヘッド22の距離x2の位置ずれを認識することができる。
【0115】
図26(a) 〜(d) は、同じく図23(a) 又は同図(b) に示す構成において、超音波ラインヘッド24の位置を基準位置として、この基準位置から光書込ヘッド22の主走査方向における傾きの位置ずれを検出する方法を説明する図である。この位置ずれの検出も、中間転写ローラ74(図23(a) の場合)又は感光体ドラム21(図23(b) の場合)の周面上におけるカプセルトナーTの発色を発色位置検知センサ75によって検出することによって行われる。尚、図26(a) 〜(d) に示す太い白の矢印は中間転写ローラ74又は感光体ドラム21の回転方向を示している。
【0116】
図26(a) に示すように、転写体の上に、光書込ヘッド22により、少なくとも発色位置検知センサ75で検知可能な所定の範囲83(同図(b) 参照)を含む範囲で、主走査方向に1画素ライン84の発色前の配置現像を行う。そして、この発色前の配置現像の1画素ライン84に対して、図26(b) に示すように、少なくとも検知センサ75で検知可能な所定の範囲83を含む範囲で、超音波ラインヘッド24により主走査方向の所定の2箇所のそれぞれの位置における副走査方向の1画素ライン85−1及び85−2の超音波照射(発色現像)を行う。
【0117】
これにより、発色位置検知センサ75の視野内において、発色前トナーの配置現像の1画素ライン84と発色現像の1画素ライン85−1及び85−2の交点が発色する。光書込ヘッド22が超音波ラインヘッド24に対して傾きの位置ずれが無いときは、上記の発色は制御部33のCPU54において予め記憶している2つの基準点86−1及び86−2において発色する。
【0118】
したがって、制御部33のCPU54は、発色位置検知センサ75が図26(b) の基準点86−1及び86−2の発色を検出したことにより、光書込ヘッド22が超音波ラインヘッド24に対して傾きの位置ずれが無いことを認識することができる。
【0119】
もし、光書込ヘッド22に傾きの位置ずれがあると、例えば図26(c) に示すように、転写体の主走査方向に角度θの傾きがあると、予め基準位置として定められている主走査方向の画素位置のタイミングで副走査方向に1画素ラインの光書き込みを行っても、図26(d) に示すように、発色現像の1画素ライン85−1及び85−2による発光位置が、光書込ヘッド22の位置が正しいとしたときの主走査方向の配置現像の1画素ライン84に対して、発色現像1画素ライン85−1の発色位置86−1´に対する他の発色現像1画素ライン85−2の発色位置86−2´が上記の位置ずれした角度θ分だけ上にずれて発色する。
【0120】
制御部33のCPU54は、上記のずれた発色位置により、光書込ヘッド22の角度θの位置ずれを認識することができ、これにより、主走査方向の画素ごとのずれ量を演算し、この演算に基づいて、主走査方向の画素ごとの現像タイミング又は発色タイミングを補正して、画像データに対応する正しい画像を形成することができる。
【0121】
図27(a) 〜(d) は、同じく図23(a) 又は同図(b) に示す構成において、光書込ヘッド22の位置を基準位置として、この基準位置から超音波ラインヘッド24の主走査方向における傾きの位置ずれを検出する方法を説明する図である。この位置ずれの検出も、中間転写ローラ74(図23(a) の場合)又は感光体ドラム21(図23(b) の場合)の周面上におけるカプセルトナーTの発色を発色位置検知センサ75によって検出することによって行われる。尚、図27(a) 〜(d) に示す太い白の矢印は中間転写ローラ74又は感光体ドラム21の回転方向を示している。
【0122】
図27(a) に示すように、転写体の上に、光書込ヘッド22により、少なくとも発色位置検知センサ75で検知可能な所定の範囲83(同図(b) 参照)を含む範囲で、主走査方向の所定の2箇所のそれぞれの位置における副走査方向の1画素ライン87−1及び87−2の発色前の配置現像を行う。そして、この発色前配置現像の2本の1画素ライン87−1及び87−2に対して、図27(b) に示すように、同じく少なくとも検知センサ75で検知可能な所定の範囲83を含む範囲で、超音波ラインヘッド24により主走査方向に1画素ライン88の超音波照射(発色現像)を行う。
【0123】
これにより、発色位置検知センサ75の視野内において、上記副走査方向への発色前トナーの二本の配置現像1画素ライン87−1及び87−2と、上記主走査方向への発色現像1画素ライン88との交点が発色する。
超音波ラインヘッド24が光書込ヘッド22に対して傾きの位置ずれが無いときは、上記の発色は制御部33のCPU54において、この場合も予め記憶している2つの基準点86−1及び86−2において発色する。
【0124】
したがって、制御部33のCPU54は、発色位置検知センサ75が図26(b) の基準点86−1及び86−2の発色を検出したことにより、超音波ラインヘッド24が光書込ヘッド22に対して傾きの位置ずれが無いことを認識することができる。
【0125】
もし、超音波ラインヘッド24に傾きの位置ずれがあると、例えば図27(c) に示すように、転写体の主走査方向に角度δの傾きがあると、予め基準位置として定められている主走査方向の画素位置のタイミングで副走査方向に1画素ラインの発色現像を行っても、図27(d) に示すように、配置現像の1画素ライン87−1及び87−2に対する発光位置が、超音波ラインヘッド24の位置が正しいとしたときの主走査方向の1画素ライン88に対して、配置現像の1画素ライン87−1への発色位置86−1´に対する他の配置現像の1画素ライン87−2´への発色位置86−2´が上記の位置ずれした角度δ分だけ上にずれて発色する。
【0126】
制御部33のCPU54は、上記のずれた発色位置により、超音波ラインヘッド24の角度δの位置ずれを認識することができ、これにより、主走査方向の画素ごとのずれ量を演算し、この演算に基づいて、主走査方向の画素ごとの現像タイミング又は発色タイムングを補正して、画像データに対応する正しい画像を形成して印字品質の劣化を防止することができる。
【0127】
ところで、上述した実施の形態では、光書込ヘッド22と超音波ラインヘッド24相互間の位置ずれを、光書込ヘッド22とカプセルトナー現像ローラ35とによる配置現像と、その後の超音波ラインヘッド24による発色現像による発色位置を、発色位置検知センサ75で検出することによって制御部33で認識し、この認識に基づいて、位置ずれの補正が可能なように構成しているが、発色位置検知センサ75を用いることなく位置ずれを補正することもできる。
【0128】
これについて説明する前に、配置現像と発色現像の位置ずれによる印字品質の劣化について、いま少し考察してみることにする。
図28は、感光体ドラム21の感光面に形成された静電潜像“F”90を前述のカプセルトナー現像ローラ35によって配置現像し、更に超音波ラインヘッド24により超音波照射を行って発色現像して、記録紙Pに転写された画像“F”91を示している。
【0129】
図29(a),(b),(c) は、上記の記録紙Pに転写された画像“F”91と静電潜像“F”90とを比較する図である。同図(a) は静電潜像“F”90と発色現像“F”92を示しており、同図(b) は静電潜像“F”90と発色現像“F”92とが一致している場合の画像“F”91を示しており印字品質に劣化は生じていない。
【0130】
他方、同図(c) は静電潜像“F”90と発色現像“F”92にずれ(同図(c) に示す例では静電潜像“F”90に対して発色現像“F”92が図の下方にずれている)が生じている場合であり、このような印刷処理が行われると印字品質が劣化する。
【0131】
図30(a),(b),(c) は、上記のように静電潜像“F”90と発色現像“F”92に位置ずれがある場合の、その解消方法の一例を示す図である。この方法は、同図(a) に示すように、画像データに応じて超音波ラインヘッド24による超音波ビームの放射によって形成される発色現像“F”92に対して、これに対応して感光体ドラム21上に形成される静電潜像“F”90が、例えばX軸方向及びY軸方向の画素数(ドット数)を所定数多くなるように設定される。
【0132】
元来、工場における組み立て時において光書込ヘッド22と超音波ラインヘッド24との間には、極端に大きな位置ずれは無く例えば数ドット分程度のずれであるから、そのような組み立て技術上想定し得る範囲の位置ずれに対応できる程度にX軸方向及びY軸方向の画素数(ドット数)を多く設定しておけば、光書込ヘッド22との相互間の多少の位置ずれがあっても、同図に示すように、超音波ラインヘッド24による発色現像に対して光書込ヘッド22による配置現像が上下左右に余裕を持って広く形成されているので結果として照射された超音波ビームの通りに発色する。したがって、印字ずれは発生せず、印字品質を損なうことが無くなる。
【0133】
図30(b) は、光書込ヘッド22と超音波ラインヘッド24に印字位置ずれがない場合であり、余裕をもって形成された静電潜像“F”90の中ほどに発色現像“F”92(画像“F”91)が収まっている。これに対して同図(c) は、光書込ヘッド22に対して超音波ラインヘッド24がやや下方に位置ずれしている場合でも、その位置ずれが予め想定されていた所定の範囲内であるために印字ずれが調整された例を示している。
【0134】
上記は、予め想定される位置ずれ量に基づいて予め静電潜像を太らせて配置現像して発色現像を行うものであるが、位置ずれ量を正確に検出して、その検出した位置ずれ量に基づいて配置現像と発色現像を制御することもできる。以下、これについて、第4の実施の形態として説明する。
<第4の実施の形態>
図31は、第4の実施の形態における位置ずれ検出を行う制御部のブロック図である。同図に示す制御部94は、図5に示した印字制御部53内に組み込まれる。本例における制御部94は、図31に示すように、カプセル配置用制御部95、超音波照射/受波信号制御部96、受波信号比較部97、配置フィードバック補正値生成部98、及びカプセル発色用超音波制御部99により構成される。
【0135】
尚、本例においては、超音波ラインヘッド24の一部または全部に、受波用の機能を設ける。超音波ラインヘッド24の超音波素子(発振子)66−4自体は、送受の両機能をもっているので、これに受信用の回路機能を追加することで照射だけでなく受波用機能も持たせることは容易に実現可能である。尚、送受自体のしくみは医療用リニアトランスデューサと同様であるので説明は省略する。
【0136】
また、本例における多色画像形成装置の構成は、上記の制御部94が追加されている点及び超音波ラインヘッド24の超音波素子に送受の両機能を持たせる点を除いて図1及び図2に示した構成と同一である。上記制御部94による処理を以下に説明する。
(実施例1)
図32(a),(b) は、上記構成の制御部94の制御によって実行される処理を模式的に示す図であり、同図(c),(d),(e) は、超音波の発射波と受波について説明する図である。
【0137】
図33は、制御部94による処理動作を説明するフローチャートである。尚、以下の説明では、光書込ヘッド22を、カプセルトナー現像ローラ35が発色前のカプセルトナーTを感光体ドラム21上に現像する位置を実質的に決める(配置する)ヘッドという意味で「配置ヘッド22」といい、超音波ラインヘッド24を、上記感光体ドラム21上に配置されたカプセルトナーTを発色させるヘッドという意味で「発色ヘッド24」ということにする。
【0138】
図33において、先ず、決められたヘッド位置Aにマイクロカプセルを現像(配置)する(処理S01)。この処理は、カプセル配置用制御部95により、図32(a) に示すように、配置ヘッド22の所定の1ドットを基準点Aとして、この基準点AにマイクロカプセルTの群層を1ドット分形成(配置)する処理である。
【0139】
次に、この配置された1ドット分のマイクロカプセルTが、図32(b) に示すように発色ヘッド24の超音波照射位置に来たか否かを判別する(処理S02)。この処理は、図2で説明したように配置現像されたマイクロカプセルTが中間転写ベルト41の循環移動に伴って超音波ラインヘッド24の直下に到達したか否かのタイミングを知る処理と同一である。
【0140】
そして、上記1ドット分のマイクロカプセルTが、図32(b) に示すように発色ヘッド24の超音波照射位置に来たときには(処理S02がY)、超音波照射/受波信号制御部96は、発色ヘッド24を制御して、基準点Aの付近のN個の超音波素子66−4(図32(b) に示す例ではN=5として番号1、2,3,4,5で示す超音波素子66−4)により、順にそれぞれ単発で超音波Sを照射させ、その反射波を受波する(処理S03)。
【0141】
図32(c) の発射波形は、上記超音波の単発照射時の照射波形を示しており、図32(d) の波形0で示す波形は、上記の超音波の照射に対するマイクロカプセルTが無いときの受波信号による反射波形の例を示している。なお、波形0で示す波形は、常にこのように現れるわけではなく、実際は超音波素子、感光体ドラム、マイクロカプセルなどの構造により変化するが、同一の構造では波形は同一のものとなる。
【0142】
図32(b) の番号1と番号5の超音波素子66−4が単発照射しときは、真下にマイクロカプセルTが無いので、そのときの受波信号による反射波形は、同図(e) に示すように、同図(d) の波形と同一になる。
他方、マイクロカプセルTに近接又は直上の超音波素子66−4(図32(b) では番号2、3、4の超音波素子66−4)が単発照射しときは、つまりマイクロカプセルTが配置されていた場合は、マイクロカプセルTの影響により、超音波は反射屈折し、受信波形は、同図(e) に示すように、マイクロカプセルの無い場合の波形0とは異なったものになる。
【0143】
受波信号比較部97は、それらの受信波形をそれぞれ比較して、マイクロカプセルの無い場合の波形0との差を求める(処理04)。
そして、同図(e) に示すように、波形0との違いが最も大きい受信波形が現れる照射位置の超音波素子66−4が同図(b) の番号3の超音波素子66−4であることから、基準点Aが番号3(N=5の場合)の超音波素子66−4の位置にあると認識する(処理S05)。
【0144】
そして、基準点Aと番号3の超音波素子66−4の位置との差を求める(処理S06)。この処理は、発色ヘッド24の基準点位置の超音波素子66−4と番号3の超音波素子66−4との位置の違いを調べる処理である。
そして、発色ヘッド24の基準点位置の超音波素子66−4と番号3の超音波素子66−4との位置に差があるか否かを判別する(処理S07)。
【0145】
もし、番号3の超音波素子66−4の位置が、発色ヘッド24の基準点であれば(処理S07がN)、配置ヘッド22と発色ヘッド24とのずれ量は0であると判断する(処理S08)。
他方、番号3の超音波素子66−4の位置が発色ヘッド24の基準点でなければ(処理S07がY)、基準点の超音波素子66−4と番号3の超音波素子66−4との違いの量だけ、配置ヘッド22と発色ヘッド24の位置がずれていると判断する(処理S09)。
【0146】
このように、本例によれば、特別な位置検知用センサを用いることなく、発色用の超音波ラインヘッド24の超音波素子66−4自体を使用する安価な構成で位置ずれ量を自動で検出することができる。
(実施例2)
続いて、上記のように検出された位置ずれに対する補正方法を説明する。
【0147】
図34(a),(b) は、検出された位置ずれが1ドット単位で発生している場合の補正方法を示す図である。上述した位置ずれの検出で、例えば2ドットの位置ずれが検出されていたものとすると、図34(a) に示すように、配置ヘッド22により画像データに基づく配置位置G1に1ドット分の発色前のカプセルトナーTの群層(以下、カプセルトナーTd又は配置ドットTdという)を配置したとする。これに対して発色ヘッド24も同じく自己からみた画像データに基づく照射位置GA2に1ドット分の超音波を照射したのであるが、配置ヘッド22の配置位置G1と発色ヘッド24の照射位置G2の間に2ドット分の位置ずれがあるために、超音波照射後においてもカプセルトナーTdが発色しない状態を示している。
【0148】
この場合、上記の位置ずれを受波信号比較部97から受けて、配置フィードバック補正値生成部98は、図34(b) に示すように、配置ヘッド22の画像データに基づく配置位置G1を発色ヘッド24との位置ずれ方向へ2ドット移動させて新たな配置位置G1´として補正する。この補正を配置ヘッド22の画像データに対する全ての配置ドットに対して行う。
【0149】
この補正によって、図34(b) に示すように、補正された配置位置G1´に配置された1ドット分のカプセルトナーTdは、発色ヘッド24による照射位置G2への1ドット分の超音波の照射に反応し、発色したカプセルトナーTd´となって画像データに応じた正しい位置に発色する。
【0150】
尚、同図に示す例では位置ずれを2ドットとしたが、もちろん1ドット又は3ドット以上の場合も、補正のための移動位置を1ドット又は3ドット以上とすればよい。また、配置ヘッド22のドット配置位置を補正するのではなく、発色ヘッド24の超音波照射のドット位置を補正するようにしても、上記と同様の結果が得られる。
【0151】
このように、本例によれば、配置ヘッドと発色ヘッド間の1ドット単位の位置すれに対しては、配置ヘッドのカプセルトナー配置位置又は発色ヘッドの超音波照射位置のいずれかを、基準位置から位置ずれに対応したドット数だけずらすように補正して配置又は照射するように制御するので、配置ヘッドと発色ヘッド間に位置ずれがあっても、画像データに対応した正しい画像を形成することができる。
(実施例3)
図35(a),(b),(c) は、検出された位置ずれが最終的に0.5ドットで発生している場合の補正方法を説明する図である。尚、本例は、nドット+0.5ドットの位置ずれがある場合、上述した実施例2の方法によってnドットの補正が可能であり、最終的に0.5ドットの位置ずれが残されている場合の例である。
【0152】
上記のように配置ヘッド22に対して発色ヘッド24の位置が1ドット未満、例えば同図(a) のように右方へ0.5ドット位置ずれしているものとすると、このままでは、配置ヘッド22の配置位置G1に配置されたカプセルトナーTdは、発色ヘッド24による超音波照射後でも発色カプセルトナーTd´としては右0.5しか発色しない。
【0153】
そうかといって、図35(b) に示すように、配置ヘッド22の配置位置G1を1ドット右にずらして配置位置A1´にカプセルトナーTdを配置するようにしても、発色ヘッド24による超音波照射後の発色カプセルトナーTd´は今度は左0.5しか発色しない。
【0154】
このように、0.5ドットの位置ずれは、配置フィードバック補正値生成部98による配置位置(又は発色位置)の1ドット単位の補正処理では補正することが出来ない。このような場合、本例では、配置フィードバック補正値生成部98は、カプセル配置用制御部95に対し配置ヘッド22によるカプセルトナーTdの配置面積を、通常ドットの径の2倍の径になるように太らせて配置するように指示する。
【0155】
これにより、図35(c) に示すように、配置位置G1には通常の大きさのカプセルトナーTdに代わって、2倍の径のカプセルトナーT2dが配置される。これにより、発色ヘッド24による1ドット分の超音波の照射に対応して、1ドット分の大きさで発色したカプセルトナーTd´が形成される。
【0156】
もちろん、例えば2ドット+0.5ドット(一般的にはnドット+0.5ドット)のような位置ずれの場合でも、先ず実施例2の補正でnドットの補正を行って、これに実施例3の補正をプラスすることにより、容易に全体の補正を行うことができる。
【0157】
このように、本例によれば、実施例2による配置位置の補正や照射位置の補正では対応できない0.5ドットの位置ずれに対しても、配置ドットのカプセルトナーTdの配置量を、配置面積が通常の径の2倍の径になるように補正することによって、画像データに忠実な発色を行うことができるようになる。
(実施例4)
図36(a),(b) 及び図37(a),(b) は、上記の配置ヘッドと発色ヘッド間の位置ずれと、その位置ずれに対する上記の補正によって画像データの復元に欠損部分が発生しないようにする配置ヘッドと発色ヘッドの配置構成を説明する図である。
【0158】
図36(a) は、配置ヘッド22と発色ヘッド24の正しい相互の配置構成を示す図である。このように相互の配置構成が正しい場合は、同図(a) に示すように、必要な記録範囲として予め定められている範囲内において、配置ヘッド22の両端と発色ヘッド24の両端が揃っている。
【0159】
ところが、図36(b) に示すように、配置ヘッド22は必要な記録範囲内に両端が設定されているが、発色ヘッド24の方がnドット分だけ右方に位置ずれていると、実際の画像の記録範囲は、「必要な記録範囲」から「nドット」を引いた狭い範囲となって、用紙面に復元された画像データの右方に、主走査方向nドット分の欠損部分が発生する。本例では、このような欠損部分が発生せず、常に必要な記録範囲の記録が実現できる配置ヘッド22と発色ヘッド24の配置構成を採用する。
【0160】
図37(a),(b) は、常に必要な記録範囲の記録が実現できる配置ヘッド22と発色ヘッド24の配置構成を示す図である。同図(a) に示すように、発色ヘッド24は、必要な記録範囲にちょうど収まる長さで配設される。これに対して配置ヘッド22は、その両端が必要な記録範囲よりもnドット分だけ長く形成されて配設される。
【0161】
元来、工場における組み立て技術において光書込ヘッド22と超音波ラインヘッド24との間には極端に大きな位置ずれは生じることなく、あっても数ドット〜十数ドット分程度の位置ずれであることは前述した。そのような組み立て技術上想定し得る範囲の位置ずれに対応できる程度のnドット分だけ配置ヘッド22を長く構成して配置する。
【0162】
これにより、図37(b) に示すように、配置ヘッド22と発色ヘッド24の相対的位置関係が左右いずれの方向にずれた場合でも、その位置ずれ量が上記のnドット以内であれば、発色ヘッド24の端部の超音波照射位置には常にカプセルトナーTdが配置されることになるから、その位置ずれに対しては、容易にソフト制御により位置合わせが可能となる。また、発色ヘッド24は必要な記録範囲分の長さを有して形成されているから、常に所望の記録長を確保でき、これにより、用紙上に再生される画像に欠落が生じることはない。
【0163】
以上、配置ヘッド22と発色ヘッド24の位置ずれが1ドット単位の場合および最終的に0.5ドットの位置ずれがある場合の補正方法についてそれぞれ説明したが、これを敷衍して、次に、1ドット未満、つまりαドット(0<α<1)の位置ずれについての補正方法を説明する。まず、αドット(0<α<1)の位置ずれを検出する方法から説明する。
(実施例5)
図38(a) は、制御部94の制御によって実行されるαドット(0<α<1)の位置ずれを検出する処理を模式的に示す図であり、同図(b) は、その処理動作を説明するフローチャートである。
【0164】
同図(a) に示すように、先ず、配置ヘッド22により適宜の位置にカプセルトナーTdを配置する。そして、上記適宜の位置に対応する位置よりも数ドット手前(主走査方向上流側つまり図の左側)を1番目としてその1番目から例えば10番目までの10個の超音波素子66−4により、上記適宜の位置から手前側の位置aと適宜の位置から下った位置bまでの間を、収束照射により順次走査して、その収束照射の反射波を上記1番目から10番目までの超音波素子66−4で、又は一つ例えば5番目の超音波素子66−4で受波(受信)する。
【0165】
これを具体的には、同図(b) において、先ず、位置aに10個の超音波素子66−4により、超音波を収束照射する(処理S101)。この収束照射は図13及び図14で説明したと同様の方法で行われる。
そして、その収束照射の反射波を上記1番目から10番目までの超音波素子66−4で、又は一つ例えば5番目の超音波素子66−4で受波(受信)する(処理S102)。
【0166】
そして、その受信した波形をチェック(波形0と比較)して、その結果を照射位置と共に記憶する(処理S103)。
続いて、前回照射の位置+δの位置に超音波を上記同様に収束照射する(処理S104)。この処理では、走査の移動ステップ量の自由度は高く、最小補正単位(例えば1/5ドット)より細かく設定することが可能である。この走査に関しては間隔dで直線状に配置されたM本の振動子(受波機能を有する超音波素子66−4)のm番目を、
τsm=(m−1)dsinθ0 /c
の遅延時間をもった電気パルスで駆動すると、θ0 の角度方向に偏向される。距離F0 に収束させるには遅延時間τfmを(cは音速)
τfm={(m−0.5−M/2)d}2/(2F0 c)
とすることで可能であることは公知であり、また、発射超音波受信の際に発射時と同様に偏向が可能であることも公知である(超音波便覧P438,P439参照)。これにより、超音波素子に受信指向特性を持たせることが容易でありノイズに強い位置ずれの検出が可能となる。
【0167】
尚、超音波素子の駆動方法としては、上記の遅延時間制御のほかに位相制御の方法もあるが、これについては後述する。
いずれにしても、上記のように最初に位置aに収束超音波を発射し、受信は10個全部の超音波素子で又は中央付近の代表的な1個の超音波素子で行った後、これに続いて予め決めている走査移動単位δだけ移動した個所a+δに収束超音波を照射する。
【0168】
そして、上記位置a+δの位置への超音波の収束照射の後、1回目と同様の方法で、その反射波を上記1番目から10番目までの超音波素子66−4で、又は一つ例えば5番目の超音波素子66−4で受波(受信)する(処理S105)。
そして、その受信した波形をチェック(波形0と比較)して、その結果を照射位置と共に記憶する(処理S106)、ということを、a+nδ=bとなるまで繰り返す(nは位置a〜位置b間の走査移動単位δの数)。
【0169】
そして、a+nδ=bとなったならば、上記記憶したチェック波形とその位置により、波形0と最も違いの大きかった反射波を発信した位置を、カプセルトナーTdの在る位置と判断する(処理S107)。これにより、上記カプセルトナーTdが配置された適宜の位置と、この適宜の位置に対応すべき発色ヘッド24の超音波素子66−4との位置ずれ量が最小補正単位以下の範囲で正確に検知することができる。
(実施例6)
続いて、上記のような方法で又は何らかの方法で、配置ヘッド22と発色ヘッド24の間に、n+αドット(n=1,2,3,・・・で0<α<1)の範囲の位置ずれが判明したときに、更にα≦0.5であるか否かによって発色現像に対応する補正処理を変更して行う第1の方法について説明する。
【0170】
図39(a) は、0<α<1の範囲の位置ずれにおいてα≦0.5であるか否かによって補正方法を変える処理のフローチャートであり、図(b),(c) は予め検出されている0<α<1の範囲の位置ずれの状態を示す図、同図(d),(e) はそれらの補正方法を示す図である。
【0171】
同図(a) において、先ずα≦0.5(α≦1/2)であるか否かを判別する(処理S201)。この処理は、所望の配置位置0からの1ドット単位の位置ずれがnドット(同図(a) の例ではn=2)分あることが既に判明しており、そのnドット(2ドット)に加えて更にαドット(0<α<1)の位置ずれがある場合に、更にその位置ずれの範囲がα≦0.5であるか否かを判別する処理である。
【0172】
この判別で、α≦0.5であるときは(S201がY)、先ず、1ドット単位の位置ずれである「2ドット」分の位置ずれについて、図34で説明したように配置ヘッド又は超音波ヘッド(発色ヘッド)に対する2ドット分の位置の補正を行なう(処理S202)。
【0173】
これにより、図39(b) に示すように、本来配置されるべき所望の配置位置0とこの配置位置0のカプセルトナーを発色させるべき所望の超音波素子66−4dとの2+αドット分の位置ずれが、補正された所望の配置位置2と所望の超音波素子66−4dとのαドット分の位置ずれに補正される。
【0174】
その後、更に配置位置2の1ドット分の径をα×2だけ太らせる(処理S203)。これにより、図39(d) に示すように、配置位置2の配置ドットが、その周囲がαだけ広がった構成の配置ドット2´となり、超音波素子66−4dとのα≦0.5の位置ずれ分を補完する大きさの配置ドットとなって、1ドット分の発色が完全に行われるようになる。
【0175】
また、上記処理S201の判別で、0.5<αであるときは(S201がN)、先ず、配置ヘッド又は超音波ヘッド(発色ヘッド)に対するn+1(つまり2+1=3)ドット分の位置の補正を行なう(処理S204)。
これにより、図39(c) に示すように、本来配置されるべき所望の配置位置0とこの配置位置0のカプセルトナーを発色させるべき所望の超音波素子66−4dとの2+αドット分の位置ずれが、同じく同図(c) 及び同図(e) に示すように、補正された所望の配置位置3と所望の超音波素子66−4dとの1−αドット分の位置ずれに補正される。
【0176】
その後、更に配置位置3の配置ドットの径を、「(1−α)×2」だけ太らせる(処理S205)。これにより図39(e) に示すように配置位置3の配置ドットが、その周囲が1−αだけ広がった構成の配置ドット3´となり、所望の超音波素子66−4dとの1−αの位置ずれ分を補完する配置となって、1ドット分の発色が完全に行われるようになる。
【0177】
このように、本例によれば、0<α<1の位置ずれに対して、配置ヘッドによる配置ドットを本来の配置ドットの大きさよりも「α」又は「1−α」の広がりで多め(広め)に配置するので、αが<|0.5|であるような微細なずれ量に対してはその微細なずれ量に対応する微量な拡張配置量で良く、これにより、必要最小限のカプセルトナーの使用量で、位置ずれした発色を補正することができる。
(実施例7)
最後に、上記同様に、配置ヘッド22と発色ヘッド24の間にn+αドット(n=1,2,・・・で0<α<1)の範囲の位置ずれが判明しているときに、更にα≦0.5であるか否かによって発色現像に対応する補正処理を変更して行う第2の方法について説明する。
【0178】
図40は、0<α<1の範囲の位置ずれにおいてα≦0.5であるか否かによって補正方法を変える処理のフローチャートである。
図41(a),(b) は予め検出されている0<α<1の範囲の位置ずれの状態及びそれらの補正方法を示す図である。
【0179】
図40において、先ず、α≦0.5であるか否かを判別する(処理S301)。この処理も、1ドット単位の位置ずれがnドットあることが既に判明しており、そのnドットに加えて更にαドット(0<α<1)の位置ずれがある場合において、その位置ずれの範囲がα≦0.5であるか否かを判別する処理である。
【0180】
この判別で、α≦0.5であるときは(S301がY)、先ず、1ドット単位の位置ずれであるnドット分の位置ずれについて、図34で説明したように配置ヘッド又は超音波ヘッド(発色ヘッド)に対するnドット分の位置の補正を行なう(処理S302)。
【0181】
これにより、本来配置されるべき所望の配置位置からこの配置位置のカプセルトナーを発色させるべき発色ヘッド24からの所望の照射位置とのn+αドット分の位置ずれが、図41(a) に示すように、補正された配置位置に配置された配置ドットTdと発色ヘッド24からの所望の照射位置nからのαドット分の位置ずれに補正される。
【0182】
ここで、一般に、上述した発色ヘッド24において、間隔dで直線状に配置されたM個の超音波素子のm番目を
τsm=(m−1)dsinθ0 /c ・・・・(3)
の遅延時間をもった電気パルスで駆動すると、超音波の照射角はθ0 の角度方向に偏向される。
【0183】
したがって、上記nドット分の補正の後、更に上記αドット分位置ずれしている配置ドットTdに対し、上記の式(3)において、配置ドットTdの配置面93と発色ヘッド24間の距離をDとして、
cosθ0 =α/D ・・・・・(4)
を満たすようにτsmの遅延量を制御することにより、所望の照射位置をαドット分偏向させることができ、これにより、上記αドット分位置ずれしている配置ドットTdに対し超音波を正確に収束照射することができる。
【0184】
また、上記処理S301の判別で、0.5<αであるときは(S301がN)、この場合は、先ず、配置ヘッド又は超音波ヘッド(発色ヘッド)に対するn+1ドット分の位置の補正を行なう(処理S304)。
これにより、本来配置されるべき所望の配置位置からこの配置位置のカプセルトナーを発色させるべき発色ヘッド24からの所望の照射位置とのn+αドット分の位置ずれが、図41(b) に示すように、補正された配置位置に配置された配置ドットTdと発色ヘッド24からの所望の照射位置nから1ドット分ずれた照射位置n+1から1−αドット分の位置ずれに補正される。
【0185】
この後、このように、α>0.5の場合は、n=n+1として、α=1−αとすることにより、α≦0.5のときと同じように式(3)及び式(4)により、上記αドット分位置ずれしている配置ドットTdに対し超音波を正確に収束照射することができる。
【0186】
このように、本例においては、1ドット以下の微細な位置ずれに対し、配置ドットを拡大配置するというような余分なカプセルトナーを使うことなく、配置ヘッドの配置位置と発色ヘッドの照射位置が一致するように、配置ヘッドと発色ヘッドの位置合わせを行うことができる。
【0187】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、予め想定される補正による発色ヘッドに対する配置ヘッドの主走査方向の相対的な位置の移動に対応できるだけの長さで配置ヘッドを配置し、配置ヘッドと発色ヘッドの主走査方向、副走査方向、又は傾斜の位置ずれを自動的に正しく検出して補正し、配置位置と発色位置の相対的補正後のカプセルトナーに対しその内包する小径カプセルの固有共振周波数と同じ大きさのサブハーモニクス周波数を照射して所望の色を発色させるので、可及的に小さな駆動エネルギーで効率よく常に画像データに忠実な発色の多色画像を欠落部を生じることなく再現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施の形態としての多色画像形成装置の全体構成図である。
【図2】基本形態の多色画像形成装置の画像形成部の拡大図である。
【図3】画像形成部のカプセルトナーホッパ内に収容されるマイクロカプセルトナーの構造を示す図である。
【図4】マイクロカプセルトナーに内包されている小径マイクロカプセルの構造を説明する図である。
【図5】電源及び制御部における制御部の制御回路の構成を説明する図である。
【図6】制御回路の印字制御部の具体的な回路ブロックを示す図である。
【図7】多色画像形成装置による現像処理及び以後の処理を模式的に示す図である。
【図8】(a),(b),(c) はマイクロカプセルトナーが超音波ラインヘッドによって超音波照射を受けて選択的に発色する原理を説明する図である。
【図9】超音波ラインヘッドによって超音波発振が行われる際のタイムチャートを示す図である。
【図10】(a),(b),(c) は超音波ラインヘッドの配設位置の種々の例を示す図である。
【図11】超音波ラインヘッドの外観斜視図である。
【図12】(a) は超音波ラインヘッドの上面図、(b) は個別印加電極の上面図、(c) は(b) のD−D´矢視断面図、(d) は(c) のE−E´矢視断面図である。
【図13】主走査方向(X方向)に配設された超音波素子とこの超音波素子から出力される超音波の集束位置の関係を示す図である。
【図14】超音波素子の配設構成の一部を拡大して示す図である。
【図15】顕色剤が各小径カプセルの周面に位置するのではなく、保持層内に混入されている状態を示す図である。
【図16】小径カプセル壁の内部に気泡が封入されている構成を説明する図である。
【図17】第2の実施の形態における多色画像形成装置で用いられる超音波について説明するための大径マイクロカプセル内に3色の小径カプセルを含む場合の気泡半径別振幅と周波数依存性を示す図である。
【図18】大径マイクロカプセル内に更にブラック(K)の小径カプセルを加えた4色の小径カプセルを含む場合の特性を示す図である。
【図19】超音波照射によって複数種の小径マイクロカプセルが振動する状態を示す図である。
【図20】超音波照射の為の出力パルスを示す図である。
【図21】照射超音波の反射波信号からフィルタ等で高調波成分のみを抽出して映像化したハーモニックイメージングを示す図である。
【図22】照射超音波の基本波の反射波各成分に対する強度比を示す図である。
【図23】(a),(b) は第3の実施の形態としての多色画像形成装置における画像形成部の構成を2例示す図である。
【図24】(a) 〜(e) は第3の実施の形態において超音波ラインヘッドに対する光書込ヘッドの副走査方向への位置ずれを検出する方法を説明する図である。
【図25】(a) 〜(e) は第3の実施の形態において超音波ラインヘッドに対する光書込ヘッドの主走査方向への位置ずれを検出する方法を説明する図である。
【図26】(a) 〜(d) は第3の実施の形態において超音波ラインヘッドに対する光書込ヘッドの主走査方向における傾きの位置ずれを検出する方法を説明する図である。
【図27】(a) 〜(d) は第3の実施の形態において光書込ヘッドに対する超音波ラインヘッドの主走査方向における傾きの位置ずれを検出する方法を説明する図である。
【図28】配置現像と発色現像の位置ずれによる印字品質の劣化について説明する図(その1)である。
【図29】(a),(b),(c) は配置現像と発色現像の位置ずれによる印字品質の劣化について説明する図(その2)である。
【図30】(a),(b),(c) は光書込ヘッドによる静電潜像と超音波ラインヘッドによる発色現像に位置ずれがある場合の不具合解消方法の一例を示す図である。
【図31】第4の実施の形態における位置ずれ検出を行う制御部のブロック図である。
【図32】(a),(b) は位置ずれ検出の制御部によって実行される処理を模式的に示す図、(c),(d),(e) は超音波の発射波と受波について説明する図である。
【図33】位置ずれ検出の制御部による処理動作を説明するフローチャートである。
【図34】(a),(b) は検出された位置ずれが1ドット単位で発生している場合の補正方法を示す図である。
【図35】(a),(b),(c) は検出された位置ずれが最終的に1/2ドットで発生している場合の補正方法を説明する図である。
【図36】(a),(b) は配置ヘッドと発色ヘッド間の位置ずれに対する補正によって画像データの復元に欠損部分が発生しないようにする配置ヘッドと発色ヘッドの配置構成を説明する前段の図である。
【図37】(a),(b) は配置ヘッドと発色ヘッド間の位置ずれに対する補正によって画像データの復元に欠損部分が発生しないようにする配置ヘッドと発色ヘッドの配置構成を説明する後段の図である。
【図38】(a) は制御部の制御によって実行されるαドット(0<α<1)の位置ずれを検出する処理を模式的に示す図、(b) はその処理動作を説明するフローチャートである。
【図39】(a) は0<α<1の範囲の位置ずれにおいてα≦0.5であるか否かによって補正方法を変更して行う第1の方法の処理のフローチャート、(b),(c) は予め検出されている0<α<1の範囲の位置ずれの状態を示す図、(d),(e) はそれらの補正方法を示す図である。
【図40】0<α<1の範囲の位置ずれにおいてα≦0.5であるか否かによって補正方法を変更して行う第2の方法の処理のフローチャートである。
【図41】(a),(b) は第2の方法の処理において予め検出されている0<α<1の範囲の位置ずれの状態及びそれらの補正方法を示す図である。
【図42】従来のタンデム方式の多色画像形成装置の構成例を説明する図である。
【符号の説明】
1M、1C、1Y、1K 画像形成部
2M、2C、2Y、2K 現像器
3M、3C、3Y、3K 光書込ヘッド
4M、4C、4Y、4K 感光体ドラム
5 搬送ベルト
P 記録紙
6 熱定着器
15 多色画像形成装置
16 画像形成部
17 給紙部
18 用紙搬送部
19 電源及び制御部
21 感光体ドラム
22 光書込ヘッド(配置ヘッド)
22−1、22−2、22−3、22−4 発色前トナー1画素ライン
23 カプセルトナーホッパ
24 超音波ラインヘッド(発色ヘッド)
24−1、24−2、24−3、24−4 発色現像1画素ライン
25 カセット
26 給紙コロ
27 転写部
28 定着器
29 排紙ローラ
31 用紙スタッカ
32 電源部
33 制御部(制御回路)
34 帯電ローラ
35 カプセルトナー現像ローラ
36 転写ローラ
37 クリーナ
T カプセルトナー
38 攪拌部材
39 カプセルトナー供給ローラ
41 中間転写ベルト
42 収容ローラ
43 対向ローラ
44 転写ローラ
45 ベルトクリーナ
46 大径マイクロカプセル
47(47M、47C、47Y、47K) 小径マイクロカプセル
48 小径カプセル壁
49 保持層
50 発色剤
51 顕色剤
52 インターフェース(I/F)
53 印字制御部
54 CPU
55 RAM
56 ROM
57 RGB入力
58 操作パネル
59 プリンタコントローラ
60 印字部
61 主走査/副走査制御回路
62 論理和回路
63 発振回路
64M マゼンダ発色制御回路
64C シアン発色制御回路
64Y イエロー発色制御回路
64K ブラック発色制御回路
65 担持体
66−1 音響レンズ
66−2 音響インピーダンス整合層
66−3 個別印加電極層
66−4 超音波素子
66−5 共通電極層(アース層)
68 殻
69 気泡
71 超音波入射方向
72 マイクロカプセル
73 反射波
74 中間転写ローラ
75 発色位置検知センサ
76、82 主走査方向基準線
77、81 副走査方向基準線
78 検知可能範囲
79 基準点
83 検知可能範囲
84 配置現像主走査方向1画素ライン
85−1、85−2 発色現像副走査方向1画素ライン
86−1、86−2 基準点
87−1、87−2 配置現像副走査方向1画素ライン
88 発色現像主走査方向1画素ライン
90 静電潜像“F”
91 転写画像“F”
92 発色現像“F”
93 配置ドット配置面
Claims (15)
- 所定の刺激によって破壊可能なカプセル壁で囲繞された複数種の小径マイクロカプセルを支持材に分散内包する大径マイクロカプセルから成り、互いに混合されて発色反応を起こす反応性物質の一方を前記各々の小径マイクロカプセル壁内側に分散し、前記反応性物質の他方を前記各々の小径マイクロカプセル壁外側の前記支持材に分散して成るマイクロカプセルトナーを用いる多色画像形装置であって、
前記マイクロカプセルトナーを複数種の色の画像データの論理和より合成されたデータに基づいて画素に対応するサイズに現像する現像手段と、
該現像手段により現像された前記マイクロカプセルトナーの群層に、画素サイズに収束された複数種の特定周波数の超音波を選択的に照射することにより、各特定周波数ごとに選択的に反応する前記小径カプセルの外殻を破壊し、この外殻により分離されていた発色剤と顕色剤とを反応させて所定の色を発色させる発色手段と、
を備えたことを特徴とする多色画像形成装置。 - 前記複数種の特定周波数の超音波の周波数は、それぞれ前記小径カプセルの固有共振周波数と同じ大きさのサブハーモニクス周波数を発生することができる大きさで且つ前記小径カプセルの前記固有共振周波数の略2倍の大きさの周波数であることを特徴とする請求項1記載の多色画像形成装置。
- 前記複数種の色は、マゼンタ、シアン、及びイエロー、又は、マゼンタ、シアン、イエロー、及びブラックであることを特徴とする請求項1記載の多色画像形成装置。
- 所定の刺激によって破壊可能なカプセル壁で囲繞された複数種の小径マイクロカプセルを支持材に分散内包する大径マイクロカプセルから成り、互いに混合されて発色反応を起こす反応性物質の一方を前記各々の小径マイクロカプセル壁内側に分散し、前記反応性物質の他方を前記各々の小径マイクロカプセル壁外側の前記支持材に分散して成るマイクロカプセルトナーを複数種の色の画像データの論理和より合成されたデータに基づいて画素に対応するサイズに現像する現像手段と、該現像手段により現像された前記マイクロカプセルトナーの群層に、画素サイズに収束された複数種の特定周波数の超音波を選択的に照射することにより、各特定周波数ごとに選択的に反応する前記小径カプセルの外殻を破壊し、この外殻により分離されていた発色剤と顕色剤とを反応させて所定の色を発色させる発色手段と、を備えた多色画像形成装置であって、
前記現像手段により副走査方向の所定の位置における主走査方法に1画素ラインの現像を行わせ、前記発色手段により前記所定の位置に対応する所定の検知有効範囲において副走査方向に1画素ラインの超音波照射を行わせて、その発色位置により、該発色手段の副走査方向の位置を基準とした前記現像手段の副走査方向の位置ずれの有無を検出する制御手段を有することを特徴とする多色画像形成装置。 - 前記制御手段は、前記現像手段により主走査方向の所定の位置における副走査方向に1画素ラインの現像を行わせ、前記発色手段により前記所定の位置に対応する所定の発色検知範囲において主走査方向に1画素ラインの超音波照射を行わせて、その発色位置により、該発色手段の主走査方向の位置を基準とした前記現像手段の主走査方向の位置ずれの有無を検出することを特徴とする請求項4記載の多色画像形成装置。
- 前記制御手段は、発色検知範囲内において前記現像手段により主走査方向に1画素ラインの現像を行わせ、前記発色手段により所定の前記発色検知範囲において主走査方向の所定の2箇所のそれぞれの位置における副走査方向の1画素ラインの超音波照射を行わせて、その発色位置により、前記発色手段の主走査方向の位置を基準とした前記現像手段の主走査方向の傾き検出することを特徴とする請求項4記載の多色画像形成装置。
- 前記制御手段は、発色検知範囲内において前記現像手段により副走査方向の所定の2箇所のそれぞれの位置における主走査方向の1画素ラインの現像を行わせ、前記発色手段により所定の前記発色検知範囲において主走査方向に1画素ラインの超音波照射を行わせて、その発色位置により、前記現像手段の主走査方向の位置を基準とした前記発色手段の主走査方向の傾き検出することを特徴とする請求項4記載の多色画像形成装置。
- 所定の刺激によって破壊可能なカプセル壁で囲繞された複数種の小径マイクロカプセルを支持材に分散内包する大径マイクロカプセルから成り、互いに混合されて発色反応を起こす反応性物質の一方を前記各々の小径マイクロカプセル壁内側に分散し、前記反応性物質の他方を前記各々の小径マイクロカプセル壁外側の前記支持材に分散して成るマイクロカプセルトナーを複数種の色の画像データの論理和より合成されたデータに基づいて画素に対応するサイズに現像する現像手段と、該現像手段により現像された前記マイクロカプセルトナーの群層に、画素サイズに収束された複数種の特定周波数の超音波を選択的に照射することにより、各特定周波数ごとに選択的に反応する前記小径カプセルの外殻を破壊し、この外殻により分離されていた発色剤と顕色剤とを反応させて所定の色を発色させる発色手段と、を備えた多色画像形成装置であって、
前記マイクロカプセルトナーの群層の配置が無いところからの前記超音波の反射波形を波形0の波形として記憶する記憶手段と、
前記波形0の波形と前記マイクロカプセルトナーの群層の存在の影響を受けた反射波形とを比較する波形比較手段と、
該比較手段による比較結果に基づいて前記マイクロカプセルトナーの1画素分の群層の存在位置を判断する判断手段と、
を備え、
前記現像手段は所定の位置に1画素分の前記マイクロカプセルトナーの群層を配置し、
前記発色手段は、自己又は他の発色手段により照射された超音波の反射波を受波する機能を備え、前記現像手段により配置された1画素分の前記マイクロカプセルトナーの群層を含む所定の範囲を順次超音波照射して反射波を受波し、
前記波形比較手段は、前記受波された反射波を前記波形0の波形と順次比較して、前記反射波の波形が前記波形0の波形と最も異なる波形を検出し、
前記判断手段は、前記反射波の波形が前記波形0の波形と最も異なる波形を検出したときの位置を前記マイクロカプセルトナーの1画素分の群層が配置されている位置であると判断する
ことを特徴とする多色画像形成装置。 - 所定の刺激によって破壊可能なカプセル壁で囲繞された複数種の小径マイクロカプセルを支持材に分散内包する大径マイクロカプセルから成り、互いに混合されて発色反応を起こす反応性物質の一方を前記各々の小径マイクロカプセル壁内側に分散し、前記反応性物質の他方を前記各々の小径マイクロカプセル壁外側の前記支持材に分散して成るマイクロカプセルトナーを複数種の色の画像データの論理和より合成されたデータに基づいて画素に対応するサイズに現像する現像手段と、該現像手段により現像された前記マイクロカプセルトナーの群層に、画素サイズに収束された複数種の特定周波数の超音波を選択的に照射することにより、各特定周波数ごとに選択的に反応する前記小径カプセルの外殻を破壊し、この外殻により分離されていた発色剤と顕色剤とを反応させて所定の色を発色させる発色手段と、を備えた多色画像形成装置であって、
前記現像手段は、前記マイクロカプセルトナーの現像面積の径を所望の現像画素の径よりよりも所定の範囲の大きさで大きく現像し、
前記発色手段は、前記現像手段により所望の現像画素の径よりより大きく現像された前記マイクロカプセルトナーに対し所望の現像画素の径と同等の大きさに発色させる
ことを特徴とする多色画像形成装置。 - 前記所定の範囲の大きさは、前記現像手段の現像位置に対して前記発色手段の発色位置が0.5ドット位置ずれしているとき、所望の現像画素の径の2倍の径の大きさであることを特徴とする請求項9記載の多色画像形成装置。
- 所定の刺激によって破壊可能なカプセル壁で囲繞された複数種の小径マイクロカプセルを支持材に分散内包する大径マイクロカプセルから成り、互いに混合されて発色反応を起こす反応性物質の一方を前記各々の小径マイクロカプセル壁内側に分散し、前記反応性物質の他方を前記各々の小径マイクロカプセル壁外側の前記支持材に分散して成るマイクロカプセルトナーを複数種の色の画像データの論理和より合成されたデータに基づいて画素に対応するサイズに現像する現像手段と、該現像手段により現像された前記マイクロカプセルトナーの群層に、画素サイズに収束された複数種の特定周波数の超音波を選択的に照射することにより、各特定周波数ごとに選択的に反応する前記小径カプセルの外殻を破壊し、この外殻により分離されていた発色剤と顕色剤とを反応させて所定の色を発色させる発色手段と、を備えた多色画像形成装置であって、
前記現像手段は、主走査方向の両端部における有効現像長をそれぞれ前記発色手段の主走査方向の必要記録長よりも所定のドット数分長く形成されていることを特徴とする多色画像形成装置。 - 所定の刺激によって破壊可能なカプセル壁で囲繞された複数種の小径マイクロカプセルを支持材に分散内包する大径マイクロカプセルから成り、互いに混合されて発色反応を起こす反応性物質の一方を前記各々の小径マイクロカプセル壁内側に分散し、前記反応性物質の他方を前記各々の小径マイクロカプセル壁外側の前記支持材に分散して成るマイクロカプセルトナーを複数種の色の画像データの論理和より合成されたデータに基づいて画素に対応するサイズに現像する現像手段と、該現像手段により現像された前記マイクロカプセルトナーの群層に、画素サイズに収束された複数種の特定周波数の超音波を選択的に照射することにより、各特定周波数ごとに選択的に反応する前記小径カプセルの外殻を破壊し、この外殻により分離されていた発色剤と顕色剤とを反応させて所定の色を発色させる発色手段と、を備えた多色画像形成装置であって、
前記マイクロカプセルトナーの群層の配置が無いところからの前記超音波の反射波形を波形0の波形として記憶する記憶手段と、
前記波形0の波形と前記マイクロカプセルトナーの群層の存在の影響を受けた反射波形とを比較する波形比較手段と、
該比較手段による比較結果に基づいて前記マイクロカプセルトナーの1画素分の群層の存在位置を判断する判断手段と、
を備え、
前記現像手段は所定の位置に1画素分の前記マイクロカプセルトナーの群層を配置し、
前記発色手段は、それぞれ自己又は他の発色手段により照射された超音波の反射波を受波する機能を備え、
前記現像手段により配置された1画素分の前記マイクロカプセルトナーの群層を含む所定の範囲に対し複数の前記発色手段による超音波収束照射を順次行ってその反射波を受波し、
前記波形比較手段は、前記受波された反射波を前記波形0の波形と順次比較して、前記反射波の波形が前記波形0の波形と最も異なる波形を検出し、
前記判断手段は、前記反射波の波形が前記波形0の波形と最も異なる波形を検出したときの位置を前記マイクロカプセルトナーの1画素分の群層が配置されている位置であると判断する
ことを特徴とする多色画像形成装置。 - 所定の刺激によって破壊可能なカプセル壁で囲繞された複数種の小径マイクロカプセルを支持材に分散内包する大径マイクロカプセルから成り、互いに混合されて発色反応を起こす反応性物質の一方を前記各々の小径マイクロカプセル壁内側に分散し、前記反応性物質の他方を前記各々の小径マイクロカプセル壁外側の前記支持材に分散して成るマイクロカプセルトナーを複数種の色の画像データの論理和より合成されたデータに基づいて画素に対応するサイズに現像する現像手段と、該現像手段により現像された前記マイクロカプセルトナーの群層に、画素サイズに収束された複数種の特定周波数の超音波を選択的に照射することにより、各特定周波数ごとに選択的に反応する前記小径カプセルの外殻を破壊し、この外殻により分離されていた発色剤と顕色剤とを反応させて所定の色を発色させる発色手段と、を備えた多色画像形成装置であって、
前記現像手段の所望の現像位置に対し前記発色手段の所望の発色位置がn+αドット且つα≦0.5で位置ずれしているとき、
前記現像手段は、前記所望の現像位置を前記位置ずれ方向へnドット移動させると共に該移動させた所望の現像位置の現像画素において所望の現像画素の径のα×2の径の大きに現像し、
前記発色手段は、前記現像手段により所望の現像画素の径よりよりα×2大きく現像された前記マイクロカプセルトナーに対し所望の現像画素の径と同等の大きさに発色させる
ことを特徴とする多色画像形成装置。 - 前記現像手段の所望の現像位置に対し前記発色手段の所望の発色位置がn+αドット且つ0.5<αで位置ずれしているとき、
前記現像手段は、前記所望の現像位置を前記位置ずれ方向へn+1ドット移動させると共に該移動させた所望の現像位置の現像画素において所望の現像画素の径の「(1−α)×2」の径の大きに現像し、
前記発色手段は、前記現像手段により所望の現像画素の径よりより「(1−α)×2」大きく現像された前記マイクロカプセルトナーに対し所望の現像画素の径と同等の大きさに発色させる
ことを特徴とする請求項13記載の多色画像形成装置。 - 所定の刺激によって破壊可能なカプセル壁で囲繞された複数種の小径マイクロカプセルを支持材に分散内包する大径マイクロカプセルから成り、互いに混合されて発色反応を起こす反応性物質の一方を前記各々の小径マイクロカプセル壁内側に分散し、前記反応性物質の他方を前記各々の小径マイクロカプセル壁外側の前記支持材に分散して成るマイクロカプセルトナーを複数種の色の画像データの論理和より合成されたデータに基づいて画素に対応するサイズに現像する現像手段と、該現像手段により現像された前記マイクロカプセルトナーの群層に、画素サイズに収束された複数種の特定周波数の超音波を選択的に照射することにより、各特定周波数ごとに選択的に反応する前記小径カプセルの外殻を破壊し、この外殻により分離されていた発色剤と顕色剤とを反応させて所定の色を発色させる発色手段と、を備えた多色画像形成装置であって、
前記現像手段の現像位置に対し前記発色手段の発色位置がαドット且つα≦0.5で位置ずれしているとき、
前記発色手段の超音波照射素子の配置間隔をd、該超音波照射素子配置面と前記現像位置間の距離をD、前記現像手段の現像位置と前記発色手段の発色位置との位置ずれ角度をθ0 、前記現像手段の現像位置を発色させるための前記発色手段の直線状に配置されたM個の前記超音波素子のm番目を、
cosθ0 =α/D
を満たすように
τsm=(m−1)dsinθ0 /c
の遅延時間τsmをもった電気パルスで駆動することを特徴とする多色画像形成装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003036930A JP2004246170A (ja) | 2003-02-14 | 2003-02-14 | マイクロカプセルトナーを用いる多色画像形成装置 |
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JP2003036930A JP2004246170A (ja) | 2003-02-14 | 2003-02-14 | マイクロカプセルトナーを用いる多色画像形成装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2004246170A true JP2004246170A (ja) | 2004-09-02 |
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ID=33021881
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JP2003036930A Withdrawn JP2004246170A (ja) | 2003-02-14 | 2003-02-14 | マイクロカプセルトナーを用いる多色画像形成装置 |
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JP (1) | JP2004246170A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2009058836A (ja) * | 2007-08-31 | 2009-03-19 | Fuji Xerox Co Ltd | 画像形成装置 |
JP2009058842A (ja) * | 2007-08-31 | 2009-03-19 | Fuji Xerox Co Ltd | テストパターン画像、色ずれ補正方法、及び画像形成装置 |
-
2003
- 2003-02-14 JP JP2003036930A patent/JP2004246170A/ja not_active Withdrawn
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2009058836A (ja) * | 2007-08-31 | 2009-03-19 | Fuji Xerox Co Ltd | 画像形成装置 |
JP2009058842A (ja) * | 2007-08-31 | 2009-03-19 | Fuji Xerox Co Ltd | テストパターン画像、色ずれ補正方法、及び画像形成装置 |
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