JP2005070486A - カラー画像形成装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】ただ一種類のマイクロカプセルトナーを用いる簡単な構成のカラー画像形成装置を提供する。
【解決手段】トナーTは大径マイクロカプセルから成るトナーであり、該カプセル内にはイエロー、マゼンタ、シアン、黒を発色する小径マイクロカプセルが内包されている。光書込ヘッド7は4色の画像情報の論理和で感光体ドラム6を露光し、その静電潜像に現像ローラ21はトナーTを配置現像する。配置現像トナーT1は中間転写ドラム51との対向部の間隙Kを飛び越えて中間転写ドラム51に転写され、発色現像部cに搬送される。発色現像部cは超音波ラインヘッド9と一体構成の液体収容皿52に常時満載されている液体に満たされ、配置現像トナーT1は超音波ラインヘッド9から液体を介して超音波を効率よく照射され、小径マイクロカプセルを選択的に破壊されて発色現像される。発色現像トナー像T2は転写部tで転写ローラ10により用紙に転写される。
【選択図】 図19

Description

本発明は、カラー画像形成装置に係わり、特に詳しくはただ一種類のマイクロカプセルトナーを用いるカラー画像形成装置に関する。
近年、パーソナルコンピュータを中心とした情報機器としてのコンピュータの普及に伴って、その周辺機器のひとつとしてプリンタ装置が普及している。このプリンタ装置には大きく分けて液体インクを使用するものと、固体インクを使用するものがある。
液体インクを使用するものとしては、インクジェット方式のプリンタ装置が広く普及しており、固体インクを使用するものとしては、熱転写式の例えばラベルプリンタや電子写真式の例えば複写機やプリンタが知られている。
熱転写式のプリンタ装置は、インクリボンに塗布されている固体インクを発熱素子によって画像情報に応じて溶融又は昇華させて記録用紙に転写し、冷却・固化させて、記録用紙に画像を形成するものであり、電子写真式のプリンタ(複写機も含む、以下同様)は、固体インクに相当するものとしてトナーを用い、電子写真方式により像担持体としての感光体ドラム上にトナー像を形成し、このトナー像を記録用紙に転写して熱定着させて記録用紙に画像を形成する。
特に複数の画像形成部を多段式に並設して構成したタンデム型の電子写真式プリンタは高速の多色印刷を可能とする点に特色がある。(例えば、特許文献1参照。)
このような電子写真式プリンタは、トナー像を記録用紙に転写する際の転写方式によって性能が大きく左右されるため、転写状態が最良の状態になるように種々の転写方式が提案されている。例えば、記録用紙が通紙されていない状態で像担持体(感光体ドラム)と転写器(転写ローラ)とが接触する形式のものと、非接触とする形式のものがある。
非接触とする形式のものには、感光体ドラムと転写ローラとの非接触間隙(ギャップ)を、0.2〜0.25mm程度にしたほうがよいとする提案が知られている。(例えば、特許文献2参照。)
また、そのように感光体ドラムと転写ローラとを非接触とした場合に、多枚数の印刷実行後のカブリの発生を防止するために、ギャップを0.2mm又は0.3mmとして非通紙時の転写ローラへの印加電圧を感光体ドラムの帯電極性と同極性の1〜4kVにすればよいとの提案も知られている。(例えば、特許文献3参照。)
また、同様に感光体ドラムと転写ローラとを非接触とした場合に、転写ローラの汚れを除去するために、非通紙時に、転写ローラに通紙時と逆の正極性にシフトしたAC電圧500Vの振動電界を発生させると良いことが提案されている。(例えば、特許文献4参照。)
また、比較的新規な方式として、光や熱等の外部刺激に応答するマイクロカプセルを含有するインク層を予めコーティングした専用の記録紙を用い、これに画像情報に対応した光や熱を付与して画像形成を行う画像形成装置も知られている。(例えば、特許文献5参照。)
特開平9−288396号公報([要約]、図1) 特開2001−312158号公報(段落[0006]、図1) 特開2001−051516号公報(段落[0008]、図2) 特開2001−092266号公報(段落[0007]、[0008]、図1、図2) 特公平6−96338号公報(第2頁右欄第50行〜第3頁左欄第23行、図1)
上記特許文献1の技術は、高速の多色印刷を可能とする点に特色があるが、画像形成を行うには、定着装置を除けば、感光体ドラム、初期化帯電器、露光装置、現像器、クリーニング装置等が各色毎に必要であり、全体構成が極めて複雑になっていて、工場における組み立て工数が多く、また、保守作業に手数を要するという問題が残されている。
また、特許文献2〜4の技術は、上記特許文献1のようにタンデム型の多色印刷用プリンタにも適用できる電子写真式画像形成の転写機能に特定された技術であるが、定着装置を除いて各色毎に感光体ドラム、初期化帯電器、露光装置、現像器、クリーニング装置等を必要とし、全体構成が極めて複雑である点においては変わるところがない。
また、特許文献5の技術は、マイクロカプセルを含有するインク層を乾燥固化して形成したコーティング層を有する専用の記録紙を用いるため普通紙が使用できないという問題がある。また、基本的に記録紙全面にインクを塗布することから、コストアップの原因になる。さらに、複数色の印字工程を繰り返すことから、色ずれ管理が難しく、装置の複雑化も避けられない。
本発明の課題は、上記従来の実情に鑑み、一種類の固体インクを用いる簡単な構成で多色の画像形成を容易に行うことができるカラー画像形成装置を提供することである。
以下に、本発明に係わるカラー画像形成装置の構成を述べる。
本発明のカラー画像形成装置は、所定の刺激によって破壊可能なカプセル壁で囲繞された複数種の小径マイクロカプセルを支持材に分散内包する大径マイクロカプセルから成り、互いに混合されて発色反応を起こす反応性物質の一方を上記各々の小径マイクロカプセル壁内側に分散し、上記反応性物質の他方を上記各々の小径マイクロカプセル壁外側の上記支持材に分散して成るマイクロカプセルトナーを用いて所定の印字速度でカラー画像を形成するカラー画像形装置であって、上記マイクロカプセルトナーを複数種の色の画像データの論理和より合成されたデータに基づいて画素に対応するサイズの画素群層でトナー像担持体上に乾式写真方式により配置現像する配置現像手段と、上記トナー像担持体に所定の位置で非接触で対向し該対向部において上記配置現像手段により配置現像された上記マイクロカプセルトナーの画素群層を所定の印加電圧により非接触転写され該非接触転写された上記マイクロカプセルトナーの画素群層を少なくとも発色現像部まで搬送する中間転写部材と、該中間転写部材上に配置現像されている上記マイクロカプセルトナーの画素群層に対し上記発色現像部において気体相を介在させることなく液体相の超音波伝播材を介して画素サイズに収束された複数種の周波数の超音波を選択的に照射することにより、各周波数ごとに選択的に反応する上記小径マイクロカプセルの外殻を破壊し、この外殻により分離されていた発色剤と顕色剤とを反応させて所定の色を発色させる発色手段と、を備えて構成される。
上記複数種の色は、例えばマゼンタ、シアン、及びイエロー、又は、マゼンタ、シアン、イエロー、及びブラックで構成される。
また、上記発色手段は、例えば超音波照射素子を直線アレイ状に配置してなる超音波ラインヘッドと、該超音波ラインヘッドの超音波照射部と一体に形成され上記液体相の超音波伝播材を常時満載し上記発色現像部において上記液体相の超音波伝播材が上記中間転写部材及び上記マイクロカプセルトナーの画素群層に気体相を介在させることなく接触するように配置された液体収容皿と、を備えて構成される。
このカラー画像形成装置において、例えば、上記トナー像担持体と上記中間転写部材との非接触対向部における間隙Kは「0.1mm≦K≦0.3mm」であり、上記所定の印加電圧Eは「0.9kV≦E≦1.8kV」であるように構成され、この場合、上記所定の印加電圧は、例えばDC電圧にAC電圧を重畳させた電圧のピーク電圧で構成してもよい。
また、このカラー画像形成装置においては、例えば、上記所定の印字速度は、少なくとも32mm/secよりも速い速度であるように構成することが好ましい。
上述したように、本発明によれば、トナー像現像を乾式電子写真式で行う感光体ドラムと発色現像を液体現像によって行う中間転写体とが非接触となるように適宜の間隙を設けるので、中間転写体の現像用液体が感光体ドラムに転移して感光体ドラムの帯電性を阻害する不具合が防止されると共に、中間転写体側に液体乾燥装置や液体除去装置等を設ける必要がなく、構成が簡単化され装置の小型化が容易となる。
また、多色刷り用の固体インクとしてただ一種類のマイクロカプセルトナーを用いるので、多色用でありながら複数のトナーを用意する必要がなくトナーの管理が容易であり、経費節減に貢献する。
また、一種類だけのマイクロカプセルトナーを用いるので、ただ一つの画像形成部を有する簡単で小型な構成で多色の画像形成を行う低廉なカラー画像形成装置を提供することが可能となる。
以下、本発明の実施の形態を図面を参照しながら説明する。
図1は、第1の実施の形態におけるカラー画像形成装置の全体構成図である。なお、同図に示すカラー画像形成装置1は、例えばピアツーピア(peer to peer)で接続されたパーソナルコンピュータのホスト機器側に接続されたプリンタ装置またはLAN(ローカルエリアネットワーク)に接続されたプリンタ装置であってもよい。
同図に示すカラー画像形成装置1は、画像形成部2、給紙部3、用紙搬送部4、電源及び制御部5で構成されている。
画像形成部2は、感光体ドラム6、光書込ヘッド7、マイクロカプセルトナーホッパ8、超音波ラインヘッド9、転写ローラ10、初期化帯電ローラ11等で構成されている。また、特には図示しないが、転写ローラ10と初期化帯電ローラ11の間にはクリーナが配設されている。上記の感光体ドラム6は、超音波ラインヘッド9との対向部において発色現像部cを形成し、転写ローラ10との対向部において転写部tを形成している。
給紙部3は、給紙カセット12及び給紙コロ13で構成され、給紙カセット12に収納された記録紙Pは、給紙コロ13の1回転ごとに、給紙カセット12から搬出され、用紙搬送部4に送られる。
用紙搬送部4は、用紙を挟持して搬送する複数の搬送ローラ対14と、この搬送される用紙を案内する複数のガイド板15から成り、給紙カセット12から搬出された記録紙Pをガイド板15に沿って所定の搬送路順に搬送する。
この用紙搬送部4によって搬送される記録紙Pは、画像形成部2の転写部cにおいて後述する発色トナー画像が転写される。発色トナー画像を転写された記録紙Pは、定着器16で発色トナー画像を紙面に熱定着され、用紙搬送部4の排紙側の搬送ローラ対14によって用紙スタッカ17上に排出される。
また、電源及び制御部5は、上記画像形成部2等に電源を供給する電源部18、及び上記光書込ヘッド7に供給する光書込データを生成し、超音波ラインヘッド9に供給する画像データを生成する制御部(制御回路)19で構成されている。尚、制御部19の具体的な制御回路の構成については後述する。
図2は、上記画像形成部2の拡大図である。画像形成部2は上記のように、感光体ドラム6の近傍に、感光体ドラム6の周囲を取り囲むようにして配設されている光書込ヘッド7、マイクロカプセルトナーホッパ8、超音波ラインヘッド9、転写ローラ10、及び初期化帯電ローラ11を要部として構成されている。
上記のマイクロカプセルトナーホッパ8内には、マイクロカプセルトナー(以下、単にカプセルトナーTという)が収容され、最下部にカプセルトナー現像ローラ21が設置されている。また、マイクロカプセルトナーホッパ8内には、特には図示しないが、
カプセルトナーTに埋没するように攪拌部材が回動可能に設置され、その下方にカプセルトナー現像ローラ21に当接してプセルトナー供給ローラが配設されている。
攪拌部材は、カプセルトナーTを攪拌し、摩擦帯電によってマイナス(−)の電荷をカプセルトナーTに付与する。カプセルトナー供給ローラは、そのマイナス電荷を付与されたカプセルトナーTをカプセルトナー現像ローラ21に供給する。
光書込ヘッド7は、制御部(制御回路)19から供給される光書込みデータに基づいて感光体ドラム6の感光面に光書込みを行う。感光体ドラム6の感光面には予め初期化帯電ローラ11によって一様な電荷が付与され、光書込ヘッド7からの光書込みによって静電潜像が形成される。
この静電潜像に対し、詳しくは後述するが、カプセルトナー現像ローラ21によってカプセルトナーTが静電的に付着されてカプセルトナー像T1の配置現像が行われる。この配置現像により形成されるカプセルトナー像T1は、各色毎に分解された画像信号の論理和信号により形成されるカプセルトナー像である。このカプセルトナー像T1は、感光体ドラム6の図の矢印aで示す時計回り方向への回転に伴われて超音波ラインヘッド9との対向部の発色現像部cに運ばれる。
超音波ラインヘッド9には制御部(制御回路)19から画像データが供給される。超音波ラインヘッド9は、制御部(制御回路)19から供給される画像データに基づいて、感光体ドラム6により回転搬送されて発色現像部cを通過するカプセルトナーTに対し超音波照射を行う。
この時、カプセルトナーTに内包される微細マイクロカプセルの壁が破壊され、内部の反応性物質によって発色反応が起こり、カプセルトナーTが画像情報に応じた色に発色してカラートナー像T2が感光体ドラム6上に形成(発色現像)される。
上記のようにして発色現像によってカラー画像を形成したカラートナー像T2は、更に感光体ドラム6により回転搬送され、転写部tにおいて、図1で説明したように記録紙Pに転写される。そして、この記録紙Pに転写された発色済みカラートナー像T2は前述したように定着器16において熱定着処理が施され、排紙部の搬送ローラ対14によって排紙スタッカ17上に排出される。
図3は、上記のカプセルトナーTの構造を示す図である。同図に示すように、カプセルトナーTは大径マイクロカプセル25内にマゼンタ(M)、シアン(C)、イエロー(Y)、ブラック(K)の4種類の小径マイクロカプセル26(26M、26C、26Y、26K)を内包した構成であり、各小径マイクロカプセル26には小径カプセル壁27が形成されている。
また、上記小径マイクロカプセル26は、大径マイクロカプセル25内に封入されたジェル状の保持層28中にランダムに分散している。尚、同図に示す小径マイクロカプセル26´は発色した小径マイクロカプセルを示している。また、小径マイクロカプセル26の小径カプセル壁27の外側を顕色剤29が覆っている。
上記の大径マイクロカプセル25の直径は5μm〜10μmで構成され、例えば1個の大径マイクロカプセル25内に各小径マイクロカプセル26がそれぞれ10個程度収容されている。また、各小径マイクロカプセル26の直径は、例えば0.5μm〜2μm程度である。
図4は、上記小径マイクロカプセル26の構造を説明する図である。小径マイクロカプセル26は、小径カプセル壁27で覆われ、発色剤31を内包し、小径カプセル壁27の外側を上述したように顕色剤29が覆っている。そして、これら小径マイクロカプセル26の小径カプセル壁27の直径及び厚さはそれぞれ異っている。すなわち、小径マイクロカプセル26M、26C、26Y、26Kは、それぞれその直径と、小径カプセル壁27の厚さが異なり、このように構成することによって小径カプセル壁27を破壊する共振周波数を異ならせ、各小径マイクロカプセル毎に異なる共振周波数で破壊できる構造となっている。
また、上記各小径マイクロカプセルの直径と厚さに加え、材質を変えることによっても破壊の共振周波数を可変でき、材質を超音波の照射する共振周波数の設定要素に加えることによってより詳細な共振周波数の設定が可能となる。
例えば、小径マイクロカプセルの直径が大きくなれば超音波の共振周波数は低い方向に移行し、小径カプセル壁27の厚さが厚くなれば共振周波数は高い方向に移行する。また、小径カプセル壁27の壁の材質が硬くなれば、共振周波数は高い方向に移行する。したがって、上記各要素に対応して各小径マイクロカプセル26M、26C、26Y、26Kはそれぞれ共振周波数が異なるように設計されている。
また、各小径マイクロカプセル26の発色割合は、照射される超音波のエネルギー量によって可変可能である。したがって、マゼンタ(M)、シアン(C)、イエロー(Y)の発色割合を制御し、自由な中間調を実現することができる。
図5は、カラー画像形成装置1の電源及び制御部5における制御部19の制御回路の構成を説明する図である。制御部(制御回路)19はインターフェース(I/F)32、印字制御部33、CPU34、RAM35、ROM36で構成される。インターフェース(I/F)32には、RGB(R(赤)、G(緑)、B(青))入力37からビデオデータが供給され、CPU34には、操作パネル38から操作信号が入力する。
インターフェース(I/F)32は、例えばパーソナルコンピュータ等のホスト機器から供給されるビデオデータ(RGB信号)をCMYK値に変換する多値化処理を行う。この場合、インターフェース(I/F)32には予めデバイスに対応する色変換テーブルが登録されており、インターフェース(I/F)32は、その色変換テーブルを参照しながらRGB信号をCMYK値に変換する。
CPU34は、ROM36に記憶するプログラムに基づいて処理を行い、操作パネル38から入力する操作信号に従って印刷処理を実行する。尚、RAM35はCPU34による制御処理の際、ワークエリアとして使用され、複数のレジスタで構成されている。
CPU34は、上記インターフェース(I/F)32、及び印字制御部33内のプリンタコントローラに制御信号を送り、印刷データの作成処理を行う。また、印字制御部33は、プリンタコントローラ39及び印字部40で構成されている。
図6は、上記印字制御部33の具体的な回路ブロックを示す図である。同図において、プリンタコントローラ39は主走査/副走査制御回路41、論理和回路42、発振回路43、マゼンタ発色制御回路44M、シアン発色制御回路44C、イエロー発色制御回路44Y、ブラック発色制御回路44Kで構成されている。一方、印字部40は前述の光書込ヘッド7及び超音波ラインヘッド9で構成されている。
前述のように、インターフェース(I/F)32によってCMYK値に変換された画像データは、更にインターフェース(I/F)32からマゼンタ(M)、シアン(C)、イエロー(Y)、ブラック(K)の画素データとして論理和回路42に出力される。ここで、論理和回路42はCMYKの論理和を計算し、光書込ヘッド7に出力する。
すなわち、CMYKの全ての画素データを含む論理和のデータを光書込ヘッド7に出力し、前述の感光体ドラム6に光書込みを行う。したがって、前述の感光体ドラム6の周面にはCMYKの全ての画素データを含む論理和データに基づく静電潜像が形成される。尚、主走査/副走査制御回路41から論理和回路42に主走査制御信号、及び副走査制御信号が供給され、光書込ヘッド7に論理和データを供給する際、主走査方向制御及び副走査方向制御に使用される。
また、CMYKの画素データは、それぞれに対応するマゼンタ発色制御回路44M〜ブラック発色制御回路44Kにも供給され、発振回路43から出力される発振信号fm、fc、fy、fkに同期して超音波ラインヘッド9に出力される。すなわち、マゼンタ(M)、シアン(C)、イエロー(Y)、ブラック(K)のそれぞれに対応する発色データが超音波ラインヘッド9に供給され、前述の感光体ドラム6上に吸着されているカプセルトナーTに対応する後述する共振周波数の超音波が照射される。
したがって、照射される超音波に共振する波動を受けたカプセルトナーT内の小径マイクロカプセル26が破壊されて発色する。この場合、マゼンタ発色制御回路44Mから出力される発色信号の周波数fが異なるため、超音波を受けたカプセルトナーTは、対応する色の小径マイクロカプセル26M、26C、26Y、又は26Kの小径カプセル壁27のみが破壊される。このメカニズムは、各小径マイクロカプセル26の外殻径がそれぞれ異なり、破壊する共振周波数が各小径マイクロカプセル26ごとにそれぞれ異なる為である。
例えば、マゼンタ発色制御回路44Mから出力された発色信号fmはカプセルトナーT内の小径マイクロカプセル26Mの小径カプセル壁27のみを破壊し、マゼンタ(M)色の発色を行う。また、シアン発色制御回路44Cから出力された発色信号fcは小径マイクロカプセル26Cの小径カプセル壁27のみを破壊し、シアン(C)色の発色を行う。さらに、イエロー(Y)及びブラック(K)についても同様であり、イエロー発色制御回路44Y、ブラック発色制御回路44Kから出力される発色信号fy、fkは、小径カプセル26Y又は26Kの小径カプセル壁27のみを破壊し、イエロー(Y)、又はブラック(K)の発色を行う。
図7(a),(b),(c) は、上記のカプセルトナーTが超音波ラインヘッド9によって超音波照射を受けて選択的に発色する原理を説明する図である。
図7(a) は、上記の発色現像部cにおいてカプセルトナーTが超音波照射を受けている状態を示す図である。ここで、矢印DはカプセルトナーTの層厚を示し、破線Sは超音波(収束超音波)を示し、矢印dは超音波の収束解像度(例えば、1画素)を示している。
前述のように、カプセルトナーTは大径カプセル25内にマゼンタ(M)、シアン(C)、イエロー(Y)、ブラック(K)の4種類の小径マイクロカプセル26M、26C、26Y、26Kが内包されており、共振周波数の超音波を受けた小径マイクロカプセルの小径カプセル壁27が破壊され、内部の発色剤31が顕色剤29と混合して反応し、発色する。
例えば、図7(b) は、超音波ラインヘッド9から単一の共振周波数の超音波SがカプセルトナーTに照射されている状態を示している。この場合は、この共振周波数で振動する小径マイクロカプセルのみが破壊されて発色する。また、同図(c) は超音波ラインヘッド9から2つの共振周波数の超音波S1、S2がカプセルトナーTに照射される状態を示している。この場合は、これらの共振周波数S1、又はS2で振動する小径カプセルが破壊されてそれぞれ発色する。
例えば、小径マイクロカプセル26Mの小径カプセル壁27のみが破壊されると、マゼンタ(M)色が発色する。また、小径マイクロカプセル26Cの小径カプセル壁27のみが破壊されるとシアン(C)色が発色する。また、小径マイクロカプセル26Mの小径カプセル壁27と小径マイクロカプセル26Cの小径カプセル壁27が破壊されると、赤色が発色し、小径マイクロカプセル26Cの小径カプセル壁27と小径マイクロカプセル26Yの小径カプセル壁27が破壊されると、青色が発色する。
図8は、上記の超音波ラインヘッド9の外観斜視図である。同図に示す超音波ラインヘッド9は、その長手方向が主走査方向であり、短手方向が副走査方向である。そして主走査方向に後述する超音波素子が形成されている。以下、これについて具体的に説明する。
図9(a) は、超音波ラインヘッド9の上面図であり、同図(b) は個別印加電極の上面図、同図(c) は同図(b) のD−D´矢視断面図、同図(d) は同図(c) のE−E´矢視断面図である。
本例で説明した超音波ラインヘッド9は、同図(c),(d) に示すように、担持体45内に5層の部材を積層して構成され、最下層(第5層)には共通電極(アース)46−5が配設され、第4層には圧電素子である超音波素子46−4が配設され、第3層には主走査方向に短冊状に並んだ個別印加電極46−3が配設され、第2層には超音波素子46−4と超音波伝搬媒体との音響インピーダンスの差を軽減する為の音響インピーダンス整合層46−2が配設され、更に第1層には音響レンズ46−1が配設されている。
超音波素子46−4には個別印加電極46−3と共通電極46−5が接続され、個別印加電極46−3にはそれぞれ個別配線46−3−1が接続されて、前述の超音波出力信号が供給される。超音波素子46−4は上記信号が印加されると歪みを生じ、所定の周波数で超音波振動が励起される。
超音波素子46−4で励起された超音波振動は音響インピーダンス整合層46−2を通して音響レンズ46−1で屈折され、指定位置(指定距離)に集束する。尚、音響インピーダンス整合層46−2は上記のように、超音波素子46−4と超音波伝搬媒体との音響インピーダンスの差を軽減する機能を有している。
ここで、上記指定位置に画素サイズの超音波ビームを集束させる為には超音波素子46−4を微細なサイズに加工することが困難であることと前述の小径カプセル壁34を破壊する為に必要な音圧を1個の超音波素子46−4で得ることが困難であることから、主走査方向及び副走査方向に複数からなる超音波素子46−4の超音波ビームを集束させることによって指定位置に画素サイズの超音波ビームを集束させるようにする。
図10は、主走査方向(X方向)に配設された超音波素子46−4と、超音波素子46−4から出力される超音波の集束位置の関係を示す図である。尚、同図において説明上、超音波素子46−4には紙面の左側から素子番号1、2、3、・・・が付与されている。また、同図に示す集束位置には画素番号(例えば、1〜7168)が付与されている。尚、上記集束位置は、例えば図1及び図2の感光体ドラム6上にカプセルトナーTが静電付着して発色現像部において超音波ラインヘッド9が対峙している位置である。
図11は、上記超音波素子42−4の配設構成の一部を拡大してその作用とともに示す図である。同図は、例えば超音波素子「1」〜「6」までを拡大して示している。同図に示すように、互いに隣り合う超音波素子42−4は間隔dを有して配設されており、同時にm個(例えば5個又は6個)の超音波素子42−4を時間遅延させながら駆動する。
例えば、同図に示すA点について考えると、同時にm個(例えば5個)の超音波素子42−4を時間遅延させて5個の超音波素子42−4の中心(A点)に強力な超音波をあてる。例えば、「1」の超音波素子42−4とA点の距離、「2」の超音波素子42−4とA点の距離、「3」の超音波素子42−4とA点の距離は少しづつ異なり、この距離差と超音波の伝搬速度から5個の各超音波素子42−4の出力タイミングをずらし、所定のタイミングで超音波出力を行う。このように制御することにより、同時にA点に強力な超音波を照射することができる。
また、上記A点に限らず超音波素子42−4からの超音波出力のタイミングを調整することによって、超音波素子42−4の配設ピッチより狭い位置(例えば、1/2dの位置、B点)に複数(同図の例では6個)の超音波素子42−4から出力された超音波ビームを集束させることもできる。これを順次A→B方向に繰り返すことによって大径マイクロカプセル25内の小径マイクロカプセル26の小径カプセル壁27への破壊力をA→B方向に移動させることができる。
図12は、カプセルトナーTの上記とはやや異なる構成を示す図である。本例のカプセルトナーTの構成においては、今まで説明したカプセルトナーTの構成と基本的に同じであるが、本例では、顕色剤29がいままでのように各小径マイクロカプセル26M、26C、26Y、26Kの周面に位置するのではなく、保持層28内に混入されている。このように構成することにより、カプセルトナーTの製造を簡単にすることができる。
尚、この場合大径マイクロカプセル25の直径、及び小径マイクロカプセル26M、26C、26Y、26Kの直径は、図3の場合と同じであり、小径マイクロカプセル26M、26C、26Y、26Kはそれぞれその直径と、小径カプセル壁27の厚さ、材質又は径の大きさによって共振周波数の設定は各小径マイクロカプセル26M、26C、26Y、26K毎に可能であり、選択的に小径マイクロカプセル26M、26C、26Y、26Kを破壊して、画像データに従った発色を行うことができる。
図13は、カプセルトナーTの上記とは更に異なる構成を示す図である。図13に示すように、本例では小径マイクロカプセル(例えば、小径マイクロカプセル26M)は、小径カプセル壁27の内側に発色剤31が内包され、外側に顕色剤29が位置する。さらに、小径カプセル壁27の内部には、殻47に内包された気泡48が封入されている。
この気泡48を上記のように内包すると、気泡48周囲の音響インピーダンスを変化させることができる。具体的には、気泡48の直径と気泡48を包む殻47の材質と厚さによって音響インピーダンスは変化し、上記要素を組み合わすことによって、共振周波数を可変することができる。
例えば、気泡48を内包する場合、前述の小径カプセル壁27の直径、厚さ、材質によって設定された共振周波数は、気泡48の半径や殻47の材質と厚さによって大きく左右される。したがって、例えば小径マイクロカプセル26M、26C、26Y、26K毎に気泡48のサイズ半径等を変えることによって、共振周波数を大きく変えることができる。
このように構成することにより、小径マイクロカプセル26M、26C、26Y、26Kの発色の自由度が増し、共振周波数の選択の幅も拡大することになる。
尚、上記気泡48を内包する小径マイクロカプセルはマゼンタ(M)、シアン(C)、イエロー(Y)、ブラック(K)全てにおいて可能であり、3種類の小径マイクロカプセル26M、26C、26Yを使用する場合、又は2種類の小径マイクロカプセル26Mと26C、26Yと26Kを使用する場合においても適用可能である。
また、図13に示す小径マイクロカプセル26M、26C、26Y、26Kの例では気泡48に殻47が形成されているが、殻47を形成しない構成としてもよい。
上述したカラー画像形成装置において、超音波を受けたカプセルトナーTは、受けた超音波に対応する色の小径マイクロカプセル26(26M、26C、26Y、26K)の小径カプセル壁27のみが破壊される。このメカニズムは、小径マイクロカプセル26の外殻径がそれぞれ異なり、破壊する共振周波数が小径マイクロカプセル26によって異なる為であることは前述した。すなわち小径マイクロカプセルの厚みや材質が同一である場合に直径が大きくなれば超音波の共振周波数は低い方向に移行し、小径カプセル壁27の厚さが厚くなれば共振周波数は高い方向に移行することは前述した。
したがって、大径マイクロカプセル内の各色毎の小径マイクロカプセルの個数を同数にした場合、径が同一であれば体積も同一であるから各色同様の濃度が得られるが、各色毎の小径マイクロカプセルの厚みや材質が同一である場合に径も同一であると、1種類の破壊共振周波数で全ての色が発色してしまうから、それぞれ径を異ならせて、その異なる径に対応する破壊共振周波数で所望の色を個別に発色させるようにしなければならない。
その場合、径が異なる小径マイクロカプセルの各色の個数が同数であると色毎に濃度に差が生じる。そうすると、発色させる色ごとに濃度差を補正するためのソフト上の制御が必要になってくる。これでは面倒であるので、大径マイクロカプセル内の各色毎の小径マイクロカプセルの径を異ならせた上で且つ濃度が同一になるようにする必要がある。
そして、その場合、大径マイクロカプセル内全体としては、各色の濃度を確保するために発色剤の量を増やそうとすれば顕色剤の量が減り、顕色剤の充分な量を確保しようとすると発色剤の量が減少してしまうという問題がある。したがって、本例では、大径マイクロカプセル内の小径マイクロカプセル毎の適正な個数を設定して発色剤の量が各色一定になるようにする。
ここで、本発明における小径マイクロカプセル26の小径カプセル壁27を破壊するために使用する超音波について説明する。前述のようにカプセルトナーTを発色させる際、小径マイクロカプセル26M、26C、26Y、26K内の小径カプセル壁27を超音波で破壊する。この場合、特定の共振周波数の超音波を照射し、小径カプセル壁27を伸張、膨張を複数回繰り返すことによって亀裂を生じさせ、最終的に破壊に導くものである。
先ず、図13に示した気泡48を内包する小径マイクロカプセル26のような液体中の含気カプセルには以下の特徴がある。すなわち、含気カプセルを特定条件におくことによって、非常に大きな振動を起こす。今、含気カプセルの初期半径をRo、液体の密度をρ、平衡時の液体圧力をPo 、超音波による圧力をPa、カプセルのシェルパラメータをSp、カプセル内気圧をPwとした時、そのカプセルの半径(Rt)の運動状態は、以下の式(1)、(2)で表現される。
Figure 2005070486
上記式(1)、(2)、及び各種実験により、選択的に共振する周波数を3種、又は4種選択することによって本実施形態を実現する。
図14は、気泡半径別振幅と周波数依存性を示す図であり、上記式(1)において、小径マイクロカプセル26M、26C、26Yのカプセル半径の変化率をカプセル毎に異ならせた時の共振周波数を表したものである。例えばマゼンタ(M)の小径マイクロカプセル26Mの初期半径をRmとし、シアン(C)の初期半径をRcとし、イエロー(Y)の小径マイクロカプセル26Yの初期半径をRyとした時、それぞれのカプセルの周波数依存性を示す。尚、同図の縦軸はカプセルの振幅(ΔR/Ro)を示す。
上記設定による実験を多数回繰り返すことによって、最大振幅が31%以上膨張すると小径カプセル壁27に亀裂が生じることが確認された。したがって、同図に示すように、膨張率が60%を超える周波数(共振周波数)を持つ超音波を照射することによって小径カプセル壁27を破壊し、発色剤31と顕色剤29を混合反応させて、発色させることができる。
尚、図14では小径マイクロカプセル26Mに照射する共振周波数を26f−mで示し、小径マイクロカプセル26Cに照射する共振周波数を26f−cで示し、小径マイクロカプセル26Yに照射する共振周波数を26f−yで示している。例えば、図7(b) に示した単一の共振周波数の超音波Sを26f−cとすれば、マイクロカプセルTは小径マイクロカプセル26Cを破壊されてシアン色を発色する。また、図7(c) に示した2つの共振周波数の超音波S1、S2をそれぞれ26f−m、26f−yとすれば、マイクロカプセルTは小径マイクロカプセル26Mと26Yを破壊されてオレンジ色を発色する。
図15は、大径マイクロカプセル内に小径マイクロカプセル26M、26C、26Yと更にブラック(K)の小径マイクロカプセル26Kを含む場合の特性を示す図である。この場合、図15から分かるように、上記3種の共振周波数と異なる共振周波数26f−kの設定を行い、ブラック(K)を加えた4種の小径マイクロカプセル26M、26C、26Y、26Kを選択的に破壊することができる。
図16は、上記の超音波照射によって小径マイクロカプセル26M、26C、26Y、26Kが振動する状態を示す図であり、横軸は時間軸を示している。入力した超音波は前述の式(1)に示すように、振動する粗密波として小径カプセル壁27に出力され、その周期に対応して小径カプセル壁27の外径が変動し、伸縮と膨張を繰り返す。
同図に示すように、入力する超音波の影響は順次大きくなり、第1波より直ちに最大振幅になるのではなく、数波の入力によって最大振幅に達する。したがって、最適かつ効果的な振動を得る為、各小径カプセル壁27には少なくとも数波が必要であり、多くの実験から4〜6波の照射によって最大振幅に達することが分かった。そこで、本実施形態では各小径マイクロカプセル26M、26C、26Y、26Kに対する超音波照射は少なくとも上記波数分供給される。
さらに、図16からも判るように、共振周波数Rt-1 又はRt-0.5 の場合と、非共振周波数Rt-2 では振動レベルが極端に異なる。したがって、各小径マイクロカプセル26(26M、26C、26Y、又は26K)に対応する共振周波数を照射することによる、他の小径マイクロカプセル26(26M、26C、26Y、又は26K)に与える影響は極めて小さく、ターゲットとなる小径マイクロカプセル26M、26C、26Y、又は26Kに短時間共振周波数を与えることによって、選択的に効率よくターゲットとなる小径マイクロカプセルを破壊することができる。
図17は、超音波照射の為の出力パルスを示す図である。上記説明の如く単発の出力ではなく、効果的に小径カプセル壁27を破壊する為、例えば画素単位当たり数波(同図の例では4波)の超音波照射を行う。
ところで、上述の説明では、発色現像を全て乾燥現像として説明しているが、超音波ラインヘッドによる発色現像は、液体現像としても良いことは勿論である。むしろ液体現像とした方が、超音波のエネルギーを有効に作用させることができる。以下、この液体現像について、第2の実施の形態として説明する。
図18は、第2の実施の形態におけるカラー画像形成装置の構成を示す図である。尚、同図には本例のカラー画像形成装置50の画像形成部2´のみを取り出して示しており、図1又は図2に示した構成と同一の構成部分には図1又は図2と同一の番号を付与して示している。
また、その他の構成は、図1では左側に在った転写ローラ10が本例の図18では右側に移動したことに応じて、図1に示した給紙部3、用紙搬送部4、及び電源及び制御部5の配置が、本例では画像形成部2´を中心にして左右入れ替わって配置される。
図18に示すように、本例のカラー画像形成装置50において、画像形成部2´は、感光体ドラム6の直下に、感光体ドラム6の下面に接して中間転写ドラム51が配置される。感光体ドラム6が図の矢印aで示す時計回り方向に回転することに対応して、中間転写ドラム51は、感光体ドラム6の周面線速度と同一の周面線速度で図の矢印bで示す反時計回り方向に回転する。
感光体ドラム6と中間転写ドラム51との間には、不図示のバイアス電源により、所定のバイアス電圧が印加されており、これにより、感光体ドラム6上に形成されたカプセルトナー像T1は中間転写ドラム51に転写される。
中間転写ドラム51の下面には、超音波ラインヘッド9の超音波照射部9aと、この超音波照射部9aと一体に形成された液体収容皿52が配置されて、中間転写ドラム51との間に超音波ラインヘッド9の超音波照射部9aと共に発色現像部cを形成している。発色現像部cが形成される間隙、すなわち超音波ラインヘッド9の超音波照射部9a(超音波素子の配設面)から中間転写ドラム51上の発色現像部までの距離は、この超音波ラインヘッド9の超音波集束距離である約2mmに設定されている。
また、上記の液体収容皿52は、液体相の超音波伝播材53を収容している液体容器54と、この液体容器54の中の超音波伝播材53を液体収容皿52に供給する液体送出パイプ55と共に液体供給ユニットを形成している。
液体収容皿52には、液体容器54から液体送出パイプ55を介して供給される液体相の超音波伝播材53が常時満載されており、この超音波伝播材53が発色現像部cにおいて中間転写ドラム51の下面に接するように全体が配置されている。
これにより、中間転写ドラム51と超音波ラインヘッド9先端の超音波照射部9aとが対向する発色現像部cには常に液体相の超音波伝播材53が満たされている状態となり、中間転写ドラム51により発色現像部cへと回転搬送されてくるマイクロカプセルトナーの画素群層(カプセルトナー像T1)は、発色現像部cにおいて液体相の超音波伝播材53に浸漬され、外気等の気体相は間隙に入り込む余地なく排除される。このように、発色現像部cにおいては、液体相の超音波伝播材53が中間転写ドラム51及びカプセルトナー像T1に対し気体相を介在させることなく接触している。
これにより、発色前のカプセルトナー像T1は、超音波ラインヘッド9から、気体相を介在させることなく液体相の超音波伝播材53を介して効率よく集束照射される超音波によって、発色しながら通過し、発色トナーの画素群層(カラートナー像T2)となって次の転写部tへと回転搬送される。
ところで、感光体ドラム6は、乾式電子写真方式の配置現像器であり、これに接触している中間転写ドラム51から残留する超音波伝播材53が移転して付着すると、感光体ドラム6の帯電性能が著しく低下する虞がある。従って、特には図示していないが、中間転写ドラム51の回転方向の転写ローラ10より下流側には、残留する超音波伝播材53を除去する装置が配設されている。
ところで、上記のように残留する超音波伝播材53を除去する装置の配設は、配設する部材が増えて装置全体が大型化するだけでなく、除去によって超音波伝播材53の消耗も促進されるから、最良の形態であるとは言いがたい。
ところが、本発明者による他の方法によれば、このように残留する超音波伝播材53を除去する装置を配設しなくても、中間転写ドラム51から残留する超音波伝播材53が感光体ドラム6に移転しないようにすることができ、且つ、感光体ドラム6から中間転写ドラム51への発色前のカプセルトナー像T1の転写も円滑に行うことができる。以下、これについて、第3の実施の形態として説明する。
図19は、第3の実施の形態におけるカラー画像形成装置の構成を示す図である。尚、同図には本例のカラー画像形成装置の画像形成部のみを取り出して示しており、図18に示した構成と同一の構成部分には図18と同一の番号を付与して示している。
図19に示すカラー画像形成装置56の画像形成部57の構成は、図18に示したカラー画像形成装置50の画像形成部2´の各部の構成と同一であるが、図19においては感光体ドラム6と中間転写ドラム51との配置関係が、図18の場合と異なる。
すなわち、図19に示すカラー画像形成装置56の画像形成部57の構成では、感光体ドラム6と中間転写ドラム51とが非接触となっており、感光体ドラム6と中間転写ドラム51との間には間隙Kが形成されている。このように間隙Kを形成しても、中間転写ドラム51に印加する転写バイアス電圧が適正であれば、マイナス帯電している発色前のカプセルトナー像T1を感光体ドラム6から中間転写ドラム51へ正しく跳び転写させることができる。
良好な跳び転写の性能を維持するには、上記の転写バイアス電圧と間隙Kとの関係が大きく関わってくることが判明している。すなわち、良好な跳び転写性能が得られる印加バイアス電圧値は、間隙Kが広がるに応じて、その広がりにほぼ比例して高い値が必要とされる。
実験によれば、例えば、間隙Kを0.1mmに取った場合は、印加バイアス電圧を1.OkV近辺に取ることで、最も良好な跳び転写性能が得られる。また、間隙Kが0.2mmの場合は、印加バイアス電圧を1.4kV近辺に、間隙Kが0.3mmの場合には、印加バイアス電圧を1.75kV近辺にまで高めると、良好な跳び転写性能を維持することができる。
図20は、上記の実験により得られた転写バイアス電圧と間隙Kとの関係を示す特性図である。同図は横軸に間隙Kをmm(ミリメータ)で表しており、縦軸に印加バイアス電圧のDC電圧をkVで表している。
同図の特性図に示すように、間隙Kが0.1mmのときは、良好な跳び転写性能が得られるDC電圧の範囲は0.9〜1.1kVであり、このデータは、1.0kVを中心に100V程度の範囲で電圧値を変動させても充分に跳び転写性能を維持することができることが確認されたことによる。
また、同様にして、間隙Kが0.2mmのときは、同図に示すように、良好な跳び転写性能が得られるDC電圧の範囲は1.3〜1.5kVである。そして、間隙Kが0.3mmになると、DC電圧を1.75kVから前後に50V程度変動させると、跳び転写画像に乱れを生じ、跳び転写性能の維持が困難になる。すなわち、間隙Kが0.3mmのときは、良好な跳び転写性能が得られるDC電圧の範囲は1.75〜1.8kVが限界であるといえる。
また、間隙Kが0.4mmでは、良好な跳び転写性能が得られるDC電圧の範囲は極めて狭くて殆ど許容範囲を設ける余地がなくなっている。
このように、良好な跳び転写性能を維持できる印加バイアス電圧の範囲は、間隙Kが狭ければ対応可能な印加バイアス電圧値の取り得る範囲は幅広く、間隙Kが広がるほど対応可能な印加バイアス電圧値の取り得る範囲は狭まくなり、したがって、間隙Kが広がるほど電圧の制御が困難となる。
このようなことから、転写バイアス電圧と間隙Kとの関係をまとめると、感光体ドラム6と中間転写ドラム51との非接触対向部における間隙Kは「0.1mm≦K≦0.3mm」の範囲に設定するのが良く、その場合、中間転写ドラム51に印加するバイアス電圧Eは「0.9kV≦E≦1.8kV」の範囲であると良いということになる。
尚、上記中間転写ドラム51への印加バイアス電圧として、DC電圧にAC電圧を重畳させるようにしても跳び転写は可能である。この場合も、特には特性図の図示はしないが、実験によれば、DC電圧+AC電圧のピーク電圧(プラス側)Eaを、上記同様に「0.9kV≦Ea≦1.8kV」の範囲に収まるように設定すると比較的良好な跳び転写性能を得ることができることが判明している。
また、一般に、電子写真式のプリンタには、その印字速度として例えば約32mm/secよりも速いノーマル印字モードの印字速度と、これよりも遅い例えば厚紙などに印字する際の特別印字モードの印字速度(上記の例えば約32mm/sec)が設定されているが、実験によれば、上記の間隙Kの「0.1mm≦K≦0.3mm」の範囲設定に拘わりなく、上記32mm/secよりも速い速度で印字したほうが、良好な、特に精度の優れた、跳び転写性能を得ることが判明した。
第1の実施の形態としてのカラー画像形成装置の全体構成図である。 第1の実施形態のカラー画像形成装置における画像形成部の拡大図である。 第1の実施形態のカラー画像形成装置に用いられるカプセルトナーTの構造を示す図である。 カプセルトナーTに内包される小径マイクロカプセルの構造を説明する図である。 第1の実施形態のカラー画像形成装置の電源及び制御部における制御部の制御回路の構成を説明する図である。 制御部の制御回路における印字制御部の具体的な回路ブロック図である。 (a),(b),(c) はカプセルトナーTが超音波ラインヘッドによって超音波照射を受けて選択的に発色する原理を説明する図である。 超音波ラインヘッドの外観斜視図である。 (a) は超音波ラインヘッドの上面図、(b) はその個別印加電極の上面図、(c) は(b) のD−D´矢視断面図、(d) は(c) のE−E´矢視断面図である。 主走査方向(X方向)に配設された超音波素子とこの超音波素子から出力される超音波の集束位置の関係を示す図である。 超音波素子の配設構成の一部を拡大して示す図である。 顕色剤が各小径カプセル壁の周面に位置するのではなく保持層内に混入されているカプセルトナーの他の構成の例を示す図である。 小径カプセル壁の内部に気泡が封入されている構成を説明する図である。 大径マイクロカプセル内に3色の小径マイクロカプセルを含む場合の気泡半径別振幅と周波数依存性を示す図である。 大径マイクロカプセル内に更にブラック(K)の小径マイクロカプセルを加えた4色の小径マイクロカプセルを含む場合の特性を示す図である。 超音波照射によって複数種の小径マイクロカプセルが振動する状態を示す図である。 超音波照射のための出力パルスを示す図である。 第2の実施の形態におけるカラー画像形成装置の画像形成部の構成を示す図である。 第3の実施の形態におけるカラー画像形成装置の画像形成部の構成を示す図である。 感光体ドラムと中間転写ドラムとの間隙と中間転写ドラムに印加する転写バイアス電圧との関係を示す実験により得られた特性図である。
符号の説明
1 カラー画像形成装置
2、2´ 画像形成部
3 給紙部
4 用紙搬送部
5 電源及び制御部
6 感光体ドラム
7 光書込ヘッド
8 マイクロカプセルトナーホッパ
9 超音波ラインヘッド
9a 超音波照射部
10 転写ローラ
11 初期化帯電ローラ
12 給紙カセット
13 給紙コロ
14 搬送ローラ対
15 ガイド板
16 定着器
17 用紙スタッカ
18 電源部
19 制御部(制御回路)
c 発色現像部
P 記録紙
t 転写部
T カプセルトナー
21 カプセルトナー現像ローラ
25 大径マイクロカプセル
26(26M、26C、26Y、26K) 小径マイクロカプセル
27 小径カプセル壁
28 保持層
29 顕色剤
31 発色剤
32 インターフェース(I/F)
33 印字制御部
34 CPU
35 RAM
36 ROM
37 RGB入力
38 操作パネル
39 プリンタコントローラ
40 印字部
41 主走査/副走査制御回路
42 論理和回路
43 発振回路
44M マゼンタ発色制御回路
44C シアン発色制御回路
44Y イエロー発色制御回路
44K ブラック発色制御回路
45 担持体
46−1 音響レンズ
46−2 音響インピーダンス整合層
46−3 個別印加電極
46−3−1 個別配線
46−4 超音波素子
46−5 共通電極
47 殻
48 気泡
50 カラー画像形成装置
51 中間転写ドラム
52 液体収容皿
53 超音波伝播材
54 液体容器
55 液体送出パイプ
56 カラー画像形成装置
57 画像形成部

Claims (6)

  1. 所定の刺激によって破壊可能なカプセル壁で囲繞された複数種の小径マイクロカプセルを支持材に分散内包する大径マイクロカプセルから成り、互いに混合されて発色反応を起こす反応性物質の一方を前記各々の小径マイクロカプセル壁内側に分散し、前記反応性物質の他方を前記各々の小径マイクロカプセル壁外側の前記支持材に分散して成るマイクロカプセルトナーを用いて所定の印字速度でカラー画像を形成するカラー画像形装置であって、
    前記マイクロカプセルトナーを複数種の色の画像データの論理和より合成されたデータに基づいて画素に対応するサイズの画素群層でトナー像担持体上に乾式写真方式により配置現像する配置現像手段と、
    前記トナー像担持体に所定の位置で非接触で対向し該対向部において前記配置現像手段により配置現像された前記マイクロカプセルトナーの画素群層を所定の印加電圧により非接触転写され該非接触転写された前記マイクロカプセルトナーの画素群層を少なくとも発色現像部まで搬送する中間転写部材と、
    該中間転写部材上に配置現像されている前記マイクロカプセルトナーの画素群層に対し前記発色現像部において気体相を介在させることなく液体相の超音波伝播材を介して画素サイズに収束された複数種の周波数の超音波を選択的に照射することにより、各周波数ごとに選択的に反応する前記小径マイクロカプセルの外殻を破壊し、この外殻により分離されていた発色剤と顕色剤とを反応させて所定の色を発色させる発色手段と、
    を備えたことを特徴とするカラー画像形成装置。
  2. 前記複数種の色は、マゼンタ、シアン、及びイエロー、又は、マゼンタ、シアン、イエロー、及びブラックであることを特徴とする請求項1記載のカラー画像形成装置。
  3. 前記発色手段は、超音波照射素子を直線アレイ状に配置してなる超音波ラインヘッドと、該超音波ラインヘッドの超音波照射部と一体に形成され前記液体相の超音波伝播材を常時満載し前記発色現像部において前記液体相の超音波伝播材が前記中間転写部材及び前記マイクロカプセルトナーの画素群層に気体相を介在させることなく接触するように配置された液体収容皿と、
    を備えていることを特徴とする請求項1記載のカラー画像形成装置。
  4. 前記トナー像担持体と前記中間転写部材との非接触対向部における間隙Kは「0.1mm≦K≦0.3mm」であり、前記所定の印加電圧Eは「0.9kV≦E≦1.8kV」である、ことを特徴とする請求項1記載のカラー画像形成装置。
  5. 前記所定の印加電圧は、DC電圧にAC電圧を重畳させた電圧のピーク電圧である、ことを特徴とする請求項4記載のカラー画像形成装置。
  6. 前記所定の印字速度は、少なくとも32mm/secよりも速い速度である、ことを特徴とする請求項1記載のカラー画像形成装置。

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