JP2004245780A - 測距装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】汎用性が高く、廉価で高精度の測距装置を提供すること。
【解決手段】被写体に向けて測距用光を投射するIRED1から測距用光を被写体に向けて投射した際の被写体からの反射光を受光して、その反射光の受光位置に応じた光電流を出力する一対の出力電極を備えた受光素子4と、この受光素子4が有する一対の出力電極のうち、一方の出力電極と接続された入力端子と所定電圧Vrefに固定された入力端子とを有する増幅回路と、受光素子4が有するもう一方の出力電極をオープン状態又は所定電圧Vrefに切り換えるスイッチ13とを備える。
【選択図】 図1
【解決手段】被写体に向けて測距用光を投射するIRED1から測距用光を被写体に向けて投射した際の被写体からの反射光を受光して、その反射光の受光位置に応じた光電流を出力する一対の出力電極を備えた受光素子4と、この受光素子4が有する一対の出力電極のうち、一方の出力電極と接続された入力端子と所定電圧Vrefに固定された入力端子とを有する増幅回路と、受光素子4が有するもう一方の出力電極をオープン状態又は所定電圧Vrefに切り換えるスイッチ13とを備える。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は測距装置、より詳しくはアクティブ方式の測距装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
通常、測距装置における測距方式には、人間の両眼と同様な一対の像検出手段を用いて被写体の像信号を検出しこの検出した像信号に基づいて測距を行う、所謂、「パッシブ方式」と、被写体に赤外光などの信号光を投射したときの被写体からの反射信号光を受光素子によって受光したときの反射信号光の強さや光の入射位置から被写体の距離を算出する、所謂、「アクティブ方式」とがある。
【0003】
このうち、パッシブ方式においては、被写体にコントラストがない場合には正しい測距を行うことが困難である。また、測距専用の半導体センサが必要であるので測距装置のコストが高くなってしまう。
【0004】
一方、アクティブ方式の場合には、測距専用でない汎用的な部品のみでも装置を構成できるので、パッシブ方式に比べて低コストで製造することができる。そこで、本出願人は特許文献1において、アクティブ方式を用いた測距装置の更なる低コスト化についての提案を行っている。これは、マイクロコンピュータ等のチップ内にアクティブ方式の測距回路を内蔵させるものである。
【0005】
【特許文献1】
特開2000−352512号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、マイクロコンピュータ等の技術進歩のスピードはアナログ回路部品の技術進歩のスピードに比べて速いので、せっかくプロセス上の工夫を凝らして測距回路のワンチップ化を推し進めても、マイクロコンピュータに用いられているコアやRAM、ROM等がすぐに時代遅れのものとなってしまう。このため、特許文献1において提案されているようなマイクロコンピュータは数多くの製品に利用することが困難な汎用性の低いものであった。
【0007】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたもので、汎用性が高く、廉価で高精度の測距装置を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、本発明による測距装置は、被写体に向けて測距用光を投射する投光手段と、上記投光手段により上記測距用光を被写体に向けて投射した際の被写体からの反射光を受光して、その反射光の受光位置に応じた光電流を出力する一対の出力電極を備える光位置検出手段と、上記光位置検出手段が有する一対の出力電極のうち、一方の出力電極と接続された入力端子と所定電圧に固定された入力端子とを有する増幅回路と、上記光位置検出手段が有するもう一方の出力電極をオープン状態又は上記所定電圧と同じ大きさの電圧に固定された状態に切り換えるスイッチ手段とを具備することを特徴とする。
【0009】
また、上記の目的を達成するために、本発明による測距装置は、被写体に向けて測距用光を投射する投光手段と、上記投光手段により上記測距用光を被写体に向けて投射した際の被写体からの反射光を受光して、その反射光の受光位置に応じた光電流を出力する一対の出力電極を備える光位置検出手段と、上記光位置検出手段が有する一対の出力電極のうち、一方の出力電極と接続された第1の入力端子と所定電圧に固定された第2の入力端子とを有する第1の増幅器と、上記光位置検出手段が有するもう一方の出力電極と接続された第1の入力端子と上記所定電圧と同じ大きさの電圧に固定された第2の入力端子とを有する第2の増幅器と、上記第2の増幅器が有する第1の入力端子をオープン状態又は上記所定電圧と同じ大きさの電圧に固定された状態に切り換えるスイッチ手段とを具備することを特徴とする。
【0010】
また、上記の目的を達成するために、本発明による測距装置は、被写体に投射した光の反射信号光と背景光とが入射したときに、その入射位置に応じた一対の光電流信号を出力する光位置検出手段と、上記光位置検出手段から出力される光電流信号を積分する積分回路と、上記一対の光電流信号の和を上記積分回路によって積分した積分値と、上記一対の光電流信号の一方のみを上記積分回路によって積分した積分値との比を演算する演算手段とを具備することを特徴とする。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。それに先立って、まず、本発明で用いるアクティブ方式の測距装置の原理について説明する。
【0012】
アクティブ方式の測距には、被写体から反射してきた反射信号光の光量が測距装置から遠い距離の被写体では減少し、近い距離の被写体では増加するという、光量測距の原理に基づいて被写体の遠近の判断を行うものと、投受光レンズ間距離、所謂、基線長だけ隔てて配置された投受光素子を用いて三角測距の原理によって、より正確な遠近の判断を行うものの2種類がよく知られている。なお、アクティブ方式の測距には他にも、投射した光が反射してくるスピードによって被写体の距離を求めるレーダー方式などもある。しかし、このレーダー方式は回路が複雑なので、特別な用途では用いられるが、カメラのような携帯用機器で用いられることは少ない。
【0013】
図3(A)は、光投射型の三角測距の原理を説明するための測距装置の構成図である。測距時においては、赤外発光ダイオード(IRED)1からの赤外光が、投光レンズ2によって集光された後、対象物(被写体)30に投射される。この後、対象物30からの反射光が受光レンズ3を介して受光素子4で受光される。なお、この受光素子4には入射した光の光量及び光の入射位置に応じた光電流を出力する光位置検出素子(PSD)を用いる。なお、PSDは、基線長方向に対して配置されており、その両端に2つの出力電極を有する。そして、PSDの両電極が同一の電位であるとき、各々の出力電極からは、光の入射位置と各々の電極との距離に応じた光電流が分流されて出力される。つまり、PSDの中央に光が入射したときには、1:1で分流されるので、PSDのそれぞれの電極からは等しい大きさの光電流が出力される。
【0014】
ここで、PSDへの光の入射位置は被写体距離Lによって変化するので、入射位置xが検出できれば被写体距離Lを算出することができる。つまり、図に示すように、投光レンズ2と受光レンズ3との間の距離を基線長B、受光レンズの焦点距離をfとし、受光レンズ3の光軸を原点としたときの反射光の入射位置をxとすると、被写体距離Lに対して
x=B・f/L (式1)
の関係を持つ。B・fは設計時に決定される一定の値であるのでxを検出することにより、被写体距離Lは、
L=B・f/x (式2)
となる。
【0015】
ここで、PSDの何れか一方の出力電極が受光レンズ3の光軸上に存在するものとする。このとき、PSDの両電極間の長さをtとし、PSDの両電極から出力される光電流の和をiP0とすると、各電極から出力される光電流iP1及びiP2は、それぞれ(式3)及び(式4)で表される。
iP1=iP0・(x/t) (式3)
iP2=iP0−iP1 (式4)
ここで、(式3)から、
x=(iP1/iP0)・t (式5)
となる。つまり、xは光電流iP0及びiP1を検出することによって求めることができる。なお、iP0は被写体距離Lの二乗に対して逆比例の関係を持つが、この関係は投光素子(ここではIRED)からの投光量が一定であり、かつ、被写体の反射率が一定のときにのみ成り立つ。
【0016】
[第1の実施の形態]
次に本発明の第1の実施の形態について図1を参照して説明する。図1はアクティブ方式の光量測距と三角測距とを併用した測距装置である。ただし、ここでは光量測距の測距装置として三角測距の測距装置を利用している。
【0017】
光量測距には、測距結果が電源に電池を使用した場合の電圧変化や被写体の反射率に依存してしまうという欠点がある。しかし、このような欠点は三角測距を用いて克服することができる。このことは前述の(式2)から明らかである。つまり、三角測距においては、(式2)のように被写体距離LがB、f、及びxのみで決まるので、正しいxを求めることができれば正しい距離を算出することが可能である。しかし、被写体が遠距離に存在している場合には、受光素子への入射光量が減少するので正しいxを求めることができない。このような場合には、単純な光量測距を用いて測距を行ったほうが、測距精度が向上する。
【0018】
本実施の形態では、これらの2つの測距方式を適切に切り換えるために、トランジスタをスイッチとして用いて(以下、このトランジスタを含むスイッチ回路をスイッチ13と称する)、演算増幅器(オペアンプ)6bの帰還ループのON/OFFを制御することにより、受光素子(PSD)4が出力する光電流を制御する。ここで、スイッチ13は特許請求の範囲に記載の「スイッチ手段」に対応し、PSD4は特許請求の範囲に記載の「光位置検出手段」に対応する。また、オペアンプ6bは特許請求の範囲に記載の「第2の増幅器」に対応する。
【0019】
つまり、スイッチ13のトランジスタのベース電流を低下させるとオペアンプ6bが「オープン状態」となる。このため、PSD4からの光電流ipは全てオペアンプ6a側に流れる。
【0020】
図1において抵抗7、及びコンデンサ5a,5bはハイパスフィルタを構成している。このハイパスフィルタはPSD4からの出力光電流のうち、定常的に変化する成分(低周波成分)をカットして、交流的に変動する成分のみをオペアンプ6a側に通過させる。
【0021】
つまり、スイッチ14を連続的にON/OFFさせて、パルス的な赤外光をIRED1から被写体30に投射した場合には、PSD4で受光した被写体30からの反射信号光のうち、パルス的に変調された成分のみがハイパスフィルタを通過する。以下、この変調成分の光電流をiPとする。一方、PSD4に反射信号光と共に入射してくる太陽光や人工照明などの定常的な光成分はハイパスフィルタでカットされ、抵抗7を介してGNDに流れる。ここで、IRED1は特許請求の範囲に記載の「投光手段」に対応する。
【0022】
ハイパスフィルタを通過した光電流iPはトランジスタ8の増幅作用によって電流増幅率β倍に増幅された後、抵抗11a,11b及びペアのpnpトランジスタ9によって構成されたカレントミラー回路を介して積分コンデンサ12に流入し、積分コンデンサ12を充電する。ここで、ハイパスフィルタ、オペアンプ6a、及びトランジスタ8を含む回路が特許請求の範囲に記載の「増幅回路」に対応する。また、オペアンプ6aは特許請求の範囲に記載の「第1の増幅器」に対応する。
【0023】
なお、積分コンデンサ12の充電、つまり、積分動作はカレントミラー回路をOFFすることにより停止させることができるが、これはCPU10のオープンドレイン出力端子17(以下、INT端子17と称する)をONして抵抗11bの電位を低下させればよい。更に、積分コンデンサ12に蓄積された電荷を初期化する場合には、CPU10のオープンドレイン出力端子18(以下、RST端子18と称する)をONして積分コンデンサ12の両端を接地すればよい。ここで、積分コンデンサ12及びこの積分コンデンサ12の積分制御を行うCPU10などを含む回路が特許請求の範囲に記載の「積分回路」に対応する。
【0024】
また、前述したスイッチ13やIRED1のON/OFFを行うスイッチ14も、それぞれCPU10のオープンドレイン出力端子19,20(それぞれ、CH端子19及びIRED端子20と称する)を利用してON/OFF制御することが可能である。
【0025】
ここで、CPU10にはワンチップマイクロコンピュータ等を用いる。近年のマイクロコンピュータは前述したオープンドレイン端子や、アナログ/デジタル(A/D)変換回路が内蔵されていることが多い。これらはCPU10に内蔵されたROMに記録されたプログラムなどに従って、CPU10内部の制御部16によって制御される。
【0026】
また、オペアンプはその入力端子が内部のトランジスタのベース端子である。つまり、図1において、トランジスタ8のベースは光電流iP=0の状態であっても、オペアンプ6aの入力端子のベース電流ibによって常にバイアスされた状態になっている。したがって、このときのトランジスタ8のコレクタ電流はβibとなる。一方、IRED1を発光させた場合には、トランジスタ8のベース電流がib+ipとなるので、トランジスタ8のコレクタ電流はβ(ib+iP)となる。
【0027】
また、本実施の形態において、オペアンプ6a,6bの+側入力は所定電圧Vrefに固定されている。スイッチ13がON、つまり、オペアンプ6bの帰還ループがONしている間は、コンデンサ5a,5bのオペアンプ側の電位は何れも、オペアンプのイマジナリショート(仮想短絡)効果により同電位Vrefである。したがって、PSD4で発生した光電流は、PSD4に入射した反射信号光の入射位置に応じてiP1とiP2に分流し、その後、ハイパスフィルタ、オペアンプ6a、及びトランジスタ8で構成される増幅回路には光電流iP1が流れる。
【0028】
一方、スイッチ13がOFFしてオペアンプ6bの帰還ループがOFFすると、図3(B)のような等価回路となる。このとき、オペアンプ6bの−側端子はオープン状態となる。このため、PSD4で発生した光電流は分流せずに、全てオペアンプ6a側に流れる。つまり、この場合には光電流の和iP0=iP1+iP2が増幅回路に流れる。
【0029】
したがって、スイッチ13をON/OFFすることにより光電流iP0及びiP1を検出すれば、前述の(式5)に従ってxを求めることが可能である。なお、これらの電流値iP0及びiP1は前述の積分コンデンサ12の積分電圧VINTをA/D変換回路15を介して読み込むことにより検出する。
【0030】
つまり、図2に示すようなタイミングチャートに従ってCPU10の各端子のnチャネルトランジスタをON/OFF制御すれば、PSD4からの出力光電流iPの大きさに応じて積分電圧VINTがVINT0からVINT1まで増加する。なお、VINT0はIRED1を発光させないで積分を行った場合の積分コンデンサ12の積分電圧であり、VINT1はIRED1を発光させて積分を行った場合の積分コンデンサ12の積分電圧である。ここで、積分コンデンサ12の容量をCINT、INT端子17のオープン時間をtINT、積分回数をp回とすると、
VINT0=p・βib・tINT/CINT (式6)
VINT1=p・β(iP+ib)・tINT/CINT (式7)
が成立する。これら(式6)、(式7)から、
VINT1−VINT0=p・βiP・tINT/CINT (式8)
となるので、p、β、tINT、及びCINTを一定にしておけば、VINT1−VINT0を求めることにより光電流iPを算出することができる。
【0031】
そこで、本実施の形態では、IRED1の発光の有無、及び、CH端子19のON/OFF制御を切り換えて、図4に示すような、各々p回の積分動作を1セットとする3セットの積分を行う。その後、CPU10に内蔵されているA/D変換回路15を介して積分電圧V0、V1、及びV2を読み込む。次にこれらの積分電圧の値からV1−V0を求めることによりiP0を、また、V2−V0を求めることによりiP1を求める。これらを(式5)に代入してxを求め、(式2)から被写体距離Lを算出する。
【0032】
図5は、以上のような考え方に基づいた測距時の制御手順を示すフローチャートである。
ステップS1〜S13まではCH端子19を“H”レベル(OFF)とした状態での積分である。ここでは、まずCH端子19を“H”レベルとした後(ステップS1)、RST端子18を“H”レベルにしてRST端子18のリセット状態を解除し(ステップS2)、積分を開始させる(ステップS3)。次にCPU10は所定時間tINT経過後に、基準となる所定回数p回の積分が行われたか否かを判定する(ステップS4)。まだ、所定回数pの積分が行われていないと判定した場合には、ステップS3に戻り積分を継続させる。一方、所定回数pの積分が行われたと判定したときには、そのときの積分コンデンサ12の積分電圧V0をA/D変換回路15を介して読み込む(ステップS5)。
【0033】
積分電圧V0の読み込みが終了した後、RST端子18を一旦、“L”レベルにして、積分コンデンサ12に蓄積された電荷を初期化する。そして、再び、RST端子18を“H”レベルに戻す(ステップS6)。同時に、IRED1を発光させて積分を開始させる(ステップS7)。なお、ここでの積分は図4に示すように、IRED1の発光タイミングと同期させて行う。所定時間tINT経過後、CPU10は、所定回数pの積分が行われたか否かを判定する(ステップS8)。まだ、所定回数pの積分が行われていないと判定した場合には、ステップS7に戻り積分を継続させる。一方、所定回数pの積分が行われたと判定したときには、そのときの積分コンデンサ12の積分電圧V1をA/D変換回路15を介して読み込む(ステップS9)。
【0034】
次のステップS10〜S14まではCH端子19を“L”レベル(ON)とした状態での積分である。ここでは、まずCH端子19を“L”レベルとした後(ステップS10)、RST端子18を一旦、“L”レベルにして、積分コンデンサ12に蓄積された電荷を初期化する。そして、再び、RST端子18を“H”レベルに戻す(ステップS11)。同時に、IRED1を発光させて積分を開始させる(ステップS12)。なお、ここでの積分もIRED1の発光タイミングと同期させて行う。所定時間tINT経過後、CPU10は、所定回数pの積分が行われたか否かを判定する(ステップS13)。まだ、所定回数pの積分が行われていないと判定した場合には、ステップS12に戻り積分を継続させる。一方、ステップS13の判定において所定回数pの積分が行われたと判定したときには、そのときの積分コンデンサ12の積分電圧V2をA/D変換回路15を介して読み込む(ステップS14)。
【0035】
積分電圧V0、V1、V2を検出した後はこれらの値を利用して被写体の遠近を判定し、被写体距離Lを求める。以後の説明では、被写体までの距離が近い場合を近距離L0、被写体までの距離が遠い場合を遠距離L2、その間の距離を中距離L1とする。これらは、L0<L1<L2の関係を有する。
【0036】
まず、V1−V0、つまり、iP0を計算する。そして、この計算値が所定値ΔV(特許請求の範囲に記載の所定量)よりも小さいか否かを判定する(ステップS15)。V1−V0が所定値ΔVよりも小さいと判定した場合には、被写体距離Lが遠距離L2であると判定して(ステップS16)、本フローチャートの制御を終了する。この場合には、光量測距によって被写体距離を求めることになる。
【0037】
一方、ステップS15の判定において、V1−V0が所定値ΔV以上であると判定した場合には、三角測距により被写体距離を求めることができる。この場合には、更にV2−V0を計算する。そして、V2−V0とV1−V0の比、即ち、iP1/iP0を求める。次に、この比が所定の判定値R1よりも小さいか否かを判定する(ステップS17)。この比を求める演算が特許請求の範囲に記載の「演算手段」に対応する。このステップS17の判定の結果、iP1/iP0が判定値R1よりも小さいと判定した場合には、中距離L1であると判定して(ステップS18)、本フローチャートの制御を終了する。一方、ステップS17の判定において、iP1/iP0が判定値R1以上であると判定した場合には、近距離L0と判定して(ステップS19)、本フローチャートの制御を終了する。
【0038】
以上説明したように、本実施の形態によれば、CPU10に一般的に内蔵されている機能と、単純な汎用部品のみで、被写体の反射率や電池電圧の変化の影響を受けにくい、三角測距方式を用いた測距装置を提供することができる。汎用のオペアンプは2個を1パッケージとして構成されたものが多い。また、抵抗を含むトランジスタ回路(スイッチ13やスイッチ14)や2個で1セットとなった複合トランジスタ(トランジスタ9等)も廉価、かつ、小型のものが種々提案されている。このため、測距装置を低コストで製造でき、省スペース化にも繋がる。
【0039】
[第2の実施の形態]
次に、図6を参照して本発明の第2の実施の形態について説明する。この第2の実施の形態では、カレントミラー回路を省略して、代わりにアナログスイッチ12aを用いて積分のON/OFFを行うものである。また、抵抗12bには高抵抗を用いている。この抵抗12bは時間の経過に従って積分コンデンサ12から電荷を放電させるための放置リセット用の抵抗である。
【0040】
この図6の回路においては、アナログスイッチ12aをIRED1の発光に同期させてONすることにより、積分コンデンサ12には光電流に応じた電圧が発生する。この電圧をCPU10に内蔵の図示しないA/D変換回路を介して読み込んで光電流の検出を行う。
【0041】
なお、本実施の形態では、2個で1パッケージとなったアナログスイッチを有効に利用するために、PSD4から出力される光電流の分流用にアナログスイッチ13aを用いている。このアナログスイッチ13aは前述のスイッチ13に対応するものであり、アナログスイッチ13aをONすることによりPSD4の出力光電流はiP1とiP2とに分流する。一方、アナログスイッチ13aをOFFすれば、PSD4の出力光電流は分流せず、光電流の和iP0(=iP1+iP2)が増幅回路に流れ込む。
【0042】
以上説明したように、本実施の形態では、カレントミラー回路を用いずに前述の第1の実施の形態と同様の動作を行わせることができる。
【0043】
[第3の実施の形態]
次に本発明の第3の実施の形態について図7を用いて説明する。この第3の実施の形態は、オペアンプを用いずに、トランジスタ(トランジスタ30,トランジスタ32)及び抵抗(抵抗31,抵抗33)のみで回路を構成した例である。前述のオペアンプを用いた例では、+側端子を基準の所定電圧Vrefに固定したオペアンプのイマジナリショート効果により、光電流が入力されるオペアンプ6aの−側の端子も所定電圧Vrefに固定していた。しかし、本実施の形態ではVCCとVBEの電位に対してPSD4からの光電流が流れることになる。
【0044】
CPU10は接地スイッチ34をON/OFF制御することによりPSD4の出力光電流を制御する。つまり、接地スイッチ34を接地状態としない場合には、トランジスタ30b及び32bがOFFする。これにより、PSD4からの出力光電流は全てトランジスタ30a側に流入する。一方、接地スイッチ34を接地状態とした場合には、トランジスタ30a及び32bのベース電位が等しくなり、PSD4からの出力光電流はiP1とiP2とに分流する。その結果、光電流iP1のみが増幅回路で増幅される。
【0045】
以上説明したように、本実施の形態では、オペアンプを用いずに前述の第1及び第2の実施の形態と同様の動作を行わせることができる。
【0046】
[第4の実施の形態]
次に、本発明の第4の実施の形態について説明する。本第4の実施の形態は、その構成は第1の実施の形態と同様であるが、CPU10による測距時、特に積分制御の制御手順が異なっている。
【0047】
前述した制御手順では1セット目から3セット目まで、全て同じ積分回数pで積分制御を行うようになっているので、反射率の高い被写体の場合、つまり、反射信号光の光量が大きい場合であっても積分電圧が飽和しないような積分回数を設定する必要がある。しかし、この場合、被写体の反射率が低いときには積分電圧が低くなってしまう。このときには、低いS/N比で測距を行うことになり測距精度の劣化が危惧される。
【0048】
そこで、本実施の形態では図8のようなタイミングチャートに従った制御を行う。図8において、まず、CH端子19を“H”とした状態で1セット目と2セット目の積分を行う。この1セット目と2セット目の積分における積分回数は、投光光量のばらつきや増幅率のばらつきによる誤差を考慮して、積分電圧が確実に飽和しないような所定の積分回数qに設定しておく。そして、1セット目のIRED1の発光無しの積分と2セット目のIRED1の発光有りの積分を行う。その後、2セット目の積分で得られた積分電圧V1の大きさに応じて次の3セット目の積分回数rを決定し、3セット目の積分を行う。この3セット目の積分回数rの決定方法については後に述べる。
【0049】
このようにして3セット目の積分制御を行うようにすることで、反射率が高い被写体であっても積分電圧を飽和させずに積分を行うことができ、かつ、反射率が低い被写体であっても十分なS/N比を確保して測距を行うことが可能となる。図9は、本実施の形態における測距時の制御手順を示すフローチャートである。
【0050】
図9において、積分電圧V0及びV1を取得するステップS40〜S48までは前述の図5と同様であるが、簡単に説明する。まず、CH端子19を“H”とした状態で、IRED1を発光させずに積分回数q回の積分を行って積分電圧V0を取得する。次に、IRED1を発光させて積分回数q回の積分を行い、積分電圧V1を取得する。
【0051】
積分電圧V1を取得した後、CH端子19を“L”に切り替える(ステップS49)。次に3セット目の積分回数rを算出する(ステップS50)。ここで、3セット目の積分回数rを求める方法を図10(A)及び10(B)を用いて説明する。
【0052】
図10(A)は3セット目の積分回数rを演算によって求める方法である。つまり、積分コンデンサ12の飽和電圧をVsatとすると、図8に示すように積分電圧V1とV2はその傾きが等しいので、積分コンデンサ12が飽和しない積分回数rは次式で求めることができる。
r=INT(Vsat・q・α・/V1) (式9)
ここで、INTは括弧の中の整数部を取り出すという意味である。また、αはVsatに対する余裕率であり1以下の値を用いる。例えば、積分電圧V2を飽和電圧Vsatの80%にする場合には、α=0.8となる。(式9)により積分回数rが設定された後は図10(A)のフローチャートを抜けて、図9のステップS51以後の制御を行う。
【0053】
一方、図10(B)はV1の値を所定の判定値VRと比較し、この比較結果に基づいて、予め設定された積分回数r1及びr2のうちの何れかを3セット目の積分回数として選択するものである。ここで、積分回数r1及びr2はr1>r2の関係を持つものとする。
【0054】
つまり、V1が得られた後、このV1が所定の判定値VRよりも小さいか否かを判定する(ステップS70)。このステップS70の判定の結果、V1がVRよりも小さいと判定した場合には、積分回数をより多く設定できるr1を積分回数rとした後(ステップS71)、このフローチャートを抜けて、図9のステップS51以後の制御を行う。一方、ステップS70の判定の結果、V1がVR以上であると判定した場合にはr2を積分回数rとした後(ステップS72)、このフローチャートを抜けて、図9のステップS51以後の制御を行う。
【0055】
ここで、再び図9の説明に戻る。ステップS50において積分回数rが設定された後、RST端子18を一旦、“L”レベルにして、積分コンデンサ12に蓄積された電荷を初期化する。そして、再び、RST端子18を“H”レベルに戻す(ステップS51)。同時に、IRED1を発光させて積分を開始させる(Sステップ52)。所定時間tINT経過後、CPU10は、所定回数r回の積分が行われたか否かを判定する(ステップS53)。まだ、所定回数rの積分が行われていないと判定した場合には、ステップS52に戻り積分を継続させる。一方、所定回数rの積分が行われたと判定したときには、そのときの積分コンデンサ12の積分電圧V2をA/D変換回路15を介して読み込む(ステップS54)。
【0056】
積分電圧V0、V1、V2を求めた後はこれらの値を利用して被写体距離Lを算出する。まず、V1−V0を計算して、この計算値が所定値ΔVよりも小さいか否かを判定する(ステップS55)。V1−V0が所定値ΔVよりも小さいと判定した場合には、被写体距離Lが遠距離L2であると判定して(ステップS56)、本フローチャートの制御を終了する。
【0057】
一方、ステップS55の判定において、V1−V0が所定値ΔV以上であると判定した場合には、三角測距により被写体距離を求めることができる。ただし、V0及びV1は積分回数がq回でのA/D値である。そこで、積分回数をr回とした場合の値に換算するためにV0及びV1の値にr/qを乗じたV0´(=V0・r/q)及びV1´(=V1・r/q)を以後の演算に用いる。なお、V2はそのままである。また、図5の所定の判定値R1は比を示す値であるので、積分回数の影響はない。そこで、ここでは、第1の実施の形態と同じ判定値R1を用いている。
【0058】
そして、V2−V0´を計算する。次に、V2−V0´とV1´−V0´との比を求める。次に、この比がR1よりも小さいか否かを判定する(ステップS57)。このステップS57の判定の結果、V2−V0´とV1´−V0´との比がR1よりも小さいと判定した場合には、中距離L1であると判定して(ステップS58)、本フローチャートの制御を終了する。一方、ステップS57の判定において、V2−V0´とV1´−V0´との比がR1以上であると判定した場合には、近距離L0と判定して(ステップS59)、本フローチャートの制御を終了する。
【0059】
[第5の実施の形態]
次に、第5の実施形態における測距時の制御手順を図11のフローチャートに示す。
【0060】
この図11のフローチャートは、図9のステップS55に相当する遠距離の判定を行う処理を、積分電圧V1を読み込んだ後すぐに行うものである。つまり、図11において、積分電圧V1のA/D読み込みが終了した後(ステップS88)、V1−V0を計算して、この計算値が所定値ΔVよりも小さいか否かを判定する(ステップS89)。このステップS89の処理が特許請求の範囲に記載の「遠距離判定手段」の機能に対応するものである。
【0061】
V1−V0が所定値ΔVよりも小さいと判定した場合には、被写体距離Lが遠距離L2であると判定して(ステップS90)、本フローチャートの制御を終了する。
【0062】
一方、ステップS89の判定の結果、V1−V0が所定値ΔV以上であると判定した場合には、CH端子19を“L”に切り換えた後(ステップS91)、3セット目の積分を開始する。なお、この3セット目の積分制御は図9のステップS59〜S54及びステップS57〜S59と同様であるので説明を省略する。
【0063】
以上説明した図11のフローチャートに従って制御を行えば、被写体が遠距離に存在する場合にはステップS89からステップS90に分岐する。この場合には図9のステップS49〜S54に相当するステップS91〜S96までの動作が行われないので、測距時間を短縮することができるだけでなく、余計なIRED発光をする必要がなく省エネルギー化にも繋がる。
【0064】
なお、図11のフローチャートは図9のフローチャートにおけるステップS55をステップS49の前に移動させたものであるが、第1の実施の形態に本第5の実施の形態を適用する、つまり、図5のフローチャートにおけるステップS15をステップS10の前に移動させても第5の実施の形態の効果が得られることは勿論である。
【0065】
以上実施の形態に基づいて本発明を説明したが、本発明は前述した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内で種々の変形や応用が可能なことは勿論である。
【0066】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明によれば、汎用性が高く、廉価で高精度の測距装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る測距装置の回路構成図である。
【図2】積分電圧から光電流を算出する方法を説明するためのタイミングチャートである。
【図3】三角測距方式による測距装置の回路構成図である。
【図4】本発明の第1の実施の形態における測距時のタイミングチャートである。
【図5】本発明の第1の実施の形態における測距時の制御手順を示すフローチャートである。
【図6】本発明の第2の実施の形態に係る測距装置の回路構成図である。
【図7】本発明の第3の実施の形態に係る測距装置の回路構成図である。
【図8】本発明の第4の実施の形態における測距時のタイミングチャートである。
【図9】本発明の第4の実施の形態における測距時の制御手順を示すフローチャートである。
【図10】3セット目の積分回数を求める手順を説明するためのフローチャートである。
【図11】本発明の第5の実施の形態における測距時の制御手順を示すフローチャートである。
【符号の説明】1…赤外発光ダイオード(IRED)、2…投光レンズ、3…受光レンズ、4…受光素子(PSD)、5a,5b…コンデンサ、6a,6b…演算増幅器(オペアンプ)、7,11a,11b,12b…抵抗、8,9,30a,30b…トランジスタ、10…CPU、12…積分コンデンサ、13,14…スイッチ、12a,13a…アナログスイッチ、15…アナログ/デジタル(A/D)変換回路、16…制御部、17…INT端子、18…RST端子、19…CH端子、20…IRED端子、34…接地スイッチ
【発明の属する技術分野】
本発明は測距装置、より詳しくはアクティブ方式の測距装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
通常、測距装置における測距方式には、人間の両眼と同様な一対の像検出手段を用いて被写体の像信号を検出しこの検出した像信号に基づいて測距を行う、所謂、「パッシブ方式」と、被写体に赤外光などの信号光を投射したときの被写体からの反射信号光を受光素子によって受光したときの反射信号光の強さや光の入射位置から被写体の距離を算出する、所謂、「アクティブ方式」とがある。
【0003】
このうち、パッシブ方式においては、被写体にコントラストがない場合には正しい測距を行うことが困難である。また、測距専用の半導体センサが必要であるので測距装置のコストが高くなってしまう。
【0004】
一方、アクティブ方式の場合には、測距専用でない汎用的な部品のみでも装置を構成できるので、パッシブ方式に比べて低コストで製造することができる。そこで、本出願人は特許文献1において、アクティブ方式を用いた測距装置の更なる低コスト化についての提案を行っている。これは、マイクロコンピュータ等のチップ内にアクティブ方式の測距回路を内蔵させるものである。
【0005】
【特許文献1】
特開2000−352512号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、マイクロコンピュータ等の技術進歩のスピードはアナログ回路部品の技術進歩のスピードに比べて速いので、せっかくプロセス上の工夫を凝らして測距回路のワンチップ化を推し進めても、マイクロコンピュータに用いられているコアやRAM、ROM等がすぐに時代遅れのものとなってしまう。このため、特許文献1において提案されているようなマイクロコンピュータは数多くの製品に利用することが困難な汎用性の低いものであった。
【0007】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたもので、汎用性が高く、廉価で高精度の測距装置を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、本発明による測距装置は、被写体に向けて測距用光を投射する投光手段と、上記投光手段により上記測距用光を被写体に向けて投射した際の被写体からの反射光を受光して、その反射光の受光位置に応じた光電流を出力する一対の出力電極を備える光位置検出手段と、上記光位置検出手段が有する一対の出力電極のうち、一方の出力電極と接続された入力端子と所定電圧に固定された入力端子とを有する増幅回路と、上記光位置検出手段が有するもう一方の出力電極をオープン状態又は上記所定電圧と同じ大きさの電圧に固定された状態に切り換えるスイッチ手段とを具備することを特徴とする。
【0009】
また、上記の目的を達成するために、本発明による測距装置は、被写体に向けて測距用光を投射する投光手段と、上記投光手段により上記測距用光を被写体に向けて投射した際の被写体からの反射光を受光して、その反射光の受光位置に応じた光電流を出力する一対の出力電極を備える光位置検出手段と、上記光位置検出手段が有する一対の出力電極のうち、一方の出力電極と接続された第1の入力端子と所定電圧に固定された第2の入力端子とを有する第1の増幅器と、上記光位置検出手段が有するもう一方の出力電極と接続された第1の入力端子と上記所定電圧と同じ大きさの電圧に固定された第2の入力端子とを有する第2の増幅器と、上記第2の増幅器が有する第1の入力端子をオープン状態又は上記所定電圧と同じ大きさの電圧に固定された状態に切り換えるスイッチ手段とを具備することを特徴とする。
【0010】
また、上記の目的を達成するために、本発明による測距装置は、被写体に投射した光の反射信号光と背景光とが入射したときに、その入射位置に応じた一対の光電流信号を出力する光位置検出手段と、上記光位置検出手段から出力される光電流信号を積分する積分回路と、上記一対の光電流信号の和を上記積分回路によって積分した積分値と、上記一対の光電流信号の一方のみを上記積分回路によって積分した積分値との比を演算する演算手段とを具備することを特徴とする。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。それに先立って、まず、本発明で用いるアクティブ方式の測距装置の原理について説明する。
【0012】
アクティブ方式の測距には、被写体から反射してきた反射信号光の光量が測距装置から遠い距離の被写体では減少し、近い距離の被写体では増加するという、光量測距の原理に基づいて被写体の遠近の判断を行うものと、投受光レンズ間距離、所謂、基線長だけ隔てて配置された投受光素子を用いて三角測距の原理によって、より正確な遠近の判断を行うものの2種類がよく知られている。なお、アクティブ方式の測距には他にも、投射した光が反射してくるスピードによって被写体の距離を求めるレーダー方式などもある。しかし、このレーダー方式は回路が複雑なので、特別な用途では用いられるが、カメラのような携帯用機器で用いられることは少ない。
【0013】
図3(A)は、光投射型の三角測距の原理を説明するための測距装置の構成図である。測距時においては、赤外発光ダイオード(IRED)1からの赤外光が、投光レンズ2によって集光された後、対象物(被写体)30に投射される。この後、対象物30からの反射光が受光レンズ3を介して受光素子4で受光される。なお、この受光素子4には入射した光の光量及び光の入射位置に応じた光電流を出力する光位置検出素子(PSD)を用いる。なお、PSDは、基線長方向に対して配置されており、その両端に2つの出力電極を有する。そして、PSDの両電極が同一の電位であるとき、各々の出力電極からは、光の入射位置と各々の電極との距離に応じた光電流が分流されて出力される。つまり、PSDの中央に光が入射したときには、1:1で分流されるので、PSDのそれぞれの電極からは等しい大きさの光電流が出力される。
【0014】
ここで、PSDへの光の入射位置は被写体距離Lによって変化するので、入射位置xが検出できれば被写体距離Lを算出することができる。つまり、図に示すように、投光レンズ2と受光レンズ3との間の距離を基線長B、受光レンズの焦点距離をfとし、受光レンズ3の光軸を原点としたときの反射光の入射位置をxとすると、被写体距離Lに対して
x=B・f/L (式1)
の関係を持つ。B・fは設計時に決定される一定の値であるのでxを検出することにより、被写体距離Lは、
L=B・f/x (式2)
となる。
【0015】
ここで、PSDの何れか一方の出力電極が受光レンズ3の光軸上に存在するものとする。このとき、PSDの両電極間の長さをtとし、PSDの両電極から出力される光電流の和をiP0とすると、各電極から出力される光電流iP1及びiP2は、それぞれ(式3)及び(式4)で表される。
iP1=iP0・(x/t) (式3)
iP2=iP0−iP1 (式4)
ここで、(式3)から、
x=(iP1/iP0)・t (式5)
となる。つまり、xは光電流iP0及びiP1を検出することによって求めることができる。なお、iP0は被写体距離Lの二乗に対して逆比例の関係を持つが、この関係は投光素子(ここではIRED)からの投光量が一定であり、かつ、被写体の反射率が一定のときにのみ成り立つ。
【0016】
[第1の実施の形態]
次に本発明の第1の実施の形態について図1を参照して説明する。図1はアクティブ方式の光量測距と三角測距とを併用した測距装置である。ただし、ここでは光量測距の測距装置として三角測距の測距装置を利用している。
【0017】
光量測距には、測距結果が電源に電池を使用した場合の電圧変化や被写体の反射率に依存してしまうという欠点がある。しかし、このような欠点は三角測距を用いて克服することができる。このことは前述の(式2)から明らかである。つまり、三角測距においては、(式2)のように被写体距離LがB、f、及びxのみで決まるので、正しいxを求めることができれば正しい距離を算出することが可能である。しかし、被写体が遠距離に存在している場合には、受光素子への入射光量が減少するので正しいxを求めることができない。このような場合には、単純な光量測距を用いて測距を行ったほうが、測距精度が向上する。
【0018】
本実施の形態では、これらの2つの測距方式を適切に切り換えるために、トランジスタをスイッチとして用いて(以下、このトランジスタを含むスイッチ回路をスイッチ13と称する)、演算増幅器(オペアンプ)6bの帰還ループのON/OFFを制御することにより、受光素子(PSD)4が出力する光電流を制御する。ここで、スイッチ13は特許請求の範囲に記載の「スイッチ手段」に対応し、PSD4は特許請求の範囲に記載の「光位置検出手段」に対応する。また、オペアンプ6bは特許請求の範囲に記載の「第2の増幅器」に対応する。
【0019】
つまり、スイッチ13のトランジスタのベース電流を低下させるとオペアンプ6bが「オープン状態」となる。このため、PSD4からの光電流ipは全てオペアンプ6a側に流れる。
【0020】
図1において抵抗7、及びコンデンサ5a,5bはハイパスフィルタを構成している。このハイパスフィルタはPSD4からの出力光電流のうち、定常的に変化する成分(低周波成分)をカットして、交流的に変動する成分のみをオペアンプ6a側に通過させる。
【0021】
つまり、スイッチ14を連続的にON/OFFさせて、パルス的な赤外光をIRED1から被写体30に投射した場合には、PSD4で受光した被写体30からの反射信号光のうち、パルス的に変調された成分のみがハイパスフィルタを通過する。以下、この変調成分の光電流をiPとする。一方、PSD4に反射信号光と共に入射してくる太陽光や人工照明などの定常的な光成分はハイパスフィルタでカットされ、抵抗7を介してGNDに流れる。ここで、IRED1は特許請求の範囲に記載の「投光手段」に対応する。
【0022】
ハイパスフィルタを通過した光電流iPはトランジスタ8の増幅作用によって電流増幅率β倍に増幅された後、抵抗11a,11b及びペアのpnpトランジスタ9によって構成されたカレントミラー回路を介して積分コンデンサ12に流入し、積分コンデンサ12を充電する。ここで、ハイパスフィルタ、オペアンプ6a、及びトランジスタ8を含む回路が特許請求の範囲に記載の「増幅回路」に対応する。また、オペアンプ6aは特許請求の範囲に記載の「第1の増幅器」に対応する。
【0023】
なお、積分コンデンサ12の充電、つまり、積分動作はカレントミラー回路をOFFすることにより停止させることができるが、これはCPU10のオープンドレイン出力端子17(以下、INT端子17と称する)をONして抵抗11bの電位を低下させればよい。更に、積分コンデンサ12に蓄積された電荷を初期化する場合には、CPU10のオープンドレイン出力端子18(以下、RST端子18と称する)をONして積分コンデンサ12の両端を接地すればよい。ここで、積分コンデンサ12及びこの積分コンデンサ12の積分制御を行うCPU10などを含む回路が特許請求の範囲に記載の「積分回路」に対応する。
【0024】
また、前述したスイッチ13やIRED1のON/OFFを行うスイッチ14も、それぞれCPU10のオープンドレイン出力端子19,20(それぞれ、CH端子19及びIRED端子20と称する)を利用してON/OFF制御することが可能である。
【0025】
ここで、CPU10にはワンチップマイクロコンピュータ等を用いる。近年のマイクロコンピュータは前述したオープンドレイン端子や、アナログ/デジタル(A/D)変換回路が内蔵されていることが多い。これらはCPU10に内蔵されたROMに記録されたプログラムなどに従って、CPU10内部の制御部16によって制御される。
【0026】
また、オペアンプはその入力端子が内部のトランジスタのベース端子である。つまり、図1において、トランジスタ8のベースは光電流iP=0の状態であっても、オペアンプ6aの入力端子のベース電流ibによって常にバイアスされた状態になっている。したがって、このときのトランジスタ8のコレクタ電流はβibとなる。一方、IRED1を発光させた場合には、トランジスタ8のベース電流がib+ipとなるので、トランジスタ8のコレクタ電流はβ(ib+iP)となる。
【0027】
また、本実施の形態において、オペアンプ6a,6bの+側入力は所定電圧Vrefに固定されている。スイッチ13がON、つまり、オペアンプ6bの帰還ループがONしている間は、コンデンサ5a,5bのオペアンプ側の電位は何れも、オペアンプのイマジナリショート(仮想短絡)効果により同電位Vrefである。したがって、PSD4で発生した光電流は、PSD4に入射した反射信号光の入射位置に応じてiP1とiP2に分流し、その後、ハイパスフィルタ、オペアンプ6a、及びトランジスタ8で構成される増幅回路には光電流iP1が流れる。
【0028】
一方、スイッチ13がOFFしてオペアンプ6bの帰還ループがOFFすると、図3(B)のような等価回路となる。このとき、オペアンプ6bの−側端子はオープン状態となる。このため、PSD4で発生した光電流は分流せずに、全てオペアンプ6a側に流れる。つまり、この場合には光電流の和iP0=iP1+iP2が増幅回路に流れる。
【0029】
したがって、スイッチ13をON/OFFすることにより光電流iP0及びiP1を検出すれば、前述の(式5)に従ってxを求めることが可能である。なお、これらの電流値iP0及びiP1は前述の積分コンデンサ12の積分電圧VINTをA/D変換回路15を介して読み込むことにより検出する。
【0030】
つまり、図2に示すようなタイミングチャートに従ってCPU10の各端子のnチャネルトランジスタをON/OFF制御すれば、PSD4からの出力光電流iPの大きさに応じて積分電圧VINTがVINT0からVINT1まで増加する。なお、VINT0はIRED1を発光させないで積分を行った場合の積分コンデンサ12の積分電圧であり、VINT1はIRED1を発光させて積分を行った場合の積分コンデンサ12の積分電圧である。ここで、積分コンデンサ12の容量をCINT、INT端子17のオープン時間をtINT、積分回数をp回とすると、
VINT0=p・βib・tINT/CINT (式6)
VINT1=p・β(iP+ib)・tINT/CINT (式7)
が成立する。これら(式6)、(式7)から、
VINT1−VINT0=p・βiP・tINT/CINT (式8)
となるので、p、β、tINT、及びCINTを一定にしておけば、VINT1−VINT0を求めることにより光電流iPを算出することができる。
【0031】
そこで、本実施の形態では、IRED1の発光の有無、及び、CH端子19のON/OFF制御を切り換えて、図4に示すような、各々p回の積分動作を1セットとする3セットの積分を行う。その後、CPU10に内蔵されているA/D変換回路15を介して積分電圧V0、V1、及びV2を読み込む。次にこれらの積分電圧の値からV1−V0を求めることによりiP0を、また、V2−V0を求めることによりiP1を求める。これらを(式5)に代入してxを求め、(式2)から被写体距離Lを算出する。
【0032】
図5は、以上のような考え方に基づいた測距時の制御手順を示すフローチャートである。
ステップS1〜S13まではCH端子19を“H”レベル(OFF)とした状態での積分である。ここでは、まずCH端子19を“H”レベルとした後(ステップS1)、RST端子18を“H”レベルにしてRST端子18のリセット状態を解除し(ステップS2)、積分を開始させる(ステップS3)。次にCPU10は所定時間tINT経過後に、基準となる所定回数p回の積分が行われたか否かを判定する(ステップS4)。まだ、所定回数pの積分が行われていないと判定した場合には、ステップS3に戻り積分を継続させる。一方、所定回数pの積分が行われたと判定したときには、そのときの積分コンデンサ12の積分電圧V0をA/D変換回路15を介して読み込む(ステップS5)。
【0033】
積分電圧V0の読み込みが終了した後、RST端子18を一旦、“L”レベルにして、積分コンデンサ12に蓄積された電荷を初期化する。そして、再び、RST端子18を“H”レベルに戻す(ステップS6)。同時に、IRED1を発光させて積分を開始させる(ステップS7)。なお、ここでの積分は図4に示すように、IRED1の発光タイミングと同期させて行う。所定時間tINT経過後、CPU10は、所定回数pの積分が行われたか否かを判定する(ステップS8)。まだ、所定回数pの積分が行われていないと判定した場合には、ステップS7に戻り積分を継続させる。一方、所定回数pの積分が行われたと判定したときには、そのときの積分コンデンサ12の積分電圧V1をA/D変換回路15を介して読み込む(ステップS9)。
【0034】
次のステップS10〜S14まではCH端子19を“L”レベル(ON)とした状態での積分である。ここでは、まずCH端子19を“L”レベルとした後(ステップS10)、RST端子18を一旦、“L”レベルにして、積分コンデンサ12に蓄積された電荷を初期化する。そして、再び、RST端子18を“H”レベルに戻す(ステップS11)。同時に、IRED1を発光させて積分を開始させる(ステップS12)。なお、ここでの積分もIRED1の発光タイミングと同期させて行う。所定時間tINT経過後、CPU10は、所定回数pの積分が行われたか否かを判定する(ステップS13)。まだ、所定回数pの積分が行われていないと判定した場合には、ステップS12に戻り積分を継続させる。一方、ステップS13の判定において所定回数pの積分が行われたと判定したときには、そのときの積分コンデンサ12の積分電圧V2をA/D変換回路15を介して読み込む(ステップS14)。
【0035】
積分電圧V0、V1、V2を検出した後はこれらの値を利用して被写体の遠近を判定し、被写体距離Lを求める。以後の説明では、被写体までの距離が近い場合を近距離L0、被写体までの距離が遠い場合を遠距離L2、その間の距離を中距離L1とする。これらは、L0<L1<L2の関係を有する。
【0036】
まず、V1−V0、つまり、iP0を計算する。そして、この計算値が所定値ΔV(特許請求の範囲に記載の所定量)よりも小さいか否かを判定する(ステップS15)。V1−V0が所定値ΔVよりも小さいと判定した場合には、被写体距離Lが遠距離L2であると判定して(ステップS16)、本フローチャートの制御を終了する。この場合には、光量測距によって被写体距離を求めることになる。
【0037】
一方、ステップS15の判定において、V1−V0が所定値ΔV以上であると判定した場合には、三角測距により被写体距離を求めることができる。この場合には、更にV2−V0を計算する。そして、V2−V0とV1−V0の比、即ち、iP1/iP0を求める。次に、この比が所定の判定値R1よりも小さいか否かを判定する(ステップS17)。この比を求める演算が特許請求の範囲に記載の「演算手段」に対応する。このステップS17の判定の結果、iP1/iP0が判定値R1よりも小さいと判定した場合には、中距離L1であると判定して(ステップS18)、本フローチャートの制御を終了する。一方、ステップS17の判定において、iP1/iP0が判定値R1以上であると判定した場合には、近距離L0と判定して(ステップS19)、本フローチャートの制御を終了する。
【0038】
以上説明したように、本実施の形態によれば、CPU10に一般的に内蔵されている機能と、単純な汎用部品のみで、被写体の反射率や電池電圧の変化の影響を受けにくい、三角測距方式を用いた測距装置を提供することができる。汎用のオペアンプは2個を1パッケージとして構成されたものが多い。また、抵抗を含むトランジスタ回路(スイッチ13やスイッチ14)や2個で1セットとなった複合トランジスタ(トランジスタ9等)も廉価、かつ、小型のものが種々提案されている。このため、測距装置を低コストで製造でき、省スペース化にも繋がる。
【0039】
[第2の実施の形態]
次に、図6を参照して本発明の第2の実施の形態について説明する。この第2の実施の形態では、カレントミラー回路を省略して、代わりにアナログスイッチ12aを用いて積分のON/OFFを行うものである。また、抵抗12bには高抵抗を用いている。この抵抗12bは時間の経過に従って積分コンデンサ12から電荷を放電させるための放置リセット用の抵抗である。
【0040】
この図6の回路においては、アナログスイッチ12aをIRED1の発光に同期させてONすることにより、積分コンデンサ12には光電流に応じた電圧が発生する。この電圧をCPU10に内蔵の図示しないA/D変換回路を介して読み込んで光電流の検出を行う。
【0041】
なお、本実施の形態では、2個で1パッケージとなったアナログスイッチを有効に利用するために、PSD4から出力される光電流の分流用にアナログスイッチ13aを用いている。このアナログスイッチ13aは前述のスイッチ13に対応するものであり、アナログスイッチ13aをONすることによりPSD4の出力光電流はiP1とiP2とに分流する。一方、アナログスイッチ13aをOFFすれば、PSD4の出力光電流は分流せず、光電流の和iP0(=iP1+iP2)が増幅回路に流れ込む。
【0042】
以上説明したように、本実施の形態では、カレントミラー回路を用いずに前述の第1の実施の形態と同様の動作を行わせることができる。
【0043】
[第3の実施の形態]
次に本発明の第3の実施の形態について図7を用いて説明する。この第3の実施の形態は、オペアンプを用いずに、トランジスタ(トランジスタ30,トランジスタ32)及び抵抗(抵抗31,抵抗33)のみで回路を構成した例である。前述のオペアンプを用いた例では、+側端子を基準の所定電圧Vrefに固定したオペアンプのイマジナリショート効果により、光電流が入力されるオペアンプ6aの−側の端子も所定電圧Vrefに固定していた。しかし、本実施の形態ではVCCとVBEの電位に対してPSD4からの光電流が流れることになる。
【0044】
CPU10は接地スイッチ34をON/OFF制御することによりPSD4の出力光電流を制御する。つまり、接地スイッチ34を接地状態としない場合には、トランジスタ30b及び32bがOFFする。これにより、PSD4からの出力光電流は全てトランジスタ30a側に流入する。一方、接地スイッチ34を接地状態とした場合には、トランジスタ30a及び32bのベース電位が等しくなり、PSD4からの出力光電流はiP1とiP2とに分流する。その結果、光電流iP1のみが増幅回路で増幅される。
【0045】
以上説明したように、本実施の形態では、オペアンプを用いずに前述の第1及び第2の実施の形態と同様の動作を行わせることができる。
【0046】
[第4の実施の形態]
次に、本発明の第4の実施の形態について説明する。本第4の実施の形態は、その構成は第1の実施の形態と同様であるが、CPU10による測距時、特に積分制御の制御手順が異なっている。
【0047】
前述した制御手順では1セット目から3セット目まで、全て同じ積分回数pで積分制御を行うようになっているので、反射率の高い被写体の場合、つまり、反射信号光の光量が大きい場合であっても積分電圧が飽和しないような積分回数を設定する必要がある。しかし、この場合、被写体の反射率が低いときには積分電圧が低くなってしまう。このときには、低いS/N比で測距を行うことになり測距精度の劣化が危惧される。
【0048】
そこで、本実施の形態では図8のようなタイミングチャートに従った制御を行う。図8において、まず、CH端子19を“H”とした状態で1セット目と2セット目の積分を行う。この1セット目と2セット目の積分における積分回数は、投光光量のばらつきや増幅率のばらつきによる誤差を考慮して、積分電圧が確実に飽和しないような所定の積分回数qに設定しておく。そして、1セット目のIRED1の発光無しの積分と2セット目のIRED1の発光有りの積分を行う。その後、2セット目の積分で得られた積分電圧V1の大きさに応じて次の3セット目の積分回数rを決定し、3セット目の積分を行う。この3セット目の積分回数rの決定方法については後に述べる。
【0049】
このようにして3セット目の積分制御を行うようにすることで、反射率が高い被写体であっても積分電圧を飽和させずに積分を行うことができ、かつ、反射率が低い被写体であっても十分なS/N比を確保して測距を行うことが可能となる。図9は、本実施の形態における測距時の制御手順を示すフローチャートである。
【0050】
図9において、積分電圧V0及びV1を取得するステップS40〜S48までは前述の図5と同様であるが、簡単に説明する。まず、CH端子19を“H”とした状態で、IRED1を発光させずに積分回数q回の積分を行って積分電圧V0を取得する。次に、IRED1を発光させて積分回数q回の積分を行い、積分電圧V1を取得する。
【0051】
積分電圧V1を取得した後、CH端子19を“L”に切り替える(ステップS49)。次に3セット目の積分回数rを算出する(ステップS50)。ここで、3セット目の積分回数rを求める方法を図10(A)及び10(B)を用いて説明する。
【0052】
図10(A)は3セット目の積分回数rを演算によって求める方法である。つまり、積分コンデンサ12の飽和電圧をVsatとすると、図8に示すように積分電圧V1とV2はその傾きが等しいので、積分コンデンサ12が飽和しない積分回数rは次式で求めることができる。
r=INT(Vsat・q・α・/V1) (式9)
ここで、INTは括弧の中の整数部を取り出すという意味である。また、αはVsatに対する余裕率であり1以下の値を用いる。例えば、積分電圧V2を飽和電圧Vsatの80%にする場合には、α=0.8となる。(式9)により積分回数rが設定された後は図10(A)のフローチャートを抜けて、図9のステップS51以後の制御を行う。
【0053】
一方、図10(B)はV1の値を所定の判定値VRと比較し、この比較結果に基づいて、予め設定された積分回数r1及びr2のうちの何れかを3セット目の積分回数として選択するものである。ここで、積分回数r1及びr2はr1>r2の関係を持つものとする。
【0054】
つまり、V1が得られた後、このV1が所定の判定値VRよりも小さいか否かを判定する(ステップS70)。このステップS70の判定の結果、V1がVRよりも小さいと判定した場合には、積分回数をより多く設定できるr1を積分回数rとした後(ステップS71)、このフローチャートを抜けて、図9のステップS51以後の制御を行う。一方、ステップS70の判定の結果、V1がVR以上であると判定した場合にはr2を積分回数rとした後(ステップS72)、このフローチャートを抜けて、図9のステップS51以後の制御を行う。
【0055】
ここで、再び図9の説明に戻る。ステップS50において積分回数rが設定された後、RST端子18を一旦、“L”レベルにして、積分コンデンサ12に蓄積された電荷を初期化する。そして、再び、RST端子18を“H”レベルに戻す(ステップS51)。同時に、IRED1を発光させて積分を開始させる(Sステップ52)。所定時間tINT経過後、CPU10は、所定回数r回の積分が行われたか否かを判定する(ステップS53)。まだ、所定回数rの積分が行われていないと判定した場合には、ステップS52に戻り積分を継続させる。一方、所定回数rの積分が行われたと判定したときには、そのときの積分コンデンサ12の積分電圧V2をA/D変換回路15を介して読み込む(ステップS54)。
【0056】
積分電圧V0、V1、V2を求めた後はこれらの値を利用して被写体距離Lを算出する。まず、V1−V0を計算して、この計算値が所定値ΔVよりも小さいか否かを判定する(ステップS55)。V1−V0が所定値ΔVよりも小さいと判定した場合には、被写体距離Lが遠距離L2であると判定して(ステップS56)、本フローチャートの制御を終了する。
【0057】
一方、ステップS55の判定において、V1−V0が所定値ΔV以上であると判定した場合には、三角測距により被写体距離を求めることができる。ただし、V0及びV1は積分回数がq回でのA/D値である。そこで、積分回数をr回とした場合の値に換算するためにV0及びV1の値にr/qを乗じたV0´(=V0・r/q)及びV1´(=V1・r/q)を以後の演算に用いる。なお、V2はそのままである。また、図5の所定の判定値R1は比を示す値であるので、積分回数の影響はない。そこで、ここでは、第1の実施の形態と同じ判定値R1を用いている。
【0058】
そして、V2−V0´を計算する。次に、V2−V0´とV1´−V0´との比を求める。次に、この比がR1よりも小さいか否かを判定する(ステップS57)。このステップS57の判定の結果、V2−V0´とV1´−V0´との比がR1よりも小さいと判定した場合には、中距離L1であると判定して(ステップS58)、本フローチャートの制御を終了する。一方、ステップS57の判定において、V2−V0´とV1´−V0´との比がR1以上であると判定した場合には、近距離L0と判定して(ステップS59)、本フローチャートの制御を終了する。
【0059】
[第5の実施の形態]
次に、第5の実施形態における測距時の制御手順を図11のフローチャートに示す。
【0060】
この図11のフローチャートは、図9のステップS55に相当する遠距離の判定を行う処理を、積分電圧V1を読み込んだ後すぐに行うものである。つまり、図11において、積分電圧V1のA/D読み込みが終了した後(ステップS88)、V1−V0を計算して、この計算値が所定値ΔVよりも小さいか否かを判定する(ステップS89)。このステップS89の処理が特許請求の範囲に記載の「遠距離判定手段」の機能に対応するものである。
【0061】
V1−V0が所定値ΔVよりも小さいと判定した場合には、被写体距離Lが遠距離L2であると判定して(ステップS90)、本フローチャートの制御を終了する。
【0062】
一方、ステップS89の判定の結果、V1−V0が所定値ΔV以上であると判定した場合には、CH端子19を“L”に切り換えた後(ステップS91)、3セット目の積分を開始する。なお、この3セット目の積分制御は図9のステップS59〜S54及びステップS57〜S59と同様であるので説明を省略する。
【0063】
以上説明した図11のフローチャートに従って制御を行えば、被写体が遠距離に存在する場合にはステップS89からステップS90に分岐する。この場合には図9のステップS49〜S54に相当するステップS91〜S96までの動作が行われないので、測距時間を短縮することができるだけでなく、余計なIRED発光をする必要がなく省エネルギー化にも繋がる。
【0064】
なお、図11のフローチャートは図9のフローチャートにおけるステップS55をステップS49の前に移動させたものであるが、第1の実施の形態に本第5の実施の形態を適用する、つまり、図5のフローチャートにおけるステップS15をステップS10の前に移動させても第5の実施の形態の効果が得られることは勿論である。
【0065】
以上実施の形態に基づいて本発明を説明したが、本発明は前述した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内で種々の変形や応用が可能なことは勿論である。
【0066】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明によれば、汎用性が高く、廉価で高精度の測距装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る測距装置の回路構成図である。
【図2】積分電圧から光電流を算出する方法を説明するためのタイミングチャートである。
【図3】三角測距方式による測距装置の回路構成図である。
【図4】本発明の第1の実施の形態における測距時のタイミングチャートである。
【図5】本発明の第1の実施の形態における測距時の制御手順を示すフローチャートである。
【図6】本発明の第2の実施の形態に係る測距装置の回路構成図である。
【図7】本発明の第3の実施の形態に係る測距装置の回路構成図である。
【図8】本発明の第4の実施の形態における測距時のタイミングチャートである。
【図9】本発明の第4の実施の形態における測距時の制御手順を示すフローチャートである。
【図10】3セット目の積分回数を求める手順を説明するためのフローチャートである。
【図11】本発明の第5の実施の形態における測距時の制御手順を示すフローチャートである。
【符号の説明】1…赤外発光ダイオード(IRED)、2…投光レンズ、3…受光レンズ、4…受光素子(PSD)、5a,5b…コンデンサ、6a,6b…演算増幅器(オペアンプ)、7,11a,11b,12b…抵抗、8,9,30a,30b…トランジスタ、10…CPU、12…積分コンデンサ、13,14…スイッチ、12a,13a…アナログスイッチ、15…アナログ/デジタル(A/D)変換回路、16…制御部、17…INT端子、18…RST端子、19…CH端子、20…IRED端子、34…接地スイッチ
Claims (6)
- 被写体に向けて測距用光を投射する投光手段と、
上記投光手段により上記測距用光を被写体に向けて投射した際の被写体からの反射光を受光して、その反射光の受光位置に応じた光電流を出力する一対の出力電極を備える光位置検出手段と、
上記光位置検出手段が有する一対の出力電極のうち、一方の出力電極と接続された入力端子と所定電圧に固定された入力端子とを有する増幅回路と、
上記光位置検出手段が有するもう一方の出力電極をオープン状態又は上記所定電圧と同じ大きさの電圧に固定された状態に切り換えるスイッチ手段と、
を具備することを特徴とする測距装置。 - 被写体に向けて測距用光を投射する投光手段と、
上記投光手段により上記測距用光を被写体に向けて投射した際の被写体からの反射光を受光して、その反射光の受光位置に応じた光電流を出力する一対の出力電極を備える光位置検出手段と、
上記光位置検出手段が有する一対の出力電極のうち、一方の出力電極と接続された第1の入力端子と所定電圧に固定された第2の入力端子とを有する第1の増幅器と、
上記光位置検出手段が有するもう一方の出力電極と接続された第1の入力端子と上記所定電圧と同じ大きさの電圧に固定された第2の入力端子とを有する第2の増幅器と、
上記第2の増幅器が有する第1の入力端子をオープン状態又は上記所定電圧と同じ大きさの電圧に固定された状態に切り換えるスイッチ手段と、
を具備することを特徴とする測距装置。 - 被写体に投射した光の反射信号光と背景光とが入射したときに、その入射位置に応じた一対の光電流信号を出力する光位置検出手段と、
上記光位置検出手段から出力される光電流信号を積分する積分回路と、
上記一対の光電流信号の和を上記積分回路によって積分した積分値と、上記一対の光電流信号の一方のみを上記積分回路によって積分した積分値との比を演算する演算手段と、
を具備することを特徴とする測距装置。 - 上記演算手段は、上記一対の光電流信号の和の積分結果が所定量よりも大きい場合に上記比を演算することを特徴とする請求項3に記載の測距装置。
- 上記積分回路は測距時に3セットの積分を行う回路であり、1セット目及び2セット目の積分においては所定の積分回数で積分を行い、3セット目の積分においては上記2セット目の積分の結果に応じた積分回数の積分を行うことを特徴とする請求項3に記載の測距装置。
- 上記積分回路は測距時に3セットの積分を行う回路であり、上記積分回路によって3セット目の積分が開始される前に、上記積分回路による1セット目の積分結果と2セット目の積分結果の差に基づいて、上記被写体が遠距離に存在しているか否かを判定する遠距離判定手段を更に具備することを特徴とする請求項3に記載の測距装置。
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