JP2004245115A - 冷却通路構造体の製造方法及び冷却通路を有するノズルの製造方法及び冷却通路を有するノズル - Google Patents
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Abstract
【課題】外筒11と内筒12の表面同士の拡散接合を十分に行うことができ構造物を取り付けるための部位を容易に確保することができるノズルの製造方法とする。
【解決手段】外フェース筒14と内フェース筒15の間で外筒11と内筒12を超塑性変形させることで拡散接合して冷却通路23を形成し、炉内雰囲気による酸化・窒化を抑制して、外筒11と内筒12の表面同士の拡散接合を十分に行い、表面をフラット状態にすることで構造物を取り付けるための部位を容易に確保する。
【選択図】 図2
【解決手段】外フェース筒14と内フェース筒15の間で外筒11と内筒12を超塑性変形させることで拡散接合して冷却通路23を形成し、炉内雰囲気による酸化・窒化を抑制して、外筒11と内筒12の表面同士の拡散接合を十分に行い、表面をフラット状態にすることで構造物を取り付けるための部位を容易に確保する。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、冷却通路構造体の製造方法に関し、例えば、ロケットエンジン等に適用される冷却通路を有するノズルの製造方法に関する。
【0002】
また、例えば、ロケットエンジン等に適用される冷却通路を有するノズルに関する。
【0003】
【従来の技術】
ロケットエンジンのノズルスカートは、高温の燃焼ガスの流れを効率よくするためのものであると共に、燃焼ガスの熱により燃焼器に送られる燃料を加熱するためのものである。このため、ノズルスカートは燃料で破壊されない温度まで冷却されると共に燃料は予熱されることになり、熱交換器として機能している。
(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
ノズルスカートは、裁頭円錐状の二重の筒状構造物で形成され、外筒と内筒との間に燃料が流通する構造となっている。ノズルスカートは、超塑性変形する筒部材を重ね合わせて冷却通路の幅で軸方向に接合し、真空高温雰囲気の成形型の中で筒部材の間を加圧することにより筒部材を超塑性変形させて冷却通路を形成している(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
【特許文献1】
特開平9−170500号公報
【0006】
従って、テ―パチューブをろう付けして製造する等の方法に比べ、加圧による超塑性変形により冷却通路を一度に形成することができ、低コスト、短時間でノズルスカートを製造することが可能である。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
超塑性変形した筒部材は表面同士の拡散接合により接合されて冷却通路が形成されるが、真空雰囲気であっても成形型には真空性が低下する部分が生じ、酸素や窒素等が混入して成形型側の面が酸化・窒化され、拡散接合が不十分になる虞があった。
【0008】
また、ノズルスカートには、燃料を冷却通路に送るマニホールド等の構造物を取り付ける必要があるため、マニホールドを取り付けるための端縁部を形成する必要があった。このため、例えば、溶接線の端部外側まで超塑性変形させて製品とする等が必要となり、溶接線端部の耐久性等に対して対処する必要があった。
【0009】
本発明は上記状況に鑑みてなされたもので、超塑性変形させて冷却通路を形成する際に部材の表面同士の拡散接合が十分に行えると共に、構造物を取り付けるための部位を容易に確保することができる冷却通路構造体の製造方法を提供することを目的とする。
【0010】
本発明は上記状況に鑑みてなされたもので、超塑性変形させて冷却通路を形成する際に筒部材の表面同士の拡散接合が十分に行えると共に、構造物を取り付けるための部位を容易に確保することができる冷却通路を有するノズルの製造方法を提供することを目的とする。
【0011】
本発明は上記状況に鑑みてなされたもので、筒部材が超塑性変形されて重なり合う表面同士の拡散接合が十分に行われて冷却通路が形成されると共に、構造物を取り付けるための部位が容易に確保された冷却通路を有するノズルを提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するための本発明の冷却通路構造体の製造方法は、
所定の温度で超塑性変形する超塑性変形材コア部材を重ねあわせ、
冷却通路の幅で溶接または拡散接合を行って重ね合わせた超塑性変形材コア部材を接合し、
接合された超塑性変形材コア部材の両面にコア材との拡散接合性を有するフェース材を配置し、加熱しながらもしくは所定の温度に加熱保持した状態で、始めにコア部材とフェース材の間を加圧してフェース材を変形させて
フェース材同士の間隔を所定間隔状態に規制し、次に超塑性変形材コア部材の間を加圧して超塑性変形材コア部材を超塑性変形させ、
フェース材の間に超塑性変形材コア部材で仕切られた冷却通路を形成する
ことを特徴とする。
【0013】
上記目的を達成するための本発明の冷却通路を有するノズルの製造方法は、
所定の温度で超塑性変形する筒状の超塑性変形材製の外筒と内筒とを重ねあわせ、
冷却通路の幅のピッチで始点から終点の向きが軸方向となる溶接または拡散接合を行って重ね合わせた外筒と内筒を接合し、
外筒の外周側に外筒材との拡散接合性を有する外フェース筒を配置すると共に内筒の内周側に内筒材との拡散接合性を有する内フェース筒を配置し、加熱しながらもしくは所定の温度に加熱保持した状態で、始めに内外筒材と内外フェース材の間を加圧して内外フェース材を変形させて
外フェース筒及び内フェース筒の間隔を所定間隔状態に規制し、次に外筒と内筒の間を加圧して外筒と内筒を超塑性変形させ、
外フェース筒及び内フェース筒の間に超塑性変形材で区画された冷却通路を形成する
【0014】
この場合、外筒と内筒を超塑性変形させる際に、外フェース筒と外筒の間、及び、内フェース筒と内筒の間のガスは、外筒と内筒の間が加圧されて超塑性変形することで(膨らむことで)自然に排気される。
【0015】
そして、請求項2に記載の冷却通路を有するノズルの製造方法において、外筒と内筒の間を加圧する際に、外筒とフェース筒の間及び内筒と内フェース筒の間を減圧排気することを特徴とする。減圧排気することで、外フェース筒と外筒の間、及び、内フェース筒と内筒の間のガス排気が促進される。
【0016】
また、請求項3に記載の冷却通路を有するノズルの製造方法において、外筒と内筒の間の加圧と、外筒と外フェース筒の間及び内筒と内フェース筒の間の減圧排気は、内筒と外筒が変形して内外のフェース筒に部分的に接した後に行なわれることを特徴とする。また、請求項2乃至請求項3のいずれか一項に記載の冷却通路を有するノズルの製造方法において、外筒と内筒の間を加圧する際の加熱は、900℃乃至950℃であることを特徴とする。
【0017】
また、請求項2乃至請求項4のいずれか一項に記載の冷却通路を有するノズルの製造方法において、外筒及び内筒は、二相ステンレスもしくはチタンであることを特徴とする冷却通路を有する。また、請求項2乃至請求項5のいずれか一項に記載の冷却通路を有するノズルの製造方法において、外フェース筒及び内フェース筒は、外筒及び内筒と同一の材質の部材であることを特徴とする。また、請求項2乃至請求項6のいずれか一項に記載の冷却通路を有するノズルの製造方法において、重ね合わせた外筒と内筒を接合する際の溶接は、直線シーム溶接、レーザ溶接、もしくは電子ビーム溶接であることを特徴とする。
【0018】
上記目的を達成するための本発明の冷却通路を有するノズルは、
軸方向に接合部を有する外筒と内筒の間が加圧されて外筒及び内筒が超塑性変形により成形されて互いに拡散接合されて冷却通路が形成され、拡散接合された外筒及び内筒が外フェース筒及び内フェース筒の間に接合されていることを特徴とする。
【0019】
【発明の実施の形態】
図1、図2に基づいて冷却通路構造体の製造方法を説明する。
【0020】
図1には本発明の一実施形態例に係る冷却通路構造体の製造方法を説明する工程を表す斜視、図2には図1に示した工程に対応する断面を示してある。
【0021】
図1(a)及び図2(a)に示すように、所定の温度で超塑性変形する超塑性変形材コア部材(例えば、二相ステンレス)である板状のコア材1、2を重ね合わせ、冷却通路の幅でレーザ溶接を施して直線状の溶接部3を複数形成してコア材1,2を接合する。
【0022】
ところで、二相ステンレスとは、フェライト相の中に島状のオーステナイト相が分散した、混合組織を有するステンレス鋼である。この鋼材の詳細については当業者に良く知られているところであるので、説明は割愛する。なお、二相ステンレスとしては種々の品種があるが、いずれも、本発明の製造方法には特に制限なく使用することができる。
【0023】
尚、接合には直線シーム溶接等種々の溶接や拡散接合を適用することが可能であり、溶接の場合には片面からのみもしくは両面から行われる。また、溶接部3を直線状としたが、曲線やジグザグ状の溶接部とすることも可能である。
【0024】
図1(b)及び図2(b)に示すように、接合されたコア材1、2の両面にフェース材(ステンレス)4をそれぞれ配置して材料5とする。ここではフェース材(ステンレス)4は、コア材1、2に対して薄板状に形成されているが、これらの板厚の組み合わせは任意に選択することが可能である。
【0025】
尚、フェース材4としては、コア材1、2と同一部材である例えば、二相ステンレスとすることも可能であり、また、コア材1、2及びフェース材4としてチタン等のその他の超塑性変形材を用いることも可能である。
【0026】
ここで云うところの超塑性変形材としてのチタンとしては、品種名でたとえばTi64が知られている。これは,アルミニウム6.22重量百分率、ヴァナジウム4.15重量百分率などを含むチタン合金である。超塑性変形材を発揮するチタン合金であれば,特に制限なく本発明の製造方法に適用できることはもちろんである。
【0027】
図1(c)及び図2(c)に示すように、コア材1、2の両面にフェース材4を配置した材料5を成形型6に装着し、材料5とともに成形型6を図示しない加熱炉にセットする。コア材1、2とフェース材4との間を不活性ガス(例えば、ヘリウムガスもしくはアルゴンガス)により加圧し、フェース材4を成形型6の内壁に密着させて所定間隔状態に規制する。
【0028】
図1(d)に示すように、例えば、900℃乃至950℃に加熱しながらもしくはこの間の一定温度に保持しながら超塑性変形材であるコア材1、2の間を不活性ガス(例えば、ヘリウムガスもしくはアルゴンガス)により加圧し、所定間隔状態に規制されたフェース材4の間でもって溶接部3で仕切られたコア材1、2の間を膨らませて超塑性変形させる。
【0029】
図1(e)及び図2(e)に示すように、更にコア材1、2を超塑性変形させてフェース材4の間でもって略矩形状態に超塑性変形させる。超塑性変形したコア材1、2の面同士及びコア材1、2の面とフェース材4の内面とが拡散接合により接合される。
【0030】
尚、コア材1、2の間を不活性ガスで加圧する際に、コア材1、2の外側とフェース材4の内側との間を真空排気(減圧排気)することも可能である。但し、真空排気は、コア材1、2が超塑性変形してフェース材4に部分的に接した後に行われる。真空排気することで、コア材1、2とフェース材4との3重点に残る隙間を小さくすることが可能となる。
【0031】
超塑性変形したコア材1、2の面同士及びコア材1、2の面とフェース材4の内面とが拡散接合により一体的に接合されることで、フェース材4の間に冷却通路7が形成された冷却通路構造体8が製造される。
【0032】
上述した製造方法による冷却通路構造体8は、コア材1、2の拡散接合面がフェース材4の間に存在して成形型3の影響を受けることがないので、真空性が低下する部分からの酸素や窒素等の混入による酸化・窒化という問題はない。このため、拡散接合が不十分になる虞がなくなり、超塑性変形させて冷却通路7を形成する際にコア材1、2の表面同士の拡散接合が十分に行える。
【0033】
また、冷却通路構造体8の外面はフェース材4となっているので、フラットな外面を有する構造体となり、構造物を取り付けるための部位としてフラットな外面を容易に確保することができる冷却通路構造体8の製造方法となる。
【0034】
上述した実施形態例の冷却通路構造体8は、空調装置や産業機器、運送機器、各種プラント等の熱交換器等、熱交換用の流体を流通させる機器として様々な部位に適用することが可能である。
【0035】
図3乃至図6に基づいて本発明のノズルの製造方法を説明する。以下に示した実施形態例は、ノズルとしてロケットのノズルスカートに適用した例である。
【0036】
図3、図4には本発明の一実施形態例に係る冷却通路を備えたノズルの製造方法を説明する工程を表す斜視、図5には図3、図4に示した工程に対応する断面、図6には本実施形態例の製造方法で製造されたノズルスカートの外観を示してある。
【0037】
図3(a)及び図5(a)に示すように、所定の温度で超塑性変形する超塑性変形材製(例えば、二相ステンレス)の裁頭状態の円錐筒状の外筒11と内筒12とを重ね合わせ、冷却通路の幅でレーザ溶接を施して直線状の溶接部13を複数形成して外筒11と内筒12とを接合する。
【0038】
尚、接合には直線シーム溶接等種々の溶接や拡散接合を適用することが可能であり、溶接の場合には片面からのみもしくは両面から行われる。また、溶接部13を直線状としたが、曲線やジグザグ状の溶接部とすることも可能であり、始点から終点までの向きが軸方向になっていればよい。
【0039】
図3(b)及び図5(b)、図5(c)に示すように、接合された外筒11の外周側に裁頭状態の円錐筒状の外フェース筒(ステンレス)14を配置すると共に、内筒12の内周側に内フェース筒(ステンレス)15を配置する。ここでは外フェース筒14及び内フェース筒15は外筒11及び内筒12に対して薄肉厚に形成されているが、これらの板厚の組み合わせは任意に選択することが可能である。
【0040】
尚、外フェース筒14及び内フェース筒15としては、外筒11及び内筒12と同一の材質の部材である例えば、二相ステンレスとすることも可能であり、また、外筒11及び内筒12、外フェース筒14及び内フェース筒15としてチタン等のその他の超塑性変形材を用いることも可能である。
【0041】
図4(a)に示すように、外筒11の外周側に外フェース筒14を配置すると共に内筒12の内周側に内フェース筒15を配置した材料16を成形用の下型17に被せ、この上に上型18を被せる。材料16には外筒11と外フェース筒14との間及び内筒12と内フェース筒15との間に加圧用の不活性ガス(例えば、ヘリウムガスもしくはアルゴンガス)を供給するための供給管21が小径側(上側)に、外筒11と内筒12の間に加圧用の不活性ガス(例えば、ヘリウムガスもしくはアルゴンガス)を供給するための供給管22が大径側(下側)に備えられている。
【0042】
材料16がセットされた成形用の下型17及び上型18を図示しない加熱炉にセットする。
【0043】
図5(c)に示すように、供給管21から外筒11と外フェース筒14との間及び内筒12と内フェース筒15との間に不活性ガスを供給して加圧し、外フェース筒14を上型18の内壁に密着させると共に内フェース筒15を下型17の外壁に密着させて外フェース筒14と内フェース筒15との間隔を所定間隔状態に規制する。
【0044】
次に、例えば、900℃乃至950℃に加熱しながら、図5(d)に示すように、供給管21からの不活性ガスの供給を停止して排出可能な状態とし、供給管22から超塑性変形材である外筒11と内筒12の間に不活性ガスを供給して加圧する。これにより、所定間隔状態に規制された外フェース筒14と内フェース筒15との間でもって溶接部13で仕切られた外筒11と内筒12の間を膨らませて超塑性変形させる。
【0045】
図5(e)に示すように、更に外筒11と内筒12を超塑性変形させて外フェース筒14と内フェース筒15との間でもって略矩形状態に超塑性変形させる。超塑性変形した外筒11と内筒12の面同士及び外筒11、内筒12の面と外フェース筒14の内面、内フェース筒15の外面とが拡散接合により一体的に接合される。
【0046】
外筒11と内筒12の面同士及び外筒11、内筒12の面と外フェース筒14の内面、内フェース筒15の外面とが拡散接合により一体的に接合されることで、図4(b)に示すように、フェース筒14と内フェース筒15の間に冷却通路23が形成されたノズルスカート24が製造される。
【0047】
ノズルスカート24の材料16は裁頭状態の円錐形状となっているので、溶接部13のピッチは上方に向かって狭くなる状態になっている。
【0048】
本実施形態例のように、外筒11と外フェース筒14との間及び内筒12と内フェース筒15との間への不活性ガスの供給を上側の供給管21から行い、外筒11と内筒12の間への不活性ガスの供給を下側の供給管22から行うことで、ピッチが狭い側に向かって外筒11と内筒12の間が膨らむ状態になる。
【0049】
このため、外筒11と外フェース筒14との間及び内筒12と内フェース筒15との間の不活性ガスの排出が自然に行われ、排気が容易となる。
【0050】
尚、外筒11と内筒12の間を不活性ガスで加圧する際に、外筒11と外フェース筒14との間及び内筒12と内フェース筒15との間を真空排気(減圧排気)することも可能である。真空排気することで、排気を促進することが可能となる。
【0051】
上述した製造方法によるノズルスカート24は、外筒11と内筒12の拡散接合面が外フェース筒14と内フェース筒15の間に存在して炉内雰囲気の影響を受けることがないので、酸素や窒素等の混入による酸化・窒化は生じない。このため、拡散接合が不十分になる虞がなくなり、超塑性変形させて冷却通路23を形成する際に外筒11と内筒12の表面同士の拡散接合が十分に行える。
【0052】
また、ノズルスカート24の外面は外フェース筒14となっているので、フラットな外面を有するノズルスカート24となる。このため、図6に示すように、フラットな外面を用いて冷却通路23につながるマニホールド25を取り付けることができ、構造物を取り付けるための部位を容易に確保することができるノズルスカート24の製造方法となる。
【0053】
【発明の効果】
本発明の冷却通路構造体の製造方法は、
所定の温度で超塑性変形する超塑性変形する超塑性変形材コア部材を重ねあわせ、
冷却通路の幅のピッチで溶接等を行って重ね合わせた超塑性変形材コア部材を接合し、
接合された超塑性変形材コア部材の両面にコア材との拡散接合性を有するフェース材を配置し、加熱しながらもしくは所定の温度に加熱保持した状態で、始めにコア部材とフェース材の間を加圧してフェース材を変形させて
フェース材同士の間隔を所定間隔状態に規制し、次に超塑性変形材コア部材の間を加圧して超塑性変形材コア部材を超塑性変形させ、
フェース材の間に超塑性変形材コア部材で仕切られた冷却通路を形成する
ことを特徴とする。
【0054】
このため、超塑性変形させて冷却通路を形成する際に部材の表面同士の拡散接合が十分に行えると共に、構造物を取り付けるための部位を容易に確保することができる冷却通路構造体の製造方法となる。
【0055】
本発明の冷却通路を有するノズルの製造方法は、
所定の温度で超塑性変形する超塑性変形する筒状の超塑性変形材製の外筒と内筒とを重ねあわせ、
冷却通路の幅のピッチで始点から終点の向きが軸方向になる溶接または拡散接合を行って重ね合わせた外筒と内筒を接合し、
外筒の外周側に外筒材との拡散接合性を有する外フェース筒を配置すると共に内筒の内周側に内筒材との拡散接合性を有する内フェース筒を配置し、加熱しながらもしくは所定の温度に加熱保持した状態で、始めに内外筒材と内外フェース材の間を加圧して内外フェース材を変形させて
外フェース筒及び内フェース筒の間隔を所定間隔状態に規制し、次に外筒と内筒の間を加圧して外筒と内筒を超塑性変形させ、
外フェース筒及び内フェース筒の間に超塑性変形材製の外筒と内筒で仕切られた冷却通路を形成する
ことを特徴とする。
【0056】
このため、超塑性変形させて冷却通路を形成する際に筒部材の表面同士の拡散接合が十分に行えると共に、構造物を取り付けるための部位を容易に確保することができる冷却通路を有するノズルの製造方法となる。
【0057】
本発明の冷却通路を有するノズルは、
軸方向に接合部を有する外筒と内筒の間が加圧されて外筒及び内筒が超塑性変形により成形されて互いに拡散接合されて冷却通路が形成され、拡散接合された外筒及び内筒が外フェース筒及び内フェース筒の間に接合されていることを特徴とする。
【0058】
このため、筒部材が超塑性変形されて重なり合う表面同士の拡散接合が十分に行われて冷却通路が形成されると共に、構造物を取り付けるための部位が容易に確保された冷却通路を有するノズルとなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態例に係る冷却通路構造体の製造方法を説明する工程を表す斜視図。
【図2】図1に示した工程に対応する断面図。
【図3】本発明の一実施形態例に係る冷却通路を備えたノズルの製造方法を説明する工程を表す斜視図。
【図4】本発明の一実施形態例に係る冷却通路を備えたノズルの製造方法を説明する工程を表す斜視図。
【図5】図3、図4に示した工程に対応する断面図。
【図6】本実施形態例の製造方法で製造されたノズルスカートの外観図。
【符号の説明】
1 コア材
2 コア材
3 接合部
4 フェース材
5 材料
6 成形型
7 冷却通路
8 冷却通路構造体
11 外筒
12 内筒
13 接合部
14 外フェース筒
15 内フェース筒
16 材料
17 下型
18 上型
21 供給管(下側)
22 供給管(上側)
23 冷却通路
24 ノズルスカート
【発明の属する技術分野】
本発明は、冷却通路構造体の製造方法に関し、例えば、ロケットエンジン等に適用される冷却通路を有するノズルの製造方法に関する。
【0002】
また、例えば、ロケットエンジン等に適用される冷却通路を有するノズルに関する。
【0003】
【従来の技術】
ロケットエンジンのノズルスカートは、高温の燃焼ガスの流れを効率よくするためのものであると共に、燃焼ガスの熱により燃焼器に送られる燃料を加熱するためのものである。このため、ノズルスカートは燃料で破壊されない温度まで冷却されると共に燃料は予熱されることになり、熱交換器として機能している。
(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
ノズルスカートは、裁頭円錐状の二重の筒状構造物で形成され、外筒と内筒との間に燃料が流通する構造となっている。ノズルスカートは、超塑性変形する筒部材を重ね合わせて冷却通路の幅で軸方向に接合し、真空高温雰囲気の成形型の中で筒部材の間を加圧することにより筒部材を超塑性変形させて冷却通路を形成している(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
【特許文献1】
特開平9−170500号公報
【0006】
従って、テ―パチューブをろう付けして製造する等の方法に比べ、加圧による超塑性変形により冷却通路を一度に形成することができ、低コスト、短時間でノズルスカートを製造することが可能である。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
超塑性変形した筒部材は表面同士の拡散接合により接合されて冷却通路が形成されるが、真空雰囲気であっても成形型には真空性が低下する部分が生じ、酸素や窒素等が混入して成形型側の面が酸化・窒化され、拡散接合が不十分になる虞があった。
【0008】
また、ノズルスカートには、燃料を冷却通路に送るマニホールド等の構造物を取り付ける必要があるため、マニホールドを取り付けるための端縁部を形成する必要があった。このため、例えば、溶接線の端部外側まで超塑性変形させて製品とする等が必要となり、溶接線端部の耐久性等に対して対処する必要があった。
【0009】
本発明は上記状況に鑑みてなされたもので、超塑性変形させて冷却通路を形成する際に部材の表面同士の拡散接合が十分に行えると共に、構造物を取り付けるための部位を容易に確保することができる冷却通路構造体の製造方法を提供することを目的とする。
【0010】
本発明は上記状況に鑑みてなされたもので、超塑性変形させて冷却通路を形成する際に筒部材の表面同士の拡散接合が十分に行えると共に、構造物を取り付けるための部位を容易に確保することができる冷却通路を有するノズルの製造方法を提供することを目的とする。
【0011】
本発明は上記状況に鑑みてなされたもので、筒部材が超塑性変形されて重なり合う表面同士の拡散接合が十分に行われて冷却通路が形成されると共に、構造物を取り付けるための部位が容易に確保された冷却通路を有するノズルを提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するための本発明の冷却通路構造体の製造方法は、
所定の温度で超塑性変形する超塑性変形材コア部材を重ねあわせ、
冷却通路の幅で溶接または拡散接合を行って重ね合わせた超塑性変形材コア部材を接合し、
接合された超塑性変形材コア部材の両面にコア材との拡散接合性を有するフェース材を配置し、加熱しながらもしくは所定の温度に加熱保持した状態で、始めにコア部材とフェース材の間を加圧してフェース材を変形させて
フェース材同士の間隔を所定間隔状態に規制し、次に超塑性変形材コア部材の間を加圧して超塑性変形材コア部材を超塑性変形させ、
フェース材の間に超塑性変形材コア部材で仕切られた冷却通路を形成する
ことを特徴とする。
【0013】
上記目的を達成するための本発明の冷却通路を有するノズルの製造方法は、
所定の温度で超塑性変形する筒状の超塑性変形材製の外筒と内筒とを重ねあわせ、
冷却通路の幅のピッチで始点から終点の向きが軸方向となる溶接または拡散接合を行って重ね合わせた外筒と内筒を接合し、
外筒の外周側に外筒材との拡散接合性を有する外フェース筒を配置すると共に内筒の内周側に内筒材との拡散接合性を有する内フェース筒を配置し、加熱しながらもしくは所定の温度に加熱保持した状態で、始めに内外筒材と内外フェース材の間を加圧して内外フェース材を変形させて
外フェース筒及び内フェース筒の間隔を所定間隔状態に規制し、次に外筒と内筒の間を加圧して外筒と内筒を超塑性変形させ、
外フェース筒及び内フェース筒の間に超塑性変形材で区画された冷却通路を形成する
【0014】
この場合、外筒と内筒を超塑性変形させる際に、外フェース筒と外筒の間、及び、内フェース筒と内筒の間のガスは、外筒と内筒の間が加圧されて超塑性変形することで(膨らむことで)自然に排気される。
【0015】
そして、請求項2に記載の冷却通路を有するノズルの製造方法において、外筒と内筒の間を加圧する際に、外筒とフェース筒の間及び内筒と内フェース筒の間を減圧排気することを特徴とする。減圧排気することで、外フェース筒と外筒の間、及び、内フェース筒と内筒の間のガス排気が促進される。
【0016】
また、請求項3に記載の冷却通路を有するノズルの製造方法において、外筒と内筒の間の加圧と、外筒と外フェース筒の間及び内筒と内フェース筒の間の減圧排気は、内筒と外筒が変形して内外のフェース筒に部分的に接した後に行なわれることを特徴とする。また、請求項2乃至請求項3のいずれか一項に記載の冷却通路を有するノズルの製造方法において、外筒と内筒の間を加圧する際の加熱は、900℃乃至950℃であることを特徴とする。
【0017】
また、請求項2乃至請求項4のいずれか一項に記載の冷却通路を有するノズルの製造方法において、外筒及び内筒は、二相ステンレスもしくはチタンであることを特徴とする冷却通路を有する。また、請求項2乃至請求項5のいずれか一項に記載の冷却通路を有するノズルの製造方法において、外フェース筒及び内フェース筒は、外筒及び内筒と同一の材質の部材であることを特徴とする。また、請求項2乃至請求項6のいずれか一項に記載の冷却通路を有するノズルの製造方法において、重ね合わせた外筒と内筒を接合する際の溶接は、直線シーム溶接、レーザ溶接、もしくは電子ビーム溶接であることを特徴とする。
【0018】
上記目的を達成するための本発明の冷却通路を有するノズルは、
軸方向に接合部を有する外筒と内筒の間が加圧されて外筒及び内筒が超塑性変形により成形されて互いに拡散接合されて冷却通路が形成され、拡散接合された外筒及び内筒が外フェース筒及び内フェース筒の間に接合されていることを特徴とする。
【0019】
【発明の実施の形態】
図1、図2に基づいて冷却通路構造体の製造方法を説明する。
【0020】
図1には本発明の一実施形態例に係る冷却通路構造体の製造方法を説明する工程を表す斜視、図2には図1に示した工程に対応する断面を示してある。
【0021】
図1(a)及び図2(a)に示すように、所定の温度で超塑性変形する超塑性変形材コア部材(例えば、二相ステンレス)である板状のコア材1、2を重ね合わせ、冷却通路の幅でレーザ溶接を施して直線状の溶接部3を複数形成してコア材1,2を接合する。
【0022】
ところで、二相ステンレスとは、フェライト相の中に島状のオーステナイト相が分散した、混合組織を有するステンレス鋼である。この鋼材の詳細については当業者に良く知られているところであるので、説明は割愛する。なお、二相ステンレスとしては種々の品種があるが、いずれも、本発明の製造方法には特に制限なく使用することができる。
【0023】
尚、接合には直線シーム溶接等種々の溶接や拡散接合を適用することが可能であり、溶接の場合には片面からのみもしくは両面から行われる。また、溶接部3を直線状としたが、曲線やジグザグ状の溶接部とすることも可能である。
【0024】
図1(b)及び図2(b)に示すように、接合されたコア材1、2の両面にフェース材(ステンレス)4をそれぞれ配置して材料5とする。ここではフェース材(ステンレス)4は、コア材1、2に対して薄板状に形成されているが、これらの板厚の組み合わせは任意に選択することが可能である。
【0025】
尚、フェース材4としては、コア材1、2と同一部材である例えば、二相ステンレスとすることも可能であり、また、コア材1、2及びフェース材4としてチタン等のその他の超塑性変形材を用いることも可能である。
【0026】
ここで云うところの超塑性変形材としてのチタンとしては、品種名でたとえばTi64が知られている。これは,アルミニウム6.22重量百分率、ヴァナジウム4.15重量百分率などを含むチタン合金である。超塑性変形材を発揮するチタン合金であれば,特に制限なく本発明の製造方法に適用できることはもちろんである。
【0027】
図1(c)及び図2(c)に示すように、コア材1、2の両面にフェース材4を配置した材料5を成形型6に装着し、材料5とともに成形型6を図示しない加熱炉にセットする。コア材1、2とフェース材4との間を不活性ガス(例えば、ヘリウムガスもしくはアルゴンガス)により加圧し、フェース材4を成形型6の内壁に密着させて所定間隔状態に規制する。
【0028】
図1(d)に示すように、例えば、900℃乃至950℃に加熱しながらもしくはこの間の一定温度に保持しながら超塑性変形材であるコア材1、2の間を不活性ガス(例えば、ヘリウムガスもしくはアルゴンガス)により加圧し、所定間隔状態に規制されたフェース材4の間でもって溶接部3で仕切られたコア材1、2の間を膨らませて超塑性変形させる。
【0029】
図1(e)及び図2(e)に示すように、更にコア材1、2を超塑性変形させてフェース材4の間でもって略矩形状態に超塑性変形させる。超塑性変形したコア材1、2の面同士及びコア材1、2の面とフェース材4の内面とが拡散接合により接合される。
【0030】
尚、コア材1、2の間を不活性ガスで加圧する際に、コア材1、2の外側とフェース材4の内側との間を真空排気(減圧排気)することも可能である。但し、真空排気は、コア材1、2が超塑性変形してフェース材4に部分的に接した後に行われる。真空排気することで、コア材1、2とフェース材4との3重点に残る隙間を小さくすることが可能となる。
【0031】
超塑性変形したコア材1、2の面同士及びコア材1、2の面とフェース材4の内面とが拡散接合により一体的に接合されることで、フェース材4の間に冷却通路7が形成された冷却通路構造体8が製造される。
【0032】
上述した製造方法による冷却通路構造体8は、コア材1、2の拡散接合面がフェース材4の間に存在して成形型3の影響を受けることがないので、真空性が低下する部分からの酸素や窒素等の混入による酸化・窒化という問題はない。このため、拡散接合が不十分になる虞がなくなり、超塑性変形させて冷却通路7を形成する際にコア材1、2の表面同士の拡散接合が十分に行える。
【0033】
また、冷却通路構造体8の外面はフェース材4となっているので、フラットな外面を有する構造体となり、構造物を取り付けるための部位としてフラットな外面を容易に確保することができる冷却通路構造体8の製造方法となる。
【0034】
上述した実施形態例の冷却通路構造体8は、空調装置や産業機器、運送機器、各種プラント等の熱交換器等、熱交換用の流体を流通させる機器として様々な部位に適用することが可能である。
【0035】
図3乃至図6に基づいて本発明のノズルの製造方法を説明する。以下に示した実施形態例は、ノズルとしてロケットのノズルスカートに適用した例である。
【0036】
図3、図4には本発明の一実施形態例に係る冷却通路を備えたノズルの製造方法を説明する工程を表す斜視、図5には図3、図4に示した工程に対応する断面、図6には本実施形態例の製造方法で製造されたノズルスカートの外観を示してある。
【0037】
図3(a)及び図5(a)に示すように、所定の温度で超塑性変形する超塑性変形材製(例えば、二相ステンレス)の裁頭状態の円錐筒状の外筒11と内筒12とを重ね合わせ、冷却通路の幅でレーザ溶接を施して直線状の溶接部13を複数形成して外筒11と内筒12とを接合する。
【0038】
尚、接合には直線シーム溶接等種々の溶接や拡散接合を適用することが可能であり、溶接の場合には片面からのみもしくは両面から行われる。また、溶接部13を直線状としたが、曲線やジグザグ状の溶接部とすることも可能であり、始点から終点までの向きが軸方向になっていればよい。
【0039】
図3(b)及び図5(b)、図5(c)に示すように、接合された外筒11の外周側に裁頭状態の円錐筒状の外フェース筒(ステンレス)14を配置すると共に、内筒12の内周側に内フェース筒(ステンレス)15を配置する。ここでは外フェース筒14及び内フェース筒15は外筒11及び内筒12に対して薄肉厚に形成されているが、これらの板厚の組み合わせは任意に選択することが可能である。
【0040】
尚、外フェース筒14及び内フェース筒15としては、外筒11及び内筒12と同一の材質の部材である例えば、二相ステンレスとすることも可能であり、また、外筒11及び内筒12、外フェース筒14及び内フェース筒15としてチタン等のその他の超塑性変形材を用いることも可能である。
【0041】
図4(a)に示すように、外筒11の外周側に外フェース筒14を配置すると共に内筒12の内周側に内フェース筒15を配置した材料16を成形用の下型17に被せ、この上に上型18を被せる。材料16には外筒11と外フェース筒14との間及び内筒12と内フェース筒15との間に加圧用の不活性ガス(例えば、ヘリウムガスもしくはアルゴンガス)を供給するための供給管21が小径側(上側)に、外筒11と内筒12の間に加圧用の不活性ガス(例えば、ヘリウムガスもしくはアルゴンガス)を供給するための供給管22が大径側(下側)に備えられている。
【0042】
材料16がセットされた成形用の下型17及び上型18を図示しない加熱炉にセットする。
【0043】
図5(c)に示すように、供給管21から外筒11と外フェース筒14との間及び内筒12と内フェース筒15との間に不活性ガスを供給して加圧し、外フェース筒14を上型18の内壁に密着させると共に内フェース筒15を下型17の外壁に密着させて外フェース筒14と内フェース筒15との間隔を所定間隔状態に規制する。
【0044】
次に、例えば、900℃乃至950℃に加熱しながら、図5(d)に示すように、供給管21からの不活性ガスの供給を停止して排出可能な状態とし、供給管22から超塑性変形材である外筒11と内筒12の間に不活性ガスを供給して加圧する。これにより、所定間隔状態に規制された外フェース筒14と内フェース筒15との間でもって溶接部13で仕切られた外筒11と内筒12の間を膨らませて超塑性変形させる。
【0045】
図5(e)に示すように、更に外筒11と内筒12を超塑性変形させて外フェース筒14と内フェース筒15との間でもって略矩形状態に超塑性変形させる。超塑性変形した外筒11と内筒12の面同士及び外筒11、内筒12の面と外フェース筒14の内面、内フェース筒15の外面とが拡散接合により一体的に接合される。
【0046】
外筒11と内筒12の面同士及び外筒11、内筒12の面と外フェース筒14の内面、内フェース筒15の外面とが拡散接合により一体的に接合されることで、図4(b)に示すように、フェース筒14と内フェース筒15の間に冷却通路23が形成されたノズルスカート24が製造される。
【0047】
ノズルスカート24の材料16は裁頭状態の円錐形状となっているので、溶接部13のピッチは上方に向かって狭くなる状態になっている。
【0048】
本実施形態例のように、外筒11と外フェース筒14との間及び内筒12と内フェース筒15との間への不活性ガスの供給を上側の供給管21から行い、外筒11と内筒12の間への不活性ガスの供給を下側の供給管22から行うことで、ピッチが狭い側に向かって外筒11と内筒12の間が膨らむ状態になる。
【0049】
このため、外筒11と外フェース筒14との間及び内筒12と内フェース筒15との間の不活性ガスの排出が自然に行われ、排気が容易となる。
【0050】
尚、外筒11と内筒12の間を不活性ガスで加圧する際に、外筒11と外フェース筒14との間及び内筒12と内フェース筒15との間を真空排気(減圧排気)することも可能である。真空排気することで、排気を促進することが可能となる。
【0051】
上述した製造方法によるノズルスカート24は、外筒11と内筒12の拡散接合面が外フェース筒14と内フェース筒15の間に存在して炉内雰囲気の影響を受けることがないので、酸素や窒素等の混入による酸化・窒化は生じない。このため、拡散接合が不十分になる虞がなくなり、超塑性変形させて冷却通路23を形成する際に外筒11と内筒12の表面同士の拡散接合が十分に行える。
【0052】
また、ノズルスカート24の外面は外フェース筒14となっているので、フラットな外面を有するノズルスカート24となる。このため、図6に示すように、フラットな外面を用いて冷却通路23につながるマニホールド25を取り付けることができ、構造物を取り付けるための部位を容易に確保することができるノズルスカート24の製造方法となる。
【0053】
【発明の効果】
本発明の冷却通路構造体の製造方法は、
所定の温度で超塑性変形する超塑性変形する超塑性変形材コア部材を重ねあわせ、
冷却通路の幅のピッチで溶接等を行って重ね合わせた超塑性変形材コア部材を接合し、
接合された超塑性変形材コア部材の両面にコア材との拡散接合性を有するフェース材を配置し、加熱しながらもしくは所定の温度に加熱保持した状態で、始めにコア部材とフェース材の間を加圧してフェース材を変形させて
フェース材同士の間隔を所定間隔状態に規制し、次に超塑性変形材コア部材の間を加圧して超塑性変形材コア部材を超塑性変形させ、
フェース材の間に超塑性変形材コア部材で仕切られた冷却通路を形成する
ことを特徴とする。
【0054】
このため、超塑性変形させて冷却通路を形成する際に部材の表面同士の拡散接合が十分に行えると共に、構造物を取り付けるための部位を容易に確保することができる冷却通路構造体の製造方法となる。
【0055】
本発明の冷却通路を有するノズルの製造方法は、
所定の温度で超塑性変形する超塑性変形する筒状の超塑性変形材製の外筒と内筒とを重ねあわせ、
冷却通路の幅のピッチで始点から終点の向きが軸方向になる溶接または拡散接合を行って重ね合わせた外筒と内筒を接合し、
外筒の外周側に外筒材との拡散接合性を有する外フェース筒を配置すると共に内筒の内周側に内筒材との拡散接合性を有する内フェース筒を配置し、加熱しながらもしくは所定の温度に加熱保持した状態で、始めに内外筒材と内外フェース材の間を加圧して内外フェース材を変形させて
外フェース筒及び内フェース筒の間隔を所定間隔状態に規制し、次に外筒と内筒の間を加圧して外筒と内筒を超塑性変形させ、
外フェース筒及び内フェース筒の間に超塑性変形材製の外筒と内筒で仕切られた冷却通路を形成する
ことを特徴とする。
【0056】
このため、超塑性変形させて冷却通路を形成する際に筒部材の表面同士の拡散接合が十分に行えると共に、構造物を取り付けるための部位を容易に確保することができる冷却通路を有するノズルの製造方法となる。
【0057】
本発明の冷却通路を有するノズルは、
軸方向に接合部を有する外筒と内筒の間が加圧されて外筒及び内筒が超塑性変形により成形されて互いに拡散接合されて冷却通路が形成され、拡散接合された外筒及び内筒が外フェース筒及び内フェース筒の間に接合されていることを特徴とする。
【0058】
このため、筒部材が超塑性変形されて重なり合う表面同士の拡散接合が十分に行われて冷却通路が形成されると共に、構造物を取り付けるための部位が容易に確保された冷却通路を有するノズルとなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態例に係る冷却通路構造体の製造方法を説明する工程を表す斜視図。
【図2】図1に示した工程に対応する断面図。
【図3】本発明の一実施形態例に係る冷却通路を備えたノズルの製造方法を説明する工程を表す斜視図。
【図4】本発明の一実施形態例に係る冷却通路を備えたノズルの製造方法を説明する工程を表す斜視図。
【図5】図3、図4に示した工程に対応する断面図。
【図6】本実施形態例の製造方法で製造されたノズルスカートの外観図。
【符号の説明】
1 コア材
2 コア材
3 接合部
4 フェース材
5 材料
6 成形型
7 冷却通路
8 冷却通路構造体
11 外筒
12 内筒
13 接合部
14 外フェース筒
15 内フェース筒
16 材料
17 下型
18 上型
21 供給管(下側)
22 供給管(上側)
23 冷却通路
24 ノズルスカート
Claims (8)
- 所定の温度で超塑性変形する超塑性変形材コア部材を重ねあわせ、
重ね合わせた前記超塑性変形材コア部材を、冷却通路の幅のピッチで溶接または拡散接合を行って接合し、
接合された前記超塑性変形材コア部材の両面に当該コア部材との拡散接合性を有するフェース材を配置し、加熱しながらもしくは所定の温度に加熱保持した状態で前記超塑性変形材コア部材と前記フェース材の間を加圧して前記フェース材を変形させて前記フェース材同士の間隔を所定間隔状態に規制し、次に前記超塑性変形材コア部材の間を加圧して前記超塑性変形材コア部材を超塑性変形させ、
前記超塑性変形材コア部材で仕切られた冷却通路を、前記フェース材の間に形成する
ことを特徴とする冷却通路構造体の製造方法。 - 所定の温度で超塑性変形する筒状の超塑性変形材製の外筒と内筒とを重ねあわせ、
冷却通路の幅のピッチで接合始点から接合終点の向きが軸方向となる溶接または拡散接合を行って重ね合わせた前記外筒と前記内筒を接合し、
前記外筒の外周側に外筒材との拡散接合性を有する外フェース筒を配置すると共に、前記内筒の内周側に内筒材との拡散接合性を有する内フェース筒を配置し、加熱しながらもしくは所定の温度に保持した状態で前記内外筒と前記内外フェース筒の間を加圧して前記内外フェース筒を変形させて前記外フェース筒及び前記内フェース筒の間隔を所定間隔状態に規制し、次に前記外筒と前記内筒の間を加圧して前記外筒と前記内筒を超塑性変形させ、
超塑性変形材で区画された冷却通路を、前記外フェース筒及び前記内フェース筒の間に形成する
ことを特徴とする冷却通路を有するノズルの製造方法。 - 請求項2に記載の冷却通路を有するノズルの製造方法において、
前記外筒と前記内筒の間を加圧する際に、前記外筒と前記内筒が変形して前記外フェース筒及び前記内フェース筒に部分的に接した後に、前記外筒と前記外フェース筒の間及び前記内筒と前記内フェース筒の間を減圧排気する
ことを特徴とする冷却通路を有するノズルの製造方法。 - 請求項2乃至請求項3のいずれか一項に記載の冷却通路を有するノズルの製造方法において、
前記外筒と前記内筒の間を加圧する際の加熱は、900℃乃至950℃である
ことを特徴とする冷却通路を有するノズルの製造方法。 - 請求項2乃至請求項4のいずれか一項に記載の冷却通路を有するノズルの製造方法において、
前記外筒及び前記内筒は、二相ステンレスもしくはチタンである
ことを特徴とする冷却通路を有するノズルの製造方法。 - 請求項2乃至請求項5のいずれか一項に記載の冷却通路を有するノズルの製造方法において、
前記外フェース筒及び前記内フェース筒は、前記外筒及び前記内筒と同一の材質の部材である
ことを特徴とする冷却通路を有するノズルの製造方法。 - 請求項2乃至請求項6のいずれか一項に記載の冷却通路を有するノズルの製造方法において、
重ね合わせた前記外筒と前記内筒を接合する際の溶接は、直線シーム溶接もしくはレーザ溶接もしくは電子ビーム溶接である
ことを特徴とする冷却通路を有するノズルの製造方法。 - 軸方向に接合部を有する外筒と内筒の間が加圧されて外筒及び内筒が超塑性変形により成形されて互いに拡散接合されて冷却通路が形成され、拡散接合された前記外筒及び前記内筒が外フェース筒及び内フェース筒の間に接合されていることを特徴とする冷却通路を有するノズル。
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Legal Events
Date | Code | Title | Description |
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A300 | Withdrawal of application because of no request for examination |
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