JP2004244604A - 蛍光体及び蛍光ランプ - Google Patents
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Abstract
【解決手段】一般式、a(MI 1−x−yEuxMII 2y)O・Al12−z−kMIII zMIV kO18で表されるアルカリ土類アルミン酸塩蛍光体(式中、aは0.9≦a≦1.8、MIはBa、Sr、Caを表し、xは0<x<1、MIIはLi、Tl、yは0≦y<1、x+2y<1、MIIIはB、La、zは0≦z<2、MIVはSc、Y、Gd、In、Ga、Ce、Tm、Yb、Bi、kは0≦k<2である)で、特定の炭酸塩化合物で表面処理が施されていることを特徴とする蛍光体。
【選択図】 なし
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、特に水銀封入形の蛍光ランプ等の蛍光膜として使用した際、経時的な輝度低下の少ない蛍光体及びこの蛍光体を使用した光束維持率の改善された蛍光ランプに関する。
【0002】
【従来の技術】
一般照明用の蛍光ランプとしては、ハロ燐酸塩系蛍光体を蛍光膜とする旧来の白色発光蛍光ランプに加えて、いわゆる三波長域発光形の蛍光ランプが実用化され、高効率性と高演色性とを同時に満足することから三波長域発光形蛍光ランプが、近年、一般照明用の蛍光ランプの主流になってきている。三波長域発光形蛍光ランプは、比較的狭帯域の発光スペクトル分布を有する、青色発光、緑色発光及び赤色発光の3種の蛍光体を任意の割合で混合し、この混合蛍光体からなる蛍光膜(蛍光体層)を蛍光ランプの外囲器であるガラス管の内壁面に形成した構成を有している。これらの蛍光ランプはランプの管内に封入された水銀蒸気の放電によって生じる紫外線で、ランプ管内壁に形成された蛍光膜を励起して発光させる機構を有している。近年、これら蛍光ランプは一般照明用に限らず、OA機器用光源や液晶ディスプレイのバックライトなどにも利用され、その利用分野が拡大してきている。デイスプレイ素子の色再現に関する基本性能は3原色の色度座標値(色再現範囲)及び白、黒の色度座標値で表される。液晶表示装置(以下LCD)にはバックライトと呼ばれる面光源を内蔵したタイプと周囲光を利用するタイプとがある。バックライト内蔵型のカラーLCDでは、液晶によりバックライトからの光の強度を制御し、画素毎に配置されたRGBの3原色のモザイク状カラーフィルターにより、いずれかの波長域の光を選択的に透過させて、併置混色により任意の色を再現している。これらのバックライトにはR、G及びBの3原色の波長域にそれぞれの発光スペクトル分布を有する蛍光体の混合物を使用した3波長型蛍光ランプが用いられ、またそれを構成する陰極については、細管化が容易であること、長寿命であること、及び低コストであることの理由から冷陰極型が多く用いられている。
【0003】
従来の三波長域発光形蛍光ランプでは、継続的な点灯中での光束維持率の低下があり、その寿命が必ずしも十分ではないためにその応用分野の拡大を妨げていた。蛍光ランプにおける光束維持率の低下(蛍光体輝度の低下)の原因としては、主に蛍光体表面に蛍光ランプ中の水銀やその化合物等が付着することや、その波長が185nmの低波長紫外線による蛍光体表面のダメージ等によるものと考えられている。この様な問題に対し、蛍光ランプ中の水銀や水銀の化合物等による蛍光体の汚染を抑制するための試みとして、蛍光体表面に酸化マグネシウム等のアルカリ土類金属の酸化物を被覆させたり、あるいは水酸化マグネシウムを付着させる(特開平5−25475号公報参照)等の改善策が従来より提案されている。しかし、これらの表面処理が施された蛍光体を用いた蛍光ランプでは、ランプの光束維持率の低下を抑制する効果は、必ずしも十分ではなかった。中でも青色の蛍光体は他の色に比較して経時劣化が大きいため、経時劣化の少ない青色蛍光体が求められていた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、この様な問題を解決するためになされたもので、色純度がよく、蛍光ランプの蛍光膜として使用した場合、点灯中のランプの輝度低下を効果的に抑制することを可能にした蛍光体、および光束維持率の高い長寿命の蛍光ランプを提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記の目的を達成するために、一般式a(M1−xEux)O・6Al2O3で表される蛍光体について鋭意検討し、特願2001−0245132、2002−143524、2002−143525、2003−29460明細書において新たな青色蛍光体を提案しているが、これらの蛍光体の表面処理方法、特に蛍光体表面に付着させる表面処理物質について更なる検討を重ねた結果、蛍光体粒子表面に炭酸塩化合物を付着させることにより、長時間紫外線照射を受けても発光輝度の低下が少なく、この蛍光体を蛍光膜として用いると光束維持率の高い長寿命の蛍光ランプが得られることを見いだし、本発明に至った。
【0006】
本発明は以下の構成を有する。
(1)一般式、a(MI 1−x−yEuxMII 2y)O・Al12−z−kMIII zMIV kO18で表されるアルカリ土類アルミン酸塩蛍光体(但し前記式中、aは0.9≦a≦1.8を満たす数であり、MIはBa、SrおよびCaから成る群より選択される少なくとも1種のアルカリ土類金属元素を表し、xは0<x<1であり、MIIはLi、Tlから成る群より選択される少なくとも1種で、yは0≦y<1、x+2y<1であり、MIIIはB、Laから成る群より選択される少なくとも1種でzは0≦z<2であり、MIVSc、Y、Gd、In、Ga、Ce、Tm、Yb、Biから成る群より選択される少なくとも1種でkは0≦k<2である)において、該蛍光体の粒子表面に炭酸塩化合物が付着していることを特徴とする蛍光体。
【0007】
(2)前記炭酸塩化合物がアルカリ土類金属炭酸塩及び希土類金属炭酸塩の中の少なくとも1種であることを特徴とする前記(1)記載の蛍光体。
(3)前記希土類金属炭酸塩が炭酸ランタン、炭酸ガドリニウムもしくは炭酸イットリウムであることを特徴とする前記(1)〜(2)のいずれかに記載の蛍光体。
(4)前記炭酸塩化合物の付着量が上記蛍光体に対して0.005〜5重量%であることを特徴とする前記(1)〜(3)のいずれかに記載の蛍光体。
【0008】
(5)前記蛍光体のCuKα1特性X線による粉末回折X線スペクトルにおいて、該スペクトルの回折角(2θ)が28°〜31°の角度領域にわたって幅広い帯状のピークを有することを特徴とするアルカリ土類アルミン酸塩蛍光体。
(6)前記蛍光体が水銀蒸気放電ランプ用蛍光体であることを特徴とする前記(1)〜(5)のいずれかに記載の蛍光体。
(7)ガラス管の内壁面に形成された蛍光膜を具備する蛍光ランプにおいて、前記蛍光膜は、上記(1)〜(6)のいずれかに記載の蛍光体を含むことを特徴とする蛍光ランプ。
(8)上記蛍光ランプにおいて冷陰極を使用した蛍光ランプ。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を更に詳細に説明する。
蛍光体粒子の表面に炭酸塩化合物が付着した本発明の蛍光体は、所定量の炭酸塩化合物の微粉末とコアとなる蛍光体(コア蛍光体)とを溶媒中で混合して蛍光体スラリーとし、このスラリーを十分に混合した後、脱水、乾燥することにより、製造することができる。この時用いられる溶媒としては水を用いるのが取り扱い性の点で好ましいが、例えば、エタノール等のアルコールやアセトンなどの有機溶剤を使用してもよい。また、本発明の蛍光体は、蛍光体のスラリー中に所定量の炭酸イオンを含有する溶液と、この炭酸イオンと化学反応して金属炭酸塩を生成し得るだけの金属イオンを含有する溶液とを投入するか、または所定量の水に可溶性の炭酸塩化合物及び金属化合物を蛍光体スラリー中に投入するかして、所望の金属炭酸塩化合物を反応生成させ蛍光体表面に沈澱析出、付着させると言った方法でも製造することが出来る。
【0010】
本発明の蛍光体において、蛍光体表面に最終的に付着させる炭酸塩化合物は、水に対し難溶性もしくは不溶性の化合物であり、炭酸アンモニウム等の非金属の炭酸塩化合物よりも、金属の炭酸塩化合物であることが好ましい。但し、金属炭酸塩化合物の中でもアルカリ金属の炭酸塩は、例えばHgを使用した蛍光ランプ用蛍光体として用いた場合、蛍光体表面への水銀付着を加速し光束の劣化を促進するため好ましくない。したがい水銀などに対してより安定であり、水に難溶性もしくは不溶性であり、蛍光体表面に安定に付着させられることから、金属炭酸塩化合物の中でもアルカリ土類金属や希土類の炭酸塩化合物が、特に好ましいと言える。
【0011】
本発明の蛍光体において、表面に付着させるアルカリ土類金属や希土類の炭酸塩化合物は、例えばアルカリ土類金属や希土類の酸化物に比べてより疎水性であり、また、結晶水を取り込んだ場合でもより安定化される作用があるため、これらの酸化物を表面に付着させた蛍光体に比べて、これらの炭酸塩化合物を付着させた蛍光体の方が蛍光体全体にとって水分の取り込みが抑制される。従って、これらの炭酸塩化合物を表面に付着させた本発明の蛍光体を用いて蛍光ランプを作製すると、ランプ作製時におけるベーキング工程での残留付着水分の低減化がはかられ、また蛍光ランプ使用時においても、脱ガス化が効果的に抑制され、更に出来上がった蛍光ランプの管内のガス汚染が抑制される。そのためこの様な目的の為に用いられる炭酸塩化合物は、脱炭酸温度が600℃以上の物が好ましく、800℃以上の物は更に好ましい。ここで述べる脱炭酸温度とは炭酸塩化合物が脱炭酸し炭酸塩全てが酸化物に変化してしまう温度を意味する。
【0012】
本発明の蛍光体の表面に付着させる炭酸塩化合物は、単独の化合物であっても、または複数種の炭酸塩化合物の混合物であっても良い。またここで述べている炭酸塩は結晶水を含有している物、アルカリ土類金属、希土類金属及び炭酸根を主成分とする複塩の形を形成している場合も含む。蛍光体表面に付着させる炭酸塩化合物の好ましい付着量は、コア蛍光体に対して0.005〜5.0重量%、更に好ましくはコア蛍光体に対して0.01〜3.0重量%の範囲に調整することが好ましい。コア蛍光体表面に付着させる炭酸塩化合物の量が蛍光体に対して0.005重量%より少ないと、経時的な発光輝度の低下を防ぐ効果が得られず、逆に5重量%を超えると、蛍光体中において非発光成分の比率が高くなるために、蛍光体の発光輝度が低下する。これを蛍光膜として使用した場合もまた、蛍光ランプの全光束が低下してしまうので好ましくない。
【0013】
なお炭酸塩化合物が表面に付着されるコア蛍光体としては、1)Ba、SrおよびCaから成る群より選択される少なくとも1種のアルカリ土類元素、2)Al元素、3)Li、Tlから成る群より選択される少なくとも一種の元素、4)BおよびLaから成る群より選択される少なくとも一種の元素、5)Sc、Y、Gd、In、Ga、Ce、Tm、Yb、Biから成る群より選択される元素および6)付活剤であるEu元素の各酸化物、またはこれら1)〜6)の各元素の炭酸塩、硫酸塩、ハロゲン化物等の化合物を、化学量論的にa(MI 1−x−yEuxMII 2y)O・Al12−z−kMIII zMIV kO18(但し前記式中、aは0.9≦a≦1.8を満たす数であり,MIはBa、SrおよびCaから成る群より選択される少なくとも1種のアルカリ土類金属元素を表し、0<x<1であり、MIIはLi、Tlから成る群より選択される少なくとも1種で、0≦y<1、x+2y<1であり、MIIIはB、Laから成る群より選択される少なくとも1種で0≦z<2であり、MIVはSc、Y、Gd、In、Ga、Ce、Tm、Yb、Biから成る群より選択される少なくとも1種で0≦k<2である)となる割合で秤取し、これらの混合物からなる蛍光体原料化合物を十分混合し、アルミナ坩堝等の耐熱容器に充填して焼成し、得られた焼成物に通常の蛍光体製造時に適用される後処理工程と同様に分散、水洗、乾燥、篩分けの諸処理を施すことによって一般式、a(MI 1−x−yEuxMII 2y)O・Al12−z−kMIII zMIV kO18で表される本発明のアルカリ土類アルミン酸塩蛍光体を製造することができる。なお、本発明において一般式、a(MI1−x−yEuxMII 2y)O・Al12−z−kMIII zMIV kO18で表される蛍光体とは、蛍光体中に含有されているMI、Al、Eu及びMII、MIII、MIVの各金属元素の構成比が上記一般式を満足する蛍光体をいう。
【0014】
本発明のアルカリ土類アルミン酸塩蛍光体は、紫外線励起したときの発光輝度の観点から、特に、a(MI 1−x−yEuxMII 2y)O・Al12−z−kMIII zMIV kO18なる組成式において、a値、x値がそれぞれ1.1≦a≦1.5、0.05≦x≦0.5であることがより好ましい。
また同様な観点から、蛍光体の母体結晶の一部を構成するMI元素がBaであるか、もしくは50モル%以下、より好ましくは20モル%以下のBaをSrおよびCaの中の少なくとも1つで置換したアルカリ土類金属元素であることが好ましい。また本発明のコア蛍光体としては、特願2003−29460にある様に、蛍光体中に硫黄元素を含有していると更に好ましい。
なお、この様にして作製された本発明蛍光体は特徴として粉末回折X線スペクトルにおいて、回折角(2θ°)が28°〜31°角度領域にわたって図1に示される様な幅広い帯状のピークを有している。
【0015】
また、本発明の蛍光ランプはポリエチレンオキサイドなどの水溶性バインダー溶液もしくはニトロセルロースのような有機バインダー溶液に、上述のようにして得られた、炭酸塩化合物が表面に付着した本発明の所望の蛍光体を分散させ、これに結着剤を添加してスラリー化して蛍光体塗布液を調製し、この蛍光体塗布液をガラス管の内壁に塗布し、本発明の蛍光体より構成される蛍光膜以外は、一般に知られている従来の製造方法で水銀蒸気放電ランプ、さらに詳細には熱陰極型ランプや冷陰極ランプが各々製造される。
【0016】
【作用】
本発明の蛍光体は、蛍光体表面に化学的に安定な特定の炭酸塩化合物が付着していることにより、この蛍光体を蛍光膜として用いた蛍光ランプのランプ点灯中における、水銀やその化合物等による蛍光膜中の蛍光体の汚染に基く光束維持率の低下を、効果的に抑制することができる。その理由としては、蛍光ランプ点灯中にランプ内に放射されている波長185nmの紫外線、200nm以下の短波長紫外線等による蛍光体表面のダメージを特定の炭酸塩化合物表面付着物であるアルカリ土類金属や希土類の炭酸塩化合物等により、効果的に抑制していると考えられる。
また詳細な調査によると、本発明の炭酸塩化合物が付着した蛍光体は、水銀を用いた蛍光ランプにおいて、水銀付着を低減させる効果を有していることが分かった。
【0017】
【実施例】
以下、実施例により本発明を説明する。
〔実施例1〕
BaCO3 :1.1574 モル
Eu2O3 :0.0643 モル
Al2O3 :6.0 モル
AlF3 :0.01 モル
上記各蛍光体原料を十分混合した後、アルミナ坩堝に充填し黒鉛を入れ、蓋をして水蒸気を含んだ窒素中で最高温度1600℃で昇降温時間を含め24時間かけて焼成した。この蛍光体のCuKα1特性X線による粉末回折X線スペクトルを測定したところ、図1に示すように回折角(2θ)が28°〜31°の角度領域にかけて幅広い帯状のピークが観測された。該幅広い帯状のピークを有しており、半値幅が1.10°であった。
【0018】
得られた蛍光体(コア蛍光体)100gと重炭酸アンモニウム3.5gを純水300ml中に投入して充分に撹拌してコア蛍光体スラリーを調製した。次に、このコア蛍光体スラリー中に1.2mol/lの硝酸イットリウム水溶液を4.7ml添加し、その蛍光体スラリー中において炭酸イットリウムの沈殿を生成させ、さらにこの蛍光体スラリーを十分に攪拌してから濾過した後、水洗と脱水を行って乾燥し、最後に篩を行って、組成式が1.286(Ba0.9Eu0.1)O・6Al2O3であって、蛍光体に対して1重量%の炭酸イットリウムが表面に付着した実施例1のアルカリ土類アルミン酸塩蛍光体を製造した。
【0019】
次に、コア蛍光体として実施例1の蛍光体を用いた以外は常法に従って40Wの直管形蛍光ランプを製造した。すなわち、上記実施例1の蛍光体をニトロセルロース−酢酸ブチルの混合溶剤によく分散させて蛍光体塗布スラリーを調製し、このスラリーを蛍光ランプのガラスバルブの内壁面に塗布し、これを乾燥させた後、およそ550℃でベーキングし、ガラスバルブの両端に熱陰極型電極を取り付けた。その後更にガラスバルブの中を真空排気し、アルゴンガスと水銀を注入することにより、実施例1の蛍光体を用いた蛍光ランプを製造した。
【0020】
〔比較例1〕
これとは別に、比較のために、実施例1の蛍光体の代わりに、表面に炭酸イットリウムが付着される前の未処理コア蛍光体を用いた以外は実施例1と同様にして比較例1の蛍光ランプを製造した。
【0021】
〔実施例2〕
実施例1の蛍光体の製造時において、コア蛍光体スラリー中に1.2mol/lの硝酸イットリウム水溶液を4.7ml添加する代わりに、1.2mol/lの硝酸ランタン水溶液を3.7ml添加した以外は実施例1の蛍光体と同様にして蛍光体に対して1重量%の炭酸ランタンが表面に付着した実施例2のアルカリ土類アルミン酸塩蛍光体を製造した。
次に、蛍光体として、表面に炭酸イットリウムを付着させた実施例1の蛍光体に代えて表面に炭酸ランタンを付着させた実施例2の蛍光体を用いた以外は実施例1の蛍光ランプと同様にして実施例2の蛍光ランプを作製した。
【0022】
〔実施例3〕
実施例1の蛍光体の製造時において、コア蛍光体スラリー中に1.2mol/lの硝酸イットリウム水溶液を4.7ml添加する代わりに、1.2mol/lの硝酸ガドリニウム水溶液を3.3ml添加した以外は実施例1の蛍光体と同様にして蛍光体に対して1重量%の炭酸ガドリニウムが表面に付着した実施例3のアルカリ土類アルミン酸塩蛍光体を製造した。
次に、蛍光体として、表面に炭酸イットリウムを付着させた実施例1の蛍光体に代えて表面に炭酸ガドリニウムを付着させた実施例3の蛍光体を用いた以外は実施例1の蛍光ランプと同様にして実施例3の蛍光ランプを作製した。
【0023】
〔実施例4〕
実施例1の蛍光体の製造時において、コア蛍光体スラリー中に1.2mol/lの硝酸イットリウム水溶液を4.7ml添加する代わりに、1.2mol/lの酢酸バリウム水溶液を4.3ml添加した以外は実施例1の蛍光体と同様にして蛍光体に対して1重量%の炭酸バリウムが表面に付着した実施例4のアルカリ土類アルミン酸塩蛍光体を製造した。
次に、蛍光体として、表面に炭酸イットリウムを付着させた実施例1の蛍光体に代えて表面に炭酸バリウムを付着させた実施例4の蛍光体を用いた以外は実施例1の蛍光ランプと同様にして実施例4の蛍光ランプを作製した。
【0024】
〔実施例5〕
実施例1の蛍光体の製造時において、コア蛍光体スラリー中に1.2mol/lの硝酸イットリウム水溶液を4.7ml添加する代わりに、1.2mol/lの硝酸カルシウム水溶液を8.3ml添加した以外は実施例1の蛍光体と同様にして蛍光体に対して1重量%の炭酸カルシウムが表面に付着した実施例5のアルカリ土類アルミン酸塩蛍光体を製造した。
次に、蛍光体として、表面に炭酸イットリウムを付着させた実施例1の蛍光体に代えて表面に炭酸カルシウムを付着させた実施例5の蛍光体を用いた以外は実施例1の蛍光ランプと同様にして実施例5の蛍光ランプを作製した。
【0025】
〔実施例6〕
実施例1の蛍光体の製造時において、コア蛍光体スラリー中に1.2mol/lの硝酸イットリウム水溶液を4.7ml添加する代わりに、1.2mol/lの硝酸ストロンチウム水溶液を5.7ml添加した以外は実施例1の蛍光体と同様にして蛍光体に対して1重量%の炭酸ストロンチウムが表面に付着した実施例6のアルカリ土類アルミン酸塩蛍光体を製造した。
次に、蛍光体として、表面に炭酸イットリウムを付着させた実施例1の蛍光体に代えて表面に炭酸ストロンチウムを付着させた実施例6の蛍光体を用いた以外は実施例1の蛍光ランプと同様にして実施例6の蛍光ランプを作製した。
【0026】
〔実施例7〕
コア蛍光体としてY2O3:Eu蛍光体及びLaPO4:Ce,Tb蛍光体を用い、実施例1の蛍光体と同様にしてこれらのコア蛍光体の表面にそれぞれ1重量%の炭酸イットリウムを付着させた赤色発光成分であるY2O3:Eu蛍光体と緑色発光成分蛍光体であるLaPO4:Ce,Tb蛍光体を製造した。
次に、青色発光成分である実施例1の蛍光体と、上述のようにして得た表面にそれぞれ炭酸イットリウムを付着させた赤色発光成分であるY2O3:Eu蛍光体と緑色発光成分蛍光体であるLaPO4:Ce,Tb蛍光体とを、発光色がEX−D色を呈するような混合比で混合して実施例7の混合蛍光体を得た。
次いで、蛍光体として用いた以外は実施例1の蛍光ランプと同様にして実施例7の蛍光ランプを作製した。
【0027】
〔実施例8〕
実施例1の蛍光体の製造時において、コア蛍光体として原料の配合組成を下記のごとく変更した以外は実施例1のコア蛍光体合成と同様の工程にて組成式が、1.286(Ba0.9Eu0.1)O・Al11.88Ga0.12O18である蛍光体を製造した。
BaCO3 :1.1574 モル
Eu2O3 :0.0643 モル
Al2O3 :5.94 モル
Ga2O3 :0.06 モル
AlF3 :0.01 モル
次に、このコア蛍光体に実施例1と同様の工程にて蛍光体に対して1重量%の炭酸イットリウムが表面に付着した実施例8の蛍光体を製造した。
次に、蛍光体として、実施例8の蛍光体を用いた以外は実施例1の蛍光ランプと同様にして実施例8の蛍光ランプを作製した。
【0028】
〔比較例2〕
これとは別に、比較のために、実施例8の蛍光体の代わりに、表面に炭酸イットリウムが付着される前の未処理コア蛍光体を用いた以外は実施例1と同様にして比較例2の蛍光ランプを製造した。
【0029】
〔実施例9〕
実施例1の蛍光体の製造時において、コア蛍光体として原料の配合組成を下記のごとく変更した以外は実施例1のコア蛍光体合成と同様の工程にて組成式が1.286(Ba0.9Eu0.1)O・Al11.88Tm0.12O18である蛍光体を製造した。
BaCO3 :1.1574 モル
Eu2O3 :0.0643 モル
Al2O3 :5.94 モル
Tm2O3 :0.06 モル
AlF3 :0.01 モル
次に、このコア蛍光体に実施例1と同様の工程にて蛍光体に対して1重量%の炭酸イットリウムが表面に付着した実施例9の蛍光体を製造した。
次に、蛍光体として、実施例9の蛍光体を用いた以外は実施例1の蛍光ランプと同様にして実施例9の蛍光ランプを作製した。
【0030】
〔比較例3〕
実施例7の蛍光ランプとの比較のため、実施例7の混合蛍光体を製造するためにコア蛍光体として用いた、いずれもその表面に炭酸イットリウムが付着される前の未処理赤色発光成分Y2O3:Eu蛍光体、緑色発光成分LaPO4:Ce,Tb蛍光体及び青色発光成分比較例1蛍光体を実施例7と同様に同じEX−D色を呈するような混合比で混合して、比較例3の混合蛍光体を製造し、またさらに実施例7の蛍光ランプと同様にして比較例3の蛍光ランプを製造した。
上述の実施例1〜9並びに比較例1〜3の各蛍光ランプについて、一定時間連続して点灯し、その際の各ランプの光束維持率を測定した。またその結果を蛍光体の表面の付着処理の有無及び付着物質の種類との関係を対比して表1に示す。
【0031】
なお、それぞれのランプについて、点灯した直後の全光束(Lm0)と500時間連続点灯後の全光束(Lm500)をそれぞれ測定し、点灯した直後の全光束(Lm0)に対する500時間連続点灯後の全光束(Lm500)の比(Lm500/Lm0)の相対百分率を求め、この値を各ランプの光束維持率と定義して各蛍光ランプの経時劣化の程度を判断する評価の目安とした。
【0032】
【表1】
【0033】
〔実施例10〕
実施例7の混合蛍光体を用いバインダーを添加しスラリーとしバックライト用冷陰極蛍光ランプガラス内壁に塗布した。電極を設置し、Ne/Arと適量の水銀を封入して蛍光ランプを作成した。
【0034】
〔比較例4〕
比較例3の混合蛍光体を用いて、実施例10と同様の方法で比較例4の冷陰極型蛍光ランプを作成した。
実施例10と比較例4の各蛍光ランプについて、1000時間点灯し、その際の各ランプの輝度維持率を測定した結果を表2に示す。
なお、それぞれのランプについて、点灯した直後の中心輝度と1000時間連続点灯後の中心輝度をそれぞれ測定し、点灯した直後の中心輝度に対する1000時間連続点灯後の中心輝度の比の相対百分率を求め、この値を各ランプの輝度維持率と定義して各冷陰極型蛍光ランプの経時劣化の程度を判断する評価の目安とした。
【0035】
【表2】
【0036】
表1の結果から明らかなように、本発明の蛍光体を蛍光膜として用いた蛍光ランプ(実施例1〜6、8、9)と比較例1〜2の蛍光ランプとの比較においても、また一方混合蛍光体を蛍光膜として用いた蛍光ランプ(実施例7の蛍光ランプと比較例3の蛍光ランプとの比較)においても特定の炭酸塩化合物を表面に付着させた本発明の蛍光体を蛍光膜として用いることにより、光束維持率を改善することができ、連続点灯による経時的な明るさの低下が少なくなり、蛍光ランプの長寿命化が達成できる。
また表2の結果からも明らかなように、冷陰極型ランプにおいても炭酸塩化合物を表面に付着させた本発明の蛍光体を蛍光膜として用いた蛍光ランプでは、光束維持率を改善することができ、連続点灯による経時的な明るさの低下が少なく、蛍光ランプの長寿命化が達成できる。
【0037】
【発明の効果】
本発明の蛍光体は上述のような構成としたので、長時間の紫外線照射においても発光輝度の低下を少なくすることができ、更に本発明の蛍光体からなる蛍光膜を具備した蛍光ランプにおいては、光束維持率が向上し、長寿命で高品質の特性を有することが可能となる。
Claims (8)
- 一般式、a(MI 1−x−yEuxMII 2y)O・Al12−z−kMIII zMIV kO18で表されるアルカリ土類アルミン酸塩蛍光体(但し前記式中、aは0.9≦a≦1.8を満たす数であり、MIはBa、SrおよびCaから成る群より選択される少なくとも1種のアルカリ土類金属元素を表し、xは0<x<1であり、MIIはLi、Tlから成る群より選択される少なくとも1種で、yは0≦y<1、x+2y<1であり、MIIIはB、Laから成る群より選択される少なくとも1種で、zは0≦z<2であり、MIVはSc、Y、Gd、In、Ga、Ce、Tm、Yb、Biから成る群より選択される少なくとも1種で、kは0≦k<2である)において、該蛍光体の粒子表面に炭酸塩化合物が付着していることを特徴とする蛍光体。
- 前記蛍光体の炭酸塩化合物が、アルカリ土類金属炭酸塩及び希土類金属炭酸塩の中の少なくとも1種であることを特徴とする請求項1記載の蛍光体。
- 前記希土類金属炭酸塩が炭酸ランタン、炭酸ガドリニウムもしくは炭酸イットリウムであることを特徴とする請求項1〜2のいずれか1項に記載の蛍光体。
- 前記炭酸塩化合物の付着量が前記蛍光体に対して0.005〜5重量%であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の蛍光体。
- 前記蛍光体のCuKα1特性X線による粉末回折X線スペクトルにおいて、該スペクトルの回折角(2θ)が28°〜31°の角度領域にわたって幅広い帯状のピークを有することを特徴とする請求項1〜4記載の蛍光体。
- 前記蛍光体が水銀蒸気放電ランプ用蛍光体であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の蛍光体。
- ガラス管の内壁面に形成された蛍光膜を具備する蛍光ランプにおいて、前記蛍光膜は請求項1〜6のいずれか1項に記載の蛍光体を含むことを特徴とする蛍光ランプ。
- 請求項7の蛍光ランプにおいて冷陰極を使用した蛍光ランプ。
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