JP3606277B2 - 冷陰極放電管およびその点灯装置 - Google Patents

冷陰極放電管およびその点灯装置 Download PDF

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【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は暗黒中での始動特性を改善した冷陰極放電管およびその点灯装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
冷陰極放電管はフィラメントがないことから、熱陰極放電管に比較して、小型、高信頼性、長寿命になるという特性が注目されて、ラップトップパーソナルコンピュータ、或いはビデオカメラのビューファインダ等の液晶表示のバックライト等に使用されている。この冷陰極放電管を点灯させる際には、インバータにより電極間に比較的高電圧を印加して放電を開始する必要がある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述した従来の冷陰極放電管では、消灯状態において、特に、暗黒化、低温下で長時間放電した後に電極間に電圧を印加したとき、すぐには放電しないという特性を有している。このため、時には安定な放電状態に至るまでに1分程度の時間がかかってしまい、いわゆる点灯遅れが発生するという問題があった。
【0004】
この問題を解決するために上述のインバータの出力電圧を高くすることも考えられるが、確実性に欠け、さらに高電圧を配線することになるから部品を搭載する配線基板の面積を大きくしなければならず、小型化の要請に反し、かつコストアップになる問題がある。
【0005】
これに対し、特公昭54−35032号公報には、放射性物質例えば放射性同位元素のラジウムRaおよびプロメチウムPmの硝酸化物を放電管内部に封入することによって放電開始電圧の変動を防止する方法が提案されている。しかしながら、この種の放電ランプでは、その放射性同位元素の封入量は10−16g程度ときわめて微量であるが、この種の放射性元素は取り扱いを誤ると極めて危険である。
【0006】
このような問題に対し、特開平1−130462号公報には、放電管の近傍に暗黒時始動容易な光源を配設する方法が提案され、具体的には白熱電球、発光ダイオードを使用することが提案されている。しかし、このような光源を設ける余分なスペースと電源が必要とされる。
【0007】
また、特開平4−71158号公報には、放電管近傍に蓄光蛍光体を塗布することが開示されている。これは特別な電源は必要ないが、蓄光蛍光体として実用化されているのは銀付活硫化亜鉛蛍光体しかなく、放電管より出る可視光、及び紫外線を受けて容易に劣化してしまい、実用に耐えるものではない。
【0008】
従って本発明の目的は、放射性物質等を使用しない点安全で、しかも補助光源の為の電源回路等を必要とせず、さらに実用に耐える適当な残光性を利用し、蛍光体始動特性を改善することである。
【0009】
【発明を解決するための手段】
本発明者等は、上述した問題を解決するために鋭意検討した結果、冷陰極放電管のガラス管内面、あるいは点灯装置に、特定の組成のアルミン酸塩の残光性蛍光体を塗布することで課題を解決できることを見いだし、本発明を完成させるに至った。
【0010】
すなわち、本発明の冷陰極放電管は、冷陰極放電管のガラス管内部の蛍光体層に、次式で表される残光性蛍光体を具備することを特徴とする。
(M1−p−qEupQq)O・1.75(Al1−mBm)2O3・kP2O5・αX
(ただし、 0.0001≦p≦0.5
0.0001≦q≦0.5
0≦m≦0.5
0≦k≦0.2
0≦α≦0.5
0≦α/n≦0.4の範囲にあり、
MはMg,Ca,Sr,Ba,及びZnからなる群より選ばれた少なくとも1種であり、
QはMn、Zr、Nb、Pr、Nd、Dy、Ho、Er、Tm、及びLuからなる群より選ばれた少なくとも1種であり、
XはF、Cl、Br、Iからなるハロゲン元素より選ばれた少なくとも1種である。)
【0011】
さらにまた、本発明の冷陰極放電管の点灯装置は、冷陰極放電管の近傍に次式で表現される残光性蛍光体を塗布したことを特徴とする。
(M1−p−qEupQq)O・n(Al1−mBm)2O3・kP2O5・αX
(ただし、 0.0001≦p≦0.5
0.0001≦q≦0.5
0.5≦n≦3.0
0≦m≦0.5
0≦k≦0.2
0≦α≦0.5
0≦α/n≦0.4
【0012】
本発明の冷陰極放電管およびその点灯装置に用いる残光性蛍光体は、その化学組成により、発光色調を大幅に変えることができる。化学組成は2価のユーロピウムで付活されたアルミン酸塩を主体とした蛍光体であり、特に、0.5≦n≦1.5の範囲で、2価金属MがCaを70〜100モル%の範囲であると蛍光色、及び残光は高効率の青色系を呈する。この残光性蛍光体は420nm以下の波長範囲の紫外線及び可視光線により励起される。
【0013】
上記化学組成が0.5≦n≦1.5の範囲で、2価金属MをSrが70〜100モル%の範囲を占めると蛍光色、及び残光色は高効率の緑色系を呈する。この残光性蛍光体は500nm以下の波長範囲の紫外線及び可視光線により励起される。
【0014】
上記化学組成が1.5≦n≦3.0の範囲で、2価金属MをSrが80〜100モル%の範囲を占めると蛍光色、及び残光色は青緑色系である。この残光性蛍光体は460nm以下の波長範囲の紫外線及び可視光線により励起される。
【0015】
本残光性蛍光体にランプからの発光を受光させる構造とすることにより、残光性蛍光体は励起され、残光性の発光を呈するようになる。ランプからの励起可能な光は、上述したように残光性蛍光体の化学組成に応じて異なる。
【0016】
冷陰極放電管は上述したように設計されるが、特に、ガラス管内面の蛍光体層の蛍光体は紫外線により励起され発光している。そのため、この紫外線エネルギーを直接利用することもできる。ガラス管内面に残光性蛍光体を塗布した場合、残光性蛍光体は蛍光ランプの発光部である陽光柱から放射される253.7nmの水銀線によっても直接励起され長時間に渡り発光する。
【0017】
冷陰極放電管に塗布された他の蛍光体の発光を受光する構造として、図1の蛍光ランプの管方向に垂直の断面図において説明する。主として陽光柱の発光部(1)で、電気エネルギーを光エネルギー(この場合は紫外放射エネルギー)に変換されたエネルギーで透光性ガラス(2)の内面に形成された蛍光体層(3)を励起している。この場合、残光性蛍光体と、それを励起し得る照明用蛍光体が蛍光体層の中で混合されている。
【0018】
残光性蛍光体を強く励起でき、しかも、照明用の蛍光ランプとして白色域に発光し、蛍光ランプの光色を自在に変化させることができる点で、蛍光体は450nm付近に発光ピークをもつ青色発光蛍光体、545nm付近に発光ピークをもつ緑色発光蛍光体、及び610nm付近に発光ピークをもつ赤色発光蛍光体からなる三波長混合蛍光体が最も好ましい。青色発光蛍光体として(SrCaBaMg)5(PO4)3Cl:Eu、及びBaMg2Al16O27:Euが、緑色発光蛍光体として、LaPO4:Ce,Tb、及びMgAl11O19:Ce,Tb蛍光体が、赤色発光蛍光体として、Y2O3:Euが好ましく使用できる。
【0019】
蛍光体層を占める残光性蛍光体と、それと共存する蛍光ランプ用蛍光体の混合割合は、残光性蛍光体を、蛍光体全量の0.1〜50重量%の範囲に自在に変更可能であるが、冷陰極放電管の輝度を優先する場合、残光性蛍光体は少ない方が良く、暗黒効果改善に主眼をおくときは、残光性蛍光体の量を多くする。
【0020】
冷陰極放電管の作製については、通常の蛍光ランプの作製方法がそのまま適用できる。例えば、残光性蛍光体と、それと共存して残光性蛍光体を励起する蛍光体、及びアルミナ或いはピロリン酸カルシウム、カルシウムバリウムボレート等の結着剤をニトロセルロース/酢酸ブチル溶液に添加し、これらを混合し懸濁させて蛍光体塗布懸濁液を調製する。得られた蛍光体塗布懸濁液をガラス管の内面に流し込み、その後これに温風を通じることで乾燥させ、ベーキング、排気、フィラメントの装着、口金の取り付け等、通常の手順に従って本発明の蛍光ランプを仕上げることができる。
【0021】
また、図2に示すように、冷陰極放電管に上記した残光性蛍光体を有機バインダーに練り込んでテープ状に成形したものを冷陰極放電管の外面に接着しすることによっても残光性蛍光体からの残光を利用可能である。
【0022】
さらに、図3に斜視図で示すように、冷陰極放電管の点灯装置の一部である反射部に上記した残光性蛍光体を塗布することによっても暗黒効果の回避は実現できる。
【0023】
本発明に適用する残光性蛍光体の原料として、SrO、Al2O3、Eu2O3のような金属酸化物、或いはSrCO3のような高温で焼成することで容易に酸化物になるような化合物を選択する。このような化合物として、炭酸塩の他には硝酸塩、シュウ酸塩、水酸化物などがある。発光特性が原料の純度に依存することから、これら原料純度は99.9%以上が必要であり、99.99%以上であることが好ましい。
【0024】
フラックスとしてハロゲン元素を添加して焼成することにより、残光性蛍光体の異常な粒子成長を抑制し、結晶成長をコントロール可能となる。これは、ハロゲン元素が蛍光体の構成元素であるアルミニウム、アルカリ土類金属、希土類金属等と反応し、特に蛍光体粒子表面に多く存在して焼成されることで、蛍光体粒子が均一に焼成されるようになるからだ。その結果、粒子形状は改善され、分散性が向上する。残光性蛍光体の焼成時のフラックスとして添加するハロゲン化合物としては、フッ化アンモニウム(NH4F)、塩化アンモニウム(NH4Cl)、臭化アンモニウム(NH4Br)、沃化アンモニウム(NH4I)等のハロゲン元素のアンモニウム塩、アルカリ土類元素のハロゲン化物、及びハロゲン化アルミニウム等を単独あるいは混合して使用する。添加したハロゲン元素は殆ど全て蛍光体組成に含有される。従って、蛍光体に含有させたいと願う量を原料に混合し焼成することで含有量をコントロールすることができる。
【0025】
ハロゲン含有量αは蛍光体組成に依存し、特に、本発明の残光性蛍光体の組成式中の硼アルミン酸のモル数nの値に依存し、nの値が0.5以上、1.5以下の範囲において、アルカリ土類金属がSrの場合発光色は緑色、Caの場合発光色は青色を示し、αの範囲は0.003以上、0.2以下が好ましく、0.05以下、0.12以上がより好ましい。また、nの値が1.5以上、3.0以下の範囲において発光は青緑色を示し、αの範囲は0.004以上、0.25以下が好ましく、0.08以下、0.15以上がより好ましい。さらに、α/nの値が0.001以上、0.4以下、特に0.07付近が最も好ましい。
【0026】
硼素を残光性蛍光体の組成に含有させることにより、硼アルミン酸として結晶性を改善でき、発光中心と捕獲中心を安定化できることで残光輝度の高輝化に有効に働く。硼素を組成に導入する為には、硼素を含んだ化合物をフラックスとして加えて焼成する方法が有効で、硼酸あるいはアルカリ土類元素の硼酸塩が使用でき、特に硼酸が好ましい。添加した硼素は殆ど全て蛍光体組成に含有される。硼素の添加は、アルミニウムを置換する硼素量mが0.0001以上、0.5以下の範囲が好ましく、より好ましいのは0.005以上、0.25以下の範囲で、最も好ましいのは0.05付近である。
【0027】
特定量の硼酸とリン酸を同時に含有させることで、加えた硼酸の大半がアルミナと混晶を作り蛍光体組成に組み込まれ、その結果蛍光体の耐熱性が向上する。過剰の硼酸はリン酸化合物及び2価金属と混晶を作り蛍光体粒子間の溶融反応を防ぐ働きがある。この混晶は水に不溶性で残光性蛍光体の粒子表面を被覆するために耐水性を持つ。リン酸を蛍光体母体に導入するためには、原料としてリン酸、無水リン酸、リン酸アンモニウム、アルカリ土類元素のリン酸塩等が好ましく使用できる。添加したリン酸は殆ど全て蛍光体組成に含有される。リン酸化合物の添加は、蛍光体組成式中リン酸濃度kは0.001以上、0.2以下の範囲が好ましく、0.01以上、0.1以下の範囲がさらに好ましく、0.03以上、0.05以下の範囲が最も好ましい。
【0028】
これら構成成分及びフラックスを混合した原料を、大気中で1200℃以上1600℃以下の温度で数時間1次焼成した後、弱還元雰囲気中で1200以上1600℃以下の温度で2次焼成し、得られた焼成品を粉砕、篩することで本発明の残光性蛍光体が得られる。目的の残光性蛍光体組成を得る為の原料の混合比率は、理論比率とほぼ一致する。
【0029】
残光性蛍光体に導入する付活剤、共付活剤は蛍光色、残光輝度に関係し、実用の為にはその濃度範囲が重要である。そこで、付活剤、共付活剤はそれぞれ次に示すような範囲に設定する。
【0030】
本発明の残光性蛍光体に導入する付活剤のEuの濃度pの好ましい範囲は0.001以上、0.06以下の範囲である。
【0031】
共付活剤はMn、Dy、Tm、Lu、Nb、Yb、Zr、Er、Pr、Ho、及びNdの内の少なくとも1種の元素を使用することができるが、好ましくは2種類の元素が使用できる。この2種類の元素は第一と第二の共付活剤に分けて考えることができ、第一の共付活剤としては、Dy、Nd、Pr、Ho、及びErが主として使用できる。蛍光体組成式中の2価金属Mが特にSrの場合、Dy、Pr、Nd、Ho、及びErにりん光輝度向上に効果的であり、この場合発光色は緑から青緑域にある。2価金属Mが主としてCaの場合、Nd、及びTmがりん光輝度向上に効果的であり、この場合発光色は青から青紫域にある。2価金属Mが主としてCaの場合、第一の共付活剤Ndと、第2の共付活剤Mnとの組み合わせにより、高高率な白色域のりん光が得られる。
【0032】
第一の共付活剤としてDyを選択した場合、発光性能に及ぼすDy濃度qの最適範囲は0.0005以上、0.03以下の範囲である。
【0033】
第一の共付活剤としてDyを選択する場合、第2の共付活剤のMn濃度qの好ましい範囲は0.0001以上、0.06以下で、更に好ましいのは0.0005以上、0.02以下の範囲である。
【0034】
第一の共付活剤としてDyを選択する場合、第2の共付活剤のTm濃度qの好ましい範囲は0.0003以上、0.02以下で、更に好ましいのは0.0004以上、0.01以下の範囲である。
【0035】
第一の共付活剤としてDyを選択する場合、第2の共付活剤のLu濃度qの好ましい範囲は0.0001以上、0.06以下で、更に好ましいのは0.0004以上、0.04以下の範囲である。
【0036】
第一の共付活剤としてDyを選択する場合、第2の共付活剤のNb濃度qの好ましい範囲は0.0001以上、0.08以下で、更に好ましいのは0.0003以上、0.04以下の範囲である。
【0037】
第一の共付活剤としてDyを選択する場合、第2の共付活剤のYb濃度qの好ましい範囲は0.0002以上、0.04以下で、更に好ましいのは0.0003以上、0.01以下の範囲である。
【0038】
第一の共付活剤としてDyを選択する場合、第2の共付活剤のZr濃度qの好ましい範囲は0.002以上、0.70以下である。
【0039】
第一の共付活剤としてDyを選択する場合、第二の共付活剤のEr濃度qの好ましい範囲は0.0001以上、0.03以下である。更に好ましいのは0.0005以上、0.02以下の範囲である。
【0040】
第一の共付活剤としてDyを選択する場合、第2の共付活剤のPr濃度qの好ましい範囲は0.0001以上、0.04以下である。更に好ましいのは0.0005以上、0.03以下の範囲である。
【0041】
第一の共付活剤としてNdを選択する場合、濃度qの最適範囲は0.0005以上、0.03以下の範囲である。この場合、第二の共付活剤を同時に使用しなくても良い。
【0042】
第一の共付活剤としてNdを導入する場合、第2の共付活剤のTm濃度qの好ましい範囲は0.0001以上、0.06以下で、更に好ましいのは0.0005以上、0.02以下の範囲である。
【0043】
第一の共付活剤としてNdを導入する場合、第2の共付活剤のPr濃度qの好ましい範囲は0.0001以上、0.06以下で、更に好ましいのは0.0005以上、0.02以下の範囲である。
【0044】
第一の共付活剤としてNdを以下導入する場合、第2の共付活剤のHo濃度qの好ましい範囲は0.0001以上、0.06以下で、更に好ましいのは0.0005以上、0.02以下の範囲である。
【0045】
第一の共付活剤としてNdを以下導入する場合、第2の共付活剤のDy濃度qの好ましい範囲は0.0001以上、0.06以下で、更に好ましいのは0.0005以上、0.02以下の範囲である。
【0046】
【作用】
従来の冷陰極放電管では、消灯状態において、特に、暗黒化、低温下で長時間放電した後に電極間に電圧を印加したとき、すぐには放電し難く、時には安定な放電状態に至るまでに1分程度の時間がかかる点灯遅れが発生するという問題があったが、本発明において、冷陰極放電管の内部或いは冷陰極放電管近傍の点灯装置に残光性蛍光体が塗布されているため、補助電源無しに、残光による若干の光を冷陰極放電管に供給することができる。この場合の残光は、前回の冷陰極放電管の発光により励起され蓄えられた光である。すなわち、残光性蛍光体は、冷陰極放電管からの光を十分に受光できる位置関係にある場所に塗布されるべきである。
【0047】
上述したとおり、放電管近傍に蓄光蛍光体を塗布することにより、暗黒効果を防止する方法について開示されているが、蓄光蛍光体として実用化されているのはZnS:Cu蛍光体しかなく、放電管より出る可視光、及び紫外線を受けて容易に劣化してしまい、実用に耐えられなかった。
【0048】
それは、この蛍光体を冷陰極放電管の点灯装置に塗布して用いても、紫外線により光分解し、蛍光体結晶表面にコロイド状亜鉛金属が析出し、外観が黒色に変色し、発光輝度、残光輝度が著しく低下するからである。さらに、冷陰極放電管のガラス管内面にZnS:Cu蛍光体を塗布することは、蛍光体にとってさらに激しい環境にさらされることになり、しかも、蛍光体塗布後、有機バインダを燃焼させるためのベーキング工程で、ZnS:Cu蛍光体は酸化され、発光しなくなる。この様な根本的な原因で、この種の蛍光体は放電管への実用は全く不可能である。
【0049】
ところが、本アルミネート蛍光体は上記したような紫外線による蛍光体の光分解の問題はない。また、点灯中の蛍光ランプの劣化要因の一つである蛍光体への水銀吸着、或いは蛍光ランプの陽光柱から発生するAr+やHg+などのイオン衝撃による蛍光体の劣化に比較的強い。さらに、残光性蛍光体組成式中のパラメータであるn=1.75付近の蛍光体は、特に放電管製作時のベーキング工程においても全く劣化することはない。
【0050】
このような特性により、本発明の冷陰極放電管及び点灯装置は、従来より蓄光蛍光体として用いられてきたZnS:Cuでは実現不可能であった暗黒効果改善を達成できる。
【0051】
【実施例】
[実施例1]
青緑発光残光性蛍光体(Sr0.970Eu0.01Dy0.02)・1.75(Al0.986B0.014)O3・0.0075P2O5・0.025Fと三波長発光形蛍光体を混合する場合について以下に説明する。
【0052】
蛍光体原料として、SrCO3を572.8g(3.88mol)、Al2O3を713.72g(7.0mol)、Eu2O3を7.04g(0.02mol)、Dy203を14.92g(0.04mol)、H3BO3を12.4g(0.2mol)、(NH4)2HPO4を7.92g(0.06mol)、及びNH4Fを3.7g(0.1mol)をセラミックポットに入れ、混合媒体として、アルミナボールを入れ、蓋を閉めローラーで2時間混合し蛍光体焼成前混合原料(以下原料生粉という)を得る。次に、原料生粉をボート形ルツボに入れ、管状炉で大気雰囲気下1300℃で2時間焼成し、さらに少量の窒素と水素の混合気体をフローしながらさらに数時間焼成し、蛍光体焼成品を得る。次に焼成品を粉砕し、200メッシュの篩を通し残光性蛍光体を得る。この蛍光体は発光ピークが490nmにある青緑色系の発光を示した。
【0053】
得られた残光性蛍光体と、453nmに発光ピークをもつ(SrCaBaMg)5(PO4)3Cl:Eu青色発光蛍光体を32%、544nmに発光ピークをもつLaPO4:Ce,Tb緑色発光蛍光体を18%、及び611nmに発光ピークをもつY2O3:Eu赤色発光蛍光体を50%混合して得られる三波長混合蛍光体を、1:4の比率で十分に混合する。
【0054】
混合された蛍光体20gに、ニトロセルロース/酢酸ブチルバインダー15gを、磁製ポット中で十分混合し蛍光体塗布スラリーを調製する。これを外径4mmのガラス管に流し込み、その内面に塗布し、温風を通じて乾燥し、580℃で15分間塗布バルブをベーキングし、蛍光膜を形成した。後は通常の方法に従い、排気、電極のマウント、口金の取り付けを行い、冷陰極放電管を作製した。得られた放電管は電源投入後、比較的短時間に安定な放電状態を形成することができるという効果が得られた。
【0055】
[実施例2]
緑色発光残光性蛍光体(Sr0.955Eu0.03Dy0.015)O・0.91(Al0.95B0.05)2O3・0.03P2O5・0.1Fを使用する場合について以下に説明する。
【0056】
蛍光体原料として、SrCO3を140.98g(0.955mol)、Al2O3を88.14g(0.865mol)、Eu2O3を5.28g(0.015mol)、Dy203を2.80g(0.0075mol)、H3BO3を5.63g(0.091mol)、(NH4)2HPO4を7.92g(0.060mol)及びNH4Fを3.70g(0.10mol)をセラミックポットに入れ、混合媒体として、アルミナボールを入れ、蓋を閉めローラーで2時間混合し蛍光体焼成前混合原料(以下原料生粉という)を得る。次に、原料生粉をボート形ルツボに入れ、管状炉で大気雰囲気下1300℃で2時間焼成し、さらに少量の窒素と水素の混合気体をフローしながらさらに数時間焼成し、蛍光体焼成品を得る。次に焼成品を粉砕し、200メッシュの篩を通し残光性蛍光体を得る。この蛍光体は発光ピークが520nmにある緑色系の発光を示した。得られた残光性蛍光体を分散させて、図3に示すように、冷陰極放電管の近傍に残光性蛍光体を塗布した。
【0057】
この状態で通常の冷陰極放電管を点灯装置にセットし通電すると、冷陰極放電管は、電源投入後比較的短時間に安定な放電状態を形成することができるという効果が得られた。
【0058】
[実施例3]
青色発光残光性蛍光体(Ca0.955Eu0.015Nd0.03)O・0.97(Al0.95B0.05)2O3・0.03P2O5・0.1Fを使用する場合について以下に説明する。
【0059】
蛍光体原料として、CaCO3を95.59g(0.955mol)、Al2O3を94.01g(0.922mol)、Eu2O3を2.64g(0.0075mol)、Nd203を5.05g(0.015mol)、H3BO3を6.00g(0.097mol)、(NH4)2HPO4を7.92g(0.060mol)、及びNH4Fを3.7g(0.1mol)を使用する以外、実施例1と全く同じ方法で残光性蛍光体を調製した。この蛍光体は発光ピークが440nmにある青色系の発光を示した。得られた残光性蛍光体を分散させて、図3に示すように、冷陰極放電管の近傍に残光性蛍光体を塗布した。
【0060】
この状態で通常の冷陰極放電管を点灯装置にセットし通電すると、冷陰極放電管は、電源投入後比較的短時間に安定な放電状態を形成することができるという効果が得られた。
【0061】
[比較例1]
残光性蛍光体としてZnS:Cu蛍光体を選択し、(SrCaBaMg)5(PO4)3Cl:Eu青色発光蛍光体を34.1%、LaPO4:Ce,Tb緑色発光蛍光体を16.8%、及びY2O3:Eu赤色発光蛍光体を49.1%混合して得られる三波長混合蛍光体を、1:3の比率で十分に混合し、実施例1と同じ方法で、外径4mmの冷陰極放電管を作製した。得られた蛍光ランプは全体に黒ずんで、ランプ光束も著しく低く、商品価値のある蛍光ランプ得ることができなかった。
【0062】
[比較例2]
残光性蛍光体としてZnS:Cu蛍光体を選択し、実施例2で示すのと同じ部分に硫化亜鉛蛍光体を塗布した。しかし、残光時間が短いため、塗布量を数十倍多く必要とし、しかも、冷陰極放電管から放射される紫外線により、蛍光体が簡単に劣化してしまい、寿命が短く実用できなった。
【0063】
同様にして得られ、本発明の冷陰極放電管、或いはその点灯装置に使用することのできる残光性蛍光体の組成、発光色調、残光輝度、耐熱性のデータを表1〜6にまとめる。本発明に使用する残光性蛍光体は従来のZnS:Cu蛍光体に比べ、残光輝度は数十倍高く、耐熱性も高いことが分かる。特にn=1.75である残光性蛍光体は耐熱性が良好であり、冷陰極放電管の内部に塗布しても、放電管製作工程のベーキングによる劣化が殆どない。
【0064】
残光輝度の測定については、JIS Z 9100(蓄光安全標識板のりん光輝度の測定方法)を参考に行った。試験片を暗所に3時間以上外光を遮断した状態で保管した後、試験片に常用光源D65の光を200ルクスの照度で4分間照射し、照射を止めてから20分後のりん光輝度を(Sr0.955Eu0.03Dy0.015Tm0.003)O・(Al0.95B0.05)2O3蛍光体のりん光輝度を100%とした相対値として測定した。
【0065】
耐熱性については、石英ルツボに残光性蛍光体を10g入れ、マッフル炉中600℃で30分間酸化焼成を行い、焼成品のりん光輝度を測定し、焼成前の残光性蛍光体のりん光輝度対する百分率を算出し維持率として求めた。
【0066】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明により暗黒時であっても残光蛍光体からの残光によって、暗黒時に始動しにくい放電管に放電開始を可能とするための初期電子が生成される。このため、放電管の電極間に放電が開始され、暗黒特性が良好となる。
【0067】
また、放射性元素を用いることなく、また特別な補助電源等も必要なく、冷陰極放電管の始動が可能となるので、暗黒特性を改善できるのはもちろんのこと取り扱いも容易で安全である等の利点がある。
【0068】
従来の残光性蛍光体を使用しては、耐紫外線性、耐候性に難があり、残光輝度が低く過ぎて暗黒効果の改良を達成できなかったが、本発明に使用するアルミネート系の残光性蛍光体を用いることにより暗黒効果の回避が実現可能となった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の冷陰極放電管の断面図。
【図2】本発明の冷陰極放電装置の斜視図。
【図3】本発明の冷陰極放電装置の斜視図。
【符号の説明】
1・・・・・・発光部
2・・・・・・透光性ガラス
3・・・・・・内面蛍光体層
4・・・・・・残光性蛍光体テープ
5・・・・・・冷陰極放電管
6・・・・・・反射部
7・・・・・・残光性蛍光体

Claims (1)

  1. 冷陰極放電管の近傍に次式で表現される残光性蛍光体を塗布したことを特徴とする冷陰極放電管の点灯装置。
    (M1-p-qEupQq)O・n(Al1-mBm)2O3・kP2O5・αX
    (ただし、0.0001≦p≦0.5
    0.0001≦q≦0.5
    0.5≦n≦3.0
    0.0001≦m≦0.5
    0.001≦k≦0.2
    0≦α≦0.5
    0≦α/n≦0.4の範囲にあり、
    MはMg,Ca,Sr,Ba,及びZnからなる群より選ばれた少なくとも1種であり、QはMn、Zr、Nb、Pr、Nd、Dy、Ho、Er、Tm、及びLuからなる群より選ばれた少なくとも1種であり、XはF、Cl、Br、Iからなるハロゲン元素より選ばれた少なくとも1種である。)
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