JP2004244507A - 生分解性プラスチック材料 - Google Patents
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Abstract
【目的】汎用プラスチック成形品と同等に近い、引張り強さ、引き裂き強さ等を示しながら、かつ、それらの横・横向のバランス特性も良好である生分解性プラスチック材料を提供すること。
【構成】ポリエステル系の生分解性ポリマーに、必要により滑材とともに他の副資材が配合されてなる生分解性プラスチック材料。生分解性ポリマーが、ポリブチレンサクシネ−ト又はポリ(ブチレンサクシネート/アジペート)と、ポリ(ブチレンサクシネート/テレフタレート)とを、前者/後者=1/9〜9/1の質量比でブレンドとしたポリマーアロイである。
【選択図】 なし
【構成】ポリエステル系の生分解性ポリマーに、必要により滑材とともに他の副資材が配合されてなる生分解性プラスチック材料。生分解性ポリマーが、ポリブチレンサクシネ−ト又はポリ(ブチレンサクシネート/アジペート)と、ポリ(ブチレンサクシネート/テレフタレート)とを、前者/後者=1/9〜9/1の質量比でブレンドとしたポリマーアロイである。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【技術分野】
本発明は、インフレ−ション成形、ブロー成形、真空成形、射出成形、押出成形等に使用する生分解性プラスチック材料に関する。
【0002】
特に、ゴミ袋や買い物袋、さらには、農作業用マルチフィルムの如く、インフレーション成形され、縦・横方向の引張り強さ及び引き裂き強さにおいて、縦方向及び横方向のバランス特性を要求されるフィルム製品(インフレーションフィルム)に好適なプラスチック成形材料に関する。
【0003】
ここでは、インフレーションフィルムを主として例に採り説明をするが、これらに限られるものでなく、上記各種成形用材料として本発明のプラスチック材料は適用可能である。
【0004】
【背景技術】
昨今、地球環境保全等の見地から、生分解性プラスチックの需要が増大する傾向にある。
【0005】
従来の合成樹脂の技術を応用したり、天然物を利用したりした生分解性プラスチックの開発が進んでいる。
【0006】
これらの生分解性プラスチックは、特に、家庭用ゴミとして多量に排出される食品容器・包装等や、使用後における回収が困難な農林水産関連の各種副資材に使用されつつある。
【0007】
しかし、現在上市されている生分解性プラスチック材料から成形した成形品(以下「生分解性プラスチック材料成形品」)は、機械的特性において、汎用非分解性プラスチック材料から成形した成形品(以下「汎用プラスチック材料成形品」)に比して劣るものがほとんどである。
【0008】
例えば、生分解性プラスチック材料成形品が汎用プラスチック材料成形品と同等の引張り強さ(σB)を示しながら、伸び(引っ張り強さ時ひずみ:εB)が小さい。また、横方向(TD:Traverse Direction)と縦方向(MD:Machine Direction)とにバランスの採れた引張り強さを得難い。
【0009】
このことは、特に、ゴミ袋、スーパの買い物袋等のフィルム製品をインフレーション成形した場合、内容物又は外的干渉物体との接触により、損傷が発生した場合、容易に破れてしまうという問題点があった。また、農作業の種苗用マルチフィルムとして、使用する場合も、縦方向および横方向において、均等な引張り強さが要求され、同様な問題点が発生する。
【0010】
なお、本発明の発明性に影響を与えるものではないが、関連する先行技術文献情報として、例えば、特許文献1がある。
【0011】
【特許文献1】
特表2001−500907公報
【0012】
【発明の開示】
本発明は、上記にかんがみて、汎用プラスチック成形品と同等に近い、引張り強さ、引き裂き強さ等を示しながら、かつ、それらの縦・横向のバランス特性も良好である生分解性プラスチック材料を提供することを目的(課題)とする。
【0013】
本発明は上記課題を解決するために、鋭意、開発に努力をした結果、特定の生分解性ポリエステルを特定比率でブレンドしたポリマーアロイを原料とすれば、上記課題を解決できることを見出して、下記構成の生分解性プラスチック材料に想到した。
【0014】
ポリエステル系の生分解性ポリマーに、必要により滑材とともに他の副資材が配合されてなる生分解性プラスチック材料において、
前記生分解性ポリマーが、
▲1▼下記単位構造式で示される低級脂肪族ジカルボン酸と短鎖脂肪族ジオールとの第一重縮合ポリマーと、
【0015】
【化3】
▲2▼下記単位構造式で示される低級脂肪族ジカルボン酸とテレフタル酸の混合ジカルボン酸と短鎖脂肪族ジオールとの第二重縮合ポリマーとを、
【0016】
【化4】
前者/後者=1/9〜9/1の質量比でブレンドしたポリマーアロイであることを特徴とする。
【0017】
上記において、低級脂肪族ジカルボン酸と短鎖脂肪族ジオールとの重縮合ポリマー▲1▼としては、ポリブチレンサクシネ−ト又はポリ(ブチレンサクシネート/アジペート)を好適に使用でき、低級脂肪族ジカルボン酸とテレフタル酸の混合ジカルボン酸と短鎖脂肪族ジオールとの重縮合コポリマー▲2▼としては、ポリ(ブチレンサクシネート/テレフタレート)を好適に使用できる。
【0018】
上記構成の生分解性プラスチック材料で成形した成形品(特に、インフレーションフィルム)は、後述の試験例で示す如く、生分解性ポリマーを単独使用のものに比して、引張り強さ及び引き裂き強さにおいて、縦・横方向の特性バランスにおいて優れている。
【0019】
上記構成において、滑剤を脂肪酸アミド系とし、その配合量が、約0〜1phrとすることが望ましい。インフレーション成形性が向上するためである。ここで、「phr」とは、「Parts per Hundred parts of Resin」の略である。
【0020】
本発明の生分解性プラスチック材料は、インフレーションフィルム、特に、肉厚50μm以下のものに適用することが効果が顕著となり望ましい。インフレーション成形により製造されるゴミ袋や買い物袋、さらには、農業用マルチフィルムのような薄肉のインフレーションフィルム製品は、特に、引張り強さ、引き裂き強さにおいて、縦・横方向のバランス特性が要求されるためである。
【0021】
そして、インフレーションフィルムとした場合は、縦方向と横方向の引張り強さ(JIS K 7127)および引き裂き強さ(JIS K 7128)の各比が、ともに、縦方向/横方向が1.5倍以内を示すものとすることが望ましい。
【0022】
【構成の詳細な説明】
以下、本発明の構成について、詳細に説明を行う。なお、本明細書中において、配合比率を表す「%」、「部」は、特に断らない限り、「質量%」、「質量部」を示すものである。
【0023】
本発明は、生分解性ポリマーに、必要により滑材とともに他の副資材が配合されてなることを前提とする。
【0024】
ここで、他の副資材としては、顔料、各種充填剤、帯電防止剤等を挙げることができる。
【0025】
そして、本発明の生分解性プラスチック材料は、生分解性ポリマーが、
▲1▼下記単位構造式で示される低級脂肪族ジカルボン酸と短鎖脂肪族ジオールとの第一重縮合ポリマー(第一重縮合体)と、
【0026】
【化3】
▲2▼下記単位構造式で示される低級脂肪族ジカルボン酸とテレフタル酸の混合ジカルボン酸と短鎖脂肪族ジオールとの第二重縮合ポリマー(第二重縮合体)とを、
【0027】
【化4】
ブレンドしたポリマーアロイである。
【0028】
ここで上記第一重縮合ポリマーにおける低級飽和脂肪族ジカルボン酸としては、マロン酸、コハク酸(ブタンニ酸)(succinic acid)、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸など、炭素数3〜7のものを使用可能である。
【0029】
同じく短鎖脂肪族ジアルコールとしては、エタンジオール(エチレングリコール)、プロパンジオール(プロピレングリコール、トリメチレングリコール)、ブタンジオール(ブチレングリコール、テトラメチレングリコール)、ヘプタンジオール(ヘプタメチレングリコール)、ヘキサンジオール(ヘキサメチレングリコール)など、炭素数2〜6のものを使用可能である。
【0030】
脂肪族ジカルボン酸および短鎖ジオールの炭素数が小さいとポリマーが剛直になり易く成形品に柔軟性を付与し難く、逆に、炭素数が大きいと強度が得難くなる。これらのバランスから、具体的には、ポリブチレンサクシネート又は混合ジカルボン酸を使用するポリ(ブチレンサクシネート/アジペート)を好適に使用できる。さらに具体的には、昭和高分子株式会社から「ビオノーレ(Bionolle)」の商品名で上市されているものを使用できる。
【0031】
また、第二重縮合ポリマーにおける低級飽和脂肪族ジカルボン酸および短鎖飽和脂肪族ジオールは、上記と同様なものを使用可能である。そして、具体的には、上記同様、成形品における強度および柔軟性のバランスから、ポリ(ブチレンサクシネート/テレフタレート)を好適に使用できる。なお、コハク酸とテレフタル酸の比率は、通常、前者/後者=約1/1.5〜3/1の範囲で適宜設定する。さらに具体的には、BASF社から「Eco FLex」の商品名で上市されているものを使用可能である。テレフタル酸が過多となると生分解性に問題が発生するおそれがある。
【0032】
そして、上記ポリマーアロイにおける第一重縮合ポリマーと第二重縮合ポリマーとのブレンド比(質量)は、前者/後者=1/9〜9/1、望ましくは3/7〜7/3、さらに望ましくは4.5/5.5〜5.5/4.5とする。
【0033】
第一重縮合ポリマーと第二重縮合ポリマーとのどちらが過少でも過多でも、本発明の効果(引張り強さ・引き裂き強さの向上、さらには、それらの縦方向および横方向のバランス特性)を奏し難い。
【0034】
そして、滑剤としては、脂肪族ポリアミド系が望ましく、その配合量は、通常、約1%以下、望ましくは、約0.2〜0.6%とする。脂肪族ポリアミドの配合量が過多であると、時間の経過とともに脂肪族ポリアミドが成形品(フィルム)の表面に移動するブリード現象が発生し易い。
【0035】
脂肪族アミド系滑剤としては、ステアリン酸アミド、ラウリン酸アミド、パルミチン酸アミド、ベニン酸アミド、メチレン−ビス−ステアラアミド、エチレン−ビス−ステアラアミド、エチレン−ビス−ヒドロキシ−ステアラアミド、ヒドロキシステアラアミド、メチロールアミド、エルカ酸アミド、レシチン−モノ−リン酸アルキル、レシチン−ジ−リン酸アルキル等がある。これらのうちで、例えば、エルカ酸アミドが望ましい。
【0036】
上記生分解性プラスチック材料は、上記ポリマーアロイに、適宜、滑剤を含む副資材を添加し、ヘンシェルミキサーで混練したプラスチック材料をインフレーション装置を使用して無延伸フィルム加工を行う。延伸フィルム加工では、強度(引っ張り・引き裂き)の縦横比バランスをと採り難い。なお、Tダイ方式によりフィルム加工を行なってもよい。
【0037】
そして、このときのインフレーションフィルムの肉厚は、100μm以下とするが、望ましくは50μm以下、さらに望ましくは25μm以下のものとしても、後述の実施例で示す如く、縦方向と横方向の強度バランス特性が優れている。
【0038】
すなわち、引張り強さ(JIS K 7127)および引き裂き強さ(JISK 7128)の各比が、ともに、縦方向/横方向が2倍以内、望ましくは1.5倍以内のインフレーションフィルムを容易に得ることができる。
【0039】
【実施例】
次に、本発明の効果を確認するために行なった実施例について説明を行う。
【0040】
表1に示す各組成のプラスチック材料を用いて、下記の如く無延伸フィルム加工を行った。
【0041】
プラスチック材料をヘンシェルミキサーで、5分間混練して調製した成形用材料を、40mmインフレ−ションエクストルーダに投入し、下記条件で環状押出ダイ(環状スリット直径:200mm、リップギャップ:2mm)から押出し、無延伸フィルム加工(設定肉厚25μm)を行なった。
【0042】
・加熱温度・・・ダイ部分145℃、その他150℃
・フィルム幅・・・650mm
・引張り速度・・・40m/min
こうしてインフレーションによりフィルム加工した各フィルムから縦方向(MD)及び横方向(TD)の試験片を採取し、下記各項目の試験を検査機「INSTRON4505」(INSTRON社製)を用いて行なった。
【0043】
▲1▼引張り試験・・・JIS K 7127に準じて、タイプ5試験片(伸び検査幅25mm)を用いて、降伏強さ(引張り降伏応力:σY)、引張り強さ(引張り破壊強さ:σB)および伸び(引張り破壊ひずみ:σB)をそれぞれ測定した。
【0044】
▲2▼引き裂き試験・・・JIS K 7127に準じて、規定試験片を用いて、引き裂き強さを測定した。
【0045】
それらの試験結果を表1に示す。
【0046】
第一重縮合ポリマー(ポリブチレンサクシネ−ト)のみに比較例1は、引張り強さにおいて、縦・横方向ともに良好な数値を示しているが、横方向の引き裂き強さが極端に低いことが分かる。
【0047】
また第二重縮合ポリマー(ポリ(ブチレンサクシネート/テレフタレート))のみの比較例2は、高い伸びを示すが、横方向の引張り強さがでないことが分かる。
【0048】
これらに対して、第一縮合ポリマーと第二縮合ポリマーとを略等量ブレンドした実施例は、引張り特性(引張り強さ)及び引き裂き特性(引き裂き強さ)のいずれにおいても、縦・横方向ともに、良好、すなわち、1.5倍以内を示すことが分かる。
【0049】
【表1】
【技術分野】
本発明は、インフレ−ション成形、ブロー成形、真空成形、射出成形、押出成形等に使用する生分解性プラスチック材料に関する。
【0002】
特に、ゴミ袋や買い物袋、さらには、農作業用マルチフィルムの如く、インフレーション成形され、縦・横方向の引張り強さ及び引き裂き強さにおいて、縦方向及び横方向のバランス特性を要求されるフィルム製品(インフレーションフィルム)に好適なプラスチック成形材料に関する。
【0003】
ここでは、インフレーションフィルムを主として例に採り説明をするが、これらに限られるものでなく、上記各種成形用材料として本発明のプラスチック材料は適用可能である。
【0004】
【背景技術】
昨今、地球環境保全等の見地から、生分解性プラスチックの需要が増大する傾向にある。
【0005】
従来の合成樹脂の技術を応用したり、天然物を利用したりした生分解性プラスチックの開発が進んでいる。
【0006】
これらの生分解性プラスチックは、特に、家庭用ゴミとして多量に排出される食品容器・包装等や、使用後における回収が困難な農林水産関連の各種副資材に使用されつつある。
【0007】
しかし、現在上市されている生分解性プラスチック材料から成形した成形品(以下「生分解性プラスチック材料成形品」)は、機械的特性において、汎用非分解性プラスチック材料から成形した成形品(以下「汎用プラスチック材料成形品」)に比して劣るものがほとんどである。
【0008】
例えば、生分解性プラスチック材料成形品が汎用プラスチック材料成形品と同等の引張り強さ(σB)を示しながら、伸び(引っ張り強さ時ひずみ:εB)が小さい。また、横方向(TD:Traverse Direction)と縦方向(MD:Machine Direction)とにバランスの採れた引張り強さを得難い。
【0009】
このことは、特に、ゴミ袋、スーパの買い物袋等のフィルム製品をインフレーション成形した場合、内容物又は外的干渉物体との接触により、損傷が発生した場合、容易に破れてしまうという問題点があった。また、農作業の種苗用マルチフィルムとして、使用する場合も、縦方向および横方向において、均等な引張り強さが要求され、同様な問題点が発生する。
【0010】
なお、本発明の発明性に影響を与えるものではないが、関連する先行技術文献情報として、例えば、特許文献1がある。
【0011】
【特許文献1】
特表2001−500907公報
【0012】
【発明の開示】
本発明は、上記にかんがみて、汎用プラスチック成形品と同等に近い、引張り強さ、引き裂き強さ等を示しながら、かつ、それらの縦・横向のバランス特性も良好である生分解性プラスチック材料を提供することを目的(課題)とする。
【0013】
本発明は上記課題を解決するために、鋭意、開発に努力をした結果、特定の生分解性ポリエステルを特定比率でブレンドしたポリマーアロイを原料とすれば、上記課題を解決できることを見出して、下記構成の生分解性プラスチック材料に想到した。
【0014】
ポリエステル系の生分解性ポリマーに、必要により滑材とともに他の副資材が配合されてなる生分解性プラスチック材料において、
前記生分解性ポリマーが、
▲1▼下記単位構造式で示される低級脂肪族ジカルボン酸と短鎖脂肪族ジオールとの第一重縮合ポリマーと、
【0015】
【化3】
▲2▼下記単位構造式で示される低級脂肪族ジカルボン酸とテレフタル酸の混合ジカルボン酸と短鎖脂肪族ジオールとの第二重縮合ポリマーとを、
【0016】
【化4】
前者/後者=1/9〜9/1の質量比でブレンドしたポリマーアロイであることを特徴とする。
【0017】
上記において、低級脂肪族ジカルボン酸と短鎖脂肪族ジオールとの重縮合ポリマー▲1▼としては、ポリブチレンサクシネ−ト又はポリ(ブチレンサクシネート/アジペート)を好適に使用でき、低級脂肪族ジカルボン酸とテレフタル酸の混合ジカルボン酸と短鎖脂肪族ジオールとの重縮合コポリマー▲2▼としては、ポリ(ブチレンサクシネート/テレフタレート)を好適に使用できる。
【0018】
上記構成の生分解性プラスチック材料で成形した成形品(特に、インフレーションフィルム)は、後述の試験例で示す如く、生分解性ポリマーを単独使用のものに比して、引張り強さ及び引き裂き強さにおいて、縦・横方向の特性バランスにおいて優れている。
【0019】
上記構成において、滑剤を脂肪酸アミド系とし、その配合量が、約0〜1phrとすることが望ましい。インフレーション成形性が向上するためである。ここで、「phr」とは、「Parts per Hundred parts of Resin」の略である。
【0020】
本発明の生分解性プラスチック材料は、インフレーションフィルム、特に、肉厚50μm以下のものに適用することが効果が顕著となり望ましい。インフレーション成形により製造されるゴミ袋や買い物袋、さらには、農業用マルチフィルムのような薄肉のインフレーションフィルム製品は、特に、引張り強さ、引き裂き強さにおいて、縦・横方向のバランス特性が要求されるためである。
【0021】
そして、インフレーションフィルムとした場合は、縦方向と横方向の引張り強さ(JIS K 7127)および引き裂き強さ(JIS K 7128)の各比が、ともに、縦方向/横方向が1.5倍以内を示すものとすることが望ましい。
【0022】
【構成の詳細な説明】
以下、本発明の構成について、詳細に説明を行う。なお、本明細書中において、配合比率を表す「%」、「部」は、特に断らない限り、「質量%」、「質量部」を示すものである。
【0023】
本発明は、生分解性ポリマーに、必要により滑材とともに他の副資材が配合されてなることを前提とする。
【0024】
ここで、他の副資材としては、顔料、各種充填剤、帯電防止剤等を挙げることができる。
【0025】
そして、本発明の生分解性プラスチック材料は、生分解性ポリマーが、
▲1▼下記単位構造式で示される低級脂肪族ジカルボン酸と短鎖脂肪族ジオールとの第一重縮合ポリマー(第一重縮合体)と、
【0026】
【化3】
▲2▼下記単位構造式で示される低級脂肪族ジカルボン酸とテレフタル酸の混合ジカルボン酸と短鎖脂肪族ジオールとの第二重縮合ポリマー(第二重縮合体)とを、
【0027】
【化4】
ブレンドしたポリマーアロイである。
【0028】
ここで上記第一重縮合ポリマーにおける低級飽和脂肪族ジカルボン酸としては、マロン酸、コハク酸(ブタンニ酸)(succinic acid)、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸など、炭素数3〜7のものを使用可能である。
【0029】
同じく短鎖脂肪族ジアルコールとしては、エタンジオール(エチレングリコール)、プロパンジオール(プロピレングリコール、トリメチレングリコール)、ブタンジオール(ブチレングリコール、テトラメチレングリコール)、ヘプタンジオール(ヘプタメチレングリコール)、ヘキサンジオール(ヘキサメチレングリコール)など、炭素数2〜6のものを使用可能である。
【0030】
脂肪族ジカルボン酸および短鎖ジオールの炭素数が小さいとポリマーが剛直になり易く成形品に柔軟性を付与し難く、逆に、炭素数が大きいと強度が得難くなる。これらのバランスから、具体的には、ポリブチレンサクシネート又は混合ジカルボン酸を使用するポリ(ブチレンサクシネート/アジペート)を好適に使用できる。さらに具体的には、昭和高分子株式会社から「ビオノーレ(Bionolle)」の商品名で上市されているものを使用できる。
【0031】
また、第二重縮合ポリマーにおける低級飽和脂肪族ジカルボン酸および短鎖飽和脂肪族ジオールは、上記と同様なものを使用可能である。そして、具体的には、上記同様、成形品における強度および柔軟性のバランスから、ポリ(ブチレンサクシネート/テレフタレート)を好適に使用できる。なお、コハク酸とテレフタル酸の比率は、通常、前者/後者=約1/1.5〜3/1の範囲で適宜設定する。さらに具体的には、BASF社から「Eco FLex」の商品名で上市されているものを使用可能である。テレフタル酸が過多となると生分解性に問題が発生するおそれがある。
【0032】
そして、上記ポリマーアロイにおける第一重縮合ポリマーと第二重縮合ポリマーとのブレンド比(質量)は、前者/後者=1/9〜9/1、望ましくは3/7〜7/3、さらに望ましくは4.5/5.5〜5.5/4.5とする。
【0033】
第一重縮合ポリマーと第二重縮合ポリマーとのどちらが過少でも過多でも、本発明の効果(引張り強さ・引き裂き強さの向上、さらには、それらの縦方向および横方向のバランス特性)を奏し難い。
【0034】
そして、滑剤としては、脂肪族ポリアミド系が望ましく、その配合量は、通常、約1%以下、望ましくは、約0.2〜0.6%とする。脂肪族ポリアミドの配合量が過多であると、時間の経過とともに脂肪族ポリアミドが成形品(フィルム)の表面に移動するブリード現象が発生し易い。
【0035】
脂肪族アミド系滑剤としては、ステアリン酸アミド、ラウリン酸アミド、パルミチン酸アミド、ベニン酸アミド、メチレン−ビス−ステアラアミド、エチレン−ビス−ステアラアミド、エチレン−ビス−ヒドロキシ−ステアラアミド、ヒドロキシステアラアミド、メチロールアミド、エルカ酸アミド、レシチン−モノ−リン酸アルキル、レシチン−ジ−リン酸アルキル等がある。これらのうちで、例えば、エルカ酸アミドが望ましい。
【0036】
上記生分解性プラスチック材料は、上記ポリマーアロイに、適宜、滑剤を含む副資材を添加し、ヘンシェルミキサーで混練したプラスチック材料をインフレーション装置を使用して無延伸フィルム加工を行う。延伸フィルム加工では、強度(引っ張り・引き裂き)の縦横比バランスをと採り難い。なお、Tダイ方式によりフィルム加工を行なってもよい。
【0037】
そして、このときのインフレーションフィルムの肉厚は、100μm以下とするが、望ましくは50μm以下、さらに望ましくは25μm以下のものとしても、後述の実施例で示す如く、縦方向と横方向の強度バランス特性が優れている。
【0038】
すなわち、引張り強さ(JIS K 7127)および引き裂き強さ(JISK 7128)の各比が、ともに、縦方向/横方向が2倍以内、望ましくは1.5倍以内のインフレーションフィルムを容易に得ることができる。
【0039】
【実施例】
次に、本発明の効果を確認するために行なった実施例について説明を行う。
【0040】
表1に示す各組成のプラスチック材料を用いて、下記の如く無延伸フィルム加工を行った。
【0041】
プラスチック材料をヘンシェルミキサーで、5分間混練して調製した成形用材料を、40mmインフレ−ションエクストルーダに投入し、下記条件で環状押出ダイ(環状スリット直径:200mm、リップギャップ:2mm)から押出し、無延伸フィルム加工(設定肉厚25μm)を行なった。
【0042】
・加熱温度・・・ダイ部分145℃、その他150℃
・フィルム幅・・・650mm
・引張り速度・・・40m/min
こうしてインフレーションによりフィルム加工した各フィルムから縦方向(MD)及び横方向(TD)の試験片を採取し、下記各項目の試験を検査機「INSTRON4505」(INSTRON社製)を用いて行なった。
【0043】
▲1▼引張り試験・・・JIS K 7127に準じて、タイプ5試験片(伸び検査幅25mm)を用いて、降伏強さ(引張り降伏応力:σY)、引張り強さ(引張り破壊強さ:σB)および伸び(引張り破壊ひずみ:σB)をそれぞれ測定した。
【0044】
▲2▼引き裂き試験・・・JIS K 7127に準じて、規定試験片を用いて、引き裂き強さを測定した。
【0045】
それらの試験結果を表1に示す。
【0046】
第一重縮合ポリマー(ポリブチレンサクシネ−ト)のみに比較例1は、引張り強さにおいて、縦・横方向ともに良好な数値を示しているが、横方向の引き裂き強さが極端に低いことが分かる。
【0047】
また第二重縮合ポリマー(ポリ(ブチレンサクシネート/テレフタレート))のみの比較例2は、高い伸びを示すが、横方向の引張り強さがでないことが分かる。
【0048】
これらに対して、第一縮合ポリマーと第二縮合ポリマーとを略等量ブレンドした実施例は、引張り特性(引張り強さ)及び引き裂き特性(引き裂き強さ)のいずれにおいても、縦・横方向ともに、良好、すなわち、1.5倍以内を示すことが分かる。
【0049】
【表1】
Claims (6)
- ポリエステル系の生分解性ポリマーに、必要により滑材とともに他の副資材が配合されてなる生分解性プラスチック材料において、
前記生分解性ポリマーが、ポリブチレンサクシネ−ト又はポリ(ブチレンサクシネート/アジペート)と、ポリ(ブチレンサクシネート/テレフタレート)とを、
前者/後者=1/9〜9/1の質量比でブレンドとしたポリマーアロイであることを特徴とする生分解性プラスチック材料。 - 前記滑剤が脂肪酸アミド系であり、その配合量が、約0〜1phrであることを特徴とする請求項2記載の生分解性プラスチック材料。
- 請求項1、2又は3記載の生分解性プラスチック材料で成形されてなることを特徴とするインフレーションフィルム。
- フィルム肉厚が50μm以下のものであることを特徴とする請求項4記載のインフレーションフィルム。
- 前記インフレーションフィルムにおける、縦方向と横方向の引張り強さ(JIS K 7127)および引き裂き強さ(JIS K 7128)の各比が、ともに、縦方向/横方向が2.0倍以内であることを特徴とする請求項4又は5記載のインフレーションフィルム。
Priority Applications (1)
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