JP2004244379A - リパーゼ阻害剤及び皮膚外用剤 - Google Patents
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Abstract
【課題】プロピオニバクテリウム
アクネスなどの皮膚常在菌が産生するリパーゼを阻害し、更には、皮脂分泌を抑制することにより、ニキビなどの皮膚疾患を予防あるいは治療に有効な皮膚外用剤を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】ラフィノース及びラフィノース誘導体を配合することにより、リパーゼの活性を阻害し、皮脂分泌をも抑制する。更に特定の粉体を加えることにより飛躍的に皮脂抑制効果・ニキビ改善効果が高まる。
アクネスなどの皮膚常在菌が産生するリパーゼを阻害し、更には、皮脂分泌を抑制することにより、ニキビなどの皮膚疾患を予防あるいは治療に有効な皮膚外用剤を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】ラフィノース及びラフィノース誘導体を配合することにより、リパーゼの活性を阻害し、皮脂分泌をも抑制する。更に特定の粉体を加えることにより飛躍的に皮脂抑制効果・ニキビ改善効果が高まる。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、リパーゼ阻害剤の有効成分としてラフィノース及び/又はラフィノース誘導体の1種又は2種以上を含有することを特徴とする皮膚外用剤に関するものである。さらに詳細には、ラフィノース及び/又はラフィノース誘導体の1種又は2種以上と、有機樹脂粉体類、無機粉体類とを組み合わせて配合することを特徴とする皮膚外用剤に関するものである。特にこの発明にかかる皮膚外用剤は、細菌性のリパーゼに起因するニキビ、皮膚炎などの皮膚疾患の予防、治療に有効な皮膚外用剤、及び過剰な皮脂の分泌による肌のテカリの防ぐ皮脂コントロールに有効な皮膚外用剤の提供を主たる目的とするものであるが、さらには、本発明の利用分野は前記分野にとどまるものではなく、医薬品および食品等々の各種技術分野にも広く応用できるものである。
【0002】
【従来の技術】ラフィノースは、D−ガラクトース、D−グルコース、D−フルクトース1分子ずつからなる。構造は、ショ糖分子中のD−グルコースの6位炭素原子にD−ガラクトピラノースが、α−グルコシド結合したものに相当する。ショ糖と同様に植物界に広く分布し、特にサトウダイコン(アカザ科)中には少量が遊離の形で存在し、ショ糖製造の際、その廃糖ミツに集積する。この他ワタ(ゼニアオイ科)の種子、ユーカリの木に遊離の形で含まれる。ラフィノースには、特有の生理活性増強効果があることが報告されているがリパーゼ阻害効果があることは知られていない(特許文献1参照)。
【0003】ラフィノース誘導体は、主に皮膚刺激の少ない活性剤として用いることが出来ることが報告されているが(特許文献2参照)、リパーゼ阻害効果があることや皮脂抑制効果があることは知られていない。
【0004】皮膚における細菌性のリパーゼには、皮膚表層に常在する微生物(プロピオニバクテリウム
アクネス:Propionibacterium
acnes、ピティロスポラム オバール:Pityrosporum ovale、マイクロコッカス属:Micrococcus sp.など)が産生するリパーゼがあり、これらのリパーゼが皮脂中に含まれるトリグリセライドを分解し遊離脂肪酸を産生する。遊離脂肪酸は、皮膚に対して刺激性の炎症反応を起こし、ニキビ、皮膚炎などの皮膚疾患の要因の一つとして考えられている。特に、ニキビの原因とされるプロピオニバクテリウム
アクネスの菌数と産生する遊離脂肪酸量には相関関係があり、毛包壁に対して、刺激性の炎症反応とそれに伴う過角化、コメドの形成を引き起こすと考えられている(非特許文献1参照)。
【0005】しかしながら、細菌性のリパーゼを阻害して疾患を抑制または予防する薬剤の開発は未だあまり進められておらず、2−Pyridylmethyl−2−(P−(2−methylpropyl)−phenyl)propionate(慣用名:イブプロフェンピコノール)(非特許文献2参照)、テトラサイクリンおよび金属塩(特許文献3参照)や植物抽出物としてビワ葉抽出物(特許文献4参照)やコラ・デ・カバロ抽出物(特許文献5参照)などが報告されているが、リパーゼ阻害効果が必ずしも満足し得るものではなかった。
【0006】
一方、顔の部分の中で、額から鼻への一般にTゾーンといわれる部分は皮脂の分泌が多いので、特に肌質が脂性肌である場合には、テカリやニキビ等の悩みを生じる部位である。このような悩みを解決するために過剰な皮脂分泌を抑えるため皮膚外用剤に、エタノールや皮膚収斂剤等を配合するということが行われているものの、効果が不充分であったり、過剰皮脂の吸収力に重点をおいた皮膚外用剤では、肌がきしむ等の使用感触に問題点を有していた。
【0007】
【特許文献1】特開2000−63224
【特許文献2】特公平6−99710
【特許文献3】特開昭59−186919
【特許文献4】特開平10−265364
【特許文献5】特開平11−228338
【非特許文献1】McGinley, K, J.ら、J. Clin. Microbiol. 12巻、672〜675頁(1980年)
【非特許文献2】西日皮膚、47巻、5号、888〜898、899〜908頁(1985年)
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
プロピオニバクテリウム
アクネスなどの皮膚常在菌が産生するリパーゼを阻害し、更には、皮脂分泌を抑制することにより、ニキビなどの皮膚疾患を予防あるいは治療に有効でかつ使用感触に優れた皮膚外用剤を提供することを課題とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】すなわち、発明者らは、かかる実情に鑑み、上記課題を解決すべく鋭意検討を行った結果、ラフィノース及びラフィノース誘導体に高いリパーゼ阻害効果及び高い皮脂抑制効果をつきとめ、更に特定の粉体を加えることにより飛躍的に皮脂抑制効果・ニキビ改善効果が高まることを見出し、発明を完成するに至った。
【0010】
【発明の実施の形態】本発明で使用することの出来るラフィノースは、特に限定されない。植物等から精製されたものでも、化学合成、微生物合成等の合成物であっても問題ない。植物であれば、ユーカリのマンナ、サトウダイコンの糖蜜、ワタの実などから得られるが、サトウダイコン(ビート)の糖蜜由来のものが安定的に供給されることから最も好ましい。また、ラフィノースに少量の乳糖が混ぜてあっても構わない。また、ラフィノースは無水物でも、水和物を用いても構わないが、5水和物を用いることが供給が安定していることから好ましい。市販品であれば、オリゴGGF(商標名)(日本甜菜製糖社製)が挙げられる。
【0011】
本発明で使用することが出来るラフィノース誘導体は、特に限定されない。ラフィノースウンデカアセテート、ラフィノースウンデカプロパノエート等があげられる。合成方法は公知の方法を用いることができる。市販品であれば、テトラクロロラフィノース(Tate & Lyle社製)、ラフィノースウンデカアセテート(SIGMA社製)等が挙げられる。
【0012】
本発明に係るラフィノースに関するリパーゼ阻害効果の測定は、次の方法により行った。
【0013】リパーゼ阻害効果は、リパーゼキットS(大日本製薬製)を用い測定した。すなわち、S−アシル化合物(三酪酸ジメルカプロール)を用い、これにSH基測定用試薬(5,5’− ジチオビス(2− ニトロ安息香酸))を組み合わせた、酵素測定法の原理に基づいている。なお、具体的な測定方法およびリパーゼ阻害率(%)の算出方法は、実施例の項において詳述する。
【0014】本発明に係るラフィノース及びラフィノース誘導体の配合量は、その使用目的、態様、使用形態、使用回数等々に応じて変動させることができるので、特に限定されない。原則的には、有効量存在すれば良いことになるが、ラフィノースは、0.0001〜100重量%が利用でき、好ましくは0.01〜10重量%、なかでも0.1〜5重量%が最適である。ラフィノース誘導体は、0.0001〜100重量%が利用でき、好ましくは0.05〜10重量%、なかでも0.3〜5重量%が最適である。
【0015】本発明にかかる皮膚外用剤に用いる粉体成分は、組成物全体に対して0.1〜90重量%含有したことを特徴としている。
【0016】本発明に用いられる粉体成分は、特に限定されないが、例えばポリアミド樹脂(例えば、アートケミ社により“ナイロン12パウダー”の商品名で市販のナイロン末)、ポリエチレン樹脂(例えば、旭化成社により“サンテック”の商品名で市販のポリエチレン末)、ポリプロピレン樹脂(例えば、三井化学社により“ポリプロピレン”の商品名で市販のポリプロピレン)、ポリメタクリル酸メチル樹脂(例えば、松本油脂製薬社により“マイクロスフェアー”の商品名で市販のポリメタクリル酸メチル)、セルロース樹脂(例えば、木村産業社により“セルロースパウダー”の商品名で市販のセルロースパウダー)、ポリスチレン樹脂(例えば、ガンツ化成社により“ガンツパール”の商品名で市販のポリスチレン)、シリコーン樹脂(例えば、東レ・ダウコーニング・シリコーン社により“トレフィル”の商品名で市販の架橋型シリコン末)等の有機樹脂粉体、シリカ(例えば、洞海化学工業社により“サンスフェア”の商品名で市販の無水ケイ酸)、アルミナ(例えば、住友化学社により“アルミニウムオキサイド”の商品名で市販の酸化アルミニウム)、カオリン(例えば、土屋カオリン社により“カオリン”の商品名で市販のカオリン)、ベントナイト(例えば、土屋カオリン社により“ベントナイト”の商品名で市販のベントナイト)、硫酸バリウム(例えば、伏見製薬所により“硫酸バリウム”の商品名で市販の硫酸バリウム)、泥(例えば、HUNS G HAURI社により“ファンゴ”の商品名で市販のフォノライト末)等の無機粉体が挙げられる。これらの粉体の中でも使用感触が優れる点で、特にシリカが好ましい。
【0017】本発明に係る皮膚外用剤の適用範囲は、特に限定されない。つまり、本発明のラフィノース及びラフィノース誘導体が有する作用効果を利用できる全ての皮膚外用剤に適用できる。
【0018】例えば、本発明に係るラフィノース及び/又はラフィノース誘導体、粉体を各種基剤などに配合して、クリーム、乳液、化粧水、パック剤、洗顔料などの各種基礎化粧料、ファンデーション、ほほ紅、口紅、白粉などの各種メーキャップ料、石鹸、オーデコロンなど、その他化粧料に対して広範囲に適用できる。又、前記各種化粧料の態様は、溶液、エマルジョン、軟膏、オイル、ワックス、ゾル、ゲル、パウダー、スプレーなどの各種態様で適用できる。
【0019】
【実施例】次に、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により制限されるものではない。なお、実施例中の部は、特に断りのない限り重量部を示す。
【0020】1.リパーゼ活性阻害効果の測定方法
ラフィノース及びラフィノース誘導体について、微生物性のリパーゼ活性阻害効果を評価した。評価は、リパーゼキットS(大日本製薬製)を用い測定した。比較例として、すでにリパーゼ阻害活性を有すると報告されているテトラサイクリン塩酸塩についても同様の試験を行った。1検体につき試験管を2本用意し、1本を検体用(A)、他の1本は盲検用(B)とした。試験管に微生物由来のリパーゼ溶液を最終濃度で4.5mg/mLになるように調製し、各サンプルを最終濃度で0.64mg/mLになるように調整、混和した溶液を20分間30℃でインキュベートした。A,B両試験管に、さらに発色液(0.1mg/mL 5,5’− ジチオビス(2−ニトロ安息香酸)を含む緩衝液)500μL、エステラーゼ阻害液(3.48mg/mL フェニルメチルスルホニルフルオリド)を加え、5分間30℃でインキュベートした。試験管Aにのみ基質液(6.69mg/mL 三酪酸ジメルカプロール+5.73mg/mLドデシル硫酸ナトリウム)50μLを加え、混和後、直ちに30分間30℃でインキュベートした。インキュベート終了後、直ちに反応停止液を1mL添加し、試験管Bのみ基質液50μLを加え混和した。精製水を対象として吸光度を412nmで測定した。
【0021】精製水をブランクとし、その吸光度を412nmで測定した。サンプルの試験管Aの吸光度(Asa)、サンプルの試験管Bの吸光度(Asb)、ブランクの試験管Aの吸光度(Aba)、およびサンプルの試験管Bの吸光度(Abb)を測定した。リパーゼ阻害効果は、数1によりリパーゼ活性率(%)を算出して表した。結果は表1に示した。
【0022】
【数1】
【0023】
【表1】
【0024】これらの結果より、本発明に係るラフィノース及びラフィノース誘導体にリパーゼの活性を下げる効果が認められる。
【0025】2.化粧料の処方例
次に、本発明に係るラフィノースを用いて、本発明に係る化粧料を作製した。なお、配合割合は重量部である。
【0026】(1)処方例1(化粧水)
<組成> 重量部
ラフィノース・・・0.2
グリセリン・・・5.0
ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート(20E.O)・・・1.5
ポリメタクリル酸メチル樹脂・・・0.01
精製水・・・残量
エタノール・・・10.0
防腐剤・・・適量
〔製法〕前記原料を精製水に加え均一に混合する。
【0027】(2)処方例2(化粧用クリーム)
<組成> 重量部
(油相)
ミツロウ・・・2.0
ステアリルアルコール・・・5.0
ステアリン酸・・・8.0
スクワラン・・・10.0
自己乳化型グリセリルモノステアレート・・・3.0
ポリオキシエチレンセチルエーテル(20E.O)・・・1.0
シリカ・・・3.0
ラフィノースウンデカアセテート・・・0.2
(水相)
精製水・・・残量
1,3−ブチレングリコール・・・5.0
防腐剤・・・適量
〔製法〕前記水相の原料を混合し、加熱して70℃に保ち水相部とする。一方、油相の原料を混合し、加熱溶解して70℃として油相部とする。この油相部を前述の水相部に加えて予備乳化を行ない、ホモミキサー均一に乳化し、30℃まで冷却し化粧用クリームを得る。
【0028】(3)処方例3(化粧用乳液)
<組成> 重量部
(油相)
スクワラン・・・8.0
ワセリン・・・2.0
ミツロウ・・・0.5
ソルビタンセスキオレエート・・・0.8
ポリオキシエチレンセチルエーテル(20E.O)・・・1.2
(水相)
ラフィノース・・・0.1
カルボキシビニルポリマー・・・0.2
1,3−ブチレングリコール・・・0.5
水酸化カリウム・・・0.1
精製水・・・残量
エタノール・・・7.0
防腐剤・・・適量
〔製法〕前記水相の原料を混合し、加熱して70℃に保ち水相部とする。一方、他の原料を混合し、加熱溶解して70℃として油相部とする。この油相部を前述の水相部に加えて乳化し、30℃まで冷却し化粧用乳液を得る。
【0029】(4)処方例4(パック剤)
<組成> 重量部
(粉体)
酸化チタン・・・3.0
カオリン・・・7.0
シリカ・・・5.0
(油相)
オリーブ油・・・3.0
(水相)
ラフィノース・・・0.5
酢酸ビニル樹脂エマルジョン・・・15.0
ポリビニルアルコール・・・10.0
精製水・・・残量
グリセリン・・・5.0
エタノール・・・5.0
防腐剤・・・適量
〔製法〕水相の原料を混合し、均一にし水相部とする。さらに前述の水相部に油相部、粉体部を混合し、均一になるまで攪拌してパック剤を得る。
【0030】(5)処方例5(クリーム状ファンデーション)
<組成> 重量部
(粉体)
タルク・・・5.0
シリカ・・・6.0
ポリメタクリル酸メチル樹脂・・・2.0
酸化チタン・・・5.0
色顔料・・・1.5
(油相)
ラフィノースウンデカプロパノエート・・・0.3
モノイソステアリン酸ポリグリセリル・・・3.0
ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油・・・1.5
イソノナン酸イソトリデシル・・・10.0
(水相)
ラフィノース・・・0.3
精製水・・・残量
1,3−ブチレングリコール・・・5.0
防腐剤・・・適量
〔製法〕油相の一部と粉体を3本ロールミルにかけ、残りの油相を加え加熱溶解させ、80℃に保つ。次に、加熱溶解した水相を徐々に加えて80℃で乳化し、これを攪拌しながら30℃まで冷却して、クリーム状ファンデーションを得る。
【0031】ドリンク剤
<組成> 重量部
ラフィノース・・・2.0
精製水・・・残部
抗酸化剤・・・適量
防腐剤・・・適量
〔製法〕原料を均一になるように混ぜ合わせる。
【0032】3.化粧料の効果試験例
更に、本発明に係る化粧料を用いて、実際に使用した場合の効果について検討を行った。
【0033】皮脂コントロール効果
過剰な皮脂の分泌による肌のテカリに悩む16〜30歳の50名をパネラーとして行った。各パネルの顔面の皮膚分泌量は、Tゾーンと呼ばれる皮脂の分泌が非常に活発な額部に2cm×2cmの範囲を4区画設けた。それぞれ区画内を3回測定し、その平均値を採用した。
【0034】試験は、先ず市販されている洗顔剤を用いて通常の方法により各パネルが額を中心に洗顔を行い、洗顔直後の皮脂分泌量を測定した。その後、実施例1として処方例3の化粧用乳液を、実施例2として処方例3のラフィノースを除いてラフィノース誘導体であるラフィノースウンデカアセテートに置き換えたもの(但し、製法においてはラフィノースウンデカアセテートを油相に配合した。その他の製法は同じ)、比較例1として処方例3のラフィノースを除いて精製水に置き換えたものを適量マッサージしながら額部に塗布し、室温18〜20℃、湿度50〜60%の室内で事務仕事をしてもらった。比較例4として、無塗布の区画を設けた。塗布後8時間後に再度皮脂分泌量を測定し、洗顔直後の皮脂分泌量との差を皮脂分泌変化量とした。なお、皮脂分泌量の測定には、株式会社アミックグループ「SKICOS 401」を用いた。結果は、表2に示した。
【0035】
【数2】
【0036】
【表2】皮脂コントロール効果1
【0037】これらの結果より、ラフィノース及びラフィノースウンデカアセテートに皮脂コントロール効果が認められる。
【0038】また、同じパネラー対して、別の日に使用テストを行った。パネラーを10名ずつの群にわけ、洗顔後、左顔に実施例3を塗布する群、実施例4を塗布する群、実施例5を塗布する群、実施例6を塗布する群、比較例3を塗布する群とし、右顔は全員比較例4を塗布した。その後、室温18〜20℃、湿度50〜60%の室内で事務仕事をしてもらった。8時間後の皮脂の分泌によるテカリ状態について、左顔と右顔で比較し改善度を調べた。尚、評価は美容の専門パネラーにより「改善」,「やや改善」,「変化無し」,「悪化」の4段階に分けて行った。結果は表3に示す。使用期間中に皮膚の異常を訴えた者はなかった。
【0039】
【表3】皮脂コントロール効果2
【0040】表3の結果より、ラフィノース、ラフィノースウンデカアセテートを配合することにより、皮脂コントロール効果が認められることがわかる。また、それらの効果は、シリカを配合することで飛躍的に高まることがわかる。
【0041】(ニキビ症状改善効果)
ニキビに悩む16〜30歳の60名をパネラーに使用テストを行った。パネラーを10名ずつの群に分け、洗顔後、1ヶ月間毎日、朝と夜の2回、全顔に実施例7を塗布する群、実施例8を塗布する群、実施例9を塗布する群、実施例10を塗布する群、比較例5を塗布する群、比較例6を塗布する群とした。結果は、試験開始時のニキビの数と試験終了後のニキビの数を比較した。なお、使用期間中に皮膚の異常を訴えた者はなかった。
【0042】
判定基準
5:開始時と比較してニキビの数が50%減少
4:開始時と比較してニキビの数が30%減少
3:開始時と比較してニキビの数が10%減少
2:開始時と比較してニキビの数が同じ
1:開始時と比較してニキビの数が増加
【0043】
【表4】ニキビ症状改善効果
【0044】表4の結果より、ラフィノース、ラフィノースウンデカアセテートを配合することにより、ニキビ改善効果が認められることがわかる。また、それらの効果は、ポリメタクリル酸メチル樹脂を配合することで飛躍的に高まることがわかる。
【0045】
【発明の効果】ラフィノー及びラフィノース誘導体が有するリパーゼ作用の活性阻害効果及び皮脂抑制効果に基づいた、優れたリパーゼ阻害剤およびニキビ改善皮膚外用剤が提供できる。特に、この発明にかかる皮膚外用剤は、細菌性のリパーゼに起因するニキビ、皮膚炎などの皮膚疾患の予防、治療に有効な安全性の高く、過剰な皮脂の分泌による肌のテカリの防ぐ皮脂コントロールに有効なものある。皮膚外用剤分野はもとより医薬品および食品等々の各種技術分野にも広く途を拓くなど、発明の目的を達成する顕著な効果を奏することができる。
【発明の属する技術分野】本発明は、リパーゼ阻害剤の有効成分としてラフィノース及び/又はラフィノース誘導体の1種又は2種以上を含有することを特徴とする皮膚外用剤に関するものである。さらに詳細には、ラフィノース及び/又はラフィノース誘導体の1種又は2種以上と、有機樹脂粉体類、無機粉体類とを組み合わせて配合することを特徴とする皮膚外用剤に関するものである。特にこの発明にかかる皮膚外用剤は、細菌性のリパーゼに起因するニキビ、皮膚炎などの皮膚疾患の予防、治療に有効な皮膚外用剤、及び過剰な皮脂の分泌による肌のテカリの防ぐ皮脂コントロールに有効な皮膚外用剤の提供を主たる目的とするものであるが、さらには、本発明の利用分野は前記分野にとどまるものではなく、医薬品および食品等々の各種技術分野にも広く応用できるものである。
【0002】
【従来の技術】ラフィノースは、D−ガラクトース、D−グルコース、D−フルクトース1分子ずつからなる。構造は、ショ糖分子中のD−グルコースの6位炭素原子にD−ガラクトピラノースが、α−グルコシド結合したものに相当する。ショ糖と同様に植物界に広く分布し、特にサトウダイコン(アカザ科)中には少量が遊離の形で存在し、ショ糖製造の際、その廃糖ミツに集積する。この他ワタ(ゼニアオイ科)の種子、ユーカリの木に遊離の形で含まれる。ラフィノースには、特有の生理活性増強効果があることが報告されているがリパーゼ阻害効果があることは知られていない(特許文献1参照)。
【0003】ラフィノース誘導体は、主に皮膚刺激の少ない活性剤として用いることが出来ることが報告されているが(特許文献2参照)、リパーゼ阻害効果があることや皮脂抑制効果があることは知られていない。
【0004】皮膚における細菌性のリパーゼには、皮膚表層に常在する微生物(プロピオニバクテリウム
アクネス:Propionibacterium
acnes、ピティロスポラム オバール:Pityrosporum ovale、マイクロコッカス属:Micrococcus sp.など)が産生するリパーゼがあり、これらのリパーゼが皮脂中に含まれるトリグリセライドを分解し遊離脂肪酸を産生する。遊離脂肪酸は、皮膚に対して刺激性の炎症反応を起こし、ニキビ、皮膚炎などの皮膚疾患の要因の一つとして考えられている。特に、ニキビの原因とされるプロピオニバクテリウム
アクネスの菌数と産生する遊離脂肪酸量には相関関係があり、毛包壁に対して、刺激性の炎症反応とそれに伴う過角化、コメドの形成を引き起こすと考えられている(非特許文献1参照)。
【0005】しかしながら、細菌性のリパーゼを阻害して疾患を抑制または予防する薬剤の開発は未だあまり進められておらず、2−Pyridylmethyl−2−(P−(2−methylpropyl)−phenyl)propionate(慣用名:イブプロフェンピコノール)(非特許文献2参照)、テトラサイクリンおよび金属塩(特許文献3参照)や植物抽出物としてビワ葉抽出物(特許文献4参照)やコラ・デ・カバロ抽出物(特許文献5参照)などが報告されているが、リパーゼ阻害効果が必ずしも満足し得るものではなかった。
【0006】
一方、顔の部分の中で、額から鼻への一般にTゾーンといわれる部分は皮脂の分泌が多いので、特に肌質が脂性肌である場合には、テカリやニキビ等の悩みを生じる部位である。このような悩みを解決するために過剰な皮脂分泌を抑えるため皮膚外用剤に、エタノールや皮膚収斂剤等を配合するということが行われているものの、効果が不充分であったり、過剰皮脂の吸収力に重点をおいた皮膚外用剤では、肌がきしむ等の使用感触に問題点を有していた。
【0007】
【特許文献1】特開2000−63224
【特許文献2】特公平6−99710
【特許文献3】特開昭59−186919
【特許文献4】特開平10−265364
【特許文献5】特開平11−228338
【非特許文献1】McGinley, K, J.ら、J. Clin. Microbiol. 12巻、672〜675頁(1980年)
【非特許文献2】西日皮膚、47巻、5号、888〜898、899〜908頁(1985年)
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
プロピオニバクテリウム
アクネスなどの皮膚常在菌が産生するリパーゼを阻害し、更には、皮脂分泌を抑制することにより、ニキビなどの皮膚疾患を予防あるいは治療に有効でかつ使用感触に優れた皮膚外用剤を提供することを課題とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】すなわち、発明者らは、かかる実情に鑑み、上記課題を解決すべく鋭意検討を行った結果、ラフィノース及びラフィノース誘導体に高いリパーゼ阻害効果及び高い皮脂抑制効果をつきとめ、更に特定の粉体を加えることにより飛躍的に皮脂抑制効果・ニキビ改善効果が高まることを見出し、発明を完成するに至った。
【0010】
【発明の実施の形態】本発明で使用することの出来るラフィノースは、特に限定されない。植物等から精製されたものでも、化学合成、微生物合成等の合成物であっても問題ない。植物であれば、ユーカリのマンナ、サトウダイコンの糖蜜、ワタの実などから得られるが、サトウダイコン(ビート)の糖蜜由来のものが安定的に供給されることから最も好ましい。また、ラフィノースに少量の乳糖が混ぜてあっても構わない。また、ラフィノースは無水物でも、水和物を用いても構わないが、5水和物を用いることが供給が安定していることから好ましい。市販品であれば、オリゴGGF(商標名)(日本甜菜製糖社製)が挙げられる。
【0011】
本発明で使用することが出来るラフィノース誘導体は、特に限定されない。ラフィノースウンデカアセテート、ラフィノースウンデカプロパノエート等があげられる。合成方法は公知の方法を用いることができる。市販品であれば、テトラクロロラフィノース(Tate & Lyle社製)、ラフィノースウンデカアセテート(SIGMA社製)等が挙げられる。
【0012】
本発明に係るラフィノースに関するリパーゼ阻害効果の測定は、次の方法により行った。
【0013】リパーゼ阻害効果は、リパーゼキットS(大日本製薬製)を用い測定した。すなわち、S−アシル化合物(三酪酸ジメルカプロール)を用い、これにSH基測定用試薬(5,5’− ジチオビス(2− ニトロ安息香酸))を組み合わせた、酵素測定法の原理に基づいている。なお、具体的な測定方法およびリパーゼ阻害率(%)の算出方法は、実施例の項において詳述する。
【0014】本発明に係るラフィノース及びラフィノース誘導体の配合量は、その使用目的、態様、使用形態、使用回数等々に応じて変動させることができるので、特に限定されない。原則的には、有効量存在すれば良いことになるが、ラフィノースは、0.0001〜100重量%が利用でき、好ましくは0.01〜10重量%、なかでも0.1〜5重量%が最適である。ラフィノース誘導体は、0.0001〜100重量%が利用でき、好ましくは0.05〜10重量%、なかでも0.3〜5重量%が最適である。
【0015】本発明にかかる皮膚外用剤に用いる粉体成分は、組成物全体に対して0.1〜90重量%含有したことを特徴としている。
【0016】本発明に用いられる粉体成分は、特に限定されないが、例えばポリアミド樹脂(例えば、アートケミ社により“ナイロン12パウダー”の商品名で市販のナイロン末)、ポリエチレン樹脂(例えば、旭化成社により“サンテック”の商品名で市販のポリエチレン末)、ポリプロピレン樹脂(例えば、三井化学社により“ポリプロピレン”の商品名で市販のポリプロピレン)、ポリメタクリル酸メチル樹脂(例えば、松本油脂製薬社により“マイクロスフェアー”の商品名で市販のポリメタクリル酸メチル)、セルロース樹脂(例えば、木村産業社により“セルロースパウダー”の商品名で市販のセルロースパウダー)、ポリスチレン樹脂(例えば、ガンツ化成社により“ガンツパール”の商品名で市販のポリスチレン)、シリコーン樹脂(例えば、東レ・ダウコーニング・シリコーン社により“トレフィル”の商品名で市販の架橋型シリコン末)等の有機樹脂粉体、シリカ(例えば、洞海化学工業社により“サンスフェア”の商品名で市販の無水ケイ酸)、アルミナ(例えば、住友化学社により“アルミニウムオキサイド”の商品名で市販の酸化アルミニウム)、カオリン(例えば、土屋カオリン社により“カオリン”の商品名で市販のカオリン)、ベントナイト(例えば、土屋カオリン社により“ベントナイト”の商品名で市販のベントナイト)、硫酸バリウム(例えば、伏見製薬所により“硫酸バリウム”の商品名で市販の硫酸バリウム)、泥(例えば、HUNS G HAURI社により“ファンゴ”の商品名で市販のフォノライト末)等の無機粉体が挙げられる。これらの粉体の中でも使用感触が優れる点で、特にシリカが好ましい。
【0017】本発明に係る皮膚外用剤の適用範囲は、特に限定されない。つまり、本発明のラフィノース及びラフィノース誘導体が有する作用効果を利用できる全ての皮膚外用剤に適用できる。
【0018】例えば、本発明に係るラフィノース及び/又はラフィノース誘導体、粉体を各種基剤などに配合して、クリーム、乳液、化粧水、パック剤、洗顔料などの各種基礎化粧料、ファンデーション、ほほ紅、口紅、白粉などの各種メーキャップ料、石鹸、オーデコロンなど、その他化粧料に対して広範囲に適用できる。又、前記各種化粧料の態様は、溶液、エマルジョン、軟膏、オイル、ワックス、ゾル、ゲル、パウダー、スプレーなどの各種態様で適用できる。
【0019】
【実施例】次に、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により制限されるものではない。なお、実施例中の部は、特に断りのない限り重量部を示す。
【0020】1.リパーゼ活性阻害効果の測定方法
ラフィノース及びラフィノース誘導体について、微生物性のリパーゼ活性阻害効果を評価した。評価は、リパーゼキットS(大日本製薬製)を用い測定した。比較例として、すでにリパーゼ阻害活性を有すると報告されているテトラサイクリン塩酸塩についても同様の試験を行った。1検体につき試験管を2本用意し、1本を検体用(A)、他の1本は盲検用(B)とした。試験管に微生物由来のリパーゼ溶液を最終濃度で4.5mg/mLになるように調製し、各サンプルを最終濃度で0.64mg/mLになるように調整、混和した溶液を20分間30℃でインキュベートした。A,B両試験管に、さらに発色液(0.1mg/mL 5,5’− ジチオビス(2−ニトロ安息香酸)を含む緩衝液)500μL、エステラーゼ阻害液(3.48mg/mL フェニルメチルスルホニルフルオリド)を加え、5分間30℃でインキュベートした。試験管Aにのみ基質液(6.69mg/mL 三酪酸ジメルカプロール+5.73mg/mLドデシル硫酸ナトリウム)50μLを加え、混和後、直ちに30分間30℃でインキュベートした。インキュベート終了後、直ちに反応停止液を1mL添加し、試験管Bのみ基質液50μLを加え混和した。精製水を対象として吸光度を412nmで測定した。
【0021】精製水をブランクとし、その吸光度を412nmで測定した。サンプルの試験管Aの吸光度(Asa)、サンプルの試験管Bの吸光度(Asb)、ブランクの試験管Aの吸光度(Aba)、およびサンプルの試験管Bの吸光度(Abb)を測定した。リパーゼ阻害効果は、数1によりリパーゼ活性率(%)を算出して表した。結果は表1に示した。
【0022】
【数1】
【0023】
【表1】
【0024】これらの結果より、本発明に係るラフィノース及びラフィノース誘導体にリパーゼの活性を下げる効果が認められる。
【0025】2.化粧料の処方例
次に、本発明に係るラフィノースを用いて、本発明に係る化粧料を作製した。なお、配合割合は重量部である。
【0026】(1)処方例1(化粧水)
<組成> 重量部
ラフィノース・・・0.2
グリセリン・・・5.0
ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート(20E.O)・・・1.5
ポリメタクリル酸メチル樹脂・・・0.01
精製水・・・残量
エタノール・・・10.0
防腐剤・・・適量
〔製法〕前記原料を精製水に加え均一に混合する。
【0027】(2)処方例2(化粧用クリーム)
<組成> 重量部
(油相)
ミツロウ・・・2.0
ステアリルアルコール・・・5.0
ステアリン酸・・・8.0
スクワラン・・・10.0
自己乳化型グリセリルモノステアレート・・・3.0
ポリオキシエチレンセチルエーテル(20E.O)・・・1.0
シリカ・・・3.0
ラフィノースウンデカアセテート・・・0.2
(水相)
精製水・・・残量
1,3−ブチレングリコール・・・5.0
防腐剤・・・適量
〔製法〕前記水相の原料を混合し、加熱して70℃に保ち水相部とする。一方、油相の原料を混合し、加熱溶解して70℃として油相部とする。この油相部を前述の水相部に加えて予備乳化を行ない、ホモミキサー均一に乳化し、30℃まで冷却し化粧用クリームを得る。
【0028】(3)処方例3(化粧用乳液)
<組成> 重量部
(油相)
スクワラン・・・8.0
ワセリン・・・2.0
ミツロウ・・・0.5
ソルビタンセスキオレエート・・・0.8
ポリオキシエチレンセチルエーテル(20E.O)・・・1.2
(水相)
ラフィノース・・・0.1
カルボキシビニルポリマー・・・0.2
1,3−ブチレングリコール・・・0.5
水酸化カリウム・・・0.1
精製水・・・残量
エタノール・・・7.0
防腐剤・・・適量
〔製法〕前記水相の原料を混合し、加熱して70℃に保ち水相部とする。一方、他の原料を混合し、加熱溶解して70℃として油相部とする。この油相部を前述の水相部に加えて乳化し、30℃まで冷却し化粧用乳液を得る。
【0029】(4)処方例4(パック剤)
<組成> 重量部
(粉体)
酸化チタン・・・3.0
カオリン・・・7.0
シリカ・・・5.0
(油相)
オリーブ油・・・3.0
(水相)
ラフィノース・・・0.5
酢酸ビニル樹脂エマルジョン・・・15.0
ポリビニルアルコール・・・10.0
精製水・・・残量
グリセリン・・・5.0
エタノール・・・5.0
防腐剤・・・適量
〔製法〕水相の原料を混合し、均一にし水相部とする。さらに前述の水相部に油相部、粉体部を混合し、均一になるまで攪拌してパック剤を得る。
【0030】(5)処方例5(クリーム状ファンデーション)
<組成> 重量部
(粉体)
タルク・・・5.0
シリカ・・・6.0
ポリメタクリル酸メチル樹脂・・・2.0
酸化チタン・・・5.0
色顔料・・・1.5
(油相)
ラフィノースウンデカプロパノエート・・・0.3
モノイソステアリン酸ポリグリセリル・・・3.0
ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油・・・1.5
イソノナン酸イソトリデシル・・・10.0
(水相)
ラフィノース・・・0.3
精製水・・・残量
1,3−ブチレングリコール・・・5.0
防腐剤・・・適量
〔製法〕油相の一部と粉体を3本ロールミルにかけ、残りの油相を加え加熱溶解させ、80℃に保つ。次に、加熱溶解した水相を徐々に加えて80℃で乳化し、これを攪拌しながら30℃まで冷却して、クリーム状ファンデーションを得る。
【0031】ドリンク剤
<組成> 重量部
ラフィノース・・・2.0
精製水・・・残部
抗酸化剤・・・適量
防腐剤・・・適量
〔製法〕原料を均一になるように混ぜ合わせる。
【0032】3.化粧料の効果試験例
更に、本発明に係る化粧料を用いて、実際に使用した場合の効果について検討を行った。
【0033】皮脂コントロール効果
過剰な皮脂の分泌による肌のテカリに悩む16〜30歳の50名をパネラーとして行った。各パネルの顔面の皮膚分泌量は、Tゾーンと呼ばれる皮脂の分泌が非常に活発な額部に2cm×2cmの範囲を4区画設けた。それぞれ区画内を3回測定し、その平均値を採用した。
【0034】試験は、先ず市販されている洗顔剤を用いて通常の方法により各パネルが額を中心に洗顔を行い、洗顔直後の皮脂分泌量を測定した。その後、実施例1として処方例3の化粧用乳液を、実施例2として処方例3のラフィノースを除いてラフィノース誘導体であるラフィノースウンデカアセテートに置き換えたもの(但し、製法においてはラフィノースウンデカアセテートを油相に配合した。その他の製法は同じ)、比較例1として処方例3のラフィノースを除いて精製水に置き換えたものを適量マッサージしながら額部に塗布し、室温18〜20℃、湿度50〜60%の室内で事務仕事をしてもらった。比較例4として、無塗布の区画を設けた。塗布後8時間後に再度皮脂分泌量を測定し、洗顔直後の皮脂分泌量との差を皮脂分泌変化量とした。なお、皮脂分泌量の測定には、株式会社アミックグループ「SKICOS 401」を用いた。結果は、表2に示した。
【0035】
【数2】
【0036】
【表2】皮脂コントロール効果1
【0037】これらの結果より、ラフィノース及びラフィノースウンデカアセテートに皮脂コントロール効果が認められる。
【0038】また、同じパネラー対して、別の日に使用テストを行った。パネラーを10名ずつの群にわけ、洗顔後、左顔に実施例3を塗布する群、実施例4を塗布する群、実施例5を塗布する群、実施例6を塗布する群、比較例3を塗布する群とし、右顔は全員比較例4を塗布した。その後、室温18〜20℃、湿度50〜60%の室内で事務仕事をしてもらった。8時間後の皮脂の分泌によるテカリ状態について、左顔と右顔で比較し改善度を調べた。尚、評価は美容の専門パネラーにより「改善」,「やや改善」,「変化無し」,「悪化」の4段階に分けて行った。結果は表3に示す。使用期間中に皮膚の異常を訴えた者はなかった。
【0039】
【表3】皮脂コントロール効果2
【0040】表3の結果より、ラフィノース、ラフィノースウンデカアセテートを配合することにより、皮脂コントロール効果が認められることがわかる。また、それらの効果は、シリカを配合することで飛躍的に高まることがわかる。
【0041】(ニキビ症状改善効果)
ニキビに悩む16〜30歳の60名をパネラーに使用テストを行った。パネラーを10名ずつの群に分け、洗顔後、1ヶ月間毎日、朝と夜の2回、全顔に実施例7を塗布する群、実施例8を塗布する群、実施例9を塗布する群、実施例10を塗布する群、比較例5を塗布する群、比較例6を塗布する群とした。結果は、試験開始時のニキビの数と試験終了後のニキビの数を比較した。なお、使用期間中に皮膚の異常を訴えた者はなかった。
【0042】
判定基準
5:開始時と比較してニキビの数が50%減少
4:開始時と比較してニキビの数が30%減少
3:開始時と比較してニキビの数が10%減少
2:開始時と比較してニキビの数が同じ
1:開始時と比較してニキビの数が増加
【0043】
【表4】ニキビ症状改善効果
【0044】表4の結果より、ラフィノース、ラフィノースウンデカアセテートを配合することにより、ニキビ改善効果が認められることがわかる。また、それらの効果は、ポリメタクリル酸メチル樹脂を配合することで飛躍的に高まることがわかる。
【0045】
【発明の効果】ラフィノー及びラフィノース誘導体が有するリパーゼ作用の活性阻害効果及び皮脂抑制効果に基づいた、優れたリパーゼ阻害剤およびニキビ改善皮膚外用剤が提供できる。特に、この発明にかかる皮膚外用剤は、細菌性のリパーゼに起因するニキビ、皮膚炎などの皮膚疾患の予防、治療に有効な安全性の高く、過剰な皮脂の分泌による肌のテカリの防ぐ皮脂コントロールに有効なものある。皮膚外用剤分野はもとより医薬品および食品等々の各種技術分野にも広く途を拓くなど、発明の目的を達成する顕著な効果を奏することができる。
Claims (5)
- ラフィノース及び/又はラフィノース誘導体の1種又は2種以上を含有することを特徴とするリパーゼ阻害剤。
- 請求項1記載のリパーゼ阻害剤を含有することを特徴とする皮膚外用剤。
- (A)ラフィノース及び/又はラフィノース誘導体の1種又は2種以上と粉体成分成分(B)から選ばれる少なくとも1種又は2種以上を含むことを特徴とする皮膚外用剤。
[粉体成分(B)]
ポリアミド樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリメタクリル酸メチル樹脂、セルロース樹脂、ポリスチレン樹脂、シリコーン樹脂、シリカ、アルミナ、カオリン、ベントナイト、硫酸バリウム、泥。 - 皮脂コントロール効果を有することを特徴とする請求項2乃至請求項3記載の皮膚外用剤。
- ニキビ症状改善効果を有することを特徴とする請求項2乃至請求項3記載の皮膚外用剤。
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JP2006273755A (ja) * | 2005-03-29 | 2006-10-12 | Nippon Menaade Keshohin Kk | テストステロン−5α−レダクターゼ阻害剤 |
-
2003
- 2003-02-14 JP JP2003036497A patent/JP2004244379A/ja active Pending
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JP2006273755A (ja) * | 2005-03-29 | 2006-10-12 | Nippon Menaade Keshohin Kk | テストステロン−5α−レダクターゼ阻害剤 |
JP4628840B2 (ja) * | 2005-03-29 | 2011-02-09 | 日本メナード化粧品株式会社 | テストステロン−5α−レダクターゼ阻害剤 |
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