JP2004244268A - 燃料改質装置及びそれを組み込んだエンジンシステム - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明は,天然ガスを触媒を用いて反応させて改質燃料に高効率で改質させ,エンジンを改質燃料で駆動する。
【解決手段】一対の炭酸ガス吸着脱離室20,21は,排気ガス中の炭酸ガスを低温時に吸着し,高温時に脱離する吸着剤をコーティングした多孔質金属が配置され,隔壁32で互いに仕切られている。炭酸ガス吸着脱離室20,21の下流には,天然ガスを炭酸ガスを用いて触媒の存在下で改質する第1改質室22,次いで未改質の天然ガスを水蒸気を用いて触媒の存在下で改質する第2改質室23が配設されている。炭酸ガス吸着脱離室20,21,第1改質室22及び第2改質室23には,多孔質金属が配設され,熱交換効率を向上させている。
【選択図】 図2

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は,排気ガス中に含まれるCOを利用して天然ガスを排気ガスの熱エネルギによって改質する燃料改質装置及びそれを組み込んだエンジンシステムに関する。
【0002】
【従来の技術】
天然ガスは,その主成分がメタン(CH)であることが知られている。燃料のCHは,発熱量が大きく,自然界に多く存在するので,将来の石油代替燃料として期待されている。即ち,天然ガスを燃料とするガスエンジンでは,排気ガスが極めてクリーンであり,一般のディーゼルエンジンでは500ppm以上の窒素酸化物が排出されるが,ガスエンジンでは10ppm以下と極めて少なくなる。また,ガスエンジンを燃焼させると,同一エネルギー当たりの二酸化炭素の排出量は石油燃料と比較して30%以上少なくなり,将来の公害対策エンジンの燃料として極めて有望といえる。従来,ガスエンジンは,コージェネレーションシステム等として開発が進められている。コージェネレーションシステムは,動力を発電機で電気エネルギーとして取り出し,排気ガスエネルギが有する熱を熱交換器で水を加熱して温水にし,該温水を給湯用として利用している。
【0003】
従来,天然ガスを燃料とするエンジンが知られている(例えば,特許文献1,2参照)。しかしながら,天然ガスを用いたガスエンジンの最大の欠点は,天然ガス燃料が気体燃料であるので,天然ガス燃料を燃費の良いディーゼル燃焼させることが難しいことである。即ち,ディーゼル燃焼では,圧縮された空気中に燃料を吹き込むが,その燃料を圧縮された空気圧以上の圧力に圧縮しないと,燃焼室に燃料を噴射することができない。従って,燃料を圧縮して高圧にするために多くの仕事を要し,必ずしも燃費が良くならない。また,圧縮された空気中に燃料が噴射された場合,気体同士では中々混合が良好に行われず,良好な燃焼を確保できずに燃費も改良されず,窒素酸化物も少なくならない。
【0004】
また,天然ガスを改質した燃料を用いるガスエンジンが知られている。該ガスエンジンに組み込まれた燃料改質装置は,天然ガス主成分のCHを熱分解してCOとHの改質燃料に転化させ,燃料による熱効率を改善すると共に排気ガス中のCOを熱分解に使用し,NOの発生を抑制するものである。燃料改質装置は,排気ガスパイプ内に排気ガス通路を形成する排気ガス通路体を配置し,排気ガスパイプの外側にガス燃料が流れるガス燃料ケースを配置し,ガス燃料ケース内にガス燃料通路を形成する多孔質セラミックスから成る多孔質部材を配置し,多孔質部材の表面にCHとCOをCOとHの改質燃料に変換させる作用を有する触媒を被覆し,更にガス燃料パイプの外周に断熱材を配置したものである(例えば,特許文献3参照)。
【0005】
【特許文献1】
特開平6−108865号公報(第1頁)
【特許文献2】
特開平6−101495号公報(第1頁)
【特許文献3】
特開平11−93777号公報(第1頁)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところで,天然ガスを触媒の下で排気ガス熱エネルギを利用して熱分解して改質させ,HとCOとに変換し,改質燃料を燃料とするエンジンでは,その熱効率が30%以上向上する可能性がある。天然ガスを二酸化炭素と反応させ,改質させる場合に,改質反応温度が高いので,天然ガスを十分に反応させることが困難である。特に,エンジンのように,排気ガスの温度が700℃〜600℃程度では,この傾向が著しく現れる。しかしながら,排気ガス温度が低く,天然ガスの改質反応温度が低ければ低いほど,燃料改質装置の実現性が高くなる。天然ガスの主成分であるメタンの反応性を試験してみると,天然ガスのCOによる改質温度よりも,水蒸気による改質温度の方が200℃以上低い状態である。また,COによる天然ガスの改質は,800℃付近で80%の改質率,水蒸気による天然ガスの改質では,600℃で80%の改質率であることが分かった。そこで,天然ガスのこれらのガスによる改質は,それぞれに合致した触媒を用いて天然ガスを反応させた時に,これらの改質率が高く成ることが分かった。
【0007】
本発明者は,これらの課題を考慮した天然ガス改質装置を開発して先に出願した(例えば,特願平2002−132557号参照)。該天然ガス改質装置は,排気ガス中のCOを捕捉すると共に排気ガスが有する熱エネルギを利用して天然ガスを触媒を用いて反応させ,改質率をアップし,燃料の熱量を増加させてエンジンの熱効率を向上させるものである。上記天然ガス改質装置は,排気ガス中に含まれるCO,外部から供給するHO,及び排気ガス中に含まれるOを用いて,それぞれに適合した触媒の存在下で天然ガスとCO,HOを順次に反応させて天然ガスを改質燃料に変換するものである。
【0008】
しかしながら,燃料改質装置は,エンジンの燃焼後の排気ガスから炭酸ガス(CO)を分離し回収する機能,分離した炭酸ガスと天然ガスのメタン(CH)を触媒の存在下で反応させて天然ガスをHとCOの改質燃料に改質させる機能,水蒸気(HO)とメタンを触媒下で反応させる機能を要求されるものであり,これらの機能は高効率の熱交換器を用いて作用させる必要がある。これらの機能を出来る限り効率良く達成できる装置を,コンパクトに構成するには次の各条件をクリアする必要がある。
【0009】
1.排気ガスから炭酸ガスを回収し,離脱させるためには,炭酸ガスと反応する物質を薄膜状に配置し,排気ガスと接触させ,吸着させる。炭酸ガスの脱離には吸着反応した物質を加熱し,分離させる。
2.上記反応を連続した状態で効率良く実行させるには出来るだけコンパクトな吸着装置を2セット準備し,吸着と脱離とを交互に繰り返して行う必要がある。
3.吸着層は表面積が極めて大きい多孔質金属材を用い,その表面に粒子状物質を吸着し易いアルミナ,ジルコニア等をディッピングにより被覆し,その表面にジルコニウム酸リチウム等の吸着脱離作用を有する吸着剤を付着させる。
4.吸着層と隔絶した隣接する場所に排気ガス通路を設け,吸着剤から炭酸ガスを脱離させる時には,高温排気ガスを通過させて吸着層の温度を上げて短時間に吸着剤から炭酸ガスを脱離させる。
5.吸着層と熱交換層とは隔壁を挟んで隔壁に溶着された粗さの異なる多孔質金属を配置し,熱の授受をスムーズに進行させる。
6.一対の炭酸ガス吸着脱離室の下流には,燃料改質室を配置し,炭酸ガスの脱離が進行している側の炭酸ガス吸着脱離室に高温の排気ガスを流し,次いで,燃料改質通路に排気ガスを流して天然ガスを改質し,燃料改質通路では連続作用であるので,温度の変動がないようになる。
7.炭酸ガスを用いて天然ガスを改質させる第1改質室の後流に,水蒸気を用いて天然ガスを改質させる第2改質室を配置し,第2改質室には高温の水蒸気が導入される。
8.燃料改質室を出た高温排気ガスは,排気ガス中の炭酸ガスを吸着するため,他方の炭酸ガス吸着脱離室へ送り込まれ,吸着剤に炭酸ガスが吸着される。
9.高温排気ガス通路では,上流からの排気ガスが開閉バルブによって通路を切り換えられ,炭酸ガスの吸引,圧送をポンプによって行い,2つの炭酸ガス吸着脱離室に取り付けられた通路と開閉バルブの切り換えを上記作用に合わせて実施する仕組みになっている。
10.天然ガスの供給は,炭酸ガス側と水蒸気側の両方からエンジンの負荷条件によってその量を制御して実行する。
【0010】
【課題を解決するための手段】
この発明の目的は,上記の各条件を満たすものであり,例えば,エンジンに組み込んで天然ガスを改質するものであり,排気ガス中に含まれているCOをジルコニウム酸リチウム(LiZrO),ゼオライト等の粒子を用いて吸着脱離し,脱離されたCOを用いて排気ガスの熱エネルギを利用して天然ガス中のCHをCO,水蒸気によって改質する場合に,CO,水蒸気に適合した触媒の存在の下で,天然ガスをCOとHに熱分解して改質燃料に改質し,改質燃料を用いてエンジンを駆動する燃料改質装置及びそれを組み込んだエンジンシステムを提供することである。
【0011】
この発明は,天然ガスを排気ガスの熱エネルギーを用いて改質燃料に変換し,前記改質燃料をエンジンに供給して燃焼させるエンジンシステムにおいて,前記排気ガス中の炭酸ガスを低温時に吸着し且つ高温時に脱離する吸着剤をコーティングした多孔質金属を配置した低温排気ガス通路と多孔質金属が配置された高温排気ガス通路とを隔壁で区画した複数個の室群から成る一対のパッケージを構成する第1と第2の炭酸ガス吸着脱離室,前記炭酸ガス吸着脱離室の下流側に配置された前記排気ガス中の前記炭酸ガスを用いて多孔質金属にコーティングされた第1触媒の存在下で前記天然ガスと前記炭酸ガスとを反応させて前記天然ガスを前記改質燃料に変換する触媒室でなる改質通路と多孔質金属から成る排気ガス通路を隔壁で区画された複数個の室群から成る第1改質室,及び前記第1改質室の下流に配置された外部からの水蒸気を用いて多孔質金属にコーティングされた第2触媒の存在下で前記天然ガスと前記水蒸気とを反応させて前記天然ガスを前記改質燃料に変換する触媒層でなる改質通路と多孔質金属から成る排気ガス通路を隔壁で区画された複数個の室群から成る第2改質室が設けられていることを特徴とする燃料改質装置に関する。
【0012】
前記炭酸ガス吸着脱離室は,前記高温排気ガス通路と炭酸ガス吸着脱離通路を構成する前記低温排気ガス通路とが前記隔壁を介して交互に積層され,互いに通路が導通しないように分離されて前記室群を構成している。
【0013】
前記第1と第2の改質室は,前記炭酸ガス通路を構成する前記多孔質金属と前記触媒をコーティングした前記多孔質金属とは前記隔壁に密着溶着され,前記改質通路内の前記触媒はセルに収納されている。
【0014】
また,この燃料改質装置は,前記エンジンからの前記排気ガスが流れる排気管は2つの分岐管に分岐し,前記分岐管には開閉バルブがそれぞれ配設され,前記分岐管は前記炭酸ガス吸着脱離室の前記高温排気ガス通路側にそれぞれ接続され,前記炭酸ガス吸着脱離室の前記低温排気ガス通路側には前記第1改質室に連通するポンプと開閉バルブを備えた炭酸ガス抽出通路が設けられ,前記排気ガスは前記第2改質室の下流から流入して前記低温排気ガス通路を通って排出される。
【0015】
また,前記エンジンからの前記排気ガスは一方の前記炭酸ガス吸着脱離室の前記高温炭酸ガス通路に流入して熱エネルギーを前記炭酸ガス吸着脱離通路の前記低温排気ガス通路に与えて前記吸着剤に吸着している前記炭酸ガスを脱離させ,脱離した前記炭酸ガスを前記開閉バルブの開放と主に前記ポンプを駆動して前記炭酸ガス抽出通路を通じて前記第1改質室の前記改質通路に送り込み,また,前記第1改質室の前記排気ガス通路に流入した前記排気ガスは前記改質通路に前記熱エネルギーを与えて天然ガス供給通路から供給された天然ガスを前記炭酸ガスの存在下において改質する。
【0016】
前記第1改質室には,開閉バルブを備えた天然ガス供給通路が軸方向に流れる前記排気ガス通路と直交する方向に接続され,前記第2改質室には,開閉バルブを備えた水蒸気供給通路が軸方向に流れる前記排気ガス通路と直交する方向に接続され,各前記排気ガス通路は気密性が確保されるようにシールされている。
【0017】
前記第1改質室の前記排気ガス通路からの前記排気ガスは前記第2改質室の前記排気ガス通路に流入し,前記第1改質室の前記改質通路から前記第2改質室の前記改質通路に流入した改質燃料と未改質燃料は前記第2改質室の前記改質通路に水蒸気供給通路から供給された水蒸気の存在下において更に改質され,該改質燃料は前記エンジンに供給される。
【0018】
前記第2改質室の前記排気ガス通路から流出した前記排気ガスは他方の前記炭酸ガス吸着脱離室の前記低温排気ガス通路に流入し,前記低温排気ガス通路を流れる前記排気ガス中の炭酸ガスは前記吸着剤によって吸着され,前記炭酸ガスが吸着排除された前記排気ガスは水蒸気と熱交換器を通じて外部に排気又はEGRガスとして前記エンジンに供給される。
【0019】
また,この燃料改質装置は,一方の前記炭酸ガス吸着脱離室の前記炭酸ガス吸着脱離通路の前記多孔質金属に付着された前記吸着剤から炭酸ガスを脱離させる動作と他方の前記炭酸ガス吸着脱離室の前記炭酸ガス吸着脱離通路の前記多孔質金属に前記炭酸ガスを吸着させる動作とを交互に実行させるため,前記分岐管の開閉バルブを交互に切り換え作動し,前記エンジンからの前記排気ガスを他方の前記炭酸ガス吸着脱離室の前記高温排気ガス通路に送り込み,それによって一方の前記炭酸ガス吸着脱離室の前記低温排気ガス通路の前記多孔質金属に前記炭酸ガスを吸着させ,他方の前記炭酸ガス吸着脱離室の前記低温排気ガス通路の前記多孔質金属から前記炭酸ガスを脱離させることを所定時間毎に反復させる。
【0020】
前記炭酸ガス吸着脱離室は前記排気ガスの熱エネルギーが放熱しないように断熱層で遮蔽され,前記炭酸ガス吸着脱離室の前記炭酸ガス吸着脱離通路の前記多孔質金属に担持された前記吸着剤は前記多孔質金属の表面に接合されたジルコニウム酸リチウムの粒子であり,前記排気ガスの350℃〜500℃の低温時には前記排気ガス中の前記炭酸ガスを吸着し,前記排気ガスの700℃〜750℃の高温時には前記炭酸ガスを脱離する。
【0021】
前記天然ガスと前記炭酸ガスとの反応に寄与する前記第1触媒は,Pt,Ru,Rh,CeO,Niである。
【0022】
前記天然ガスと前記水蒸気との反応に寄与する前記第2触媒は,Ni,Pt,Ru,Rhである。
【0023】
また,この発明は,前記燃料改質装置はエンジンからの排気ガスは送り込まれる排気タービンの後流に配設され,前記エンジンからの前記排気ガスが前記排気タービンで仕事をした後に前記燃料改質装置に送り込まれ,前記排気ガスは前記燃料改質装置で炭酸ガスが吸着され,前記炭酸ガスが排除された排気ガスは熱交換器を通じて外部に排気されると共に一部はEGRとして前記エンジンに供給されることを特徴とするエンジンシステムに関する。
【0024】
天然ガスの一部は前記エンジンの副室に供給され,残部は前記燃料改質装置に送り込まれてHとCOとから成る改質燃料に改質され,前記改質燃料は前記エンジンの主室に送り込まれる。
【0025】
前記排気タービンはシャフトの一端に取り付けられ,前記シャフトの他端には蒸気タービンが取り付けられ,前記シャフトには発電機が配設され,前記蒸気タービンには前記燃料改質装置の後流に設けられた熱交換器で加熱された水蒸気の一部が送り込まれ,前記蒸気の残部は前記燃料改質装置へ送り込まれて前記天然ガスを改質する前記水蒸気として機能する。
【0026】
前記発電機で発電された電力は,前記エンジンにブーストを送り込むコンプレッサを駆動したり,前記エンジンの出力や補機を駆動する出力として消費されるものである。
【0027】
前記蒸気タービンで仕事をした前記水蒸気は復水器に送り込まれて水に変換され,前記水は別の熱交換器において前記エンジンのオイルを冷却し,前記オイルで加熱された前記水は前記燃料改質装置の後流の前記熱交換器に送り込まれて水蒸気に変換される。
【0028】
この燃料改質装置は,上記のように構成されているので,排気ガスをいずれか一方の炭酸ガス吸着脱離室へ送り込む作用が一対の開閉バルブの開閉を切り換えるのみであり,炭酸ガス吸着脱離室についてのシールが極めて有利であり,また,エンジンからの排気ガスをいずれか一方の開閉バルブを開放して一方の炭酸ガス吸着脱離室へ送り込んで吸着剤に吸着された炭酸ガスを脱離させ,脱離した炭酸ガスを改質室へ送り込み,炭酸ガスを天然ガスの改質に寄与させることができ,また,他方の開閉バルブを閉鎖して他方の炭酸ガス吸着脱離室に改質室で熱エネルギを放出して低温になった排気ガスが送り込まれ,排気ガス中の炭酸ガスが吸着剤で吸着され,炭酸ガスが除去された排気ガスは燃料改質装置の後流の熱交換器に送り込まれ,上記のこれらの一連の作動を連続して行うことができ,天然ガスを改質し,改質燃料をエンジンの駆動に使用することができる。また,このエンジンシステムは,上記のように構成され,上記の燃料改質装置を組み込んでいるので,天然ガス燃料を有効に利用でき,出力をアップでき,発電機で電力を有効に発電させ,トータルの熱効率を大幅にアップさせることができる。
【0029】
【発明の実施の形態】
以下,図面を参照して,この発明による燃料改質装置及びこれを組み込んだエンジンシステムの実施例を説明する。この燃料改質装置は,天然ガスを排気ガスの熱エネルギーを用いて改質燃料に変換し,改質燃料をエンジンに供給して燃焼させるエンジンシステムに組み込んで適用されるものである。
【0030】
この発明による燃料改質装置1は,特に,エンジン2から放出される排気ガス(EG)中に含まれる炭酸ガス(CO),及びエンジン2の外部から供給される水蒸気(HO)を用いて,炭酸ガス及び水蒸気に合致した触媒の存在下で天然ガス(CNG)と炭酸ガス及び水蒸気とを順次に反応させて天然ガスをHとCOの改質燃料に変換することを特徴とするものである。燃料改質装置1は,エンジン2に使用される天然ガスの主成分であるCHをHとCOとの改質燃料に改質して熱効率を向上させるものであり,構造が簡単であってシール性の良好で小形に構成することができる。しかも,このエンジンシステムは,燃料改質装置1を組み込んで,排気ガスが有する熱エネルギを有効に利用し,上記熱エネルギと排気ガス中に含まれるCOを捕捉して利用して天然ガスを改質した改質燃料を用いて熱効率を改善することができるものである。
【0031】
燃料改質装置1において,排気ガスからの炭酸ガスの吸着脱離する吸着剤73としては,例えば,低温排気ガス通路52内の多孔質金属88の表面にコーティングされたジルコニウム酸リチウム(LiZr)及び/又はゼオライト等を用いることができ,特に,ジルコニウム酸リチウムが有効である。また,天然ガスと炭酸ガスとの反応に寄与する触媒93(第1触媒)は,第1改質室22の天然ガス・炭酸ガス通路即ち改質通路57内の多孔質金属90の表面に分散付着された白金(Pt),ルテニウム(Ru),ロジウム(Rh),酸化セリウム(CeO),ニッケル(Ni)等の微粒子である。天然ガスと水蒸気との反応に寄与する触媒94(第2触媒)は,第2改質室23の天然ガス・水蒸気通路即ち改質通路59内の多孔質金属92の表面に分散付着されたニッケル(Ni),白金(Pt),ルテニウム(Ru),ロジウム(Rh)等の微粒子である。
【0032】
燃料改質装置1は,天然ガスの改質温度の高い順からCO,次いで水蒸気(HO)を用いて反応させ,改質率を大幅に向上させたものである。例えば,第1改質室22では,Pt,Ru,Niを触媒としてCOを用いて天然ガスの全体の改質率を最も悪い条件で反応したとして50%にする。第1改質室22では,炭酸ガス改質であるので,その上流の炭酸ガス吸着脱離室20,21ではCOを吸着させる吸着剤73が必要である。COの吸着では,種々のものが提案されているが,吸着剤73としてはゼオライト及び/又はジルコニウム酸リチウムが優れた特性を持っている。そこで,燃料改質装置1では,低温になった排気ガス中に含まれるCOを吸着剤73で反応吸着し,吸着されたCOを高温の排気ガスの熱エネルギで吸着剤73から離脱させ,離脱した炭酸ガスを改質室へ送り込んで天然ガスの改質に利用する。
ジルコニウム酸リチウムについて,化学式を示すと次のとおりである。
排気ガス温度が350℃〜500℃(例えば,300℃付近)では,排気ガス中の炭酸ガスを吸着する。
LiZrO+CO→ZrO+LiCO
また,排気ガス温度が700℃〜750℃(例えば,700℃付近)では,吸着剤に吸着された炭酸ガスが脱離される。
ZrO+LiCO→LiZrO+CO
即ち,排気ガス温度が300℃付近では,LiZrOがCOと反応し,酸化ジルコニウム炭酸リチウムとなり,排気ガス温度が700℃付近ではジルコニウム酸リチウムとCOになる。
【0033】
燃料改質装置1は,炭酸ガス吸着脱離室21(20)内の多孔質金属の表面に分散付着されたゼオライト及び/又はジルコニウム酸リチウムと排気ガス中の炭酸ガス(CO)を吸着反応させるために,炭酸ガス吸着脱離室21(20)の排気ガス通路52に温度の下がった低温排気ガスを第2改質室23から流入させる。炭酸ガス吸着脱離室21(20)では吸着剤73に排気ガス中の炭酸ガスが吸着される。他方の炭酸ガス吸着脱離室20(21)では高温の排気ガスが多孔質金属が充填された排気ガス通路51を通り,吸着剤73に吸着されたCOが吸着剤73から離脱する。
【0034】
図1を参照して,この発明によるエンジンシステムの一実施例について説明する。エンジン2から排出された排気ガスは,排気管76を通じて排気タービン3に送り込まれる。排気タービン3で仕事をした排気ガスは排気管26を通じて後述の燃料改質装置1へ送り込まれる。高温の排気ガスは,燃料改質装置1において排気ガス中の炭酸ガスが吸着されると共に,天然ガスを改質するため熱エネルギが消費される。燃料改質装置1で仕事をして炭酸ガスが除去された低温の排気ガスは,排気ガス通路47を通じて熱交換器6に送り込まれる。低温の排気ガスは,熱交換器6で水と熱交換され,更に温度を低下させて排気ガス通路77に排出され,切換バルブ12に切り換えによって外部に排気されるか,又はEGR通路78を通ってEGR装置14に送りこまれる。EGR装置14は,排気ガスの流量を制御して空気に混合し,次いで,空気とEGRガスとはブースト通路86を通じてエンジン2に供給される。
【0035】
天然ガスは,その一部が天然ガス供給源7から天然ガス供給通路79を通じてエンジン2の副室(図示せず)へ送り込まれ,副室での着火燃焼,特に着火に寄与する。また,天然ガスの大部分は天然ガス供給通路42を通って燃料改質装置1へ送り込まれ,天然ガスは炭酸ガス,次いで水蒸気と共に触媒93,94の存在下でHとCOの改質燃料に改質され,改質燃料供給通路46を通じてエンジン2の主室(図示せず)に送り込まれて着火燃焼する。この時,天然ガス供給通路42と改質燃料供給通路46とは熱交換器15を通り,天然ガスは,改質燃料の熱エネルギを供給されて温度上昇して燃料改質装置1へ供給される。
【0036】
排気タービン3は,シャフト19の一端に取り付けられ,シャフト19の他端には蒸気タービン5が取り付けられ,更に,シャフト19には発電機4が配設されている。蒸気タービン5には,燃料改質装置1の後流に設けられた熱交換器6で加熱された水蒸気の一部が送り込まれ,蒸気タービン5を駆動する。また,熱交換器6からの水蒸気の残部が燃料改質装置1へ送り込まれ,該水蒸気は天然ガスを改質する物質として機能する。発電機4で発電された電力は,エンジン2にブーストを送り込むコンプレッサ10を駆動したり,エンジン2,水ポンプ11,コンプレッサ10,補機等の出力13として消費される。コンプレッサ10は,発電機4で発電された電力で駆動されるモータ18によって駆動される。
【0037】
また,蒸気タービン5で仕事をした水蒸気は,蒸気通路80を通じて復水器8に送り込まれて水に変換され,水は熱交換器9においてエンジン2のオイルを冷却し,オイルで加熱された水は燃料改質装置1の後流の熱交換器6に送り込まれて水蒸気に変換される。エンジン2を冷却して加熱されたオイルは,オイル循環路84を通じて熱交換器9に送り込まれ,オイル自体は熱交換器9で冷却され,水ポンプ11によって水通路82を通じて送り込まれた水は加熱され,高温の水や蒸気に変換される。復水器8は,水供給源17からの水が水通路81を通じて供給され,該水によって蒸気タービン5から排出された蒸気/水を冷却する作用をする。復水器8で冷却された水は,水ポンプ11の駆動によって水通路82を通じて熱交換器9,次いで水・蒸気通路85を通じて熱交換器6へ供給され,熱交換器6で高温の水蒸気に変換される。熱交換器6で変換された水蒸気はその一部が水蒸気供給通路43を通じて燃料改質装置1へ送り込まれ,水蒸気の大部分は蒸気タービン5へ水蒸気通路83を通じて送り込まれる。即ち,蒸気タービン5,復水器8,熱交換器9,6は,一種のランキンサイクルを構成している。
【0038】
次に,図2〜図4を参照して,このエンジンシステムに組み込まれる燃料改質装置1を説明する。燃料改質装置1は,排気ガス流れの上流側に配置された排気ガス中の炭酸ガスを低温時に吸着し且つ高温時に脱離する吸着剤73をコーティングした多孔質金属が配置された隔壁32で区画した一対のパッケージを構成する第1と第2の炭酸ガス吸着脱離室20,21,炭酸ガス吸着脱離室20,21の下流側に配置された排気ガス中の炭酸ガスを用いて多孔質金属90にコーティングされた第1触媒93の存在下で天然ガスと炭酸ガスとを反応させて天然ガスを改質燃料に変換する第1改質室22,及び第1改質室22の下流に配置された外部からの水蒸気を用いて多孔質金属92にコーティングされた第2触媒94の存在下で天然ガスと水蒸気とを反応させて天然ガスを改質燃料に変換する第2改質室23を有している。
【0039】
エンジン2からの排気ガスが流れる排気管26は,2つの分岐管27,28に分岐し,分岐管27,28には開閉バルブ29,30がそれぞれ配設されている。分岐管27,28は,炭酸ガス吸着脱離室20,21にそれぞれ接続され,炭酸ガス吸着脱離室20,21は,ポンプ24,25を備えた炭酸ガス通路49,50と排気ガス通路31とを通じて第1改質室22に接続されている。炭酸ガス吸着脱離室20,21には,出口に設けられたバルブ69,70の開閉によって炭酸ガス通路49,50に排気ガスが流されるように構成されている。また,炭酸ガス通路49,50には,炭酸ガス導入バルブ67,68が設けられている。コントロールの指令で炭酸ガス導入バルブ67,68が開放してポンプ24,25が作動することによって,炭酸ガス吸着脱離室20,21から炭酸ガス通路49,50を通じて炭酸ガスが第1改質室22へ送り込まれる。
【0040】
炭酸ガス吸着脱離室20,21は,図3に示すように,複数個の室群から成るパッケージを構成し,多孔質金属87が室内に配設された複数の排気ガス通路51と,多孔質金属88が室内に配設された複数の炭酸ガス吸着脱離通路52とが隔壁55を介して交互に積層されている。図3では,遮蔽板が存在する通路には斜線無しで示し,ガスが通過する通路には斜線を付し,多孔質金属87,88及び多孔質金属87,88に付着した吸着剤73が剥き出しになっている触媒部入口74,75を示している。炭酸ガス吸着脱離室20,21は,構造的には全く同一のパッケージを構成しており,分岐管27,28から高温の排気ガスが炭酸ガス吸着脱離室20,21の高温排気ガス通路51に送り込まれるか,排気ガス通路33,34から低温の排気ガスが低温排気ガス通路52に送り込まれるかによって,炭酸ガスを吸着剤73に脱離するか又は吸着するかの差異が生じるだけである。炭酸ガス吸着脱離室20,21の高温排気ガス通路51にエンジン2からの高温の排気ガスを分岐管27,28を通じて送り込む場合には,開閉バルブ29,30を開放(図2では開閉バルブ29を開放)し,また,低温の排気ガスを排気ガス通路33,34を通じて低温排気ガス通路52に送り込む場合には,開閉バルブ29,30を閉鎖(図2では開閉バルブ29を閉鎖)する。
【0041】
第1と第2の改質室22,23は,図4に示すように,複数個の室群に構成されており,多孔質金属89〜92が室内にそれぞれ配設された複数の排気ガス通路56,58と触媒室でなる改質通路57,59とが隔壁60を介して交互に積層されている。また,触媒93,94は,改質通路57,59においてセルに収容されている。図4では,遮蔽板が存在してガスが通過できない領域には斜線無しで示し,ガスが通過する通路には斜線を付し,多孔質金属87〜92及び触媒93,94が収容された改質通路57,59に触媒部入口74,75が開口している。
【0042】
第1改質室22には,開閉バルブ44を備えた天然ガス供給通路42が軸方向に流れる排気ガス通路56と直交する方向に接続されている。また,第2改質室23には,開閉バルブ45を備えた水蒸気供給通路59が軸方向に流れる排気ガス通路58と直交する方向に接続されている。いずれの通路も互いに区画された多数の室群即ちセル群を構成して互いに気密性が確保できるようにシールされている。
【0043】
エンジン2からの排気ガスは,例えば,図2に示すように,開閉バルブ29が開放している一方の炭酸ガス吸着脱離室20の高温の炭酸ガス通路51に流入して熱エネルギーを炭酸ガス吸着脱離通路52に与えて吸着剤73に吸着している炭酸ガスを脱離させ,脱離した炭酸ガスが第1改質室22の改質通路57に送り込まれる。また,第1改質室22の排気ガス通路56に流入した排気ガスは天然ガス・炭酸ガス通路即ち改質通路57に熱エネルギーを与えて天然ガス供給通路42から供給された天然ガスを炭酸ガスの存在下において改質する。
【0044】
第1改質室22の排気ガス通路56から流出した排気ガスは,第2改質室23の排気ガス通路58に流入し,第1改質室22から流出した改質燃料と未改質燃料とは第2改質室23の水蒸気・炭酸ガス通路即ち改質通路59に流入し,第2改質室23の排気ガス通路57に流入した排気ガスは改質通路59に熱エネルギーを与えて未改質燃料を第2改質室23の改質通路59に水蒸気供給通路43から供給された水蒸気の存在下において改質され,改質燃料をエンジン2に供給するように構成されている。
【0045】
第2改質室23の排気ガス通路57から流出した低温になった排気ガスは,他方の炭酸ガス吸着脱離室21の低温の排気ガス通路52に流入する。熱エネルギーを放出して低温になった排気ガスは炭酸ガスが触媒の存在下において吸着剤73によって吸着され,炭酸ガスが吸着排除された排気ガスは熱交換器6を通じて外部に排気されるか又はEGR通路78へ送り込まれてエンジン2にEGRガスとして供給される。
【0046】
一方の炭酸ガス吸着脱離室20の炭酸ガス吸着脱離通路即ち高温排気ガス通路52の多孔質金属88から炭酸ガスが脱離し,他方の炭酸ガス吸着脱離室21の炭酸ガス吸着脱離通路52の多孔質金属88に炭酸ガスを吸着させる。ここで,分岐管27,28の開閉バルブ29,30を切り換え,エンジン2からの排気ガスを他方の炭酸ガス吸着脱離室21の排気ガス通路51に送り込み,他方の炭酸ガス吸着脱離室21の炭酸ガス吸着脱離通路即ち低温排気ガス通路52の多孔質金属88から炭酸ガスを脱離させ,一方の炭酸ガス吸着脱離室20に低温の排気ガスを導入して炭酸ガス吸着脱離通路52の多孔質金属88に炭酸ガスを吸着させるように作動する。
【0047】
炭酸ガス吸着脱離室20,21は,排気ガスの熱エネルギーが放熱しないように断熱層で遮蔽され,炭酸ガス吸着脱離室20,21の炭酸ガス吸着脱離通路52の多孔質金属88に担持された吸着剤73は,多孔質金属88の表面に接合されたジルコニウム酸リチウムの粒子であり,排気ガスの350℃〜500℃の低温時には排気ガス中の炭酸ガスを吸着し,排気ガスの700℃〜750℃の高温時には炭酸ガスを脱離するようになっている。
【0048】
図5には,燃料改質装置1の具体的な実施例が示されている。図5では,図2に示した燃料改質装置1と基本的には同一の構成であるので,同一部品には同一の符号を付し,重複する説明は省略する。燃料改質装置1は,全体的には,外側ハウジング64内に収容されている。開閉バルブ29,30は,コントローラの指令でアクチュエータ65,66によってそれぞれ開閉作動されるように構成されている。また,炭酸ガス導入バルブ67,68は,コントローラの指令でソレノイド71,72によってそれぞれ開閉作動されるように構成されている。
【0049】
燃料改質装置1については,図2〜図5に示すように,ガスの流れは構成されている。低温排気ガスは,排気ガス通路33,34から炭酸ガス吸着脱離室20,21の側方に設けられた集合部54を通じて炭酸ガス吸着脱離室20,21の低温排気ガス通路52に供給される。炭酸ガスが除去された排気ガスは,炭酸ガス吸着脱離室20,21の低温排気ガス通路52から炭酸ガス吸着脱離室20,21の側方に設けられた集合部53を通じて排気ガス通路35,36へ排出される。また,天然ガス供給通路42は,第1改質室22の側方に設けられた集合部61に接続され,天然ガスは天然ガス供給通路42から集合部61を通じて積層された改質通路57へ導入される。水蒸気供給通路43は,第2改質室23の側方に設けられた集合部62に接続され,水蒸気は水蒸気供給通路43から集合部62を通じて積層された改質通路59へ導入される。更に,改質燃料は,第2改質室23の改質通路59から第2改質室23の側方に設けられた集合部63を通じて改質燃料供給通路46へ送りだされる。
【0050】
【発明の効果】
この発明による燃料改質装置及びエンジンシステムは,上記のように構成されているので,燃料改質装置そのものが極めてコンパクトに構成され,炭酸ガス吸着脱離室が回転等の移動をしない構造であるので,シール性を向上させることができる。また,天然ガスの主成分であるCHは炭酸ガス,次いで水蒸気の存在によって触媒の助けでCOとHとの改質燃料に極めて効率的に改質される。また,吸着剤としては,特に,ジルコニウム酸リチウムの粒子を多孔質金属の表面に付着させるだけで,低温の排気ガス中から炭酸ガスを吸着でき,また,高温の排気ガスから熱エネルギを授受するのみで,炭酸ガスを脱離させることができる。また,このエンジンシステムでは,上記の燃料改質装置を組み込んでいるので,天然ガスが改質された改質燃料を,例えば,主室に供給してエンジンで燃焼されて熱効率を向上させることができ,また,天然ガスを副室に供給することによって着火燃焼がスムーズに実行することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明によるエンジンシステムの一実施例を示す概略説明図である。
【図2】図1のエンジンシステムに組み込まれる燃料改質装置を示す概略説明図である。
【図3】図2の燃料改質装置における炭酸ガス吸着脱離室を示す概略斜視図である。
【図4】図2の燃料改質装置における第1改質室と第2改質室を示す概略斜視図である。
【図5】この発明による燃料改質装置の具体的な実施例を示す概略説明図である。
【符号の説明】
1 燃料改質装置
2 エンジン
3 排気タービン
4 発電機
5 蒸気タービン
6 熱交換器(燃料改質装置の後流)
7 天然ガス供給源
8 復水器
9,15 熱交換器
10 コンプレッサ
11,24,25 ポンプ
12 切換えバルブ(排気ガス用)
13 出力(補機等)
14 EGR装置
16,17 水供給源
18 モータ
19 シャフト
20,21 炭酸ガス吸着脱離室
22 第1改質室
23 第2改質室
26 排気管
27,28 分岐管
29,30,38,39,40,41,44,45 開閉バルブ
31,33,34,35,36,37,47 排気ガス通路
32,55,60 隔壁
42 天然ガス供給通路
43 水蒸気供給通路
46 改質燃料供給通路(エンジンへ)
48 仕切板
49,50 炭酸ガス供給通路
51 高温排気ガス通路(炭酸ガス吸着脱離室内)
52 低温排気ガス通路(炭酸ガス吸着脱離室内)
56 排気ガス通路(第1改質室内の高温排気ガス用)
57 天然ガス・炭酸ガス通路(改質通路)
58 排気ガス通路(第2改質室内の高温排気ガス用)
59 水蒸気・炭酸ガス通路(改質通路)
64 外側ハウジング
67,68 炭酸ガス導入バルブ
69,70 排気ガス用バルブ
73 吸着剤
74,75 触媒部入口
87,88,89,90,91,92 多孔質金属
93,94 触媒

Claims (17)

  1. 天然ガスを排気ガスの熱エネルギーを用いて改質燃料に変換し,前記改質燃料をエンジンに供給して燃焼させるエンジンシステムにおいて,前記排気ガス中の炭酸ガスを低温時に吸着し且つ高温時に脱離する吸着剤をコーティングした多孔質金属を配置した低温排気ガス通路と多孔質金属が配置された高温排気ガス通路とを隔壁で区画した複数個の室群から成る一対のパッケージを構成する第1と第2の炭酸ガス吸着脱離室,前記炭酸ガス吸着脱離室の下流側に配置された前記排気ガス中の前記炭酸ガスを用いて多孔質金属にコーティングされた第1触媒の存在下で前記天然ガスと前記炭酸ガスとを反応させて前記天然ガスを前記改質燃料に変換する触媒室でなる改質通路と多孔質金属から成る排気ガス通路を隔壁で区画された複数個の室群から成る第1改質室,及び前記第1改質室の下流に配置された外部からの水蒸気を用いて多孔質金属にコーティングされた第2触媒の存在下で前記天然ガスと前記水蒸気とを反応させて前記天然ガスを前記改質燃料に変換する触媒層でなる改質通路と多孔質金属から成る排気ガス通路を隔壁で区画された複数個の室群から成る第2改質室が設けられていることを特徴とする燃料改質装置。
  2. 前記炭酸ガス吸着脱離室は,前記高温排気ガス通路と炭酸ガス吸着脱離通路を構成する前記低温排気ガス通路とが前記隔壁を介して交互に積層され,互いに通路が導通しないように分離されて前記室群を構成していることを特徴とする請求項1に記載の燃料改質装置。
  3. 前記第1と第2の改質室は,前記炭酸ガス通路を構成する前記多孔質金属と前記触媒をコーティングした前記多孔質金属とは前記隔壁に密着溶着され,前記改質通路内の前記触媒はセルに収納されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の燃料改質装置。
  4. 前記エンジンからの前記排気ガスが流れる排気管は2つの分岐管に分岐し,前記分岐管には開閉バルブがそれぞれ配設され,前記分岐管は前記炭酸ガス吸着脱離室の前記高温排気ガス通路側にそれぞれ接続され,前記炭酸ガス吸着脱離室の前記低温排気ガス通路側には前記第1改質室に連通するポンプと開閉バルブを備えた炭酸ガス抽出通路が設けられ,前記排気ガスは前記第2改質室の下流から流入して前記低温排気ガス通路を通って排出されることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の燃料改質装置。
  5. 前記エンジンからの前記排気ガスは一方の前記炭酸ガス吸着脱離室の前記高温炭酸ガス通路に流入して熱エネルギーを前記炭酸ガス吸着脱離通路の前記低温排気ガス通路に与えて前記吸着剤に吸着している前記炭酸ガスを脱離させ,脱離した前記炭酸ガスを前記開閉バルブの開放と主に前記ポンプを駆動して前記炭酸ガス抽出通路を通じて前記第1改質室の前記改質通路に送り込み,また,前記第1改質室の前記排気ガス通路に流入した前記排気ガスは前記改質通路に前記熱エネルギーを与えて天然ガス供給通路から供給された天然ガスを前記炭酸ガスの存在下において改質することを特徴とする請求項4に記載の燃料改質装置。
  6. 前記第1改質室には,開閉バルブを備えた天然ガス供給通路が軸方向に流れる前記排気ガス通路と直交する方向に接続され,前記第2改質室には,開閉バルブを備えた水蒸気供給通路が軸方向に流れる前記排気ガス通路と直交する方向に接続され,各前記排気ガス通路は気密性が確保されるようにシールされていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の燃料改質装置。
  7. 前記第1改質室の前記排気ガス通路からの前記排気ガスは前記第2改質室の前記排気ガス通路に流入し,前記第1改質室の前記改質通路から前記第2改質室の前記改質通路に流入した改質燃料と未改質燃料は前記第2改質室の前記改質通路に水蒸気供給通路から供給された水蒸気の存在下において更に改質され,該改質燃料は前記エンジンに供給されることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の燃料改質装置。
  8. 前記第2改質室の前記排気ガス通路から流出した前記排気ガスは他方の前記炭酸ガス吸着脱離室の前記低温排気ガス通路に流入し,前記低温排気ガス通路を流れる前記排気ガス中の炭酸ガスは前記吸着剤によって吸着され,前記炭酸ガスが吸着排除された前記排気ガスは水蒸気と熱交換器を通じて外部に排気又はEGRガスとして前記エンジンに供給されることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載のに記載の燃料改質装置。
  9. 一方の前記炭酸ガス吸着脱離室の前記炭酸ガス吸着脱離通路の前記多孔質金属に付着された前記吸着剤から炭酸ガスを脱離させる動作と他方の前記炭酸ガス吸着脱離室の前記炭酸ガス吸着脱離通路の前記多孔質金属に前記炭酸ガスを吸着させる動作とを交互に実行させるため,前記分岐管の開閉バルブを交互に切り換え作動し,前記エンジンからの前記排気ガスを他方の前記炭酸ガス吸着脱離室の前記高温排気ガス通路に送り込み,それによって一方の前記炭酸ガス吸着脱離室の前記低温排気ガス通路の前記多孔質金属に前記炭酸ガスを吸着させ,他方の前記炭酸ガス吸着脱離室の前記低温排気ガス通路の前記多孔質金属から前記炭酸ガスを脱離させることを所定時間毎に反復させることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の燃料改質装置。
  10. 前記炭酸ガス吸着脱離室は前記排気ガスの熱エネルギーが放熱しないように断熱層で遮蔽され,前記炭酸ガス吸着脱離室の前記炭酸ガス吸着脱離通路の前記多孔質金属に担持された前記吸着剤は前記多孔質金属の表面に接合されたジルコニウム酸リチウムの粒子であり,前記排気ガスの350℃〜500℃の低温時には前記排気ガス中の前記炭酸ガスを吸着し,前記排気ガスの700℃〜750℃の高温時には前記炭酸ガスを脱離することを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の燃料改質装置。
  11. 前記天然ガスと前記炭酸ガスとの反応に寄与する前記第1触媒は,Pt,Ru,Rh,CeO,Niであることを特徴とする請求項1〜10のいずれか1項に記載の燃料改質装置。
  12. 前記天然ガスと前記水蒸気との反応に寄与する前記第2触媒は,Ni,Pt,Ru,Rhであることを特徴とする請求項1〜11のいずれか1項に記載の燃料改質装置。
  13. 請求項1〜12のいずれか1項に記載の前記燃料改質装置はエンジンからの排気ガスは送り込まれる排気タービンの後流に配設され,前記エンジンからの前記排気ガスが前記排気タービンで仕事をした後に前記燃料改質装置に送り込まれ,前記排気ガスは前記燃料改質装置で炭酸ガスが吸着され,前記炭酸ガスが排除された排気ガスは熱交換器を通じて外部に排気されると共に一部はEGRとして前記エンジンに供給されることを特徴とするエンジンシステム。
  14. 天然ガスの一部は前記エンジンの副室に供給され,残部は前記燃料改質装置に送り込まれてHとCOとから成る改質燃料に改質され,前記改質燃料は前記エンジンの主室に送り込まれることを特徴とする請求項13に記載のエンジンシステム。
  15. 前記排気タービンはシャフトの一端に取り付けられ,前記シャフトの他端には蒸気タービンが取り付けられ,前記シャフトには発電機が配設され,前記蒸気タービンには前記燃料改質装置の後流に設けられた熱交換器で加熱された水蒸気の一部が送り込まれ,前記蒸気の残部は前記燃料改質装置へ送り込まれて前記天然ガスを改質する前記水蒸気として機能することを特徴とする請求項13又は14に記載のエンジンシステム。
  16. 前記発電機で発電された電力は,前記エンジンにブーストを送り込むコンプレッサを駆動したり,前記エンジンの出力や補機を駆動する出力として消費されることを特徴とする請求項15に記載のエンジンシステム。
  17. 前記蒸気タービンで仕事をした前記水蒸気は復水器に送り込まれて水に変換され,前記水は別の熱交換器において前記エンジンのオイルを冷却し,前記オイルで加熱された前記水は前記燃料改質装置の後流の前記熱交換器に送り込まれて水蒸気に変換されることを特徴とする請求項15又は16に記載のエンジンシステム。
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