JP3620239B2 - 天然ガス改質装置における酸素除去装置及び該装置を備えたガスエンジン - Google Patents

天然ガス改質装置における酸素除去装置及び該装置を備えたガスエンジン Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は,ガス中からOを除去する天然ガス改質装置における酸素除去装置,及び該酸素除去装置によって排気ガスから分離された分離ガスからOを除去したCOを用いて天然ガス燃料を排気ガスの熱エネルギによって改質する天然ガス改質装置を備えたガスエンジンに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来,天然ガスを主燃料とするガスエンジンは,コージェネレーションシステムとして開発が進められている。コージェネレーションシステムは,動力を発電機で電気エネルギとして取り出し,排気ガスエネルギが有する熱を熱交換器で水を加熱して温水にし,該温水を給湯用として利用している。従来,天然ガスを燃料とするエンジンとして,例えば,特開平6−108865号公報,特開平6−101495号公報に開示されたものがある。
【0003】
特開平6−108865号公報に開示されたコージェネレーション型ガスエンジンは,排気ガスをターボチャージャ,エネルギ回収装置及び蒸気発生装置を通して排気ガス温度を低下させ,低温の排気ガスをEGRに使用してNOを低減するものであり,遮熱型ガスエンジンからの排気ガスによってターボチャージャを駆動し,該ターボチャージャからの排気ガスで発電機を備えたエネルギ回収装置を駆動する。該コージェネレーション型ガスエンジンは,エネルギ回収装置からの排気ガスを熱交換器の蒸気発生装置に送り込み,蒸気発生装置で水を蒸気に変換し,該蒸気で蒸気タービンを駆動して電気エネルギとして回収する。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
天然ガスを燃料とするガスエンジンでは,燃焼室をセラミックス等の材料で遮熱構造に構成すると,空気の圧縮温度が天然ガスの自己着火温度以上に上昇するので,点火装置が不要になり,また,空気を導入する主室の他に,燃料を導入する副室を設け,主室と副室との間に制御弁を設け,ディーゼルサイクルによる作動によって高い効率のコージェネレーション用のエンジンを提供することができる。ガスエンジンの排気ガスは,燃焼室を遮熱構造に構成した場合に,850℃以上の高温になる。高温の排気ガスから熱エネルギを回収して,エンジンの熱効率を向上させることができる。
【0005】
ところで,天然ガスは,その主成分がメタンCHであることが知られている。燃料のCHは,発熱量が大きく,自然界に多く存在するので,将来の石油代替燃料として期待されている。また,CHをCOの存在のもとで触媒を介して熱分解させると,CHはCO(一酸化炭素)とH(水素)に変換されるが,COとHの合計の発熱量は,CHの発熱量以上のもの,即ち,1.38倍になる。そこで,遮熱型ガスエンジンの高温の排気ガスの熱エネルギを,CHの熱分解に利用して天然ガスを改質ガスに改質することによって,改質ガスの発熱を増加させ,エンジンの熱効率を向上させ,省資源にすると共に,COの排出を抑制することができる。
【0006】
しかしながら,天然ガス中のCHをCOの存在によって排気ガスの熱エネルギによってHとCOに改質する天然ガス改質装置において,排気ガスから分離されたCOを使用する場合に,COを含む分離ガス中にOが含まれていると,天然ガス改質装置における触媒装置内でOとHやCOが反応を起こし,場合によっては反応爆発するという危険性がある。従って,天然ガス改質装置に送り込む排気ガスから分離されたCOを含む分離ガス中に含まれるOを可及的に低減する必要がある。
【0007】
一般に,ディーゼルエンジンから排出される排気ガスは,空気過剰率のため,Nが75%,COが15%及びOが10%程度であるが,必ずしもこのような割合ではなく,Oが多く含まれることがある。また,排気ガスをCO分離器のぶCO分離膜を通すことによって,排気ガスから分離されたCOを含む分離ガスは,COが90%,Nが8%及びOが2%程度になり,通常であれば,このような成分の分離ガスを天然ガス改質装置に送り込んでも,それほど問題にならないが,場合によっては,排気ガス中の成分割合,CO分離膜の異常等によって,Oが5%以上も含まれる現象が発生することがある。そのため,5%以上のOを含む分離ガスを天然ガス改質装置に送り込むと,天然ガス改質装置で生成したHとCOとが分離ガス中のOと反応爆発し,非常に危険な状態が発生する。
【0008】
【課題を解決するための手段】
この発明の目的は,上記の課題を解決することであり,Cを600℃程度に加熱しておけば,OがCを流れればCとOが反応してCO,COになるという現象を利用して,エンジンから排出される排気ガスから分離された分離ガス中のOをカーボンと反応させてCO,COに変換してOを除去する天然ガス改質装置における酸素除去装置を提供すると共に,この酸素除去装置を用いてOを除去したCOを含む分離ガスを天然ガス改質装置に送り込んで,天然ガスの主成分のCHを排気ガス熱エネルギを利用してCOとHとに改質し,熱効率を向上させると共に,排気ガス中のCOを改質に利用してCOの放出を低減すると共に,NOの発生を低減したガスエンジンを提供することである。
【0009】
この発明は,エンジンから排出される排気ガスが流れる排気通路に設けられたCO分離器によって前記排気ガスから分離されたCOを用いて天然ガス中のCHを改質ガスに変換する天然ガス改質装置において,前記CO分離器を通過したCOを含む分離ガスが流れるCO通路に配置され且つ前記分離ガスが流入する入口と流出する出口を有するケーシング,前記ケーシング内に非導電性ガスケットを介して支持され且つ前記分離ガスが通過する多孔質カーボン部材,及び前記分離ガス中のOを前記多孔質カーボン部材のカーボンと反応させてCO,COに変換させるため前記多孔質カーボン部材を通電加熱する電源装置,から成る酸素除去装置に関する。
【0010】
この酸素除去装置は,前記多孔質カーボン部材の電気抵抗値の検出によって前記多孔質カーボン部材中のカーボン量を検出し,前記多孔質カーボン部材の前記カーボン量が所定量以下に低減することに応じて警報を発するものである。
【0011】
この酸素除去装置は,上記のように構成されているので,電源装置によって多孔質カーボン部材を600℃位に加熱することにより,分離ガス中のOが多孔質カーボン部材を通過する際にカーボンと反応してCO,COに変換され,分離ガス中からOが除去できる。また,分離ガス中にOが含めれていない場合には,分離ガスは多孔質カーボン部材を単に通過するだけであり,なんら支障はない。また,カーボンは電気の良導体であるので,多孔質カーボン部材を断熱されたケーシング内で通電加熱すると,カーボンがOと反応する温度に容易に上昇できる。しかも,カーボンは,多孔構造に容易に形成できるので,カーボンの多孔体に分離ガスを通過させると,分離ガスに含まれるOは加熱されたカーボンと極めて効果的に反応し,CO,COのガスに変化する。また,多孔質カーボン部材のカーボンは,Oとの反応によって消費されて低減するが,カーボンが所定量以下になれば,多孔質カーボン部材或いは酸素除去装置を交換すればよい。
【0012】
又は,この発明は,CHを主成分とする天然ガスを収容したガス燃料供給源,前記ガス燃料供給源から供給されるCHをエンジンから排出される排気ガスによって熱分解して改質ガスに変換させる排気通路に配置された天然ガス改質装置,前記改質ガスを前記エンジンへ供給する改質ガス供給装置,前記天然ガス改質装置の後流の前記排気通路に設けられたターボチャージャ,前記ターボチャージャの後流の前記排気通路に設けられた熱交換器を備えたランキンサイクル,前記ランキンサイクルの後流の前記排気通路に設けられたCO分離器,及び前記排気ガスから分離されたCOを含む分離ガスを前記天然ガス改質装置に供給するCO通路に配置された請求項1に記載の酸素除去装置,から成るガスエンジンに関する。
【0013】
また,前記ランキンサイクルは,前記排気通路に配置された前記第1熱交換器,前記第1熱交換器で発生した水蒸気によって駆動される蒸気タービン,前記蒸気タービンから排出された水蒸気を水に変換するコンデンサ,前記第1熱交換器の後流の前記排気通路に配置され且つ前記コンデンサからの水を水蒸気に変換する第2熱交換器から構成されている。
【0014】
前記CO分離器は,アルミナ,シリカ,ゼオライト系の多孔質セラミックスから成る分離膜で構成されている。
【0015】
前記天然ガス改質装置は,触媒としてNi又はPtを使用してCHとCOとを反応させてCOとHに熱分解することから成る。また,CHの熱分解に寄与しなかったCOは,エンジンへ改質ガスと共に供給される。エンジンには,CH,CO,H,COの混合ガスが副室に導入されるため,制御弁が開放して前記副室の混合ガスが,主室の圧縮空気と混合して燃焼する時,COが存在することによるNOの発生が抑制され,NOの発生を100ppm以下に抑えることができる。
【0016】
この天然ガス改質装置を備えたガスエンジンは,上記のように構成したので,天然ガスの主成分のCHにCOを混合して触媒の助けによって排気ガスの熱エネルギで熱分解させ,改質ガスCOとHに変換させるので,発熱量を約3.8割程度アップさせることができ,エンジンの熱効率を向上させることができる。CHの熱分解反応は,NiやPt等の触媒上にCHとCOの混合ガスを通し,約800℃以上に加熱すると,熱分解が発生する反応であり,COは一酸化炭素へ分解し,CHはCOとHに分解する。
【0017】
通常のエンジンを駆動すると.エンジンが空気中のOを少なくとも半分消費するので,エンジンから排出される排気ガスに含まれるOは10%程度である。エンジンの排気通路に配置されたCO分離器によって排気ガス中からCOを分離した場合に,COを含む分離ガスには,1%程度のOが含まれている可能性がある。1%程度の濃度のOが含まれた分離ガスを,天然ガス改質装置に送り込んだ場合には,触媒での爆発は発生しないが,5%程度の濃度のOが含まれたCOの分離ガスを,天然ガス改質装置に送り込んだ場合には,OとHやCOとが反応して爆発が発生する非常に危険な状態になる。
【0018】
この発明によるガスエンジンは,CO通路に酸素除去装置を設けているので,多孔質カーボン部材のカーボンと分離ガスに含まれるOとが酸化反応をして分離ガス中のO濃度が低減されて約1%以下の濃度になるので,天然ガス改質装置での爆発が発生することがない。しかも,酸素除去装置は,分離ガス中にOが含まれている場合には,多孔質カーボン部材のカーボン量が減少するので,多孔質カーボン部材の電気抵抗値が増大し,H,COとOとが反応して危険状態になることを警報することができる。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下,図面を参照して,この発明による天然ガス改質装置における酸素除去装置及び該装置を備えたガスエンジンの実施例を説明する。図1はこの発明による酸素除去装置の一実施例を示す断面図,図2は図1の酸素除去装置を組み込んだ天然ガス改質装置を備えたガスエンジンの一実施例を示す説明図,図3は図2のガスエンジンに組み込まれたターボチャージャを示す説明図,及び図4は図2のガスエンジンに組み込まれた蒸気タービンを示す説明図である。
【0020】
この発明による酸素除去装置23は,図2に示すように,エンジン1から排出される排気ガスが流れる排気通路8に設けられたCO分離器7によって排気ガスから分離されたCOを用いて天然ガス中のCHを改質ガスに変換する天然ガス改質装置2に適用するため,CO分離器7と天然ガス改質装置2とを連通するCO通路22に組み込まれている。
【0021】
酸素除去装置23は,主として,CO分離器7を通過したCOを含む分離ガスが流れるCO通路22に配置され且つ分離ガスが流入する入口45と分離ガスが流出する出口46を有するケーシング44,ケーシング44内に非導電性ガスケット47を介して支持され且つ分離ガスが通過する多孔質カーボン部材48,及び分離ガス中のOを多孔質カーボン部材48のカーボンと反応させてCO,COに変換させるため多孔質カーボン部材48を加熱する電源装置49から構成されている。電源装置49は,端子51を通じて多孔質カーボン部材48を通電加熱するように構成されている。また,多孔質カーボン部材48をケーシング44内に密封状態に配置するため,シール部材52が設けられている。
【0022】
酸素除去装置23は,電源装置49によって通電加熱された多孔質カーボン部材48に,排気ガスから分離されたCOを含む分離ガスが流されることによって,多孔質カーボン部材48のカーボンと分離ガスに含まれるOとが反応し,CO,COに変化し,それに応じて多孔質カーボン部材48のカーボン量が低減する。酸素除去装置23では,多孔質カーボン部材48に電源装置49によって通電加熱されるが,カーボン量に応じて電気抵抗値が変化する。そこで,コントローラ50は,多孔質カーボン部材48の電気抵抗値をセンサによって検出し,その電気抵抗値から多孔質カーボン部材48中のカーボン量を判定し,多孔質カーボン部材48のカーボン量が所定量以下に低減したことに応じて警報手段24で警報を発するように構成されている。
【0023】
次に,図2,図3及び図4を参照して,この発明による酸素除去装置を組み込んだ天然ガス改質装置を備えたガスエンジンを説明する。
【0024】
このガスエンジンは,CHを主成分とする天然ガスを燃料とし,例えば,コージェネレーションシステムに適用でき,シリンダに形成された主室1Aと,主室1Aに連絡口を通じて連通するシリンダヘッド30に形成した副室1Bとから副室式ガスエンジンに構成されている。ガスエンジン1は,出力軸にエンジン回転力を電力に変換する発電機53が設けられており,燃焼室の主室1Aからの排気ガスを排出するため排気マニホルド39と,吸気通路10を通じて主室1Aへ吸気を供給するため吸気マニホルド40を備えている。吸気通路10からの吸入空気は吸気マニホルド40を通じて主室1Aへ供給され,主室1Aからの排気ガスは排気マニホルド39から排気通路8へ排出される。副室1Bへ供給される天然ガスを改質した改質ガスは,燃料加圧ポンプ13の作動によって改質ガス供給路9を通じて副室1Bへ供給される。
【0025】
ガスエンジン1における主室1Aと副室1Bは,セラミック部材,遮熱層等によって遮熱構造に構成されている。副室1Bは制御弁31による連絡口の開放によって主室1Aに連通するように構成されている。主室1Aには,ターボチャージャ3のコンプレッサ16からの圧縮空気が吸気通路10を通じて供給され,副室1Bには,燃料弁32による燃料供給口の開放によって改質ガス供給路9から副室1Bへ改質ガスが供給される。
【0026】
ガスエンジン1は,主室1Aから排気通路8を通じて排出される排気ガスの熱エネルギによって天然ガスのCHをCOの存在によって改質ガスに変換する天然ガス改質装置2が排気通路8に設けられている。天然ガス改質装置2の後流の排気通路8には,排気ガスで駆動されるターボチャージャ3が設けられている。ガスエンジン1は,天然ガス燃料を収容したガス燃料供給源11,改質ガスを燃焼室の副室1Bへ供給する改質ガス供給装置を構成する燃料加圧ポンプ13,ターボチャージャ3の後流に設けられたランキンサイクル,及びランキンサイクルの後流に設けられ且つ排気ガスからCOを分離するCO分離膜と分離されたCOを天然ガス改質装置2に供給する供給ポンプとから成るCO分離器7を有している。ランキンサイクルは,ターボチャージャ3の後流の排気通路8Aに設けられた第1熱交換器4,第1熱交換器4で発生した水蒸気によって駆動される蒸気タービン5,蒸気タービン5から排出された水蒸気を水に変換するコンデンサ14,及び第1熱交換器4の後流の排気通路8に配置され且つコンデンサ14からの水を水蒸気に変換する第2熱交換器6から構成されている。第2熱交換器6で発生した水蒸気は,第1熱交換器4に送り込まれ,排気ガスの熱エネルギによって更に高温の水蒸気に熱交換される。ガスエンジン1では,排気ガスの熱エネルギを天然ガス改質装置2で熱分解に作用させた後に,該熱エネルギをターボチャージャ3,第1熱交換器4及び第2熱交換器6によって回収するように構成されている。
【0027】
ガスエンジン1では,CO分離器7から大気に放出される排気ガスは,COが少なくNガス等であるので,環境悪化となる大気汚染になることがない。天然ガス改質装置2は,排気マニホルド39の集合部に連通する排気通路8に配置されている。ガスエンジン1における主室1Aと副室1Bは,セラミック部材及び遮熱層によって遮熱構造に構成されているので,主室1Aから排気マニホルド39を通じて排出される排気ガスは約900℃〜800℃の高温ガスであり,CHを熱分解して改質するのに十分に高温である。
【0028】
天然ガス改質装置2は,例えば,エンジン1から排出された排気ガスが流れる排気ガスパイプ,及び前記排気ガスパイプの外側に配置され且つガス燃料供給源11からガス燃料通路34を通じて供給されるCHを主成分とする天然ガス燃料が流れるガス燃料パイプから構成されている。前記排気ガスパイプ内には,排気ガス通路を形成するハニカム又は通路孔を備えた多孔質から成る排気ガス通路体が配置されている。また,前記ガス燃料パイプ内には,ガス燃料通路を形成する多孔質セラミックスから成る多孔質部材が配置されている。前記多孔質部材の表面には,CHとCOとを排気ガスが有する熱エネルギによって熱分解させてCOとHの改質ガスに変換させる作用を有する触媒が被覆されている。触媒は,Ni又はPtから構成されている。更に,天然ガス改質装置2を遮熱構造に構成するため,前記ガス燃料パイプの外側には,セラミック不織布から成る断熱材が配置されている。
【0029】
主室1Aからの高温の排気ガスが天然ガス改質装置2の排気ガス通路を流れることによって,NiやPtの触媒が充填されているガス燃料通路が加熱される。そこで,約800℃以上の高温にされたガス燃料通路を流れるCHとCOとの混合ガスが触媒に接触し,CHはCOとHに熱分解し,COはCOに熱分解され,COとHとの改質ガスに変換される。次いで,天然ガスが変換された改質ガスは,燃料加圧ポンプ13によって改質ガス供給路9を通じて吸気マニホルド40からそれぞれの気筒の副室1Bへ供給される。
【0030】
ターボチャージャ3は,図3に示すように,排気ガスによって駆動されるタービン15,タービン15にシャフト18によって連結され且つタービン15によって駆動されるコンプレッサ16,及びシャフト18に対して設けた交流機即ち発電機17から構成されている。コンプレッサ16は,タービン15によって駆動され,空気を加圧して圧縮空気とし,該圧縮空気を吸気通路10を通じて吸気マニホルド40からそれぞれの気筒の主室1Aへ供給する。発電機17は,タービン15の回転力を電力として取り出してバッテリ等の電源装置49に蓄電して回収することができる。
【0031】
第1熱交換器4は,第2熱交換器6で加熱された蒸気が流れる多孔質セラミック部材が配置された蒸気通路35と,蒸気通路35に配置された排気ガスが流れる多孔質セラミック部材が配置された排気ガス通路28とから構成されている。また,第2熱交換器6は,蒸気が流れる多孔質セラミック部材が配置された水を貯留できる水・蒸気通路36と,水・蒸気通路36の周りに配置され且つ第1熱交換器4からの排気ガスが流れる多孔質セラミック部材が配置された排気ガス通路29とから構成されている。
【0032】
蒸気タービン5は,図4に示すように,第1熱交換器4で発生した蒸気によって駆動されるタービン19,及びシャフト21に対して設けられた発電機20から構成されている。従って,蒸気エネルギはタービン19を駆動し,その回転力は発電機20によって電力としてバッテリ等の電源装置49に回収される。排気通路8に設けられた第2熱交換器6は,気相−液相熱交換器であり,排気ガスエネルギによって蒸気を発生させ,該蒸気は蒸気通路を通じて第1熱交換器4へ送り込まれる。蒸気タービン5を駆動した蒸気は,低温蒸気(水分含有蒸気)との流体になって流体通路27を通ってコンデンサ14へ放出され,コンデンサ14で高温水となって水ポンプ12によって水通路26を通じて第2熱交換器6へ再び送り込まれる。また,第2熱交換器6を通過した排気ガスは,熱エネルギをほとんど回収された状態の低温の排気ガス(例えば,200℃程度)となってCO供給装置7へ送り込まれる。
【0033】
CO分離器7は,例えば,低温排気ガスが流れる排気通路8Cに配置された複数のロッド状のCO分離膜を収容したものから構成されている。排気通路8CからCO分離器7に送り込まれた排気ガスは,CO分離器7を通過したCOが排気ガス中から分離され,CO分離膜を通過できないN,O,HO等はCO分離器7を迂回して排気通路へ排出され,分離されたCOを含む分離ガスは,CO供給ポンプの作動によってCO通路22を通じて天然ガス改質装置2に供給される。CO分離器7に収容されたCO分離膜は,アルミナ,シリカ,ゼオライト系多孔質セラミックスから構成されたセラミック多孔体であり,一種の濾過膜であり,分子径の大きいNやO,HO(水蒸気)を通過させることができず,分子径の小さいCOを通過させ,COをCO吸引供給ポンプの作動によってCO通路22を通って天然ガス改質装置2へ送り込むことができる。
【0034】
CO分離器7において,CO分離膜を通過できなかったN,HOガス(水蒸気)は,排気通路8Dから大気へ排出される。排気通路8Dには,例えば,圧力調整弁が設けられており,圧力調整弁によって大気へ放出される排気ガスの圧力が調整され,CO分離器7を通じてCO吸引供給ポンプによって取り込まれるCOの取込み量が調整されている。
【0035】
このガスエンジンは,上記のように構成され,次のように作動する。制御弁31が閉鎖した状態で,吸気弁の開放によってターボチャージャ3のコンプレッサ16からの空気が吸気通路10を通じて吸気マニホルド40から主室1Aに供給される。主室1Aの空気は制御弁31の閉鎖状態で圧縮行程において圧縮される。一方,天然ガス燃料がガス燃料供給源11から天然ガス供給通路34を通じて天然ガス改質装置2へ供給され,天然ガスが改質ガスに変換されると共に,制御弁31が閉鎖した状態で燃料弁32が開放し,燃料加圧ポンプ13が作動し,天然ガス改質装置2から改質ガスが改質ガス供給路9を通じて副室1Bに供給される。圧縮行程上死点近傍で制御弁31が開放し,主室1Aの圧縮空気が副室1Bに流入し,改質ガスが圧縮空気と混合して着火燃焼し,膨張行程に移行してピストン43に仕事をする。
【0036】
排気行程において,主室1Aと副室1Bの排気ガスが排気通路8を通じて排出される。高温の排気ガスは天然ガス改質装置2を通る際に,その熱エネルギによって天然ガスを改質ガスに変換し,次いで,ターボチャージャ3へ送り出される。ターボチャージャ3では,タービン15を駆動し,その回転力は発電機17で電気エネルギに変換されると共に,コンプレッサ16を駆動する。発電機17で得られた電力は,バッテリに蓄電されたり,補機を駆動するのに消費される。また,コンプレッサ16は空気を吸気通路10を通じて燃焼室へ供給する機能を果たす。ターボチャージャ3のタービン15を通過して排気ガスは排気通路8Aと通じて第1熱交換器4へ送り込まれる。
【0037】
第1熱交換器4で高温に加熱された蒸気は,高温蒸気通路25を通って蒸気タービン5へ送り込まれ,タービン19を駆動する。タービン19の駆動によって発電機20が発電する。高温蒸気は蒸気タービン5を駆動した後,低温蒸気や水から成る流体に変換され,該流体は流体通路27を通じてコンデンサ14へ送られて水になり,その水は水ポンプ12の駆動によって水通路26を通じて第2熱交換器6の水・蒸気通路36へ送り込まれる。
【0038】
第1熱交換器4から第2熱交換器6へ送り込まれた排気ガスは,第2熱交換器6の排気ガス通路29を通じて排気通路8Cへ送り出される。排気ガスは,排気ガス通路29を通過する際,水・蒸気通路36を通る水を熱交換によって蒸気に変換する。排気通路8Cへ送り出された排気ガスは,天然ガス改質装置2,ターボチャージャ3,第1熱交換器4及び第2熱交換器6によって熱エネルギが回収されており,例えば,200℃程度にまで温度低下しているので,CO分離器7に送り出してもCO分離膜を損傷することがない。CO分離器7に送り込まれた排気ガスは,CO分離膜を通過することによって,排気ガスからCOが分離される。分離されたCOを含む分離ガスは,例えば,CO吸引供給ポンプの作動によってCO分離器7からCO通路22を通って天然ガス改質装置2へ送り込まれる。CO分離器7のCO分離膜を通過することによりCOが分離され,COが分離された排気ガスは,COの含有量を低減されたN,HO等から成り,排気通路8Dから大気へ放出される。
【0039】
【発明の効果】
この発明による天然ガス改質装置における酸素除去装置は,上記のように構成されているので,排気ガスから分離されたCOを含む分離ガス中に,Oが含まれていても,そのOが多孔質カーボン部材のカーボンと反応してCO,COに変化するので,分離ガスにはOが含まれておらず,天然ガス改質装置にOが送り込まれることがない。従って,天然ガス改質装置において,天然ガスの主成分であるCHがHとCOとに改質されるが,天然ガス改質装置において,改質されたH,COがOと反応して爆発が発生することがなく,安全性を確保できる。
【0040】
また,この発明による酸素除去装置を組み込んだ天然ガス改質装置を備えたガスエンジンは,天然ガスの主成分であるCHを,排気ガスから分離されたCOと混合し,該混合ガスを触媒に通して排気ガスの熱エネルギで約900〜800℃の高温状態で熱分解し,CHをCOとHに変換して発熱量をアップする。ガスエンジンから大気に放出される排気ガスは,COが排除されているので,NやHOガスであり,排気ガスが大気汚染の原因になることがなく,環境を悪化させることがない。排気ガスの熱エネルギは,CHの熱分解に寄与した後に,排気通路に設けたターボチャージャ,第1熱交換器及び第2熱交換器で回収される。即ち,ガスエンジンは,排気ガスの熱エネルギによってターボチャージャを駆動し,該ターボチャージャのタービンから排気される排気ガスで第1熱交換器及び第2熱交換器で蒸気を発生させ,該蒸気で蒸気タービンを駆動し,該蒸気タービンを駆動して発電機で電力として回収できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明による天然ガス改質装置における酸素除去装置の一実施例を示す断面図である。
【図2】図1の酸素除去装置を組み込んだ天然ガス改質装置を備えたガスエンジンの一実施例を示す説明図である。
【図3】図2のガスエンジンに組み込まれたターボチャージャを示す説明図である。
【図4】図2のガスエンジンに組み込まれた蒸気タービンを示す説明図である。
【符号の説明】
1 ガスエンジン
2 天然ガス改質装置
3 ターボチャージャ
4 第1熱交換器
5 蒸気タービン
6 第2熱交換器
7 CO分離器
8,8A,8C,8D 排気通路
11 ガス燃料供給源
22 CO通路
23 酸素除去装置
24 警報手段
44 ケーシング
45 入口
46 出口
47 非導電性ガスケット
48 多孔質カーボン部材
49 電源装置
50 コントローラ

Claims (6)

  1. エンジンから排出される排気ガスが流れる排気通路に設けられたCO分離器によって前記排気ガスから分離されたCOを用いて天然ガス中のCHを改質ガスに変換する天然ガス改質装置において,前記CO分離器を通過したCOを含む分離ガスが流れるCO通路に配置され且つ前記分離ガスが流入する入口と流出する出口を有するケーシング,前記ケーシング内に非導電性ガスケットを介して支持され且つ前記分離ガスが通過する多孔質カーボン部材,及び前記分離ガス中のOを前記多孔質カーボン部材のカーボンと反応させてCO,COに変換させるため前記多孔質カーボン部材を通電加熱する電源装置,から成る酸素除去装置。
  2. 前記多孔質カーボン部材の電気抵抗値の検出によって前記多孔質カーボン部材中のカーボン量を検出し,前記多孔質カーボン部材の前記カーボン量が所定量以下に低減したことに応じて警報を発することから成る請求項1に記載の酸素除去装置。
  3. CHを主成分とする天然ガスを収容したガス燃料供給源,前記ガス燃料供給源から供給されるCHをエンジンから排出される排気ガスによって熱分解して改質ガスに変換させる排気通路に配置された天然ガス改質装置,前記改質ガスを前記エンジンへ供給する改質ガス供給装置,前記天然ガス改質装置の後流の前記排気通路に設けられたターボチャージャ,前記ターボチャージャの後流の前記排気通路に設けられた熱交換器を備えたランキンサイクル,前記ランキンサイクルの後流の前記排気通路に設けられたCO分離器,及び前記排気ガスから分離されたCOを含む分離ガスを前記天然ガス改質装置に供給するCO通路に配置された請求項1に記載の酸素除去装置,から成るガスエンジン。
  4. 前記ランキンサイクルは,前記排気通路に配置された前記第1熱交換器,前記第1熱交換器で発生した水蒸気によって駆動される蒸気タービン,前記蒸気タービンから排出された水蒸気を水に変換するコンデンサ,前記コンデンサからの水を水蒸気に変換し且つ該水蒸気を前記第1熱交換器に供給するため前記第1熱交換器の後流の前記排気通路に配置された第2熱交換器,から構成されている請求項3に記載のガスエンジン。
  5. 前記CO分離器は,アルミナ,シリカ,ゼオライト系の多孔質セラミックスから成る分離膜で構成されている請求項3に記載の天然ガス改質装置を備えたガスエンジン。
  6. 前記天然ガス改質装置は,触媒としてNi又はPtを使用してCHとCOとを反応させてCOとHに熱分解することから成る請求項3に記載のガスエンジン。
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