JP2004244047A - 保持具包装体およびその集積包装体 - Google Patents
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Abstract
【課題】鮮度保持剤、芳香剤、忌避剤等の揮発性薬品を含む保持具を包装しても経時でラミネート強度の低下がない包装用複合フィルムでもって包装され、且つ、揮発性薬品を有効に揮発させる保持具包装体を提供すること。
【解決手段】揮発性薬品を含む保持具がフィルム包装された包装体であって、該フィルムが下記の複合フィルム(1)からなり、且つ、周囲に開放部を有する保持具包装体とする。複合フィルム(1):2軸延伸ポリプロピレン層とプロピレンランダム共重合体層とからなる積層フィルムのプロピレンランダム共重合体層面に水性インキによる印刷を施し、次いで積層フィルムの印刷面とポリプロピレン系易ヒートシール性フィルムとを熱圧着することにより得られるフィルム。
【選択図】 図1
【解決手段】揮発性薬品を含む保持具がフィルム包装された包装体であって、該フィルムが下記の複合フィルム(1)からなり、且つ、周囲に開放部を有する保持具包装体とする。複合フィルム(1):2軸延伸ポリプロピレン層とプロピレンランダム共重合体層とからなる積層フィルムのプロピレンランダム共重合体層面に水性インキによる印刷を施し、次いで積層フィルムの印刷面とポリプロピレン系易ヒートシール性フィルムとを熱圧着することにより得られるフィルム。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は鮮度保持剤、芳香剤、忌避剤等の揮発性薬品を含む保持具がフィルム包装された保持具包装体に関し、より詳しくは、耐薬品性に優れたフィルムでもって包装され、且つ、揮発性薬品を有効に揮発させる保持具包装体に関する。
また、それを集積包装してなる集積包装体に関する。
【0002】
【従来の技術】
鮮度保持剤、芳香剤、忌避剤等の揮発性薬品を含む保持具を包装し、且つ、揮発性薬品を揮発させる包装体の形態としては種々考案されている。
例えば、ただ単に保持具を4方シール小袋に封入し、フィルムを通して揮発性薬品を揮発させるものがある。
また、もっと揮発速度を高めるために、保持具と該保持具を外側から覆うフィルム状カバーとからなり、該カバーは保持具の側方に張出すスカート部を有し、該スカート部には揮発性薬品が保持具から徐々に外部へと揮散するのを許す揮散用開口を設けたものもある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
一方、包装用フィルムとしては、印刷の施された基材フィルムと易ヒートシール性フィルムとを印刷面が両者の間に来るようにして積層した複合フィルムが一般的である。
例えば、基材フィルムとして2軸延伸ポリプロピレンフィルム、2軸延伸ポリエステルフィルム、2軸延伸ポリアミドフィルム等を用い、易ヒートシール性フィルムとしてポリエチレン系フィルムやポリプロピレン系フィルムを用いて、ドライラミネート、押出しラミネート、サンドラミ、ダイレクトラミネート等の方法により積層した複合フィルムが例示できる。
また、基材フィルムとして感熱接着性樹脂層を有する2軸延伸ポリプロピレンフィルムを用い、易ヒートシール性フィルムとしてポリエチレン系フィルムやポリプロピレン系フィルムを用いた熱圧着ラミネートによる複合フィルムもある(例えば、特許文献2、特許文献3参照)。
この際使用される印刷用インキは、トルエン等の有機溶剤を用いた油性インキが一般的である。
【0004】
【特許文献1】
特開2001−190258号公報(請求項1〜16参照)
【特許文献2】
特開平5−278183号公報(請求項1参照)
【特許文献3】
特開昭56−77116号公報(特許請求の範囲1、2参照)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、鮮度保持剤、芳香剤、忌避剤等の揮発性薬品を含む保持具を前記したドライラミネート、押出しラミネート、サンドラミ、ダイレクトラミネート等の方法により積層した複合フィルムで包装すると、これらの複合フィルムは耐薬品性に劣るためラミネート強度が経時で低下し、ひどい場合にはデラミするという問題がある。
これは、例えば、ドライラミネートの場合には接着剤が揮発性薬品によって侵された結果であり、押出しラミネートやサンドラミの場合にはアンカーコート剤が揮発性薬品によって侵された結果である。また、ダイレクトラミネートの場合には基材フィルムと易ヒートシール性フィルムとの接着性に元々欠ける結果である。
特に、食品包装に適用される鮮度保持剤を含む保持具包装体の場合、このデラミは許されない。何故ならば、デラミして剥離した基材フィルムは食品包装内において異物と見なされるからである。
本発明の課題は、鮮度保持剤、芳香剤、忌避剤等の揮発性薬品を含む保持具を包装しても経時でラミネート強度の低下がない包装用複合フィルムでもって包装され、且つ、揮発性薬品を有効に揮発させる保持具包装体を提供することにある。
また本発明の課題は、この保持具包装体を集積包装しても経時でラミネート強度の低下がない集積包装体を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
前記の課題を解決するため本発明は、揮発性薬品を含む保持具がフィルム包装された包装体であって、該フィルムが下記の複合フィルム(1)からなり、且つ、周囲に開放部を有する保持具包装体であることを特徴とする。
複合フィルム(1):2軸延伸ポリプロピレン層とプロピレンランダム共重合体層とからなる積層フィルムのプロピレンランダム共重合体層面に水性インキによる印刷を施し、次いで積層フィルムの印刷面とポリプロピレン系易ヒートシール性フィルムとを熱圧着することにより得られるフィルム。
また、下記の複合フィルム(2)を用いて前記の保持具包装体を集積包装してなる集積包装体であることを特徴とする。
複合フィルム(2):2軸延伸ポリプロピレン層とプロピレンランダ
ム共重合体層とからなる積層フィルムのプロピレンランダム共重合体層面とポリプロピレン系易ヒートシール性フィルムとを熱圧着することにより得られるフィルム。
また、少なくとも片面の複合フィルム(1)がエンボスされた複合フィルムである保持具包装体であることを特徴とする。
さらに、少なくとも片面の複合フィルム(1)がエンボスされた複合フィルムである保持具包装体を集積包装してなる集積包装体であることを特徴とする。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明の揮発性薬品とは、例えば、鮮度保持剤や芳香剤、忌避剤などのように揮発することによって効果を発揮する薬品をいう。
鮮度保持剤としては、例えば、エチルアルコールが例示できる。芳香剤としては、例えば、エチルアルコールに溶解したラベンラー、シトラス等の天然精油が例示できる。また忌避剤としては、例えば、β−ナフトールやシンナミックアルデヒドが例示できる。
【0008】
本発明の保持具とは、浸漬等適宜の手段により揮発性薬品が吸着されたものをいい、その具体的材料としては、例えば、天然ヴァージンパルプ材又はその抄造紙、ポリオレフィン、レーヨン等の合成繊維や人造繊維からなる保水材が例示できる。
保持具の大きさや厚みは、特に限定するものではなく、目的に応じて適宜決めればよい。例えば、長方形の平板状に形成され、長さが15〜90mm、幅が15〜55mm、厚さが0.5〜3mmのものが例示できる。
【0009】
前記保持具を包装するフィルムとして本発明は、下記の複合フィルム(1)を使用する。
複合フィルム(1):2軸延伸ポリプロピレン層とプロピレンランダム共重合体層とからなる積層フィルムのプロピレンランダム共重合体層面に水性インキによる印刷を施し、次いで積層フィルムの印刷面とポリプロピレン系易ヒートシール性フィルムとを熱圧着することにより得られるフィルム。
【0010】
2軸延伸ポリプロピレン層とは、一般に2軸延伸ポリプロピレンフィルムとして市販されているものと同様の樹脂からなるものである。
そしてプロピレンランダム共重合体層とは、プロピレンを主成分としエチレン及び/又は1−ブテンを共重合成分とする、2軸延伸ポリプロピレン層よりも融点が低い樹脂からなるものである。
各層の厚さは、好ましくは、2軸延伸ポリプロピレン層が10〜50μm、プロピレンランダム共重合体層が1〜5μmである。
【0011】
積層フィルムの製造方法としては、2軸延伸ポリプロピレン層となる樹脂とプロピレンランダム共重合体層となる樹脂とを押出機から共押出し、縦方向に3〜5倍ロール延伸し、横方向に9〜11倍テンター延伸し、アニールし、必要ならフィルム表面をコロナ放電処理し、次いで、エージングしてフィルムを得る方法が挙げられる。
また、2軸延伸ポリプロピレン層となる樹脂を押出機から押出し、縦方向に3〜5倍ロール延伸した後、この上にプロピレンランダム共重合体層となる樹脂を押出しラミネートし、横方向に9〜11倍テンター延伸し、アニールし、必要ならフィルム表面をコロナ放電処理し、次いで、エージングしてフィルムを得る方法も例示できる。
各層には、滑剤、アンチブロッキング剤、帯電防止剤、安定剤、紫外線吸収剤等公知の添加剤や他の樹脂等を合目的的に添加してもよい。
【0012】
本発明の水性インキとは、保持具の商品名や揮発性薬品名、あるいは食べてはいけないことの注意書等を表示するためのもので、その材料は特に限定するものではない。例えば、スチレン−アクリル系樹脂、スチレン−マレイン酸系樹脂、ロジンエステル系樹脂、シェラック樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂等をバインダーとし、無機や有機の顔料を含み、水とエタノールとを主たる溶剤とし、必要に応じ有機アミン、アンモニア水、アルカリ金属水酸化物等を混合したものが例示できる。
油性のインキを用いた場合にはトルエンやメチルエチルケトン等の残留溶剤臭が消費者に不快感を与えるが、水性インキを用いるとそのようなことから開放される。
水性インキの印刷は、積層フィルムのプロピレンランダム共重合体層面にされる。印刷方法は特に限定するものではないが、通常、グラビア印刷が好ましい方法として挙げられる。
【0013】
本発明のポリプロピレン系易ヒートシール性フィルムとしては、例えば、プロピレン−エチレンランダム共重合体、プロピレン−1−ブテンランダム共重合体、プロピレン−エチレン−1−ブテンランダム共重合体からなる群から選ばれる少なくとも1種のポリプロピレン系樹脂を主成分としてなる、無延伸フィルムが好ましいものとして例示できる。プロピレン−エチレンランダム共重合体としては、より好ましくはエチレン含有量0.5〜15モル%、さらに好ましくはエチレン含有量1〜10モル%のプロピレン−エチレンランダム共重合体が挙げられる。プロピレン−1−ブテンランダム共重合体としては、より好ましくは1−ブテン含有量1〜35モル%、さらに好ましくは1−ブテン含有量5〜25モル%のプロピレン−1−ブテンランダム共重合体が挙げられる。また、プロピレン−エチレン−1−ブテンランダム共重合体としては、より好ましくはエチレン含有量0.5〜15モル%、1−ブテン含有量0.5〜35モル%、さらに好ましくはエチレン含有量1〜10モル%、1−ブテン含有量1〜25モル%のプロピレン−エチレン−1−ブテンランダム共重合体が挙げられる。
なお、ポリプロピレン系易ヒートシール性フィルムには、安定剤、アンチブロッキング剤、滑剤、帯電防止剤等、公知の添加剤や他の樹脂等を合目的的に添加してもよい。
【0014】
ポリプロピレン系易ヒートシール性フィルム表面にはコロナ放電処理等の公知の表面処理を施しても、施さなくてもよい。
好ましくは、積層フィルムと熱圧着される面には表面処理を施し、反対面のヒートシールされる面には表面処理を施さない方がより望ましい。このようにすることによって、積層フィルムや水性インキとの熱接着性がより優れ、低温ヒートシール性にも優れるからである。表面処理強度としては、濡れ指数が360μN/cm以上となるようにすることが望ましい。
ポリプロピレン系易ヒートシール性フィルムの厚さは特に限定するものではないが、通常、20〜60μmが好ましい。
【0015】
水性インキによる印刷層を含む積層フィルムとポリプロピレン系易ヒートシール性フィルムとを熱圧着して複合フィルム(1)を得る方法としては種々の方法が考えられ、如何なるものでもよいが、通常、加熱されたニップロールを用いれば十分である。例えば、ニップロールの片方は好ましくは90〜180℃、より好ましくは100〜160℃に加熱された金属ロール、他方はシリコンゴム等の耐熱性、非粘着性に優れたゴムロールを用い、加熱金属ロールに2軸延伸ポリプロピレン層が接するようにし、印刷層がポリプロピレン系易ヒートシール性フィルムと接するようにして、線圧を好ましくは50N/cm以上、より好ましくは150N/cm以上、600N/cm以下にして通すとスムースにラミネートができる。
【0016】
次に、保持具が前記の複合フィルム(1)を用いてフィルム包装された保持具包装体について説明する。
本発明の保持具包装体は、周囲に、揮発性薬品が速やかに揮発するための開放部を有するものであれば如何なる形態のものであってもよい。例えば、図1〜3が好ましいものとして例示できる。これらの中では図1に示すものがより好ましい。
なお、図中3はヒートシール部を表し、2枚の複合フィルム(1)をヒートシールでもって固着すると共に、保持具2を挟持する役割をも果たすものである。
【0017】
図1〜3に示す保持具包装体を得るには、2枚の複合フィルム(1)のポリプロピレン系易ヒートシール性フィルム面側に保持具を挟み込み、図1〜3に示す適宜の形状のヒートシールを施せばよい。
保持具包装体は個々にカットせず、ロール状に巻き上げたりツヅラ折状に折りたたんでもよい。この場合には使用時に個々に分け易くするために、ミシン目を入れておくのがより望ましい。
【0018】
以上は、フラットな複合フィルム(1)でもってフィルム包装された保持具包装体に関する説明であるが、予めエンボスされた複合フィルム(1)を少なくとも片面に用いる方がより好ましい。
何故ならば、予めエンボスされた複合フィルム(1)を用いると、エンボスされた分、周囲の開放部の間隙が広くなり揮発性薬品がより速やかに揮発するからである。エンボスの深さは、所望する揮発速度に応じて適宜決めればよい。
また、自動投入機のシューターから保持具包装体を商品の入った袋や容器に詰める工程において、複合フィルム(1)がフラットであると露結した場合シューター上で止まってしまうというトラブルが発生し易いが、エンボスされているとシューターとの滑り性がよいので、その様なトラブルが発生しないという利点もある。
【0019】
保持具包装体は、次いで集積包装される。
なお、本発明では、前記のロール状に巻き上げられた状態のものやツヅラ折状に折りたたまれた状態のものの包装も集積包装と呼ぶ。
集積包装する際に使用するフィルムとしては下記の複合フィルム(2)を用いる。
複合フィルム(2):2軸延伸ポリプロピレン層とプロピレンランダム共重合体層とからなる積層フィルムのプロピレンランダム共重合体層面とポリプロピレン系易ヒートシール性フィルムとを熱圧着することにより得られるフィルム。
ここでいう2軸延伸ポリプロピレン層、プロピレンランダム共重合体層、及びポリプロピレン系易ヒートシール性フィルムとは、複合フィルム(1)について説明したものと同様のものである。
積層フィルムのプロピレンランダム共重合体層面に水性インキによる印刷を予め施すも施さぬも自在であるが、コストの点からは印刷を施さないほうがより好ましい。
【0020】
集積包装体の袋形態は、密封状態を保てるものであれば如何なるものであってもよい。例えば、4方シール袋や合掌シール袋、さらにはガゼット状袋が例示できる。
この際、保持具を袋に充填後、真空引きや治具で空間部を抑える等によりある程度袋の空間容積を小さくしてから、ヒートシール等により密封することが望ましい。何故なら、空間容積が大きい状態で密封すると揮発性薬品が経時で或いは温度条件で揮発して袋が膨れ上がるからである。
しかしながら真空引きの場合には、袋の上下フィルム同士が完全に密着しない程度が望ましい。何故なら、完全に密着するまで真空引きしようとすると、その間に揮発性薬品の大半が揮散してしまうからである。
【0021】
【実施例】
次に本発明に係る代表的な実施例と比較例とを挙げて説明する。
【0022】
(実施例1)
積層フィルムの2軸延伸ポロプロピレン層となるプロピレン−エチレンランダム共重合体(エチレン含有量:0.47モル%、MFR(230℃、21.18N):1.45)100重量部と帯電防止剤0.4重量部と有機アンチブロッキング剤0.3重量部との混合物と、積層フィルムのプロピレンランダム共重合体層となるプロピレン−エチレンランダム共重合体(エチレン含有量:4.5モル%、MFR(230℃、21.18N):9.0)100重量部とプロピレン−1−ブテンランダム共重合体(1−ブテン含有量:19モル%、MFR(230℃、21.18N):8.0)30重量部と滑剤2重量部と有機アンチブロッキング剤2重量部との混合物とを、2台の押出機を用いて各々押出機で溶融混練し、240℃のTダイ内で融着積層して押出し、30℃の冷却ロールで冷却し、130℃で縦方向に5倍ロール延伸し、165℃で横方向に10倍テンター延伸し、165℃で横方向に3%弛緩させながらアニ−ルし、2軸延伸ポロプロピレン層面に処理強度30W/分・m2でコロナ放電処理を施し、冷却し、巻き取り、次いでこのフィルムを40℃で24時間エージングして積層フィルムを得た。フィルムの平均厚さは2軸延伸ポロプロピレン層が20μm、プロピレンランダム共重合体層が2μm、トータル22μmであった。
【0023】
次いで、この積層フィルムのプロピレンランダム共重合体層面の1部に、水性インキ(東洋インキ製造株式会社製 アクアエコールJW202青)を用いてグラビア印刷による図柄印刷を施した。
次いで、このフィルムとポリプロピレン系易ヒートシール性フィルム(東レ合成株式会社製 3501)とを、図4に示すニップロール部(加熱金属ロール:ロール径400mm、表面温度131℃、シリコンゴムロール:ロール径300mm、ニップ圧:300N/cm)を有する熱圧着ラミネーターを用いて、2軸延伸ポリプロピレン層が加熱金属ロールに接するようにし、印刷層がポリプロピレン系易ヒートシール性フィルムのコロナ放電処理面と接するようにして、速度120m/min、α=39°、β=39°で熱圧着ラミネートした。次いで、このフィルムを32℃で24時間エージングして所期の複合フィルム(1)を得た。
【0024】
(実施例2)
長さ42mm、幅28mm、厚さ約1mmの天然ヴァージンパルプ材を下記の構成からなる鮮度保持剤に浸漬して、揮発性薬品を含む保持具とした。
次いで、実施例1で得た複合フィルム(1)を用いて、この保持具を図1に示す形態にフィルム包装することにより保持具包装体を作成した。
次いで、鮮度保持剤がこの保持具包装体から経時的に揮発する量(重量%)を測定した。結果を表1に示す。
【0025】
(実施例3)
実施例1で得た複合フィルム(1)から深さが異なった2種類のエンボスフィルムを作成し、実施例2と同様にして2種類のエンボスフィルムでフィルム包装された保持具包装体を作成した。
次いで、鮮度保持剤がこれらの保持具包装体から経時的に揮発する量(重量%)を測定した。結果を表1に示す。
【0026】
【0027】
(実施例4)
実施例2と同様にして作成した100個の保持具包装体を、複合フィルム(2)(実施例1において水性インキによる印刷を省略したものと同じ構成の複合フィルム)からなる3方シール袋に入れ、弱く真空引きした後、開口部をヒートシールすることにより4方シール形態の集積包装体を作成した。
この集積包装体を室内に11月間放置したところ、複合フィルム(1)は初期のラミネート強度を維持していた。また、複合フィルム(2)も初期のラミネート強度を維持していた。
【0028】
(比較例1)
2軸延伸ポリプロピレンフィルム(グンゼ株式会社製 シルファンNタイプ 厚さ20μm)のコロナ放電処理面の1部に、実施例1で使用したのと同じ水性インキと同じ印刷図柄を使用して、図柄印刷を施した。
次いで、この印刷面と実施例1で使用したのと同じポリプロピレン系易ヒートシール性フィルムのコロナ放電処理面とを、ウレタン系接着剤を用いてドライラミネートして複合フィルム(3)を得た。
この複合フィルム(3)を用いて、実施例2と同様にして保持具包装体を作成した。
次いで、複合フィルム(4)(複合フィルム(3)において水性インキによる印刷を省略したものと同じ構成の複合フィルム)を用いて実施例4と同様にして集積包装体を作成した。
この集積包装体を室内に11ヶ月間放置したところ、複合フィルム(3)のラミネート強度は低下しており、1部剥離が見られた。また、複合フィルム(4)のラミネート強度も低下していた。
【0029】
【発明の効果】
本発明は以上のような構成からなるので、以下の効果を奏す。
【0030】
本発明の保持具包装体は、周囲に開放部を有するため、揮発性薬品を有効に揮発させる。
また、耐薬品性のよい構成からなる複合フィルム(1)でもってフィルム包装されているので、該複合フィルム(1)のラミネート強度の低下がなく、大いに有用である。特に商品が食品の場合は最適である。
また、その集積包装体も耐薬品性のよい構成からなる複合フィルム(2)でもってフィルム包装されているので、該複合フィルム(2)のラミネート強度の低下がなく、大いに有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の保持具包装体の1実施形態を示す正面図である。
【図2】本発明の保持具包装体の別の実施形態を示す正面図である。
【図3】本発明の保持具包装体の別の実施形態を示す正面図である。
【図4】熱圧着ラミネ−ターのニップロール部を示す概略図である。
【符号の説明】
1 保持具包装体
2 保持具
3 ヒートシール部
4 シリコンゴムロール
5 加熱金属ロール
【発明の属する技術分野】
本発明は鮮度保持剤、芳香剤、忌避剤等の揮発性薬品を含む保持具がフィルム包装された保持具包装体に関し、より詳しくは、耐薬品性に優れたフィルムでもって包装され、且つ、揮発性薬品を有効に揮発させる保持具包装体に関する。
また、それを集積包装してなる集積包装体に関する。
【0002】
【従来の技術】
鮮度保持剤、芳香剤、忌避剤等の揮発性薬品を含む保持具を包装し、且つ、揮発性薬品を揮発させる包装体の形態としては種々考案されている。
例えば、ただ単に保持具を4方シール小袋に封入し、フィルムを通して揮発性薬品を揮発させるものがある。
また、もっと揮発速度を高めるために、保持具と該保持具を外側から覆うフィルム状カバーとからなり、該カバーは保持具の側方に張出すスカート部を有し、該スカート部には揮発性薬品が保持具から徐々に外部へと揮散するのを許す揮散用開口を設けたものもある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
一方、包装用フィルムとしては、印刷の施された基材フィルムと易ヒートシール性フィルムとを印刷面が両者の間に来るようにして積層した複合フィルムが一般的である。
例えば、基材フィルムとして2軸延伸ポリプロピレンフィルム、2軸延伸ポリエステルフィルム、2軸延伸ポリアミドフィルム等を用い、易ヒートシール性フィルムとしてポリエチレン系フィルムやポリプロピレン系フィルムを用いて、ドライラミネート、押出しラミネート、サンドラミ、ダイレクトラミネート等の方法により積層した複合フィルムが例示できる。
また、基材フィルムとして感熱接着性樹脂層を有する2軸延伸ポリプロピレンフィルムを用い、易ヒートシール性フィルムとしてポリエチレン系フィルムやポリプロピレン系フィルムを用いた熱圧着ラミネートによる複合フィルムもある(例えば、特許文献2、特許文献3参照)。
この際使用される印刷用インキは、トルエン等の有機溶剤を用いた油性インキが一般的である。
【0004】
【特許文献1】
特開2001−190258号公報(請求項1〜16参照)
【特許文献2】
特開平5−278183号公報(請求項1参照)
【特許文献3】
特開昭56−77116号公報(特許請求の範囲1、2参照)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、鮮度保持剤、芳香剤、忌避剤等の揮発性薬品を含む保持具を前記したドライラミネート、押出しラミネート、サンドラミ、ダイレクトラミネート等の方法により積層した複合フィルムで包装すると、これらの複合フィルムは耐薬品性に劣るためラミネート強度が経時で低下し、ひどい場合にはデラミするという問題がある。
これは、例えば、ドライラミネートの場合には接着剤が揮発性薬品によって侵された結果であり、押出しラミネートやサンドラミの場合にはアンカーコート剤が揮発性薬品によって侵された結果である。また、ダイレクトラミネートの場合には基材フィルムと易ヒートシール性フィルムとの接着性に元々欠ける結果である。
特に、食品包装に適用される鮮度保持剤を含む保持具包装体の場合、このデラミは許されない。何故ならば、デラミして剥離した基材フィルムは食品包装内において異物と見なされるからである。
本発明の課題は、鮮度保持剤、芳香剤、忌避剤等の揮発性薬品を含む保持具を包装しても経時でラミネート強度の低下がない包装用複合フィルムでもって包装され、且つ、揮発性薬品を有効に揮発させる保持具包装体を提供することにある。
また本発明の課題は、この保持具包装体を集積包装しても経時でラミネート強度の低下がない集積包装体を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
前記の課題を解決するため本発明は、揮発性薬品を含む保持具がフィルム包装された包装体であって、該フィルムが下記の複合フィルム(1)からなり、且つ、周囲に開放部を有する保持具包装体であることを特徴とする。
複合フィルム(1):2軸延伸ポリプロピレン層とプロピレンランダム共重合体層とからなる積層フィルムのプロピレンランダム共重合体層面に水性インキによる印刷を施し、次いで積層フィルムの印刷面とポリプロピレン系易ヒートシール性フィルムとを熱圧着することにより得られるフィルム。
また、下記の複合フィルム(2)を用いて前記の保持具包装体を集積包装してなる集積包装体であることを特徴とする。
複合フィルム(2):2軸延伸ポリプロピレン層とプロピレンランダ
ム共重合体層とからなる積層フィルムのプロピレンランダム共重合体層面とポリプロピレン系易ヒートシール性フィルムとを熱圧着することにより得られるフィルム。
また、少なくとも片面の複合フィルム(1)がエンボスされた複合フィルムである保持具包装体であることを特徴とする。
さらに、少なくとも片面の複合フィルム(1)がエンボスされた複合フィルムである保持具包装体を集積包装してなる集積包装体であることを特徴とする。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明の揮発性薬品とは、例えば、鮮度保持剤や芳香剤、忌避剤などのように揮発することによって効果を発揮する薬品をいう。
鮮度保持剤としては、例えば、エチルアルコールが例示できる。芳香剤としては、例えば、エチルアルコールに溶解したラベンラー、シトラス等の天然精油が例示できる。また忌避剤としては、例えば、β−ナフトールやシンナミックアルデヒドが例示できる。
【0008】
本発明の保持具とは、浸漬等適宜の手段により揮発性薬品が吸着されたものをいい、その具体的材料としては、例えば、天然ヴァージンパルプ材又はその抄造紙、ポリオレフィン、レーヨン等の合成繊維や人造繊維からなる保水材が例示できる。
保持具の大きさや厚みは、特に限定するものではなく、目的に応じて適宜決めればよい。例えば、長方形の平板状に形成され、長さが15〜90mm、幅が15〜55mm、厚さが0.5〜3mmのものが例示できる。
【0009】
前記保持具を包装するフィルムとして本発明は、下記の複合フィルム(1)を使用する。
複合フィルム(1):2軸延伸ポリプロピレン層とプロピレンランダム共重合体層とからなる積層フィルムのプロピレンランダム共重合体層面に水性インキによる印刷を施し、次いで積層フィルムの印刷面とポリプロピレン系易ヒートシール性フィルムとを熱圧着することにより得られるフィルム。
【0010】
2軸延伸ポリプロピレン層とは、一般に2軸延伸ポリプロピレンフィルムとして市販されているものと同様の樹脂からなるものである。
そしてプロピレンランダム共重合体層とは、プロピレンを主成分としエチレン及び/又は1−ブテンを共重合成分とする、2軸延伸ポリプロピレン層よりも融点が低い樹脂からなるものである。
各層の厚さは、好ましくは、2軸延伸ポリプロピレン層が10〜50μm、プロピレンランダム共重合体層が1〜5μmである。
【0011】
積層フィルムの製造方法としては、2軸延伸ポリプロピレン層となる樹脂とプロピレンランダム共重合体層となる樹脂とを押出機から共押出し、縦方向に3〜5倍ロール延伸し、横方向に9〜11倍テンター延伸し、アニールし、必要ならフィルム表面をコロナ放電処理し、次いで、エージングしてフィルムを得る方法が挙げられる。
また、2軸延伸ポリプロピレン層となる樹脂を押出機から押出し、縦方向に3〜5倍ロール延伸した後、この上にプロピレンランダム共重合体層となる樹脂を押出しラミネートし、横方向に9〜11倍テンター延伸し、アニールし、必要ならフィルム表面をコロナ放電処理し、次いで、エージングしてフィルムを得る方法も例示できる。
各層には、滑剤、アンチブロッキング剤、帯電防止剤、安定剤、紫外線吸収剤等公知の添加剤や他の樹脂等を合目的的に添加してもよい。
【0012】
本発明の水性インキとは、保持具の商品名や揮発性薬品名、あるいは食べてはいけないことの注意書等を表示するためのもので、その材料は特に限定するものではない。例えば、スチレン−アクリル系樹脂、スチレン−マレイン酸系樹脂、ロジンエステル系樹脂、シェラック樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂等をバインダーとし、無機や有機の顔料を含み、水とエタノールとを主たる溶剤とし、必要に応じ有機アミン、アンモニア水、アルカリ金属水酸化物等を混合したものが例示できる。
油性のインキを用いた場合にはトルエンやメチルエチルケトン等の残留溶剤臭が消費者に不快感を与えるが、水性インキを用いるとそのようなことから開放される。
水性インキの印刷は、積層フィルムのプロピレンランダム共重合体層面にされる。印刷方法は特に限定するものではないが、通常、グラビア印刷が好ましい方法として挙げられる。
【0013】
本発明のポリプロピレン系易ヒートシール性フィルムとしては、例えば、プロピレン−エチレンランダム共重合体、プロピレン−1−ブテンランダム共重合体、プロピレン−エチレン−1−ブテンランダム共重合体からなる群から選ばれる少なくとも1種のポリプロピレン系樹脂を主成分としてなる、無延伸フィルムが好ましいものとして例示できる。プロピレン−エチレンランダム共重合体としては、より好ましくはエチレン含有量0.5〜15モル%、さらに好ましくはエチレン含有量1〜10モル%のプロピレン−エチレンランダム共重合体が挙げられる。プロピレン−1−ブテンランダム共重合体としては、より好ましくは1−ブテン含有量1〜35モル%、さらに好ましくは1−ブテン含有量5〜25モル%のプロピレン−1−ブテンランダム共重合体が挙げられる。また、プロピレン−エチレン−1−ブテンランダム共重合体としては、より好ましくはエチレン含有量0.5〜15モル%、1−ブテン含有量0.5〜35モル%、さらに好ましくはエチレン含有量1〜10モル%、1−ブテン含有量1〜25モル%のプロピレン−エチレン−1−ブテンランダム共重合体が挙げられる。
なお、ポリプロピレン系易ヒートシール性フィルムには、安定剤、アンチブロッキング剤、滑剤、帯電防止剤等、公知の添加剤や他の樹脂等を合目的的に添加してもよい。
【0014】
ポリプロピレン系易ヒートシール性フィルム表面にはコロナ放電処理等の公知の表面処理を施しても、施さなくてもよい。
好ましくは、積層フィルムと熱圧着される面には表面処理を施し、反対面のヒートシールされる面には表面処理を施さない方がより望ましい。このようにすることによって、積層フィルムや水性インキとの熱接着性がより優れ、低温ヒートシール性にも優れるからである。表面処理強度としては、濡れ指数が360μN/cm以上となるようにすることが望ましい。
ポリプロピレン系易ヒートシール性フィルムの厚さは特に限定するものではないが、通常、20〜60μmが好ましい。
【0015】
水性インキによる印刷層を含む積層フィルムとポリプロピレン系易ヒートシール性フィルムとを熱圧着して複合フィルム(1)を得る方法としては種々の方法が考えられ、如何なるものでもよいが、通常、加熱されたニップロールを用いれば十分である。例えば、ニップロールの片方は好ましくは90〜180℃、より好ましくは100〜160℃に加熱された金属ロール、他方はシリコンゴム等の耐熱性、非粘着性に優れたゴムロールを用い、加熱金属ロールに2軸延伸ポリプロピレン層が接するようにし、印刷層がポリプロピレン系易ヒートシール性フィルムと接するようにして、線圧を好ましくは50N/cm以上、より好ましくは150N/cm以上、600N/cm以下にして通すとスムースにラミネートができる。
【0016】
次に、保持具が前記の複合フィルム(1)を用いてフィルム包装された保持具包装体について説明する。
本発明の保持具包装体は、周囲に、揮発性薬品が速やかに揮発するための開放部を有するものであれば如何なる形態のものであってもよい。例えば、図1〜3が好ましいものとして例示できる。これらの中では図1に示すものがより好ましい。
なお、図中3はヒートシール部を表し、2枚の複合フィルム(1)をヒートシールでもって固着すると共に、保持具2を挟持する役割をも果たすものである。
【0017】
図1〜3に示す保持具包装体を得るには、2枚の複合フィルム(1)のポリプロピレン系易ヒートシール性フィルム面側に保持具を挟み込み、図1〜3に示す適宜の形状のヒートシールを施せばよい。
保持具包装体は個々にカットせず、ロール状に巻き上げたりツヅラ折状に折りたたんでもよい。この場合には使用時に個々に分け易くするために、ミシン目を入れておくのがより望ましい。
【0018】
以上は、フラットな複合フィルム(1)でもってフィルム包装された保持具包装体に関する説明であるが、予めエンボスされた複合フィルム(1)を少なくとも片面に用いる方がより好ましい。
何故ならば、予めエンボスされた複合フィルム(1)を用いると、エンボスされた分、周囲の開放部の間隙が広くなり揮発性薬品がより速やかに揮発するからである。エンボスの深さは、所望する揮発速度に応じて適宜決めればよい。
また、自動投入機のシューターから保持具包装体を商品の入った袋や容器に詰める工程において、複合フィルム(1)がフラットであると露結した場合シューター上で止まってしまうというトラブルが発生し易いが、エンボスされているとシューターとの滑り性がよいので、その様なトラブルが発生しないという利点もある。
【0019】
保持具包装体は、次いで集積包装される。
なお、本発明では、前記のロール状に巻き上げられた状態のものやツヅラ折状に折りたたまれた状態のものの包装も集積包装と呼ぶ。
集積包装する際に使用するフィルムとしては下記の複合フィルム(2)を用いる。
複合フィルム(2):2軸延伸ポリプロピレン層とプロピレンランダム共重合体層とからなる積層フィルムのプロピレンランダム共重合体層面とポリプロピレン系易ヒートシール性フィルムとを熱圧着することにより得られるフィルム。
ここでいう2軸延伸ポリプロピレン層、プロピレンランダム共重合体層、及びポリプロピレン系易ヒートシール性フィルムとは、複合フィルム(1)について説明したものと同様のものである。
積層フィルムのプロピレンランダム共重合体層面に水性インキによる印刷を予め施すも施さぬも自在であるが、コストの点からは印刷を施さないほうがより好ましい。
【0020】
集積包装体の袋形態は、密封状態を保てるものであれば如何なるものであってもよい。例えば、4方シール袋や合掌シール袋、さらにはガゼット状袋が例示できる。
この際、保持具を袋に充填後、真空引きや治具で空間部を抑える等によりある程度袋の空間容積を小さくしてから、ヒートシール等により密封することが望ましい。何故なら、空間容積が大きい状態で密封すると揮発性薬品が経時で或いは温度条件で揮発して袋が膨れ上がるからである。
しかしながら真空引きの場合には、袋の上下フィルム同士が完全に密着しない程度が望ましい。何故なら、完全に密着するまで真空引きしようとすると、その間に揮発性薬品の大半が揮散してしまうからである。
【0021】
【実施例】
次に本発明に係る代表的な実施例と比較例とを挙げて説明する。
【0022】
(実施例1)
積層フィルムの2軸延伸ポロプロピレン層となるプロピレン−エチレンランダム共重合体(エチレン含有量:0.47モル%、MFR(230℃、21.18N):1.45)100重量部と帯電防止剤0.4重量部と有機アンチブロッキング剤0.3重量部との混合物と、積層フィルムのプロピレンランダム共重合体層となるプロピレン−エチレンランダム共重合体(エチレン含有量:4.5モル%、MFR(230℃、21.18N):9.0)100重量部とプロピレン−1−ブテンランダム共重合体(1−ブテン含有量:19モル%、MFR(230℃、21.18N):8.0)30重量部と滑剤2重量部と有機アンチブロッキング剤2重量部との混合物とを、2台の押出機を用いて各々押出機で溶融混練し、240℃のTダイ内で融着積層して押出し、30℃の冷却ロールで冷却し、130℃で縦方向に5倍ロール延伸し、165℃で横方向に10倍テンター延伸し、165℃で横方向に3%弛緩させながらアニ−ルし、2軸延伸ポロプロピレン層面に処理強度30W/分・m2でコロナ放電処理を施し、冷却し、巻き取り、次いでこのフィルムを40℃で24時間エージングして積層フィルムを得た。フィルムの平均厚さは2軸延伸ポロプロピレン層が20μm、プロピレンランダム共重合体層が2μm、トータル22μmであった。
【0023】
次いで、この積層フィルムのプロピレンランダム共重合体層面の1部に、水性インキ(東洋インキ製造株式会社製 アクアエコールJW202青)を用いてグラビア印刷による図柄印刷を施した。
次いで、このフィルムとポリプロピレン系易ヒートシール性フィルム(東レ合成株式会社製 3501)とを、図4に示すニップロール部(加熱金属ロール:ロール径400mm、表面温度131℃、シリコンゴムロール:ロール径300mm、ニップ圧:300N/cm)を有する熱圧着ラミネーターを用いて、2軸延伸ポリプロピレン層が加熱金属ロールに接するようにし、印刷層がポリプロピレン系易ヒートシール性フィルムのコロナ放電処理面と接するようにして、速度120m/min、α=39°、β=39°で熱圧着ラミネートした。次いで、このフィルムを32℃で24時間エージングして所期の複合フィルム(1)を得た。
【0024】
(実施例2)
長さ42mm、幅28mm、厚さ約1mmの天然ヴァージンパルプ材を下記の構成からなる鮮度保持剤に浸漬して、揮発性薬品を含む保持具とした。
次いで、実施例1で得た複合フィルム(1)を用いて、この保持具を図1に示す形態にフィルム包装することにより保持具包装体を作成した。
次いで、鮮度保持剤がこの保持具包装体から経時的に揮発する量(重量%)を測定した。結果を表1に示す。
【0025】
(実施例3)
実施例1で得た複合フィルム(1)から深さが異なった2種類のエンボスフィルムを作成し、実施例2と同様にして2種類のエンボスフィルムでフィルム包装された保持具包装体を作成した。
次いで、鮮度保持剤がこれらの保持具包装体から経時的に揮発する量(重量%)を測定した。結果を表1に示す。
【0026】
【0027】
(実施例4)
実施例2と同様にして作成した100個の保持具包装体を、複合フィルム(2)(実施例1において水性インキによる印刷を省略したものと同じ構成の複合フィルム)からなる3方シール袋に入れ、弱く真空引きした後、開口部をヒートシールすることにより4方シール形態の集積包装体を作成した。
この集積包装体を室内に11月間放置したところ、複合フィルム(1)は初期のラミネート強度を維持していた。また、複合フィルム(2)も初期のラミネート強度を維持していた。
【0028】
(比較例1)
2軸延伸ポリプロピレンフィルム(グンゼ株式会社製 シルファンNタイプ 厚さ20μm)のコロナ放電処理面の1部に、実施例1で使用したのと同じ水性インキと同じ印刷図柄を使用して、図柄印刷を施した。
次いで、この印刷面と実施例1で使用したのと同じポリプロピレン系易ヒートシール性フィルムのコロナ放電処理面とを、ウレタン系接着剤を用いてドライラミネートして複合フィルム(3)を得た。
この複合フィルム(3)を用いて、実施例2と同様にして保持具包装体を作成した。
次いで、複合フィルム(4)(複合フィルム(3)において水性インキによる印刷を省略したものと同じ構成の複合フィルム)を用いて実施例4と同様にして集積包装体を作成した。
この集積包装体を室内に11ヶ月間放置したところ、複合フィルム(3)のラミネート強度は低下しており、1部剥離が見られた。また、複合フィルム(4)のラミネート強度も低下していた。
【0029】
【発明の効果】
本発明は以上のような構成からなるので、以下の効果を奏す。
【0030】
本発明の保持具包装体は、周囲に開放部を有するため、揮発性薬品を有効に揮発させる。
また、耐薬品性のよい構成からなる複合フィルム(1)でもってフィルム包装されているので、該複合フィルム(1)のラミネート強度の低下がなく、大いに有用である。特に商品が食品の場合は最適である。
また、その集積包装体も耐薬品性のよい構成からなる複合フィルム(2)でもってフィルム包装されているので、該複合フィルム(2)のラミネート強度の低下がなく、大いに有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の保持具包装体の1実施形態を示す正面図である。
【図2】本発明の保持具包装体の別の実施形態を示す正面図である。
【図3】本発明の保持具包装体の別の実施形態を示す正面図である。
【図4】熱圧着ラミネ−ターのニップロール部を示す概略図である。
【符号の説明】
1 保持具包装体
2 保持具
3 ヒートシール部
4 シリコンゴムロール
5 加熱金属ロール
Claims (4)
- 揮発性薬品を含む保持具がフィルム包装された包装体であって、該フィルムが下記の複合フィルム(1)からなり、且つ、周囲に開放部を有する保持具包装体。
複合フィルム(1):2軸延伸ポリプロピレン層とプロピレンランダム共重合体層とからなる積層フィルムのプロピレンランダム共重合体層面に水性インキによる印刷を施し、次いで積層フィルムの印刷面とポリプロピレン系易ヒートシール性フィルムとを熱圧着することにより得られるフィルム。 - 下記の複合フィルム(2)を用いて請求項1に記載の保持具包装体を集積包装してなる集積包装体。
複合フィルム(2):2軸延伸ポリプロピレン層とプロピレンランダム共重合体層とからなる積層フィルムのプロピレンランダム共重合体層面とポリプロピレン系易ヒートシール性フィルムとを熱圧着することにより得られるフィルム。 - 少なくとも片面の複合フィルム(1)がエンボスされた複合フィルムである請求項1に記載の保持具包装体。
- 少なくとも片面の複合フィルム(1)がエンボスされた複合フィルムである請求項2に記載の集積包装体。
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JP2003034674A JP2004244047A (ja) | 2003-02-13 | 2003-02-13 | 保持具包装体およびその集積包装体 |
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JP2017052126A (ja) * | 2015-09-08 | 2017-03-16 | 大日本印刷株式会社 | 積層フィルム、包装袋及び積層フィルムの製造方法 |
-
2003
- 2003-02-13 JP JP2003034674A patent/JP2004244047A/ja active Pending
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