JP2004243092A - 三輪式歩行補助器 - Google Patents

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Abstract

【課題】痛風、リウマチ、変形性関節炎などの激痛を伴う関節痛や、先天的な障害をもつ歩行障害者が、一般道路上を安全に長時間歩行することを可能にし、バスや電車などを使用した移動にも、折りたたんで自力で容易に携行できる歩行補助器を歩行障害者に提供すこと。
【解決手段】歩行障害者の歩行を補助する歩行補助器において、使用者の体重を支える左右の脇当てと、半分に折りたたみが可能な小型軽量の車体、車体を支えるキャスター式前輪および左右の固定式後輪、路面の凹凸や傾斜に対応するための左右の揺動兼緩衝装置およびブレーキ装置、そして、高さ調節機能を備えた、携行性と走行性能に優れた三輪式歩行補助器である。

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本願発明は、歩行障害者の歩行を補助する歩行補助器に関するものである。
特に、歩行障害者が、一般道路上を自力で安全に長時間歩行することを可能にし、自動車、バス、電車などを使用した移動にも、折りたたんで容易に携行できる歩行補助器に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来の歩行補助器は、1)買い物カート式歩行器、2)肘掛式歩行器、3)杖、4)松葉杖、5)車椅子、に大別される。歩行障害者の歩行において、補助器によって脚にかかる自重を分散させることは有効である半面、1)〜3)の既存歩行補助器は、何れも腕の力によって自重を支えるという考え方に基づいており、充分な脚への負荷の軽減と長時間歩行を可能にするようには設計されていない。さらに、この内、2)肘掛式歩行器は、病院内でのリハビリテーション用に設計されているため、一般道路の凹凸や路面の傾斜への対応、公共の乗り物を使用する場合の携行性が考慮されていない。また、4)松葉杖は安定性が悪く、歩行に上半身の筋力を要するため、体力の落ちた老人や複数の障害を併せ持つ者には使用が困難である。さらに、5)車椅子も重く携行性が悪いのみならず、一旦車椅子を使用してしまうと、疾患部の筋肉が急速に萎縮して再生不能になるだけでなく、問題の無い側の足までもが衰え再度自力で歩行できなくなる危険性が極めて高い。安易な車椅子の使用が近年医学界においても問題視されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
歩行には、自重の約三倍の負荷が膝にかかるが、痛風、リウマチ、加齢に伴う変形性関節炎など、激痛を伴う深刻な関節痛に悩む老人は自分の体重を支えることが難しくなる。また、事故や先天的な障害をもつ、切羽詰った日常の問題を抱えた歩行障害者が、長時間使用し、安心して電車やバスなどを気兼ね無く利用できるような使い勝手の良い歩行補助器が整っていない。
【0004】
本願発明は、歩行障害者の歩行を補助する歩行補助器に関するものである。
【0005】
<イ>具体的課題其の一は、歩行障害者の歩行時の腰、脚部への体重負荷を軽減し、長時間の歩行を可能にすることである。本願発明は、歩行障害者の歩行をし易くする歩行補助器を提供することにより、歩行障害者が活動的で健康な日常生活を実現することを目的とする。
【0006】
<ロ>具体的課題其の二は、他人の力を借りること無く、自らの力で外出し、公共の乗り物をも利用できるようにすることである。本願発明は、小型軽量で携帯性が高い歩行補助器を歩行障害者に提供することにより、歩行障害者が自らの力での外出を実現することを目的とする。
【0007】
<ハ>具体的課題其の三は、路面に多少の凹凸や左右の傾斜があっても、衝撃や傾斜の体への伝達を最小限に抑えることにより、体勢を保ち、転倒すること無く安全な走行を可能にすることである。本願発明は、路面の凹凸や左右の傾斜にも対応できる、安全性と走行性能に優れた歩行補助器を提供することを目的とする。
【0008】
<二>具体的課題其の四は、坂道において、歩行補助器が後退またはスピードが出過ぎることを防ぐ機能を持たせることである。本願発明は、体力の衰えた者でも安全に制動させることができる、安全性と走行性能に優れた歩行補助器を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明の1項は、歩行障害者の自重を脇の下で支えることにより、腰や脚への負荷を最小限に抑えるとともに、車体を三輪で支え、歩行補助器に全ての体重を預け、半ばぶら下がりの状態でも倒れない安定性を備え持つものである〔図4〕。
【0010】
本発明の2項は、前記1項に記載の歩行補助器において、三輪の前部車輪から左右に広がる車体を、折りたたみジョイント107を基点に二つに折りたたみ、持ち運びを容易にするものである(図3−b、d参照)。
【0011】
本発明の3項は、前記1項に記載の歩行補助器において、左右の脇当て101とグリップ部分103の間に揺動兼緩衝装置102を備えており、路面の衝撃を吸収するとともに、左右への路面の傾斜に対応し、体のバランスを維持する機能を備えているものである。
【0012】
本発明の4項は、前記1項に記載の歩行補助器において、グリップ部分103にブレーキ作動レバー104がついており、手でブレーキ・レバーを握ることにより歩行補助器の走行速度を制御したり、静止させたりする機能を備えていることである。
【0013】
【発明の作用】
<イ>歩行障害者が自らの体重を完全に脇の下で支え、ぶら下がった状態で、痛みを伴う脚の関節に負荷をかけること無く、後ろ蹴りをする事による歩行が可能となるものである。従来の歩行補助器のように腕の力を要さず、体力の衰えた者でも、安全に長時間の走行を可能にする。また、キャスター式の前輪108を装備しているため、容易な方向転換を可能とする。
【0014】
<ロ>車椅子に比べて大幅に軽量化かつ小型化が可能であるうえ、三輪の前部車輪108を基点として二つに折りたたむことが可能であるため、電車やバスなどの乗り物を使用する場合にもかさばらず、歩行障害者が他人に気兼ね無く、自らの力で外出し、無理なく携行することを可能にする。
【0015】
<ハ>左右の脇当て101とグリップ部分103の間に揺動兼緩衝装置102を備えているため、路面に多少の凹凸や左右への傾斜がある場合でも、衝撃を和らげ、また、路面の傾斜の体への伝達を最小限に抑えることにより、体勢を保ち、転倒すること無く安全な走行を可能にする。路面に傾斜がある場合、体は無意識のうちに平地に対して垂直を保とうとするが、本願発明は、歩行補助器使用時もこの体勢の立て直し動作を可能にする機能を持たせることにより、傾斜した路面においても常に体のバランスを崩すこと無く円滑な歩行を可能にする。
【0016】
<二>グリップ部分103のブレーキ作動レバー104を握ることにより歩行補助器の歩行速度を制御または停止可能であるため、体力の衰えた者でも、坂道において歩行補助器の後退やスピードの出過ぎを制御可能にする。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、図面に基づいて、本願発明による三輪式歩行補助器の実施の形態を説明する。
【0018】
<イ>車体
車体は、使用者を支持するもので、左右の脇当て101、左右のグリップ103、脇当てとグリップの間に左右の揺動兼緩衝装置102、車体の高さを調節する左右の調節レバー105を備えている。車体106は、車体を支えるキャスター式前輪上部の折りたたみジョイント107を基点として、左側の車体と右側の車体を開閉することが出来る。使用する時は、開いた状態で内部に利用者が入って歩行し、使用しない時は折りたたんで携行することができる。歩行補助器の総車重は5〜7kg程度とし、幼児用三輪車と同等の軽量設計が望ましい。
【0019】
<ロ>脇当て
脇当て101は、歩行者の左右の脇の下に入れて身体を支持するもので、左右の車体フレーム106上部に取り付けられる。より安全性を保つため、脇当ての前後両先端部分を膨らませ、前後からの脇の脱落を予防する事が望ましい。
【0020】
<ハ>高さ調節レバー
脇当て101の高さは、使用者の身長に合わせて調節が可能である。高さ調節レバー105をゆるめ、脇当ての高さを調節後、再度高さ調節レバー105を締めることにより脇当ての高さを固定する。身長120cm程度の小学校低学年の子供から170cm程度の大人までの使用を可能にするため、地面から脇当てまでの高さが90cmから130cmまで、±40cmの範囲で調節可能であることが望ましい。
【0021】
<二>グリップ
グリップは、左右のグリップ103からなる。使用者が三輪歩行補助器を把持し、バランスを取るのに利用する。脇当て101からグリップ103の間隔は35cm程度に設定するのが望ましい。
【0022】
<ホ>揺動兼緩衝装置
揺動兼緩衝装置102は、左右の脇当て101とグリップ103の間に位置し、路面の凹凸による衝撃や左右方向への傾斜の体への伝達を最小限に抑える。油圧式、空圧式、もしくはバネ式が考えられるが、いずれの場合も初期反発力が小さく柔軟性の高い設定が望ましい。
【0023】
<ヘ>ブレーキとブレーキレバー
ブレーキ104は、車輪に制動力をかけるものであり、両後輪109を制動する。ブレーキ104は、グリップ103に装着されたブレーキレバー104を握る事により、ブレーキワイヤーを通じて作動する。
【0024】
<ト>車輪
三輪で車体を支持する。車輪108、109は、路面の凹凸や段差に起因する転倒を防止し、かつ、走行性を向上させるために、直径15cmから30cmの大きめかつ、車輪幅3cmから5cmの太めのものが望ましい。前輪108はキャスター式になっており、後ろ蹴りの方向により推進方向を自由に変えることができる。左右の後部109は、歩行補助器が路面の影響を受けて意図しない方向に進むことを避けるため、固定式とする。
【0025】
【発明の効果】
<イ>具体的効果其の一は、歩行障害者が、三輪で支えられた安定性の高い歩行補助器に全ての体重を預け、半ばぶら下がりの状態で歩行することにより、痛んだ腰や脚関節への体重負荷を最小化し、長時間の歩行を可能にするものである。
【0026】
<ロ>具体的効果其の二は、折りたたみができ、小型・軽量で携帯性が高い歩行補助器を歩行障害者に提供することにより、歩行障害者が他人の力を借りること無く外出し、公共の乗り物をも自らの力で利用できるようにするものである。
【0027】
<ハ>具体的効果其の三は、凹凸や左右への傾斜がある路面においても、揺動兼緩衝装置により、衝撃を緩和すると共に、体のバランスを維持して転倒を防止する、安全性と走行性能に優れた歩行補助器を提供するものである。
【0028】
<二>具体的効果其の四は、坂道において、歩行補助器が後退またはスピードが出過ぎることを防ぐ制動機能を持たせることにより、体力の衰えた者でも安全に制動させることができる、全性と走行性能に優れた歩行補助器を提供するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】全体構造を示す斜視図
【図2】全体構造を示す側面図および側面開閉図
【図3】全体構造を示す正面および上面の開閉図
【図4】全体構造を示す使用イメージ図
【図5】折りたたみ構造を示す前輪部分上面および正面図
【符号の説明】
101 脇当て 106 車体フレーム
102 揺動兼緩衝装置 107 折りたたみジョイント
103 グリップ 108 キャスター式前輪
104 ブレーキ・レバー 109 固定式後輪
105 高さ調節レバー

Claims (4)

  1. 歩行障害者の歩行を補助する歩行補助器において、歩行者の自重を歩行者自身の左右の脇の下で支える脇当てをもち、かつ三輪の車輪を備えていることを特徴とする立位移動を可能にする歩行補助器。
  2. 請求項1に記載の歩行補助器において、
    三輪の前部車輪を基点として左右に広がる車体を、前部車輪を基点に二つに折りたたむことが可能であり、携行性が高いことを特徴とする歩行補助器。
  3. 請求項1に記載の歩行補助器において、
    左右の脇当てとグリップ部分の間に揺動兼緩衝装置を有し、路面の衝撃を吸収するとともに、左右への路面の傾斜に対応し、体のバランスを保つ機能を備えていることを特徴とする歩行補助器。
  4. 請求項1に記載の歩行補助器において、
    グリップ部分にブレーキ作動レバーがついており、手でブレーキ・レバーを握ることにより走行速度を制御したり、静止させたりする機能を備えていることを特徴とする歩行補助器。
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