JP2004242585A - Rna断片を用いたオリゴヌクレオチドによる自己集合体の形成方法、自己集合体及び遺伝子の検出方法 - Google Patents
Rna断片を用いたオリゴヌクレオチドによる自己集合体の形成方法、自己集合体及び遺伝子の検出方法 Download PDFInfo
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Abstract
【課題】EIAによる測定のように特殊な機械や試薬を用いず、標的RNAから適切なRNA断片を合成して、効率良くオリゴヌクレオチドによる自己集合体を形成させる方法、及びその自己集合体の形成方法によって形成された自己集合体、並びにその自己集合体の形成方法を利用して、低コストで簡便に特定の遺伝子を検出する方法を提供する。
【解決手段】標的RNAの所定の領域に隣接して結合するように構成された切断用プローブ及びRNA分解酵素を用いて、前記標的RNAから前記所定の領域を含むRNA断片を合成し、該合成されたRNA断片を用いたオリゴヌクレオチドの自己集合反応によりオリゴヌクレオチドによる自己集合体を形成するようにした。
【選択図】 図1
【解決手段】標的RNAの所定の領域に隣接して結合するように構成された切断用プローブ及びRNA分解酵素を用いて、前記標的RNAから前記所定の領域を含むRNA断片を合成し、該合成されたRNA断片を用いたオリゴヌクレオチドの自己集合反応によりオリゴヌクレオチドによる自己集合体を形成するようにした。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、RNA断片を用いたオリゴヌクレオチドによる自己集合体の形成方法、形成された自己集合体、及びそれを利用した遺伝子の検出方法に関する。
【0002】
【関連技術】
近年、微量のターゲット遺伝子の検出を目的に遺伝子を増幅する各種遺伝子増幅法が開発されている。中でも耐熱性核酸合成酵素を使用するPolymerase chain reaction 法(例えば、特許文献1及び2参照。以下、PCR法と称する。)や耐熱性核酸連結酵素を使用するLigase chain reaction 法(例えば、特許文献3参照。以下、LCR法と称する。)、及び、鎖置換型核酸合成酵素を使用するStrand Displacement Amplification 法(例えば、特許文献4参照。以下、SDA法と称する。)やIsothermal and Chimeric primer−initiated Amplification of Nucleic acids法(例えば、特許文献5参照。以下、ICAN法と称する。)はそれぞれ核酸を合成する酵素の特徴を利用して開発された遺伝子の増幅法である。
【0003】
これらの遺伝子増幅法は、遺伝子の特定部位のみを繰り返し複製する反応であり、その特定部位からなる遺伝子断片が増幅されるものである。そのため遺伝子増幅法による増幅産物は直鎖状の遺伝子の断片であるため、簡便に検出することが困難であり、現在市販されている遺伝子診断キットにおける遺伝子の検出法においては、主にEIA(エンザイム・イムノ・アッセイ)との組み合わせによる検出、又は、あらかじめ蛍光物質を遺伝子に標識して標的遺伝子を検出している。
【0004】
しかし、EIAや蛍光物質を遺伝子に標識した測定では、特殊な機械と試薬が必要であり、操作も煩雑で判定するまでに1時間以上の時間を要しており、既存の遺伝子増幅法により増幅された遺伝子を簡便かつ安価で検出可能な方法が望まれていた。
【0005】
一方、本発明者らは、酵素を使用しない新規な等温核酸増幅法(プローブ自己集合体の作製方法)を既に提案した(例えば、特許文献6〜8参照。)。この方法は、3個所の領域から構成される一対のプローブ(HoneyComb Probe、以下、HCPと称する。)を用いる方法であり、第1プローブと第2プローブの各々の3個所の領域は互いに相補的な塩基配列を有し、両者を反応させた場合、領域の1個所のみとハイブリダイズする様に各領域の塩基配列を工夫したものである。この工夫により、複数の一対のプローブを反応させた場合、互いにハイブリダイズしてプローブの自己集合体を形成させることができる(Probe alternation link self−assembly reaction、以下、PALSAR法と称する。)。
【0006】
【特許文献1】
米国特許第4,683,195号公報
【特許文献2】
米国特許第4,683,202号公報
【特許文献3】
米国特許第5,792,607号公報
【特許文献4】
特公平7−114718号公報
【特許文献5】
国際公開第00/56877号パンフレット
【特許文献6】
米国特許第6,261,846号公報
【特許文献7】
特許第3267576号公報
【特許文献8】
欧州特許出願公開第1,002,877A号明細書
【特許文献9】
国際公開第92/20702号パンフレット
【非特許文献1】
Koshkin AA et al. Tetrahedron 1998.54,3607−3630.
【非特許文献2】
Koshkin AA et al. J. Am. Chem. Soc. 1998.120,13252−13253.
【非特許文献3】
Wahlestedt C et al. PNAS. 2000.97,5633−5638.
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
上記した従来技術の現状に鑑み、本発明者らは、さまざまなオリゴヌクレオチドの自己集合体の形成方法について研究を重ねてきた。その結果、遺伝子増幅反応により増幅されたオリゴヌクレオチドを自己集合体の形成のためのオリゴヌクレオチドとして利用することを見出した。
【0008】
しかしながら、既存の遺伝子増幅法で増幅されたRNAの増幅産物は、長鎖であり、自己集合体形成のためのオリゴヌクレオチド・プローブとして用いることが困難であった。本発明者らは、この長鎖RNA増幅産物を、自己集合体を形成することが可能な領域のみを有するように適切な長さに切断し、自己集合体形成の効率を高めるべく、鋭意研究を重ねた結果、本発明に到達したものである。
【0009】
本発明は、EIAによる測定のように特殊な機械や試薬を用いず、標的RNAから適切なRNA断片を合成して、効率良くオリゴヌクレオチドによる自己集合体を形成させる方法、及びその自己集合体の形成方法によって形成された自己集合体、並びにその自己集合体の形成方法を利用して、低コストで簡便に特定の遺伝子を検出する方法を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、本発明のRNA断片を用いたオリゴヌクレオチドによる自己集合体の形成方法は、標的RNAの所定の領域に隣接して結合するように構成された切断用プローブ及びRNA分解酵素を用いて、上記標的RNAから前記所定の領域を含むRNA断片を合成し、該合成されたRNA断片を用いたオリゴヌクレオチドの自己集合反応によりオリゴヌクレオチドによる自己集合体を形成することを特徴とする。
【0011】
本発明のオリゴヌクレオチドによる自己集合体の形成方法において、上記切断用プローブがDNAからなり、上記RNA分解酵素としてRNaseHを用いることが好ましい。
【0012】
上記自己集合反応の一例として、互いに相補的な塩基配列領域がn(n≧3)ヶ所の数から構成される一対のオリゴヌクレオチド・プローブ(以下、HCPと称す場合がある)の複数対を用いて、互い違いに交差するようにハイブリダイゼーションさせることにより、オリゴヌクレオチドが自己集合して自己集合体を形成させる自己集合反応を用いることができる。
【0013】
上記一対のオリゴヌクレオチド・プローブの少なくとも一方として、上記n(n≧3)ヶ所の領域を含有するRNA断片を用いることができる。
【0014】
上記一対のオリゴヌクレオチド・プローブの一方が、上記n(n≧3)カ所の領域を含有するRNA断片であり、上記一対のオリゴヌクレオチド・プローブの他方が、予め作製しておいたプローブであることが好適である。
【0015】
上記予め作製しておいたプローブは、DNA、RNA、PNAまたはLNAのいずれかから選ばれる塩基から構成される。該プローブがDNAである場合、DNAとRNAのハイブリッドからなる自己集合体が形成される。
【0016】
上記一対のオリゴヌクレオチド・プローブの複数対の構成は、1対1でハイブリダイゼーションする時に必ずn(n≧3)ヶ所の相補的な部分の中で、一ヶ所ずつが特異的にハイブリダイゼーションするように構成される。
【0017】
上記一対のオリゴヌクレオチド・プローブの複数対の構成が、該塩基配列領域が少なくとも一ヶ所異なるm(m≧2)種の一対のプローブからなるものを用いることができる。
【0018】
上記自己集合反応の別の例として、No.1及びNo.2の一対のオリゴヌクレオチドの各オリゴヌクレオチドを3´側領域、中央領域、及び5´側領域の3つの領域に分け、各オリゴヌクレオチドの中央領域を互いに相補的な塩基配列とし、3´側領域及び5´側領域を互いに非相補的な塩基配列とした複数対のダイマー形成用プローブを含む第1番目の系から第(2n−1)番目(n≧1)の系まで順番にn個形成されたダイマー形成用プローブ含有系と、No.1及びNo.2の一対のオリゴヌクレオチドの各オリゴヌクレオチドを3´側領域及び5´側領域の2つの領域に分け、各オリゴヌクレオチドの3´側領域及び5´側領域を互いに非相補的な塩基配列とした複数対の架橋プローブをそれぞれ含む第2番目の系から第2n番目の系まで順番にn個形成架橋プローブ含有系とを有し、
該架橋プローブを、該ダイマー形成用プローブより形成されるダイマーを架橋することが可能な塩基配列とし、該プローブをハイブリダイゼーションさせることにより、オリゴヌクレオチドが自己集合し、自己集合体を形成させる自己集合反応を用いることができる。
【0019】
上記自己集合体の形成方法の別の例において、n=1の場合、第1の系のダイマープローブと第2の系の架橋プローブの相補的な塩基配列の組み合わせは、2通り存在する。上記n=1の一例として、上記プローブの塩基配列を、第一の系のNo.1−オリゴヌクレオチドの3´側領域と第2の系のNo.1−オリゴヌクレオチドの3´側領域、第1の系のNo.2−オリゴヌクレオチドの5´側領域と第2の系のNo.2−オリゴヌクレオチドの5´側領域、第2の系のNo.2−オリゴヌクレオチドの3´側領域と第1の系のNo.2−オリゴヌクレオチドの3´側領域、第2の系のNo.1−オリゴヌクレオチドの5´側領域と第1の系のNo.1−オリゴヌクレオチドの5´側領域、をそれぞれ相補的な塩基配列としたものを用いることができる。
【0020】
n=1の場合の別の例として、上記プローブの塩基配列を、第1の系のNo.1−オリゴヌクレオチドの3´側領域と第2の系のNo.1−オリゴヌクレオチドの3´側領域、第1の系のNo.2−オリゴヌクレオチドの5´側領域と第2の系のNo.1−オリゴヌクレオチドの5´側領域、第1の系のNo.2−オリゴヌクレオチドの3´側領域と第2の系のNo.2−オリゴヌクレオチドの3´側領域、第1の系のNO.1−オリゴヌクレオチドの5´側領域と第2の系のNo.2の系のNo.2−オリゴヌクレオチドの5´側領域、をそれぞれ相補的な塩基配列としたものを用いることができる。
【0021】
上記自己集合体の形成方法の別の例において、n≧2の場合、第1、第3、・・、第(2n−1)の系のダイマー形成用プローブと第2、第4、・・、第2nの系の架橋プローブの相補的な塩基配列の組み合わせは、2通り存在する。n≧2の場合の1例として、上記プローブの塩基配列を、第(2n−3)番目の系のNo.1−オリゴヌクレオチドの3’側領域と第(2n−2)番目の系のNo.1−オリゴヌクレオチドの3’側領域、第(2n−3)番目の系のNo.2−オリゴヌクレオチドの5’側領域と第(2n−2)番目の系のNo.2−オリゴヌクレオチドの5’側領域、第(2n−2)番目の系のNo.2−オリゴヌクレオチドの3’側領域と第(2n−1)番目の系のNo.2−オリゴヌクレオチドの3’側領域、第(2n−2)番目の系のNo.1−オリゴヌクレオチドの5’側領域と第(2n−1)番目の系のNo.1−オリゴヌクレオチドの5’側領域、ダイマー形成用プローブの最後の系のNo.1−オリゴヌクレオチドの3’側領域と架橋プローブの最後の系のNo.1−オリゴヌクレオチドの3’側領域、ダイマー形成用プローブの最後の系のNo.2−オリゴヌクレオチドの5’側領域と架橋プローブの最後の系のNo.2−オリゴヌクレオチドの5’側領域、架橋プローブの最後の系のNo.2−オリゴヌクレオチドの3’側領域と第1番目の系のNo.2−オリゴヌクレオチドの3’側領域、架橋プローブの最後の系のNo.1−オリゴヌクレオチドの5’側領域と第1番目の系のNo.1−オリゴヌクレオチドの5’側領域、をそれぞれ相補的な塩基配列としたものを用いることができる。
【0022】
n≧2の場合の別の例として、上記プローブの塩基配列を、第(2n−3)番目の系のNo.1−オリゴヌクレオチドの3’側領域と第(2n−2)番目の系のNo.1−オリゴヌクレオチドの3’側領域、第(2n−3)番目の系のNo.2−オリゴヌクレオチドの5’側領域と第(2n−2)番目の系のNo.2−オリゴヌクレオチドの5’側領域、第(2n−2)番目の系のNo.2−オリゴヌクレオチドの3’側領域と第(2n−1)番目の系のNo.2−オリゴヌクレオチドの3’側領域、第(2n−2)番目の系のNo.1−オリゴヌクレオチドの5’側領域と第(2n−1)番目の系のNo.1−オリゴヌクレオチドの5’側領域、ダイマー形成用プローブの最後の系のNo.1−オリゴヌクレオチドの3’側領域と架橋プローブの最後の系のNo.1−オリゴヌクレオチドの3’側領域、ダイマー形成用プローブの最後の系のNo.2−オリゴヌクレオチドの5’側領域と架橋プローブの最後の系のNo.1−オリゴヌクレオチドの5’側領域、架橋プローブの最後の系のNo.2−オリゴヌクレオチドの3’側領域と第1番目の系のNo.2−オリゴヌクレオチドの3’側領域、架橋プローブの最後の系のNo.2−オリゴヌクレオチドの5’側領域と第1番目の系のNo.1−オリゴヌクレオチドの5’側領域、をそれぞれ相補的な塩基配列としたものを用いることができる。
【0023】
上記ダイマー形成用プローブ及び架橋プローブの少なくとも一つとして、上記RNA断片を用いることができる。
【0024】
上記ダイマー形成用プローブ及び架橋プローブの少なくとも一つが、上記RNA断片であり、且つ上記ダイマー形成用プローブ及び架橋プローブの少なくとも一つが、予め作製しておいたプローブであることが好ましい。
【0025】
上記架橋プローブの少なくとも一つとして、上記架橋プローブの2つの領域を含有するRNA断片を用いることが好ましい。
【0026】
上記予め作製しておいたプローブは、DNA、RNA、PNAまたはLNAのいずれかから選ばれる塩基から構成される。該プローブにDNAが含まれる場合、DNAとRNAのハイブリッドからなる自己集合体が形成される。
【0027】
上記プローブのハイブリダイゼーションとして、あらかじめ上記ダイマー形成用プローブからダイマーを形成させた後、上記架橋プローブと該ダイマーをハイブリダイゼーションさせることが好ましい。
【0028】
上記複数対のダイマー形成用プローブは、前記中央領域の異なるm(m≧2)種のダイマー形成用プローブを用いることができる。
【0029】
上記一対のダイマー形成用プローブの3’側領域及び/又は5’側領域を互いに同一な塩基配列とすることができる。
【0030】
上記HCP、ダイマー形成用プローブ及び架橋プローブのような自己集合反応に用いられるオリゴヌクレオチド・プローブ(以下、単にプローブと称する場合がある。)の相補的塩基配列領域の端部に、少なくとも1つのG(グアニン)またはC(シトシン)を配置させ、上記プローブがハイブリダイズした際に少なくとも1つのG−C結合を相補的塩基配列領域の端部に形成させることにより、塩基の積み重ね(stacking of base)により塩基のπ電子の特殊な相互作用を生じさせ、より安定したオリゴヌクレオチドによる自己集合体を形成させることができる。
【0031】
上記標的RNAとして、遺伝子増幅反応により合成されたRNAを用いることができる。
【0032】
上記遺伝子増幅反応及び上記遺伝子増幅反応において増幅されるターゲット遺伝子は、特に限定されないものである。上記遺伝子増幅反応において増幅されるターゲット遺伝子としては、DNA及び/又はRNAを用いることができる。例えば、一本鎖のRNAやDNA、二本鎖のDNA及び/又はRNA等が好適に用いられる。また、上記遺伝子増幅反応において増幅されるターゲット遺伝子に1塩基多型を用いることができる。
【0033】
上記遺伝子増幅反応に、核酸合成酵素を使用することができる。上記核酸合成酵素としては、特に限定されないが、例えば、耐熱性核酸合成酵素、DNA合成酵素、及びRNA合成酵素等が好適に用いられる。
【0034】
また、上記遺伝子増幅反応に、逆転写酵素を使用することができる。上記逆転写酵素としては、特に限定されないが、例えば、RNA依存DNA合成酵素活性に加え、DNA依存DNA合成酵素活性を併せ持つもの、あるいはRNA依存DNA合成酵素活性に加え、DNA依存DNA合成酵素活性及びRNaseH活性を併せ持つものが好適に用いることができる。
【0035】
上記標的RNAとして、DNAあるいはRNA合成酵素、逆転写酵素及びRNaseHを用いた遺伝子増幅反応により合成されたものが用いられる。
【0036】
上記遺伝子増幅反応が、一対の増幅用プローブの少なくとも一方の5’末端にプロモーター領域を含有する該一対の増幅用プローブ、逆転写酵素、RNaseH及びRNA合成酵素を用いてRNAを増幅する反応であることが好ましい。
【0037】
上記遺伝子増幅反応に用いる増幅用プローブ(以下、プライマーと称することもある。)が、DNA、RNA、及びDNAとRNAから構成されるキメラ型、のいずれかから選ばれ、且つRNA増幅を可能にし得る増幅用プローブであることが好ましい。
【0038】
本発明の自己集合体は、上記本発明のオリゴヌクレオチドによる自己集合体の形成方法を用いて形成されるものである。
【0039】
上記自己集合体として、RNAとDNAのハイブリッドからなる自己集合体を形成することが可能である。
【0040】
本発明の遺伝子の検出方法は、上記本発明のオリゴヌクレオチドによる自己集合体の形成方法を用いて自己集合体を形成させ、形成された上記自己集合体を検出することにより、上記標的RNAを検出することを特徴とする。標的RNAとして、ターゲット遺伝子を遺伝子増幅反応により増幅した増幅RNA産物を用いた場合、上記自己集合体を検出することにより、ターゲット遺伝子を検出することが可能である。
【0041】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明するが、図示例は例示的に示されるもので、本発明の技術思想から逸脱しない限り種々の変形が可能なことはいうまでもない。
【0042】
図1は、本発明のオリゴヌクレオチドによる自己集合体の形成方法の第1の態様の手順の大略を示すフローチャートである。図2は、本発明のオリゴヌクレオチドによる自己集合体の形成方法の第2の態様の手順の大略を示すフローチャートである。
【0043】
図1に示すように、まず、標的RNAの所定の領域に隣接して結合するように構成された切断用プローブを準備し(ステップ102)、この切断用プローブ及びRNA分解酵素を用いて、標的RNAから所定の領域を含むRNA断片を合成し(ステップ104)、このRNA断片と自己集合体を形成するようなオリゴヌクレオチド・プローブを添加し、合成されたRNA断片及び該プローブを用いた自己集合反応により(ステップ106)、オリゴヌクレオチドによる自己集合体を形成することができる。
【0044】
また、図2に示すように、ターゲット遺伝子から遺伝子増幅反応によりRNAを合成し(ステップ100)、合成されたRNAを上記標的RNAとして用いて、自己集合体を形成することができる。
【0045】
上記切断用プローブを構成する核酸は、特に限定されないが、DNA又はRNAで構成されていることが好ましい。
【0046】
上記切断用プローブとして、DNAからなるプローブを用いる場合、上記RNA分解酵素としてRNaseHを用いて標的RNAからRNA断片を合成することができる。まず、切断用DNAプローブを標的RNAに結合させ部分的にDNA−RNAハイブリッドを形成させ、RNaseHにより該DNA−RNAハイブリッドのRNA鎖を切断してRNA断片を合成することができる。
【0047】
また、上記切断用プローブとしてRNAからなるプローブを、RNA分解酵素として二本鎖のRNAを特異的に分解するRNaseIII等のRNアーゼを用いて、切断用RNAプローブを標的RNAに結合させ部分的に二本鎖のRNAを形成させ、上記RNアーゼにより該二本鎖のRNAを切断してRNA断片を合成することも可能である。
【0048】
上記添加されるオリゴヌクレオチド・プローブや切断用プローブを構成する核酸は、通常DNA又はRNAで構成されるが、核酸類似体でも構わない。核酸類似体として、たとえば、ペプチド核酸(PNA、例えば、特許文献9参照。)やLocked Nucleic Acid(LNA、例えば、非特許文献1〜3参照。)が挙げられる。また、一対のオリゴヌクレオチド・プローブは、通常、同じ種類の核酸で構成されるが、たとえばDNAプローブとRNAプローブが一対になっても差し支えない。即ち、プローブの核酸の種類はDNA、RNAまたは核酸類似体(たとえばPNAやLNA等)から選択することができる。又、一つのプローブ内での核酸組成は一種類、たとえばDNAのみから構成される必要はなく、必要に応じて、たとえば、DNAとRNAから構成されるオリゴヌクレオチド・プローブ(キメラプローブ)を使用することも可能であり、本発明に含まれる。
【0049】
オリゴヌクレオチド・プローブの各相補的塩基配列領域の長さは、塩基数にして、少なくとも5塩基であり、好ましくは10〜100塩基、さらに好ましくは15〜50塩基である。
【0050】
これらプローブは公知の方法により合成することができる。たとえばDNAプローブの場合、アプライドバイオシステムズ社(Applied Biosystem Inc.)のDNAシンセサイザー394型を用いて、ホスホアミダイド法により合成することができる。また、別法としてリン酸トリエステル法、H−ホスホネート法、チオホスホネート法等があるが、いかなる方法で合成されたものであってもよい。
【0051】
使用するオリゴヌクレオチド・プローブの本数は特に限定されないが、102〜1015本の範囲で用いられる。反応緩衝液の組成、濃度は特に限定されず、核酸増幅に常用される通常の緩衝液が好適に使用できる。pHも常用の範囲で好適であり、好ましくはpH7.0〜9.0の範囲のものが使用できる。反応温度は40〜80℃、好ましくは55〜75℃である。
【0052】
図3は、PALSAR法による一対のHCP(No.1プローブ及びNo.2プローブ)を用いた自己集合反応の一例を示す模式図である。同図において、No.1プローブは、X1領域、X2領域及びX3領域を有し、No.2プローブは、X1’領域、X2’領域及びX3’領域を有している[図3(a)]。このNo.1プローブとNo.2プローブは、両者をハイブリダイゼーションさせたとき、X1領域はX1’領域とだけ結合し、X2領域はX2’領域とだけ結合し、X3領域はX3’領域とだけ結合するような構成とされており、3つの結合パターンで一対のプローブが互い違いにハイブリダイゼーションする。[図3(b)]。
【0053】
3つの結合パターンで互い違いにハイブリダイゼーションした一対のHCPの複数対は、図3(c)に模式的な一例を示したように、PALSAR法の原理に従い、オリゴヌクレオチドの自己集合反応により、二本鎖の自己集合体を形成させることができる。
【0054】
図3は、相補的な塩基配列領域が3箇所からなるHCPについて説明したが、相補的な塩基配列領域を4箇所以上有するHCPを用いた場合についても同様に自己集合反応により自己集合体を形成させることができる。
【0055】
図4は、PALSAR法によるダイマー形成用プローブ及び架橋プローブを用いた自己集合反応の一例を示す模式図である。図4に示した如く、第1の系の一対のダイマー形成用プローブは、一対のオリゴヌクレオチドを3つの領域に分け、中央領域を互いに相補的な領域とするとともに、3’側領域及び5’側領域を互いに非相補的な塩基配列とし、ダイマープローブを形成する[図4(a)]。第2の系の一対の架橋プローブは、一対のオリゴヌクレオチドを3’側領域及び5’側領域の2つの領域に分け、各領域を互いに非相補的な塩基配列とし、3’側領域は、ダイマー形成用プローブの3’側領域と、5’側領域はダイマー形成用プローブの5’側領域と、それぞれ相補的な塩基配列とする[図4(b)]。第1の系のダイマープローブに対して、第2の系の架橋プローブが架橋するようにハイブリダイゼーションさせることにより、オリゴヌクレオチドが自己集合し、二本鎖の自己集合体を形成する[図4(c)]。
【0056】
図5は、PALSAR法によるダイマー形成用プローブと架橋プローブを用いた自己集合反応の別の例を示す模式図である。ダイマー形成用プローブと架橋プローブの5’側領域及び3’側領域の相補的領域の組み合わせとしては、図4の組み合わせを図5に示した如く変更することも可能である。
【0057】
図4及び図5において、第1の系からなるダイマー形成用プローブと第2の系からなる架橋プローブを用いた自己集合反応について説明したが、第1、3、・・(2n−1)の系からなるダイマー形成用プローブと第2、4、・・2nの系からなる架橋プローブを用いた自己集合反応により自己集合体を形成させることもできる。
【0058】
以下に、本発明の自己集合体の形成方法について図6〜図9を参照して更に具体的に説明する。
【0059】
図6及び図7は、本発明の自己集合体の形成方法の工程順の第1の例を示す概略説明図であり、図6は上記ステップ104、図7は上記ステップ106についてそれぞれ示したものである。第1の例は、標的RNAとして、遺伝子増幅反応により増幅された長鎖RNA増幅産物を用いた。また、切断用プローブとして2種のDNAプローブを用い、RNA分解酵素としてRNaseHを用いた。
【0060】
まず、長鎖RNA増幅産物の自己集合反応に用いる所定の領域の5’末、3’末にそれぞれ隣接した部位に相補的な配列をもつ2種の切断用DNAプローブを準備し(ステップ102)、図6に示した如く、該切断用DNAプローブを該長鎖RNA増幅産物[図6(a)]とアニーリングさせる[図6(b)]。ここで部分的にできたRNA−DNAハイブリッドのRNA部位は、RNaseHの作用により切断される[図6(c)]。これにより自己集合体形成に適した鎖長のRNA断片が形成される[図6(d)](ステップ104)。
【0061】
上記形成されたRNA断片に対して自己集合体を形成するようなオリゴヌクレオチド・プローブを添加し、PALSAR法の原理に従い、自己集合反応により(ステップ106)、自己集合体を形成させることができる。
【0062】
上記自己集合反応(ステップ106)として、例えば、図7に示した如く、HCPを用いた自己集合反応を利用することができる。まず、合成されたRNA断片を3箇所以上に分け[図7(e)]、一対のHCPの一方(RNA−HCP)として用いる。図7(f)に示した如く、該RNA−HCPの各領域(X、Y及びZ領域)に対して相補的な領域(X’、Y’及びZ’領域)を有するオリゴヌクレオチド・プローブを別に用意しておき、上記RNA断片合成後の溶液に添加することにより、PALSAR法の原理に従い、オリゴヌクレオチドが自己集合し、二本鎖の自己集合体が形成される[図7(g)]。上記オリゴヌクレオチド・プローブとして、DNAプローブ(DNA−HCP)を用いた場合、上記RNA−HCPとDNA−HCPとがハイブリダイズし、RNAとDNAのハイブリッドからなる自己集合体が形成される。
【0063】
また、上記自己集合反応(ステップ106)において、自らダイマーを形成する一対のダイマー形成用プローブ及び該ダイマー形成用プローブより形成されるダイマーを架橋することが可能な一対の架橋プローブによる自己集合反応を利用することもできる。この場合、合成されたRNA断片を一対のダイマー形成用プローブ及び一対の架橋プローブのいずれか一つとして用い、別に用意した残りのプローブを添加することにより、自己集合体を形成することができる。
【0064】
図8及び図9は、本発明の自己集合体の形成方法の工程順の第2の例を示す概略説明図であり、図8は上記ステップ104、図9は上記ステップ106についてそれぞれ示したものである。第2の例は、標的RNAとして、遺伝子増幅反応により増幅された長鎖RNA増幅産物を用いた。また、切断用プローブとして4種のDNAプローブを用い、RNA分解酵素としてRNaseHを用いた。
【0065】
まず、長鎖RNA増幅産物の自己集合反応に用いる所定領域2箇所の5’末、3’末にそれぞれ隣接した部位に相補的な配列をもつ4種の切断用DNAプローブを準備し(ステップ102)、図8に示した如く、該切断用DNAプローブを該長鎖RNA増幅産物[図8(a)]とアニーリングさせる[図8(b)]。ここで部分的にできたRNA−DNAハイブリッドのRNA部位は、RNaseHの作用により切断される[図8(c)]。これにより自己集合体形成に適した鎖長のRNA断片が2種形成される[図8(d)](ステップ104)。
【0066】
ステップ106において、形成されたRNA断片は、図9に示した如く、2種の一対のHCPの一方(RNA−HCP)[図9(e)]として用いることが可能であり、別に用意した他方のHCPを加えることにより[図9(f)]、自己集合体を形成することができる。上記他方のHCPとして、DNAプローブ(DNA−HCP)を用いた場合、上記RNA−HCPとDNA−HCPとがハイブリダイズし、RNAとDNAのハイブリッドからなる自己集合体が形成される。
【0067】
また、ステップ106において、上記RNA断片をダイマー形成用プローブ及び架橋プローブを用いた自己集合反応に利用することも可能である。例えば、2種のRNA断片を一対の架橋プローブとして用い、別に用意した一対のダイマー形成用プローブ又は該ダイマー形成用プローブから形成されたダイマーを添加し、自己集合体を形成することができる。
【0068】
上記本発明のオリゴヌクレオチドによる自己集合体の形成方法により形成された本発明の自己集合体は、一般的なアガロースゲル電気泳動法等によって、簡単に確認することができる。
【0069】
また、本発明において形成される自己集合体の塩基の積み重ねが規則的な高次構造をとることから、260nmにおける紫外部の吸収帯の強度が減じる「ハイポクロミズム」という淡色効果を発現させて自己集合体の状態を確認することも可能である。
【0070】
さらには、核酸と結合する性質を持った蛍光物質を加え、その蛍光強度の変化から自己集合体の状態を確認することも可能である。例えば、自己集合体は、オリゴヌクレオチドの二本鎖に挿入して蛍光を発する色素を添加し、セフェイド社のI−CORETM(Smart CyclerTM)等を用いて蛍光の発光状態を観察することにより検出可能である。
【0071】
本発明のオリゴヌクレオチドによる自己集合体の形成方法によれば、標的RNAが存在する場合にのみ自己集合体が形成されるため、自己集合体の有無を確認することにより、低コストで簡便に標的RNAを検出することができる。更に、標的RNAが遺伝子増幅反応により増幅されたRNAである場合、自己集合体を検出することにより、増幅されたターゲット遺伝子を検出することができる。
【0072】
本発明において、遺伝子増幅反応により増幅されたRNAを標的RNAとして用いる場合、該遺伝子増幅反応としては、最終的にRNAが増幅される反応であればよく、特に限定されず、公知の方法を用いることができる。また、増幅されるターゲット遺伝子も特に限定されず、DNA及び/又はRNAを用いることができる。具体的には、ターゲット遺伝子としてRNAを用いる例として、例えば、下記図10〜図12に示したようなRNA増幅反応が好適に用いられる。
【0073】
図10〜図12は、本発明において好適に利用されるRNA増幅反応の一例を示す概略説明図である。図10に示した如く、ターゲット遺伝子(RNA)[図10(a)]に相補的な配列をもち、かつ、T7RNAプロモーター領域を含むプライマー1をターゲット遺伝子にアニーリングさせる[図10(b)](ステップ200)。逆転写酵素によりプライマー1は伸張し、その結果、RNA−cDNAハイブリッドができる[図10(c)](ステップ202)。このように、ステップ200及びステップ202は逆転写反応による第1cDNAの合成過程である。次に、ハイブリッドのRNA鎖は、RNaseHにより分解され、一本鎖となる[図10(d)](ステップ204)。さらに、図11に示した如く、この一本鎖cDNAにプライマー2がアニーリングし[図11(e)](ステップ206)、続く逆転写酵素のDNAポリメラーゼ活性により伸張反応が起こり、T7RNAプロモーターを含む2本鎖DNAができる[図11(f)](ステップ208)。
【0074】
次に、この2本鎖となったT7RNAプロモーター領域をT7RNAポリメラーゼが認識し、プライマー2の5’末までのanti−senseRNAを多数合成する[図11(g)](ステップ210)。なお、T7RNAプロモーターを含む1本の鋳型2本鎖DNAから100−1000コピーのanti−senseRNAが産生される。新しく合成された多数のanti−senseRNA[図11(g)]にプライマー2がアニールし[図11(h)](ステップ212)、逆転写酵素によりcDNAが合成される[図12(i)](ステップ214)。このRNA−cDNAハイブリッドのRNA鎖は、RNaseHにより分解され、cDNAは一本鎖となる[図12(j)](ステップ216)。さらに、このcDNAにT7RNAプロモーター配列をもつプライマー1がアニーリングすることで[図12(k)](ステップ218)、逆転写酵素によりプライマー1が伸張し、T7RNAプロモーター領域を含む2本鎖DNAができる[図12(l)](ステップ220)。ステップ210〜ステップ220のサイクルを繰り返すことにより、2本鎖DNAを鋳型として、さらに多数のanti−senseRNAが増幅されていく[図12(m)](ステップ222)。なお、RNaseHは、RNA−DNAハイブリッドのみを基質とするRNA分解酵素のため、一本鎖RNAは分解されないものである。上記RNA増幅反応は、1チューブ内にて一定温度で進行するため、短時間の反応で指数的(>108)に標的RNA anti−sense鎖の合成が可能である。
【0075】
本発明におけるターゲット遺伝子(DNA及び/またはRNA)測定用試料は、該核酸を含む可能性のあるあらゆる試料が適用できる。ターゲット遺伝子は試料より適宜調製または単離したものでもよく、特に限定されない。たとえば、血液、血清、尿、糞便、脳脊髄液、組織液、細胞培養物等の生体由来試料、ウイルス、細菌、カビ等の含有または感染した可能性のある試料等が挙げられる。本発明で用いられる標的RNA測定用試料としては、RNAを含む可能性のあるあらゆる試料が適用できる。標的RNAとしては、例えば、上記したターゲット遺伝子測定用試料中のRNAを上記と同様に用いても良く、また、上記試料中のターゲット遺伝子(DNA及び/またはRNA)を公知の方法で増幅したRNAも使用できる。
【0076】
【実施例】
以下、本発明の実施例を具体的に説明するが、これらの実施例は例示的に示されるもので限定的に解釈されるべきでないことはいうまでもない。
【0077】
以下、実施例において用いたオリゴヌクレオチド・プローブを示す。
[1]プライマー1(前半下線部:T7RNAポリメラーゼのプロモーター配列、後半下線部:HCV RNAの5’−NCRの一部に相補的な配列)
5’−AATTCTAATACGACTCACTATAGGG−GCTCATGGTGCACGGTCTACGA−3’
[2]プライマー2(HCV RNAのcDNAに相補的な配列)
5’−AGCGTCTAGCCATGGCGTTA−3’
[3]切断DNAプローブ1
5’−TGCCTGGAGATTTGGGCGTG−3’
[4]切断DNAプローブ2
5’−CGGAACCGGTGAGTACACCG−3’
[5]RNA−HCP(X−Y−Z)
5’−UUGAGCGGGUUGAUC−CAAGAAAGGACCCGG−UCGUCCUGGCAAUUC−3’
[6]DNA−HCP(X’−Y’−Z’)
5’−GATCAACCCGCTCAA−CCGGGTCCTTTCTTG−GAATTGCCAGGACGA−3’
【0078】
(実験例1及び比較例1)RNAの増幅及び増幅RNAの切断
1.目的
RNA増幅法により増幅したRNAを、RNaseHにより切断し、自己集合体形成に適した鎖長のRNA断片(RNA−HCP)の切り出しを試みた。
【0079】
2.材料
(RNAの増幅工程)
(a)ターゲット遺伝子として、HCV(Hepatitis C virus)のRNAを用いた。
【0080】
(b)HCV RNAの5’−NCR(non coding region)の塩基配列の一部を増幅するためのプライマ−として、5’末端側にT7RNAポリメラーゼのプロモーター配列を含む領域と3’末端側に5’−NCRの一部に相補的な領域の2領域を含むプライマー1及び、HCV RNAのcDNAに相補的な配列からなるプライマー2を設計し用いた。
【0081】
(c)RNA増幅反応を行うに際して、市販のNASBA AMPLIFICATION KIT(TOYOBO社製)の緩衝液(4×反応液;ヌクレオチド、DTT、MgCl2他含、100%DMSO溶液、2M KCl溶液、NASBA水)及び、酵素溶液(AMV−RT、RNaseH、T7RNAポリメラーゼ、BSA含)を用いた。
【0082】
(増幅RNAの切断工程)
(d)増幅したRNAの塩基配列からHCPに適した配列を切り出すため、HCPとして設定した増幅RNA領域の5’末3’末にそれぞれ隣接した増幅RNA部位に相補的な配列をもつ切断DNAプローブ1及び、切断DNAプローブ2を設計し用いた。
【0083】
(e)増幅RNAと切断DNAプローブのアニーリングによりできたRNA−DNAハイブリッドのRNA鎖を分解する酵素としてRNaseH(TaKaRa社製)を用いた。
【0084】
3.方法及び結果
(実験例1−1及び比較例1)
(a)反応液の調製及びRNA増幅反応
実験例1−1では、最終溶液量40μLの反応系において、酵素溶液添加後の終濃度が1×反応溶液、15%DMSO溶液、70mM KCl溶液、0.2μMプライマー1、0.2μMプライマー2となるように調製し、最終溶液量が40μLになるようにNASBA水を加えた。この溶液にターゲット遺伝子となる2×104コピーのHCV RNA(10μL)を加え、サーマルサイクラー(パーキンエルマー社製)を用いて、65℃5分、41℃5分間加熱後、酵素溶液を10μL添加し40μLとした。この溶液をさらに41℃で5分間加熱後、遠心し、最終的に41℃にて90分間反応させた。また、対照として、ターゲット遺伝子の代わりにNASBA水を添加したサンプルも同様に反応させた(比較例1)。
【0085】
(b)アガロースゲル電気泳動
上記実験例1−1及び比較例1で得られたRNA増幅反応後の反応液8μLを、2%Nusieve3:1 agarose gel(Bio Whittaker Moleculer Applications)にて100V、30分間電気泳動を行った。泳動後のゲルはEtBrで染色し、増幅産物を確認した。分子サイズマーカーとして100bpDNA Ladder(Invitrogen)を用いた。
【0086】
実験例1−1及び比較例1の結果を図13に示した。ターゲット遺伝子を添加していないサンプルを泳動した比較例1を実験例1−1と比較すると、実験例1−1においてのみ、プライマ−1とプライマ−2により増幅された特異的なバンドが矢印で示した部位にみられた。
【0087】
(実験例1−2)
(c)増幅RNAの切断
上記実験例1−1で得られたRNA増幅反応後の反応液10μLに、20μM切断DNAプローブ1、及び20μM切断DNAプローブ2をそれぞれ0.25μL、さらにRNaseH(30U)を添加後、60℃1分、37℃40分間反応させ、増幅RNAを切断しRNA断片(RNA−HCP)を切り出した。
【0088】
(d)アガロースゲル電気泳動
上記実験例1−2で得られた切断後の反応液8μLを、4%Nusieve3:1 agarose gel(Bio Whittaker Moleculer Applications)にて100V、30分間電気泳動を行った。また、対照として、RNA増幅反応後のサンプルである実験例1−1も共に泳動した。泳動後のゲルはEtBrで染色し、切断産物を確認した。分子サイズマーカーとして10bpDNA Ladder(Invitrogen)を用いた。
【0089】
実験例1−2及び実験例1−1の結果を図14に示した。実験例1−1と実験例1−2を比較すると、増幅されたRNAに、切断プローブとRNaseHを添加し反応させた実験例1−2において、RNA−HCPを切り出すべく、増幅RNAが切断されていることがわかる。
【0090】
(実験例2、比較例2及び3)RNA/DNAハイブリッド自己集合体の形成
1.目的
RNA−HCPとDNA−HCPを用いた自己集合反応による自己集合体の形成を試みた。
【0091】
2.材料
(a)上記実験例1−2で切り出されるRNA−HCPの塩基配列をもつ45merの合成RNA−HCPと、これと自己集合体形成可能な配列をもつ合成DNA−HCPを設計し用いた。
【0092】
(b)緩衝液として20×SSC溶液(3M NaCl、0.3M C6H5O7Na3・2H2O、pH7.0)を用いた。
【0093】
3.方法
(a)反応液の調製
最終溶液量20μLの反応系において、20×SSC溶液10μL及び、終濃度が1.25μMとなるようにRNA−HCP、DNA−HCPをそれぞれ添加し、最終溶液量20μLとなるようRNase−free水を加えた。
【0094】
(b)自己集合反応
サーマルサイクラー(パーキンエルマ−社製)を用いて、まず94℃30秒で加熱後、各反応液を50℃(実験例2−1)、52℃(実験例2−2)、54℃(実験例2−3)、56℃(実験例2−4)、58℃(実験例2−5)又は60℃(実験例2−6)で1時間反応させ、自己集合反応により自己集合体形成を行った。
【0095】
(c)アガロースゲル電気泳動
上記自己集合反応後の反応液8μLを、0.5%Nusieve3:1 agarose gel(Bio Whittaker Moleculer Applications)にて100V、30分間電気泳動を行った。
【0096】
また、対照として、総溶液量(20μL)の50%量の20×SSC溶液に、DNA−HCPのみを終濃度1.25μMになるように添加し、NASBA水を加えた溶液A(比較例2)、及びRNA−HCPのみを終濃度1.25μMになるように添加し、NASBA水を加えた溶液B(比較例3)を共に泳動した。泳動後のゲルはEtBrで染色し、自己集合体を確認した。分子サイズマーカーとして1kb DNA Extension Ladder(Invitrogen)を用いた。
【0097】
4.結果
実験例2−1〜2−6、比較例2及び比較例3の結果を図15に示した。同図のレーン1〜6(実験例2−1〜2−6)に示された如く、温度依存的に矢印で示した部位に自己集合体が形成されることが示された。これにより、DNA/DNA−HCPの自己集合体形成のみならず、RNA/DNA−HCPの自己集合体形成も可能であることが示された。
【0098】
(実施例1及び比較例4)
1.目的
RNA増幅反応により増幅したRNAを切断しRNA断片(RNA−HCP)を切り出した後、この増幅RNA−HCPと合成DNA−HCPによる自己集合反応により自己集合体形成を行うことにより、ターゲット遺伝子の検出を試みた。
【0099】
2.材料
(a)RNAの増幅工程及び、増幅RNAの切断工程ともに、上記実験例1で用いたターゲット遺伝子、プライマー、NASBA AMPLIFICATION KITの緩衝液及び酵素溶液、切断DNAプローブ並びにRNaseHを用いて行った。
【0100】
(b)上記実験例2で用いたDNA−HCPを用いた。
【0101】
(c)自己集合反応の際、RNaseH阻害剤としてDEPC(diethyl pyrocarbonate、SIGMA社製)を用いた。
【0102】
3.方法
(a)RNA増幅法によるRNAの増幅:反応液の調製及びRNA増幅反応
最終溶液量100μLの反応系において、酵素溶液添加後の終濃度が1×反応溶液、15%DMSO溶液、70mM KCl溶液、0.2μMプライマー1、0.2μMプライマー2となるように調製し、最終溶液量が100μLになるようにNASBA水を加えた。この溶液にターゲット遺伝子となる5×104コピーのHCV RNA(25μL)を加え、サーマルサイクラー(パーキンエルマー社製)を用いて、65℃5分、41℃5分間加熱後、酵素溶液を25μL添加し100μLとした。この溶液をさらに41℃で5分間加熱後、遠心し、最終的に41℃にて90分間反応させた。
【0103】
(b)RNA−HCPの切り出し:増幅RNAの切断
RNA増幅反応後の反応液20μLに、20μM切断DNAプローブ1、及び20μM切断DNAプローブ2をそれぞれ0.25μL、さらにRNaseH(1U)を添加後、60℃1分、37℃40分間反応させ、増幅RNAを切断した。
【0104】
(c)自己集合反応
20×SSC溶液10μL、切断した増幅RNAを含む反応溶液9.5μL、50μM DNA−HCP 0.5μL、及びDEPC 0.2μLを加え、総溶液量20μLとなるようNASBA水を加えた反応液1(実施例1)を調整した。また、対照として、切断した増幅RNAを含む反応溶液9.5μLに、20×SSC溶液を加えた反応液2(比較例4)も共に調製した。
【0105】
上記反応液1及び2をそれぞれサーマルサイクラー(パーキンエルマ−社製)を用いて、94℃30秒、56℃16時間で反応させ、自己集合反応による自己集合体形成を行った。
【0106】
(d)蛍光顕微鏡による観察
上記自己集合反応後の反応液1及び2にそれぞれ0.01mg/mLのEtBrを等量加え、15分後に蛍光顕微鏡(580nm)にて観察した。対照として、これらの透過光下での状態も観察した。実施例1及び比較例4の蛍光顕微鏡による観察結果を図16に示した。
【0107】
4.結果
図16に示した蛍光像を比較すると、実施例1において蛍光下にて自己集合体とみられる粒子が多数観察できた。一方、比較例4では、透過光下及び蛍光下において共に粒子が観察されなかった。
【0108】
以上に示した如く、ターゲットより増幅し切り出したRNA−HCPとDNA−HCPにてRNAとDNAのハイブリッドからなる自己集合体を形成させることができ、これにより、ターゲット遺伝子の検出が可能であることが示された。
【0109】
【配列表】
【0110】
【発明の効果】
以上述べた如く、本発明のオリゴヌクレオチドによる自己集合体の形成方法によれば、EIAによる測定のように特殊な機械や試薬を用いず、標的RNAから適切なRNA断片を合成して、効率良くオリゴヌクレオチドによる自己集合体を形成させることができる。本発明の遺伝子の検出方法により、機械や煩雑な操作を用いずに、低コストで簡便に特定の遺伝子を検出することができる。本発明の自己集合体は、本発明の自己集合体の形成方法により効率的に形成されるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のオリゴヌクレオチドによる自己集合体の形成方法の第1の態様の手順の大略を示すフローチャートである。
【図2】本発明のオリゴヌクレオチドによる自己集合体の形成方法の第2の態様の手順の大略を示すフローチャートである。
【図3】本発明において利用したPALSAR法による一対のHCPを用いた自己集合反応の一例を示す模式図であり、(a)は一対のHCP、(b)はHCPの結合態様の一例、(c)は自己集合体の形成をそれぞれ示す。
【図4】本発明において利用したPALSAR法によるn=1の場合のダイマー形成用プローブ及び架橋プローブを用いた自己集合反応の一例を示す模式図であり、(a)は一対のダイマー形成用プローブ、(b)は一対の架橋プローブ、(c)は自己集合体の形成をそれぞれ示す。
【図5】本発明において利用したPALSAR法によるn=1の場合のダイマー形成用プローブ及び架橋プローブを用いた自己集合反応の別の例を示す模式図であり、(a)は一対のダイマー形成用プローブ、(b)は一対の架橋プローブ、(c)は自己集合体の形成をそれぞれ示す。
【図6】本発明の自己集合体の形成方法の工程順の第1の例におけるステップ104を示す概略説明図であり、(a)は標的RNA、(b)は切断用プローブと標的RNAの結合、(c)はRNA分解酵素によるRNAの分解、(d)はRNA断片の合成をそれぞれ示す。
【図7】本発明の自己集合体の形成方法の工程順の第1の例におけるステップ106を示す概略説明図であり、(e)はRNA断片のHCPの一方としての使用、(f)は他方のHCPの添加、(g)は自己集合体の形成をそれぞれ示す。
【図8】本発明の自己集合体の形成方法の工程順の第2の例におけるステップ104を示す概略説明図であり、(a)は標的RNA、(b)は切断用プローブと標的RNAの結合、(c)はRNA分解酵素によるRNAの分解、(d)はRNA断片の合成をそれぞれ示す。
【図9】本発明の自己集合体の形成方法の工程順の第2の例におけるステップ106を示す概略説明図であり、(e)はRNA断片のHCPの一方としての使用、(f)は他方のHCPの添加、(g)は自己集合体の形成をそれぞれ示す。
【図10】本発明において好適に利用されるRNA増幅反応の一例におけるステップ200〜ステップ204を示す概略説明図であり、(a)はターゲット遺伝子、(b)はターゲット遺伝子へのプライマー1の結合、(c)は逆転写酵素によるcDNAの合成、(d)はRNaseHによるRNAの分解をそれぞれ示す。
【図11】本発明において好適に利用されるRNA増幅反応の一例におけるステップ206〜ステップ212を示す概略説明図であり、(e)は一本鎖cDNAへのプライマー2の結合、(f)は逆転写酵素によるDNAの合成、(g)はRNA合成酵素によるRNAの合成、(h)は合成されたRNAへのプライマー2の結合をそれぞれ示す。
【図12】本発明において好適に利用されるRNA増幅反応の一例におけるステップ214〜ステップ222を示す概略説明図であり、(i)は逆転写酵素によるcDNAの合成、(j)はRNaseHによるRNAの分解、(k)は一本鎖cDNAへのプライマー1の結合、(l)は逆転写酵素によるDNAの合成、(m)はRNA合成酵素によるRNAの合成をそれぞれ示す。
【図13】実験例1−1及び比較例1の2%アガロースゲルを用いた電気泳動法の結果を示す写真である。
【図14】実験例1−1及び実験例1−2の4%アガロースゲルを用いた電気泳動法の結果を示す写真である。
【図15】実験例2−1〜2−6、比較例2及び比較例3の結果を示す写真である。
【図16】実施例1及び比較例4の結果を示す写真であり、(a)は実施例1(蛍光)、(b)は比較例4(蛍光)、(c)は実施例1(透過光)及び(d)は比較例4(透過光)の結果をそれぞれ示す。
【発明の属する技術分野】
本発明は、RNA断片を用いたオリゴヌクレオチドによる自己集合体の形成方法、形成された自己集合体、及びそれを利用した遺伝子の検出方法に関する。
【0002】
【関連技術】
近年、微量のターゲット遺伝子の検出を目的に遺伝子を増幅する各種遺伝子増幅法が開発されている。中でも耐熱性核酸合成酵素を使用するPolymerase chain reaction 法(例えば、特許文献1及び2参照。以下、PCR法と称する。)や耐熱性核酸連結酵素を使用するLigase chain reaction 法(例えば、特許文献3参照。以下、LCR法と称する。)、及び、鎖置換型核酸合成酵素を使用するStrand Displacement Amplification 法(例えば、特許文献4参照。以下、SDA法と称する。)やIsothermal and Chimeric primer−initiated Amplification of Nucleic acids法(例えば、特許文献5参照。以下、ICAN法と称する。)はそれぞれ核酸を合成する酵素の特徴を利用して開発された遺伝子の増幅法である。
【0003】
これらの遺伝子増幅法は、遺伝子の特定部位のみを繰り返し複製する反応であり、その特定部位からなる遺伝子断片が増幅されるものである。そのため遺伝子増幅法による増幅産物は直鎖状の遺伝子の断片であるため、簡便に検出することが困難であり、現在市販されている遺伝子診断キットにおける遺伝子の検出法においては、主にEIA(エンザイム・イムノ・アッセイ)との組み合わせによる検出、又は、あらかじめ蛍光物質を遺伝子に標識して標的遺伝子を検出している。
【0004】
しかし、EIAや蛍光物質を遺伝子に標識した測定では、特殊な機械と試薬が必要であり、操作も煩雑で判定するまでに1時間以上の時間を要しており、既存の遺伝子増幅法により増幅された遺伝子を簡便かつ安価で検出可能な方法が望まれていた。
【0005】
一方、本発明者らは、酵素を使用しない新規な等温核酸増幅法(プローブ自己集合体の作製方法)を既に提案した(例えば、特許文献6〜8参照。)。この方法は、3個所の領域から構成される一対のプローブ(HoneyComb Probe、以下、HCPと称する。)を用いる方法であり、第1プローブと第2プローブの各々の3個所の領域は互いに相補的な塩基配列を有し、両者を反応させた場合、領域の1個所のみとハイブリダイズする様に各領域の塩基配列を工夫したものである。この工夫により、複数の一対のプローブを反応させた場合、互いにハイブリダイズしてプローブの自己集合体を形成させることができる(Probe alternation link self−assembly reaction、以下、PALSAR法と称する。)。
【0006】
【特許文献1】
米国特許第4,683,195号公報
【特許文献2】
米国特許第4,683,202号公報
【特許文献3】
米国特許第5,792,607号公報
【特許文献4】
特公平7−114718号公報
【特許文献5】
国際公開第00/56877号パンフレット
【特許文献6】
米国特許第6,261,846号公報
【特許文献7】
特許第3267576号公報
【特許文献8】
欧州特許出願公開第1,002,877A号明細書
【特許文献9】
国際公開第92/20702号パンフレット
【非特許文献1】
Koshkin AA et al. Tetrahedron 1998.54,3607−3630.
【非特許文献2】
Koshkin AA et al. J. Am. Chem. Soc. 1998.120,13252−13253.
【非特許文献3】
Wahlestedt C et al. PNAS. 2000.97,5633−5638.
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
上記した従来技術の現状に鑑み、本発明者らは、さまざまなオリゴヌクレオチドの自己集合体の形成方法について研究を重ねてきた。その結果、遺伝子増幅反応により増幅されたオリゴヌクレオチドを自己集合体の形成のためのオリゴヌクレオチドとして利用することを見出した。
【0008】
しかしながら、既存の遺伝子増幅法で増幅されたRNAの増幅産物は、長鎖であり、自己集合体形成のためのオリゴヌクレオチド・プローブとして用いることが困難であった。本発明者らは、この長鎖RNA増幅産物を、自己集合体を形成することが可能な領域のみを有するように適切な長さに切断し、自己集合体形成の効率を高めるべく、鋭意研究を重ねた結果、本発明に到達したものである。
【0009】
本発明は、EIAによる測定のように特殊な機械や試薬を用いず、標的RNAから適切なRNA断片を合成して、効率良くオリゴヌクレオチドによる自己集合体を形成させる方法、及びその自己集合体の形成方法によって形成された自己集合体、並びにその自己集合体の形成方法を利用して、低コストで簡便に特定の遺伝子を検出する方法を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、本発明のRNA断片を用いたオリゴヌクレオチドによる自己集合体の形成方法は、標的RNAの所定の領域に隣接して結合するように構成された切断用プローブ及びRNA分解酵素を用いて、上記標的RNAから前記所定の領域を含むRNA断片を合成し、該合成されたRNA断片を用いたオリゴヌクレオチドの自己集合反応によりオリゴヌクレオチドによる自己集合体を形成することを特徴とする。
【0011】
本発明のオリゴヌクレオチドによる自己集合体の形成方法において、上記切断用プローブがDNAからなり、上記RNA分解酵素としてRNaseHを用いることが好ましい。
【0012】
上記自己集合反応の一例として、互いに相補的な塩基配列領域がn(n≧3)ヶ所の数から構成される一対のオリゴヌクレオチド・プローブ(以下、HCPと称す場合がある)の複数対を用いて、互い違いに交差するようにハイブリダイゼーションさせることにより、オリゴヌクレオチドが自己集合して自己集合体を形成させる自己集合反応を用いることができる。
【0013】
上記一対のオリゴヌクレオチド・プローブの少なくとも一方として、上記n(n≧3)ヶ所の領域を含有するRNA断片を用いることができる。
【0014】
上記一対のオリゴヌクレオチド・プローブの一方が、上記n(n≧3)カ所の領域を含有するRNA断片であり、上記一対のオリゴヌクレオチド・プローブの他方が、予め作製しておいたプローブであることが好適である。
【0015】
上記予め作製しておいたプローブは、DNA、RNA、PNAまたはLNAのいずれかから選ばれる塩基から構成される。該プローブがDNAである場合、DNAとRNAのハイブリッドからなる自己集合体が形成される。
【0016】
上記一対のオリゴヌクレオチド・プローブの複数対の構成は、1対1でハイブリダイゼーションする時に必ずn(n≧3)ヶ所の相補的な部分の中で、一ヶ所ずつが特異的にハイブリダイゼーションするように構成される。
【0017】
上記一対のオリゴヌクレオチド・プローブの複数対の構成が、該塩基配列領域が少なくとも一ヶ所異なるm(m≧2)種の一対のプローブからなるものを用いることができる。
【0018】
上記自己集合反応の別の例として、No.1及びNo.2の一対のオリゴヌクレオチドの各オリゴヌクレオチドを3´側領域、中央領域、及び5´側領域の3つの領域に分け、各オリゴヌクレオチドの中央領域を互いに相補的な塩基配列とし、3´側領域及び5´側領域を互いに非相補的な塩基配列とした複数対のダイマー形成用プローブを含む第1番目の系から第(2n−1)番目(n≧1)の系まで順番にn個形成されたダイマー形成用プローブ含有系と、No.1及びNo.2の一対のオリゴヌクレオチドの各オリゴヌクレオチドを3´側領域及び5´側領域の2つの領域に分け、各オリゴヌクレオチドの3´側領域及び5´側領域を互いに非相補的な塩基配列とした複数対の架橋プローブをそれぞれ含む第2番目の系から第2n番目の系まで順番にn個形成架橋プローブ含有系とを有し、
該架橋プローブを、該ダイマー形成用プローブより形成されるダイマーを架橋することが可能な塩基配列とし、該プローブをハイブリダイゼーションさせることにより、オリゴヌクレオチドが自己集合し、自己集合体を形成させる自己集合反応を用いることができる。
【0019】
上記自己集合体の形成方法の別の例において、n=1の場合、第1の系のダイマープローブと第2の系の架橋プローブの相補的な塩基配列の組み合わせは、2通り存在する。上記n=1の一例として、上記プローブの塩基配列を、第一の系のNo.1−オリゴヌクレオチドの3´側領域と第2の系のNo.1−オリゴヌクレオチドの3´側領域、第1の系のNo.2−オリゴヌクレオチドの5´側領域と第2の系のNo.2−オリゴヌクレオチドの5´側領域、第2の系のNo.2−オリゴヌクレオチドの3´側領域と第1の系のNo.2−オリゴヌクレオチドの3´側領域、第2の系のNo.1−オリゴヌクレオチドの5´側領域と第1の系のNo.1−オリゴヌクレオチドの5´側領域、をそれぞれ相補的な塩基配列としたものを用いることができる。
【0020】
n=1の場合の別の例として、上記プローブの塩基配列を、第1の系のNo.1−オリゴヌクレオチドの3´側領域と第2の系のNo.1−オリゴヌクレオチドの3´側領域、第1の系のNo.2−オリゴヌクレオチドの5´側領域と第2の系のNo.1−オリゴヌクレオチドの5´側領域、第1の系のNo.2−オリゴヌクレオチドの3´側領域と第2の系のNo.2−オリゴヌクレオチドの3´側領域、第1の系のNO.1−オリゴヌクレオチドの5´側領域と第2の系のNo.2の系のNo.2−オリゴヌクレオチドの5´側領域、をそれぞれ相補的な塩基配列としたものを用いることができる。
【0021】
上記自己集合体の形成方法の別の例において、n≧2の場合、第1、第3、・・、第(2n−1)の系のダイマー形成用プローブと第2、第4、・・、第2nの系の架橋プローブの相補的な塩基配列の組み合わせは、2通り存在する。n≧2の場合の1例として、上記プローブの塩基配列を、第(2n−3)番目の系のNo.1−オリゴヌクレオチドの3’側領域と第(2n−2)番目の系のNo.1−オリゴヌクレオチドの3’側領域、第(2n−3)番目の系のNo.2−オリゴヌクレオチドの5’側領域と第(2n−2)番目の系のNo.2−オリゴヌクレオチドの5’側領域、第(2n−2)番目の系のNo.2−オリゴヌクレオチドの3’側領域と第(2n−1)番目の系のNo.2−オリゴヌクレオチドの3’側領域、第(2n−2)番目の系のNo.1−オリゴヌクレオチドの5’側領域と第(2n−1)番目の系のNo.1−オリゴヌクレオチドの5’側領域、ダイマー形成用プローブの最後の系のNo.1−オリゴヌクレオチドの3’側領域と架橋プローブの最後の系のNo.1−オリゴヌクレオチドの3’側領域、ダイマー形成用プローブの最後の系のNo.2−オリゴヌクレオチドの5’側領域と架橋プローブの最後の系のNo.2−オリゴヌクレオチドの5’側領域、架橋プローブの最後の系のNo.2−オリゴヌクレオチドの3’側領域と第1番目の系のNo.2−オリゴヌクレオチドの3’側領域、架橋プローブの最後の系のNo.1−オリゴヌクレオチドの5’側領域と第1番目の系のNo.1−オリゴヌクレオチドの5’側領域、をそれぞれ相補的な塩基配列としたものを用いることができる。
【0022】
n≧2の場合の別の例として、上記プローブの塩基配列を、第(2n−3)番目の系のNo.1−オリゴヌクレオチドの3’側領域と第(2n−2)番目の系のNo.1−オリゴヌクレオチドの3’側領域、第(2n−3)番目の系のNo.2−オリゴヌクレオチドの5’側領域と第(2n−2)番目の系のNo.2−オリゴヌクレオチドの5’側領域、第(2n−2)番目の系のNo.2−オリゴヌクレオチドの3’側領域と第(2n−1)番目の系のNo.2−オリゴヌクレオチドの3’側領域、第(2n−2)番目の系のNo.1−オリゴヌクレオチドの5’側領域と第(2n−1)番目の系のNo.1−オリゴヌクレオチドの5’側領域、ダイマー形成用プローブの最後の系のNo.1−オリゴヌクレオチドの3’側領域と架橋プローブの最後の系のNo.1−オリゴヌクレオチドの3’側領域、ダイマー形成用プローブの最後の系のNo.2−オリゴヌクレオチドの5’側領域と架橋プローブの最後の系のNo.1−オリゴヌクレオチドの5’側領域、架橋プローブの最後の系のNo.2−オリゴヌクレオチドの3’側領域と第1番目の系のNo.2−オリゴヌクレオチドの3’側領域、架橋プローブの最後の系のNo.2−オリゴヌクレオチドの5’側領域と第1番目の系のNo.1−オリゴヌクレオチドの5’側領域、をそれぞれ相補的な塩基配列としたものを用いることができる。
【0023】
上記ダイマー形成用プローブ及び架橋プローブの少なくとも一つとして、上記RNA断片を用いることができる。
【0024】
上記ダイマー形成用プローブ及び架橋プローブの少なくとも一つが、上記RNA断片であり、且つ上記ダイマー形成用プローブ及び架橋プローブの少なくとも一つが、予め作製しておいたプローブであることが好ましい。
【0025】
上記架橋プローブの少なくとも一つとして、上記架橋プローブの2つの領域を含有するRNA断片を用いることが好ましい。
【0026】
上記予め作製しておいたプローブは、DNA、RNA、PNAまたはLNAのいずれかから選ばれる塩基から構成される。該プローブにDNAが含まれる場合、DNAとRNAのハイブリッドからなる自己集合体が形成される。
【0027】
上記プローブのハイブリダイゼーションとして、あらかじめ上記ダイマー形成用プローブからダイマーを形成させた後、上記架橋プローブと該ダイマーをハイブリダイゼーションさせることが好ましい。
【0028】
上記複数対のダイマー形成用プローブは、前記中央領域の異なるm(m≧2)種のダイマー形成用プローブを用いることができる。
【0029】
上記一対のダイマー形成用プローブの3’側領域及び/又は5’側領域を互いに同一な塩基配列とすることができる。
【0030】
上記HCP、ダイマー形成用プローブ及び架橋プローブのような自己集合反応に用いられるオリゴヌクレオチド・プローブ(以下、単にプローブと称する場合がある。)の相補的塩基配列領域の端部に、少なくとも1つのG(グアニン)またはC(シトシン)を配置させ、上記プローブがハイブリダイズした際に少なくとも1つのG−C結合を相補的塩基配列領域の端部に形成させることにより、塩基の積み重ね(stacking of base)により塩基のπ電子の特殊な相互作用を生じさせ、より安定したオリゴヌクレオチドによる自己集合体を形成させることができる。
【0031】
上記標的RNAとして、遺伝子増幅反応により合成されたRNAを用いることができる。
【0032】
上記遺伝子増幅反応及び上記遺伝子増幅反応において増幅されるターゲット遺伝子は、特に限定されないものである。上記遺伝子増幅反応において増幅されるターゲット遺伝子としては、DNA及び/又はRNAを用いることができる。例えば、一本鎖のRNAやDNA、二本鎖のDNA及び/又はRNA等が好適に用いられる。また、上記遺伝子増幅反応において増幅されるターゲット遺伝子に1塩基多型を用いることができる。
【0033】
上記遺伝子増幅反応に、核酸合成酵素を使用することができる。上記核酸合成酵素としては、特に限定されないが、例えば、耐熱性核酸合成酵素、DNA合成酵素、及びRNA合成酵素等が好適に用いられる。
【0034】
また、上記遺伝子増幅反応に、逆転写酵素を使用することができる。上記逆転写酵素としては、特に限定されないが、例えば、RNA依存DNA合成酵素活性に加え、DNA依存DNA合成酵素活性を併せ持つもの、あるいはRNA依存DNA合成酵素活性に加え、DNA依存DNA合成酵素活性及びRNaseH活性を併せ持つものが好適に用いることができる。
【0035】
上記標的RNAとして、DNAあるいはRNA合成酵素、逆転写酵素及びRNaseHを用いた遺伝子増幅反応により合成されたものが用いられる。
【0036】
上記遺伝子増幅反応が、一対の増幅用プローブの少なくとも一方の5’末端にプロモーター領域を含有する該一対の増幅用プローブ、逆転写酵素、RNaseH及びRNA合成酵素を用いてRNAを増幅する反応であることが好ましい。
【0037】
上記遺伝子増幅反応に用いる増幅用プローブ(以下、プライマーと称することもある。)が、DNA、RNA、及びDNAとRNAから構成されるキメラ型、のいずれかから選ばれ、且つRNA増幅を可能にし得る増幅用プローブであることが好ましい。
【0038】
本発明の自己集合体は、上記本発明のオリゴヌクレオチドによる自己集合体の形成方法を用いて形成されるものである。
【0039】
上記自己集合体として、RNAとDNAのハイブリッドからなる自己集合体を形成することが可能である。
【0040】
本発明の遺伝子の検出方法は、上記本発明のオリゴヌクレオチドによる自己集合体の形成方法を用いて自己集合体を形成させ、形成された上記自己集合体を検出することにより、上記標的RNAを検出することを特徴とする。標的RNAとして、ターゲット遺伝子を遺伝子増幅反応により増幅した増幅RNA産物を用いた場合、上記自己集合体を検出することにより、ターゲット遺伝子を検出することが可能である。
【0041】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明するが、図示例は例示的に示されるもので、本発明の技術思想から逸脱しない限り種々の変形が可能なことはいうまでもない。
【0042】
図1は、本発明のオリゴヌクレオチドによる自己集合体の形成方法の第1の態様の手順の大略を示すフローチャートである。図2は、本発明のオリゴヌクレオチドによる自己集合体の形成方法の第2の態様の手順の大略を示すフローチャートである。
【0043】
図1に示すように、まず、標的RNAの所定の領域に隣接して結合するように構成された切断用プローブを準備し(ステップ102)、この切断用プローブ及びRNA分解酵素を用いて、標的RNAから所定の領域を含むRNA断片を合成し(ステップ104)、このRNA断片と自己集合体を形成するようなオリゴヌクレオチド・プローブを添加し、合成されたRNA断片及び該プローブを用いた自己集合反応により(ステップ106)、オリゴヌクレオチドによる自己集合体を形成することができる。
【0044】
また、図2に示すように、ターゲット遺伝子から遺伝子増幅反応によりRNAを合成し(ステップ100)、合成されたRNAを上記標的RNAとして用いて、自己集合体を形成することができる。
【0045】
上記切断用プローブを構成する核酸は、特に限定されないが、DNA又はRNAで構成されていることが好ましい。
【0046】
上記切断用プローブとして、DNAからなるプローブを用いる場合、上記RNA分解酵素としてRNaseHを用いて標的RNAからRNA断片を合成することができる。まず、切断用DNAプローブを標的RNAに結合させ部分的にDNA−RNAハイブリッドを形成させ、RNaseHにより該DNA−RNAハイブリッドのRNA鎖を切断してRNA断片を合成することができる。
【0047】
また、上記切断用プローブとしてRNAからなるプローブを、RNA分解酵素として二本鎖のRNAを特異的に分解するRNaseIII等のRNアーゼを用いて、切断用RNAプローブを標的RNAに結合させ部分的に二本鎖のRNAを形成させ、上記RNアーゼにより該二本鎖のRNAを切断してRNA断片を合成することも可能である。
【0048】
上記添加されるオリゴヌクレオチド・プローブや切断用プローブを構成する核酸は、通常DNA又はRNAで構成されるが、核酸類似体でも構わない。核酸類似体として、たとえば、ペプチド核酸(PNA、例えば、特許文献9参照。)やLocked Nucleic Acid(LNA、例えば、非特許文献1〜3参照。)が挙げられる。また、一対のオリゴヌクレオチド・プローブは、通常、同じ種類の核酸で構成されるが、たとえばDNAプローブとRNAプローブが一対になっても差し支えない。即ち、プローブの核酸の種類はDNA、RNAまたは核酸類似体(たとえばPNAやLNA等)から選択することができる。又、一つのプローブ内での核酸組成は一種類、たとえばDNAのみから構成される必要はなく、必要に応じて、たとえば、DNAとRNAから構成されるオリゴヌクレオチド・プローブ(キメラプローブ)を使用することも可能であり、本発明に含まれる。
【0049】
オリゴヌクレオチド・プローブの各相補的塩基配列領域の長さは、塩基数にして、少なくとも5塩基であり、好ましくは10〜100塩基、さらに好ましくは15〜50塩基である。
【0050】
これらプローブは公知の方法により合成することができる。たとえばDNAプローブの場合、アプライドバイオシステムズ社(Applied Biosystem Inc.)のDNAシンセサイザー394型を用いて、ホスホアミダイド法により合成することができる。また、別法としてリン酸トリエステル法、H−ホスホネート法、チオホスホネート法等があるが、いかなる方法で合成されたものであってもよい。
【0051】
使用するオリゴヌクレオチド・プローブの本数は特に限定されないが、102〜1015本の範囲で用いられる。反応緩衝液の組成、濃度は特に限定されず、核酸増幅に常用される通常の緩衝液が好適に使用できる。pHも常用の範囲で好適であり、好ましくはpH7.0〜9.0の範囲のものが使用できる。反応温度は40〜80℃、好ましくは55〜75℃である。
【0052】
図3は、PALSAR法による一対のHCP(No.1プローブ及びNo.2プローブ)を用いた自己集合反応の一例を示す模式図である。同図において、No.1プローブは、X1領域、X2領域及びX3領域を有し、No.2プローブは、X1’領域、X2’領域及びX3’領域を有している[図3(a)]。このNo.1プローブとNo.2プローブは、両者をハイブリダイゼーションさせたとき、X1領域はX1’領域とだけ結合し、X2領域はX2’領域とだけ結合し、X3領域はX3’領域とだけ結合するような構成とされており、3つの結合パターンで一対のプローブが互い違いにハイブリダイゼーションする。[図3(b)]。
【0053】
3つの結合パターンで互い違いにハイブリダイゼーションした一対のHCPの複数対は、図3(c)に模式的な一例を示したように、PALSAR法の原理に従い、オリゴヌクレオチドの自己集合反応により、二本鎖の自己集合体を形成させることができる。
【0054】
図3は、相補的な塩基配列領域が3箇所からなるHCPについて説明したが、相補的な塩基配列領域を4箇所以上有するHCPを用いた場合についても同様に自己集合反応により自己集合体を形成させることができる。
【0055】
図4は、PALSAR法によるダイマー形成用プローブ及び架橋プローブを用いた自己集合反応の一例を示す模式図である。図4に示した如く、第1の系の一対のダイマー形成用プローブは、一対のオリゴヌクレオチドを3つの領域に分け、中央領域を互いに相補的な領域とするとともに、3’側領域及び5’側領域を互いに非相補的な塩基配列とし、ダイマープローブを形成する[図4(a)]。第2の系の一対の架橋プローブは、一対のオリゴヌクレオチドを3’側領域及び5’側領域の2つの領域に分け、各領域を互いに非相補的な塩基配列とし、3’側領域は、ダイマー形成用プローブの3’側領域と、5’側領域はダイマー形成用プローブの5’側領域と、それぞれ相補的な塩基配列とする[図4(b)]。第1の系のダイマープローブに対して、第2の系の架橋プローブが架橋するようにハイブリダイゼーションさせることにより、オリゴヌクレオチドが自己集合し、二本鎖の自己集合体を形成する[図4(c)]。
【0056】
図5は、PALSAR法によるダイマー形成用プローブと架橋プローブを用いた自己集合反応の別の例を示す模式図である。ダイマー形成用プローブと架橋プローブの5’側領域及び3’側領域の相補的領域の組み合わせとしては、図4の組み合わせを図5に示した如く変更することも可能である。
【0057】
図4及び図5において、第1の系からなるダイマー形成用プローブと第2の系からなる架橋プローブを用いた自己集合反応について説明したが、第1、3、・・(2n−1)の系からなるダイマー形成用プローブと第2、4、・・2nの系からなる架橋プローブを用いた自己集合反応により自己集合体を形成させることもできる。
【0058】
以下に、本発明の自己集合体の形成方法について図6〜図9を参照して更に具体的に説明する。
【0059】
図6及び図7は、本発明の自己集合体の形成方法の工程順の第1の例を示す概略説明図であり、図6は上記ステップ104、図7は上記ステップ106についてそれぞれ示したものである。第1の例は、標的RNAとして、遺伝子増幅反応により増幅された長鎖RNA増幅産物を用いた。また、切断用プローブとして2種のDNAプローブを用い、RNA分解酵素としてRNaseHを用いた。
【0060】
まず、長鎖RNA増幅産物の自己集合反応に用いる所定の領域の5’末、3’末にそれぞれ隣接した部位に相補的な配列をもつ2種の切断用DNAプローブを準備し(ステップ102)、図6に示した如く、該切断用DNAプローブを該長鎖RNA増幅産物[図6(a)]とアニーリングさせる[図6(b)]。ここで部分的にできたRNA−DNAハイブリッドのRNA部位は、RNaseHの作用により切断される[図6(c)]。これにより自己集合体形成に適した鎖長のRNA断片が形成される[図6(d)](ステップ104)。
【0061】
上記形成されたRNA断片に対して自己集合体を形成するようなオリゴヌクレオチド・プローブを添加し、PALSAR法の原理に従い、自己集合反応により(ステップ106)、自己集合体を形成させることができる。
【0062】
上記自己集合反応(ステップ106)として、例えば、図7に示した如く、HCPを用いた自己集合反応を利用することができる。まず、合成されたRNA断片を3箇所以上に分け[図7(e)]、一対のHCPの一方(RNA−HCP)として用いる。図7(f)に示した如く、該RNA−HCPの各領域(X、Y及びZ領域)に対して相補的な領域(X’、Y’及びZ’領域)を有するオリゴヌクレオチド・プローブを別に用意しておき、上記RNA断片合成後の溶液に添加することにより、PALSAR法の原理に従い、オリゴヌクレオチドが自己集合し、二本鎖の自己集合体が形成される[図7(g)]。上記オリゴヌクレオチド・プローブとして、DNAプローブ(DNA−HCP)を用いた場合、上記RNA−HCPとDNA−HCPとがハイブリダイズし、RNAとDNAのハイブリッドからなる自己集合体が形成される。
【0063】
また、上記自己集合反応(ステップ106)において、自らダイマーを形成する一対のダイマー形成用プローブ及び該ダイマー形成用プローブより形成されるダイマーを架橋することが可能な一対の架橋プローブによる自己集合反応を利用することもできる。この場合、合成されたRNA断片を一対のダイマー形成用プローブ及び一対の架橋プローブのいずれか一つとして用い、別に用意した残りのプローブを添加することにより、自己集合体を形成することができる。
【0064】
図8及び図9は、本発明の自己集合体の形成方法の工程順の第2の例を示す概略説明図であり、図8は上記ステップ104、図9は上記ステップ106についてそれぞれ示したものである。第2の例は、標的RNAとして、遺伝子増幅反応により増幅された長鎖RNA増幅産物を用いた。また、切断用プローブとして4種のDNAプローブを用い、RNA分解酵素としてRNaseHを用いた。
【0065】
まず、長鎖RNA増幅産物の自己集合反応に用いる所定領域2箇所の5’末、3’末にそれぞれ隣接した部位に相補的な配列をもつ4種の切断用DNAプローブを準備し(ステップ102)、図8に示した如く、該切断用DNAプローブを該長鎖RNA増幅産物[図8(a)]とアニーリングさせる[図8(b)]。ここで部分的にできたRNA−DNAハイブリッドのRNA部位は、RNaseHの作用により切断される[図8(c)]。これにより自己集合体形成に適した鎖長のRNA断片が2種形成される[図8(d)](ステップ104)。
【0066】
ステップ106において、形成されたRNA断片は、図9に示した如く、2種の一対のHCPの一方(RNA−HCP)[図9(e)]として用いることが可能であり、別に用意した他方のHCPを加えることにより[図9(f)]、自己集合体を形成することができる。上記他方のHCPとして、DNAプローブ(DNA−HCP)を用いた場合、上記RNA−HCPとDNA−HCPとがハイブリダイズし、RNAとDNAのハイブリッドからなる自己集合体が形成される。
【0067】
また、ステップ106において、上記RNA断片をダイマー形成用プローブ及び架橋プローブを用いた自己集合反応に利用することも可能である。例えば、2種のRNA断片を一対の架橋プローブとして用い、別に用意した一対のダイマー形成用プローブ又は該ダイマー形成用プローブから形成されたダイマーを添加し、自己集合体を形成することができる。
【0068】
上記本発明のオリゴヌクレオチドによる自己集合体の形成方法により形成された本発明の自己集合体は、一般的なアガロースゲル電気泳動法等によって、簡単に確認することができる。
【0069】
また、本発明において形成される自己集合体の塩基の積み重ねが規則的な高次構造をとることから、260nmにおける紫外部の吸収帯の強度が減じる「ハイポクロミズム」という淡色効果を発現させて自己集合体の状態を確認することも可能である。
【0070】
さらには、核酸と結合する性質を持った蛍光物質を加え、その蛍光強度の変化から自己集合体の状態を確認することも可能である。例えば、自己集合体は、オリゴヌクレオチドの二本鎖に挿入して蛍光を発する色素を添加し、セフェイド社のI−CORETM(Smart CyclerTM)等を用いて蛍光の発光状態を観察することにより検出可能である。
【0071】
本発明のオリゴヌクレオチドによる自己集合体の形成方法によれば、標的RNAが存在する場合にのみ自己集合体が形成されるため、自己集合体の有無を確認することにより、低コストで簡便に標的RNAを検出することができる。更に、標的RNAが遺伝子増幅反応により増幅されたRNAである場合、自己集合体を検出することにより、増幅されたターゲット遺伝子を検出することができる。
【0072】
本発明において、遺伝子増幅反応により増幅されたRNAを標的RNAとして用いる場合、該遺伝子増幅反応としては、最終的にRNAが増幅される反応であればよく、特に限定されず、公知の方法を用いることができる。また、増幅されるターゲット遺伝子も特に限定されず、DNA及び/又はRNAを用いることができる。具体的には、ターゲット遺伝子としてRNAを用いる例として、例えば、下記図10〜図12に示したようなRNA増幅反応が好適に用いられる。
【0073】
図10〜図12は、本発明において好適に利用されるRNA増幅反応の一例を示す概略説明図である。図10に示した如く、ターゲット遺伝子(RNA)[図10(a)]に相補的な配列をもち、かつ、T7RNAプロモーター領域を含むプライマー1をターゲット遺伝子にアニーリングさせる[図10(b)](ステップ200)。逆転写酵素によりプライマー1は伸張し、その結果、RNA−cDNAハイブリッドができる[図10(c)](ステップ202)。このように、ステップ200及びステップ202は逆転写反応による第1cDNAの合成過程である。次に、ハイブリッドのRNA鎖は、RNaseHにより分解され、一本鎖となる[図10(d)](ステップ204)。さらに、図11に示した如く、この一本鎖cDNAにプライマー2がアニーリングし[図11(e)](ステップ206)、続く逆転写酵素のDNAポリメラーゼ活性により伸張反応が起こり、T7RNAプロモーターを含む2本鎖DNAができる[図11(f)](ステップ208)。
【0074】
次に、この2本鎖となったT7RNAプロモーター領域をT7RNAポリメラーゼが認識し、プライマー2の5’末までのanti−senseRNAを多数合成する[図11(g)](ステップ210)。なお、T7RNAプロモーターを含む1本の鋳型2本鎖DNAから100−1000コピーのanti−senseRNAが産生される。新しく合成された多数のanti−senseRNA[図11(g)]にプライマー2がアニールし[図11(h)](ステップ212)、逆転写酵素によりcDNAが合成される[図12(i)](ステップ214)。このRNA−cDNAハイブリッドのRNA鎖は、RNaseHにより分解され、cDNAは一本鎖となる[図12(j)](ステップ216)。さらに、このcDNAにT7RNAプロモーター配列をもつプライマー1がアニーリングすることで[図12(k)](ステップ218)、逆転写酵素によりプライマー1が伸張し、T7RNAプロモーター領域を含む2本鎖DNAができる[図12(l)](ステップ220)。ステップ210〜ステップ220のサイクルを繰り返すことにより、2本鎖DNAを鋳型として、さらに多数のanti−senseRNAが増幅されていく[図12(m)](ステップ222)。なお、RNaseHは、RNA−DNAハイブリッドのみを基質とするRNA分解酵素のため、一本鎖RNAは分解されないものである。上記RNA増幅反応は、1チューブ内にて一定温度で進行するため、短時間の反応で指数的(>108)に標的RNA anti−sense鎖の合成が可能である。
【0075】
本発明におけるターゲット遺伝子(DNA及び/またはRNA)測定用試料は、該核酸を含む可能性のあるあらゆる試料が適用できる。ターゲット遺伝子は試料より適宜調製または単離したものでもよく、特に限定されない。たとえば、血液、血清、尿、糞便、脳脊髄液、組織液、細胞培養物等の生体由来試料、ウイルス、細菌、カビ等の含有または感染した可能性のある試料等が挙げられる。本発明で用いられる標的RNA測定用試料としては、RNAを含む可能性のあるあらゆる試料が適用できる。標的RNAとしては、例えば、上記したターゲット遺伝子測定用試料中のRNAを上記と同様に用いても良く、また、上記試料中のターゲット遺伝子(DNA及び/またはRNA)を公知の方法で増幅したRNAも使用できる。
【0076】
【実施例】
以下、本発明の実施例を具体的に説明するが、これらの実施例は例示的に示されるもので限定的に解釈されるべきでないことはいうまでもない。
【0077】
以下、実施例において用いたオリゴヌクレオチド・プローブを示す。
[1]プライマー1(前半下線部:T7RNAポリメラーゼのプロモーター配列、後半下線部:HCV RNAの5’−NCRの一部に相補的な配列)
5’−AATTCTAATACGACTCACTATAGGG−GCTCATGGTGCACGGTCTACGA−3’
[2]プライマー2(HCV RNAのcDNAに相補的な配列)
5’−AGCGTCTAGCCATGGCGTTA−3’
[3]切断DNAプローブ1
5’−TGCCTGGAGATTTGGGCGTG−3’
[4]切断DNAプローブ2
5’−CGGAACCGGTGAGTACACCG−3’
[5]RNA−HCP(X−Y−Z)
5’−UUGAGCGGGUUGAUC−CAAGAAAGGACCCGG−UCGUCCUGGCAAUUC−3’
[6]DNA−HCP(X’−Y’−Z’)
5’−GATCAACCCGCTCAA−CCGGGTCCTTTCTTG−GAATTGCCAGGACGA−3’
【0078】
(実験例1及び比較例1)RNAの増幅及び増幅RNAの切断
1.目的
RNA増幅法により増幅したRNAを、RNaseHにより切断し、自己集合体形成に適した鎖長のRNA断片(RNA−HCP)の切り出しを試みた。
【0079】
2.材料
(RNAの増幅工程)
(a)ターゲット遺伝子として、HCV(Hepatitis C virus)のRNAを用いた。
【0080】
(b)HCV RNAの5’−NCR(non coding region)の塩基配列の一部を増幅するためのプライマ−として、5’末端側にT7RNAポリメラーゼのプロモーター配列を含む領域と3’末端側に5’−NCRの一部に相補的な領域の2領域を含むプライマー1及び、HCV RNAのcDNAに相補的な配列からなるプライマー2を設計し用いた。
【0081】
(c)RNA増幅反応を行うに際して、市販のNASBA AMPLIFICATION KIT(TOYOBO社製)の緩衝液(4×反応液;ヌクレオチド、DTT、MgCl2他含、100%DMSO溶液、2M KCl溶液、NASBA水)及び、酵素溶液(AMV−RT、RNaseH、T7RNAポリメラーゼ、BSA含)を用いた。
【0082】
(増幅RNAの切断工程)
(d)増幅したRNAの塩基配列からHCPに適した配列を切り出すため、HCPとして設定した増幅RNA領域の5’末3’末にそれぞれ隣接した増幅RNA部位に相補的な配列をもつ切断DNAプローブ1及び、切断DNAプローブ2を設計し用いた。
【0083】
(e)増幅RNAと切断DNAプローブのアニーリングによりできたRNA−DNAハイブリッドのRNA鎖を分解する酵素としてRNaseH(TaKaRa社製)を用いた。
【0084】
3.方法及び結果
(実験例1−1及び比較例1)
(a)反応液の調製及びRNA増幅反応
実験例1−1では、最終溶液量40μLの反応系において、酵素溶液添加後の終濃度が1×反応溶液、15%DMSO溶液、70mM KCl溶液、0.2μMプライマー1、0.2μMプライマー2となるように調製し、最終溶液量が40μLになるようにNASBA水を加えた。この溶液にターゲット遺伝子となる2×104コピーのHCV RNA(10μL)を加え、サーマルサイクラー(パーキンエルマー社製)を用いて、65℃5分、41℃5分間加熱後、酵素溶液を10μL添加し40μLとした。この溶液をさらに41℃で5分間加熱後、遠心し、最終的に41℃にて90分間反応させた。また、対照として、ターゲット遺伝子の代わりにNASBA水を添加したサンプルも同様に反応させた(比較例1)。
【0085】
(b)アガロースゲル電気泳動
上記実験例1−1及び比較例1で得られたRNA増幅反応後の反応液8μLを、2%Nusieve3:1 agarose gel(Bio Whittaker Moleculer Applications)にて100V、30分間電気泳動を行った。泳動後のゲルはEtBrで染色し、増幅産物を確認した。分子サイズマーカーとして100bpDNA Ladder(Invitrogen)を用いた。
【0086】
実験例1−1及び比較例1の結果を図13に示した。ターゲット遺伝子を添加していないサンプルを泳動した比較例1を実験例1−1と比較すると、実験例1−1においてのみ、プライマ−1とプライマ−2により増幅された特異的なバンドが矢印で示した部位にみられた。
【0087】
(実験例1−2)
(c)増幅RNAの切断
上記実験例1−1で得られたRNA増幅反応後の反応液10μLに、20μM切断DNAプローブ1、及び20μM切断DNAプローブ2をそれぞれ0.25μL、さらにRNaseH(30U)を添加後、60℃1分、37℃40分間反応させ、増幅RNAを切断しRNA断片(RNA−HCP)を切り出した。
【0088】
(d)アガロースゲル電気泳動
上記実験例1−2で得られた切断後の反応液8μLを、4%Nusieve3:1 agarose gel(Bio Whittaker Moleculer Applications)にて100V、30分間電気泳動を行った。また、対照として、RNA増幅反応後のサンプルである実験例1−1も共に泳動した。泳動後のゲルはEtBrで染色し、切断産物を確認した。分子サイズマーカーとして10bpDNA Ladder(Invitrogen)を用いた。
【0089】
実験例1−2及び実験例1−1の結果を図14に示した。実験例1−1と実験例1−2を比較すると、増幅されたRNAに、切断プローブとRNaseHを添加し反応させた実験例1−2において、RNA−HCPを切り出すべく、増幅RNAが切断されていることがわかる。
【0090】
(実験例2、比較例2及び3)RNA/DNAハイブリッド自己集合体の形成
1.目的
RNA−HCPとDNA−HCPを用いた自己集合反応による自己集合体の形成を試みた。
【0091】
2.材料
(a)上記実験例1−2で切り出されるRNA−HCPの塩基配列をもつ45merの合成RNA−HCPと、これと自己集合体形成可能な配列をもつ合成DNA−HCPを設計し用いた。
【0092】
(b)緩衝液として20×SSC溶液(3M NaCl、0.3M C6H5O7Na3・2H2O、pH7.0)を用いた。
【0093】
3.方法
(a)反応液の調製
最終溶液量20μLの反応系において、20×SSC溶液10μL及び、終濃度が1.25μMとなるようにRNA−HCP、DNA−HCPをそれぞれ添加し、最終溶液量20μLとなるようRNase−free水を加えた。
【0094】
(b)自己集合反応
サーマルサイクラー(パーキンエルマ−社製)を用いて、まず94℃30秒で加熱後、各反応液を50℃(実験例2−1)、52℃(実験例2−2)、54℃(実験例2−3)、56℃(実験例2−4)、58℃(実験例2−5)又は60℃(実験例2−6)で1時間反応させ、自己集合反応により自己集合体形成を行った。
【0095】
(c)アガロースゲル電気泳動
上記自己集合反応後の反応液8μLを、0.5%Nusieve3:1 agarose gel(Bio Whittaker Moleculer Applications)にて100V、30分間電気泳動を行った。
【0096】
また、対照として、総溶液量(20μL)の50%量の20×SSC溶液に、DNA−HCPのみを終濃度1.25μMになるように添加し、NASBA水を加えた溶液A(比較例2)、及びRNA−HCPのみを終濃度1.25μMになるように添加し、NASBA水を加えた溶液B(比較例3)を共に泳動した。泳動後のゲルはEtBrで染色し、自己集合体を確認した。分子サイズマーカーとして1kb DNA Extension Ladder(Invitrogen)を用いた。
【0097】
4.結果
実験例2−1〜2−6、比較例2及び比較例3の結果を図15に示した。同図のレーン1〜6(実験例2−1〜2−6)に示された如く、温度依存的に矢印で示した部位に自己集合体が形成されることが示された。これにより、DNA/DNA−HCPの自己集合体形成のみならず、RNA/DNA−HCPの自己集合体形成も可能であることが示された。
【0098】
(実施例1及び比較例4)
1.目的
RNA増幅反応により増幅したRNAを切断しRNA断片(RNA−HCP)を切り出した後、この増幅RNA−HCPと合成DNA−HCPによる自己集合反応により自己集合体形成を行うことにより、ターゲット遺伝子の検出を試みた。
【0099】
2.材料
(a)RNAの増幅工程及び、増幅RNAの切断工程ともに、上記実験例1で用いたターゲット遺伝子、プライマー、NASBA AMPLIFICATION KITの緩衝液及び酵素溶液、切断DNAプローブ並びにRNaseHを用いて行った。
【0100】
(b)上記実験例2で用いたDNA−HCPを用いた。
【0101】
(c)自己集合反応の際、RNaseH阻害剤としてDEPC(diethyl pyrocarbonate、SIGMA社製)を用いた。
【0102】
3.方法
(a)RNA増幅法によるRNAの増幅:反応液の調製及びRNA増幅反応
最終溶液量100μLの反応系において、酵素溶液添加後の終濃度が1×反応溶液、15%DMSO溶液、70mM KCl溶液、0.2μMプライマー1、0.2μMプライマー2となるように調製し、最終溶液量が100μLになるようにNASBA水を加えた。この溶液にターゲット遺伝子となる5×104コピーのHCV RNA(25μL)を加え、サーマルサイクラー(パーキンエルマー社製)を用いて、65℃5分、41℃5分間加熱後、酵素溶液を25μL添加し100μLとした。この溶液をさらに41℃で5分間加熱後、遠心し、最終的に41℃にて90分間反応させた。
【0103】
(b)RNA−HCPの切り出し:増幅RNAの切断
RNA増幅反応後の反応液20μLに、20μM切断DNAプローブ1、及び20μM切断DNAプローブ2をそれぞれ0.25μL、さらにRNaseH(1U)を添加後、60℃1分、37℃40分間反応させ、増幅RNAを切断した。
【0104】
(c)自己集合反応
20×SSC溶液10μL、切断した増幅RNAを含む反応溶液9.5μL、50μM DNA−HCP 0.5μL、及びDEPC 0.2μLを加え、総溶液量20μLとなるようNASBA水を加えた反応液1(実施例1)を調整した。また、対照として、切断した増幅RNAを含む反応溶液9.5μLに、20×SSC溶液を加えた反応液2(比較例4)も共に調製した。
【0105】
上記反応液1及び2をそれぞれサーマルサイクラー(パーキンエルマ−社製)を用いて、94℃30秒、56℃16時間で反応させ、自己集合反応による自己集合体形成を行った。
【0106】
(d)蛍光顕微鏡による観察
上記自己集合反応後の反応液1及び2にそれぞれ0.01mg/mLのEtBrを等量加え、15分後に蛍光顕微鏡(580nm)にて観察した。対照として、これらの透過光下での状態も観察した。実施例1及び比較例4の蛍光顕微鏡による観察結果を図16に示した。
【0107】
4.結果
図16に示した蛍光像を比較すると、実施例1において蛍光下にて自己集合体とみられる粒子が多数観察できた。一方、比較例4では、透過光下及び蛍光下において共に粒子が観察されなかった。
【0108】
以上に示した如く、ターゲットより増幅し切り出したRNA−HCPとDNA−HCPにてRNAとDNAのハイブリッドからなる自己集合体を形成させることができ、これにより、ターゲット遺伝子の検出が可能であることが示された。
【0109】
【配列表】
【0110】
【発明の効果】
以上述べた如く、本発明のオリゴヌクレオチドによる自己集合体の形成方法によれば、EIAによる測定のように特殊な機械や試薬を用いず、標的RNAから適切なRNA断片を合成して、効率良くオリゴヌクレオチドによる自己集合体を形成させることができる。本発明の遺伝子の検出方法により、機械や煩雑な操作を用いずに、低コストで簡便に特定の遺伝子を検出することができる。本発明の自己集合体は、本発明の自己集合体の形成方法により効率的に形成されるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のオリゴヌクレオチドによる自己集合体の形成方法の第1の態様の手順の大略を示すフローチャートである。
【図2】本発明のオリゴヌクレオチドによる自己集合体の形成方法の第2の態様の手順の大略を示すフローチャートである。
【図3】本発明において利用したPALSAR法による一対のHCPを用いた自己集合反応の一例を示す模式図であり、(a)は一対のHCP、(b)はHCPの結合態様の一例、(c)は自己集合体の形成をそれぞれ示す。
【図4】本発明において利用したPALSAR法によるn=1の場合のダイマー形成用プローブ及び架橋プローブを用いた自己集合反応の一例を示す模式図であり、(a)は一対のダイマー形成用プローブ、(b)は一対の架橋プローブ、(c)は自己集合体の形成をそれぞれ示す。
【図5】本発明において利用したPALSAR法によるn=1の場合のダイマー形成用プローブ及び架橋プローブを用いた自己集合反応の別の例を示す模式図であり、(a)は一対のダイマー形成用プローブ、(b)は一対の架橋プローブ、(c)は自己集合体の形成をそれぞれ示す。
【図6】本発明の自己集合体の形成方法の工程順の第1の例におけるステップ104を示す概略説明図であり、(a)は標的RNA、(b)は切断用プローブと標的RNAの結合、(c)はRNA分解酵素によるRNAの分解、(d)はRNA断片の合成をそれぞれ示す。
【図7】本発明の自己集合体の形成方法の工程順の第1の例におけるステップ106を示す概略説明図であり、(e)はRNA断片のHCPの一方としての使用、(f)は他方のHCPの添加、(g)は自己集合体の形成をそれぞれ示す。
【図8】本発明の自己集合体の形成方法の工程順の第2の例におけるステップ104を示す概略説明図であり、(a)は標的RNA、(b)は切断用プローブと標的RNAの結合、(c)はRNA分解酵素によるRNAの分解、(d)はRNA断片の合成をそれぞれ示す。
【図9】本発明の自己集合体の形成方法の工程順の第2の例におけるステップ106を示す概略説明図であり、(e)はRNA断片のHCPの一方としての使用、(f)は他方のHCPの添加、(g)は自己集合体の形成をそれぞれ示す。
【図10】本発明において好適に利用されるRNA増幅反応の一例におけるステップ200〜ステップ204を示す概略説明図であり、(a)はターゲット遺伝子、(b)はターゲット遺伝子へのプライマー1の結合、(c)は逆転写酵素によるcDNAの合成、(d)はRNaseHによるRNAの分解をそれぞれ示す。
【図11】本発明において好適に利用されるRNA増幅反応の一例におけるステップ206〜ステップ212を示す概略説明図であり、(e)は一本鎖cDNAへのプライマー2の結合、(f)は逆転写酵素によるDNAの合成、(g)はRNA合成酵素によるRNAの合成、(h)は合成されたRNAへのプライマー2の結合をそれぞれ示す。
【図12】本発明において好適に利用されるRNA増幅反応の一例におけるステップ214〜ステップ222を示す概略説明図であり、(i)は逆転写酵素によるcDNAの合成、(j)はRNaseHによるRNAの分解、(k)は一本鎖cDNAへのプライマー1の結合、(l)は逆転写酵素によるDNAの合成、(m)はRNA合成酵素によるRNAの合成をそれぞれ示す。
【図13】実験例1−1及び比較例1の2%アガロースゲルを用いた電気泳動法の結果を示す写真である。
【図14】実験例1−1及び実験例1−2の4%アガロースゲルを用いた電気泳動法の結果を示す写真である。
【図15】実験例2−1〜2−6、比較例2及び比較例3の結果を示す写真である。
【図16】実施例1及び比較例4の結果を示す写真であり、(a)は実施例1(蛍光)、(b)は比較例4(蛍光)、(c)は実施例1(透過光)及び(d)は比較例4(透過光)の結果をそれぞれ示す。
Claims (24)
- 標的RNAの所定の領域に隣接して結合するように構成された切断用プローブ及びRNA分解酵素を用いて、前記標的RNAから前記所定の領域を含むRNA断片を合成し、該合成されたRNA断片を用いたオリゴヌクレオチドの自己集合反応によりオリゴヌクレオチドによる自己集合体を形成することを特徴とするRNA断片を用いたオリゴヌクレオチドによる自己集合体の形成方法。
- 前記切断用プローブがDNAからなり、前記RNA分解酵素としてRNaseHを用いることを特徴とする請求項1記載のオリゴヌクレオチドによる自己集合体の形成方法。
- 前記自己集合反応が、互いに相補的な塩基配列領域がn(n≧3)ヶ所の数から構成される一対のオリゴヌクレオチド・プローブの複数対を用いて、互い違いに交差するようにハイブリダイゼーションさせることにより、オリゴヌクレオチドが自己集合して自己集合体を形成させる自己集合反応であることを特徴とする請求項1又は2記載のオリゴヌクレオチドによる自己集合体の形成方法。
- 前記一対のオリゴヌクレオチド・プローブの少なくとも一方が、前記n(n≧3)カ所の領域を含有するRNA断片であることを特徴とする請求項3記載のオリゴヌクレオチドによる自己集合体の形成方法。
- 前記一対のオリゴヌクレオチド・プローブの一方が、前記n(n≧3)カ所の領域を含有するRNA断片であり、前記一対のオリゴヌクレオチド・プローブの他方が、予め作製しておいたプローブであることを特徴とする請求項3又は4記載のオリゴヌクレオチドによる自己集合体の形成方法。
- 前記予め作製しておいたプローブが、DNA、RNA、PNAまたはLNAのいずれかから選ばれる塩基から構成されることを特徴とする請求項5記載のオリゴヌクレオチドによる自己集合体の形成方法。
- 前記一対のオリゴヌクレオチド・プローブの複数対の構成が、1対1でハイブリダイゼーションする時に必ずn(n≧3)ヶ所の相補的な部分の中で、一ヶ所ずつが特異的にハイブリダイゼーションするように構成されることを特徴とする請求項3〜6のいずれか1項記載のオリゴヌクレオチドによる自己集合体の形成方法。
- 前記一対のオリゴヌクレオチド・プローブの複数対の構成が、該塩基配列領域が少なくとも一ヶ所異なるm(m≧2)種の一対のプローブからなることを特徴とする請求項3〜7のいずれか1項記載のオリゴヌクレオチドによる自己集合体の形成方法。
- 前記オリゴヌクレオチド・プローブの相補的塩基配列領域の端部に、少なくとも1つのG(グアニン)またはC(シトシン)を配置させ、該プローブがハイブリダイズした際に少なくとも1つのG−C結合を相補的塩基配列領域の端部に形成させることを特徴とする請求項3〜8のいずれか1項記載のオリゴヌクレオチドによる自己集合体の形成方法。
- 前記自己集合反応が、No.1及びNo.2の一対のオリゴヌクレオチドの各オリゴヌクレオチドを3´側領域、中央領域、及び5´側領域の3つの領域に分け、各オリゴヌクレオチドの中央領域を互いに相補的な塩基配列とし、3´側領域及び5´側領域を互いに非相補的な塩基配列とした複数対のダイマー形成用プローブを含む第1番目の系から第(2n−1)番目(n≧1)の系まで順番にn個形成されたダイマー形成用プローブ含有系と、
No.1及びNo.2の一対のオリゴヌクレオチドの各オリゴヌクレオチドを3´側領域及び5´側領域の2つの領域に分け、各オリゴヌクレオチドの3´側領域及び5´側領域を互いに非相補的な塩基配列とした複数対の架橋プローブをそれぞれ含む第2番目の系から第2n番目の系まで順番にn個形成架橋プローブ含有系とを有し、
該架橋プローブを、該ダイマー形成用プローブより形成されるダイマーを架橋することが可能な塩基配列とし、
該プローブをハイブリダイゼーションさせることにより、オリゴヌクレオチドが自己集合し、自己集合体を形成させる自己集合反応であることを特徴とする請求項1又は2記載のオリゴヌクレオチドによる自己集合体の形成方法。 - 前記n=1であり、前記プローブの塩基配列を、
第一の系のNo.1−オリゴヌクレオチドの3´側領域と第2の系のNo.1−オリゴヌクレオチドの3´側領域、
第1の系のNo.2−オリゴヌクレオチドの5´側領域と第2の系のNo.2−オリゴヌクレオチドの5´側領域、
第2の系のNo.2−オリゴヌクレオチドの3´側領域と第1の系のNo.2−オリゴヌクレオチドの3´側領域、
第2の系のNo.1−オリゴヌクレオチドの5´側領域と第1の系のNo.1−オリゴヌクレオチドの5´側領域、
をそれぞれ相補的な塩基配列とすることを特徴とする請求項10記載のオリゴヌクレオチドによる自己集合体の形成方法。 - 前記n=1であり、前記プローブの塩基配列を、
第1の系のNo.1−オリゴヌクレオチドの3´側領域と第2の系のNo.1−オリゴヌクレオチドの3´側領域、
第1の系のNo.2−オリゴヌクレオチドの5´側領域と第2の系のNo.1−オリゴヌクレオチドの5´側領域、
第1の系のNo.2−オリゴヌクレオチドの3´側領域と第2の系のNo.2−オリゴヌクレオチドの3´側領域、
第1の系のNO.1−オリゴヌクレオチドの5´側領域と第2の系のNo.2の系のNo.2−オリゴヌクレオチドの5´側領域、
をそれぞれ相補的な塩基配列とすることを特徴とする請求項10記載のオリゴヌクレオチドによる自己集合体の形成方法。 - 前記プローブの少なくとも一つが、前記RNA断片であることを特徴とする請求項10〜12のいずれか1項記載のオリゴヌクレオチドによる自己集合体の形成方法。
- 前記プローブの少なくとも一つが、前記RNA断片であり、且つ前記プローブの少なくとも一つが、予め作製しておいたプローブであることを特徴とする請求項10〜13のいずれか1項記載のオリゴヌクレオチドによる自己集合体の形成方法。
- 前記予め作製しておいたプローブが、DNA、RNA、PNAまたはLNAのいずれかから選ばれる塩基から構成されることを特徴とする請求項14記載のオリゴヌクレオチドによる自己集合体の形成方法。
- 前記ダイマー形成用プローブ及び架橋プローブの相補的な塩基配列領域の端部に、少なくとも1つのG(グアニン)またはC(シトシン)を配置させ、該プローブがハイブリダイズした際に少なくとも1つのG−C結合を相補的な塩基配列領域の端部に形成させることを特徴とする請求項10〜15のいずれか1項記載のオリゴヌクレオチドによる自己集合体の形成方法。
- 前記標的RNAが、遺伝子増幅反応により合成されたRNAであることを特徴とする請求項1〜16のいずれか1項記載のオリゴヌクレオチドによる自己集合体の形成方法。
- 前記遺伝子増幅反応が、一対の増幅用プローブの少なくとも一方の5’末端にプロモーター領域を含有する該一対の増幅用プローブ、逆転写酵素、RNaseH及びRNA合成酵素を用いてRNAを増幅する反応であることを特徴とする請求項17記載のオリゴヌクレオチドによる自己集合体の形成方法。
- 前記増幅用プローブがDNA、RNA、及びDNAとRNAから構成されるキメラ型、のいずれかから選ばれ、且つRNA増幅を可能にし得る増幅用プローブであることを特徴とする請求項18記載のオリゴヌクレオチドによる自己集合体の形成方法。
- 前記遺伝子増幅反応において増幅されるターゲット遺伝子にDNA及び/又はRNAを用いることを特徴とする請求項17〜19のいずれか1項記載のオリゴヌクレオチドによる自己集合体の形成方法。
- 前記遺伝子増幅反応において増幅されるターゲット遺伝子が1塩基多型であることを特徴とする請求項17〜20のいずれか1項記載のオリゴヌクレオチドによる自己集合体の形成方法。
- 請求項1〜22のいずれか1項記載のオリゴヌクレオチドによる自己集合体の形成方法を用いて形成されることを特徴とする自己集合体。
- 前記自己集合体がRNAとDNAのハイブリッドであることを特徴とする請求項22記載の自己集合体。
- 請求項1〜22のいずれか1項記載のオリゴヌクレオチドによる自己集合体の形成方法を用いて自己集合体を形成させ、形成された前記自己集合体を検出することにより、前記標的RNAを検出することを特徴とする遺伝子の検出方法。
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JP2020000157A (ja) * | 2018-06-29 | 2020-01-09 | 積水メディカル株式会社 | siRNAの定量方法 |
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