JP2004241682A - 金属化層を有するセラミックス焼結体及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】多層構造の基板やパッケージとして高機能セラミックスを用いた場合、上下層の導通不良の発生をなくすことができなかったが、本発明では上下層の導通不良やビア部のクラック、ビア表面のクラックや凹状になることを防ぐことを目的とする。
【解決手段】セラミックスグリーンシートにスルーホールを穿孔し、該スルーホール内部に金属粉末を含むペーストを充填した後、全体を同時に焼結することにより、金属化層を有するセラミックス焼結体を製造する方法において、ペーストの充填をグリーンシートの一方の面から行った後に、このペーストより粘度の低いペーストを用いて、グリーンシートの逆の面から再度ペーストを充填することを特徴とするセラミックス焼結体の製造方法と、このようにしてできたセラミックス焼結体の表面を研削又は研磨してなるセラミックス焼結体である。
【選択図】 なし
【解決手段】セラミックスグリーンシートにスルーホールを穿孔し、該スルーホール内部に金属粉末を含むペーストを充填した後、全体を同時に焼結することにより、金属化層を有するセラミックス焼結体を製造する方法において、ペーストの充填をグリーンシートの一方の面から行った後に、このペーストより粘度の低いペーストを用いて、グリーンシートの逆の面から再度ペーストを充填することを特徴とするセラミックス焼結体の製造方法と、このようにしてできたセラミックス焼結体の表面を研削又は研磨してなるセラミックス焼結体である。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は半導体やIC用の基板、パッケージとして有用な、金属化層を有するセラミックス焼結体及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来からアルミナ焼結体やガラスセラミックス等を用いたIC用の基板、パッケージ等が用いられてきた。これらは一般的にセラミックス粉末からドクターブレード等で作製したグリーンシート上に、WやCu等の金属粉末を用いたペーストを塗布し配線パターンを形成し、同時焼成することによって作製される。これらのセラミックスは通常セラミックスと金属の焼結温度が近い材料を選択しており、良好な焼結体を得ている。
【0003】
一方、最近これらの材料以外の高機能セラミックスを用いたセラミックス基板やパッケージへの要求が高まっている。例えば、高熱伝導率を有する窒化アルミニウムは、放熱性に優れ、電気絶縁性や機械的強度がともに優れているため、発熱量の大きな半導体やICを有する基板、パッケージ材料として期待されている。同時焼成する金属材料としてはWが用いられるが、窒化アルミニウムの焼結温度が2000℃程度と高く、1500℃程度で焼結されるWと大きく焼結温度が異なる。このようにセラミックスと金属の焼結温度が大きく異なる材料を同時焼結した場合、金属化層にクラックが生じたり、金属化層がセラミックスから剥がれたりしやすい。特に、多層構造の基板やパッケージにおいて、層間の導通を確保するための導通孔(ビア)に、これらの不良が発生しやすい。
【0004】
これに対しては、従来セラミックスと金属の焼結温度を近づけるために、金属中にセラミックスを分散させることが行われてきた。例えば窒化アルミニウムに関して、特許文献1では、金属化層をW、Mo及びこれらの硼化物、炭化物から選ばれた1種または2種の100重量部と、窒化アルミニウムまたは窒化アルミニウム基材と同成分の0.1〜50重量部とからなるように構成することにより、接合強度を高められるとある。また、特許文献2では金属化層を平均粒径1.0乃至1.5μmのW粉末に窒化アルミニウム質焼結体と実質的に同一組成からなる無機物を3.0乃至10.0重量%含有した構成とすることにより、接合強度を高められるとある。
【0005】
【特許文献1】
特開昭61−291480号公報
【特許文献2】
特開平4−83783号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、従来取られていた方策を用いても、ビア部の欠陥を完全には避けることができないと言う問題が発生した。すなわち、多層構造の基板やパッケージとして、窒化アルミニウムのような高機能セラミックスを用いた場合、上下層の導通不良の発生を無くすことができなかった。また、ビアを形成した基板や、これを多層化した多層基板の表面を研削または研磨した後に、その表面に厚膜や薄膜にて回路形成や抵抗形成し、基板、パッケージとして用いることも多いが、研削または研磨によって露出したビアにクラックが生じていたり、ビア表面が凹状になっていたりするという問題が発生した。
【0007】
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、上下層の導通不良や、ビア部のクラック、研削または研磨後のビア表面のクラックや凹状になることを防ぐことができる、金属化層を有するセラミックス焼結体、及びその製造方法を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明の金属化層を有するセラミックス焼結体、およびその製造方法は、以下のとおりである。
(1)セラミックス粉末を主成分とするセラミックスグリーンシートにスルーホールを穿孔し、該スルーホール内部に金属粉末を含むペーストを充填した後、全体を同時に焼結することにより、金属化層を有するセラミックス焼結体を製造する方法において、最初にペーストの充填をグリーンシートの一方の面から行った後に、このペーストより粘度の低いペーストを用いて、グリーンシートの逆の面から、ペーストを再度充填することを特徴とする金属化層を有するセラミックス焼結体の製造方法。
(2)前記最初に充填するペーストの粘度が30,000P以上、1,000,000P以下であることを特徴とする(1)記載の金属化層を有するセラミックス焼結体の製造方法。
【0009】
(3)前記最初に充填するペーストの粘度が50,000P以上、500,000P以下であることを特徴とする(1)または(2)記載の金属化層を有するセラミックス焼結体の製造方法。
(4)前記再度充填するペーストの粘度が30,000Pより小さいことを特徴とする(1)〜(3)のいずれか一項に記載の金属化層を有するセラミックス焼結体の製造方法。
(5)前記再度充填するペーストの粘度が100P以上、1,000P以下であることを特徴とする(1)〜(4)のいずれか一項に記載の金属化層を有するセラミックス焼結体の製造方法。
(6)前記セラミックスが窒化アルミニウムであり、金属粉末がタングステン(W)であることを特徴とする(1)〜(5)のいずれか一項に記載の金属化層を有するセラミックス焼結体の製造方法。
(7)前記(1)〜(6)のいずれか一項に記載の製造方法で製造した金属化層を有するセラミックス焼結体の表面を研削または研磨したことを特徴とする金属化層を有するセラミックス焼結体。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明に用いるセラミックス材料としては、窒化アルミニウム、アルミナ、炭化ケイ素、チタン酸バリウム等が挙げられる。以下に、セラミックス材料として窒化アルミニウムを取り上げ、詳細に説明する。
【0011】
本発明に用いる窒化アルミニウム焼結体は、窒化アルミニウムを主成分に、焼結助剤として広く知られているイットリウム、希土類金属、アルカリ土類金属等の化合物を0.1〜10wt%程度添加したものである。成形方法としては、窒化アルミニウム粉末と焼結助剤粉末にポリビニルブチラール(PVB)等の樹脂結合剤、ジブチルフタレート(DBP)等の可塑剤を混合し、造粒後プレス等で成形を行っても良いし、混合後、ドクターブレード法でグリーンシートを作製しても良い。また、押し出し法等も適用することができる。ただし、スルーホールやビアを形成する場合は、グリーンシートを用いて、窒化アルミニウムとビアを同時に焼結する同時焼成を行うのが一般的である。多層構造とする際も、グリーンシートを用いることが多く、焼結前に積層し同時焼成する必要がある。
【0012】
以下に、主にグリーンシートを用いた同時焼成の作製方法について説明する。グリーンシートには必要に応じて、パンチ等を用いてスルーホールを形成する。このスルーホールには後述する組成のペーストが充填される。充填する方法としては、スクリーン印刷など周知の方法を適用することができる。更に、必要に応じて回路配線等を同様に後述する組成のペーストを塗布して形成する。塗布方法としては、スクリーン印刷、刷毛塗り、スピンローラー塗りなど周知の方法を適用することができる。
【0013】
ビア充填、回路印刷に用いるペーストは、金属粉末、樹脂結合剤、溶剤からなる。また、必要に応じて窒化アルミニウムとの接着増強用の無機物を混合しても良い。本発明では前記金属粉末としてWを用いることが好ましい。グリーンシートは窒化アルミニウムと導体組成を同時に焼結する必要があるが、窒化アルミニウムとWは焼結温度を近くすることができ、さらに熱膨張率も近いため、金属粉末としてWを用いることが好ましいのである。
【0014】
また、ペースト中の樹脂結合剤は、通常、W粉末や無機物粉末等の粉末の合計を100重量部とした場合、1〜3重量部混合し、溶剤は3〜15重量部程度混合する。混合方法であるが、まず粉末と溶剤だけをポットミルやボールミル、ライカイ機等を用いて混合する。その後、三本ロール等を用いて樹脂結合剤を混合する。
【0015】
また、用いるW粉末であるが、窒化アルミニウムとWの焼結温度を近づけるためには、W粉末の平均粒径を1μm以上、5μm以下にすることが好ましい。W粒径を数種類混合して用いることも多いが、その場合、1μm以上、5μm以下の平均粒径のWを50wt%以上用いることが好ましい。W粉末の平均粒径が1μmより小さくなると、Wの焼結開始温度が窒化アルミニウムの焼結温度に比べて低くなりすぎるため、Wや窒化アルミニウムとWの界面にクラックが生じやすくなる。一方、W粉末の平均粒径が5μmより大きくなると、Wの焼結性が著しく悪化し、窒化アルミニウムの焼結温度でWの焼結が充分に行われないため、好ましくない。
【0016】
スルーホールにWペーストを充填した後、必要に応じてグリーンシートを積層する。積層はシートをモールド中にセットした後に、プレス機により50℃〜80℃程度に熱しながら、5MPa〜10MPa程度の圧力を10分〜20分程度かけることにより、熱圧着する。シート間には必要に応じて溶剤や接着剤を塗布してもよい。
【0017】
積層したシートは、任意の形に切断された後に焼結される。焼結に先立ち、窒化アルミニウムのグリーンシートの樹脂結合剤、可塑剤、及びペーストの媒体を除去するために、例えば300℃〜800℃というような温度で脱脂処理をしてもよい。
【0018】
焼結は非酸化性雰囲気中で行うが、窒素雰囲気中で行うのが好ましい。焼結温度、焼結時間は、焼結後の窒化アルミニウム焼結体の熱伝導率等の特性が所望の値となるように設定される。一般的に焼結温度は1600℃〜2000℃であり、焼結時間は1時間〜5時間程度に設定される。
【0019】
このように焼結された窒化アルミニウム焼結体は、次に必要に応じて基板表面の研削または研磨加工を行う。研削または研磨の方法は公知の技術を適宜用いることができる。通常は、ラッピング、ポリッシング、バレル研磨、サンドブラスト、研削盤等による方法が用いられる。基板の表面粗さは目的により異なるが、特に研磨後薄膜法でパターンを形成する場合は、中心線平均粗さ(Ra)0.8μm以下、より好ましくは、0.05μm以下にすることにより、薄膜法による金属化層と窒化アルミニウムの密着強度を高めることができるため好ましい。
【0020】
この様に窒化アルミニウム焼結体表面を研削または研磨した後に、必要に応じて厚膜法や薄膜法で導電パターンを形成する。導電パターンの形成方法としては、スパッタリング法、蒸着法、化学的気相成長法(CVD法)、イオンプレーティング法、溶射法、スクリーン印刷法等の公知の技術を用いることができる。これらの中で、薄膜法を用いた場合、導電パターンのパターニング方法としては、パターン形状によって公知の技術を使い分けることができる。例えば、メタルマスク法、湿式エッチング法、ドライエッチング法、リフトオフ法等を用いることができる。
【0021】
また、導電パターンを形成する構成金属としては、Ti、Cr、Mo、W、Al、Ta、Ni−Cr等の公知のものを用いることができる。また、これらの金属は単独で用いても良いし、2種類以上を組み合わせても良い。さらに単層で導電パターンを形成しても良いし、2層以上を積層して用いても良い。
【0022】
スパッタリング法や蒸着法等の薄膜法を用いるときは、3層程度を積層して用いることが多い。窒化アルミニウムと接する第一層には、上述のような公知の金属を用いることができるが、高い密着強度を安定して得ることができるTiを用いることが多い。また、第一層の上に積層する第二層にも公知の金属を用いることができるが、3層以上の導電パターンとして用いる時には、第一層と第三層との間で元素が拡散するのを防止するために、Pt、Ni、Mo、W、Pd等を用いることが多い。さらに、第二層上に第三層を積層する場合も公知の金属を用いることができるが、Pt、Au等が電気伝導性が良好で、耐食性にも優れているため用いることが多い。また、これら薄膜法で3層程度の積層導電パターンを形成した後に、さらにメッキ法等でNi、Au等の導電パターンを積層することもある。
【0023】
また、前記の導電パターンのあるパターン間を一定の抵抗値に保つために、ある規定の抵抗値で電気的に接続する抵抗体パターンを形成しても良い。抵抗体パターンの形成方法は前記薄膜法の形成方法等を用いることができる。抵抗体パターンの種類については、公知のものを用いることができるが、抵抗値の安定性の観点からTa−N、Ni−Cr等を用いることが多い。
【0024】
この抵抗体パターンは、抵抗値の経時変化や温度変化を抑制するために、抵抗体表面に酸化皮膜を形成することが多い。これには公知の方法を用いることができるが、陽極酸化法等を用いることが多い。さらに、抵抗値の調整を行うことがある。これにも公知の方法を用いることができるが、レーザートリミング法等を用いることが多い。
【0025】
以上のような工程で窒化アルミニウム焼結体を用いた基板や多層基板、パッケージが作製されるが、上下層の導通不良、研削または研磨後のビアクラックやビア表面の凹状不良が、どの部分で生じているかを調査した結果、これらには深い関係があることが判った。すなわち、焼結後のビアには内部にクラックや空孔が生じており、これが原因で上下層の導通不良が生じたり、クラックや空孔が生じている部分まで研削または研磨を行うことにより、ビア表面にビアクラックや凹状不良が生じるのである。
【0026】
さらに、このビア内部に生じているクラックや空孔はスルーホールにペーストを充填した後に、その芽が生じており、焼結によってクラックや空孔が大きく成長することも判った。これは、特に窒化アルミニウム等の高機能セラミックスに顕著に認められる。これらのセラミックスは1800℃〜2000℃といった高温で焼結される。一方、これらのセラミックスの回路材料として用いられる高融点金属のWは1400℃〜1500℃で焼結が開始されるため、二つの材料の焼結温度が大きく異なる。このような材料を同時焼成すると、まず、Wから収縮を開始するため、スルーホールでも充填されたWがまず収縮を開始する。しかし、セラミックスは収縮を開始しないため、スルーホールの外径は小さくならず、Wは外側を拘束されたまま収縮することになる。そのため、スルーホールにペースト充填した際に生じた、クラックや空孔の芽が大きくなりやすい。
【0027】
また、窒化アルミニウム等の高機能セラミックスでは焼結時に生成する液相量が、一般的なアルミナ等に比べると極端に少ない場合が多い。アルミナであれば、上述したような焼結中のビアクラックの成長は、元々二つの焼結温度がほぼ等しいため生じにくいが、もし生じたとしても焼結中に生じる液相がビアクラックに流れ込んで、クラックを埋めるため、焼結後ビア内部にクラックや空孔が生じることが少ない。しかしながら、液相量が少なければ、このような現象は生じることはないため、液相量が少ない窒化アルミニウム等の高機能セラミックスにはビアのクラックや空孔が生じやすいのである。
【0028】
このように、ビアのクラックや空孔を無くすには、スルーホールにペーストを充填した時点で、クラックや空孔の芽が生じないように完全に充填する必要がある。そのためには、スルーホールへのペーストの充填率を高くする必要がある。充填率が低い場合はペーストの偏り等により、容易にクラックや空孔が生じるためである。スルーホールへのペーストの充填率としては、40%以上とすることが好ましい。ペーストの充填率はスルーホールへペーストを充填する前後の重量変化と、スルーホールの総体積から求めることができる。充填率が大きなものは焼結時の収縮率が小さく、充填率が小さなものは収縮率が大きい。W粉末の充填率はグリーンシートの相対密度(窒化アルミニウムの焼結密度に対するグリーンシートの生密度の相対値)、すなわち
(グリーンシートの相対密度)=
(グリーンシートの生密度)/(窒化アルミニウムの焼結後の密度)×100(%)
に相当する値である。一般的にグリーンシートの相対密度は60%前後であり、基本的にはペーストの充填率も60%に近づけた方が、両者の収縮率が近づき、クラック等を避けることができると考えられる。しかしながら、実際には他の要因も考慮する必要がある。すなわち、スルーホールへ充填したW粉末は焼結の際に、平面方向、厚み方向とも均等に収縮するのに対して、グリーンシートはドクターブレード等でシートを作製する際の残留応力を有しているため、平面方向、厚み方向で収縮率が異なり、平面方向より厚み方向の収縮率が大きくなる。さらには平面方向内でも収縮率が異なる。また、例えば、窒化アルミニウムとWの同時焼成を考えた場合、Wは窒化アルミニウムの焼結温度では完全に緻密には焼結しないため、焼結後の密度が純Wより低い。これらの要因を考慮しつつWの最適充填率を決定する必要がある。実際に実験を重ねた結果、ペーストの充填率として40%以上あると、ビアのクラックや空孔を避けられることが判った。
【0029】
ペーストの充填率を前述のような所望の値にするためには、ペーストの粘度が非常に重要となる。一般的に粘度はペースト中の溶剤量が少ないほど、粘度が高くなるが、粘度の高いペーストをスルーホールに充填した方が、充填後の溶剤の揮発量が少なくなるため、充填率を高くすることができる。そのため、ペーストの粘度を30,000P以上、1,000,000P以下にすることが望ましい。ちなみに粘度であるが、測定機器により若干の差が認められるが、本発明においては、ブルックフィールド社製の5×HBDV−I+を使用した粘度値を記している。粘度が30,000Pより小さいと、ペーストの充填率を40%以上にできないため、クラックを避けることができない。一方、粘度が1,000,000Pより大きくなると、ペーストが非常に固くなり、スルーホールにペーストを充填できなくなるため、好ましくない。
【0030】
Wペーストの粘度は、更に好ましくは50,000P以上、500,000P以下である。粘度が50,000Pより小さければ、印刷条件、乾燥条件によっては、ビアにクラックが生じる場合もある。一方、粘度が500,000Pより大きくなると、ペーストが固く、部分的に不均一になる場合がある。すなわち、ペースト中の溶剤量がペースト粘度に影響を与えるが、粘度が500,000Pより大きくなると、ペースト中の溶剤量が少ないため、均一なペーストの作製が困難であり、部分的にペースト中の金属粉末と溶剤が濡れていないような部分が生じる。このような部分は、ビアのクラック等の原因となりやすいため、好ましくない。
【0031】
このようにスルーホールに充填するペースト粘度を制御することにより、ビアのクラックや空孔を大幅に低減できることが判った。しかし、さらに、調査を進めると、スルーホールへ充填するペースト粘度の制御だけでは、ビアのクラックや空孔を完全に無くすことは困難であることが判った。すなわち、例えば窒化アルミニウムとWの同時焼成基板や多層基板、パッケージを考えた場合、昨今の半導体ICの高周波化等に対応するために、ビアの数が多くなってきており、多い場合には一層に1000個以上のビアを設ける場合もある。また、一層に数個程度のビアしかない基板でも、外形寸法が小さくなってきており、それに伴い、一枚のグリーンシートから多数の基板を同時に作製できるように、一枚のグリーンシートに多数の基板を配置して、焼結後に切断するような製造方法が採られてきている。このような場合、やはり一枚のグリーンシートに1000個以上のビアを設ける場合がある。これらの多数のビアが一枚のグリーンシートにある場合、全てのビアを完全に充填することは非常に困難なことが判ったのである。
【0032】
具体的には、スルーホールへペーストを完全に充填すべく、ペースト粘度を高く設定しているので、図1に示すように、グリーンシートのペーストの充填を行った表面とは逆の面まで、ペーストを完全に充填できないビアが生じやすいことが判った。また、スルーホールへペーストを充填する際は、グリーンシートのペースト充填を行う表面と逆の面には、ペースト充填を行う際に用いるスクリーン印刷機等にペーストが付着しないように、図2に示すような剥離紙を載置する場合が多い。この剥離紙はペースト充填が終了した後に、グリーンシートから剥離するが、図3に示すように、この剥離紙にペーストが取られて、ビアにクラックや空孔が生じやすいことも判った。
【0033】
これらのビアクラックや空孔を無くすための方策を検討した結果、グリーンシートのペースト充填を行う表面と逆の面から、もう一度ペースト充填を行えば良いと考えた。しかしながら、最初に充填するペーストと同じペーストを用いて、再度グリーンシートの逆の面から充填を行っても、ビアのクラックや空孔を減らすことはできなかった。そこで、生じたビアのクラックや空孔の断面を観察した結果、図4に示すように、再度充填を行ったペーストが、最初に充填を行ったペーストのクラックや空孔に沿って変形していないために、ビアのクラックや空孔が無くなっていないことが判った。そこで、再度、グリーンシートの逆の面からペースト充填を行う条件を検討した結果、最初にスルーホールへ充填したペーストの粘度より、粘度の低下したペーストを用いて充填を行えば良いことが判った。そうすることによって、最初に充填を行ったペーストのクラックや空孔に沿って、再度充填を行ったペーストが変形しやすく、ビアのクラックや空孔を無くせることが判ったのである。
【0034】
再度充填を行うペーストの粘度は、最初にスルーホールに充填を行ったペースト粘度の最低粘度である30,000Pより小さいことが望ましい。
また、再度充填を行うペーストの粘度は、100P以上、1,000P以下であることがさらに望ましい。再度充填を行うペースト粘度が100Pより小さいときは、最初に充填を行ったペーストのクラックや空孔に沿って、再度充填を行ったペーストが変形はするが、溶剤量が多いため、溶剤乾燥後もペーストでクラックや空孔を埋めた状態にすることができない。一方、再度充填を行うペーストの粘度が1,000Pより大きい時は、最初に充填を行ったペーストのクラックや空孔の形状が複雑になると、再度充填を行ったペーストが形状に沿うことができなくなることがあり、ビアのクラックや空孔を無くせないことがある。
再度ペーストを充填する方法としては、最初にペーストを充填する方法と同様な方法を用いることができる。
【0035】
以上のような方法で、スルーホールにペーストを充填することによって、ビアのクラックや空孔を防ぐことができ、基板や多層基板、パッケージの上下導通不良や、表面を研削または研磨した後のビア表面にクラックや凹状となる不良を防ぐことができる。
前記のごとく、本発明の金属化層を有する窒化アルミニウム等のセラミックス基板は、基板や多層基板、パッケージの上下層の導通不良や、ビア部のクラック、研削または研磨後のビア表面のクラックや凹状になることを防ぐことができる。
【0036】
【実施例】
以下、実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明する。
実施例1〜6
97重量部の窒化アルミニウム粉末と3重量部のY2O3粉末を混合し、ポリビニルブチラールを樹脂結合剤、ジブチルフタレートを可塑剤として、それぞれ10重量部、5重量部混合して、ドクターブレード法にて0.5mm厚のグリーンシートを成形した。これを金型を使用して100mm×100mmに打ち抜いた後、パンチャーにてφ0.4mmのスルーホールを形成した。なお、一枚のグリーンシートにスルーホールを1000個形成した。
【0037】
このスルーホールにWペーストを充填した。平均粒径が2.0μmのW粉末を100重量部として、5重量部の樹脂結合剤であるエチルセルロースと、溶媒としてブチルカルビトールを用いてペーストを作製した。混合にはポットミルと三本ロールを用いた。その後、表1に示す粘度のペーストをスクリーン印刷機にてスルーホールに充填した。
【0038】
次に、それぞれのペーストにブチルカルビトールをさらに加えて粘度を低下させ、500Pに調整した。このペーストを用いて、最初にスルーホールに充填するためにスクリーン印刷したグリーンシートの表面とは逆の面から、スクリーン印刷機を用いて、スルーホールにペーストを充填した。
【0039】
次に、印刷後のシートを2枚重ねて積層した。積層はモールドにシートを2枚重ねてセットし、プレス機にて50℃に熱しつつ、10MPaの圧力で2分間熱圧着することで行った。
その後、窒素雰囲気中で600℃にて脱脂を行い、窒素雰囲気中で1800℃、3時間の条件で焼結を行った。
【0040】
焼結後、ビア部分にはφ0.35mmのスルーホールに金属化層が形成されていた。次に、ビア部分にクラックや空孔が発生していないかを確認するために、焼結した窒化アルミニウム基板表面を両面から0.3mm程度研磨し、電子顕微鏡にてクラックや空孔の有無を1000倍にて確認した。これらの評価結果をペースト配合内容と同様に表1に示す。なお、同じ条件で作製した基板を10枚用意しており、表中の「ビアクラックが生じた基板の発生確率」は、一枚の基板中にある1000個のビアに一つでもクラックや空孔が生じていた基板の発生確率を示している。
【0041】
さらに、それぞれのビアの導通をテスターにて調べた。結果を表1に示すが、表中の「導通不良が生じた基板の発生確率」は、一枚の基板中にある1000個のビアに一つでも導通不良が生じていた基板の発生確率を示している。また、導通不良とは、ビアの抵抗が1Ω以上のものと仮定した。ただし、導通不良と判定した以外のビアの抵抗は高くても50mΩであった。
【0042】
【表1】
【0043】
最初にスルーホールに充填するペーストの密度を30,000P以上、1,000,000P以下に調整し、再度グリーンシートの逆面からスルーホールに充填するペーストの粘度を500Pとすることで、ビアクラックや空孔、導通不良が生じることのない焼結体が作製可能であることが判る。
【0044】
また、特に最初にスルーホールに充填するペーストの粘度を50,000P以上、500,000P以下に調整することで、ビアクラックや空孔、導通不良を完全に無くすことができた。
【0045】
実施例7〜11及び比較例1
最初にスルーホールに充填するペーストの粘度を200,000Pとし、再度逆のグリーンシート面からスルーホールに充填するペーストの粘度を表2のように変更した以外は、実施例1と同様に実験を行った。ビアクラック、空孔の発生状況、導通不良の発生状況を表2に示す。
【0046】
【表2】
【0047】
再度スルーホールに充填するペーストの粘度を最初に充填したペーストの粘度よりも低い30,000P以下に調整することで、ビアクラックや空孔、導通不良が生じることのない焼結体が作製可能であることが判る。
また、特に再度スルーホールに充填するペーストの粘度を100P以上、1,000P以下に調整することで、ビアクラックや空孔、導通不良を完全に無くすことができた。
【0048】
実施例12及び比較例2
最初にスルーホールに充填するペーストの粘度を200,000Pとし、再度逆のグリーンシート面からスルーホールにペーストを充填しない場合と、充填するペーストの粘度を100,000Pとした場合について、実施例1と同様に実験を行った。ビアクラック、空孔の発生状況、導通不良の発生状況を表3に示す。
【0049】
【表3】
【0050】
再度スルーホールにペーストを充填しない場合、ビアクラックや空孔、導通不良を防ぐことは不可能であった。また、最初に充填したペーストの粘度より低い粘度のペーストをグリーンシートの逆の面から再度スルーホールに充填することによって、ペーストの粘度が30,000Pより小さくなくても、ビアクラックや空孔、導通不良を無くすことは可能であることが判った。ただし、ビアクラックや空孔、導通不良の発生確率は非常に高かった。
【0051】
【発明の効果】
本発明によれば、セラミックスグリーンシートのスルーホールにペーストを充填した後、充填したグリーンシートの逆の面から、最初に充填したペーストの粘度より低い粘度のペーストを用いて、スルーホールにペーストを充填することにより、基板や多層基板、パッケージの上下層の導通不良や、ビア部のクラック、研削または研磨後のビア表面のクラックや凹状になることを防ぐことができる。このため、本セラミックス焼結体はIC用の基板、パッケージとして好適に用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】スルーホールに充填されたペーストの充填不足を示す説明図である。
【図2】剥離紙を用いスルーホールへペーストを充填する方法の説明図である。
【図3】剥離紙へペーストが付着する状況の説明図である。
【図4】再度ペーストを充填した後の不良の説明図である。
【発明の属する技術分野】
本発明は半導体やIC用の基板、パッケージとして有用な、金属化層を有するセラミックス焼結体及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来からアルミナ焼結体やガラスセラミックス等を用いたIC用の基板、パッケージ等が用いられてきた。これらは一般的にセラミックス粉末からドクターブレード等で作製したグリーンシート上に、WやCu等の金属粉末を用いたペーストを塗布し配線パターンを形成し、同時焼成することによって作製される。これらのセラミックスは通常セラミックスと金属の焼結温度が近い材料を選択しており、良好な焼結体を得ている。
【0003】
一方、最近これらの材料以外の高機能セラミックスを用いたセラミックス基板やパッケージへの要求が高まっている。例えば、高熱伝導率を有する窒化アルミニウムは、放熱性に優れ、電気絶縁性や機械的強度がともに優れているため、発熱量の大きな半導体やICを有する基板、パッケージ材料として期待されている。同時焼成する金属材料としてはWが用いられるが、窒化アルミニウムの焼結温度が2000℃程度と高く、1500℃程度で焼結されるWと大きく焼結温度が異なる。このようにセラミックスと金属の焼結温度が大きく異なる材料を同時焼結した場合、金属化層にクラックが生じたり、金属化層がセラミックスから剥がれたりしやすい。特に、多層構造の基板やパッケージにおいて、層間の導通を確保するための導通孔(ビア)に、これらの不良が発生しやすい。
【0004】
これに対しては、従来セラミックスと金属の焼結温度を近づけるために、金属中にセラミックスを分散させることが行われてきた。例えば窒化アルミニウムに関して、特許文献1では、金属化層をW、Mo及びこれらの硼化物、炭化物から選ばれた1種または2種の100重量部と、窒化アルミニウムまたは窒化アルミニウム基材と同成分の0.1〜50重量部とからなるように構成することにより、接合強度を高められるとある。また、特許文献2では金属化層を平均粒径1.0乃至1.5μmのW粉末に窒化アルミニウム質焼結体と実質的に同一組成からなる無機物を3.0乃至10.0重量%含有した構成とすることにより、接合強度を高められるとある。
【0005】
【特許文献1】
特開昭61−291480号公報
【特許文献2】
特開平4−83783号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、従来取られていた方策を用いても、ビア部の欠陥を完全には避けることができないと言う問題が発生した。すなわち、多層構造の基板やパッケージとして、窒化アルミニウムのような高機能セラミックスを用いた場合、上下層の導通不良の発生を無くすことができなかった。また、ビアを形成した基板や、これを多層化した多層基板の表面を研削または研磨した後に、その表面に厚膜や薄膜にて回路形成や抵抗形成し、基板、パッケージとして用いることも多いが、研削または研磨によって露出したビアにクラックが生じていたり、ビア表面が凹状になっていたりするという問題が発生した。
【0007】
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、上下層の導通不良や、ビア部のクラック、研削または研磨後のビア表面のクラックや凹状になることを防ぐことができる、金属化層を有するセラミックス焼結体、及びその製造方法を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明の金属化層を有するセラミックス焼結体、およびその製造方法は、以下のとおりである。
(1)セラミックス粉末を主成分とするセラミックスグリーンシートにスルーホールを穿孔し、該スルーホール内部に金属粉末を含むペーストを充填した後、全体を同時に焼結することにより、金属化層を有するセラミックス焼結体を製造する方法において、最初にペーストの充填をグリーンシートの一方の面から行った後に、このペーストより粘度の低いペーストを用いて、グリーンシートの逆の面から、ペーストを再度充填することを特徴とする金属化層を有するセラミックス焼結体の製造方法。
(2)前記最初に充填するペーストの粘度が30,000P以上、1,000,000P以下であることを特徴とする(1)記載の金属化層を有するセラミックス焼結体の製造方法。
【0009】
(3)前記最初に充填するペーストの粘度が50,000P以上、500,000P以下であることを特徴とする(1)または(2)記載の金属化層を有するセラミックス焼結体の製造方法。
(4)前記再度充填するペーストの粘度が30,000Pより小さいことを特徴とする(1)〜(3)のいずれか一項に記載の金属化層を有するセラミックス焼結体の製造方法。
(5)前記再度充填するペーストの粘度が100P以上、1,000P以下であることを特徴とする(1)〜(4)のいずれか一項に記載の金属化層を有するセラミックス焼結体の製造方法。
(6)前記セラミックスが窒化アルミニウムであり、金属粉末がタングステン(W)であることを特徴とする(1)〜(5)のいずれか一項に記載の金属化層を有するセラミックス焼結体の製造方法。
(7)前記(1)〜(6)のいずれか一項に記載の製造方法で製造した金属化層を有するセラミックス焼結体の表面を研削または研磨したことを特徴とする金属化層を有するセラミックス焼結体。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明に用いるセラミックス材料としては、窒化アルミニウム、アルミナ、炭化ケイ素、チタン酸バリウム等が挙げられる。以下に、セラミックス材料として窒化アルミニウムを取り上げ、詳細に説明する。
【0011】
本発明に用いる窒化アルミニウム焼結体は、窒化アルミニウムを主成分に、焼結助剤として広く知られているイットリウム、希土類金属、アルカリ土類金属等の化合物を0.1〜10wt%程度添加したものである。成形方法としては、窒化アルミニウム粉末と焼結助剤粉末にポリビニルブチラール(PVB)等の樹脂結合剤、ジブチルフタレート(DBP)等の可塑剤を混合し、造粒後プレス等で成形を行っても良いし、混合後、ドクターブレード法でグリーンシートを作製しても良い。また、押し出し法等も適用することができる。ただし、スルーホールやビアを形成する場合は、グリーンシートを用いて、窒化アルミニウムとビアを同時に焼結する同時焼成を行うのが一般的である。多層構造とする際も、グリーンシートを用いることが多く、焼結前に積層し同時焼成する必要がある。
【0012】
以下に、主にグリーンシートを用いた同時焼成の作製方法について説明する。グリーンシートには必要に応じて、パンチ等を用いてスルーホールを形成する。このスルーホールには後述する組成のペーストが充填される。充填する方法としては、スクリーン印刷など周知の方法を適用することができる。更に、必要に応じて回路配線等を同様に後述する組成のペーストを塗布して形成する。塗布方法としては、スクリーン印刷、刷毛塗り、スピンローラー塗りなど周知の方法を適用することができる。
【0013】
ビア充填、回路印刷に用いるペーストは、金属粉末、樹脂結合剤、溶剤からなる。また、必要に応じて窒化アルミニウムとの接着増強用の無機物を混合しても良い。本発明では前記金属粉末としてWを用いることが好ましい。グリーンシートは窒化アルミニウムと導体組成を同時に焼結する必要があるが、窒化アルミニウムとWは焼結温度を近くすることができ、さらに熱膨張率も近いため、金属粉末としてWを用いることが好ましいのである。
【0014】
また、ペースト中の樹脂結合剤は、通常、W粉末や無機物粉末等の粉末の合計を100重量部とした場合、1〜3重量部混合し、溶剤は3〜15重量部程度混合する。混合方法であるが、まず粉末と溶剤だけをポットミルやボールミル、ライカイ機等を用いて混合する。その後、三本ロール等を用いて樹脂結合剤を混合する。
【0015】
また、用いるW粉末であるが、窒化アルミニウムとWの焼結温度を近づけるためには、W粉末の平均粒径を1μm以上、5μm以下にすることが好ましい。W粒径を数種類混合して用いることも多いが、その場合、1μm以上、5μm以下の平均粒径のWを50wt%以上用いることが好ましい。W粉末の平均粒径が1μmより小さくなると、Wの焼結開始温度が窒化アルミニウムの焼結温度に比べて低くなりすぎるため、Wや窒化アルミニウムとWの界面にクラックが生じやすくなる。一方、W粉末の平均粒径が5μmより大きくなると、Wの焼結性が著しく悪化し、窒化アルミニウムの焼結温度でWの焼結が充分に行われないため、好ましくない。
【0016】
スルーホールにWペーストを充填した後、必要に応じてグリーンシートを積層する。積層はシートをモールド中にセットした後に、プレス機により50℃〜80℃程度に熱しながら、5MPa〜10MPa程度の圧力を10分〜20分程度かけることにより、熱圧着する。シート間には必要に応じて溶剤や接着剤を塗布してもよい。
【0017】
積層したシートは、任意の形に切断された後に焼結される。焼結に先立ち、窒化アルミニウムのグリーンシートの樹脂結合剤、可塑剤、及びペーストの媒体を除去するために、例えば300℃〜800℃というような温度で脱脂処理をしてもよい。
【0018】
焼結は非酸化性雰囲気中で行うが、窒素雰囲気中で行うのが好ましい。焼結温度、焼結時間は、焼結後の窒化アルミニウム焼結体の熱伝導率等の特性が所望の値となるように設定される。一般的に焼結温度は1600℃〜2000℃であり、焼結時間は1時間〜5時間程度に設定される。
【0019】
このように焼結された窒化アルミニウム焼結体は、次に必要に応じて基板表面の研削または研磨加工を行う。研削または研磨の方法は公知の技術を適宜用いることができる。通常は、ラッピング、ポリッシング、バレル研磨、サンドブラスト、研削盤等による方法が用いられる。基板の表面粗さは目的により異なるが、特に研磨後薄膜法でパターンを形成する場合は、中心線平均粗さ(Ra)0.8μm以下、より好ましくは、0.05μm以下にすることにより、薄膜法による金属化層と窒化アルミニウムの密着強度を高めることができるため好ましい。
【0020】
この様に窒化アルミニウム焼結体表面を研削または研磨した後に、必要に応じて厚膜法や薄膜法で導電パターンを形成する。導電パターンの形成方法としては、スパッタリング法、蒸着法、化学的気相成長法(CVD法)、イオンプレーティング法、溶射法、スクリーン印刷法等の公知の技術を用いることができる。これらの中で、薄膜法を用いた場合、導電パターンのパターニング方法としては、パターン形状によって公知の技術を使い分けることができる。例えば、メタルマスク法、湿式エッチング法、ドライエッチング法、リフトオフ法等を用いることができる。
【0021】
また、導電パターンを形成する構成金属としては、Ti、Cr、Mo、W、Al、Ta、Ni−Cr等の公知のものを用いることができる。また、これらの金属は単独で用いても良いし、2種類以上を組み合わせても良い。さらに単層で導電パターンを形成しても良いし、2層以上を積層して用いても良い。
【0022】
スパッタリング法や蒸着法等の薄膜法を用いるときは、3層程度を積層して用いることが多い。窒化アルミニウムと接する第一層には、上述のような公知の金属を用いることができるが、高い密着強度を安定して得ることができるTiを用いることが多い。また、第一層の上に積層する第二層にも公知の金属を用いることができるが、3層以上の導電パターンとして用いる時には、第一層と第三層との間で元素が拡散するのを防止するために、Pt、Ni、Mo、W、Pd等を用いることが多い。さらに、第二層上に第三層を積層する場合も公知の金属を用いることができるが、Pt、Au等が電気伝導性が良好で、耐食性にも優れているため用いることが多い。また、これら薄膜法で3層程度の積層導電パターンを形成した後に、さらにメッキ法等でNi、Au等の導電パターンを積層することもある。
【0023】
また、前記の導電パターンのあるパターン間を一定の抵抗値に保つために、ある規定の抵抗値で電気的に接続する抵抗体パターンを形成しても良い。抵抗体パターンの形成方法は前記薄膜法の形成方法等を用いることができる。抵抗体パターンの種類については、公知のものを用いることができるが、抵抗値の安定性の観点からTa−N、Ni−Cr等を用いることが多い。
【0024】
この抵抗体パターンは、抵抗値の経時変化や温度変化を抑制するために、抵抗体表面に酸化皮膜を形成することが多い。これには公知の方法を用いることができるが、陽極酸化法等を用いることが多い。さらに、抵抗値の調整を行うことがある。これにも公知の方法を用いることができるが、レーザートリミング法等を用いることが多い。
【0025】
以上のような工程で窒化アルミニウム焼結体を用いた基板や多層基板、パッケージが作製されるが、上下層の導通不良、研削または研磨後のビアクラックやビア表面の凹状不良が、どの部分で生じているかを調査した結果、これらには深い関係があることが判った。すなわち、焼結後のビアには内部にクラックや空孔が生じており、これが原因で上下層の導通不良が生じたり、クラックや空孔が生じている部分まで研削または研磨を行うことにより、ビア表面にビアクラックや凹状不良が生じるのである。
【0026】
さらに、このビア内部に生じているクラックや空孔はスルーホールにペーストを充填した後に、その芽が生じており、焼結によってクラックや空孔が大きく成長することも判った。これは、特に窒化アルミニウム等の高機能セラミックスに顕著に認められる。これらのセラミックスは1800℃〜2000℃といった高温で焼結される。一方、これらのセラミックスの回路材料として用いられる高融点金属のWは1400℃〜1500℃で焼結が開始されるため、二つの材料の焼結温度が大きく異なる。このような材料を同時焼成すると、まず、Wから収縮を開始するため、スルーホールでも充填されたWがまず収縮を開始する。しかし、セラミックスは収縮を開始しないため、スルーホールの外径は小さくならず、Wは外側を拘束されたまま収縮することになる。そのため、スルーホールにペースト充填した際に生じた、クラックや空孔の芽が大きくなりやすい。
【0027】
また、窒化アルミニウム等の高機能セラミックスでは焼結時に生成する液相量が、一般的なアルミナ等に比べると極端に少ない場合が多い。アルミナであれば、上述したような焼結中のビアクラックの成長は、元々二つの焼結温度がほぼ等しいため生じにくいが、もし生じたとしても焼結中に生じる液相がビアクラックに流れ込んで、クラックを埋めるため、焼結後ビア内部にクラックや空孔が生じることが少ない。しかしながら、液相量が少なければ、このような現象は生じることはないため、液相量が少ない窒化アルミニウム等の高機能セラミックスにはビアのクラックや空孔が生じやすいのである。
【0028】
このように、ビアのクラックや空孔を無くすには、スルーホールにペーストを充填した時点で、クラックや空孔の芽が生じないように完全に充填する必要がある。そのためには、スルーホールへのペーストの充填率を高くする必要がある。充填率が低い場合はペーストの偏り等により、容易にクラックや空孔が生じるためである。スルーホールへのペーストの充填率としては、40%以上とすることが好ましい。ペーストの充填率はスルーホールへペーストを充填する前後の重量変化と、スルーホールの総体積から求めることができる。充填率が大きなものは焼結時の収縮率が小さく、充填率が小さなものは収縮率が大きい。W粉末の充填率はグリーンシートの相対密度(窒化アルミニウムの焼結密度に対するグリーンシートの生密度の相対値)、すなわち
(グリーンシートの相対密度)=
(グリーンシートの生密度)/(窒化アルミニウムの焼結後の密度)×100(%)
に相当する値である。一般的にグリーンシートの相対密度は60%前後であり、基本的にはペーストの充填率も60%に近づけた方が、両者の収縮率が近づき、クラック等を避けることができると考えられる。しかしながら、実際には他の要因も考慮する必要がある。すなわち、スルーホールへ充填したW粉末は焼結の際に、平面方向、厚み方向とも均等に収縮するのに対して、グリーンシートはドクターブレード等でシートを作製する際の残留応力を有しているため、平面方向、厚み方向で収縮率が異なり、平面方向より厚み方向の収縮率が大きくなる。さらには平面方向内でも収縮率が異なる。また、例えば、窒化アルミニウムとWの同時焼成を考えた場合、Wは窒化アルミニウムの焼結温度では完全に緻密には焼結しないため、焼結後の密度が純Wより低い。これらの要因を考慮しつつWの最適充填率を決定する必要がある。実際に実験を重ねた結果、ペーストの充填率として40%以上あると、ビアのクラックや空孔を避けられることが判った。
【0029】
ペーストの充填率を前述のような所望の値にするためには、ペーストの粘度が非常に重要となる。一般的に粘度はペースト中の溶剤量が少ないほど、粘度が高くなるが、粘度の高いペーストをスルーホールに充填した方が、充填後の溶剤の揮発量が少なくなるため、充填率を高くすることができる。そのため、ペーストの粘度を30,000P以上、1,000,000P以下にすることが望ましい。ちなみに粘度であるが、測定機器により若干の差が認められるが、本発明においては、ブルックフィールド社製の5×HBDV−I+を使用した粘度値を記している。粘度が30,000Pより小さいと、ペーストの充填率を40%以上にできないため、クラックを避けることができない。一方、粘度が1,000,000Pより大きくなると、ペーストが非常に固くなり、スルーホールにペーストを充填できなくなるため、好ましくない。
【0030】
Wペーストの粘度は、更に好ましくは50,000P以上、500,000P以下である。粘度が50,000Pより小さければ、印刷条件、乾燥条件によっては、ビアにクラックが生じる場合もある。一方、粘度が500,000Pより大きくなると、ペーストが固く、部分的に不均一になる場合がある。すなわち、ペースト中の溶剤量がペースト粘度に影響を与えるが、粘度が500,000Pより大きくなると、ペースト中の溶剤量が少ないため、均一なペーストの作製が困難であり、部分的にペースト中の金属粉末と溶剤が濡れていないような部分が生じる。このような部分は、ビアのクラック等の原因となりやすいため、好ましくない。
【0031】
このようにスルーホールに充填するペースト粘度を制御することにより、ビアのクラックや空孔を大幅に低減できることが判った。しかし、さらに、調査を進めると、スルーホールへ充填するペースト粘度の制御だけでは、ビアのクラックや空孔を完全に無くすことは困難であることが判った。すなわち、例えば窒化アルミニウムとWの同時焼成基板や多層基板、パッケージを考えた場合、昨今の半導体ICの高周波化等に対応するために、ビアの数が多くなってきており、多い場合には一層に1000個以上のビアを設ける場合もある。また、一層に数個程度のビアしかない基板でも、外形寸法が小さくなってきており、それに伴い、一枚のグリーンシートから多数の基板を同時に作製できるように、一枚のグリーンシートに多数の基板を配置して、焼結後に切断するような製造方法が採られてきている。このような場合、やはり一枚のグリーンシートに1000個以上のビアを設ける場合がある。これらの多数のビアが一枚のグリーンシートにある場合、全てのビアを完全に充填することは非常に困難なことが判ったのである。
【0032】
具体的には、スルーホールへペーストを完全に充填すべく、ペースト粘度を高く設定しているので、図1に示すように、グリーンシートのペーストの充填を行った表面とは逆の面まで、ペーストを完全に充填できないビアが生じやすいことが判った。また、スルーホールへペーストを充填する際は、グリーンシートのペースト充填を行う表面と逆の面には、ペースト充填を行う際に用いるスクリーン印刷機等にペーストが付着しないように、図2に示すような剥離紙を載置する場合が多い。この剥離紙はペースト充填が終了した後に、グリーンシートから剥離するが、図3に示すように、この剥離紙にペーストが取られて、ビアにクラックや空孔が生じやすいことも判った。
【0033】
これらのビアクラックや空孔を無くすための方策を検討した結果、グリーンシートのペースト充填を行う表面と逆の面から、もう一度ペースト充填を行えば良いと考えた。しかしながら、最初に充填するペーストと同じペーストを用いて、再度グリーンシートの逆の面から充填を行っても、ビアのクラックや空孔を減らすことはできなかった。そこで、生じたビアのクラックや空孔の断面を観察した結果、図4に示すように、再度充填を行ったペーストが、最初に充填を行ったペーストのクラックや空孔に沿って変形していないために、ビアのクラックや空孔が無くなっていないことが判った。そこで、再度、グリーンシートの逆の面からペースト充填を行う条件を検討した結果、最初にスルーホールへ充填したペーストの粘度より、粘度の低下したペーストを用いて充填を行えば良いことが判った。そうすることによって、最初に充填を行ったペーストのクラックや空孔に沿って、再度充填を行ったペーストが変形しやすく、ビアのクラックや空孔を無くせることが判ったのである。
【0034】
再度充填を行うペーストの粘度は、最初にスルーホールに充填を行ったペースト粘度の最低粘度である30,000Pより小さいことが望ましい。
また、再度充填を行うペーストの粘度は、100P以上、1,000P以下であることがさらに望ましい。再度充填を行うペースト粘度が100Pより小さいときは、最初に充填を行ったペーストのクラックや空孔に沿って、再度充填を行ったペーストが変形はするが、溶剤量が多いため、溶剤乾燥後もペーストでクラックや空孔を埋めた状態にすることができない。一方、再度充填を行うペーストの粘度が1,000Pより大きい時は、最初に充填を行ったペーストのクラックや空孔の形状が複雑になると、再度充填を行ったペーストが形状に沿うことができなくなることがあり、ビアのクラックや空孔を無くせないことがある。
再度ペーストを充填する方法としては、最初にペーストを充填する方法と同様な方法を用いることができる。
【0035】
以上のような方法で、スルーホールにペーストを充填することによって、ビアのクラックや空孔を防ぐことができ、基板や多層基板、パッケージの上下導通不良や、表面を研削または研磨した後のビア表面にクラックや凹状となる不良を防ぐことができる。
前記のごとく、本発明の金属化層を有する窒化アルミニウム等のセラミックス基板は、基板や多層基板、パッケージの上下層の導通不良や、ビア部のクラック、研削または研磨後のビア表面のクラックや凹状になることを防ぐことができる。
【0036】
【実施例】
以下、実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明する。
実施例1〜6
97重量部の窒化アルミニウム粉末と3重量部のY2O3粉末を混合し、ポリビニルブチラールを樹脂結合剤、ジブチルフタレートを可塑剤として、それぞれ10重量部、5重量部混合して、ドクターブレード法にて0.5mm厚のグリーンシートを成形した。これを金型を使用して100mm×100mmに打ち抜いた後、パンチャーにてφ0.4mmのスルーホールを形成した。なお、一枚のグリーンシートにスルーホールを1000個形成した。
【0037】
このスルーホールにWペーストを充填した。平均粒径が2.0μmのW粉末を100重量部として、5重量部の樹脂結合剤であるエチルセルロースと、溶媒としてブチルカルビトールを用いてペーストを作製した。混合にはポットミルと三本ロールを用いた。その後、表1に示す粘度のペーストをスクリーン印刷機にてスルーホールに充填した。
【0038】
次に、それぞれのペーストにブチルカルビトールをさらに加えて粘度を低下させ、500Pに調整した。このペーストを用いて、最初にスルーホールに充填するためにスクリーン印刷したグリーンシートの表面とは逆の面から、スクリーン印刷機を用いて、スルーホールにペーストを充填した。
【0039】
次に、印刷後のシートを2枚重ねて積層した。積層はモールドにシートを2枚重ねてセットし、プレス機にて50℃に熱しつつ、10MPaの圧力で2分間熱圧着することで行った。
その後、窒素雰囲気中で600℃にて脱脂を行い、窒素雰囲気中で1800℃、3時間の条件で焼結を行った。
【0040】
焼結後、ビア部分にはφ0.35mmのスルーホールに金属化層が形成されていた。次に、ビア部分にクラックや空孔が発生していないかを確認するために、焼結した窒化アルミニウム基板表面を両面から0.3mm程度研磨し、電子顕微鏡にてクラックや空孔の有無を1000倍にて確認した。これらの評価結果をペースト配合内容と同様に表1に示す。なお、同じ条件で作製した基板を10枚用意しており、表中の「ビアクラックが生じた基板の発生確率」は、一枚の基板中にある1000個のビアに一つでもクラックや空孔が生じていた基板の発生確率を示している。
【0041】
さらに、それぞれのビアの導通をテスターにて調べた。結果を表1に示すが、表中の「導通不良が生じた基板の発生確率」は、一枚の基板中にある1000個のビアに一つでも導通不良が生じていた基板の発生確率を示している。また、導通不良とは、ビアの抵抗が1Ω以上のものと仮定した。ただし、導通不良と判定した以外のビアの抵抗は高くても50mΩであった。
【0042】
【表1】
【0043】
最初にスルーホールに充填するペーストの密度を30,000P以上、1,000,000P以下に調整し、再度グリーンシートの逆面からスルーホールに充填するペーストの粘度を500Pとすることで、ビアクラックや空孔、導通不良が生じることのない焼結体が作製可能であることが判る。
【0044】
また、特に最初にスルーホールに充填するペーストの粘度を50,000P以上、500,000P以下に調整することで、ビアクラックや空孔、導通不良を完全に無くすことができた。
【0045】
実施例7〜11及び比較例1
最初にスルーホールに充填するペーストの粘度を200,000Pとし、再度逆のグリーンシート面からスルーホールに充填するペーストの粘度を表2のように変更した以外は、実施例1と同様に実験を行った。ビアクラック、空孔の発生状況、導通不良の発生状況を表2に示す。
【0046】
【表2】
【0047】
再度スルーホールに充填するペーストの粘度を最初に充填したペーストの粘度よりも低い30,000P以下に調整することで、ビアクラックや空孔、導通不良が生じることのない焼結体が作製可能であることが判る。
また、特に再度スルーホールに充填するペーストの粘度を100P以上、1,000P以下に調整することで、ビアクラックや空孔、導通不良を完全に無くすことができた。
【0048】
実施例12及び比較例2
最初にスルーホールに充填するペーストの粘度を200,000Pとし、再度逆のグリーンシート面からスルーホールにペーストを充填しない場合と、充填するペーストの粘度を100,000Pとした場合について、実施例1と同様に実験を行った。ビアクラック、空孔の発生状況、導通不良の発生状況を表3に示す。
【0049】
【表3】
【0050】
再度スルーホールにペーストを充填しない場合、ビアクラックや空孔、導通不良を防ぐことは不可能であった。また、最初に充填したペーストの粘度より低い粘度のペーストをグリーンシートの逆の面から再度スルーホールに充填することによって、ペーストの粘度が30,000Pより小さくなくても、ビアクラックや空孔、導通不良を無くすことは可能であることが判った。ただし、ビアクラックや空孔、導通不良の発生確率は非常に高かった。
【0051】
【発明の効果】
本発明によれば、セラミックスグリーンシートのスルーホールにペーストを充填した後、充填したグリーンシートの逆の面から、最初に充填したペーストの粘度より低い粘度のペーストを用いて、スルーホールにペーストを充填することにより、基板や多層基板、パッケージの上下層の導通不良や、ビア部のクラック、研削または研磨後のビア表面のクラックや凹状になることを防ぐことができる。このため、本セラミックス焼結体はIC用の基板、パッケージとして好適に用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】スルーホールに充填されたペーストの充填不足を示す説明図である。
【図2】剥離紙を用いスルーホールへペーストを充填する方法の説明図である。
【図3】剥離紙へペーストが付着する状況の説明図である。
【図4】再度ペーストを充填した後の不良の説明図である。
Claims (7)
- セラミックス粉末を主成分とするセラミックスグリーンシートにスルーホールを穿孔し、該スルーホール内部に金属粉末を含むペーストを充填した後、全体を同時に焼結することにより、金属化層を有するセラミックス焼結体を製造する方法において、最初にペーストの充填をグリーンシートの一方の面から行った後に、このペーストより粘度の低いペーストを用いて、グリーンシートの逆の面から、ペーストを再度充填することを特徴とする金属化層を有するセラミックス焼結体の製造方法。
- 前記最初に充填するペーストの粘度が30,000P以上、1,000,000P以下であることを特徴とする請求項1記載の金属化層を有するセラミックス焼結体の製造方法。
- 前記最初に充填するペーストの粘度が50,000P以上、500,000P以下であることを特徴とする請求項1または2記載の金属化層を有するセラミックス焼結体の製造方法。
- 前記再度充填するペーストの粘度が30,000Pより小さいことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の金属化層を有するセラミックス焼結体の製造方法。
- 前記再度充填するペーストの粘度が100P以上、1,000P以下であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の金属化層を有するセラミックス焼結体の製造方法。
- 前記セラミックスが窒化アルミニウムであり、金属粉末がタングステン(W)であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の金属化層を有するセラミックス焼結体の製造方法。
- 請求項1〜6のいずれか一項に記載の製造方法で製造した金属化層を有するセラミックス焼結体の表面を研削または研磨したことを特徴とする金属化層を有するセラミックス焼結体。
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