JP2004241525A - 放熱シート - Google Patents
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Abstract
【課題】CPU等の発熱性電子部品に好適で、常温時に扱い易く、しかも放熱器の固定時に電子部品の破損を生じ難い放熱シートを提供する。
【解決手段】伝熱性の樹脂製基層11と、前記基層11の少なくとも片面に積層一体化された伝熱性の樹脂製表層21とよりなる放熱シートであって、前記表層21は前記基層11よりも常温時に硬い材質で構成されると共に、常温の固体から前記放熱シート使用時の温度上昇で軟化又は溶融するものからなる。前記基層11は、20℃におけるアスカーC硬度計による硬度が90度以下で、かつJIS−K−2207に規定される1/10mmに対する針入度が120以上のものが好ましい。前記表層は、20℃において剛直で可撓性のないものであるのが好ましい。
【選択図】 図2
【解決手段】伝熱性の樹脂製基層11と、前記基層11の少なくとも片面に積層一体化された伝熱性の樹脂製表層21とよりなる放熱シートであって、前記表層21は前記基層11よりも常温時に硬い材質で構成されると共に、常温の固体から前記放熱シート使用時の温度上昇で軟化又は溶融するものからなる。前記基層11は、20℃におけるアスカーC硬度計による硬度が90度以下で、かつJIS−K−2207に規定される1/10mmに対する針入度が120以上のものが好ましい。前記表層は、20℃において剛直で可撓性のないものであるのが好ましい。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、放熱シートに関する。
【0002】
【従来の技術】
近年の電子部品の中には、処理能力の増大にしたがい発熱量が増加し、その発熱量の増大による温度上昇で悪影響を受けるものがあるため、そのような電子部品に対して放熱性を高める必要が生じてきた。そこで、発熱性電子部品の表面等に放熱シートを介して放熱フィンあるいは放熱ファン等の放熱器が固定されるようになった。
【0003】
また、前記放熱シートとしては、所定温度で固層から液層へ相変化を生じるフェイズチェンジシートと呼ばれるシートを用いたものも提案されている(例えば、特許文献1、特許文献2参照。)。
【0004】
【特許文献1】
特開2000−327917号公報
【特許文献2】
特開2002−176126号公報
【0005】
前記フェイズチェンジシートを用いる放熱シートにあっては、前記電子部品への載置の際には、前記フェイズチェンジシートが固層状態のために取り扱い易く、また、前記電子部品が発熱によって温度上昇した際には、前記フェイズチェンジシートが軟化して前記電子部品の表面形状に追従して密着し、密着不良による伝熱不良を防止することができる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、一般的な放熱シートでは、電子部品の表面、例えばCPUの表面はマクロ的に見ると微細な凹凸が存在するため、電子部品と放熱シート間に隙間が発生し、その隙間に存在する空気層によって熱伝導性が損なわれやすい。この不具合を無くすには、放熱シートを硬度の低いものにすればよいが、その場合には放熱シートが破れやすくなるのみならず、柔らかくなって張りのない柔軟なものになるため作業性が悪くなる。
【0007】
また、放熱面がフェイズチェンジシートからなる従来の放熱シートにあっては、常温で放熱器を電子部品に強固に固定する際、フェイズチェンジシートが融点以下の状態にあって硬いため、大きな圧力が前記放熱シートを介して電子部品に加わることになり、電子部品の損傷を生じるおそれがある。また、前記電子部品の温度上昇・冷却といったヒートサイクルにより、前記フェイズチェンジシートが軟化又は溶融して前記放熱器と電子部品間から外部へ流出し、放熱シートの機能が損なわれるおそれがある。また、従来のフェイズチェンジシートを用いる放熱シートにあっては、厚手のものが存在しないため、前記放熱器と電子部品間の間隔が広い場合に、前記流出の問題を生じやすい。
【0008】
この発明は前記の点に鑑みなされたもので、熱伝導性が良好で、しかも放熱シートを介して放熱フィン又はファン等の放熱器を電子部品に固定する際に、電子部品の損傷を生じ難く、また、電子部品の温度上昇・冷却のヒートサイクルによっても構成層が流出し難い放熱シートを提供するものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明は、伝熱性の樹脂製基層と、前記基層の少なくとも片面に積層一体化された伝熱性の樹脂製表層とよりなる放熱シートであって、前記基層が、20℃におけるアスカーC硬度計による硬度が90度以下で、かつJIS−K−2207に規定される1/10mmに対する針入度が120以下の数値のものであり、前記表層が前記基層よりも常温時に硬い材質で構成されると共に、常温の固体から前記放熱シート使用時の温度上昇で軟化又は溶融するものからなることを特徴とする。
【0010】
請求項2の発明は、請求項1において、前記表層が、20℃において剛直で可撓性のないものであることを特徴とする。
【0011】
請求項3の発明は、請求項1又は2において、前記放熱シートが、電子部品と放熱器間に配置されるものであって、前記表層が、有機材料に30〜150℃の範囲内で前記電子部品の可使温度より低い融点を有する融点制御剤の混合されたものからなることを特徴とする。
【0012】
請求項4の発明は、請求項3において、前記表層が、電子部品の可使温度より高い融点を有する有機材料に熱伝導性フィラーと、30〜150℃の範囲内で前記電子部品の可使温度より低い融点を有する融点制御剤が混合されたものであることを特徴とする。
【0013】
請求項5の発明は、請求項1から4の何れか一項において、前記表層の軟化点が30〜150℃の範囲内で前記電子部品の可使温度より低いことを特徴とする。
【0014】
【発明の実施の形態】
図1は本発明の一実施例に係る放熱シート10の斜視図、図2は図1の2−2拡大断面図である。前記放熱シート10は、伝熱性の樹脂製基層11と前記基層11の少なくとも片面(この実施例では片面のみ)に積層一体化された伝熱性の樹脂製表層21とよりなり、CPU等の電子部品と放熱フィン又は放熱ファン等の放熱器との間に、前記表層を電子部品側として配置されるのに好適なものである。前記放熱シート10の平面視サイズは、電子部品等に合わせて適宜決定される。
【0015】
前記基層11は、有機材料に熱伝導性フィラーを含有した混合物を硬化させた樹脂製のシートからなる。前記基層11は、20℃におけるアスカーC硬度計(JIS−S−6050−1994に規定の硬度計)による硬度が90度以下、特には40度以下であって、かつJIS−K−2207に規定される1/10mmに対する針入度が120以下のものが好ましい。かかる硬度及び針入度とすることによって、前記放熱シート10を介して放熱器をクリップ等で電子部品に強固に固定する際に放熱シート10がクッション性を発揮し、電子部品の損傷をより確実に抑えることができる。アスカーC硬度計は、その示す数値が大きいほど硬く、小さいほど柔らかいことを意味する。アスカーC硬度計においては、硬度計の突起が測定面に対して跳ね返される量が大きいほど数値が大きくなり、測定面が硬いことを意味する。反対に、柔らかければ測定面に突起が押し込まれるので、突起の跳ね返される量が小さくなり、数値は小さくなる。一方、針入度による硬度測定では、その示す値が大きいほど柔らかく、小さいほど硬くなる。針入度による硬度測定では、針が測定面にどれだけ突き刺さるかを測定しており、測定面が硬いと突き刺さりにくく、測定値は小さくなる。反対に測定面が柔らかいと、針は測定面に深く突き刺さりやすく、その測定値は大きくなる。この発明では、前記基層11における硬さの上限についてはアスカーC硬度計の数値で規定し、硬さの下限についてはJIS−K−2207に規定される1/10mmに対する針入度の数値で規定している。
【0016】
前記基層11の厚みは、電子部品と放熱器間の隙間によって決定されるが、一般的には0.5mm〜3.0mm程度とされる。前記範囲よりも薄くなると前記放熱シートのクッション性が得られにくくなり、それに対して厚くなりすぎると、前記放熱シート10を介して行われる電子部品と放熱器間の放熱性が損なわれやすくなる。
【0017】
前記基層11を構成する有機材料としては、種々の樹脂を使用することができる。特に、30〜150℃の範囲内においてこの放熱シート10が用いられる電子部品の可使温度(使用可能な最高温度)で溶融しないゲル状のものが好ましい。例えば、シリコーンゲル、アクリルゲル等を挙げることができる。特にシリコーンゲルとする場合には、通常の付加型シリコーンゴムの架橋密度を1/5〜1/10としたものが好ましい。シリコーンゲルは、低架橋度の付加型液状シリコーンゴムであって、その成分は▲1▼主剤たるビニル基含有オルガノポリシロキサン、いわゆる官能基含有のシリコーンオイル、▲2▼架橋剤であるハイドロジエンオルガノポリシロキサン、すなわち分子中にSiH結合を備えた比較的低分子のポリマー、▲3▼触媒である遷移金属錯体、なかでも白金化合物、▲4▼反応抑制剤たるアセチレンアルコール類、メチルビニルシクロテトラシロキサン、シロキサン変性アセチレンアルコール、ハイドロパーオキサイドの群からなる化合物とされる。
【0018】
前記基層11の有機材料に混合される熱伝導性フィラーとしては、アルミナ、マグネシア、窒化アルミ、窒化ボロン、又はアルミ、フェライト等の金属単体、あるいはそれらの混合物が粉体で使用される。特にこの放熱シート10の使用部位を考慮すると、非導電性の熱伝導性フィラー、例えばアルミナ、窒化アルミ、炭化珪素等が好ましい。前記熱伝導性フィラーの平均粒子径は、1〜250μmが好ましい。また、前記熱伝導性フィラーの量は、適宜とされるが、前記基層11の有機材料100重量部に対して100重量部以上、特には100〜1500重量部の範囲が好ましい。前記範囲より少ないと前記基層11の放熱性効果が低くなり、また、前記範囲より多いと、前記基層11における熱伝導性が、それほど増大しないのみならず、成形性が悪化したり、硬度が高くなったりするなどの問題を生じる。
【0019】
なお、前記基層11の有機材料には前記熱伝導性フィラーの他に磁性物質を適量混合してもよい。前記磁性物質としては、フェライト、軟磁性体(カルボニル鉄)等の磁性体粉が用いられる。
【0020】
前記表層21は、前記基層11よりも常温(通常20℃)時に硬い材質で構成される。さらに、20℃において剛直で可撓性のないものが好ましい。この構成とすることによって、常温時に前記放熱シート10が全体として扱いやすい形状保持性を有するものになって取り扱いが容易になる。さらに、この実施例のように、前記基層11の片側のみに表層21が積層されたものにあっては、前記基層11と放熱器との密着性を良好にできる。
【0021】
さらに前記表層21は、常温(通常20℃)の固体から、前記放熱シート10の使用時における電子部品による温度上昇で軟化又は溶融するもので構成される。かかる構成の表層21としたことで、常温時に前記放熱シート10の取り扱いが容易になり、また電子部品の温度上昇による前記表層21の軟化又は溶融によって表層21が電子部品又は放熱器(この例では電子部品)に良好に密着するため、熱伝導性の向上が図れる。前記表層21の軟化点は、30〜150℃の範囲内で前記電子部品の可使温度(使用可能な最高温度)より低い温度が好ましい。前記電子部品の可使温度(使用可能な最高温度)は、30〜150℃の範囲内とされ、電子部品によって具体的な可使温度が異なる。例えば電子部品(CPU等)によっては120℃であったり、145℃であったりする。
【0022】
前記表層21の軟化点を30℃〜150℃の範囲で電子部品の可使温度より低い温度とした理由は次の理由による。すなわち、通常の電子部品(特にはCPU)では、使用時の発熱による温度上昇が30℃以上になることが多く、しかも150℃を超えると破損する場合が多いことによる。かかる温度範囲の軟化点に設定したことにより、電子部品と放熱器間へ前記放熱シート10を配置する際には前記放熱シート10の取り扱いが容易になり、また電子部品が最高温度に到達する前に前記表層21が軟化又は溶融して、前記電子部品と放熱シート10との密着性が良好になる
【0023】
前記表層21は、有機材料に熱伝導性フィラーと30〜150℃の範囲内で電子部品の可使温度(使用可能な最高温度)より低い融点を有する融点制御剤が混合されたものが好ましい。
【0024】
前記有機材料としては、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)等の熱可塑性樹脂、未架橋状態のゴム等が挙げられる。さらには、前記電子部品の可使温度(使用可能な最高温度)より高い融点を有する有機材料が好ましい。その場合、前記電子部品の可使温度(使用可能な最高温度)よりも高い融点を有する有機材料が前記表層21のマトリックス樹脂を構成することになり、前記電子部品の可使温度範囲では、前記融点制御剤が軟化・溶融してもマトリックス樹脂が溶融しないため、軟化・溶融した融点制御剤がマトリックス樹脂に保持されて前記表層21から流出するのが抑えられる。
【0025】
前記表層21の有機材料に混合される熱伝導性フィラーとしては、前記基層11における熱伝導性フィラーと同様のものが用いられる。また、非導電性の熱伝導性フィラーが好ましい。この熱伝導性フィラーの添加量は、前記熱可塑性樹脂100重量部に対して100重量部以上。特には100〜500重量部が好ましい。この範囲より少ないと熱伝導性が悪くなり、多すぎるとこの放熱シート10を電子部品と放熱器間に装着して使用する際に放熱シート10の剛性が高くなって、電子部品や放熱器との密着性が損なわれ易い。
【0026】
前記融点制御剤は、電子部品による温度上昇で前記表層21を軟化又は溶融(相変化)させるために、及びその軟化又は溶融温度を調節するために、前記マトリクス樹脂としての有機材料に添加される。前記融点制御剤は、前記マトリクス樹脂よりも融点の低い化合物が用いられる。好ましくは、前記30〜150℃の範囲内で電子部品の可使温度(使用可能な最高温度)より低い融点を有する化合物である。
【0027】
前記融点制御剤としては、常温(通常20℃)では固体であり、所定温度で溶融するポリエチレングリコール、ワックス、マイクロビーズ等を使用できる。それらのなかでも、分子量に応じて融点が異なるポリエチレングリコールは、前記電子部品の可使温度に応じて選択可能なため、好ましいものである。
【0028】
ポリエチレングリコールの数平均分子量は、200〜20,000であり、この分子量に応じて、ポリエチレングリコールの融点を、30〜150℃内で変化させることができる。ポリエチレングリコールは、不揮発性であり、数平均分子量が200〜600のものは常温で液体、1,000以上のものは常温で固体になる。また、分子量が増えるにしたがい、融点及び溶融範囲が高くなる。具体的には、数平均分子量が300のものは融点:−15〜−8℃、数平均分子量が400のものは融点:4〜8℃、数平均分子量が1500のものは融点:37〜41℃、数平均分子量が6000のものは融点:58〜65℃である。ポリエチレングリコールの添加量は3〜60重量部である。
【0029】
前記表層21の厚みは0.1mm〜1.5mmとし、しかも前記基層11よりも薄いものが好ましい。前記表層21の厚みとすることによって、前記電子部品あるいは放熱器(この実施例では電子部品)に対する前記表層21の馴染み易さを実現することができる。
【0030】
前記表層21は、前記基層11の積層対象表面に、前記フィラーや融点制御剤含有樹脂にトルエン、キシレン等の溶剤を含有させたものをディッピングやスプレー等の塗布により所要厚みで設け、その後加熱等で硬化させることにより、容易に前記基層11に一体化させて設けることができる。また、前記表層21と前記基層11との一体化は、前記のように予め成形した基層11上に塗布等により前記表層21を形成する方法の他に、通常のフィルム成形方法により成形した表層用フィルムを連続的に供給し、前記表層用フィルム上に基層用原料を吐出して硬化させる方法や、基層用原料をコンベアベルト上に吐出し、その吐出された基層用原料上に表層用フィルムを積層して前記基層用原料を硬化させる方法でもよい。
【0031】
前記放熱シート10は、前記基層11の少なくとも片面に前記表層21が積層一体化されているため、電子部品の発熱により加熱されて前記表層21が軟化又は溶融しても、前記表層21の有機材料が前記基層11に保持されて流出するのが抑えられる。しかも、前記基層11が存在することで放熱シート10全体を厚くできるため、前記表層21を薄く設定することができる。
【0032】
なお、前記説明では、前記基層11と前記表層21との2層構造のものを説明したが、本発明はそれに限られるものではなく、前記基層11の両面に前記表層21を積層一体化してもよい。
【0033】
【実施例】
(実施例1)
表1に示す基層欄の配合物をミキサーで混合し、脱泡後、金型の成型空間(1mm×100mm×100mm)へ10ml流し込み、120℃で30分間加熱して硬化させ、得られた成形品を1mm×50mm×50mmのサイズに裁断して実施例1〜3及び比較例1の基層をそれぞれ製造した。このようにして得られた実施例及び比較例の基層に対して、20℃におけるJIS−S−6050−1994に規定の硬度計(アスカーC硬度計)による硬度を測定した。また、JIS−K−2207に規定される1/10mmに対する針入度を測定した。結果は表1に示す通りである。なお、比較例2については基層を無いものとし、また比較例3については厚み1mmのアルミ板を基層とした。
【0034】
また、表層については、熱伝導性フィラーを除く表1の表層欄の配合からなるコーティング溶液を配合し、12時間常温で攪拌溶解させて混合物を調製した。その混合物に対して表1の表層欄の配合量で熱伝導性フィラーを添加し、プラネタリーミキサーにより熱伝導性フィラー含有混合物を調製し、前記熱伝導性フィラー含有混合物を前記実施例1〜3の基層と比較例3の基層(厚み1mmのアルミ板)のそれぞれ片面にディッピングで塗布し、100℃で30分乾燥させ、厚み0.5mmの表層を前記基層の片面に形成し、実施例1〜3と比較例3の放熱シートを製造した。また、比較例1については、前記基層のみの一層で放熱シートを構成し、比較例2については、前記熱伝導性フィラー含有混合物を、離型剤の塗布されたPETフィルムの表面に塗布し、同様に乾燥させ、その後剥離して厚み0.5mmの表層のみを製造し、この表層の一層のみで放熱シートを構成した。なお、前記熱伝導性フィラー含有混合物を用いて金型により、厚み1.5mmの被膜を形成し、その軟化点をDSCにより測定した、結果は表1の表層欄に示す。
【0035】
【表1】
【0036】
表1におけるポリマーAは、シリコーンゲル(TSE3070、GE東芝シリコーン製)、熱伝導性フィラー(基層及び表層共通)は、アルミナ(AS−10、昭和電工製)、ポリマーBはシリコーン樹脂(XR39−B1676、GE東芝シリコーン製)、融点制御剤は、ポリエチレングリコール(#6000、日本油脂製、融点58〜65℃)、強靱性付与剤は、カップリング剤(TSL8311,GE東芝シリコーン製)、溶剤はトルエンである。
【0037】
また、前記各実施例及び比較例の放熱シートを、コンピュータのCPU(周波数200MHz)の表面に、比較例1を除いて表層側を、また比較例1については基層を載置し、それぞれの放熱シート上に放熱フィンを載置してクリップにより、押圧力2kgでCPUに固定した。そして、コア電圧2.4Vでコンピュータを作動させ、その際、前記放熱シートとCPU間に挿入した熱電対を用い、10分後にCPU表面の温度を測定した。測定値は表1の最下行に示す通りである。
【0038】
表1から明らかなように、実施例1〜実施例3の放熱シートは、比較例1〜3の放熱シートと比べてCPUの表面温度を低くすることができた。また、実施例1〜3の放熱シートは、前記CPUに放熱フィンをクリップで固定する際に、CPUに損傷を生じなかった。さらに、実施例1〜3においては、前記コンピュータの作動中にCPUと放熱フィンの間の部分を目視で観察したところ、前記放熱シートから樹脂の流出が見られなかった。
【0039】
【発明の効果】
以上図示し説明したように、本発明の放熱シートは、伝熱性の樹脂製基層と、前記基層の少なくとも片面に積層一体化された伝熱性の樹脂製表層とよりなり、前記基層が、20℃におけるアスカーC硬度計による硬度が90度以下で、かつJIS−K−2207に規定される1/10mmに対する針入度が120以上のものであり、前記表層が前記基層よりも常温時に硬い材質で構成されると共に、常温の固体から前記放熱シート使用時の温度上昇で軟化又は溶融するものであるため、常温時に放熱シートが扱いやすく、また放熱シートを介して放熱フィン又はファン等の放熱器を電子部品に固定する際、電子部品の損傷を生じ難く、また、電子部品の温度上昇によって放熱シートと電子部品あるいは放熱器との密着性が良好になって伝熱性を向上させることができ、しかも構成層の樹脂が流出し難く、良好な放熱性を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例の放熱シートの斜視図である。
【図2】図1の2−2断面図である。
【符号の説明】
10 放熱シート
11 基層
21 表層
【発明の属する技術分野】
本発明は、放熱シートに関する。
【0002】
【従来の技術】
近年の電子部品の中には、処理能力の増大にしたがい発熱量が増加し、その発熱量の増大による温度上昇で悪影響を受けるものがあるため、そのような電子部品に対して放熱性を高める必要が生じてきた。そこで、発熱性電子部品の表面等に放熱シートを介して放熱フィンあるいは放熱ファン等の放熱器が固定されるようになった。
【0003】
また、前記放熱シートとしては、所定温度で固層から液層へ相変化を生じるフェイズチェンジシートと呼ばれるシートを用いたものも提案されている(例えば、特許文献1、特許文献2参照。)。
【0004】
【特許文献1】
特開2000−327917号公報
【特許文献2】
特開2002−176126号公報
【0005】
前記フェイズチェンジシートを用いる放熱シートにあっては、前記電子部品への載置の際には、前記フェイズチェンジシートが固層状態のために取り扱い易く、また、前記電子部品が発熱によって温度上昇した際には、前記フェイズチェンジシートが軟化して前記電子部品の表面形状に追従して密着し、密着不良による伝熱不良を防止することができる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、一般的な放熱シートでは、電子部品の表面、例えばCPUの表面はマクロ的に見ると微細な凹凸が存在するため、電子部品と放熱シート間に隙間が発生し、その隙間に存在する空気層によって熱伝導性が損なわれやすい。この不具合を無くすには、放熱シートを硬度の低いものにすればよいが、その場合には放熱シートが破れやすくなるのみならず、柔らかくなって張りのない柔軟なものになるため作業性が悪くなる。
【0007】
また、放熱面がフェイズチェンジシートからなる従来の放熱シートにあっては、常温で放熱器を電子部品に強固に固定する際、フェイズチェンジシートが融点以下の状態にあって硬いため、大きな圧力が前記放熱シートを介して電子部品に加わることになり、電子部品の損傷を生じるおそれがある。また、前記電子部品の温度上昇・冷却といったヒートサイクルにより、前記フェイズチェンジシートが軟化又は溶融して前記放熱器と電子部品間から外部へ流出し、放熱シートの機能が損なわれるおそれがある。また、従来のフェイズチェンジシートを用いる放熱シートにあっては、厚手のものが存在しないため、前記放熱器と電子部品間の間隔が広い場合に、前記流出の問題を生じやすい。
【0008】
この発明は前記の点に鑑みなされたもので、熱伝導性が良好で、しかも放熱シートを介して放熱フィン又はファン等の放熱器を電子部品に固定する際に、電子部品の損傷を生じ難く、また、電子部品の温度上昇・冷却のヒートサイクルによっても構成層が流出し難い放熱シートを提供するものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明は、伝熱性の樹脂製基層と、前記基層の少なくとも片面に積層一体化された伝熱性の樹脂製表層とよりなる放熱シートであって、前記基層が、20℃におけるアスカーC硬度計による硬度が90度以下で、かつJIS−K−2207に規定される1/10mmに対する針入度が120以下の数値のものであり、前記表層が前記基層よりも常温時に硬い材質で構成されると共に、常温の固体から前記放熱シート使用時の温度上昇で軟化又は溶融するものからなることを特徴とする。
【0010】
請求項2の発明は、請求項1において、前記表層が、20℃において剛直で可撓性のないものであることを特徴とする。
【0011】
請求項3の発明は、請求項1又は2において、前記放熱シートが、電子部品と放熱器間に配置されるものであって、前記表層が、有機材料に30〜150℃の範囲内で前記電子部品の可使温度より低い融点を有する融点制御剤の混合されたものからなることを特徴とする。
【0012】
請求項4の発明は、請求項3において、前記表層が、電子部品の可使温度より高い融点を有する有機材料に熱伝導性フィラーと、30〜150℃の範囲内で前記電子部品の可使温度より低い融点を有する融点制御剤が混合されたものであることを特徴とする。
【0013】
請求項5の発明は、請求項1から4の何れか一項において、前記表層の軟化点が30〜150℃の範囲内で前記電子部品の可使温度より低いことを特徴とする。
【0014】
【発明の実施の形態】
図1は本発明の一実施例に係る放熱シート10の斜視図、図2は図1の2−2拡大断面図である。前記放熱シート10は、伝熱性の樹脂製基層11と前記基層11の少なくとも片面(この実施例では片面のみ)に積層一体化された伝熱性の樹脂製表層21とよりなり、CPU等の電子部品と放熱フィン又は放熱ファン等の放熱器との間に、前記表層を電子部品側として配置されるのに好適なものである。前記放熱シート10の平面視サイズは、電子部品等に合わせて適宜決定される。
【0015】
前記基層11は、有機材料に熱伝導性フィラーを含有した混合物を硬化させた樹脂製のシートからなる。前記基層11は、20℃におけるアスカーC硬度計(JIS−S−6050−1994に規定の硬度計)による硬度が90度以下、特には40度以下であって、かつJIS−K−2207に規定される1/10mmに対する針入度が120以下のものが好ましい。かかる硬度及び針入度とすることによって、前記放熱シート10を介して放熱器をクリップ等で電子部品に強固に固定する際に放熱シート10がクッション性を発揮し、電子部品の損傷をより確実に抑えることができる。アスカーC硬度計は、その示す数値が大きいほど硬く、小さいほど柔らかいことを意味する。アスカーC硬度計においては、硬度計の突起が測定面に対して跳ね返される量が大きいほど数値が大きくなり、測定面が硬いことを意味する。反対に、柔らかければ測定面に突起が押し込まれるので、突起の跳ね返される量が小さくなり、数値は小さくなる。一方、針入度による硬度測定では、その示す値が大きいほど柔らかく、小さいほど硬くなる。針入度による硬度測定では、針が測定面にどれだけ突き刺さるかを測定しており、測定面が硬いと突き刺さりにくく、測定値は小さくなる。反対に測定面が柔らかいと、針は測定面に深く突き刺さりやすく、その測定値は大きくなる。この発明では、前記基層11における硬さの上限についてはアスカーC硬度計の数値で規定し、硬さの下限についてはJIS−K−2207に規定される1/10mmに対する針入度の数値で規定している。
【0016】
前記基層11の厚みは、電子部品と放熱器間の隙間によって決定されるが、一般的には0.5mm〜3.0mm程度とされる。前記範囲よりも薄くなると前記放熱シートのクッション性が得られにくくなり、それに対して厚くなりすぎると、前記放熱シート10を介して行われる電子部品と放熱器間の放熱性が損なわれやすくなる。
【0017】
前記基層11を構成する有機材料としては、種々の樹脂を使用することができる。特に、30〜150℃の範囲内においてこの放熱シート10が用いられる電子部品の可使温度(使用可能な最高温度)で溶融しないゲル状のものが好ましい。例えば、シリコーンゲル、アクリルゲル等を挙げることができる。特にシリコーンゲルとする場合には、通常の付加型シリコーンゴムの架橋密度を1/5〜1/10としたものが好ましい。シリコーンゲルは、低架橋度の付加型液状シリコーンゴムであって、その成分は▲1▼主剤たるビニル基含有オルガノポリシロキサン、いわゆる官能基含有のシリコーンオイル、▲2▼架橋剤であるハイドロジエンオルガノポリシロキサン、すなわち分子中にSiH結合を備えた比較的低分子のポリマー、▲3▼触媒である遷移金属錯体、なかでも白金化合物、▲4▼反応抑制剤たるアセチレンアルコール類、メチルビニルシクロテトラシロキサン、シロキサン変性アセチレンアルコール、ハイドロパーオキサイドの群からなる化合物とされる。
【0018】
前記基層11の有機材料に混合される熱伝導性フィラーとしては、アルミナ、マグネシア、窒化アルミ、窒化ボロン、又はアルミ、フェライト等の金属単体、あるいはそれらの混合物が粉体で使用される。特にこの放熱シート10の使用部位を考慮すると、非導電性の熱伝導性フィラー、例えばアルミナ、窒化アルミ、炭化珪素等が好ましい。前記熱伝導性フィラーの平均粒子径は、1〜250μmが好ましい。また、前記熱伝導性フィラーの量は、適宜とされるが、前記基層11の有機材料100重量部に対して100重量部以上、特には100〜1500重量部の範囲が好ましい。前記範囲より少ないと前記基層11の放熱性効果が低くなり、また、前記範囲より多いと、前記基層11における熱伝導性が、それほど増大しないのみならず、成形性が悪化したり、硬度が高くなったりするなどの問題を生じる。
【0019】
なお、前記基層11の有機材料には前記熱伝導性フィラーの他に磁性物質を適量混合してもよい。前記磁性物質としては、フェライト、軟磁性体(カルボニル鉄)等の磁性体粉が用いられる。
【0020】
前記表層21は、前記基層11よりも常温(通常20℃)時に硬い材質で構成される。さらに、20℃において剛直で可撓性のないものが好ましい。この構成とすることによって、常温時に前記放熱シート10が全体として扱いやすい形状保持性を有するものになって取り扱いが容易になる。さらに、この実施例のように、前記基層11の片側のみに表層21が積層されたものにあっては、前記基層11と放熱器との密着性を良好にできる。
【0021】
さらに前記表層21は、常温(通常20℃)の固体から、前記放熱シート10の使用時における電子部品による温度上昇で軟化又は溶融するもので構成される。かかる構成の表層21としたことで、常温時に前記放熱シート10の取り扱いが容易になり、また電子部品の温度上昇による前記表層21の軟化又は溶融によって表層21が電子部品又は放熱器(この例では電子部品)に良好に密着するため、熱伝導性の向上が図れる。前記表層21の軟化点は、30〜150℃の範囲内で前記電子部品の可使温度(使用可能な最高温度)より低い温度が好ましい。前記電子部品の可使温度(使用可能な最高温度)は、30〜150℃の範囲内とされ、電子部品によって具体的な可使温度が異なる。例えば電子部品(CPU等)によっては120℃であったり、145℃であったりする。
【0022】
前記表層21の軟化点を30℃〜150℃の範囲で電子部品の可使温度より低い温度とした理由は次の理由による。すなわち、通常の電子部品(特にはCPU)では、使用時の発熱による温度上昇が30℃以上になることが多く、しかも150℃を超えると破損する場合が多いことによる。かかる温度範囲の軟化点に設定したことにより、電子部品と放熱器間へ前記放熱シート10を配置する際には前記放熱シート10の取り扱いが容易になり、また電子部品が最高温度に到達する前に前記表層21が軟化又は溶融して、前記電子部品と放熱シート10との密着性が良好になる
【0023】
前記表層21は、有機材料に熱伝導性フィラーと30〜150℃の範囲内で電子部品の可使温度(使用可能な最高温度)より低い融点を有する融点制御剤が混合されたものが好ましい。
【0024】
前記有機材料としては、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)等の熱可塑性樹脂、未架橋状態のゴム等が挙げられる。さらには、前記電子部品の可使温度(使用可能な最高温度)より高い融点を有する有機材料が好ましい。その場合、前記電子部品の可使温度(使用可能な最高温度)よりも高い融点を有する有機材料が前記表層21のマトリックス樹脂を構成することになり、前記電子部品の可使温度範囲では、前記融点制御剤が軟化・溶融してもマトリックス樹脂が溶融しないため、軟化・溶融した融点制御剤がマトリックス樹脂に保持されて前記表層21から流出するのが抑えられる。
【0025】
前記表層21の有機材料に混合される熱伝導性フィラーとしては、前記基層11における熱伝導性フィラーと同様のものが用いられる。また、非導電性の熱伝導性フィラーが好ましい。この熱伝導性フィラーの添加量は、前記熱可塑性樹脂100重量部に対して100重量部以上。特には100〜500重量部が好ましい。この範囲より少ないと熱伝導性が悪くなり、多すぎるとこの放熱シート10を電子部品と放熱器間に装着して使用する際に放熱シート10の剛性が高くなって、電子部品や放熱器との密着性が損なわれ易い。
【0026】
前記融点制御剤は、電子部品による温度上昇で前記表層21を軟化又は溶融(相変化)させるために、及びその軟化又は溶融温度を調節するために、前記マトリクス樹脂としての有機材料に添加される。前記融点制御剤は、前記マトリクス樹脂よりも融点の低い化合物が用いられる。好ましくは、前記30〜150℃の範囲内で電子部品の可使温度(使用可能な最高温度)より低い融点を有する化合物である。
【0027】
前記融点制御剤としては、常温(通常20℃)では固体であり、所定温度で溶融するポリエチレングリコール、ワックス、マイクロビーズ等を使用できる。それらのなかでも、分子量に応じて融点が異なるポリエチレングリコールは、前記電子部品の可使温度に応じて選択可能なため、好ましいものである。
【0028】
ポリエチレングリコールの数平均分子量は、200〜20,000であり、この分子量に応じて、ポリエチレングリコールの融点を、30〜150℃内で変化させることができる。ポリエチレングリコールは、不揮発性であり、数平均分子量が200〜600のものは常温で液体、1,000以上のものは常温で固体になる。また、分子量が増えるにしたがい、融点及び溶融範囲が高くなる。具体的には、数平均分子量が300のものは融点:−15〜−8℃、数平均分子量が400のものは融点:4〜8℃、数平均分子量が1500のものは融点:37〜41℃、数平均分子量が6000のものは融点:58〜65℃である。ポリエチレングリコールの添加量は3〜60重量部である。
【0029】
前記表層21の厚みは0.1mm〜1.5mmとし、しかも前記基層11よりも薄いものが好ましい。前記表層21の厚みとすることによって、前記電子部品あるいは放熱器(この実施例では電子部品)に対する前記表層21の馴染み易さを実現することができる。
【0030】
前記表層21は、前記基層11の積層対象表面に、前記フィラーや融点制御剤含有樹脂にトルエン、キシレン等の溶剤を含有させたものをディッピングやスプレー等の塗布により所要厚みで設け、その後加熱等で硬化させることにより、容易に前記基層11に一体化させて設けることができる。また、前記表層21と前記基層11との一体化は、前記のように予め成形した基層11上に塗布等により前記表層21を形成する方法の他に、通常のフィルム成形方法により成形した表層用フィルムを連続的に供給し、前記表層用フィルム上に基層用原料を吐出して硬化させる方法や、基層用原料をコンベアベルト上に吐出し、その吐出された基層用原料上に表層用フィルムを積層して前記基層用原料を硬化させる方法でもよい。
【0031】
前記放熱シート10は、前記基層11の少なくとも片面に前記表層21が積層一体化されているため、電子部品の発熱により加熱されて前記表層21が軟化又は溶融しても、前記表層21の有機材料が前記基層11に保持されて流出するのが抑えられる。しかも、前記基層11が存在することで放熱シート10全体を厚くできるため、前記表層21を薄く設定することができる。
【0032】
なお、前記説明では、前記基層11と前記表層21との2層構造のものを説明したが、本発明はそれに限られるものではなく、前記基層11の両面に前記表層21を積層一体化してもよい。
【0033】
【実施例】
(実施例1)
表1に示す基層欄の配合物をミキサーで混合し、脱泡後、金型の成型空間(1mm×100mm×100mm)へ10ml流し込み、120℃で30分間加熱して硬化させ、得られた成形品を1mm×50mm×50mmのサイズに裁断して実施例1〜3及び比較例1の基層をそれぞれ製造した。このようにして得られた実施例及び比較例の基層に対して、20℃におけるJIS−S−6050−1994に規定の硬度計(アスカーC硬度計)による硬度を測定した。また、JIS−K−2207に規定される1/10mmに対する針入度を測定した。結果は表1に示す通りである。なお、比較例2については基層を無いものとし、また比較例3については厚み1mmのアルミ板を基層とした。
【0034】
また、表層については、熱伝導性フィラーを除く表1の表層欄の配合からなるコーティング溶液を配合し、12時間常温で攪拌溶解させて混合物を調製した。その混合物に対して表1の表層欄の配合量で熱伝導性フィラーを添加し、プラネタリーミキサーにより熱伝導性フィラー含有混合物を調製し、前記熱伝導性フィラー含有混合物を前記実施例1〜3の基層と比較例3の基層(厚み1mmのアルミ板)のそれぞれ片面にディッピングで塗布し、100℃で30分乾燥させ、厚み0.5mmの表層を前記基層の片面に形成し、実施例1〜3と比較例3の放熱シートを製造した。また、比較例1については、前記基層のみの一層で放熱シートを構成し、比較例2については、前記熱伝導性フィラー含有混合物を、離型剤の塗布されたPETフィルムの表面に塗布し、同様に乾燥させ、その後剥離して厚み0.5mmの表層のみを製造し、この表層の一層のみで放熱シートを構成した。なお、前記熱伝導性フィラー含有混合物を用いて金型により、厚み1.5mmの被膜を形成し、その軟化点をDSCにより測定した、結果は表1の表層欄に示す。
【0035】
【表1】
【0036】
表1におけるポリマーAは、シリコーンゲル(TSE3070、GE東芝シリコーン製)、熱伝導性フィラー(基層及び表層共通)は、アルミナ(AS−10、昭和電工製)、ポリマーBはシリコーン樹脂(XR39−B1676、GE東芝シリコーン製)、融点制御剤は、ポリエチレングリコール(#6000、日本油脂製、融点58〜65℃)、強靱性付与剤は、カップリング剤(TSL8311,GE東芝シリコーン製)、溶剤はトルエンである。
【0037】
また、前記各実施例及び比較例の放熱シートを、コンピュータのCPU(周波数200MHz)の表面に、比較例1を除いて表層側を、また比較例1については基層を載置し、それぞれの放熱シート上に放熱フィンを載置してクリップにより、押圧力2kgでCPUに固定した。そして、コア電圧2.4Vでコンピュータを作動させ、その際、前記放熱シートとCPU間に挿入した熱電対を用い、10分後にCPU表面の温度を測定した。測定値は表1の最下行に示す通りである。
【0038】
表1から明らかなように、実施例1〜実施例3の放熱シートは、比較例1〜3の放熱シートと比べてCPUの表面温度を低くすることができた。また、実施例1〜3の放熱シートは、前記CPUに放熱フィンをクリップで固定する際に、CPUに損傷を生じなかった。さらに、実施例1〜3においては、前記コンピュータの作動中にCPUと放熱フィンの間の部分を目視で観察したところ、前記放熱シートから樹脂の流出が見られなかった。
【0039】
【発明の効果】
以上図示し説明したように、本発明の放熱シートは、伝熱性の樹脂製基層と、前記基層の少なくとも片面に積層一体化された伝熱性の樹脂製表層とよりなり、前記基層が、20℃におけるアスカーC硬度計による硬度が90度以下で、かつJIS−K−2207に規定される1/10mmに対する針入度が120以上のものであり、前記表層が前記基層よりも常温時に硬い材質で構成されると共に、常温の固体から前記放熱シート使用時の温度上昇で軟化又は溶融するものであるため、常温時に放熱シートが扱いやすく、また放熱シートを介して放熱フィン又はファン等の放熱器を電子部品に固定する際、電子部品の損傷を生じ難く、また、電子部品の温度上昇によって放熱シートと電子部品あるいは放熱器との密着性が良好になって伝熱性を向上させることができ、しかも構成層の樹脂が流出し難く、良好な放熱性を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例の放熱シートの斜視図である。
【図2】図1の2−2断面図である。
【符号の説明】
10 放熱シート
11 基層
21 表層
Claims (5)
- 伝熱性の樹脂製基層と、前記基層の少なくとも片面に積層一体化された伝熱性の樹脂製表層とよりなる放熱シートであって、
前記基層は、20℃におけるアスカーC硬度計による硬度が90度以下で、かつJIS−K−2207に規定される1/10mmに対する針入度が120以下の数値のものであり、
前記表層は前記基層よりも常温時に硬い材質で構成されると共に、常温の固体から前記放熱シート使用時の温度上昇で軟化又は溶融するものからなることを特徴とする放熱シート。 - 前記表層は、20℃において剛直で可撓性のないものであることを特徴とする請求項1に記載の放熱シート。
- 前記放熱シートは、電子部品と放熱器間に配置されるものであって、
前記表層は、有機材料に30〜150℃の範囲内で前記電子部品の可使温度より低い融点を有する融点制御剤が混合されたものからなることを特徴とする請求項1又は2に記載の放熱シート。 - 前記表層は、前記電子部品の可使温度より高い融点を有する有機材料に熱伝導性フィラーと、30〜150℃の範囲内で前記電子部品の可使温度より低い融点を有する融点制御剤が混合されたものからなることを特徴とする請求項3に記載の放熱シート。
- 前記表層の軟化点が30〜150℃の範囲内で前記電子部品の可使温度より低いことを特徴とする請求項1から4の何れか一項に記載の放熱シート。
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-
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