JP2004240013A - 光スイッチ装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】ミラーの回動範囲が、設計した値より小さくなることを、抑制できるようにする。
【解決手段】枠部130と可動枠132とを連結する連結部161が、一端が前記枠部に固定され、他端が前記可動構造体に固定された2つの連結部材から構成され、可動枠132とミラー131とを連結するミラー連結部162が、一端が前記枠部に固定され、他端が前記可動構造体に固定された2つの連結部材から構成されているようにした。
【選択図】 図1
【解決手段】枠部130と可動枠132とを連結する連結部161が、一端が前記枠部に固定され、他端が前記可動構造体に固定された2つの連結部材から構成され、可動枠132とミラー131とを連結するミラー連結部162が、一端が前記枠部に固定され、他端が前記可動構造体に固定された2つの連結部材から構成されているようにした。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、回動するミラーにより信号光の経路を変更する光スイッチ装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
インターネット通信網などにおける基盤となる光ネットワークにおいて必須となる波長分割多重技術(WDM)には、光スイッチ装置が必要不可欠な要素部品となる。この種の光スイッチ装置には、光導波路型やMEMS(Micro Electro Mechanical System)型などがあるが、中でも、回動する微細な反射面を有するMEMS型の光スイッチ装置が有望視されている。
【0003】
このMEMS型の光スイッチ装置は、例えば、固定構造体と可動ミラーを有する反射構造体とから構成されている。固定構造体は、土台となる基板及びこの上に形成された電極などである。反射構造体は、支持部材と可動部材を有し、ミラーとして作用する可動部材が、固定構造体と離間してトーションバネ(ヒンジ)によって支持部材に接続されている。
このように構成された光スイッチは、固定構造体と回動する反射構造体との間に働く引力、あるいは反発力によって反射構造体が回動することで光路を切り替えるスイッチング動作を行う。
【0004】
上記光スイッチは、例えば、図9(a)の側面図に示すように構成されている(非特許文献1参照)。図9(a)において、基板901には、凸領域902が形成され、凸領域902の上面に制御電極903が形成されている。また、基板901の上には、凸領域902の上部に開口領域を有する枠体904が配設されている。枠体904の開口領域内には、図9(b)の平面図に示すように、可動枠905とミラー906とが配置され、可動枠905は、一対のヒンジ907により枠体904に吊設され、ミラー906は、一対のヒンジ908により可動枠905に吊設されている。ミラー906の一方の面には、反射面が形成されている。
【0005】
ヒンジ907は、枠体904の内側の開口領域の中心を通る軸上に配置され、この軸を中心に、可動枠905は回動可能とされている。また、ヒンジ908は、可動枠905の内側の開口領域の中心を通る軸上に配置され、この軸を中心に、ミラー906は回動可能とされている。ここで、ヒンジ907による軸とヒンジ908による軸とは直交し、ミラー906は、2軸動作が可能な状態となっている。また、このように回動可能とされているミラー906の下部に設けられている制御電極903は、図示しない配線に接続し、ミラー906を駆動するための静電力を発生する。
【0006】
なお、出願人は、本明細書に記載した先行技術文献情報で特定される先行技術文献以外には、本発明に関連する先行技術文献を本件の出願時までに発見するには至らなかった。
【0007】
【非特許文献1】
Tae−Sik Kim,Sang−Shin Lee,Youngjoo Yee,Jong UK Bu,Hyun−Ho Oh,Chil−GeunPark,and Man−Hyo Ha ”ELECTROSTATIC MICROMIRROR WITH BUILT−IN LARGE Air−GAP FOR WIDE RANGE OF ROTATIONAL ACTUATION”,International Conference optical MEMS 2001,IEEE/LEOS,p99,100(2001)
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上述した従来の光スイッチ装置では、例えば、ミラー906に対して基板901の方向から重力が加わる状態で使用するとき、ヒンジ907,908が撓むことにより、可動枠905やミラー906が制御電極903が形成されている方向に落ち込む場合がある。このように、ミラー906が制御電極903の方向に落ち込むと、ミラー906の回動範囲が小さくなる。このように、従来の光スイッチ装置では、ミラーを回動可能に吊設している連結部であるヒンジの変形により、ミラーの回動範囲が、設計した値より小さくなるという問題があった。
【0009】
本発明は、以上のような問題点を解消するためになされたものであり、ミラーの回動範囲が、設計した値より小さくなることを、抑制できるようにすることを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る光スイッチ装置は、支持部材を介して基板の上に離間して支持された枠部材と、この枠部材の開口領域内で少なくとも一対の連結部を介してこれらを通る回動軸を中心に回動可能に支持された板状の可動構造体とを少なくとも備え、可動構造体の一部には反射部が設けられ、可動構造体の回動により反射部を変位させて光スイッチ動作を行うものであり、連結部を、一端が枠部材に固定され、他端が可動構造体に固定された複数の連結部材から構成したものである。連結部は、例えば、2つの連結部材から構成すればよい。
【0011】
上記光スイッチ装置において、連結部材は、一対の連結部を通る回動軸の方向とは異なる方向に延在する延在部を備えるようにしてもよい。
また、上記光スイッチ装置において、可動構造体は、開口部を有する可動枠とこの可動枠の開口領域内に配置されて反射部が設けられたミラーとから構成され、ミラーは、一対のミラー連結部を介してこれらを通る回動軸を中心に回動可能に可動枠に支持され、ミラー連結部は、一端が可動枠に固定され、他端がミラーに固定された複数の連結部材から構成されているようにしてもよい。ミラー連結部は、例えば2つの連結部材から構成されていればよい。
【0012】
上記光スイッチ装置において、ミラー連結部は、ミラーが配置された側より可動枠に形成された切欠き内に配設されているようにしてもよく、ミラー連結部を構成する連結部材は、一対のミラー連結部を通る回動軸の方向とは異なる方向に延在する延在部を備えるようにしてもよい。
また、上記光スイッチ装置において、ミラー連結部は、2つの連結部材に加え、これらの間かつミラーの回動軸上に配置された連結部材を備えるようにしてもよい。
【0013】
上記、光スイッチ装置において、可動構造体は、円形に形成されていてもよく、この場合、連結部材は、円形に形成された可動構造体の周方向に延在する延在部を備えるようにしてもよい。
同様に、上記光スイッチ装置において、可動枠は、リング状に形成され、ミラーは、円形に形成されているようにしてもよく、この場合、連結部を構成する連結部材は、リング状に形成された可動枠の周方向に延在する延在部を備えるようにしてもよく、ミラー連結部を構成する連結部材は、円形に形成されたミラーの周方向に延在する延在部を備えるようにしてもよい。
【0014】
また、上記光スイッチ装置において、連結部は、2つの連結部材に加え、これらの間かつ可動構造体の回動軸上に配置された連結部材を備えるようにしてもよい。
また、上記光スイッチ装置において、連結部は、開口領域の側より枠部材に形成された切欠き内に配設されているようにしてもよい。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図を参照して説明する。
[実施の形態1]
図1は、本発明の実施の形態における光スイッチ装置の構成例を示す概略的な断面図(a)と平面図(b)である。図1では、主に光スイッチ装置の1構成単位である一つのミラーを備えたスイッチ素子を部分的に示している。
【0016】
この光スイッチ装置の構成について説明すると、まず、例えば、シリコンからなる半導体基板101を備え、半導体基板101には、複数の素子から構成された集積回路(図示せず)が形成されている。集積回路の上には、層間絶縁膜102が形成されている。層間絶縁膜102上には、更に配線層104,層間絶縁膜105が形成され、配線層104は、この下層にある図示しない配線などに接続電極103を介して接続している。
【0017】
また、半導体基板101の上には、層間絶縁膜102,105を介して支持部材120が固定され、支持部材120は、枠部(枠部材)130を支持している。支持部材120は、金などの導電材料から構成され、層間絶縁膜105に形成されたスルーホールを通じ、層間絶縁膜102上に形成された所定の配線層104に電気的に接続されている。なお、支持部材120は、制御電極部140が形成されている空間を囲う枠状の構造体とすればよい。また、支持部材120は、枠部130の所定の箇所を支持する状態としてもよい。
【0018】
また、枠部130は、可動部開口領域301の中にミラー131,可動枠132からなる可動構造体を支持している。ミラー131は、可動枠132のミラー開口領域321の中に配置された直径500μm程度の円板であり、いずれかの面に反射面が形成されている。なお、反射面は、ミラー131の一部に形成するようにしてもよい。枠部130,可動枠132,及びミラー131は、例えば金などの導電材料から構成してもよい。この場合、ミラー131は、支持部材120を介して前述した配線層に電気的に接続された可動電極となる。なお、可動枠132,ミラー131などを絶縁材料から構成し、この表面に金属膜を形成してミラー131に可動電極を設けるようにしてもよい。
【0019】
以上に説明したように、枠部130により回動可能に支持されている可動構造体は、図1(b)に示すように、まず、可動枠132が、各々2つの連結部材からなる一対の連結部161を介して枠部130の内側に支持されている。これらの連結部材は、一端が枠部130に固定され他端が可動枠132に固定されている。連結部材は、例えば、トーションバースプリングなど、ねじりを受けて弾性変形する棒状や板状のばね部材である。可動枠132は、一対の連結部161を通る回動軸を中心に回動可能とされている。
【0020】
また、ミラー131が、各々2つの連結部材からなる一対のミラー連結部162を介して可動枠132の内側に支持されている。これらの連結部材は、一端が可動枠132に固定され他端がミラー131に固定されている。ミラー131は、一対のミラー連結部162を通る回動軸を中心に回動可能とされている。各連結部は、例えば板状,棒状などの形状の連結部材から構成されている。本実施の形態では、一対の連結部161を通る回動軸と一対のミラー連結部162を通る回動軸とは、互いに直交するように連結部材が配列されている。
【0021】
一方、ミラー131の下方の半導体基板101上には、層間絶縁膜102,105を介してミラー131の回動動作を制御するための制御電極部(固定電極)140が形成されている。本実施の形態において、制御電極部140は、金などの導電材料から構成され、層間絶縁膜105に形成されたスルーホールを通し、層間絶縁膜102上に形成された所定の配線層104に電気的に接続されている。
【0022】
また、図1(a)の光スイッチ装置では、半導体基板101に形成されている図示していない集積回路の一部として、制御回路150が構成されている。制御回路150は、例えば、いずれかの制御電極部140と可動電極であるミラー131との間に所定の電位差を生じさせることにより、選択された制御電極部140とミラー131とに電荷を誘導し、これらの電荷にクーロン力を作用させることで、ミラー131を回動させる。
【0023】
ミラー131は、誘導された電荷に働く静電力による回動軸周りのトルクと、可動部が回動することにより連結部161,ミラー連結部162に生じた逆向きのトルクが釣り合う位置で静止する。また、制御回路150は、制御電極とミラー131との間の電位差を解消し、ミラー131に発生している電荷を放電させることで、ミラー131の回動状態を解消させる。
【0024】
ここで、可動構造体についてより詳細に説明する。可動枠132は、枠部130の可動部開口領域301の中心を通る所定の軸を中心に回動可能となるように、上記軸上の2箇所に設けられた各々2つの連結部材からなる一対の連結部161により、枠部130に吊設しかつ軸着している。また、ミラー131は、枠部130の可動部開口領域301の中心を通って上記軸とは直交する直交軸を中心に回動可能となるように、この直交軸上の2箇所に設けられた各々2つの連結部材からなる一対のミラー連結部162により、可動枠132に吊設しかつ軸着している。
【0025】
以上に説明したように構成した本実施の形態によれば、各連結部を各々2つの連結部材から構成するようにしたので、重力などによるミラー131の半導体基板101方向への変位を抑制できる。従って、ミラー131が半導体基板101に近づくことによるミラー131の回動範囲の減少、すなわち、ミラー131の回転角度の減少を抑制できるようになる。
【0026】
[実施の形態2]
つぎに、本発明の他の実施の形態について説明する。本実施の形態では、枠部130,可動枠132,及び,ミラー131を、図2の平面図に示すように構成した。なお、他の部分は、図1(a)と同様である。
本実施の形態では、まず、可動枠132を枠部130の内側に回動可能に支持する一対の連結部262を、各々2つの連結部材から構成し、かつ、2つの連結部材が、可動枠132の回動軸に対して対称に傾いているようにした。
【0027】
また、同様に、ミラー131を可動枠132の内側に回動可能に支持する一対のミラー連結部262を、各々2つの連結部材から構成し、かつ、2つの連結部材が、ミラー131の回動軸に対して対称に傾いているようにした。図2では、各連結部を構成する2つの連結部材が、周囲に行くほど間隔を狭めるように傾けている。なお、各連結部を構成する2つの連結部材は、ミラー131の中心方向に行くほど間隔を狭めるようにしてもよい。
【0028】
連結部261を構成する2つの連結部材の枠部130との接続部分の間隔を狭くすることで、可動枠132がより容易に回動しやすくなる。同様に、ミラー連結部262を構成する2つの連結部材の可動枠132との接続部分の間隔を狭くすることで、ミラー131がより容易に回動しやすくなる。
また、連結部261を構成する2つの連結部材の可動枠132との接続部分の間隔を狭くすることでも、可動枠132がより容易に回動しやすくなる。同様に、ミラー連結部262を構成する2つの連結部材のミラー131との接続部分の間隔を狭くすることで、ミラー131がより容易に回動しやすくなる。
【0029】
[実施の形態3]
つぎに、本発明の他の実施の形態について説明する。本実施の形態では、枠部130,可動枠132,及び,ミラー131を、図3の平面図に示すように構成した。なお、他の部分は、図1(a)と同様である。
本実施の形態では、まず、可動枠132が配設される可動部開口領域301の側に向けて、枠部130に連結部領域(切欠き)302を備えるようにした。また、ミラー131が配設されるミラー開口領域321側に向けて、可動枠132にミラー連結部領域(切欠き)322を備えるようにした。
【0030】
このように連結領域を各々設け、連結部領域302内に2つの連結部材から構成された連結部361を配置し、ミラー連結部領域322内に2つの連結部材から構成されたミラー連結部362を配置するようにした。
これらのようにすることで、枠部130と可動枠132との間隔D1を、可動枠132が枠部130の内側に接触せずに回動可能な最も短いものとしても、連結部361を構成する2つの連結部材をより長い状態とすることが可能となる。これは、ミラー連結部362を構成する2つの連結部材についても同様である。
【0031】
例えば、ミラー連結部362を通る軸を中心にミラー131を回動させるとき、誘導された電荷に働く静電力による回動軸周りのトルクに対し、ミラー連結部362に生じる逆向きのトルクが反発する。従って、ミラー連結部362に生じる逆向きのトルク(バネ力)が小さいほど、小さな力でミラー131が回動する。本実施の形態では、上述したように、ミラー連結部362を構成する2つの連結部材をより長くし、間隔D2の中に連結部材を配設した場合に比較して上記逆向きのトルクを小さくしたので、従来より小さな力でミラー131を回動させることが可能となる。このことは、連結部361についても同様である。
【0032】
[実施の形態4]
つぎに、本発明の他の実施の形態について説明する。本実施の形態では、枠部130,可動枠132,及び,ミラー131を、図4の平面図に示すように構成した。なお、他の部分は、図1(a)と同様である。
本実施の形態では、可動枠132が、3つの連結部材から構成された連結部461により、枠部130に回動可能に連結されているようにした。図5に示すように、連結部461は、可動枠132の回動軸501上に配置された連結部材461aと、この連結部材の両脇に配置された2つの連結部材461bとから構成されている。このように、連結部を複数の連結部材から構成するようにしても良い。
【0033】
同様に、ミラー131が、3つの連結部材から構成されたミラー連結部462により、可動枠132に回動可能に連結されているようにした。ミラー連結部462も、ミラー131の回動軸上に配置された連結部材と、この連結部材の両脇に配置された2つの連結部材とから構成されている。
これらのように、各連結部を3つの連結部材から構成することで、回動軸のぶれが抑制されるようになる。
【0034】
[実施の形態5]
つぎに、本発明の他の実施の形態について説明する。本実施の形態では、可動枠132及びミラー131を、図6に示すように、一対の連結部661,一対のミラー連結部662により支持するようにした。なお、他の部分は、図1(a)と同様である。
連結部661は、図6(b)に示すように、2つの連結部材の各々に、一対の連結部661を通る軸XX’及び連結部材の延在方向とは異なる方向に延在する延在部661aを備える。
【0035】
同様に、ミラー連結部662も、2つの連結部材の各々に、一対の連結部661を通る軸XX’及び連結部材の延在方向とは異なる方向に延在する延在部662aを備える。
従って、本実施の形態によれば、図3に示す連結部361,ミラー連結部362に比較し、連結部661,ミラー連結部662をより長くすることが可能となる。この結果、本実施の形態によれば、連結部661,ミラー連結部662におけるバネ力を、より広い範囲で制御することが可能となる。
【0036】
[実施の形態6]
ところで、上述した実施の形態では、円形(円板状)のミラー131を用い、また、リング状の可動枠132を用いるようにしたが、これに限るものではなく、正方形状など矩形のミラーを用いるようにしてもよい。
しかしながら、矩形のミラーを回動させると、下部の制御電極などが固定されている固定領域に、矩形の一辺がすべて近づいていく。このため、矩形のミラーでは、固定領域と接触する危険性が増大する。
【0037】
また、反射面を形成するためにミラー131の表面に金属膜を形成する場合、形成した金属膜に発生する応力が、円形のミラー131には均一に加わる。ミラーが矩形の場合、上記応力が均一に加わらず、ミラーが変形する場合がある。
以上のことなどから、ミラー131は、円形(円板)としたほうがよい。このように、ミラー131を円形とする場合、以下に説明するように、連結部を円弧状にしてもよい。
【0038】
本実施の形態では、図7に示すように、可動枠132に、円弧状の一対の連結部領域722を設け、これらの各々に、ミラー131が回動する2つの軸が直交する交点を中心とする円周方向に延在する延在部762aを備えたミラー連結部462を備えるようにした。同様に、枠部130に円弧状の一対の連結部領域702を設け、これらの各々に、上記交点を中心とする円周方向に延在する延在部761aを備えた連結部761を備えるようにした。なお、他の部分は、図1(a)と同様である。
【0039】
図7(b)に示すように、延在部762aをリング状の可動枠132の円周方向(一点鎖線の円弧で示す方向)に延在させることで、直線的に延長する場合に比較し、延在部762aをより長くすることが可能となる。このように、連結部の長さをより長くすることが可能となるため、本実施の形態によれば、連結部の設計の自由度を向上させることができる。
【0040】
なお、図6,図7に示した実施の形態においても、図4に示す実施の形態と同様に、図6,7に示す連結部を構成している2つの連結部材の間に、ミラー131もしくは可動枠132の回動軸上に配置された連結部材を新たに加え、各連結部を3つの連結部材から構成するようにしてもよい。
【0041】
ところで、上述では、例えば、図3に示すように、連結部361は、
可動部開口領域301の側より枠部130に形成された連結部領域302の内部に配設されているようにしたが、これに限るものではない。例えば、図8に示すように、可動枠132に連結部領域802を形成し、この内部に連結部861が配設されているようにしても良い。これは、図4,図6,図7に示す実施の形態についても同様である。このようにすることで、例えば枠部130の幅をより狭くすることが可能となり、スイッチ素子をより小型化することが可能となる。
【0042】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明では、枠部と可動構造体とを連結する連結部が、一端が前記枠部に固定され、他端が前記可動構造体に固定された2つの連結部材から構成されているようにした。この結果、本発明によれば、重力などによるミラーの基板方向への変位を抑制できる。従って、ミラーが基板に近づくことによるミラーの回動範囲の減少、すなわち、ミラーの回転角度の減少を抑制できるという優れた効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態における光スイッチ装置の構成例を示す概略的な断面図(a)と平面図(b)である。
【図2】本発明の他の実施の形態における光スイッチ装置の一部構成例を示す概略的な平面図である。
【図3】本発明の他の実施の形態における光スイッチ装置の一部構成例を示す概略的な平面図である。
【図4】本発明の他の実施の形態における光スイッチ装置の一部構成例を示す概略的な平面図である。
【図5】本発明の他の実施の形態における光スイッチ装置の一部構成例を示す概略的な平面図である。
【図6】本発明の他の実施の形態における光スイッチ装置の一部構成例を示す概略的な平面図である。
【図7】本発明の他の実施の形態における光スイッチ装置の一部構成例を示す概略的な平面図である。
【図8】本発明の他の実施の形態における光スイッチ装置の一部構成例を示す概略的な平面図である。
【図9】従来よりある光スイッチ装置の構成例を示す概略的な断面図(a)と平面図(b)である。
【符号の説明】
101…半導体基板、102…層間絶縁膜、103…接続電極、104…配線層、105…層間絶縁膜、120…支持部材、130…枠部、131…ミラー、132…可動枠、140…制御電極部、150…制御回路、161…連結部、162…ミラー連結部、301…可動部開口領域、321…ミラー開口領域。
【発明の属する技術分野】
本発明は、回動するミラーにより信号光の経路を変更する光スイッチ装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
インターネット通信網などにおける基盤となる光ネットワークにおいて必須となる波長分割多重技術(WDM)には、光スイッチ装置が必要不可欠な要素部品となる。この種の光スイッチ装置には、光導波路型やMEMS(Micro Electro Mechanical System)型などがあるが、中でも、回動する微細な反射面を有するMEMS型の光スイッチ装置が有望視されている。
【0003】
このMEMS型の光スイッチ装置は、例えば、固定構造体と可動ミラーを有する反射構造体とから構成されている。固定構造体は、土台となる基板及びこの上に形成された電極などである。反射構造体は、支持部材と可動部材を有し、ミラーとして作用する可動部材が、固定構造体と離間してトーションバネ(ヒンジ)によって支持部材に接続されている。
このように構成された光スイッチは、固定構造体と回動する反射構造体との間に働く引力、あるいは反発力によって反射構造体が回動することで光路を切り替えるスイッチング動作を行う。
【0004】
上記光スイッチは、例えば、図9(a)の側面図に示すように構成されている(非特許文献1参照)。図9(a)において、基板901には、凸領域902が形成され、凸領域902の上面に制御電極903が形成されている。また、基板901の上には、凸領域902の上部に開口領域を有する枠体904が配設されている。枠体904の開口領域内には、図9(b)の平面図に示すように、可動枠905とミラー906とが配置され、可動枠905は、一対のヒンジ907により枠体904に吊設され、ミラー906は、一対のヒンジ908により可動枠905に吊設されている。ミラー906の一方の面には、反射面が形成されている。
【0005】
ヒンジ907は、枠体904の内側の開口領域の中心を通る軸上に配置され、この軸を中心に、可動枠905は回動可能とされている。また、ヒンジ908は、可動枠905の内側の開口領域の中心を通る軸上に配置され、この軸を中心に、ミラー906は回動可能とされている。ここで、ヒンジ907による軸とヒンジ908による軸とは直交し、ミラー906は、2軸動作が可能な状態となっている。また、このように回動可能とされているミラー906の下部に設けられている制御電極903は、図示しない配線に接続し、ミラー906を駆動するための静電力を発生する。
【0006】
なお、出願人は、本明細書に記載した先行技術文献情報で特定される先行技術文献以外には、本発明に関連する先行技術文献を本件の出願時までに発見するには至らなかった。
【0007】
【非特許文献1】
Tae−Sik Kim,Sang−Shin Lee,Youngjoo Yee,Jong UK Bu,Hyun−Ho Oh,Chil−GeunPark,and Man−Hyo Ha ”ELECTROSTATIC MICROMIRROR WITH BUILT−IN LARGE Air−GAP FOR WIDE RANGE OF ROTATIONAL ACTUATION”,International Conference optical MEMS 2001,IEEE/LEOS,p99,100(2001)
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上述した従来の光スイッチ装置では、例えば、ミラー906に対して基板901の方向から重力が加わる状態で使用するとき、ヒンジ907,908が撓むことにより、可動枠905やミラー906が制御電極903が形成されている方向に落ち込む場合がある。このように、ミラー906が制御電極903の方向に落ち込むと、ミラー906の回動範囲が小さくなる。このように、従来の光スイッチ装置では、ミラーを回動可能に吊設している連結部であるヒンジの変形により、ミラーの回動範囲が、設計した値より小さくなるという問題があった。
【0009】
本発明は、以上のような問題点を解消するためになされたものであり、ミラーの回動範囲が、設計した値より小さくなることを、抑制できるようにすることを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る光スイッチ装置は、支持部材を介して基板の上に離間して支持された枠部材と、この枠部材の開口領域内で少なくとも一対の連結部を介してこれらを通る回動軸を中心に回動可能に支持された板状の可動構造体とを少なくとも備え、可動構造体の一部には反射部が設けられ、可動構造体の回動により反射部を変位させて光スイッチ動作を行うものであり、連結部を、一端が枠部材に固定され、他端が可動構造体に固定された複数の連結部材から構成したものである。連結部は、例えば、2つの連結部材から構成すればよい。
【0011】
上記光スイッチ装置において、連結部材は、一対の連結部を通る回動軸の方向とは異なる方向に延在する延在部を備えるようにしてもよい。
また、上記光スイッチ装置において、可動構造体は、開口部を有する可動枠とこの可動枠の開口領域内に配置されて反射部が設けられたミラーとから構成され、ミラーは、一対のミラー連結部を介してこれらを通る回動軸を中心に回動可能に可動枠に支持され、ミラー連結部は、一端が可動枠に固定され、他端がミラーに固定された複数の連結部材から構成されているようにしてもよい。ミラー連結部は、例えば2つの連結部材から構成されていればよい。
【0012】
上記光スイッチ装置において、ミラー連結部は、ミラーが配置された側より可動枠に形成された切欠き内に配設されているようにしてもよく、ミラー連結部を構成する連結部材は、一対のミラー連結部を通る回動軸の方向とは異なる方向に延在する延在部を備えるようにしてもよい。
また、上記光スイッチ装置において、ミラー連結部は、2つの連結部材に加え、これらの間かつミラーの回動軸上に配置された連結部材を備えるようにしてもよい。
【0013】
上記、光スイッチ装置において、可動構造体は、円形に形成されていてもよく、この場合、連結部材は、円形に形成された可動構造体の周方向に延在する延在部を備えるようにしてもよい。
同様に、上記光スイッチ装置において、可動枠は、リング状に形成され、ミラーは、円形に形成されているようにしてもよく、この場合、連結部を構成する連結部材は、リング状に形成された可動枠の周方向に延在する延在部を備えるようにしてもよく、ミラー連結部を構成する連結部材は、円形に形成されたミラーの周方向に延在する延在部を備えるようにしてもよい。
【0014】
また、上記光スイッチ装置において、連結部は、2つの連結部材に加え、これらの間かつ可動構造体の回動軸上に配置された連結部材を備えるようにしてもよい。
また、上記光スイッチ装置において、連結部は、開口領域の側より枠部材に形成された切欠き内に配設されているようにしてもよい。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図を参照して説明する。
[実施の形態1]
図1は、本発明の実施の形態における光スイッチ装置の構成例を示す概略的な断面図(a)と平面図(b)である。図1では、主に光スイッチ装置の1構成単位である一つのミラーを備えたスイッチ素子を部分的に示している。
【0016】
この光スイッチ装置の構成について説明すると、まず、例えば、シリコンからなる半導体基板101を備え、半導体基板101には、複数の素子から構成された集積回路(図示せず)が形成されている。集積回路の上には、層間絶縁膜102が形成されている。層間絶縁膜102上には、更に配線層104,層間絶縁膜105が形成され、配線層104は、この下層にある図示しない配線などに接続電極103を介して接続している。
【0017】
また、半導体基板101の上には、層間絶縁膜102,105を介して支持部材120が固定され、支持部材120は、枠部(枠部材)130を支持している。支持部材120は、金などの導電材料から構成され、層間絶縁膜105に形成されたスルーホールを通じ、層間絶縁膜102上に形成された所定の配線層104に電気的に接続されている。なお、支持部材120は、制御電極部140が形成されている空間を囲う枠状の構造体とすればよい。また、支持部材120は、枠部130の所定の箇所を支持する状態としてもよい。
【0018】
また、枠部130は、可動部開口領域301の中にミラー131,可動枠132からなる可動構造体を支持している。ミラー131は、可動枠132のミラー開口領域321の中に配置された直径500μm程度の円板であり、いずれかの面に反射面が形成されている。なお、反射面は、ミラー131の一部に形成するようにしてもよい。枠部130,可動枠132,及びミラー131は、例えば金などの導電材料から構成してもよい。この場合、ミラー131は、支持部材120を介して前述した配線層に電気的に接続された可動電極となる。なお、可動枠132,ミラー131などを絶縁材料から構成し、この表面に金属膜を形成してミラー131に可動電極を設けるようにしてもよい。
【0019】
以上に説明したように、枠部130により回動可能に支持されている可動構造体は、図1(b)に示すように、まず、可動枠132が、各々2つの連結部材からなる一対の連結部161を介して枠部130の内側に支持されている。これらの連結部材は、一端が枠部130に固定され他端が可動枠132に固定されている。連結部材は、例えば、トーションバースプリングなど、ねじりを受けて弾性変形する棒状や板状のばね部材である。可動枠132は、一対の連結部161を通る回動軸を中心に回動可能とされている。
【0020】
また、ミラー131が、各々2つの連結部材からなる一対のミラー連結部162を介して可動枠132の内側に支持されている。これらの連結部材は、一端が可動枠132に固定され他端がミラー131に固定されている。ミラー131は、一対のミラー連結部162を通る回動軸を中心に回動可能とされている。各連結部は、例えば板状,棒状などの形状の連結部材から構成されている。本実施の形態では、一対の連結部161を通る回動軸と一対のミラー連結部162を通る回動軸とは、互いに直交するように連結部材が配列されている。
【0021】
一方、ミラー131の下方の半導体基板101上には、層間絶縁膜102,105を介してミラー131の回動動作を制御するための制御電極部(固定電極)140が形成されている。本実施の形態において、制御電極部140は、金などの導電材料から構成され、層間絶縁膜105に形成されたスルーホールを通し、層間絶縁膜102上に形成された所定の配線層104に電気的に接続されている。
【0022】
また、図1(a)の光スイッチ装置では、半導体基板101に形成されている図示していない集積回路の一部として、制御回路150が構成されている。制御回路150は、例えば、いずれかの制御電極部140と可動電極であるミラー131との間に所定の電位差を生じさせることにより、選択された制御電極部140とミラー131とに電荷を誘導し、これらの電荷にクーロン力を作用させることで、ミラー131を回動させる。
【0023】
ミラー131は、誘導された電荷に働く静電力による回動軸周りのトルクと、可動部が回動することにより連結部161,ミラー連結部162に生じた逆向きのトルクが釣り合う位置で静止する。また、制御回路150は、制御電極とミラー131との間の電位差を解消し、ミラー131に発生している電荷を放電させることで、ミラー131の回動状態を解消させる。
【0024】
ここで、可動構造体についてより詳細に説明する。可動枠132は、枠部130の可動部開口領域301の中心を通る所定の軸を中心に回動可能となるように、上記軸上の2箇所に設けられた各々2つの連結部材からなる一対の連結部161により、枠部130に吊設しかつ軸着している。また、ミラー131は、枠部130の可動部開口領域301の中心を通って上記軸とは直交する直交軸を中心に回動可能となるように、この直交軸上の2箇所に設けられた各々2つの連結部材からなる一対のミラー連結部162により、可動枠132に吊設しかつ軸着している。
【0025】
以上に説明したように構成した本実施の形態によれば、各連結部を各々2つの連結部材から構成するようにしたので、重力などによるミラー131の半導体基板101方向への変位を抑制できる。従って、ミラー131が半導体基板101に近づくことによるミラー131の回動範囲の減少、すなわち、ミラー131の回転角度の減少を抑制できるようになる。
【0026】
[実施の形態2]
つぎに、本発明の他の実施の形態について説明する。本実施の形態では、枠部130,可動枠132,及び,ミラー131を、図2の平面図に示すように構成した。なお、他の部分は、図1(a)と同様である。
本実施の形態では、まず、可動枠132を枠部130の内側に回動可能に支持する一対の連結部262を、各々2つの連結部材から構成し、かつ、2つの連結部材が、可動枠132の回動軸に対して対称に傾いているようにした。
【0027】
また、同様に、ミラー131を可動枠132の内側に回動可能に支持する一対のミラー連結部262を、各々2つの連結部材から構成し、かつ、2つの連結部材が、ミラー131の回動軸に対して対称に傾いているようにした。図2では、各連結部を構成する2つの連結部材が、周囲に行くほど間隔を狭めるように傾けている。なお、各連結部を構成する2つの連結部材は、ミラー131の中心方向に行くほど間隔を狭めるようにしてもよい。
【0028】
連結部261を構成する2つの連結部材の枠部130との接続部分の間隔を狭くすることで、可動枠132がより容易に回動しやすくなる。同様に、ミラー連結部262を構成する2つの連結部材の可動枠132との接続部分の間隔を狭くすることで、ミラー131がより容易に回動しやすくなる。
また、連結部261を構成する2つの連結部材の可動枠132との接続部分の間隔を狭くすることでも、可動枠132がより容易に回動しやすくなる。同様に、ミラー連結部262を構成する2つの連結部材のミラー131との接続部分の間隔を狭くすることで、ミラー131がより容易に回動しやすくなる。
【0029】
[実施の形態3]
つぎに、本発明の他の実施の形態について説明する。本実施の形態では、枠部130,可動枠132,及び,ミラー131を、図3の平面図に示すように構成した。なお、他の部分は、図1(a)と同様である。
本実施の形態では、まず、可動枠132が配設される可動部開口領域301の側に向けて、枠部130に連結部領域(切欠き)302を備えるようにした。また、ミラー131が配設されるミラー開口領域321側に向けて、可動枠132にミラー連結部領域(切欠き)322を備えるようにした。
【0030】
このように連結領域を各々設け、連結部領域302内に2つの連結部材から構成された連結部361を配置し、ミラー連結部領域322内に2つの連結部材から構成されたミラー連結部362を配置するようにした。
これらのようにすることで、枠部130と可動枠132との間隔D1を、可動枠132が枠部130の内側に接触せずに回動可能な最も短いものとしても、連結部361を構成する2つの連結部材をより長い状態とすることが可能となる。これは、ミラー連結部362を構成する2つの連結部材についても同様である。
【0031】
例えば、ミラー連結部362を通る軸を中心にミラー131を回動させるとき、誘導された電荷に働く静電力による回動軸周りのトルクに対し、ミラー連結部362に生じる逆向きのトルクが反発する。従って、ミラー連結部362に生じる逆向きのトルク(バネ力)が小さいほど、小さな力でミラー131が回動する。本実施の形態では、上述したように、ミラー連結部362を構成する2つの連結部材をより長くし、間隔D2の中に連結部材を配設した場合に比較して上記逆向きのトルクを小さくしたので、従来より小さな力でミラー131を回動させることが可能となる。このことは、連結部361についても同様である。
【0032】
[実施の形態4]
つぎに、本発明の他の実施の形態について説明する。本実施の形態では、枠部130,可動枠132,及び,ミラー131を、図4の平面図に示すように構成した。なお、他の部分は、図1(a)と同様である。
本実施の形態では、可動枠132が、3つの連結部材から構成された連結部461により、枠部130に回動可能に連結されているようにした。図5に示すように、連結部461は、可動枠132の回動軸501上に配置された連結部材461aと、この連結部材の両脇に配置された2つの連結部材461bとから構成されている。このように、連結部を複数の連結部材から構成するようにしても良い。
【0033】
同様に、ミラー131が、3つの連結部材から構成されたミラー連結部462により、可動枠132に回動可能に連結されているようにした。ミラー連結部462も、ミラー131の回動軸上に配置された連結部材と、この連結部材の両脇に配置された2つの連結部材とから構成されている。
これらのように、各連結部を3つの連結部材から構成することで、回動軸のぶれが抑制されるようになる。
【0034】
[実施の形態5]
つぎに、本発明の他の実施の形態について説明する。本実施の形態では、可動枠132及びミラー131を、図6に示すように、一対の連結部661,一対のミラー連結部662により支持するようにした。なお、他の部分は、図1(a)と同様である。
連結部661は、図6(b)に示すように、2つの連結部材の各々に、一対の連結部661を通る軸XX’及び連結部材の延在方向とは異なる方向に延在する延在部661aを備える。
【0035】
同様に、ミラー連結部662も、2つの連結部材の各々に、一対の連結部661を通る軸XX’及び連結部材の延在方向とは異なる方向に延在する延在部662aを備える。
従って、本実施の形態によれば、図3に示す連結部361,ミラー連結部362に比較し、連結部661,ミラー連結部662をより長くすることが可能となる。この結果、本実施の形態によれば、連結部661,ミラー連結部662におけるバネ力を、より広い範囲で制御することが可能となる。
【0036】
[実施の形態6]
ところで、上述した実施の形態では、円形(円板状)のミラー131を用い、また、リング状の可動枠132を用いるようにしたが、これに限るものではなく、正方形状など矩形のミラーを用いるようにしてもよい。
しかしながら、矩形のミラーを回動させると、下部の制御電極などが固定されている固定領域に、矩形の一辺がすべて近づいていく。このため、矩形のミラーでは、固定領域と接触する危険性が増大する。
【0037】
また、反射面を形成するためにミラー131の表面に金属膜を形成する場合、形成した金属膜に発生する応力が、円形のミラー131には均一に加わる。ミラーが矩形の場合、上記応力が均一に加わらず、ミラーが変形する場合がある。
以上のことなどから、ミラー131は、円形(円板)としたほうがよい。このように、ミラー131を円形とする場合、以下に説明するように、連結部を円弧状にしてもよい。
【0038】
本実施の形態では、図7に示すように、可動枠132に、円弧状の一対の連結部領域722を設け、これらの各々に、ミラー131が回動する2つの軸が直交する交点を中心とする円周方向に延在する延在部762aを備えたミラー連結部462を備えるようにした。同様に、枠部130に円弧状の一対の連結部領域702を設け、これらの各々に、上記交点を中心とする円周方向に延在する延在部761aを備えた連結部761を備えるようにした。なお、他の部分は、図1(a)と同様である。
【0039】
図7(b)に示すように、延在部762aをリング状の可動枠132の円周方向(一点鎖線の円弧で示す方向)に延在させることで、直線的に延長する場合に比較し、延在部762aをより長くすることが可能となる。このように、連結部の長さをより長くすることが可能となるため、本実施の形態によれば、連結部の設計の自由度を向上させることができる。
【0040】
なお、図6,図7に示した実施の形態においても、図4に示す実施の形態と同様に、図6,7に示す連結部を構成している2つの連結部材の間に、ミラー131もしくは可動枠132の回動軸上に配置された連結部材を新たに加え、各連結部を3つの連結部材から構成するようにしてもよい。
【0041】
ところで、上述では、例えば、図3に示すように、連結部361は、
可動部開口領域301の側より枠部130に形成された連結部領域302の内部に配設されているようにしたが、これに限るものではない。例えば、図8に示すように、可動枠132に連結部領域802を形成し、この内部に連結部861が配設されているようにしても良い。これは、図4,図6,図7に示す実施の形態についても同様である。このようにすることで、例えば枠部130の幅をより狭くすることが可能となり、スイッチ素子をより小型化することが可能となる。
【0042】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明では、枠部と可動構造体とを連結する連結部が、一端が前記枠部に固定され、他端が前記可動構造体に固定された2つの連結部材から構成されているようにした。この結果、本発明によれば、重力などによるミラーの基板方向への変位を抑制できる。従って、ミラーが基板に近づくことによるミラーの回動範囲の減少、すなわち、ミラーの回転角度の減少を抑制できるという優れた効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態における光スイッチ装置の構成例を示す概略的な断面図(a)と平面図(b)である。
【図2】本発明の他の実施の形態における光スイッチ装置の一部構成例を示す概略的な平面図である。
【図3】本発明の他の実施の形態における光スイッチ装置の一部構成例を示す概略的な平面図である。
【図4】本発明の他の実施の形態における光スイッチ装置の一部構成例を示す概略的な平面図である。
【図5】本発明の他の実施の形態における光スイッチ装置の一部構成例を示す概略的な平面図である。
【図6】本発明の他の実施の形態における光スイッチ装置の一部構成例を示す概略的な平面図である。
【図7】本発明の他の実施の形態における光スイッチ装置の一部構成例を示す概略的な平面図である。
【図8】本発明の他の実施の形態における光スイッチ装置の一部構成例を示す概略的な平面図である。
【図9】従来よりある光スイッチ装置の構成例を示す概略的な断面図(a)と平面図(b)である。
【符号の説明】
101…半導体基板、102…層間絶縁膜、103…接続電極、104…配線層、105…層間絶縁膜、120…支持部材、130…枠部、131…ミラー、132…可動枠、140…制御電極部、150…制御回路、161…連結部、162…ミラー連結部、301…可動部開口領域、321…ミラー開口領域。
Claims (16)
- 支持部材を介して基板の上に離間して支持された枠部材と、この枠部材の開口領域内で少なくとも一対の連結部を介してこれらを通る回動軸を中心に回動可能に支持された板状の可動構造体とを少なくとも備え、前記可動構造体の一部には反射部が設けられ、前記可動構造体の回動により前記反射部を変位させて光スイッチ動作を行う光スイッチ装置において、
前記連結部は、一端が前記枠部材に固定され、他端が前記可動構造体に固定された複数の連結部材から構成されている
ことを特徴とする光スイッチ装置。 - 請求項1記載の光スイッチ装置において、
前記連結部は、2つの前記連結部材から構成されている
ことを特徴とする光スイッチ装置。 - 請求項1〜2のいずれか1項に記載の光スイッチ装置において、
前記連結部材は、一対の連結部を通る回動軸の方向とは異なる方向に延在する延在部を備える
ことを特徴とする光スイッチ装置。 - 請求項1〜3のいずれか1項に記載の光スイッチ装置において、
前記可動構造体は、開口部を有する可動枠とこの可動枠の開口領域内に配置されて前記反射部が設けられたミラーとから構成され、
前記ミラーは、一対のミラー連結部を介してこれらを通る回動軸を中心に回動可能に前記可動枠に支持され、
前記ミラー連結部は、一端が前記可動枠に固定され、他端が前記ミラーに固定された複数の連結部材から構成されている
ことを特徴とする光スイッチ装置。 - 請求項4記載の光スイッチ装置において、
前記ミラー連結部は、2つの前記連結部材から構成されている
ことを特徴とする光スイッチ装置。 - 請求項4または5記載の光スイッチ装置において、
前記ミラー連結部は、前記ミラーが配置された側より前記可動枠に形成された切欠き内に配設されている
ことを特徴とする光スイッチ装置。 - 請求項4〜6のいずれか1項に記載の光スイッチ装置において、
前記ミラー連結部を構成する連結部材は、一対のミラー連結部を通る回動軸の方向とは異なる方向に延在する延在部を備える
ことを特徴とする光スイッチ装置。 - 請求項4〜7のいずれか1項に記載の光スイッチ装置において、
前記ミラー連結部は、2つの前記連結部材に加え、これらの間かつ前記ミラーの回動軸上に配置された連結部材を備える
ことを特徴とする光スイッチ装置。 - 請求項4〜8のいずれか1項に記載の光スイッチ装置において、
前記可動枠は、リング状に形成され、
前記ミラーは、円形に形成されている
ことを特徴とする光スイッチ装置。 - 請求項9記載の光スイッチ装置において、
前記連結部を構成する連結部材は、前記リング状に形成された可動枠の周方向に延在する延在部を備える
ことを特徴とする光スイッチ装置。 - 請求項9または10記載の光スイッチ装置において、
前記ミラー連結部を構成する連結部材は、前記円形に形成されたミラーの周方向に延在する延在部を備える
ことを特徴とする光スイッチ装置。 - 請求項4〜11のいずれか1項に記載の光スイッチ装置において、
前記連結部は、前記開口領域の側より前記可動枠に形成された切欠き内に配設されている
ことを特徴とする光スイッチ装置。 - 請求項1〜8のいずれか1項に記載の光スイッチ装置において、
前記可動構造体は、円形に形成されている
ことを特徴とする光スイッチ装置。 - 請求項13記載の光スイッチ装置において、
前記連結部材は、前記円形に形成された可動構造体の周方向に延在する延在部を備える
ことを特徴とする光スイッチ装置。 - 請求項1〜14のいずれか1項に記載の光スイッチ装置において、
前記連結部は、2つの前記連結部材に加え、これらの間かつ前記可動構造体の回動軸上に配置された連結部材を備える
ことを特徴とする光スイッチ装置。 - 請求項1〜15のいずれか1項に記載の光スイッチ装置において、
前記連結部は、前記開口領域の側より前記枠部材に形成された切欠き内に配設されている
ことを特徴とする光スイッチ装置。
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Cited By (1)
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JP2012113043A (ja) * | 2010-11-22 | 2012-06-14 | Nec Corp | 光走査素子、および該光走査素子を備えた画像表示装置 |
-
2003
- 2003-02-04 JP JP2003026852A patent/JP2004240013A/ja active Pending
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