JP2004237527A - インクジェットプリンタ - Google Patents
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Abstract
【課題】インク貯留部内のインク残量の検出精度を向上させる。
【解決手段】記録媒体1に対しインクを吐出する吐出口が設けられた記録ヘッド2と、記録ヘッドに供給されるインクを貯留するインク貯留部71と、インク貯留部と記録ヘッドとの間の送液経路途中に設けられた中間タンク72とを備えるインクジェットプリンタ100である。インク貯留部は、収縮自在に形成されている。インク貯留部の収縮状態を検出する上限センサ77及び下限センサ78を備える。上限センサ及び下限センサによる検出結果に基づいて、インク貯留部内のインクの有無を判断する判断手段8aを備える。
【選択図】 図1
【解決手段】記録媒体1に対しインクを吐出する吐出口が設けられた記録ヘッド2と、記録ヘッドに供給されるインクを貯留するインク貯留部71と、インク貯留部と記録ヘッドとの間の送液経路途中に設けられた中間タンク72とを備えるインクジェットプリンタ100である。インク貯留部は、収縮自在に形成されている。インク貯留部の収縮状態を検出する上限センサ77及び下限センサ78を備える。上限センサ及び下限センサによる検出結果に基づいて、インク貯留部内のインクの有無を判断する判断手段8aを備える。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、インクジェットプリンタに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、記録ヘッドの吐出口から記録媒体に向けてインクを吐出し着弾させ、この記録媒体に画像を記録するインクジェットプリンタが知られている。
【0003】
インクジェットプリンタの中には、インクを貯留するインク貯留部から記録ヘッドまでインクを供給するインク供給路の途中に、インクを一時的に貯留する中間タンクを設けたものがある。
中間タンクは、インク貯留部よりも低い位置に配設されており、インク貯留部に貯留されているインクは、その自重により中間タンクに供給されるようになっている。
また、中間タンクは、インクの貯留量に応じて容積自在に変形可能に形成された部材であり、インクの供給速度を抑えるダンパとして機能し、記録ヘッドから必要以上の量のインクを吐出させないようになっている。
【0004】
ところで、インク貯留部内のインク残量の検出は、中間タンクの膨らみを検出するセンサによって行われる。すなわち、インク貯留部から中間タンクまでのインク供給タイミングにおいて、中間タンクとインク貯留部とが連通してインク貯留部からのインク供給を行える状態で、中間タンクが膨らまないことが前記センサによって検出された場合には、インク貯留部内はインクが空状態となっていると判断されるようになっている。
【0005】
また、記録画像の画像データをカウントしていくことにより、インク吐出量を算出して、インク貯留部内のインク残量を検出するインクジェット記録装置も知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【0006】
【特許文献1】
特開昭62−92850号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記のようにインク貯留部内のインク残量の検出を中間タンクの膨らみを検出するセンサによって行う場合、インク貯留部内のインク残量を直接検出するものではないため、インク貯留部内のインク残量の検出精度が低くなり、例えばインク貯留部内にインクが多く残留していてもインク貯留部内のインクが空状態を検出してしまう等の不具合を生じていた。
また、上記特許文献1のようにインク吐出量を算出する場合、記録ヘッドのメンテナンスの際に大量のインクを吐出することもあるため、インク貯留部内のインク残量の検出を正確に行うことは困難となっていた。
【0008】
本発明の課題は、インク貯留部内のインク残量の検出精度を向上させることができるインクジェットプリンタを提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の発明は、記録媒体に対しインクを吐出する吐出口が設けられた記録ヘッドと、前記記録ヘッドに供給されるインクを貯留するインク貯留部と、前記インク貯留部と前記記録ヘッドとの間の送液経路途中に設けられた中間タンクとを備えるインクジェットプリンタであって、
前記インク貯留部は、収縮自在に形成され、
前記インク貯留部の収縮状態を検出する収縮状態検出手段と、
前記収縮状態検出手段による検出結果に基づいて、前記インク貯留部内のインクの有無を判断する判断手段とを備えることを特徴としている。
【0010】
請求項1に記載の発明によれば、インク貯留部の収縮状態からインクの有無を判断することができるので、インク貯留部内のインク残量を直接検出でき、インク残量の検出精度を向上させることができる。
【0011】
請求項2に記載の発明は、記録媒体に対しインクを吐出する吐出口が設けられた記録ヘッドと、前記記録ヘッドに供給されるインクを貯留するインク貯留部と、前記インク貯留部と前記記録ヘッドとの間の送液経路途中に設けられた中間タンクとを備えるインクジェットプリンタであって、
前記インク貯留部は、収縮自在に形成され、
前記インク貯留部の収縮状態を検出する収縮状態検出手段と、
前記収縮状態検出手段による検出結果に基づいて、前記インク貯留部内のインク残量を算出するインク残量算出手段とを備えることを特徴としている。
【0012】
請求項2に記載の発明によれば、インク貯留部の収縮状態からインク残量を算出することができるので、インク貯留部内のインク残量を直接検出することとなって、インク残量の検出精度を向上させることができる。
【0013】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載のインクジェットプリンタにおいて、
前記インク貯留部を圧縮する圧縮機構を備え、
前記収縮状態検出手段は、前記圧縮機構の圧縮時の動作量を検出することを特徴としている。
【0014】
請求項3に記載の発明によれば、圧縮機構がインク貯留部を圧縮する時の動作量に基づいて、インク貯留部内のインク残量を容易に検出することができ、インク残量の検出精度をさらに向上させることができる。
【0015】
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のいずれか一項に記載のインクジェットプリンタにおいて
前記インク貯留部が着脱自在に装着されるインク貯留部装着部を備えることを特徴としている。
【0016】
請求項4に記載の発明によれば、インク貯留部はインク貯留部装着部に着脱自在に装着されているので、インク貯留部内のインクが空状態となった場合にインク貯留部の交換を容易に行うことができる。
【0017】
請求項5に記載の発明は、請求項1〜4のいずれか一項に記載のインクジェットプリンタにおいて、
インクを30℃以上150℃以下に加熱する加熱手段を備えることを特徴としている。
【0018】
請求項5に記載の発明によれば、請求項1〜4のいずれか一項に記載の発明と同等の効果が得られるのは無論のこと、特に、加熱手段によって、インクが30℃以上150℃以下に加熱される。これにより、インクが低粘度化され、インク吐出が安定的に行われて記録画像の画質が安定化される。
ここで、上記インクを、40℃以上150℃以下に加熱することが好ましい。30℃未満および150℃を越えた場合では、吐出が困難になる。また、例えば上記インクが照射線硬化型インクである場合、この照射線硬化型インクは概して水性インクより粘度が高いため、温度変動による粘度変動幅が大きくなる。この粘度変動はそのまま液滴サイズ、液滴吐出速度に大きく影響を与え、画質劣化をおこすため、インク温度をできるだけ一定に保つことが必要である。ここで、インク温度の制御幅は、設定温度±5℃、好ましくは設定温度±2℃、さらに好ましくは設定温度±1℃である。例えば、インクジェットプリンタには、インク温度を安定化する安定化手段が備えられるが、この安定化手段により一定温度にされる部位はインク貯留部(中間タンクがある場合は中間タンク)からノズル吐出面までの配管系、部材の全てが対象となる。
また、温度コントロールのため、温度センサーを各配管部位に複数設け、インク流量、環境温度に応じた加熱制御をすることが好ましい。さらに、加熱されるヘッドユニットは、装置本体や外気からの温度の影響を受けないよう、熱的に遮断もしくは断熱されていることが好ましい。また、加熱に要するプリンタ立ち上げ時間を短縮するため、また熱エネルギーのロスを低減するために、他部位との断熱を行うとともに、加熱ユニット全体の熱容量を小さくすることが好ましい。
【0019】
請求項6に記載の発明は、請求項1〜5のいずれか一項に記載のインクジェットプリンタにおいて、
インクは、30℃における粘度が10mPa・s以上500mPa・s以下であることを特徴としている。
【0020】
請求項6に記載の発明によれば、請求項1〜5のいずれか一項に記載の発明と同等の効果が得られるのは無論のこと、特に、インクは、30℃における粘度が10mPa・s以上500mPa・s以下であるので、インク粘度が10mPa・s未満である場合のようにインクが記録媒体に滲みやすく明瞭な記録を行えないといったことがなく、インク粘度が500mPa・sを越える場合のように画質の平滑性が失われるといったことがなくなる。
さらに、このインクは、30℃における粘度が40mPa・s以上500mPa・s以下であることが好ましい。また、このインクは、60℃における粘度が3mPa・s以上30mPa・s以下であることが好ましく、より好ましくは、3mPa・s以上20mPa・s以下である。ここで、インク粘度が3mPa・s未満では、高速吐出に不具合が生じ、また30mPa・sを越える場合には、吐出性が劣化する。
【0021】
請求項7に記載の発明は、請求項1〜6のいずれか一項に記載のインクジェットプリンタにおいて、
前記吐出口からのインクの吐出量が1ドット当たり2pl(ピコリットル)以上20pl以下であることを特徴としている。
【0022】
請求項7に記載の発明によれば、請求項1〜6のいずれか一項に記載の発明と同等の効果が得られるのは無論のこと、特に、吐出口からのインクの吐出量が1ドット当たり2pl以上20pl以下であるので、インクの吐出量が1ドット当たり2pl未満である場合のように形成される画像の濃度が低くなってしまうといったことがなく、吐出量が1ドット当たり20plを越える場合のように高精細印字が困難になるといったことがなくなる。
【0023】
請求項8に記載の発明は、請求項1〜7のいずれか一項に記載のインクジェットプリンタにおいて、
インクは紫外線硬化性のインクであり、
前記吐出口から吐出されインク吸収性のない記録媒体上に着弾したインクに紫外線を照射する紫外線照射手段を備えることを特徴としている。
【0024】
請求項8に記載の発明によれば、請求項1〜7のいずれか一項に記載の発明と同等の効果が得られるのは無論のこと、紫外線硬化性のインクを用いることでインク吸収性のない記録媒体上にもインク定着できる。
【0025】
請求項9に記載の発明は、請求項8に記載のインクジェットプリンタにおいて、
インクは、カチオン硬化性を有することを特徴としている。
【0026】
請求項9に記載の発明によれば、請求項8に記載の発明と同等の効果が得られるのは無論のこと、特に、インクはカチオン硬化性を有している。すなわち、カチオン硬化性のインクは、ラジカル硬化性のインクに比べて、紫外線に対する感度が高く且つ酸素による重合反応の阻害が少ないので、記録媒体上に吐出されたインクの硬化に必要な照度を低減させることができる。
【0027】
【発明の実施の形態】
[第一の実施の形態]
以下に、本発明について、図面を用いて具体的な態様を説明する。ただし、発明の範囲は、図示例に限定されない。
図1は、本発明を適用した第一の実施の形態として例示するインクジェットプリンタの全体構成を示す図であり、図2は、図1のインクジェットプリンタをA−A部分で切って側方から見て示した図であり、図3は、制御部の主要制御ブロック図である。
【0028】
図1に示すように、インクジェットプリンタ100は、搬送方向Yに沿って搬送される記録媒体1に対してインクを吐出する記録ヘッド2と、記録ヘッド2及び記録媒体1に吐出され着弾したインクに紫外線を照射する照射部(紫外線照射手段;図3参照)3とを搭載して走査方向Xに移動させるキャリッジ31と、記録ヘッド2の待機時に記録ヘッド2に係るインクを密閉保湿する保湿キャップ41を有する保湿ユニット4と、記録ヘッド2のメンテナンスを行うためのメンテナンスユニット5と、記録ヘッド2にインクを供給するインク供給機構7とを備え、さらに、図1には図示しないが、図2に示すように、記録媒体1を搬送方向Yに搬送する搬送ローラ61を有する搬送機構6を備えて構成されている。また、図3に示すように、インクジェットプリンタ100は、上記した各部を統括的に制御する制御部8を備えて構成されている。
【0029】
搬送機構6は、図示しない駆動源の駆動に基づき搬送ローラ61が回転することにより、記録媒体1が図1における記録領域Bを通過するように、記録媒体1を搬送方向Yに搬送するようになっている。また、搬送機構6は、画像記録時において、キャリッジ31の動作に合わせて、記録媒体1の搬送と停止とを繰り返し記録媒体1を間欠的に搬送する。
【0030】
ここで、本実施の形態に用いられる「記録媒体1」について説明する。
本実施の形態に用いられる記録媒体1としては、通常のインクジェットプリンタに適用される普通紙,再生紙,光沢紙等の各種紙,各種布地,各種不織布,樹脂,金属,ガラス等の材質からなる記録媒体1が適用可能である。また、記録媒体1の形態としては、ロール状、カットシート状、板状等が適用可能である。
【0031】
特に、本実施の形態で用いられる記録媒体1として、所謂軟包装に用いられる透明又は不透明な非吸収性の樹脂製フィルムが適用できる。樹脂製フィルムの具体的な樹脂の種類として、ポリエチレンテレフタレート,ポリエステル,ポリオレフィン,ポリアミド,ポリエステルアミド,ポリエーテル,ポリイミド,ポリアミドイミド,ポリスチレン,ポリカーボネート,ポリ−ρ−フェニレンスルフィド,ポリエーテルエステル,ポリ塩化ビニル,ポリ(メタ)アクリル酸エステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ナイロン等が適用可能であり、さらには、これら樹脂の共重合体、これら樹脂の混合物、これら樹脂を架橋したもの等も適用可能である。中でも、樹脂製フィルムの樹脂の種類として、延伸したポリエチレンテレフタレート,ポリスチレン,ポリプロピレン,ナイロンのいずれかを選択するのが、樹脂製フィルムの透明性・寸法安定性・剛性・環境負荷・コスト等の面で好ましく、2μm(マイクロメートル)以上100μm以下(好ましくは6μm以上50μm以下)の厚みを有する樹脂製フィルムを用いるのが好ましい。また、樹脂製フィルムの支持体の表面にコロナ放電処理、易接着処理等の表面処理を施してもよい。
【0032】
さらに、本実施の形態に用いられる記録媒体1として、樹脂により表面を被覆した各種紙,顔料を含むフィルム,発泡フィルム等の不透明な公知の記録媒体1も適用可能である。
【0033】
キャリッジ31は、走査方向Xに延在したキャリッジレール32に案内されながらホームポジション領域Cからメンテナンス領域Dにかけて走査方向Xに移動する。
なお、キャリッジ31の移動方向は、キャリッジ31を移動させるために回転駆動する駆動源(図示略)の回転方向に従って変更され、これによりキャリッジ31は走査方向Xに往復移動する。また、画像記録時には、キャリッジ31は、記録媒体1が停止している際に走査方向Xに往動、復動又は往復移動する。このとき、記録ヘッド2及び照射部3により記録媒体1に画像を記録する。
【0034】
記録ヘッド2は、例えばインクジェットプリンタ100で使用される4色のインクに対応して4つ設けられており、これら記録ヘッド2はキャリッジ31に走査方向Xに並んで配置されている。
各記録ヘッド2は、その下面が画像記録時において搬送される記録媒体1の記録面(上面)に対向するように配置されている。
記録ヘッド2の下面には、記録ヘッド2の長手方向に複数のノズル(図示略)の吐出口が略一列(ノズル列)となって配列されたノズル面2aが設けられている。
さらに、各記録ヘッド2は、その内部に、例えば、ピエゾ素子(圧電素子)からなる吐出手段(図3参照)2bが設けられており、吐出手段2bの作動により各吐出口からインク滴を別個に吐出する。
【0035】
また、記録ヘッド2には、例えばインクジェットプリンタ100の稼働時において、記録ヘッド2内のインクを常時加熱するヒータ等の加熱手段(図3参照)2cが設けられている。
この加熱手段2cは、インクの温度が30℃以上150℃以下となるようにインクを加熱する。これにより、インクが低粘度化され、インクが吐出される際にインク吐出が安定的に行われて記録画像の画質が安定化される。
【0036】
照射部3は、例えば、記録媒体1に付着したインクに紫外線を照射するための光源(図示略)を備え、搬送方向Yに送り出される記録媒体1に対して紫外線を照射することにより、記録媒体1に付着したインク滴を硬化させてこの記録媒体1にインクを定着させるものである。
このように、インクジェットプリンタ100は、吐出口から吐出されインク吸収性のない記録媒体1上に着弾したインクに光源から紫外線を照射し、このインクを硬化させるUV硬化方式のものである。
なお、光源としては、水銀ランプ、メタルハライドランプ、エキシマーランプ、紫外線レーザー又はLED(Light Emitting Diode)等が適用可能である。
【0037】
インク供給機構7は、例えば記録ヘッド2の各々に対応するように設けられ、記録ヘッド2に供給されるインクを貯留するインク貯留部71と、インク貯留部71から記録ヘッド2に供給されるインクを一時的に貯留する中間タンク72と、インク貯留部71から中間タンク72までのインク流路となる第一供給路73と、中間タンク72から記録ヘッド2までのインク流路となる第二供給路74とを備えて構成されている。
第一供給路73と第二供給路74とによって、インク貯留部71と記録ヘッド2との間の送液経路が構成されている。
【0038】
以下に、インク貯留部71について、図4〜図6を参照して詳細に説明する。ここで、図4は、インク貯留部71を示す図であり、このうち、図4(a)は、内部にインクが満載された状態のインク貯留部71を示し、図4(b)は、インクが空の状態のインク貯留部71を示している。また、図5及び図6は、インク貯留部71からのインク供給を説明するための図である。
【0039】
図4に示すように、インク貯留部71は、周面が蛇腹状に形成された円筒状の部材である。これにより、インク貯留部71は、その一方の端面から他方の端面に亘る方向、例えば図4における上下方向Zに収縮自在とされている。
また、インク貯留部71の一方の端面71a、具体的には図4における下端面71aには、後述するインク貯留部装着部70の被係合部76aに係合自在な係合部71bが設けられている。
係合部71bには、インク貯留部71内に貯留されているインクを供給するための供給口(図示略)が設けられており、係合部71bが被係合部76aに係合することにより、被係合部76a内とインク貯留部71内とが供給孔を介して連通した状態となるようになっている。
なお、インク貯留部71の構成材料としては、例えば、ポリエチレン(PE:PolyEthylene)、高密度ポリエチレン(HDPE:High Density PolyEthylene)等が挙げられる。
【0040】
インク貯留部装着部70は、図5及び図6に示すように、インク貯留部71を着脱自在に装着するためのものであり、箱体75の内部に、インク貯留部71が装着され、このインク貯留部71を上下方向Zに圧縮するための圧縮機構76と、移動部762の上下方向Zの位置を検出するための上限センサ77及び下限センサ78を備えて構成されている。
【0041】
箱体75は、外形が略直方体状に形成された部材である。また、箱体75の図5における右側の面板751は、その基端部が回転自在に軸支されており、インク貯留部71の着脱時に旋回することで、箱体75を開状態としたり閉状態としたりすることが可能となっている。
【0042】
圧縮機構76は、インク貯留部71の係合部71bが係合される被係合部76aが設けられた基台761と、基台761と対向配置されて上下方向Zに移動する移動部762と、移動部762に接続固定されるとともに上下方向Zに延在するラック部763と、上下方向Zに延在し、移動部762及びラック部763の上下方向Zへの移動を案内する案内部材764と、ラック部763に噛合するように配設された駆動ギヤ765とを備えて構成されている。
【0043】
基台761は、水平方向に延在した板状部材76bの上部に被係合部76aが設けられ、被係合部76aの底面から板状部材76bの下面に向けて貫通した貫通孔76cが設けられている。
貫通孔76cには、第一供給路73が接続されており、これによって、被係合部76aから中間タンク72までが連通した状態となっている。また、被係合部76aにインク貯留部71の係合部71bが係合されることにより、インク貯留部71から中間タンク72までが連通した状態となる。
板状部材76bの一方の端部の上面には、下端部を当接させるようにして案内部材764が固定されている。
【0044】
移動部762は、図7に示すように、当該移動部762が上下方向Zに移動する際に案内部材764により案内される案内部76eと、案内部76eの一面に基端部を当接固定させて設けられ、移動部762の移動時に、下面を基台761に装着されたインク貯留部71の上端面71cに当接してこの上端面を下向きに押圧可能な押圧部材76dとを備えて構成されている。
押圧部材76dは、例えば板状部材76bと略平行に延在した2本の棒状の部材である。
【0045】
上限及び下限センサ77、78の各々は、上下方向Zに移動する移動部762を検出するための光学式のセンサであり、上限センサ77は、移動部762のホームポジションとなる位置に配設され、下限センサ78は、移動部762の移動範囲の下端に配設されている。
また、上限及び下限センサ77、78は、図7に示すように、所定方向、例えば略水平方向に光を投射する投光部7aと、投光部7aに対向配置され投光部7aから投射された光を受光する受光部7bと、投光部7a及び受光部7bを支持する支持部材7cとを備えて構成されている。
【0046】
投光部7a及び受光部7bは、所定の間隔を空けて配設されており、投光部7aと受光部7bとの間は上下方向Zに移動する移動部762の押圧部材76dの先端部分が通過可能とされている。そして、受光部7bは、そのセンサ領域を押圧部材76dが通過することで受光状態が変化し、これにより、センサ信号の出力状態が変化するようになっている。すなわち、受光部7bは、押圧部材76dによって投光部7aからの光が遮光された際にセンサ信号を制御部8に対して出力するようになっている。
なお、支持部材7cの基端部は、箱体75の内面の所定位置に当接固定された状態となっているが、図7においては図示を省略している。
【0047】
このように構成された圧縮機構76は、制御部8の制御下にて、駆動ギヤ765が回転駆動することでラック部763を上下方向Zに移動させ、これに伴って移動部762を上下方向Zに移動させるようになっている(詳細後述)。
【0048】
中間タンク72の内部には、中間タンク72内に一時的に貯留されているインクの液面の高さを検出するための液面センサ721が設けられている。
液面センサ721は、インクの液面の検出に基づきセンサ信号を制御部8に出力するようになっており、センサ信号の出力状態に基づき、制御部8によって中間タンク72内に貯留されているインクの残量が検出されるようになっている。
【0049】
ここで、本実施の形態に用いられる「インク」について説明する。
本実施の形態に用いられるインクとしては、特に、「光硬化技術−樹脂・開始剤の選定と配合条件及び硬化度の測定・評価−(技術協会情報)」に記載の「光硬化システム(第4章)」の「光酸・塩基発生剤を利用する硬化システム(第1節)」、「光誘導型交互共重合(第2節)」等に適合するインクが適用可能であり、通常のラジカル重合により硬化するものであってもよい。
【0050】
具体的に、本実施の形態に用いられるインクは、光としての紫外線の被照射により硬化する性質を具備する紫外線硬化性インクであり、主成分として、少なくとも重合性化合物(公知の重合性化合物を含む。)と、光開始剤と、色材とを含むものである。ただし、本実施の形態に用いるインクとして、上記「光誘導型交互共重合(第2節)」に適合するインクを用いる場合には、光開始剤は除外されてもよい。
【0051】
上記紫外線硬化性インクは、重合性化合物として、ラジカル重合性化合物を含むラジカル重合系インクとカチオン重合性化合物を含むカチオン重合系インクとに大別されるが、その両系のインクが本実施の形態に用いられるインクとしてそれぞれ適用可能であり、ラジカル重合系インクとカチオン重合系インクとを複合させたハイブリッド型インクを本実施の形態に用いられるインクとして適用してもよい。
【0052】
しかしながら、酸素による重合反応の阻害が少ない又は無いカチオン重合系インクのほうが機能性・汎用性に優れるため、本実施の形態では、特に、カチオン重合系インクを用いている。
【0053】
なお、本実施の形態に用いられるカチオン重合系インクは、具体的に、少なくともオキセタン化合物,エポキシ化合物,ビニルエーテル化合物等のカチオン重合性化合物と、光カチオン開始剤と、色材とを含む混合物であり、上記の通り、紫外線の被照射により硬化する性質を具備するものである。
【0054】
保湿ユニット4は、記録領域Bに隣合うホームポジション領域Cに設置されており、キャリッジ31及び記録ヘッド2が記録動作に関わらない未使用状態の時に、このキャリッジ31及び記録ヘッド2が待機する。
また、保湿ユニット4には、保湿キャップ41が記録ヘッド2と同数、すなわち4つ設けられており、各保湿キャップ41は、記録ヘッド2のノズル面を覆うことで各記録ヘッド2に係るインクを密閉保湿するようになっている。
【0055】
メンテナンスユニット5は、記録領域Bに隣合い、且つ、ホームポジション領域Cの側と反対側のメンテナンス領域Dに設置されている。
また、メンテナンスユニット5には、その記録領域B側の端部に配置され、各記録ヘッド2のノズル面2aを摺擦するブレード51と、ブレード51と反対側に配置され、吐出口からインクを吸引するインク吸引機構52と、ブレード51とインク吸引機構52との間に配置され、吐出口から空吐出されたインクを受け取る空吐出受皿53とが設けられている。
【0056】
ブレード51は、板状に形成された部材であり、例えばインク吸引機構52によるインクの吸引後に、各記録ヘッド2のノズル面2aを摺擦することで、ノズル面2aを清掃してノズル面2aに付着するインクを拭き取る。
なお、ブレード51は、例えば、所定の硬度を有するゴム又はゴム状部材により形成された弾性を有する部材であっても良い。
【0057】
インク吸引機構52は、最も上側に設けられ、インク吸引時に各記録ヘッド2のノズル面2aの全ての吐出口を覆うようにノズル面2aに装着されるキャップ部材521と、キャップ部材521よりも下側に設けられ、キャップ部材521がノズル面2aに装着された際にノズル面2aとキャップ部材521とにより形成された空間内部を吸引することにより吐出口(ノズル)よりインクを吸引する吸引ポンプ522と、吸引ポンプ522よりも下側に設けられ、吸引ポンプ522によって吸引されたインクが回収される廃インクタンク523と、キャップ部材521を介して吸引されたインクが廃インクタンク523まで流れるように配管されたインク管524とを備えている。
【0058】
空吐出受皿53は、この空吐出受部53内に溜まったインクを廃インクタンク523まで流す回収管(図示略)を介して廃インクタンク523と接続されていても良い。
【0059】
図3に示すように、制御部8は、CPU(Central Processing Unit)81と、RAM(Random Access Memory)82と、ROM(Read Only Memory)83と、インターフェイス(I/F)84等から構成されており、インターフェイス84を介して吐出手段2b、加熱手段2c、照射部3、駆動ギヤ765、上限センサ77、下限センサ78、液面センサ721等に電気的に接続されている。
【0060】
CPU81は、ROM83に格納されている各種プログラムの中から指定されたプログラムをRAM82内の作業領域に展開し、このプログラムに従った各種処理を実行する。
具体的には、CPU81は、液面センサ721からのセンサ信号に基づいて駆動ギヤ765を制御することで、ラック部763とともに移動部762を下向きに移動させ、これにより、インク貯留部71を圧縮して、インク貯留部71内のインクを、供給孔を介して中間タンク72へと供給するようになっている。
また、CPU81は、判断手段8aとして機能し、駆動ギヤ765を制御して移動部762を上下方向Zに移動させる際に、上限センサ77及び下限センサ78から出力されたセンサ信号に基づいて、移動部762の上下位置を認識し、これにより、インク貯留部71内のインクの有無を判断する。
すなわち、上限センサ77は、移動部762のホームポジションとなる位置に配設されているので、押圧部材76dの上限センサ77による検出に基づき出力されたセンサ信号がCPU81に入力されることで、CPU81は、判断手段8aとして、押圧部材76dによってインク貯留部71が未だ圧縮された状態となっておらず、インク貯留部71内にインクが満載されていると判断する。一方、下限センサ78は、移動部762の移動範囲の下端に配設されているので、押圧部材76dの下限センサ78による検出に基づき出力されたセンサ信号がCPU81に入力されることで、CPU81は、判断手段8aとして、押圧部材76dによってインク貯留部71が完全に圧縮された状態となって、インク貯留部71内のインクが空状態であると判断する。
このように、上限センサ77及び下限センサ78は、インク貯留部71の収縮状態を検出する収縮状態検出手段を構成している。
【0061】
RAM82は、電力が供給されている間だけ入力された各種データ等を複数記憶可能な記憶領域やCPU81による作業領域等が備えられている。
ROM83には、駆動ギヤ765の制御にかかる各種データや、インクジェットプリンタ100の各部の動作にかかる各種制御プログラムや制御データなどが書き込まれている。
【0062】
次に、制御部8の制御下におけるインク貯留部71から記録ヘッド2までのインク供給について図5及び図6を参照して説明する。
【0063】
先ず、インク貯留部装着部70に対するインク貯留部71の装着方法について説明する。
ここで、インク貯留部装着部70に装着されるインク貯留部71は、内部にインクが満載された状態のものであるとする。
図5(a)に示すように、ユーザは、インク貯留部装着部70の箱体75の面板751を旋回させて箱体75を開状態とし、続けて、図5(b)に示すように、圧縮機構76の被係合部76aにインク貯留部71の係合部71bを係合させるようにしてインク貯留部71をインク貯留部装着部70に装着する。その後、ユーザは、面板751を旋回させて箱体75を閉状態とする。
ここで、インク貯留部装着部70にインク貯留部71が装着されると、CPU81は、駆動ギヤ765を制御して、駆動ギヤ765を例えば時計回りに回転させることでラック部763とともに移動部762を、上限センサ77によって押圧部材76dが検出される位置まで下向きに移動させる。これにより、押圧部材76dの下面が、インク貯留部71の上端面71cに当接した状態となる。
【0064】
次に、CPU81は、液面センサ721から出力され入力されたセンサ信号に基づいて中間タンク72内のインクの残量を検出し、その検出結果に基づいて、インク貯留部71から中間タンク72までのインク供給量を算出する。
そして、CPU81は、算出したインク供給量に基づき駆動ギヤ765を制御して、駆動ギヤ765を所定の回転数、例えば、時計回りに回転させることでラック部763とともに移動部762を下向きに移動させる。これにより、下面がインク貯留部71の上端面71cに当接した状態となっている押圧部材76dが上端面71cを下向きに押圧することとなって、インク貯留部71を上下方向Zにのみ圧縮するので、インク貯留部71は圧縮される度合に応じて内部圧力を高め、インク貯留部71の内部から供給口を介して所定量のインクを略正確に送液できる。このようにして、所定量のインクがインク貯留部71から第一供給路73を介して中間タンク72に送液されることとなる。
【0065】
その後、インク貯留部71からのインク供給を繰り返すうちに、CPU81は、下限センサ78が押圧部材76dを検出することに基づき出力したセンサ信号が入力されることで、インク貯留部71が完全に圧縮された状態(図6(a)参照)、すなわちインク貯留部71が空状態であると判断する。この場合には、CPU81は、例えば、図示しない表示部等にインク貯留部71が空状態であることを示す警告表示を行って、ユーザにインク貯留部71の交換を促す。なお、インク貯留部71の交換に際し、CPU81の制御下で警告音等を発音することで、ユーザにインク貯留部71の交換を促すようにしても良い。
【0066】
インク貯留部71の交換時には、図6(b)に示すように、CPU81は、駆動ギヤ765を制御して、駆動ギヤ765を例えば反時計回りに回転させることでラック部763とともに移動部762を、例えば、上限センサ77によって押圧部材76dが検出された後、当該押圧部材76dの検出が行われなくなる位置まで上向きに移動させる。
そして、ユーザは、箱体75の面板751を旋回させて箱体75を開状態とし、インクが空状態のインク貯留部71の係合部71bと圧縮機構76の被係合部76aとの係合を解除することで、インク貯留部装着部70からインク貯留部71を取り除く。このとき、インク貯留部71は、蛇腹状の周面が完全に圧縮されてコンパクト化された状態となっているので、インク貯留部71を容易に取り除くことができ、また、取り除かれたインク貯留部71の廃棄も容易に行うことができる。
その後、ユーザは、上記したようにして、インク貯留部装着部70にインク貯留部71を装着する。このように、インク貯留部71の交換を容易に行うことができる。
【0067】
以上のように、第一の実施の形態のインクジェットプリンタ100によれば、インク貯留部71からのインク供給量を、インク貯留部71を圧縮機構76により圧縮する度合に応じて調整し、上限センサ77及び下限センサ78から出力されたセンサ信号に基づいて、判断手段8aはインク貯留部71の収縮状態からインク貯留部71内のインクの有無を判断することができる。このように、インク貯留部71内のインク残量を直接検出でき、インク残量の検出精度を向上させることができる。従って、インク貯留部71内のインクが空状態の検出を精度良く行うことができる。
【0068】
また、上記実施の形態によれば、インク貯留部71から中間タンク72までインク供給を行うためのポンプを必要とせずに、記録ヘッド2からのインク吐出量に応じた必要量のインク供給を略正確に且つ容易に行うことができる。よって、インク貯留部71から中間タンク72までのインク供給量を略正確に管理することができるので、温度変化等の環境の影響やインク粘度の変動の影響を受けることなくインク供給を安定して行うことができる。
【0069】
さらに、インクはカチオン硬化性を有しているので、ラジカル硬化性を有するインクに比べて、紫外線に対する感度が高く且つ酸素による重合反応の阻害が少ないので、記録媒体1上に吐出されたインクの硬化に必要な照射部3からの紫外線の照度を低減させることができる。
【0070】
[第二の実施の形態]
第二の実施の形態のインクジェットプリンタは、図8に示すように、収縮状態検出手段として、駆動ギヤ765の圧縮時の回転数(動作量)をカウントするカウンタ766を備え、このカウンタ766により検出された駆動ギヤ765の回転数に基づいて、インク貯留部71内のインク残量を検出するようになっている。
具体的には、CPU81は、インク残量算出手段8bとして機能し、インク供給時に回転する駆動ギヤ765の回転数をカウンタ766により随時検出して、このとき、カウンタ766により検出された駆動ギヤ765の回転数と、予めROM83に記憶されている駆動ギヤ765の回転数に対応付けたインク貯留部71の収縮率に関するデータとを比較することで、インク貯留部71の収縮率、すなわちインク貯留部71内のインク残量を算出するようになっている。例えば、CPU81は、カウンタ766により検出された駆動ギヤ765の回転数に基づいて、駆動ギヤ765がインク貯留部71を完全に圧縮できる程十分に回転したと判断した場合には、インク貯留部71が空状態であることを認識するようになっている。
【0071】
なお、駆動ギヤ765の回転数は、インク貯留部71の装着後に下向きに移動した押圧部材76dが上限センサ77によって検出されることでリセットされるようになっている。
【0072】
以上のように、第二の実施の形態のインクジェットプリンタによれば、駆動ギヤ765の回転数に基づきインク残量算出手段8bによってインク貯留部71内のインク残量を直接検出でき、インク貯留部71内のインク残量の検出精度を向上させることができる。
【0073】
なお、本発明は、上記実施の形態に限定されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、種々の改良並びに設計の変更を行っても良い。
例えば、上記実施の形態では、中間タンク72内のインク残量の検出を、液面センサ721からのセンサ信号の出力状態の変化に基づいて行うようにしたが、これに限られるものではなく、記録ヘッド2からのインク吐出量に基づいて行っても良い。すなわち、CPU81が、画像データに基づいて記録ヘッド2のインク使用量を算出していくことで、記録ヘッド2からのインク吐出量を算出し、算出されたインク吐出量に基づいて中間タンク72内のインク残量を検出するようにしても良い。
【0074】
また、インク貯留部71は、収縮自在な形状であれば、如何なる形状であっても良いということは、言うまでもない。さらに、圧縮機構76は、インク貯留部71を圧縮自在な構成であれば如何なる構成であってもよい。
加えて、収縮状態検出手段(上限センサ77、下限センサ78、カウンタ766)は、インク貯留部71の収縮状態を検出可能な構成であれば如何なる構成であっても良い。
【0075】
なお、上記実施の形態においては、UV硬化方式を採用したが、本発明はこれに限定されるものではなく、紫外線のほか、電子線、X線、可視光、赤外光などを照射する様々な光源(線源)を用いることが可能である。しかしながら、インク滴の硬化性、光源のコスト等を考慮すると、紫外線を照射する光源が好ましい。
基本的な照射方法は、特開昭60−132767号公報に開示されているように、光源が各記録ヘッド2の両側に走査方向に沿って配置されるようにキャリッジ31に搭載されていてもよいし、キャリッジ31よりも搬送方向Yの下流側でかつ搬送方向に送り出される記録媒体1の全幅にわたるようにインクジェットプリンタ100本体に固定されていてもよい。ここで、光源が各記録ヘッド2の両側に配置された場合には、光源はキャリッジ31の主走査に追従しながら光を記録媒体1に照射し、光源が搬送方向Yのキャリッジ31より下流側でかつ記録媒体1の幅方向にわたるようにインクジェットプリンタ100本体に固定されている場合には、光源はインクジェットプリンタ100本体に固定された状態で記録媒体1に光を照射する。なお、このような構成の場合には、各記録ヘッド2から吐出されたインク滴が記録媒体1に着弾した後に、一定時間をあけて、光源から記録媒体1に光が照射されることになる。
また、上記特開昭60−132767号公報に開示されたような上記構成に代えて、光ファイバーを用いた構成としてもよいし、コリメートされた光源から照射された光を、複数の記録ヘッド2からなるヘッドユニットの側面に設けた鏡面に当てることで記録媒体1のうちインク滴が着弾した領域に照射する構成としてもよい。なお、上記したいずれの構成においても光源をインクジェットプリンタ(キャリッジ31を含む。)100に固定すれば、光源を動かすための稼動部を省略できるので、安価な構成とすることができる。
【0076】
また、光源からの光の照射は、各記録ヘッド2からインク滴が吐出される度、つまり、一色のインク滴が吐出される度に行われることが好ましい。
さらに、上記した何れの露光方式においても光源を二種類(第一光源及び第二光源)用意し、第二光源からの光の照射によって、インク滴の硬化を完了させることが好ましい。これは、記録媒体1に着弾した二色目のインク滴の濡れ性、各インク滴間の接着性を得ること、光源を安価に組むことに寄与するからである。ここで、第一光源と第二光源とは、露光波長又は露光照度を変えることが好ましい。すなわち、第一光源の照射エネルギーを第二光源の照射エネルギーより小さくすることが好ましい。具体的には、第一光源の照射エネルギーを、照射エネルギー総量の1〜20%、好ましくは1〜10%、更に好ましくは1〜5%にする。照度を変えた照射を行うことで、インク滴が硬化した後の分子量分布が好ましいものとなる。
なお、一つの光源によって一度に高照度の照射を行ってしまうと、インクの組成物の重合率は高められるものの、重合した組成物(ポリマー)の分子量は小さく、記録媒体1に着弾したインク滴の強度が得られない。本実施形態に係るインクのように、極端に粘度の低い組成では顕著な効果が得られる。
また、第一光源から照射される光の波長を、第二光源から照射される光の波長よりも長波長とすることが好ましい。この場合、第一光源による光の照射では、インク滴の表層を硬化させて記録媒体1に対するインクの滲みを抑えられ、第二光源による光の照射では、照射線が届き難い記録媒体1近傍のインクを硬化させ、当該インクと記録媒体1との密着性を改善できる。従い、記録媒体1に着弾したインク滴内部の硬化を促進させるためにも、第二光源による光の照射線波長は短波長であることが好ましい。
【0077】
また、本実施の形態においては、インクとして、30℃における粘度が10mPa・s以上500mPa・s以下である高粘度インクが用いられている。このインクの粘度は、JIS Z 8803に規定する液体の粘度−測定方法において測定されたものであって、実際の粘度の測定には、HAAKE社製回転式粘度計(ビスコテスター)型式VT07Lが用いられた。
そして、本実施の形態においては、上記したインクを用いるとともに、インク滴が記録媒体1に着弾してから、0.01〜0.5秒後、好ましくは0.01〜0.3秒後、更に好ましくは0.01〜0.15秒後に、光源から光を照射するように制御される。
このように、インク滴の記録媒体1への着弾から光源による光の照射までの時間を極短時間に制御することにより、記録媒体1に着弾したインク滴が、光の被照射によって硬化する前に記録媒体1に滲むのを防止できる。
また、多孔質な記録媒体1を適用した場合には、着弾したインク滴が記録媒体1に浸透する前に、光源からの光の届かない深部まで露光できるため、未反応モノマーの残留を抑えられ、臭気を低減できる。これは、本実施形態に係るインクを用いることで大きな相乗効果を得ることができ、特に、25℃におけるインクの粘度が35以上500mPa・s以下のインクを用いると大きな効果を得ることができる。つまり、このような構成を適用することで、表面の濡れ性が異なる様々な記録媒体1に対しても、着弾したインク滴のドット径を一定に保つことができ、画質が向上する。
なお、記録媒体1にカラーの画像を記録する際には、明度の低い色のインクから順に重ねていくことが好ましい。何故なら、明度の低い色のインクを明度の高い色のインクの上に重ねると、明度の高い色の下部のインクまで光源からの照射線が到達しにくく、硬化感度の阻害、残留モノマーの増加、臭気の発生及び各インク滴間の密着性の劣化等が生じやすいからである。
また、光源からの光の照射については、全色のインク滴を各記録ヘッド2から吐出した後にまとめて露光することも可能だが、一色のインク滴を吐出する毎に露光する方が、インク滴の硬化を促進するという観点で好ましい。
さらに、複数の記録ヘッド2について、各記録ヘッド2間を実質的に照射線透過性とすることが好ましい。具体的には、照射線透過性の部材で各記録ヘッド2間を構成するか又は部材を配置させない構成を適用することが好ましい。このような簡単な構成を適用することで、各色毎に、インク滴が記録媒体1に着弾した直後に、速やかに光を照射することが可能であり、特に、二次色の滲み防止、双方向印字(キャリッジ31の往復動のうち往路方向及び復路方向の移動中にインク滴を吐出して画像を形成する記録。)においてキャリッジ31の往路移動での記録と復路移動での記録とのドットの滲み差を防止(キャリッジ31の往路移動での記録と復路移動での記録とで記録された色が異なるのを防ぐ)できる。
【0078】
また、本実施の形態においては、各記録ヘッド2におけるインク吐出の駆動力として、インクに対しての適用範囲が広く、高速吐出が可能な圧電体の圧電作用を利用する方式が好ましい。それは、具体的に、圧電性基体上に形成された微細な溝の内部に電極膜が形成され、更に絶縁膜で覆われてインク流路を形成するインクジェットヘッド方式である。
【0079】
さらに、本実施の形態においては、各吐出口から吐出される一滴(1ドット)当たりのインク滴の吐出量は、2pl以上20pl以下である。また、前記吐出量は2pl以上10pl以下であることが好ましく、更に好ましくは4pl以上7pl以下である。
また、本実施の形態においては、記録媒体1に着弾した際のインク滴の滴径、つまりドット径は、50μm以上200μm以下である。好ましくは、前記ドット径は50μm以上150μm以下であり、さらに好ましくは55μm以上100μm以下である。ここで、前記ドット径が、200μmを越える場合には高精細印字が難しく、50μm未満である場合には記録媒体1に形成される画像の濃度が低くなってしまう。
加えて、本実施の形態で適用されるインクは、水および有機溶媒を実質的に含有しないことが望ましい。ここで、実質的に含有しないとは、水および有機溶媒の含有量が1重量%未満である。
【0080】
また、上記実施の形態では、記録ヘッド2を4つ備えるようにしたが、記録ヘッド2の数は任意である。また、本実施の形態では、インクの色として、基本的に、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)を基本色とする各プロセスカラー及びライトイエロー(LY)、ライトマゼンタ(LM)、ライトシアン(LC)、ライトブラック(LK)等が適用可能であり、その他に、ホワイト(W)、レッド(R)、ブルー(B)、グリーン(G)といった特色等も適用可能である。
ここで、基本的に記録ヘッド2ごとに異なる色のインクのインク滴が吐出されるが、同じ色のインクが2つ以上の記録ヘッド2,…から吐出されても良い。
【0081】
【発明の効果】
請求項1に記載の発明によれば、インク貯留部の収縮状態からインクの有無を判断することができるので、インク貯留部内のインク残量を直接検出でき、インク残量の検出精度を向上させることができる。
【0082】
請求項2に記載の発明によれば、インク貯留部の収縮状態からインクの残量を検出することができるので、インク貯留部内のインク残量を直接検出することとなって、インク残量の検出精度を向上させることができる。
【0083】
請求項3に記載の発明によれば、圧縮機構がインク貯留部を圧縮する時の動作量に基づいて、インク貯留部内のインク残量を容易に検出することができ、インク残量の検出精度をさらに向上させることができる。
【0084】
請求項4に記載の発明によれば、インク貯留部内のインクが空状態となった場合にインク貯留部の交換を容易に行うことができる。
【0085】
請求項5に記載の発明によれば、インクが低粘度化され、インク吐出が安定的に行われて記録画像の画質が安定化される。
【0086】
請求項6に記載の発明によれば、インク粘度が10mPa・s未満である場合のようにインクが記録媒体に滲みやすく明瞭な記録を行えないといったことがなく、インク粘度が500mPa・sを越える場合のように画質の平滑性が失われるといったことがなくなる。
【0087】
請求項7に記載の発明によれば、インクの吐出量が1ドット当たり2pl未満である場合のように形成される画像の濃度が低くなってしまうといったことがなく、吐出量が1ドット当たり20plを越える場合のように高精細印字が困難になるといったことがなくなる。
【0088】
請求項8に記載の発明によれば、紫外線硬化性のインクを用いることでインク吸収性のない記録媒体上にもインク定着できる。
【0089】
請求項9に記載の発明によれば、カチオン硬化性のインクは、ラジカル硬化性のインクに比べて、紫外線に対する感度が高く且つ酸素による重合反応の阻害が少ないので、記録媒体上に吐出されたインクの硬化に必要な照度を低減させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用した第一の実施の形態として例示するインクジェットプリンタの全体構成を示す図である。
【図2】図1のインクジェットプリンタを側方から見て示した図である。
【図3】図1のインクジェットプリンタに備わる制御部の主要制御ブロック図である。
【図4】図1のインクジェットプリンタに備わるインク貯留部を示す図である。
【図5】図1のインクジェットプリンタによるインク貯留部からのインク供給を説明するための模式図である。
【図6】図5のインク供給の続きを示す模式図である。
【図7】図1のインクジェットプリンタに備わる移動部並びに上限及び下限センサを示す平面図である。
【図8】本発明を適用した第二の実施の形態として例示するインクジェットプリンタに備わる制御部の主要制御ブロック図である。
【符号の説明】
100 インクジェットプリンタ
1 記録媒体
2 記録ヘッド
2c 加熱手段
3 照射部(紫外線照射手段)
70 インク貯留部装着部
71 インク貯留部
72 中間タンク
73 第一供給路(送液経路)
74 第二供給路(送液経路)
76 圧縮機構
766 カウンタ(収縮状態検出手段)
77 上限センサ(収縮状態検出手段)
78 下限センサ(収縮状態検出手段)
81 CPU
8a 判断手段
8b インク残量算出手段
【発明の属する技術分野】
本発明は、インクジェットプリンタに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、記録ヘッドの吐出口から記録媒体に向けてインクを吐出し着弾させ、この記録媒体に画像を記録するインクジェットプリンタが知られている。
【0003】
インクジェットプリンタの中には、インクを貯留するインク貯留部から記録ヘッドまでインクを供給するインク供給路の途中に、インクを一時的に貯留する中間タンクを設けたものがある。
中間タンクは、インク貯留部よりも低い位置に配設されており、インク貯留部に貯留されているインクは、その自重により中間タンクに供給されるようになっている。
また、中間タンクは、インクの貯留量に応じて容積自在に変形可能に形成された部材であり、インクの供給速度を抑えるダンパとして機能し、記録ヘッドから必要以上の量のインクを吐出させないようになっている。
【0004】
ところで、インク貯留部内のインク残量の検出は、中間タンクの膨らみを検出するセンサによって行われる。すなわち、インク貯留部から中間タンクまでのインク供給タイミングにおいて、中間タンクとインク貯留部とが連通してインク貯留部からのインク供給を行える状態で、中間タンクが膨らまないことが前記センサによって検出された場合には、インク貯留部内はインクが空状態となっていると判断されるようになっている。
【0005】
また、記録画像の画像データをカウントしていくことにより、インク吐出量を算出して、インク貯留部内のインク残量を検出するインクジェット記録装置も知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【0006】
【特許文献1】
特開昭62−92850号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記のようにインク貯留部内のインク残量の検出を中間タンクの膨らみを検出するセンサによって行う場合、インク貯留部内のインク残量を直接検出するものではないため、インク貯留部内のインク残量の検出精度が低くなり、例えばインク貯留部内にインクが多く残留していてもインク貯留部内のインクが空状態を検出してしまう等の不具合を生じていた。
また、上記特許文献1のようにインク吐出量を算出する場合、記録ヘッドのメンテナンスの際に大量のインクを吐出することもあるため、インク貯留部内のインク残量の検出を正確に行うことは困難となっていた。
【0008】
本発明の課題は、インク貯留部内のインク残量の検出精度を向上させることができるインクジェットプリンタを提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の発明は、記録媒体に対しインクを吐出する吐出口が設けられた記録ヘッドと、前記記録ヘッドに供給されるインクを貯留するインク貯留部と、前記インク貯留部と前記記録ヘッドとの間の送液経路途中に設けられた中間タンクとを備えるインクジェットプリンタであって、
前記インク貯留部は、収縮自在に形成され、
前記インク貯留部の収縮状態を検出する収縮状態検出手段と、
前記収縮状態検出手段による検出結果に基づいて、前記インク貯留部内のインクの有無を判断する判断手段とを備えることを特徴としている。
【0010】
請求項1に記載の発明によれば、インク貯留部の収縮状態からインクの有無を判断することができるので、インク貯留部内のインク残量を直接検出でき、インク残量の検出精度を向上させることができる。
【0011】
請求項2に記載の発明は、記録媒体に対しインクを吐出する吐出口が設けられた記録ヘッドと、前記記録ヘッドに供給されるインクを貯留するインク貯留部と、前記インク貯留部と前記記録ヘッドとの間の送液経路途中に設けられた中間タンクとを備えるインクジェットプリンタであって、
前記インク貯留部は、収縮自在に形成され、
前記インク貯留部の収縮状態を検出する収縮状態検出手段と、
前記収縮状態検出手段による検出結果に基づいて、前記インク貯留部内のインク残量を算出するインク残量算出手段とを備えることを特徴としている。
【0012】
請求項2に記載の発明によれば、インク貯留部の収縮状態からインク残量を算出することができるので、インク貯留部内のインク残量を直接検出することとなって、インク残量の検出精度を向上させることができる。
【0013】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載のインクジェットプリンタにおいて、
前記インク貯留部を圧縮する圧縮機構を備え、
前記収縮状態検出手段は、前記圧縮機構の圧縮時の動作量を検出することを特徴としている。
【0014】
請求項3に記載の発明によれば、圧縮機構がインク貯留部を圧縮する時の動作量に基づいて、インク貯留部内のインク残量を容易に検出することができ、インク残量の検出精度をさらに向上させることができる。
【0015】
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のいずれか一項に記載のインクジェットプリンタにおいて
前記インク貯留部が着脱自在に装着されるインク貯留部装着部を備えることを特徴としている。
【0016】
請求項4に記載の発明によれば、インク貯留部はインク貯留部装着部に着脱自在に装着されているので、インク貯留部内のインクが空状態となった場合にインク貯留部の交換を容易に行うことができる。
【0017】
請求項5に記載の発明は、請求項1〜4のいずれか一項に記載のインクジェットプリンタにおいて、
インクを30℃以上150℃以下に加熱する加熱手段を備えることを特徴としている。
【0018】
請求項5に記載の発明によれば、請求項1〜4のいずれか一項に記載の発明と同等の効果が得られるのは無論のこと、特に、加熱手段によって、インクが30℃以上150℃以下に加熱される。これにより、インクが低粘度化され、インク吐出が安定的に行われて記録画像の画質が安定化される。
ここで、上記インクを、40℃以上150℃以下に加熱することが好ましい。30℃未満および150℃を越えた場合では、吐出が困難になる。また、例えば上記インクが照射線硬化型インクである場合、この照射線硬化型インクは概して水性インクより粘度が高いため、温度変動による粘度変動幅が大きくなる。この粘度変動はそのまま液滴サイズ、液滴吐出速度に大きく影響を与え、画質劣化をおこすため、インク温度をできるだけ一定に保つことが必要である。ここで、インク温度の制御幅は、設定温度±5℃、好ましくは設定温度±2℃、さらに好ましくは設定温度±1℃である。例えば、インクジェットプリンタには、インク温度を安定化する安定化手段が備えられるが、この安定化手段により一定温度にされる部位はインク貯留部(中間タンクがある場合は中間タンク)からノズル吐出面までの配管系、部材の全てが対象となる。
また、温度コントロールのため、温度センサーを各配管部位に複数設け、インク流量、環境温度に応じた加熱制御をすることが好ましい。さらに、加熱されるヘッドユニットは、装置本体や外気からの温度の影響を受けないよう、熱的に遮断もしくは断熱されていることが好ましい。また、加熱に要するプリンタ立ち上げ時間を短縮するため、また熱エネルギーのロスを低減するために、他部位との断熱を行うとともに、加熱ユニット全体の熱容量を小さくすることが好ましい。
【0019】
請求項6に記載の発明は、請求項1〜5のいずれか一項に記載のインクジェットプリンタにおいて、
インクは、30℃における粘度が10mPa・s以上500mPa・s以下であることを特徴としている。
【0020】
請求項6に記載の発明によれば、請求項1〜5のいずれか一項に記載の発明と同等の効果が得られるのは無論のこと、特に、インクは、30℃における粘度が10mPa・s以上500mPa・s以下であるので、インク粘度が10mPa・s未満である場合のようにインクが記録媒体に滲みやすく明瞭な記録を行えないといったことがなく、インク粘度が500mPa・sを越える場合のように画質の平滑性が失われるといったことがなくなる。
さらに、このインクは、30℃における粘度が40mPa・s以上500mPa・s以下であることが好ましい。また、このインクは、60℃における粘度が3mPa・s以上30mPa・s以下であることが好ましく、より好ましくは、3mPa・s以上20mPa・s以下である。ここで、インク粘度が3mPa・s未満では、高速吐出に不具合が生じ、また30mPa・sを越える場合には、吐出性が劣化する。
【0021】
請求項7に記載の発明は、請求項1〜6のいずれか一項に記載のインクジェットプリンタにおいて、
前記吐出口からのインクの吐出量が1ドット当たり2pl(ピコリットル)以上20pl以下であることを特徴としている。
【0022】
請求項7に記載の発明によれば、請求項1〜6のいずれか一項に記載の発明と同等の効果が得られるのは無論のこと、特に、吐出口からのインクの吐出量が1ドット当たり2pl以上20pl以下であるので、インクの吐出量が1ドット当たり2pl未満である場合のように形成される画像の濃度が低くなってしまうといったことがなく、吐出量が1ドット当たり20plを越える場合のように高精細印字が困難になるといったことがなくなる。
【0023】
請求項8に記載の発明は、請求項1〜7のいずれか一項に記載のインクジェットプリンタにおいて、
インクは紫外線硬化性のインクであり、
前記吐出口から吐出されインク吸収性のない記録媒体上に着弾したインクに紫外線を照射する紫外線照射手段を備えることを特徴としている。
【0024】
請求項8に記載の発明によれば、請求項1〜7のいずれか一項に記載の発明と同等の効果が得られるのは無論のこと、紫外線硬化性のインクを用いることでインク吸収性のない記録媒体上にもインク定着できる。
【0025】
請求項9に記載の発明は、請求項8に記載のインクジェットプリンタにおいて、
インクは、カチオン硬化性を有することを特徴としている。
【0026】
請求項9に記載の発明によれば、請求項8に記載の発明と同等の効果が得られるのは無論のこと、特に、インクはカチオン硬化性を有している。すなわち、カチオン硬化性のインクは、ラジカル硬化性のインクに比べて、紫外線に対する感度が高く且つ酸素による重合反応の阻害が少ないので、記録媒体上に吐出されたインクの硬化に必要な照度を低減させることができる。
【0027】
【発明の実施の形態】
[第一の実施の形態]
以下に、本発明について、図面を用いて具体的な態様を説明する。ただし、発明の範囲は、図示例に限定されない。
図1は、本発明を適用した第一の実施の形態として例示するインクジェットプリンタの全体構成を示す図であり、図2は、図1のインクジェットプリンタをA−A部分で切って側方から見て示した図であり、図3は、制御部の主要制御ブロック図である。
【0028】
図1に示すように、インクジェットプリンタ100は、搬送方向Yに沿って搬送される記録媒体1に対してインクを吐出する記録ヘッド2と、記録ヘッド2及び記録媒体1に吐出され着弾したインクに紫外線を照射する照射部(紫外線照射手段;図3参照)3とを搭載して走査方向Xに移動させるキャリッジ31と、記録ヘッド2の待機時に記録ヘッド2に係るインクを密閉保湿する保湿キャップ41を有する保湿ユニット4と、記録ヘッド2のメンテナンスを行うためのメンテナンスユニット5と、記録ヘッド2にインクを供給するインク供給機構7とを備え、さらに、図1には図示しないが、図2に示すように、記録媒体1を搬送方向Yに搬送する搬送ローラ61を有する搬送機構6を備えて構成されている。また、図3に示すように、インクジェットプリンタ100は、上記した各部を統括的に制御する制御部8を備えて構成されている。
【0029】
搬送機構6は、図示しない駆動源の駆動に基づき搬送ローラ61が回転することにより、記録媒体1が図1における記録領域Bを通過するように、記録媒体1を搬送方向Yに搬送するようになっている。また、搬送機構6は、画像記録時において、キャリッジ31の動作に合わせて、記録媒体1の搬送と停止とを繰り返し記録媒体1を間欠的に搬送する。
【0030】
ここで、本実施の形態に用いられる「記録媒体1」について説明する。
本実施の形態に用いられる記録媒体1としては、通常のインクジェットプリンタに適用される普通紙,再生紙,光沢紙等の各種紙,各種布地,各種不織布,樹脂,金属,ガラス等の材質からなる記録媒体1が適用可能である。また、記録媒体1の形態としては、ロール状、カットシート状、板状等が適用可能である。
【0031】
特に、本実施の形態で用いられる記録媒体1として、所謂軟包装に用いられる透明又は不透明な非吸収性の樹脂製フィルムが適用できる。樹脂製フィルムの具体的な樹脂の種類として、ポリエチレンテレフタレート,ポリエステル,ポリオレフィン,ポリアミド,ポリエステルアミド,ポリエーテル,ポリイミド,ポリアミドイミド,ポリスチレン,ポリカーボネート,ポリ−ρ−フェニレンスルフィド,ポリエーテルエステル,ポリ塩化ビニル,ポリ(メタ)アクリル酸エステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ナイロン等が適用可能であり、さらには、これら樹脂の共重合体、これら樹脂の混合物、これら樹脂を架橋したもの等も適用可能である。中でも、樹脂製フィルムの樹脂の種類として、延伸したポリエチレンテレフタレート,ポリスチレン,ポリプロピレン,ナイロンのいずれかを選択するのが、樹脂製フィルムの透明性・寸法安定性・剛性・環境負荷・コスト等の面で好ましく、2μm(マイクロメートル)以上100μm以下(好ましくは6μm以上50μm以下)の厚みを有する樹脂製フィルムを用いるのが好ましい。また、樹脂製フィルムの支持体の表面にコロナ放電処理、易接着処理等の表面処理を施してもよい。
【0032】
さらに、本実施の形態に用いられる記録媒体1として、樹脂により表面を被覆した各種紙,顔料を含むフィルム,発泡フィルム等の不透明な公知の記録媒体1も適用可能である。
【0033】
キャリッジ31は、走査方向Xに延在したキャリッジレール32に案内されながらホームポジション領域Cからメンテナンス領域Dにかけて走査方向Xに移動する。
なお、キャリッジ31の移動方向は、キャリッジ31を移動させるために回転駆動する駆動源(図示略)の回転方向に従って変更され、これによりキャリッジ31は走査方向Xに往復移動する。また、画像記録時には、キャリッジ31は、記録媒体1が停止している際に走査方向Xに往動、復動又は往復移動する。このとき、記録ヘッド2及び照射部3により記録媒体1に画像を記録する。
【0034】
記録ヘッド2は、例えばインクジェットプリンタ100で使用される4色のインクに対応して4つ設けられており、これら記録ヘッド2はキャリッジ31に走査方向Xに並んで配置されている。
各記録ヘッド2は、その下面が画像記録時において搬送される記録媒体1の記録面(上面)に対向するように配置されている。
記録ヘッド2の下面には、記録ヘッド2の長手方向に複数のノズル(図示略)の吐出口が略一列(ノズル列)となって配列されたノズル面2aが設けられている。
さらに、各記録ヘッド2は、その内部に、例えば、ピエゾ素子(圧電素子)からなる吐出手段(図3参照)2bが設けられており、吐出手段2bの作動により各吐出口からインク滴を別個に吐出する。
【0035】
また、記録ヘッド2には、例えばインクジェットプリンタ100の稼働時において、記録ヘッド2内のインクを常時加熱するヒータ等の加熱手段(図3参照)2cが設けられている。
この加熱手段2cは、インクの温度が30℃以上150℃以下となるようにインクを加熱する。これにより、インクが低粘度化され、インクが吐出される際にインク吐出が安定的に行われて記録画像の画質が安定化される。
【0036】
照射部3は、例えば、記録媒体1に付着したインクに紫外線を照射するための光源(図示略)を備え、搬送方向Yに送り出される記録媒体1に対して紫外線を照射することにより、記録媒体1に付着したインク滴を硬化させてこの記録媒体1にインクを定着させるものである。
このように、インクジェットプリンタ100は、吐出口から吐出されインク吸収性のない記録媒体1上に着弾したインクに光源から紫外線を照射し、このインクを硬化させるUV硬化方式のものである。
なお、光源としては、水銀ランプ、メタルハライドランプ、エキシマーランプ、紫外線レーザー又はLED(Light Emitting Diode)等が適用可能である。
【0037】
インク供給機構7は、例えば記録ヘッド2の各々に対応するように設けられ、記録ヘッド2に供給されるインクを貯留するインク貯留部71と、インク貯留部71から記録ヘッド2に供給されるインクを一時的に貯留する中間タンク72と、インク貯留部71から中間タンク72までのインク流路となる第一供給路73と、中間タンク72から記録ヘッド2までのインク流路となる第二供給路74とを備えて構成されている。
第一供給路73と第二供給路74とによって、インク貯留部71と記録ヘッド2との間の送液経路が構成されている。
【0038】
以下に、インク貯留部71について、図4〜図6を参照して詳細に説明する。ここで、図4は、インク貯留部71を示す図であり、このうち、図4(a)は、内部にインクが満載された状態のインク貯留部71を示し、図4(b)は、インクが空の状態のインク貯留部71を示している。また、図5及び図6は、インク貯留部71からのインク供給を説明するための図である。
【0039】
図4に示すように、インク貯留部71は、周面が蛇腹状に形成された円筒状の部材である。これにより、インク貯留部71は、その一方の端面から他方の端面に亘る方向、例えば図4における上下方向Zに収縮自在とされている。
また、インク貯留部71の一方の端面71a、具体的には図4における下端面71aには、後述するインク貯留部装着部70の被係合部76aに係合自在な係合部71bが設けられている。
係合部71bには、インク貯留部71内に貯留されているインクを供給するための供給口(図示略)が設けられており、係合部71bが被係合部76aに係合することにより、被係合部76a内とインク貯留部71内とが供給孔を介して連通した状態となるようになっている。
なお、インク貯留部71の構成材料としては、例えば、ポリエチレン(PE:PolyEthylene)、高密度ポリエチレン(HDPE:High Density PolyEthylene)等が挙げられる。
【0040】
インク貯留部装着部70は、図5及び図6に示すように、インク貯留部71を着脱自在に装着するためのものであり、箱体75の内部に、インク貯留部71が装着され、このインク貯留部71を上下方向Zに圧縮するための圧縮機構76と、移動部762の上下方向Zの位置を検出するための上限センサ77及び下限センサ78を備えて構成されている。
【0041】
箱体75は、外形が略直方体状に形成された部材である。また、箱体75の図5における右側の面板751は、その基端部が回転自在に軸支されており、インク貯留部71の着脱時に旋回することで、箱体75を開状態としたり閉状態としたりすることが可能となっている。
【0042】
圧縮機構76は、インク貯留部71の係合部71bが係合される被係合部76aが設けられた基台761と、基台761と対向配置されて上下方向Zに移動する移動部762と、移動部762に接続固定されるとともに上下方向Zに延在するラック部763と、上下方向Zに延在し、移動部762及びラック部763の上下方向Zへの移動を案内する案内部材764と、ラック部763に噛合するように配設された駆動ギヤ765とを備えて構成されている。
【0043】
基台761は、水平方向に延在した板状部材76bの上部に被係合部76aが設けられ、被係合部76aの底面から板状部材76bの下面に向けて貫通した貫通孔76cが設けられている。
貫通孔76cには、第一供給路73が接続されており、これによって、被係合部76aから中間タンク72までが連通した状態となっている。また、被係合部76aにインク貯留部71の係合部71bが係合されることにより、インク貯留部71から中間タンク72までが連通した状態となる。
板状部材76bの一方の端部の上面には、下端部を当接させるようにして案内部材764が固定されている。
【0044】
移動部762は、図7に示すように、当該移動部762が上下方向Zに移動する際に案内部材764により案内される案内部76eと、案内部76eの一面に基端部を当接固定させて設けられ、移動部762の移動時に、下面を基台761に装着されたインク貯留部71の上端面71cに当接してこの上端面を下向きに押圧可能な押圧部材76dとを備えて構成されている。
押圧部材76dは、例えば板状部材76bと略平行に延在した2本の棒状の部材である。
【0045】
上限及び下限センサ77、78の各々は、上下方向Zに移動する移動部762を検出するための光学式のセンサであり、上限センサ77は、移動部762のホームポジションとなる位置に配設され、下限センサ78は、移動部762の移動範囲の下端に配設されている。
また、上限及び下限センサ77、78は、図7に示すように、所定方向、例えば略水平方向に光を投射する投光部7aと、投光部7aに対向配置され投光部7aから投射された光を受光する受光部7bと、投光部7a及び受光部7bを支持する支持部材7cとを備えて構成されている。
【0046】
投光部7a及び受光部7bは、所定の間隔を空けて配設されており、投光部7aと受光部7bとの間は上下方向Zに移動する移動部762の押圧部材76dの先端部分が通過可能とされている。そして、受光部7bは、そのセンサ領域を押圧部材76dが通過することで受光状態が変化し、これにより、センサ信号の出力状態が変化するようになっている。すなわち、受光部7bは、押圧部材76dによって投光部7aからの光が遮光された際にセンサ信号を制御部8に対して出力するようになっている。
なお、支持部材7cの基端部は、箱体75の内面の所定位置に当接固定された状態となっているが、図7においては図示を省略している。
【0047】
このように構成された圧縮機構76は、制御部8の制御下にて、駆動ギヤ765が回転駆動することでラック部763を上下方向Zに移動させ、これに伴って移動部762を上下方向Zに移動させるようになっている(詳細後述)。
【0048】
中間タンク72の内部には、中間タンク72内に一時的に貯留されているインクの液面の高さを検出するための液面センサ721が設けられている。
液面センサ721は、インクの液面の検出に基づきセンサ信号を制御部8に出力するようになっており、センサ信号の出力状態に基づき、制御部8によって中間タンク72内に貯留されているインクの残量が検出されるようになっている。
【0049】
ここで、本実施の形態に用いられる「インク」について説明する。
本実施の形態に用いられるインクとしては、特に、「光硬化技術−樹脂・開始剤の選定と配合条件及び硬化度の測定・評価−(技術協会情報)」に記載の「光硬化システム(第4章)」の「光酸・塩基発生剤を利用する硬化システム(第1節)」、「光誘導型交互共重合(第2節)」等に適合するインクが適用可能であり、通常のラジカル重合により硬化するものであってもよい。
【0050】
具体的に、本実施の形態に用いられるインクは、光としての紫外線の被照射により硬化する性質を具備する紫外線硬化性インクであり、主成分として、少なくとも重合性化合物(公知の重合性化合物を含む。)と、光開始剤と、色材とを含むものである。ただし、本実施の形態に用いるインクとして、上記「光誘導型交互共重合(第2節)」に適合するインクを用いる場合には、光開始剤は除外されてもよい。
【0051】
上記紫外線硬化性インクは、重合性化合物として、ラジカル重合性化合物を含むラジカル重合系インクとカチオン重合性化合物を含むカチオン重合系インクとに大別されるが、その両系のインクが本実施の形態に用いられるインクとしてそれぞれ適用可能であり、ラジカル重合系インクとカチオン重合系インクとを複合させたハイブリッド型インクを本実施の形態に用いられるインクとして適用してもよい。
【0052】
しかしながら、酸素による重合反応の阻害が少ない又は無いカチオン重合系インクのほうが機能性・汎用性に優れるため、本実施の形態では、特に、カチオン重合系インクを用いている。
【0053】
なお、本実施の形態に用いられるカチオン重合系インクは、具体的に、少なくともオキセタン化合物,エポキシ化合物,ビニルエーテル化合物等のカチオン重合性化合物と、光カチオン開始剤と、色材とを含む混合物であり、上記の通り、紫外線の被照射により硬化する性質を具備するものである。
【0054】
保湿ユニット4は、記録領域Bに隣合うホームポジション領域Cに設置されており、キャリッジ31及び記録ヘッド2が記録動作に関わらない未使用状態の時に、このキャリッジ31及び記録ヘッド2が待機する。
また、保湿ユニット4には、保湿キャップ41が記録ヘッド2と同数、すなわち4つ設けられており、各保湿キャップ41は、記録ヘッド2のノズル面を覆うことで各記録ヘッド2に係るインクを密閉保湿するようになっている。
【0055】
メンテナンスユニット5は、記録領域Bに隣合い、且つ、ホームポジション領域Cの側と反対側のメンテナンス領域Dに設置されている。
また、メンテナンスユニット5には、その記録領域B側の端部に配置され、各記録ヘッド2のノズル面2aを摺擦するブレード51と、ブレード51と反対側に配置され、吐出口からインクを吸引するインク吸引機構52と、ブレード51とインク吸引機構52との間に配置され、吐出口から空吐出されたインクを受け取る空吐出受皿53とが設けられている。
【0056】
ブレード51は、板状に形成された部材であり、例えばインク吸引機構52によるインクの吸引後に、各記録ヘッド2のノズル面2aを摺擦することで、ノズル面2aを清掃してノズル面2aに付着するインクを拭き取る。
なお、ブレード51は、例えば、所定の硬度を有するゴム又はゴム状部材により形成された弾性を有する部材であっても良い。
【0057】
インク吸引機構52は、最も上側に設けられ、インク吸引時に各記録ヘッド2のノズル面2aの全ての吐出口を覆うようにノズル面2aに装着されるキャップ部材521と、キャップ部材521よりも下側に設けられ、キャップ部材521がノズル面2aに装着された際にノズル面2aとキャップ部材521とにより形成された空間内部を吸引することにより吐出口(ノズル)よりインクを吸引する吸引ポンプ522と、吸引ポンプ522よりも下側に設けられ、吸引ポンプ522によって吸引されたインクが回収される廃インクタンク523と、キャップ部材521を介して吸引されたインクが廃インクタンク523まで流れるように配管されたインク管524とを備えている。
【0058】
空吐出受皿53は、この空吐出受部53内に溜まったインクを廃インクタンク523まで流す回収管(図示略)を介して廃インクタンク523と接続されていても良い。
【0059】
図3に示すように、制御部8は、CPU(Central Processing Unit)81と、RAM(Random Access Memory)82と、ROM(Read Only Memory)83と、インターフェイス(I/F)84等から構成されており、インターフェイス84を介して吐出手段2b、加熱手段2c、照射部3、駆動ギヤ765、上限センサ77、下限センサ78、液面センサ721等に電気的に接続されている。
【0060】
CPU81は、ROM83に格納されている各種プログラムの中から指定されたプログラムをRAM82内の作業領域に展開し、このプログラムに従った各種処理を実行する。
具体的には、CPU81は、液面センサ721からのセンサ信号に基づいて駆動ギヤ765を制御することで、ラック部763とともに移動部762を下向きに移動させ、これにより、インク貯留部71を圧縮して、インク貯留部71内のインクを、供給孔を介して中間タンク72へと供給するようになっている。
また、CPU81は、判断手段8aとして機能し、駆動ギヤ765を制御して移動部762を上下方向Zに移動させる際に、上限センサ77及び下限センサ78から出力されたセンサ信号に基づいて、移動部762の上下位置を認識し、これにより、インク貯留部71内のインクの有無を判断する。
すなわち、上限センサ77は、移動部762のホームポジションとなる位置に配設されているので、押圧部材76dの上限センサ77による検出に基づき出力されたセンサ信号がCPU81に入力されることで、CPU81は、判断手段8aとして、押圧部材76dによってインク貯留部71が未だ圧縮された状態となっておらず、インク貯留部71内にインクが満載されていると判断する。一方、下限センサ78は、移動部762の移動範囲の下端に配設されているので、押圧部材76dの下限センサ78による検出に基づき出力されたセンサ信号がCPU81に入力されることで、CPU81は、判断手段8aとして、押圧部材76dによってインク貯留部71が完全に圧縮された状態となって、インク貯留部71内のインクが空状態であると判断する。
このように、上限センサ77及び下限センサ78は、インク貯留部71の収縮状態を検出する収縮状態検出手段を構成している。
【0061】
RAM82は、電力が供給されている間だけ入力された各種データ等を複数記憶可能な記憶領域やCPU81による作業領域等が備えられている。
ROM83には、駆動ギヤ765の制御にかかる各種データや、インクジェットプリンタ100の各部の動作にかかる各種制御プログラムや制御データなどが書き込まれている。
【0062】
次に、制御部8の制御下におけるインク貯留部71から記録ヘッド2までのインク供給について図5及び図6を参照して説明する。
【0063】
先ず、インク貯留部装着部70に対するインク貯留部71の装着方法について説明する。
ここで、インク貯留部装着部70に装着されるインク貯留部71は、内部にインクが満載された状態のものであるとする。
図5(a)に示すように、ユーザは、インク貯留部装着部70の箱体75の面板751を旋回させて箱体75を開状態とし、続けて、図5(b)に示すように、圧縮機構76の被係合部76aにインク貯留部71の係合部71bを係合させるようにしてインク貯留部71をインク貯留部装着部70に装着する。その後、ユーザは、面板751を旋回させて箱体75を閉状態とする。
ここで、インク貯留部装着部70にインク貯留部71が装着されると、CPU81は、駆動ギヤ765を制御して、駆動ギヤ765を例えば時計回りに回転させることでラック部763とともに移動部762を、上限センサ77によって押圧部材76dが検出される位置まで下向きに移動させる。これにより、押圧部材76dの下面が、インク貯留部71の上端面71cに当接した状態となる。
【0064】
次に、CPU81は、液面センサ721から出力され入力されたセンサ信号に基づいて中間タンク72内のインクの残量を検出し、その検出結果に基づいて、インク貯留部71から中間タンク72までのインク供給量を算出する。
そして、CPU81は、算出したインク供給量に基づき駆動ギヤ765を制御して、駆動ギヤ765を所定の回転数、例えば、時計回りに回転させることでラック部763とともに移動部762を下向きに移動させる。これにより、下面がインク貯留部71の上端面71cに当接した状態となっている押圧部材76dが上端面71cを下向きに押圧することとなって、インク貯留部71を上下方向Zにのみ圧縮するので、インク貯留部71は圧縮される度合に応じて内部圧力を高め、インク貯留部71の内部から供給口を介して所定量のインクを略正確に送液できる。このようにして、所定量のインクがインク貯留部71から第一供給路73を介して中間タンク72に送液されることとなる。
【0065】
その後、インク貯留部71からのインク供給を繰り返すうちに、CPU81は、下限センサ78が押圧部材76dを検出することに基づき出力したセンサ信号が入力されることで、インク貯留部71が完全に圧縮された状態(図6(a)参照)、すなわちインク貯留部71が空状態であると判断する。この場合には、CPU81は、例えば、図示しない表示部等にインク貯留部71が空状態であることを示す警告表示を行って、ユーザにインク貯留部71の交換を促す。なお、インク貯留部71の交換に際し、CPU81の制御下で警告音等を発音することで、ユーザにインク貯留部71の交換を促すようにしても良い。
【0066】
インク貯留部71の交換時には、図6(b)に示すように、CPU81は、駆動ギヤ765を制御して、駆動ギヤ765を例えば反時計回りに回転させることでラック部763とともに移動部762を、例えば、上限センサ77によって押圧部材76dが検出された後、当該押圧部材76dの検出が行われなくなる位置まで上向きに移動させる。
そして、ユーザは、箱体75の面板751を旋回させて箱体75を開状態とし、インクが空状態のインク貯留部71の係合部71bと圧縮機構76の被係合部76aとの係合を解除することで、インク貯留部装着部70からインク貯留部71を取り除く。このとき、インク貯留部71は、蛇腹状の周面が完全に圧縮されてコンパクト化された状態となっているので、インク貯留部71を容易に取り除くことができ、また、取り除かれたインク貯留部71の廃棄も容易に行うことができる。
その後、ユーザは、上記したようにして、インク貯留部装着部70にインク貯留部71を装着する。このように、インク貯留部71の交換を容易に行うことができる。
【0067】
以上のように、第一の実施の形態のインクジェットプリンタ100によれば、インク貯留部71からのインク供給量を、インク貯留部71を圧縮機構76により圧縮する度合に応じて調整し、上限センサ77及び下限センサ78から出力されたセンサ信号に基づいて、判断手段8aはインク貯留部71の収縮状態からインク貯留部71内のインクの有無を判断することができる。このように、インク貯留部71内のインク残量を直接検出でき、インク残量の検出精度を向上させることができる。従って、インク貯留部71内のインクが空状態の検出を精度良く行うことができる。
【0068】
また、上記実施の形態によれば、インク貯留部71から中間タンク72までインク供給を行うためのポンプを必要とせずに、記録ヘッド2からのインク吐出量に応じた必要量のインク供給を略正確に且つ容易に行うことができる。よって、インク貯留部71から中間タンク72までのインク供給量を略正確に管理することができるので、温度変化等の環境の影響やインク粘度の変動の影響を受けることなくインク供給を安定して行うことができる。
【0069】
さらに、インクはカチオン硬化性を有しているので、ラジカル硬化性を有するインクに比べて、紫外線に対する感度が高く且つ酸素による重合反応の阻害が少ないので、記録媒体1上に吐出されたインクの硬化に必要な照射部3からの紫外線の照度を低減させることができる。
【0070】
[第二の実施の形態]
第二の実施の形態のインクジェットプリンタは、図8に示すように、収縮状態検出手段として、駆動ギヤ765の圧縮時の回転数(動作量)をカウントするカウンタ766を備え、このカウンタ766により検出された駆動ギヤ765の回転数に基づいて、インク貯留部71内のインク残量を検出するようになっている。
具体的には、CPU81は、インク残量算出手段8bとして機能し、インク供給時に回転する駆動ギヤ765の回転数をカウンタ766により随時検出して、このとき、カウンタ766により検出された駆動ギヤ765の回転数と、予めROM83に記憶されている駆動ギヤ765の回転数に対応付けたインク貯留部71の収縮率に関するデータとを比較することで、インク貯留部71の収縮率、すなわちインク貯留部71内のインク残量を算出するようになっている。例えば、CPU81は、カウンタ766により検出された駆動ギヤ765の回転数に基づいて、駆動ギヤ765がインク貯留部71を完全に圧縮できる程十分に回転したと判断した場合には、インク貯留部71が空状態であることを認識するようになっている。
【0071】
なお、駆動ギヤ765の回転数は、インク貯留部71の装着後に下向きに移動した押圧部材76dが上限センサ77によって検出されることでリセットされるようになっている。
【0072】
以上のように、第二の実施の形態のインクジェットプリンタによれば、駆動ギヤ765の回転数に基づきインク残量算出手段8bによってインク貯留部71内のインク残量を直接検出でき、インク貯留部71内のインク残量の検出精度を向上させることができる。
【0073】
なお、本発明は、上記実施の形態に限定されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、種々の改良並びに設計の変更を行っても良い。
例えば、上記実施の形態では、中間タンク72内のインク残量の検出を、液面センサ721からのセンサ信号の出力状態の変化に基づいて行うようにしたが、これに限られるものではなく、記録ヘッド2からのインク吐出量に基づいて行っても良い。すなわち、CPU81が、画像データに基づいて記録ヘッド2のインク使用量を算出していくことで、記録ヘッド2からのインク吐出量を算出し、算出されたインク吐出量に基づいて中間タンク72内のインク残量を検出するようにしても良い。
【0074】
また、インク貯留部71は、収縮自在な形状であれば、如何なる形状であっても良いということは、言うまでもない。さらに、圧縮機構76は、インク貯留部71を圧縮自在な構成であれば如何なる構成であってもよい。
加えて、収縮状態検出手段(上限センサ77、下限センサ78、カウンタ766)は、インク貯留部71の収縮状態を検出可能な構成であれば如何なる構成であっても良い。
【0075】
なお、上記実施の形態においては、UV硬化方式を採用したが、本発明はこれに限定されるものではなく、紫外線のほか、電子線、X線、可視光、赤外光などを照射する様々な光源(線源)を用いることが可能である。しかしながら、インク滴の硬化性、光源のコスト等を考慮すると、紫外線を照射する光源が好ましい。
基本的な照射方法は、特開昭60−132767号公報に開示されているように、光源が各記録ヘッド2の両側に走査方向に沿って配置されるようにキャリッジ31に搭載されていてもよいし、キャリッジ31よりも搬送方向Yの下流側でかつ搬送方向に送り出される記録媒体1の全幅にわたるようにインクジェットプリンタ100本体に固定されていてもよい。ここで、光源が各記録ヘッド2の両側に配置された場合には、光源はキャリッジ31の主走査に追従しながら光を記録媒体1に照射し、光源が搬送方向Yのキャリッジ31より下流側でかつ記録媒体1の幅方向にわたるようにインクジェットプリンタ100本体に固定されている場合には、光源はインクジェットプリンタ100本体に固定された状態で記録媒体1に光を照射する。なお、このような構成の場合には、各記録ヘッド2から吐出されたインク滴が記録媒体1に着弾した後に、一定時間をあけて、光源から記録媒体1に光が照射されることになる。
また、上記特開昭60−132767号公報に開示されたような上記構成に代えて、光ファイバーを用いた構成としてもよいし、コリメートされた光源から照射された光を、複数の記録ヘッド2からなるヘッドユニットの側面に設けた鏡面に当てることで記録媒体1のうちインク滴が着弾した領域に照射する構成としてもよい。なお、上記したいずれの構成においても光源をインクジェットプリンタ(キャリッジ31を含む。)100に固定すれば、光源を動かすための稼動部を省略できるので、安価な構成とすることができる。
【0076】
また、光源からの光の照射は、各記録ヘッド2からインク滴が吐出される度、つまり、一色のインク滴が吐出される度に行われることが好ましい。
さらに、上記した何れの露光方式においても光源を二種類(第一光源及び第二光源)用意し、第二光源からの光の照射によって、インク滴の硬化を完了させることが好ましい。これは、記録媒体1に着弾した二色目のインク滴の濡れ性、各インク滴間の接着性を得ること、光源を安価に組むことに寄与するからである。ここで、第一光源と第二光源とは、露光波長又は露光照度を変えることが好ましい。すなわち、第一光源の照射エネルギーを第二光源の照射エネルギーより小さくすることが好ましい。具体的には、第一光源の照射エネルギーを、照射エネルギー総量の1〜20%、好ましくは1〜10%、更に好ましくは1〜5%にする。照度を変えた照射を行うことで、インク滴が硬化した後の分子量分布が好ましいものとなる。
なお、一つの光源によって一度に高照度の照射を行ってしまうと、インクの組成物の重合率は高められるものの、重合した組成物(ポリマー)の分子量は小さく、記録媒体1に着弾したインク滴の強度が得られない。本実施形態に係るインクのように、極端に粘度の低い組成では顕著な効果が得られる。
また、第一光源から照射される光の波長を、第二光源から照射される光の波長よりも長波長とすることが好ましい。この場合、第一光源による光の照射では、インク滴の表層を硬化させて記録媒体1に対するインクの滲みを抑えられ、第二光源による光の照射では、照射線が届き難い記録媒体1近傍のインクを硬化させ、当該インクと記録媒体1との密着性を改善できる。従い、記録媒体1に着弾したインク滴内部の硬化を促進させるためにも、第二光源による光の照射線波長は短波長であることが好ましい。
【0077】
また、本実施の形態においては、インクとして、30℃における粘度が10mPa・s以上500mPa・s以下である高粘度インクが用いられている。このインクの粘度は、JIS Z 8803に規定する液体の粘度−測定方法において測定されたものであって、実際の粘度の測定には、HAAKE社製回転式粘度計(ビスコテスター)型式VT07Lが用いられた。
そして、本実施の形態においては、上記したインクを用いるとともに、インク滴が記録媒体1に着弾してから、0.01〜0.5秒後、好ましくは0.01〜0.3秒後、更に好ましくは0.01〜0.15秒後に、光源から光を照射するように制御される。
このように、インク滴の記録媒体1への着弾から光源による光の照射までの時間を極短時間に制御することにより、記録媒体1に着弾したインク滴が、光の被照射によって硬化する前に記録媒体1に滲むのを防止できる。
また、多孔質な記録媒体1を適用した場合には、着弾したインク滴が記録媒体1に浸透する前に、光源からの光の届かない深部まで露光できるため、未反応モノマーの残留を抑えられ、臭気を低減できる。これは、本実施形態に係るインクを用いることで大きな相乗効果を得ることができ、特に、25℃におけるインクの粘度が35以上500mPa・s以下のインクを用いると大きな効果を得ることができる。つまり、このような構成を適用することで、表面の濡れ性が異なる様々な記録媒体1に対しても、着弾したインク滴のドット径を一定に保つことができ、画質が向上する。
なお、記録媒体1にカラーの画像を記録する際には、明度の低い色のインクから順に重ねていくことが好ましい。何故なら、明度の低い色のインクを明度の高い色のインクの上に重ねると、明度の高い色の下部のインクまで光源からの照射線が到達しにくく、硬化感度の阻害、残留モノマーの増加、臭気の発生及び各インク滴間の密着性の劣化等が生じやすいからである。
また、光源からの光の照射については、全色のインク滴を各記録ヘッド2から吐出した後にまとめて露光することも可能だが、一色のインク滴を吐出する毎に露光する方が、インク滴の硬化を促進するという観点で好ましい。
さらに、複数の記録ヘッド2について、各記録ヘッド2間を実質的に照射線透過性とすることが好ましい。具体的には、照射線透過性の部材で各記録ヘッド2間を構成するか又は部材を配置させない構成を適用することが好ましい。このような簡単な構成を適用することで、各色毎に、インク滴が記録媒体1に着弾した直後に、速やかに光を照射することが可能であり、特に、二次色の滲み防止、双方向印字(キャリッジ31の往復動のうち往路方向及び復路方向の移動中にインク滴を吐出して画像を形成する記録。)においてキャリッジ31の往路移動での記録と復路移動での記録とのドットの滲み差を防止(キャリッジ31の往路移動での記録と復路移動での記録とで記録された色が異なるのを防ぐ)できる。
【0078】
また、本実施の形態においては、各記録ヘッド2におけるインク吐出の駆動力として、インクに対しての適用範囲が広く、高速吐出が可能な圧電体の圧電作用を利用する方式が好ましい。それは、具体的に、圧電性基体上に形成された微細な溝の内部に電極膜が形成され、更に絶縁膜で覆われてインク流路を形成するインクジェットヘッド方式である。
【0079】
さらに、本実施の形態においては、各吐出口から吐出される一滴(1ドット)当たりのインク滴の吐出量は、2pl以上20pl以下である。また、前記吐出量は2pl以上10pl以下であることが好ましく、更に好ましくは4pl以上7pl以下である。
また、本実施の形態においては、記録媒体1に着弾した際のインク滴の滴径、つまりドット径は、50μm以上200μm以下である。好ましくは、前記ドット径は50μm以上150μm以下であり、さらに好ましくは55μm以上100μm以下である。ここで、前記ドット径が、200μmを越える場合には高精細印字が難しく、50μm未満である場合には記録媒体1に形成される画像の濃度が低くなってしまう。
加えて、本実施の形態で適用されるインクは、水および有機溶媒を実質的に含有しないことが望ましい。ここで、実質的に含有しないとは、水および有機溶媒の含有量が1重量%未満である。
【0080】
また、上記実施の形態では、記録ヘッド2を4つ備えるようにしたが、記録ヘッド2の数は任意である。また、本実施の形態では、インクの色として、基本的に、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)を基本色とする各プロセスカラー及びライトイエロー(LY)、ライトマゼンタ(LM)、ライトシアン(LC)、ライトブラック(LK)等が適用可能であり、その他に、ホワイト(W)、レッド(R)、ブルー(B)、グリーン(G)といった特色等も適用可能である。
ここで、基本的に記録ヘッド2ごとに異なる色のインクのインク滴が吐出されるが、同じ色のインクが2つ以上の記録ヘッド2,…から吐出されても良い。
【0081】
【発明の効果】
請求項1に記載の発明によれば、インク貯留部の収縮状態からインクの有無を判断することができるので、インク貯留部内のインク残量を直接検出でき、インク残量の検出精度を向上させることができる。
【0082】
請求項2に記載の発明によれば、インク貯留部の収縮状態からインクの残量を検出することができるので、インク貯留部内のインク残量を直接検出することとなって、インク残量の検出精度を向上させることができる。
【0083】
請求項3に記載の発明によれば、圧縮機構がインク貯留部を圧縮する時の動作量に基づいて、インク貯留部内のインク残量を容易に検出することができ、インク残量の検出精度をさらに向上させることができる。
【0084】
請求項4に記載の発明によれば、インク貯留部内のインクが空状態となった場合にインク貯留部の交換を容易に行うことができる。
【0085】
請求項5に記載の発明によれば、インクが低粘度化され、インク吐出が安定的に行われて記録画像の画質が安定化される。
【0086】
請求項6に記載の発明によれば、インク粘度が10mPa・s未満である場合のようにインクが記録媒体に滲みやすく明瞭な記録を行えないといったことがなく、インク粘度が500mPa・sを越える場合のように画質の平滑性が失われるといったことがなくなる。
【0087】
請求項7に記載の発明によれば、インクの吐出量が1ドット当たり2pl未満である場合のように形成される画像の濃度が低くなってしまうといったことがなく、吐出量が1ドット当たり20plを越える場合のように高精細印字が困難になるといったことがなくなる。
【0088】
請求項8に記載の発明によれば、紫外線硬化性のインクを用いることでインク吸収性のない記録媒体上にもインク定着できる。
【0089】
請求項9に記載の発明によれば、カチオン硬化性のインクは、ラジカル硬化性のインクに比べて、紫外線に対する感度が高く且つ酸素による重合反応の阻害が少ないので、記録媒体上に吐出されたインクの硬化に必要な照度を低減させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用した第一の実施の形態として例示するインクジェットプリンタの全体構成を示す図である。
【図2】図1のインクジェットプリンタを側方から見て示した図である。
【図3】図1のインクジェットプリンタに備わる制御部の主要制御ブロック図である。
【図4】図1のインクジェットプリンタに備わるインク貯留部を示す図である。
【図5】図1のインクジェットプリンタによるインク貯留部からのインク供給を説明するための模式図である。
【図6】図5のインク供給の続きを示す模式図である。
【図7】図1のインクジェットプリンタに備わる移動部並びに上限及び下限センサを示す平面図である。
【図8】本発明を適用した第二の実施の形態として例示するインクジェットプリンタに備わる制御部の主要制御ブロック図である。
【符号の説明】
100 インクジェットプリンタ
1 記録媒体
2 記録ヘッド
2c 加熱手段
3 照射部(紫外線照射手段)
70 インク貯留部装着部
71 インク貯留部
72 中間タンク
73 第一供給路(送液経路)
74 第二供給路(送液経路)
76 圧縮機構
766 カウンタ(収縮状態検出手段)
77 上限センサ(収縮状態検出手段)
78 下限センサ(収縮状態検出手段)
81 CPU
8a 判断手段
8b インク残量算出手段
Claims (9)
- 記録媒体に対しインクを吐出する吐出口が設けられた記録ヘッドと、前記記録ヘッドに供給されるインクを貯留するインク貯留部と、前記インク貯留部と前記記録ヘッドとの間の送液経路途中に設けられた中間タンクとを備えるインクジェットプリンタであって、
前記インク貯留部は、収縮自在に形成され、
前記インク貯留部の収縮状態を検出する収縮状態検出手段と、
前記収縮状態検出手段による検出結果に基づいて、前記インク貯留部内のインクの有無を判断する判断手段とを備えることを特徴とするインクジェットプリンタ。 - 記録媒体に対しインクを吐出する吐出口が設けられた記録ヘッドと、前記記録ヘッドに供給されるインクを貯留するインク貯留部と、前記インク貯留部と前記記録ヘッドとの間の送液経路途中に設けられた中間タンクとを備えるインクジェットプリンタであって、
前記インク貯留部は、収縮自在に形成され、
前記インク貯留部の収縮状態を検出する収縮状態検出手段と、
前記収縮状態検出手段による検出結果に基づいて、前記インク貯留部内のインク残量を算出するインク残量算出手段とを備えることを特徴とするインクジェットプリンタ。 - 請求項2に記載のインクジェットプリンタにおいて、
前記インク貯留部を圧縮する圧縮機構を備え、
前記収縮状態検出手段は、前記圧縮機構の圧縮時の動作量を検出することを特徴とするインクジェットプリンタ。 - 請求項1〜3のいずれか一項に記載のインクジェットプリンタにおいて、
前記インク貯留部が着脱自在に装着されるインク貯留部装着部を備えることを特徴とするインクジェットプリンタ。 - 請求項1〜4のいずれか一項に記載のインクジェットプリンタにおいて、
インクを30℃以上150℃以下に加熱する加熱手段を備えることを特徴とするインクジェットプリンタ。 - 請求項1〜5のいずれか一項に記載のインクジェットプリンタにおいて、
インクは、30℃における粘度が10mPa・s以上500mPa・s以下であることを特徴とするインクジェットプリンタ。 - 請求項1〜6のいずれか一項に記載のインクジェットプリンタにおいて、
前記吐出口からのインクの吐出量が1ドット当たり2pl(ピコリットル)以上20pl以下であることを特徴とするインクジェットプリンタ。 - 請求項1〜7のいずれか一項に記載のインクジェットプリンタにおいて、
インクは紫外線硬化性のインクであり、
前記吐出口から吐出されインク吸収性のない記録媒体上に着弾したインクに紫外線を照射する紫外線照射手段を備えることを特徴とするインクジェットプリンタ。 - 請求項8に記載のインクジェットプリンタにおいて、
インクは、カチオン硬化性を有することを特徴とするインクジェットプリンタ。
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