JP2004034664A - インクジェットプリンタ - Google Patents
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Abstract
【課題】インク吸引作業時においてインクの好適な吸引を行う。
【解決手段】記録媒体に向けて高粘度のインクを吐出するノズルの吐出口が設けられた記録ヘッドと、インク吸引作業時に吐出口を覆うように吐出口が設けられた一面に圧着されるキャップ部材とを備えるインクジェットプリンタである。キャップ部材は、傾動自在に支持されている。インクを加熱する加熱手段が設けられている。キャップ部材が吐出口が設けられた一面に圧着される圧着動作時に、記録ヘッドの前記一面に存するインクは、加熱手段により加熱された状態にある。
【選択図】 図3
【解決手段】記録媒体に向けて高粘度のインクを吐出するノズルの吐出口が設けられた記録ヘッドと、インク吸引作業時に吐出口を覆うように吐出口が設けられた一面に圧着されるキャップ部材とを備えるインクジェットプリンタである。キャップ部材は、傾動自在に支持されている。インクを加熱する加熱手段が設けられている。キャップ部材が吐出口が設けられた一面に圧着される圧着動作時に、記録ヘッドの前記一面に存するインクは、加熱手段により加熱された状態にある。
【選択図】 図3
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、インクジェットプリンタに関する。
【0002】
【従来の技術】
インクジェットプリンタは、記録ヘッドの一面(ノズル面)に備えられた吐出口から記録媒体に向けてインクを吐出し着弾させ、この記録媒体に画像を記録する。
また、インクジェットプリンタは、樹脂フィルム等のインク吸収性のない記録媒体に画像を記録する場合には、明瞭な画像の記録を行えるという利点があることから、紫外線が照射されることで硬化する性質を有する紫外線硬化性の高粘度インクが用いられている。
【0003】
ところで、高粘度インクを用いて画像の形成を行う場合、インクジェットプリンタが長時間使用されなかったり画像形成作業の内容によっては特定の記録ヘッドを長時間使用しなかったりすると、吐出口内のインクの溶媒が蒸発してしまい、インクが増粘したりインクが吐出口に固化したりして吐出口に目詰まりが発生する場合がある。また、吐出口に連通するインクの流路内に発生した気泡やごみ等によっても吐出口の目詰まりが発生する場合がある。そのため、所定のタイミングで記録ヘッドのメンテナンス作業を行う必要がある。
ここで、メンテナンス作業としては、記録ヘッドのノズル面を吸引キャップで圧着することで覆い、この吸引キャップを介して吸引ポンプで吸引することにより、吐出口内に残留している気泡やノズル面に付着したごみ等をインクとともに吸引除去する作業や、この吸引除去作業の終了後、インクを空吐出する作業や、この空吐出後、弾性を有するブレードによりノズル面を摺擦してこのノズル面に残留したインク滴を拭き取る作業等がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、インクの吸引を行った場合に、低粘度インクに比べて高粘度インクでは、吸引されなかったインク滴が多量にノズル面に付着して残留してしまう。特に、何度もインクの吸引を行った場合には、ノズル面に高粘度インクが固着してしまいこのノズル面に凹凸や傾斜が生じることになる。この結果、吸引キャップをノズル面に圧着させた際に、吸引キャップとノズル面とに隙間が生じて、インクの吸引動作を行ってもノズル面と吸引キャップとの間の空間内部に空気が混入してインクの好適な吸引ができなくなる虞がある。そして、この状態で画像形成動作に入ると、ノズル欠や射出曲がりを発生させて画像の画質低下を招いてしまうといった問題がある。
【0005】
本発明の課題は、インク吸引作業時においてインクの好適な吸引を行うことができるインクジェットプリンタを提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の発明は、記録媒体に向けて高粘度のインクを吐出するノズルの吐出口が設けられた記録ヘッドと、インク吸引作業時に前記吐出口を覆うように前記吐出口が設けられた一面に圧着されるキャップ部材と、前記キャップ部材を介して前記吐出口から前記インクを吸引する吸引ポンプとを備えるインクジェットプリンタにおいて、
前記キャップ部材は、傾動自在に支持され、
前記インクを加熱する加熱手段が設けられ、
前記キャップ部材が前記一面に圧着される圧着動作時に、前記記録ヘッドの前記一面に存するインクは、前記加熱手段により加熱された状態にあることを特徴としている。
【0007】
請求項1に記載の発明によれば、インク吸引作業時に、高粘度のインクを吐出するノズルの吐出口を覆うようにこの吐出口が設けられた一面に圧着されるキャップ部材が備えられている。また、インクを加熱する加熱手段が設けられている。さらに、キャップ部材が前記一面に圧着される圧着動作時に、記録ヘッドの前記一面に存するインクは、加熱手段により加熱された状態にある。これにより、吐出口が設けられた一面にインク滴が付着しても、インク滴は加熱手段によって加熱されて低粘性化されるので、この低粘性化されたインク滴は吸引ポンプにより好適に吸引される。従って、吐出口が設けられた一面に付着するインク滴の量が低減若しくは前記一面へのインク滴の残留が防止される。
また、インク滴が吐出口が設けられた一面に付着し残留することでこの一面に固着して、この固着したインク滴によって前記一面に凹凸又は傾斜が生じても、キャップ部材が前記一面に圧着される圧着動作時に、凹凸又は傾斜を生じさせるインク滴は加熱手段によって加熱されて低粘性化され、さらに、低粘性化されたインク滴が存する前記一面に、傾動自在に支持されたキャップ部材が圧着される。これにより、キャップ部材は、前記一面の凹凸を押し潰してこの一面を平坦化するとともに、傾斜をもって平坦化される一面に対しても自らの角度を変えて対応することで、この一面に確実に圧着されることになる。つまり、キャップ部材の吐出口が設けられた一面への圧着が確実なものとなるため、前記一面とキャップ部材とに隙間が発生せず、吸引ポンプによる吐出口からのインクの吸引時において、前記一面とキャップ部材との間の空間内部への空気の混入が防止されて、インクの吸引が好適に行われる。従って、吐出口及び吐出口が設けられた一面が確実にクリーニングされることになり、その後の画像形成時におけるノズル欠や射出曲がり等の発生が防止され、記録画像の高画質化が図れる。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のインクジェットプリンタにおいて、
前記加熱手段は、30℃以上150℃以下に前記インクを加熱することを特徴としている。
【0009】
請求項2に記載の発明によれば、加熱手段によって、インクが30℃以上150℃以下に加熱される。これにより、インクが低粘性化され、インク吐出が安定的に行われて記録画像の画質が安定化される。
ここで、上記インクを、40℃以上150℃以下に加熱することが好ましい。30℃未満および150℃を越えた場合では、吐出が困難になる。また、例えば上記インクが照射線硬化型インクである場合、この照射線硬化型インクは概して水性インクより粘度が高いため、温度変動による粘度変動幅が大きくなる。この粘度変動はそのまま液滴サイズ、液滴吐出速度に大きく影響を与え、画質劣化をおこすため、インク温度をできるだけ一定に保つことが必要である。ここで、インク温度の制御幅は、設定温度±5℃、好ましくは設定温度±2℃、さらに好ましくは設定温度±1℃である。例えば、インクジェットプリンタには、インク温度を安定化する安定化手段が備えられるが、この安定化手段により一定温度にされる部位はインクタンク(中間タンクがある場合は中間タンク)からノズル吐出面までの配管系、部材の全てが対象となる。
また、温度コントロールのため、温度センサーを各配管部位に複数設け、インク流量、環境温度に応じた加熱制御をすることが好ましい。さらに、加熱されるヘッドユニットは、装置本体や外気からの温度の影響を受けないよう、熱的に遮断もしくは断熱されていることが好ましい。また、加熱に要するプリンタ立ち上げ時間を短縮するため、また熱エネルギーのロスを低減するために、他部位との断熱を行うとともに、加熱ユニット全体の熱容量を小さくすることが好ましい。
【0010】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載のインクジェットプリンタにおいて、
前記インクは、30℃における粘度が10mPa・s以上であることを特徴としている。
【0011】
請求項3に記載の発明によれば、インクは、30℃における粘度が10mPa・s以上であるので、インク粘度が10mPa・s未満である場合のようにインクが記録媒体に滲みやすく明瞭な記録を行えないといったことがなくなる。
【0012】
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のいずれか一項に記載のインクジェットプリンタにおいて、
前記インクは、30℃における粘度が10mPa・s以上500mPa・s以下であることを特徴としている。
【0013】
請求項4に記載の発明によれば、インクは、30℃における粘度が10mPa・s以上500mPa・s以下であるので、インク粘度が10mPa・s未満である場合のようにインクが記録媒体に滲みやすく明瞭な記録を行えないといったことがなくなり、インク粘度が500mPa・sを越える場合のように画質の平滑性が失われるといったことがなくなる。
さらに、このインクは、30℃における粘度が40mPa・s以上500mPa・s以下であることが好ましい。また、このインクは、60℃における粘度が3mPa・s以上30mPa・s以下であることが好ましく、より好ましくは、3mPa・s以上20mPa・s以下である。ここで、インク粘度が3mPa・s未満では、高速吐出に不具合が生じ、また30mPa・sを越える場合には、吐出性が劣化する。
【0014】
請求項5に記載の発明は、請求項1〜4のいずれか一項に記載のインクジェットプリンタにおいて、
前記キャップ部材にはリップ部が設けられ、
前記キャップ部材は、前記リップ部を介して前記一面に圧着されることを特徴としている。
【0015】
請求項5に記載の発明によれば、キャップ部材にはリップ部が設けられている。そして、キャップ部材は、リップ部を介して吐出口が設けられた一面に圧着される。つまり、リップ部が前記一面に押し付けられるだけで、この面にキャップ部材が圧着されることになるため、インク吸引作業が容易になりその作業性が高められる。
【0016】
請求項6に記載の発明は、請求項1〜5のいずれか一項に記載のインクジェットプリンタにおいて、
前記キャップ部材は、硬度(JIS−A)が20以上100以下の弾性変形可能なゴム又はゴム状部材から形成されることを特徴としている。
【0017】
請求項6に記載の発明によれば、キャップ部材は、弾性変形可能なゴム又はゴム状部材から形成されているので、キャップ部材が吐出口が設けられた一面に圧着される際に、この一面の表面の形状に対応してキャップ部材が弾性変形することにより、キャップ部材と前記一面とに隙間を生じることなく前記一面にキャップ部材が圧着される。
また、キャップ部材の硬度(JIS−A)が、20以上100以下であるので、キャップ部材の硬度が20未満である場合のように、柔らかすぎるためキャップ部材の成形が困難になり、無理に成形しようとするとコストアップを招いてしまうといったことがなく、キャップ部材の硬度が100を越える場合のように、硬すぎるためキャップ部材の柔軟性が十分でなくなり、キャップとしての機能が低下してしまうといったことがなくなる。
【0018】
請求項7に記載の発明は、請求項1〜6のいずれか一項に記載のインクジェットプリンタにおいて、
前記吐出口から吐出されインク吸収性のない記録媒体上に着弾したインクに紫外線を照射しこのインクを硬化させるUV硬化方式であることを特徴としている。
【0019】
請求項7に記載の発明によれば、吐出口から吐出されインク吸収性のない記録媒体上に着弾したインクに紫外線を照射しこのインクを硬化させるUV硬化方式である。すなわち、UV硬化するインクが用いられることで、インク吸収性のない記録媒体上にもインク定着され、UV硬化方式のインクジェットプリンタであっても、請求項1〜6のいずれか一項に記載の発明と同等の効果を得ることができる。
【0020】
ここで、インク吸収性のない記録媒体とは、インク吸収性のない記録媒体ないしインク吸収性の低い記録媒体(あるいは、インク非吸収性記録媒体)のことである。すなわち、インク吸収性のない材料ないしインク吸収性の低い材料(あるいはインク非吸収性材料)からなる記録媒体、あるいはインク吸収性のない材料ないしインク吸収性の低い材料(あるいはインク非吸収性材料)からなる表面層(画像形成層)を有する記録媒体であり、インク吸収性のない材料ないしインク吸収性の低い材料(あるいはインク非吸収性材料)とは、例えば各種の樹脂や金属等である。
【0021】
請求項8に記載の発明は、請求項1〜7のいずれか一項に記載のインクジェットプリンタにおいて、
前記吐出口からのインクの吐出量が1ドット当たり2pl以上20pl以下であることを特徴としている。
【0022】
請求項8に記載の発明によれば、吐出口からのインクの吐出量が1ドット当たり2pl以上20pl以下であるので、インクの吐出量が1ドット当たり2pl未満である場合のように形成される画像の濃度が低くなってしまうといったことがなくなり、前記吐出量が1ドット当たり20plを越える場合のように高精細印字が困難になるといったことがなくなる。
従って、吐出口からのインクの吐出量が1ドット当たり2pl以上20pl以下と小液滴仕様のインクジェットプリンタであっても、請求項1〜7のいずれか一項に記載の発明と同等の効果を得ることができる。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明について、図面を用いて具体的な態様を説明する。ただし、発明の範囲は、図示例に限定されない。
図1は、本発明が適用された一実施の形態のインクジェットプリンタの主要部を示す断面図である。
【0024】
本発明が適用された一実施の形態として例示されるインクジェットプリンタ100は、紫外線の照射により硬化する性質を有する紫外線硬化性インク(以下、「インク」という。)をインク滴として記録媒体1に向けて吐出し、インク滴の着弾後に着弾したインク滴に紫外線照射を行うことでインクを硬化させて記録媒体1に画像を記録する、UV硬化方式のものである。
なお、本実施の形態においては、インクとして、30℃における粘度が10mPa・s以上500mPa・s以下である高粘度インクが用いられている。このインクの粘度は、JIS Z 8803に規定する液体の粘度−測定方法において測定されたものであって、実際の粘度の測定には、HAAKE社製回転式粘度計(ビスコテスター)型式VT07Lが用いられた。
また、記録媒体1として、例えば、インク吸収性のない樹脂フィルムが用いられている。
【0025】
図1に示すように、本実施の形態のインクジェットプリンタ100は、記録ヘッド2と、キャリッジ機構3と、保湿ユニット4と、メンテナンスユニット5と、搬送機構(図示略)と、照射手段(図示略)と、制御部(図示略)と備えて構成されている。
【0026】
搬送機構は、例えば、図示しない搬送モータ及び搬送ローラ等を備えており、前記搬送モータの駆動により搬送ローラを回転させることで記録媒体1を主走査方向Aに直交する方向(以下、「副走査方向」という。)に搬送するようになっている。画像記録時において、搬送機構は、キャリッジ31の動作に合わせて、記録媒体1の搬送と停止とを繰り返して記録媒体を間欠的に搬送する。
【0027】
記録ヘッド2は、インクジェットプリンタ100で使用される4色のインクに対応して4つ設けられており、これら4つの記録ヘッド2,…の各々は、インクが貯蔵されているインクタンク(図示略)と、インク供給路(図示略)を介して連通されている。これにより、各インクタンクに収納されているインクが各記録ヘッド2に供給されるようになっている。
また、4つの記録ヘッド2,…は、主走査方向Aに並んでキャリッジ31に搭載されている。
【0028】
ここで、記録ヘッド2について、図2を参照して詳細に説明する。なお、以下に説明する記録ヘッド2の構成は、4つの記録ヘッド2,…に共通するものである。図2(a)は、記録ヘッド2を側面から見た断面図であり、図2(b)は、記録ヘッド2に備わるヒータ107を示す斜視図である。
【0029】
図2(a)に示す通り、記録ヘッド2は、流入口102と、インク流路部103と、インク室104と、ノズル105と、吐出口106と、ヒータ(加熱手段)107と、温度センサ108とを備えている。
【0030】
流入口102は、インクタンクから供給されるインクを記録ヘッド2内に流入させる。
インク流入部103は、流入口102から流入したインクを流通させる。
インク室104は、インク流路部103を通過したインクを貯留する。
【0031】
ノズル105は、記録ヘッド2の下端に副走査方向に所定数だけ並んで設けられている。
吐出口106は、ノズル105を通過したインクをインク滴として吐出する。また、吐出口106は、一のノズル105に対して一つずつ設けられており、従い、ノズル105の数と同じ数だけ設けられている。さらに、これら吐出口106,…は、記録ヘッド2の下端の一平面2a(記録媒体1に対向する面)に副走査方向に沿って並んでいる。なお、以下の説明では、記録ヘッド2の下面2aを「ノズル面2a」という。また、ノズル面2aは、水平にされ吐出口106が下方に向くように配置されている。
なお、各吐出口106から吐出される一滴(1ドット)当たりのインク滴の吐出量は、2pl以上20pl以下である。また、前記吐出量は2pl以上10pl以下であることが好ましく、更に好ましくは4pl以上7pl以下である。
【0032】
ヒータ107は、インクジェットプリンタの稼働時において、記録ヘッド2に供給されたインクを常時加熱する。また、ヒータ107は、図2(b)に示す通り、正面視して台形形状を有しかつ所定の厚みを有する部材である。
このヒータ107には、ヒータ107の厚み方向に並んだ二つの溝107a,107aが、図2(b)において左右対称にそれぞれ設けられている。これにより、ヒータ107自身の表面積を大きくして、ヒータ107とインク室104内のインクとの接触面積を大きくし、インク室104内のインクを効率よく加熱できる。
【0033】
また、ヒータ107の加熱により、ノズル面2aに付着するインクは加熱され、低粘性化される。
さらに、ヒータ107は、インクの温度が30℃以上150℃以下となるようにインクを加熱する。これにより、インクが低粘性化され、インクが吐出される際にインク吐出が安定的に行われて記録画像の画質が安定化される。
なお、前記インクタンク及びインク供給路にも、上記記録ヘッド2のヒータ107と同等の機能を有するヒータがそれぞれ設けられても良い。
【0034】
また、温度センサ108は、インク室104内のインクの温度を検知する。
さらに、温度センサ108及び上記したヒータ107は、制御部にそれぞれ接続されており、制御部が、温度センサ108により検知された検知信号に基づき、インク室104内のインクの温度を予め設定された設定温度にするように、ヒータ107の加熱を制御するようになっている。
【0035】
このように構成される記録ヘッド2は、キャリッジ31の移動に追従して主走査方向Aに移動し、この移動中において、制御部より出力された駆動信号に基づき、記録ヘッド2のノズル面2aの下方においてノズル面2aに対向配置されている記録領域Bの記録媒体1にインクを吐出していくことにより画像を形成する。
【0036】
キャリッジ機構3は、4つの記録ヘッド2,…を搭載して主走査方向Aに沿って移動可能なキャリッジ31と、主走査方向Aに沿って延在してキャリッジ31の主走査方向Aへの移動をガイドするキャリッジレール32と、キャリッジ31を支持した状態でキャリッジ31を移動させる搬送ベルト(図示略)と、キャリッジ31の移動の駆動源となる搬送モータ(図示略)とを備えている。
このキャリッジ機構3において、前記搬送モータが駆動されると前記搬送ベルトが作動し、キャリッジ31は、キャリッジレール32にガイドされた状態で主走査方向Aに沿って移動する。また、前記搬送モータの回転方向に従ってキャリッジ31の移動方向が変更され、これによって、キャリッジ31はキャリッジレール32に沿って主走査方向Aに往復移動する。さらに、キャリッジ31は、画像記録時には、記録媒体1が停止している際に主走査方向Aに往動、復動又は往復移動する。
【0037】
照射手段は、図示は省略するが、例えば、記録媒体1に付着したインクに紫外線を照射するための光源を備え、副走査方向に送り出される記録媒体1に対して紫外線を照射することにより、記録媒体1に付着したインク滴を硬化させてこの記録媒体1にインクを定着させるものである。
なお、光源としては、水銀ランプ,メタルハライドランプ,エキシマーランプ,紫外線レーザー又はLED(Light Emitting Diode)等が適用可能である。
【0038】
保湿ユニット4は、記録領域Bに隣合うホームポジション領域Cに設置されており、キャリッジ31及び記録ヘッド2が記録動作に関わらない未使用状態の時に、このキャリッジ31及び記録ヘッド2が待機する。
また、保湿ユニット4には、キャリッジ31及び記録ヘッド2の待機中において、記録ヘッド2のノズル面2aを覆って各記録ヘッド2に係るインクを密閉保湿する4つの保湿キャップ41,…が設けられている。
従って、保湿キャップ41により記録ヘッド2に係るインクの保湿が行われることで、その待機後の記録動作中における各記録ヘッド2からのインク滴の吐出が良好なものとされる。
【0039】
メンテナンスユニット5は、記録領域Bに隣合い、且つ、ホームポジション領域Cの側と反対側のメンテナンス領域Dに設置されている。また、メンテナンスユニット5は、ブレード51と、空吐出受皿52と、インク吸引機構6とを備えている。
ブレード51、空吐出受皿52、インク吸引機構6の吸引キャップ61は、メンテナンス時にメンテナンス領域Dに移動してくる記録ヘッド2のノズル面2aに対向するように配設されている。
【0040】
ブレード51は、メンテナンスユニット5の記録領域B側の端部に配置されている。また、ブレード51は、板状に形成された部材であり、インク吸引機構6によるインクの吸引が行われた後に各記録ヘッド2のノズル面2aを摺擦することでこのノズル面2aに残るインクを拭き取る。
なお、ブレード51は、例えば、所定の硬度を有するゴム又はゴム状部材により形成された弾性を有する部材であっても良い。
【0041】
空吐出受皿52は、メンテナンスユニット5のブレード51とインク吸引機構6との間に配置されており、記録ヘッド2の吐出口106から空吐出されたインクを受け取る。
なお、空吐出受部52は、この空吐出受部52に溜まったインクを廃インクタンク63まで流す回収管(図示略)を介して廃インクタンク63と接続されていても良い。
【0042】
インク吸引機構6は、ブレード51の側と反対側のメンテナンスユニット5に配置されている。また、インク吸引機構6は、記録ヘッド2のノズル面2aを吸引キャップ(キャップ部材)61で覆って吐出口106からインクを吸引するものであり、吸引キャップ61と、吸引ポンプ62と、廃インクタンク63と、インク管64とを備えている。
【0043】
吸引キャップ61は、インク吸引機構6の最も上側に設けられている。また、吸引キャップ61は、インク吸引時に各記録ヘッド2のノズル面2aの全ての吐出口106を覆うようにノズル面2aに圧着されるものである。なお、吸引キャップ61は、2つ設けられている。
吸引ポンプ62は、吸引キャップ61よりも下側に設けられている。また、吸引ポンプ62は、吸引キャップ61がノズル面2aに圧着された際に、吸引キャップ61とノズル面2aとにより形成された空間内部を吸引することにより吐出口106からノズル105内のインクを吸引する。
廃インクタンク63は、吸引ポンプ62よりも下側に設けられている。また、廃インクタンク63は、吸引ポンプ62によって吸引されたインクが回収されるものである。
インク管64は、2つ設けられており、各吸引キャップ61から廃インクタンク63まで吸引されたインクが流れるように配管されている。また、インク管64は、その開口した下端部が廃インクタンク63に挿入されている。
【0044】
ここで、吸引キャップ61について、図3を参照して詳細に説明する。図3は、記録ヘッド2と吸引キャップ61とを示す要部断面図である。
【0045】
図3に示すように、吸引キャップ61は、吸引キャップ61の下側に設けられた吸引キャップ台65に固定され、この吸引キャップ台65を介して圧縮バネ(弾性部材)66によって下側から支持されているとともに、規制部材67によってノズル面2aへの圧着角度及び方向が規制されている。
【0046】
圧縮バネ66,…は、その下端部が略水平な固定台68の上面に所定の間隔を空けて固定されている。また、圧縮バネ66,…は、固定台68の上面に対して略垂直に、且つ、互いに平行に配設されている。
さらに、2つの圧縮バネ66,…の上端部には、吸引キャップ台65の下側部材651が接続固定されている。
【0047】
吸引キャップ台65は、上記した下側部材651と、上側部材652とを備えている。
下側部材651は、水平方向に長尺な部材である。また、下側部材651の上端には、略水平な上面を有する凸部653が設けられている。そして、下側部材651の上側には、凸部653の上面全体が上側部材652の下面に当接された状態で上側部材652が固定されている。
上側部材652は、水平方向に長尺な部材である。この上側部材652の水平方向に沿った幅は、下側部材651の水平方向に沿った最大幅よりも小さくなっている。また、上側部材652の上端部は、略水平な平面(以下、「上端面」という。)となっている。そして、この上端面には、吸引キャップ61がその下面の略全体を当接した状態で固定されている。
【0048】
吸引キャップ61は、その外周縁部がリップ部611となっている。このリップ部611は、吸引キャップ61の外周縁部の上端ほど外側に開くように突出しているとともに先細りとなっており、全体として吸盤状に形成されている。そして、吸引キャップ61は、リップ部613を介してノズル面2aに圧着される。このとき、リップ部613は、弾性変形することでノズル面2aに密着して、吸引キャップ61内側のインク流路と外部空間とを遮断する。
また、リップ部611の先端部は、ノズル面2aに吸引キャップ61が圧着される際に、ノズル面2aよりもはみ出さない程度に形成されている。なお、リップ部611は、できる限り大きく形成されるのが好ましい。
【0049】
このように形成される吸引キャップ61は、硬度(JIS−A)が20以上100以下の弾性変形可能なゴム又はゴム状部材から形成されている。これにより、吸引キャップ61がノズル面2aに圧着される際に、ノズル面2aの表面の形状に対応して吸引キャップ61が弾性変形することで吸引キャップ61とノズル面2aとに隙間を生じることなくノズル面2aに吸引キャップ61が圧着される。
【0050】
ここで、ゴムまたはゴム状部材は、各種ゴム材料や熱可塑性エラストマ−などの他に、ゴム材料と同様の性質をもつ各種材料を広く含む。例えば、各種ゴム材料、樹脂材料、熱可塑性エラストマー等を、単独もしくは併用したものを用いても良い。この場合において、各種ゴム材料とは限定されるものではなく、例えば、固体のゴム材料の他に、液状の粘弾性体を硬化させて得られる液状反応硬化物等を用いても良い。
また、固体のゴム材料とは、例えば、エチレンプロピレン三元共重合体(EPDM)、ブチルゴム、ポリイソブチレン、エチレンプロピレンゴム、クロロプレンゴム、天然ゴム、スチレンブタジエンゴム、ブタジエンゴム、スチレン−イソプレン−スチレン、スチレン−ブタジエン−スチレン、ウレタンゴム等を、単独もしくは併用して用いたポリマーに対して、従来からゴム工業一般で用いられている、加硫剤や架橋剤、加硫促進剤、加硫促進助剤、粘着付与剤、充填剤、可塑剤、老化防止剤、溶剤等の配合薬品を配合し、加硫(または架橋)したものを含んだものである。
【0051】
規制部材67は、吸引キャップ台65、2つの圧縮バネ66,…を取り囲むように設けられている。また、規制部材67は、下端部671と、起立部672と、上端部673とから構成されている。
下端部671は、その下面全体を固定台68の上面に当接した状態でこの固定台68上に固定されている。
起立部672は、下端部671の圧縮バネ66側の端部から略鉛直に延出した部材である。
上端部673は、起立部672の上端から略水平に吸引キャップ台65の上側部材652側に所定の長さ延出した部材である。この上端部673の先端部は、吸引キャップ台65の下側部材561の側端部よりも内側に位置している。
【0052】
このように、吸引キャップ61は、2つの圧縮バネ66,…により支持されることによってノズル面2aに垂直な方向に略沿った軸に対して前後左右に回動自在(傾動自在)とされ、且つ、規制部材67によって吸引キャップ61の前記前後左右への回動が規制されている。
【0053】
なお、制御部は、記録ヘッド2、キャリッジ機構3と、保湿ユニット4と、メンテナンスユニット5と、搬送機構(図示略)と、照射手段(図示略)とを統括的に制御する。
【0054】
次に、インクジェットプリンタ100による記録ヘッド2のメンテナンス時の動作について説明する。
ここで、メンテナンスは、例えば、記録ヘッド2が記録媒体1に所定量画像形成を行った後や、図示しない吐出口センサが吐出口106の目詰まりを検知した際、或いはインクジェットプリンタ100の電源投入時等をメンテナンスの開始タイミングとして、制御部の制御下で行われる。
【0055】
先ず、制御部は、メンテナンスの開始タイミングとなると、キャリッジ31を制御して、メンテナンスされる記録ヘッド2をメンテナンスユニット5まで移動させて、前記記録ヘッド2のノズル面2aとメンテナンスユニット5の吸引キャップ61とを対向させる。
【0056】
そして、制御部は、メンテナンスユニット5を略垂直に上下動させる垂直駆動部(図示略)を制御して、メンテナンスユニット5を略垂直に上方(矢印E)へと移動させて、吸引キャップ61を記録ヘッド2のノズル面2aに圧着させる。
【0057】
ここで、吸引キャップ61のノズル面2aへの圧着動作について、図4を参照して説明する。図4(a)は、吸引キャップ61をノズル面2aに圧着させる前の状態を模式的に示した正面図であり、図4(b)は、吸引キャップ61をノズル面2aに圧着させた状態を模式的に示した正面図である。
【0058】
図4(a)に示すように、ノズル面2aの図4(a)における左側の端部にはインク滴が付着しており、これによってノズル面2aに凹凸が生じている。また、ノズル面2aはヒータ107によって加熱されており、これによってノズル面2aに付着するインク滴は低粘性化された状態となっている。
そして、図4(b)に示すように、吸引キャップ61をノズル面2aに圧着させると、吸引キャップ61は、ノズル面2aの凹凸を生じさせているインク滴を押し潰してこのノズル面2aを平坦化する。さらに、吸引キャップ61は、インク滴が押し潰されることで傾斜をもって平坦化されたノズル面2aに対して、圧縮バネ66により自らの角度を変えて対応するとともに、吸引キャップ61が弾性変形することにより、このノズル面2aに確実に圧着する。このとき、吸引キャップ61は、ノズル面2aに圧着されることにより圧縮バネ66が収縮することで、この収縮した圧縮バネ66によって上向きに付勢された状態となっている。これにより、吸引キャップ61のノズル面2aへの圧着がより確実なものとなっている。
【0059】
次に、制御部は、吸引ポンプ62を制御して、吸引キャップ61を介して吸引キャップ61とノズル面2aとにより形成された空間内部を吸引することで吐出口106からインクを吸引する。
インクの吸引が終了すると、制御部は、垂直駆動部を制御して、メンテナンスユニット5を略垂直に下方へと移動させて、吸引キャップ61をノズル面2aより離脱させる。
【0060】
その後、制御部の制御下で、ブレード51によるノズル面2aの清掃と、記録ヘッド2の空吐出を行うことで、吐出口106の吐出状態を復帰させて、メンテナンスを終了する。
【0061】
以上のように、本実施の形態のインクジェットプリンタ100によれば、ノズル面2aに付着したインク滴によってこのノズル面2aに凹凸又は傾斜が生じても、吸引キャップ61がノズル面2aに圧着される圧着動作時に、凹凸又は傾斜を生じさせるインク滴をヒータ107は加熱して低粘性化し、吸引キャップ61は低粘性化されたインク滴が付着しているノズル面2aに確実に圧着する。これにより、ノズル面2aと吸引キャップ61とに隙間が発生せず、吸引ポンプ62によるインクの吸引時において、ノズル面2aと吸引キャップ61との間の空間内部への空気の混入を防止して、インクの吸引を好適に行うことができる。従って、吐出口106及びノズル面2aを確実にクリーニングすることができ、その後の画像形成時におけるノズル欠や射出曲がり等の発生を防止し、記録画像の高画質化を図ることができる。
【0062】
また、リップ部611をノズル面2aに押し付けるだけで、このノズル面2aに吸引キャップ61を圧着することができるため、インク吸引作業を容易にしてその作業性を高めることができる。
さらに、吸引キャップ61の硬度(JIS−A)が、20以上100以下であるので、吸引キャップ61の硬度が20未満である場合のように、柔らかすぎるため吸引キャップ61の成形が困難になり、無理に成形しようとするとコストアップを招いてしまうといったことがなく、吸引キャップ61の硬度が100を越える場合のように、硬すぎるため吸引キャップ61の柔軟性が十分でなくなり、キャップとしての機能が低下してしまうといったことがない。
加えて、インクは、30℃における粘度が10mPa・s以上500mPa・s以下であるので、インク粘度が10mPa・s未満である場合のようにインクが記録媒体1に滲みやすく明瞭な記録を行えないといったことがなく、インク粘度が500mPa・sを越える場合のように画質の平滑性が失われるといったことがない。
また、インクジェットプリンタ100にUV硬化する高粘度インクを用いて、記録画像の形成を行うことにより、インク吸収性のない例えば樹脂フィルム等の記録媒体1上にもインク定着できる。
【0063】
<比較例1>
ここで、比較例1のインクジェットプリンタについて、図5(a)及び図5(b)を参照して説明する。
図5(a)に示すように、比較例1のインクジェットプリンタにおいては、記録ヘッド202にヒータが設けられていない。これにより、図5(b)に示すように、吸引キャップ261がノズル面202aに圧着される際に、ノズル面202aに付着するインク滴は低粘性化されていないため、ノズル面202aと吸引キャップ261とに隙間が生じて、吸引キャップ261のノズル面202aへの圧着が不確実なものとなる。
【0064】
<比較例2>
次に、比較例2のインクジェットプリンタについて、図5(c)及び図5(d)を参照して説明する。
図5(c)に示すように、比較例2のインクジェットプリンタにおいては、吸引キャップ361は、ノズル面302aに垂直な方向に略沿った軸に対して前後左右に回動自在(傾動自在)に支持されていない。これにより、図5(d)に示すように、吸引キャップ361がノズル面302aに圧着される際に、ノズル面302aに付着するインク滴はヒータ307により加熱され低粘性化されているため、吸引キャップ361は、ノズル面302aのインク滴による凹凸を押し潰してこのノズル面302aを平坦化するが、傾斜をもって平坦化されているノズル面302aに対して自らの角度を変えて対応することができない。このため、ノズル面302aと吸引キャップ361とに隙間が生じて、吸引キャップ361のノズル面302aへの圧着が不確実なものとなる。
【0065】
<弾性部材の変形例>
次に、弾性部材の変形例について、図6を参照して説明する。図6は、この変形例における吸引キャップ61と記録ヘッド2とを概略的に示した正面図である。
【0066】
図6に示すように、この変形例では、弾性部材として上記実施の形態における圧縮バネ66の代わりにゴム系弾性物質69が適用されている。すなわち、吸引キャップ61は、その下側に配設されている吸引キャップ台65を介してゴム系弾性物質69によって下側から支持されている。これにより、吸引キャップ61は、ノズル面2aに垂直な方向に略沿った軸に対して前後左右に回動自在(傾動自在)となっている。
なお、ゴム系弾性物質69が柔らかすぎる場合には、吸引キャップ61のノズル面2aへの圧着が確実に行われなくなる虞があるため、この場合は、上記実施の形態と同様に、吸引キャップ61の前記前後左右への回動を規制する規制部材を設けても良い。
【0067】
なお、本発明は、上記実施の形態に限定されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、種々の改良並びに設計の変更を行っても良い。
上記実施の形態では、ノズル面2aに付着しているインク滴をヒータ107によって加熱して低粘性化し、この低粘性化されたインク滴をリップ部611で押し潰すようにして吸引キャップ61をノズル面2aに圧着させるようにしたが、これに限られるものではなく、例えば、ノズル面2aのリップ部611により圧接されない部分にインク滴が付着していても、吸引キャップ61がノズル面2aに圧着される圧着動作時に、このインク滴はヒータ107によって加熱されて低粘性化されるので、低粘性化されたインク滴を吸引ポンプ62が好適に吸引することができる。よって、ノズル面2aに付着するインク滴の量を低減若しくはノズル面2aへのインク滴の残留を防止できる。
【0068】
また、上記実施の形態においては、UV硬化方式を採用したが、本発明はこれに限定されるものではなく、紫外線のほか、電子線、X線、可視光、赤外光などを照射する様々な光源(線源)を用いることが可能である。しかしながら、インク滴の硬化性、光源のコスト等を考慮すると、紫外線を照射する光源が好ましい。
基本的な照射方法は、特開昭60−132767号公報に開示されているように、光源が各記録ヘッド2の両側に主走査方向Aに沿って配置されるようにキャリッジ31に搭載されていてもよいし、副走査方向に搬送される記録媒体1の被記録面を吸引保持するプラテン(図示略)よりも副走査方向の下流側でかつ副走査方向に送り出される記録媒体1の全幅にわたるようにインクジェットプリンタ100本体に固定されていてもよい。ここで、光源が各記録ヘッド2の両側に配置された場合には、光源はキャリッジ31の主走査に追従しながら光を記録媒体1に照射し、光源が副走査方向のプラテンより下流側でかつ記録媒体1の幅方向にわたるようにインクジェットプリンタ100本体に固定されている場合には、光源はインクジェットプリンタ100本体に固定された状態で記録媒体1に光を照射する。なお、このような構成の場合には、各記録ヘッド2から吐出されたインク滴が記録媒体1に着弾した後に、一定時間をあけて、光源から記録媒体1に光が照射されることになる。
また、上記特開昭60−132767号公報に開示されたような上記構成に代えて、光ファイバーを用いた構成としてもよいし、コリメートされた光源から照射された光を、複数の記録ヘッド2からなるヘッドユニットの側面に設けた鏡面に当てることで記録媒体1のうちインク滴が着弾した領域に照射する構成としてもよい。なお、上記したいずれの構成においても光源をインクジェットプリンタ(キャリッジ31を含む。)100に固定すれば、光源を動かすための稼動部を省略できるので、安価な構成とすることができる。
【0069】
また、光源からの光の照射は、各記録ヘッド2からインク滴が吐出される度、つまり、一色のインク滴が吐出される度に行われることが好ましい。
さらに、上記した何れの露光方式においても光源を二種類(第一光源及び第二光源)用意し、第二光源からの光の照射によって、インク滴の硬化を完了させることが好ましい。これは、記録媒体1に着弾した二色目のインク滴の濡れ性、各インク滴間の接着性を得ること、光源を安価に組むことに寄与するからである。ここで、第一光源と第二光源とは、露光波長又は露光照度を変えることが好ましい。すなわち、第一光源の照射エネルギーを第二光源の照射エネルギーより小さくすることが好ましい。具体的には、第一光源の照射エネルギーを、照射エネルギー総量の1〜20%、好ましくは1〜10%、更に好ましくは1〜5%にする。照度を変えた照射を行うことで、インク滴が硬化した後の分子量分布が好ましいものとなる。
なお、一つの光源によって一度に高照度の照射を行ってしまうと、インクの組成物の重合率は高められるものの、重合した組成物(ポリマー)の分子量は小さく、記録媒体1に着弾したインク滴の強度が得られない。本実施形態に係るインクのように、極端に粘度の低い組成では顕著な効果が得られる。
また、第一光源から照射される光の波長を、第二光源から照射される光の波長よりも長波長とすることが好ましい。この場合、第一光源による光の照射では、インク滴の表層を硬化させて記録媒体1に対するインクの滲みを抑えられ、第二光源による光の照射では、照射線が届き難い記録媒体1近傍のインクを硬化させ、当該インクと記録媒体1との密着性を改善できる。従い、記録媒体1に着弾したインク滴内部の硬化を促進させるためにも、第二光源による光の照射線波長は短波長であることが好ましい
【0070】
さらに、本実施の形態においては、上記したインクを用いるとともに、インク滴が記録媒体1に着弾してから、0.01〜0.5秒後、好ましくは0.01〜0.3秒後、更に好ましくは0.01〜0.15秒後に、光源から光を照射するように制御される。
このように、インク滴の記録媒体1への着弾から光源による光の照射までの時間を極短時間に制御することにより、記録媒体1に着弾したインク滴が、光の被照射によって硬化する前に記録媒体1に滲むのを防止できる。
また、多孔質な記録媒体1を適用した場合には、着弾したインク滴が記録媒体1に浸透する前に、光源からの光の届かない深部まで露光できるため、未反応モノマーの残留を抑えられ、臭気を低減できる。これは、本実施形態に係るインクを用いることで大きな相乗効果を得ることができ、特に、25℃におけるインクの粘度が35〜500mPa・sのインクを用いると大きな効果を得ることができる。つまり、このような構成を適用することで、表面の濡れ性が異なる様々な記録媒体1に対しても、着弾したインク滴のドット径を一定に保つことができ、画質が向上する。
なお、記録媒体1にカラーの画像を記録する際には、明度の低い色のインクから順に重ねていくことが好ましい。何故なら、明度の低い色のインクを明度の高い色のインクの上に重ねると、明度の高い色の下部のインクまで光源からの照射線が到達しにくく、硬化感度の阻害、残留モノマーの増加、臭気の発生及び各インク滴間の密着性の劣化等が生じやすいからである。
また、光源からの光の照射については、全色のインク滴を各記録ヘッド2から吐出した後にまとめて露光することも可能だが、一色のインク滴を吐出する毎に露光する方が、インク滴の硬化を促進するという観点で好ましい。
さらに、複数の記録ヘッド2について、各記録ヘッド2間を実質的に照射線透過性とすることが好ましい。具体的には、照射線透過性の部材で各記録ヘッド2間を構成するか又は部材を配置させない構成を適用することが好ましい。このような簡単な構成を適用することで、各色毎に、インク滴が記録媒体1に着弾した直後に、速やかに光を照射することが可能であり、特に、二次色の滲み防止、双方向印字(キャリッジ31の往復動のうち往路方向及び復路方向の移動中にインク滴を吐出して画像を形成する記録。)においてキャリッジ31の往路移動での記録と復路移動での記録とのドットの滲み差を防止(キャリッジ31の往路移動での記録と復路移動での記録とで記録された色が異なるのを防ぐ)できる。
【0071】
また、本実施の形態においては、各記録ヘッド2におけるインク吐出の駆動力として、インクに対しての適用範囲が広く、高速吐出が可能な圧電体の圧電作用を利用する方式が好ましい。それは、具体的に、圧電性基体上に形成された微細な溝の内部に電極膜が形成され、更に絶縁膜で覆われてインク流路を形成するインクジェットヘッド方式である。
【0072】
さらに、本実施の形態においては、記録媒体1に着弾した際のインク滴の滴径、つまりドット径は、50μm〜200μmである。好ましくは、前記ドット径は50μm〜150μmであり、さらに好ましくは55μm〜100μmである。ここで、前記ドット径が、200μmを越える場合には高精細印字が難しく、50μm未満である場合には記録媒体1に形成される画像の濃度が低くなってしまう。
加えて、本実施の形態で適用されるインクは、水および有機溶媒を実質的に含有しないことが望ましい。ここで、実質的に含有しないとは、水および有機溶媒の含有量が1重量%未満である。
【0073】
また、本実施の形態では、インクの色として、基本的に、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)を基本色とする各プロセスカラー及びライトイエロー(LY)、ライトマゼンタ(LM)、ライトシアン(LC)、ライトブラック(LK)等が適用可能であり、その他に、ホワイト(W)、レッド(R)、ブルー(B)、グリーン(G)といった特色等も適用可能である。ここで、基本的に記録ヘッド2ごとに異なる色のインクのインク滴が吐出されるが、同じ色のインクが二以上の記録ヘッド2,…から吐出されても良い。
【0074】
【発明の効果】
請求項1に記載の発明によれば、吐出口が設けられた一面にインク滴が付着しても、キャップ部材が前記一面に圧着される圧着動作時に、このインク滴を加熱手段は加熱して低粘性化するので、この低粘性化されたインク滴を吸引ポンプが好適に吸引できる。よって、吐出口が設けられた一面に付着するインク滴の量を低減若しくは前記一面へのインク滴の残留を防止できる。
また、インク滴が吐出口が設けられた一面に付着し残留することでこの一面に固着して、この固着したインク滴によって前記一面に凹凸又は傾斜が生じても、キャップ部材が前記一面に圧着される圧着動作時に、凹凸又は傾斜を生じさせるインク滴を加熱手段は加熱して低粘性化し、さらに、キャップ部材は、前記一面の低粘性化されたインク滴による凹凸を押し潰してこの一面を平坦化するとともに、傾斜をもって平坦化される前記一面に対しても自らの角度を変えて対応することで、この一面に確実に圧着する。つまり、キャップ部材の吐出口が設けられた一面への圧着が確実なものとなるため、前記一面とキャップ部材とに隙間が発生せず、吸引ポンプによるインクの吸引時において、前記一面とキャップ部材との間の空間内部への空気の混入を防止して、インクの吸引を好適に行うことができる。従って、吐出口及び吐出口が設けられた一面を確実にクリーニングすることができ、その後の画像形成時におけるノズル欠や射出曲がり等の発生を防止し、記録画像の高画質化を図ることができる。
【0075】
請求項2に記載の発明によれば、加熱手段は、インクを30℃以上150℃以下に加熱するので、インクを低粘性化し、インク吐出を安定的に行って記録画像の画質を安定化することができる。
【0076】
請求項3に記載の発明によれば、インクは、30℃における粘度が10mPa・s以上であるので、インク粘度が10mPa・s未満である場合のようにインクが記録媒体に滲みやすく明瞭な記録を行えないといったことがない。
【0077】
請求項4に記載の発明によれば、インクは、30℃における粘度が10mPa・s以上500mPa・s以下であるので、インク粘度が10mPa・s未満である場合のようにインクが記録媒体に滲みやすく明瞭な記録を行えないといったことがなく、インク粘度が500mPa・sを越える場合のように画質の平滑性が失われるといったことがない。
【0078】
請求項5に記載の発明によれば、リップ部を吐出口が設けられた一面に押し付けるだけで、この一面にキャップ部材を圧着することができるため、インク吸引作業を容易にしてその作業性を高めることができる。
【0079】
請求項6に記載の発明によれば、キャップ部材を吐出口が設けられた一面に圧着する際に、この一面の表面の形状に対応してキャップ部材が弾性変形することにより、キャップ部材と前記一面とに隙間を生じることなく前記一面にキャップ部材を圧着することができる。また、キャップ部材の硬度(JIS−A)が、20以上100以下であるので、キャップ部材の硬度が20未満である場合のように、柔らかすぎるためキャップ部材の成形が困難になり、無理に成形しようとするとコストアップを招いてしまうといったことがなく、キャップ部材の硬度が100を越える場合のように、硬すぎるためキャップ部材の柔軟性が十分でなくなり、キャップとしての機能が低下してしまうといったことがない。
【0080】
請求項7に記載の発明によれば、UV硬化するインクを用いることで、インク吸収性のない記録媒体上にもインク定着でき、UV硬化方式のインクジェットプリンタであっても、請求項1〜6のいずれか一項に記載の発明と同等の効果を得ることができる。
【0081】
請求項8に記載の発明によれば、吐出口からのインクの吐出量が1ドット当たり2pl以上20pl以下と小液滴仕様のインクジェットプリンタであっても、請求項1〜7のいずれか一項に記載の発明と同等の効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明が適用された一実施の形態のインクジェットプリンタの主要部を示す断面図である。
【図2】図2(a)は、図1のインクジェットプリンタに備わる記録ヘッドを側面から見た断面図であり、図2(b)は、記録ヘッドに備わるヒータを示す斜視図である。
【図3】図1のインクジェットプリンタに備わる記録ヘッドと吸引キャップとを示す要部断面図である。
【図4】図3の記録ヘッドのノズル面に対する吸引キャップの圧着を説明するための正面図である。
【図5】比較例のインクジェットプリンタに備わる記録ヘッド及び吸引キャップを概略的に示した正面図である。
【図6】変形例における吸引キャップと記録ヘッドとを概略的に示した正面図である。
【符号の説明】
100 インクジェットプリンタ
1 記録媒体
2 記録ヘッド
2a ノズル面(吐出口が設けられた一面)
105 ノズル
106 吐出口
107 ヒータ(加熱手段)
5 メンテナンスユニット
51 ブレード
6 インク吸引機構
61 吸引キャップ(キャップ部材)
611 リップ部
62 吸引ポンプ
66 圧縮バネ
69 ゴム系弾性物質
【発明の属する技術分野】
本発明は、インクジェットプリンタに関する。
【0002】
【従来の技術】
インクジェットプリンタは、記録ヘッドの一面(ノズル面)に備えられた吐出口から記録媒体に向けてインクを吐出し着弾させ、この記録媒体に画像を記録する。
また、インクジェットプリンタは、樹脂フィルム等のインク吸収性のない記録媒体に画像を記録する場合には、明瞭な画像の記録を行えるという利点があることから、紫外線が照射されることで硬化する性質を有する紫外線硬化性の高粘度インクが用いられている。
【0003】
ところで、高粘度インクを用いて画像の形成を行う場合、インクジェットプリンタが長時間使用されなかったり画像形成作業の内容によっては特定の記録ヘッドを長時間使用しなかったりすると、吐出口内のインクの溶媒が蒸発してしまい、インクが増粘したりインクが吐出口に固化したりして吐出口に目詰まりが発生する場合がある。また、吐出口に連通するインクの流路内に発生した気泡やごみ等によっても吐出口の目詰まりが発生する場合がある。そのため、所定のタイミングで記録ヘッドのメンテナンス作業を行う必要がある。
ここで、メンテナンス作業としては、記録ヘッドのノズル面を吸引キャップで圧着することで覆い、この吸引キャップを介して吸引ポンプで吸引することにより、吐出口内に残留している気泡やノズル面に付着したごみ等をインクとともに吸引除去する作業や、この吸引除去作業の終了後、インクを空吐出する作業や、この空吐出後、弾性を有するブレードによりノズル面を摺擦してこのノズル面に残留したインク滴を拭き取る作業等がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、インクの吸引を行った場合に、低粘度インクに比べて高粘度インクでは、吸引されなかったインク滴が多量にノズル面に付着して残留してしまう。特に、何度もインクの吸引を行った場合には、ノズル面に高粘度インクが固着してしまいこのノズル面に凹凸や傾斜が生じることになる。この結果、吸引キャップをノズル面に圧着させた際に、吸引キャップとノズル面とに隙間が生じて、インクの吸引動作を行ってもノズル面と吸引キャップとの間の空間内部に空気が混入してインクの好適な吸引ができなくなる虞がある。そして、この状態で画像形成動作に入ると、ノズル欠や射出曲がりを発生させて画像の画質低下を招いてしまうといった問題がある。
【0005】
本発明の課題は、インク吸引作業時においてインクの好適な吸引を行うことができるインクジェットプリンタを提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の発明は、記録媒体に向けて高粘度のインクを吐出するノズルの吐出口が設けられた記録ヘッドと、インク吸引作業時に前記吐出口を覆うように前記吐出口が設けられた一面に圧着されるキャップ部材と、前記キャップ部材を介して前記吐出口から前記インクを吸引する吸引ポンプとを備えるインクジェットプリンタにおいて、
前記キャップ部材は、傾動自在に支持され、
前記インクを加熱する加熱手段が設けられ、
前記キャップ部材が前記一面に圧着される圧着動作時に、前記記録ヘッドの前記一面に存するインクは、前記加熱手段により加熱された状態にあることを特徴としている。
【0007】
請求項1に記載の発明によれば、インク吸引作業時に、高粘度のインクを吐出するノズルの吐出口を覆うようにこの吐出口が設けられた一面に圧着されるキャップ部材が備えられている。また、インクを加熱する加熱手段が設けられている。さらに、キャップ部材が前記一面に圧着される圧着動作時に、記録ヘッドの前記一面に存するインクは、加熱手段により加熱された状態にある。これにより、吐出口が設けられた一面にインク滴が付着しても、インク滴は加熱手段によって加熱されて低粘性化されるので、この低粘性化されたインク滴は吸引ポンプにより好適に吸引される。従って、吐出口が設けられた一面に付着するインク滴の量が低減若しくは前記一面へのインク滴の残留が防止される。
また、インク滴が吐出口が設けられた一面に付着し残留することでこの一面に固着して、この固着したインク滴によって前記一面に凹凸又は傾斜が生じても、キャップ部材が前記一面に圧着される圧着動作時に、凹凸又は傾斜を生じさせるインク滴は加熱手段によって加熱されて低粘性化され、さらに、低粘性化されたインク滴が存する前記一面に、傾動自在に支持されたキャップ部材が圧着される。これにより、キャップ部材は、前記一面の凹凸を押し潰してこの一面を平坦化するとともに、傾斜をもって平坦化される一面に対しても自らの角度を変えて対応することで、この一面に確実に圧着されることになる。つまり、キャップ部材の吐出口が設けられた一面への圧着が確実なものとなるため、前記一面とキャップ部材とに隙間が発生せず、吸引ポンプによる吐出口からのインクの吸引時において、前記一面とキャップ部材との間の空間内部への空気の混入が防止されて、インクの吸引が好適に行われる。従って、吐出口及び吐出口が設けられた一面が確実にクリーニングされることになり、その後の画像形成時におけるノズル欠や射出曲がり等の発生が防止され、記録画像の高画質化が図れる。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のインクジェットプリンタにおいて、
前記加熱手段は、30℃以上150℃以下に前記インクを加熱することを特徴としている。
【0009】
請求項2に記載の発明によれば、加熱手段によって、インクが30℃以上150℃以下に加熱される。これにより、インクが低粘性化され、インク吐出が安定的に行われて記録画像の画質が安定化される。
ここで、上記インクを、40℃以上150℃以下に加熱することが好ましい。30℃未満および150℃を越えた場合では、吐出が困難になる。また、例えば上記インクが照射線硬化型インクである場合、この照射線硬化型インクは概して水性インクより粘度が高いため、温度変動による粘度変動幅が大きくなる。この粘度変動はそのまま液滴サイズ、液滴吐出速度に大きく影響を与え、画質劣化をおこすため、インク温度をできるだけ一定に保つことが必要である。ここで、インク温度の制御幅は、設定温度±5℃、好ましくは設定温度±2℃、さらに好ましくは設定温度±1℃である。例えば、インクジェットプリンタには、インク温度を安定化する安定化手段が備えられるが、この安定化手段により一定温度にされる部位はインクタンク(中間タンクがある場合は中間タンク)からノズル吐出面までの配管系、部材の全てが対象となる。
また、温度コントロールのため、温度センサーを各配管部位に複数設け、インク流量、環境温度に応じた加熱制御をすることが好ましい。さらに、加熱されるヘッドユニットは、装置本体や外気からの温度の影響を受けないよう、熱的に遮断もしくは断熱されていることが好ましい。また、加熱に要するプリンタ立ち上げ時間を短縮するため、また熱エネルギーのロスを低減するために、他部位との断熱を行うとともに、加熱ユニット全体の熱容量を小さくすることが好ましい。
【0010】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載のインクジェットプリンタにおいて、
前記インクは、30℃における粘度が10mPa・s以上であることを特徴としている。
【0011】
請求項3に記載の発明によれば、インクは、30℃における粘度が10mPa・s以上であるので、インク粘度が10mPa・s未満である場合のようにインクが記録媒体に滲みやすく明瞭な記録を行えないといったことがなくなる。
【0012】
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のいずれか一項に記載のインクジェットプリンタにおいて、
前記インクは、30℃における粘度が10mPa・s以上500mPa・s以下であることを特徴としている。
【0013】
請求項4に記載の発明によれば、インクは、30℃における粘度が10mPa・s以上500mPa・s以下であるので、インク粘度が10mPa・s未満である場合のようにインクが記録媒体に滲みやすく明瞭な記録を行えないといったことがなくなり、インク粘度が500mPa・sを越える場合のように画質の平滑性が失われるといったことがなくなる。
さらに、このインクは、30℃における粘度が40mPa・s以上500mPa・s以下であることが好ましい。また、このインクは、60℃における粘度が3mPa・s以上30mPa・s以下であることが好ましく、より好ましくは、3mPa・s以上20mPa・s以下である。ここで、インク粘度が3mPa・s未満では、高速吐出に不具合が生じ、また30mPa・sを越える場合には、吐出性が劣化する。
【0014】
請求項5に記載の発明は、請求項1〜4のいずれか一項に記載のインクジェットプリンタにおいて、
前記キャップ部材にはリップ部が設けられ、
前記キャップ部材は、前記リップ部を介して前記一面に圧着されることを特徴としている。
【0015】
請求項5に記載の発明によれば、キャップ部材にはリップ部が設けられている。そして、キャップ部材は、リップ部を介して吐出口が設けられた一面に圧着される。つまり、リップ部が前記一面に押し付けられるだけで、この面にキャップ部材が圧着されることになるため、インク吸引作業が容易になりその作業性が高められる。
【0016】
請求項6に記載の発明は、請求項1〜5のいずれか一項に記載のインクジェットプリンタにおいて、
前記キャップ部材は、硬度(JIS−A)が20以上100以下の弾性変形可能なゴム又はゴム状部材から形成されることを特徴としている。
【0017】
請求項6に記載の発明によれば、キャップ部材は、弾性変形可能なゴム又はゴム状部材から形成されているので、キャップ部材が吐出口が設けられた一面に圧着される際に、この一面の表面の形状に対応してキャップ部材が弾性変形することにより、キャップ部材と前記一面とに隙間を生じることなく前記一面にキャップ部材が圧着される。
また、キャップ部材の硬度(JIS−A)が、20以上100以下であるので、キャップ部材の硬度が20未満である場合のように、柔らかすぎるためキャップ部材の成形が困難になり、無理に成形しようとするとコストアップを招いてしまうといったことがなく、キャップ部材の硬度が100を越える場合のように、硬すぎるためキャップ部材の柔軟性が十分でなくなり、キャップとしての機能が低下してしまうといったことがなくなる。
【0018】
請求項7に記載の発明は、請求項1〜6のいずれか一項に記載のインクジェットプリンタにおいて、
前記吐出口から吐出されインク吸収性のない記録媒体上に着弾したインクに紫外線を照射しこのインクを硬化させるUV硬化方式であることを特徴としている。
【0019】
請求項7に記載の発明によれば、吐出口から吐出されインク吸収性のない記録媒体上に着弾したインクに紫外線を照射しこのインクを硬化させるUV硬化方式である。すなわち、UV硬化するインクが用いられることで、インク吸収性のない記録媒体上にもインク定着され、UV硬化方式のインクジェットプリンタであっても、請求項1〜6のいずれか一項に記載の発明と同等の効果を得ることができる。
【0020】
ここで、インク吸収性のない記録媒体とは、インク吸収性のない記録媒体ないしインク吸収性の低い記録媒体(あるいは、インク非吸収性記録媒体)のことである。すなわち、インク吸収性のない材料ないしインク吸収性の低い材料(あるいはインク非吸収性材料)からなる記録媒体、あるいはインク吸収性のない材料ないしインク吸収性の低い材料(あるいはインク非吸収性材料)からなる表面層(画像形成層)を有する記録媒体であり、インク吸収性のない材料ないしインク吸収性の低い材料(あるいはインク非吸収性材料)とは、例えば各種の樹脂や金属等である。
【0021】
請求項8に記載の発明は、請求項1〜7のいずれか一項に記載のインクジェットプリンタにおいて、
前記吐出口からのインクの吐出量が1ドット当たり2pl以上20pl以下であることを特徴としている。
【0022】
請求項8に記載の発明によれば、吐出口からのインクの吐出量が1ドット当たり2pl以上20pl以下であるので、インクの吐出量が1ドット当たり2pl未満である場合のように形成される画像の濃度が低くなってしまうといったことがなくなり、前記吐出量が1ドット当たり20plを越える場合のように高精細印字が困難になるといったことがなくなる。
従って、吐出口からのインクの吐出量が1ドット当たり2pl以上20pl以下と小液滴仕様のインクジェットプリンタであっても、請求項1〜7のいずれか一項に記載の発明と同等の効果を得ることができる。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明について、図面を用いて具体的な態様を説明する。ただし、発明の範囲は、図示例に限定されない。
図1は、本発明が適用された一実施の形態のインクジェットプリンタの主要部を示す断面図である。
【0024】
本発明が適用された一実施の形態として例示されるインクジェットプリンタ100は、紫外線の照射により硬化する性質を有する紫外線硬化性インク(以下、「インク」という。)をインク滴として記録媒体1に向けて吐出し、インク滴の着弾後に着弾したインク滴に紫外線照射を行うことでインクを硬化させて記録媒体1に画像を記録する、UV硬化方式のものである。
なお、本実施の形態においては、インクとして、30℃における粘度が10mPa・s以上500mPa・s以下である高粘度インクが用いられている。このインクの粘度は、JIS Z 8803に規定する液体の粘度−測定方法において測定されたものであって、実際の粘度の測定には、HAAKE社製回転式粘度計(ビスコテスター)型式VT07Lが用いられた。
また、記録媒体1として、例えば、インク吸収性のない樹脂フィルムが用いられている。
【0025】
図1に示すように、本実施の形態のインクジェットプリンタ100は、記録ヘッド2と、キャリッジ機構3と、保湿ユニット4と、メンテナンスユニット5と、搬送機構(図示略)と、照射手段(図示略)と、制御部(図示略)と備えて構成されている。
【0026】
搬送機構は、例えば、図示しない搬送モータ及び搬送ローラ等を備えており、前記搬送モータの駆動により搬送ローラを回転させることで記録媒体1を主走査方向Aに直交する方向(以下、「副走査方向」という。)に搬送するようになっている。画像記録時において、搬送機構は、キャリッジ31の動作に合わせて、記録媒体1の搬送と停止とを繰り返して記録媒体を間欠的に搬送する。
【0027】
記録ヘッド2は、インクジェットプリンタ100で使用される4色のインクに対応して4つ設けられており、これら4つの記録ヘッド2,…の各々は、インクが貯蔵されているインクタンク(図示略)と、インク供給路(図示略)を介して連通されている。これにより、各インクタンクに収納されているインクが各記録ヘッド2に供給されるようになっている。
また、4つの記録ヘッド2,…は、主走査方向Aに並んでキャリッジ31に搭載されている。
【0028】
ここで、記録ヘッド2について、図2を参照して詳細に説明する。なお、以下に説明する記録ヘッド2の構成は、4つの記録ヘッド2,…に共通するものである。図2(a)は、記録ヘッド2を側面から見た断面図であり、図2(b)は、記録ヘッド2に備わるヒータ107を示す斜視図である。
【0029】
図2(a)に示す通り、記録ヘッド2は、流入口102と、インク流路部103と、インク室104と、ノズル105と、吐出口106と、ヒータ(加熱手段)107と、温度センサ108とを備えている。
【0030】
流入口102は、インクタンクから供給されるインクを記録ヘッド2内に流入させる。
インク流入部103は、流入口102から流入したインクを流通させる。
インク室104は、インク流路部103を通過したインクを貯留する。
【0031】
ノズル105は、記録ヘッド2の下端に副走査方向に所定数だけ並んで設けられている。
吐出口106は、ノズル105を通過したインクをインク滴として吐出する。また、吐出口106は、一のノズル105に対して一つずつ設けられており、従い、ノズル105の数と同じ数だけ設けられている。さらに、これら吐出口106,…は、記録ヘッド2の下端の一平面2a(記録媒体1に対向する面)に副走査方向に沿って並んでいる。なお、以下の説明では、記録ヘッド2の下面2aを「ノズル面2a」という。また、ノズル面2aは、水平にされ吐出口106が下方に向くように配置されている。
なお、各吐出口106から吐出される一滴(1ドット)当たりのインク滴の吐出量は、2pl以上20pl以下である。また、前記吐出量は2pl以上10pl以下であることが好ましく、更に好ましくは4pl以上7pl以下である。
【0032】
ヒータ107は、インクジェットプリンタの稼働時において、記録ヘッド2に供給されたインクを常時加熱する。また、ヒータ107は、図2(b)に示す通り、正面視して台形形状を有しかつ所定の厚みを有する部材である。
このヒータ107には、ヒータ107の厚み方向に並んだ二つの溝107a,107aが、図2(b)において左右対称にそれぞれ設けられている。これにより、ヒータ107自身の表面積を大きくして、ヒータ107とインク室104内のインクとの接触面積を大きくし、インク室104内のインクを効率よく加熱できる。
【0033】
また、ヒータ107の加熱により、ノズル面2aに付着するインクは加熱され、低粘性化される。
さらに、ヒータ107は、インクの温度が30℃以上150℃以下となるようにインクを加熱する。これにより、インクが低粘性化され、インクが吐出される際にインク吐出が安定的に行われて記録画像の画質が安定化される。
なお、前記インクタンク及びインク供給路にも、上記記録ヘッド2のヒータ107と同等の機能を有するヒータがそれぞれ設けられても良い。
【0034】
また、温度センサ108は、インク室104内のインクの温度を検知する。
さらに、温度センサ108及び上記したヒータ107は、制御部にそれぞれ接続されており、制御部が、温度センサ108により検知された検知信号に基づき、インク室104内のインクの温度を予め設定された設定温度にするように、ヒータ107の加熱を制御するようになっている。
【0035】
このように構成される記録ヘッド2は、キャリッジ31の移動に追従して主走査方向Aに移動し、この移動中において、制御部より出力された駆動信号に基づき、記録ヘッド2のノズル面2aの下方においてノズル面2aに対向配置されている記録領域Bの記録媒体1にインクを吐出していくことにより画像を形成する。
【0036】
キャリッジ機構3は、4つの記録ヘッド2,…を搭載して主走査方向Aに沿って移動可能なキャリッジ31と、主走査方向Aに沿って延在してキャリッジ31の主走査方向Aへの移動をガイドするキャリッジレール32と、キャリッジ31を支持した状態でキャリッジ31を移動させる搬送ベルト(図示略)と、キャリッジ31の移動の駆動源となる搬送モータ(図示略)とを備えている。
このキャリッジ機構3において、前記搬送モータが駆動されると前記搬送ベルトが作動し、キャリッジ31は、キャリッジレール32にガイドされた状態で主走査方向Aに沿って移動する。また、前記搬送モータの回転方向に従ってキャリッジ31の移動方向が変更され、これによって、キャリッジ31はキャリッジレール32に沿って主走査方向Aに往復移動する。さらに、キャリッジ31は、画像記録時には、記録媒体1が停止している際に主走査方向Aに往動、復動又は往復移動する。
【0037】
照射手段は、図示は省略するが、例えば、記録媒体1に付着したインクに紫外線を照射するための光源を備え、副走査方向に送り出される記録媒体1に対して紫外線を照射することにより、記録媒体1に付着したインク滴を硬化させてこの記録媒体1にインクを定着させるものである。
なお、光源としては、水銀ランプ,メタルハライドランプ,エキシマーランプ,紫外線レーザー又はLED(Light Emitting Diode)等が適用可能である。
【0038】
保湿ユニット4は、記録領域Bに隣合うホームポジション領域Cに設置されており、キャリッジ31及び記録ヘッド2が記録動作に関わらない未使用状態の時に、このキャリッジ31及び記録ヘッド2が待機する。
また、保湿ユニット4には、キャリッジ31及び記録ヘッド2の待機中において、記録ヘッド2のノズル面2aを覆って各記録ヘッド2に係るインクを密閉保湿する4つの保湿キャップ41,…が設けられている。
従って、保湿キャップ41により記録ヘッド2に係るインクの保湿が行われることで、その待機後の記録動作中における各記録ヘッド2からのインク滴の吐出が良好なものとされる。
【0039】
メンテナンスユニット5は、記録領域Bに隣合い、且つ、ホームポジション領域Cの側と反対側のメンテナンス領域Dに設置されている。また、メンテナンスユニット5は、ブレード51と、空吐出受皿52と、インク吸引機構6とを備えている。
ブレード51、空吐出受皿52、インク吸引機構6の吸引キャップ61は、メンテナンス時にメンテナンス領域Dに移動してくる記録ヘッド2のノズル面2aに対向するように配設されている。
【0040】
ブレード51は、メンテナンスユニット5の記録領域B側の端部に配置されている。また、ブレード51は、板状に形成された部材であり、インク吸引機構6によるインクの吸引が行われた後に各記録ヘッド2のノズル面2aを摺擦することでこのノズル面2aに残るインクを拭き取る。
なお、ブレード51は、例えば、所定の硬度を有するゴム又はゴム状部材により形成された弾性を有する部材であっても良い。
【0041】
空吐出受皿52は、メンテナンスユニット5のブレード51とインク吸引機構6との間に配置されており、記録ヘッド2の吐出口106から空吐出されたインクを受け取る。
なお、空吐出受部52は、この空吐出受部52に溜まったインクを廃インクタンク63まで流す回収管(図示略)を介して廃インクタンク63と接続されていても良い。
【0042】
インク吸引機構6は、ブレード51の側と反対側のメンテナンスユニット5に配置されている。また、インク吸引機構6は、記録ヘッド2のノズル面2aを吸引キャップ(キャップ部材)61で覆って吐出口106からインクを吸引するものであり、吸引キャップ61と、吸引ポンプ62と、廃インクタンク63と、インク管64とを備えている。
【0043】
吸引キャップ61は、インク吸引機構6の最も上側に設けられている。また、吸引キャップ61は、インク吸引時に各記録ヘッド2のノズル面2aの全ての吐出口106を覆うようにノズル面2aに圧着されるものである。なお、吸引キャップ61は、2つ設けられている。
吸引ポンプ62は、吸引キャップ61よりも下側に設けられている。また、吸引ポンプ62は、吸引キャップ61がノズル面2aに圧着された際に、吸引キャップ61とノズル面2aとにより形成された空間内部を吸引することにより吐出口106からノズル105内のインクを吸引する。
廃インクタンク63は、吸引ポンプ62よりも下側に設けられている。また、廃インクタンク63は、吸引ポンプ62によって吸引されたインクが回収されるものである。
インク管64は、2つ設けられており、各吸引キャップ61から廃インクタンク63まで吸引されたインクが流れるように配管されている。また、インク管64は、その開口した下端部が廃インクタンク63に挿入されている。
【0044】
ここで、吸引キャップ61について、図3を参照して詳細に説明する。図3は、記録ヘッド2と吸引キャップ61とを示す要部断面図である。
【0045】
図3に示すように、吸引キャップ61は、吸引キャップ61の下側に設けられた吸引キャップ台65に固定され、この吸引キャップ台65を介して圧縮バネ(弾性部材)66によって下側から支持されているとともに、規制部材67によってノズル面2aへの圧着角度及び方向が規制されている。
【0046】
圧縮バネ66,…は、その下端部が略水平な固定台68の上面に所定の間隔を空けて固定されている。また、圧縮バネ66,…は、固定台68の上面に対して略垂直に、且つ、互いに平行に配設されている。
さらに、2つの圧縮バネ66,…の上端部には、吸引キャップ台65の下側部材651が接続固定されている。
【0047】
吸引キャップ台65は、上記した下側部材651と、上側部材652とを備えている。
下側部材651は、水平方向に長尺な部材である。また、下側部材651の上端には、略水平な上面を有する凸部653が設けられている。そして、下側部材651の上側には、凸部653の上面全体が上側部材652の下面に当接された状態で上側部材652が固定されている。
上側部材652は、水平方向に長尺な部材である。この上側部材652の水平方向に沿った幅は、下側部材651の水平方向に沿った最大幅よりも小さくなっている。また、上側部材652の上端部は、略水平な平面(以下、「上端面」という。)となっている。そして、この上端面には、吸引キャップ61がその下面の略全体を当接した状態で固定されている。
【0048】
吸引キャップ61は、その外周縁部がリップ部611となっている。このリップ部611は、吸引キャップ61の外周縁部の上端ほど外側に開くように突出しているとともに先細りとなっており、全体として吸盤状に形成されている。そして、吸引キャップ61は、リップ部613を介してノズル面2aに圧着される。このとき、リップ部613は、弾性変形することでノズル面2aに密着して、吸引キャップ61内側のインク流路と外部空間とを遮断する。
また、リップ部611の先端部は、ノズル面2aに吸引キャップ61が圧着される際に、ノズル面2aよりもはみ出さない程度に形成されている。なお、リップ部611は、できる限り大きく形成されるのが好ましい。
【0049】
このように形成される吸引キャップ61は、硬度(JIS−A)が20以上100以下の弾性変形可能なゴム又はゴム状部材から形成されている。これにより、吸引キャップ61がノズル面2aに圧着される際に、ノズル面2aの表面の形状に対応して吸引キャップ61が弾性変形することで吸引キャップ61とノズル面2aとに隙間を生じることなくノズル面2aに吸引キャップ61が圧着される。
【0050】
ここで、ゴムまたはゴム状部材は、各種ゴム材料や熱可塑性エラストマ−などの他に、ゴム材料と同様の性質をもつ各種材料を広く含む。例えば、各種ゴム材料、樹脂材料、熱可塑性エラストマー等を、単独もしくは併用したものを用いても良い。この場合において、各種ゴム材料とは限定されるものではなく、例えば、固体のゴム材料の他に、液状の粘弾性体を硬化させて得られる液状反応硬化物等を用いても良い。
また、固体のゴム材料とは、例えば、エチレンプロピレン三元共重合体(EPDM)、ブチルゴム、ポリイソブチレン、エチレンプロピレンゴム、クロロプレンゴム、天然ゴム、スチレンブタジエンゴム、ブタジエンゴム、スチレン−イソプレン−スチレン、スチレン−ブタジエン−スチレン、ウレタンゴム等を、単独もしくは併用して用いたポリマーに対して、従来からゴム工業一般で用いられている、加硫剤や架橋剤、加硫促進剤、加硫促進助剤、粘着付与剤、充填剤、可塑剤、老化防止剤、溶剤等の配合薬品を配合し、加硫(または架橋)したものを含んだものである。
【0051】
規制部材67は、吸引キャップ台65、2つの圧縮バネ66,…を取り囲むように設けられている。また、規制部材67は、下端部671と、起立部672と、上端部673とから構成されている。
下端部671は、その下面全体を固定台68の上面に当接した状態でこの固定台68上に固定されている。
起立部672は、下端部671の圧縮バネ66側の端部から略鉛直に延出した部材である。
上端部673は、起立部672の上端から略水平に吸引キャップ台65の上側部材652側に所定の長さ延出した部材である。この上端部673の先端部は、吸引キャップ台65の下側部材561の側端部よりも内側に位置している。
【0052】
このように、吸引キャップ61は、2つの圧縮バネ66,…により支持されることによってノズル面2aに垂直な方向に略沿った軸に対して前後左右に回動自在(傾動自在)とされ、且つ、規制部材67によって吸引キャップ61の前記前後左右への回動が規制されている。
【0053】
なお、制御部は、記録ヘッド2、キャリッジ機構3と、保湿ユニット4と、メンテナンスユニット5と、搬送機構(図示略)と、照射手段(図示略)とを統括的に制御する。
【0054】
次に、インクジェットプリンタ100による記録ヘッド2のメンテナンス時の動作について説明する。
ここで、メンテナンスは、例えば、記録ヘッド2が記録媒体1に所定量画像形成を行った後や、図示しない吐出口センサが吐出口106の目詰まりを検知した際、或いはインクジェットプリンタ100の電源投入時等をメンテナンスの開始タイミングとして、制御部の制御下で行われる。
【0055】
先ず、制御部は、メンテナンスの開始タイミングとなると、キャリッジ31を制御して、メンテナンスされる記録ヘッド2をメンテナンスユニット5まで移動させて、前記記録ヘッド2のノズル面2aとメンテナンスユニット5の吸引キャップ61とを対向させる。
【0056】
そして、制御部は、メンテナンスユニット5を略垂直に上下動させる垂直駆動部(図示略)を制御して、メンテナンスユニット5を略垂直に上方(矢印E)へと移動させて、吸引キャップ61を記録ヘッド2のノズル面2aに圧着させる。
【0057】
ここで、吸引キャップ61のノズル面2aへの圧着動作について、図4を参照して説明する。図4(a)は、吸引キャップ61をノズル面2aに圧着させる前の状態を模式的に示した正面図であり、図4(b)は、吸引キャップ61をノズル面2aに圧着させた状態を模式的に示した正面図である。
【0058】
図4(a)に示すように、ノズル面2aの図4(a)における左側の端部にはインク滴が付着しており、これによってノズル面2aに凹凸が生じている。また、ノズル面2aはヒータ107によって加熱されており、これによってノズル面2aに付着するインク滴は低粘性化された状態となっている。
そして、図4(b)に示すように、吸引キャップ61をノズル面2aに圧着させると、吸引キャップ61は、ノズル面2aの凹凸を生じさせているインク滴を押し潰してこのノズル面2aを平坦化する。さらに、吸引キャップ61は、インク滴が押し潰されることで傾斜をもって平坦化されたノズル面2aに対して、圧縮バネ66により自らの角度を変えて対応するとともに、吸引キャップ61が弾性変形することにより、このノズル面2aに確実に圧着する。このとき、吸引キャップ61は、ノズル面2aに圧着されることにより圧縮バネ66が収縮することで、この収縮した圧縮バネ66によって上向きに付勢された状態となっている。これにより、吸引キャップ61のノズル面2aへの圧着がより確実なものとなっている。
【0059】
次に、制御部は、吸引ポンプ62を制御して、吸引キャップ61を介して吸引キャップ61とノズル面2aとにより形成された空間内部を吸引することで吐出口106からインクを吸引する。
インクの吸引が終了すると、制御部は、垂直駆動部を制御して、メンテナンスユニット5を略垂直に下方へと移動させて、吸引キャップ61をノズル面2aより離脱させる。
【0060】
その後、制御部の制御下で、ブレード51によるノズル面2aの清掃と、記録ヘッド2の空吐出を行うことで、吐出口106の吐出状態を復帰させて、メンテナンスを終了する。
【0061】
以上のように、本実施の形態のインクジェットプリンタ100によれば、ノズル面2aに付着したインク滴によってこのノズル面2aに凹凸又は傾斜が生じても、吸引キャップ61がノズル面2aに圧着される圧着動作時に、凹凸又は傾斜を生じさせるインク滴をヒータ107は加熱して低粘性化し、吸引キャップ61は低粘性化されたインク滴が付着しているノズル面2aに確実に圧着する。これにより、ノズル面2aと吸引キャップ61とに隙間が発生せず、吸引ポンプ62によるインクの吸引時において、ノズル面2aと吸引キャップ61との間の空間内部への空気の混入を防止して、インクの吸引を好適に行うことができる。従って、吐出口106及びノズル面2aを確実にクリーニングすることができ、その後の画像形成時におけるノズル欠や射出曲がり等の発生を防止し、記録画像の高画質化を図ることができる。
【0062】
また、リップ部611をノズル面2aに押し付けるだけで、このノズル面2aに吸引キャップ61を圧着することができるため、インク吸引作業を容易にしてその作業性を高めることができる。
さらに、吸引キャップ61の硬度(JIS−A)が、20以上100以下であるので、吸引キャップ61の硬度が20未満である場合のように、柔らかすぎるため吸引キャップ61の成形が困難になり、無理に成形しようとするとコストアップを招いてしまうといったことがなく、吸引キャップ61の硬度が100を越える場合のように、硬すぎるため吸引キャップ61の柔軟性が十分でなくなり、キャップとしての機能が低下してしまうといったことがない。
加えて、インクは、30℃における粘度が10mPa・s以上500mPa・s以下であるので、インク粘度が10mPa・s未満である場合のようにインクが記録媒体1に滲みやすく明瞭な記録を行えないといったことがなく、インク粘度が500mPa・sを越える場合のように画質の平滑性が失われるといったことがない。
また、インクジェットプリンタ100にUV硬化する高粘度インクを用いて、記録画像の形成を行うことにより、インク吸収性のない例えば樹脂フィルム等の記録媒体1上にもインク定着できる。
【0063】
<比較例1>
ここで、比較例1のインクジェットプリンタについて、図5(a)及び図5(b)を参照して説明する。
図5(a)に示すように、比較例1のインクジェットプリンタにおいては、記録ヘッド202にヒータが設けられていない。これにより、図5(b)に示すように、吸引キャップ261がノズル面202aに圧着される際に、ノズル面202aに付着するインク滴は低粘性化されていないため、ノズル面202aと吸引キャップ261とに隙間が生じて、吸引キャップ261のノズル面202aへの圧着が不確実なものとなる。
【0064】
<比較例2>
次に、比較例2のインクジェットプリンタについて、図5(c)及び図5(d)を参照して説明する。
図5(c)に示すように、比較例2のインクジェットプリンタにおいては、吸引キャップ361は、ノズル面302aに垂直な方向に略沿った軸に対して前後左右に回動自在(傾動自在)に支持されていない。これにより、図5(d)に示すように、吸引キャップ361がノズル面302aに圧着される際に、ノズル面302aに付着するインク滴はヒータ307により加熱され低粘性化されているため、吸引キャップ361は、ノズル面302aのインク滴による凹凸を押し潰してこのノズル面302aを平坦化するが、傾斜をもって平坦化されているノズル面302aに対して自らの角度を変えて対応することができない。このため、ノズル面302aと吸引キャップ361とに隙間が生じて、吸引キャップ361のノズル面302aへの圧着が不確実なものとなる。
【0065】
<弾性部材の変形例>
次に、弾性部材の変形例について、図6を参照して説明する。図6は、この変形例における吸引キャップ61と記録ヘッド2とを概略的に示した正面図である。
【0066】
図6に示すように、この変形例では、弾性部材として上記実施の形態における圧縮バネ66の代わりにゴム系弾性物質69が適用されている。すなわち、吸引キャップ61は、その下側に配設されている吸引キャップ台65を介してゴム系弾性物質69によって下側から支持されている。これにより、吸引キャップ61は、ノズル面2aに垂直な方向に略沿った軸に対して前後左右に回動自在(傾動自在)となっている。
なお、ゴム系弾性物質69が柔らかすぎる場合には、吸引キャップ61のノズル面2aへの圧着が確実に行われなくなる虞があるため、この場合は、上記実施の形態と同様に、吸引キャップ61の前記前後左右への回動を規制する規制部材を設けても良い。
【0067】
なお、本発明は、上記実施の形態に限定されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、種々の改良並びに設計の変更を行っても良い。
上記実施の形態では、ノズル面2aに付着しているインク滴をヒータ107によって加熱して低粘性化し、この低粘性化されたインク滴をリップ部611で押し潰すようにして吸引キャップ61をノズル面2aに圧着させるようにしたが、これに限られるものではなく、例えば、ノズル面2aのリップ部611により圧接されない部分にインク滴が付着していても、吸引キャップ61がノズル面2aに圧着される圧着動作時に、このインク滴はヒータ107によって加熱されて低粘性化されるので、低粘性化されたインク滴を吸引ポンプ62が好適に吸引することができる。よって、ノズル面2aに付着するインク滴の量を低減若しくはノズル面2aへのインク滴の残留を防止できる。
【0068】
また、上記実施の形態においては、UV硬化方式を採用したが、本発明はこれに限定されるものではなく、紫外線のほか、電子線、X線、可視光、赤外光などを照射する様々な光源(線源)を用いることが可能である。しかしながら、インク滴の硬化性、光源のコスト等を考慮すると、紫外線を照射する光源が好ましい。
基本的な照射方法は、特開昭60−132767号公報に開示されているように、光源が各記録ヘッド2の両側に主走査方向Aに沿って配置されるようにキャリッジ31に搭載されていてもよいし、副走査方向に搬送される記録媒体1の被記録面を吸引保持するプラテン(図示略)よりも副走査方向の下流側でかつ副走査方向に送り出される記録媒体1の全幅にわたるようにインクジェットプリンタ100本体に固定されていてもよい。ここで、光源が各記録ヘッド2の両側に配置された場合には、光源はキャリッジ31の主走査に追従しながら光を記録媒体1に照射し、光源が副走査方向のプラテンより下流側でかつ記録媒体1の幅方向にわたるようにインクジェットプリンタ100本体に固定されている場合には、光源はインクジェットプリンタ100本体に固定された状態で記録媒体1に光を照射する。なお、このような構成の場合には、各記録ヘッド2から吐出されたインク滴が記録媒体1に着弾した後に、一定時間をあけて、光源から記録媒体1に光が照射されることになる。
また、上記特開昭60−132767号公報に開示されたような上記構成に代えて、光ファイバーを用いた構成としてもよいし、コリメートされた光源から照射された光を、複数の記録ヘッド2からなるヘッドユニットの側面に設けた鏡面に当てることで記録媒体1のうちインク滴が着弾した領域に照射する構成としてもよい。なお、上記したいずれの構成においても光源をインクジェットプリンタ(キャリッジ31を含む。)100に固定すれば、光源を動かすための稼動部を省略できるので、安価な構成とすることができる。
【0069】
また、光源からの光の照射は、各記録ヘッド2からインク滴が吐出される度、つまり、一色のインク滴が吐出される度に行われることが好ましい。
さらに、上記した何れの露光方式においても光源を二種類(第一光源及び第二光源)用意し、第二光源からの光の照射によって、インク滴の硬化を完了させることが好ましい。これは、記録媒体1に着弾した二色目のインク滴の濡れ性、各インク滴間の接着性を得ること、光源を安価に組むことに寄与するからである。ここで、第一光源と第二光源とは、露光波長又は露光照度を変えることが好ましい。すなわち、第一光源の照射エネルギーを第二光源の照射エネルギーより小さくすることが好ましい。具体的には、第一光源の照射エネルギーを、照射エネルギー総量の1〜20%、好ましくは1〜10%、更に好ましくは1〜5%にする。照度を変えた照射を行うことで、インク滴が硬化した後の分子量分布が好ましいものとなる。
なお、一つの光源によって一度に高照度の照射を行ってしまうと、インクの組成物の重合率は高められるものの、重合した組成物(ポリマー)の分子量は小さく、記録媒体1に着弾したインク滴の強度が得られない。本実施形態に係るインクのように、極端に粘度の低い組成では顕著な効果が得られる。
また、第一光源から照射される光の波長を、第二光源から照射される光の波長よりも長波長とすることが好ましい。この場合、第一光源による光の照射では、インク滴の表層を硬化させて記録媒体1に対するインクの滲みを抑えられ、第二光源による光の照射では、照射線が届き難い記録媒体1近傍のインクを硬化させ、当該インクと記録媒体1との密着性を改善できる。従い、記録媒体1に着弾したインク滴内部の硬化を促進させるためにも、第二光源による光の照射線波長は短波長であることが好ましい
【0070】
さらに、本実施の形態においては、上記したインクを用いるとともに、インク滴が記録媒体1に着弾してから、0.01〜0.5秒後、好ましくは0.01〜0.3秒後、更に好ましくは0.01〜0.15秒後に、光源から光を照射するように制御される。
このように、インク滴の記録媒体1への着弾から光源による光の照射までの時間を極短時間に制御することにより、記録媒体1に着弾したインク滴が、光の被照射によって硬化する前に記録媒体1に滲むのを防止できる。
また、多孔質な記録媒体1を適用した場合には、着弾したインク滴が記録媒体1に浸透する前に、光源からの光の届かない深部まで露光できるため、未反応モノマーの残留を抑えられ、臭気を低減できる。これは、本実施形態に係るインクを用いることで大きな相乗効果を得ることができ、特に、25℃におけるインクの粘度が35〜500mPa・sのインクを用いると大きな効果を得ることができる。つまり、このような構成を適用することで、表面の濡れ性が異なる様々な記録媒体1に対しても、着弾したインク滴のドット径を一定に保つことができ、画質が向上する。
なお、記録媒体1にカラーの画像を記録する際には、明度の低い色のインクから順に重ねていくことが好ましい。何故なら、明度の低い色のインクを明度の高い色のインクの上に重ねると、明度の高い色の下部のインクまで光源からの照射線が到達しにくく、硬化感度の阻害、残留モノマーの増加、臭気の発生及び各インク滴間の密着性の劣化等が生じやすいからである。
また、光源からの光の照射については、全色のインク滴を各記録ヘッド2から吐出した後にまとめて露光することも可能だが、一色のインク滴を吐出する毎に露光する方が、インク滴の硬化を促進するという観点で好ましい。
さらに、複数の記録ヘッド2について、各記録ヘッド2間を実質的に照射線透過性とすることが好ましい。具体的には、照射線透過性の部材で各記録ヘッド2間を構成するか又は部材を配置させない構成を適用することが好ましい。このような簡単な構成を適用することで、各色毎に、インク滴が記録媒体1に着弾した直後に、速やかに光を照射することが可能であり、特に、二次色の滲み防止、双方向印字(キャリッジ31の往復動のうち往路方向及び復路方向の移動中にインク滴を吐出して画像を形成する記録。)においてキャリッジ31の往路移動での記録と復路移動での記録とのドットの滲み差を防止(キャリッジ31の往路移動での記録と復路移動での記録とで記録された色が異なるのを防ぐ)できる。
【0071】
また、本実施の形態においては、各記録ヘッド2におけるインク吐出の駆動力として、インクに対しての適用範囲が広く、高速吐出が可能な圧電体の圧電作用を利用する方式が好ましい。それは、具体的に、圧電性基体上に形成された微細な溝の内部に電極膜が形成され、更に絶縁膜で覆われてインク流路を形成するインクジェットヘッド方式である。
【0072】
さらに、本実施の形態においては、記録媒体1に着弾した際のインク滴の滴径、つまりドット径は、50μm〜200μmである。好ましくは、前記ドット径は50μm〜150μmであり、さらに好ましくは55μm〜100μmである。ここで、前記ドット径が、200μmを越える場合には高精細印字が難しく、50μm未満である場合には記録媒体1に形成される画像の濃度が低くなってしまう。
加えて、本実施の形態で適用されるインクは、水および有機溶媒を実質的に含有しないことが望ましい。ここで、実質的に含有しないとは、水および有機溶媒の含有量が1重量%未満である。
【0073】
また、本実施の形態では、インクの色として、基本的に、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)を基本色とする各プロセスカラー及びライトイエロー(LY)、ライトマゼンタ(LM)、ライトシアン(LC)、ライトブラック(LK)等が適用可能であり、その他に、ホワイト(W)、レッド(R)、ブルー(B)、グリーン(G)といった特色等も適用可能である。ここで、基本的に記録ヘッド2ごとに異なる色のインクのインク滴が吐出されるが、同じ色のインクが二以上の記録ヘッド2,…から吐出されても良い。
【0074】
【発明の効果】
請求項1に記載の発明によれば、吐出口が設けられた一面にインク滴が付着しても、キャップ部材が前記一面に圧着される圧着動作時に、このインク滴を加熱手段は加熱して低粘性化するので、この低粘性化されたインク滴を吸引ポンプが好適に吸引できる。よって、吐出口が設けられた一面に付着するインク滴の量を低減若しくは前記一面へのインク滴の残留を防止できる。
また、インク滴が吐出口が設けられた一面に付着し残留することでこの一面に固着して、この固着したインク滴によって前記一面に凹凸又は傾斜が生じても、キャップ部材が前記一面に圧着される圧着動作時に、凹凸又は傾斜を生じさせるインク滴を加熱手段は加熱して低粘性化し、さらに、キャップ部材は、前記一面の低粘性化されたインク滴による凹凸を押し潰してこの一面を平坦化するとともに、傾斜をもって平坦化される前記一面に対しても自らの角度を変えて対応することで、この一面に確実に圧着する。つまり、キャップ部材の吐出口が設けられた一面への圧着が確実なものとなるため、前記一面とキャップ部材とに隙間が発生せず、吸引ポンプによるインクの吸引時において、前記一面とキャップ部材との間の空間内部への空気の混入を防止して、インクの吸引を好適に行うことができる。従って、吐出口及び吐出口が設けられた一面を確実にクリーニングすることができ、その後の画像形成時におけるノズル欠や射出曲がり等の発生を防止し、記録画像の高画質化を図ることができる。
【0075】
請求項2に記載の発明によれば、加熱手段は、インクを30℃以上150℃以下に加熱するので、インクを低粘性化し、インク吐出を安定的に行って記録画像の画質を安定化することができる。
【0076】
請求項3に記載の発明によれば、インクは、30℃における粘度が10mPa・s以上であるので、インク粘度が10mPa・s未満である場合のようにインクが記録媒体に滲みやすく明瞭な記録を行えないといったことがない。
【0077】
請求項4に記載の発明によれば、インクは、30℃における粘度が10mPa・s以上500mPa・s以下であるので、インク粘度が10mPa・s未満である場合のようにインクが記録媒体に滲みやすく明瞭な記録を行えないといったことがなく、インク粘度が500mPa・sを越える場合のように画質の平滑性が失われるといったことがない。
【0078】
請求項5に記載の発明によれば、リップ部を吐出口が設けられた一面に押し付けるだけで、この一面にキャップ部材を圧着することができるため、インク吸引作業を容易にしてその作業性を高めることができる。
【0079】
請求項6に記載の発明によれば、キャップ部材を吐出口が設けられた一面に圧着する際に、この一面の表面の形状に対応してキャップ部材が弾性変形することにより、キャップ部材と前記一面とに隙間を生じることなく前記一面にキャップ部材を圧着することができる。また、キャップ部材の硬度(JIS−A)が、20以上100以下であるので、キャップ部材の硬度が20未満である場合のように、柔らかすぎるためキャップ部材の成形が困難になり、無理に成形しようとするとコストアップを招いてしまうといったことがなく、キャップ部材の硬度が100を越える場合のように、硬すぎるためキャップ部材の柔軟性が十分でなくなり、キャップとしての機能が低下してしまうといったことがない。
【0080】
請求項7に記載の発明によれば、UV硬化するインクを用いることで、インク吸収性のない記録媒体上にもインク定着でき、UV硬化方式のインクジェットプリンタであっても、請求項1〜6のいずれか一項に記載の発明と同等の効果を得ることができる。
【0081】
請求項8に記載の発明によれば、吐出口からのインクの吐出量が1ドット当たり2pl以上20pl以下と小液滴仕様のインクジェットプリンタであっても、請求項1〜7のいずれか一項に記載の発明と同等の効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明が適用された一実施の形態のインクジェットプリンタの主要部を示す断面図である。
【図2】図2(a)は、図1のインクジェットプリンタに備わる記録ヘッドを側面から見た断面図であり、図2(b)は、記録ヘッドに備わるヒータを示す斜視図である。
【図3】図1のインクジェットプリンタに備わる記録ヘッドと吸引キャップとを示す要部断面図である。
【図4】図3の記録ヘッドのノズル面に対する吸引キャップの圧着を説明するための正面図である。
【図5】比較例のインクジェットプリンタに備わる記録ヘッド及び吸引キャップを概略的に示した正面図である。
【図6】変形例における吸引キャップと記録ヘッドとを概略的に示した正面図である。
【符号の説明】
100 インクジェットプリンタ
1 記録媒体
2 記録ヘッド
2a ノズル面(吐出口が設けられた一面)
105 ノズル
106 吐出口
107 ヒータ(加熱手段)
5 メンテナンスユニット
51 ブレード
6 インク吸引機構
61 吸引キャップ(キャップ部材)
611 リップ部
62 吸引ポンプ
66 圧縮バネ
69 ゴム系弾性物質
Claims (8)
- 記録媒体に向けて高粘度のインクを吐出するノズルの吐出口が設けられた記録ヘッドと、インク吸引作業時に前記吐出口を覆うように前記吐出口が設けられた一面に圧着されるキャップ部材と、前記キャップ部材を介して前記吐出口から前記インクを吸引する吸引ポンプとを備えるインクジェットプリンタにおいて、
前記キャップ部材は、傾動自在に支持され、
前記インクを加熱する加熱手段が設けられ、
前記キャップ部材が前記一面に圧着される圧着動作時に、前記記録ヘッドの前記一面に存するインクは、前記加熱手段により加熱された状態にあることを特徴とするインクジェットプリンタ。 - 請求項1に記載のインクジェットプリンタにおいて、
前記加熱手段は、30℃以上150℃以下に前記インクを加熱することを特徴とするインクジェットプリンタ。 - 請求項1又は2に記載のインクジェットプリンタにおいて、
前記インクは、30℃における粘度が10mPa・s以上であることを特徴とするインクジェットプリンタ。 - 請求項1〜3のいずれか一項に記載のインクジェットプリンタにおいて、
前記インクは、30℃における粘度が10mPa・s以上500mPa・s以下であることを特徴とするインクジェットプリンタ。 - 請求項1〜4のいずれか一項に記載のインクジェットプリンタにおいて、
前記キャップ部材にはリップ部が設けられ、
前記キャップ部材は、前記リップ部を介して前記一面に圧着されることを特徴とするインクジェットプリンタ。 - 請求項1〜5のいずれか一項に記載のインクジェットプリンタにおいて、
前記キャップ部材は、硬度(JIS−A)が20以上100以下の弾性変形可能なゴム又はゴム状部材から形成されることを特徴とするインクジェットプリンタ。 - 請求項1〜6のいずれか一項に記載のインクジェットプリンタにおいて、
前記吐出口から吐出されインク吸収性のない記録媒体上に着弾したインクに紫外線を照射しこのインクを硬化させるUV硬化方式であることを特徴とするインクジェットプリンタ。 - 請求項1〜7のいずれか一項に記載のインクジェットプリンタにおいて、
前記吐出口からのインクの吐出量が1ドット当たり2pl以上20pl以下であることを特徴とするインクジェットプリンタ。
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JP2010082997A (ja) * | 2008-09-30 | 2010-04-15 | Brother Ind Ltd | ヘッドキャップ |
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2002
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