JP2004237294A - レーザー穴開け用銅箔 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明は、銅箔のレーザーが照射される面にCuとNi及びCoからなる合金微細粗化粒子層を施し、その上にCo又はNiによる平滑カバーめっき層を設け、銅箔の樹脂に接着される側の面にCuとCo又はCuとNi及びCoからなる合金微細粗化粒子層が付着されていることを特徴とするレーザー穴開け用銅箔である。
【選択図】 なし
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は銅箔にレーザー光を照射して穴開けするレーザー穴開け性に優れたレーザー穴開け用銅箔に関するもので、銅箔表面に設けた処理粒子が粉落ちし難い特性を有するものである。
【0002】
【従来の技術】
電子機器の小型化、軽量化に伴い、最近の各種電子部品は高度に集積化されている。これに対応して、プリント配線板においても微細な線幅と配線ピッチからなる高密度化回路パターンが要求され、これに伴い、ビアホールやスルーホールの穴径にも微細化が求められ、従来の機械ドリルによる穴開けでは対応できない状況になってきており、レーザーによる穴開けが実用化されてきている。
【0003】
レーザーによる穴開けは、生産性が良い点から炭酸ガスレーザーの使用が望ましい。しかしながら、プリント配線板を構成する銅箔表面は炭酸ガスレーザー光を殆ど反射してしまうため、直接、炭酸ガスレーザーで銅箔に穴開けすることは極めて困難である。そのため、あらかじめ穴開けする部分の銅箔をエッチング除去しておいてからレーザー光を当てるコンフォーマルマスク法や、銅箔表面をケミカル処理して荒らすことによりレーザー光の吸収性を良くする方法、あるいはまた、銅箔表面にレーザー吸収性の良い金属層をめっきしておく方法等が採られている。
【0004】
このうち、レーザー吸収性の良い金属層をめっきしておく方法が特許第3258308号公報に開示されている。しかしながら、この開示された方法は銅箔表面に平滑金属めっき層を設けるもので、レーザー光吸収性が充分でなく、12μm箔での開孔率を100%にするためには少なくとも20.9mj/パルスの高いエネルギーが必要であり、このような高いエネルギーレベルのパルスでは実用化し難い欠点があった。
【0005】
また、本発明者らは特願2002−256666号出願において、Cu、若しくはCuとMoの合金粒子、またはCuとNi、Co、Fe及びCrの群から選ばれる少なくとも1種の元素とからなる合金粒子、若しくは該合金粒子とV、Mo、及びWの群から選ばれる少なくとも1種の元素の酸化物との混合物である微細粗化粒子を箔表面に施した銅箔について開示した。
【0006】
この発明は、ファインパターンを作成しやすい銅箔や表面積の小さい銅箔を目的としたものであるが、本発明者らはその後、この微細粗化粒子のうち、CuとNi及びCoからなる合金微細粗化粒子が、その凹凸と金属自体のレーザー光吸収性の良さとが相俟ってレーザー光を非常に吸収しやすいことを見出した。しかし、銅箔光沢面にこの微細粗化粒子処理を行った場合、光沢面研磨目に微細粗化粒子が集中することにより粉落ちしやすくなる欠点を見出した。銅箔において粉落ちが発生すると、設備を汚したり、落下粗化粒子が製品中に混入することによるプリント配線板の電気特性劣化等の不具合を起こす原因となることが懸念される。
【0007】
一方、レーザーを用いた穴開けにおいては、銅箔自体の穴開け特性の他にその下に存在するプリント配線基板(樹脂層)に開けられる穴形状にも問題が発生する。銅箔穴開けに必要なエネルギーは樹脂穴開けに必要なエネルギーよりはるかに大きいため、銅箔に開けられた穴周囲の直下の樹脂部分が抉り取られた状態となり、銅箔が庇状に張り出す現象が発生する。このように、銅箔が庇形状となったビアホールあるいはスルーホールでは、ホール内のめっきを完全に行うことが難しく、電気特性に問題が生じる心配がある。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、このような従来技術の課題を解消すべくなされたもので、レーザー穴開け性に優れ、且つ、粉落ち問題のないレーザー穴開け用銅箔を提供することを目的とするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、銅箔表面に設けるCuとNi及びCoからなる合金微細粗化粒子層がレーザー光の吸収性に優れていること、更に、この微細粗化粒子にCo又はNiをカバーめっきすることで、レーザー穴開け性を保持しながら粉落ちの心配がない表面処理ができること、銅箔と樹脂との接着面にもレーザー光照射面と同じ表面処理を施すことにより、より穴開け性が向上することを見いだし本発明を完成した。
【0010】
即ち、本発明は、開けられた穴周囲の庇問題を解決するためには、樹脂に与えるレーザー光のダメージをできるだけ少なくする必要性から、銅箔のレーザーが照射される面と反対の面、即ち、銅箔が樹脂と接着される面にもレーザー光を吸収しやすい金属層を設けることにより庇の出方を少なくできる銅箔を完成した。
【0011】
本願請求項1の発明は、銅箔のレーザーが照射される面にCuとNi及びCoからなる合金微細粗化粒子層を施し、その上にCo又はNiによる平滑カバーめっき層を設け、銅箔の樹脂に接着される側の面にCuとCo又はCuとNi及びCoからなる合金微細粗化粒子層が付着されていることを特徴とするレーザー穴開け用銅箔である。
【0012】
更に本願請求項2の発明は、銅箔のレーザーが照射される面にCuとNi及びCoからなる合金微細粗化粒子層を施し、その上にCo又はNiによる平滑カバーめっき層を設け、銅箔の樹脂に接着される側の面にCuとCo又はCuとNi及びCoからなる合金微細粗化粒子層が付着され、その上にCo又はNiによる平滑カバーめっき層を設けてなることを特徴とするレーザー穴開け用銅箔である。
【0013】
本発明において、銅箔の樹脂と接着する面にもレーザー光を吸収しやすい層を設けることにより庇の出方を少なくできることを実験的に確認した。しかし、その理由は定かではないが、レーザー光の銅箔への吸収性が更に良くなるところから、樹脂に与える影響が少なくなるものと考えられる。
【0014】
なお、上記本発明銅箔の最外層表面に防錆処理を施しておくことが好ましい。また、少なくとも樹脂接着面側最外層表面にシランカップリング処理を施すことが望ましい。
【0015】
【発明の実施の形態】
次に、本発明銅箔の実施形態につき説明する。
レーザー光を吸収しやすい微細粗化粒子における各元素の存在量は、Cuの存在量1mg/dm2箔当たりNi及びCoが0.1〜3mg/dm2箔が好ましい。
Ni及びCoがこの範囲を外れた組成では、微細粗化粒子が粉落ちしやすくなったり、レーザー光吸収性が悪くなったりする。また、Niの存在量がCuの存在量1mg/dm2箔当たり3mg/dm2箔より多くなるような合金組成では、Niがエッチングされにくい金属であるためファインパターン作製が困難となる。
【0016】
本発明に使用される銅箔は、電解銅箔、圧延銅箔のいずれであってもよい。
以下に、本発明を実施形態に基づいて詳しく説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
実施例1
厚さ12μmの未処理電解銅箔の光沢面をレーザーを照射する面(以下レーザー照射面と表現することがある)として選び、次のめっき条件でCuとNi及びCoからなる合金微細粗化粒子を付着させ、更にその上にCoによる平滑カバーめっきを行った。
合金微細粗化粒子形成条件
【0017】
Co金属平滑カバーめっき条件
上記条件によりめっきした微細粗化粒子の組成は、分析した結果、
実組成mg/dm2箔として;Cu:6.6,Co:11.0,Ni:9.5
であった。
【0018】
次いで、樹脂接着面(前記光沢面とは反対側の面であるマット面)には次の条件でCuとCoからなる合金微細粗化粒子を施した。
【0019】
実施例2
厚さ12μmの未処理電解銅箔のレーザー照射面に実施例1と同じ条件でCuとNi及びCoからなる合金微細粗化粒子を付着させ、更にその上にNi金属による平滑カバーめっきを行った。
Ni金属平滑カバーめっき条件
次いで、樹脂接着面に実施例1と同じ条件でCuとCoからなる合金微細粗化粒子を施した。
【0020】
実施例3
厚さ12μmの未処理電解銅箔のレーザー照射面に実施例1と同一条件でCuとNi及びCoからなる合金微細粗化粒子を付着させ、更にその上にCo金属による平滑カバーめっきを行った。
次いで、樹脂接着面にも実施例1と同一条件でCuとNi及びCoからなる合金微細粗化粒子を付着させた。
【0021】
実施例4
厚さ12μmの未処理電解銅箔の光沢面及びマット面に実施例1と同じ処理条件でCuとNi及びCoからなる合金微細粗化粒子を付着させ、更にその上にCoによる平滑カバーめっきを行った。
【0022】
実施例5
実施例1で処理した銅箔の両面最外層に、更に、次の条件で陰極クロメート防錆処理を施した。
【0023】
実施例6
実施例5で作成した銅箔の樹脂接着面最外層に、更に、次の条件でシランカップリング処理を施した。
【0024】
比較例1
厚さ12μmの未処理電解銅箔のレーザー照射面に、実施例1に示すめっき液を用いて次の条件でCoめっきを行った。樹脂接着面側には、通常の粗化処理及び表面処理を行った。
【0025】
比較例2
厚さ12μmの未処理電解銅箔のレーザー照射面に、実施例2に示す液を用いて次の条件でNiめっきを行った。樹脂接着面側には、通常の粗化処理及び表面処理を行った。
【0026】
比較例3
厚さ12μmの未処理電解銅箔のレーザー照射面に、実施例1に示す条件でCuとNi及びCoからなる合金微細粗化粒子を付着させた。樹脂接着面側には、通常の粗化処理及び表面処理を行った。
【0027】
得られた表面処理銅箔について以下のテストを行った。
1.粉落ちテスト
実施例及び比較例の銅箔をレーザー吸収のための処理が施されたレーザー照射面を上にして平らな台の上に置き、濾紙(東洋濾紙 No.2)を乗せ、その上に重り(底部直径 15mmφの円形で重さ250 g)を置き、濾紙を15 cm移動させた後、濾紙への銅粉付着有無を見た。
【0028】
2.レーザー穴開けテスト
実施例及び比較例銅箔の樹脂接着面側にFR−4プリプレグ(松下電工製 R−1661)1枚と12μmの通常銅箔を置いてプレス積層し、得られた積層板のレーザー照射面に次の条件でレーザー光を当てて穴開け性を見た。
使用レーザー機: 三菱電機製 ML605GTX
周波数: 100Hz
パルス幅: 14.5μm
マスク径: 2.1mmφ
ショット数: 1ショット
【0029】
レーザー光として9.5〜13.0mj/パルスのエネルギーを照射し、レーザー穴開け性の評価を次の方法で行い、評価した。
穴部を超深度形状測定顕微鏡(キーエンス社製 型番:VK−8510)で観察し、近似円を描き、その近似円の半径で判定した。評価はこの穴径の大きい方がレーザー穴開け性が良いことを意味する。
【0030】
3.庇について
穴部の断面写真を撮り、庇の大きさを相対評価した。 表1には、庇の出方が極めて小さいものを○、庇がやや認められるが実用上問題ないものを△、庇が大きいものを×で示した。
結果を表1に示す。
【0031】
【表1】
【0032】
1.粉落ち性
表1から明らかなように、表面に平滑カバーめっき層を設けなかった比較例3のみに粉落ちが見られた。
【0033】
2.レーザー穴開け性
表1から明らかなように、実施例1乃至6では、全て60μm以上の穴半径を有する穴が開けられ、比較例1及び2は殆どが60μm以下の大きさであり、実施例の方が効率よく穴が開けられることが実証された。
【0034】
3.庇について
実施例1乃至6は○と優れ、実用化が可能であったのに対し、比較例1,2は庇が大きく、実用化できない程度であった。
表1から総合的に判断すると、実施例1乃至6は実用化において問題がなかったが、比較例1では庇が大きく、比較例2は庇が大きく、かつレーザー穴開け性にも劣り、比較例3は粉落ちする点で不良と判断した。
【0035】
【発明の効果】
本発明のレーザー穴開け用銅箔は、プリント配線基板内に庇が発生しない程度のレーザー光エネルギーで良好なレーザー穴開け性を持ち、粉落ちがないことから炭酸ガスレーザーでの直接穴開けを可能とし、本発明銅箔により電気機器の小型化、軽量化に伴う高度に集積化されるプリント配線板の製造を可能とする等の優れた効果を有するものである。
Claims (4)
- 銅箔のレーザーが照射される面にCuとNi及びCoからなる合金微細粗化粒子層を施し、その上にCo又はNiによる平滑カバーめっき層を設け、銅箔の樹脂に接着される側の面にCuとCo又はCuとNi及びCoからなる合金微細粗化粒子層が付着されていることを特徴とするレーザー穴開け用銅箔。
- 銅箔のレーザーが照射される面にCuとNi及びCoからなる合金微細粗化粒子層を施し、その上にCo又はNiによる平滑カバーめっき層を設け、銅箔の樹脂に接着される側の面にCuとCo又はCuとNi及びCoからなる合金微細粗化粒子層が付着され、その上にCo又はNiによる平滑カバーめっき層を設けてなることを特徴とするレーザー穴開け用銅箔。
- 防錆処理が最外層に施された請求項1又は2に記載のレーザー穴開け用銅箔。
- シランカップリング処理が少なくとも樹脂に接着される側の最外層表面に施された請求項1乃至3のいずれかに記載のレーザー穴開け用銅箔。
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2003
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