JP3785022B2 - レーザー穴開け性に優れた樹脂積層板 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、プリント回路基板の層間接続孔(ビアホール、スルーホール)を効率良く形成できるレーザー穴開け性に優れた樹脂積層板に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、プリント回路基板の層間に接続用の小径孔(スルーホール)を形成するのにドリルが使用されてきたが、ドリルによる加工(穴開け)ではバリが発生し易く、また微小径の開口には限界があるため、近年レーザーによる開口法が使用されるようになってきた。
しかしながら、従来のプリント回路基板に使用される銅張り積層板の銅箔表面は反射率が大きいため、レーザー光に対する加工性が悪いという欠点があり、外層銅箔の場合は所定の銅箔部をエッチング除去し、そこにレーザー光を照射して穴開けする方法を用いたり、銅箔を化学研磨等により薄層化した後にレーザー加工する方法が採用されている。
しかし、この場合、銅箔のエッチング除去又は化学研磨という工程が入るため能率が悪く、またこのような処理操作の厳密な管理が必要なため、生産性が悪くなりコスト高になるという欠点があった。
また、回路基板によっては、内層材として樹脂基板間に銅箔を挟む樹脂積層板も存在する。この場合、レーザー光を照射面に対しては樹脂が面し、直接銅箔がむき出しになっていないので、一見銅箔の反射率悪さの問題が存在しないようではあるが、レーザー光が瞬時に表層の樹脂を蒸発除去した後、銅箔の表面が現れてくるので、上記銅張り積層板と同様の問題が存在した。
内層と外層の電気的接続を行わない場合は、穴の部分の銅箔をエッチング除去しておくという方法が採用できるが、電気的接続が必要な場合は適用できない。レーザー光エネルギーを高くすれば内層銅箔に穴を開けることが出来るが、熱影響により周辺の樹脂が損傷してしまう。
【0003】
【発明が解決しょうとする課題】
本発明は上記のような問題点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、プリント回路基板の製造に際し、銅箔の表面を改善することにより、レーザーによる穴開けが容易であり、小径層間接続孔の形成に適した樹脂積層板を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
以上から、本発明は
1 銅箔を内層に有する樹脂積層板であって、レーザー光照射側の銅箔面に、インジウム、錫、コバルト、亜鉛、コバルト合金及びニッケル合金のいずれか一種以上を含有する層を備えていることを特徴とするレーザー穴開け性に優れた樹脂積層板
2 銅箔面に、ニッケル、燐、亜鉛、銅の少なくとも一種以上を含有するコバルト合金層を備えていることを特徴とする上記1記載のレーザー穴開け性に優れた樹脂積層板
3 銅箔面に、銅、亜鉛、燐のいずれか一種以上を含有するニッケル合金層を備えていることを特徴とする上記1記載のレーザー穴開け性に優れた樹脂積層板
4 銅箔面に形成された層中のコバルト、ニッケル、錫、亜鉛又はインジウムの含有量がそれぞれ0.1〜100mg/dm2(但し、亜鉛含有量については0.5〜100mg/dm2)であることを特徴とする上記1〜3のそれぞれに記載のレーザー穴開け性に優れた樹脂積層板
を提供する。
【0005】
【発明の実施の形態】
本発明は、銅箔を内層に有する樹脂積層板において、銅箔の少なくともレーザー光を照射する面側のプリント回路基板の層間接続孔を形成する位置に、インジウム、錫、コバルト、亜鉛、コバルト合金及びニッケル合金のいずれか一種以上を含有する層を形成するものであり、これによって従来の銅箔を内層に有する樹脂積層板に比べてレーザー穴開け性を著しく向上させるものである。本発明に使用する銅箔は、電解銅箔又は圧延銅箔のいずれにも適用できる。
図1に、銅箔を内層に有する樹脂積層板にレーザーを照射する例を示す。表層には、0.14mm厚FR−4プリプレグを、次に本発明の表面処理2を施した銅箔3を、さらに0.5mm厚FR−4プリプレグを配置し、これらを積層後接着し、樹脂積層板(積層後:基板1、基板4)とした。そしてこの場合、樹脂の薄い方すなわち0.14mm厚FR−4基板1側をレーザー光照射面5としたものである。
なお、図1に示す例は、基板間に内装された銅箔(内層銅箔)のレーザー加工性を評価するために簡素化したものである。実際には多層銅箔となる構造であり外層銅箔も存在する。
【0006】
銅箔のレーザー光照射面側へのインジウム、錫、コバルト、亜鉛、コバルト合金及びニッケル合金のいずれか一種以上を含有する層を形成する。
これらの層はめっき処理することにより製造することができる。しかし、めっきに限定されるものではなく、蒸着やスパッタリング、その他の被覆方法を用いることもできる。
また、めっきを用いた場合でも、特定のめっき方法に制限されるものではない。これらのめっき等により形成される層は、銅箔のレーザー光照射面へ部分的に又は銅箔全面に施すことができる。これらのめっき処理等は、回路基板に適用される銅箔としての特性を損なわないことが要求されるのは当然であり、本発明の処理はこれらの条件を十分に満たしている。
【0007】
銅箔に形成する上記合金層の中で、ニッケル、燐、亜鉛、銅の少なくとも一種以上を含有するコバルト合金層は、レーザー穴開け性により優れている。
なお、ニッケル層単独では本発明に比べてレーザー開口率が低く、ニッケルの量を増やしても開口率が改善されず、レーザー穴開け性を向上させる層(被覆層)としては不適である。
因みに、12.6mJ/パルスでのニッケル付着量が3,400μg/dm2、6,100μg/dm2、13,400μg/dm2、20,333μg/dm2、53,600μg/dm2、83,333μg/dm2のときに、開口率はそれぞれ8%、10%、40%、49%、60%、67%であり、さらにニッケル付着量を増やしても、開口率を上げることが困難であった。
しかし、ニッケルに、銅、亜鉛、燐のいずれか一種以上を含有するもの、すなわちこれらのニッケル合金層を形成した場合には、上記インジウム、錫、コバルト、亜鉛あるいはコバルト合金層と同程度の、すなわち開口率を改善することが可能であり、ニッケル層単独よりも高いレーザー穴開け性を達成することができる。したがって、本発明は上記ニッケルの合金層を含む。
【0008】
なお、上記低い開口率の場合に、穴開けの際のレーザー出力(エネルギー)を高くすることにより開口率を上げることは一応可能である。
しかし、このレーザーエネルギーを必要以上に上げると、基板(積層板)の樹脂部分へのダメージが大きくなり、銅箔(層)の穴の径よりも樹脂の穴の径が大きくなるといった現象が起きる。
このように樹脂の穴が大きくなると、穴の底部で樹脂と銅箔(層)の剥離が発生するなど、レーザー穴開けの品質が低下、またこのような品質低下を防止するために処理条件の厳密な管理が必要となり、工程や処理操作が複雑化するなどの大きな問題となる。
したがって、通常レーザーエネルギーは可能な限り低いエネルギーで効率よく行うのが良い。
このような意味からも、通常のレーザーエネルギーを使用した場合に、開口率が低い上記のようなニッケル単独層は穴開け性を向上させる層(被覆層)としては適当でない。
【0009】
めっき処理後、クロム及び又は亜鉛を含有する防錆処理を施すことができる。この防錆処理の手法または処理液は特に制限されるものではない。この防錆処理は、前記めっき処理の面上に、すなわち銅箔のレーザー光照射面へ部分的に又は銅箔全面に施すことができる。本発明はこれらの処理を施すことも当然包含される。
上記と同様に、この防錆処理は回路基板に適用される銅箔としての特性を損なわないことが要求されるのは当然であり、本発明の防錆処理はこれらの条件を十分に満たしている。なお、この防錆処理はレーザー穴開け性には殆ど影響しない。
【0010】
本発明の樹脂積層板に内層される銅箔のレーザー光照射面側に、インジウム、錫、コバルト、亜鉛、コバルト合金及びニッケル合金のいずれか一種以上を含有する層を形成するには、次のようなめっき処理が適用できる。以下はその代表例である。なお、このめっき処理は好適な一例を示すのみであり、本発明はこれらの例に制限されない。
(コバルトめっき処理)
Co濃度:1〜30g/L
電解液温度:25〜60°C、 pH:1.0〜4.0
電流密度:0.5〜5A/dm2、 めっき時間:0.5〜4秒
(錫めっき処理)
Sn濃度:5〜100g/L 硫酸:40〜150g/L
電解液温度:25〜40°C、 pH:1.0〜4.0
電流密度:1.0〜5A/dm2、 めっき時間:0.5〜4秒
(インジウムめっき処理)
In濃度:10〜50g/L 硫酸:10〜50g/L
電解液温度:20〜40°C、 pH:1.0〜4.0
電流密度:1.0〜20A/dm2、 めっき時間:0.5〜4秒
【0011】
(亜鉛−コバルトめっき処理)
Zn濃度:1〜20g/L、 Co濃度:1〜30g/L
電解液温度:25〜50°C、 pH:1.5〜4.0
電流密度:0.5〜5A/dm2、 めっき時間:1〜3秒
(銅−ニッケルめっき処理)
Cu濃度:5〜20g/L、 Ni濃度:5〜20g/L
電解液温度:25〜50°C、 pH:1.0〜4.0
電流密度:10〜45A/dm2、 めっき時間:1〜3秒
(銅−コバルトめっき処理)
Cu濃度:5〜20g/L、 Co濃度:5〜20g/L
電解液温度:25〜50°C、 pH:1.0〜4.0
電流密度:10〜45A/dm2、 めっき時間:1〜3秒
【0012】
(亜鉛−ニッケルめっき処理)
亜鉛濃度:1〜10g/L、 Ni濃度:10〜30g/L
電解液温度:40〜50°C、 pH :3.0〜4.0
電流密度:0.5〜5A/dm2、 めっき時間:1〜3秒
(コバルト−ニッケルめっき処理)
Co濃度:5〜20g/L、 Ni濃度:5〜20g/L
電解液温度:20〜50°C、 pH:1.0〜4.0
電流密度:0.5〜10A/dm2、 めっき時間:1〜180秒
(銅−コバルト−ニッケルめっき処理)
Co濃度:1〜15g/L、 Ni濃度:1〜15g/L
Cu濃度:5〜25g/L
電解液温度:20〜50°C、 pH:1.0〜4.0
電流密度:1.0〜30A/dm2、 めっき時間:1〜180秒
(コバルト−燐めっき処理)
Co濃度:5〜20g/L、 P濃度:1〜30g/L
電解液温度:20〜50°C、 pH:1.0〜4.0
電流密度:0.5〜15A/dm2、 めっき時間:1〜180秒
(ニッケル−燐めっき処理)
Ni濃度:5〜20g/L、 P濃度:1〜30g/L
電解液温度:20〜50°C、 pH:1.0〜4.0
電流密度:0.5〜15A/dm2、 めっき時間:1〜180秒
【0013】
本発明の防錆処理は、次のようなめっき処理が適用できる。以下はその代表例である。なお、この防錆処理は好適な一例を示すのみであり、本発明はこれらの例に制限されない。
(クロム防錆処理)
K2Cr2O7(Na2Cr2O7又はCrO3):2〜10g/L
NaOH又はKOH :10〜50g/L
ZnO又はZnSO4・7H2O :0.05〜10g/L
pH :3.0〜4.0、 電解液温度:20〜80°C
電流密度:0.05〜5A/dm2、 めっき時間:5〜30秒
【0014】
【実施例】
次に、実施例に基づいて説明する。なお、本実施例は好適な一例を示すもので、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。したがって、本発明の技術思想に含まれる変形、他の実施例又は態様は、全て本発明に含まれる。
なお、本発明との対比のために、後段に比較例を掲載した。
【0015】
(実施例1)
厚さ12μmの電解銅箔の光沢面(S面)に、上記めっき条件でコバルトめっき処理し、コバルト付着量が下記となるめっき層を形成した。
コバルト付着量:5060μg/dm2
【0016】
(実施例2)
厚さ12μmの電解銅箔の光沢面に、上記めっき条件で錫めっき処理し、錫付着量が下記となるめっき層を形成した。
錫付着量:9370μg/dm2
【0017】
(実施例3)
厚さ12μmの電解銅箔の光沢面に、上記めっき条件でインジウムめっき処理し、インジウム付着量が下記となるめっき層を形成した。
インジウム付着量:2530μg/dm2
【0018】
(実施例4)
厚さ12μmの電解銅箔の光沢面に、上記めっき条件で亜鉛−コバルトめっき(合金めっき:以下同様)処理し、コバルト及び亜鉛付着量が下記となるめっき層を形成した。
コバルト付着量:3400μg/dm2
亜鉛付着量:880μg/dm2
【0019】
(実施例5)
厚さ12μmの電解銅箔の光沢面に、上記めっき条件で銅−ニッケルめっき処理し、ニッケル及び銅付着量が下記となるめっき層を形成した。
ニッケル付着量:3400μg/dm2
銅付着量:51000μg/dm2
【0020】
(実施例6)
厚さ12μmの電解銅箔の光沢面に、上記めっき条件で銅−コバルトめっき処理し、コバルト及び銅付着量が下記となるめっき層を形成した。
コバルト付着量:2400μg/dm2
銅付着量:44800μg/dm2
【0021】
(実施例7)
厚さ12μmの電解銅箔の光沢面に、上記めっき条件でコバルト−燐めっき処理し、コバルト及び燐付着量が下記となるめっき層を形成した。
コバルト付着量:3780μg/dm2
燐付着量:200μg/dm2
【0022】
(実施例8)
厚さ12μmの電解銅箔の光沢面に、上記めっき条件でニッケル−燐めっき処理し、ニッケル及び燐付着量が下記となるめっき層を形成した。
ニッケル付着量:1920μg/dm2
燐付着量:100μg/dm2
【0023】
(実施例9)
厚さ12μmの電解銅箔の光沢面に、上記めっき条件で銅−コバルト−ニッケルめっき処理し、さらにその上にコバルト−ニッケルめっき処理して、銅−コバルト及びニッケル付着量(総量)が下記となるめっき層を形成し、その後上記の条件で防錆処理を施した。
銅付着量:19000μg/dm2
コバルト付着量:3400μg/dm2
ニッケル付着量:650μg/dm2
クロム付着量:43μg/dm2、亜鉛付着量:6μg/dm2
【0024】
(実施例10)
厚さ12μmの電解銅箔の光沢面に、上記めっき条件で亜鉛−ニッケルめっき処理し、ニッケル及び亜鉛付着量が下記となるめっき層を形成した。
ニッケル付着量:1230μg/dm2
亜鉛付着量:4400μg/dm2
【0025】
(実施例11)
厚さ12μmの電解銅箔の光沢面に、上記めっき条件でコバルト−ニッケルめっき処理し、コバルト及びニッケル付着量が下記となるめっき層を形成した。
コバルト付着量:3470μg/dm2
ニッケル付着量:490μg/dm2
【0026】
(比較例1)
厚さ12μmの電解銅箔の光沢面に、上記防錆条件で防錆処理のみを施した。
この場合のクロム付着量と亜鉛付着量は次の通りである。
クロム付着量:32μg/dm2
亜鉛付着量:270μg/dm2
【0027】
以上の実施例1〜11及び比較例1の試料について、各種表面処理した銅箔を0.5mm厚FR−4基板と0.14mm厚FR−4基板との間に介在させて接着し、樹脂積層板とした。樹脂の薄い方すなわち0.14mm厚FR−4基板をレーザー光照射面側とした。当然この側を、本実施例の銅箔のめっき処理側とした。
これらについて、各100箇所に、次の条件でレーザー光を照射し、その開口率を比較した。その結果を表1に示す。
(レーザー照射条件)
使用装置:炭酸ガスレーザー加工装置
スポットサイズ:144μmφ
パルス幅:32μsec
周波数:400Hz、 ショット数:4ショット(バーストモード)
エネルギー:7.3mJ/パルス、12.6mJ/パルス、21.3mJ/パルス、31.4mJ/パルスの各々
【0028】
【表1】
【0029】
実施例1では、レーザー光照射エネルギー12.6mJ/パルスで、開口率11%であるが、21.3mJ/パルスで100%に達し、実生産では問題なく、良好な開口率を示す。したがって、コバルトめっきは開口率向上に有効である。
なお、レーザー光照射の初期の段階で、第1層の樹脂層の開口で照射エネルギーの1部は消費されているので、上記開口の際のレーザー光照射エネルギー全部が、銅箔開口に消費されたレーザーエネルギーではないことは当然である。
表示していないが、コバルトの付着量を増加させるにしたがって、開口率はさらに向上する。
また、レーザー光照射エネルギーをさらに上げると、開口率100%の状態は当然維持されるが、上記に述べたように積層体(樹脂)等の他への影響があるので、出力を上げることは好ましくない。
したがって、本実施例のような低レーザー光照射エネルギーで開口率100%が得られることは、品質の向上に極めて良好な結果をもたらす。
また、銅箔の厚さが増大すると、開口率はやや劣るが、逆により薄くなると、開口率はさらに向上することになる。上記レーザー光照射エネルギーの高低と銅箔の厚さについては、本実施例の全てに通じて言えることである。
【0030】
実施例2では、レーザー光照射エネルギー12.6mJ/パルスで、開口率40%であるが、21.3mJ/パルスで100%に達し、実施例1よりもより優れた開口率を示し、実生産でも問題なく良好な開口率を示す。したがって、錫めっきは開口率向上に有効である。
また、実施例1と同様に、錫の付着量を増加させるにしたがって、開口率はさらに向上する。
【0031】
実施例3では、レーザー光照射エネルギー12.6mJ/パルスで、開口率3%であるが、21.3mJ/パルスで100%に達し、実生産では問題なく良好な開口率を示す。したがって、インジウムめっきは開口率向上に有効である。
また、実施例1と同様に錫の付着量を増加させるにしたがって、開口率はさらに向上する。
【0032】
実施例4では、レーザー光照射エネルギー12.6mJ/パルスで、開口率16%であるが、21.3mJ/パルスで100%に達し、実生産では問題なく良好な開口率を示す。したがって、亜鉛−コバルト合金めっきは開口率向上に有効である。
また、実施例1と同様に亜鉛−コバルトの付着量を増加させるにしたがって、開口率はさらに向上する。
【0033】
実施例5では、レーザー光照射エネルギー7.3mJ/パルスで開口率6%であるが、12.6mJ/パルスで100%に達し、極めて優れた開口率を示す。したがって、ニッケル−銅合金めっきは開口率向上に有効である。また、銅−ニッケルの付着量をやや増加させるだけでも、開口率がさらに向上する。
上記に示すように、銅−ニッケル合金めっきは、他の実施例に示すめっきに比べても優れた開口率を有すが、これは銅−ニッケル合金めっきによる表面粗化が大きく影響していると考えられる。このことから、粗化めっきによりめっき表面をコブ(瘤)状に形成するのは、開口率向上に有効である。
【0034】
実施例6では、レーザー光照射エネルギー7.3mJ/パルスで開口率4%であるが、12.6mJ/パルスで100%に達し、実施例5と同様に極めて優れた開口率を示す。したがって、コバルト−銅合金めっきは開口率向上に有効である。
また、実施例1と同様に銅−コバルトの付着量をやや増加させるだけでも、開口率がさらに向上する。
上記に示すように、銅−コバルト合金めっきは、他の実施例に示すめっきに比べても優れた開口率を有すが、実施例5と同様、これは銅−コバルト合金めっきによる表面粗化が大きく影響していると考えられる。このことから、粗化めっきによりめっき表面をコブ(瘤)状に形成するのは、開口率向上に有効である。
【0035】
実施例7では、レーザー光照射エネルギー12.6mJ/パルスで、開口率20%であるが、21.3mJ/パルスで100%に達し、実生産では問題なく良好な開口率を示す。したがって、コバルト−燐合金めっきは開口率向上に有効である。
また、実施例1と同様にコバルト−燐の付着量を増加させるにしたがって、開口率はさらに向上する。
【0036】
実施例8では、レーザー光照射エネルギー12.6mJ/パルス及び21.3mJ/パルスで、開口率3%及び99%であるが、31.4mJ/パルスで100%に達し、実生産では問題なく良好な開口率を示す。したがって、ニッケル−燐合金めっきは開口率向上に有効である。
また、実施例1と同様にニッケル−燐の付着量を増加させるにしたがって、開口率はさらに向上する。
【0037】
実施例9では、レーザー光照射エネルギー12.6mJ/パルスで開口率55%であるが、21.3mJ/パルスで100%に達し、優れた開口率を示す。
本実施例は、銅−コバルト−ニッケル合金めっき(一層目)し、さらにコバルト−ニッケル合金めっき(二層目)した後に、クロム防錆処理を実施したものであるが、クロム防錆処理には大きく影響することがなく(やや開口率が増加する傾向があるが)、開口率向上に有効である。
また、実施例1と同様に銅−コバルト−ニッケル合金及び又はコバルト−ニッケル合金の付着量を増加させるにしたがって、開口率はさらに向上する。
【0038】
実施例10では、レーザー光照射エネルギー12.6mJ/パルスで、開口率3%であるが、21.3mJ/パルスで100%に達し、実生産では問題なく良好な開口率を示す。したがって、ニッケル−亜鉛合金めっきは開口率向上に有効である。
また、実施例1と同様にニッケル−亜鉛の付着量を増加させるにしたがって、開口率はさらに向上する。
【0039】
実施例11では、レーザー光照射エネルギー12.6mJ/パルスで、開口率11%であるが、21.3mJ/パルスで100%に達し、実生産では問題なく良好な開口率を示す。したがって、ニッケル−コバルト合金めっきは開口率向上に有効である。
また、実施例1と同様にニッケル−コバルトの付着量を増加させるにしたがって、開口率はさらに向上する。
【0040】
以上の実施例については、いずれも低レーザー光照射エネルギーに対して良好な開口率を有する。しかし、これらの処理をしていないもの、及び比較例1に示すように、防錆処理を施してクロムと亜鉛を含有させたものは、開口率は低く、レーザー光照射エネルギー7.3mJ/パルス、12.6mJ/パルス、21.3mJ/パルスでそれぞれ、0%、0%及び6%に過ぎない。
このように、比較例1はレーザー光による開口としては十分でない。
【0041】
【発明の効果】
本発明によれば、銅箔を内層に有する樹脂積層板においてレーザー光照射面側の銅箔表面に、インジウム、錫、コバルト、亜鉛、コバルト合金及びニッケル合金のいずれか一種以上を含有する層を形成することにより、レーザー加工が容易であり、小径層間接続孔の形成に適した銅箔を内層に有する樹脂積層板を得ることができ、さらに比較的低レーザー光照射エネルギーで開孔率を大幅に向上させることができるという優れた特徴を有する。
したがって、これによりプリント回路基板の製造に際して、レーザーによる樹脂積層板の直接開孔及び簡便な層間接続孔の形成ができる著しい効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】銅箔を内層に有する樹脂積層板にレーザーを照射する例の説明図である。
【符号の説明】
1 0.14mm厚FR−4基板
2 表面処理層
3 銅箔
4 0.5mm厚FR−4基板
5 レーザー光照射面
Claims (3)
- レーザー穴開け用銅箔を内層に有する樹脂積層板であって、レーザー光照射側の銅箔面に、インジウム、錫、コバルト、亜鉛、又は燐、亜鉛、銅の少なくとも一種以上を含有するコバルト合金、若しくは銅、亜鉛、燐のいずれか一種以上を含有するニッケル合金のいずれか一種以上を含有する層を備えていることを特徴とするレーザー穴開け性に優れた銅箔を内層に有する樹脂積層板。
- コバルト合金層は、さらにニッケルを含有することを特徴とする請求項1記載のレーザー穴開け性に優れた銅箔を内層に有する樹脂積層板。
- レーザー穴開け用銅箔面に形成された層中のコバルト、ニッケル、錫、亜鉛又はインジウムの含有量がそれぞれ0.1〜100mg/dm2(但し、亜鉛含有量については0.5〜100mg/dm2)であることを特徴とする請求項1又は2記載のレーザー穴開け性に優れた銅箔を内層に有する樹脂積層板。
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Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
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