JP2004235147A - 誘電体ペースト及び誘電体膜 - Google Patents
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Abstract
誘電損失が少ない誘電体膜を与える誘電体ぺーストを提供する.
【解決手段】
[1]ヒドロキシナフトエ酸由来の構造単位を特定量含有してなる芳香族液晶ポリエステルと、溶媒と、誘電体粉末とを含有してなる誘電体ぺースト。
[2]芳香族液晶ポリエステルを溶媒に溶解して芳香族ポリエステル溶液を得、該溶液に誘電体粉末を添加して得られる[1]記載の誘電体ペースト。
[3][1]または[2]記載の誘電体ペーストを基板に塗布して得られることを特徴とする誘電体膜。
【選択図】 なし
Description
一方、誘電体ぺーストを用いる方法では、上記したような高温による電極材料の劣化の問題を解決することはできるが、なお得られた誘電体膜の誘電損失には改善の余地が残されていた。
本発明の目的は、誘電損失が少ない誘電体膜を与える誘電体ぺーストを提供することにある。
(I)
(II)
(III)
(IV)
(式中、X1はナフトリレン基を表わし、X2はフェニレン基またはナフトリレン基を表わし、X3はフェニレン基、ナフトリレン基または下記式(III-1)で示される基を表わし、X4はフェニレン基を表わす。)
(III-1)
(式中、Yは、直接結合、−S−、−CO−、−OCH2CH2O−、または−O−を表わす。)
誘電体粉末の含有量は、芳香族液晶ポリエステルと溶媒との合計量を100重量部としたとき、0.2〜200重量部であることが必要であり、5〜100重量部であることが好ましく、5〜50重量部であることがより好ましい。
0.2重量部未満では、誘電体粉末の添加効果が少なく、200重量部を超えると誘電体膜中の芳香族液晶ポリエステルのバインダーとしての効果が低下し、膜強度が低くなる。
誘電体粉末の粒径は0.1〜20μmであることが好ましく、0.1〜10μmであることが好ましい。
これらは1種または2種以上を混合して用いてもよい。
中でも、チタン酸バリウム、チタン酸ストロンチウム、チタン酸バリウムとチタン酸ストロンチウムの固溶体及び酸化タンタルからなる群から選ばれる少なくとも1種の粉末であることが好ましい。
0.5重量%未満では、所定の誘電体の膜厚を得ることが困難となり、繰り返し塗布することが必要になるため生産性が低下する。また、50重量%を超えると、芳香族液晶ポリエステルを溶解させることが困難となり、誘電体粉末を含有せしめた際に粘度が高くなるため、塗工が容易でなくなる。
X2はフェニレン基またはナフトリレン基を表わし、フェニレン基であることが好ましく、後述のハロゲン置換フェノール化合物を含む溶媒への溶解性の観点から下記の基であることがより好ましい。
X3はフェニレン基、ナフトリレン基または下記式(III-1)で示される基を表わす。
(III-1)
式中、Yは、直接結合、−S−、−CO−、−OCH2CH2O−、または−O−を表わす。
X3は下記の基であることが好ましい。
X4はフェニレン基を表わす。
構成単位(I)が40モル%未満では、耐熱性・機械物性のバランスが悪くなり、構成単位(I)が75モル%を超えると、溶解性・耐熱性が悪くなるので好ましくない。
溶液重合またはスラリー重合を行なう場合には、溶媒の使用が可能であり、溶媒としては、例えば、流動パラフィン、高耐熱性合成油、不活性鉱物油等が挙げられる。
溶融重合を行なう場合には、反応系内が所定温度に達した後、減圧を開始して所定の減圧度にして行なう。溶融重合を行い、攪拌機のトルクが所定値に達した後、不活性ガスを導入し、減圧状態から常圧を経て、所定の加圧状態にして反応系から芳香族液晶ポリエステルを排出する。
上記の方法は、例えば、特公昭47−47870号公報、特公昭63−3888号公報などに記載されており、適宜条件を変更して芳香族液晶ポリエステルを製造することができる。
また、芳香族液晶ポリエステルを比較的低温で溶解できることから、ハロゲン置換フェノール化合物(V)を60重量%以上含有する溶媒がより好ましく、他成分と混合する必要がないため、ハロゲン置換フェノール化合物(V)が実質的に100重量%の溶媒がさらに好ましく使用される。
(V)
式中、Aはハロゲン原子を表わすか、トリハロゲン化メチル基を表わし、iは1〜5の整数を表わす。iが2以上の場合、複数あるAは互いに同一でも異なっていてもよいが、同一であることが好ましい。
(VI)
式中、A’は、水素原子またはハロゲン原子を表わすか、トリハロゲン化メチル基を表わし、iは1〜5の整数を表わす。iが2以上の場合、複数あるAは互いに同一でも異なっていてもよいが、同一であることが好ましい。
ハロゲン原子がフッ素原子である一般式(V)の例としては、ペンタフルオロフェノール、テトラフルオロフェノール等が挙げられる。
ハロゲン原子が塩素原子である一般式(V)の例としては、o−クロロフェノール、p−クロロフェノールが挙げられ、溶解性の観点からp−クロロフェノールが好ましい。
トリハロゲン化メチル基のハロゲンとしては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、よう素原子が挙げられる。
トリハロゲン化メチル基のハロゲンがフッ素原子である一般式(V)の例としては、3,5−ビストリフルオロメチルフェノールが挙げられる。
該溶媒としては、価格と入手性の観点から、o―クロロフェノール、p―クロロフェノールなどの塩素置換フェノール化合物を30重量%以上含む溶媒が好ましく使用され、溶解性の観点から、p―クロロフェノールを30重量%以上含む溶媒がより好ましく使用される。
ハロゲン置換フェノール化合物としては、例えば、テトラフルオロフェノール、ペンタフルオロフェノール、3,5−ビストリフルオロメチルフェノール、p−フルオロフェノール、p―クロロフェノール、o―クロロフェノールなどが挙げられ、価格と入手性の観点から、o―クロロフェノール、p―クロロフェノールなどの塩素置換フェノール化合物が好ましく、溶解性の観点から、p―クロロフェノールがさらに好ましい。
含有されていてもよい他の成分は、特に限定されるものではないが、例えば、クロロホルム、塩化メチレン、テトラクロロエタン等の塩素系化合物などが挙げられる。
本発明の誘電体ぺーストは、誘電体粉末が高い固形分比率、例えば、ペースト全体に対して、20重量%以上で含有されていても低粘度で塗工することが可能である。
具体的には、本発明の誘電体ペーストを、必要に応じて、フィルターなどによってろ過するなどして誘電体ペースト中に含まれる微細な異物を除去した後、基板に塗布し、溶媒を除去することにより誘電体膜を得ることができる。
使用する誘電体ペーストの粘度は、塗布方法により適正な粘度は異なるが、0.1ポイズ〜200ポイズであることが好ましく、0.5ポイズ〜30ポイズであることがより好ましい。
塗布方法は、特に限定されないが、例えば、スピンコート法、バーコート法、スプレーコート法などの公知の方法を採用することができる。
溶媒除去の方法は、特に限定されないが、溶媒の蒸発により行なうことが好ましい。
溶媒を蒸発させる方法としては、加熱、減圧、通風などの方法が挙げられるが、中でも生産効率、取り扱い性の点から加熱により蒸発させることが好ましく、通風しつつ加熱して蒸発させることがより好ましい。
加熱温度は、通常、100〜150℃程度である。
得られる誘電体膜は、必要に応じて、さらに熱処理を行ってもよい。
熱処理の温度は、通常、200〜400℃程度である。
誘電体膜の厚みは、用途により異なるが、0.5μm〜500μmであることが好ましく、1μm〜100μmであることがより好ましい。
なお、用いられる基板は、特に限定されないが、例えば、プリント基板に用いるガラス繊維にエポキシ樹脂を含浸させてなる基板、BT基板(三菱瓦斯化学社製)などが具体的に挙げられる。
また、誘電体膜は、テフロン(R)、金属、ガラス等からなる表面平坦かつ均一な支持体上に本発明の誘電体ペーストを塗布し、溶媒を除去し、該支持体上から剥離することによっても得ることができる。
得られる誘電体膜は、表面が平滑で、膜厚が均一であり、比誘電率が高く、誘電損失が小さいことから、受動素子・能動素子内臓基板などの用途に好適に使用することができる。
製造例1
攪拌装置、トルクメータ、窒素ガス導入管、温度計及び還流冷却器を備えた反応器に、2−ヒドロキシ−6−ナフトエ酸188.2g(1.00モル)、4,4’−ジヒドロキシビフェニル 93.1g(0.50モル)、イソフタル酸 83.1g(0.50モル)及び無水酢酸 224.6g(2.2モル)、を仕込んだ。反応器内を十分に窒素ガスで置換した後、窒素ガス気流下で15分かけて150℃まで昇温し、温度を保持して3時間還流させた。その後、留出する副生酢酸、及び未反応の無水酢酸を留去しながら170分かけて320℃まで昇温し、トルクの上昇が認められる時点を反応終了とみなし、内容物を取り出した。得られた固形分は室温まで冷却し、粗粉砕機で粉砕後、窒素雰囲気下250℃で3時間保持し、固相で重合反応を進めた。
攪拌装置、トルクメータ、窒素ガス導入管、温度計及び還流冷却器を備えた反応器に、2−ヒドロキシ−6−ナフトエ酸188.2g(1.00モル)、4,4’−ジヒドロキシビフェニル 93.1g(0.50モル)、イソフタル酸 83.1g(0.50モル)及び無水酢酸 224.6g(2.2モル)、を仕込んだ。反応器内を十分に窒素ガスで置換した後、窒素ガス気流下で15分かけて150℃まで昇温し、温度を保持して3時間還流させた。その後、留出する副生酢酸、及び未反応の無水酢酸を留去しながら170分かけて320℃まで昇温し、トルクの上昇が認められる時点を反応終了とみなし、内容物を取り出した。得られた固形分は室温まで冷却し、粗粉砕機で粉砕後、窒素雰囲気下270℃で3時間保持し、固相で重合反応を進めた。
製造例1により得た芳香族液晶ポリエステル5gを、p−クロロフェノール95gに120℃で攪拌しながら溶解し、得られた溶液をTV−20型粘度計を用いて粘度を測定した(4.11ポイズ、27℃)。その後芳香族液晶ポリエステル溶液にチタン酸バリウム(共立マテリアル製BT−HP8YF、平均粒径7μm)40gを加え、混練、分散して誘電体ペーストを作成した。誘電体ペーストの粘度をTV−20型粘度計を用いて測定した結果、94.2ポイズ(27℃)であった。この誘電体ペーストをバーコーターでガラス基板上に200μmの厚みで塗布し、80℃で1時間、120℃で1時間、160℃で1時間、180℃で1時間、熱風オーブンにて乾燥した。その結果、得られた誘電体膜は、平滑な表面を有し、17μmの均一な膜厚の誘電体膜を得ることができた。得られた誘電体膜の比誘電率、誘電損失をHP製インピーダンス・マテリアルアナライザーを用いて測定した結果、1GHzの比誘電率は48であり、誘電損失は0.022であった。
製造例2により得た芳香族液晶ポリエステル3gを、p−クロロフェノール97gに120℃で攪拌しながら溶解し、得られた溶液をTV−20型粘度計を用いて粘度を測定した(127.7ポイズ、27℃)。その後芳香族液晶ポリエステル溶液にチタン酸バリウム(共立マテリアル製BT−HP8YF、平均粒径7μm)40gを加え、混練、分散して誘電体ペーストを作成した。誘電体ペーストの粘度をTV−20型粘度計を用いて測定した結果、148.1ポイズ(27℃)であった。この誘電体ペーストをバーコーターでガラス基板上に320μmの厚みで塗布し、80℃で1時間、120℃で1時間、160℃で1時間、180℃で1時間、熱風オーブンにて乾燥した。その結果、得られた誘電体膜は、平滑な表面を有し、26μmの均一な膜厚の誘電体膜を得ることができた。得られた誘電体膜の比誘電率、誘電損失をHP製インピーダンス・マテリアルアナライザーを用いて測定した結果、1GHzの比誘電率は47であり、誘電損失は0.024であった。
Claims (7)
- 芳香族液晶ポリエステルと、溶媒と、誘電体粉末とを含有してなり、芳香族液晶ポリエステルと溶媒との合計量に対する芳香族液晶ポリエステルの量が0.5〜50重量%であり、かつ芳香族液晶ポリエステルと溶媒との合計量を100重量部としたとき、誘電体粉末量が0.2〜200重量部であり、芳香族液晶ポリエステルが下記一般式(I)、(II)、(III)、(IV)で示される構成単位を含有してなり、全構成単位に対して、構成単位(I)が40〜75モル%、構成単位(II)が12.5〜30モル%、構成単位(III)が12.5〜30モル%、構成単位(IV)が0〜5モル%であることを特徴とする誘電体ペースト。
(I)
(II)
(III)
(IV)
(式中、X1はナフトリレン基を表わし、X2はフェニレン基またはナフトリレン基を表わし、X3はフェニレン基、ナフトリレン基または下記式(III-1)で示される基を表わし、X4はフェニレン基を表わす。)
(III-1)
(式中、Yは、直接結合、−S−、−CO−、−OCH2CH2O−、または−O−を表わす。) - 芳香族液晶ポリエステルを溶媒に溶解して芳香族ポリエステル溶液を得、該溶液に誘電体粉末を添加して得られる請求項1〜3のいずれかに記載の誘電体ペースト。
- 誘電体粉末が、チタン酸バリウム、チタン酸ストロンチウム、チタン酸バリウムとチタン酸ストロンチウムの固溶体、および酸化タンタルからなる群から選ばれる少なくとも1種の粉末である請求項1〜4のいずれかに記載の誘電体ペースト。
- 芳香族液晶ポリエステルと溶媒の合計量を100重量部とした時、誘電体粉末量が5〜100重量部である請求項1〜5のいずれかに記載の誘電体ペースト。
- 請求項1〜6のいずれかに記載の誘電体ペーストを基板に塗布して得られることを特徴とする誘電体膜。
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JP2008285633A (ja) * | 2007-05-21 | 2008-11-27 | Nitto Denko Corp | 複合誘電体とその利用 |
JP2011021178A (ja) * | 2009-06-15 | 2011-02-03 | Ueno Fine Chem Ind Ltd | 液晶ポリエステルブレンド組成物 |
-
2004
- 2004-01-07 JP JP2004001802A patent/JP2004235147A/ja active Pending
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