JP2004232373A - 鉄筋結束具 - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明は、板ばねの弾撥力及び接触交差する鉄筋の応力を利用して、固定ボルトや特殊な締結装置を使用することなく、結束具全体によって発生する一の弾撥力により、作業員がワンタッチで鉄筋の結束をすることができ、更に、コンクリートを充填する際に鉄筋の結束部に空隙部が生じることなく十分にコンクリートを充填することができる鉄筋結束具の提供を目的とする。
【解決手段】一の鉄筋aを挟持する受け部2と、上面部5両端から対向して略直角に曲折した左右側板4,4からなり、左右側板4,4の下部であって、接触交差する他の鉄筋bの径よりも小なる開口長を有する開口部3を有し、上面部5及び左右側板4,4の弾撥力により鉄筋同士を保持することを特徴とする。
【選択図】 図4
【解決手段】一の鉄筋aを挟持する受け部2と、上面部5両端から対向して略直角に曲折した左右側板4,4からなり、左右側板4,4の下部であって、接触交差する他の鉄筋bの径よりも小なる開口長を有する開口部3を有し、上面部5及び左右側板4,4の弾撥力により鉄筋同士を保持することを特徴とする。
【選択図】 図4
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、コンクリート支柱を補強する鉄筋籠を製作するための結束具に係り、鉄筋籠の主筋とフープ筋とをばね圧を用いて結束する鉄筋結束具に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に鉄筋籠の製作において、主筋とフープ筋の結束は溶接か番線巻きによって行われることが多い。しかし、溶接によって製作された鉄筋籠には、地震などの外圧による大きな歪み応力によって、溶接箇所にひび割れが生じることから、主筋の強度が低下するという問題があった。他方、番線巻きは、作業員が針金を鉄筋の交差箇所に何重にも巻き付けて固定するため、一般的に鉄筋籠には交差箇所が非常に多いことから作業時間がかかり、また作業員の技能によるところが多かった。
【0003】
そこで近年、主筋とフープ筋を溶接や番巻きによらず結束するための結束治具が開発されている。例えば、U字状の挟持部によって主筋を挟持し、切り欠き部等によりフープ筋を結束し、挟持部と主筋を固定ボルトによって螺着する結束治具がある(例えば、特許文献1、2参照)。これらの結合治具は、定められた結合位置において主筋とフープ筋を強固に結束するために固定ボルト等が用いられており、作業員がワンタッチで結束できるものではない。
【0004】
また、下端が開放した二枚の板材を結束箇所にセットし、締結装置によって結束する鉄筋固定金具がある(例えば、特許文献3参照)。この鉄筋固定金具は、予め結束箇所にセットされた固定金具を専用の締結装置を使用して結束するため、作業員が締結装置の操作方法を習得せねばならず、またワンタッチで結束できるものではなかった。
【0005】
【特許文献1】
特開2000−257212
【特許文献2】
特開2002−106113
【特許文献3】
特開平6−336837
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記した従来技術の欠点を除くためになされたものであって、その目的とするところは、板ばねの弾撥力及び接触交差する鉄筋の応力を利用して、固定ボルトや締結装置を使用することなく、結束具全体によって発生する一の弾撥力により、作業員がワンタッチで鉄筋の結束をすることができる鉄筋結束具を提供することにある。
更に、コンクリートを充填する際に鉄筋の結束部に空隙部が生じることなく十分にコンクリートを充填することができる鉄筋結束具を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明は以下の構成を採用した。
(1)本発明に係る第1の鉄筋結束具は、一の鉄筋とその鉄筋に接触交差する他の鉄筋を結束する鉄筋結束具において、上面部両端から対向して略直角に曲折した一の鉄筋を挟持する受け部を有する左右側板からなり、左右側板の下部に接触交差する他の鉄筋の径よりも小なる開口長を有する開口部を有し、上面部及び左右側板の弾撥力により鉄筋同士を保持することを特徴とする。
【0008】
(2)本発明に係る第2の鉄筋結束具は、受け部によってフープ筋を挟持し、接触交差する主筋を開口部より圧入保持することを特徴とする上記(1)記載のものである。
【0009】
(3)本発明に係る第3の鉄筋結束具は、鉄筋を挟持する受け部が左右側板に形成したU字状の切り込み溝により形成されたとしたことを特徴とする上記(1)若しくは(2)のいずれかに記載されたものである。
【0010】
(4)本発明に係る第4の鉄筋結束具は、鉄筋を挟持する受け部を鉄筋結束具の上面板5の延長上に円弧状の鍔として形成されたことを特徴とする上記(1)若しくは(2)のいずれかに記載されたものである。
【0011】
(5)本発明に係る第5の鉄筋結束具は、開口部の先端近傍を内方へくの字状に曲折し開口部を形成したことを特徴とする上記(1)乃至(4)のいずれか一に記載されたものである。
【0012】
(6)本発明に係る第6の鉄筋結束具は、左右側板の先端を内方へ曲折し開口部を形成したことを特徴とする上記(1)乃至(4)のいずれか一に記載されたものである。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を図面に示す実施例に基づいて説明する。
実施の形態1
この実施の形態1の鉄筋結束具1の展開形状を図1に示した。図1は、ばね鋼材をH形に打抜き加工したブランクを示すものである。ブランクを折り曲げ加工することによって図4等に示す鉄筋結束具1を製造する。ブランクにおける中央部分は折り曲げ加工によって、鉄筋結束具1の上面板5となる部分であり、かかる上面板5の上下にあって略直角に折り返されることによって対向配置される部分は、左右側板4,4となる。また左右側板4,4の上下中央部にあるU字状の切り込み溝は、フープ筋aを挟持するための受け部2である。U字状の切り込み溝の上部の曲率は、フープ筋の曲率と略同一である。
【0014】
次に折り曲げ加工によって製造された鉄筋結束具1の構造を明らかにするために、鉄筋結束具1を使用して主筋bとフープ筋aを結束する工程を説明する。
図2は、鉄筋結束具1の側面図である。図2は、鉄筋結束具1の左右側板4に形成された受け部2にフープ筋aが挿入された状態を示している。フープ筋aは、対向配置する左右側板4,4における受け部2を跨って挿入されることになる。bはフープ筋aと接触交差する主筋を示す。
【0015】
図3は、鉄筋結束具1の正面図であり、点線で示す左右側板4’,4’は結束前の静置時の状態を示している。左右側板4,4の両端近傍は内方へくの字状に曲折し、保持される主筋bの径よりも小なる開口長L1を有する開口部3を形成している。かかる鉄筋結束具1の開口部3を主筋b’に押し当てて、ハンマー等によって鉄筋結束具1の上面板5を打撃Fすると、一点鎖線で示す如く左右側板4’’,4’’が主筋b’の押圧により強制的に拡開する。やがて主筋bは、鉄筋結束具1の開口部3内に、板ばねである左右側板4,4の弾撥力によって強固に保持される。この時左右側板4,4は、実線で表わす位置にあり、上面板5及び左右側板4,4のばね圧により弾撥力が主筋b及びフープ筋aに応力として加わる。
【0016】
図4は、フープ筋aと主筋bが、鉄筋結束具1によって結束された状態を示す斜視図である。主筋bが上面板5及び左右側板4,4のばね圧による弾撥力によって鉄筋結束具1内に保持された結果、フープ筋aは弾撥力が応力として加わる主筋bと受け部2によって挟持されることによって強固に保持される。
【0017】
この鉄筋結束具を用いて製作された鉄筋籠は、上面板及び左右側板が主筋の軸方向略平行になっていることから、主筋端(例えばI方向)よりコンクリートを注入した場合に、鉄筋結束金具のある結束部に空間が生じることなく、コンクリートを十分に充填することができる。
【0018】
ここで、鉄筋結束具1に生じる弾撥力は、ばね鋼材の硬度、厚み、上面板5及び/又は左右側板4,4間の幅若しくは左右側板4,4の折り曲げ角度を変えることによって調整することができる。
また、左右側板4,4の開口部3における形状は、主筋bを保持するとともに上面板5及び左右側板4,4の弾撥力を、受け部2によって保持された主筋bに供給できるものであればよく、くの字状に曲折するものに限らない。例えば、図5に示すように左右側板4,4の先端が内方へ曲折することによって開口部3を形成してもよい。
【0019】
更に径の小さい主筋を押さえるために図6に示すように左右側板4,4のくの字状に曲折した部分に内方への張出部7を設けてもよい。図7に示す如くかかる張出部7によって径の小さい主筋を保持することが可能となる。
【0020】
実施の形態2
この実施の形態2の鉄筋結束具10の展開形状を図8に示した。図8は、ばね鋼材を略十字形状に打抜き加工したブランクを示すものである。ブランクを折り曲げ加工することによって図9等に示す鉄筋結束具10を製造する。ブランクにおける中央部分は折り曲げ加工によって、鉄筋結束具10の上面板15となる部分であり、かかる上面板15の上下にあって略直角に折り返されることによって対向配置される部分は、左右側板14,14である。また上面板15の左右にあってループ状に屈曲折り曲げされる部分は、受け部12,12’である。かかる受け部12,12’においてフープ筋aを保持する。
【0021】
図10に示す如く左右の受け部12,12’は屈曲径が異なるため、異なった径を有するフープ筋を適宜選択して保持することができる。但し、本発明においては、屈曲径を同じものとし、単数若しくは複数の鉄筋を保持することも可能である。
次に折り曲げ加工によって製造された鉄筋結束具10の構造を明らかにするために、鉄筋結束具10を使用して主筋bとフープ筋aを結束する工程を説明する。
図10は、鉄筋結束具10の側面図である。図10は、鉄筋結束具10の上面板15から張り出した受け部12’にフープ筋bを取付けた状態を示している。
【0022】
図11は、鉄筋結束具10の正面図であり、点線で示す左右側板14’,14’は結束前の静置時の状態を示している。左右側板14,14の端を開口部内方へ曲折することによって、主筋bの径よりも小なる開口長L2を有する開口部13を形成している。かかる鉄筋結束具10の開口部13を主筋b’に押し当てて、ハンマー等によって鉄筋結束具10の上面板5を打撃Fすると、一点鎖線で示す如く左右側板14’’,14’’の開口部13が主筋bの押圧により開口長L3まで強制的に拡開する。やがて主筋bは、鉄筋結束具10の開口部13内に、板ばねである上面板15及び左右側板14,14の弾撥力によって強固に保持される。この時、左右側板14,14は、実線で表わす位置にあり、上面板15及び左右側板14,14のばね圧により弾撥力が主筋bに応力として加わっている。
【0023】
図12は、フープ筋aと主筋bが、鉄筋結束具10によって結束された状態を示す斜視図である。主筋bが上面板15及び左右側板14,14の弾撥力によって鉄筋結束具10内に保持されおり、フープ筋aはばね圧による弾撥力が応力として加わる主筋bと受け部12’によって挟持されることによって強固に保持される。
【0024】
ここで、鉄筋結束具10に生じる弾撥力は、ばね鋼材の硬度、厚み若しくは図13のように上面板5と左右側板14,14との折り曲げ角度θを変えることによって調整することができる。
更に左右側板14,14の開口部13おける形状は、主筋bを保持するとともに左右側板14,14の弾撥力を保持された主筋bに供給できるものであればよく、くの字状に曲折するものに限らない。例えば、図14に示すように左右側板14,14の先端が内方へくの字状に曲折することによって開口部13を形成してもよい。
【0025】
【発明の効果】
本発明は、上記のように板ばねの弾撥力及び接触交差する鉄筋の応力を利用して、固定ボルトや締結装置を使用することなく、作業員がワンタッチで鉄筋の結束をすることができるという効果を有する。
更に本発明に係る鉄筋結束具は、鉄筋の結束部に空隙部が生じることなく十分にコンクリートを充填することができるという効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施の形態1に係る鉄筋結束具の展開図である。
【図2】実施の形態1に係る鉄器結束具にフープ筋を嵌合した状態を示す側面図である。
【図3】実施の形態1に係る鉄筋結束具によって主筋を保持する工程を示す正面図である。
【図4】実施の形態1に係る鉄筋結束具の斜視図である。
【図5】実施の形態1に係る鉄筋結束具の他の開口部の形状を示す斜視図である。
【図6】径の小さい主筋を保持するための張出部を示すための側面図である。
【図7】図6に示す張出部によって主筋を保持する状態を示す側面図である。
【図8】実施の形態2に係る鉄筋結束具の展開図である。
【図9】実施の形態2に係る鉄筋結束具の斜視図である。
【図10】実施の形態2に係る鉄筋結束具にフープ筋の太いものと細いものの取付位置を示す側面図である。
【図11】実施の形態2に係る鉄筋結束具によって主筋を保持する工程を示す正面図である。
【図12】実施の形態2に係る鉄筋結束具によって鉄筋を結束した状態を示す斜視図である。
【図13】実施の形態2に係る鉄筋結束具の弾撥力を調整する手段を示す正面図である。
【図14】実施の形態2に係る鉄筋結束具の他の開口部の形状を示す正面図である。
【符号の説明】
1,10 鉄筋結束具
2,12 受け部
3,13 開口部
4,14 左右側板
5,15 上面板
【発明の属する技術分野】
本発明は、コンクリート支柱を補強する鉄筋籠を製作するための結束具に係り、鉄筋籠の主筋とフープ筋とをばね圧を用いて結束する鉄筋結束具に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に鉄筋籠の製作において、主筋とフープ筋の結束は溶接か番線巻きによって行われることが多い。しかし、溶接によって製作された鉄筋籠には、地震などの外圧による大きな歪み応力によって、溶接箇所にひび割れが生じることから、主筋の強度が低下するという問題があった。他方、番線巻きは、作業員が針金を鉄筋の交差箇所に何重にも巻き付けて固定するため、一般的に鉄筋籠には交差箇所が非常に多いことから作業時間がかかり、また作業員の技能によるところが多かった。
【0003】
そこで近年、主筋とフープ筋を溶接や番巻きによらず結束するための結束治具が開発されている。例えば、U字状の挟持部によって主筋を挟持し、切り欠き部等によりフープ筋を結束し、挟持部と主筋を固定ボルトによって螺着する結束治具がある(例えば、特許文献1、2参照)。これらの結合治具は、定められた結合位置において主筋とフープ筋を強固に結束するために固定ボルト等が用いられており、作業員がワンタッチで結束できるものではない。
【0004】
また、下端が開放した二枚の板材を結束箇所にセットし、締結装置によって結束する鉄筋固定金具がある(例えば、特許文献3参照)。この鉄筋固定金具は、予め結束箇所にセットされた固定金具を専用の締結装置を使用して結束するため、作業員が締結装置の操作方法を習得せねばならず、またワンタッチで結束できるものではなかった。
【0005】
【特許文献1】
特開2000−257212
【特許文献2】
特開2002−106113
【特許文献3】
特開平6−336837
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記した従来技術の欠点を除くためになされたものであって、その目的とするところは、板ばねの弾撥力及び接触交差する鉄筋の応力を利用して、固定ボルトや締結装置を使用することなく、結束具全体によって発生する一の弾撥力により、作業員がワンタッチで鉄筋の結束をすることができる鉄筋結束具を提供することにある。
更に、コンクリートを充填する際に鉄筋の結束部に空隙部が生じることなく十分にコンクリートを充填することができる鉄筋結束具を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明は以下の構成を採用した。
(1)本発明に係る第1の鉄筋結束具は、一の鉄筋とその鉄筋に接触交差する他の鉄筋を結束する鉄筋結束具において、上面部両端から対向して略直角に曲折した一の鉄筋を挟持する受け部を有する左右側板からなり、左右側板の下部に接触交差する他の鉄筋の径よりも小なる開口長を有する開口部を有し、上面部及び左右側板の弾撥力により鉄筋同士を保持することを特徴とする。
【0008】
(2)本発明に係る第2の鉄筋結束具は、受け部によってフープ筋を挟持し、接触交差する主筋を開口部より圧入保持することを特徴とする上記(1)記載のものである。
【0009】
(3)本発明に係る第3の鉄筋結束具は、鉄筋を挟持する受け部が左右側板に形成したU字状の切り込み溝により形成されたとしたことを特徴とする上記(1)若しくは(2)のいずれかに記載されたものである。
【0010】
(4)本発明に係る第4の鉄筋結束具は、鉄筋を挟持する受け部を鉄筋結束具の上面板5の延長上に円弧状の鍔として形成されたことを特徴とする上記(1)若しくは(2)のいずれかに記載されたものである。
【0011】
(5)本発明に係る第5の鉄筋結束具は、開口部の先端近傍を内方へくの字状に曲折し開口部を形成したことを特徴とする上記(1)乃至(4)のいずれか一に記載されたものである。
【0012】
(6)本発明に係る第6の鉄筋結束具は、左右側板の先端を内方へ曲折し開口部を形成したことを特徴とする上記(1)乃至(4)のいずれか一に記載されたものである。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を図面に示す実施例に基づいて説明する。
実施の形態1
この実施の形態1の鉄筋結束具1の展開形状を図1に示した。図1は、ばね鋼材をH形に打抜き加工したブランクを示すものである。ブランクを折り曲げ加工することによって図4等に示す鉄筋結束具1を製造する。ブランクにおける中央部分は折り曲げ加工によって、鉄筋結束具1の上面板5となる部分であり、かかる上面板5の上下にあって略直角に折り返されることによって対向配置される部分は、左右側板4,4となる。また左右側板4,4の上下中央部にあるU字状の切り込み溝は、フープ筋aを挟持するための受け部2である。U字状の切り込み溝の上部の曲率は、フープ筋の曲率と略同一である。
【0014】
次に折り曲げ加工によって製造された鉄筋結束具1の構造を明らかにするために、鉄筋結束具1を使用して主筋bとフープ筋aを結束する工程を説明する。
図2は、鉄筋結束具1の側面図である。図2は、鉄筋結束具1の左右側板4に形成された受け部2にフープ筋aが挿入された状態を示している。フープ筋aは、対向配置する左右側板4,4における受け部2を跨って挿入されることになる。bはフープ筋aと接触交差する主筋を示す。
【0015】
図3は、鉄筋結束具1の正面図であり、点線で示す左右側板4’,4’は結束前の静置時の状態を示している。左右側板4,4の両端近傍は内方へくの字状に曲折し、保持される主筋bの径よりも小なる開口長L1を有する開口部3を形成している。かかる鉄筋結束具1の開口部3を主筋b’に押し当てて、ハンマー等によって鉄筋結束具1の上面板5を打撃Fすると、一点鎖線で示す如く左右側板4’’,4’’が主筋b’の押圧により強制的に拡開する。やがて主筋bは、鉄筋結束具1の開口部3内に、板ばねである左右側板4,4の弾撥力によって強固に保持される。この時左右側板4,4は、実線で表わす位置にあり、上面板5及び左右側板4,4のばね圧により弾撥力が主筋b及びフープ筋aに応力として加わる。
【0016】
図4は、フープ筋aと主筋bが、鉄筋結束具1によって結束された状態を示す斜視図である。主筋bが上面板5及び左右側板4,4のばね圧による弾撥力によって鉄筋結束具1内に保持された結果、フープ筋aは弾撥力が応力として加わる主筋bと受け部2によって挟持されることによって強固に保持される。
【0017】
この鉄筋結束具を用いて製作された鉄筋籠は、上面板及び左右側板が主筋の軸方向略平行になっていることから、主筋端(例えばI方向)よりコンクリートを注入した場合に、鉄筋結束金具のある結束部に空間が生じることなく、コンクリートを十分に充填することができる。
【0018】
ここで、鉄筋結束具1に生じる弾撥力は、ばね鋼材の硬度、厚み、上面板5及び/又は左右側板4,4間の幅若しくは左右側板4,4の折り曲げ角度を変えることによって調整することができる。
また、左右側板4,4の開口部3における形状は、主筋bを保持するとともに上面板5及び左右側板4,4の弾撥力を、受け部2によって保持された主筋bに供給できるものであればよく、くの字状に曲折するものに限らない。例えば、図5に示すように左右側板4,4の先端が内方へ曲折することによって開口部3を形成してもよい。
【0019】
更に径の小さい主筋を押さえるために図6に示すように左右側板4,4のくの字状に曲折した部分に内方への張出部7を設けてもよい。図7に示す如くかかる張出部7によって径の小さい主筋を保持することが可能となる。
【0020】
実施の形態2
この実施の形態2の鉄筋結束具10の展開形状を図8に示した。図8は、ばね鋼材を略十字形状に打抜き加工したブランクを示すものである。ブランクを折り曲げ加工することによって図9等に示す鉄筋結束具10を製造する。ブランクにおける中央部分は折り曲げ加工によって、鉄筋結束具10の上面板15となる部分であり、かかる上面板15の上下にあって略直角に折り返されることによって対向配置される部分は、左右側板14,14である。また上面板15の左右にあってループ状に屈曲折り曲げされる部分は、受け部12,12’である。かかる受け部12,12’においてフープ筋aを保持する。
【0021】
図10に示す如く左右の受け部12,12’は屈曲径が異なるため、異なった径を有するフープ筋を適宜選択して保持することができる。但し、本発明においては、屈曲径を同じものとし、単数若しくは複数の鉄筋を保持することも可能である。
次に折り曲げ加工によって製造された鉄筋結束具10の構造を明らかにするために、鉄筋結束具10を使用して主筋bとフープ筋aを結束する工程を説明する。
図10は、鉄筋結束具10の側面図である。図10は、鉄筋結束具10の上面板15から張り出した受け部12’にフープ筋bを取付けた状態を示している。
【0022】
図11は、鉄筋結束具10の正面図であり、点線で示す左右側板14’,14’は結束前の静置時の状態を示している。左右側板14,14の端を開口部内方へ曲折することによって、主筋bの径よりも小なる開口長L2を有する開口部13を形成している。かかる鉄筋結束具10の開口部13を主筋b’に押し当てて、ハンマー等によって鉄筋結束具10の上面板5を打撃Fすると、一点鎖線で示す如く左右側板14’’,14’’の開口部13が主筋bの押圧により開口長L3まで強制的に拡開する。やがて主筋bは、鉄筋結束具10の開口部13内に、板ばねである上面板15及び左右側板14,14の弾撥力によって強固に保持される。この時、左右側板14,14は、実線で表わす位置にあり、上面板15及び左右側板14,14のばね圧により弾撥力が主筋bに応力として加わっている。
【0023】
図12は、フープ筋aと主筋bが、鉄筋結束具10によって結束された状態を示す斜視図である。主筋bが上面板15及び左右側板14,14の弾撥力によって鉄筋結束具10内に保持されおり、フープ筋aはばね圧による弾撥力が応力として加わる主筋bと受け部12’によって挟持されることによって強固に保持される。
【0024】
ここで、鉄筋結束具10に生じる弾撥力は、ばね鋼材の硬度、厚み若しくは図13のように上面板5と左右側板14,14との折り曲げ角度θを変えることによって調整することができる。
更に左右側板14,14の開口部13おける形状は、主筋bを保持するとともに左右側板14,14の弾撥力を保持された主筋bに供給できるものであればよく、くの字状に曲折するものに限らない。例えば、図14に示すように左右側板14,14の先端が内方へくの字状に曲折することによって開口部13を形成してもよい。
【0025】
【発明の効果】
本発明は、上記のように板ばねの弾撥力及び接触交差する鉄筋の応力を利用して、固定ボルトや締結装置を使用することなく、作業員がワンタッチで鉄筋の結束をすることができるという効果を有する。
更に本発明に係る鉄筋結束具は、鉄筋の結束部に空隙部が生じることなく十分にコンクリートを充填することができるという効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施の形態1に係る鉄筋結束具の展開図である。
【図2】実施の形態1に係る鉄器結束具にフープ筋を嵌合した状態を示す側面図である。
【図3】実施の形態1に係る鉄筋結束具によって主筋を保持する工程を示す正面図である。
【図4】実施の形態1に係る鉄筋結束具の斜視図である。
【図5】実施の形態1に係る鉄筋結束具の他の開口部の形状を示す斜視図である。
【図6】径の小さい主筋を保持するための張出部を示すための側面図である。
【図7】図6に示す張出部によって主筋を保持する状態を示す側面図である。
【図8】実施の形態2に係る鉄筋結束具の展開図である。
【図9】実施の形態2に係る鉄筋結束具の斜視図である。
【図10】実施の形態2に係る鉄筋結束具にフープ筋の太いものと細いものの取付位置を示す側面図である。
【図11】実施の形態2に係る鉄筋結束具によって主筋を保持する工程を示す正面図である。
【図12】実施の形態2に係る鉄筋結束具によって鉄筋を結束した状態を示す斜視図である。
【図13】実施の形態2に係る鉄筋結束具の弾撥力を調整する手段を示す正面図である。
【図14】実施の形態2に係る鉄筋結束具の他の開口部の形状を示す正面図である。
【符号の説明】
1,10 鉄筋結束具
2,12 受け部
3,13 開口部
4,14 左右側板
5,15 上面板
Claims (6)
- 一の鉄筋とその鉄筋に接触交差する他の鉄筋を結束する鉄筋結束具において、上面部両端から対向して略直角に曲折した一の鉄筋を挟持する受け部を有する左右側板からなり、左右側板の下部に接触交差する他の鉄筋の径よりも小なる開口長を有する開口部を有し、上面部及び左右側板の弾撥力により鉄筋同士を保持することを特徴とする鉄筋結束具。
- 受け部によってフープ筋を挟持し、接触交差する主筋を開口部より圧入保持することを特徴とする請求項1記載の鉄筋結束具。
- 鉄筋を挟持する受け部が左右側板に形成したU字状の切り込み溝により形成されたことを特徴とする請求項1若しくは2のいずれかに記載された鉄筋結束具。
- 鉄筋を挟持する受け部が鉄筋結束具の上面板5の延長上に円弧状の鍔として形成されたことを特徴とする請求項1若しくは2のいずれかに記載された鉄筋結束具。
- 開口部の先端近傍を内方へくの字状に曲折し開口部を形成したことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一に記載された鉄筋結束具。
- 左右側板の先端を内方へ曲折し開口部を形成したことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一に記載された鉄筋結束具。
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Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2011152941A (ja) * | 2010-01-27 | 2011-08-11 | Yoshino Kogyosho Co Ltd | 二重容器 |
WO2016108604A1 (ko) * | 2014-12-31 | 2016-07-07 | 이우영 | 철근 결속구 |
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CN116145815A (zh) * | 2023-03-22 | 2023-05-23 | 兰州有色冶金设计研究院有限公司 | 一种加筋冰框架结构及施工方法 |
-
2003
- 2003-01-31 JP JP2003023450A patent/JP2004232373A/ja active Pending
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