JP2004231922A - タイヤ - Google Patents
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Abstract
【解決手段】ビード部、ビードフィラー、カーカス層、トレッド部、サイドウォール部からなり、このサイドウォール部に配設された三日月状のゴム補強層を構成するゴム組成物は、ビニル結合量25%以上、重量平均分子量(Mw)が20万〜90万、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比で表わされる分子量分布(Mw/Mn)が1〜4である共役ジエン系重合体をゴム成分中に50質量%以上含み、かつ、樹脂及びその硬化剤をゴム100質量部に対し合計で3質量部以上含み、かつ、25℃における100%伸張時弾性率が13MPa〜20MPaであり、かつ、25℃における動的弾性率が10.5MPa〜60MPaであり、かつ、150〜250℃における損失正接の最大値が0.05以下であることを特徴とするタイヤである。
【選択図】 なし
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、外傷などによるパンクの影響を受けないタイヤ、特にタイヤ受傷後の走行における耐久性(ランフラット耐久性)に優れたタイヤに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、タイヤにおいて、サイドウォール部の剛性向上のために、ゴム組成物単体、あるいはゴム組成物と繊維などの複合体によるサイド補強層が配設されている(例えば、特許文献1、2及び3参照)。パンクなどによりタイヤの内部圧力(以下、内圧ということがある)が低下した場合での走行、いわゆるランフラット走行状態になると、タイヤのサイドウォール部分の変形が大きくなるにつれ、サイド補強層の変形も大きくなり、発熱が進み、場合によっては200℃以上に達する。このような状態では、サイド補強層が破壊限界を超え、タイヤ故障に至る。
【0003】
このような故障に至るまでの時間を稼ぐ手段として、配設するサイド補強層およびビードフィラーの最大厚さを増大するなど、ゴムの体積を増大させるものがあるが、このような方法をとると、乗り心地性の悪化、重量の増加及び騒音レベルの増大などの好ましくない事態が発生する。
前述の事態、例えば乗り心地の悪化を回避するために、配設するサイド補強層およびビードフィラーの体積を減少させると、ランフラット時の荷重を支えきれず、ランフラット時にタイヤのサイドウォール部分の変形が非常に大きくなり、ゴム組成物の発熱増大を招き、結果としてタイヤはより早期に故障に至る問題があった。
【0004】
また、配合する材料を変えることにより使用するゴムをより低弾性化させた場合も同様に、ランフラット時の荷重を支えきれず、タイヤのサイドウォール部分の変形が非常に大きくなり、ゴム組成物の発熱増大を招き、結果としてタイヤはより早期に故障に至ってしまうのが実状である。
【0005】
【特許文献1】
特開平7−117421号公報(第1頁)
【特許文献2】
特開平8−216634号公報(第1頁)
【特許文献3】
特開2001−213999号公報(第1頁)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、このような状況下で、ビードフィラーやサイドウォール補強層に用いられるゴム組成物を工夫することにより、ランフラットタイヤの通常走行における乗り心地性の低下を抑制し、特に、ランフラットタイヤの機能であるランフラット耐久性を飛躍的に向上させたタイヤを提供することを目的とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前記目的を達成するために検討を重ねた結果、特定の共役ジエン系重合体を含み、かつ、樹脂及びその硬化剤を含む特定の物性を有するゴム組成物を、ビードフィラーおよびサイド補強層の少なくとも一方に用いてなるタイヤは、ランフラットタイヤの通常走行における乗り心地性の低下を抑制し、特に、ランフラットタイヤの機能であるランフラット耐久性を飛躍的に向上させることを見出した。本発明は、かかる知見に基づいて完成したものである。
【0008】
すなわち、左右一対のビード部と、該ビード部のタイヤ半径方向外側に配設されたビードフィラーと、カーカス層と、該カーカス層のタイヤ半径方向外側に配置されたトレッド部と、該トレッド部の左右に配置された一対のサイドウォール部と、このサイドウォール部に配設された三日月状のゴム補強層(以下、サイド補強層ということがある)とを具備してなるタイヤであって、前記ビードフィラーを構成するゴム組成物及び/又はサイドウォール部に配設された三日月状のゴム補強層を構成するゴム組成物が、ビニル結合量25%以上、重量平均分子量(Mw)が20万〜90万、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比で表わされる分子量分布(Mw/Mn)が1〜4である共役ジエン系重合体をゴム成分中に50質量%以上含み、かつ、樹脂及びその硬化剤をゴム100質量部に対し合計で3質量部以上含み、かつ、25℃における100%伸張時弾性率が13MPa〜20MPaであり、かつ、25℃における動的弾性率が10.5MPa〜60MPaであり、かつ、150〜250℃における損失正接の最大値が0.05以下であることを特徴とするタイヤを提供するものである。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明において、共役ジエン系重合体の共役ジエンユニットにおけるビニル結合量、重量平均分子量(Mw)および分子量分布(Mw/Mn)が上記特定範囲に限定された共役ジエン系重合体を50質量%以上含み、かつ、樹脂およびその硬化剤をゴム100質量部に対して合計3質量部を含むゴム組成物を、ビードフィラーおよびサイド補強層の少なくとも一方に用いたタイヤでは、該ゴム組成物の温度上昇による動的弾性率(E’)の低下、および損失正接(tanδ)の増大を抑制する効果が著しいためランフラット走行におけるタイヤのサイドウォール部の変形増大を抑制しランフラット耐久性を向上させることができる。
【0010】
本発明において、前記ジエン系重合体の共役ジエンユニットにおけるビニル結合量は、25%以上であることが必要である。ハイビニル重合体を用いた本発明に使用されるゴム組成物を高温(例えば、160℃)で加硫すると、ビニル基が結合することによりポリマー間の架橋点が増す。その結果として損失正接(Tanδ)を低減することができる。ビニル結合量が25%未満では150℃以上の高温下での硫黄架橋切断による動的弾性率(E’)低下が支配的となるために、温度上昇による弾性率低下の抑制効果が十分に期待できない。さらに、損失正接(tanδ)の増大を引き起こすことがある。この点から、ビニル結合量は30%以上が好ましく、さらに35%以上が好ましい。特に40〜60%であることが好ましい。
【0011】
また、前記重合体の重量平均分子量(Mw)が20万〜90万であることが必要である。この重量平均分子量(Mw)が20万未満ではゴム組成物の引張り特性、転がり特性が劣り、90万を超えると加工性が劣る傾向がある。この点から、重量平均分子量(Mw)は30万〜80万が好ましい。
さらに、分子量分布(Mw/Mn)については1〜4であることが必要である。4を超えると発熱性の低下、および150%以上の温度領域での弾性率維持が困難となる傾向がある。
【0012】
本発明における共役ジエン系重合体は、共役ジエン単独重合体および/または共役ジエン−芳香族ビニル共重合体であることが好ましく、また後述する如く、これらの変性重合体も含まれる。
ここで、共役ジエン単量体としては、例えば1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、1,3−ヘキサジエンなどが挙げられ、中でも1,3−ブタジエンが好ましい。
また、共役ジエン単量体との共重合に用いられる芳香族ビニル単量体としては、例えばスチレン、α−メチルスチレン、1−ビニルナフタレン、3−ビニルトルエン、エチルピニルベンゼン、ジビニルベンゼン、4−シクロヘキシルスチレン、2,2,6−トリルスチレンなどが挙げられ、中でもスチレンが好ましい。
【0013】
本発明における共役ジエン系重合体は、共役ジエンユニットにおけるビニル結合量が25%以上、重量平均分子量(Mw)が20万〜90万、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比で表わされる分子量分布(Mw/Mn)が1〜4であり、かつ分子中にスズ原子及び/又は窒素原子を含む共役ジエン系共重合体であることが好ましい。また、本発明において、前記共役ジエン系重合体としてはスチレン−ブタジエン共重合体ゴムが好ましい。
また、スチレン−ブタジエン共重合体ゴムの結合スチレン量は、3〜20%であることが好ましい。更に好ましくは、5〜15%である。結合スチレン量が前記範囲内であると、本発明におけるゴム組成物の耐熱性と低発熱性のバランスが取れ、好ましい。また、該組成物を更に低発熱性にするためには、分子中にスズ原子及び/又は窒素原子を含むスチレン−ブタジエン共重合体にすることが好ましい。
【0014】
本発明におけるゴム組成物は、ゴム成分中に前述した共役ジエン系重合体を50質量%以上含むことが必要である。50質量%未満では、温度上昇によるゴム弾性率の低下が抑制できないことがあり、また、温度上昇によるゴムの動的弾性率低下および損失正接(tanδ)の増大を抑制できないことがある。この点から、前記重合体はゴム成分中60質量%以上含まれることが好ましい。
前記共役ジエン系重合体を含有する該組成物は温度上昇による弾性率の低下を抑制する効果が著しくランフラット走行によるサイド部の変形を抑制するため,ランフラット耐久性を向上することが出来る。
【0015】
本発明に用いられるゴム組成物において、前記共役ジエン系重合体と混合されうる他のゴム成分は特に限定されるものではないが、例えば天然ゴム、ポリイソプレン合成ゴム(IR)、シス1,4−ポリブタジエンゴム(BR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)、クロロプレンゴム(CR)、ブチルゴム(IIR)などが挙げられる。これらのゴムは一種又は二種以上組み合わせて用いてもよい。
【0016】
本発明におけるゴム組成物は、上記ゴム成分100質量部に対し、樹脂および硬化剤を合計で3質量部以上含むことが必要である。3質量部未満では、所望の引張弾性率が得られない。また10質量部以上ではゴムの損失正接(tanδ)が大きくなり、ランフラット耐久性が低下することがあるため、前記樹脂および硬化剤は合計で3質量部以上10質量部未満で含まれることが望ましい。上記範囲で前記ゴム組成物を樹脂で補強した場合は、損失正接(Tanδ)の上昇を最小限に抑え、100%伸張時の弾性率が向上する。
ここで、前記ゴム組成物に用いられる前記樹脂と硬化剤の量比は10/90〜90/10であり、望ましくは50/50〜90/10である。
【0017】
樹脂としてはフェノール系樹脂、メラミン樹脂等の熱硬化性の樹脂が使用される。その中でもフェノール系樹脂が特に好ましい。
前記フェノール系樹脂は、フェノール類とアルデヒド類を縮合させて得られるオリゴマー及びポリマーである。フェノール類としてはフェノール、各クレゾール、キシレノールおよびtert−ブチルフェノールなどの低級アルキルフェノールとノニルフェノール、カシュー油、リグニンなどの高級フェノール、レゾルシン、カテコール、などの二価のフェノールなどが使用される。アルデヒド類は、ホルムアルデヒドが主に使用される。
主なフェノール樹脂としてフェノール−ホルムアルデヒド樹脂、レゾルシン−ホルムアルデヒド樹脂、クレゾール樹脂などが挙げられるが,フェノール−ホルムアルデヒド樹脂が特に好ましい。
フェノール樹脂は100%フェノール樹脂のほか、天然樹脂変性フェノール樹脂、油変性フェノール樹脂等を用いることができる。
【0018】
またフェノール系樹脂は、硬化剤を使用して硬化させる2ステップレジンであるノボラック型樹脂を使用することが好ましい。
硬化剤として、ヘキサメチレンテトラミン、ヘキサメトキシメチルメラミンなどが挙げられる。これらの組み合わせは自由に選ぶことが出来、樹脂及びその硬化剤はそれぞれ複数選択しても良い.また、硬化剤が内添された樹脂を用いてもよい。
【0019】
本発明のタイヤは、特にタイヤサイズの限定はなく、乗用車タイヤから高負荷荷重の大型タイヤや高扁平率のタイヤの範囲におよぶが、該タイヤに使用するゴム組成物は高弾性で、かつ、低発熱に設定されており、特に、高負荷荷重の大型タイヤや高扁平率のタイヤに配設することでその結果が一層発揮される。
本発明において該ゴム組成物により発明の目的を達成するためには、室温における100%伸張時弾性率が13MPa〜20MPaであり、かつ、室温における動的弾性率(E’)が10.5MPa〜60MPaであり、かつ、150〜150℃における損失正接の最大値が0.05以下であることが必要である。
100%伸張時弾性率はランフラット走行時の荷重を支える必要性から、値が大きいほど望ましいが、20MPaを超えるとゴム破断時伸張率(Eb)が低下する。
また、室温における動的弾性率(E’)についても高い範囲で設定されているが、高荷重用タイヤの通常走行における乗り心地性に関しては充分許容できる範囲である。
本発明に用いられるゴム組成物の特性値を上記の範囲に設定することで、ランフラットタイヤの通常走行における乗り心地性の低下を抑制し、特に、ランフラットタイヤの機能であるランフラット耐久性を飛躍的に向上させたタイヤを提供できる。
なお、本発明のタイヤの好ましい負荷荷重の範囲は、500〜1000kgである。
【0020】
本発明における前記共役ジエン系重合体を含むゴム組成物には、前記の各成分のほかに、通常ゴム業界で用いられる硫黄,過酸化物などの加硫剤、加硫促進剤,老化防止剤,軟化剤,補強用充填剤,無機充填剤などの各種配合剤を適宜含有させることができる。また、本発明のゴム組成物は、さらに、各種材質の粒子、繊維、布などとの複合体としてもよい。
【0021】
本発明のタイヤは、ビードフィラー及びサイドウォール部に配設されたゴム補強層の少なくとも一方に前記ゴム組成物を適用し、常法により製造することができる。
なお、タイヤ内に充填する気体としては、通常の或いは酸素分圧を変えた空気,又は窒素などの不活性ガスを用いることができる。
【0022】
次に、本発明のタイヤについて、添付図面に従って説明する。
図1は、本発明のタイヤの一例の左半の部分の断面図であって、該タイヤ1は、左右一対のリング状のビードコア4と、該ビードコア4のタイヤ半径方向外側に配設されたビードフィラー5と、並列された複数のコードが被覆ゴム中に埋設されてなる少なくとも1枚のプライからなるカーカス層2と、該カーカス層2のタイヤ半径方向外側に配置されたベルト層3と、該ベルト層3のタイヤ半径方向に配設されたトレッド部8と、該トレッド部8の左右に配置された一対のサイドウォール部6と、このサイドウォール部6に配設されたゴム補強層7を具備している。
【0023】
カーカス層2は折り返しカーカスプライ2a及びダウンカーカスプライ2bを有し、折り返しカーカスプライ2aの両端は,ビードコア4の周りに折り返され、折り返し端部を形成している。ビードフィラー5は、折り返しカーカスプライ2aとその折り返し端部との間に位置しており、また、ダウンカーカスプライ2bは、サイドウォール部6と折り返しカーカスプライ2aの折り返し端部との間に配置されている。
ゴム補強層7は、折り返しカーカスプライ2aのサイドウォール部の内側外周方向面に配置されている。サイドウォール部6を補強するこのゴム補強層7のゴムは三日月状で配設され、また、補強層7のゴムは有機繊維や無機粒子などとの複合体であってもよく、また,その断面形状はサイド補強の機能を有するものであれば特に限定されない。
本発明のタイヤにおいては、上記ビードフィラー5及びゴム補強層7の少なくとも一方が、前述のゴム組成物を用いて形成されていることによって、ランフラットタイヤの通常走行における乗り心地性の低下を抑制し、ランフラットタイヤの機能であるランフラット耐久性を飛躍的に向上することが出来る。
【0024】
【実施例】
次に、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明は、これらの例によってなんら限定されるものではない。
なお、各種測定は下記の方法に従って行った。
〈共役ジエン系重合体スチレン−ブタジエンゴムの物性〉
(1)重合体のミクロ構造
共役ジエンユニットにおけるビニル結合(1,2−結合)量は、赤外法(モレロ法)によって求めた。
(2)重合体の重量平均分子量(Mw)
重合体の重量平均分子量(Mw)の測定はゲルパーミェーションクロマトグラフィ[GPC;東ソー製HLC−8020、カラム;東ソー製GMX−XL(2本直列)]により行い、示差屈折率(RI)を用いて、単分散ポリスチレンを標準としてポリスチレン換算で行った。
【0025】
〈加硫ゴムの性能〉
(1)動的貯蔵弾性率(E’)
ゴム組成物を160℃、12分間の条件で加硫して得られた厚さ2mmのスラブシートから、幅5mm、長さ40mmのシートを切り出し、試料とした。この試料について、上島製作所(株)製スペクトロメーターを用い、チャック間距離10mm、初期歪200マイクロメートル(ミクロン)、動的歪1%、周波数52Hz、測定開始温度25℃、昇温速度3℃/分、測定終了温度250℃の測定条件で、動的貯蔵弾性率を測定した。
(2)引張弾性率
JIS K6251に従って引張弾性率を測定した。
【0026】
〈試供タイヤの試験〉
(1)ランフラット耐久性
各試作タイヤ(タイヤサイズ 245/40ZR18)を常圧でリム組みし、内圧230kPaを封入してから38℃の室温中に24時間放置後、バルブのコアを抜き内圧を大気圧として、荷重5.19kN(530kg)、速度89km/h、室温38℃の条件でドラム走行テストを行った。この際の故障発生までの走行距離をランフラット耐久性とし、実施例については比較例3を100として指数で表わした。指数が大きいほど、ランフラット耐久性は良好である。
(2)乗り心地性
試作タイヤを乗用車に装着し、専門のドライバー2名により乗り心地性のフィーリングテストを行い、1〜10の評点をつけその平均値を求めた。その値が大きいほど、乗り心地性は良好である。
【0027】
製造例(変性ハイビニルスチレン−ブタジエンゴム)
乾燥し、窒素置換された温度調節ジャケットつき8リットルの耐圧反応装置に、シクロヘキサン3kg、ブタジエン単量体475g、スチレン25g、2,5mmolのジテトラヒドロフリルプロパン(DTHEP)を注入した。これに5mmolのn−ブチルリチユウム(BuLi)を加えた後、40℃の開始温度で1時間重合を行った。重合は、昇温条件で行い最終温度が75℃を超えないようにジャケット温度を調整した。重合系は重合開始から終了まで、全く沈殿は見られず均一に透明であった。重合添加率は、ほぼ100%であった。この重合系にクルード−ジフェニルメタンジイソシアナート(C−MDI)の1molへキサン溶液を5ミリリットル加えた後、30分間変性反応を行った。この後重合系に2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール(BHT)のイソプロパノール5%溶液0.5ミリリットル加えて反応を停止させ、常法により乾燥させ目的のC−MDI末端変性された、スチレン−ブタジエン共重合体を得た。このスチレン−ブタジエン重合体についてビニル結合量、重量平均分子量(Mw)及び分子量分布を測定した。ビニル結合量は54%、重量平均分子量(Mw)は37万、分子量分布(Mw/Mn)は1.3であった。なお結合スチレン量は5%であった。
【0028】
実施例1〜2及び比較例1〜4
第1表に示す種類と量からなるゴム成分100質量部に対し、カーボンブラック、樹脂及び硬化剤、プロセスオイル、亜鉛華、ステアリン酸、老化防止剤6C、加硫促進剤NS、硫黄を配合してゴム組成物を調製した。
上記ゴム組成物を、サイド補強層およびビードフィラーに用いて、サイズ245/40ZR18の乗用車用ラジアルタイヤを定法に従って製造し、そのタイヤについて乗り心地性、ランフラット耐久性を評価した。なお、サイド補強層の最大厚みを補強ゴムゲージとして第1表中に記載した。結果を第1表に示す。
【0029】
【表1】
【0030】
*1)スチレン−ブタジエンゴム:ジェイエスアール(株)社製、商品名「SBR0202」結合スチレン量46%、ブタジエン部のビニル含有量18%
*2)ブタジエンゴム(VCBR):宇部興産(株)社製 商品名「UBEPOL VCR412」ブタジエン部のビニル含有量10%
*3)ハイビニルスチレン−ブタジエンゴム:ブタジエン部のビニル含有量54%、結合スチレン量5%、重量平均分子量(Mw)37万、分子量分布(Mw/Mn)1.3、C−MDIで末端変性
*4)カーボンブラック:FEF 旭カーボン(株)社製
*5)フェノール・フォルムアルデヒド樹脂:住友ベークライト(株)社製、商品名「PR50235」(ノボラック型)
*6)ヘキサメチレンテトラミン:大内新興化学(株)社製
*7)ヘキサメトキシメチルメラミン:三井サイテック(株)社製
注)第1表中の天然ゴム、スチレン−ブタジエンゴム、ブタジエンゴム、ハイビニルスチレン−ブタジエンゴム、カーボンブラック、フェノール・フォルムアルデヒド樹脂、ヘキサメチレンテトラミン及びヘキサメトキシメチロールメラミンそれぞれの欄に記載されている数値は、ゴム成分(b)100質量部に対する質量部の値
【0031】
第1表に示すように、本発明における特定性状の共役ジエン系共重合体を配合し、かつフェノール樹脂などの樹脂および硬化剤からなる特定の物性値を持つゴム組成物を、タイヤ用サイドウォール部補強ゴム及び/又はタイヤ用ビードフィラーゴムに用いてなる本発明のタイヤは、ランフラットタイヤの機能であるランフラット耐久性を飛躍的に向上している。
【0032】
【発明の効果】
本発明によれば、特定性状の共役ジエン系重合体を配合し、かつフェノール樹脂などの樹脂およびその硬化剤からなる特定の物性値を持つゴム組成物を、タイヤのサイドウォール部のゴム補強層及び/又はビードフィラーゴムに適用することにより、ランフラットタイヤの通常走行における乗り心地性の低下を抑制し、ランフラットタイヤの機能であるランフラット耐久性を飛躍的に向上させることが出来る。
特に、本発明のタイヤに用いられるゴム組成物は高弾性で、かつ、低発熱に設定されており、高負荷荷重の大型タイヤや高扁平率のタイヤに配設することが好ましい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のタイヤの一例の部分断面図である。
【符号の説明】
1 本発明のタイヤ
2 カーカス層
2a 折り返しカーカスプライ
2b ダウンカーカスプライ
3 ベルト層
4 ビードコア
5 ビードフィラー
6 サイドウォール部
7 ゴム補強層
8 トレッド部
Claims (4)
- 左右一対のビード部と、該ビード部のタイヤ半径方向外側に配設されたビードフィラーと、カーカス層と、該カーカス層のタイヤ半径方向外側に配置されたトレッド部と、該トレッド部の左右に配置された一対のサイドウォール部と、このサイドウォール部に配設された三日月状のゴム補強層とを具備してなり、前記三日月状のゴム補強層を構成するゴム組成物は、ビニル結合量25%以上、重量平均分子量(Mw)が20万〜90万、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比で表わされる分子量分布(Mw/Mn)が1〜4である共役ジエン系重合体をゴム成分中に50質量%以上含み、かつ、樹脂及びその硬化剤をゴム100質量部に対し合計で3質量部以上含み、かつ、25℃における100%伸張時弾性率が13MPa〜20MPaであり、かつ、25℃における動的弾性率が10.5MPa〜60MPaであり、かつ、150〜250℃における損失正接の最大値が0.05以下であることを特徴とするタイヤ。
- 左右一対のビード部と、該ビード部のタイヤ半径方向外側に配設されたビードフィラーと、カーカス層と、該カーカス層のタイヤ半径方向外側に配置されたトレッド部と、該トレッド部の左右に配置された一対のサイドウォール部と、このサイドウォール部に配設された三日月状のゴム補強層とを具備してなり、前記ビードフィラーを構成するゴム組成物は、ビニル結合量25%以上、重量平均分子量(Mw)が20万〜90万、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比で表わされる分子量分布(Mw/Mn)が1〜4である共役ジエン系重合体をゴム成分中に50質量%以上含み、かつ、樹脂及びその硬化剤をゴム100質量部に対し合計で3質量部以上含み、かつ、25℃における100%伸張時弾性率が13MPa〜20MPaであり、かつ、25℃における動的弾性率が10.5MPa〜60MPaであり、かつ、150〜250℃における損失正接の最大値が0.05以下であることを特徴とするタイヤ。
- 左右一対のビード部と、該ビード部のタイヤ半径方向外側に配設されたビードフィラーと、カーカス層と、該カーカス層のタイヤ半径方向外側に配置されたトレッド部と、該トレッド部の左右に配置された一対のサイドウォール部と、このサイドウォール部に配設された三日月状のゴム補強層とを具備してなるタイヤであって、前記ビードフィラーを構成するゴム組成物及びサイドウォール部に配設された三日月状のゴム補強層を構成するゴム組成物が、ビニル結合量25%以上、重量平均分子量(Mw)が20万〜90万、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比で表わされる分子量分布(Mw/Mn)が1〜4である共役ジエン系重合体をゴム成分中に50質量%以上含み、かつ、樹脂及びその硬化剤をゴム100質量部に対し合計で3質量部以上含み、かつ、25℃における100%伸張時弾性率が13MPa〜20MPaであり、かつ、25℃における動的弾性率が10.5MPa〜60MPaであり、かつ、150〜250℃における損失正接の最大値が0.05以下であることを特徴とするタイヤ。
- 前記樹脂がフェノール系樹脂である請求項1,2または3記載のタイヤ。
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