JP2007302161A - 空気入りタイヤ - Google Patents

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Abstract

【課題】ビードフィラーを第一及び第二ビードフィラーに機能分離し、第二ビードフィラーが本来はたすべきビード部変形抑制の機能を保持しつつ該ビードフィラーを低発熱化することで、タイヤ全体の発熱量を低減しさらに過熱する隣接部材からの放熱を促し、内圧が規定の半分程度に低下した場合での低内圧走行時の耐久性が改良された空気入りタイヤを提供すること。
【解決手段】左右一対のビードコアと、該ビードコアのタイヤ半径方向に配設された第一ビードフィラー及び、前記第一ビードフィラーのタイヤ幅方向外側に配設された第二ビードフィラーを具備してなり、前記第二ビードフィラーを構成するゴム組成物が、(A)ビニル結合量が25%以上、重量平均分子量(Mw)が20万〜90万であると共に、重量平均分子量と数平均分子量(Mn)の比で表される分子量分布(Mw/Mn)が1〜4である共役ジエン系重合体を少なくとも50質量%含む空気入りタイヤである。
【選択図】図1

Description

本発明は、空気入りタイヤに関し、さらに詳しくは、ビードフィラーを第一及び第二ビードフィラーに機能分離し、第二ビードフィラーに特定の共役ジエン系重合体含有ゴム組成物を用いて該ビードフィラーを低発熱化し、低内圧走行時の耐久性が改良された空気入りタイヤに関する。
従来、ライトトラック用タイヤにおいては、ビード部の変形を抑制するために、ゴム組成物単体、あるいはゴム組成物と繊維などの複合体から構成されるビードフィラーが配設されている(例えば、特許文献1、2及び3を参照)。
本来空気入りタイヤはタイヤ内部に空気を規定内圧になるように充填して使用するものであるが、不意のエアロスによってタイヤの内圧がほとんど0になったようなパンク状態では、運転手が振動や外観などに気づいて、修理やタイヤ交換などの処置を行なうことができるが、時間の経過や走行距離の増加、あるいはスローパンクなどによりタイヤ内圧が例えば規定内圧の半分程度に低下した場合、乗り心地の悪化や外観の変化が少ないため、そのまま走行を継続してしまうことがある。
そのような状態で、過酷な条件での走行、例えば最大積載時の走行を行なった場合、タイヤビード部の変形が大きくなり、タイヤが過熱して、ビードバーストなどの故障にいたる場合がある。
前述の事態、例えば発熱事故に至るまでの時間を稼ぐためにビードフィラーの体積を増大させた場合、ビード周辺部全体の体積増加によるヒステリシスロスが増大したり、ビード部近傍の熱がタイヤ外に放出されないなど、低内圧走行時の安全性が改善されないのが実状である。
特開平7−117421号公報 特開平8−216634号公報 特開2001−213999号公報
本発明はこのような状況下、ビードフィラーを第一及び第二ビードフィラーに機能分離し、第二ビードフィラーが本来果たすべきビード部変形抑制の機能を保持しつつ該ビードフィラーを低発熱化することによって、タイヤ全体の発熱量を低減しさらに過熱する隣接部材からの放熱を促し、内圧が規定の半分程度に低下した場合での低内圧走行時の耐久性が改良された空気入りタイヤを提供することを目的とするものである。
本発明者は、前記目的を達成するために鋭意研究を重ねた結果、特定の共役ジエン重合体、必要に応じて樹脂及びその硬化剤を含み、特定の物性を有するゴム組成物を、機能分離された第一ビードフィラーのタイヤ軸方向外側に配設した第二ビードフィラーに用いることによって、第二ビードフィラーが本来有するビード部の変形機能を維持したまま低内圧走行性を改善しうることを見出した。本発明はかかる知見に基づいて完成したものである。
なお、特に指定が無ければ、低内圧とはタイヤ内圧が規定内圧の約半分の状態まで低下した状態を示す。
すなわち本発明は、
(1) 左右一対のビードコアと、該ビードコアのタイヤ半径方向に配設された第一ビードフィラー及び、前記第一ビードフィラーのタイヤ幅方向外側に配設された第二ビードフィラーを具備してなり、前記第二ビードフィラーを構成するゴム組成物が、(A)ビニル結合量が25%以上、重量平均分子量(Mw)が20万〜90万であると共に、重量平均分子量と数平均分子量(Mn)の比で表される分子量分布(Mw/Mn)が1〜4である共役ジエン系重合体を少なくとも50質量%含むことを特徴とする空気入りタイヤ、
(2) 前記共役ジエン系重合体が、共役ジエン単独重合体及び/又は共役ジエン−芳香族ビニル共重合体の中から選ばれる少なくとも1種である上記(1)の空気入りタイヤ、
(3) 前記共役ジエン単独重合体又は共役ジエン−芳香族ビニル共重合体がポリブタジエン又はスチレン−ブタジエン共重合体である上記(1)又は(2)の空気入りタイヤ、
(4) 第二ビードフィラーを構成するゴム組成物が更に(B)樹脂及びその硬化剤をゴム成分100質量部に対し、合計で3質量部以上含む(1)に記載の空気入りタイヤ、
(5) 前記樹脂がフェノール系樹脂である上記(4)の空気入りタイヤ、
(6) 第二ビードフラーを構成するゴム組成物の150℃における動的弾性率と25℃における動的弾性率の差(150℃E’−25℃E’)が少なくとも0.7MPaである上記(1)〜(5)のいずれかの空気入りタイヤ、
(7) 第二ビードフラーを構成するゴム組成物の25℃〜250℃におけるtanδの最大値が0.08以下である上記(1)〜(6)のいずれかの空気入りタイヤ、
(8) 第二ビードフラーを構成するゴム組成物の150℃〜250℃におけるtanδの最大値が0.05以下である上記(7)の空気入りタイヤ、及び
(9) 前記第一ビードフィラーのショア硬度Aが、78〜95°、第二ビードフィラーのショア硬度Aが65〜85°の範囲にあり、かつ第一ビードフィラーの該硬度が第二ビードフィラーより高い上記(1)〜(8)のいずれかの空気入りタイヤ、
を提供するものである。
本発明によれば、ビードフィラーを第一及び第二ビードフィラーに機能分離し、第二ビードフィラーが本来はたすべきビード部変形抑制の機能を保持しつつ該ビードフィラーを低発熱化することで、タイヤ全体の発熱量を低減しさらに過熱する隣接部材からの放熱を促すことで、内圧が規定の半分程度に低下した場合での低内圧走行時の耐久性が改良された空気入りタイヤを提供することができる。
先ず、本発明の空気入りタイヤは、左右一対のビードコアと、該ビードコアのタイヤ半径方向に配設された第一ビードフィラー及び、前記第一ビードフィラーのタイヤ幅方向外側に配設された第二ビードフィラーを具備してなり、前記第二ビードフィラーを構成するゴム組成物が、(A)ビニル結合量が25%以上、重量平均分子量(Mw)が20万〜90万であると共に、重量平均分子量と数平均分子量(Mn)の比で表される分子量分布(Mw/Mn)が1〜4である共役ジエン系重合体を少なくとも50質量%含むことを要する。
本発明において、前記第二ビードフィラーを構成するゴム組成物に含まれる(A)成分である共役ジエン系重合体の共役ジエンユニットにおけるビニル結合量は、25%以上であることが必要である。高ビニル重合体を用いた本発明に使用されるゴム組成物を高温(例えば、160℃)で加硫すると、ビニル基が結合することによりポリマー間の架橋点が増す。その結果として損失正接(Tanδ)を低減することができる。ビニル結合量が25%未満では150℃以上の高温下での硫黄架橋切断による動的弾性率(E')低下が支配的となるために、温度上昇による弾性率低下の抑制効果が十分に期待できない。さらに、損失正接(tanδ)の増大を引き起こすことがある。このような観点から、ビニル結合量は30%以上が好ましく、さらに35%以上が好ましく、特に40〜60%であることが好ましい。
また、前記(A)成分の重量平均分子量(Mw)が20万〜90万であることが必要である。この重量平均分子量(Mw)を上記範囲にすることによって、加工性を維持し、引張り特性及び低転がり特性にすぐれるゴム組成物を得ることができる。このような観点から重量平均分子量(Mw)は30万〜80万が好ましく、30万〜70万が特に好ましい。
さらに、(A)成分の分子量分布(Mw/Mn)については1〜4であることが必要である。分子量分布を上記範囲に設定することによって、発熱性の低下を抑制し、150%以上の温度領域での弾性率維持することができる。
本発明において、前記第二ビードフィラーを構成するゴム組成物は、ゴム成分中に(A)成分である共役ジエン系共重合体を50質量%以上含むことが必要である。50質量%以上含むことによって、温度上昇によるゴム弾性率の低下が抑えられ、また、温度上昇によるゴムの動的弾性率低下および損失正接(tanδ)の増大を抑制することができる。このような観点から、(A)成分はゴム成分中60質量%以上含まれることが好ましく、80質量%以上であるのが特に好ましい。
(A)成分を含有する該組成物は温度上昇による弾性率の低下を抑制する効果が著しく低内圧走行による第二ビードフィラーの変形を抑制し、結果としてタイヤ全体の変形を抑制しタイヤ全体の発熱量を低減するために、低内圧走行時の耐久性を向上することが出来る。
本発明における(A)成分は、共役ジエン単独重合体および/または共役ジエン−芳香族ビニル共重合体であることが好ましく、また後述する如く、これらの変性重合体も含まれる。
ここで、共役ジエン単量体としては、例えば1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、1,3−ヘキサジエンなどが挙げられ、中でも1,3−ブタジエンが好ましい。
また、共役ジエン単量体との共重合に用いられる芳香族ビニル単量体としては、例えばスチレン、α−メチルスチレン、1−ビニルナフタレン、3−ビニルトルエン、エチルピニルベンゼン、ジビニルベンゼン、4−シクロヘキシルスチレン、2,2,6−トリルスチレンなどが挙げられ、中でもスチレンが好ましい。
上記(A)成分である共役ジエン系重合体は種々の方法で製造することができ、重合方式としては、バッチ重合方式及び連続重合方式の何れでもよい。好ましい製造方法としては、次のようなものが挙げられる。即ち、共役ジエンを含む単量体を不活性溶媒、好ましくは炭化水素溶媒中で、有機金属化合物等の開始剤、好ましくは有機リチウム化合物開始剤の存在下で重合して得られる。上記炭化水素溶媒としては特に制限はないが、例えばn−ペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエン等が挙げられ、これらの中でも、シクロヘキサン及びn−ヘキサンが好ましい。これらの炭化水素溶媒は、単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。開始剤として用いられる有機リチウムとしては、少なくとも1個のリチウム原子が結合しており、かつ炭素数2〜20の炭化水素リチウム化合物が好ましく、例えば、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、エチルリチウム、n−プロピルリチウム、t−オクチルリチウム、フェニルリチウム等が挙げられ、これらの中でも、n−ブチルリチウムが特に好ましい。 これらの有機リチウム開始剤は、単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。共役ジエン系重合体のビニル結合量は、ジテトラヒドロフリルプロパン、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジメトキシベンゼン、ジメトキシエタン、エチレングリコールジブチルエーテル、トリエチルアミン、ピリジン、N,N,N',N'−テトラメチルエチレンジアミン、ジピペリジノエタン等のエーテル及び第3級アミン化合物を重合系に適当量添加することにより、適宜変えることができる。
上記共役ジエン系重合体としては、分子中にスズ原子及び/又は窒素原子を含む変性共役ジエン系重合体を用いることができる。分子鎖中にスズ原子や窒素原子などを導入した変性共役ジエン系重合体は、温度上昇による弾性率の低下を抑制すると共に、カーボンブラック配合ゴム組成物における低発熱性を改良することもできる。該変性共役ジエン系重合体としては、多官能変性剤を用いることにより得られる分岐構造を有するものが特に好ましい。上記変性共役ジエン系重合体は、公知の方法により製造され、通常、有機リチウム開始剤によって重合を開始させ、リチウム活性末端を有する重合体の溶液に各種変性剤を添加することによって得られる(特公平6−89183号公報、特開平11−29659号公報等参照)。例えば、スズ原子は、四塩化スズ,トリブチルスズクロリド,ジオクチルスズジクロリド,ジブチルスズジクロリド,塩化トリフェニルスズ等のスズ化合物を用いて導入し、窒素原子は、ジイソシアナートジフェニルメタン等のイソシアネート系化合物,4−(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン等のアミノベンゾフェノン化合物,4−ジメチルアミノベンジリデンアニリン,ジメチルイミダゾリジノン,N−メチルピロリドン等の窒素含有化合物を用いて導入することができる。
また、例えば、ジエチルアミンのような2級アミン化合物又はヘキサメチレンイミンのようなイミン化合物と有機リチウム化合物とから得られるリチウムアミド開始剤を用いて重合させることにより、変性共役ジエン系重合体を得ることもできる。
また、また、本発明において、前記(A)成分の共役ジエン系重合体としてはポリブタジエンゴム及びスチレン−ブタジエン共重合体ゴムが好ましく、中でもポリブタジエンゴムが好ましい。スチレン−ブタジエン共重合体ゴムの結合スチレン量は、3〜20%であることが好ましい。更に好ましくは、5〜15%である。結合スチレン量が前記範囲内であると、本発明におけるゴム組成物の耐熱性と低発熱性のバランスが取れ好ましい。また、該組成物を更に低発熱性にするためには、分子中にスズ原子及び/又は窒素原子を含むポリブタジエンゴムやスチレン−ブタジエン共重合体にすることが好ましい。
本発明に用いられるゴム組成物において、前記(A)成分と混合されうる他のゴム成分は特に限定されるものではないが、例えば天然ゴム、ポリイソプレン合成ゴム(IR)、シス1,4−ポリブタジエンゴム(BR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)、クロロプレンゴム(CR)、ブチルゴム(IIR)などが挙げられる。これらのゴムは一種又は二種以上組み合わせて用いてもよい。
本発明において、前記第二ビードフィラーを構成するゴム組成物は、上記ゴム成分100質量部に対し、さらに、(B)樹脂および硬化剤を合計で3質量部以上含むことが好ましい。樹脂および硬化剤を合計で3質量部以上含むことによって、所望の引張弾性率が得ることができる。
また、樹脂および硬化剤の合計量の上限については特に制限はないが、通常、10質量部が好ましい。上限を10質量とすることによって、ゴムの損失正接(tanδ)の上昇をおさえ、低内圧走行時耐久性を維持することができる、前記樹脂および硬化剤は合計で3質量部以上10質量部未満で含まれることが望ましい。 上記範囲で前記ゴム組成物を樹脂で補強した場合は、損失正接(Tanδ)の上昇を最小限に抑え、100%伸張時の弾性率が向上する。
ここで、前記ゴム組成物に用いられる前記樹脂と硬化剤の量比は10/90〜90/10であり、望ましくは50/50〜90/10である。
樹脂としてはフェノール系樹脂、メラミン樹脂等の熱硬化性の樹脂が使用される。その中でもフェノール系樹脂が特に好ましい。
前記フェノール系樹脂は、フェノール類とアルデヒド類を縮合させて得られるオリゴマー及びポリマーである。フェノール類としてはフェノール、各クレゾール、キシレノールおよびtert−ブチルフェノールなどの低級アルキルフェノールとノニルフェノール、カシュー油、リグニンなどの高級フェノール、レゾルシン、カテコール、などの二価のフェノールなどが使用される。アルデヒド類は、ホルムアルデヒドが主に使用される。
主なフェノール樹脂としてフェノール−ホルムアルデヒド樹脂、レゾルシン−ホルムアルデヒド樹脂、クレゾール樹脂などが挙げられるが,フェノール−ホルムアルデヒド樹脂が特に好ましい。
フェノール樹脂は100%フェノール樹脂のほか、天然樹脂変性フェノール樹脂、油変性フェノール樹脂等を用いることができる。
またフェノール系樹脂は、硬化剤を使用して硬化させる2ステップレジンであるノボラック型樹脂を使用することが好ましい。
硬化剤として、ヘキサメチレンテトラミン、ヘキサメトキシメチルメラミンなどが挙げられる。これらの組み合わせは自由に選ぶことが出来、樹脂及びその硬化剤はそれぞれ複数選択しても良い.また、硬化剤が内添された樹脂を用いてもよい。
本発明において、前記第二ビードフィラーを構成するゴム組成物により発明目的を達成するためには、150℃における動的弾性率と25℃における動的弾性率の差(150℃E’−25℃E’)が少なくとも0.7MPa、及び150℃〜250℃でのtanδの最大値が0.08以下であることの少なくとも一つないしそれ以上の物性を満足するものであることが好ましい。
すなわち、150℃における動的弾性率が、25℃における動的弾性率に比べて上昇がみられない場合には、低内圧走行においてビード部変形の抑制効果が弱く、本発明の目的を達成できないことがある。十分な効果を得るためには、150℃における動的弾性率と、25℃における動的弾性率の差(150℃E’−25℃E’)が少なくとも0.7MPaであることが好ましく、さらにその差が1.0MPa以上であることがより好ましい。
また、25℃〜250℃における、tanδの最大値が0.08を超えると、ランフラット走行時の発熱が大きく、主鎖切断による弾性率低下に繋がり、ビード部変形を増大させる要因となることがある。そのため、前記温度におけるtanδの最大値は0.08以下であることが好ましく、さらに0.075以下であることが好ましい。このため、特に150℃〜250℃間のtanδの最大値は、0.05以下であることが好ましく、さらに0.03以下であることが好ましい。
前記第二ビードフィラーを構成するゴム組成物は、上記ゴム成分100質量部に対し、50質量部以下のカーボンブラックを含んでなるのが好ましい。第二ビードフィラーを構成するゴム組成物におけるカーボンブラックの配合量を50質量部以下にすることによって、動的弾性率及び損失正接(tanδ)が前述した範囲を満足することが出来る。カーボンブラック配合量の下限値について、特に制限はないが、ゴム成分100質量部に対して、通常35質量部程度である。
前記組成物に用いられるカーボンブラックは、窒素吸着比表面積(N2SA)がFEF級のカーボンブラックの窒素吸着比表面積以下、具体的には、窒素吸着比表面積が41m2/g以下であるのが好ましい。上記ゴム組成物に窒素吸着比表面積がFEF級のカーボンブラックの窒素吸着比表面積以下カーボンブラックを用いることによって、該ゴム組成物の損失正接(tanδ)が前述した範囲を満足することができる。
また、前記第二ビードフィラーを構成するゴム組成物には前記(A)成分及び(B)成分の他に通常ゴム業界で用いられる硫黄,過酸化物などの加硫剤、加硫促進剤,老化防止剤,軟化剤,補強用充填剤,無機充填剤などの各種配合剤を適宜含有させることができる。
また、本発明における前記ゴム組成物には、さらに、各種材質の粒子、繊維、布などとの複合体としてもよい。
本発明の空気入りタイヤは、第一ビードフィラーの軸方向外側に配設された第二ビードフィラーに前記ゴム組成物を適用し、常法により製造することができる。
製造されたタイヤの第一ビードフィラーのショア硬度Aが、78〜95°、第二ビードフィラーのショア硬度Aの範囲が65〜85°の範囲にあり、かつ第一ビードフィラーのショア硬度Aが第二ビードフィラーのショア硬度Aより高いことが好ましい。
尚、タイヤ内に充填する気体としては、通常の或いは酸素分圧を変えた空気,又は窒素などの不活性ガスを用いることができる。
次に、本発明のタイヤの実施態様を図面に基づき説明する。
図1は、本発明の一実施態様を示す空気入りタイヤのビード部分の左断面図である。1はビードコア、2は第一ビードフィラー、3は第二ビードフィラー、4はカーカス部を示す。
本発明の空気入りタイヤの第一ビードフィラー2の弾性率(E’)は大きく本来のビードフィラーの機能であるビード部の変形を抑え、第一ビードフィラー2の幅方向外側に設けられた第二ビードフィラー3によって第一ビードフィラー2とカーカス4間の歪の集中を抑制することによってビード周りの耐久性が向上する。そのためには、第二ビードフィラー3の弾性率は、第一ビードフィラー2とケースゴムとの中間の値であることが望ましい。
図1に示すタイヤは、ビードコア1、第一ビードフィラー2及び本発明に係わる第二ビードフィラー3がビード部に配設されている。その他、カーカス4を示す。
次に、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明は、これらの例によってなんら限定されるものではない。
なお、各種測定は下記の方法に従い求めた。
<未加硫ゴム物性の測定>
(1)重合体のミクロ構造
共役ジエン部におけるビニル結合(1,2−結合)量は、赤外法(モレロ法)によって求めた。
(2)重合体の重量平均分子量(Mw)
重合体の重量平均分子量(Mw)の測定はゲルパーミェーションクロマトグラフィ[GPC;東ソー製HLC−8020、カラム;東ソー製GMX−XL(2本直列)]により行い、示差屈折率(RI)を用いて、単分散ポリスチレンを標準としてポリスチレン換算で行った。
<加硫ゴム物性の測定>
(3)動的貯蔵弾性率(E’)および損失正接(tanδ)
ゴム組成物を160℃、12分間の条件で加硫して得られた厚さ2mmのスラブシートから、幅5mm、長さ40mmのシートを切り出し、試料とした。この試料について、上島製作所(株)製スペクトロメータを用い、チャック間距離10mm、初期歪み150マイクロメ−トル(ミクロン)、動的歪1%、周波数52Hz、測定開始温度25℃,昇温速度3℃/分,測定終了温度250℃の測定条件で、動的貯蔵弾性率及びtanδを測定し、150℃(E’)−25℃(E’)の値、25℃〜250℃におけるtanδの最大値及び150℃〜250℃におけるtanδの最大値を測定した。なお測定は、上島製作所製 全自動粘弾性試験機を用いて実施した。評価結果を第一表に示す。
(4)ショア硬度A
JIS K 7215(プラスチックのデュロメータ硬さ試験方法)に規定するタイプAデュロメータで測定した、評価結果を第一表に示す。
<試供タイヤの評価>
(5)低内圧走行耐久性
各試作タイヤを常圧でリム組みし、内圧600kPaを封入してから24℃の室温中に24時間放置後、バルブのコアを調節し、内圧を規定内圧の半分、300kPaとして荷重11.1kN(1090kg)、速度60km/h、室温24℃の条件でダイナモ走行テストを行なった。この際故障発生までの走行時間を低内圧走行耐久性とし、実施例については比較例1を100として指数で表した。数値が大きい程低内圧耐久性は良好である。なお、タイヤサイズは185/85R16、車両はISUZU ELF(2トン車)を用いて行なった。
(6)ビード部表面温度
第二ビードフィラーを配設したタイヤ側表面を放射温度計(堀場製作所製 IT−540N)を用いて測定した。
製造例1
乾燥し、窒素置換された温度調節ジャケットつき8リットルの耐圧反応装置に、連続的に乾燥されたブタジエンの15質量%シクロへキサン溶液を毎分200gの速度で導入した。また同じ位置より、ジテトラヒドロフリルプロパン(DTHFP)の1mol/リットルシクロヘキサン溶液0.15mmol/minとn−ブチルリチウムのn−ヘキサン溶液0.2mmol/minを連続的に導入した。重合系は、常に80℃に保ち、連続的に反応装置上部より生成したポリマーを取り出し、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール(BHT)の1質量%イソプロパノールに投入して重合体を得た。重合体は重合開始から終了まで、全く沈殿は見られず均一に透明であった。
重合添加率は、ほぼ100%であった。さらに固形物を乾燥し、ゴム状重合体を得た。このポリブタジエン重合体(高ビニルBR)について分析の結果、ビニル結合量は50%、重量平均分子量(Mw)は30万、分子量分布(Mw/Mn)は2.1であった。
実施例1〜3及び比較例1〜3
第一表に示す種類と量からなる天然ゴム、製造例1で得られた(A)成分の共役ジエン系重体、カーボンブラックN550、硫黄と、軟化剤「ダイナプロセスオイルNP−24」出光興産社製5.0質量部、フェノール・フォルムアルデヒド樹脂、住友ベークライト(株)社製、商品名「PR50235」(ノボラック型)3質量部、ヘキサメチレンテトラミン1質量部、亜鉛華4.5質量部、ステアリン酸1.0部、老化防止剤「ノクラック6C」大内新興化学工業社製2.0質量部、加硫促進剤「ノックセラーNS」大内新興化学工業社製2.5質量部を常法により配合してゴム組成物を配合した。
上記ゴム組成物を、第二ビードフィラーに用いて、タイヤサイズ185/85R16のライトトラック用ラジアルタイヤを常法に従って製造し、そのタイヤについてダイナモ耐久距離試験、第二ビード部の表面温度について評価した。評価結果を第1表に示す。
Figure 2007302161
第1表から次のようなことがわる。
第二ビードフィラー用ゴム組成物に本発明に係わる(A)成分である共役ジエン系共重合体を70〜50質量部配合した実施例1〜3のタイヤは、該A成分を40〜30質量部配合した比較例1〜3のタイヤに比べるとダイナモ耐久距離(低内圧走行性)に優れ、同時に第二ビードフィラーの表面温度が、比較例対比低くなっていることがわかる。
本発明によれば、ビードフィラーを第一及び第二ビードフィラーに機能分離し、第二ビードフィラーが本来果たすべきビード部変形抑制の機能を保持しつつ該ビードフィラーを低発熱化することで、タイヤ全体の発熱量を低減しさらに過熱する隣接部材からの放熱を促し、内圧が規定の半分程度に低下した場合での低内圧走行時の耐久性が改良された空気入りタイヤを提供することができる。特に、ライトトラック用タイヤに好ましく適用することができる。
本発明の一実施態様を示す空気入りタイヤのビード部分の左断面である。
符号の説明
1.ビードコア
2.第一ビードフィラー
3.第二ビードフィラー
4.カーカス

Claims (9)

  1. 左右一対のビードコアと、該ビードコアのタイヤ半径方向に配設された第一ビードフィラー及び、前記第一ビードフィラーのタイヤ幅方向外側に配設された第二ビードフィラーを具備してなり、前記第二ビードフィラーを構成するゴム組成物が、(A)ビニル結合量が25%以上、重量平均分子量(Mw)が20万〜90万であると共に、重量平均分子量と数平均分子量(Mn)の比で表される分子量分布(Mw/Mn)が1〜4である共役ジエン系重合体を少なくとも50質量%含むことを特徴とする空気入りタイヤ。
  2. 前記共役ジエン系重合体が、共役ジエン単独重合体及び/又は共役ジエン−芳香族ビニル共重合体の中から選ばれる少なくとも1種である請求項1に記載の空気入りタイヤ。
  3. 前記共役ジエン単独重合体又は共役ジエン−芳香族ビニル共重合体が、ポリブタジエン又はスチレン−ブタジエン共重合体である請求項1又は2に記載の空気入りタイヤ。
  4. 第二ビードフィラーを構成するゴム組成物が更に(B)樹脂及びその硬化剤をゴム成分100質量部に対し、合計で3質量部以上含む請求項1に記載の空気入りタイヤ。
  5. 前記樹脂がフェノール系樹脂である請求項4記載の空気入りタイヤ。
  6. 第二ビードフラーを構成するゴム組成物の150℃における動的弾性率と、25℃における動的弾性率の差(150℃E’−25℃E’)が少なくとも0.7MPaである請求項1〜5のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
  7. 第二ビードフラーを構成するゴム組成物の25℃〜250℃におけるtanδの最大値が0.08以下である請求項1〜6のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
  8. 第二ビードフラーを構成するゴム組成物の150℃〜250℃におけるtanδの最大値が0.05以下である請求項7に記載の空気入りタイヤ。
  9. 前記第一ビードフィラーのショア硬度Aが、78〜95°、第二ビードフィラーのショア硬度Aが65〜85°の範囲にあり、かつ第一ビードフィラーの該硬度が第二ビードフィラーより高い請求項1〜8のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
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