JP5350580B2 - タイヤ - Google Patents

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Description

本発明は、外傷等によりパンクしても一定距離を走行することが可能なタイヤ、特に受傷後の走行における耐久性(ランフラット耐久性)及び通常走行時の振動乗り心地性(乗り心地性)に優れ、長期に渡って使用した後でも高いランフラット耐久性を有するランフラットタイヤに関するものである。
従来、タイヤにおいて、サイドウォール部の剛性を向上させるために、ゴム組成物単体、あるいはゴム組成物と繊維等との複合体からなるサイド補強層が配設されている。しかしながら、タイヤのパンク等によりタイヤの内部圧力(以下、内圧という)が低下した状態での走行、所謂ランフラット走行においては、タイヤのサイドウォール部の変形が大きくなるにつれサイド補強層の変形も大きくなり、その結果、該サイド補強層の発熱が進み、場合によっては200℃以上の高温に達することもある。このような状態では、サイド補強層がその破壊限界を超えてしまい、タイヤが故障に至る危険性がある。
このような故障に至るまでの時間を遅くする手段として、上記サイド補強層の最大厚さを増大するなどして、サイド補強層の体積を増大させる手段があるが、このような方法を採ると、乗り心地の悪化、重量の増加及び騒音の増加等の問題が生じる。また、ビード部のタイヤ半径方向外側にビードフィラーを配設し、該ビードフィラーの最大厚さを増大するなどの手段もあるが、この場合も、乗り心地の悪化、重量の増加及び騒音の増加等の問題が生じる。
これに対し、乗り心地の悪化を回避するために、サイド補強層及びビードフィラーの体積を減少させると、サイドウォール部がランフラット走行時にタイヤにかかる荷重を支えきれず、サイドウォール部の変形が非常に大きくなり、サイドウォール部の発熱が過度に進み、結果として、タイヤが早期に故障に至ってしまう。
また、乗り心地の悪化を回避するために、サイド補強層及びビードフィラーに用いるゴム組成物の配合を変え、該ゴム組成物の弾性率を低下させた場合も、サイドウォール部がランフラット走行時にタイヤにかかる荷重を支えきれず、サイドウォール部の変形が非常に大きくなって、サイドウォール部の発熱が過度に進み、結果として、タイヤが早期に故障に至ってしまう。
これに対して、特開2004−74960号(特許文献1)には、サイド補強層及び/又はビードフィラーに特定のゴム組成物を適用して、ランフラット耐久性と通常走行時の乗り心地性とを向上させたタイヤが開示されている。
特開2004−74960号公報
しかしながら、本発明者らが検討したところ、特開2004−74960号に開示のタイヤでも、依然としてランフラット耐久性に改善の余地が有り、特に、長期に渡ってタイヤを使用した後のランフラット耐久性の低下が大きいことが分った。
そこで、本発明の目的は、上記従来技術の問題を解決し、ランフラット耐久性及び通常走行時の乗り心地性に優れる上、長期に渡って使用した後でも高いランフラット耐久性を有するタイヤを提供することにある。
本発明者らは、上記目的を達成するために鋭意検討した結果、特定の物性を満たすサイド補強ゴム層をサイドウォール部に配設した上で、タイヤ内面に低空気透過層を設けることで、サイド補強ゴム層の酸素による劣化が抑制され、その結果として、ランフラット耐久性及び通常走行時の乗り心地性に優れる上、長期に渡って使用した後でも高いランフラット耐久性を有するタイヤが得られることを見出し、本発明を完成させるに至った。
即ち、本発明のタイヤは、一対のビード部及び一対のサイドウォール部と、両サイドウォール部に連なるトレッド部とを有し、前記一対のビード部間にトロイド状に延在してこれら各部を補強するカーカスと、前記ビード部内に夫々埋設したビードコアのタイヤ半径方向外側に配置したビードフィラーと、前記サイドウォール部に配設された一対のサイド補強ゴム層とを備え、
前記サイド補強ゴム層は、25℃における100%伸長時の引張強さが5MPa〜20MPaで且つ室温における動的弾性率が10.5MPa以下であり、
更に、20℃、65%RHにおける酸素透過量が3.0×10-12cm3・cm/cm2・sec・cmHg以下の低空気透過層をタイヤ内面に設けたことを特徴とする。
本発明のタイヤにおいて、前記サイド補強ゴム層は、100℃で24時間劣化させた後の切断時伸びの劣化前の切断時伸びに対する保持率が60%以上であることが好ましい。
本発明のタイヤの好適例においては、前記サイド補強ゴム層の最大厚さが6〜13mmであり、該サイド補強ゴム層を構成するゴム組成物が、ビニル結合量が25%以上で、重量平均分子量(Mw)が20万〜90万で、且つ重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比で表わされる分子量分布(Mw/Mn)が1〜4である共役ジエン系重合体をゴム成分中に50質量%以上含む。ここで、前記共役ジエン系重合体は、ビニル結合量が40%以上で、重量平均分子量(Mw)が20万〜90万で、且つ重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比で表わされる分子量分布(Mw/Mn)が1〜2.5であることが好ましい。
本発明のタイヤの他の好適例においては、前記サイド補強ゴム層を構成するゴム組成物が、樹脂及びその硬化剤をゴム成分100質量部に対して合計で3質量部以上含む。ここで、前記樹脂としては、フェノール系樹脂が好ましい。
本発明のタイヤの他の好適例においては、前記ビードフィラーを構成するゴム組成物が、ビニル結合量が25%以上で、重量平均分子量(Mw)が20万〜90万で、且つ重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比で表わされる分子量分布(Mw/Mn)が1〜4である共役ジエン系重合体をゴム成分中に50質量%以上含み、更に、樹脂及びその硬化剤をゴム成分100質量部に対して合計で3質量部以上含み、25℃における100%伸長時の引張強さが5MPa〜20MPaで且つ室温における動的弾性率が10.5MPa以下である。ここで、前記共役ジエン系重合体は、ビニル結合量が40%以上で、重量平均分子量(Mw)が20万〜90万で、且つ重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比で表わされる分子量分布(Mw/Mn)が1〜2.5であることが好ましい。
本発明のタイヤの他の好適例においては、前記低空気透過層が熱可塑性樹脂からなる。ここで、該熱可塑性樹脂としては、エチレン含有量25〜50モル%のエチレン−ビニルアルコール共重合体(A)100質量部に対してエポキシ化合物(B)1〜50質量部を反応させて得られる変性エチレン−ビニルアルコール共重合体(C)が好ましい。また、前記エポキシ化合物(B)としては、グリシドール及びエポキシプロパンが好ましい。更に、前記変性エチレン−ビニルアルコール共重合体(C)は、架橋されていることが好ましい。
また、前記変性エチレン−ビニルアルコール共重合体(C)からなる層が1層以上の接着剤層を介してエラストマーからなる補助層(D)に貼り合わせていることが好ましい。ここで、前記エラストマーからなる補助層(D)には、ブチルゴム又はハロゲン化ブチルゴム、或いは、熱可塑性ウレタン系エラストマーが用いられていることが好ましい。
本発明によれば、特定の物性を満たすサイド補強ゴム層をサイドウォール部に配設した上で、タイヤ内面に低空気透過層を設けることで、サイド補強ゴム層の酸素による劣化が抑制されるため、ランフラット耐久性及び通常走行時の乗り心地性に優れる上、長期に渡って使用した後でも高いランフラット耐久性を有するタイヤを提供することができる。また、ビードフィラーに特定の物性を満たす特定のゴム組成物を適用することで、タイヤの初期及び使用後のランフラット耐久性を更に向上させることができる。
以下に、図を参照しながら本発明を詳細に説明する。図1は、本発明のタイヤの一実施態様の断面図である。図1に示すタイヤは、左右一対のビード部1及び一対のサイドウォール部2と、両サイドウォール部2に連なるトレッド部3とを有し、前記一対のビード部1間にトロイド状に延在して、これら各部1,2,3を補強するラジアルカーカス4と、該カーカス4のクラウン部のタイヤ半径方向外側に配置された2枚のベルト層からなるベルト5と、前記ビード部1内に夫々埋設したリング状のビードコア6のタイヤ半径方向外側に配置したビードフィラー7と、前記サイドウォール部2の前記カーカス4の内側に配置した一対のサイド補強ゴム層8と、該カーカス4及びサイド補強ゴム層8の内側のタイヤ内面に配置された低空気透過層9とを備える。
図示例のタイヤにおいて、ラジアルカーカス4は、折り返しカーカスプライ4a及びダウンカーカスプライ4bとからなり、折り返しカーカスプライ4aは、上記一対のビード部1にそれぞれ埋設されたビードコア6間にトロイド状に延びる本体部と、ビードコア6の周りでタイヤ幅方向内側から外側に向けて半径方向外方に巻上げた折り返し部とを有するが、本発明のタイヤのカーカスの構造及びプライ数は、これに限られるものではない。また、ビードフィラー7は、ビードコア6のタイヤ半径方向外側の折り返しカーカスプライ4aの本体部と折り返し部との間に配置されている。なお、図示例のサイド補強ゴム層8の形状は、断面三日月状であるが、その断面形状はサイド補強の機能を有するものであれば特に限定されない。また、サイド補強ゴム層8は、最大厚さが6〜13mmであることが好ましい。サイド補強ゴム層8の最大厚さが6mm未満では、ランフラット耐久性が低下することがあり、一方、13mmを超えると、通常走行時の乗り心地性が低下することがある。
また、図1に示すタイヤにおいては、上記ラジアルカーカス4のクラウン部のタイヤ半径方向外側には二枚のベルト層からなるベルト5が配置されており、該ベルト層は、通常、タイヤ赤道面に対して傾斜して延びるコードのゴム引き層からなり、2枚のベルト層は、該ベルト層を構成するコードが互いに赤道面を挟んで交差するように積層されてベルト5を構成する。なお、図1中のベルト5は、二枚のベルト層からなるが、本発明のタイヤにおいては、ベルト5を構成するベルト層の枚数はこれに限られるものではない。
本発明のタイヤにおいて、上記サイド補強ゴム層8は、25℃における100%伸長時の引張強さが5MPa〜20MPaで且つ室温における動的弾性率が10.5MPa以下であり、また、上記低空気透過層9は、20℃、65%RHにおける酸素透過量が3.0×10-12cm3・cm/cm2・sec・cmHg以下であることを特徴とする。本発明のタイヤにおいては、サイド補強ゴム層8の25℃における100%伸長時の引張強さが5MPa〜20MPaであるため、ランフラット走行時のサイドウォール部2の剛性が高く、高いランフラット耐久性を有する。また、サイド補強ゴム層8の室温における動的弾性率が10.5MPa以下であるため、通常走行時の乗り心地性にも優れる。更に、本発明のタイヤは、20℃、65%RHにおける酸素透過量が3.0×10-12cm3・cm/cm2・sec・cmHg以下である低空気透過層9をタイヤ内面に備えるため、サイド補強ゴム層8の酸素による劣化を抑制することができ、その結果として、長期に渡って走行した後でもサイド補強ゴム層8の劣化が小さく、長期に渡って走行した後でも高いランフラット耐久性を有する。
なお、上記サイド補強ゴム層8の25℃における100%伸長時の引張強さが5MPa未満では、サイドウォール部2の剛性が低くなり、タイヤのランフラット耐久性が低下し、一方、20MPaを超えると、サイドウォール部2の剛性が高くなり過ぎ、通常走行時の乗り心地性が悪化する。また、サイド補強ゴム層8の室温における動的弾性率が10.5MPaを超えると、サイドウォール部2の剛性が高くなり過ぎ、通常走行時の乗り心地性が悪化する。更に、上記低空気透過層9の20℃、65%RHにおける酸素透過量が3.0×10-12cm3・cm/cm2・sec・cmHgを超えると、酸素のタイヤ内部への浸入を十分に抑制できず、サイド補強ゴム層8及びビードフィラー7が酸素で劣化してしまうため、長期に渡って走行した後のタイヤのランフラット耐久性の低下が大きくなる。
本発明のタイヤにおいて、上記サイド補強ゴム層8は、100℃で24時間劣化させた後の切断時伸びの劣化前の切断時伸びに対する保持率が60%以上であることが好ましい。サイド補強ゴム層8の100℃で24時間劣化させた後の切断時伸びの劣化前の切断時伸びに対する保持率が60%以上の場合、サイド補強ゴム層8のタイヤ使用中の劣化が小さくなるため、長期に渡って走行した後でもタイヤが高いランフラット耐久性を維持することができる。
本発明のタイヤにおいて、上記ビードフィラー7を構成するゴム組成物は、25℃における100%伸長時の引張強さが5MPa〜20MPaで、室温における動的弾性率が10.5MPa以下であることが好ましい。ビードフィラー7を構成するゴム組成物の25℃における100%伸長時の引張強さが5MPa〜20MPaの場合、ランフラット走行時のサイドウォール部2の剛性を更に向上させることができ、タイヤのランフラット耐久性が向上する。また、ビードフィラー7を構成するゴム組成物の室温における動的弾性率が10.5MPa以下の場合、通常走行時の乗り心地性にも優れる。
上記サイド補強ゴム層8及びビードフィラー7に用いるゴム組成物は、ビニル結合量が25%以上で、重量平均分子量(Mw)が20万〜90万で、且つ重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比で表わされる分子量分布(Mw/Mn)が1〜4である共役ジエン系重合体をゴム成分中に50質量%以上含むことが好ましく、60質量%以上含むことが更に好ましい。上記共役ジエン系重合体を用いることで、温度上昇によるゴム組成物の弾性率の低下を抑制することができ、上記共役ジエン系重合体を含むゴム組成物をタイヤのサイド補強ゴム層8、更にはビードフィラー7に使用することで、ランフラット走行時のサイドウォール部2の変形を抑制して、タイヤのランフラット耐久性を向上させることができる。なお、上記共役ジエン系重合体のゴム成分中での含有率が50質量%未満では、温度上昇によるゴム組成物の弾性率の低下を十分に抑制できないことがある。
なお、上記共役ジエン系重合体の共役ジエンユニットにおけるビニル結合量が25%未満では、150℃以上での硫黄架橋の切断による動的弾性率の低下が支配的となるため、ランフラット走行時の温度上昇による弾性率の低下を十分に抑制できないことがある。この観点から、上記ビニル結合量は30%以上が好ましく、35%以上が更に好ましく、40%以上がより一層好ましく、40〜60%の範囲が特に好ましい。
また、上記共役ジエン系重合体の重量平均分子量(Mw)が20万未満では、ゴム組成物の引張り特性、転がり特性が劣り、一方、90万を超えると、加工性が低下する傾向がある。この観点から、重量平均分子量(Mw)は30万〜80万の範囲が好ましい。
更に、上記共役ジエン系重合体の分子量分布(Mw/Mn)が4を超えると、低発熱性が低下し、150℃以上での弾性率の維持が難しくなる傾向がある。この観点から、上記分子量分布(Mw/Mn)は、2.5以下であることが好ましい。
上記共役ジエン系重合体は、共役ジエン化合物の単独重合体及び/又は共役ジエン化合物と芳香族ビニル化合物との共重合体であることが好ましい。ここで、共役ジエン化合物としては、1,3-ブタジエン、1,3-ペンタジエン、1,3-ヘキサジエン等が挙げられ、これらの中でも、1,3-ブタジエンが好ましい。また、芳香族ビニル化合物としては、スチレン、α-メチルスチレン、1-ビニルナフタレン、3-ビニルトルエン、エチルビニルベンゼン、ジビニルベンゼン、4-シクロヘキシルスチレン等が挙げられ、これらの中でも、スチレンが好ましい。上記共役ジエン系重合体として、具体的には、ポリブタジエン及びスチレン−ブタジエン共重合体ゴムが好ましく、ポリブタジエンが特に好ましい。なお、上記共役ジエン系重合体は、分子中にスズ原子及び/又は窒素原子を含む変性共役ジエン系重合体であってもよい。
上記サイド補強ゴム層8及びビードフィラー7に用いるゴム組成物は、樹脂及びその硬化剤をゴム成分100質量部に対して合計で3質量部以上含むことが好ましく、3〜10質量部含むことが更に好ましい。なお、樹脂と硬化剤の配合量の比は、10/90〜90/10の範囲が好ましく、50/50〜90/10の範囲が更に好ましい。ゴム組成物に樹脂及びその硬化剤を配合することで、動的弾性率等を維持しつつ、ゴム組成物の引張強さを向上させることができる。なお、樹脂及びその硬化剤の配合量がゴム成分100質量部に対して合計で3質量部未満では、所望の引張強さが得られず、ランフラット耐久性が低下することがあり、一方、10質量部を超えると、ゴム組成物の損失正接が大きくなり、サイドウォール部2の発熱が大きくなって、ランフラット耐久性が低下することがある。
上記樹脂としては、フェノール系樹脂、メラミン樹脂等の熱硬化性の樹脂が挙げられ、これらの中でも、フェノール系樹脂が好ましい。なお、該フェノール系樹脂は、フェノール類とアルデヒド類とを縮合させて得られるオリゴマー及びポリマーであり、フェノール類としては、フェノール、各クレゾール、キシレノール及びt-ブチルフェノール等の低級アルキルフェノール、ノニルフェノール、カシュー油、リグニン等の高級フェノール、レゾルシン、カテコール等の二価のフェノール等が挙げられ、また、アルデヒド類としては、ホルムアルデヒドが挙げられる。上記フェノール系樹脂として、具体的には、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、レゾルシン−ホルムアルデヒド樹脂、クレゾール−ホルムアルデヒド樹脂等が挙げられ、これらの中でも、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂が特に好ましい。一方、上記硬化剤としては、ヘキサメチレンテトラミン、ヘキサメトキシメチルメラミン等が挙げられる。これらの組み合わせは自由に選ぶことができ、樹脂及びその硬化剤はそれぞれ複数選択してもよい。また、硬化剤が内添された樹脂を用いてもよい。
上記サイド補強ゴム層8及びビードフィラー7に用いるゴム組成物は、更に、カーボンブラック等の充填剤、加硫剤、加硫促進剤、軟化剤、酸化亜鉛、ステアリン酸、短繊維等のゴム業界で通常使用される配合剤を、本発明の目的を害しない範囲内で適宜選択して配合することができる。これら配合剤としては、市販品を好適に使用することができる。なお、上記ゴム組成物は、ゴム成分に対して、必要に応じて適宜選択した各種配合剤を混練り、熱入れ、押出等することにより製造することができる。
上記低空気透過層9は、20℃、65%RHにおける酸素透過量が3.0×10-12cm3・cm/cm2・sec・cmHg以下であることを要し、1.0×10-12cm3・cm/cm2・sec・cmHg以下であることが好ましく、5.0×10-13cm3・cm/cm2・sec・cmHg以下であることが更に好ましい。低空気透過層9の20℃、65%RHにおける酸素透過量が3.0×10-12cm3・cm/cm2・sec・cmHgを超えると、サイド補強ゴム層8やビードフィラー7の酸素による劣化を抑制することができず、長期に渡って走行した後のランフラット耐久性が低下することがある。
上記低空気透過層9は、熱可塑性樹脂からなることが好ましく、エチレン含有量25〜50モル%のエチレン−ビニルアルコール共重合体(A)100質量部に対してエポキシ化合物(B)1〜50質量部を反応させて得られる変性エチレン−ビニルアルコール共重合体(C)からなることが更に好ましい。該変性エチレン−ビニルアルコール共重合体(C)は、エポキシ化合物(B)による変性により、エチレン−ビニルアルコール共重合体(A)に比べて大幅に弾性率が低下しており、屈曲時の耐破断性が高く、また、クラックも発生し難いため、酸素のタイヤ内部への浸入を抑制してサイド補強ゴム層8やビードフィラー7の劣化を抑制する効果が大きく、長期使用後のタイヤのランフラット耐久性を確実に向上させることができる。また、該変性エチレン−ビニルアルコール共重合体(C)は、OH基を有するため、比較的タイヤのゴム部材との接着を確保するのが容易である。なお、上記変性エチレン−ビニルアルコール共重合体(C)において、エポキシ化合物(B)の使用量は、エチレン−ビニルアルコール共重合体(A)100質量部に対して2〜40質量部の範囲が好ましく、5〜35質量部の範囲が更に好ましい。
上記低空気透過層9を変性エチレン−ビニルアルコール共重合体(C)から構成する場合、該変性エチレン−ビニルアルコール共重合体(C)からなる層の厚さは、0.1〜50μmの範囲が好ましく、1〜40μmの範囲が更に好ましく、5〜30μmの範囲がより一層好ましい。変性エチレン−ビニルアルコール共重合体(C)からなる層の厚さが0.1μm未満では、ガスバリア性が不十分で、サイド補強ゴム層8及びビードフィラー7の劣化を十分に抑制できないことがあり、一方、50μmを超えると、変性エチレン−ビニルアルコール共重合体(C)からなる層の耐屈曲性及び耐疲労性が低下し、タイヤ転動時の屈曲変形により破断・亀裂が生じ易く、また、亀裂が伸展し易くなるため、サイド補強ゴム層8及びビードフィラー7の劣化を十分に抑制できなくなることがある。
上記エチレン−ビニルアルコール共重合体(A)は、エチレン含有量が25〜50モル%であり、30〜48モル%であることが好ましく、35〜45モル%であることが更に好ましい。エチレン含有量が25モル%未満では、耐屈曲性、耐疲労性及び溶融成形性が悪化することがあり、一方、50モル%を超えると、ガスバリア性が低下することがある。また、該エチレン−ビニルアルコール共重合体(A)は、ケン化度が90%以上であることが好ましく、95%以上であることが更に好ましく、98%以上であることがより一層好ましい。ケン化度が95%未満では、ガスバリア性及び成形時の熱安定性が不充分になることがある。更に、該エチレン−ビニルアルコール共重合体(A)は、メルトフローレート(MFR)が190℃、2160g荷重下で0.1〜30g/10分であることが好ましく、0.3〜25g/10分であることが更に好ましい。
上記エポキシ化合物(B)としては、一価のエポキシ化合物が好ましい。二価以上のエポキシ化合物は、エチレン−ビニルアルコール共重合体(A)と架橋反応し、ゲル、ブツ等を発生して、低空気透過層9の品質を低下させることがある。なお、変性エチレン−ビニルアルコール共重合体(C)の製造容易性、ガスバリア性、耐屈曲性及び耐疲労性の観点から、一価のエポキシ化合物の中でも、グリシドール及びエポキシプロパンが特に好ましい。
上記変性エチレン−ビニルアルコール共重合体(C)は、ガスバリア性、耐屈曲性および耐疲労性を得る観点から、メルトフローレート(MFR)が190℃、2160g荷重下で0.1〜30g/10分であることが好ましく、0.3〜25g/10分であることが更に好ましく、0.5〜20g/10分であることがより一層好ましい。該変性エチレン−ビニルアルコール共重合体(C)の製造方法は、特に限定されないが、好適な方法としては、エチレン−ビニルアルコール共重合体(A)とエポキシ化合物(B)とを溶液中で反応させる製造方法が挙げられる。より詳しくは、エチレン−ビニルアルコール共重合体(A)の溶液に、酸触媒又はアルカリ触媒存在下、好ましくは酸触媒の存在下、エポキシ化合物(B)を加え反応させることによって変性エチレン−ビニルアルコール共重合体(C)を製造することができる。反応溶媒としては、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド及びN-メチルピロリドン等の非プロトン性極性溶媒が挙げられ、酸触媒としては、p-トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、硫酸及び三フッ化ホウ素等が挙げられ、アルカリ触媒としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、ナトリウムメトキシド等が挙げられる。なお、触媒量は、エチレン−ビニルアルコール共重合体(A)100質量部に対し0.0001〜10質量部の範囲が好ましい。また、上記変性エチレン−ビニルアルコール共重合体(C)は、溶融成形、好ましくはTダイ法、インフレーション法等の押出成形により、好ましくは150〜270℃の溶融温度でフィルムやシート等に成形され、低空気透過層9として使用される。
上記変性エチレン−ビニルアルコール共重合体(C)は、架橋されていることが好ましい。変性エチレン−ビニルアルコール共重合体(C)が架橋されていない場合、タイヤの加硫工程で低空気透過層9が著しく変形して不均一となり、低空気透過層9のガスバリア性、耐屈曲性、耐疲労性が悪化することがある。ここで、架橋方法としては、エネルギー線を照射する方法が好ましく、該エネルギー線としては、紫外線、電子線、X線、α線、γ線等の電離放射線が挙げられ、これらの中でも電子線が特に好ましい。電子線の照射は、変性エチレン−ビニルアルコール共重合体(C)をフィルムやシート等の成形体に加工した後に行うことが好ましい。ここで、電子線の線量は、10〜60Mradの範囲が好ましく、20〜50Mradの範囲が更に好ましい。電子線の線量が10Mrad未満では、架橋が進み難く、一方、60Mradを超えると、成形体の劣化が進み易くなる。
上記低空気透過層9は、上記変性エチレン−ビニルアルコール共重合体(C)からなる層が、1層以上の接着剤層を介してエラストマーからなる補助層(D)に貼り合わせていることが好ましい。この場合、変性エチレン−ビニルアルコール共重合体(C)からなる層にクラックが発生しても、該クラックの成長を抑制することができる。ここで、接着剤層に使用する接着剤としては、塩化ゴム・イソシアネート系の接着剤が挙げられる。また、補助層(D)に使用するエラストマーとしては、ブチルゴム、ハロゲン化ブチルゴム、天然ゴム、ブタジエンゴム、熱可塑性ウレタン系エラストマー等が挙げられる。ここで、ガスバリア性の観点では、ブチルゴム及びハロゲン化ブチルゴムが好ましく、補助層(D)の薄膜化、クラックの発生の抑制、クラックの伸展の抑制の観点からは、ブチルゴム及びハロゲン化ブチルゴムと天然ゴム及びブタジエンゴム等のジエン系エラストマーとのブレンドや、熱可塑性ウレタン系エラストマーが好ましい。上記補助層(D)の厚さは、50〜1500μmの範囲が好ましく、100〜1000μmの範囲が更に好ましく、300〜800μmの範囲がより一層好ましい。補助層(D)の厚さが50μm未満では、変性エチレン−ビニルアルコール共重合体(C)からなる層に発生したクラックの成長を抑制する効果が小さく、一方、1500μmを超えると、タイヤの重量が重くなり、タイヤの低燃費性が悪化することがある。
上記変性エチレン−ビニルアルコール共重合体(C)からなる層とエラストマーからなる補助層(D)とを多層化する方法としては、例えば、変性エチレン−ビニルアルコール共重合体(C)からなる成形物(フィルム、シート等)にエラストマー及び接着層を溶融押出する方法、逆にエラストマーの基材に変性エチレン−ビニルアルコール共重合体(C)及び接着層を溶融押出する方法、変性エチレン−ビニルアルコール共重合体(C)と補助層(D)(及び必要に応じて接着層)とを共押出成形する方法、変性エチレン−ビニルアルコール共重合体(C)からなる成形物とエラストマーのフィルム、シートとを接着層を用いてラミネートする方法、更にはタイヤ成型時にドラム上で、変性エチレン−ビニルアルコール共重合体(C)からなる成形物と補助層(D)(及び必要に応じて接着層)を貼り合わせる方法等が挙げられる。
本発明のタイヤは、上記の物性を満たすゴム組成物をサイド補強ゴム層8に適用し、上記の物性を満たす低空気透過層9をタイヤ内面に配設し、好ましくは、更に上記物性を満たすゴム組成物をビードフィラー7に適用して、常法により製造することができる。なお、本発明のタイヤにおいて、タイヤ内に充填する気体としては、通常の或いは酸素分圧を変えた空気、又は窒素等の不活性ガスを用いることができる。
以下に、実施例を挙げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明は下記の実施例に何ら限定されるものではない。
(共役ジエン系重合体Aの製造例)
乾燥し、窒素置換された温度調節ジャケット付きで8リットルの耐圧反応装置に、連続的に乾燥された1,3-ブタジエンの15質量%シクロへキサン溶液を200g/分の割合で導入した。また、同じポートからジテトラヒドロフリルプロパン(DTHFP)の1mol/Lシクロヘキサン溶液を0.15mmol/分の割合で、また、n-ブチルリチウムのn-ヘキサン溶液を0.2mmol/分の割合で連続的に導入した。重合系を常に80℃に保ち、連続的に反応装置上部から生成した反応溶液を取り出し、2,6-ジ-t-ブチル-p-クレゾール(BHT)の1質量%イソプロパノール溶液に投入して重合体を得た。重合系は、重合開始から終了まで全く沈殿が見られず均一で且つ透明であった。重合転化率は、ほぼ100%であった。更に、固形物を乾燥し、共役ジエン系重合体A(ポリブタジエンゴム)を得た。得られた共役ジエン系重合体Aのビニル結合量を赤外法(モレロ法)で求めたところ、ビニル結合量は50%であった。また、重量平均分子量(Mw)及び分子量分布(Mw/Mn)を、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー[GPC;東ソー製HLC−8020、カラム;東ソー製GMX−XL(2本直列)、示差屈折率(RI)]を用いて、単分散ポリスチレンを標準として測定したところ、重量平均分子量(Mw)は50万で、分子量分布(Mw/Mn)は2.1であった。
表1に示す配合処方のゴム組成物を調製し、下記の方法で100%伸長時の引張強さ及び室温における動的弾性率を測定した。結果を表1に示す。
(1)引張試験
JIS K6251に準拠して引張試験を行い、100%伸長時の引張強さを測定した。
(2)動的弾性率
ゴム組成物を160℃で12分間加硫して得られた厚さ2mmのスラブシートから、幅5mm、長さ40mmのシートを切り出し、試料とした。この試料について、上島製作所(株)製スペクトロメーターを用い、チャック間距離10mm、初期歪200μm、動的歪1%、周波数52Hz、測定開始温度25℃、昇温速度3℃/分、測定終了温度250℃の測定条件で、動的弾性率を測定した。
(変性エチレン−ビニルアルコール共重合体(C)の合成例)
加圧反応槽に、エチレン含量44モル%、ケン化度99.9%のエチレン−ビニルアルコール共重合体(A)(190℃、2160g荷重下でのMFR:5.5g/10分)2質量部及びN-メチル-2-ピロリドン8質量部を仕込み、120℃で2時間加熱撹拌して、エチレン−ビニルアルコール共重合体(A)を完全に溶解させた。これにエポキシ化合物(B)としてエポキシプロパン0.4質量部を添加後、160℃で4時間加熱した。加熱終了後、蒸留水100質量部に析出させ、多量の蒸留水で充分にN-メチル-2-ピロリドン及び未反応のグリシドールを洗浄し、変性エチレン−ビニルアルコール共重合体(C)を得た。更に、得られた変性エチレン−ビニルアルコール共重合体(C)を粉砕機で粒子径2mm程度に細かくした後、再度多量の蒸留水で十分に洗浄した。洗浄後の粒子を8時間室温で真空乾燥した後、2軸押出機を用いて200℃で溶融し、ペレット化した。
なお、上記エチレン−ビニルアルコール共重合体(A)のエチレン含有量及びケン化度は、重水素化ジメチルスルホキシドを溶媒とした1H-NMR測定[日本電子社製「JNM−GX−500型」を使用]で得られたスペクトルから算出した値である。また、上記エチレン−ビニルアルコール共重合体(A)のメルトフローレート(MFR)は、メルトインデクサーL244[宝工業株式会社製]の内径9.55mm、長さ162mmのシリンダーにサンプルを充填し、190℃で溶融した後、重さ2160g、直径9.48mmのプランジャーを使用して均等に荷重をかけ、シリンダーの中央に設けた径2.1mmのオリフィスより単位時間あたりに押出される樹脂量(g/10分)から求めた。但し、エチレン−ビニルアルコール共重合体(A)の融点が190℃付近あるいは190℃を超える場合は、2160g荷重下、融点以上の複数の温度で測定し、片対数グラフで絶対温度の逆数を横軸、MFRの対数を縦軸にプロットし、190℃に外挿して算出した値をメルトフローレート(MFR)とした。
(フィルムの作製)
上記合成例で得られた変性エチレン−ビニルアルコール共重合体(C)のペレットと、熱可塑性ポリウレタン[(株)クラレ製クラミロン3190]とを使用し、2種3層共押出装置を用いて、下記共押出成形条件で3層フィルム(熱可塑性ポリウレタン層/変性EVOH(C)層/熱可塑性ポリウレタン層, 厚さ:20μm/20μm/20μm)を作製した。
各樹脂の押出温度:C1/C2/C3/ダイ=170/170/220/220℃
各樹脂の押出機仕様:
熱可塑性ポリウレタン:25mmφ押出機P25−18AC[大阪精機工作株式会社製]
変性EVOH:20mmφ押出機ラボ機ME型CO−EXT[株式会社東洋精機製]
Tダイ仕様:500mm幅2種3層用[株式会社プラスチック工学研究所製]
冷却ロールの温度:50℃
引き取り速度:4m/分
上記のようにして得られたフィルムを、20℃、65%RHで5日間調湿し、得られた調湿済みのフィルム2枚を使用して、モダンコントロール社製MOCON OX−TRAN2/20型を用い、20℃、65%RHの条件下でJIS K7126(等圧法)に準拠して、酸素透過量を測定し、その平均値を求めたところ、3.5×10-13cm3・cm/cm2・sec・cmHgであった。
また、21cm×30cmにカットされたフィルムを50枚作製し、20℃、65%RHで5日間調湿した後、ASTM F 392−74に準拠して、理学工業(株)製ゲルボフレックステスターを使用し、屈曲回数50回、75回、100回、125回、150回、175回、200回、225回、250回、300回、400回、500回、600回、700回、800回、1000回、1500回屈曲させた後、ピンホールの数を測定した。それぞれの屈曲回数において、測定を5回行い、その平均値をピンホール個数とした。屈曲回数(P)を横軸に、ピンホール数(N)を縦軸に取り、上記測定結果をプロットし、ピンホール数が1個の時の屈曲回数(Np1)を外挿により求め、有効数字2桁とした。但し、1500回の屈曲でピンホールが観察されないフィルムについては、以降500回おきに屈曲回数を増やし、ピンホールが見られた屈曲回数をNp1とした。その結果、上記フィルムは、屈曲回数(Np1)が5000回であった。
(実施例1〜3)
表1に示す配合のゴム組成物をサイド補強ゴム層8及びビードフィラー7に用い、また、上記フィルムを低空気透過層9に用いて、図1に示す構造で、サイズ215/45ZR17の乗用車用ラジアルタイヤを常法に従って製造した。なお、サイド補強ゴム層8の最大厚さは、8.0mmである。
(比較例1〜7)
比較として、表1に示す配合のゴム組成物をサイド補強ゴム層8及びビードフィラー7に用い、低空気透過層9を配設しない以外は、実施例と同様の構造の乗用車用ラジアルタイヤを常法に従って製造した。
上記のようにして作製したタイヤに対して、下記の方法で乗り心地性、ランフラット耐久性、及びサイド補強ゴム層の劣化前後の切断時伸び保持率を評価した。結果を表1に示す。
(3)ランフラット耐久性
各試作タイヤを常圧でリム組みし、内圧230kPaを封入してから38℃の室温中に24時間放置後、バルブのコアを抜き内圧を大気圧として、荷重4.17kN、速度89km/h、室温38℃の条件でドラム走行テストを行い、故障発生までの走行距離を測定した。試験は、作製後初期のタイヤと2万km走行させた後のタイヤについて行った。比較例4の初期のタイヤの故障発生までの走行距離を100として指数表示した。指数値が大きい程、ランフラット耐久性が良好であることを示す。
(4)乗り心地性
試作タイヤを乗用車に装着し、専門のドライバー2名により乗り心地性のフィーリングテストを行い、1〜10の評点をつけその平均値を求めた。試験は、作製後初期のタイヤと2万km走行させた後のタイヤについて行った。値が大きい程、乗り心地性が良好であることを示す。
(5)サイド補強ゴム層の劣化前後の切断時伸び保持率
作製後初期のタイヤと、ギアオーブンで100℃で24時間劣化させた後のタイヤのそれぞれから、サイド補強ゴム層を切り出し、JIS K6251に準拠して引張試験を行い、切断時伸びを測定し、(劣化後のタイヤのサイド補強ゴム層の切断時伸び)を(初期のタイヤのサイド補強ゴム層の切断時伸び)で除してサイド補強ゴム層の劣化前後の切断時伸び保持率(%)を算出した。
Figure 0005350580
*1 ポリブタジエンゴム, JSR(株)製, ビニル結合量=2.5%
*2 上記の方法で合成したポリブタジエンゴム, ビニル結合量=50%, 重量平均分子量(Mw)=50万, 分子量分布(Mw/Mn)=2.1
*3 GPF, 旭カーボン(株)製, 「旭#55」
*4 フェノール−ホムアルデヒド樹脂(ノボラック型), 住友ベークライト(株)製
*5 ヘキサメチレンテトラミン, 大内新興化学(株)製
*6 ヘキサメトキシメチルメラミン, 三井サイテック(株)製
表1の比較例の結果から明らかなように、サイド補強ゴム層及びビードフィラーの25℃における100%伸長時の引張強さを5MPa以上とすることで、タイヤのランフラット耐久性が向上し、また、サイド補強ゴム層及びビードフィラーの室温における動的弾性率を10.5MPa以下とすることで、タイヤの乗り心地性を改善できることが分る。
また、表1の実施例1〜3と比較例1〜3の比較から、タイヤの内面に低空気透過層を配設することで、サイド補強ゴム層及びビードフィラーの走行による劣化を抑制することができ、走行後タイヤのランフラット耐久性の低下を大幅に抑制できることが分る。
本発明のタイヤの一実施態様の断面図である。
符号の説明
1 ビード部
2 サイドウォール部
3 トレッド部
4 ラジアルカーカス
4a 折り返しカーカスプライ
4b ダウンカーカスプライ
5 ベルト
6 ビードコア
7 ビードフィラー
8 サイド補強ゴム層
9 低空気透過層

Claims (15)

  1. 一対のビード部及び一対のサイドウォール部と、両サイドウォール部に連なるトレッド部とを有し、前記一対のビード部間にトロイド状に延在してこれら各部を補強するカーカスと、前記ビード部内に夫々埋設したビードコアのタイヤ半径方向外側に配置したビードフィラーと、前記サイドウォール部に配設された一対のサイド補強ゴム層とを備えたタイヤにおいて、
    前記サイド補強ゴム層は、25℃における100%伸長時の引張強さが5MPa〜20MPaで且つ室温における動的弾性率が10.5MPa以下であり、
    更に、20℃、65%RHにおける酸素透過量が3.0×10-12cm3・cm/cm2・sec・cmHg以下の低空気透過層をタイヤ内面に設けたことを特徴とするタイヤ。
  2. 前記サイド補強ゴム層は、100℃で24時間劣化させた後の切断時伸びの劣化前の切断時伸びに対する保持率が60%以上であることを特徴とする請求項1に記載のタイヤ。
  3. 前記サイド補強ゴム層の最大厚さが6〜13mmであり、該サイド補強ゴム層を構成するゴム組成物が、ビニル結合量が25%以上で、重量平均分子量(Mw)が20万〜90万で、且つ重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比で表わされる分子量分布(Mw/Mn)が1〜4である共役ジエン系重合体をゴム成分中に50質量%以上含むことを特徴とする請求項1に記載のタイヤ。
  4. 前記サイド補強ゴム層の最大厚さが6〜13mmであり、該サイド補強ゴム層を構成するゴム組成物が、ビニル結合量が40%以上で、重量平均分子量(Mw)が20万〜90万で、且つ重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比で表わされる分子量分布(Mw/Mn)が1〜2.5である共役ジエン系重合体をゴム成分中に50質量%以上含むことを特徴とする請求項3に記載のタイヤ。
  5. 前記サイド補強ゴム層を構成するゴム組成物が、樹脂及びその硬化剤をゴム成分100質量部に対して合計で3質量部以上含むことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のタイヤ。
  6. 前記樹脂がフェノール系樹脂であることを特徴とする請求項5に記載のタイヤ。
  7. 前記ビードフィラーを構成するゴム組成物が、ビニル結合量が25%以上で、重量平均分子量(Mw)が20万〜90万で、且つ重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比で表わされる分子量分布(Mw/Mn)が1〜4である共役ジエン系重合体をゴム成分中に50質量%以上含み、更に、樹脂及びその硬化剤をゴム成分100質量部に対して合計で3質量部以上含み、25℃における100%伸長時の引張強さが5MPa〜20MPaで且つ室温における動的弾性率が10.5MPa以下であることを特徴とする請求項1に記載のタイヤ。
  8. 前記ビードフィラーを構成するゴム組成物が、ビニル結合量が40%以上で、重量平均分子量(Mw)が20万〜90万で、且つ重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比で表わされる分子量分布(Mw/Mn)が1〜2.5である共役ジエン系重合体をゴム成分中に50質量%以上含み、更に、樹脂及びその硬化剤をゴム成分100質量部に対して合計で3質量部以上含み、25℃における100%伸長時の引張強さが5MPa〜20MPaで且つ室温における動的弾性率が10.5MPa以下であることを特徴とする請求項7に記載のタイヤ。
  9. 前記低空気透過層が熱可塑性樹脂からなることを特徴とする請求項1に記載のタイヤ。
  10. 前記熱可塑性樹脂がエチレン含有量25〜50モル%のエチレン−ビニルアルコール共重合体(A)100質量部に対してエポキシ化合物(B)1〜50質量部を反応させて得られる変性エチレン−ビニルアルコール共重合体(C)であることを特徴とする請求項9に記載のタイヤ。
  11. 前記エポキシ化合物(B)がグリシドール又はエポキシプロパンであることを特徴とする請求項10に記載のタイヤ。
  12. 前記変性エチレン−ビニルアルコール共重合体(C)が架橋されていることを特徴とする請求項10に記載のタイヤ。
  13. 前記変性エチレン−ビニルアルコール共重合体(C)からなる層が1層以上の接着剤層を介してエラストマーからなる補助層(D)に貼り合わせていることを特徴とする請求項10に記載のタイヤ。
  14. 前記エラストマーからなる補助層(D)にブチルゴム又はハロゲン化ブチルゴムが用いられていることを特徴とする請求項13に記載のタイヤ。
  15. 前記エラストマーからなる補助層(D)に熱可塑性ウレタン系エラストマーが用いられていることを特徴とする請求項13に記載のタイヤ。
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