JP6155084B2 - 乗用車用空気入りラジアルタイヤ - Google Patents
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OD(mm)≧2.135×SW+282.3
を満たし、インナーライナーを備え、前記インナーライナーは、(1)ゴム成分が、当該ゴム成分100重量部中40〜100重量部の変性または未変性のブチルゴム及び0〜60重量部のジエン系ゴムのみからなる、或いは、(2)ガスバリア樹脂を含む樹脂組成物層と、ゴム組成物及び/またはエラストマーを含む樹脂組成物から構成されるゴム状弾性体層とが交互に7層以上積層されて接合された積層体であり、前記インナーライナーの−40℃での動的貯蔵弾性率が500〜8000MPaである、ことを特徴とする。
上記の構成を有することにより、転がり抵抗値が低く、且つ軽量化した乗用車用空気入りタイヤを提供することができる。上記乗用車用空気入りラジアルタイヤは、狭幅化したものであるので、空気抵抗値、転がり抵抗が小さく、車両の燃費性を向上させることができる。
一方で、配設されたインナーライナーの−40℃での動的貯蔵弾性率(E’)を上記の範囲内、すなわち高めに設定することで、耐クラック性と相反する空気バリア性を高めることが容易となり、タイヤの内圧を高く維持することが可能となる。これにより、上記の低い空気抵抗値、転がり抵抗を奏することをより容易とすることができるものである。
なお、本発明における「リム」とは、タイヤのビード幅に対応した幅を有するリムをいう。
インナーライナーを構成する組成物に、その空気バリア性を高めるために無機充填剤を多量配合すると、低温時の硬度が増大するため、低温時の耐久性、精錬及び圧延工程での作業性が低くなりやすい、という問題があった。アスペクト比が3以上の粒子からなる無機充填剤、すなわち層状または板状の無機充填剤を含有させることで、比較的少量の配合で高い空気バリア性能を実現することができる。したがって、過剰に無機充填剤を配合しなくてもよいため、低温時の硬度上昇が抑えられ、かつ、空気バリア性の高いインナーライナーを提供することができる。
ここでいうアスペクト比とは、粒子図形を長方形で囲んだ時に最小長方形の、縦横の辺の長さの比をいい、長辺の長さを短辺の長さで除した値を指すものとする。
第一に、本発明の乗用車用空気入りラジアルタイヤ(以下、「タイヤ」ともいう)の転がり抵抗低減の原理について図を用いて説明する。
図1(a)は、タイヤクラウン部がタイヤの荷重時において撓む様子を示している。このクラウン部の撓みにより、図1(a)に平行四辺形で模式的に示すように、トレッドゴムがタイヤ周方向にせん断変形し、この変形がタイヤ転動時において繰り返されてエネルギー損失の原因となって転がり抵抗が増大する。
そこで、まず、転がり抵抗値を低減するためには、タイヤ接地時の撓み量を低減することが重要となる。
(式1)δ1=(OD/2)×(1−cosθ)
(式2)θ≒tan−1{(L/2)/(OD/2)}≒L/OD
また、図2は、様々なタイヤサイズの従来タイヤを適用リムに装着し、規定内圧を充填し、最大負荷荷重を負荷したときのタイヤ外径ODと撓み量δ1との関係を示す図である。上記の「適用リム」とは、タイヤサイズに応じて下記の規格に規定された標準リム(下記TRAのYEAR BOOKでは、“Design Rim”、下記ETRTOのSTANDARDS MANUALでは“Measuring Rim”)をいい、「規定内圧」とは、下記の規格において、最大負荷能力に対応して規定される空気圧をいい、「最大負荷能力」とは、下記の規格でタイヤに付加されることが許容される最大の質量をいう。そして、その規格とは、タイヤが生産または使用される地域に有効な産業規格によって決められたものであり、例えば、アメリカ合衆国では、“THE TIRE AND RIM ASSOCIATION INC.(TRA)”の“Year Book”であり、欧州では“The European Tire and Rim Technical Organization(ETRO)”であり、日本では、“日本自動車タイヤ協会(JATMA)”の“JATMA YEAR BOOK”である。
すなわち、タイヤの転がり抵抗を、トレッドゴムのタイヤ周方向せん断変形を抑制する観点から低減するには、タイヤの大径化が有効である。
(式3)T=(OD/2)×P
ベルト張力が増大すると、タイヤのリング剛性(タイヤのリング形状を維持するための剛性)が増大するため、図3(a)(b)に示すように、タイヤのリング形状を維持して、そのリング全体が偏心移動する変形(偏芯変形)が助長される。これにより、トレッドゴムの変形が抑制されて、タイヤの転がり抵抗値が低減する。
すなわち、タイヤの大径化は、タイヤのリング変形を抑制する観点からも、タイヤの転がり抵抗値の低減に有効である。
また、無負荷状態において、幅方向断面にて3点E1、E2、Fを含む曲線を円弧と近似した場合の点E1、E2におけるクラウン半径をCR(mm)とし、そのときの円の中心をOとする。このとき、幅方向断面において、線分OE1がタイヤ赤道面に対してなす角度をγ(°)とする。
さらに、上記タイヤを装着する車両毎に規定される最大負荷の荷重による撓み量(幅方向接地端が径方向に撓む量)をδ2(mm)、とするとき、幾何学的にδ2を以下の2つの式で近似的に表すことができる。
(式4)δ2=CR×(1−cosγ)
(式5)γ≒tan−1{(W/2)/CR}≒W/2CR
なお、「装着する車両毎に規定される最大負荷」とは、最大乗員数を想定した時に、4輪の中で最も荷重のかかるタイヤへの負荷荷重を意味する。
また、図5は、様々なタイヤサイズの従来タイヤを適用リムに装着し、規定内圧を充填し、最大負荷荷重を負荷したときの接地幅Wと撓み量δ2との関係を示す図である。
上記式4、式5、及び図5に示すように、接地幅Wを低減することにより、撓み量δ2を低減することができることがわかる。すなわち、タイヤの転がり抵抗を、トレッドゴムのタイヤ幅方向せん断変形を抑制する観点から低減するには、タイヤの狭幅化が有効である。
また、タイヤの狭幅化は、タイヤ重量の軽量化にも有効である。
以上により、まず、大径化と狭幅化とを適切に規制することによりタイヤ重量を低減しつつも、タイヤの転がり抵抗値を低減させ得ることがわかる。
(式6)Lo≒W×L×P
すると、上記の式1、式2に従うと、接地長Lの増大により撓み量δ1が増大することによって、トレッドゴムのタイヤ周方向のせん断変形が増大することになってしまう。
すなわち、上記式6の関係により、接地幅を低減させても、タイヤを高内圧のもとに使用することにより接地長を低減させずに、負荷荷重を支えることができる。
図7(a)は、タイヤサイズ195/65R15のタイヤを適用リムに装着し、最大負荷荷重を負荷したときの接地幅Wと撓み量δ1との関係を示す図である。また、図7(b)は、タイヤサイズ195/65R15のタイヤを適用リムに装着し、最大負荷荷重を負荷したときの接地幅Wと接地面積との関係を示す図である。
図7(a)に示すように、タイヤに規定内圧を充填して使用する場合には、接地幅が低減することにより、撓み量δ1が増大する。このため、トレッドゴムの周方向せん断変形の抑制効果が減少する。また、図7(b)に示すように、接地幅を減少させても接地面積は、ほぼ一定であり、接地長が増大していることがわかる。
これに対し、タイヤを高内圧化して使用することにより、図7(a)に示すように、接地幅を低減しても撓み量の増大を抑制し、図7(b)に示すように、接地幅を低減させることにより、接地面積を減少させることができる。
これにより、タイヤ接地時のトレッドゴムの周方向及び幅方向のせん断変形を抑制してタイヤの転がり抵抗値を低減することができる。
<乗用車用空気入りラジアルタイヤの構造>
上記タイヤは、狭幅化したものであるので、空気抵抗値、転がり抵抗が小さく、車両の燃費性を向上させることができる。
OD≧2.135×SW+282.3
を満たす。
すなわち、断面幅が165mm未満である場合、SW/ODが0.26以下であるタイヤは、タイヤの転がり抵抗値とタイヤ重量とを共に低減することができる。断面幅SWが165mm以上である場合には、上記関係式を満たすタイヤは、タイヤの転がり抵抗値とタイヤ重量とを共に低減することができる。
まず、カーカスは、少なくとも一枚のカーカスプライの端部が、タイヤ最大幅部よりタイヤ径方向外側に位置するハイターンアップ構造とすることが好ましく、タイヤ径方向においてカーカスとベルトとの間に位置するいわゆるエンベロープ構造のものとすることがより望ましい。
また、ベルトは、高剛性のものを用いるのが好ましく、具体的には、ベルトコードのヤング率が45000MPa以上のものであることが好ましい。
カーカス構造やベルト剛性を適切化して、高内圧でも使用可能なタイヤの強度を確保するためである。
インナーライナーの空気バリア性を高めるためには、空気バリア性の高い成分を高配合で含有することを要するが、このような成分は弾性率が高いため、インナーライナーの耐クラック性が低くなる、という問題があった。すなわち、耐クラック性の向上と、空気バリア性の向上とは、相反する性質を有するものであった。
しかしながら、本発明のタイヤは、上記のように高内圧で使用されることから、走行時の歪が小さいため、従来のタイヤと比して、インナーライナーに要求される耐クラック性は高くないといえる。
本発明のタイヤの第一実施形態においては、インナーライナーは、(1)ゴム成分が、当該ゴム成分100重量部中40〜100重量部の変性または未変性のブチルゴム及び0〜60重量部のジエン系ゴムのみからなり、ゴム成分としてブチルゴムを含有するゴム組成物とする。ブチルゴムとしては、変性ブチルゴム、未変性ブチルゴムのいずれも使用でき、またこれらを混合してもよい。変性ブチルゴムとしては、塩素化ブチルゴム、臭素化ブチルゴム等のハロゲン化ブチルゴムを好適に使用できる。ブチルゴムは、他の低空気透過性の樹脂組成物等と比して耐クラック性が高い、という利点を有し、インナーライナーとして好適に使用できる材料である。
ここで、上記ムーニー粘度[ML1+4(130℃)]は、JIS K6300−1(2001)に記載のムーニー粘度試験方法に基づき、温度130℃の条件で、L形ロータを用いて予熱時間1分、ロータ回転時間4分の条件で測定した粘度の値を言う。尚、値が大きいほど、高粘度である。
本発明のタイヤの第二実施形態においては、インナーライナーは、(2)ガスバリア樹脂を含む樹脂組成物層と、ゴム組成物及び/またはエラストマーを含む樹脂組成物から構成されるゴム状弾性体層とが交互に7層以上積層されて接合された積層体であり、ガスバリア樹脂を含む樹脂組成物を含有する。ここでいうガスバリア樹脂とは、気体の透過を防止する機能を有する樹脂であり、具体的には20℃−65%RH条件下で、JIS−K7126(等圧法)に記載の方法に準じて測定した酸素透過速度が、100mL・20μm/(m2・day・atm)以下の樹脂をいう。なお、本発明に用いられるガスバリア樹脂の酸素透過速度は、50mL・20μm/(m2・day・atm)以下が好ましく、10mL・20μm/(m2・day・atm)以下がさらに好ましい。
この変性処理に用いられる未変性のEVOHにおいては、エチレン単位含有量は25〜50モル%であることが好ましい。エチレン単位含有量が25モル%以上であると十分な耐屈曲性及び耐疲労性が得られ、かつ、溶融成形性も良好である。一方50モル% 以下であると十分な空気バリア性が得られる。より良好な耐屈曲性及び耐疲労性を得る観点からは、エチレン単位含有量は、30モル% 以上がさらに好ましく、35モル% 以上が特に好ましい。一方、空気バリア性の観点からは、エチレン単位含有量は48モル% 以下がより好ましく、45モル%以下が特に好ましい。
さらに、前記EVOHのケン化度は好ましくは90モル%以上であり、より好ましくは95モル%以上であり、さらに好ましくは98モル%以上であり、最適には99モル% 以上である。ケン化度が90モル%以上であると、十分な空気バリア性及び積層体作製時の熱安定性が得られる。
溶液反応による変性処理法では、EVOHの溶液に酸触媒あるいはアルカリ触媒存在下でエポキシ化合物を反応させることによって変性EVOHが得られる。反応溶媒としては、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドおよびN−メチルピロリドン等の、EVOHの良溶媒である極性非プロトン性溶媒が好ましい。反応触媒としては、p−トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、硫酸および三弗化ホウ素等の酸触媒や、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、ナトリウムメトキサイド等のアルカリ触媒が挙げられる。これらのうち、酸触媒を用いることが好ましい。触媒量としては、EVOH100重量部に対し、0.0001〜10重量部程度が適当である。また、EVOHおよびエポキシ化合物を反応溶媒に溶解させ、加熱処理を行うことによっても変性EVOHを製造することができる。
また、上記インナーライナーは、A層に加えて、ゴム組成物及び/またはエラストマーを含む樹脂組成物から構成されるゴム状弾性体層(B層)を備え、A層とB層とが交互に積層されて接合された積層体とする。インナーライナーを積層体とすることで、A層の空気バリア性と、B層の弾性により、インナーライナーの空気バリア性と、耐クラック性の両方を向上させることが可能となる。
このような多層フィルムの具体例としては、前記の変性EVOHを含む樹脂組成物のフィルムの両面に、それぞれ熱可塑性ウレタン系エラストマーフィルムが積層された三層構造の多層フィルムを挙げることができる。
種類としては、(イ)カプロラクトン型(カプロラクトンを開環して得られるポリラクトンエステルポリオール)、(ロ)アジピン酸型又はアジペート型(アジピン酸とグリコールとのアジピン酸エステルポリオール)、(ハ)PTMG(ポリテトラメチレングリコール)型又はエーテル型(テトラヒドロフランの開環重合で得られたポリテトラメチレングリコール)などがある。
上記酸化法としては、例えば、コロナ放電処理法、プラズマ放電処理法、クロム酸処理(湿式)法 、火炎処理法、熱風処理法、オゾン・紫外線照射処理法などが挙げられ、また凹凸化法としては、例えばサンドブラスト法、溶剤処理法などが挙げられる。これらの表面処理法は基材フィルムの種類に応じて適宜選ばれるが、一般にはコロナ放電処理法が効果及び操作性などの面から、好ましく用いられる。
B層の一層あたりの厚みは、0.001〜40μm、特に0.05〜7μm、さらに0.1〜2μmとすることが好ましい。
表1の実施例1〜7及び比較例1,2に示す配合で、インナーライナーを構成するゴム組成物を混練により調製し、各ゴム組成物からなる厚さ1000μmのインナーライナー1を備えた未加硫の空気入りタイヤ(グリーンタイヤ)を作製した。比較例1,2には、タイヤサイズ205/55R16(断面幅(SW):205mm、外径(OD):631mm)のタイヤを使用し、実施例1〜6には、155/55R20(断面幅:155mm、外径678.5mm)のタイヤ(本発明タイヤ1)、実施例7には175/60R19(断面幅:175mm、外径:692.6mm)のタイヤ(本発明タイヤ2)を使用した。
表1の比較例3及び4の供試タイヤには、以下の方法で作成したインナーライナー2(樹脂フィルムA)を配設した。
加圧反応槽に、エチレン含量44モル%、ケン化度99.9モル%のエチレン−ビニルアルコール共重合体2重量部およびN−メチル−2−ピロリドン8重量部を仕込み、120℃で、2時間加熱攪拌することにより、エチレン−ビニルアルコール共重合体を完全に溶解させた。これにエポキシ化合物としてエポキシプロパン0.4重量部を添加後、160℃で4時間加熱した。加熱終了後、蒸留水100重量部に析出させ、多量の蒸留水で充分にN−メチル−2−ピロリドンおよび未反応のエポキシプロパンを洗浄し、変性エチレン−ビニルアルコール共重合体を得た。さらに、得られた変性エチレン−ビニルアルコール共重合体を粉砕機で粒子径2mm程度に細かくした後、再度多量の蒸留水で十分に洗浄した。洗浄後の粒子を8時間室温で真空乾燥した後、2軸押出機を用いて200℃で溶融し、ペレット化した。
押出成形条件は以下のとおりである。
押出温度:EVOH/ダイ=170/220℃
押出機仕様:20mmφ押出機 ラボ機ME型CO−EXT(株式会社東洋精機製)
Tダイ仕様:500mm幅 (株式会社プラスチック工学研究所製)
冷却ロールの温度:50℃
引き取り速度4m/分
表1の実施例9の供試タイヤには、以下の方法で作成したインナーライナー3(樹脂フィルムB)を配設した。
1.EVOHペレット(A)の製造
エチレン含量44.5モル%、酢酸ビニル単位含有量55.5モル%、ケン化度99.5モル%のEVOHを、酢酸及びオルトホウ酸(OBA)を含む水溶液(水溶液1L中、酢酸0.3g、リン酸0.06g、オルトホウ酸0.35g溶解)を用いて、浴比20で処理し、乾燥後、押出機にてペレット化し、EVOHペレット(A)を得た。
1,4ーブタンジオールとアジピン酸とを反応させることによって得られた1分子あたりの水酸基数が2.0であり、数平均分子量が1,000であるポリエステルジオール68.8重量%、4,4−ジフェニルメタンジイソシアネート27.5重量%、及び1,4−ブタンジオール3.7重量%の混合物を、多軸スクリュー型押出機(ダイス温度260℃)で20分間溶融混練することによって、熱可塑性ポリウレタン樹脂TPU(ショア−A硬度85)を製造した。次いでペレット化してTPUペレット(B)を得た。
EVOHペレット(A)及びTPUペレット(B)を用い、それぞれペレットを構成する樹脂組成物によって交互にA層が16層及びB層が17層の多層構造体が形成されるように、33層フィードブロックにて、共押出機に210℃溶融状態として供給し、共押出を行い合流させることによって、多層の積層体とした。合流する2種類のペレットの溶融物は、フィードブロック内にて各層流路を表面側から中央側に向かうにつれ徐々に厚くなるように変化させることにより、押出された多層構造体の各層の厚さが均一になるように押出された。また、隣接するA層とB層の層厚さはほぼ同じになるようにスリット形状を設計した。このようにして得られた計25層からなる積層体を、表面温度25℃に保たれ静電印加したキヤスティングドラム上で急冷固化した。急冷固化して得られたキャストフィルムを離型紙上に圧着し巻取りを行った。なおペレットの溶融物が合流してからキヤスティングドラム上で急冷固化されるまでの時間が約4分となるように流路形状及び総吐出量を設定した。
上記実施例1〜7、9及び比較例1〜4に用いたインナーライナー1〜3について、下記の方法を用いて、空気透過係数及び動的貯蔵弾性率(E’)を測定した。
<<空気透過係数>>
上記インナーライナー1については、所定の厚さに延伸し、160℃で30分間加硫してサンプルを調製した後、インナーライナー2,3については、所定の大きさに切りだした後、空気透過試験機M−C1(東洋精機(株)製)を用いて、60℃での空気透過係数を測定した。尚、空気透過係数の数値が小さいほど、耐空気透過性に優れている。
<<動的貯蔵弾性率(E’)>>
同様に、加硫後のインナーライナー1〜3について、東洋精機社製スペクトロメーターを用い、歪0.1%、−40℃における貯蔵弾性率(E’)を測定した。
上記実施例1〜7、9及び比較例1〜4の各グリーンタイヤについて、160℃で30分間の条件で加硫して、専用リムに組み付けた。各タイヤについて、充填内圧260kPa、に空気充填した。各タイヤについて、タイヤ負荷質量5.0kN、時速80km/hの条件で、図10に示すように直径1.7mの鉄板表面を持つ鉄製ドラムを備えた−50℃の低温ドラム試験機を用いて600分間転動させ、インナーライナーの割れの有無について目視で確認評価した。評価結果は表1に示す通りとなった。
※2 低粘度ブチルゴム:JSRブロモブチル2222(日本ブチル株式会社)
※3 カーボンブラック:シーストV(東海カーボン)
※4 カオリンクレー:平均粒径3.6μm、平均アスペクト比20
※5 タッキファイヤ:タッキロール201(田岡化学)
※6 分散改良剤A:A−100KB(花王株式会社)
※7 分散改良剤B:シランカップリング剤KH−SI69 ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド(杭州沸点化工有限公司)
※8 加硫促進剤:ノクセラーDM(大内新興化学)
本発明のタイヤは、その構造より、タイヤ転がり抵抗値が低く、軽量化されたものであるのに加えて、高い空気バリア性を有するものであった。
Claims (8)
- 一対のビード部間でトロイダル状に跨る、ラジアル配列コードのプライからなるカーカスを備え、且つインナーライナーを備えた、乗用車用空気入りラジアルタイヤであって、
前記タイヤをリムに組み込み、内圧250kPa以上とした際に、
前記タイヤの断面幅SWが165mm未満である場合は、前記タイヤの断面幅SWと外径ODとの比SW/ODが0.26以下であり、
前記タイヤの断面幅SWが165mm以上である場合は、前記タイヤの断面幅SWおよび外径ODは、関係式、
OD(mm)≧2.135×SW+282.3
を満たし、
前記インナーライナーは、(1)ゴム成分が、当該ゴム成分100重量部中40〜100重量部の変性または未変性のブチルゴム及び0〜60重量部のジエン系ゴムのみからなる、或いは、(2)ガスバリア樹脂を含む樹脂組成物層と、ゴム組成物及び/またはエラストマーを含む樹脂組成物から構成されるゴム状弾性体層とが交互に7層以上積層されて接合された積層体であり、
前記インナーライナーの−40℃での動的貯蔵弾性率が500〜8000MPaである、
ことを特徴とする、乗用車用空気入りラジアルタイヤ。 - 前記インナーライナーが、変性または未変性のブチルゴムを含有する、請求項1に記載の乗用車用空気入りラジアルタイヤ。
- 前記インナーライナーが、アスペクト比が3以上の粒子からなる無機充填剤を含有する、請求項2に記載の乗用車用空気入りラジアルタイヤ。
- 前記インナーライナーが、ジエン系ゴムを含有する、請求項2に記載の乗用車用空気入りラジアルタイヤ。
- 前記インナーライナーが、分散改良剤を含有する、請求項2に記載の乗用車用空気入りラジアルタイヤ。
- 前記インナーライナーが、ガスバリア樹脂を含む樹脂組成物を含有する、請求項1に記載の乗用車用空気入りラジアルタイヤ。
- 前記ガスバリア樹脂が、変性または未変性のエチレン−ビニルアルコール共重合体を含有する、請求項6記載の乗用車用空気入りラジアルタイヤ。
- 前記インナーライナーは、60℃での空気透過係数が1×10 −14 〜6.5×10 −10 cc・cm/(cm 2 ・s・cmHg)である、請求項1〜7のいずれか一項に記載の乗用車用空気入りラジアルタイヤ。
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JP2014213839A (ja) | 2014-11-17 |
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