JP4468074B2 - ランフラットタイヤ - Google Patents

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Description

本発明は、カーカスの内面側でかつ少なくともサイド部に補強層を有するランフラットタイヤに関する。
従来、ランフラットタイヤの内圧保持のために、ガスバリア層としてのインナーライナーの主原料にブチルゴム、ハロゲン化ブチルゴムなどを使用している。しかしながら、これらを配合したゴム組成物では、そのガスバリア性が低いために、インナーライナーの厚さが1mm以上必要であった。それに加え、ランフラットタイヤは、一般の空気入りタイヤに比べ、サイド部に補強ゴム層を持つため、重量が大幅に増加するという問題があった。
一方、エチレン−ビニルアルコール共重合体(以下において、「EVOH」と略記することがある。)は、ガスバリア性に優れていることが知られている。EVOHは、空気透過量がブチル系のインナーライナーゴム組成物の100分の1以下であるため、50μm以下の厚さでも、内圧保持性を大幅に向上することができる上、タイヤを重量低減することが可能である(例えば、特許文献1参照。)。
又、タイヤ内面に樹脂類を使用したランフラットタイヤも開示されている(例えば、特許文献2参照。)。
特開平6−40207号公報 WO 03/029029号公報
しかしながら、近年では、従来のEVOHからなるタイヤインナーライナーと比較して、ガスバリア性を保持したまま、より高度な耐クラック性を有するインナーライナーが求められるようになっており、更なる技術の改良が望まれている。
そこで、本発明は、上記の問題に鑑み、内圧保持性を高めつつ、走行時の耐クラック性を改良し、かつ重量増を最小限にしたランフラットタイヤを提供することを目的とする。
本発明の特徴は、サイド部に三日月状の補強ゴム層を備えたランフラットタイヤであって、エチレン含有量25〜50モル%のエチレン−ビニルアルコール共重合体(A)100重量部に対して、エポキシ化合物(B)1〜50重量部を反応させて得られる変性エチレン−ビニルアルコール共重合体(C)からなる層を含むインナーライナーを備えるランフラットタイヤであることを特徴とする。
本発明の特徴に係るランフラットタイヤによると、内圧保持性を高めつつ、走行時の耐クラック性を改良し、かつ重量増を最小限にすることができる。
又、エチレン−ビニルアルコール共重合体(A)のケン化度が90%以上であることが好ましい。ケン化度が90%未満では、ガスバリア性及び空気入りタイヤ用インナーライナー成形時の熱安定性が不十分となるおそれがある。
又、エポキシ化合物(B)は、グリシドール又はエポキシプロパンであることが好ましい。二価以上のエポキシ化合物である場合、エチレン−ビニルアルコール共重合体(A)との架橋反応が生じ、ゲル、ブツ等の発生により、空気入りタイヤ用インナーライナーの品質が低下するおそれがある。変性エチレン−ビニルアルコール共重合体(C)の製造の容易性、ガスバリア性、耐屈曲性及び耐疲労性の観点から、一価エポキシ化合物であるグリシドール及びエポキシプロパン等が好ましい。
又、変性エチレン−ビニルアルコール共重合体(C)からなる層の20℃、65RH%における酸素透過量が、3.0×10-12cm3・cm/cm2・sec・cmHg以下であることが好ましい。ガスバリア性の観点から、この程度の酸素透過量であることが好ましい。
又、変性エチレン−ビニルアルコール共重合体(C)は架橋されていることが好ましい。変性エチレン−ビニルアルコール共重合体(C)が架橋されていない場合、空気入りタイヤを製造する加硫工程において、変性エチレン−ビニルアルコール共重合体(C)からなる層が著しく変形してしまい、均一な量を保持できなくなり、インナーライナーのガスバリア性、耐屈曲性、耐疲労性を悪化するおそれがある。
又、変性エチレン−ビニルアルコール共重合体(C)からなる層の厚さが50μm以下であることが好ましい。50μmを超える場合、現在用いられているブチルゴム、ハロゲン化ブチルゴムなどを使用したインナーライナーに対して重量低減のメリットが小さくなる。
又、インナーライナーは、変性エチレン−ビニルアルコール共重合体(C)からなる層に隣接する、エラストマーからなる補助層を更に含むことが好ましい。変性エチレン−ビニルアルコール共重合体(C)からなる層を備えていても、ピンホール・クラック等ができることがあるが、そのような場合、フィルム層とその外側に位置するプライ層の間に、補助層を配置することにより、クラックの成長を抑制することができる。又、クラックが発生しても、変性エチレン−ビニルアルコール共重合体(C)からなる層は補助層の表面にしっかり接着されているので、表面はフィルムでほとんど覆われており、クラック部からの空気の漏れを抑制できる。
又、変性エチレン−ビニルアルコール共重合体(C)からなる層と補助層とは、少なくとも1層以上の接着剤層と介して貼り合わされることが好ましい。エチレン−ビニルアルコール共重合体は、−OH基を有するため、比較的ゴムとの密着を確保することが容易である。例えば、塩化ゴム・イソシアネート系の接着剤を接着層に用いれば、タイヤに使用されているゴム組成物との接着が確保できる。
又、補助層の20℃、65RH%における酸素透過量が、3.0×10-9cm3・cm/cm2・sec・cmHg以下であることが好ましい。ガスバリア性の観点から、この程度の酸素透過量であることが好ましい。
又、補助層に、ブチルゴム又はハロゲン化ブチルゴムを用いてもよい。このような空気透過性の低いエラストマーを用いることで、クラック部からの空気漏れを抑制することができる。
又、補助層に、ジエン系エラストマーを用いてもよい。ガスバリア性の観点から、このようなエラストマーを用いることで、微小なクラックが発生した場合においても、走行後の空気入りタイヤの内圧保持性を高く保つことができる。
又、補助層に、熱可塑性ウレタン系エラストマーを用いてもよい。このようなエラストマーを用いることで、薄膜化を実現し、クラックの発生及び伸展の抑制を図ることができる。
又、補助層が複数積層される場合、当該複数の補助層間を少なくとも1層以上の接着剤層を介して貼り合わされることが好ましい。このように複数の補助層間を貼り合わせることにより、異なる種類のエラストマーからなる補助層を作製することができる。
又、補助層の厚さの合計が、50〜1500μmであることが好ましい。補助層の厚さが50μm未満である場合、インナーライナーの耐屈曲性、耐疲労性が低下し、タイヤ転動時の屈曲変形により破断・亀裂が生じやすく、又、亀裂が伸展しやすくなるため、タイヤ使用後の内圧保持性が使用前に対比し、大きく低下してしまうおそれがある。
本発明によれば、内圧保持性を高めつつ、走行時の耐クラック性を改良し、かつ重量増を最小限にしたランフラットタイヤを提供することができる。
次に、本発明を詳細に説明する。
(ランフラットタイヤ)
まず、本発明のランフラットタイヤの一実施形態を図面に基づき説明する。
ランフラットタイヤとは、パンク時においてもある程度の距離の走行が可能な空気入りタイヤのことであり、低内圧又はパンクした状態で荷重を負荷したときの撓み変形を抑制する必要があることから、空気圧に依存することなくタイヤ単体またはリムとの組み合わせ体で十分に剛性を発揮することが要求されている。
本実施形態に係るランフラットタイヤ100は、図1に示すように、一対のビード部2、ビード部2からタイヤ径方向外側に延びる一対のサイド部3間にまたがって延び、トレッド部4の各部にわたってトロイド状に延びるカーカス5を配設する。カーカス5は、2枚のカーカスプライからなり、当該カーカスプライはビードコア11をタイヤ内側から外側へ折り返される。
又、カーカス5のクラウン部6とトレッド部4との間に、タイヤ赤道面を挟んでコードが互いに交差するように積層した少なくとも2層のベルト層8(図1では、2層のコード層8a、8bからなる)を備える。カーカス5の内面側でかつ少なくともサイド部3の範囲にわたって断面三日月状の補強ゴム層10を備えており、いわゆるサイド補強タイプのランフラットタイヤの構造を有する。
又、カーカス5の内周面側には変性エチレン−ビニルアルコール共重合体(C)からなる層41と補助層42が順に配置されており、外周面側にはトレッド部4を構成するトレッドゴム9が配置され、両側面にはビード部2にかけてサイド部3を構成するサイドゴム12が配置される。
又、変性エチレン−ビニルアルコール共重合体(C)からなる層41は、エチレン含有量25〜50モル%のエチレン−ビニルアルコール共重合体(A)100重量部に対して、エポキシ化合物(B)1〜50重量部を反応させて得られる変性エチレン−ビニルアルコール共重合体(C)からなる。
本実施形態に係るランフラットタイヤ100によると、変性エチレン−ビニルアルコール共重合体(C)からなるインナーライナー層を備えることにより、内圧保持性を高めつつ、走行時の耐クラック性を改良し、かつ重量増を最小限にすることができる。
又、補助層42は、エラストマーからなる。補助層42の厚さについては、ベルト層6の端からビート部2までの領域で、少なくとも30mmの半径方向幅に相当する部分の厚さが、ベルト層6下部に対応する部分より、0.2mm以上厚いことが好ましい。
空気入りタイヤにおいて、破断、亀裂、及びクラックが発生することは、主に屈曲による変形の大きいサイド部3である。そのため、サイド部3のみ補助層42を厚くすることで、走行後内圧保持性とタイヤ重量低減とを両立することも可能である。
又、ランフラットタイヤ100は、空気が抜けた後も長距離走行が可能であるため、一般タイヤに比べ、内圧チェックの頻度が少なくなる可能性がある。よって、大幅に空気透過性を抑制したインナーライナーを用いることで、内圧チェックの頻度が減っても低内圧での走行を防ぐことができ、補強ゴム層10を含むタイヤ部材の劣化・破壊を抑制することができる。又、本発明のインナーライナーを用いたランフラットタイヤ100は、インナーライナーを変性により柔軟にしているため、低圧走行をしてもインナーライナーのクラックの発生を抑制できる。
(ランフラットタイヤ用インナーライナー)
次に、上述した変性エチレン−ビニルアルコール共重合体(C)からなる層及び補助層(D)について、詳細に説明する。
本発明の空気入りタイヤ用インナーライナーは、エチレン−ビニルアルコール共重合体(A)にエポキシ化合物(B)を反応させて得られる変性エチレン−ビニルアルコール共重合体(C)からなる層を含む。本発明におけるエポキシ化合物(B)を用いた変性により、エチレン−ビニルアルコール共重合体の弾性率を大幅に下げることができ、屈曲時の破断性、クラックの度合いを改良することができる。
本発明に用いられるエチレン−ビニルアルコール共重合体(A)としては、エチレン含有量は25〜50モル%であることが必要である。良好な耐屈曲性及び耐疲労性を得る観点からは、エチレン含有量の下限はより好適には30モル%以上であり、更に好適には35モル%以上である。又、ガスバリア性の観点からは、エチレン含有量の上限はより好適には48モル%以下であり、更に好適には45モル%以下である。エチレン含有量が25モル%未満の場合は耐屈曲性及び耐疲労性が悪化するおそれがある上、溶融成形性が悪化するおそれがある。又、50モル%を超えるとガスバリア性が不足するおそれがある。
更に、本実施形態に用いられるエチレン−ビニルアルコール共重合体(A)のケン化度は好ましくは90%以上である。ケン化度は、より好ましくは95%以上であり、更に好ましくは98%以上であり、最適には99%以上である。ケン化度が90%未満では、ガスバリア性及び空気入りタイヤ用インナーライナー成形時の熱安定性が不十分となるおそれがある。
本発明に用いられるエチレン−ビニルアルコール共重合体(A)の好適なメルトフローレート(MFR)(190℃、2160g荷重下)は、0.1〜30g/10分であり、より好適には0.3〜25g/10分である。但し、エチレン−ビニルアルコール共重合体(A)の融点が190℃付近あるいは190℃を越えるものは2160g荷重下、融点以上の複数の温度で測定し、片対数グラフで絶対温度の逆数を横軸、MFRの対数を縦軸にプロットし、190℃に外挿した値で表す。
本発明のタイヤ用インナーライナーは、エチレン−ビニルアルコール共重合体(A)100重量部に対して、エポキシ化合物(B)1〜50重量部を反応させて得られる変性エチレン−ビニルアルコール共重合体(C)からなる。より好適には、(A)及び(B)の混合比は、(A)100重量部に対して(B)2〜40重量部であり、更に好適には、(A)100重量部に対して(B)5〜35重量部である。
エチレン−ビニルアルコール共重合体(A)とエポキシ化合物(B)とを反応させて変性エチレン−ビニルアルコール共重合体(C)を製造する方法は特に限定されないが、エチレン−ビニルアルコール共重合体(A)とエポキシ化合物(B)とを溶液中で反応させる製造法が好適な方法として挙げられる。
溶液反応による製造法では、エチレン−ビニルアルコール共重合体(A)の溶液に酸触媒あるいはアルカリ触媒存在下で、エポキシ化合物(B)を反応させることによって変性エチレン−ビニルアルコール共重合体(C)が得られる。反応溶媒としては、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、及びN−メチルピロリドン等のエチレン−ビニルアルコール共重合体(A)の良溶媒である極性非プロトン性溶媒が好ましい。反応触媒としては、p−トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、トリフロオロメタンスルホン酸、硫酸及び3フッ化ホウ素等の酸触媒や、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、ナトリウムメトキサイド等のアルカリ触媒が挙げられる。これらのうち、酸触媒を用いることが好ましい。触媒量としては、エチレン−ビニルアルコール共重合体(A)100重量部に対し、0.0001〜10重量部程度が適当である。又、エチレン−ビニルアルコール共重合体(A)及びエポキシ化合物(B)を反応溶媒に溶解させ、加熱処理を行うことによっても、変性エチレン−ビニルアルコール共重合体(C)を製造することができる。
本発明に用いられるエポキシ化合物(B)は特に限定されないが、一価エポキシ化合物であることが好ましい。二価以上のエポキシ化合物である場合、エチレン−ビニルアルコール共重合体(A)との架橋反応が生じ、ゲル、ブツ等の発生により、空気入りタイヤ用インナーライナーの品質が低下するおそれがある。変性エチレン−ビニルアルコール共重合体(C)の製造の容易性、ガスバリア性、耐屈曲性及び耐疲労性の観点から、好ましい一価エポキシ化合物としてグリシドール及びエポキシプロパン等が挙げられる。
本発明に用いられる変性エチレン−ビニルアルコール共重合体(C)のメルトフローレート(MFR)(190℃、2160g荷重下)は、特に制限されないが、良好なガスバリア性、耐屈曲性及び耐疲労性を得る観点からは、0.1〜30g/10分であることが好ましく、0.3〜25g/10分であることがより好ましく、0.5〜20g/10分であることが更に好ましい。但し、エチレン−ビニルアルコール共重合体(A)の融点が190℃付近あるいは190℃を越えるものは2160g荷重下、融点以上の複数の温度で測定し、片対数グラフで絶対温度の逆数を横軸、MFRの対数を縦軸にプロットし、190℃に外挿した値で表す。
本発明の空気入りタイヤ用インナーライナーにおける変性エチレン−ビニルアルコール共重合体(C)からなる層は、20℃、65RH%における酸素透過量が3.0×10-12cm3・cm/cm2・sec・cmHg以下であることが好ましく、1.0×10-12cm3・cm/cm2・sec・cmHg以下であることがより好ましく、5.0×10-13cm3・cm/cm2・sec・cmHg以下であることが更に好ましい。ガスバリア性の観点から、この程度の酸素透過量であることが好ましい。
本発明に用いられる変性エチレン−ビニルアルコール共重合体(C)は、空気入りタイヤ用インナーライナーとして用いるために溶融成形によりフィルム、シート等に成形される。又、フィルム、シート等の溶融成形法としては、押出成形法等が挙げられる。押出成形の方法は特に限定されず、Tダイ法、インフレーション法が挙げられる。溶融温度は当該共重合体の融点等により異なるが、150〜270℃程度が好ましい。
本発明の空気入りタイヤ用インナーライナーは、変性エチレン−ビニルアルコール共重合体(C)からなる層の変性エチレン−ビニルアルコール共重合体(C)が架橋されていることが好ましい。変性エチレン−ビニルアルコール共重合体(C)が架橋されていない場合、空気入りタイヤを製造する加硫工程において、変性エチレン−ビニルアルコール共重合体(C)からなる層が著しく変形してしまい、均一な量を保持できなくなり、インナーライナーのガスバリア性、耐屈曲性、耐疲労性を悪化するおそれがある。
変性エチレン−ビニルアルコール共重合体(C)に架橋構造を形成させる方法に関しては特に限定されないが、好ましい方法としてエネルギー線を照射する方法が挙げられる。エネルギー線としては、紫外線、電子線、X線、α線、γ線等の電離放射線が挙げられ、好ましくは電子線が挙げられる。
電子線の照射方法に関しては、押出成形によるフィルム、シート加工の後、電子線照射装置に成形体を導入し、電子線を照射する方法が挙げられる。電子線の線量に関しては、特に限定されないが、好ましくは10〜50Mradの範囲である。照射する電子線量が10Mradより低いと、架橋が進み難くなる。一方、60Mradを超えると成形体の劣化が進行しやすくなる。より好適には、電子線量の範囲は、20〜50Mradである。
本発明の空気入りタイヤ用インナーライナーは、単層の成形物として空気入りタイヤに供せられる以外に、変性エチレン−ビニルアルコール共重合体(C)からなる層を少なくとも1層含む多層構造体として空気入りタイヤに供せられることができる。
又、本発明のタイヤ用インナーライナーは、変性エチレン−ビニルアルコール共重合体(C)からなる層に隣接して、エラストマーからなる補助層(D)を備えていることが好ましい。補助層(D)を備えることにより、更にガスバリア性を向上し、空気圧保持性を高めることができる。
又、本発明の空気入りタイヤ用インナーライナーは、変性エチレン−ビニルアルコール共重合体(C)からなる層が少なくとも1層以上の接着剤層を介して補助層(D)に貼り合わせられることができる。
エチレン−ビニルアルコール共重合体は、−OH基を有するため、比較的ゴムとの密着を確保することが容易である。例えば、塩化ゴム・イソシアネート系の接着剤を接着層に用いれば、タイヤに使用されているゴム組成物との接着が確保できる。
当該多層構造体の層構成としては、本発明の変性エチレン−ビニルアルコール共重合体(C)からなる層をC、エラストマーからなる補助層(D)をD1、D2、接着層をAdで表すと、C/D1、D1/C/D1、C/Ad/D1、D1/Ad/C/Ad/D1、D1/C/D1/D2、D1/C/D1/Ad/D2等が挙げられるが、これに限定されない。D1、D2は、それぞれ異なるエラストマーからなる補助層を示す。それぞれの層は単層であってもよいし、場合によっては多層であってもよい。又、用いられる変性エチレン−ビニルアルコール共重合体(C)、エラストマー及び接着層は一種類であってもよく、場合によっては多種類であってもよい。
上記に示す多層構造体を製造する方法は特に限定されない。例えば、変性エチレン−ビニルアルコール共重合体(C)からなる成形物(フィルム、シート等)にエラストマー及び接着層を溶融押出する方法、逆にエラストマーの基材に変性エチレン−ビニルアルコール共重合体(C)及び接着層を溶融押出する方法、変性エチレン−ビニルアルコール共重合体(C)と補助層(D)(及び必要に応じて接着層)とを共押出成形する方法、変性エチレン−ビニルアルコール共重合体(C)より得られた生成物とエラストマーのフィルム、シートとを接着層を用いてラミネートする方法、更にはタイヤ成型時にドラム上で、変性エチレン−ビニルアルコール共重合体(C)より得られた成形物と補助層(D)(及び必要に応じて接着層)を貼り合わせる方法等が挙げられる。
本発明の空気入りタイヤ用インナーライナーでは、変性エチレン−ビニルアルコール共重合体(C)からなる層の厚さが50μm以下であることが好ましい。50μmを超える場合、現在用いられているブチルゴム、ハロゲン化ブチルゴムなどを使用したインナーライナーに対して重量低減のメリットが小さくなる。更に、変性エチレン−ビニルアルコール共重合体(C)からなる層の耐屈曲性、耐疲労性が低下し、タイヤ転動時の屈曲変形により破断、亀裂が生じやすく、又、亀裂が伸展しやすくなるため、タイヤ氏養母の内圧保持性が使用前と比べて低下することがある。一方、空気入りタイヤ用インナーライナーのガスバリア性の観点から0.1μm以上であることが好ましい。ガスバリア性、耐屈曲性及び耐疲労性の観点から、変性エチレン−ビニルアルコール共重合体(C)からなる層の厚さは、1〜40μmがより好ましく、5〜30μmが更に好ましい。
上述したように、変性エチレン−ビニルアルコール共重合体(C)からなる層では、50μm以下での使用により、耐屈曲性、耐疲労性が向上し、タイヤ転動時の屈曲変形で破断及びクラックが生じにくくなる。又、たとえ破断しても変性エチレン−ビニルアルコール共重合体(C)からなる層とエラストマーからなる補助層(D)との接着性が良好であるため、剥離しにくく、亀裂が伸展しにくい。このため、大きな破断、クラックが生じ難い。又、生じた場合においても、変性エチレン−ビニルアルコール共重合体(C)に生じた破断及びクラック部分のガスバリア性を補助層(D)が補うため、タイヤ使用後においても、内圧保持が可能となる。
即ち、厚さが50μm以下の変性エチレン−ビニルアルコール共重合体(C)からなる層であっても、ピンホール・クラック等ができることがあるが、そのような場合、フィルム層とその外側に位置するプライ層の間に、エラストマーからなる補助層(D)を配置することにより、クラックの成長を抑制することができる。又、クラックが発生しても、変性エチレン−ビニルアルコール共重合体(C)からなる層は補助層(D)の表面にしっかり接着されているので、表面はフィルムでほとんど覆われており、補助層(D)に空気透過性の低いエラストマー(ブチルゴム、ハロゲン化ブチルゴム)を用いることで、クラック部からの空気の漏れを抑制できる。
本発明の空気入り入りタイヤ用インナーライナーのエラストマーからなる補助層(D)は、20℃、65RH%における酸素透過量が3.0×10-9cm3・cm/cm2・sec・cmHg以下であることが、インナーライナーのガスバリア性の観点から好ましい。より好ましくは、1.0×10-9cm3・cm/cm2・sec・cmHg以下である。
本発明の空気入りタイヤ用インナーライナーの補助層(D)として積層されるエラストマーとしては、ブチルゴム、ジエン系エラストマー等が好適なものとして挙げられる。ジエン系エラストマーとしては、天然ゴム、ブタジエンゴムなどが好適なものとして挙げられる。ガスバリア性の観点からは、エラストマーとしてブチルゴムを用いることが好ましく、ハロゲン化ブチルゴムを用いることがより好ましい。又、エラストマーからなる補助層(D)にクラックが発生した後の、クラックの伸展を抑制する観点からは、エラストマーとして、ブチルゴム及びジエン系エラストマーからなる組成物を用いることが好ましい。エラストマーとしてかかる組成物を用いることにより、エラストマーからなる補助層(D)に微小なクラックが発生した場合においても、走行後の空気入りタイヤの内圧性保持を高く保つことができる。
又、本発明の空気入りタイヤ用のインナーライナーの補助層(D)として積層されるエラストマーとして、熱可塑性ウレタン系エラストマーも好適なものとして挙げられる。補助層(D)の薄膜化及びクラックの発生、伸展抑制の観点からは、熱可塑性ウレタン系エラストマーを用いることが好ましい。
本発明の空気入りタイヤ用インナーライナーの補助層(D)として積層されるエラストマーとして、熱可塑性ウレタン系エラストマーからなる補助層(D)と、ブチルゴム及びジエン系エラストマーからなる組成物からなる補助層(D)とを多層化することが、より好ましい。
又、補助層(D)が複数積層される場合、当該複数の補助層(D)間を少なくとも1層以上の接着剤層を介して貼り合わされることが好ましい。このように複数の補助層(D)間を貼り合わせることにより、異なる種類のエラストマーからなる補助層(D)を作製することができる。
本発明の空気入りタイヤ用インナーライナーでは、エラストマーからなる補助層(D)の厚さの合計が50〜1500μmであることが好ましい。エラストマーからなる補助層(D)の厚さが50μm未満である場合、インナーライナーの耐屈曲性、耐疲労性が低下し、タイヤ転動時の屈曲変形により破断・亀裂が生じやすく、又、亀裂が伸展しやすくなるため、タイヤ使用後の内圧保持性が使用前に対比し、大きく低下してしまうおそれがある。更に、ベルト下部の補助層(D)の厚さの合計を50μm未満にすることは、タイヤの製造上困難である。
一方、エラストマーなる補助層(D)の厚さの合計が1500μmを超える場合、現在用いられている空気入りタイヤに対して重量低減のメリットが小さくなる。インナーライナーのガスバリア性、耐屈曲性、耐疲労性及び空気入りタイヤの重量低減の観点から、エラストマーからなる補助層(D)の厚さの合計は、100〜1000μmであることがより好ましく、300〜800μmであることが更に好ましい。
本発明の空気入りインナーライナーでは、クラックの発生・成長の抑制のために、エラストマーからなる補助層(D)の300%モジュラスを10MPa以下にすることが好ましい。300%モジュラスが10MPaを超える場合、インナーライナーの耐屈曲性、耐疲労性が低下する。エラストマーからなる補助層(D)の300%モジュラスの8MPa以下であることがより好ましく、7MPa以下であることが更に好ましい。
以下に実施例を挙げて、本発明を更に詳しく説明するが、本発明は下記の実施例に何ら限定されるものではない。
<エチレン−ビニルアルコール共重合体(A)の特性値の測定>
(1)エチレン−ビニルアルコール共重合体(A)のエチレン含有量及びケン化度:
重水素化ジメチルスルホキシドを溶媒としたH−NMR(核磁気共鳴)測定(日本電子社製「JNM−GX−500型」を使用)により得られたスペクトルから算出した。
(2)エチレン−ビニルアルコール共重合体(A)のメルトフローレート:
試料とするエチレン−ビニルアルコール共重合体(A)を、メルトインデクサーL244(宝工業株式会社製)の内径9.55mm、長さ162mmのシリンダーに充填し、190℃で溶融した後、重さ2160g、直径9.48mmのブランジャーを使用して均等に荷重をかけた。シリンダーの中央に設けた径2.1mmのオリフィスより単位時間あたりに押出される樹脂量(g/10分)を測定し、これをメルトフローレートとした。但し、エチレン−ビニルアルコール共重合体(A)の融点が190℃付近あるいは190℃を越えるものは2160g荷重下、融点以上の複数の温度で測定し、片対数グラフで絶対温度の逆数を横軸、MFRの対数を縦軸にプロットし、190℃に外挿した値で表す。
<変性エチレン−ビニルアルコール共重合体(C)の合成>
合成例1
加圧反応槽に、エチレン含量44モル%、ケン化度99.9%のエチレン−ビニルアルコール共重合体(A)(MFR:5.5g/10分(190℃、2160g荷重下))2重量部、及びN−メチル−2−ピロリドン8重量部を仕込み、120℃で、2時間加熱攪拌することにより、エチレン−ビニルアルコール共重合体(A)を完全に溶解させた。これにエポキシ化合物(B)としてグリシドール0.4重量部を添加後、160℃で4時間加熱した。加熱終了後、蒸留水100重量部に析出させ、多量の蒸留水で十分にN−メチル−2−ピロリドン及び未反応のグリシドールを洗浄し、変性エチレン−ビニルアルコール共重合体(C)を得た。更に、得られた変性エチレン−ビニルアルコール共重合体(C)を粉砕機で粒子径2mm程度に細かくした後、再度多量の蒸留水で十分に洗浄した。洗浄後の粒子を8時間室温で真空乾燥した後、2軸押出機を用いて200℃で溶融し、ペレット化した。
合成例2
加圧反応槽に、エチレン含量44モル%、ケン化度99.9%のエチレン−ビニルアルコール共重合体(A)(MFR:5.5g/10分(190℃、2160g荷重下))2重量部、及びN−メチル−2−ピロリドン8重量部を仕込み、120℃で、2時間加熱攪拌することにより、エチレン−ビニルアルコール共重合体(A)を完全に溶解させた。これにエポキシ化合物(B)としてグリシドール0.3重量部を添加後、160℃で4時間加熱した。加熱終了後、蒸留水100重量部に析出させ、多量の蒸留水で十分にN−メチル−2−ピロリドン及び未反応のグリシドールを洗浄し、変性エチレン−ビニルアルコール共重合体(C)を得た。更に、得られた変性エチレン−ビニルアルコール共重合体(C)を粉砕機で粒子径2mm程度に細かくした後、再度多量の蒸留水で十分に洗浄した。洗浄後の粒子を8時間室温で真空乾燥した後、2軸押出機を用いて200℃で溶融し、ペレット化した。
合成例3
加圧反応槽に、エチレン含量44モル%、ケン化度99.9%のエチレン−ビニルアルコール共重合体(A)(MFR:5.5g/10分(190℃、2160g荷重下))2重量部、及びN−メチル−2−ピロリドン8重量部を仕込み、120℃で、2時間加熱攪拌することにより、エチレン−ビニルアルコール共重合体(A)を完全に溶解させた。これにエポキシ化合物(B)としてエポキシプロパン0.4重量部を添加後、160℃で4時間加熱した。加熱終了後、蒸留水100重量部に析出させ、多量の蒸留水で十分にN−メチル−2−ピロリドン及び未反応のグリシドールを洗浄し、変性エチレン−ビニルアルコール共重合体(C)を得た。更に、得られた変性エチレン−ビニルアルコール共重合体(C)を粉砕機で粒子径2mm程度に細かくした後、再度多量の蒸留水で十分に洗浄した。洗浄後の粒子を8時間室温で真空乾燥した後、2軸押出機を用いて200℃で溶融し、ペレット化した。
<変性エチレン−ビニルアルコール共重合体(C)からなる層の作製>
フィルム1
合成例1で得られた変性エチレン−ビニルアルコール共重合体(C)のペレットを用いて、40mmφ押出機(プラスチック工学研究所製PLABOR GT−40−A)とTダイからなる製膜機を用いて、下記押出条件で製膜し、厚さ20μmの単層フィルムを得た。
形式: 単軸押出機(ノンベントタイプ)
L/D: 24
口径: 40mmφ
スクリュー: 一条フルフライトタイプ、表面窒化銅
スクリュー回転数: 40rpm
ダイス: 550mm幅コートハンガーダイ
リップ間隙: 0.3mm
シリンダー、ダイ温度設定:
C1/C2/C3/アダプター/ダイ
=180/200/210/210/210(℃)
フィルム2
合成例2で得られた変性エチレン−ビニルアルコール共重合体(C)のペレットを用いたこと以外は、フィルム1と同様にして、厚さ20μmの単層フィルムを得た。
フィルム3
合成例3で得られた変性エチレン−ビニルアルコール共重合体(C)のペレットを用いたこと以外は、フィルム1と同様にして、厚さ20μmの単層フィルムを得た。
フィルム4
ガスバリア材として、未変性のエチレン含量44モル%、ケン化度99.9%、MFR:5.5g/10分(190℃、2160g荷重下)のエチレン−ビニルアルコール共重合体(A)を変性エチレン−ビニルアルコール共重合体(C)の代わりに用いたこと以外は、フィルム1と同様にして、厚さ20μmの単層フィルムを得た。
フィルム5
合成例3で得られた変性エチレン−ビニルアルコール共重合体(C)と、エラストマーとして熱可塑性ポリウレタン(株式会社クラレ製、クラミロン3190)とを使用し、2種3層共押出装置を用いて、3層フィルム(熱可塑性ポリウレタン層/変性エチレン−ビニルアルコール共重合体(C)層/熱可塑性ポリウレタン層)を作製した。各層の厚さは、変性エチレン−ビニルアルコール共重合体(C)層、熱可塑性ポリウレタン層共に、20μmであった。
共押出成形条件は、以下のとおりである。
層構成:
熱可塑性ポリウレタン層/変性EVOH(C)層/熱可塑性ポリウレタン層(厚さ20/20/20:単位はμm)
各樹脂の押出温度:
C1/C2/C3/ダイ = 170/170/220/220℃
各樹脂の押出仕様:
熱可塑性ポリウレタン:
25mmφ押出機 P25−18AC(大阪精機工作株式会社製)
変性EVOH(C):
20mmφ押出機 ラボ機ME型CO−EXT(株式会社東洋精機製)
Tダイ仕様:
500mm幅2種3層用(株式会社プラスチック工学研究所製)
冷却ロールの温度: 50℃
引き取り速度: 4m/分
<変性エチレン−ビニルアルコール共重合体(C)からなる層の評価>
上記作製したフィルム1〜5を、以下に示す方法に従って、酸素透過量の評価、並びに耐屈曲性の評価を行った。
フィルムの酸素透過量の測定:
上記作製したフィルムを20℃−65%RHで5日間調湿した。上記の調湿済みの2枚のサンプルを使用して、モダンコントロール社製 MOCON OX−TRAN2/20型を用い、20℃−65%RH条件下でJIS K7126(等圧法)に記載の方法に準じて、酸素透過量を測定し、その平均値を求めた。
耐屈曲性の評価:
21cm×30cmにカットされた、上記作製したフィルムを50枚作製し、それぞれのフィルムを20℃−65%RHで5日間調湿した後、ASTM F 392−74に準じて、理学工業(株)製ゲルボフレックステスターを使用し、屈曲回数50回、75回、100回、125回、150回、175回、200回、225回、250回、300回、400回、500回、600回、700回、800回、1000回、1500回屈曲させた後、ピンホールの数を測定した。それぞれの屈曲回数において、測定を5回行い、その平均値をピンホール個数とした。屈曲回数(P)を横軸に、ピンホール数(N)を縦軸にとり、上記測定結果をプロットし、ピンホール数が1個のときの屈曲回数(Np1)を外挿により求め、有効数字2桁とした。但し、1500回屈曲でピンホールが観察されないフィルムについては、以降500回おきに屈曲回数を増やし、ピンホールが見られた屈曲回数をNp1とした。
フィルム1の酸素透過量は、3.0×10-12cm3・cm/cm2・sec・cmHgであり、優れたガスバリア性を示した。又、フィルム1の耐屈曲性について、上記方法に従って評価を行ったところ、Np1は500回であり、きわめて優れた耐屈曲性を示した。
フィルム2の酸素透過量は、1.0×10-12cm3・cm/cm2・sec・cmHgであり、優れたガスバリア性を示した。又、フィルム2の耐屈曲性について、上記方法に従って評価を行ったところ、Np1は100回であり、きわめて優れた耐屈曲性を示した。
フィルム3の酸素透過量は、4.0×10-12cm3・cm/cm2・sec・cmHgであり、優れたガスバリア性を示した。又、フィルム3の耐屈曲性について、上記方法に従って評価を行ったところ、Np1は500回であり、きわめて優れた耐屈曲性を示した。
フィルム4の酸素透過量は、4.6×10-12cm3・cm/cm2・sec・cmHgであり、優れたガスバリア性を示した。又、フィルム4の耐屈曲性について、上記方法に従って評価を行ったところ、Np1は47回であった。
フィルム5の酸素透過量は、3.5×10-12cm3・cm/cm2・sec・cmHgであり、優れたガスバリア性を示した。又、フィルム5の耐屈曲性について、上記方法に従って評価を行ったところ、Np1は5000回であり、きわめて優れた耐屈曲性を示した。
<ゴム組成物の配合、並びにゴムインナーライナー及び補助層(D)の作製>
下記の配合量に従い、ゴム組成物を作製し、145℃×40分加硫した後、JIS K6301に準じた方法で300%モジュラスを測定した。又、酸素透過量をフィルムの酸素透過量の測定と同手法で測定した。
ゴム組成物1(配合単位:重量部)
天然ゴム 30
Br-IIR(JSR(株)製 Bromobuly1 2244) 70
GPFカーボンブラック(旭カーボン(株)製 #55) 60
SUNPAR2280(日本サン石油(株)製) 7
ステアリン酸(旭電化工業(株)製) 1
NOCCELER DM(大内新興化学工業(株)製) 1.3
酸化亜鉛(白水化学工業(株)製) 3
硫黄(軽井沢精錬所製) 0.5
300%モジュラス : 6.5MPa
酸素透過量: 6.0×10-10cm3・cm/cm2・sec・cmHg
ゴム組成物2(配合単位:重量部)
Br-IIR(JSR(株)製 Bromobuly1 2244) 100
GPFカーボンブラック(旭カーボン(株)製 #55) 60
SUNPAR2280(日本サン石油(株)製) 7
ステアリン酸(旭電化工業(株)製) 1
NOCCELER DM(大内新興化学工業(株)製) 1.3
酸化亜鉛(白水化学工業(株)製) 3
硫黄(軽井沢精錬所製) 0.5
300%モジュラス : 6.0MPa
酸素透過量: 3.0×10-10cm3・cm/cm2・sec・cmHg
<評価用タイヤの作製及び評価>
実施例1
日新ハイボルテージ株式会社製電子線照射装置「生産用キュアトロンEBC200−100」を使用して、フィルム1に、加速電圧200kV、照射エネルギー30Mradの条件にて、電子線照射し、架橋処理を施し、変性エチレン−ビニルアルコール共重合体(C)からなる層として使用した。得られた架橋フィルムの片面に、接着層として東洋科学研究所製のメタロックR30Mを塗布し、ゴム組成物1を使用した厚さ1000μmの補助層(D)と貼り合わせることにより、変性エチレン−ビニルアルコール共重合体(C)及び補助層(D)からなるインナーライナーを作製した。得られたインナーライナーを用い、常法により乗用車用ランフラットタイヤ(サイズ:225/55R17)を作製した。
上記作製のタイヤについて空気圧140kPaで80km/hの速度に相当する回転数のドラム上に荷重6kNで押し付けて、10,000km走行を実施した。内圧保持性は、試験タイヤをリムに装着した後、内圧を240kPa充填し、3ヶ月後の内圧を測定することで評価し、次式にて指数化した。
内圧保持性 = ((240−b)/(240−a))×100 ……式(1)
尚、式中、a及びbは、下記のとおりである。
a:試験タイヤの3ヶ月後内圧
b:比較例1記載の3ヶ月後内圧
結果は、比較例1の結果を100とし、指数表示した。数値が大きいほど内圧保持性に優れることを示す。
又、走行後の試験タイヤのインナーライナー外観を目視観察して、亀裂、剥離の状態を調べた。更に、一般タイヤからの増加重量を測定した。
条件及び結果を表1に示す。
Figure 0004468074
実施例2
フィルム1に代えてフィルム2を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、インナーライナー及び空気入りタイヤを製作し、内圧保持性の評価、外観の目視、増加重量の測定を行った。条件及び結果を表1に示す。
実施例3
フィルム1に代えてフィルム3を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、インナーライナー及び空気入りタイヤを製作し、内圧保持性の評価、外観の目視、増加重量の測定を行った。条件及び結果を表1に示す。
比較例1
通常のゴムインナーライナーとして用いられるゴム組成物2を使用したインナーライナーを用い、上記と同様に常法により、変性エチレン−ビニルアルコール共重合体(C)及び補助層(D)を有さない乗用車用ランフラットタイヤを作製した。条件及び結果を表1に示す。
比較例2
フィルム1に代えてフィルム4を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、インナーライナー及び空気入りタイヤを製作し、内圧保持性の評価、外観の目視、増加重量の測定を行った。条件及び結果を表1に示す。
(結果)
表1より、実施例1〜3の変性エチレン−ビニルアルコール共重合体(C)からなる層を含むインナーライナーを用いたランフラットタイヤは、比較例1と比べると、格段に優れた内圧保持性を有することが分かった。又、外観評価においても、亀裂が生じておらず、良好な耐クラック性を有することが分かった。更に、増加重量が小さく、重量増を最小にできることが分かった。
一方、比較例2のランフラットタイヤは、内圧保持性は良好であるものの、ドラム走行によりインナーライナーに亀裂が入り、走行後の内圧保持性が低下することが分かった。
従って、本発明に係るランフラットタイヤによると、内圧保持性を高めつつ、走行時の耐クラック性を改良し、かつ重量増を最小限にできることが確認できた。
本実施形態に係るランフラットタイヤのタイヤ回転軸に沿った断面図である。
符号の説明
2 ビート部
3 サイド部
4 トレッド部
5 カーカス
6 クラウン部
8 ベルト層
8a、8b コード層
9 トレッドゴム
10 補強ゴム層
11 ビードコア
12 サイドゴム
41 変性エチレン−ビニルアルコール共重合体(C)からなる層
42 補助層
100 ランフラットタイヤ

Claims (12)

  1. サイド部に三日月状の補強ゴム層を備えたランフラットタイヤであって、
    エチレン含有量25〜50モル%、かつケン化度が90%以上であるエチレン−ビニルアルコール共重合体(A)100重量部に対して、グリシドール又はエポキシプロパンから選択されるエポキシ化合物(B)1〜50重量部を反応させて得られる変性エチレン−ビニルアルコール共重合体(C)と、
    エラストマーからなり前記変性エチレン−ビニルアルコール共重合体(C)からなる層に隣接する補助層と
    を含むインナーライナーを備えることを特徴とするランフラットタイヤ。
  2. 前記変性エチレン−ビニルアルコール共重合体(C)からなる層の20℃、65RH%における酸素透過量が、3.0×10-12cm3・cm/cm2・sec・cmHg以下であることを特徴とする請求項1に記載のランフラットタイヤ。
  3. 前記変性エチレン−ビニルアルコール共重合体(C)が架橋されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のランフラットタイヤ。
  4. 前記変性エチレン−ビニルアルコール共重合体(C)からなる層の厚さが50μm以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のランフラットタイヤ。
  5. 前記変性エチレン−ビニルアルコール共重合体(C)からなる層と前記補助層とは、少なくとも1層以上の接着剤層を介して貼り合わされることを特徴とする請求項1に記載のランフラットタイヤ。
  6. 前記補助層の20℃、65RH%における酸素透過量が、3.0×10-9cm3・cm
    /cm2・sec・cmHg以下であることを特徴とする請求項1に記載のランフラットタイヤ。
  7. 前記補助層に、ブチルゴム又はハロゲン化ブチルゴムを用いることを特徴とする請求項1に記載のランフラットタイヤ。
  8. 前記補助層に、ジエン系エラストマーを用いることを特徴とする請求項1に記載のランフラットタイヤ。
  9. 前記補助層に、熱可塑性ウレタン系エラストマーを用いることを特徴とする請求項1に記載のランフラットタイヤ。
  10. 前記補助層が複数積層される場合、当該複数の補助層間を少なくとも1層以上の接着剤層を介して貼り合わされることを特徴とする請求項1に記載のランフラットタイヤ。
  11. 前記補助層の厚さの合計が、50〜1500μmであることを特徴とする請求項1に記載のランフラットタイヤ。
  12. 前記エチレン−ビニルアルコール共重合体(A)は、エチレン含有量44モル%、かつケン化度99.9%である請求項1に記載のランフラットタイヤ。
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