JP2004231675A - 透明導電層形成用塗液及び透明導電膜 - Google Patents

透明導電層形成用塗液及び透明導電膜 Download PDF

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Abstract

【課題】銀含有微粒子を用いた保存安定性に優れた透明導電層形成用塗液、及びその塗液を用いて形成される透明導電膜、並びにその透明導電膜を備えた表示装置を提供する。
【解決手段】透明導電層の形成に用いる透明導電層形成用塗液は、溶媒に分散された平均粒径1〜100nmの銀含有微粒子を主成分とし、銀含有微粒子の表面が銀含有微粒子100重量部に対して0.2〜15重量部のハロゲンで修飾されている。上記銀含有微粒子は、表面を金及び/又は白金でコーティングした貴金属コート銀微粒子であって良い。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ブラウン管(CRT)、プラズマディスプレイパネル(PDP)、蛍光表示管(VFD)、液晶ディスプレイ(LCD)等の表示装置の前面板等に適用される透明導電膜、及びその形成に用いる透明導電層形成用塗液に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、オフィスオートメーション(OA)化により多くのOA機器が導入され、OA機器のディスプレイと向き合って終日作業することも珍しくない。このようなOA機器の代表例としてコンピュータがあるが、その陰極線管(ブラウン管とも称する:CRT)等では、表示画面が見やすく、視覚疲労を感じさせないことの外に、帯電による埃の付着や電撃ショックがないこと等が要求されている。
【0003】
最近では、これ等に加えて、CRT等から発生する低周波電磁波の人体に対する悪影響が懸念され、電磁波が外部に漏洩しないことが望まれている。このような電磁波は偏向コイルやフライバックトランスから発生し、ディスプレイの大型化に伴って益々大量の電磁波が周囲に漏洩する傾向にある。ところで、磁界の漏洩は、偏向コイルの形状を変えるなどの工夫で大部分を防止することができる。一方、電界の漏洩も、CRT等の前面ガラス表面に透明導電層を形成することにより防止することが可能である。
【0004】
このような電界の漏洩に対する防止方法は、近年において帯電防止のために取られてきた対策と原理的には同一である。しかし、電界漏洩防止用の透明導電層は、帯電防止用に形成されていた導電層よりもはるかに高い導電性が求められる。即ち、帯電防止用には表面抵抗で10Ω/□程度で十分とされているが、漏洩電界を防ぐため(電界シールド)には少なくとも10Ω/□以下、好ましくは5×10Ω/□以下、更に好ましくは10Ω/□以下の低抵抗の透明導電層が望まれている。
【0005】
そこで、上記要求に対処するため、従来から幾つかの提案がなされているが、その中でも低コストで且つ低い表面抵抗を実現できる方法として、導電性微粒子をアルキルシリケート等の無機バインダーと共に溶媒中に分散した透明導電層形成用塗液を用い、これをCRT等の前面ガラス等の透明基板上に塗布・乾燥した後、200℃程度の温度で焼成する方法が知られている。この透明導電層形成用塗液を用いる方法は、真空蒸着やスパッタ法等の他の透明導電層形成方法に比べてはるかに簡便であり、製造コストも低いため、極めて有利な方法である。
【0006】
この方法に用いられる透明導電層形成用塗液として、導電性微粒子にインジウム錫酸化物(ITO)を用いたものが知られている。しかし、得られる膜の表面抵抗が10〜10Ω/□と高いため、漏洩電界を十分に遮蔽するには電界キャンセル用の補正回路が必要となり、その分製造コストが割高となる問題があった。一方、導電性微粒子に金属粉を用いた透明導電層形成用塗液では、ITOを用いた塗液に比べ、膜の透過率が若干低くなるものの、10〜10Ω/□という低抵抗の透明導電膜が得られる。従って、上述した補正回路が必要なくなるためコスト的に有利となり、今後主流になるものと思われる。
【0007】
上記透明導電層形成用塗液に適用される金属微粒子として、空気中で酸化され難い貴金属、例えば銀、金、白金、ロジウム、パラジウム等が提案されている(特許文献1〜2参照)。貴金属以外の金属微粒子、例えば鉄、ニッケル、コバルト等も適用可能であるが、実際には大気雰囲気下で表面に酸化物皮膜が形成されるため、透明導電層として良好な導電性を得ることが難しい。また、貴金属の電気抵抗を比較すると、白金、ロジウム、パラジウムの比抵抗はそれぞれ10.6、5.1、10.8μΩ・cmであり、銀及び金の1.62及び2.2μΩ・cmに比べて高いため、表面抵抗の低い透明導電層を形成するには銀又は金の微粒子を用いることが有利である。
【0008】
しかし、銀微粒子を適用した場合、硫化や酸化、食塩水や紫外線等による劣化が激しく、耐候性に問題がある。他方、金微粒子を適用した場合、耐候性の問題はなくなるが、白金微粒子、ロジウム微粒子、パラジウム微粒子等と同様に、コスト上の問題を有している。これらの問題を解決する方法として、銀微粒子上に金や白金などの貴金属をコーティングする方法が示されている(特許文献3参照)。
【0009】
また、CRT等の表示画面を見易くするために、フェイスパネル表面に防眩処理を施して、画面の反射を抑えることも行われている。この防眩処理は、微細な凹凸を設けて表面の拡散反射を増加させる方法によっても可能であるが、この方法では解像度が低下して画質が落ちるため好ましくない。従って、むしろ反射光が入射光に対して破壊的干渉を生ずるように、透明皮膜の屈折率と膜厚とを制御する干渉法によって防眩処理を行うことが好ましい。
【0010】
このような干渉法により低反射効果を得るため、一般的には高屈折率膜と低屈折率膜の光学的膜厚を、それぞれ1/4λと1/4λ、あるいは1/2λと1/4λに設定した二層構造膜が採用されている。前述のインジウム錫酸化物(ITO)微粒子の透明導電膜は、この種の高屈折率膜として用いられている。尚、金属微粒子においては、光学定数(n−ik、ここでn:屈折率、i=−1、k:消衰係数)のうち、nの値は小さいが、kの値がITO等と比べ極端に大きいため、金属微粒子からなる透明導電膜においても、ITOの高屈折率膜と同様に、二層構造膜で光の干渉による反射防止効果が得られる。
【0011】
【特許文献1】
特開平8−77832号公報
【特許文献2】
特開平9−55175号公報
【特許文献3】
特開2000−268639号公報
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
上記した透明導電層形成用塗液を用いて透明導電層を形成する方法において、実際にCRT等を量産する場合には、塗液中の金属微粒子が長期にわたって凝集しないような保存安定性が求められる。しかし、従来の銀微粒子又は金や白金などの貴金属でコーティングした銀微粒子を用いた透明導電層形成用塗液では、室温保存では僅かに数日、冷凍庫保存でも1ヶ月程度で銀含有微粒子が凝集してしまうため、実用上その保存安定性に大きな問題があった。
【0013】
本発明は、このような従来の事情に鑑み、銀含有微粒子を用いた保存安定性に優れた透明導電層形成用塗液、及びその塗液を用いて形成される透明導電膜、並びにその透明導電膜を備えた表示装置を提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明が提供する透明導電層の形成に用いる透明導電層形成用塗液は、溶媒に分散された平均粒径1〜100nmの銀含有微粒子を主成分とし、該銀含有微粒子の表面が銀含有微粒子100重量部に対して0.2〜15重量部のハロゲンで修飾されていることを特徴とする。
【0015】
上記本発明の透明導電層形成用塗液において、前記銀含有微粒子は、銀微粒子の表面を金若しくは白金の単体又は金と白金の複合体でコーティングした貴金属コート銀微粒子であって、金及び/又は白金の合計コーティング量が銀100重量部に対して5〜1900重量部の範囲にあることが好ましい。
【0016】
また、本発明は、透明基板上に形成された透明導電層からなり、上記透明導電層形成用塗液を用いて形成されたことを特徴とする透明導電膜を提供する。この透明導電層は、その上に形成された透明コート層と共に透明2層膜を構成していることを特徴とする。
【0017】
更に、本発明は、上記透明導電膜が前面板に形成されていることを特徴とする表示装置を提供するものである。
【0018】
【発明の実施の形態】
コロイドを安定化させる要因として、DLVO(Derjagunin−Landau−Verway−Overbeek)理論で知られるファンデルワールス力と電気的斥力の和、高分子ポリマーの吸着による立体障害が知られている。しかしながら、高分子ポリマーを多量に投入すると、コロイドを安定化することができるが、膜を形成したときに金属微粒子同士の接触が阻害され、充分な導電性が得られないという問題が発生する。
【0019】
従って、金属微粒子を溶媒中で安定化させるためには、その微粒子の表面を改質して電気的斥力が大きくなるような工夫をしなければならない。このような観点から様々な検討を行った結果、金属微粒子の表面に適量のハロゲンを吸着させることにより、その凝集を防ぐことができ、保存安定性が高められることを見出した。
【0020】
即ち、本発明の透明導電層形成用塗液は、銀含有微粒子(例えば、金や白金などの1種以上の貴金属でコーティングした銀微粒子)の表面がハロゲンで修飾されており、室温保存で10日間以上凝集せず、冷凍保存では3ヶ月以上凝集することがない、極めて保存安定性に優れたものである。
【0021】
ハロゲンの修飾により銀含有微粒子の安定性が向上するメカニズムは明らかではないが、例えば、ハロゲンイオンが銀含有微粒子の銀元素部分に吸着することで、銀含有微粒子に強いマイナス電荷を与えていることが考えられる。尚、貴金属コート銀微粒子の場合、銀微粒子表面に金や白金をコートする過程において、一部の銀元素がハロゲンで修飾されながら貴金属のコーティングが進行する結果、貴金属コート銀微粒子の表面に少量の銀元素が存在し、その銀元素にハロゲンが吸着されるのではないかと考えられる。
【0022】
銀含有微粒子を修飾しているハロゲン量は、銀含有微粒子100重量部に対して0.2〜15重量部、好ましくは0.5〜5重量部とする。ハロゲン量が0.2重量部より少ないと所望の保存安定性が得られず、逆に15重量部を超えても、銀含有微粒子に対するハロゲンの吸着量に限界があるため、保存安定性の更なる向上は得られない。また、ハロゲン元素については、塗液の安定性のみを考えた場合には特に著しい差異は見られないが、透明導電層の導電性を考慮すると塩素(Cl)を用いることが好ましい。
【0023】
銀含有微粒子については、その平均粒径が1〜100nmであることを要する。平均粒径が1nm未満の微粒子の製造は困難であり、また塗液中で凝集し易く実用的でない。平均粒径が100nmを超えると、形成された透明導電層の可視光線透過率が低くなり過ぎ、仮に膜厚を薄く設定して可視光線透過率を高くした場合でも、表面抵抗が高くなり過ぎるため実用的ではないからである。尚、平均粒径とは、透過電子顕微鏡(TEM)で観察したときの微粒子の平均粒径を言う。
【0024】
また、貴金属コート銀微粒子の場合、金及び/又は白金の合計コーティング量が銀100重量部に対して5〜1900重量部の範囲に設定されていることが好ましい。上記合計コーティング量が5重量部未満では貴金属コート銀微粒子の耐候性が得られず、また1900重量部を超えるとコストの上昇を招く。
【0025】
次に、本発明における透明導電層形成用塗液の製造方法を具体的に説明するが、これに限定されるものではない。まず、既知の方法[例えば、Carey−Lea法:Am. J. Sci.,37,47(1889)、Am. J. Sci.,38(1889)参照]により、銀微粒子のコロイド分散液を調製する。即ち、硝酸銀水溶液に硫酸鉄(II)水溶液とクエン酸ナトリウム水溶液の混合液を加えて反応させ、沈降物を濾過・洗浄した後、純水を加えることによって、簡単に銀微粒子のコロイド分散液が得られる。尚、銀微粒子コロイド分散液の調製方法は、平均粒径1〜100nmの銀微粒子が分散されたものであれば任意であり、上記方法に限定されるものではない。
【0026】
この銀微粒子コロイド分散液にヒドラジン等の還元剤溶液と金酸塩等の任意の金属塩溶液等とを加えることにより、貴金属コート銀微粒子(銀含有微粒子)の分散液が得られる。銀含有微粒子のハロゲンによる修飾は、ハロゲンを上記還元剤溶液及び/又は金属塩溶液に添加して行うことができる。
【0027】
尚、このようにして得られる銀含有微粒子のコロイド分散液中に含まれるハロゲンの量は、銀含有微粒子100重量部に対して0.2〜15重量部であることが望ましい。ハロゲン量が0.2重量部未満では、銀含有微粒子を安定化させることができない。しかし、銀含有微粒子を修飾できるハロゲン量は決まっているので、あまり過剰に添加しても意味はなく、かえってイオン濃度が高くなると銀含有微粒子が凝集し易くなるため、15重量部以下とすることが好ましい。
【0028】
その後、得られた銀含有微粒子のコロイド分散液は、透析、電気透析、イオン交換、限外濾過等の脱塩処理方法により、分散液内の電解質濃度を下げることが好ましい。電解質濃度を下げないと、コロイドは電解質により一般的に凝集してしまうからであり、この現象はSchulze−Hardy則として知られている。
【0029】
次に、電解質濃度を下げた銀含有微粒子分散液を、減圧エバポレーター、限外濾過等の方法で濃縮処理して、銀含有微粒子の分散濃縮液を得る。この分散濃縮液に、有機溶剤単独、あるいは無機バインダーが含まれた有機溶剤を添加し、成分調整(微粒子濃度、水分濃度等)を行い、本発明に係る透明導電層形成用塗液が得られる。
【0030】
上記有機溶剤としては特に制限はなく、塗布方法や製膜条件により、適宜に選定される。好ましい有機溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール(EA)、イソプロパノール、ブタノール、ベンジルアルコール、ジアセトンアルコール(DAA)等のアルコール系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン(MEK)、メチルイソブチルケトン(MIBK)、シクロヘキサノン、イソホロン等のケトン系溶媒、プロピレングリコールメチルエーテル(PGM)、プロピレングリコールエチルエーテル等のグリコール誘導体、フォルムアミド、N−メチルフォルムアミド、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルフォキシド(DMSO)、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0031】
本発明に係る透明導電層形成用塗液を用いて、従来と同様の方法により、透明導電層を形成することができる。例えば、透明導電層形成用塗液を用いて透明基板上に平均粒径1〜100nmの貴金属含有微粒子とバインダーマトリックスを主成分とする透明導電層を形成し、その上に更に透明コート層を設けることによって、透明2層膜を形成することができる。
【0032】
具体的には、上記透明2層膜の形成は、以下の方法でこれを行うことができる。即ち、本発明の透明導電層形成用塗液を、ガラス基板、プラスチック基板等の透明基板上に、スプレーコート、スピンコート、ワイヤーバーコート、ドクターブレードコート等の手法にて塗布し、必要に応じて乾燥した後、例えばシリカゾル等を主成分とする透明コート層形成用塗布液を同様の手法によりオーバーコートする。次に、例えば50〜350℃程度の温度で加熱処理を施し、全体を硬化させて透明2層膜を形成する。
【0033】
本発明の透明導電層形成用塗液を用いて形成された透明導電層、及び透明2層膜は、高強度、高透過率であり、優れた耐候性、耐紫外線性を有し、且つ従来と同様に優れた反射防止効果と平坦な透過光線プロファイルを有し、高い電界シールド効果を備えている。
【0034】
従って、本発明に係わる透明導電膜又は透明2層膜を形成した透明基板は、例えば、ブラウン管(CRT)、プラズマディスプレイパネル(PDP)、蛍光表示管(VFD)、フィールドエミッションディスプレイ(FED)、エレクトロルミネッセンスディスプレイ(ELD)、液晶ディスプレイ(LCD)等の表示装置における前面板として、好適に用いることができる。
【0035】
【実施例】
以下、本発明の実施例を具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。尚、実施例中の「%」は透過率、反射率、ヘイズ値を除いて「重量%」を意味し、また「部」は「重量部」を意味する。
【0036】
実施例1
前述のCarey−Lea法により、銀微粒子のコロイド分散液を調製した。具体的には、9.1%硝酸銀水溶液33gに、23%硫酸鉄(II)水溶液39gと37.5%クエン酸ナトリウム水溶液48gの混合液を加え、沈降物を濾過・洗浄した後、純水を加えて、銀微粒子のコロイド分散液(Ag:0.1%)を調製した。
【0037】
この銀微粒子のコロイド分散液120gに、ヒドラジン1水和物(N・HO)の1%水溶液10.0gと、塩化ナトリウム0.02gに水を加えて320gにした水溶液と、金酸カリウム[KAu(OH)]水溶液(Au:0.15%)320gを加えることにより、塩素で修飾された金コート銀微粒子のコロイド分散液を得た。
【0038】
この金コート銀微粒子のコロイド分散液を、イオン交換樹脂(三菱化学(株)製、商品名ダイヤイオンSK1B、SA20AP)で脱塩した後、限外濾過により濃縮した。得られた濃縮液に各種有機溶媒などを加え、試料1の透明導電層形成用塗液(Ag:0.08%、Au:0.32%、水:12.1%、EA:51.4%、PGM:25.0%、DAA:10.0%、Cl:0.004%)を得た。この透明導電層形成用塗液を透過電子顕微鏡で観察したところ、塩素で修飾された金コート銀微粒子の平均粒径は6.6nmであった。
【0039】
次に、塩素で修飾された金コート銀微粒子を含む上記試料1の透明導電層形成用塗液を、35℃に加熱されたガラス基板(厚さ3mmのソーダライムガラス)上にスピンコート(150rpm、60秒間)し、引き続いてシリカゾル液をスピンコート(150rpm、60秒間)した。その後、200℃にて20分間硬化させ、金コート銀微粒子を含む透明導電層と、酸化ケイ素を主成分とするシリケート膜から成る透明コート層とで構成された透明2層膜付きのガラス基板、即ち試料1に係る透明導電性基材を得た。
【0040】
尚、上記透明コート層の形成に用いたシリカゾル液は、メチルシリケート(コルコート社製、商品名メチルシリケート51)19.6部、エタノール57.8部、1%硝酸水溶液7.9部、純水14.7部を用いて、SiO(酸化ケイ素)固形分濃度が10%で、重量平均分子量が2850のものを調製し、最終的にSiO固形分濃度が0.8%となるようにイソプロピルアルコール(IPA)とn−ブタノール(NBA)の混合物(IPA/NBA=3/1)により希釈して得られたものである。
【0041】
ガラス基板上に形成された透明2層膜の膜特性(表面抵抗、可視光線透過率、ヘイズ値、ボトム反射率、ボトム波長)を下記表1に示した。表1に示した透過率は、可視光線波長域(380〜780nm)における透明基板(ガラス基板)を含まない透明2層膜だけの可視光線透過率であり、以下のようにして求められている。即ち、透明基板を含まない透明2層膜だけの透過率(%)=[(透明基板ごと測定した透過率)/(透明基板の透過率)]×100
【0042】
上記透明2層膜の膜特性の評価において、表面抵抗は三菱化学(株)製の表面抵抗計(ロレスタAP、MCP−T400)を用いて測定した。ヘイズ値と可視光線透過率は、透明基板ごと、村上色彩技術研究所製のヘイズメーター(HR−200)を用いて測定した。反射率は、日立製作所(株)製の分光光度計(U−4000)を用いて測定した。尚、ボトム反射率とは透明導電性基材の反射プロファイルにおいて極小の反射率をいい、ボトム波長とは反射率が極小における波長を意味している。
【0043】
また、上記試料1の透明導電層形成用塗液の保存安定性を評価したところ、室温(25℃)で1ヶ月保存した時点、及び冷凍庫(−15℃)で3ヶ月保存した時点で、いずれも金コート銀微粒子の凝集は見られなかった。また、それらの時点での透明導電層形成用塗液を用い、成膜した膜特性についても変化は認められなかった。これらの結果を、下記表2に示した。
【0044】
実施例2
実施例1と同様に調整した銀微粒子のコロイド分散液120gに、ヒドラジン1水和物(N・HO)の1%水溶液10.0gに水を加えて320gにした水溶液と、金酸カリウム[KAu(OH)]水溶液(Au:0.15%)320gに1%塩酸を1.15g添加した水溶液を加え、塩素で修飾された金コート銀微粒子のコロイド分散液を得た。
【0045】
この金コート銀微粒子のコロイド分散液について、実施例1と同様の処理を行うことにより、塩素で修飾された平均粒径6.7nmの金コート銀微粒子が分散した試料2に係る透明導電層形成用塗液(Ag:0.08%、Au:0.32%、水:12.0%、EA:51.6%、PGM:25.0%、DAA:10.0%、Cl:0.005%)を得た。
【0046】
得られた試料2の透明導電層形成用塗液を用い、それ以外は実施例1と同様にして、金コート銀微粒子を含む透明導電層と、酸化ケイ素を主成分とするシリケート膜から成る透明コート層とで構成された透明2層膜付きのガラス基板、即ち試料2に係る透明導電性基材を得た。この試料2における透明2層膜の膜特性を下記表1に示した。
【0047】
また、上記試料2の透明導電層形成用塗液の保存安定性を評価したところ、室温で1ヶ月保存、冷凍庫で3ヶ月保存した時点でも、金コート銀微粒子の凝集は見られず、それらの時点で成膜したときの膜特性にも変化は認められなかった。これらの結果を、下記表2に示した。
【0048】
実施例3
実施例1と同様に調整した銀微粒子のコロイド分散液120gに、ヒドラジン1水和物(N・HO)の1%水溶液10.0gに水を加えて320gにした水溶液と、金酸カリウム[KAu(OH)]水溶液(Au:0.15%)320gに臭化カリウム0.04gを添加した水溶液を加え、臭素で修飾された金コート銀微粒子のコロイド分散液を得た。
【0049】
この金コート銀微粒子のコロイド分散液について、実施例1と同様の処理を行うことにより、臭素で修飾された平均粒径6.4nmの金コート銀微粒子が分散した試料3に係る透明導電層形成用塗液(Ag:0.08%、Au:0.32%、水:12.1%、EA:51.5%、PGM:25.0%、DAA:10.0%、Br:0.012%)を得た。
【0050】
得られた試料3の透明導電層形成用塗液を用い、それ以外は実施例1と同様にして、金コート銀微粒子を含む透明導電層と、酸化ケイ素を主成分とするシリケート膜から成る透明コート層とで構成された透明2層膜付きのガラス基板、即ち試料3に係る透明導電性基材を得た。この試料3の透明2層膜の膜特性を下記表1に示した。
【0051】
また、上記試料3の透明導電層形成用塗液の保存安定性を評価したところ、室温で1ヶ月保存、冷凍庫で3ヶ月保存した時点でも、金コート銀微粒子の凝集は見られず、それらの時点で成膜したときの膜特性にも変化は認められなかった。これらの結果を、下記表2に示した。
【0052】
比較例1
実施例1と同様に調整した銀微粒子のコロイド分散液120gに、ヒドラジン1水和物(N・HO)の1%水溶液10.0gに水を加えて320gにした水溶液と、金酸カリウム[KAu(OH)]水溶液(Au:0.15%)320gに硝酸カリウム0.05gを添加した水溶液を加え、更に実施例1と同様の処理を行ったところ、金コート銀微粒子のコロイド分散液は凝集してしまい、透明導電層形成用塗液は得られなかった。
【0053】
比較例2
実施例1と同様に調整した銀微粒子のコロイド分散液120gに、ヒドラジン1水和物(N・HO)の1%水溶液10.0gに水を加えて320gにした水溶液と、金酸カリウム[KAu(OH)]水溶液(Au:0.15%)320gを加え、金コート銀微粒子(ハロゲンで修飾されていない)のコロイド分散液を得た。
【0054】
この金コート銀微粒子のコロイド分散液について、実施例1と同様の処理を行うことにより、平均粒径6.2nmの金コート銀微粒子が分散した試料4に係る透明導電層形成用塗液(Ag:0.08%、Au:0.32%、水:12.2%、EA:51.4%、PGM:25.0%、DAA:10.0%)を得た。
【0055】
この比較例の試料4に係わる透明導電層形成用塗液を用い、それ以外は実施例1と同様にして、金コート銀微粒子を含む透明導電層と、酸化ケイ素を主成分とするシリケート膜から成る透明コート層とで構成された透明2層膜付きのガラス基板、即ち試料4の透明導電性基材を得た。この試料4の透明2層膜の膜特性を下記表1に併せて示した。
【0056】
また、比較例である上記試料4の透明導電層形成用塗液の保存安定性を評価したところ、室温では翌日に金コート銀微粒子が凝集し、冷凍庫でも1ヶ月保存した時点で金コート銀微粒子の凝集が見られた。これらの結果を、下記表2に併せて示した。
【0057】
【表1】
Figure 2004231675
【0058】
【表2】
Figure 2004231675
【0059】
上記表1に示された結果から明らかなように、本発明の試料1〜3に係る各透明導電層形成用塗液を用いて得られた透明導電膜は、比較例である試料4の透明導電層形成用塗液を用いて得られた透明導電膜と比較すると、良好な導電性と共に、優れた可視光線透過率及び反射防止機能を有していることが判る。尚、試料3では幾分高めの表面抵抗となっているが、実用性を損なう程ではない。
【0060】
また、上記表2に示された結果から明らかなように、比較例である試料4に係る透明導電層形成用塗液は極めて短時間で銀含有微粒子が凝集しているのに対し、本発明の試料1〜3のハロゲンで修飾された銀含有微粒子を含む透明導電層形成用塗液は保存安定性が著しく向上していることが確認できる。尚、上述したように、比較例1においては、ハロゲン以外のアニオンを用いたため金コート銀微粒子が凝集してしまい、透明導電層形成用塗液及び透明導電膜を得ることができなかった。
【0061】
【発明の効果】
本発明によれば、銀含有微粒子をハロゲンで修飾することにより、室温保存で10日間以上及び冷凍保存では3ヶ月以上凝集しない、保存安定性に優れた透明導電層形成用塗液を得ることができる。また、この透明導電層形成用塗液を用いて形成される透明導電膜は、高透過率で、優れた反射防止効果と平坦な透過光線プロファイルを有すると同時に、優れた耐候性、耐紫外線性、高い電界シールド効果を備えており、CRT等の表示装置における前面板として極めて好適である。

Claims (5)

  1. 透明導電層の形成に用いる透明導電層形成用塗液であって、溶媒に分散された平均粒径1〜100nmの銀含有微粒子を主成分とし、該銀含有微粒子の表面が銀含有微粒子100重量部に対して0.2〜15重量部のハロゲンで修飾されていることを特徴とする透明導電層形成用塗液。
  2. 前記銀含有微粒子が、銀微粒子の表面を金若しくは白金の単体又は金と白金の複合体でコーティングした貴金属コート銀微粒子であって、金及び/又は白金の合計コーティング量が銀100重量部に対して5〜1900重量部の範囲にあることを特徴とする、請求項1に記載の透明導電層形成用塗液。
  3. 透明基板上に形成された透明導電層からなり、請求項1又は2に記載の透明導電層形成用塗液を用いて形成されたことを特徴とする透明導電膜。
  4. 前記透明導電層が、その上に形成された透明コート層と共に透明2層膜を構成していることを特徴とする、請求項3に記載の透明導電膜。
  5. 請求項3又は4に記載の透明導電膜が前面板に形成されていることを特徴とする表示装置。
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