JP2009197324A - 金属ナノ粒子分散液及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】形状や粒径を幅広い範囲で制御することできる金属ナノ粒子分散液の製造方法を提供する。分散安定性に優れた金属ナノ粒子分散液及びその製造方法を提供する。
【解決手段】金属元素中の銀の割合が75質量%以上である金属塩とカルボン酸類と還元剤とを液相中で混合して金属ナノ粒子を合成し、この金属ナノ粒子を分散媒に分散する各工程を含む製造方法において、金属ナノ粒子の合成が、塩素イオン、硫酸イオン、ヨウ素イオン、臭素イオン、ホウ酸イオン及びリン酸イオンからなる群より選ばれた1種又は2種以上のアニオンを含む添加剤を、金属塩、カルボン酸類及び還元剤とともに液相中で添加混合して生じた懸濁液を25〜95℃の温度で攪拌することにより行われ、金属ナノ粒子の合成後に、調製する分散液中に含まれる添加剤の濃度が0.01〜100ppmの範囲内となるまで低減させることを特徴とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、金属ナノ粒子分散液及びその製造方法に関するものである。
従来、粒径が数nm程度の金属ナノ粒子はその融点がバルクのものと劇的に異なるため、低温度焼成によって使用可能な導電性ペーストなどとしての応用が期待されている。そして、このような金属ナノ粒子を製造するために、従来では、溶媒中で金属を還元する方法が知られている。例えば、水溶液中で銀ナノ粒子を合成する方法として、第1鉄塩−クエン酸塩水溶液中に硝酸銀水溶液を添加する、いわゆるCarey−Leaゾル法に代表される数多くの手法が検討されている。これにより分散安定性に優れ、狭い粒度分布を有する粒径10nmオーダーの銀コロイド分散液を得ることが可能である。このような金属ナノ粒子を含む分散液を基材に塗布後、低温で焼成することで、バルクの金属に近い体積抵抗率、反射率を有する膜が形成され、この膜は電極として利用し得る。これらの金属コロイド分散液の利用においては、微粒子の粒径、粒径分布、形状を制御することで、それらの特性は大きく変化することが知られている。
このような金属ナノ粒子の製造方法として、例えば、非結晶銀粒子の分散液に700nm未満の波長を有する光源を晒すことで銀結晶を形成するナノプリズムの形成方法が開示されている(例えば、特許文献1参照。)。この方法によりプレート状の銀の単結晶が形成される。
また、銀塩のアンミン錯体及び還元反応の際に媒晶剤として機能する重金属塩のアンミン錯体を含むスラリーと、還元剤である亜硫酸カリ及び保護コロイドとしてのゼラチンを含有する溶液とを一時に混合して該銀塩のアンミン錯体を還元し、生成した銀粒子を回収することを特徴とする六角板状結晶銀粒子からなる銀粉の製造方法が開示されている(例えば、特許文献2参照。)。この特許文献2に示される方法では、一次粒子径が5〜10μmの六角板状結晶微粒子が得られる。
更に、2つの主面を有する略板状の粒子であり、該粒子の厚さが50nm以下、長径が5000nm以下であることを特徴とする銀微粒子が知られている(例えば、特許文献3参照。)。この特許文献3に示される方法では少なくとも高分子化合物、還元剤、及び銀塩を溶解してなる溶液を、25℃以上、60℃以下の温度にて攪拌することで銀微粒子を製造している。
米国特許出願公開第2003/0136223号明細書(claim 1、Fig. 7) 特開平11−106806号公報(特許請求の範囲の請求項2、明細書の段落[0021]) 特開2005−105376号公報(特許請求の範囲の請求項1及び請求項4)
しかしながら、上記特許文献1〜3に示される従来の方法では、制御する因子に乏しく、金属ナノ粒子の形状や粒径を幅広い範囲で制御することができない問題があった。
本発明の目的は、上記文献1〜3に比べて、形状や粒径を幅広い範囲で制御することできる金属ナノ粒子分散液の製造方法を提供することにある。
本発明の別の目的は、分散安定性に優れた金属ナノ粒子分散液及びその製造方法を提供することにある。
本発明の更に別の目的は、導電材料として有用な2〜6×10-6Ω・cmの体積抵抗率が得られる、金属ナノ粒子分散液及びその製造方法を提供することにある。
本発明の第1の観点は、金属ナノ粒子が分散媒に分散した金属ナノ粒子分散液であって、金属ナノ粒子が、金属元素中の銀の割合が75質量%以上である金属塩と、カルボン酸類と、還元剤と、塩素イオン、硫酸イオン、ヨウ素イオン、臭素イオン、ホウ酸イオン及びリン酸イオンからなる群より選ばれた1種又は2種以上のアニオンを含む添加剤とを液相中で添加混合して生じた懸濁液を25〜95℃の温度で攪拌することにより合成され、分散液中に含まれる添加剤の濃度が0.01〜100ppmの範囲内であることを特徴とする金属ナノ粒子分散液である。
本発明の第1の観点では、分散液中に含まれる添加剤の濃度が上記範囲内であれば、その分散液は、分散安定性に優れる。
本発明の第2の観点は、第1の観点に基づく発明であって、分散媒が1質量%以上の水と2質量%以上のアルコール類とを含有する分散液である。
本発明の第3の観点は、第2の観点に基づく発明であって、アルコール類がメタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、イソボニルヘキサノール、グリセロール及びエリトリトールからなる群より選ばれた1種又は2種以上である分散液である。
本発明の第4の観点は、金属元素中の銀の割合が75質量%以上である金属塩と、カルボン酸類と、還元剤とを液相中で混合して金属ナノ粒子を合成する工程と、合成した金属ナノ粒子を分散媒に分散する工程とを含む金属ナノ粒子分散液の製造方法において、金属ナノ粒子の合成が、塩素イオン、硫酸イオン、ヨウ素イオン、臭素イオン、ホウ酸イオン及びリン酸イオンからなる群より選ばれた1種又は2種以上のアニオンを含む添加剤を、金属塩、カルボン酸類及び還元剤とともに液相中で添加混合して生じた懸濁液を25〜95℃の温度で攪拌することにより行われ、金属ナノ粒子の合成後に、調製する分散液中に含まれる添加剤の濃度が0.01〜100ppmの範囲内となるまで低減させることを特徴とする金属ナノ粒子分散液の製造方法である。
本発明の第4の観点では、金属ナノ粒子を合成する際に、上記種類のアニオンを含む添加剤を、金属塩、カルボン酸類及び還元剤とともに液相中で添加混合して生じた懸濁液を25〜95℃の温度で攪拌することで、生成する金属粒子の形状や粒径を幅広い範囲で制御することができる。また、金属ナノ粒子の合成後に、調製する分散液中に含まれる添加剤の濃度を0.01〜100ppmの範囲内となるまで低減させることで、分散安定性に優れた分散液を得ることができる。
本発明の第5の観点は、第4の観点に基づく発明であって、カルボン酸類がグリコール酸、クエン酸、リンゴ酸、マレイン酸、マロン酸、フマル酸、コハク酸、酒石酸及びこれらを用いた塩類からなる群より選ばれた1種又は2種以上である製造方法である。
本発明の第6の観点は、第4の観点に基づく発明であって、還元剤がヒドラジン、水素化ホウ素ナトリウム、アスコルビン酸、シュウ酸、蟻酸、これらを用いた塩類及びFe(II)塩からなる群より選ばれた1種又は2種以上である製造方法である。
本発明の第7の観点は、第4の観点に基づく発明であって、金、白金、パラジウム及びルテニウムからなる群より選ばれた1種又は2種以上の混合組成又は合金組成から構成される金属ナノ粒子を0.02質量%以上かつ25質量%未満含有する製造方法である。
本発明の第8の観点は、第4の観点に基づく発明であって、分散媒が1質量%以上の水と2質量%以上のアルコール類とを含有する製造方法である。
本発明の第9の観点は、第8の観点に基づく発明であって、アルコール類がメタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、イソボニルヘキサノール、グリセロール及びエリトリトールからなる群より選ばれた1種又は2種以上である製造方法である。
本発明の第10の観点は、第4ないし第9の観点に基づく製造方法により得られる金属ナノ粒子分散液であって、分散液中に含まれる添加剤の濃度が0.01〜100ppmの範囲内であることを特徴とする金属ナノ粒子分散液である。
本発明の第10の観点では、分散液中に含まれる添加剤の濃度が上記範囲内であれば、その分散液は、分散安定性に優れる。
本発明の第11の観点は、第1ないし第3の観点に基づく金属ナノ粒子分散液、第4ないし第9の観点に基づく方法により得られる金属ナノ粒子分散液或いは第10の観点に基づく金属ナノ粒子分散液を電極形成用組成物とし、電極形成用組成物を基材上に湿式塗工法で塗工して太陽電池用電極を形成する方法である。
本発明の第12の観点は、第1ないし第3の観点に基づく金属ナノ粒子分散液、第4ないし第9の観点に基づく方法により得られる金属ナノ粒子分散液或いは第10の観点に基づく金属ナノ粒子分散液を電極形成用組成物とし、電極形成用組成物を基材上に湿式塗工法で塗工して焼成後の厚さが0.1〜2.0μmの範囲内となるように成膜する工程と、上面に成膜された基材を130〜400℃で焼成する工程とを含む太陽電池の電極の形成方法である。
本発明の第13の観点は、第11又は第12の観点に基づく発明であって、基材がシリコン、ガラス、透明導電材料を含むセラミックス、高分子材料又は金属からなる基板のいずれか、或いはシリコン、ガラス、透明導電材料を含むセラミックス、高分子材料及び金属からなる群より選ばれた2種以上の積層体である太陽電池の電極の形成方法である。
本発明の第14の観点は、第11又は第12の観点に基づく発明であって、基材が太陽電池素子又は透明電極付き太陽電池素子のいずれかである太陽電池の電極の形成方法である。
本発明の第15の観点は、第11又は第12の観点に基づく発明であって、湿式塗工法がスプレーコーティング法、ディスペンサコーティング法、スピンコーティング法、ナイフコーティング法、スリットコーティング法、インクジェットコーティング法、スクリーン印刷法、オフセット印刷法又はダイコーティング法のいずれかである太陽電池の電極の形成方法である。
本発明の第16の観点は、第1ないし第3の観点に基づく金属ナノ粒子分散液、第4ないし第9の観点に基づく方法により得られる金属ナノ粒子分散液或いは第10の観点に基づく金属ナノ粒子分散液を金属膜形成用組成物とし、金属膜形成用組成物を基材上に湿式塗工法で塗工して金属膜を形成する方法である。
本発明の第17の観点は、第1ないし第3の観点に基づく金属ナノ粒子分散液、第4ないし第9の観点に基づく方法により得られる金属ナノ粒子分散液或いは第10の観点に基づく金属ナノ粒子分散液を金属膜形成用組成物とし、金属膜形成用組成物を基材上に湿式塗工法で塗工して焼成後の厚さが0.1〜2.0μmの範囲内となるように成膜する工程と、上面に成膜された基材を130〜400℃で焼成する工程とを含む金属膜の形成方法である。
本発明の第18の観点は、第16又は第17の観点に基づく発明であって、基材がシリコン、ガラス、透明導電材料を含むセラミックス、高分子材料又は金属からなる基板のいずれか、或いはシリコン、ガラス、透明導電材料を含むセラミックス、高分子材料及び金属からなる群より選ばれた2種以上の積層体である金属膜の形成方法である。
本発明の第19の観点は、第16又は第17の観点に基づく発明であって、基材が太陽電池素子又は透明電極付き太陽電池素子のいずれかである金属膜の形成方法である。
本発明の第20の観点は、第16又は第17の観点に基づく発明であって、湿式塗工法がスプレーコーティング法、ディスペンサコーティング法、スピンコーティング法、ナイフコーティング法、スリットコーティング法、インクジェットコーティング法、スクリーン印刷法、オフセット印刷法又はダイコーティング法のいずれかである金属膜の形成方法である。
本発明の第21の観点は、第16ないし第20の観点に基づく金属膜の形成方法により得られた金属膜である。
本発明の第22の観点は、第11ないし第15の観点に基づく電極の形成方法により得られた太陽電池用電極である。
本発明の第23の観点は、第22の観点に基づく電極を用いたことを特徴とする太陽電池である。
本発明の金属ナノ粒子分散液の製造方法は、金属元素中の銀の割合が75質量%以上である金属塩と、カルボン酸類と、還元剤とを液相中で混合して金属ナノ粒子を合成する工程と、合成した金属ナノ粒子を分散媒に分散する工程とを含む金属ナノ粒子分散液の製造方法の改良であり、その特徴ある構成は、金属ナノ粒子の合成が、塩素イオン、硫酸イオン、ヨウ素イオン、臭素イオン、ホウ酸イオン及びリン酸イオンからなる群より選ばれた1種又は2種以上のアニオンを含む添加剤を、金属塩、カルボン酸類及び還元剤とともに液相中で添加混合して生じた懸濁液を25〜95℃の温度で攪拌することにより行われ、金属ナノ粒子の合成後に、調製する分散液中に含まれる添加剤の濃度が0.01〜100ppmの範囲内となるまで低減させるところにある。金属ナノ粒子を合成する際に、上記種類のアニオンを含む添加剤を、金属塩、カルボン酸類及び還元剤とともに液相中で添加混合して生じた懸濁液を25〜95℃の温度で攪拌することで、生成する金属粒子の形状や粒径を幅広い範囲で制御することができる。また、金属ナノ粒子の合成後に、調製する分散液中に含まれる添加剤の濃度を0.01〜100ppmの範囲内となるまで低減させることで、分散安定性に優れた分散液を得ることができる。
本発明実施形態の製造方法の流れを示す図である。 本発明の別の製造方法の流れを示す図である。
次に本発明を実施するための形態を図面に基づいて説明する。
本発明の金属ナノ粒子分散液の製造方法は、金属元素中の銀の割合が75質量%以上である金属塩と、カルボン酸類と、還元剤とを液相中で混合して金属ナノ粒子を合成する工程と、合成した金属ナノ粒子を分散媒に分散する工程とを含む。本発明の特徴ある構成は、金属ナノ粒子の合成が、塩素イオン、硫酸イオン、ヨウ素イオン、臭素イオン、ホウ酸イオン及びリン酸イオンからなる群より選ばれた1種又は2種以上のアニオンを含む添加剤を、金属塩、カルボン酸類及び還元剤とともに液相中で添加混合して生じた懸濁液を25〜95℃の温度で攪拌することにより行われ、金属ナノ粒子の合成後に、調製する分散液中に含まれる添加剤の濃度が0.01〜100ppmの範囲内となるまで低減させるところにある。
図1及び図2に示すように、金属ナノ粒子を合成する方法では、先ず、金属塩水溶液A、カルボン酸類水溶液B、還元剤水溶液C及び添加剤水溶液Dをそれぞれ調製する。
<金属塩水溶液A調製工程>
金属塩水溶液Aの調製は溶媒である水に金属塩を溶解させることにより行う。金属塩を脱イオン水に溶解させ、室温での飽和水溶液を調製することが好ましい。ここで溶解させる金属塩は少なくとも銀塩を含むのものである。そして、金属塩に含まれる金属元素部分全体の質量を100としたとき、その銀は75質量%以上を占めるように調整される。ここで、金属塩に含まれる金属元素の銀の割合を75質量%以上の範囲に限定したのは、75質量%未満ではこの分散液を電極形成用組成物とし、この組成物を用いて形成された太陽電池の電極の反射率が低下してしまうからである。金属元素中に占める銀が100質量%であっても良いけれども、銀以外の金属塩を含む場合には、その金属塩に含まれる金属元素の銀以外の残部は、金、白金、パラジウム及びルテニウムより選ばれた1種又は2種以上の金属を含むようにすることが好ましい。合成される金属ナノ粒子に含まれる銀ナノ粒子以外の金属ナノ粒子は、金、白金、パラジウム及びルテニウムからなる群より選ばれた1種又は2種以上の混合組成又は合金組成からなる金属ナノ粒子であり、この銀ナノ粒子以外の金属ナノ粒子は全ての金属ナノ粒子100質量%に対して0.02質量%以上かつ25質量%未満、好ましくは0.03質量%〜20質量%含有する。ここで、銀ナノ粒子以外の金属ナノ粒子の含有量を全ての金属ナノ粒子100質量%に対して0.02質量%以上かつ25質量%未満の範囲としたのは、0.02質量%未満では特に大きな問題はないけれども、0.02〜25質量%の範囲内においては、耐候性試験(温度100℃かつ湿度50%の恒温恒湿槽に1000時間保持する試験)後の電極の導電性及び反射率が耐候性試験前より悪化しないという特徴があり、25質量%以上では焼成直後の電極の導電性及び反射率が低下し、しかも耐候性試験後の電極が耐候性試験前の電極より導電性及び反射率が低下してしまうからである。これにより、異なる金属ナノ粒子同士の混合物、合金、若しくは一方の元素の中心部に他方が外殻を形成するいわゆるコアーシェル構造をとることにより、反射率、体積抵抗率を制御する効果が得られる。
<カルボン酸類水溶液B調製工程>
カルボン酸類水溶液の調製は、溶媒である水にカルボン酸類を溶解させることにより行う。カルボン酸類を脱イオン水に溶解させ、室温での飽和水溶液を調製することが好ましい。ここで溶解させるカルボン酸類は、グリコール酸、クエン酸、リンゴ酸、マレイン酸、マロン酸、フマル酸、コハク酸、酒石酸及びこれらを用いた塩類からなる群より選ばれた1種又は2種以上の化合物である。これらのカルボン酸類は、金属ナノ粒子の表面を修飾する保護材として良好に機能し、チオール等のような腐食性物質を含まないため好適である。上記カルボン酸類は、反応時のpHを調製するために、ナトリウム等のアルカリ金属、カルシウム等のアルカリ土類金属、アンモニア等の塩基性物質を用いて、一部又は全部中和することが可能である。更には、過剰な塩基性物質を加えることで、反応時のpHを塩基側へと設定することも可能である。
<還元剤水溶液C調製工程>
還元剤水溶液の調製は、溶媒である水に還元剤を溶解させることにより行う。還元剤を脱イオン水に溶解させ、室温での飽和水溶液を調製することが好ましい。ここで溶解させる還元剤は、ヒドラジン、水素化ホウ素ナトリウム、アスコルビン酸、シュウ酸、蟻酸、これらを用いた塩類及びFe(II)塩からなる群より選ばれた1種又は2種以上の化合物である。Fe(II)塩としては硫酸第1鉄等が例示される。これにより腐食性物質を含まず、製品である分散液内に残留しても、焼成によって容易に分解することが可能という効果が得られる。
<添加剤水溶液D調製工程>
添加剤水溶液の調製は、溶媒である水に添加剤を溶解させることにより行う。添加剤を脱イオン水に溶解させ、室温での飽和水溶液を調製することが好ましい。ここで溶解させる添加剤は、塩素イオン、硫酸イオン、ヨウ素イオン、臭素イオン、ホウ酸イオン及びリン酸イオンからなる群より選ばれた1種又は2種以上のアニオンを含む。金属ナノ粒子を合成する際に、アニオンを添加剤として金属塩、カルボン酸類及び還元剤とともに添加混合することで、生成する金属粒子の形状や粒径を制御することができる。この合成に使用する添加剤を構成する上記アニオンは、いわゆる媒晶剤として働いているものと考えられる。その働きの一つとして、過飽和溶液内で成長している結晶種の特定面に付着し、その面の成長を阻害することで、析出する結晶の形状に影響を与え、成長を抑制して粒径を制御する効果が得られる。また、添加剤としてアニオンを加えて粒径を制御する他の効果として、合成で得られる金属ナノ粒子の比抵抗にほとんど影響を与えないことが挙げられる。
本発明における金属ナノ粒子を合成する工程では、次に示す方法が例示されるが、これらに限定されるものではない。第1の方法としては、第1鉄塩−クエン酸塩水溶液中に硝酸銀水溶液を添加する、いわゆるCarey−Leaゾル法である。第2の方法としては、カルボン酸類懸濁液を還元剤で還元する方法である。この実施の形態では、第2の方法である、カルボン酸類懸濁液を還元剤で還元する方法を用いて説明を続ける。
本発明における金属ナノ粒子の合成方法は、上記各工程において得られた金属塩水溶液Aとカルボン酸類水溶液Bと還元剤水溶液Cとを混合させるけれども、その混合順序は、先ずカルボン酸類水溶液Bと金属塩水溶液A又は還元剤水溶液Cのいずれか一方とを混合して混合液を形成し、その後得られた混合液に金属塩水溶液A又は還元剤水溶液Cのいずれか他方を添加して更に混合することにより行われる。以下に、カルボン酸類水溶液Bを金属塩水溶液Aと最初に混合する場合を図1を用いて説明する。
<第1混合工程>
先ずカルボン酸類水溶液Bを金属塩水溶液A及び添加剤水溶液Dと混合する。混合の程度は、金属塩水溶液Aに含まれる金属元素1モルに対して、カルボン酸類水溶液Bに含まれるカルボン酸類が0.3〜3.0モルとなることが好ましい。また、金属塩水溶液Aに含まれる金属元素1モルに対して、添加剤水溶液Dに含まれるアニオンが0.01〜0.05モルとなることが好ましい。また、混合は大気圧下において25〜70℃の温度範囲にて行うことが好ましい。カルボン酸類水溶液と金属塩水溶液及び添加剤水溶液を混合すると、難溶性のカルボン酸塩が析出してカルボン酸塩懸濁液が得られる。よって、カルボン酸類水溶液Bと金属塩水溶液A及び添加剤水溶液Dとの混合はその懸濁液が十分に得られる程度の時間行うことが好ましい。なお、カルボン酸類としてカルボン酸塩を使用する場合、例えばカルボン酸ナトリウムならば、カルボン酸水溶液を加えた後に、水酸化ナトリウム水溶液を加えても同様の結果が得られる。
<第2混合工程>
カルボン酸塩が析出した懸濁液が得られた後、混合液であるその懸濁液に還元剤水溶液Cを添加して更に混合する。混合の程度は、懸濁液の原料である金属元素1モルに対して還元剤水溶液Aに含まれる還元剤が0.2〜3.0モルとなることが好ましい。また、混合は大気圧下において25〜95℃の温度範囲にて行われる。この温度範囲で混合すると、生成した粒子の平均粒径を100nm以下とすることができ、得られた金属ナノ粒子分散液を電極形成用組成物として用いて成膜した際に、低温で低い体積抵抗率を達成することができる。このように懸濁液に還元剤水溶液を混合し、所定の温度範囲で攪拌することにより、金属塩が還元され、金属ナノ粒子を合成することができる。
このような工程からなる本発明の金属ナノ粒子の合成方法では、不溶性の金属塩から金属ナノ粒子を製造することができる。そして、本発明では、原料として、原料金属とカルボン等に塩を形成させるのに用いるナトリウム、カルシウム等、還元剤としてホウ素化水素ナトリウム等を用いる場合に含まれるホウ素以外は、全てCHNOで構成されており、腐食性の物質を含まない。このため、腐食性材料を含まずに導電材料として用いるのに好適な金属ナノ粒子を得ることが可能になる。また、本発明の方法により合成した金属ナノ粒子は低温での焼結が可能である。例えば銀ナノ粒子の場合、10-6[Ω・cm]オーダーの体積抵抗率を持つ電極や、銀の特徴である高い反射率を持つ導電性の反射膜を低温で形成することが可能となる。また、このように形成した導電性反射膜は、塗布する金属ナノ粒子の粒度分布や形状を制御することで、反射率や導電率を使用する目的に応じて制御できる。
なお、上述した実施の形態では、カルボン酸類水溶液Bを金属塩水溶液A及び添加剤水溶液Dと最初に混合する場合を説明したが、図2に示すように、先ずカルボン酸類水溶液Bと還元剤水溶液Cとを混合してカルボン酸類と還元剤の混合液を形成し、その後得られた混合液に金属塩水溶液A及び添加剤水溶液Dを添加して更に混合するようにしても良い。この場合には、カルボン酸類と還元剤の混合水溶液に金属塩水溶液A及び添加剤水溶液Dを添加した段階で、難溶性の塩を析出させると同時に還元反応を進行させ、最終的に金属ナノ粒子分散液を得ることができる。このようにしても、原料金属とカルボン酸等に塩を形成させるのにホウ素以外は、全てCHNOで構成されており、腐食性の物質を含まないので、腐食性材料を含まずに導電材料として用いるのに好適な金属ナノ粒子を得ることが可能になる。
また、上述した実施の形態では、カルボン酸類水溶液Bと金属塩水溶液Aとをそれぞれ最初に調整した後それらを混合する場合を説明したが、カルボン酸類水溶液Bと金属塩水溶液Aとを混合して混合液を形成する工程にあっては、カルボン酸類水溶液Bの溶質と金属塩水溶液Aの溶質を予め混合し、そこに水を加えて溶解させる場合も含むものとする。同様に、図2に示すように、カルボン酸類水溶液Bと還元剤水溶液Cとを予め混合してカルボン酸類と還元剤の混合液を最初に形成する工程にあっては、カルボン酸類水溶液Bの溶質と還元剤水溶液Cの溶質をと予め混合し、そこに水を加えて溶解させる場合も含むものとする。
上記工程を経ることで、形状や粒径を幅広い範囲で制御した金属ナノ粒子を合成することができる。
<添加剤濃度低減工程>
還元後の金属ナノ粒子を含む反応液から、各種の分離手法を用いて添加剤の濃度を低減させ、また余剰の塩類を取り除く。これにより、分散安定性を増すことができる。添加剤は、調製する分散液中に含まれる濃度が0.01〜100ppmの範囲内となるまで低減させる。分散液中に含まれる添加剤濃度が100ppm以下であれば、得られる金属ナノ粒子分散液に一定期間の分散安定性が保たれるためである。分散液中の添加剤を上記範囲内に規定したのは、添加剤の含有割合が下限値未満でも優れた分散安定性は保たれるが、分散液から0.01ppm未満となるまで添加剤を除去するのはコストの観点から好ましくないためである。また添加剤の含有割合が上限値を越えると、金属ナノ粒子が凝析作用によって沈殿物を生成してしまうためである。添加剤濃度の低減や、余剰の塩類の分離手法としては、遠心分離や、限外ろ過、又はイオン交換膜や、イオン交換樹脂などが挙げられる。そして、この金属ナノ粒子を塗布〜焼成することで得られる電極の体積抵抗率は、一般に余剰の塩類を除くほど、バルクの金属の値に近づく傾向を示すことになる。
<分散工程>
次に、合成した金属ナノ粒子を分散媒に添加混合して、分散媒中に粒子を分散させることにより金属ナノ粒子分散液を調製する。分散液中の銀ナノ粒子を含む金属ナノ粒子の含有量は、金属ナノ粒子及び分散媒からなる組成物100質量%に対して2.5〜95.0質量%、好ましくは3.5〜90.0質量%含有するように調製される。分散媒は、全ての分散媒100質量%に対して、1質量%以上、好ましくは2質量%以上の水と、2質量%以上、好ましくは3質量%以上のアルコール類とを含有することが好適である。例えば、分散媒が水及びアルコール類のみからなる場合、水を2質量%含有するときはアルコール類を98質量%含有し、アルコール類を2質量%含有するときは水を98質量%含有する。ここで、銀ナノ粒子を含む金属ナノ粒子の含有量を金属ナノ粒子及び分散媒からなる組成物100質量%に対して2.5〜95.0質量%の範囲に限定したのは、2.5質量%未満では特に焼成後の電極の特性には影響はないけれども、必要な厚さの電極を得ることが難しく、95.0質量%を越えると組成物の湿式塗工時にインク或いはペーストとしての必要な流動性を失ってしまうからである。また水の含有量を全ての分散媒100質量%に対して1質量%以上の範囲に限定したのは、1質量%未満では、組成物を湿式塗工法により塗工して得られた膜を低温で焼結し難く、また焼成後の電極の導電性と反射率が低下してしまい、アルコール類の含有量を全ての分散媒100質量%に対して2質量%以上の範囲に限定したのは、2質量%未満では、上記と同様に組成物を湿式塗工法により塗工して得られた膜を低温で焼結し難く、また焼成後の電極の導電性と反射率が低下してしまうからである。
また上記アルコール類は、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、グリセロール、イソボニルヘキサノール及びエリトリトールからなる群より選ばれた1種又は2種以上であることが好ましい。
上記工程を経ることで、形状や粒径を幅広い範囲で制御した金属ナノ粒子が分散した分散液が得られる。
本発明の金属ナノ粒子分散液は、前述した本発明の製造方法により得られる金属ナノ粒子分散液であって、分散液中に添加剤が0.01〜100ppmの範囲内で含まれることを特徴とする。分散液中に含まれる添加剤が100ppm以下であれば、一定期間の分散安定性が保たれる。分散液中の添加剤を上記範囲内に規定したのは、添加剤の含有割合が下限値未満でも優れた分散安定性は保たれるが、分散液から0.01ppm未満となるまで添加剤を除去するのはコストの観点から好ましくないためである。また添加剤の含有割合が上限値を越えると、金属ナノ粒子が凝析作用によって沈殿物を生成してしまうためである。
このように製造された金属ナノ粒子分散液を用いて電極を形成する方法を説明する。
先ず上記金属ナノ粒子分散液を太陽電池の電極形成用組成物とし、この電極形成用組成物を基材上に湿式塗工法で塗工する。この湿式塗工法での塗工は、焼成後の厚さが0.1〜2.0μm、好ましくは0.3〜1.5μmの範囲内となるように成膜する。上記基材は、シリコン、ガラス、透明導電材料を含むセラミックス、高分子材料又は金属からなる基板のいずれか、或いはシリコン、ガラス、透明導電材料を含むセラミックス、高分子材料及び金属からなる群より選ばれた2種以上の積層体であることができる。また基材は太陽電池素子又は透明電極付き太陽電池素子のいずれかであることが好ましい。透明電極としては、インジウム錫酸化物(Indium Tin Oxide:ITO)、アンチモンドープ酸化錫(Antimony Tin Oxide:ATO)、ネサ(酸化錫SnO2)、IZO(Indium Zic Oxide)、AZO(アルミドープZnO)等などが挙げられる。上記電極形成用組成物は太陽電池素子の光電変換半導体層の表面や、透明電極付き太陽電池素子の透明電極の表面に塗布される。更に上記湿式塗工法は、スプレーコーティング法、ディスペンサコーティング法、スピンコーティング法、ナイフコーティング法、スリットコーティング法、インクジェットコーティング法、スクリーン印刷法、オフセット印刷法又はダイコーティング法のいずれかであることが特に好ましいが、これに限られるものではなく、あらゆる方法を利用できる。スプレーコーティング法は電極形成用組成物を圧縮エアにより霧状にして基材に塗布したり、或いは電極形成用組成物自体を加圧し霧状にして基材に塗布する方法であり、ディスペンサコーティング法は例えば電極形成用組成物を注射器に入れこの注射器のピストンを押すことにより注射器先端の微細ノズルから電極形成用組成物を吐出させて基材に塗布する方法である。スピンコーティング法は電極形成用組成物を回転している基材上に滴下し、この滴下した電極形成用組成物をその遠心力により基材周縁に拡げる方法であり、ナイフコーティング法はナイフの先端と所定の隙間をあけた基材を水平方向に移動可能に設け、このナイフより上流側の基材上に電極形成用組成物を供給して基材を下流側に向って水平移動させる方法である。スリットコーティング法は電極形成用組成物を狭いスリットから流出させて基材上に塗布する方法であり、インクジェットコーティング法は市販のインクジェットプリンタのインクカートリッジに電極形成用組成物を充填し、基材上にインクジェット印刷する方法である。スクリーン印刷法は、パターン指示材として紗を用い、その上に作られた版画像を通して電極形成用組成物を基材に転移させる方法である。オフセット印刷法は、版に付けた電極形成用組成物を直接基材に付着させず、版から一度ゴムシートに転写させ、ゴムシートから改めて基材に転移させる、インクの撥水性を利用した印刷方法である。ダイコーティング法は、ダイ内に供給された電極形成用組成物をマニホールドで分配させてスリットより薄膜上に押し出し、走行する基材の表面を塗工する方法である。ダイコーティング法には、スロットコート方式やスライドコート方式、カーテンコート方式がある。
次に上面に成膜された基材を大気中で130〜400℃、好ましくは140〜200℃の温度に、10分間〜1時間、好ましくは15〜40分間保持して焼成する。ここで、基材上に形成された塗膜の膜厚を、焼成後の厚さが0.1〜2.0μmの範囲内となるように限定したのは、0.1μm未満では太陽電池に必要な電極の表面抵抗値が不十分となり、2.0μmを越えると特性上の不具合はないけれども、材料の使用量が必要以上に多くなって材料が無駄になるからである。また基材上に形成された塗膜の焼成温度を130〜400℃の範囲に限定したのは、130℃未満では金属ナノ粒子同士の焼結が不十分になるとともに保護剤の焼成時の熱により脱離或いは分解(分離・燃焼)し難いため、焼成後の電極内に有機残渣が多く残り、この残渣が変質又は劣化して導電性及び反射率が低下してしまい、400℃を越えると低温プロセスという生産上のメリットを生かせない、即ち製造コストが増大し生産性が低下してしまうからである。更に基材上に形成された塗膜の焼成時間を10分間〜1時間の範囲に限定したのは、10分間未満では金属ナノ粒子同士の焼結が不十分になるとともに保護剤の焼成時の熱により脱離或いは分解(分離・燃焼)し難いため、焼成後の電極内に有機残渣が多く残り、この残渣が変質又は劣化して電極の導電性及び反射率が低下してしまい、1時間を越えると特性には影響しないけれども、必要以上に製造コストが増大して生産性が低下してしまうからである。
上記電極形成用組成物である金属ナノ粒子分散液では、一次粒径10〜50nmとサイズの比較的大きい金属ナノ粒子を多く含むため、金属ナノ粒子の比表面積が減少し、保護剤の占める割合が小さくなる。この結果、上記電極形成用組成物を用いて太陽電池の電極を形成すると、上記保護剤中の有機分子が焼成時の熱により脱離し又は分解し、或いは離脱しかつ分解することにより、実質的に有機物を含有しない銀を主成分とする電極が得られる。従って、上記電極の形成された太陽電池を長年使用しても、有機物が変質又は劣化するということがなく、電極の導電率及び反射率が高い状態に維持されるので、経年安定性に優れた電極を得ることができる。具体的には、上記電極を、温度を100℃に保ちかつ湿度を50%に保った恒温恒湿槽に1000時間収容した後であっても、波長750〜1500nmの電磁波、即ち可視光領域から赤外線領域までの電磁波を80%以上電極により反射できるとともに、電極の導電性、即ち電極の体積抵抗率を2×10-5Ω・cm(20×10-6Ω・cm)未満と極めて低い値に維持できる。このようにして形成された電極を用いた太陽電池は、長年使用しても高導電率及び高反射率を維持することができ、経年安定性に優れる。
なお、金属ナノ粒子分散液を太陽電池の電極形成用組成物として電極を形成する方法並びにその方法により得られた電極について説明したが、金属ナノ粒子分散液を金属膜形成用組成物として金属膜を形成する方法についても上記と同様の方法で行うことができ、またその方法により得られた金属膜は上記得られた電極と同様の効果を有する。
次に本発明の実施例を比較例とともに詳しく説明する。
<実施例1〜13,比較例1〜3>
先ず、次の表1に示す金属元素を含む金属塩、カルボン酸類、還元剤及び添加剤を脱イオン水にそれぞれ溶解させ、それぞれ室温での飽和水溶液を調製した。なお、金属塩としては、硝酸塩を用い、Au及びPtについてのみ塩素化合物を用いた。
次に、得られたカルボン酸類水溶液Bと金属塩水溶液A又は還元剤水溶液Cのいずれか一方とを混合して混合液を形成し、その後その混合液に金属塩水溶液A又は還元剤水溶液Cのいずれか他方を添加して更に混合した。この混合の順序は、図1に示す、カルボン酸類水溶液Bと金属塩水溶液Aとを最初に混合し、その後その混合液に還元剤水溶液Cを添加した場合と、図2に示す、カルボン酸類水溶液Bと還元剤水溶液Cとを最初に混合し、その後その混合液に金属塩水溶液Aを添加した場合である。
ここで、カルボン酸類水溶液Bと金属塩水溶液Aと還元剤水溶液Cの全てが添加されて混合される第2混合工程では、ウオーターバスを用いて表1の「反応温度」の欄に記載の反応温度まで加熱し、反応温度に到達後、還流しながら4時間に渡り、マグネチックスターラによる400rpmの回転速度で撹拌を続けた。得られた反応液を実施例1〜13,比較例1〜3の反応液とし、これらにおけるカルボン酸類水溶液Bと金属塩水溶液Aと還元剤水溶液Cとの関係を表1に示す。
なお、4時間の反応後、実施例1〜13の反応液については、反応液の乾燥物をX線回折法で評価したが、添加した金属のカルボン酸塩は検出されなかった。
反応終了後、反応液を1000Gで3分間遠心分離することで反応液から沈殿物を分離した。更に分離した沈殿物に、沈殿物質量の50倍の0.1Mアンモニア水を加えて10分間撹拌した後、再度1000Gで3分間遠心分離して分散液から沈殿物を分離した。この沈殿物に水を加え、更に限外濾過法を用いて脱塩した後、次の表2に示す割合及び種類の溶媒を加えて撹拌し、実施例1〜13及び比較例1〜3の金属ナノ粒子分散液を得た。表1に、実施例1〜13及び比較例1〜3の分散液における原料の種類及び混合割合と、反応温度及び合成時フローとを示す。なお、表1のモル比の欄は、全ての原料金属イオンに対するモル比を示す。また、表1の合成時フローの欄において、『(1)』は図1に示すフローにより分散液を合成したことを示し、『(2)』は図2に示すフローにより分散液を合成したことを示す。
Figure 2009197324
<比較試験1及び評価>
実施例1〜13及び比較例1〜3で得られた金属ナノ粒子分散液を電極形成用組成物とし、この電極形成用組成物を基材上に、焼成後の厚さが次の表2に示される膜厚となるように塗布した後に、次の表2に示される温度で30分間焼成することにより、基材上に電極を形成した。基材としては、ITO膜付き太陽電池、ITO膜なし太陽電池、シリコン基板、ガラス板、ポリイミド板、PETフィルム、ITO膜付きガラス板又はアルミ板を用いた。これらの電極を形成した基材の導電性を測定した。その結果を、表2に示す。
なお、導電性は、四端子法により測定し算出した体積抵抗率(Ω・cm)として求めた。具体的には、電極の体積抵抗率は、先ず焼成後の電極の厚さをSEM(電子顕微鏡S800:日立製作所社製)を用いて電極断面から電極の厚さを直接計測し、次に四端子法による比抵抗測定器(ロレスタ:三菱化学社製)を用い、この測定器に上記実測した電極の厚さを入力して測定した。
また表2には、導電性(体積抵抗率)とともに、分散液中の金属ナノ粒子の平均粒径、その粒子形状、電極形成用組成物を構成する各成分の配合割合、塗工法、基材の種類、焼成後の膜厚及び焼成温度を示した。金属ナノ粒子分散液中の金属ナノ粒子の平均粒径は、FE−TEM(電界放出型透過電子顕微鏡:日本電子社製)を用いて計測したものである。
また、表2のアルコール類の欄において、『ME』はメタノールを示し、『ET』はエタノールを示し、『EG』はエチレングリコールを示し、『BU』はブタノールを示し、『PG』はプロピレングリコールを示し、『DEG』はジエチレングリコールを示し、『GL』はグリセロースを示し、『ER』はエリトリトールを示し、『IH』はイソボニルヘキサノールを示し、『PR』はプロパノールを示す。
また、表2の他の溶媒の欄において、『A』はアセトンとイソプロピルグリコールとを質量比で1:1に混合した混合液を示し、『B』はシクロヘキサンとメチルエチルケトンとを質量比で1:1に混合した混合液を示し、『C』はトルエンとヘキサンとを質量比で1:1に混合した混合液を示す。
Figure 2009197324
表2より明らかなように、実施例1〜13では、形成した電極の体積抵抗率は、いずれも2〜3×10-6Ωcmオーダーであり、導電材料として好適な値を示した。また、分散液に含まれる金属粒子の平均粒径は10〜30nmの範囲にあり、いわゆる金属ナノ粒子を形成していた。
一方、比較例1〜3では、塗膜の体積抵抗率は実施例1〜13に比べて高い値を示しており、分散液中の金属粒子の平均粒径は30nmより大きく、導電材料として、実施例1〜13より劣る結果となった。
比較例1では、金属ナノ粒子の合成時に添加剤を使用しなかったため、粒子の粒径が増大し、その結果、粒径の大きな金属ナノ粒子を含む分散液の塗布時に、緻密な塗膜が形成されず、焼結時に十分緻密な膜が形成されなかったため、体積抵抗率が増加したと推測される。
また、比較例2では、銀以外の金属成分の割合が高かったため、焼結時に悪影響を及ぼした結果、体積抵抗率が増加したと推測される。
更に、比較例3では、分散液合成時の温度が高く、粒成長が著しく進行した結果、粒子の粒径が増大したため、比較例1と同様の理由から体積抵抗率の増大が生じたと推測される。
<実施例14>
先ず硝酸銀を脱イオン水に溶解して金属塩水溶液を調製した。また、リン酸三アンモニウムを脱イオン水に溶解して添加剤水溶液を調製した。一方、クエン酸三ナトリウムを脱イオン水に溶解させて得られた濃度26%のクエン酸三ナトリウム水溶液に、温度35℃の窒素ガス気流中で粒状の硫酸第一鉄を直接加えて溶解させ、クエン酸イオンと第一鉄イオンを3:2のモル比で含有するカルボン酸類・還元剤混合液を調製した。次に上記窒素ガス気流を温度35℃に保った状態で、マグネチックスターラーの撹拌子を100rpmの回転速度で回転させて上記カルボン酸類・還元剤混合液を撹拌しながら、このカルボン酸類・還元剤混合液に上記金属塩水溶液及び添加剤水溶液を滴下して混合した。ここで、金属塩水溶液の添加量はカルボン酸類・還元剤混合液の量の1/10以下になるように、各溶液の濃度を調整することで、室温の金属塩水溶液を滴下しても反応温度が40℃に保持されるようにした。また上記金属塩水溶液に対するカルボン酸類・還元剤混合液の混合比は、次の表3に示すように、金属塩水溶液中の金属イオンの総原子価数に対する、カルボン酸類・還元剤混合液中のクエン酸イオンと第一鉄イオンのモル比が1.5倍モル、1倍モルとなるようにした。また上記金属塩水溶液に対する添加剤水溶液の混合比は、金属塩水溶液中の金属イオンの総原子価数に対する、添加剤水溶液中のリン酸イオンのモル比が0.02倍モルとなるようにした。金属塩水溶液の滴下が終了した後、混合液の撹拌を更に15分間続けて金属コロイドからなる分散液を得た。この分散液のpHは5.5であり、分散液中の金属粒子の化学量論的生成量は5g/リットルであった。この得られた分散液を室温で放置し、沈降した金属ナノ粒子の凝集物をデカンテーションにより分離した。この分離物に脱イオン水を加えて分散体とし、限外ろ過により脱塩処理した後、更に引き続いてメタノールで置換洗浄して、金属(銀)の含有量を50質量%にした。この分散液を実施例14とした。なお、分散液100質量%に対する最終的な金属(銀)、水、メタノール及び溶媒Aの混合割合を50.0質量%、2.5質量%、5.0質量%及び42.5質量%にそれぞれ調整した。ここで、溶媒Aとは、アセトンとイソプロピルグリコールとを質量比で1:1の割合で混合した混合液である。なお、硫酸第一鉄中の鉄はメタノールによる置換洗浄時等に除去された。
<実施例15>
実施例14のリン酸三アンモニウムを臭化水素酸に替え、実施例14と同様にして得られた分散液を室温で放置し、沈降した金属ナノ粒子の凝集物をデカンテーションにより分離した。この分離物に脱イオン水を加えて分散液とし、限外ろ過により脱塩処理した後、更に引き続いてエタノールで置換洗浄して、金属の含有量を50質量%にした。この分散液を第1分散液とした。
一方、実施例14の硝酸銀を硝酸パラジウムに、実施例14のリン酸三アンモニウムを臭化水素酸にそれぞれ替え、実施例14と同様にして得られた分散液を室温で放置し、沈降した金属ナノ粒子の凝集物をデカンテーションにより分離した。この分離物に脱イオン水を加えて分散液とし、限外ろ過により脱塩処理した後、更に引き続いてエタノールで置換洗浄して、金属の含有量を50質量%にした。この分散液を第2分散液とした。次に第1分散液77質量%と第2分散液23質量%とを混合した。この分散液を実施例15とした。なお、分散液100質量%に対する最終的な金属(銀及びパラジウムの合計)、水、エタノール及び溶媒Aの混合割合を50.0質量%、1.5質量%、2.5質量%及び46.0質量%にそれぞれ調整した。
<比較例4及び5>
添加剤を使用しなかった以外は実施例14及び15と同様にして分散液を得た。
Figure 2009197324
<比較試験2及び評価>
実施例14〜15及び比較例4〜5で得られた金属ナノ粒子分散液を電極形成用組成物とし、この電極形成用組成物をシリコン基板上に、焼成後の厚さが0.1μmとなるように塗布した後に、大気中、200℃で30分間焼成することにより、シリコン基板上に電極を形成した。電極を形成したシリコン基板の導電性を測定した。その結果を、表4に示す。
Figure 2009197324
表4より明らかなように、実施例14及び15では、塗膜の体積抵抗率はいずれも3×10-6Ωcmオーダーであり、導電材料として好適な値を示した。また、平均粒径は20〜30nmの範囲にあり、いわゆる金属ナノ粒子を形成した。
一方、比較例4及び5では、塗膜の体積抵抗率は、添加剤を加えて合成した実施例14及び15に比べて高く、平均粒径は30nmより大きく、導電材料として実施例14及び15よりも劣る結果となった。金属ナノ粒子の合成時に添加剤を使用しなかったため、粒子の粒径が増大し、その結果、粒径の大きな金属ナノ粒子を含む分散液の塗布時に、緻密な塗膜が形成されず、焼結時に十分緻密な膜が形成されなかったため、体積抵抗率が増加したと推測される。
<実施例16>
実施例2と同様にして得られた反応液を室温で放置し、沈降した金属ナノ粒子の凝集物をデカンテーションにより分離した。この分離した沈殿物に、沈殿物質量の50倍の脱イオン水を加えて分散液とし、限外ろ過により脱塩処理した後、更に引き続いてメタノールで置換洗浄して、金属の含有量を50質量%にした。続いて、分散液の組成を金属(銀)が1質量%、水が24質量%及びエタノールが75質量%にそれぞれ調整した。この分散液を実施例16とした。
<実施例17>
実施例2と同様にして得られた反応液を室温で放置し、沈降した金属ナノ粒子の凝集物をデカンテーションにより分離した。この分離した沈殿物に、沈殿物質量の5倍の脱イオン水を加えて分散液とし、限外ろ過により脱塩処理した後、更に引き続いてメタノールで置換洗浄して、金属の含有量を50質量%にした。続いて、分散液の組成を金属(銀)が1質量%、水が24質量%及びエタノールが75質量%にそれぞれ調整した。この分散液を実施例17とした。
<実施例18>
実施例2と同様にして得られた反応液を室温で放置し、沈降した金属ナノ粒子の凝集物をデカンテーションにより分離した。この分離した沈殿物に、沈殿物質量の50000倍の脱イオン水を加えて分散液とし、限外ろ過により脱塩処理した後、更に引き続いてメタノールで置換洗浄して、金属の含有量を50質量%にした。続いて、分散液の組成を金属(銀)が1質量%、水が24質量%及びエタノールが75質量%にそれぞれ調整した。この分散液を実施例18とした。
<実施例19>
実施例2と同様にして得られた反応液を室温で放置し、沈降した金属ナノ粒子の凝集物をデカンテーションにより分離した。この分離した沈殿物に、沈殿物質量の50倍の脱イオン水を加えて分散液とし、限外ろ過により脱塩処理した後、更に引き続いてメタノールで置換洗浄して、金属の含有量を50質量%にした。続いて、分散液の組成を金属(銀)が1質量%、水が24質量%及びエタノールが99975質量%にそれぞれ調整した。この分散液を実施例19とした。
<比較例6>
実施例2と同様にして得られた反応液を室温で放置し、沈降した金属ナノ粒子の凝集物をデカンテーションにより分離した。この分離した沈殿物に、沈殿物質量の1質量%の脱イオン水を加えて分散液とし、限外ろ過により脱塩処理した後、更に引き続いてメタノールで置換洗浄して、金属の含有量を50質量%にした。続いて、分散液の組成を金属(銀)が1質量%、水が24質量%及びエタノールが75質量%にそれぞれ調整した。この分散液を比較例6とした。
<比較例7>
実施例2と同様にして得られた反応液を室温で放置し、沈降した金属ナノ粒子の凝集物をデカンテーションにより分離した。この分離した沈殿物に、沈殿物質量の50倍の脱イオン水を加えて分散液とし、限外ろ過により脱塩処理した後、更に引き続いてメタノールで置換洗浄して、金属の含有量を50質量%にした。続いて、分散液の組成を金属(銀)が50質量%、水が17質量%及びエタノールが33質量%にそれぞれ調整した。この分散液を比較例7とした。
<比較試験3及び評価>
実施例16〜19及び比較例6〜7で得られた金属ナノ粒子分散液中の添加剤濃度(SO4 2-濃度)について、イオンクロマトグラフィーを用いて評価した。また、これらの分散液の分散安定性(3〜5℃での保管)を目視にて調べた。その結果を次の表5に示す。
Figure 2009197324
表5より明らかなように、実施例16〜19のように、分散液中の添加剤を構成するイオン濃度が100ppm以下であれば、一定期間の分散安定性は保たれることが確認された。
なお、実施例18及び19のように、分散液中の添加剤を構成するイオン濃度が0.01ppmとなるように添加剤濃度を制御することは可能である。また、この比較試験で示していないが、0.01ppm未満となるように濃度を制御することも可能であることを確認した。この場合にも、分散安定性は保たれる。しかし、多量の脱イオン水を用いて、実施例18より更に添加物濃度を下げることは、コストの観点から困難である。また、実施例19より更に製品中の金属ナノ粒子濃度を低下させることは、製品使用上の不具合を招く恐れがあることから困難である。
一方、比較例6及び7のように、分散液中に添加物イオンが500ppm程度含まれることで、分散安定性の著しい悪化を招くことが示される。以上より、分散液中の添加剤を構成するイオン濃度は0.01〜100ppmの範囲が好適であることが示された。
A 金属塩水溶液
B カルボン酸塩水溶液
C 還元剤水溶液
D 添加剤水溶液

Claims (23)

  1. 金属ナノ粒子が分散媒に分散した金属ナノ粒子分散液であって、
    前記金属ナノ粒子が、金属元素中の銀の割合が75質量%以上である金属塩と、カルボン酸類と、還元剤と、塩素イオン、硫酸イオン、ヨウ素イオン、臭素イオン、ホウ酸イオン及びリン酸イオンからなる群より選ばれた1種又は2種以上のアニオンを含む添加剤とを液相中で添加混合して生じた懸濁液を25〜95℃の温度で攪拌することにより合成され、
    前記分散液中に含まれる前記添加剤の濃度が0.01〜100ppmの範囲内であることを特徴とする金属ナノ粒子分散液。
  2. 分散媒が1質量%以上の水と2質量%以上のアルコール類とを含有する請求項1記載の分散液。
  3. アルコール類がメタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、イソボニルヘキサノール、グリセロール及びエリトリトールからなる群より選ばれた1種又は2種以上である請求項2記載の分散液。
  4. 金属元素中の銀の割合が75質量%以上である金属塩と、カルボン酸類と、還元剤とを液相中で混合して金属ナノ粒子を合成する工程と、前記合成した金属ナノ粒子を分散媒に分散する工程とを含む金属ナノ粒子分散液の製造方法において、
    前記金属ナノ粒子の合成が、塩素イオン、硫酸イオン、ヨウ素イオン、臭素イオン、ホウ酸イオン及びリン酸イオンからなる群より選ばれた1種又は2種以上のアニオンを含む添加剤を、前記金属塩、前記カルボン酸類及び前記還元剤とともに液相中で添加混合して生じた懸濁液を25〜95℃の温度で攪拌することにより行われ、
    前記金属ナノ粒子の合成後に、調製する分散液中に含まれる前記添加剤の濃度が0.01〜100ppmの範囲内となるまで低減させる
    ことを特徴とする金属ナノ粒子分散液の製造方法。
  5. カルボン酸類がグリコール酸、クエン酸、リンゴ酸、マレイン酸、マロン酸、フマル酸、コハク酸、酒石酸及びこれらを用いた塩類からなる群より選ばれた1種又は2種以上である請求項4記載の製造方法。
  6. 還元剤がヒドラジン、水素化ホウ素ナトリウム、アスコルビン酸、シュウ酸、蟻酸、これらを用いた塩類及びFe(II)塩からなる群より選ばれた1種又は2種以上である請求項4記載の製造方法。
  7. 金、白金、パラジウム及びルテニウムからなる群より選ばれた1種又は2種以上の混合組成又は合金組成から構成される金属ナノ粒子を0.02質量%以上かつ25質量%未満含有する請求項4記載の製造方法。
  8. 分散媒が1質量%以上の水と2質量%以上のアルコール類とを含有する請求項4記載の製造方法。
  9. アルコール類がメタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、イソボニルヘキサノール、グリセロール及びエリトリトールからなる群より選ばれた1種又は2種以上である請求項8記載の製造方法。
  10. 請求項4ないし9いずれか1項に記載の製造方法により得られる金属ナノ粒子分散液であって、
    前記分散液中に含まれる前記添加剤の濃度が0.01〜100ppmの範囲内であることを特徴とする金属ナノ粒子分散液。
  11. 請求項1ないし3いずれか1項に記載の金属ナノ粒子分散液、請求項4ないし9いずれか1項に記載の方法により得られる金属ナノ粒子分散液或いは請求項10記載の金属ナノ粒子分散液を電極形成用組成物とし、前記電極形成用組成物を基材上に湿式塗工法で塗工して太陽電池用電極を形成する方法。
  12. 請求項1ないし3いずれか1項に記載の金属ナノ粒子分散液、請求項4ないし9いずれか1項に記載の方法により得られる金属ナノ粒子分散液或いは請求項10記載の金属ナノ粒子分散液を電極形成用組成物とし、前記電極形成用組成物を基材上に湿式塗工法で塗工して焼成後の厚さが0.1〜2.0μmの範囲内となるように成膜する工程と、
    前記上面に成膜された基材を130〜400℃で焼成する工程と
    を含む太陽電池の電極の形成方法。
  13. 基材がシリコン、ガラス、透明導電材料を含むセラミックス、高分子材料又は金属からなる基板のいずれか、或いは前記シリコン、前記ガラス、前記透明導電材料を含むセラミックス、前記高分子材料及び前記金属からなる群より選ばれた2種以上の積層体である請求項11又は12記載の太陽電池の電極の形成方法。
  14. 基材が太陽電池素子又は透明電極付き太陽電池素子のいずれかである請求項11又は12記載の太陽電池の電極の形成方法。
  15. 湿式塗工法がスプレーコーティング法、ディスペンサコーティング法、スピンコーティング法、ナイフコーティング法、スリットコーティング法、インクジェットコーティング法、スクリーン印刷法、オフセット印刷法又はダイコーティング法のいずれかである請求項11又は12記載の太陽電池の電極の形成方法。
  16. 請求項1ないし3いずれか1項に記載の金属ナノ粒子分散液、請求項4ないし9いずれか1項に記載の方法により得られる金属ナノ粒子分散液或いは請求項10記載の金属ナノ粒子分散液を金属膜形成用組成物とし、前記金属膜形成用組成物を基材上に湿式塗工法で塗工して金属膜を形成する方法。
  17. 請求項1ないし3いずれか1項に記載の金属ナノ粒子分散液、請求項4ないし9いずれか1項に記載の方法により得られる金属ナノ粒子分散液或いは請求項10記載の金属ナノ粒子分散液を金属膜形成用組成物とし、前記金属膜形成用組成物を基材上に湿式塗工法で塗工して焼成後の厚さが0.1〜2.0μmの範囲内となるように成膜する工程と、
    前記上面に成膜された基材を130〜400℃で焼成する工程と
    を含む金属膜の形成方法。
  18. 基材がシリコン、ガラス、透明導電材料を含むセラミックス、高分子材料又は金属からなる基板のいずれか、或いは前記シリコン、前記ガラス、前記透明導電材料を含むセラミックス、前記高分子材料及び前記金属からなる群より選ばれた2種以上の積層体である請求項16又は17記載の金属膜の形成方法。
  19. 基材が太陽電池素子又は透明電極付き太陽電池素子のいずれかである請求項16又は17記載の金属膜の形成方法。
  20. 湿式塗工法がスプレーコーティング法、ディスペンサコーティング法、スピンコーティング法、ナイフコーティング法、スリットコーティング法、インクジェットコーティング法、スクリーン印刷法、オフセット印刷法又はダイコーティング法のいずれかである請求項16又は17記載の金属膜の形成方法。
  21. 請求項16ないし20いずれか1項に記載の金属膜の形成方法により得られた金属膜。
  22. 請求項11ないし15いずれか1項に記載の電極の形成方法により得られた太陽電池用電極。
  23. 請求項22記載の電極を用いたことを特徴とする太陽電池。
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